(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133165
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】液晶組成物及び液晶素子
(51)【国際特許分類】
G02F 1/137 20060101AFI20230914BHJP
C09K 19/60 20060101ALI20230914BHJP
C09K 19/30 20060101ALI20230914BHJP
C09K 19/32 20060101ALI20230914BHJP
C09K 19/34 20060101ALI20230914BHJP
C09K 19/12 20060101ALI20230914BHJP
C09K 19/14 20060101ALI20230914BHJP
C09K 19/20 20060101ALI20230914BHJP
C09K 19/16 20060101ALI20230914BHJP
C09K 19/18 20060101ALI20230914BHJP
C09K 19/26 20060101ALI20230914BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
G02F1/137
C09K19/60 Z
C09K19/30
C09K19/32
C09K19/34
C09K19/12
C09K19/14
C09K19/20
C09K19/16
C09K19/18
C09K19/26
G02F1/13 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025194
(22)【出願日】2023-02-21
(31)【優先権主張番号】P 2022037024
(32)【優先日】2022-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100214673
【弁理士】
【氏名又は名称】菅谷 英史
(74)【代理人】
【識別番号】100186646
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】井ノ上 雄一
(72)【発明者】
【氏名】東條 健太
(72)【発明者】
【氏名】幡野 直美
(72)【発明者】
【氏名】川北 健人
【テーマコード(参考)】
2H088
4H027
【Fターム(参考)】
2H088EA34
2H088GA02
2H088GA13
2H088GA17
2H088HA03
2H088JA06
2H088JA10
2H088KA20
2H088KA27
2H088MA02
2H088MA04
4H027BA01
4H027BD02
4H027BD03
4H027BD07
4H027BD11
4H027BD24
4H027BE04
4H027CD01
4H027CK05
4H027CM01
4H027CQ01
4H027CQ05
4H027CR05
4H027CT03
4H027CT05
4H027CW01
4H027CW03
(57)【要約】
【課題】 本発明の課題は、特定の物性を示す色素含有液晶組成物を用いることで、色素分解の原因となり得る重合工程を必要とせず、高いコントラスト比を示し、素子平面内での表示の均一性に優れる液晶素子を提供することである。
【解決手段】 本願発明は、二色性色素を含有する液晶組成物(色素含有液晶組成物)を含む、前記透明電極への電圧無印加時に光透過状態であり、電圧印加時に光散乱状態である液晶素子であって、
前記液晶組成物が負の誘電率異方性を示し、
前記液晶素子の25℃での電圧無印加時のヘイズ値が10%以下、かつ矩形波電圧(AC50V、60Hz)印加時のヘイズ値が50%以上であり、
前記色素含有液晶組成物の電圧保持率が、25℃で60%以下である、液晶素子を提供する。
本発明により提供される液晶素子を構成部材として用いる事により、高いコントラストを備えた液晶表示装置、調光装置または光透過装置を提供することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方に透明電極が設けられた2つの透明基板と、前記透明基板間に二色性色素を含有する液晶組成物(色素含有液晶組成物)を含む駆動層が配置され、前記透明電極への電圧無印加時に光透過状態であり、電圧印加時に光散乱状態である液晶素子であって、
前記液晶組成物が負の誘電率異方性を示し、
前記液晶素子の25℃での電圧無印加時のヘイズ値が10%以下、かつ矩形波電圧(AC50V、60Hz)印加時のヘイズ値が50%以上であり、
前記色素含有液晶組成物の電圧保持率(セル厚10μmであるセルに本液晶組成物を注入し、パルス幅60μsで10V印可し、フレームタイム16.7ms後に測定した測定電圧と初期印可電圧との比を%で表した値)が、25℃で60%以下である、
液晶素子。
【請求項2】
前記駆動層が高分子ネットワークを含まない、請求項1に記載の液晶素子。
【請求項3】
前記透明基板の前記駆動層と接する面に垂直配向膜が設置されている、請求項1又は2に記載の液晶素子。
【請求項4】
前記二色性色素が、一般式(1)
【化1】
(式中、Uは一般式(2)~(5)
【化2】
で表される基から選択されるいずれか一つの基であり、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8及びR
9はそれぞれ独立して水素原子、フッ素原子、シアノ基、炭素原子数1から20のアルキル基又は炭素原子数2から30のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の-CH
2-又は隣接していない2個以上の-CH
2-は-NR
N1-、-O-、-S-、-CO-、-CS-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-SO-、-SO
2-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-により置き換えられても良く、これらの基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されても良く、ここでR
N1は水素原子、炭素原子数1から20のアルキル基又は炭素原子数2から30のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の-CH
2-又は隣接していない2個以上の-CH
2-は-O-、-S-、-COO-、-OCO-又は-CO-により置き換えられても良く、これらの基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されても良く、
R
a、R
b及びR
cはそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1から20のアルキル基又は炭素原子数2から30のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の-CH
2-又は隣接していない2個以上の-CH
2-は-NR
N2-、-O-、-S-、-CO-、-CS-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-SO-、-SO
2-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-により置き換えられても良く、これらの基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されても良く、ここでR
N2は水素原子、炭素原子数1から20のアルキル基又は炭素原子数2から30のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の-CH
2-又は隣接していない2個以上の-CH
2-は-O-、-S-、-COO-、-OCO-又は-CO-により置き換えられても良く、これらの基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されても良く、
X
a、X
b、X
c、X
d及びX
eはそれぞれ独立して-S-又は-O-を表し、
A
1、A
2、A
4、A
5、A
a、A
b、A
d1、A
d2、A
e1及びA
e2は各々独立して置換されていてもよい炭素原子数3から16の炭化水素環又は複素環を表し、
Z
1、Z
2、Z
4、Z
5、Z
a、Z
b、Z
c、Z
d1、Z
d2、Z
e1及びZ
e2はそれぞれ独立して-CH
2O-、-OCH
2-、-CF
2O-、-OCF
2-、-COO-、-OCO-、-CH
2CH
2-、-CF
2CF
2-、-CH=CH-、-CF=CF-、-N=CH-、-CH=N-、-N=N-、-C≡C-又は単結合を表し、
i、j、a、b、c、d、e、f、g及びhはそれぞれ独立して0~4の整数を表し、
A
1、A
2、A
4、A
5、A
a、A
b、A
d1、A
d2、A
e1及びA
e2が複数存在する場合は複数のA
1、A
2、A
4、A
5、A
a、A
b、A
d1、A
d2、A
e1及びA
e2は同一であっても異なっていても良く、Z
1、Z
2、Z
4、Z
5、Z
a、Z
b、Z
c、Z
d1、Z
d2、Z
e1及びZ
e2が複数存在する場合は複数のZ
1、Z
2、Z
4、Z
5、Z
a、Z
b、Z
c、Z
d1、Z
d2、Z
e1及びZ
e2は同一であっても異なっていても良く、複数のR
N1及びR
N2が存在する場合は複数のR
N1及びR
N2は同一であっても異なっていても良い。)
で表される化合物である、請求項1又は2に記載の液晶素子。
【請求項5】
前記色素含有液晶組成物が、さらにヘイズ調整剤を含有する、請求項1又は2に記載の液晶素子。
【請求項6】
前記色素含有液晶組成物が、一般式(II)
【化3】
(一般式(II)中、
R
II1は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH
2-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、
A
II1及びA
II2はそれぞれ独立して
(a) 1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH
2-又は隣接していない2個以上の-CH
2-は-O-に置き換えられてもよい。)、
(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)及び
(c) ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又はデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基(ナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていてもよく、
Z
II1は単結合、-CH
2CH
2-、-(CH
2)
4-、-OCH
2-、-CH
2O-、-COO-、-OCO-、-OCF
2-、-CF
2O-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-を表し、
Y
II1は水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基又は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH
2-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、また、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよく、
m
II1は1、2、3又は4を表すが、m
II1が2、3又は4を表す場合、複数のA
II1及び複数のZ
II1はそれぞれ同一であっても異なっていても良い。)
で表される化合物の1種又は2種以上を含む、請求項1又は2に記載の液晶素子。
【請求項7】
前記二色性色素の最大吸収波長が600nm以上750nm以下である、請求項1又は2に記載の液晶素子。
【請求項8】
前記色素含有液晶組成物が、2種以上の二色性色素を含有している、請求項1又は2に記載の液晶素子。
【請求項9】
周波数30~300Hzの矩形波で駆動される、請求項1又は2に記載の液晶素子。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の液晶素子を用いた液晶表示装置、調光装置または光透過装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色素含有液晶組成物並びにこれを用いた液晶表示素子または調光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶材料は、TVやスマートフォンに代表されるような文字・画像・映像を表示させる表示素子に利用されるだけではなく、光の透過量を調節する調光素子として電気自動車やビルなどの建築物の窓等に利用が検討されている。このような窓は調光窓(スマートウィンドウ)と呼ばれ、電気的に光の透過を調節することで車内や室内の環境を快適に保つことができる。
スマートウィンドウに適用可能な調光素子としては二色性色素を添加した液晶(ゲストホスト液晶、以下GH液晶)方式、セル内にポリマーネットワークを有する液晶(ポリマーネットワーク液晶、以下PN液晶)方式、エレクトロクロミズムを用いた方式などが知られている。この中でもGH液晶方式は高速に光の透過、不透過を切り替えることができると共に偏光板が不要になることから、低コストで透過率の高い調光素子が実現できるものとして期待されている。一方、PN液晶はポリマーネットワークと液晶組成物との屈折率差を利用した透過状態と散乱状態の切り替えが出来る点が特徴である。
光透過状態と不透過状態における透過度の差が大きいこと、すなわちコントラスト比が高いことは調光素子に要求される性能の一つであるが、従来のGH液晶やPN液晶では十分高いコントラスト比を実現できないという課題があった。これに対し、PN液晶に二色性色素を添加したGH-PN液晶を用いるとコントラスト比を改善できることが知られている。しかし、GH-PN液晶では二色性色素添加後に液晶組成物中のモノマーを重合しポリマーネットワークを形成する必要があるため、重合反応中に二色性色素が分解するために色味が変化してしまう、十分なコントラスト比が得られないといった問題があった。
他方、液晶表示モードの一つに動的散乱モード(Dynamic scattering mode)が知られている。この方法では印加された電圧によって移動するイオンによる破壊的な(disruptive)効果により、電気光学的異方性媒体の中に散乱中心が生じ、透過状態と散乱状態を切り替えることができる。従って、この現象を実現するためにはイオンドーパントを添加し抵抗率を適切な値に調節する必要がある。しかし、液晶表示素子の作製工程において、液晶組成物の注入あるいは滴下の際に基板表面にイオンドーパントを含む液晶組成物が接触すると、イオンクロマト現象により基板表面へイオンドーパントが不均一に吸着し、結果として表示の均一性に問題が生じ得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】The Society for Information Display, 2019 Digest P-166
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2016-507784号公報
【特許文献2】特表2018-510383号公報
【特許文献3】US10823991B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、色素を含有しヘイズ調整機能を有する液晶組成物を用いることで、色素分解の原因となり得る重合工程を必要とせず、高いコントラスト比を示し、素子平面内での表示の均一性に優れる液晶素子を提供することである。特に、負の誘電率異方性を示す液晶組成物を用いて、電圧OFFの場合に透明状態、電圧ONの場合に着色散乱状態となるノーマリホワイトモードとした際に、高いコントラスト比と表示の均一性に優れる液晶素子を提供すると共に、これを構成部材とする表示装置、調光窓又はスマートグラスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記の態様を有する。
[1]少なくとも一方に透明電極が設けられた2つの透明基板と、前記透明基板間に二色性色素を含有する液晶組成物(色素含有液晶組成物)を含む駆動層が配置され、前記透明電極への電圧無印加時に光透過状態であり、電圧印加時に光散乱状態である液晶素子であって、
前記液晶組成物が負の誘電率異方性を示し、
前記液晶素子の25℃での電圧無印加時のヘイズ値が10%以下、かつ矩形波電圧(AC50V、60Hz)印加時のヘイズ値が50%以上であり、
前記色素含有液晶組成物の電圧保持率(セル厚10μmであるセルに本液晶組成物を注入し、パルス幅60μsで10V印可し、フレームタイム16.7ms後に測定した測定電圧と初期印可電圧との比を%で表した値)が、25℃で60%以下である、液晶素子。
[2] 前記駆動層が高分子ネットワークを含まない、[1]の液晶素子。
[3] 前記透明基板の前記駆動層と接する面に垂直配向膜が設置されている、[1]又は[2]に記載の液晶素子。
[4] 前記二色性色素が、一般式(1)
【0007】
【0008】
(式中、Uは一般式(2)~(5)
【0009】
【0010】
で表される基から選択されるいずれか一つの基であり、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9はそれぞれ独立して水素原子、フッ素原子、シアノ基、炭素原子数1から20のアルキル基又は炭素原子数2から30のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の-CH2-又は隣接していない2個以上の-CH2-は-NRN1-、-O-、-S-、-CO-、-CS-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-SO-、-SO2-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-により置き換えられても良く、これらの基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されても良く、ここでRN1は水素原子、炭素原子数1から20のアルキル基又は炭素原子数2から30のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の-CH2-又は隣接していない2個以上の-CH2-は-O-、-S-、-COO-、-OCO-又は-CO-により置き換えられても良く、これらの基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されても良く、
Ra、Rb及びRcはそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1から20のアルキル基又は炭素原子数2から30のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の-CH2-又は隣接していない2個以上の-CH2-は-NRN2-、-O-、-S-、-CO-、-CS-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-SO-、-SO2-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-により置き換えられても良く、これらの基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されても良く、ここでRN2は水素原子、炭素原子数1から20のアルキル基又は炭素原子数2から30のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の-CH2-又は隣接していない2個以上の-CH2-は-O-、-S-、-COO-、-OCO-又は-CO-により置き換えられても良く、これらの基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されても良く、
Xa、Xb、Xc、Xd及びXeはそれぞれ独立して-S-又は-O-を表し、
A1、A2、A4、A5、Aa、Ab、Ad1、Ad2、Ae1及びAe2は各々独立して置換されていてもよい炭素原子数3から16の炭化水素環又は複素環を表し、
Z1、Z2、Z4、Z5、Za、Zb、Zc、Zd1、Zd2、Ze1及びZe2はそれぞれ独立して-CH2O-、-OCH2-、-CF2O-、-OCF2-、-COO-、-OCO-、-CH2CH2-、-CF2CF2-、-CH=CH-、-CF=CF-、-N=CH-、-CH=N-、-N=N-、-C≡C-又は単結合を表し、
i、j、a、b、c、d、e、f、g及びhはそれぞれ独立して0~4の整数を表し、
A1、A2、A4、A5、Aa、Ab、Ad1、Ad2、Ae1及びAe2が複数存在する場合は複数のA1、A2、A4、A5、Aa、Ab、Ad1、Ad2、Ae1及びAe2は同一であっても異なっていても良く、Z1、Z2、Z4、Z5、Za、Zb、Zc、Zd1、Zd2、Ze1及びZe2が複数存在する場合は複数のZ1、Z2、Z4、Z5、Za、Zb、Zc、Zd1、Zd2、Ze1及びZe2は同一であっても異なっていても良く、複数のRN1及びRN2が存在する場合は複数のRN1及びRN2は同一であっても異なっていても良い。)
で表される化合物である、[1]から[3]のいずれかの液晶素子。
[5] 前記色素含有液晶組成物が、さらにヘイズ調整剤を含有する、[1]から[4]のいずれかの液晶素子。
[6] 前記色素含有液晶組成物が、一般式(II)
【0011】
【0012】
(一般式(II)中、
RII1は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH2-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、
