(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133708
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】支援情報作成装置、支援情報作成システム、支援情報作成方法、および支援情報作成プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20230920BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
G05B23/02 301Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038833
(22)【出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川手 隆司
(72)【発明者】
【氏名】近 哲也
(72)【発明者】
【氏名】橘 昭頼
【テーマコード(参考)】
3C223
5L049
【Fターム(参考)】
3C223AA15
3C223BA01
3C223BB05
3C223BB08
3C223CC01
3C223DD01
3C223EB05
3C223FF04
3C223GG01
3C223HH06
3C223HH29
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】外部を撮影可能な撮影部を複数備えた移動体によって、附属物に関する詳細な情報を効率的に取得すること。
【解決手段】支援情報作成装置は、外部を撮影可能な撮影部を複数備えた移動体が、前記撮影部による撮影を実行しながら移動することによって生成した、撮影した位置の撮影位置情報に関連付けされた動画データを取得し、対象物の位置に関する情報を含む施設情報から、前記対象物の対象物位置情報を取得し、前記撮影位置情報と前記対象物の前記対象物位置情報との比較に基づいて、前記動画データに含まれる前記対象物の撮影画像を特定し、前記対象物位置情報に基づいて、前記動画データに含まれる前記対象物を撮影した部分を前記動画データから抽出する制御部を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部を撮影可能な撮影部を複数備えた移動体が、前記撮影部による撮影を実行しながら移動することによって生成した、撮影した位置の撮影位置情報に関連付けされた動画データを取得し、
対象物の位置に関する情報を含む施設情報から、前記対象物の対象物位置情報を取得し、
前記撮影位置情報と前記対象物の前記対象物位置情報との比較に基づいて、前記動画データに含まれる前記対象物の撮影画像を特定し、
前記対象物位置情報に基づいて、前記動画データに含まれる前記対象物を撮影した部分を前記動画データから抽出する制御部を備える
支援情報作成装置。
【請求項2】
複数の前記撮影部は、互いに異なる方向を撮影可能に構成される
請求項1に記載の支援情報作成装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記動画データから、前記対象物が撮影されている部分を所定期間で抽出する場合、前記対象物位置情報と前記撮影位置情報とに基づいて、前記撮影部が前記対象物を通過する通過タイミングを導出し、
前記通過タイミングを基準として、それぞれの前記撮影部により撮影されたそれぞれの動画データから、前記通過タイミングより前の所定期間、前記通過タイミングを含む所定期間、および前記通過タイミングより後の所定期間から選択された少なくとも1つの所定期間の動画データを抽出する
請求項1または2に記載の支援情報作成装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記動画データから前記対象物が撮影されている部分を所定期間で抽出する場合、前記対象物に設定された所定位置を通過した時点から、前記対象物における前記所定位置とは異なる位置を通過する間の所定期間の動画データを抽出する
請求項1または2に記載の支援情報作成装置。
【請求項5】
前記制御部は、複数の前記撮影部におけるそれぞれの搭載位置の差分値をパラメータとして前記通過タイミングを、複数の前記撮影部により生成される動画データにおいて同期させる
請求項1~4のいずれか1項に記載の支援情報作成装置。
【請求項6】
前記制御部は、
複数の前記撮影部によって生成された動画データから抽出した複数の動画データを、前記対象物に関連付けて記録部に記憶させる
請求項1~5のいずれか1項に記載の支援情報作成装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の支援情報作成装置と、
外部を撮影可能であって撮影した対象物の動画データを生成する複数の撮影部、および複数の前記撮影部のそれぞれの位置を測定して前記位置を示す撮影位置情報を生成する測位部を有し、前記動画データと前記撮影位置情報とを関連づけて出力する関連情報作成装置と、を備える
支援情報作成システム。
【請求項8】
複数の前記撮影部は、互いに異なる方向を撮影可能に構成される
請求項7に記載の支援情報作成システム。
【請求項9】
支援情報作成装置の制御部が実行する支援情報作成方法であって、
外部を撮影可能な撮影部を複数備えた移動体が、前記撮影部による撮影を実行しながら移動することによって生成した、撮影した位置の撮影位置情報に関連付けされた動画データを取得し、
対象物の位置に関する情報を含む施設情報から、前記対象物の対象物位置情報を取得し、
前記撮影位置情報と前記対象物の前記対象物位置情報との比較に基づいて、前記動画データに含まれる前記対象物の撮影画像を特定し、
前記対象物位置情報に基づいて、前記動画データに含まれる前記対象物を撮影した部分を前記動画データから抽出する
支援情報作成方法。
【請求項10】
支援情報作成装置の制御部に、
外部を撮影可能な撮影部を複数備えた移動体が、前記撮影部による撮影を実行しながら移動することによって生成した、撮影した位置の撮影位置情報に関連付けされた動画データを取得し、
対象物の位置に関する情報を含む施設情報から、前記対象物の対象物位置情報を取得し、
前記撮影位置情報と前記対象物の前記対象物位置情報との比較に基づいて、前記動画データに含まれる前記対象物の撮影画像を特定し、
前記対象物位置情報に基づいて、前記動画データに含まれる前記対象物を撮影した部分を前記動画データから抽出する
ことを実行させる支援情報作成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支援情報作成装置、支援情報作成システム、支援情報作成方法、および支援情報作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、標識や照明などの道路附属物の点検を支援する点検支援システムとして、点検箇所の撮影とこの点検箇所の点検結果の入力とを互いに独立した撮影装置と点検端末とによって行うシステムが知られている。
【0003】
特許文献1には、撮影装置によって撮影された撮影データを点検端末に入力された点検箇所の点検データに自動的に紐付ける技術が開示されている。この技術によって、小規模附属物点検要領(国土交通省作成資料)によって規定される詳細点検や中間点検を効率的に実施可能になる。
