(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013382
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】筆記具
(51)【国際特許分類】
G06F 3/03 20060101AFI20230119BHJP
【FI】
G06F3/03 400F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021117523
(22)【出願日】2021-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】細藤 嘉人
(57)【要約】
【課題】筆記動作時の操作性を向上することが可能な筆記具を提供する。
【解決手段】
軸方向に延びた空間を備える軸筒と、前記空間内において前記軸方向に移動可能に設けた重り部材とを備え、前記重り部材は前記軸筒の傾きに応じて前記軸方向に移動する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びた空間を備える軸筒と、前記空間内において前記軸方向に移動可能に設けた重り部材とを備え、前記重り部材は前記軸筒の傾きに応じて前記軸方向に移動することを特徴とする筆記具。
【請求項2】
前記重り部材は、前記軸筒の把持部の範囲で前記軸方向に移動することを特徴とする請求項1記載の筆記具。
【請求項3】
前記空間の前記軸方向後端を、前記軸筒の前記軸方向後端に対して、前記筆記具の前記軸方向全長の1/10よりも先端側に設けることを特徴とする請求項1または2記載の筆記具。
【請求項4】
前記重り部材は、磁性を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の筆記具。
【請求項5】
前記空間の前記軸方向の一端側に、前記重り部材の一端側に対向する磁性体を備えることを特徴とする請求項4記載の筆記具。
【請求項6】
前記筆記具は、電子機器に使用するタッチペンであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の筆記具。
【請求項7】
前記筆記具は、電子機器に使用する電子ペンであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の筆記具。
【請求項8】
前記筆記具は、前記重り部材および前記磁性体の少なくとも一方の部材を用いて、前記電子機器に設けた磁性体からなる取付部に対して着脱自在であることを特徴とする請求項6または7記載の筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ペンの記憶部にデータを記憶させる際は、発光体が発光部内をペンの前方から後方に移動するとともに、その移動に対応してペンの重心も後方に移動し、逆に、ペンに記憶させたデータを出力する際は、発光体が発光部内をペンの後方から前方に移動するとともに、その移動に対応してペンの重心も前方に移動するようにした、ペン型に構成された情報処理装置を開示している。
【0003】
しかし従来の技術は、データの記憶および出力に応じてペンの重心を動かしているに過ぎず、筆記動作時の操作性は考慮していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、筆記動作時の操作性を向上することが可能な筆記具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、軸方向に延びた空間を備える軸筒と、前記空間内において前記軸方向に移動可能に設けた重り部材とを備え、前記重り部材は前記軸筒の傾きに応じて前記軸方向に移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、筆記動作時の操作性を向上することが可能な筆記具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】本発明の筆記具の一例となるタッチペンの全体構成図。
【
図4】本発明の筆記具における筆記動作時の説明図。
【
図5】本発明の実施形態における磁性体の作用を説明する図。
【
図7】本発明の筆記具の他の実施形態を示す全体構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態を、図面を用いて以下に説明する。
【0009】
図1は、電子ホワイトボードの使用例を示す説明図である。
【0010】
電子ホワイトボード(以下、IWB(Interactive Whiteboard)と称する)2は、複数のメンバーで情報を共有することができるため、会議、セミナー、プレゼンテーションまたは授業などで近年、広く普及している。
【0011】