AII1及びAII2はそれぞれ独立して
(a) 1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH2-又は隣接していない2個以上の-CH2-は-O-に置き換えられてもよい。)、
(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)及び
(c) ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又はデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基(ナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていてもよく、
ZII1は単結合、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-OCH2-、-CH2O-、-COO-、-OCO-、-OCF2-、-CF2O-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-を表し、
YII1は水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基又は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH2-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、また、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよく、
mII1は1、2、3又は4を表すが、mII1が2、3又は4を表す場合、複数のAII1及び複数のZII1はそれぞれ同一であっても異なっていても良い。)
で表される化合物の1種又は2種以上を含む、[1]から[5]のいずれかの液晶素子。
[7]
前記二色性色素の最大吸収波長が600nm以上750nm以下である、[1]から[6]のいずれかの液晶素子。
[8]
前記色素含有液晶組成物が、2種以上の二色性色素を含有している、[1]から[7]のいずれかの液晶素子。
[9]
周波数30~300Hzの矩形波で駆動される、[1]から[8]のいずれかの液晶素子。
[10]
[1]から[9]のいずれかの液晶素子を用いた液晶表示装置、調光装置または光透過装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明により提供される、色素を含有しヘイズ調整機能を有する液晶組成物を用いた液晶素子は、その作製時に色素分解の原因となり得る重合工程を必要とせず、高いコントラスト比を示す。また、イオンドーパントの添加を必要としないことから液晶素子の製造工程において素子面内での基板表面へのイオンドーパントの不均一な吸着が発生しないことから、素子平面内での表示の均一性に優れる。特に、ノーマリホワイトモードにおいて高いコントラスト比と表示の均一性に優れる液晶素子を提供することができると共に、これを構成部材とする表示装置、調光窓又はスマートグラスを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<色素含有液晶組成物>
色素含有液晶組成物は色素化合物を含有する液晶組成物である。
【0015】
色素化合物としては、二色性色素が好ましい。その中でも、二色性色素がヘイズ調整機能を有しており、これを液晶組成物に添加することで色素含有液晶組成物を得ることが好ましい。
【0016】
特に、色素化合物としては、一般式(1)で表される化合物が、電圧無印加時のヘイズ値を低くし、かつ電圧印加時のヘイズ値を高くすることから好ましい。
【0017】
【0018】
(式中、Uは一般式(2)~(5)
【0019】
【0020】
で表される基から選択されるいずれか一つの基であり、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9はそれぞれ独立して水素原子、フッ素原子、シアノ基、炭素原子数1から20のアルキル基又は炭素原子数2から30のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の-CH2-又は隣接していない2個以上の-CH2-は-NRN1-、-O-、-S-、-CO-、-CS-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-SO-、-SO2-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-により置き換えられても良く、これらの基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されても良く、ここでRN1は水素原子、炭素原子数1から20のアルキル基又は炭素原子数2から30のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の-CH2-又は隣接していない2個以上の-CH2-は-O-、-S-、-COO-、-OCO-又は-CO-により置き換えられても良く、これらの基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されても良く、
Ra、Rb及びRcはそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1から20のアルキル基又は炭素原子数2から30のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の-CH2-又は隣接していない2個以上の-CH2-は-NRN2-、-O-、-S-、-CO-、-CS-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-SO-、-SO2-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-により置き換えられても良く、これらの基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されても良く、ここでRN2は水素原子、炭素原子数1から20のアルキル基又は炭素原子数2から30のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個の-CH2-又は隣接していない2個以上の-CH2-は-O-、-S-、-COO-、-OCO-又は-CO-により置き換えられても良く、これらの基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されても良く、
Xa、Xb、Xc、Xd及びXeはそれぞれ独立して-S-又は-O-を表し、
A1、A2、A4、A5、Aa、Ab、Ad1、Ad2、Ae1及びAe2は各々独立して置換されていてもよい炭素原子数3から16の炭化水素環又は複素環を表し、
Z1、Z2、Z4、Z5、Za、Zb、Zc、Zd1、Zd2、Ze1及びZe2はそれぞれ独立して-CH2O-、-OCH2-、-CF2O-、-OCF2-、-COO-、-OCO-、-CH2CH2-、-CF2CF2-、-CH=CH-、-CF=CF-、-N=CH-、-CH=N-、-N=N-、-C≡C-又は単結合を表し、
i、j、a、b、c、d、e、f、g及びhはそれぞれ独立して0~4の整数を表し、
A1、A2、A4、A5、Aa、Ab、Ad1、Ad2、Ae1及びAe2が複数存在する場合は複数のA1、A2、A4、A5、Aa、Ab、Ad1、Ad2、Ae1及びAe2は同一であっても異なっていても良く、Z1、Z2、Z4、Z5、Za、Zb、Zc、Zd1、Zd2、Ze1及びZe2が複数存在する場合は複数のZ1、Z2、Z4、Z5、Za、Zb、Zc、Zd1、Zd2、Ze1及びZe2は同一であっても異なっていても良く、複数のRN1及びRN2が存在する場合は複数のRN1及びRN2は同一であっても異なっていても良い。)
一般式(1)において、Uは二色比を大きくするためには一般式(3)で表される構造であることが好ましく、耐光性及びホスト液晶への溶解性を重視する場合は一般式(2)、(4)又は(5)で表される構造であることが好ましい。
一般式(1)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9はそれぞれ独立してフッ素原子、シアノ基、炭素原子数2から20のアルキル基又は炭素原子数2から20のアルケニル基を表すことが好ましく、これらの基中に存在する1個の-CH2-又は隣接していない2個以上の-CH2-は-O-、-S-、-CO-、-CS-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO--SO-、-SO2-により置き換えられていることも好ましい。ホスト液晶への溶解性を高くするためにはそれぞれ独立して炭素原子数1から20のアルキル基又はアルケニル基であることが好ましく、炭素原子数1から20の非置換の直鎖もしくは分岐のアルキル基であることがより好ましく、炭素原子数4から20の非置換の直鎖もしくは分岐アルキル基であることがさらに好ましく、炭素原子数4から20の非置換の分岐アルキル基であることが特に好ましい。高い二色比を示すためには、R3は直鎖状の炭素原子数1から5のアルキル基又はフッ素化アルキル基であることが好ましく、これらの基中に存在する1個の-CH2-又は隣接していない2個以上の-CH2-は-CO-、-COO-又は-OCO-により置き換えられていることが好ましく、メチル基又はトリフルオロメチル基であることが特に好ましい。吸収波長を長波長化するためには、R3はフッ素原子、シアノ基、チオエーテル基、アルキルスルホニル基、N,N-ジアルキルスルホンアミド基、アルキルアシル基、アルキルカルボニルオキシ基又はアルキルオキシカルボニル基であることが好ましい。
一般式(1)において、Ra、Rb及びRcはそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数2から20のアルキル基又は炭素原子数2から20のアルケニル基を表すことが好ましく、これらの基中に存在する1個の-CH2-又は隣接していない2個以上の-CH2-は-O-、-S-、-CO-、-CS-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-SO-、-SO2-により置き換えられていることも好ましい。ホスト液晶への溶解性を高くするためにはそれぞれ独立して炭素原子数1から20のアルキル基又はアルケニル基であることが好ましく、炭素原子数1から20の非置換の直鎖もしくは分岐のアルキル基であることがより好ましく、炭素原子数4から20の非置換の直鎖もしくは分岐アルキル基であることがさらに好ましく、炭素原子数4から20の非置換の分岐アルキル基であることが特に好ましい。一方、高い二色比及び製造の容易さの観点からは水素原子であることが好ましい。吸収波長を長波長化するためには、アルキルスルホニル基、N,N-ジアルキルスルホンアミド基、アルキルアシル基であることが好ましい。
一般式(1)において、Xa、Xb、Xc、Xd及びXeはそれぞれ独立して-S-又は-O-を表すが、溶解性及び吸収波長を長波長化する観点からは-S-であることが好ましく、二色比、耐光性及び製造の容易さの観点からは-O-であることが好ましい。
一般式(1)において、A1、A2、A4、A5、Aa、Ab、Ad1、Ad2、Ae1及びAe2は各々独立して置換されていてもよい炭素原子数3から16の炭化水素環又は複素環であることが好ましい。ここで、炭化水素環は脂肪族環でも芳香環でも良く、環上に置換基を有していても良い。また、複素環は脂肪族環でも芳香環でも良く、環構造を構成する元素に少なくとも1つのヘテロ元素を含み、環上に置換基を有していても良い。ここで、A1、A2、A4、A5、Aa、Ab、Ad1、Ad2、Ae1及びAe2はそれぞれ独立して
(a)1,4-シクロへキシレン基(この基中に存在する1個の-CH2-又は隣接していない2個以上の-CH2-は-O-又は-S-に置き換えられても良く、この基中に存在する1個のCH又は隣接していない2個以上のCHはNに置き換えられても良い。)
(b)1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられても良い。)
(c)1,4-シクロヘキセニレン基、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1,4-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、アントラセン-2,6-ジイル基、アントラセン-1,4-ジイル基、アントラセン-9,10-ジイル基、フェナントレン-2,7-ジイル基(これらの基中に存在する水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良く、また、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1,4-ジイル基、アントラセン-2,6-ジイル基、アントラセン-1,4-ジイル基、アントラセン-9,10-ジイル基又はフェナントレン-2,7-ジイル基中に存在する1個の-CH=又は2個以上の-CH=は-N=に置き換えられても良い。)
(d)チオフェン-2,5-ジイル基、チオフェン-2,4-ジイル基、ベンゾチオフェン-2,5-ジイル基、ベンゾチオフェン-2,6-ジイル基、ジベンゾチオフェン-3,7-ジイル基、ジベンゾチオフェン-2,6-ジイル基、チエノ[3,2-b]チオフェン-2,5-ジイル基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表すことが好ましく、これらの基は無置換であるか又は1つ以上の置換基L2によって置換されていることも好ましい。
L2は各々独立して各々独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、ペンタフルオロスルファニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、1個の-CH2-又は2個以上の-CH2-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-CS-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-若しくは-C≡C-によって置換されていても良い炭素原子数1から20の直鎖状アルキル基又は炭素原子数3から20の分岐状若しくは環状アルキル基であることが好ましく、各々独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、ペンタフルオロスルファニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、チオイソシアノ基、メチル基、エチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基又はアセチル基であることがさらに好ましい。
また、A1、A2、A4、A5、Aa、Ab、Ad1、Ad2、Ae1及びAe2の好ましい構造として、
【0021】
【0022】
から選ばれる基を表すことが好ましい。ここで、Reはそれぞれ独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、2-プロピル基、ブチル基、2-ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、メチルチオ基、エチルチオ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、フッ素原子又は塩素原子を表すことが好ましい。具体的には、ホスト液晶への溶解性を高くするためには、トランス-1,4-シクロヘキシレン基、無置換の1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、2-アルキル-1,4-フェニレン基、3-アルキル-1,4-フェニレン基、無置換のチオフェン-2,5-ジイル基、無置換のチオフェン-2,4-ジイル基、4-アルキル-チオフェン-2,5-ジイル基又は5-アルキル-チオフェン-2,4-ジイル基であることが好ましい。この時、A1及びA2がそれぞれ複数存在する時は、複数のA1及びA2がそれぞれ異なる構造を示すことが好ましい。二色比を大きくするためには、無置換の1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、無置換のチオフェン-2,5-ジイル基、無置換のチオフェン-2,4-ジイル基、無置換のナフタレン-2,6-ジイル基、無置換のナフタレン-1,4-ジイル基又は無置換のチエノ[3,2-b]チオフェン-2,5-ジイル基であることが好ましい。吸収波長を長波長化させるためには、電子供与性の環であることが好ましく、特にチオフェン-2,5-ジイル基、チオフェン-2,4-ジイル基チエノ[3,2-b]チオフェン-2,5-ジイル基又はピペリジン-1,4-ジイル基であることが好ましい。また、ホスト液晶への溶解性を高くするためには、Reがメチル基、エチル基、プロピル基、フッ素原子又は塩素原子を表すことが好ましく、メチル基、エチル基又はフッ素原子であることが更に好ましい。吸収波長を長波長化するためには、Reは電子供与性の置換基であることが好ましく、メトキシ基、エトキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基が更に好ましく、メトキシ基、エトキシ基又はジメチルアミノ基であることが特に好ましい。
一般式(1)において、Z1、Z2、Z4、Z5、Za、Zb、Zc、Zd1、Zd2、Ze1及びZe2はそれぞれ独立して-CH2CH2-、-CH=CH-、-CF=CF-、-N=N-、-C≡C-又は単結合を表すことが好ましい。また、ホスト液晶への溶解性を高くするためには、-CH2O-、-OCH2-、-CH2CH2-又は単結合であることが好ましく、-CH2CH2-又は単結合であることがさらに好ましい。二色比を大きくするためには、-CH=CH-、-CF=CF-、-N=CH-、-CH=N-、-N=N-、-C≡C-又は単結合であることが好ましく、-CH=CH-、-N=N-、-C≡C-又は単結合であることがさらに好ましい。高い耐光性を示すためには単結合であることが好ましい。
一般式(1)において、i、j、a、b、c、d、e、f、g及びhはそれぞれ独立して0~3の整数を表すことが好ましく、溶解性の観点からは1~2の整数を表すことがより好ましい。また、i、j、a、b、c、d、e、f、g及びhがそれぞれ独立して1~3の整数を表すことが、高い二色比及び吸収波長の長波長化の観点から好ましい。二色比を大きくするためには、a及びbはそれぞれ独立して0又は1であることが好ましく、0であることが特に好ましい。
【0023】
なお、一般式(1)において、化合物の安定性の観点から、酸素原子同士、及び/又は酸素原子と硫黄原子とが直接結合することはないことが好ましい。
【0024】
一般式(1)で表される化合物は、構造中にUで表される骨格を有すると共に、その構造上にR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9で表されるアルキル基等を有することで液晶組成物への高い溶解性を示す。特に、構造中にA1、A2、A4、A5、Aa、Ab、Ad1、Ad2、Ae1及びAe2で表される環構造を有する場合、化合物全体が棒状構造に近づくため、液晶組成物への溶解性が向上すると共に、色素として用いた場合の二色性を高めることが出来る。とりわけ、これらの環が芳香環である場合、分子全体にπ電子の共役系が広がるため、光吸収波長の長波長化に対して有効である。
【0025】
一般式(1)で表される化合物は、以下の式(1-A)~(1-D)
【0026】
【0027】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、Ra、Rb、Rc、A1、A2、A4、A5、Aa、Ab、Z1、Z2、Z4、Z5、Za、Zb、Zc、i、j、a、b、c及びdはそれぞれ一般式(1)中のR1、R2、R3、R4、R5、Ra、Rb、Rc、A1、A2、A4、A5、Aa、Ab、Z1、Z2、Z4、Z5、Za、Zb、Zc、i、j、a、b、c及びdと同じ意味を表す。)で表されることが好ましい。
【0028】
さらに一般式(1-A)から一般式(1-D)で表される化合物の中で、一般式(1-E)
【0029】
【0030】
(式中、R1、R2、R3及びRaはそれぞれ一般式(1)中のR1、R2、R3及びRaと同じ意味を表し、A11、A12及びA13はそれぞれ同じであっても異なっていても良い一般式(1)中のA1と同じ意味か単結合を表し、A21、A22及びA23はそれぞれ同じであっても異なっていても良い一般式(1)中のA2と同じ意味か単結合を表す。)で表される構造であることが好ましい。
【0031】
一般式(1)で表される化合物は、350~750nmの間に最大吸収波長を有することが好ましい。特に、一般式(1)で表される化合物が赤色色素である場合は500~600nm、黄色色素である場合は400~500nm、青色色素である場合は600~750nmの間にそれぞれ最大吸収を有することが好ましい。これらの最大吸収波長を示す化合物を2種以上併用することにより、所望の色味を示す色素含有液晶組成物を調製することができ、特に黒色を得たい場合にはそれぞれ赤色・黄色・青色を示す色素を併用することが好ましい。また、一般式(1)で表される化合物と、それ以外の構造の二色性色素を併用することも好ましい。
【0032】
色素化合物及び添加物を含まない液晶組成物100質量%に対する、一般式(1)で表される化合物の合計含有量の下限値は、0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることが好ましく、0.4質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることが好ましく、0.7質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることが好ましい。
