(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133204
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】液体原料用の温度制御システム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20230914BHJP
C23C 16/448 20060101ALI20230914BHJP
B01J 19/00 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
H01L21/31 F
C23C16/448
B01J19/00 301A
B01J19/00 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023033600
(22)【出願日】2023-03-06
(31)【優先権主張番号】63/318,032
(32)【優先日】2022-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アンキト・キムティー
(72)【発明者】
【氏名】パワン・シャルマ
(72)【発明者】
【氏名】スダンシュ・ビヤニ
【テーマコード(参考)】
4G075
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4G075AA13
4G075AA24
4G075AA44
4G075AA45
4G075AA63
4G075AA65
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5F045AA15
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5F045EE17
5F045EF05
(57)【要約】
【課題】特定の温度制御帯域内または範囲内に維持する必要がある堆積のための液体原料を使用する半導体処理で使用するための反応器システムを提供する。
【解決手段】反応器システムは、液体原料を望ましい温度制御帯域内または範囲内に維持するために、液体原料を貯蔵する容器の加熱および冷却の両方を提供するための加熱冷却装置を含む、温度制御システムを含む。このようにして、加熱冷却装置は、特定の温度制御帯域内の原料温度の強化された制御を提供するために、容器を冷却する必要がある、加熱する必要がある、または同時もしくは加熱と冷却とを交互に使用する反応器システムで使用されてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体原料を冷却および加熱するように構成された反応器システムであって、
反応チャンバと、
前記反応チャンバに流体的に連結された容器であって、前記液体原料の体積を保持するように構成された内部空間を備える容器と、
温度制御システムと、を備え、
前記温度制御システムが、
前記内部空間内に位置しかつ前記液体原料の温度を測定するように構成された温度センサと、
前記容器の側壁の外表面に当接する表面を有する第1の本体と、前記第1の本体を冷却するように動作する冷却機構と、を備える冷却アセンブリと、
前記容器の前記側壁の前記外表面に当接する表面を有する第2の本体と、前記第2の本体を加熱するように動作する加熱機構と、を備える加熱アセンブリと、
前記冷却アセンブリおよび前記加熱アセンブリのうちの少なくとも1つを動作させて、前記液体原料の測定された温度に従って前記容器を選択的に冷却または加熱する制御信号を生成するように構成されたコントローラと、を備える、反応器システム。
【請求項2】
前記コントローラが、前記温度を温度制御範囲内に維持するように前記制御信号を生成するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記制御信号が、前記温度を前記温度制御範囲内に維持するために、前記冷却アセンブリと前記加熱アセンブリとの両方を同時にまたは逐次的に動作させて前記容器の加熱と冷却との両方を行うように生成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の本体および前記第2の本体が、両方とも金属製であり、当接接触になるように一緒に連結されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記冷却アセンブリの第1の本体の表面および前記加熱アセンブリの第2の本体の表面が、前記容器を受容するための円筒状カラーを画定する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記冷却アセンブリの第1の本体を前記加熱アセンブリの第2の本体に接続するためのコネクタアセンブリをさらに備えることによって、前記円筒状カラーの内径が調整可能である、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記冷却機構が熱電モジュールを備え、前記加熱機構が前記加熱アセンブリの第2の本体内に埋め込まれた複数の加熱素子を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記容器の外表面と前記第1の本体および前記第2の本体との間に配置される材料層をさらに備え、前記材料層がアルミニウムを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
反応器システム内の液体原料の温度を制御する方法であって、
反応チャンバに流体的に連結された容器内に液体原料を提供することであって、前記容器が側壁を有し、該側壁の外表面が冷却アセンブリおよび加熱アセンブリの両方に接触している、ことと、
前記液体原料の温度を感知することと、
温度制御帯域に従って感知された温度の処理を行うことと、
前記処理に基づいて、前記冷却アセンブリおよび前記加熱アセンブリのうちの少なくとも1つを動作させて、前記液体原料の前記温度を前記温度制御帯域内に維持することと、を含む方法。
【請求項10】
