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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133362
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】高圧ガス容器
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/00 20060101AFI20230914BHJP
   F17C 13/02 20060101ALI20230914BHJP
   G06K 19/06 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
F17C13/00 301Z
F17C13/02 301Z
G06K19/06 121
G06K19/06 159
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116267
(22)【出願日】2023-07-14
(62)【分割の表示】P 2021021536の分割
【原出願日】2021-02-15
(31)【優先権主張番号】P 2020094069
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】320011650
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】595024869
【氏名又は名称】第一化成産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】城 和則
(72)【発明者】
【氏名】野口 明之
(72)【発明者】
【氏名】杉森 由章
(72)【発明者】
【氏名】加藤 憲司
(57)【要約】
【課題】ヒューマンエラーを生じることなく電子データ化が可能であり、繰り返し使用可能な情報伝達手段を備える高圧ガス容器を提供する。
【解決手段】金属製の高圧ガス容器本体2と、高圧ガス容器本体2の肩部2Aに位置し、機械で読み取り可能な情報伝達手段3と、を備え、情報伝達手段3が、肩部2Aに深彫りされた単独孔、直線及び曲線からなる群のうち、いずれか1つ以上を含み、機械で読み取る際の情報伝達手段3において、単独孔の最小幅が、150~2000μmであり、単独孔の深さが、200μm以上である、高圧ガス容器1を選択する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の高圧ガス容器本体と、
前記高圧ガス容器本体の肩部に位置し、機械で読み取り可能な情報伝達手段と、を備え、
前記情報伝達手段が、前記肩部に深彫りされた単独孔、直線及び曲線からなる群のうち、いずれか1つ以上を含み、
前記機械で読み取る際の前記情報伝達手段において、
前記単独孔の最小幅が、150~2000μmであり、
前記単独孔の深さが、200μm以上である、高圧ガス容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧ガス容器に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧ガス容器(マンガン鋼製やアルミ製)には、高圧ガス保安法に則った容器への刻印が義務付けられている。その中でも、容器管理上、最も重要である容器記号番号は、容器の肩部に刻印することが決められている。そして、各ガス容器は、容器記号番号によって識別されて、容器の検査、ガスの充填及びガスの使用等のレシピが実施される。
【0003】
ところで、容器記号番号は、容器の肩部のような曲面に印字されており、刻印の字体も複数存在する。このため、例えばCCDカメラ等によって刻印を読んでもそれを記号番号として電子データ化できる技術は無く、AI技術を用いたとしても100%間違いなく読み取ることが不可能であった。したがって、従来、容器記号番号は、目視によって読み取ることしかできなかった。
【0004】
しかしながら、容器記号番号を目視で読み取るとヒューマンエラーが生じやすく、読取間違えによって誤った容器検査内容の実施等、正しいレシピの実施ができないという課題があった。
【0005】