【0033】
色素化合物及び添加物を含まない液晶組成物100質量%に対する、一般式(1)で表される化合物の上限値は、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることが好ましく、12質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることが好ましい。
【0034】
色素化合物及び添加物を含まない液晶組成物100質量%に対する、一般式(1)で表される化合物の合計含有量は、0.1~20質量%であることが好ましく、0.2~15質量%であることが好ましく、0.3~15質量%であることが好ましく、0.5~12質量%であることが好ましく、0.8~10質量%であることが好ましく、1~8質量%であることが好ましく、1~6質量%であることが好ましい。
<液晶組成物>
本発明の色素含有液晶組成物に用いる液晶組成物は、一般式(II)で表される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。
【0035】
【0036】
(一般式(II)中、RII1は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH2-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、
AII1及びAII2はそれぞれ独立して
(a) 1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH2-又は隣接していない2個以上の-CH2-は-O-に置き換えられてもよい。)、
(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)及び
(c) ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又はデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基(ナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていてもよく、
ZII1は単結合、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-OCH2-、-CH2O-、-COO-、-OCO-、-OCF2-、-CF2O-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-を表し、
YII1は水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基又は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH2-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、また、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよく、
mII1は1、2、3又は4を表すが、mII1が2、3又は4を表す場合、複数のAII1及び複数のZII1はそれぞれ同一であっても異なっていても良い。)
【0037】
本発明の液晶組成物は、上記一般式(II)で表される化合物を1種又は2種以上組み合わせることで、誘電率異方性の大きさを調整することができる。本発明の液晶組成物は、誘電率異方性(Δε)が負でありその絶対値(|Δε|)が2以上の負の液晶組成物であることが好ましい。具体的な誘電率異方性の値については、後述する。
【0038】
一般式(II)で表される化合物は、誘電率異方性に応じて、誘電率異方性(Δε)が負の液晶化合物であってもよく(第一態様)、誘電率異方性(Δε)が0付近のノンポーラ液晶化合物であってもよい(第二態様)。なお、一般式(II)で表される化合物の誘電率異方性は、25℃における値とする。以下、一般式(II)で表される化合物について態様ごとに説明する。
【0039】
[1]一般式(II)で表される化合物の第一態様
一般式(II)で表される化合物の第一態様(以下、第一態様の化合物とする場合がある。)は、誘電率異方性(Δε)が負の液晶化合物である。第一態様の化合物は、Δεの符号が負で、その絶対値が2より大きいことが好ましく、上記絶対値が3より大きいことがより好ましい。
【0040】
このような第一態様の化合物としては、下記一般式(N-1)から一般式(N-3)で表される化合物群から選ばれる化合物を挙げることができる。
【0041】
【0042】
(式中、RN11、RN12、RN21、RN22、RN31及びRN32はそれぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH2-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、
AN11、AN12、AN21、AN22、AN31及びAN32はそれぞれ独立して
(a) 1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH2-又は隣接していない2個以上の-CH2-は-O-に置き換えられてもよい。)
(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)及び
(c) ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又はデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基(ナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
ZN11、ZN12、ZN21、ZN22、ZN31及びZN32はそれぞれ独立して単結合、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-OCH2-、-CH2O-、-COO-、-OCO-、-OCF2-、-CF2O-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-を表し、
XN21は水素原子又はフッ素原子を表し、
TN31は-CH2-又は酸素原子を表し、
nN11、nN12、nN21、nN22、nN31及びnN32はそれぞれ独立して0~3の整数を表すが、nN11+nN12、nN21+nN22及びnN31+nN32はそれぞれ独立して1、2又は3であり、
AN11からAN32、ZN11からZN32が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良い。ただし、一般式(N-2)及び一般式(N-3)において一般式(N-1)で表される化合物は除き、また、一般式(N-3)において一般式(N-2)で表される化合物は除く。)
【0043】
本発明の液晶組成物が、25℃における誘電率異方性(Δε)が負の値を有する場合、本発明の液晶組成物は、一般式(N-1)、(N-2)及び(N-3)で表される化合物群から選択される化合物を1種類又は2種類以上含有することが好ましい。
【0044】
一般式(N-1)、(N-2)及び(N-3)中、RN11、RN12、RN21、RN22、RN31及びRN32はそれぞれ独立して、炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数1~8のアルコキシ基、炭素原子数2~8のアルケニル基又は炭素原子数2~8のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数1~5のアルコキシ基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数2~5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2~5のアルキル基又は炭素原子数2~3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)が特に好ましい。
【0045】
また、RN11、RN12、RN21、RN22、RN31及びRN32がそれぞれ結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、RN11、RN12、RN21、RN22、RN31及びRN32はそれぞれ独立して直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び炭素原子数4~5のアルケニル基が好ましい。一方、RN11、RN12、RN21、RN22、RN31及びRN32がそれぞれ結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、RN11、RN12、RN21、RN22、RN31及びRN32はそれぞれ独立して直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。
【0046】
ネマチック相を安定化させるためには、RN11、RN12、RN21、RN22、RN31及びRN32は、それぞれ独立して炭素原子及び酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、また直鎖状であることが好ましい。
【0047】
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。式(R1)から式(R5)中の黒点は、アルケニル基が結合している環構造中の炭素原子を表す。
【0048】
【0049】
Δnを大きくすることが求められる場合には、AN11、AN12、AN21、AN22、AN31及びAN32は、それぞれ独立して芳香族であることが好ましい。一方、応答速度を改善するためには、AN11、AN12、AN21、AN22、AN31及びAN32は、それぞれ独立して脂肪族であることが好ましく、トランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、2,3-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基を表すことが好ましい。
【0050】
中でもAN11、AN12、AN21、AN22、AN31及びAN32はそれぞれ独立して、下記の構造のいずれかを表すことが好ましい。
【0051】
【0052】
さらにAN11、AN12、AN21、AN22、AN31及びAN32はそれぞれ独立して、トランス-1,4-シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基を表すことが好ましい。
【0053】
ZN11、ZN12、ZN21、ZN22、ZN31及びZN32はそれぞれ独立して-CH2O-、-CF2O-、-CH2CH2-、-CF2CF2-又は単結合を表すことが好ましく、-CH2O-、-CH2CH2-又は単結合が更に好ましく、-CH2O-又は単結合が特に好ましい。
【0054】
XN21はフッ素原子が好ましい。
【0055】
TN31は酸素原子が好ましい。
【0056】
nN11+nN12、nN21+nN22及びnN31+nN32は1又は2が好ましく、nN11が1でありnN12が0である組み合わせ、nN11が2でありnN12が0である組み合わせ、nN11が1でありnN12が1である組み合わせ、nN11が2でありnN12が1である組み合わせ、nN21が1でありnN22が0である組み合わせ、nN21が2でありnN22が0である組み合わせ、nN31が1でありnN32が0である組み合わせ、nN31が2でありnN32が0である組み合わせ、が好ましい。
【0057】
本発明の液晶組成物は、一般式(N-1)中のZN11およびZN12の少なくとも1つが-CH2O-を表す化合物、一般式(N-2)中のZN21およびZN22の少なくとも1つが-CH2O-を表す化合物、並びに一般式(N-3)中のZN31およびZN32の少なくとも1つが-CH2O-を表す化合物からなる群から選択される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。
【0058】
式(N-1)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して0質量%であり、1質量%であり、10質量%であり、20質量%であり、30質量%であり、40質量%であり、50質量%であり、55質量%であり、60質量%であり、65質量%であり、70質量%であり、75質量%であり、80質量%である。式(N-1)で表される化合物の含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して95質量%であり、85質量%であり、75質量%であり、65質量%であり、55質量%であり、45質量%であり、35質量%であり、25質量%であり、20質量%である。
【0059】
式(N-2)で表される化合物の含有量の上限値および下限値、ならびに式(N-3)で表される化合物の含有量の上限値および下限値の好ましい値は、それぞれ式(N-1)で表される化合物の含有量の上限値および下限値の好ましい値と同様とすることができる。
【0060】
本発明の液晶組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。さらに、本発明の液晶組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を高く上限値が高いことが好ましい。
【0061】
本発明の液晶組成物は、中でも一般式(N-1)で表される化合物を1種又は2種以上含むことが好ましい。一般式(N-1)で表される化合物として、下記の一般式(N-1a)から(N-1g)で表される化合物群を挙げることができる。中で-CH2O-で表される連結基を有することから、一般式(N-1d)又は(N-1f)で表される化合物を1種又は2種以上含むことが好ましく、一般式(N-1d)で表される化合物を1種又は2種以上含むことがより好ましい。
【0062】
【0063】
(式中、RN11及びRN12は一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表し、nNa11は0又は1を表し、nNb11は1又は2を表し、nNc11は0又は1を表し、nNd11は1又は2を表し、nNe11は1又は2を表し、nNf12は1又は2を表し、nNg11は1又は2を表し、ANe11はトランス-1,4-シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基を表し、ANg11はトランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-シクロヘキセニレン基又は1,4-フェニレン基を表すが少なくとも1つは1,4-シクロヘキセニレン基を表し、ZNe11は単結合又はエチレンを表すが分子内に存在する少なくとも1つはエチレンを表し、分子内に複数存在するANe11、ZNe11、及び/又はANg11は同一であっても異なっていても良い。)
【0064】
より具体的には、一般式(N-1)で表される化合物は一般式(N-1-1)から(N-1-21)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0065】
一般式(N-1-1)で表される化合物は下記の化合物である。
【0066】
【0067】
(式中、RN111及びRN112はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
【0068】
RN111は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、プロピル基、ペンチル基又はビニル基が好ましい。RN112は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0069】
一般式(N-1-1)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0070】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0071】
式(N-1-1)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、25質量%であり、27質量%であり、30質量%であり、33質量%であり、35質量%である。また、上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して50質量%であり、40質量%であり、38質量%であり、35質量%であり、33質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%であり、7質量%であり、6質量%であり、5質量%であり、3質量%である。
【0072】
一般式(N-1-1)で表される化合物は、式(N-1-1.1)から式(N-1-1.22)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-1.1)~(N-1-1.4)で表される化合物であることが好ましく、式(N-1-1.1)及び式(N-1-1.3)で表される化合物が好ましい。
【0073】
【0074】
式(N-1-1.1)から(N-1-1.22)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能である。式(N-1-1.1)から(N-1-1.22)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、25質量%であり、27質量%であり、30質量%であり、33質量%であり、35質量%である。また、上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して50質量%であり、40質量%であり、38質量%であり、35質量%であり、33質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%であり、7質量%であり、6質量%であり、5質量%であり、3質量%である。
【0075】
一般式(N-1-2)で表される化合物は下記の化合物である。
【0076】
【0077】
(式中、RN121及びRN122はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
【0078】
RN121は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基、ブチル基又はペンチル基が好ましい。RN122は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、メチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基又はプロポキシ基が好ましい。
【0079】
一般式(N-1-2)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0080】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0081】
式(N-1-2)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、25質量%であり、27質量%であり、30質量%であり、33質量%であり、35質量%であり、37質量%であり、40質量%であり、42質量%である。また、上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して50質量%であり、48質量%であり、45質量%であり、43質量%であり、40質量%であり、38質量%であり、35質量%であり、33質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%であり、7質量%であり、6質量%であり、5質量%である。
【0082】
一般式(N-1-2)で表される化合物は、式(N-1-2.1)から式(N-1-2.22)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-2.3)から式(N-1-2.7)、式(N-1-2.10)、式(N-1-2.11)、式(N-1-2.13)及び式(N-1-2.20)で表される化合物であることが好ましく、Δεの改良を重視する場合には式(N-1-2.3)から式(N-1-2.7)で表される化合物が好ましく、TNIの改良を重視する場合には式(N-1-2.10)、式(N-1-2.11)及び式(N-1-2.13)で表される化合物であることが好ましく、応答速度の改良を重視する場合には式(N-1-2.20)で表される化合物であることが好ましい。
【0083】
【0084】
式(N-1-2.1)から式(N-1-2.22)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能である。これら化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、25質量%であり、27質量%であり、30質量%であり、33質量%であり、35質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して50質量%であり、40質量%であり、38質量%であり、35質量%であり、33質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%であり、7質量%であり、6質量%であり、5質量%であり、3質量%である。
【0085】
一般式(N-1-3)で表される化合物は下記の化合物である。
【0086】
【0087】
(式中、RN131及びRN132はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
【0088】
