(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133137
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】輻射シート、放熱板、放熱装置、及び硬化性ペースト
(51)【国際特許分類】
C08F 2/44 20060101AFI20230914BHJP
C08F 20/00 20060101ALI20230914BHJP
C08F 292/00 20060101ALI20230914BHJP
C08K 3/34 20060101ALI20230914BHJP
C08L 51/10 20060101ALI20230914BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20230914BHJP
H01L 23/373 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
C08F2/44 A
C08F20/00 510
C08F292/00
C08K3/34
C08L51/10
H01L23/36 Z
H01L23/36 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014243
(22)【出願日】2023-02-01
(31)【優先権主張番号】P 2022036550
(32)【優先日】2022-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】平野 勲
(72)【発明者】
【氏名】藤井 恭
【テーマコード(参考)】
4J002
4J011
4J026
5F136
【Fターム(参考)】
4J002BG071
4J002BN191
4J002DJ036
4J002FD016
4J002FD140
4J002GP00
4J002GQ00
4J011AA05
4J011BA04
4J011PA13
4J011PB22
4J011PC02
4J011PC08
4J026AC00
4J026BA28
4J026DB06
4J026DB30
4J026FA05
4J026FA09
5F136BA30
5F136BB18
5F136BC03
5F136FA51
5F136FA71
(57)【要約】
【課題】良好な放熱性能を示す輻射シートと、当該輻射シートからなる放熱板と、当該放熱板を備える放熱装置と、前述の輻射シートの形成に好適に使用し得る硬化性ペーストと、を提供すること。
【解決手段】重合性基としてエチレン性不飽和二重結合含有基のみを有する化合物である重合性モノマー(A)と、ラジカル重合開始剤(B)と、層状ケイ酸塩(C)とを含む、硬化性ペーストの硬化物からなるシートを、輻射シートとして用いる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性モノマー(A)、ラジカル重合開始剤(B)、及び層状ケイ酸塩(C)を含む、硬化性ペーストの硬化物からなり
前記重合性モノマー(A)が、重合性基としてエチレン性不飽和二重結合含有基のみを有する、輻射シート。
【請求項2】
前記層状ケイ酸塩(C)が、カオリンを含む、請求項1に記載の輻射シート。
【請求項3】
前記重合性モノマー(A)が、2以上の前記エチレン性不飽和二重結合を有する多官能重合性モノマーを含む、請求項1又は2に記載の輻射シート。
【請求項4】
前記多官能重合性モノマーが、ウレタン(メタ)アクリレート化合物、及びグリコール類のジ(メタ)アクリレートから選択される1種以上の化合物を含む、請求項1又は2に記載の輻射シート。
【請求項5】
前記輻射シートの質量に対する、前記層状ケイ酸塩(C)の質量の比率が、20質量%以上80質量%以下である、請求項1又は2に記載の輻射シート。
【請求項6】
前記輻射シートの質量対する、前記層状ケイ酸塩(C)の質量の比率が、25質量%以上60質量%以下である、請求項5に記載の輻射シート。
【請求項7】
厚さが400μm以上2500μm以下である、請求項1又は2に記載の輻射シート。
【請求項8】
一方の面に設けられ、発熱源から放出される熱を吸収する熱吸収面と、他方の面に設けられ、前記熱吸収面から吸収した熱の少なくとも一部を放出する熱放出面と、を有する放熱板であって、
請求項1又は2に記載の輻射シートからなる、放熱板。
【請求項9】
請求項8に記載の放熱板を備える、放熱装置。
【請求項10】
請求項1又は2に記載される輻射シートの形成に用いられる、硬化性ペースとであって、
重合性モノマー(A)、ラジカル重合開始剤(B)、及び層状ケイ酸塩(C)を含み、