IWB2の使用例としては、
図1(a)に示すようにIWB2をスタンド20に取り付けて(またはスタンドを用いずにIWBを壁に掛けて)、垂直に立てたディスプレイ280をメンバーと共有して使用する場合が一般的である。また、別の使用例として、
図1(b)に示すようにIWB2をテーブル21上に平置きして、水平に倒したディスプレイ280をメンバーで囲んで共有して使用する場合もある。
【0012】
IWB2のディスプレイ280は、例えば静電容量方式のタッチパネルであり、ユーザは指やペンでディスプレイ280に触れた状態で筆記動作を行うことにより、ディスプレイ280に文字、図形等を書き込むことができる。この筆記動作においては、指よりもペンを用いた方が細かな描画が可能になるため、ユーザはタッチペン、電子ペン等の専用のペンを使用して筆記を行う場合が多い。ここで、IWB2は電子機器の一例である。
【0013】
図2は、筆記動作時の様子を示す説明図であり、
図2(a)は垂直筆記時の様子を示す説明図、
図2(b)は水平筆記時の様子を示す説明図である。
【0014】
垂直筆記とは、例えば
図1(a)に示したような垂直に立てたディスプレイ280に対してタッチペン300で筆記を行う場合を意味する。そして垂直筆記時は
図2(a)のように、ユーザはタッチペン300の先端側(ペン先側)が後端側(ペン尻側)よりも上がるようにタッチペン300を手Hで把持し、この姿勢でディスプレイ280に筆記を行うことが多くなる。
【0015】
また、水平筆記とは、例えば
図1(b)に示したような水平に倒したディスプレイ280に対してタッチペン300で筆記を行う場合を意味する。そして水平筆記時は
図2(b)のように、ユーザはタッチペン300の先端側を後端側よりも下げてタッチペン300を手Hで把持し、この姿勢でディスプレイ280に筆記を行う。
【0016】
タッチペン300の重心は、
図2(a)のような垂直筆記時は、重心がユーザの把持部内に位置した方が扱い易く、長時間書き続けても疲れにくいとされている。一方、
図2(b)のような水平筆記時は、タッチペン300の重心がユーザの把持部内において先端側に寄っている方が、筆記時のぶれを抑えることができ、小さく細かい文字を書き易いとされている。
【0017】
なお、「把持部」とは、図示のように手Hの親指、人差し指および中指の指先付近でタッチペン300を把持する位置P1から人差し指の基節(根元の関節)付近でタッチペン300を支える位置P2までの範囲とする。次に、タッチペン300の構成について説明する。
【0018】
図3は、本発明の筆記具の一例となるタッチペンの全体構成図である。
【0019】
タッチペン300は、先端部材301と軸筒302とを備える。先端部材301は、シリコンや導電繊維などからなり、ユーザは先端部材301がIWB2のディスプレイ280に触れた状態で筆記動作を行うことにより、ディスプレイ280に文字、図形等を書き込むことができる。軸筒302は、その軸方向の一端部に先端部材301を保持している。
【0020】
軸筒302は、タッチペン300の軸方向に延びた柱状の空間302aを備える。空間302a内には磁石303を配置しており、この磁石303は空間302a内において軸筒302の軸方向に移動可能である。
【0021】
磁石303のタッチペン300の軸方向に垂直な断面形状は、空間302aのタッチペン300の軸方向に垂直な断面形状に対して、やや小さい相似形をしている。すなわち磁石303は、空間302a内を、軸方向以外ではなく、軸方向に沿ってより移動しやすい形状となっている。また、磁石303の軸方向長さは、空間302aの軸方向長さよりも短い。磁石303の軸方向長さが空間302aの軸方向長さと比べて小さいほど、磁石303は空間302a内を大きく動き、タッチペン300全体の重心の変化により大きく寄与する。
【0022】
また、空間302aの軸方向両端には、磁石303が空間302aの端部に衝突した際の音および衝撃を抑えるための緩衝材304を設けている。
【0023】
さらに、軸筒302は、空間302aの軸方向の一端側(本実施形態では後端側)に、磁石305を備えている。本実施形態では磁石303の軸方向後端側と磁石305の軸方向先端側は、緩衝材304を間に配置した状態で対向する。磁石303と磁石305は、磁石303が空間302a内において軸後端側に移動して磁石305との距離が所定範囲内になったときに互いに引力が働く磁性を有する。ここで、タッチペン300は筆記具の一例であり、磁石303は重り部材の一例であり、磁石305は磁性体の一例である。次に、上記構成のタッチペンによる筆記時の動作について説明する。
【0024】
図4は、本発明の筆記具における筆記動作時の説明図である。
【0025】