【0004】
小規模附属物点検要領においては、詳細点検について、「予め特定した弱点部に近接し、変状の有無、大きさを詳細に把握するとともに、路面へ埋め込まれた部分の異常を把握し、対策の要否を判定することを目的に実施するものとする」と定義している。また、小規模附属物点検要領においては、中間点検について、「路面から直接、またはカメラ等を用いて目視し、外観から弱点部などの異常を発見し、対策の要否を判定することを目的に実施するものとする」と定義している。
【0005】
そこで、これらの詳細点検や中間点検のために、特許文献2においては、車両に搭載可能な、動画や写真を撮影するドライブレコーダなどの撮影装置を用いて、道路や沿線に設置されている設備の様子を撮影し、撮影した動画や写真から設備の状態を取得する技術が開示されている。特許文献2に記載の技術は、設備の管理台帳を作成したり現地まで足を運ぶことなく巡視や点検を実施したりすることを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-228249号公報
【特許文献2】特開2016-151967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、小規模附属物点検要領においては、詳細点検や中間点検のほかに、巡視点検も規定されている。小規模附属物点検要領では、巡視点検について、「巡視時にパトロール車内から附属物の変状を発見する、また、必要に応じて対象物に近づき、附属物の状態を確認するものとする」と定義している。この点、特許文献2に記載の従来技術においては、車などの移動体に撮影装置を搭載する場合、進行方向または進行方向とは反対側の後方の景色を広く画角に収めるような向きに固定した状態で搭載している。そのため、道路標識などの設備の全体的な状態を把握できたとしても、点検が必要な各部位の劣化の有無や度合いなどの情報を詳細に取得することが困難であった。そこで、附属物に関する詳細な情報を、移動体に搭載した撮影装置から効率的に取得できる技術が求められていた。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、外部を撮影可能な撮影部を複数備えた移動体を用いて取得したデータによって、附属物に関する詳細な情報を取得できる支援情報作成装置、支援情報作成システム、支援情報作成方法、および支援情報作成プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、上記目的を達成するために、本発明による支援情報作成装置は、外部を撮影可能な撮影部を複数備えた移動体が、前記撮影部による撮影を実行しながら移動することによって生成した、撮影した位置の撮影位置情報に関連付けされた動画データを取得し、対象物の位置に関する情報を含む施設情報から、前記対象物の対象物位置情報を取得し、前記撮影位置情報と前記対象物の前記対象物位置情報との比較に基づいて、前記動画データに含まれる前記対象物の撮影画像を特定し、前記対象物位置情報に基づいて、前記動画データに含まれる前記対象物を撮影した部分を前記動画データから抽出する制御部を備える。
【0010】
本発明の一態様による支援情報作成装置は、上記の発明において、複数の前記撮影部は、互いに異なる方向を撮影可能に構成される。これにより、移動体に搭載する複数の撮影装置は、画像や位置情報および動画を抽出したい設備の複数の箇所や面を撮影することが可能になる。
【0011】
本発明の一態様による支援情報作成装置は、上記の発明において、前記制御部は、前記動画データから、前記対象物が撮影されている部分を所定期間で抽出する場合、前記対象物位置情報と前記撮影位置情報とに基づいて、前記撮影部が前記対象物を通過する通過タイミングを導出し、前記通過タイミングを基準として、それぞれの前記撮影部により撮影されたそれぞれの動画データから、前記通過タイミングより前の所定期間、前記通過タイミングを含む所定期間、および前記通過タイミングより後の所定期間から選択された少なくとも1つの所定期間の動画データを抽出する。
【0012】
本発明の一態様による支援情報作成装置は、上記の発明において、前記制御部は、前記動画データから前記対象物が撮影されている部分を所定期間で抽出する場合、前記対象物に設定された所定位置を通過した時点から、前記対象物における前記所定位置とは異なる位置を通過する間の所定期間の動画データを抽出する。
【0013】
本発明の一態様による支援情報作成装置は、上記の発明において、前記制御部は、複数の前記撮影部におけるそれぞれの搭載位置の差分値をパラメータとして前記通過タイミングを、複数の前記撮影部により生成される動画データにおいて同期させる。
【0014】
本発明の一態様による支援情報作成装置は、上記の発明において、前記制御部は、複数の前記撮影部によって生成された動画データから抽出した複数の動画データを、前記対象物に関連付けて記録部に記憶する。
【0015】
本発明の一態様による支援情報作成システムは、上記の発明による支援情報作成装置と、外部を撮影可能であって撮影した対象物の動画データを生成する複数の撮影部、および複数の前記撮影部のそれぞれの位置を測定して位置を示す撮影位置情報を生成する測位部を有し、前記動画データと前記撮影位置情報とを関連づけて出力する関連情報作成装置と、を備える。本発明の一態様による支援情報作成システムは、この構成において、複数の前記撮影部は、互いに異なる方向を撮影可能に構成される。
【0016】
本発明の一態様による支援情報作成方法は、支援情報作成装置の制御部が実行する支援情報作成方法であって、外部を撮影可能な撮影部を複数備えた移動体が、前記撮影部による撮影を実行しながら移動することによって生成した、撮影した位置の撮影位置情報に関連付けされた動画データを取得し、対象物の位置に関する情報を含む施設情報から、前記対象物の対象物位置情報を取得し、前記撮影位置情報と前記対象物の前記対象物位置情報との比較に基づいて、前記動画データに含まれる前記対象物の撮影画像を特定し、前記対象物位置情報に基づいて、前記動画データに含まれる前記対象物を撮影した部分を前記動画データから抽出する。
【0017】
本発明の一態様による支援情報作成プログラムは、支援情報作成装置の制御部に、外部を撮影可能な撮影部を複数備えた移動体が、前記撮影部による撮影を実行しながら移動することによって生成した、撮影した位置の撮影位置情報に関連付けされた動画データを取得し、対象物の位置に関する情報を含む施設情報から、前記対象物の対象物位置情報を取得し、前記撮影位置情報と前記対象物の前記対象物位置情報との比較に基づいて、前記動画データに含まれる前記対象物の撮影画像を特定し、前記対象物位置情報に基づいて、前記動画データに含まれる前記対象物を撮影した部分を前記動画データから抽出することを実行させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明による支援情報作成装置、支援情報作成システム、支援情報作成方法、および支援情報作成プログラムによれば、外部を撮影可能な撮影部を複数備えた移動体を用いて取得したデータによって、附属物に関する詳細な情報を取得することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による支援情報作成システムを示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態による関連情報作成装置を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態による支援情報作成装置を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態において参照される支援情報の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態において参照される支援情報の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態における支援情報作成方法による撮影画像の抽出方法を説明するためのフローチャートである。