前記重合性モノマー(A)が、重合性基としてエチレン性不飽和二重結合含有基のみを有する、硬化性ペースト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱を吸収して放出し得る輻射シート、電子部品等の発熱体において発生する熱を吸収して放出する放熱装置、及び放熱板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の放熱装置としては、例えばフィン型のヒートシンクが挙げられる。ヒートシンクは、電子部品等の発熱体の外面に取り付けられる。ヒートシンクに伝達された発熱体の熱は、フィンから大気に放出されるか、もしくは送風機を用いてフィン間の大気を強制的に対流させることにより大気に放出される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の放熱装置は、熱伝導を利用して放熱する。このため、ヒートシンクのような温度が低い部品を設ける必要がある。この場合、装置が大型化するおそれがある。
他方、輻射を利用して放熱を行う場合、フィン型のヒートシンクや、送風機を用いることなく放熱できる。このため、放熱装置や、放熱装置を備える機器を小型化しつつ、効率のよい放熱を行うことが期待される。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであって、良好な放熱性能を示す輻射シートと、当該輻射シートからなる放熱板と、当該放熱板を備える放熱装置と、前述の輻射シートの形成に好適に使用し得る硬化性ペーストと、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、重合性基としてエチレン性不飽和二重結合含有基のみを有する重合性モノマー(A)と、ラジカル重合開始剤(B)と、層状ケイ酸塩(C)とを含む、硬化性ペーストの硬化物からなるシートを、輻射シートとして用いることにより上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には本発明は以下のものを提供する。
【0007】
本発明の第1の態様は、
重合性モノマー(A)、ラジカル重合開始剤(B)、及び層状ケイ酸塩(C)を含む、硬化性ペーストの硬化物からなり、
重合性モノマー(A)が、重合性基としてエチレン性不飽和二重結合含有基のみを有する、輻射シートである。
【0008】
本発明の第2の態様は、
一方の面に設けられ、発熱源から放出される熱を吸収する熱吸収面と、他方の面に設けられ、熱吸収面から吸収した熱の少なくとも一部を放出する熱放出面と、を有する放熱板であって、
第1の態様にかかる輻射シートからなる、放熱板である。
【0009】
本発明の第3の態様は、第2の態様にかかる放熱板を備える、放熱装置である。
【0010】
本発明の第4の態様は、
第1の態様にかかる輻射シートの形成に用いられる、硬化性ペーストであって、
重合性モノマー(A)、ラジカル重合開始剤(B)、及び層状ケイ酸塩(C)を含み、
重合性モノマー(A)が、重合性基としてエチレン性不飽和二重結合含有基のみを有する、硬化性ペーストである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、良好な放熱性能を示す輻射シートと、当該輻射シートからなる放熱板と、当該放熱板を備える放熱装置と、前述の輻射シートの形成に好適に使用し得る硬化性ペーストと、を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る放熱装置を適用した電子機器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
≪輻射シート≫
輻射シートは、重合性モノマー(A)、ラジカル重合開始剤(B)、及び層状ケイ酸塩(C)を含む、硬化性ペーストの硬化物からなる。重合性モノマー(A)は、重合性基としてエチレン性不飽和二重結合含有基のみを有する。
上記の輻射シートは、薄く軽量であっても、良好な放熱性能を示す。
【0014】
<硬化性ペースト>
前述の通り、硬化性ペーストは、重合性モノマー(A)、ラジカル重合開始剤(B)、及び層状ケイ酸塩(C)を含む。以下、硬化性ペーストが含み得る、必須、又は任意の成分について説明する。
【0015】
〔重合性モノマー(A)〕
重合性モノマー(A)は、ラジカル重合開始剤(B)の作用によって硬化する化合物である。重合性モノマー(A)は、重合性基としてエチレン性不飽和二重結合含有基のみを有する化合物である。
【0016】
重合性モノマー(A)としては、(メタ)アクリレート化合物や(メタ)アクリルアミド化合物等の1以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましく、1以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物がより好ましい。
重合性モノマー(A)は、エチレン性不飽和二重結合含有基を1つ有する単官能重合性モノマーであってもよく、2以上のエチレン性不飽和二重結合含有基を有する多官能重合性モノマーであってもよい。単官能重合性モノマーと、多官能化合物性モノマーとを組み合わせて用いることもできる。