RN131は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN132は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数3~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、1-プロペニル基、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0089】
一般式(N-1-3)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0090】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0091】
一般式(N-1-3)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。また、上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0092】
一般式(N-1-3)で表される化合物は、式(N-1-3.1)から式(N-1-3.21)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-3.1)~(N-1-3.7)及び式(N-1-3.21)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-3.1)、式(N-1-3.2)、式(N-1-3.3)、式(N-1-3.4)及び式(N-1-3.6)で表される化合物群から選ばれる化合物が好ましい。
【0093】
【0094】
式(N-1-3.1)から式(N-1-3.4)、式(N-1-3.6)及び式(N-1-3.21)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能であるが、式(N-1-3.1)及び式(N-1-3.2)の組み合わせ、式(N-1-3.3)、式(N-1-3.4)及び式(N-1-3.6)から選ばれる2種又は3種の組み合わせが好ましい。これら化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。また、上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0095】
一般式(N-1-4)で表される化合物は下記の化合物である。
【0096】
【0097】
(式中、RN141及びRN142はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
【0098】
RN141及びRN142はそれぞれ独立して、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、メチル基、プロピル基、エトキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0099】
一般式(N-1-4)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0100】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0101】
一般式(N-1-4)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、11質量%であり、10質量%であり、8質量%である。
【0102】
一般式(N-1-4)で表される化合物は、式(N-1-4.1)から式(N-1-4.14)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-4.1)~(N-1-4.4)で表される化合物であることが好ましく、式(N-1-4.1)、式(N-1-4.2)及び式(N-1-4.4)で表される化合物が好ましい。
【0103】
【0104】
式(N-1-4.1)~(N-1-4.14)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能である。これら化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、11質量%であり、10質量%であり、8質量%である。
【0105】
一般式(N-1-5)で表される化合物は下記の化合物である。
【0106】
【0107】
(式中、RN151及びRN152はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
【0108】
RN151及びRN152はそれぞれ独立して、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましくエチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。
【0109】
一般式(N-1-5)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0110】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0111】
一般式(N-1-5)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、8質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、33質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0112】
一般式(N-1-5)で表される化合物は、式(N-1-5.1)から式(N-1-5.6)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-5.1)、式(N-1-5.2)及び式(N-1-5.4)で表される化合物が好ましい。
【0113】
【0114】
式(N-1-5.1)、式(N-1-5.2)及び式(N-1-5.4)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能である。これら化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、8質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、33質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0115】
一般式(N-1-10)で表される化合物は下記の化合物である。
【0116】
【0117】
(式中、RN1101及びRN1102はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
【0118】
RN1101は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基、ブチル基、ビニル基又は1-プロペニル基が好ましい。
【0119】
RN1102は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、中でも炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましい。RN1102がアルコキシ基を表す場合、一般式(N-1-10)中の2,3-ジフルオロ-1,4-フェニレン基はそれぞれ連結基(-CH2O-)の酸素原子とRN1102が表すアルコキシ基の酸素原子と結合する構造を取る。このような構造を有する化合物は負の誘電率異方性(Δε)を示し、且つ誘電率異方性の絶対値が大きい値を示すことができる。このため、特に誘電率異方性が負の液晶組成物は、上記化合物を含むことでΔεを高めることができる。RN1102は、炭素原子数1~4のアルコキシ基の中でも、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基がより好ましい。
【0120】
一般式(N-1-10)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0121】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0122】
一般式(N-1-10)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0123】
一般式(N-1-10)で表される化合物は、式(N-1-10.1)から式(N-1-10.14)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-10.1)~(N-1-10.5)で表される化合物であることが好ましく、式(N-1-10.1)及び式(N-1-10.2)で表される化合物が好ましい。
【0124】
【0125】
式(N-1-10.1)及び式(N-1-10.2)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能である。これらの化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0126】
一般式(N-1-11)で表される化合物は下記の化合物である。
【0127】
【0128】
(式中、RN1111及びRN1112はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
【0129】
RN1111は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基、ブチル基、ビニル基又は1-プロペニル基が好ましい。
【0130】
RN1112は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、中でも炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましい。その理由については、上記一般式(N-1-10)中のRN1102がアルコキシ基を表すことが好ましい理由と同様である。RN1112は、炭素原子数1~4のアルコキシ基の中でも、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基がより好ましい。
【0131】
一般式(N-1-11)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0132】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0133】
一般式(N-1-11)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0134】
一般式(N-1-11)で表される化合物は、式(N-1-11.1)から式(N-1-11.14)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-11.1)~(N-1-11.14)で表される化合物であることが好ましく、式(N-1-11.2及び式(N-1-11.4)で表される化合物が好ましい。
【0135】
【0136】
式(N-1-11.2)及び式(N-1-11.4)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能である。これら化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0137】
一般式(N-1-12)で表される化合物は下記の化合物である。
【0138】
【0139】
(式中、RN1121及びRN1122はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
【0140】
RN1121は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1122は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0141】
一般式(N-1-12)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0142】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0143】
一般式(N-1-12)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0144】
一般式(N-1-13)で表される化合物は下記の化合物である。
【0145】
【0146】
(式中、RN1131及びRN1132はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
【0147】
RN1131は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1132は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0148】
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0149】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0150】
一般式(N-1-13)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0151】
一般式(N-1-14)で表される化合物は下記の化合物である。
【0152】
【0153】
(式中、RN1141及びRN1142はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
【0154】
RN1141は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1142は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0155】
一般式(N-1-14)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0156】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0157】
一般式(N-1-14)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0158】
一般式(N-1-15)で表される化合物は下記の化合物である。
【0159】
【0160】
(式中、RN1151及びRN1152はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
【0161】
RN1151は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1152は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0162】
一般式(N-1-15)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0163】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0164】
式(N-1-15)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0165】
一般式(N-1-16)で表される化合物は下記の化合物である。
【0166】
【0167】
(式中、RN1161及びRN1162はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
【0168】
RN1161は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1162は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0169】
一般式(N-1-16)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0170】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0171】
式(N-1-16)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0172】
一般式(N-1-17)で表される化合物は下記の化合物である。
【0173】
【0174】
(式中、RN1171及びRN1172はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
【0175】
RN1171は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1172は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0176】
一般式(N-1-17)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0177】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0178】
式(N-1-17)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0179】
一般式(N-1-18)で表される化合物は下記の化合物である。
【0180】
【0181】
(式中、RN1181及びRN1182はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
【0182】
RN1181は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1182は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0183】
一般式(N-1-18)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0184】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0185】
式(N-1-18)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0186】
一般式(N-1-18)で表される化合物は、式(N-1-18.1)から式(N-1-18.5)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-18.1)~(N-1-18.3)で表される化合物であることが好ましく、式(N-1-18.2)及び式(N-1-18.3)で表される化合物が好ましい。
【0187】
【0188】
一般式(N-1-20)で表される化合物は下記の化合物である。
【0189】
【0190】
(式中、RN1201及びRN1202はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
【0191】
RN1201及びRN1202はそれぞれ独立して、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。
【0192】
一般式(N-1-20)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0193】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0194】
式(N-1-20)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0195】
一般式(N-1-21)で表される化合物は下記の化合物である。
【0196】
【0197】
(式中、RN1211及びRN1212はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
【0198】
RN1211及びRN1212はそれぞれ独立して、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。
【0199】
一般式(N-1-21)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0200】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0201】
式(N-1-21)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0202】
一般式(N-1-22)で表される化合物は下記の化合物である。
【0203】
【0204】
(式中、RN1221及びRN1222はそれぞれ独立して、一般式(N-1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
【0205】
RN1221及びRN1222はそれぞれ独立して、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。
【0206】
一般式(N-1-22)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0207】
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0208】
式(N-1-22)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して35質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、5質量%である。
【0209】
一般式(N-1-22)で表される化合物は、式(N-1-22.1)から式(N-1-22.12)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N-1-22.1)~(N-1-22.5)で表される化合物であることが好ましく、式(N-1-22.1)~(N-1-22.4)で表される化合物が好ましい。
【0210】
【0211】
[2]一般式(II)で表される化合物の第二態様