前記冷却アセンブリを動作させることが、前記容器から熱を取り出すことを含み、前記加熱アセンブリを動作させることが、前記容器に熱を加えることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記冷却アセンブリおよび前記加熱アセンブリのうちの少なくとも1つを動作させることが、前記液体原料の前記温度を温度制御帯域内に維持するために、前記冷却アセンブリと前記加熱アセンブリとの両方を同時にまたは逐次的に動作させることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記冷却アセンブリが、半円筒状形状の内表面を有する第1の本体を含み、前記加熱アセンブリが、円筒状形状の内表面を有する第1の本体および第2の本体を含み、前記第1の本体および前記第2の本体が、前記容器を受容するための内空間を画定するために、互いに向かい合う内表面と当接接触で位置する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記冷却アセンブリが、前記容器から熱を取り出すために前記第1の本体を冷却する熱電モジュールをさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記加熱アセンブリが、前記第2の本体内に埋め込まれた1つ以上の加熱素子をさらに備え、該1つ以上の加熱素子が、前記第2の本体を加熱して前記容器に熱を加える、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
容器を受容するように構成された装置において、
冷却アセンブリであって、
前記容器の側壁の外表面と接触するための半円筒状形状の表面を備える金属製の第1の本体と、
前記第1の本体を冷却するように動作可する冷却機構と、を備える冷却アセンブリと、
加熱アセンブリであって、
前記第1の本体に当接し、かつ前記容器の側壁の外表面と接触するための半円筒状形状の表面を備える金属製の第2の本体と、
前記第2の本体を加熱するように動作する加熱機構と、を備える加熱アセンブリと、を備える装置。
【請求項16】
前記第1の本体の表面および前記第2の本体の表面が、前記容器を受容するための円筒状カラーを画定する、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記第1の本体に対して前記第2の本体を第1の位置と第2の位置に固定するように構成された調整可能な締結具をさらに備える請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記冷却機構が、前記第1の本体に当接する熱電モジュールを備える、請求項15に記載の装置。
【請求項19】
前記加熱機構が、前記第2の本体内に埋め込まれた複数の加熱素子を備える、請求項15に記載の装置。
【請求項20】
前記第1の本体および前記第2の本体が両方ともアルミニウム製または鋼製である、請求項15に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ウエハ上への堆積中に、半導体処理または反応器システム内の液体原料の温度を制御するための方法およびシステムに関し、より具体的には、原料を加熱、冷却、および/または加熱および冷却するための統合型ハードウェアを使用して液体原料容器の温度を制御するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンウエハなどの基材上に材料の薄膜を形成するために、様々な半導体処理方法が使用される場合がある。一部の処理方法では、例えば、堆積される材料のガス状の分子が、化学反応によって基材上にその材料の薄膜を形成するために基材に供給される。こうした形成された薄膜は、多結晶、非晶質、またはエピタキシャルであってもよい。典型的に、半導体処理は、化学反応を加速し、かつ高い品質の膜を生成するために高温で行われ、また堆積材料(例えば、前駆体、反応物質、およびこれに類するもの)は、注意深くモニターされ、かつしばしば比較的小さい温度制御範囲または帯域内の温度に維持される液体原料を介して、シャワーヘッドまたはこれに類するものを介して、反応チャンバへと提供されてもよい。
【0003】
反応チャンバ用の液体原料として使用されるものなど、一部の原料は、半導体プロセスの化学の性質に基づいて異なる温度制御範囲内で制御されなければならない。例えば、一部の原料は、室温を下回って冷却される必要がある場合があり、一方で他の原料は、100℃超などの、室温をかなり上回る温度に加熱される必要がある場合がある。従来の半導体製造システムは、典型的に2つの異なるハードウェアの組を採用して、液体原料に対してこうした温度制御を提供する。特に、1組のハードウェアは、原料が室温を下回って冷却される時に実施され、また第2のハードウェアの組は、原料が室温を上回って加熱される時に実施される。反応器システムがこうした動作範囲の間でその動作を切り換える場合、反応器システムは、冷却または加熱ハードウェアを変更するように修正されなければならず、これは、プロセッシングの望ましくない遅延、ならびに追加的な作業労力および関連コストにつながる可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
この「発明の概要」は、選択された概念を簡略化した形態で紹介するために提供される。これらの概念は、下記の開示の例示の実施形態の「発明を実施するための形態」において、さらに詳細に記述される。この「発明の概要」は、特許請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図せず、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることも意図しない。
【0005】
様々な実施形態によれば、本明細書では、特定の温度制御帯域または範囲内に維持する必要のある、堆積のための原料(例えば、反応物質、前駆体、および他の材料)を使用する、半導体処理で使用するための反応器システムが開示される。原料は、多くの事例では、液体原料を保持または含有しうる貯蔵容器を使用して提供される。特に、反応器システムは、室温を下回る温度と最高で100℃以上のより大きい範囲に収まる場合がある、望ましい温度制御帯域または範囲内に原料(例えば、液体原料)を保持するために、貯蔵容器の加熱と冷却との両方を提供するための加熱冷却装置(または統合型装置)を含む、温度制御システムを含む。このようにして、加熱冷却装置は、特定の温度制御帯域内の原料温度の強化された制御を提供するために、容器を冷却する必要がある、加熱する必要がある、または同時もしくは加熱と冷却とを交互に使用する反応器システムで使用されてもよい。