そこで、特許文献1には、容器記号番号を目視で読み取った後、その情報をバーコードラベル化して高圧ガス容器に貼付した、ラベル付き高圧ガス容器とこれらの容器を管理するシステムが開示されている。このバーコードをバーコードリーダによって読み取ることで容器記号番号を電子データとして取得でき、容器管理が容易となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-058743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されているように、バーコードラベルを作成するには最初に容器記号番号等の情報伝達手段を目視で読み取る必要があるため、やはりヒューマンエラーが生じるという課題があった。また、高圧ガス容器に貼付したバーコードラベルは剥がれ落ちやすく、容器検査時には、保安法上、全ての異物を除去してから外観検査をするため、バーコードラベルを剥がさなくてはならず、繰り返しの使用ができないという課題があった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ヒューマンエラーを生じることなく電子データ化が可能であり、繰り返し使用可能な情報伝達手段を備える高圧ガス容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は以下の構成を採用する。
[1]金属製の高圧ガス容器本体と、
前記高圧ガス容器本体の肩部に位置し、機械で読み取り可能な情報伝達手段と、を備え、
前記情報伝達手段が、前記肩部に深彫りされた単独孔、直線及び曲線からなる群のうち、いずれか1つ以上を含み、
前記機械で読み取る際の前記情報伝達手段において、
前記単独孔の最小幅が、150~2000μmであり、
前記単独孔の深さが、200μm以上である、高圧ガス容器。
[2]前記高圧ガス容器本体の表面が、塗膜により被覆される、前項[1]に記載の高圧ガス容器。
[3]前記塗膜の厚さが、50~160μmである、前項[2]に記載の高圧ガス容器。
[4]前記情報伝達手段が、バーコード又は二次元コードを含む、前項[1]乃至[3]のいずれかに記載の高圧ガス容器。
[5]前記情報伝達手段が、容器記号番号を含む、前項[1]乃至[4]のいずれかに記載の高圧ガス容器。
【発明の効果】
【0010】
本発明の高圧ガス容器は、繰り返し使用可能な情報伝達手段を備えるため、ヒューマンエラーを生じることなく電子データ化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明を適用した一実施形態である高圧ガス容器の構成を示す模式図である。
図2】本実施形態の高圧ガス容器に配置される情報伝達手段の一例を示す図である。
図3】本実施形態の高圧ガス容器に配置される情報伝達手段の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0013】
<高圧ガス容器>
先ず、本発明の一実施形態として、図1に示す高圧ガス容器1について説明する。
なお、図1は、高圧ガス容器1の構成を示す模式図である。
【0014】
本実施形態の高圧ガス容器1は、図1に示すように、高圧ガス容器本体2と、高圧ガス容器本体2の肩部2Aに位置する情報伝達手段3と、を備える。
本実施形態の高圧ガス容器1は、高圧ガス容器本体2に充填される高圧ガスを、当該高圧ガス容器1の二次側に配置される消費設備に供給するものである。
【0015】
(高圧ガス容器本体)
高圧ガス容器本体(以下、単に「容器本体」という場合がある)2は、肩部2Aと胴部2Bとを有する。
なお、容器本体2は、高圧ガス保安法、及び容器保安規則に適合する容器(ボンベ)であれば、特に限定されない。
【0016】
具体的には、容器本体2の種類としては、継目なし容器、溶接容器、超低温容器、低温容器、ろう付け容器、繊維強化プラスチック複合容器(FRP容器)等が挙げられる。これらの中でも、金属製の溶接容器、継目なし容器が好ましい。
【0017】
容器本体2の材質は、金属製であれば特に限定されない。このような材質としては、マンガン鋼、クロムモリブデン鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金、ニッケルクロムモリブデン鋼、クロムモリブデンバナジウム鋼等が挙げられる。これらの中でも、汎用性の観点から、マンガン鋼、アルミニウム合金、及びステンレス鋼がより好ましい。
【0018】
容器本体2の大きさ(容積)は、特に限定されるものではなく、内容物及び用途によって適宜選択できる。容器本体2の容積としては、87Lを超える大容器、40~87Lの中容器、40L未満の小容器等が挙げられる。これらの中でも、汎用性の観点から、中容器及び小容器がより好ましい。
【0019】