硬化物の強度や、重合反応性の点で、重合性モノマー(A)が、多官能重合性モノマーを含むのが好ましい。
【0017】
単官能重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、tert-ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能重合性モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0018】
多官能重合性モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、1,7-ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートと2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN-メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等の多官能化合物や、トリアクリルホルマール等が挙げられる。これらの多官能化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0019】
上記の多官能重合性モノマーの中では、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、1,7-ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、及びジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等のグリコール類の(メタ)アクリレートが好ましい。
【0020】
硬化物の強度や柔軟性等の点からは、重合性モノマー(A)としては、グリコール類のジ(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリロイル基含有樹脂が好ましく、グリコール類のジ(メタ)アクリレート、及び多官能ウレタン(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0021】
多官能ウレタン(メタ)アクリレートの好適な具体例としては、ブレンマーDAシリーズの各製品(日油株式会社製)、ブレンマーDPシリーズの各製品(日油株式会社製)、NKオリゴUシリーズの各製品(新中村化学工業株式会社製)、NKオリゴUAシリーズの各製品(新中村化学工業株式会社製)、アロニックスM-1100(東亞合成株式会社製)、アロニックスM-1200(東亞合成株式会社製)、KAYARAD UFシリーズの各製品(日本化薬株式会社製)、KAYARAD UXFシリーズの各製品(日本化薬株式会社製)、ビームセット500シリーズの各製品(荒川化学工業株式会社製)、紫光シリーズの各製品(三菱ケミカル株式会社製)、エベクリルシリーズの各製品(ダイセル・オルネクス株式会社製)、アートレジンシリーズの各製品(根上工業株式会社製)、及びNISSO PB TEシリーズの各製品(日本曹達株式会社製)等が挙げられる。
【0022】
(メタ)アクリロイル基含有樹脂としては、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランのような(メタ)アクリロイル基を有するシラン化合物に由来する単位を有する(メタ)アクリロイル基含有シリコーン樹脂が挙げられる。
また、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル樹脂に、グリシジル(メタ)アクリレートのようなエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させた樹脂や、エポキシ基を有する(メタ)アクリル樹脂に、(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂等を(メタ)アクリロイル基含有樹脂として用いることもできる。
【0023】
重合性モノマー(A)は、硬化物からなる輻射シートの質量に対する、層状ケイ酸塩(C)の質量の比率が、好ましくは20質量%以上80質量%以下であるように、より好ましくは25質量%以上60質量%以下であるように使用される。
硬化性ペーストにおける重合性モノマー(A)の使用量は、重合性モノマー(A)の質量と、層状ケイ酸塩(C)の質量との合計に対して、20質量%以上80質量%以下が好ましく、40質量%以上75質量%以下がより好ましい。
【0024】
〔ラジカル重合開始剤(B)〕
硬化性ペーストは、重合性モノマー(A)を重合させることにより硬化性ペーストを硬化させる成分として、ラジカル重合開始剤(B)を含有する。