先で述べたように、筆記動作時のペンの重心は、垂直筆記時は、重心がユーザの把持部内に位置した方が扱い易く、長時間書き続けても疲れにくいとされている。一方、水平筆記時は、ペンの重心がユーザの把持部内においてペンの先端側に寄っている方が、筆記時のぶれを抑えることができ、小さく細かい文字を書き易いとされている。
【0026】
そこで本発明は、垂直筆記時には
図4(a)のようにユーザがタッチペン300をディスプレイ280の表面に対して把持角度θ1傾け、ペンの先端側を後端側よりも上げて把持することで、磁石303を後端側へ動かす。これによりタッチペン300の重心Gは、把持部の範囲において後端側へ移動する。
【0027】
ここで、垂直筆記時のタッチペン300の重心Gは、把持部の範囲に収まっていることが望ましい。タッチペン300の重心Gが把持部の範囲を外れ、より後端側へ移動した場合は、ペンの後端側が重くなり過ぎてしまい、ユーザはペンの先端側を起こす力を増さなければいけなくなり、使いにくくなるためである。この点を考慮し本実施形態では、空間302aの軸方向後端は、軸筒302の軸方向後端まで延ばさず、手Hの人差し指の基節付近でタッチペン300を支える位置P2の近傍に位置するように設けている。
【0028】
具体的には、空間302aの軸方向後端は、軸筒302の軸方向後端に対して、タッチペン300の軸方向全長の1/10よりも先端側に位置するように設ける。より好ましくはタッチペン300の軸方向全長の1/5以上先端側に位置するように設ける。
【0029】
次に、水平筆記の場合を説明する。水平筆記時は、
図4(b)のようにユーザがタッチペン300をディスプレイ280の表面に対して把持角度θ2傾け、ペンの先端側を後端側よりも下げて把持することで、磁石303を先端側へ動かす。これによりタッチペン300の重心Gは、把持部の範囲において先端側へ移動する。水平筆記時のタッチペン300の重心Gは、把持部の範囲において先端側に近い方が望ましいため、空間302aの軸方向先端は、軸筒302の軸方向先端付近まで延びている。
【0030】
図5は、本発明の実施形態における磁性体の作用を説明する図である。
【0031】
前述のようにタッチペン300は、空間302aの軸方向の後端側に、磁石303の後端側に対向する磁石305を備えている。ここでは、この磁石305の作用について説明する。
【0032】
水平筆記動作時の把持角度θ2は正の値で安定するが、垂直筆記時の把持角度θ1は正および負のどちらの値も取り得る。例えばユーザがディスプレイの上部(高い位置)に筆記を行う場合の把持角度θ1は負になるが、ディスプレイの下部(低い位置)に筆記を行う場合は、ユーザの姿勢によっては把持角度θ1が正の値になることもある。従って、水平筆記動作の場合は、常に磁石303がタッチペン300の先端側に位置するため、先端側(ペン先側)に重心Gを置いた状態でユーザはタッチペン300を安定して使用することができる。
【0033】
しかし、垂直筆記動作の場合は、把持角度θ1の正負によって磁石303が動いてしまい、重心Gが水平筆記動作時のようには安定しない。そこで、空間302aの軸方向の後端側に、磁石303の後端側に対向する磁石305を設ける。これにより磁石303が空間302aの軸方向の後端部に移動した場合は、把持角度が所定角度以上にならなければ磁石303が先端側に移動できないようにしている。
【0034】
図5では、水平筆記動作時の把持角度θ2を45度以上、垂直筆記動作時の把持角度θ1を45度未満とした場合の磁石303の移動要件を例示している。把持角度が30度の状態においては、磁石305が磁石303に及ぼす引力が重力に勝っており、磁石303は先端側に動かず、磁石303と磁石305との引力によって後端側に位置したままとなる。なお、磁石303と磁石305との引力は、磁石305の磁力(大きさ、材料)と設置位置によって決まる。従って、把持角度が所定角度に達した際に、重力が引力に勝って磁石303が先端側に移動するように、磁石305の仕様および設置位置を適宜設定すればよい。
【0035】
上述のように、本実施形態におけるタッチペン300は、軸方向に延びた空間302aを備える軸筒302と、空間302a内において軸方向に移動可能に設けた磁石303とを備え、磁石303は軸筒302の傾きに応じて軸方向に移動する。
【0036】
これにより、筆記動作時のユーザの姿勢に合わせて、タッチペン300の重心Gが最適位置にあるようになり、筆記動作時の操作性が向上したタッチペン300を提供することができる。
【0037】
また、上述のように、磁石303は、軸筒302の把持部(位置P1および位置P2間)の範囲で軸方向に移動する。
【0038】
また、上述のように、空間302aの軸方向後端を、軸筒302の軸方向後端に対して、タッチペン300の軸方向全長の1/10よりも先端側に設ける。
【0039】
これにより、磁石303の移動範囲、すなわちタッチペン300の重心Gの可変範囲をより最適にすることができる。