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態における支援情報作成方法による撮影画像の抽出方法を説明するためのフローチャートである。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態による撮影画像データの抽出のタイミングを説明するための図である。
【
図9】
図9は、本発明の一実施形態によるフロント撮影部によって撮影される対象物の正面側の撮像画像の例を示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の一実施形態によるサイド撮影部によって撮影される対象物の側部の撮像画像の例を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の一実施形態によるリア撮影部によって撮影される対象物の裏面側の撮像画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。また、本発明は以下に説明する実施形態によって限定されるものではない。
【0021】
(支援情報作成システム)
まず、本発明の一実施形態による支援情報作成システムについて説明する。
図1は、本実施形態による支援情報作成システム1を示すブロック図である。
【0022】
図1に示すように、一実施形態による支援情報作成システム1は、標識や照明などの施設としての道路附属物の点検を支援する支援情報を作成するシステムである。本実施形態において支援情報は、施設台帳データ(以下、施設台帳)および施設諸元データ(以下、施設諸元)を例示でき、本実施形態においては、これらの施設台帳や施設諸元に追加する撮影画像データの作成システムである。
【0023】
一実施形態による支援情報作成システム1は、関連情報作成装置2、支援情報作成装置3、および記録媒体4を備える。記録媒体4は、関連情報作成装置2と支援情報作成装置3との間におけるデータの受け渡しを行うための可搬型の記録メディアであり、関連情報作成装置2および支援情報作成装置3に対してそれぞれ着脱可能に構成されている。なお、記録媒体4は、所定のネットワークを介して関連情報作成装置2および支援情報作成装置3との間で情報の入出力を可能に構成された記録メディアであっても良い。
【0024】
(関連情報作成装置の構成)
図2は、本実施形態による関連情報作成装置2を示すブロック図である。
図2に示すように、関連情報作成装置2は、移動体としての車両などに搭載されるドライブレコーダなどから構成されている。関連情報作成装置2は、第1制御部21、第1記録部22、第1入力部23、第1表示部24、第1撮影部25、第1センサ部26、および第1リーダライタ27が、バス28を介して接続された構成である。
【0025】
第1制御部21は、CPU(Central Processing Unit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)などから構成される。第1制御部21は、第1記録部22に記録されたプログラムにしたがって、関連情報作成装置2の動作を制御する。第1記録部22は、第1制御部21が実行するプログラム、第1制御部21の処理に必要な情報、および第1制御部21が処理した情報などを記録する。
【0026】
第1入力部23は、ユーザによる操作を受け付けるボタン、スイッチ、およびタッチパネルなどから構成され、ユーザ操作に応じた操作信号を第1制御部21に出力する。第1表示部24は、液晶または有機EL(Electro Luminescence)などを用いた表示ディスプレイで構成され、第1制御部21による制御の下、種々の画像を表示する。なお、第1入力部23の機能の一部または全部がタッチパネルとして第1表示部24の表面に配置されてもよい。
【0027】
第1撮影部25は、本発明に係る撮影部に相当する。第1撮影部25は、フロント撮影部251、サイド撮影部252、およびリア撮影部253を備える。フロント撮影部251、サイド撮影部252、およびリア撮影部253はそれぞれ、レンズユニット、撮像素子、および信号処理部(いずれも図示せず)を備えて構成される。レンズユニットは、被写体像を取り込んで撮像素子の撮像面に結像する。撮像素子は、レンズユニットが結像した被写体像を受光して電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などから構成される。信号処理部は、撮像素子からの電気信号に対して例えばA/D変換などの信号処理を行って、撮影画像データ(以下、撮影画像)を出力する。第1撮影部25を構成するフロント撮影部251、サイド撮影部252、およびリア撮影部253はそれぞれ、360度カメラ、ステレオ、またはサーモカメラや、LiDAR、TOFカメラなどの光学装置や、GPS装置搭載のカメラなどが採用できる。なお、第1撮影部25によって撮影された撮影映像、すなわち動画は、時系列に順次関連付けされた複数の撮影画像から構成されるため、動画は、撮影画像の概念に含まれるものである。
【0028】
フロント撮影部251は、車両の進行方向の前方を撮影可能に構成され、主に対象物の正面側を撮影することにより、対象物の正面側の撮影情報を取得する。フロント撮影部251は、車両の前部に設けられる場合が多いが、必ずしも前部に限定されない。
【0029】
サイド撮影部252は、車両の進行方向に対して側方を撮影可能に構成される。サイド撮影部252は、主に対象物の基部や基礎の部分を撮影することにより、対象物の基部や基礎の部分の撮影情報を取得する。サイド撮影部252は、車両の側部に設けられる場合が多いが、必ずしも側部に限定されない。
【0030】
リア撮影部253は、車両の進行方向に対して後方を撮影可能に構成され、主に対象物の裏面側を撮影することにより、対象物の裏面側の撮影情報を取得する。リア撮影部253は、車両の後部に設けられる場合が多いが、必ずしも後部に限定されない。
【0031】
フロント撮影部251、サイド撮影部252、およびリア撮影部253はそれぞれ別体で設けられていても、同じ筐体に設けられていても良い。すなわち、第1撮影部25は、車両の進行方向に対して少なくとも2方向を撮影可能になるように、複数の撮影部を備える。すなわち、本実施形態においては、第1撮影部25によって撮影される対象物は、正面側、基部や基礎の部分、および裏面側が撮影されて、1つの対象物に対して複数、ここでは3つの撮影画像データが得られることになる。
