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特開2023-132881麺類用穀粉組成物及び麺類の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132881
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】麺類用穀粉組成物及び麺類の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/109 20160101AFI20230914BHJP
【FI】
A23L7/109 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038449
(22)【出願日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】301049777
【氏名又は名称】日清製粉株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋草 伸吾
【テーマコード(参考)】
4B046
【Fターム(参考)】
4B046LA01
4B046LB01
4B046LC04
4B046LC11
4B046LE02
4B046LG02
4B046LG04
4B046LG08
4B046LG29
4B046LP01
4B046LP10
4B046LP15
(57)【要約】
【課題】早茹でが可能で、且つ茹で伸びがしにくい麺類の製造技術を提供すること。
【解決手段】本発明の麺類用穀粉組成物は、第1の小麦粉及び第2の小麦粉を含有する穀粉類を含有する。前記第1の小麦粉は、平均粒径が10~40μm、蛋白含量が3.4~7.5質量%である。前記第2の小麦粉は、デュラム小麦粉砕物である。前記穀粉類は、前記第1の小麦粉を10~80質量%含有し、前記第2の小麦粉を10~80質量%含有する。前記第2の小麦粉の平均粒径は好ましくは30~100μmである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の小麦粉及び第2の小麦粉を含有する穀粉類を含有し、
前記第1の小麦粉は、平均粒径が10~40μm、蛋白含量が3.4~7.5質量%であり、
前記第2の小麦粉は、デュラム小麦粉砕物であり、
前記穀粉類は、前記第1の小麦粉を10~80質量%含有し、前記第2の小麦粉を10~80質量%含有する、麺類用穀粉組成物。
【請求項2】
前記第2の小麦粉の平均粒径が30~100μmである、請求項1に記載の麺類用穀粉組成物。
【請求項3】
粉原料に液体原料を加えて調製した生地を麺線に成形する工程を有し、
前記粉原料として、請求項1又は2に記載の麺類用穀粉組成物を用いる、麺類の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麺類の製造に使用される麺類用穀粉組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、熱湯を注ぐのみで短時間で可食状態となる生中華麺又は半生中華麺の製造方法として、製麺に使用する粉原料に、主原料として小麦粉蛋白含量15~18%の高蛋白小麦粉を使用することが記載されている。
特許文献2には、ノンフライ即席麺用小麦粉組成物として、平均粒径が10~40μm、蛋白含量が4.5~6.8質量%である小麦粉を20~80質量%含有するものが記載されている。特許文献2に記載の小麦粉組成物によれば、麺のほぐれ、復元性が良好なノンフライ即席麺が得られるとされている。
【0003】
また従来、可食状態に復元するのに要する時間の短縮、吸油量の低減等を目的として、即席麺の製造に用いる粉原料にデュラム小麦由来の小麦粉を配合することが行われている。例えば特許文献3には、非押出油揚げ即席麺の粉原料として、デュラム粗粉(250~500μm)を25重量%以上含有するデュラム小麦粉砕物を60~90重量%含有するものを用いることが記載されている。特許文献4には、電子レンジ調理用即席中華麺類の粉原料として、薄力粉50~100質量%及びデュラム小麦粉0~50質量%を含有するものを用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-28067号公報