一般式(II)で表される化合物の第二態様(以下、第二態様の化合物とする。)は、誘電率異方性が0程度である化合物、いわゆる非極性液晶化合物である。第二態様の化合物は、25℃における誘電率異方性(Δε)の値が-2以上2以下であることが好ましい。
【0212】
第二態様の化合物は、下記一般式(L)で表される化合物とすることができる。すなわち本発明の液晶組成物は、一般式(L)で表される化合物を1種類又は2種類以上含有することが好ましい。
【0213】
【0214】
(式中、RL1及びRL2はそれぞれ独立して炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH2-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよく、
nL1は0、1、2又は3を表し、
AL1、AL2及びAL3はそれぞれ独立して
(a) 1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH2-又は隣接していない2個以上の-CH2-は-O-に置き換えられてもよい。)及び
(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)
(c) ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又はデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基(ナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
ZL1及びZL2はそれぞれ独立して単結合、-CH2CH2-、-(CH2)4-、-OCH2-、-CH2O-、-COO-、-OCO-、-OCF2-、-CF2O-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-を表し、
nL1が2又は3であってAL2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、nL1が2又は3であってZL2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良い。
ただし一般式(N-1)、(N-2)及び(N-3)で表される化合物を除く。)
【0215】
一般式(L)で表される化合物は、誘電的にほぼ中性の化合物(25℃におけるΔεの値が-2以上2以下)に該当する。このため、一般式(L)で表される化合物は、分子内に有するハロゲン等の極性基の個数が2個以下であることが好ましく、1個以下であることが好ましく、ハロゲン等の極性基を有さないことが好ましい。
【0216】
一般式(L)で表される化合物は、単独で用いてもよいが、組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類であり、6種類であり、7種類であり、8種類であり、9種類であり、10種類以上である。
【0217】
一般式(L)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。一般式(L)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、10質量%であり、20質量%であり、30質量%であり、40質量%であり、50質量%であり、55質量%であり、60質量%であり、65質量%であり、70質量%であり、75質量%であり、80質量%である。一般式(L)で表される化合物の含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して95質量%であり、85質量%であり、75質量%であり、65質量%であり、55質量%であり、45質量%であり、35質量%であり、25質量%である。
【0218】
本発明の液晶組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い液晶組成物が必要な場合は、一般式(L)で表される化合物の含有量は、下限値が高く上限値が高いことが好ましい。また、本発明の液晶組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い液晶組成物が必要な場合は、一般式(L)で表される化合物の含有量は、下限値が高く上限値が高いことが好ましい。駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、一般式(L)で表される化合物の含有量は、下限値が低く上限値が低いことが好ましい。
【0219】
RL1及びRL2は、信頼性を重視する場合には、ともにアルキル基であることが好ましく、化合物の揮発性を低減させることを重視する場合にはアルコキシ基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合には少なくとも一方はアルケニル基であることが好ましい。
【0220】
RL1及びRL2は、それらが結合するAL1及びAL3の環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、それぞれ独立して直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基又は炭素原子数4~5のアルケニル基が好ましい。また、RL1及びRL2は、それらが結合するAL1及びAL3の環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、それぞれ独立して直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基又は直鎖状の炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。また、ネマチック相を安定化させるためには、RL1及びRL2は、それぞれ独立して、炭素原子及び酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、このとき直鎖状であることが好ましい。
【0221】
アルケニル基は、上記「[1]一般式(II)で表される化合物の第一態様」の項で説明した式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選択されることが好ましい。
【0222】
nL1は、応答速度を重視する場合には0が好ましく、ネマチック相の上限温度を改善するためには2又は3が好ましく、これらのバランスをとるためには1が好ましい。また、液晶組成物として求められる特性を満たすためには、nL1が異なる値の一般式(L)で表される化合物を組み合わせることが好ましい。
【0223】
AL1、AL2及びAL3は、Δnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、それぞれ独立してトランス-1,4-シクロへキシレン基、1,4-フェニレン基、2-フルオロ-1,4-フェニレン基、3-フルオロ-1,4-フェニレン基、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基又は1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基を表すことが好ましい。
【0224】
中でもAL1、AL2及びAL3は、それぞれ独立して下記の構造を表すことがより好ましく、トランス-1,4-シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基を表すことがより好ましい。
【0225】
【0226】
ZL1及びZL2は応答速度を重視する場合には単結合であることが好ましい。
【0227】
一般式(L)で表される化合物は、分子内に存在するハロゲン原子が0、1、2又は3個であることが好ましく、0又は1個であることが好ましく、他の液晶分子との相溶性を重視する場合には1個が好ましい。
【0228】
本発明の液晶組成物は、一般式(L)で表される化合物として、一般式(L-1A)で表される化合物を1種または2種以上含むことが好ましい。
【0229】
【0230】
(上記一般式(L-1A)中、Ri1A及びRi2Aはそれぞれ独立して、炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH2-はそれぞれ独立して-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよいが、Ri1A及びRi2Aの少なくとも一方は、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH2-がそれぞれ独立して-CH=CH-に置換されている。)
【0231】
一般式(L-1A)で表される化合物は、Ri1A及びRi2Aの少なくとも一方が、アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH2-がそれぞれ独立して-CH=CH-に置換されている基を表す。すなわち、一般式(L-1A)で表される化合物は、Ri1A及びRi2Aの少なくとも一方が、炭素原子数2~8アルケニル基を表す。
【0232】
中でもRi1A及びRi2Aの少なくとも一方は、上述した式(R1)から式(R5)のいずれかで表されることが好ましい。また、Ri1A及びRi2Aは、一方のみがアルケニル基であってもよく、Ri1A及びRi2Aの両方がアルケニル基であってもよい。Ri1A及びRi2Aが共にアルケニル基である場合、Ri1A及びRi2Aは同一であってもよく異なってもよい。
【0233】
Ri1A及びRi2Aの少なくとも一方は、中でも炭素原子数が2~5のアルケニル基を表すことが好ましい。
【0234】
本発明の液晶組成物は、一般式(L-1A)で表される化合物を少なくとも1種類含むことが好ましい。2種類以上を組み合わせて含んでいてもよい。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0235】
一般式(L-1A)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、15質量%であり、20質量%であり、25質量%であり、30質量%であり、35質量%であり、40質量%であり、45質量%であり、50質量%であり、55質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して70質量%であり、65質量%であり、60質量%であり、55質量%であり、50質量%であり、45質量%であり、40質量%であり、35質量%であり、30質量%であり、25質量%である。
【0236】
一般式(L-1A)で表される化合物は一般式(L-1A-1)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0237】
【0238】
(式中RL12Aは一般式(L-1A)における意味と同じ意味を表す。)
【0239】
一般式(L-1A-1)で表される化合物は、式(L-1A-1.1)から式(L-1A-1.3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L-1A-1.2)又は式(L-1A-1.3)で表される化合物であることが好ましく、特に、式(L-1A-1.3)で表される化合物であることが好ましい。
【0240】
【0241】
式(L-1A-1)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して20質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%であり、7質量%であり、6質量%であり、5質量%であり、3質量%である。中でも式(L-1A-3)で表される化合物が、上記下限値および上記上限値の範囲内で含有されることが好ましい。
【0242】
一般式(L-1A)で表される化合物は一般式(L-1A-2)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0243】
【0244】
(式中RL12Aは一般式(L-1A)における意味と同じ意味を表す。)
【0245】
式(L-1A-2)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、5質量%であり、10質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、25質量%であり、27質量%であり、30質量%であり、35質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して60質量%であり、55質量%であり、50質量%であり、45質量%であり、42質量%であり、40質量%であり、38質量%であり、35質量%であり、33質量%であり、30質量%である。
【0246】
一般式(L-1A-2)で表される化合物は、式(L-1A-2.1)から式(L-1A-2.4)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L-1A-2.2)から式(L-1A-2.4)で表される化合物であることが好ましい。特に、式(L-1A-2.2)で表される化合物は本発明の液晶組成物の応答速度を特に改善するため好ましい。また、応答速度よりも高いTniを求めるときは、式(L-1A-2.3)又は式(L-1A-2.4)で表される化合物を用いることが好ましい。式(L-1A-2.3)及び式(L-1A-2.4)で表される化合物の含有量は、低温での溶解度を良くするために30質量%以上にすることは好ましくない。
【0247】
【0248】
本発明の液晶組成物が式(L-1A-2.2)で表される化合物を含む場合、式(L-1A-2.2)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して10質量%であり、15質量%であり、18質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、25質量%であり、27質量%であり、30質量%であり、33質量%であり、35質量%であり、38質量%であり、40質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して60質量%であり、55質量%であり、50質量%であり、45質量%であり、43質量%であり、40質量%であり、38質量%であり、35質量%であり、32質量%であり、30質量%であり、27質量%であり、25質量%であり、22質量%である。
【0249】
本発明の液晶組成物は、式(L-1A-1.3)で表される化合物及び式(L-1A-2.2)で表される化合物を同時に含むことが好ましい。式(L-1A-1.3)で表される化合物及び式(L-1A-2.2)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して10質量%であり、15質量%であり、20質量%であり、25質量%であり、27質量%であり、30質量%であり、35質量%であり、40質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して60質量%であり、55質量%であり、50質量%であり、45質量%であり、43質量%であり、40質量%であり、38質量%であり、35質量%であり、32質量%であり、30質量%であり、27質量%であり、25質量%であり、22質量%である。
【0250】
一般式(L-1A)で表される化合物は一般式(L-1A-4)及び(L-1A-5)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0251】
【0252】
(式中RL12Aは一般式(L-1A)における意味と同じ意味を表す。)
【0253】
一般式(L-1A-4)及び(L-1A-5)中、RL12Aは炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数1~8のアルコキシ基又は炭素原子数2~8のアルケニル基が好ましく、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。
【0254】
式(L-1A-4)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、17質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%である。
【0255】
式(L-1A-5)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、17質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%である。
【0256】
一般式(L-1A-4)及び(L-1A-5)で表される化合物は、式(L-1A-4.1)から式(L-1A-5.3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L-1A-4.2)又は式(L-1A-5.2)で表される化合物であることが好ましい。
【0257】
【0258】
本発明の液晶組成物が式(L-1A-4.2)で表される化合物を含む場合、式(L-1A-4.2)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、18質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して20質量%であり、17質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%であり、7質量%であり、6質量%である。
【0259】
一般式(L-1A)で表される化合物は一般式(L-1A-6)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0260】
【0261】
(式中RL17及びRL18はそれぞれ独立してメチル基又は水素原子を表す。)
【0262】
式(L-1A-6)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、5質量%であり、10質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、25質量%であり、27質量%であり、30質量%であり、35質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して60質量%であり、55質量%であり、50質量%であり、45質量%であり、42質量%であり、40質量%であり、38質量%であり、35質量%であり、33質量%であり、30質量%である。
【0263】
一般式(L-1A-6)で表される化合物は、式(L-1A-6.1)から式(L-1A-6.3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0264】
【0265】
また、本発明の液晶組成物は、一般式(L)で表される化合物として、上述した一般式(L-1A)で表される化合物に加えて、一般式(L-1B)および一般式(L-2)から(L-7)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種または2種以上含むことが好ましい。
【0266】
一般式(L-1B)で表される化合物は下記の化合物である。
【0267】
【0268】
(式中、RL11B及びRL12Bはそれぞれ独立して、炭素原子数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の-CH2-はそれぞれ独立して-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-によって置換されていてもよい。)
【0269】
一般式(L-1B)で表される化合物は、RL11B及びRL12Bの一方または両方がアルケニル基を表さない点で、一般式(L-1A)で表される化合物と区別される。
【0270】
RL11B及びRL12Bは、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基又は直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましい。
【0271】
本発明の液晶組成物は、一般式(L-1B)で表される化合物を1種類含んでいてもよく、2種類以上を組み合わせて含んでいてもよい。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0272】
式(L-1B)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、5質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、25質量%であり、30質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して60質量%であり、55質量%であり、50質量%であり、45質量%であり、40質量%であり、37質量%であり、35質量%であり、33質量%であり、30質量%であり、27質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、17質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%である。
【0273】
一般式(L-1B)で表される化合物は、式(L-1B-1)から式(L-1B-13)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L-1B-1)、式(L-1B-3)及び式(L-1B-4)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。特に、式(L-1B-1)で表される化合物は、本発明の液晶組成物の応答速度を特に改善するため好ましい。また、応答速度よりも高いTniを求めるときは、式(L-1B-3)、式(L-1B-4)、式(L-1B-11)及び式(L-1B-12)で表される化合物群から選ばれる化合物を用いることが好ましい。式(L-1B-3)、式(L-1B-4)、式(L-1B-11)及び式(L-1B-13)で表される化合物の合計の含有量は、低温での溶解度を良くするために20質量%以上にすることは好ましくない。