【0032】
第1センサ部26は、第1測位部261および第1速度センサ262を備える。第1測位部261は、本発明による測位部に相当する。第1測位部261は、本発明に係る測位部に相当する。第1測位部261は、地上の物体の位置を測定する測位手段であるGPS(Global Positioning System)を構成する複数のGPS衛星が出力する衛星の軌道情報を受信する。第1測位部261は、受信した軌道情報に基づいて、関連情報作成装置2の位置、すなわち緯度および経度を示す撮影位置情報を出力する。これにより、第1測位部261は、第1撮影部25の位置情報、すなわち、フロント撮影部251、サイド撮影部252、およびリア撮影部253の位置情報を出力可能となる。なお、第1測位部261としては、GPSを利用した構成に限らず、その他のGNSS(Global Navigation Satellite System)を利用した構成を採用しても構わない。第1速度センサ262は、関連情報作成装置2の速度、すなわち関連情報作成装置2が搭載された車両の速度を検出し、速度を示す撮影速度情報を出力する。
【0033】
第1制御部21は、第1撮影部25によって時系列で順次、撮影された複数の撮影画像に対して、撮影画像の撮影位置を示す撮影位置情報、撮影画像の撮影時における関連情報作成装置2の速度を示す撮影速度情報、および撮影画像の撮影時刻を示す撮影時刻情報をそれぞれ関連付けた関連情報を生成する。ここで、撮影位置情報は、第1測位部261によって生成される。撮影速度情報は、第1速度センサ262によって出力される。
【0034】
第1測位部261における単位時間あたりに生成する撮影位置情報の数は、第1撮影部25を構成するそれぞれの撮影部251,252,253における単位時間あたりに生成する撮影画像の数、すなわちフレームレート以下の場合がある。この場合、第1制御部21は、撮影画像の生成時に撮影位置情報を生成できなかった場合に、撮影位置情報を補間により生成し、撮影画像に対して補間により生成した撮影位置情報を関連付ける。なお、補間は、直線補間を想定しているが、直線補間ができないカーブなどの場合は、近傍の道路形状のネットワークデータ(道路リンク)上を走行したと仮定して、この道路リンク上に沿ってデータを補正する。具体的に、第1制御部21は、前後の取得したGPSによる位置情報と、第1速度センサ262によって計測された速度や時間などから導出可能な走行データに基づいて補正する。また、第1制御部21は、時系列的に前後となる撮影位置情報と、走行データ(時速や距離等)とに基づいて補正してもよい。
【0035】
本実施形態においては、フロント撮影部251、サイド撮影部252、およびリア撮影部253のそれぞれによって時系列に順次撮影された複数の撮影画像に対して、撮影画像の撮影位置を示す撮影位置情報をそれぞれ関連付けた関連情報を生成する。これにより、フロント撮影部251、サイド撮影部252、およびリア撮影部253が撮影した撮像画像は、撮影位置情報によって関連付け可能である。
【0036】
フロント撮影部251、サイド撮影部252、およびリア撮影部253が撮影したそれぞれの撮像画像は、第1速度センサ262によって計測された車両の速度と撮影時刻とに基づいて、関連付け可能である。すなわち、フロント撮影部251、サイド撮影部252、およびリア撮影部253によって時系列に順次撮影されたそれぞれの撮影画像は、第1制御部21によって同期可能である。また、フロント撮影部251、サイド撮影部252、およびリア撮影部253を同時に起動させ、第1制御部21は、起動開始時点からの時間に基づいて撮影画像を同期させても良い。なお、第1制御部21は、起動開始時点からの時間以外にも、GPS衛星やGNSS衛星から受信した時刻情報に基づいて撮影画像を同期させることも可能である。
【0037】
第1リーダライタ27は、記録媒体4が挿着された際に、第1制御部21による制御の下、第1制御部21によって生成された関連情報を記録媒体4に記録する。関連情報は、関連情報作成装置2が車両に搭載され、道路を車両が走行している際に、第1測位部261によって測定された撮影位置情報を含む位置情報データベース41、および第1撮影部25によって撮影された複数の撮影画像からなる動画データベース42を含む情報である。
【0038】
(支援情報作成装置)
図3は、本実施形態による支援情報作成装置3を示すブロック図である。
図3に示すように、本実施形態による支援情報作成装置3は、例えばPC(Personal Computer)などから構成される。支援情報作成装置3は、第2リーダライタ31、第2制御部32、第2記録部33、第2入力部34、および第2表示部35が、バス36を介して接続された構成である。
【0039】
第2リーダライタ31は、本発明に係る関連情報取得部に相当する。第2リーダライタ31は、第2リーダライタ31に記録媒体4が挿着された際に、第2制御部32による制御の下、記録媒体4に記録された関連情報を取り込む。第2リーダライタ31により取り込まれた関連情報は、第2記録部33に記録される。
【0040】
なお、本実施形態では、可搬型の記録媒体4を利用して関連情報作成装置2から支援情報作成装置3に対して関連情報を受け渡す構成を採用したが、これに限らない。例えば、無線通信や有線通信を利用して関連情報作成装置2から支援情報作成装置3に対して関連情報を受け渡す構成を採用しても良い。この際、支援情報作成装置3に設けられ、通信を行う通信部は、本発明に係る関連情報取得部に相当する。また、記録媒体4を通信可能な所定のネットワーク上に設けることも可能である。すなわち、関連情報作成装置2と支援情報作成装置3とは、ネットワーク上の記録媒体を介して情報の送受信および入出力を行うことが可能である。
【0041】
第2制御部32は、本発明に係るプロセッサに相当する。第2制御部32は、CPUやFPGAなどから構成される。第2制御部32は、第2記録部33に記録された支援情報作成プログラムやその他のプログラムにしたがって、支援情報作成装置3全体の動作を制御する。第2制御部32は、本発明に係る画像解析部、区分判別部、位置補正部、および情報作成部としての機能を有する。なお、第2制御部32の機能の詳細については、後述する。
【0042】
第2記録部33は、第2制御部32が実行する本発明に係る支援情報作成プログラムを含むプログラム、第2制御部32の処理に必要な情報、第2制御部32が処理した情報、および第2リーダライタ31によって取り込まれた関連情報などを記録する。第2制御部32の処理に必要な情報としては、カーナビゲーション装置等に用いられる地図情報や以下に示す学習モデルを例示することができる。すなわち、第2記録部33は、本発明に係る地図情報記録部に相当する。
【0043】
学習モデルは、道路附属物の種別ごとに設けられ、道路附属物が撮影された撮影画像(教師画像)に基づいて道路附属物の特徴を機械学習(例えば深層学習等)することにより得られたモデルである。そして、第2制御部32は、学習モデルを用いた画像認識(AI(Artificial Intelligence)を用いた画像認識)により、関連情報に含まれる複数の撮影画像の少なくともいずれかの撮影画像に写り込んだ道路附属物(本発明に係る特定の施設(本実施形態では標識、照明、および情報板等)に相当)を認識することが可能となる。
【0044】