【特許文献2】特開2013-162768号公報
【特許文献3】特開平8-140609号公報
【特許文献4】特開2011-109930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
麺類には、生麺、乾麺、冷凍麺等、様々な種類が存在するが、何れの麺類でも喫食するまでの過程でα化処理が必要である。この麺類のα化処理としては茹で調理が一般的である。例えば、家庭で麺類を喫食する際には、生麺又は乾麺を茹で調理してこれをα化することが行われており、また例えば、工場で冷凍麺を製造する場合には、茹で調理によってα化した麺を中間品として製造することが行われている。麺類の茹で調理が行われるのが家庭であれ工場であれ、麺類の茹で時間は短い方がよく、麺類には、比較的短い茹で時間で可食状態となる性質(早茹で特性)が要求される。
また、麺類には茹で伸びしにくい性質(茹で伸び耐性)を有することも要求される。「茹で伸び」とは、茹で調理した麺類の水分勾配が経時的に低下することで起こる現象である。茹で伸びした麺類は、水分勾配の低下による内部応力の減少により、テクスチャーの低下、いわゆる「コシ」がなくなり、麺類に特有の好ましい食感が得られなくなる。
早茹で特性及び茹で伸び耐性の両方を高いレベルで両立した麺類の製造技術は未だ提供されていない。
【0006】
本発明の課題は、早茹でが可能で、且つ茹で伸びがしにくい麺類の製造技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1の小麦粉及び第2の小麦粉を含有する穀粉類を含有し、前記第1の小麦粉は、平均粒径が10~40μm、蛋白含量が3.4~7.5質量%であり、前記第2の小麦粉は、デュラム小麦粉砕物であり、前記穀粉類は、前記第1の小麦粉を10~80質量%含有し、前記第2の小麦粉を10~80質量%含有する、麺類用穀粉組成物である。
また本発明は、粉原料に液体原料を加えて調製した生地を麺線に成形する工程を有し、前記粉原料として、前記の本発明の麺類用穀粉組成物を用いる、麺類の製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、早茹でが可能で、且つ茹で伸びがしにくい麺類が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の麺類用穀粉組成物は、少なくとも穀粉類を含有する。本明細書において「穀粉類」とは、穀物由来の常温常圧で粉体の物質であり、穀粉及び澱粉を含む概念である。ここで言う「澱粉」とは、小麦等の植物から単離された「純粋な澱粉」を指し、穀粉又は全粒粉中に本来的に内在する澱粉とは区別される。
【0010】
穀粉としては、例えば、小麦粉、米粉、大麦粉、モチ大麦粉、そば粉、大豆粉、コーンフラワー、オーツ麦粉等の、胚乳部を主体とする穀粉が挙げられる。小麦粉には、強力粉、中力粉、薄力粉、デュラムセモリナ、デュラム小麦粉等が含まれる。穀粉の他の具体例として、少なくとも外皮部及び/又は胚部を含む穀粉、例えば、外皮部を主体とする「ふすま」、胚乳部、外皮部及び胚部の主要3成分を含む「全粒粉」が挙げられる。ふすま、全粒粉の具体例として、小麦由来である小麦ふすま、小麦全粒粉が挙げられる。
澱粉としては、例えば、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、米澱粉、タピオカ澱粉等の未加工澱粉;未加工澱粉に加工処理(例えば、架橋化、リン酸化、アセチル化、エーテル化、酸化、α化)の1つ以上を施した加工澱粉が挙げられる。
【0011】
本発明で用いる穀粉類は、後述する第1の小麦粉及び第2の小麦粉を必須成分として含有する。本発明で用いる穀粉類は、これら2種類の小麦粉以外の他の穀粉類の1種以上を含有してもよく、該他の穀粉類として前記の穀粉類の具体例を用いることができる。
【0012】
本発明で用いる第1の小麦粉は、平均粒径が10~40μm、蛋白含量が3.4~7.5質量%の小麦粉である。第1の小麦粉に代えて、平均粒径又は蛋白含量が前記特定範囲から外れた小麦粉を用いた場合は、麺類に早茹で特性を付与できないなど、本発明の所定の効果は奏されない。