【0006】
一部の例示的な実施形態では、液体原料を冷却および加熱するように構成された反応器システムが提供される。システムは、反応チャンバと、反応チャンバに流体的に連結された、液体原料の体積を保持するように構成された内部空間を含む容器とを含む。さらにシステムは、(a)内部空間内に位置付けられ、かつ液体原料の温度を測定するように構成された温度センサと、(b)容器の側壁の外表面に当接する表面を有する第1の本体と、第1の本体を冷却するよう動作可能な冷却機構と、を含む、冷却アセンブリと、(c)容器の側壁の外表面に当接する表面を有する第2の本体と、第2の本体を加熱するよう動作可能な加熱機構と、を含む、加熱アセンブリと、(d)冷却アセンブリおよび加熱アセンブリのうちの少なくとも1つを動作させて、液体原料の測定された温度に従って容器を選択的に冷却または加熱する制御信号を生成するように構成されたコントローラと、を含む温度制御システムを含む。
【0007】
反応器システムの一部の例示的な実施形態では、コントローラは、温度を温度制御範囲内に維持するための制御信号を生成するように構成される。温度を温度制御範囲内に維持するために、容器の加熱および冷却の両方をするために、冷却アセンブリと加熱アセンブリとの両方を同時にまたは逐次的に動作させるために、制御信号を生成することができる。
【0008】
システムの同じまたは他の実施形態では、第1の本体および第2の本体は両方とも金属製であり、また当接接触になるように一緒に連結される。さらに、冷却アセンブリおよび加熱アセンブリの第1の本体および第2の本体の表面は、容器を受容するための円筒状カラーを画定するように設計することができる。冷却アセンブリの第1の本体を加熱アセンブリの第2の本体に接続するために、コネクタアセンブリが提供されてもよく、これにより円筒状カラーの内径が調整可能になる。一部の特定の実施では、冷却機構は熱電モジュールを含み、また加熱機構は加熱アセンブリの本体内に埋め込まれた複数の加熱素子を含む。
【0009】
本明細書の他の例示的な実施形態では、反応器システム内の液体原料の温度を制御するための方法が提供される。方法は、反応チャンバに流体的に連結された容器内に液体原料を提供することを含み、容器は、外表面が冷却アセンブリおよび加熱アセンブリの両方に接触している側壁を有する。方法はまた、液体原料の温度を感知し、そして温度制御帯域に従って感知された温度を処理することも含む。次いで、方法は、処理に基づいて、冷却アセンブリおよび加熱アセンブリのうちの少なくとも1つを動作させて、液体原料の温度を温度制御帯域内に維持することを含むことができる。
【0010】
方法の一部の実施例では、冷却アセンブリを動作させることは、容器から熱を取り出すことを含み、また加熱アセンブリを動作することは、容器へと熱を加えることを含む。次いで、動作工程は、冷却アセンブリと加熱アセンブリとの両方を同時にまたは逐次的に動作させて、液体原料の温度を温度制御帯域内に維持することを伴ってもよい。さらに、冷却アセンブリおよび加熱アセンブリは、各々が半円筒状形状の内表面を有する第1の本体および第2の本体をそれぞれ含むことができ、また容器を受容するための内側空間を画定するために、第1の本体および第2の本体を、互いに向かい合う内表面と当接接触で位置付けることができる。加えて、冷却アセンブリは、容器から熱を取り出すために動作工程中に第1の本体を冷却する熱電モジュールを含むことができ、また加熱アセンブリは、動作工程中に第2の本体を加熱して容器に熱を加える、第2の本体内に埋め込まれた1つ以上の加熱素子を含むことができる。
【0011】
本明細書の一部の実施形態によれば、容器を受容するように構成される装置(例えば、単一ハードウェア)が記述される。装置は、(a)容器の側壁の外表面に接触するための半円筒状形状の表面を含む第1の本体であって、金属製の第1の本体と、(b)第1の本体を冷却するように動作可能な冷却機構と、を含む、冷却アセンブリを含むことができる。さらに、装置は、(a)第1の本体に当接する第2の本体であって、容器の側壁の外表面に接触するための半円筒状形状の表面を含み、金属製の第1の本体と、(b)第2の本体を加熱するように動作可能な加熱機構と、を含む、加熱アセンブリを含むことができる。
【0012】
装置の実施では、第1の本体および第2の本体の表面は、容器を受容するための円筒状カラーを画定することができる。装置はまた、第1の本体に対して第2の本体を第1の位置および第2の位置に固定するように構成された調整可能な締結具も含んでもよい。一部の事例では、冷却機構は、第1の本体に当接する熱電モジュールを含み、また加熱機構は、第2の本体内に埋め込まれた複数の加熱素子を含む。効率的な導電性熱伝達を容易にするために、第1の本体と第2の本体は両方とも、アルミニウム製または鋼製であり得る。
【0013】
これらの実施形態のすべては、本開示の範囲内であることが意図される。これらの実施形態および他の実施形態は、以下の添付の図面を参照するある特定の実施形態の以下の「発明を実施するための形態」から当業者に容易に明らかとなることになり、本開示は考察されるいかなる特定の実施形態(複数可)にも限定されない。
【0014】
本明細書は、本開示の実施形態と見なされるものを具体的に指摘し、かつ明確に特許請求する特許請求の範囲で結論付ける一方で、本開示の実施形態の利点は、添付の図面と併せて読むと、本開示の実施形態のある特定の実施例の記述から、より容易に確かめられる場合がある。図面全体を通して同様の要素番号が付けられている要素は、同じであることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】容器内の液体原料の温度を制御するように動作可能な、本記述の温度制御システムを含む反応器システムの機能ブロック図である。
【
図2】
図1の温度制御システムで使用するためなどの、本記述による加熱冷却装置の上面斜視図を図示する。
【
図3】
図1のシステムの動作を介して、または
図2の加熱冷却装置の動作を介して実施されてもよい、反応器システムのために原料温度を制御するための方法の流れ図を図示する。
【