第2入力部34は、ユーザ操作を受け付けるボタン、スイッチ、タッチパネルなどから構成され、ユーザ操作に応じた操作信号を第2制御部32に出力する。第2表示部35は、液晶または有機ELなどを用いた表示ディスプレイで構成され、第2制御部32による制御の下、種々の画像を表示する。なお、第2入力部34の機能の一部または全部がタッチパネルとして第2表示部35の表面に配置されてもよい。
【0045】
(支援情報)
以上のように構成された支援情報作成システムによる支援情報処理方法について説明する。上述したように、本実施形態による支援情報作成システム1は、点検対象施設に相当する、標識や照明などの道路附属物の点検を支援するための支援情報を作成するシステムである。支援情報は、施設台帳データに対して施設画像が関連付けられた第1支援情報I1と、施設台帳データおよび施設諸元データを含む第2支援情報I2とを例示できる。
図4は、本実施形態による支援情報における施設台帳データの例を示す。
【0046】
(第1支援情報および施設台帳)
第1支援情報I1は、支援情報作成装置3によって作成され、第2記録部33に格納されている。
図4に示すように、第1支援情報I1は、互いに異なる3つの道路附属物(No1~No.3の道路附属物)が登録された施設台帳D1を含む。施設台帳D1は具体的に、道路附属物ごとに、管理番号D101、管理者名D102、路線名D103、距離標D104、施設位置情報D105、上下区分D108、施設区分情報D109、点検日D110、点検会社D111、点検員D112、損傷度D113、および施設画像FIの登録欄が設けられた情報である。
【0047】
管理番号D101の登録欄には、該当する道路附属物固有の管理番号が登録されている。管理者名D102の登録欄には、該当する道路附属物を管理する管理者名が登録されている。さらに、路線名D103の登録欄には、該当する道路附属物が位置する道路の路線名を示す路線名情報が登録されている。また、距離標D104には、該当する道路附属物が位置する道路上での当該道路附属物が位置する距離標を示す距離標情報が登録されている。
【0048】
さらに、施設位置情報D105の登録欄は、緯度情報D106と経度情報D107とに分かれている。そして、緯度情報D106および経度情報D107の登録には、該当する道路附属物の位置(緯度および経度)を示す施設位置情報が登録されている。なお、施設位置情報D105は、例えば緯度情報D106および経度情報D107から構成されるが、位置を一意に特定可能であれば、必ずしも緯度情報や経度情報に限定されない。
【0049】
また、上下区分D108の登録欄には、該当する道路附属物が位置する道路の上下区分を示す上下区分情報が登録されている。さらに、施設区分情報D109の登録欄には、該当する道路附属物の施設区分(例えば標識等)を示す施設区分情報が登録されている。
【0050】
また、点検日D110、点検会社D111、点検員D112、および損傷度D113の各登録欄には、該当する道路附属物を点検した点検日、点検会社、点検員、および点検結果を示す損傷度がそれぞれ登録されている。関連情報作成装置2の第1撮影部25によって撮影された撮影画像のデータは施設画像FIに登録可能である。
【0051】
以上により、施設台帳データ(施設台帳D1)に対して施設画像が関連付けられた第1支援情報I1が構成される。なお、本実施形態において、
図4に示す情報はあくまでも一例に過ぎず、登録欄に関して少なくとも位置情報である施設位置情報D105および撮影画像を出力可能な施設画像FIを含んでいれば、その他の情報を含まないことも可能である。
【0052】
(第2支援情報および施設諸元)
図5は、本実施形態による支援情報における施設諸元データである施設諸元D2の一例を示す図である。
図5に示すように、本実施形態による施設諸元D2は、道路附属物ごとに設けられている。すなわち、
図4に示す施設台帳D1に対応する施設諸元D2は、施設台帳D1に含まれる道路附属物の数に対応して作成される。具体的に、施設台帳D1に対応する施設諸元D2は、施設台帳D1に含まれる道路附属物の数が例えば3つであるため、これらに対応して3つ作成される。なお、
図5においては、
図4に示す施設台帳D1に含まれるNo.1の道路附属物に応じた施設諸元D2を示す。
図5に示すように、施設諸元D2は、種別情報D201、位置情報D202、構造情報D203、設置環境情報D204、点検情報D205、周辺地
図D206、および撮影画像D207の登録欄が設けられる。
【0053】
種別情報D201の登録欄は、該当する道路附属物の施設区分情報、当該道路附属物の管理者名、当該道路附属物の管理番号等の情報の各登録欄によって構成されている。第2制御部32は、生成した施設区分情報を種別情報D201に含まれる施設区分情報の登録欄に登録する。種別情報D201に含まれる管理者名の登録欄には、例えば作業者による第2入力部34へのユーザ操作(管理者名の入力操作)に応じて、該当する道路附属物を管理する管理者名が登録される。なお、種別情報D201に含まれる管理番号の登録欄には、該当する道路附属物固有の管理番号が登録されるが、第2制御部32が独自に管理番号を生成して登録してもよく、作業者による第2入力部34へのユーザ操作(管理番号の入力操作)に応じて管理番号を登録する構成としてもよい。
【0054】
位置情報D202の登録欄は、該当する道路附属物の位置を示す施設位置情報(経度および緯度)、道路附属物が位置する道路の道路種別(一般国道/主要地方道/…)、道路の路線名、道路の上下区分、および道路附属物の所在地等の情報の各登録欄によって構成されている。位置情報D202は、対象物となる道路附属物における対象物位置情報として用いられる。
【0055】
第2制御部32は、施設位置情報を位置情報D202に含まれる施設位置情報の登録欄に登録する。また、第2制御部32は、道路附属物の位置を示す施設位置情報に基づいて、当該道路附属物が位置する道路の道路種別を示す道路種別情報、当該道路の路線名を示す路線名情報、当該道路の上下区分を示す上下区分情報、および当該道路附属物の所在地(○○県○○市○○区1-1等)を示す所在地情報を、第2記録部33に記録された地図情報から抽出する。第2制御部32は、抽出した道路種別情報、路線名情報、上下区分情報、および所在地情報を位置情報D202に含まれる道路種別、路線名、上下区分、および所在地の各登録欄にそれぞれ登録する。
【0056】
構造情報D203の登録欄は、該当する道路附属物の支柱形式、表面処理形式、および支柱基部リブ形状などの道路附属物の構造に関する情報の各登録欄によって構成されている。構造情報D203の各登録欄には、例えば作業者による第2入力部34へのユーザ操作(各種の情報の入力操作)に応じて、各種の情報がそれぞれ登録される。
【0057】
設置環境情報D204の登録欄は、該当する道路附属物の設置環境(一般部/橋梁部/トンネル/…)、海岸からの距離、融雪剤散布区間か否か、風規制実施区間か否か、および防雪対策実施区間か否か等の道路附属物の設置環境に関する情報の各登録欄によって構成されている。設置環境情報D204の各登録欄には、例えば作業者による第2入力部34へのユーザ操作(各種の情報の入力操作)に応じて、各種の情報がそれぞれ登録される。
【0058】