ラジカル重合開始剤(B)としては、特に限定されず、従来公知の光重合開始剤や熱重合開始剤等を用いることができる。
【0025】
光重合開始剤の具体例としては、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ケトン、2-メチル-1-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-,2-(O-ベンゾイルオキシム)(Irgacure OXE01)、エタノン-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾル-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)(Irgacure OXE02)、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(Omnirad TPO H)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキシド(Omnirad 819)、4-ベンゾイル-4’-メチルジメチルスルフィド、4-ジメチルアミノ安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4-ジメチルアミノ-2-エチルヘキシル安息香酸、4-ジメチルアミノ-2-イソアミル安息香酸、ベンジル-β-メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム、O-ベンゾイル安息香酸メチル、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2-クロロチオキサンテン、2,4-ジエチルチオキサンテン、2-メチルチオキサンテン、2-イソプロピルチオキサンテン、2-エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、2-メルカプトベンゾイミダール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(O-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)-イミダゾリル二量体、ベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、p,p’-ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、p-ジメチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、p-tert-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルジクロロアセトフェノン、α,α-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、9-フェニルアクリジン、1,7-ビス-(9-アクリジニル)ヘプタン、1,5-ビス-(9-アクリジニル)ペンタン、1,3-ビス-(9-アクリジニル)プロパン、p-メトキシトリアジン、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(フラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-n-ブトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(3-ブロモ-4-メトキシ)フェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(2-ブロモ-4-メトキシ)フェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(3-ブロモ-4-メトキシ)スチリルフェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(2-ブロモ-4-メトキシ)スチリルフェニル-s-トリアジン等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
熱重合開始剤としては、有機過酸化物や、アゾ化合物を用いることができる。