【0274】
【0275】
本発明の液晶組成物が式(L-1B-1)で表される化合物を含む場合、式(L-1B-1)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、18質量%であり、20質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して20質量%であり、17質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%であり、7質量%であり、6質量%である。
【0276】
本発明の液晶組成物は、式(L-1A-1.3)、式(L-1A-2.2)、式(L-1B-1)、式(L-1B-3)、式(L-1B-4)、式(L-1B-11)及び式(L-1B-12)で表される化合物群から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせて含むことが好ましい。また、本発明の液晶組成物は、式(L-1A-1.3)、式(L-1A-2.2)、式(L-1B-1)、式(L-1B-3)、式(L-1B-4)及び式(L-1A-4.2)で表される化合物から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせて含むことが好ましい。これら化合物の合計の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、18質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、25質量%であり、27質量%であり、30質量%であり、33質量%であり、35質量%である。また、上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して80質量%であり、70質量%であり、60質量%であり、50質量%であり、45質量%であり、40質量%であり、37質量%であり、35質量%であり、33質量%であり、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%である。
【0277】
液晶組成物の信頼性を重視する場合には、式(L-1B-1)、式(L-1B-3)及び式(L-1B-4)で表される化合物から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせることが好ましい。また、液晶組成物の応答速度を重視する場合には、式(L-1A-1.3)、式(L-1A-2.2)で表される化合物から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせることが好ましい。
【0278】
本発明の液晶組成物は、一般式(L-1A)で表される化合物を1種類以上と、一般式(L-1B)で表される化合物を1種類以上と、を含むことが好ましい。一般式(L-1A)で表される化合物および一般式(L-1B)で表される化合物の総量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して、1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、15質量%であり、20質量%であり、25質量%であり、30質量%であり、35質量%であり、40質量%であり、45質量%であり、50質量%であり、55質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して、95質量%であり、90質量%であり、85質量%であり、80質量%であり、75質量%であり、70質量%であり、65質量%であり、60質量%であり、55質量%であり、50質量%であり、45質量%であり、40質量%であり、35質量%であり、30質量%であり、25質量%である。
【0279】
本発明の液晶組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は、一般式(L-1A)で表される化合物および一般式(L-1B)で表される化合物の総量の下限値が高く上限値が高いことが好ましい。本発明の液晶組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は、一般式(L-1A)で表される化合物および一般式(L-1B)で表される化合物の総量の下限値が中庸で上限値が中庸であることが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、一般式(L-1A)で表される化合物および一般式(L-1B)で表される化合物の総量の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。
【0280】
一般式(L-2)で表される化合物は下記の化合物である。
【0281】
【0282】
(式中、RL21及びRL22はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
【0283】
RL21は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。また、RL22は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましく、アルケニル基の不飽和結合とベンゼンは直接結合していないことが好ましい。
【0284】
一般式(L-2)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0285】
低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、反対に、応答速度を重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0286】
式(L-2)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して20質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%であり、7質量%であり、6質量%であり、5質量%であり、3質量%である。
【0287】
一般式(L-2)で表される化合物は、式(L-2.1)から式(L-2.6)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L-2.1)、式(L-2.3)、式(L-2.4)及び式(L-2.6)で表される化合物であることが好ましい。
【0288】
【0289】
一般式(L-3)で表される化合物は下記の化合物である。
【0290】
【0291】
(式中、RL31及びRL32はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
【0292】
RL31及びRL32はそれぞれ独立して炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましい。また、アルケニル基の不飽和結合とベンゼンは直接結合していないことが好ましい。
【0293】
一般式(L-3)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0294】
式(L-3)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して20質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%であり、7質量%であり、6質量%であり、5質量%であり、3質量%である。
【0295】
高い複屈折率を得る場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、反対に、高いTniを重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0296】
一般式(L-3)で表される化合物は、式(L-3.1)から式(L-3.7)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L-3.2)から式(L-3.5)で表される化合物であることが好ましい。
【0297】
【0298】
一般式(L-4)で表される化合物は下記の化合物である。
【0299】
【0300】
(式中、RL41及びRL42はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
【0301】
RL41は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、RL42は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましい。アルケニル基の不飽和結合とベンゼンは直接結合していないことが好ましい。
【0302】
一般式(L-4)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0303】
本発明の液晶組成物において、一般式(L-4)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0304】
式(L-4)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、14質量%であり、16質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、26質量%であり、30質量%であり、35質量%であり、40質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して50質量%であり、40質量%であり、35質量%であり、30質量%であり、20質量%であり、15質量%であり、10質量%であり、5質量%である。
【0305】
一般式(L-4)で表される化合物は、例えば式(L-4.1)から式(L-4.3)で表される化合物であることが好ましい。
【0306】
【0307】
低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、式(L-4.1)で表される化合物を含有していてもよく、式(L-4.2)で表される化合物を含有していてもよく、式(L-4.1)で表される化合物と式(L-4.2)で表される化合物との両方を含有していてもよく、式(L-4.1)から式(L-4.3)で表される化合物を全て含んでいてもよい。式(L-4.1)又は式(L-4.2)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、9質量%であり、11質量%であり、12質量%であり、13質量%であり、18質量%であり、21質量%であり、好ましい上限値は、45であり、40質量%であり、35質量%であり、30質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%である。
【0308】
式(L-4.1)で表される化合物と式(L-4.2)で表される化合物との両方を含有する場合、両化合物の総含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して15質量%であり、19質量%であり、24質量%であり、30質量%であり、上記総含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して45であり、40質量%であり、35質量%であり、30質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0309】
一般式(L-4)で表される化合物は、例えば式(L-4.4)から式(L-4.6)で表される化合物であることが好ましく、式(L-4.4)で表される化合物であることが好ましい。
【0310】
【0311】
低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、式(L-4.4)で表される化合物を含有していても、式(L-4.5)で表される化合物を含有していても、式(L-4.4)で表される化合物と式(L-4.5)で表される化合物との両方を含有していても良い。
【0312】
式(L-4.4)又は式(L-4.5)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、9質量%であり、11質量%であり、12質量%であり、13質量%であり、18質量%であり、21質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して45質量%であり、40質量%であり、35質量%であり、30質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、8質量%である。
【0313】
式(L-4.4)で表される化合物と式(L-4.5)で表される化合物との両方を含有する場合は、両化合物の総含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して15質量%であり、19質量%であり、24質量%であり、30質量%であり、好ましい上記総含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して45質量%であり、40質量%であり、35質量%であり、30質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0314】
一般式(L-4)で表される化合物は、式(L-4.7)から式(L-4.10)で表される化合物であることが好ましく、特に、式(L-4.9)で表される化合物が好ましい。
【0315】
【0316】
一般式(L-5)で表される化合物は下記の化合物である。
【0317】
【0318】
(式中、RL51及びRL52はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
【0319】
RL51は炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましく、RL52は炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数4~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましい。アルケニル基の不飽和結合とベンゼンは直接結合していないことが好ましい。
【0320】
一般式(L-5)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0321】
本発明の液晶組成物において、一般式(L-5)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0322】
式(L-5)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、14質量%であり、16質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、26質量%であり、30質量%であり、35質量%であり、40質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して50質量%であり、40質量%であり、35質量%であり、30質量%であり、20質量%であり、15質量%であり、10質量%であり、5質量%である
【0323】
一般式(L-5)で表される化合物は、式(L-5.1)又は式(L-5.2)で表される化合物であることが好ましく、特に、式(L-5.1)で表される化合物であることが好ましい。
【0324】
【0325】
式(L-5.1)又は式(L-5.2)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して20質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、9質量%である。
【0326】
一般式(L-5)で表される化合物は、式(L-5.3)又は式(L-5.4)で表される化合物であることが好ましい。
【0327】
【0328】
式(L-5.3)又は式(L-5.4)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して20質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、9質量%である。
【0329】
一般式(L-5)で表される化合物は、式(L-5.5)から式(L-5.7)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、特に式(L-5.7)で表される化合物であることが好ましい。
【0330】
【0331】
これらの化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して20質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、9質量%である。
【0332】
一般式(L-6)で表される化合物は下記の化合物である。
【0333】
【0334】
(式中、RL61及びRL62はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表し、XL61及びXL62はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。ただし一般式(N-1)で表される化合物は除く。)
【0335】
RL61及びRL62はそれぞれ独立して炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。アルケニル基の不飽和結合とベンゼンは直接結合していないことが好ましい。
【0336】
XL61及びXL62は、一方がフッ素原子であり、他方が水素原子であることが好ましい。
【0337】
一般式(L-6)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0338】
式(L-6)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、14質量%であり、16質量%であり、20質量%であり、23質量%であり、26質量%であり、30質量%であり、35質量%であり、40質量%である。上記含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して50質量%であり、40質量%であり、35質量%であり、30質量%であり、20質量%であり、15質量%であり、10質量%であり、5質量%である。Δnを大きくすることに重点を置く場合には含有量を多くした方が好ましく、低温での析出に重点を置いた場合には含有量は少ない方が好ましい。
【0339】
一般式(L-6)で表される化合物は、式(L-6.1)から式(L-6.9)で表される化合物であることが好ましい。
【0340】
【0341】
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、これらの化合物の中から1種~3種類含有することが好ましく、1種~4種類含有することがさらに好ましい。また、選ぶ化合物の分子量分布が広いことも溶解性に有効であるため、例えば、式(L-6.1)又は(L-6.2)で表される化合物から1種類、式(L-6.4)又は(L-6.5)で表される化合物から1種類、式(L-6.6)又は式(L-6.7)で表される化合物から1種類、式(L-6.8)又は(L-6.9)で表される化合物から1種類の化合物を選び、これらを適宜組み合わせることが好ましい。その中でも、式(L-6.1)、式(L-6.3)式(L-6.4)、式(L-6.6)及び式(L-6.9)で表される化合物を含むことが好ましい。
【0342】
一般式(L-6)で表される化合物は、例えば式(L-6.10)から式(L-6.17)で表される化合物であることが好ましく、その中でも、式(L-6.11)で表される化合物であることが好ましい。
【0343】
【0344】
これら化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%である。これら化合物の含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して20質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、9質量%である。
【0345】
一般式(L-7)で表される化合物は下記の化合物である。
【0346】
【0347】
(式中、RL71及びRL72はそれぞれ独立して一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表し、AL71及びAL72はそれぞれ独立して一般式(L)におけるAL2及びAL3と同じ意味を表すが、AL71及びAL72上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子によって置換されていてもよく、ZL71は一般式(L)におけるZL2と同じ意味を表し、XL71及びXL72はそれぞれ独立してフッ素原子又は水素原子を表す。ただし一般式(N-1)から(N-3)で表される化合物は除く。)
【0348】
式中、RL71及びRL72はそれぞれ独立して炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数1~4のアルコキシ基が好ましい。アルケニル基の不飽和結合とベンゼンは直接結合していないことが好ましい。
【0349】
AL71及びAL72は、それぞれ独立して1,4-シクロヘキシレン基又は1,4-フェニレン基が好ましく、AL71及びAL72上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子によって置換されていてもよく、