【0040】
さらに、上述のように、空間302aの軸方向の一端側(後端側)に、磁石303の一端側(後端側)に対向する磁石305を備える。
【0041】
これにより、垂直筆記の動作時にタッチペン300の把持角度が正の値となった場合でも、把持角度が所定角度に達しなければ磁石303は先端側に移動しないため、不意に筆記のバランスを崩すことなく筆記動作を継続できる。
【0042】
【0043】
本応用例は、IWB2のディスプレイ280のフレーム部分に、磁性体からなるペン取付部281を備える。上述のように本実施形態のタッチペン300は軸筒302内に磁石303、305を備えるため、磁力によりタッチペン300をペン取付部281に簡単に取り付けることができる。これにより、ペンを収納するホルダーやトレイを設ける必要がなくなる。ここで、ペン取付部281は取付部の一例である。
【0044】
上述のように、本実施形態において、タッチペン300は、磁石303および磁石305の少なくとも一方の部材を用いて、IWB2に設けた磁性体からなるペン取付部281に対して着脱自在である。
【0045】
これにより、タッチペン300を収納するホルダーやトレイが不要になり、簡単な構成でタッチペン300の取付部を実現できる。
【0046】
図7は、本発明の筆記具の他の実施形態を示す全体構成図である。
図3に示した部材と同等の部材には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0047】
図7(a)に示したタッチペン300は、軸筒302に設けた空間302aの内部に重り306を設け、空間302aの両端面と重り306との間にそれぞれスプリング307を備えている。ここで、重り306は重り部材の一例である。
【0048】
上記構成でも重り306が軸筒302の筆記動作の傾きに応じて軸方向に移動し、スプリング307の伸縮力と重り306の重力による影響力が釣り合う位置で重り306を保持することが可能になる。なお、スプリング307の伸縮力は、スプリング307のばね定数等によって決まるため、規定の把持角度に対して保持したい位置に重り306が移動するようにスプリング307の仕様を適宜選定すればよい。
【0049】
また、
図7(b)に示したタッチペン300は、
図7(a)のスプリング307に代えて、空間302aの内部に高粘度の液体308を充填した構成としている。
【0050】
上記構成でも重り306が軸筒302の筆記動作の傾きに応じて液体308の抵抗に抗しながら軸方向に押し進み、液体308の抵抗力と重り306の重力による影響力が釣り合う位置で重り306を保持することが可能になる。なお、液体308の抵抗力は、液体308の粘度等によって決まるため、規定の把持角度に対して保持したい位置に重り306が移動するように液体308の仕様を適宜選定すればよい。
【0051】
図8は、電子ホワイトボードのハードウェアの一例を示す構成図である。
【0052】
図示のように、電子ホワイトボード(IWB)2は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、SSD(Solid State Drive)204、ネットワークコントローラ205および外部機器接続I/F(Interface)206を備える。
【0053】
これらのうち、CPU201は、IWB2全体の動作を制御する。ROM202は、CPU201、IPL(Initial Program Loader)等のCPU201の駆動に用いるプログラムを記憶する。RAM203は、CPU201のワークエリアをなし、プログラムやデータを一時保存する。SSD204は、IWB用のプログラム等の各種データを記憶する。ネットワークコントローラ205は、通信ネットワークとの通信を制御する。
【0054】
外部機器接続I/F206は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ230、外付け機器(マイク240、スピーカ250、カメラ260)である。
【0055】
また、IWB2は、キャプチャデバイス211、GPU(Graphics Processing Unit)212、ディスプレイコントローラ213、接触センサ214、センサコントローラ215、電子ペンコントローラ216、近距離通信回路219、近距離通信回路219のアンテナ219a、電源スイッチ222および選択スイッチ類223を備える。
【0056】
これらのうち、キャプチャデバイス211は、外付けのPC(Personal Computer)270のディスプレイに対して映像情報を静止画または動画として表示する。GPU212は、グラフィクスを専門に扱う半導体チップである。ディスプレイコントローラ213は、GPU212からの出力画像をディスプレイ280等へ出力するために画面表示の制御および管理を行う。