有機過酸化物の具体例としては、メチルエチルケトンパーオキシド及びシクロヘキサノンパーオキシド等のケトンパーオキシド;2,2-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ブタン及び1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール;tert-ブチルヒドロパーオキシド及びクメンヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシド;ジ-tert-ブチルパーオキシド(パーブチル(登録商標)D(日油株式会社製)、及びジ-tert-ヘキシルパーオキサイド(パーヘキシル(登録商標)D(日油株式会社製))等のジアルキルパーオキシド;イソブチリルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド及びベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート;tert-ブチルパーオキシイソブチレート及び2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン等のパーオキシエステル等が挙げられる。
アゾ化合物の具体例としては、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-プロペニル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス(2-メチルプロパン)、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)及びジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)等が挙げられる。
これらの熱重合開始剤は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
硬化性ペーストにおけるラジカル重合開始剤(B)の含有量は、加熱、及び/又は露光により硬化性ペーストが良好に硬化する限り特に限定されない。
硬化性ペーストが、後述する分散媒を含まない場合、ラジカル重合開始剤(B)の含有量は、硬化性ペーストの質量に対して0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、0.5質量%以上15質量%以下がより好ましく、1質量%以上10質量%以下がより好ましい。
硬化性ペーストが、後述する分散媒を含む場合、ラジカル重合開始剤(B)の含有量は、硬化性ペーストの質量から分散媒の質量を除いた質量に対して、0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、0.5質量%以上15質量%以下がより好ましく、1質量%以上10質量%以下がより好ましい。
【0028】
〔層状ケイ酸塩(C)〕
層状ケイ酸塩(C)は、前述の重合性(A)モノマーと組み合わせて使用されることにより、硬化物に輻射による放熱性を付与する成分である。
【0029】
層状ケイ酸塩(C)は、所望する効果が損なわれない限り特に限定されない。層状ケイ酸塩(C)は、公知の層状ケイ酸塩から適宜選択できる。層状ケイ酸塩としては、例えば、雲母(マイカ)、スメクタイト、タルク、カオリン、パイロフィライト、及びセリサイト等)等を用いることができる。入手が容易であり、硬化物中に均一に分散させやすく、放熱性に優れる硬化物を形成しやすいことから、層状ケイ酸塩(C)が、カオリンを含むのが好ましく、層状ケイ酸塩(C)がカオリンのみを含むのがより好ましい。
【0030】
層状ケイ酸塩(C)の粒子径は特に限定されない。前述の硬化性ペーストの硬化物中に、層状ケイ酸塩(C)を均一に分散させやすく、放熱性が良好な硬化物を形成しやすい点から、層状ケイ酸塩(C)の粒子径は、0.1μm~40μmが好ましい。層状ケイ酸塩(C)の粒子径は、レーザー回折式の粒子径分布測定装置を用いて体積平均粒子径として測定できる。
【0031】
硬化性ペーストにおいて、層状ケイ酸塩(C)は、輻射シートの質量に対する、層状ケイ酸塩(C)の質量の比率が、好ましくは20質量%以上80質量%以下であるように、より好ましくは25質量%以上60質量%以下であるように使用される。
硬化性ペーストにおける層状ケイ酸塩(A)の使用量は、重合性モノマー(A)の質量と、層状ケイ酸塩(C)の質量との合計に対して、20質量%以上80質量%以下が好ましく、25質量%以上60質量%以下がより好ましい。
【0032】
〔その他の成分〕
硬化性ペーストは、塗布性の調製の目的で、分散媒を含んでいてもよい。分散媒は、水であっても、有機溶媒であっても、有機溶媒の水溶液であってもよい。
硬化性ペーストを用いて輻射シートを製造する際に、分散媒の乾燥による除去が必要であること等から、硬化性ペーストは分散媒を含まないのが好ましい。
【0033】
また、硬化性ペーストは、所望する目的が損なわれない範囲で、種々の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、分散剤、酸化防止剤、凝集防止剤、消泡剤、粘度調整剤、顔料、染料等が挙げられる。
【0034】
<輻射シートの製造方法>