第1の小麦粉の平均粒径は、好ましくは13~35μm、より好ましくは15~30μmである。
第1の小麦粉の蛋白含量は、好ましくは3.5~7.0質量%、より好ましくは3.5~6.5質量%、更に好ましくは3.5~6.0質量%である。
【0013】
本明細書において「平均粒径」とは、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置(例えば、日機装株式会社製、「マイクロトラック粒径分布測定装置9200FRA」)を用いて乾式で測定したときの累積体積50容量%における体積累積粒径D50を指す。
また本明細書において「蛋白含量」とは、ケルダール法により測定された値を指す。
【0014】
第1の小麦粉としては、平均粒径及び蛋白含量が前記特定範囲にあることを条件として、麺類の製造に使用可能な小麦粉を用いることができ、小麦の品種、産地等は特に制限されない。第1の小麦粉は、例えば、ソフト系小麦由来の小麦粉であり得る。ここで言う「ソフト系小麦」の品種の具体例として、ソフトレッドホイート、ソフトホワイトホイートが挙げられる。ソフトレッドホイートの具体例として、日本産普通小麦、米国産ソフトレッドウインター(SRW)が挙げられる。ソフトホワイトホイートの具体例として、米国産ホワイトホイート(WW)、オーストラリア産オーストラリアスタンダードホワイト(ASW)が挙げられる。
【0015】
第1の小麦粉の好ましい具体例として、日本産普通小麦及びASWから選択される小麦由来の小麦粉が挙げられる。日本産普通小麦は好ましくは、「Wx-B1遺伝子が欠失、又はWx-A1遺伝子及びWx-B1遺伝子が欠失したアミロース含量の低い小麦由来の小麦粉」である。この「アミロース含量の低い日本産普通小麦」としては、例えば、きたほなみ、きぬあかり、さぬきの夢2009(以上、Wx-B1遺伝子が欠失)、チクゴイズミ(Wx-A1遺伝子及びWx-B1遺伝子が欠失)が挙げられる。
【0016】
本発明で用いる第2の小麦粉は、デュラム小麦粉砕物である。本発明において「デュラム小麦粉砕物」とは、デュラム小麦由来の小麦粉(胚乳部の粉砕物)を指し、その粒度は問わない。デュラム小麦粉砕物には、デュラムセモリナ、デュラム小麦粉が含まれる。一般に、デュラムセモリナは、平均粒径が250μm以上のデュラム小麦粉砕物を指し、デュラム小麦粉は、平均粒径が250μm未満のものを指す。
【0017】
第2の小麦粉(デュラム小麦粉砕物)の平均粒径は、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、更に好ましくは30~100μmである。すなわち第2の小麦粉は、デュラムセモリナに比べて平均粒径の小さいデュラム小麦粉を主体とするものが好ましい。
【0018】
第2の小麦粉の好ましい一例として、平均粒径が30~100μmの範囲であり、且つ粒径200μ以下の粒子の含有量が90質量%以上であるものが挙げられる。斯かる好ましい第2の小麦粉において、粒径200μ以下の小麦粉の含有量は、該第2の小麦粉の全質量に対して、好ましくは95質量%以上、より好ましくは100質量%である。
【0019】
本発明で用いる穀粉類における第1の小麦粉の含有量は、該穀粉類の全質量に対して、10~80質量%であり、好ましくは15~70質量%、より好ましくは20~70質量%である。
本発明で用いる穀粉類における第2の小麦粉の含有量は、該穀粉類の全質量に対して、10~80質量%であり、好ましくは15~70質量%、より好ましくは20~70質量%である。
【0020】
本発明で用いる穀粉類は、第1の小麦粉及び第2の小麦粉を、該穀粉類の全ての含有成分の含有量の合計が100質量%となるように含有する。
本発明で用いる穀粉類における第1の小麦粉及び第2の小麦粉それぞれの含有量の合計は、該穀粉類の全質量に対して、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、なお好ましくは100質量%である。
【0021】
本発明の麺類用穀粉組成物は、典型的には、第1の小麦粉及び第2の小麦粉を含有する穀粉類を主体とする。本発明の麺類用穀粉組成物における穀粉類の含有量は、該麺類用穀粉組成物の全質量に対して、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85~100質量%であり、100質量%すなわち該麺類用穀粉組成物の全部が穀粉類でもよい。