容器本体2は、塗装されていてもよい。すなわち、容器本体2の表面が、塗膜により被覆されていてもよい。一般的に、高圧ガス容器1は、充填されている高圧ガスの種類に応じて色分けされている。例えば、酸素は黒色、液化炭酸ガスは緑色、空気及び窒素は灰色に、それぞれ塗装されている。
【0020】
塗膜は、単層であってもよいし、2種以上の塗膜が積層されていてもよい。2種の塗膜が積層されている例としては、下地層と着色層との積層膜が挙げられる。
【0021】
容器本体2の表面における塗膜の厚さ(総厚)は、一般的に、50~160μmであり、55~80μmがより好ましい。
【0022】
(情報伝達手段)
情報伝達手段3は、容器本体2の肩部2Aに位置する。肩部2Aにおける情報伝達手段3の位置は、肉厚部かつ曲面である肩部2Aであれば特に限定されない。
【0023】
情報伝達手段3は、図2に示すように、容器本体2の肩部2Aに深彫りされた単独孔4、直線5及び曲線6からなる群のうち、いずれか1つ以上を含む集合体である。
【0024】
深彫りされた単独孔(以下、単に「深彫孔」ともいう)4の、塗装前の最小幅(以下、単に「ドットサイズ」ともいう)は、150~2000μmであり、300~1000μmであることが好ましく、500~900μmであることがより好ましい。ドットサイズが150μm以上であると、読取器で読み取れる最小幅であり、塗装に影響を受けないために好ましい。また、ドットサイズが2000μm以下であると、二次元コードの全体サイズの小型化の観点から好ましい。
【0025】
深彫孔4の、塗装前の深さは、容器本体2の表面から200μm以上であり、300μm以上であることが好ましく、400μm以上であることがより好ましい。
深彫孔4の深さが200μm以上であると、バーコードリーダやカメラ等での読み取る際に十分な陰影が得られるため、機械で読み取り可能となる。
また、深彫孔4の深さが400μm以上であると、容器本体2の表面が塗膜で被覆されている場合や、高圧ガス容器1を繰り返し使用する場合(塗装を剥離後、再度塗装する場合)であっても、バーコードリーダ、2次元コードリーダ及びカメラ等で読み取りが可能であるため、好ましい。
【0026】
なお、本実施形態の高圧ガス容器1では、機械で読み取る際の情報伝達手段3において、深彫孔4の深さが、容器本体2の表面から200μm以上であり、300μm以上であることが好ましく、400μm以上であることがより好ましい。
具体的には、機械で読み取る際の高圧ガス容器1が塗装前の場合(すなわち、容器本体2の表面に塗膜がない場合)、深彫孔4の深さが、容器本体2の表面から200μm以上であれば、読み取り可能となる。
これに対して、機械で読み取る際の高圧ガス容器1が塗装後の場合(すなわち、容器本体2の表面に塗膜が有る場合)、塗装後の深彫孔4の深さが、容器本体2の表面から実質的に200μm以上あれば、読み取り可能となる。
【0027】
ここで、深彫孔4は、容器本体2の表面にレーザ照射することで形成できる。レーザ照射装置としては、市販のレーザ照射装置(例えば、キーエンス社製:3-Axisファイバレーザーマーカ MD-F5200等)を用いることができる。
また、深彫孔4をレーザ照射により形成する際の条件は、特に限定されるものではなく、使用するレーザ照射装置により、レーザ出力や照射時間等を適宜選択できる。
【0028】
また、深彫りされた直線5及び曲線6は、深彫孔4と同様に、容器本体2の表面にレーザ照射することで形成できる。この際、深彫孔4を複数形成することで直線5及び曲線6を形成してもよいし、レーザを所望の直線及び曲線に沿って連続照射することで直線5及び曲線6を形成してもよい。なお、深彫りされた直線5及び曲線6の最小幅および深さは、深彫孔4と同様である。
【0029】
情報伝達手段3は、図2に示すように、深彫孔4、直線5及び曲線6からなる群のうち、いずれか1つ以上を含む集合体が、QRコード(登録商標)等の二次元コード、英数字を構成する。なお、情報伝達手段3は、これらに限定されるものではない。例えば、図3に示すように、バーコードであってもよいし、その他の識別可能な文字(図示略)であってもよい。
【0030】
これらの中でも、情報伝達手段3としては、省スペース且つ情報量の観点から、二次元コードとすることが好ましい。
例えば、深彫孔4のドットサイズが300~1000μmの場合、20mm角のサイズとすることができる。
【0031】
本実施形態の高圧ガス容器1では、情報伝達手段3が機械で読み取りが可能であることを要する。ここで、機械で読み取り可能とは、例えば情報伝達手段3がバーコードや二次元コードである場合には、バーコードリーダや2次元コードリーダにより読み取り、白黒判定アルゴリズムで判定可能であればよく、情報伝達手段3が英数字等である場合には、カメラで読み取り、AIで判定可能であればよい。