点検情報D205の登録欄は、該当する道路附属物の点検の種別(初期点検/定期点検/臨時点検/…)、点検方法(近接目視/外観目視/…)、点検日、前回点検日、点検会社、および点検員などの情報の各登録欄によって構成されている。点検情報D205の各登録欄には、例えば作業者による第2入力部34へのユーザ操作(各種の情報の入力操作)に応じて、各種の情報がそれぞれ登録される。
【0059】
第2制御部32は、生成した道路附属物の位置を示す施設位置情報に基づいて、当該道路附属物の周辺地図を第2記録部33に記録された地図情報から抽出する。第2制御部32は、抽出した周辺地図上に当該道路附属物の位置をマーキングした周辺地図情報を周辺地
図D206の登録欄に登録する。
【0060】
第2制御部32は、認識した道路附属物が写り込んだ撮影画像を撮影画像D207の登録欄に登録する。第2制御部32は、生成した道路附属物ごとの動画データなどの撮影画像データを、施設台帳D1に登録された道路附属物ごとにそれぞれ関連付けて第1支援情報I1を生成する。撮影画像データは、
図4に示すように、施設画像FIの登録欄にそれぞれ登録される。すなわち、施設台帳D1にそれぞれ登録された道路附属物ごとの情報は、本発明に係る施設情報に相当する。
【0061】
(動画データの抽出方法および登録方法)
次に、本実施形態による支援情報作成方法の一部としての動画データの抽出方法について説明する。すなわち、本発明による動画データの抽出方法においては、まず、複数の撮影部を備えて、それらの複数の撮影部の撮像方向がそれぞれを様々な方向になる状態で移動体を走行させて、それぞれの撮影部によってそれぞれ動画データを生成する。これにより、附属物である設備のさまざまな面や部位を同時に撮像して状況を認識可能になる。移動体を走行させて撮影することによって生成した動画データは、GPSなどによって得られる位置情報と関連付けして、移動体が設備を通過するタイミングを基準として、このタイミングから前、後、または前後ともに特定の所定期間の範囲で動画データを抽出する。または、移動体が移動する所定の始点から終点までの範囲の動画を抽出する。この動画データを抽出する際には、複数の撮影部の搭載位置や撮影方向が異なることによって、同じ対象物であっても対象物を撮影する時刻(タイミング)が異なることを考慮して、それぞれの撮影部の搭載位置の差分値などをパラメータとして、動画データから抽出する所定期間を調整して設定し、複数の動画データから同じ対象物に関する動画データを効率良く抽出できるようにする。抽出した動画データは対象物に関連付けして、所定の記録部に格納しておくことによって、例えば設備が設けられた現地に行くことなく、対象物を確認することが可能となる。以下に説明する実施形態は、このような検討に基づいて案出されたものである。
【0062】
図6は、このような本実施形態による支援情報作成方法としての動画データの抽出方法および関連付け方法を示すフローチャートである。
図6に示すフローチャートは、支援情報作成装置3の第2制御部32により実行されるが、関連情報作成装置2の第1制御部21が実行しても良い。
【0063】
まず、ステップST1において、第2制御部32は、記録媒体4から取得した動画データベース42から、所定の第1動画データを取得する。ここで、所定の第1動画データとしては、フロント撮影部251によって撮影された動画データとする。
【0064】
次に、ステップST2に移行して第2制御部32は、第1支援情報I1から附属物リストを取得する。すなわち、
図4に示す第1支援情報I1などの附属物(以下、対象物)のリスト(対象物リスト)を取得する。
【0065】
続いて、ステップST3に移行して第2制御部32は、取得した対象物リストに対象となる対象物が含まれているか否かを判定する。第2制御部32が、取得した第1支援情報I1に対象物が含まれていないと判定した場合(ステップST3:No)、動画データの抽出処理を終了する。
【0066】
第2制御部32が、取得したリストに対象物が含まれていると判定した場合(ステップST3:Yes)、ステップST4に移行する。ステップST4において第2制御部32は、位置情報データベース41に格納された第1支援情報I1から、対象物の位置情報を取得する。なお、第1支援情報I1の対象物に対応する第2支援情報I2から、対象物の位置情報を取得しても良い。
【0067】
次に、ステップST5~ST7において、第1動画データから所定期間の動画データを切り出す。すなわち、ステップST5に移行して第2制御部32は、対象物の位置情報に基づいて、第1動画データに撮影された対象物の設置位置を通過するタイミングを導出する。タイミングは、第1動画データに関連付けされた時刻に基づいて、第1動画データが撮影された時刻(タイミング)などである。次に、ステップST6に移行して第2制御部32は、第1動画データを撮影した撮影部、ここではフロント撮影部251と、対象物を通過した時刻(通過タイミング)での相対位置情報を導出して、動画データベース42に格納する。次に、ステップST7に移行して第2制御部32は、第1動画データから、対象物を通過するタイミングに基づいて決定された所定期間の動画データを切り出して、抽出する。
【0068】
なお、第1撮影部25におけるフロント撮影部251、サイド撮影部252、およびリア撮影部253のおいては、車両における搭載位置が異なる場合がある。この場合、通過タイミングは、撮影部251~253のそれぞれの搭載位置によってずれることが考えられる。そこで、第2制御部32は、搭載位置の差分値をパラメータとして、動画データに関連付けされた撮影時間、および第1速度センサ262によって計測された車両の速度などによって、通過タイミングをそれぞれの撮影部によって生成された動画データにおいて略一致するように調整する。これにより、フロント撮影部251、サイド撮影部252、およびリア撮影部253が撮影して生成した動画データにおける、通過タイミングを互いに同期させることができる。
【0069】
以上のステップST4~ST7における、動画データの抽出方法の具体例について説明する。
図8は、本実施形態による動画データの撮影および抽出のタイミングを説明するための図である。
【0070】
図8に示すように、車両Vが
図8中左から右に向かって走行している状態で、対象物である道路附属物FA19を撮像する場合を例にすると、フロント撮影部251が撮影した動画データにおいて、車両Vの進行方向の前方の道路附属物FA19が対象物として含まれる。
図9は、一実施形態によるフロント撮影部によって撮影された対象物の正面側の撮像画像の例を示す図である。
図9は、フロント撮影部251によって撮影された動画データの再生画像FPにおける道路附属物FA19が撮影された状態を示す。
図9に示すように、フロント撮影部251は、道路附属物FA19を正面側から撮影している。フロント撮影部251は、地点Aから地点Bまでは道路附属物FA19を撮像可能である。この場合、フロント撮影部251によって撮影された動画データには、車両Vが地点Aから地点Bまで移動した際に撮像した道路附属物FA19の動画データが含まれる。
【0071】
その後、車両Vが
図8に示す地点Bの近傍まで走行すると、道路附属物FA19は、サイド撮影部252によって撮影可能となる。すなわち、地点Bの前後においては、対象物である道路附属物FA19の基部や基礎の部分が、サイド撮影部252によって撮影可能になる。