【0057】
接触センサ214は、ディスプレイ280上に電子ペン290、ユーザの手Hなどが触れたことを検知する。センサコントローラ215は、接触センサ214の処理を制御する。接触センサ214は、赤外線遮断方式による座標の入力および座標の検出を行う。この座標の入力および座標の検出は、ディスプレイ280に設置した2つの受発光装置を用いて行う。例えば、ディスプレイ280に対して平行に放射した複数の赤外線が、ディスプレイ280の周囲に設けた反射部材で反射し、受光素子が、放射した光の光路と同一の光路上を戻って来る光を受光する方法によって行う。
【0058】
接触センサ214は、2つの受発光装置が放射した赤外線のうち、物体が遮断した赤外線のIDをセンサコントローラ215に出力し、センサコントローラ215は、物体の接触位置である座標位置を特定する。電子ペンコントローラ216は、電子ペン290と通信することで、ディスプレイ280へのペン先のタッチやペン尻のタッチの有無を判断する。近距離通信回路219は、NFC(Near Field Communication)やBluetooth(登録商標)等の通信回路である。電源スイッチ222は、IWB2の電源のON/OFFを切り換えるためのスイッチである。
【0059】
選択スイッチ類223は、例えば、ディスプレイ280の表示の明暗、色合い等を調整するためのスイッチ群である。さらに、IWB2は、バスライン210を備える。バスライン210は、CPU201等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスおよびデータバス等である。なお、接触センサ214は、赤外線遮断方式に限るものではない。静電容量の変化を検知することにより接触位置を特定する静電容量方式のタッチパネル、対向する2つの抵抗膜の電圧変化によって接触位置を特定する抵抗膜方式のタッチパネル、接触物体が表示部に接触することによって生じる電磁誘導を検知して接触位置を特定する電磁誘導方式のタッチパネルなどの種々の検出手段を用いてもよい。
【0060】
また、電子ペンコントローラ216は、電子ペン290のペン先およびペン尻だけでなく、電子ペン290のユーザが握る部分や、その他の電子ペンの部分のタッチの有無を判断するようにしてもよい。また、本発明の筆記具は、上述のタッチペン300に限るものではない。例えば、
図8に示すような電子ペンコントローラ216との通信のための制御基板を備えた電子ペン290に適用してもよい。
【0061】
以上説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
【0062】
第1態様は、軸方向に延びた空間(例えば空間302a)を備える軸筒(例えば軸筒302)と、前記空間内において前記軸方向に移動可能に設けた重り部材(例えば磁石303、重り306)とを備え、前記重り部材は前記軸筒の傾きに応じて前記軸方向に移動することを特徴とするものである。
【0063】
第1態様によれば、筆記動作時の操作性を向上することが可能な筆記具を提供することができる。
【0064】
第2態様は、第1態様において、前記重り部材(例えば磁石303、重り306)は、前記軸筒(例えば軸筒302)の把持部の範囲(例えば
図2の位置P1および位置P2間の範囲)で前記軸方向に移動することを特徴とするものである。
【0065】
第3態様は、第1態様または第2態様において、前記空間(例えば空間302a)の前記軸方向後端を、前記軸筒(例えば軸筒302)の前記軸方向後端に対して、前記筆記具(例えばタッチペン300、電子ペン290)の前記軸方向全長の1/10よりも先端側に設けることを特徴とするものである。
【0066】
第2態様および第3態様によれば、重り部材の移動範囲をより最適にすることができる。
【0067】
第4態様は、第1態様乃至第3態様のいずれかにおいて、前記重り部材(例えば磁石303)は、磁性を有することを特徴とするものである。
【0068】
第5態様は、第4態様において、前記空間(例えば空間302a)の前記軸方向の一端側(例えば後端側)に、前記重り部材(例えば磁石303)の一端側(例えば後端側)に対向する磁性体(例えば磁石305)を備えることを特徴とするものである。
【0069】
第4態様および第5態様によれば、垂直筆記の動作時に筆記具の把持角度が正の値となった場合でも、把持角度が所定角度に達しなければ重り部材は先端側に移動しないため、不意に筆記のバランスを崩すことなく筆記動作を継続できる。
【符号の説明】
【0070】
300 タッチペン(筆記具)
301 先端部材
302 軸筒
302a 空間
303 磁石(重り部材)
304 緩衝材
305 磁石(磁性体)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】