【0032】
情報伝達手段3は、容器記号番号を含むことが好ましい。情報伝達手段3が容器記号番号を含むことで、今まで目視で認識していた容器記号番号を電子データとして機械で読み取って容器を管理できる。したがって、容器を管理する際に、ヒューマンエラーの発生確率が大きく減少し、不適合製品が出ないシステム(工程管理)を構築できる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態の高圧ガス容器1によれば、繰り返し使用可能な情報伝達手段3を備えるため、ヒューマンエラーを生じることなく容器記号番号等の電子データ化が可能である。
【0034】
また、本実施形態の高圧ガス容器1は、情報伝達手段3を構成する深彫孔4の深さが400μm以上であれば、容器本体2の表面が塗装されていても機械で読み取り可能あり、塗装剥離後に再塗装されても繰り返し使用可能である。
【0035】
また、本実施形態の高圧ガス容器1によれば、容器製造工場で容器記号番号を打刻するのと同時に情報伝達手段3として2次元コードをマーキングすることにより、新容器が入荷された時点から電子データ処理が可能となる。これにより、不適合の無い製品の生産、及び管理の手間が大きく省ける等の効果が得られる。また、2次元コードに容器記号番号以外のデータ(例えば、容器の製造年月日や容器の重量、ガスの充填日等)の入力が可能であり、その情報が変化した際に古い2次元コードを取消線で消して新しくマーキングし直すことで常に最新情報で管理が可能となる。
【0036】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【実施例0037】
以下、検証試験1~5によって本発明の効果を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0038】
<検証試験1>
以下の条件を用いて、以下の表1に示す試験例1~4の高圧ガス容器を作製した。
・高圧ガス容器本体:マンガン鋼製の継目なし容器(容量:47L)、アルミニウム製の継目なし容器(容量:10L)
・情報伝達手段:2次元コード(9.6mm角のDataMatrix)
・レーザ照射装置:3-Axisファイバレーザーマーカ MD-F5200(キーエンス社製)
・深彫孔のドットサイズ:φ700μm
・深彫孔の深さ:200μm、400μm
・2次元コードリーダ:ハンディターミナル「BT-W370」(キーエンス社製)
【0039】
次いで、試験例1~4の高圧ガス容器について、以下の工程を実施して、2次元コードの読み取り結果を確認した。結果を表1に示す。
・工程(1):2次元コード形成後(レーザーマーキング後)
・工程(2):塗装後(下地層+着色層:70μm厚)
・工程(3):塗装剥離、再塗装後
【0040】
【表1】
【0041】
表1に示すように、試験例1及び試験例3は、深彫孔の深さが200μmであるため、2次元コードの形成後では2次元コードリーダにより読み取りが可能(表1中、単に「可」と記す。以下同様。)であったが、塗装後および再塗装後のいずれにおいても読み取りが出来なかった(表1中、単に「不可」と記す。以下同様。)。
これに対して、試験例2及び試験例4は、深彫孔の深さが400μmであるため、2次元コードの形成後、塗装後および再塗装後のいずれにおいても2次元コードリーダにより読み取りが可能であった。
【0042】
<検証試験2>
上述した試験例2の工程(3)と同じ方法により、レーザーマーカーを用いて、高圧ガス容器の肩部(図1中に示す符号2A)に、2次元コードと容器記号番号「ABC12345」の8文字をそれぞれマーキングした(図1中に示す符号3を参照)。
なお、2次元コードには、容器記号番号である「ABC12345」の8文字を示すコードを入力してマーキングした。
【0043】
検証試験1と同様に、ハンディターミナルを用いて2次元コードを読み取ったところ、「ABC12345」の8文字が入力されていることを確認できた。
さらに、2次元コードの下部にマーキングした容器記号番号「ABC12345」の8文字と同一であることを目視で確認できた。
【0044】
<検証試験3>
刻印機((株)ナカマック社製のハンド式空気刻印機ターレットタイプ 型式TK-100D(12穴仕様))を用いて、高圧ガス容器の肩部(図1中に示す符号2A)に、容器記号番号「ABC12345」の8文字を打刻した。この際、労働安全衛生法に定められた方法を用いて作業環境測定を実施し、打刻の際に発生した騒音を騒音計(リオン社製 積分形普通騒音計NL-05A)を用いて測定したところ、91dBであった。