図4】本技術の一実施形態による、加熱冷却装置の上面図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ある特定の実施形態および実施例を以下に開示するが、本開示の具体的に開示された実施形態および/または使用、ならびにその明白な修正および均等物を超えて本開示が延長することは、当業者によって理解されるであろう。それゆえに、本開示の範囲は、本明細書に記述される特定の実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。
【0017】
本明細書に提示された図示は、任意の特定の材料、装置、構造、またはデバイスの実際の姿であることを意味せず、本開示の実施形態を記述するために使用される、単なる表現にすぎない。
【0018】
本明細書で使用される場合、「ウエハ」および「基材」という用語は、使用されてもよい任意の下地材料(複数可)、またはデバイス、回路、もしくは膜がその上に形成されてもよい任意の下地材料(複数可)を指すために、交換可能に使用されてもよい。
【0019】
本明細書で使用される場合、「化学気相堆積」(CVD)という用語は、基材を1つ以上の揮発性前駆体に曝露し、この前駆体が基材表面上で反応および/または分解して望ましい堆積を生成する、任意のプロセスを指してもよい。
【0020】
本明細書で使用される場合、「原子層堆積」(ALD)という用語は、堆積サイクル、好ましくは複数の連続的な堆積サイクルがプロセスチャンバ内で行われる気相堆積プロセスを指してもよい。典型的に、各サイクル中に前駆体は、堆積表面(例えば、基材表面または以前に堆積された下地表面(以前のALDサイクルからの材料など))に化学吸着され、追加的な前駆体と容易に反応しない(すなわち自己限定的な反応)単分子層または準単分子層を形成する。その後、必要な場合、化学吸着された前駆体を堆積表面上で所望の材料へと変換するのに使用するために、反応物質(例えば、別の前駆体または反応ガス)がその後プロセスチャンバの中へと導入されてもよい。典型的に、この反応物質は前駆体とさらに反応する能力を有する。さらに、化学吸着された前駆体の変換後に、過剰な前駆体をプロセスチャンバから除去し、かつ/または過剰な反応物質および/もしくは反応副産物をプロセスチャンバから除去するために、各サイクル中にパージ工程も利用されてもよい。さらに、本明細書で使用される場合、「原子層堆積」という用語は、「化学気相堆積原子層堆積」、「原子層エピタキシー」(ALE)、分子線エピタキシー(MBE)、ガス源MBE、または有機金属MBE、ならびに前駆体組成物、反応性ガス、およびパージ(例えば、不活性キャリア)ガスの交互パルスを用いて実施される場合の化学ビームエピタキシーなどの、関連する用語によって指定されるプロセスを含むことも意味する。
【0021】
下記により詳細に記述するように、本開示の様々な詳細および実施形態は、ALD、CVD、有機金属化学気相堆積(MOCVD)、およびMBE、物理気相堆積(PVD)が挙げられるがこれらに限定されない、数多くの堆積プロセスのために構成された反応チャンバと併せて利用されてもよい。本開示の実施形態はまた、反応性前駆体を用いた基材の処理のために構成された半導体処理システムでも利用されてもよく、これはまた、例えば、反応性イオンエッチング(RIE)、容量結合型プラズマエッチング(CCP)、および電子サイクロトロン共鳴エッチング(ECR)などの、エッチングプロセスも含んでもよい、
【0022】
堆積材料(例えば、反応物質、前駆体など)を反応チャンバに供給するために使用される原料(液体原料など)の温度のモニタリングおよび制御は有用であり、また、多くの場合、堆積プロセス(例えば、CVD、ALD、およびウエハ上に薄膜を形成するために使用される他のプロセス)中に重要である。堆積化学の性質に基づいて、その原料は、室温を下回って冷却される、または100℃以上に加熱される必要がある場合がある。
【0023】
この目的のために、容器の温度、そして結果として、こうした容器の中に収容された原料の温度を制御するために、冷却、加熱、または両方を提供することによって、容器に対する大きい温度制御範囲または帯域を達成するためにハードウェアの単一の組を使用することを可能にするために、2部品またはセクション式の加熱冷却装置の形態の統合型ハードウェアが作り出された。冷却および加熱の両方を提供する能力に起因して、原料容器の温度制御のより微細な分解能も可能である。追加的に、新しい加熱冷却装置は、冷却器またはヒーターの変更を必要とすることなくツールの合致を可能にし、そして容器温度に対する周囲温度の差異の影響を排除する。
【0024】
簡潔に述べると、加熱冷却装置は、容器が定置されるセクション式または2部品のマントルまたはカラーを含み、そしてマントルまたはカラーの1つのセクションまたは部品は、熱を取り出すように動作可能である一方で、マントルまたはカラーの第2のセクションまたは部品は、容器の側壁から熱を加えるまたは与えるように動作可能である。この二重加熱冷却機能を用いて、新しい加熱冷却装置を含む温度制御システムは、(a)はるかにより厳密な温度帯域への容器の正確な温度制御を、より少ない温度のオーバーシュートで提供し、(b)室温付近で動作する時に、容器温度に対する周囲温度の影響を排除し、(c)反応器システムのために必要なハードウェア構成の数を低減し、かつ(d)温度制御以外の目的のために原料キャビネットを使用するための高められた能力を提供するために使用することができる。
【0025】
図1は、統合型加熱冷却ハードウェアの使用を通して、容器および容器内に収容された原料に対する改善された温度制御を提供するように構成された反応器システム100を図示する。システム100は、反応チャンバ102と、液体原料126を貯蔵する貯蔵容器120と、液体原料126の温度をモニタリングおよび制御するための温度制御システム110と、を含む。動作中、堆積材料は、原料126を使用して、ガス入口109を介して、シャワーヘッド/分配デバイス108に材料を提供するチャンバ102へと提供される。基材支持体またはサセプタ104は、シャワーヘッド108の下方の反応チャンバ102内に提供され、またウエハ106は、例えば、CVDプロセスまたは半導体業界で知られている他の堆積プロセスを介してウエハ106上に薄膜またはこれに類するものを形成するために、システム100の動作中、サポート104の上に位置付けられる。
【0026】