【0022】
本発明の麺類用穀粉組成物は、穀粉類以外の他の原料を含有してもよい。他の原料としては、麺類の製造に使用可能なものを特に制限無く用いることができ、例えば、グルテン、大豆蛋白質、大豆多糖類、卵黄粉、卵白粉、全卵粉、卵蛋白酵素分解物、脱脂粉乳等の蛋白質素材;動植物油脂、粉末油脂等の油脂類;増粘多糖類等の増粘剤;かんすい、焼成カルシウム、難消化性澱粉以外の食物繊維、膨張剤、食塩、甘味料、香辛料、調味料、ビタミン類、ミネラル類、色素、香料、デキストリン、アルコール、保存剤、pH調整剤、酵素剤、モルト等が挙げられ、製造する麺類の種類等に応じて、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
本発明の麺類用穀粉組成物は麺類の製造に使用される。本発明が適用可能な麺類の種類は特に制限されず、例えば、うどん、そば、素麺、冷麦、中華麺、パスタ(ショートパスタ、ロングパスタ、平打ちパスタ等を含む)等の麺線類;餃子、焼売、ワンタン等の麺皮類が挙げられる。また、本発明が適用可能な麺類の形態も特に制限されず、例えば、生麺若しくは半生麺、調理済み麺(茹で麺、蒸し麺等)、生麺若しくは調理済み麺の冷凍麺、冷蔵麺又はチルド麺、ノンフライ即席麺、フライ即席麺、乾麺が挙げられる。
【0024】
本発明には麺類の製造方法が包含される。本発明の麺類の製造方法は、粉原料に液体原料を加えて調製した生地を麺線に成形する工程を有し、生地調製工程と生地成形工程と有する。本発明の麺類の製造方法は、前記粉原料として、前述した本発明の麺類用穀粉組成物を用いる点で特徴付けられる。
【0025】
前記生地調製工程は、常法に従って行うことができる。典型的には、本発明の麺類用穀粉組成物を含む粉原料に液体原料を添加し、ミキサー等を用いて混捏することで生地を調製する。本明細書において「粉原料」とは、常温常圧で粉体の原料を指し、典型的には、穀粉類(第1の小麦粉及び第2の小麦粉を含む)、小麦蛋白等の植物性蛋白質が含まれ、食塩、砂糖、油脂等の副原料は含まれない。本発明の麺類用穀粉組成物は、典型的には、常温常圧で粉体である。液体原料は、典型的には水を主体とするが、水に加えて更に、食塩、かん水、卵類等、その他水溶性の原料を含有してもよい。粉原料への液体原料の添加量は、製造する麺類の種類等に応じて適宜調整すればよく特に制限されない。
【0026】
前記生地成形工程は、常法に従って実施することができ、製造する麺類の種類、麺類の形状等に応じて、機械製法、手延べ製法、手打ち製法、押出製法等の公知の製麺法から選択し得る。本発明で採用可能な製麺法の一例として、圧延製麺、ロール製麺等の各種製麺法により、生地に圧力をかけて伸ばして麺帯を得、該麺帯を切り出して麺線を得る方法が挙げられる。本発明で採用可能な製麺法の他の一例として、生地に圧力をかけて押出製麺する方法が挙げられる。押出製麺は、パスタ製造用の一軸押出製麺機や二軸押出製麺機等を用いて常法に従って行うことができ、その際、押出製麺機の麺線の押出部に所望の形状の孔を有するダイスを設置して押出し成形することで、その孔に対応した形状の麺線が得られる。麺線の横断面の形状は特に限定されず、円形、方形、楕円形、三角形などの何れの形状であってもよい。
【0027】
本発明の麺類の製造方法は、製造目的物が生麺である場合は、典型的には、前記生地成形工程で終了であり、生麺線からなる生麺が得られる。製造目的物が半生麺又は乾麺である場合は、典型的には、前記生地成形工程で得られた生麺を乾燥させる工程を有する。製造目的物が冷蔵麺又は冷凍麺である場合は、典型的には、生麺又は生麺を加熱調理した調理済み麺を冷蔵又は冷凍する工程を有する、製造目的物が即席麺である場合は、典型的には、生麺を加熱調理した後、その調理済み麺を乾燥させる工程を有する。生麺又は調理済み麺の乾燥方法は特に制限されず、自然乾燥、温湿度管理乾燥・熱風乾燥等の、油ちょうせずに乾燥させる非油ちょう乾燥法でもよく、油ちょうして乾燥させる油ちょう乾燥法でもよく、製造目的物の種類等に応じて適宜選択し得る。
【実施例0028】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0029】