【0045】
なお、労働安全衛生法では、騒音に関して次のような対応が求められている。
「等価騒音レベルで85dB(A測定)以上の作業場では、作業環境測定基準(昭和51年労働省告示第46号)に基づく等価騒音レベル測定(A測定及びB測定)を6月以内ごとに1回、1測定点につき10分間行うこと。」
【0046】
ここで、91dBの作業場は、作業環境区分の中で最も厳しい管理を要求される第III管理区分となるため、以下の対応(1)~(3)が必要となった。
(1)場所を標識により明示し、及び保護具使用の掲示を行うこと。
(2)作業方法の改善等により、管理区分I又は管理区分IIとなるようにすること。
(3)保護具を使用すること。
【0047】
次に、検証試験1の試験例2の工程(1)と同様の方法を用い、レーザーマーカーを用いて容器記号番号をマーキングした際の騒音を測定したところ、81dBであった。
これは、第I管理区分に該当するため、標識、及び保護具が不要な作業環境で作業を継続できることを確認できた。すなわち、レーザーマーカーを用いる方が、刻印機を用いるよりも騒音が小さくて済み、作業環境として好適であることを確認した。
【0048】
<検証試験4>
以下の条件を用いて、以下の表2に示す試験例5~15の高圧ガス容器を作製した。
・高圧ガス容器本体:マンガン鋼製の継目なし容器(容量:47L、10L)
・情報伝達手段:2次元コード(DataMatrix)
・2次元コードのサイズ:8mm角、10mm角、13mm角、16mm角、20mm角
・レーザ照射装置:3-Axisファイバレーザーマーカ MD-F5200(キーエンス社製)
・深彫孔のドットサイズ:100μm、150μm、500μm、700μm、1000μm
・深彫孔の深さ:表2に記載
・塗装の有無:下地層+着色層=70μm厚
・2次元コードリーダ:ハンディターミナル「BT-W370」(キーエンス社製)
【0049】
次いで、試験例5~15の高圧ガス容器について、2次元コードの読み取り結果を確認した。結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
表2に示すように、深彫孔の深さが150μmの試験例では、塗装の有無、及びドットサイズによらず、読み取りが出来なかった(表2中、「不可」と記す。)。
これに対して、深彫孔の深さが200μmの試験例では、塗装無し(未塗装)であり、且つドットサイズ(単独孔の最小幅)が150μm以上の場合、読み取りが可能であった(表2中、「可」と記す。)。一方、塗装有り(塗装後)の試験例8では、機械による読み取り時の実質的な深さが200μm未満となるため、ドットサイズが150μmにもかかわらず、読み取りが出来なかった。
さらに、深彫孔の深さが400μmでの試験例では、塗装無し(未塗装)及び塗装有り(塗装後)のいずれの場合も機械による読み取り時の実質的な深さが200μm以上となるため、ドットサイズ(単独孔の最小幅)が150μm以上の場合に読み取りが可能であった(表2中、「可」と記す。)。
この結果は、10L容器、及び47L容器も同様であり、容器の容量に拠らないことを確認した。
【0052】
<検証試験5>
以下の条件を用いて、バーコード等を印字した高圧ガス容器を作製した。
・高圧ガス容器本体:マンガン鋼製の継目なし容器(容量:47L)
・情報伝達手段:バーコード(CODE39)
・レーザ照射装置:3-Axisファイバレーザーマーカ MD-F5200(キーエンス社製)
・深彫孔のドットサイズ:φ700μm
・深彫孔の深さ:400μm
・2次元コードリーダ:ハンディターミナル「BT-W370」(キーエンス社製)
【0053】
高圧ガス容器の肩部(図1中に示す符号2A)に、レーザーマーカーを用いて、図3に示すバーコード(CODE39)と、容器記号番号「ABC12345」の8文字をそれぞれマーキングした。
なお、バーコードには、容器記号番号である「ABC12345」の8文字を示すコードを入力してマーキングした。
【0054】
検証試験1と同様に、ハンディターミナルを用いてバーコードを読み取ったところ、「ABC12345」の8文字が入力されていることを確認できた。
さらに、バーコードの下部にマーキングした容器記号番号「ABC12345」の8文字と同一であることを目視で確認できた。
【符号の説明】
【0055】
1・・・高圧ガス容器
2・・・高圧ガス容器本体(容器本体)
2A・・・肩部
2B・・・胴部
3・・・情報伝達手段
4・・・深彫りされた単独孔(深彫孔)
5・・・直線
6・・・曲線
図1
図2
図3