容器120は、アルミニウム、鋼、またはこれに類するものなどの金属製でもよい外側壁(複数可)122を含むが、これは、効率的な伝導性熱伝達に適するだけでなく、高温および/または高圧下で液体原料126を収容する圧力容器に対して要求される強度も提供する。温度制御システム110は、システム100の動作中に液体原料126の温度を感知するために容器120内または容器120上に位置付けられてもよい温度センサ128(例えば、1つ以上の熱電対またはこれに類するもの)を含む。センサ128は、温度制御システム100のコントローラ150に信号(または収集された温度データ)129を、コントローラ150の入出力(I/O)構成要素156によって受信される有線または無線信号を介してなど、提供する。
【0027】
液体原料温度の改善された制御を提供するために、温度制御システム110は、別個の様式で、または同時および/もしくは交互の様態で加熱および冷却を提供するために、コントローラ150からの制御信号158および159に応答して動作可能な加熱冷却装置130を含む。特に、加熱冷却装置130は、冷却を提供する1つのセクションまたは部品と、加熱を提供する1つのセクションまたは部品とを有する、セクション式または2部品構造と考えられてもよく、これらのセクション/部品は、システム100の動作中に冷却および加熱の両方を提供するために、冷却のみもしくは加熱のみを提供するように独立して動作されてもよく、または同時もしくは逐次的などの調整された様態で動作されてもよい。
【0028】
示されるように、装置130は、冷却アセンブリ132と加熱アセンブリ140とを含む。各々は、効率的な熱伝達を容易にするために、容器側壁122の外表面122と当接接触で定置される本体134または142を含む。特に、冷却アセンブリ130の動作中、矢印138で示すように熱は、容器側壁122を介して容器120(そして、よって、原料126)から取り出されるかまたは取り除かれ、また加熱アセンブリ140の動作中、矢印148で示すように熱は、容器側壁122を介して容器(そして、よって、原料126)に加えられるかまたは与えられる。
【0029】
本体134、142は、金属などの熱を容易に伝導する材料製でもよく、一部の事例ではアルミニウムが好ましい場合がある一方で、他の実施形態は鋼を利用する。本体134、142は、本体134、142と表面124との間に比較的大きい接触または熱伝達面積を提供するために、表面122と嵌合するための弓状または平面状の内表面を有する本体など、様々な形状をとってもよい。多くの場合、容器120は円筒状の側壁として提供される。こうした実施形態では、本体134および142は、本体134、142が側壁の外表面124を受容し、かつ物理的に嵌合するのを容易にするために、容器側壁122の外径と合致する、またはいくらかより大きい内径を有する半円筒状の形状であってもよい。
【0030】
一部の事例では、各本体134、142が、各本体134、142が容器側壁122の長さまたは高さに沿って延在して、熱伝達マントルまたはカラー内に容器120を封入するように、円筒の長軸方向セクション(例えば、約半分)を形成する。示されていないが、こうした実施形態は、各本体134、142において、本体が一緒に嵌合された時に、他の本体134、142と接触する、表面の対を提供し、またこれらの表面は、本体134、142の間で熱が伝導的に伝達されるのを可能にする熱伝達表面を提供する。よって、冷却アセンブリ132が動作する時に、冷却アセンブリ132の本体134によって加熱アセンブリ本体142から熱が取り出され、また加熱アセンブリ140が動作する時に、加熱アセンブリ本体142から冷却アセンブリ132の本体134へと熱が加えられる。このようにして、容器120は、容器側壁122の周囲全体(典型的には、円周)の周りでより均等に冷却または加熱される。
【0031】
容器120から熱138を取り除くために、冷却アセンブリ132は、本体134を側壁122の温度を下回る温度へと冷却する冷却機構136を含む。冷却機構136は、システム100を実施するために多数の形態をとってもよい。一例では、冷却機構136は、多くの状況で有用である熱電冷却デバイス(例えば、冷却を達成するためにペルチェ効果を使用するもの)の形態をとる。こうした例示的な実施形態では、熱電冷却またはペルチェ冷却デバイスもしくはモジュールの冷却側または冷却要素は、本体134を冷却するように、本体134と当接接触の状態で定置される。
【0032】
容器120へと熱148を加えるために、加熱アセンブリ140は、本体142を容器側壁120の温度より高い温度に加熱する加熱機構144を含む。加熱機構144は、加熱パッド、抵抗加熱式ロッドまたは要素の組、液相熱交換器、およびこれに類するものなどの様々な形態をとってもよく、また加熱機構144は、冷却アセンブリ132の本体134について考察したような本体の外表面に接触する構成要素を用いるなど、本体142の外部であってもよく、かつ/または本体142の温度を上昇させるために本体142を通して延在する、加熱素子もしくはロッド、加熱流体用の配管を用いるなど、本体142の内部であってもよい。
【0033】
温度制御システム110は、センサ128からの温度データ129を処理し、そして応答して、制御信号158、159を生成して、冷却アセンブリ132および加熱アセンブリ140を同時にまたは別々に動作させて、容器120に対して熱138を取り出し、かつ/または熱148を加えるために、コントローラ150をさらに含む。この目的のために、コントローラ150は、制御信号158を用いて冷却機構136と、制御信号159を用いて加熱機構144と、および信号129を介して温度センサ128と通信する(有線または無線の様態で)ために、I/O装置156の動作を管理するプロセッサ152を有する、ほとんどいかなる電子デバイスまたはコンピューティングデバイスの形態をとってもよい。
【0034】
さらに、プロセッサ152は、温度制御モジュール154の機能を提供するために、コードまたは命令(またはメモリ160内に保存されたソフトウェア)を実行する。メモリ160は、コントローラ150上に(またはコントローラ150にアクセス可能だがリモートで)提供され、そしてプロセッサ152は、反応器システム100の様々な動作中の使用のための1つ以上の温度制御帯域または範囲164の保存を含む、このメモリ160へのアクセスを管理する。例えば、一部の温度制御帯域164は、室温である、または室温をいくらか下回る、もしくは上回る温度制御範囲を要する場合があり、一方で他の温度制御帯域164は、50~100℃に収まる範囲、75~100℃に収まる範囲、または100℃を上回る範囲など、室温を上回る温度制御範囲を要する場合がある。