〔実施例1~15、比較例1~8〕
下記表1~3に示す配合で各種穀粉類(小麦粉)を混合して、穀粉類のみからなる穀粉組成物を得た。使用した穀粉類の詳細は下記のとおりである。
・中力粉:原料小麦「ASW」、平均粒径62μm、蛋白含量8.7質量%
・小麦粉A:第1の小麦粉、原料小麦「きたほなみ」、平均粒径24μm(粒径5~55μmの小麦粉85質量%、粒径15~40μmの小麦粉65質量%)、蛋白含量6質量%
・小麦粉B:市販の薄力粉、原料小麦「WW」、平均粒径50μm、蛋白含量8.1質量%
・小麦粉C:市販の強力粉、原料小麦「1CW」、平均粒径72μm、蛋白含量11.8質量%
・小麦粉D:第1の小麦粉、原料小麦「きたほなみ」、平均粒径23μm、蛋白含量5質量%
・小麦粉E:第1の小麦粉、原料小麦「チクゴイズミ」、平均粒径20μm、蛋白含量3.5質量%
・小麦粉F:第1の小麦粉、原料小麦「ASW」、平均粒径28μm、蛋白含量7.5質量%
・デュラム小麦粉:第2の小麦粉、平均粒径80μm
・デュラムセモリナ:第2の小麦粉、平均粒径260μm
前記の原料小麦のうち、「1CW」(カナダ産ウエスタンレッドスプリング1)は非ソフト系小麦、それ以外は全てソフト系小麦である。
【0030】
(製造例:生麺の製造)
実施例及び比較例のうちの何れか1種の穀粉組成物を用いて、生麺を製造した。具体的には、先ず、穀粉組成物中の穀粉類100質量部に、かんすい(オリエンタル酵母工業製「粉末かんすい赤」)1質量部、食塩1質量部、エタノール2質量部及び水38質量部を混合してなる混合物を添加し、製麺用ミキサーを用いて高速(90rpm)で10分間混捏して、グルテンが十分に形成された生地を調製した。次に、調製した生地を、製麺ロールを用いて圧延して厚さ2.5mmの麺帯にした後、12番の角の切刃を用いて麺線に切り出し、生麺を製造した。
製造した生麺について、下記方法により、早茹で特性、茹で伸び耐性を評価した。結果を下記表1~3に示す。
【0031】
(早茹で特性の評価)
評価対象の生麺を沸騰した湯で3分30秒茹で調理して茹で麺を得、該茹で麺を10名の訓練を受けたパネラーに食してもらい、その際の食感を下記評価基準により評価してもらった。
<早茹で特性の評価基準>
5点:麺線が完全に可食状態で、極めて良好。
4点:麺線の中心がわずかに硬いが、麺線全体としては良好。
3点:麺線の中心がやや硬いが、問題なく食べることができる。
2点:麺線の表層部は可食状態であるが、麺線の中心部は芯が残る。
1点:麺線の表層部、中心部ともに硬く、不良。
【0032】
(茹で伸び耐性の評価)
評価対象の生麺を沸騰した湯で3分30秒茹で調理して茹で麺を得、該茹で麺を速やかにスープに浸してその状態で10分放置した後、該スープから取り出して10名の訓練を受けたパネラーに食してもらい、その際の食感(麺のコシ)に基づき下記評価基準により評価してもらった。茹で麺に特有のコシが十分に感じられる場合は、「茹で伸び無し」との評価となり、コシが弱いほど、茹で伸びが進行しているとの評価になる。前記スープとして、調味料を含む濃縮スープを沸騰したお湯で希釈した熱いスープを用いた。
<茹で伸び耐性の評価基準>
5点:茹で伸びが無く、極めて良好。
4点:茹で伸びをほとんど感じず、良好。
3点:やや茹で伸びを感じるが、問題のない程度である。
2点:茹で伸びが進んでおり、やや劣る。
1点:茹で伸びが顕著であり、劣る。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
表1、表2に示すとおり、各実施例の穀粉組成物(穀粉類)は、前述した第1の小麦粉(小麦粉A、D~F)及び第2の小麦粉(デュラム小麦粉、デュラムセモリナ)をそれぞれ10~80質量%の範囲で含有するため、これを満たさない比較例に比べて、早茹で特性及び茹で伸び耐性に優れていた。このことから、本発明によって得られる麺類は、早茹で特性及び茹で伸び耐性の両方を高いレベルで両立し得るものであることがわかる。ここで言う「早茹で特性」とは、うどん、そば、中華麺、パスタ等の各種麺類において従来最適であると考えられる茹で時間(麺の硬さや粘弾性が良い茹であがりとなる茹で時間)を基準として、該基準よりも更に短縮された最適茹で時間を有することをいう。