以上説明した硬化性ペーストを製膜した後、ラジカル重合開始剤(B)の種類に応じて、製膜された組成物に対して露光、及び/又は加熱を行うことにより、硬化性ペーストの硬化物からなる輻射シートを製造できる。
【0035】
まず、硬化性ペーストを、基板やPETフィルム等の支持フィルム上に塗布して塗布膜を形成する。塗布膜が分散媒を含む場合、必要に応じて、塗布膜から分散媒の少なくとも一部を除去してよい。
【0036】
硬化性ペーストを塗布する方法は、特に限定されない。例えば、ロールコーター、リバースコーター、バーコーター、スリットコーター等の接触転写型塗布装置や、スピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコーター等の非接触型塗布装置を用いることができる。
また、塗布膜の形成方法として、スクリーン印刷法やインクジェット印刷法等の印刷法を適用することもできる。
【0037】
以上のようにして形成される塗布膜の膜厚は特に限定されない。輻射シートの輻射性能の点から、典型的には、好ましくは膜厚400μm以上2500μm以下、より好ましくは400μm以上2000μm以下の膜厚の輻射シートが形成されるように、塗布膜の膜厚が適宜調整される。
【0038】
上記の方法により塗布膜を形成した後、塗布膜に対して露光、及び/又は加熱を行うことにより、輻射シートを得ることができる。
【0039】
塗布膜を露光する条件は、硬化が良好に進行する限り特に限定されない。露光は、例えば、X線、ガンマ線、紫外線、可視光、エキシマレーザー光等の活性エネルギー線を照射することにより行われる。照射するエネルギー線量は特に制限はないが、例えば30mJ/cm2以上5000mJ/cm2以下が挙げられる。
露光は、塗布膜の一方の面のみに対して行われてもよく、塗布膜の両方の面に対して行われてもよい。
塗布膜を加熱する条件は、硬化が良好に進行する限り特に限定されない。硬化は、例えば、90℃以上180℃以下の温度で、1分以上30分以下行われる。
【0040】
≪放熱装置、及び放熱板≫
図1は、本発明の一実施形態を示す。
図1は放熱装置を適用した電子機器の断面図である。
【0041】
本実施形態の放熱装置10は、
図1に示すように、電子機器1に適用され得る。
【0042】
電子機器1は、筐体2と、筐体2の内部に取り付けられる基板3と、基板3に取り付けられる発熱源としての電子部品4と、電子部品4に取り付けられる本発明に係る放熱装置10と、を備えている。
【0043】
電子部品4は、例えばCPU(中央演算処理装置)等、動作時に熱を放出する部品である。
【0044】
放熱装置は、電子部品4が発生させた熱を熱放射によって放出するための放熱板12を備える。
典型的には、放熱装置10は、放熱板12とともに、電子部品4から放出される熱を放熱板12に伝えるための熱伝導材料11を有している。
【0045】
熱伝導材料11は、例えば、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等のフィラーを添加した樹脂からなるシート状の部材や、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の金属基板、熱伝導グリス等が例示されるが、これに限られない。
また、熱伝導材料11としては、電子部品4の外面に貼り付けられている材料が例示されるが、これに限られない。熱伝導材料11の形態は、電子部品4から放出される熱が放熱板12の全面にわたって均一に伝導する限り、どのような形態であってもよい。特に、放熱板12の後述する熱吸収面12a側が平面状である場合に、熱伝導材料11の形態は、電子部品4の外面形状にかかわらず、電子部品4から放出される熱を放熱板12に伝えることができる形態が好ましい。例えばえグリス型やペースト型の熱伝導性材料11や、ゲル状の熱伝導性材料11が好ましい。
具体的には、例えば、電子部品4がCPUである場合、CPUが備える金属製スプレッダに直接、前述の硬化性ペーストを塗工して、金属スプレッダ上に放熱板12を形成してもよい。なお、後述するように、放熱板12は、前述の輻射シートからなる。
金属製スプレッダに直接、前述の硬化性ペースト塗工できない場合、金属製スプレッダの両端に熱伝導材料11からなる部材を設け、前述の輻射シートからなる放熱板12が、熱伝導材料11に接触するように取り付けられる。
電子部品4が、金属製のスプレッダを備えないチップである場合、当該チップに金属製のスプレッダを取り付けた後に、金属製スプレッダに直接、前述の硬化性ペーストを塗工して、金属スプレッダ上に放熱板12を形成してもよい。
電子部品4が、金属製のスプレッダを備えないチップであって、当該チップに金属製のスプレッダを取り付けた後に、放熱板12を設ける際に、金属製スプレッダに直接、前述の硬化性ペースト塗工できない場合、金属製スプレッダの両端に熱伝導材料11からなる部材を設け、前述の輻射シートからなる放熱板12が、熱伝導材料11に接触するように取り付けられる。