【0035】
加熱および/または冷却は、液体原料126の温度をこうした温度制御帯域164内に維持するうえで有用である場合がある。これを念頭に置いて、温度制御モジュール154は、センサ128から受信した温度データ129から感知された原料温度168を、現在使用されている制御帯域164と比較するように構成することができる。この比較に基づいて、温度制御モジュール154は、温度168が、(a)帯域から外れて低く、制御信号159を生成して、加熱機構144を容器120に熱148を加えるように動作させるように応答する、(b)帯域から外れて高く、制御信号158を生成して、本体134を冷却し、かつ容器120から熱138を取り出すように冷却機構136を動作させるように応答する、および(c)帯域内であり、これにより熱を取り除くもしくは加える必要がない、またはこれにより熱を加えるもしくは取り出し続けることができる(例えば、それぞれ、帯域の低い方の端または帯域の高い方の端にある時)、ことを決定してもよい。非常に厳密な温度制御帯域164(例えば、最高と最低との間で10度以下、5度以下、2度以下などの範囲)で、冷却機構136および加熱機構144は、感知された原料温度168の正確な制御を提供するために、変化する程度で、または交互的もしくは逐次的な様態で同時に動作することができる。
【0036】
図2は、
図1の加熱冷却装置130としての温度制御システム110での使用のためなどの、本記述によるセクション式加熱冷却装置200の上面斜視図を図示する。装置200は、容器(図示されていないが、
図1および容器120から理解される)の加熱および冷却の両方を達成することができるような、統合型ハードウェアを提供し、また、装置200は、これらの2つの機能が、相互接続されかつ嵌合された2つの構成要素またはアセンブリによって提供されるような、セクション式または2部品構造である。具体的には、示されるように、装置200は、コネクタアセンブリ240を介して物理的に相互接続される冷却アセンブリ210および加熱アセンブリ220を含む。
【0037】
冷却アセンブリ210は、冷却要素214を冷却する、または冷却要素214から熱を取り出すために電気が供給された時に、(例えば、
図1を参照して示されるようにコントローラからの制御信号に応答して)動作可能な、ペルチェ冷却器および熱交換器のアセンブリもしくはモジュールの形態をとってもよい冷却機構212を含む。冷却アセンブリ210はまた、本体216から離れるような伝導性熱伝達を容易にするために冷却要素214に当接する外表面を有する、アルミニウムまたは別の金属製でもよい本体216も含む。本体216は、装置200内に受けられる貯蔵容器(液体原料またはこれに類するもの)と嵌合するように形作られ、かつサイズ設定された内側(または熱伝達または接触)表面218を含む。
【0038】
図1を参照しながら考察されるように、容器は典型的に、円筒状の形状であり、よって、本体216の内表面218は典型的に滑らかであり、また冷却アセンブリ210によって冷却される容器と半径が一致する、または小さい量だけ冷却される容器より半径が大きい弓状または半円筒状の形状であってもよい。表面218は、「半」円筒状であってもよく、ここでこれは、
図2に示すように、加熱アセンブリ220の本体222の内表面224によって完了される、円筒の半分または別の部分またはセクション(例えば、受容された容器の円周の約半分または何らかの他の部分に延在する)を画定する。表面210はまた、典型的に、受容した容器を垂直に支持し、かつ表面218に対して容器を定位置に保持するために使用される、装置200の基部/プラットフォーム230から、容器側壁の高さ(または容器高さの80~100パーセント以上の範囲)に合致する高さまで延在する高さを有することになる。
【0039】
加熱アセンブリ220は、表面218と類似の弓状の形状である内側(または接触または熱伝達)表面224を有する本体222を含む。表面224は、装置200内に受容される容器の外径に合致する、または何らかの量より大きい半径を有する、半円筒状の形状であってもよい。冷却アセンブリ210の本体216と同様に、その内表面224が、冷却アセンブリ本体216の内面216の添加によって完了される円筒の半分または他の部分からなる、加熱アセンブリ220の本体222は、セクション式または「半」円筒状である。内表面224および本体222は、典型的に、熱伝達を容易にするために滑らかであり、また容器の側壁の高さ(または内表面218について考察したようにこの高さのある程度の割合)と合致する高さを有する。本体222は、本体216と同じまたは異なる、アルミニウム、鋼、またはこれに類するものなどの金属製でもよい。
【0040】
加熱アセンブリ220はまた、加熱素子226も含み、これはこの非限定的な実施例では、本体222内に埋め込まれ、かつ本体222の概して上部から底部まで延在する複数の加熱ロッド226を含む。他の実施形態は、加熱コイル、流体熱伝達管、およびこれに類するものを利用してもよく、また加熱パッドまたはジャケットを含むこれらの加熱機構のいずれかは、本体222の外面上に埋め込まれてもよく、または提供されてもよい。
図1を参照しながら考察されるように、本体222を選択的に加熱して本体222の温度を上げ、そして2つの本体216および222の内表面218および224によって画定される円筒状の内空間において内表面224に容器へと熱を加えるために、加熱素子226は、コントローラからの制御信号に応答して動作可能である。示されるように、2つの本体216および222は、一対の側面または縁部に沿って嵌合し、これにより、熱伝達が物体216と222との間に生じ、そして2つの本体216および222を相互接続することによって形成されるマントルまたはカラーは、内表面218および224の両方から作製されたカラーまたはマントルの内表面に沿って熱を取り出すかまたは加えるように冷却または加熱されることが理解されるであろう。
【0041】
熱伝達カラーまたはマントルを形成するために、2つの本体216および222は、