【0350】
ZL71は単結合又はCOO-が好ましく、単結合が好ましい。
【0351】
XL71及びXL72は共に水素原子が好ましい。
【0352】
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて組み合わせる。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類である。
【0353】
本発明の液晶組成物において、一般式(L-7)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0354】
式(L-7)で表される化合物の含有量の下限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して1質量%であり、2質量%であり、3質量%であり、5質量%であり、7質量%であり、10質量%であり、14質量%であり、16質量%であり、20質量%である。上記化合物の含有量の上限値は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して30質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、10質量%であり、5質量%である。
【0355】
本発明の液晶組成物が高いTniの実施形態が望まれる場合は式(L-7)で表される化合物の含有量を多めにすることが好ましく、低粘度の実施形態が望まれる場合は含有量を少なめにすることが好ましい。
【0356】
一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.1)から式(L-7.4)で表される化合物であることが好ましく、式(L-7.2)で表される化合物であることが好ましい。
【0357】
【0358】
一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.11)から式(L-7.13)で表される化合物であることが好ましく、式(L-7.11)で表される化合物であることが好ましい。
【0359】
【0360】
一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.21)から式(L-7.23)で表される化合物である。式(L-7.21)で表される化合物であることが好ましい。
【0361】
【0362】
一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.31)から式(L-7.34)で表される化合物であることが好ましく、式(L-7.31)又は/及び式(L-7.32)で表される化合物であることが好ましい。
【0363】
【0364】
一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.41)から式(L-7.44)で表される化合物であることが好ましく、式(L-7.41)又は/及び式(L-7.42)で表される化合物であることが好ましい。
【0365】
【0366】
一般式(L-7)で表される化合物は、式(L-7.51)から式(L-7.53)で表される化合物であることが好ましい。
【0367】
【0368】
[4]その他
本発明の液晶組成物において、一般式(II)で表される化合物の総含有量は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して80質量%以上であり、85質量%以上であり、88質量%以上であり、90質量%以上であり、92質量%以上であり、93質量%以上であり、94質量%以上であり、95質量%以上であり、96質量%であり、97質量%であり、98質量%以上であり、99質量%以上である。また、上記総含有量は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して99.99質量%未満であり、99.95質量以下%であり、99.5質量%以下であり、99.0質量%以下であり、98質量%以下であり、95質量%以下である。
【0369】
本発明の液晶組成物が25℃における誘電率異方性(Δε)が負の値を有するには、一般式(N-1)から(N-3)で表される化合物群から選択される化合物および一般式(L)で表される化合物の総含有量が、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して80質量%以上であり、85質量%以上であり、88質量%以上であり、90質量%以上であり、92質量%以上であり、93質量%以上であり、94質量%以上であり、95質量%以上であり、96質量%以上であり、97質量%以上であり、98質量%以上であり、99質量%以上である。また、上記総含有量は、好ましくは本発明の液晶組成物の総量に対して99.99質量%未満であり、99.95質量以下%であり、99.5質量%以下であり、99.0質量%以下であり、98質量%以下であり、95質量%以下である。
【0370】
また、液晶組成物の高い耐光性と高い溶解性を両立させる観点から、一般式(II)で表される化合物を用いる場合において、一般式(L)で表される化合物と、一般式(N-1)から一般式(N-3) で表される化合物の合計含有量が、色素含有液晶組成物100質量%中において95~100質量%であることが好ましく、97~100質量%であることが好ましい。
【0371】
ここで、一般式(L)で表される化合物は、一般式(L-1A)、一般式(L-1B)、一般式(L-2)、一般式(L-3)、一般式(L-4)、一般式(L-5)、一般式(L-6)及び一般式(L-7)からなる化合物群より選ばれる化合物であることが好ましい。また、一般式(L)で表される化合物の総含有量のうち、一般式(L-1A)、一般式(L-1B)、一般式(L-2)、一般式(L-3)、一般式(L-4)、一般式(L-5)、一般式(L-6)及び一般式(L-7)からなる化合物群より選ばれる化合物の合計含有量が90%以上であることが好ましく、95%以上であることが好ましい。
【0372】
また、一般式(L)で表される化合物は、一般式(L-1A)、一般式(L-1B)、一般式(L-2)、一般式(L-3)からなる化合物群より選ばれる化合物を1種以上含み、かつ、一般式(L-4)、一般式(L-5)、一般式(L-6)及び一般式(L-7)からなる化合物群より選ばれる化合物を1種以上含むことが好ましい。
【0373】
なお、当該含有量の関係性は、一般式(II)で表される化合物、並びに/又は一般式(N-1)から一般式(N-3)で表される化合物の任意の下位概念に対しても適用でき、下位概念を含む一般式(II)で表される化合物、並びに/又は一般式(N-1)から一般式(N-3)で表される化合物の任意の組み合わせに対しても適用できる。
【0374】
本発明の液晶組成物は、分子内の環構造がすべて6員環である化合物の含有量が多いことが好ましい。分子内の環構造がすべて6員環である化合物の含有量は、本発明の液晶組成物の総量に対して80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが更に好ましく、実質的に分子内の環構造がすべて6員環である化合物のみで本発明の液晶組成物を構成することが最も好ましい。
【0375】
液晶組成物の酸化による劣化を抑えるためには、本発明の液晶組成物は、環構造としてシクロヘキセニレン基を有する化合物の含有量が少ないことが好ましい。クロヘキセニレン基を有する化合物の含有量は、本発明の液晶組成物の総量に対して、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることが好ましく、実質的に含有しないことが更に好ましい。
【0376】
なお本明細書において実質的に含有しないとは、意図せずに含有する物(不可避的不純物)を除いて含有しないという意味である。
【0377】
また、本発明の液晶組成物が負の誘電率異方性(Δε)を有する場合、本発明の液晶組成物の25℃における誘電率異方性(Δε)が-2以下であることが好ましく、詳しくは-2.0から-8.0の範囲内であることが好ましく、-2.0から-6.0の範囲内が好ましく、-2.0から-5.0の範囲内がより好ましく、-2.5から-4.0の範囲内が特に好ましい。
【0378】
本発明の液晶組成物は、25℃における屈折率異方性(Δn)が0.08から0.14の範囲内であることが好ましく、0.09から0.13の範囲内がより好ましく、0.09から0.12の範囲内が特に好ましい。更に詳述すると、薄いセルギャップに対応する場合は0.10から0.13の範囲内であることが好ましく、厚いセルギャップに対応する場合は0.08から0.10の範囲内であることが好ましい。
【0379】
本発明の液晶組成物は、25℃における粘度(η)が10から50mPa・sであるが、10から40mPa・sであることがより好ましく、10から35mPa・sであることが特に好ましい。
【0380】
本発明の液晶組成物は、25℃における回転粘性(γ1)が40から130mPa・sの範囲内であることが好ましく、50から110mPa・sの範囲内であることがより好ましく、60から100mPa・sの範囲内であることが特に好ましい。
【0381】
本発明の液晶組成物は、ネマチック相-等方性液体相転移温度(Tni)が60℃から120℃の範囲内であることが好ましく、70℃から110℃の範囲内がより好ましく、80℃から100℃の範囲内が特に好ましい。
<色素化合物>
本発明に係る色素含有液晶組成物は、一般式(1)で表される色素化合物に加えて、更に色素化合物の1種又は2種以上を含むことが好ましく、一般式(1)で表される化合物及びそれ以外の色素化合物を合計で3種以上含むことが好ましい。複数の色素化合物を用いる場合には、複数の色素化合物が互いに異なる吸収波長を有していることが好ましく、これにより黒色など所望の色に調製することが可能になる。
【0382】
色素化合物は、350~750nmの間に最大吸収波長を有することが好ましい。特に、一般式(1)で表される化合物が赤色色素である場合は500~600nm、黄色色素である場合は400~500nm、青色色素である場合は600~750nmの間にそれぞれ最大吸収を有することが好ましい。
【0383】
最大吸収波長の測定方法は、次の通りである。
【0384】
まず、色素化合物を溶解することができる任意の液晶組成物100質量部に対して、色素化合物を1.0質量部添加して溶解させて、試料を調製する。
【0385】
次に、ITO電極を有し、当該ITO電極上に水平配向用配向膜を備えた2cm×2cmのガラス基板を2枚用いて、ITO電極層をセルの内側として、プラスチック粒子によりセル厚10μmに調整した注入口を備えたセルを作製する。
【0386】
当該セルに、試料を注入し、注入口を封止材で塞ぐことにより、素子を作製する。
【0387】
次に、スペクトルメーター(大塚電子社製、「LCD-5200」)を用いて、25℃、電圧無印加の条件下、作製した素子を用いて、350~750nmの間の吸収スペクトルを測定することにより、色素化合物の最大吸収波長を求めることができる。
【0388】
また、色素化合物は、二色性色素であることが好ましい。
【0389】
色素化合物として、アゾ系化合物、アントラキノン系化合物、メチン系化合物、アゾメチン系化合物、メロシアニン系化合物、キノン系化合物、ナフトキノン系化合物、テトラジン系化合物、ペリレン系化合物、テリレン系化合物、クアテリレン系化合物、高リレン系化合物、インジゴ系化合物、ジオキサジン系化合物、アズレン系化合物、ピロメテン系化合物、スピロピラン系化合物及びジアリールエテン系化合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0390】
アゾ系化合物としては、ジスアゾ系化合物及びトリスアゾ系化合物等が挙げられる。
【0391】
色素化合物の具体例としては、SI-486(黄、二色性色素、アゾ系化合物)、SI-426(赤、二色性色素、アゾ系化合物)、M-483(二色性色素、青)、M-412(二色性色素、青)等が挙げられる。
【0392】
液晶組成物に用いる色素化合物の種類は、1種又は2種以上、好ましくは1~5種、好ましくは1~4種、好ましくは1~3種である。
【0393】
色素化合物及び添加物を含まない液晶組成物100質量%に対する、一般式(1)で表される化合物も含めた色素化合物の合計含有量の下限値は、0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることが好ましく、0.4質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることが好ましく、0.7質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることが好ましい。
【0394】
色素化合物及び添加物を含まない液晶組成物100質量%に対する、一般式(1)で表される化合物も含めた色素化合物の上限値は、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることが好ましく、12質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることが好ましい。
【0395】
色素化合物及び添加物を含まない液晶組成物100質量%に対する、一般式(1)で表される化合物も含めた色素化合物の合計含有量は、0.1~20質量%であることが好ましく、0.2~15質量%であることが好ましく、0.3~15質量%であることが好ましく、0.5~12質量%であることが好ましく、0.8~10質量%であることが好ましく、1~8質量%であることが好ましく、1~6質量%であることが好ましい。
<ヘイズ調整剤>
本発明に係る色素含有液晶組成物は、必要に応じてヘイズ調整剤を含有することができる。ヘイズ調整剤は非イオン性かつ高極性の官能基を有する化合物であることが、電圧保持率あるいは抵抗率を適切な値に調節しつつ、液晶表示素子製造時のイオンクロマト現象による素子の表示不良を防ぐ観点から好ましい。
【0396】
色素含有液晶組成物に用いるヘイズ調整剤の種類は、1種又は2種以上、好ましくは1~5種、好ましくは1~4種、好ましくは1~3種、好ましくは1~2種である。
【0397】
ヘイズ調整剤を使用する場合における、色素化合物及び添加物を含まない液晶組成物100質量%に対する、ヘイズ調整剤の合計含有量の下限値は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることが好ましい。
【0398】
ヘイズ調整剤を使用する場合における、色素化合物及び添加物を含まない液晶組成物100質量%に対する、ヘイズ調整剤の合計含有量の上限値は、4.0質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以下であることが好ましい。
【0399】
ヘイズ調整剤を使用する場合における、色素化合物及び添加物を含まない液晶組成物100質量%に対する、ヘイズ調整剤の合計含有量は、0.01~3.0質量%であることが好ましく、0.01~2.0質量%であることが好ましく、0.05~1.5質量%であることが好ましく、0.1~1.0質量%であることが好ましい。
【0400】
ヘイズ調整剤としては下記の一般式(H)で表される化合物が好ましい。
【0401】
【0402】
(一般式(H)中、
RH1及びRH2は水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、イソシアノ基、チオイソシアノ基、又は、1個の-CH2-又は隣接していない2個以上の-CH2-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-又は-C≡C-によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、
AH1及びAH2は各々独立して1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基又はナフタレン-1,4-ジイル基を表すが、これらの基は無置換であるか又は1つ以上のLHによって置換されても良く、AH1が複数現れる場合は各々同一であっても異なっていても良く、
LHはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、ニトロソ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、1個の-CH2-又は隣接していない2個以上の-CH2-が各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、Lが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く
ZH1は-O-、-S-、-OCH2-、-CH2O-、-CH2CH2-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-OCO-NH-、-NH-COO-、-NH-CO-NH-、-NH-O-、-O-NH-、-SCH2-、-CH2S-、-CF2O-、-OCF2-、-CF2S-、-SCF2-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CH2CH2-、-OCO-CH2CH2-、-CH2CH2-COO-、-CH2CH2-OCO-、-COO-CH2-、-OCO-CH2-、-CH2-COO-、-CH2-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-、-N=CH-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-又は単結合を表すが、ZH1が複数現れる場合は各々同一であっても異なっていても良く、
mHは0、1又は2を表し、
かつ、構造中に一つ以上の塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基又はチオイソシアノ基を有する。)
ヘイズ調整剤としては、具体的には下記の化合物が好ましい。
【0403】
【化76】
<添加剤>
本発明に係る色素含有液晶組成物は、必要に応じて上述のその他の化合物、添加物を混合することにより、製造することができる。添加物としては、安定剤、カイラル剤、帯電防止剤、ネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶、重合性化合物等が挙げられる。
【0404】
安定剤としては、酸化防止剤、紫外線(UV)吸収剤、光安定剤又は赤外線吸収剤等が挙げられる。
【0405】
酸化防止剤としては、ヒドロキノン誘導体、ニトロソアミン系重合禁止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
【0406】
より具体的には、tert-ブチルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、和光純薬工業株式会社製の「Q-1300」、「Q-1301」、BASF社の「IRGANOX1010」、「IRGANOX1035」、「IRGANOX1076」、「IRGANOX1098」、「IRGANOX1135」、「IRGANOX1330」、「IRGANOX1425」、「IRGANOX1520」、「IRGANOX1726」、「IRGANOX245」、「IRGANOX259」、「IRGANOX3114」、「IRGANOX3790」、「IRGANOX5057」、「IRGANOX565」等が挙げられる。
【0407】
紫外線(UV)吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
【0408】
より具体的には、例えばヒンダードフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、トリアジン系化合物等が挙げられる。
【0409】
ヒンダードフェノール系化合物としては、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ペンタエリスリチル-テトラキス〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナミド)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレートが挙げられる。
【0410】
ベンゾトリアゾール系化合物としては、2-(2′-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2-メチレンビス(4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール)、(2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、トリエチレングリコール-ビス〔3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナミド)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロルベンゾトリアゾール、(2-(2′-ヒドロキシ-3’,5-ジ-tert-アミルフェニル)-5-クロルベンゾトリアゾール、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ペンタエリスリチル-テトラキス〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が挙げられる。
【0411】
より具体的には、BASFジャパン(株)製の「TINUVIN109」、「TINUVIN171」、「TINUVIN326」、「TINUVIN327」、「TINUVIN328」、「TINUVIN770」、「TINUVIN900」、「TINUVIN928」、ケミプロ化成(株)製の、「KEMISORB 71」、「KEMISORB 73」、「KEMISORB 74」等が挙げられる。
【0412】