【0046】
放熱板12は、前述の輻射シートからなる。放熱板12は、一方の面に設けられ、電子部品4から放出される熱を吸収するための熱吸収面12aと、他方の面に設けられ、熱吸収面12aから吸収した熱の少なくとも一部を電磁波として放出する熱放出面12bと、を有している。
【0047】
放熱板12の熱吸収面12aは、熱伝導材料11に当接している。熱吸収面12aは、その前面にわたって熱伝統材料11当接しているのが好ましい。放熱板12の熱放出面12bは、筐体2の内面と間隔をおいて、筐体2の内面に対して対向している。
【0048】
以上のように構成された電子機器1において、電子部品4から放出される熱の一部は、熱伝導によって基板3を介して筐体2に伝わり、電子部品4から放出されるその他の熱は、熱放射、及び対流によって放熱装置10を介して筐体2に伝わる。筐体2に伝わる熱は、筐体2の外側の空気中に放出される。
【0049】
また、電子部品4から放熱装置10に伝わる熱は、熱吸収面12aの全面から放熱板12に吸収される。また、放熱板12が吸収した熱の少なくとも一部は、熱放射によって熱放出面12bの全面から電磁波として放出され、筐体2の内面に伝わる。
【0050】
前記実施形態では、熱伝導材料11、及び放熱板12を有する放熱装置10について示したが、放熱装置は、本発明の放熱板12を有する装置であれば、熱伝導材料11以外の部材を有する装置であってもよい。
【0051】
また、前記実施形態では、熱伝導材料11、及び放熱板12を有する放熱装置10を電子部品に設置するようにした場合について示したが、これに限られない。例えば、熱伝導材料11を介することなく放熱板のみを、電子部品に対して熱吸収面を直接的に当接させるように、電子部品に設置してもよい。この場合に、電子部品から放出される熱は、放熱板の熱吸収面から直接的に吸収されることになる。
【実施例0052】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。本発明の範囲はこれらの実施例に限定されない。
【0053】
実施例、及び比較例において、重合性基としてエチレン性不飽和二重結合含有基のみを有する重合性モノマー(A)として、下記A1~A6を用いた。比較例において、重合性基としてエポキシ基を有する重合性モノマー(A)として、下記のA7、及びA8を用いた。
A1:多官能ウレタンアクリレート(ブレンマーDA-800AU、日油株式会社製)
A2:多官能ウレタンアクリレート(紫光V-7510B、三菱ケミカル株式会社製)
A3:メタクリル基修飾シリコーンポリマー(MP-ME、東レファインケミカル株式会社製)
A4:APG-100(ポリプロピレングリコール#100ジアクリレート、新中村化学株式会社製)
A5:ノナンジオールジアクリレート
A6:APG-700(ポリプロピレングリコール#700ジアクリレート、新中村化学株式会社製)
A7:エポキシ樹脂(エピクロン EXA4850-100、DIC株式会社)
A8:3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート(サイクロマーM100、株式会社ダイセル製)
【0054】
実施例、及び比較例において、熱ラジカル重合開始剤である下記B1と、光ラジカル重合開始剤である下記B2、及びB3とを用いた。
B1:ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)
B2:2-メチル-1-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルフォリノプロパン-1-オン
B3:2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン
【0055】
実施例、及び比較例において、層状ケイ酸塩(C)に該当するカオリンである、下記C1、及びC2と、層状ケイ酸塩に該当しない無機粉末である下記C3~C8を用いた。
C1:カオリン(粒径約0.1~4μm品、ナカライテスク株式会社製)
C2:カオリン(350mesh通過品、ナカライテスク株式会社製)
C3:酸化マグネシウム粉末(HP-30、平均粒子径6μm、神島化学工業株式会社製)
C4:窒化アルミニウム粉末(エアブラウン株式会社製)
C5:塩化カルシウム粉末(ナカライテスク株式会社製)
C6:硫酸バリウム粉末(アルミナ表面処理硫酸バリウム、堺化学工業株式会社製)
C7:塩化ナトリウム粉末(富士フイルム和光純薬株式会社製)
C8:酸化ガリウム粉末(株式会社高純度化学研究所製)
【0056】
〔実施例1~17、及び比較例2~8〕
それぞれ、表1に記載の種類、及び量の各材料を、均一に混合して、各実施例、及び各比較例の硬化性ペーストを得た。
【0057】
実施例1~8、及び比較例2~8で得た硬化性ペーストについては、以下の方法に従ってシート化した。