図2に示すように、嵌合接触または当接接触で物理的に一緒に保持される。この目的のために、装置200は、コネクタアセンブリ240を含む。装置の組み立ての間、容器は、その側壁を冷却アセンブリ210の本体216の内表面218に対して、基部またはプラットフォーム230上に定置されてもよい。次いで、加熱アセンブリ220の本体222は、装置200の動作中に伝導性熱伝達を容易にするために、2つの本体216および222を1つの縁部に沿って当接接触して定置し、かつ2つの内表面218および224を容器の側壁の外表面と接触して定置するように(
図1に示すように)、矢印249で示すように、内向きに、または冷却アセンブリ210の本体216に向かって移動することができる。このようにして、本体216および222で形成されるカラーまたはマントルの内径(ID)は、確実に受容された容器としっかりと嵌合するように調整可能である。
【0042】
一部の実施形態では、アルミニウム、炭素繊維熱パッド、グラファイト熱パッド、またはこれに類するものなどの材料400の層が、容器120の外表面と本体216および222との間に配置されてもよい。材料のこの層400は、本体216および222の表面上ならびに/または容器120の外表面の凹凸に起因して容器の外表面と本体216および222との間に存在する場合があるあらゆる間隙を充填し、かつ/またはエアポケットを除去するために、容器120の外表面を囲んでもよい。
【0043】
コネクタアセンブリ240は、アーム244を介して加熱アセンブリ220の本体222に貼り付けられた一対のブラケット242を含む。ブラケット242は、それを通して締結具248が挿入され、そして冷却アセンブリ210の本体216と嵌合される、調整スロットまたは溝246を含む。アセンブリ中に、締結具248は、緩められてもよく、これにより加熱アセンブリ220の本体222およびブラケット242は、冷却アセンブリ210の本体216に向かって、またはそれらから離れるように(矢印249で示すように)摺動して、両方の内表面218および224を容器側壁の外表面へと接触させる。
【0044】
図3は、
図1のシステム100の動作を介して、または
図2の加熱冷却装置200の動作を介して実施されてもよい、反応器システムのために原料温度を制御するための方法300の流れ図を図示する。方法300は、反応器システムの動作を通して実行される1つ以上のプロセスのために、1つ以上の温度制御範囲を定義することを含んでもよい、工程305で開始する。これらの温度制御範囲は、反応器システムのコントローラの中のメモリ内に記憶されてもよく、または反応器システムのコントローラによってアクセス可能であってもよい。
【0045】
方法300は、工程310において原料容器を冷却および加熱の両方をするための統合型ハードウェアを取り付けることで継続し、またこれは、組み立てられた時に、受容された容器(例えば、液体原料を予め定義された温度帯域内の温度に維持するために使用されるもの)の周りに熱伝達カラーまたはマントルを形成する装置200の形態をとってもよい。次に、方法300は、工程320において、加熱および冷却のために統合型ハードウェアの中に受容された原料容器を含む反応器システムによって実行される堆積プロセスを開始することを含む。
【0046】
工程330において、方法300は、原料容器の内部体積の中の原料(例えば、液体原料)の温度をモニターすることを含む。これは、感知された温度を出力する1つ以上の熱電対、またはこうした温度をプロセッサによって決定することができるデータによって実施されてもよい。方法300は、340において、温度制御モジュールを使用するプロセッサを用いて継続して、感知した原料の温度が、反応器システムによって実施される本堆積プロセスのための使用における温度制御範囲内にあるかどうかを決定する。範囲内にある場合、制御方法300は、反復工程330で継続してもよい。にもかかわらず、一部の事例では、工程360~380を参照しながら考察されるように、温度が範囲の下限もしくは上限に近づいている時、または現在進行中の冷却もしくは加熱を提供して、その範囲内に原料を保持する(例えば、原料を室温を下回って維持するために継続的な冷却)時など、温度が望ましい範囲内である場合でさえも、加熱、冷却、または両方が実施されることになる。
【0047】
温度範囲の外側である(または別の方法で上記のように比較に基づく)場合、方法300は、350において、冷却、加熱、または両方が原料温度を維持または調整するために望ましいかどうかを決定するために、温度制御モジュールを実行するプロセッサを用いて継続する。冷却が望ましいと決定された場合、方法300は、360において、容器を冷却するための冷却アセンブリへの制御信号(または電気の提供)を介して動作するコントローラを用いて継続し、そしてこれは、原料容器の外表面と接触している冷却アセンブリの本体を冷却するために熱電冷却モジュールを動作させることを伴ってもよい。
【0048】
加熱が望ましいと決定された場合、方法300は、380において、容器を加熱するための加熱アセンブリへの制御信号(または電気の提供)を介して動作するコントローラを用いて継続し、そしてこれは、原料容器の外表面と接触している加熱アセンブリの本体を加熱するために加熱素子を使用することを伴ってもよい。冷却および加熱が有用であると決定された場合、コントローラは、容器を、加熱および冷却の両方をするために、冷却アセンブリおよび加熱アセンブリの両方を同時に(少なくとも部分的に)または交互の様態で動作させてもよい。次いで、方法300は、原料温度をモニターすることを伴う反復工程330で継続してもよく、または原料容器を含む反応器システムの動作による堆積または他のプロセスが完了した場合など、工程390において終了してもよい。
【0049】
恩恵、他の利点、および問題に対する解決策が、具体的な実施形態に関して、本明細書に記述される。しかしながら、恩恵、利点、問題に対する解決策、および何らかの恩恵、利点、または解決策を生じさせる場合がある、またはより顕著にさせる場合がある何らかの要素は、本開示の重要な、必要とされる、または必須の特徴もしくは要素として解釈されない。
【0050】