図10は、一実施形態によるサイド撮影部によって撮影された対象物の側部の撮像画像の例を示す図である。
図10は、サイド撮影部252によって撮影された動画データの再生画像FPにおける道路附属物FA19が撮影された状態を示す。
図10に示すように、サイド撮影部252は、道路附属物FA19の基部や基礎の部分を側部から撮影している。サイド撮影部252は、地点Bの前後において道路附属物FA19を撮像可能である。この場合、サイド撮影部252によって撮影された動画データには、車両Vが地点Bの前後を移動した際に撮像した道路附属物FA19の動画データが含まれる。
【0072】
同様に、車両Vが
図8に示す地点Bから地点Cまで移動している間は、道路附属物FA19は、リア撮影部253によって撮影可能となる。すなわち、地点Bから地点Cまでの間においては、対象物である道路附属物FA19の裏面側が、リア撮影部253によって撮影可能になる。
図11は、一実施形態によるリア撮影部によって撮影された対象物の裏面側の撮像画像の例を示す図である。
図11は、リア撮影部253によって撮影された動画データの再生画像FPにおける道路附属物FA19が撮影された状態を示す。
図11に示すように、リア撮影部253は、道路附属物FA19を裏面側から撮影している。リア撮影部253は、地点Bから地点Cまでは道路附属物FA19を撮像可能である。この場合、リア撮影部253によって撮影された動画データには、車両Vが地点Bから地点Cまで移動した際に撮像した道路附属物FA19の動画データが含まれる。
【0073】
ここで、ステップST4~ST7においてはまず、ステップST4,ST5において第2制御部32は、対象物である道路附属物FA19を通過するタイミングを導出する。すなわち、ステップST4において第2制御部32は、第1動画データに関連付けされた位置情報を読み出し、この位置情報に基づいて第1支援情報から対象物である道路附属物FA19の位置情報を読み出す。
【0074】
ステップST5において第2制御部32は、第1支援情報I1から読み出した道路附属物FA19の位置情報と、第1動画データに関連付けされた位置情報とを比較して、道路附属物FA19を特定する。すなわち、第2制御部32は、第1動画データに含まれる対象物である所定の道路附属物が、第1支援情報I1に含まれる道路附属物FA19であると特定する。
【0075】
次に、ステップST6において第2制御部32は、道路附属物FA19を通過した通過タイミングを基準として、この通過タイミングから、所定期間だけ前の時点における位置を設定する。通過タイミングは、上述したGPS衛星やGNSS衛星などから取得した時刻に基づいて導出してもよく、第1撮影部25が起動した時点、すなわちフロント撮影部251、サイド撮影部252、およびリア撮影部253を同時に起動した時点からの経過時間に基づいて導出しても良い。
図8に示す例では例えば、地点Bに存在する道路附属物FA19に対して所定の距離だけ手前(
図8においては左方)の位置を相対位置として設定する。ここでは、相対位置として地点Aを設定したとする。第2制御部32は、通過タイミングからの相対位置に関する情報(相対位置情報)を出力して動画データベースに格納する。
【0076】
なお、相対位置情報としては、例えば地点Bなどの所定の対象物の設置位置からの距離に基づいて設定しても良く、所定の対象物の設置位置を通過した通過タイミング、すなわち通過時点を基準として、所定時間前や所定時間後に設定しても良い。上述したように、関連情報作成装置2は第1速度センサ262を備えるため、所定時間を設定することにより、対象物の設置位置からの距離を導出できる。
【0077】
次に、ステップST7においては、フロント撮影部251が撮影した第1動画データから、上述した所定の通過タイミングおよび相対位置情報に基づいて、例えば地点Aから地点Bまでの所定距離を移動している所定期間において、対象物である道路附属物FA19を撮影した動画データを抽出する。
【0078】
第2制御部32は、抽出した動画データを、対象物である道路附属物FA19と関連付けして第2記録部33に記憶する。また、対象物リストにおいて、第1動画データから上述した道路附属物FA19の抽出が完了したフラグを立てる。これにより、第1動画データから抽出する対象物としての道路附属物FA19が削除される。また、第2記録部33に記憶された道路附属物FA19の動画データは、
図5に示す施設諸元D2の撮影画像D207において、参照可能となる。
【0079】
ステップST3~ST8の処理は、対象物リストに含まれる対象物に関する動画データが全て抽出されるまで繰り返し実行される。
【0080】
次に、フロント撮影部251によって撮影された第1動画データに対する抽出処理に基づいた、サイド撮影部252およびリア撮影部253により撮影された第i動画データからの抽出処理について説明する。
図7は、本実施形態による支援情報作成方法としての動画データの抽出方法および関連付け方法を示すフローチャートである。
図7に示すフローチャートは、支援情報作成装置3の第2制御部32により実行されるが、関連情報作成装置2の第1制御部21が実行しても良い。
【0081】
図7に示すように、まず、ステップST11において第2制御部32は、記録媒体4から取得した動画データベース42から、所定の第i動画データを取得する。ここで、サイド撮影部252から第2動画データ(i=2)を取得したものとして説明する。
【0082】
次に、ステップST12に移行して第2制御部32は、上述したステップST6において導出して動画データベース42に格納した相対位置情報を取得する。相対位置情報は、第1動画データから抽出された動画データにおける、道路附属物FA19の位置情報、道路附属物FA19を通過する通過タイミングの情報、および道路附属物FA19を撮影した部分の距離または時間の情報を含む。なお、第2制御部32は、第1支援情報I1や第2支援情報I2から、道路附属物FA19の位置情報をさらに取得しても良い。
【0083】
次に、ステップST13に移行して第2制御部32は、ステップST12において取得した相対位置情報と、第2動画データを撮影した撮影部、ここではサイド撮影部252と、対象物を通過した通過タイミングでの相対位置情報に基づいて、第2動画データから、対象物を通過するタイミングに基づいて決定された所定期間の動画データを切り出して、抽出する。
【0084】
ここで、ステップST13における、動画データの抽出方法の具体例について説明する。
図8に示すように、車両Vが
図8に示す地点Bの近傍まで走行すると、道路附属物FA19は、サイド撮影部252によって撮影可能となる。さらに第2制御部32は、道路附属物FA19を通過した通過タイミングから、所定の期間だけ前の時間および後の時間の時点における位置を設定する。通過タイミングは、上述したステップST5によって導出されたタイミングである。
図8に示す例では、地点Bに存在する道路附属物FA19の前後の位置を相対位置として設定する。その上で、サイド撮影部252が撮影した第2動画データから、上述した所定の通過タイミングおよび相対位置情報に基づいて、例えば地点Bを挟んだ所定距離を移動している所定期間において、対象物である道路附属物FA19を撮影した動画データを抽出する。
【0085】