まず、厚さ1mmのPETフィルム上に、実施例1~8、及び比較例2~8のペーストをバーコーターにより塗工した。次いで、PETフィルム上の硬化性ペーストからなる薄膜上にもう1枚のPETフィルムを載せた。
PETフィルムに挟まれた、硬化性ペーストの薄膜を、ホットプレート上で100℃、15分間加熱して、硬化したシートを得た。得られたシートの厚さを表1に記す。
【0058】
実施例9~17で得た硬化性ペーストについては、以下の方法に従ってシート化した。
まず、厚さ1mmのPETフィルム上に、実施例9~17のペーストをバーコーターにより塗工した。次いで、PETフィルム上の硬化性ペーストからなる薄膜上にもう1枚のPETフィルムを載せた。
PETフィルムに挟まれた、硬化性ペーストの薄膜の両面を、平行光UV露光装置を用いて1000mJ/cm2の露光量で露光して光硬化を行うことにより、硬化したシートを得た。得られたシートの圧さを表1に記す。
【0059】
得られたシートを用いて、以下の方法に従って、各シートの輻射性能を評価した。
【0060】
<輻射性能評価>
熱電対付きの板状のラバーヒーター(スリーハイ社製)上に、熱伝導材料層(厚さ0.05mm、信越化学工業株式会社製N-777)と、シリコン層(厚さ0.6mm)と、熱伝導材料層(厚さ0.05mm、信越化学工業株式会社製N-777)とをこの順で積層した。
第2の熱伝導材料層上に、実施例、及び比較例で得たシートを積層した状態で、ラバーヒーターを加熱しながら、ラバーヒーターの温度が上がらなくなった温度を測定して、各シートの輻射性能を評価した。
なお、ラバーヒーターは、何も積層しない状態で、150℃で温度が一定に保たれるように加熱し続けた。ラバーヒーターに何も積層しない試験を比較例1とした。
ラバーヒーターの温度が上がらなくなった際の到達温度が低いほど、シートの輻射による放熱性能が高いことを意味する。
各実施例、及び比較例について、ラバーヒーターの温度が上がらなくなった際の到達温度を表1に記す。
【0061】
【0062】
表1によれば、重合性基としてエチレン性不飽和二重結合含有基のみを有する重合性モノマー(A)と、ラジカル重合開始剤(B)と、層状ケイ酸塩(C)とを含む硬化性ペーストの硬化物からなる実施例1~17の輻射シートは、到達温度がいずれも120℃以下であり、輻射による放熱性能に優れることが分かる。
他方、重合性基としてエポキシ基を有する重合性モノマー(A)を含んでいたり、層状ケイ酸塩(C)以外の無機粉末を含んでいたりする硬化性ペーストの硬化物からなる比較例2~8の輻射シートは、到達温度がいずれも120℃以上であり、輻射による放熱性能に劣る。
【0063】
〔実施例18~20、比較例9、及び比較例10〕
実施例18~20について、それぞれ、表2に記載の種類、及び量の各材料を、均一に混合して、各実施例、及び各比較例の硬化性ペーストを得た。
実施例18~20で得た硬化性ペーストについては、以下の方法に従ってシート化した。
まず、厚さ1mmのPETフィルム上に、実施例18~20のペーストをバーコーターにより塗工した。次いで、PETフィルム上の硬化性ペーストからなる薄膜上にもう1枚のPETフィルムを載せた。
PETフィルムに挟まれた、硬化性ペーストの薄膜を、ホットプレート上で100℃、15分間加熱して、硬化したシートを得た。得られたシートの厚さを表2に記す。
【0064】
<輻射性能評価>
面状発熱体FLヒーター(シンワ測定社製)上に、熱伝導材料層(厚さ0.05mm、信越化学工業株式会社製N-777)と、銅箔(厚さ0.025mm)と、熱伝導材料層(厚さ0.05mm、信越化学工業株式会社製N-777)とをこの順で積層した。
FLヒーターに接していない熱伝導材料層上に、実施例18~20で得たシートを積層した状態で、FLヒーターを加熱しながら、FLヒーターの温度が上がらなくなった温度を測定して、各シートの輻射性能を評価した。
なお、FLヒーターは、FLヒーター上に何も積層しない状態で、100℃で温度が一定に保たれるように加熱し続けた。
FLヒーターに何も積層しない試験を比較例9とした。
また、FLヒーター上に、熱伝導材料層と、銅箔とを積層した状態での試験を比較例10とした。
FLヒーターの温度が上がらなくなった際の到達温度が低いほど、シートの輻射による放熱性能が高いことを意味する。
各実施例、及び比較例について、FLヒーターの温度が上がらなくなった際の到達温度を表2に記す。
【0065】
【0066】
表2によれば、重合性基としてエチレン性不飽和二重結合含有基のみを有する重合性モノマー(A)と、ラジカル重合開始剤(B)と、層状ケイ酸塩(C)とを含む硬化性ペーストの硬化物からなる実施例18~20の輻射シートは、到達温度がいずれも70℃以下であり、輻射による放熱性能に優れることが分かる。
他方、銅箔のみを積層した比較例10の場合、到達温度が80℃以上であり、輻射による放熱性能に劣る。