本明細書全体を通して、特徴、利点、または類似の文言に言及することは、本開示で実現されうるすべての特徴および利点が、本発明のいずれかの単一の実施形態であるべき、またはそうであることを意味するものではない。むしろ、特徴および利点を言及する文言は、一実施形態に関連して記述される特定の特徴、利点、または特性が、本明細書に開示される主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味することが理解される。それゆえに、この明細書全体を通して、特徴および利点、ならびに類似の文言の考察は、必ずしもそうではないが、同じ実施形態を指す場合がある。
【0051】
さらに、記述された本開示の特徴、利点、および特性は、1つ以上の実施形態において任意の好適な様態で組み合わせられてもよい。関連技術分野の当業者は、本出願の主題が、特定の実施形態の特定の特徴または利点のうちの1つ以上を有することなく実施されてもよいことを認識するであろう。他の事例では、本開示のすべての実施形態において存在しない場合がある、ある特定の実施形態で、追加の特徴および利点が認識される場合がある。さらに、一部の事例では、本開示の主題の態様を曖昧にすることを回避するために、周知の構造、材料、または動作は、詳細には示されていない、または記述されていない。いかなる特許請求の範囲の要素も、当該要素が「のための手段(means for)」という句を使用して明示的に記載されていない限り、米国特許法(35 U.S.C.)第112条(f)を発動することを意図していない。
【0052】
本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲以外の何によっても限定されるべきでなく、当該添付の特許請求の範囲における単数形の要素への言及は、明示的にそのように述べられていない限り「1つの、そして1つのみの」を意味することを意図しておらず、むしろ「1つ以上」を意味することを意図している。具体的に別段の記載がない限り、単数形での言及は1つまたは2つ以上を含んでもよく、また単数形のアイテムへの言及は複数形のアイテムも含んでもよいことが、理解されるべきである。さらに、「複数の」という用語は、少なくとも2つとして定義することができる。本明細書で使用される場合、「のうちの少なくとも1つ」という句は、アイテムのリストとともに使用される時、リストされたアイテムのうちの1つ以上の異なる組み合わせが使用されてもよく、またリスト中のアイテムのうちの1つのみが必要とされる場合があることを意味する。アイテムは、特定の物体、物、またはカテゴリーであってもよい。さらに、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」と同様の句が特許請求の範囲において使用される場合、その句は、一実施形態ではAのみが存在してもよいこと、一実施形態ではBのみが存在してもよいこと、一実施形態ではCのみが存在してもよいこと、または要素A、B、およびCの任意の組み合わせ、例えば、AおよびB、AおよびC、BおよびC、またはA、B、およびC、が単一の実施形態において存在してもよいことを意味すると解釈されることが意図される。一部の事例では、「アイテムA、アイテムB、およびアイテムCのうちの少なくとも1つ」は、例えば、2個のアイテムA、1個のアイテムB、および10個のアイテムC、4個のアイテムBおよび7個のアイテムC、または何らかの他の好適な組み合わせを意味してもよいが、それらに限定されない。
【0053】
本明細書に開示されるすべての範囲および比の制限は、組み合わせられてもよい。別段の指示がない限り、「第1の」、「第2の」などの用語は、本明細書では単に標識として使用され、そしてこれらの用語が言及するアイテムに順序的、位置的、または階層的要件を課すことを意図しない。さらに、例えば、「第2の」アイテムの言及は、例えば、「第1の」アイテムもしくはより小さい番号が付けられたアイテム、および/または例えば、「第3の」アイテムまたはより大きい番号が付けられたアイテムの存在を必要としない、または除外しない。
【0054】
取り付けられる、固定される、接続される、またはこれに類するものへの任意の言及は、永久的な、除去可能な、一時的な、部分的な、完全な、および/または任意の他の可能な取り付けの選択肢を含む場合がある。加えて、接触を有しない(または類似の句)への任意の言及はまた、低減した接触または最小限の接触も含む場合がある。上記の記述では、「上」、「下)」、「上部」、「下部」、「水平」、「垂直」、「左」、「右」およびこれに類するものなどのある特定の用語が使用されてもよい。これらの用語は、適用可能な場合、相対的な関係を扱う時に、何らかの記述の明瞭性を提供するために使用される。しかし、これらの用語は、絶対的な関係、位置、および/または向きを暗示することを意図しない。例えば、ある物体に対して、単純に物体をひっくり返すことによって、「上」面は「下」面となる可能性がある。それにもかかわらず、それは依然として同じ物体である。
【0055】
加えて、1つの要素が別の要素に「連結される」本明細書における事例は、直接的な連結および間接的な連結を含むことができる。直接的な連結は、1つの要素が別の要素に連結され、かつこれと何らかの接触の状態にあると定義することができる。間接的な連結は、2つの要素間の連結が、相互に直接的な接触の状態にはなく、しかし連結された要素間に1つ以上の追加的な要素を有すると定義することができる。さらに、本明細書で使用される場合、1つの要素を別の要素に固定することは、直接的な固定および間接的な固定を含むことができる。加えて、本明細書で使用される場合、「隣接」は必ずしも接触を示すものではない。例えば、1つの要素は、別の要素に、その要素と接触することなく隣接することができる。
【0056】
本開示の例示的な実施形態が本明細書に記載されているが、本開示はそのように限定されないことを理解するべきである。例えば、反応器システムは様々な特定の構成に関連して記述されているが、本開示は必ずしもこれらの実施例に限定されない。本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載のシステムおよび方法の様々な修正、変形、および強化がなされてもよい。
【0057】
本開示の主題は、本明細書に開示される様々な、システム、構成要素、および構成、ならびに他の特徴、機能、動作および/または特性のすべての新規かつ自明でない組み合わせおよび部分的組み合わせだけでなく、そのありとあらゆる均等物を含む。
【外国語明細書】