その後、ステップST14において第2制御部32は、抽出した動画データを、対象物である道路附属物FA19と関連付けして第2記録部33に記憶する。また、対象物リストにおいて、第2動画データから上述した道路附属物FA19の抽出が完了したフラグを立てる。これにより、第2動画データから抽出する対象物としての道路附属物FA19が削除される。また、第2記録部33に記憶された道路附属物FA19の動画データは、
図5に示す施設諸元D2の撮影画像D207において、参照可能となる。
【0086】
次に、リア撮影部253によって撮影された動画データからの抽出方法について説明する。リア撮影部253においてもサイド撮影部252と同様に、フロント撮影部251によって撮影された第1動画データに対する抽出処理に基づいて、リア撮影部253によって撮影された第3動画データから、道路附属物FA19に関する動画データを抽出する抽出処理について説明する。
【0087】
図7に示すように、まず、ステップST11において第2制御部32は、記録媒体4から取得した動画データベース42から、リア撮影部253が撮影した第3動画データ(i=3)を取得する。
【0088】
次に、ステップST12に移行して第2制御部32は、相対位置情報を取得する。相対位置情報は、第1動画データに対する抽出処理に基づいた道路附属物FA19の位置情報、道路附属物FA19を通過する通過タイミングの情報、および道路附属物FA19を撮影した部分の距離または時間の情報を含む。なお、第2制御部32は、第1支援情報I1や第2支援情報I2から、道路附属物FA19の位置情報をさらに取得しても良い。
【0089】
次に、ステップST13に移行して第2制御部32は、第3動画データから、対象物である道路附属物FA19を通過するタイミングに基づいて決定された所定期間の動画データを切り出して、抽出する。すなわち、
図8に示すように、車両Vが
図8に示す地点Bを通過すると、道路附属物FA19は、リア撮影部253によって撮影可能となる。さらに第2制御部32は、道路附属物FA19を通過した通過タイミングから、所定の期間だけ後の時間の時点における位置を設定する。ここで、所定期間としては、地点Aから地点Bまでの距離と略同じ距離、または略同じ時間として設定することができる。通過タイミングは、上述したステップST5によって導出されたタイミングである。
図8に示す例では、地点Bに存在する道路附属物FA19から、地点Aと地点Bとの距離と同じ距離だけ進行方向側(
図8において、右方)に移動した地点Cの位置を相対位置として設定する。その上で、リア撮影部253が撮影した第3動画データから、上述した所定の通過タイミングおよび相対位置情報に基づいて、地点Bから地点Cまでの所定距離を移動している間に、対象物である道路附属物FA19を撮影した動画データを抽出する。
【0090】
その後、ステップST14において第2制御部32は、抽出した動画データを、対象物である道路附属物FA19と関連付けして第2記録部33に記憶する。また、対象物リストにおいて、第3動画データから上述した道路附属物FA19の抽出が完了したフラグを立てる。これにより、第3動画データから抽出する対象物としての道路附属物FA19が削除される。また、第2記録部33に記憶された道路附属物FA19の動画データは、
図5に示す施設諸元D2の撮影画像D207において、参照可能となる。
【0091】
以上により、本実施形態による支援情報作成方法としての動画データの抽出処理および附属物との関連付け処理が終了する。
【0092】
以上説明した一実施形態によれば、所定の対象物である道路附属物FA19に対して、正面側から所定期間だけ撮影した動画データ、側面側から所定期間だけ撮影した動画データ、および裏面側から所定期間だけ撮影した動画データを、それぞれ道路附属物FA19に関連付けして第2支援情報I2において参照できる。これにより、外部を撮影可能な撮影部を複数備えた移動体を用いて附属物周辺を走行することによって、附属物に関する詳細な情報を取得し、附属物が設置されている場所に行くことなく、詳細に附属物を点検することが可能となる。
【0093】
以上、本発明の一実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述の一実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。例えば、上述の一実施形態において挙げた数値や材料はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値や材料を用いてもよく、本発明は、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述および図面により限定されることはない。
【0094】
上述の一実施形態においては、看板などの巡視点検に関して説明したが、必ずしも看板などに限定されるものではなく、ガードレールなどの所定の長さを有する附属物に対しても同様に処理を行うことができる。すなわち、撮影する附属物がガードレールなどの所定の長さを有する構造物である場合、第2制御部32は、第1撮影部25におけるフロント撮影部251、サイド撮影部252、およびリア撮影部253によって撮像された動画データから、附属物の種類に応じて所定期間となる所定範囲を抽出するように設定できる。すなわち、第2制御部32は、フロント撮影部251、サイド撮影部252、およびリア撮影部253によって撮像された3つのそれぞれの動画データからガードレールなどの対象物が撮影されている部分を所定期間で抽出する場合、この対象物に設定された所定位置を通過した時点から、この所定位置とは異なる位置を通過するまでの間における所定期間の動画データを抽出する。動画データから所定の長さの一部のみを撮影した部分を抽出する場合において、この所定位置としてはガードレールの一端とし、異なる位置としてガードレールの他端とすることができる。
【0095】
また、上述の一実施形態においては、フロント撮影部251によって撮影された第1動画データに基づいて、対象物の道路附属物FA19の通過タイミングを導出したが、フロント撮影部251以外を採用しても良い。すなわち、対象物の通過タイミングとして、サイド撮影部252やリア撮影部253によって撮影された、第2動画データや第3動画データに基づいて、対象物の道路附属物FA19の通過タイミングを導出してもよい。この場合においても、上述した動画データの抽出処理は、フロント撮影部251をサイド撮影部252やリア撮影部253に置き換え、他の2台の撮影部を残りの撮影部に置き換えて、同様に処理できる。さらに、このことは、第1撮影部25を構成する撮影部が4つ以上の場合においても同様である。
【符号の説明】
【0096】
1 支援情報作成システム
2 関連情報作成装置
3 支援情報作成装置
4 記録媒体
21 第1制御部
22 第1記録部
23 第1入力部
24 第1表示部
25 第1撮影部
26 第1センサ部
27 第1リーダライタ
31 第2リーダライタ
32 第2制御部
33 第2記録部
34 第2入力部
35 第2表示部
41 位置情報データベース
42 動画データベース
251 フロント撮影部
252 サイド撮影部
253 リア撮影部
261 第1測位部
262 第1速度センサ
FA19 道路附属物
FI 施設画像
FP 再生画像
I1 第1支援情報
I2 第2支援情報
V 車両