色素含有液晶組成物に用いる安定剤の種類は、1種又は2種以上、好ましくは1~5種、好ましくは1~4種、好ましくは1~3種、好ましくは1~2種である。
【0413】
安定剤を使用する場合における、色素化合物及び添加物を含まない液晶組成物100質量%に対する、安定剤の合計含有量の下限値は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることが好ましい。
【0414】
安定剤を使用する場合における、色素化合物及び添加物を含まない液晶組成物100質量%に対する、安定剤の合計含有量の上限値は、2.0質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以下であることが好ましい。
【0415】
安定剤を使用する場合における、色素化合物及び添加物を含まない液晶組成物100質量%に対する、安定剤の合計含有量は、0.01~2.0質量%であることが好ましく、0.05~1.5質量%であることが好ましく、0.1~1.0質量%であることが好ましい。
【0416】
また、カイラル剤を色素含有液晶組成物に添加することにより、液晶をツイストして配向させることができる。カイラル剤を添加した場合における色素含有液晶組成物における液晶分子のツイストは、吸光度を高める観点から、90°以上が好ましく、180°以上が好ましく、90~720°が好ましく、180~360°が好ましく、180~720°が好ましく、270~540°が好ましく、270~450°が好ましい。
【0417】
液晶分子のツイストは、第一の透明基板と第二の透明基板の配置によって、配向軸の角度を調整することでも調整することができる。
【0418】
カイラル剤を添加した場合における色素含有液晶組成物における捩れピッチ(p)は、2~30μmであることが好ましく、5~20μmであることが好ましい。
【0419】
捩じれピッチ(p)は、二枚の基板を有し、セル厚が緩やかに変化するアンチパラレルにラビングされた楔型液晶セルに所定量のカイラル剤を含む液晶組成物を注入して、楔型液晶セルの傾きの角度θ(上面の基板の傾き)と測長器などで測定した楔型液晶セルのディスクリネーションラインの間隔Lから算出することができ、p=2×L×tanθとなる。
【0420】
捩れピッチ(p)とセル厚(d)との関係であるd/p値は、0.1~2.2であることが好ましく、0.5~1.5であることが好ましい。具体的には、ツイスト角に応じて捩れピッチ(p)とセル厚(d)の関係d/p値が最適となるように調節することが好ましい。最適なd/p値とは、リバースツイストドメインやストライプドメインなどの配向欠陥がでない領域である。目視や顕微鏡などでドメインを観察して配向欠陥が生じないよう調節することが好ましい。
【0421】
カイラル剤は、右巻きであっても左巻きであっても良く、素子の構成によって適宜使い分ければ良い。また、カイラル剤として、TNモード又はSTNモードに用いられるカイラル剤を転用しても良い。
【0422】
例えば、カイラル剤としては、「Chiral S-811(下記構造式(CA-1)で表される化合物)」等が挙げられる。
【0423】
【0424】
なお、構造式(CA-1)中、「*」は、不斉中心を表す。
【0425】
色素含有液晶組成物に用いるカイラル剤の種類は、1種又は2種以上、好ましくは1~5種、好ましくは1~4種、好ましくは1~3種、好ましくは1~2種、好ましくは1種である。
【0426】
カイラル剤を使用する場合における、色素化合物及び添加物を含まない液晶組成物100質量%に対する、カイラル剤の合計含有量の下限値は、0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることが好ましい。
【0427】
カイラル剤を使用する場合における、色素化合物及び添加物を含まない液晶組成物100質量%に対する、カイラル剤の合計含有量の上限値は、5質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以下であることが好ましい。
【0428】
カイラル剤を使用する場合における、色素化合物及び添加物を含まない液晶組成物100質量%に対する、カイラル剤の合計含有量は、0.05~5質量%であることが好ましく、0.1~3.0質量%であることが好ましく、0.3~2.0質量%であることが好ましく、0.5~1.5質量%であることが好ましい。
【0429】
液晶相上限温度(TNI)は、色素含有液晶組成物に用いる液晶組成物がネマチック相から等方相へ相転移する温度である。本発明に係る色素含有液晶組成物に用いる液晶組成物の液晶相上限温度(TNI)は、TNIが高いほど高温でもネマチック相を維持することができ、駆動温度範囲を広く取ることができる観点から、95℃以上であることが好ましく、100~150℃であることが好ましく、100~130℃であることが好ましい。
【0430】
液晶相下限温度(T→N)は、色素含有液晶組成物に用いる液晶組成物が他の相(ガラス、スメクチック相、結晶相)からネマチック相へ相転移する温度である。本発明に係る色素含有液晶組成物に用いる液晶組成物の液晶相下限温度(T→N)は、T→Nが低いほど低温でもネマチック相を維持することができるため、駆動温度範囲を広く取ることができる観点から、-15℃以下であることが好ましく、-78~-20℃であることが好ましく、-65~-25℃であることが好ましい。
【0431】
本発明に係る色素含有液晶組成物に用いる液晶組成物の25℃、589nmにおける屈折率異方性(Δn)は、0.05以上であることが好ましく、0.06~0.20であることが好ましく、0.07~0.15であることが好ましく、0.08~0.13であることが好ましい。
【0432】
本発明に係る色素含有液晶組成物に用いる液晶組成物の25℃、589nmにおける液晶分子の長軸方向の屈折率(ne)は、1.4以上であることが好ましく、1.45~1.65であることが好ましく、1.50~1.63であることが好ましい。
【0433】
本発明に係る色素含有液晶組成物に用いる液晶組成物の25℃、589nmにおける液晶分子の短軸方向の屈折率(no)は、1.3以上であることが好ましく、1.35~1.55であることが好ましく、1.40~1.53であることが好ましい。
【0434】
なお、アッベ屈折計を用いて、色素含有液晶組成物に用いる液晶組成物のne、noを測定し、Δnを算出する事が出来る。
【0435】
本発明に係る色素含有液晶組成物に用いる液晶組成物の25℃における回転粘性(γ1)は、100~180mPa・sであることが好ましく、105~175mPa・sであることが好ましく、110~170mPa・sであることが好ましく、115~165mPa・sであることが好ましい。
【0436】
本発明に係る色素含有液晶組成物に用いる液晶組成物の25℃における弾性定数K11は、1.0~30.0pNであることが好ましく、5.0~25.0pNであることが好ましく、10.0~20.0pNであることが好ましい。
【0437】
本発明に係る色素含有液晶組成物に用いる液晶組成物の25℃における弾性定数K22は、1.0~25.0pNであることが好ましく、3.0~20.0pNであることが好ましく、5.0~15.0pNであることが好ましい。
【0438】
本発明に係る色素含有液晶組成物に用いる液晶組成物の25℃における弾性定数K33は、1.0~35.0pNであることが好ましく、5.0~30.0pNであることが好ましく、10.0~25.0pNであることが好ましい。
【0439】
(液晶素子)
次に、上述の色素含有液晶組成物を用いた液晶素子について説明する。
【0440】
本発明の液晶素子は、少なくとも一方に透明電極が設けられた2つの透明基板と、前記透明基板間に二色性色素を含有する液晶組成物(色素含有液晶組成物)を含む駆動層が配置された液晶素子であり、前記透明基板の前記駆動層と接する面に垂直配向膜が設置されていることが好ましい。
【0441】
本発明の液晶素子は、上記要素を備えるものであれば、具体的な実施形態は特に限定されるものではないが、例えば、少なくとも一方に透明電極が設けられた2つの透明基板と垂直配向膜とから構成される中空素子中に色素含有液晶組成物が狭持された構成としてよい。
【0442】
本発明の液晶素子は、電圧無印加時には光透過状態であり、電圧印加時には光散乱状態とすることができる。ここで、本発明の液晶素子は、重合体からなる緻密な高分子ネットワーク(ポリマーネットワーク)を駆動層に含むことなく、高いコントラスト比を実現できる。よって、本発明の液晶素子は、重合反応によってポリマーネットワークを形成する際の色素化合物の分解といった好ましくない現象を起こすことなしに液晶素子を作製することができる。
【0443】
液晶素子における色素含有液晶組成物のプレチルト角は、80~99.9°であることが好ましく、90~99.7°であることが更に好ましく、95~99.5°であることが特に好ましい。プレチルト角は、シンテック製OPTIPROを用いて測定することができる。
【0444】
液晶素子における透明基板の間隔(セル厚)は、1~100μmが好ましく、1.5~30μmがより好ましく、3~20μmがさらに好ましい。基板の間隔はスペーサーを用いて調整してもよい。スペーサーとしては、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子、フォトレジスト材料等が挙げられる。
【0445】
また、本発明に係る液晶素子は、紫外線による劣化を防ぐ観点から、紫外線カットフィルムを備えていてもよい。例えば、400nm以下の波長の光をカットする、紫外線(UV)カットフィルムを液晶素子上に積層させてもよく、貼り付けてもよい。
【0446】
また、本発明に係る液晶素子は、単層として用いてもよいし、複数の液晶素子を2層又は3層以上積層して用いてもよい。
【0447】
(透明電極)
透明電極は、本発明の液晶素子中において、駆動層中の液晶分子を配向制御可能な電界を生じるように設けられる。透明電極層としては、ITO電極が好ましい。電界強度は、透明電極への電圧印加の程度により制御される。
【0448】
透明電極の形状は特に限定されず、導電部がストライプ状もしくはメッシュ状、またはランダムな網目状であってよい。
【0449】
(透明基板)
前記透明基板の材料としては、ガラス、プラスチック等を用いることができる。本発明の液晶素子をフレキシブルディスプレイに適用する場合は、透明基板は可撓性であることが好ましい。
【0450】
(液晶素子の駆動方法)
周波数30~300Hzの矩形波で駆動される事が望ましい。30Hz以下になると、極性反転時に対応する輝度変化が視認され品質低下となる。またあまりにも高周波数であると大面積の素子の場合信号の遅延が懸念となってくる。そのため上限としては300Hz以下が好ましい。より好ましい範囲としては50~200Hz、さらには60~100Hzでの駆動が更に好ましい範囲となる。
【0451】
(液晶素子の製造例)
素子は、次のようにして作製することができる。
【0452】
例えば、第一の透明基板上にエポキシ系熱硬化性組成物等のシール剤を注入口を設けた形で描画し、第二の透明基板と当該第一の基板を透明電極が内側になるように貼り合わせ、その後加熱してシール剤を熱硬化させることにより、中空セルを作製できる。そして、当該中空セルに、通常の真空注入法などを用いて色素含有液晶組成物を狭持させることにより、液晶素子を作製することができる。
【0453】
また、第一の透明基板上にエポキシ系熱硬化性組成物等のシール剤を描画し、真空条件下でODF法又はインクジェット法などにより色素含有液晶組成物を滴下した後に第二の透明基板と当該第一の基板同士を透明電極が内側になるように貼り合わせ、その後加熱してシール剤を熱硬化させることにより、液晶素子を作製することもできる。
【0454】
また、よりコントラストを向上させたい場合には、本液晶素子に光学フィルムを更に配置しても良い。
【0455】
本発明の液晶素子は、例えば、サングラス、赤外域の光学素子、建材、調光ガラス、車載向けのスマートウィンドウ又はOLEDディスプレイにおける調光ユニット等に用いることが好ましい。また従来の高分子分散型液晶表示素子と同様な用途に用いることができる。液晶素子の用途としては、液晶表示素子、調光素子または光透過装置であることが好ましい。
【0456】
(液晶素子の電圧保持率)
TFTを用いたアクティブマトリクス型液晶表示素子においては,TFT がオンになった時,信号電圧VsはTFTを通じてドレイン電圧Vdとして画素電極に印加される。この時,電極間に充電された電荷量は,種々の要因にて時間とともに減衰し,液晶層に所定の電圧が印加されなくなるという問題が起こる。この時,充電された電荷が1フレーム(16.7ms)の間にどれくらい保持されるかを示すのが電圧保持率(VHR,%)である。
【0457】
本願発明の液晶素子においては、電圧保持率が一定の値以下であることにより、優れた透過散乱特性を基に高いコントラスト比を示す。この観点から、電圧保持率が80%以下であることが好ましく、75%以下であることが好ましく、70%以下であることが好ましく、65%以下であることが好ましく、60%以下であることが好ましく、55%以下であることが好ましく、50%以下であることが好ましく、45%以下であることが好ましく、40%以下であることが好ましく、35%以下であることが好ましく、30%以下であることが好ましい。その一方で、この高いコントラスト比を達成できる限りにおいては、電圧保持率が高いほど消費電力が少なくて済むため好ましい。この観点から、電圧保持率は1%以上であることが好ましく、2%以上であることが好ましく、3%以上であることが好ましく、5%以上であることが好ましく、7%以上であることが好ましく、10%以上であることが好ましく、12%以上であることが好ましく、15%以上であることが好ましく、18%以上であることが好ましく、20%以上であることが好ましく、23%以上であることが好ましく、25%以上であることが好ましい。さらに上記の観点を総合すると、電圧保持率は1%以上80%以下であることが好ましく、2%以上75%以下であることが好ましく、2%以上70%以下であることが好ましく、2%以上65%以下であることが好ましく、3%以上75%以下であることが好ましく、3%以上70%以下であることが好ましく、3%以上65%以下であることが好ましく、3%以上60%以下であることが好ましく、5%以上75%以下であることが好ましく、5%以上70%以下であることが好ましく、5%以上65%以下であることが好ましく、5%以上60%以下であることが好ましい。
【0458】
(液晶素子のヘイズ値)
本願発明の液晶素子は光散乱時に曇った外観を生じる。「ヘイズ」及び「ヘイズ値」はこのような場合における、駆動層による光の散乱及びその度合いを示す。本明細書で使用される用語「ヘイズ」と「ヘイズ値」は光学装置の透過ヘイズを指す。
【0459】
「透過ヘイズ」は透過の際に観察される光学装置の表面からの光の前方散乱として定義される。「透過ヘイズ」は、透明またはやや半透明な材料を通過する光を見ることにより同材料が観察されるときのヘイズを指す。通常、試料中を後方散乱される光は含まれない。ヘイズ値(%)は、入射光方向から一定角度より大きな角度で散乱した光の百分率である。ヘイズ値を測定する際、全透過光(Ttotal)に対する拡散散乱光(Tdiffuse)の百分率は次のように報告される。
【0460】
ヘイズ値(%)=Tdiffuse×100/Ttotal
(ここで、T=%透過率 である。)
【実施例0461】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0462】
以下の実施例及び比較例の組成物は各化合物を表中の割合で含有し、含有量は「質量%」で記載した。また、化合物の記載は、表1及び表2に示す通り以下の略号を用いる。なお、シス体とトランス体を取りうる化合物は、特に断りがない限りトランス体を表す。
【0463】
<環構造>
【0464】
【0465】
<末端構造>
【0466】
【0467】
(ただし、表中のnは自然数である。)
<連結構造>
【0468】
【0469】
<色素化合物>
【0470】
【0471】
【0472】
【0473】
なお、下記の色素は一般式(1)とは構造の異なる、市販のアゾ系色素である。
・AZO-1:青色を呈する二色性色素化合物(アゾ系)、最大吸収波長633nm
・AZO-2:赤色を呈する二色性色素化合物(アゾ系)、最大吸収波長517nm
・AZO-3:黄色を呈する二色性色素化合物(アゾ系)、最大吸収波長405nm
<酸化防止剤>
・IRGANOX1076:ヒンダードフェノール系酸化防止剤
<紫外線(UV)吸収剤>
・KEMISORB71:ベンゾトリアゾール系化合物
<色素含有液晶組成物に用いた液晶組成物の物性>
色素含有液晶組成物に用いた液晶組成物について物性値を測定した。各項目の意味は以下の通りである。
TNI(℃):液晶組成物がネマチック相から等方相へ転移する温度(上限温度)
T→N(℃):液晶組成物が他の相からネマチック相へ転移する温度(下限温度)
Δn:液晶組成物の25℃、589nmにおける屈折率異方性
Δε:液晶組成物の25℃における誘電率異方性
γ1(mPa・s):25℃における回転粘性
(実施例1~11及び比較例1~10)
<色素含有液晶組成物に用いる液晶組成物の調製>
各液晶化合物を各割合にて混合することにより、色素含有液晶組成物に用いる液晶組成物LC-1~LC-5を調製し、その物性値を測定した。結果を表4~表5に示す。
【0474】
【0475】
【0476】
<液晶素子の作製>
LC1~5に色素化合物、酸化防止剤、UV吸収剤を混合して溶解させることにより、色素含有液晶組成物を調製した。次に、ITO電極を有し、当該ITO電極上に垂直配向用配向膜(JALS-20965)を備えた2cm×2cmのガラス基板を2枚用いて、ITO電極層をセルの内側として、プラスチック粒子によりセル厚10μmに調整した注入口を備えたセルを作製した。当該セルに、色素含有液晶組成物を注入し、注入口を封止材で塞ぐことにより、液晶素子を作製した。
<電圧保持率試験>
作成した液晶素子に対し、25℃で、パルス幅60μsで10V印可し、フレームタイム16.7ms後に測定した測定電圧と初期印可電圧との比を%で表した。結果を表6~10に示す。
<ヘイズ試験>
作成した液晶素子に対し、矩形波電圧(AC0V~50V、60Hz)を用いて、電圧無印加時と各電圧印加時のそれぞれについてヘイズ値を測定した。ヘイズ特性評価には、日本電色工業株式会社製NDH-7000を用いた。結果を表6~10に示す。
【0477】
なお、表6~10において色素化合物、酸化防止剤、カイラル剤の添加量(質量部)は液晶組成物100質量部に対する添加量を表す。
【0478】
【0479】
【0480】
【0481】
【0482】
実施例1~11並びに比較例1~10より、本願発明の、色素含有液晶組成物を用いた液晶素子においては、当該色素含有液晶組成物の電圧保持率が一定値を下回る条件下において、電圧無印加時と矩形波電圧印加時のヘイズ値の差が大きくなることが分かる。
【0483】
また、いずれの液晶素子においても、素子面内でのヘイズが均一であることを目視で確認した。
【0484】
(比較例11~20)
比較例1~10で用いた液晶組成物、色素、酸化防止剤、紫外線吸収剤からなる色素含有液晶組成物に対し、Sigma Aldrich社のCTAB(臭化セチルトリメチルアンモニウム)を加えて電圧保持率が60%以下になるよう調整したところ、液晶素子作成時の液晶注入工程における液晶組成物の流動方向に依存して素子面内でのヘイズが不均一であることが目視で確認された。
【0485】
(実施例12~13)
二色性色素3種類を用いて調整した黒色の色素含有液晶組成物を用いて、実施例1~11と同様の方法で液晶素子を作製した。結果を表10~表11に示す。
【0486】
【0487】
【0488】
実施例12より、本願発明の色素含有液晶組成物を用いた液晶素子は、電圧無印加時のヘイズ値は非常に低く、一方で電圧印加時のヘイズ値は非常に高いことから、黒色の場合に極めて優れたコントラスト比を示すことが分かる。
【0489】
一方比較例21では、電圧保持率が比較的高く、ヘイズも大きくないため、コントラストが実施例12よりも劣ることが分かる。
【0490】
以上の結果から、本願発明の液晶素子は、電圧無印加時と矩形波電圧印加時のヘイズ値の差が大きく、すぐれたコントラスト比を示すことが確認された。なお、実施例12の液晶組成物に、カイラル材(CA-1)をd/p=1.0になるよう添加した場合でも、同様な電圧保持率:3.0%とヘイズ値92.5%@50Vを得られ、同様な効果を確認出来た。
【0491】
(実施例13~14)
二色性色素3種類を用いて調整した黒色の色素含有液晶組成物に対し、さらにヘイズ調整剤として下記の化合物を添加し、実施例1~11と同様の方法で液晶素子を作製した。結果を表12~表13に示す。
【0492】
【0493】
【0494】
【0495】
実施例13及び14より、本願発明の色素含有液晶組成物を用いた液晶素子は、電圧無印加時のヘイズ値は非常に低く、一方で電圧印加時のヘイズ値は非常に高いことから、黒色の場合に極めて優れたコントラスト比を示すことが分かる。
【0496】
以上の結果から、本願発明の液晶素子は、電圧無印加時と矩形波電圧印加時のヘイズ値の差が大きく、すぐれたコントラスト比を示すことが確認された。なお、実施例13及び14の液晶組成物に、カイラル材(CA-1)をd/p=1.0になるよう添加した場合でも、同様な電圧保持率:3.0%とヘイズ値92.5%@50Vを得られ、同様な効果を確認出来た。
【0497】
(実施例15~16)
二色性色素3種類及びヘイズ調整剤を用いて調整した黒色の色素含有液晶組成物、および当該色素含有液晶組成物に対してさらにカイラル剤(CA-1)を添加し、実施例1~11と同様の方法で液晶素子を作製した。結果を表14~表15に示す。
【0498】
【0499】
【0500】
実施例15より、LC-5のようにΔn値の高い液晶組成物を含有する色素含有液晶組成物を用いた液晶素子は、電圧無印加時のヘイズ値は非常に低く、一方で電圧印加時のヘイズ値は非常に高いことから、黒色の場合に極めて優れたコントラスト比を示すことが分かる。
【0501】
また、実施例16より、カイラル剤を含むことによっても、同様に電圧無印加時のヘイズ値は非常に低く、一方で電圧印加時のヘイズ値は非常に高いことが確認できた。