(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133913
(43)【公開日】2023-09-27
(54)【発明の名称】画像処理装置及び液滴吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20230920BHJP
【FI】
B41J2/01 201
B41J2/01 211
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039163
(22)【出願日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 卓
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EB07
2C056EB38
2C056EB58
2C056EC71
2C056EC79
2C056ED01
2C056FA10
(57)【要約】
【課題】輪郭部のスムージング効果の向上を図ることを目的とする。
【解決手段】画像データを取得する取得部と、前記画像データを画像処理する画像処理部と、前記画像処理部で画像処理された前記画像データを出力する出力部と、を備え、前記画像処理部は、前記画像データに表された画像をドットパターンに変換し、前記ドットパターンの輪郭部に輪郭補正用の輪郭補正ドットを付加し、前記輪郭補正ドットと当該輪郭補正ドットに隣接する非輪郭補正ドットとを液体の吐出によって媒体上に形成する際の前記液体が前記媒体に着弾するまでの時間差、又は前記輪郭補正ドットと前記輪郭補正ドットとの画像形成方法に応じて、前記輪郭補正ドットを形成する液滴の滴種を決定する処理を実行する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを取得する取得部と、
前記画像データを画像処理する画像処理部と、
前記画像処理部で画像処理された前記画像データを出力する出力部と、
を備え、
前記画像処理部は、前記画像データに表された画像をドットパターンに変換し、
前記ドットパターンの輪郭部に輪郭補正用の輪郭補正ドットを付加し、
前記輪郭補正ドットと当該輪郭補正ドットに隣接する非輪郭補正ドットとを液体の吐出によって媒体上に形成する際の前記液体が前記媒体に着弾するまでの時間差、又は前記輪郭補正ドットと前記輪郭補正ドットとの画像形成方法に応じて、前記輪郭補正ドットを形成する液滴の滴種を決定する処理を実行する、
画像処理装置。
【請求項2】
前記画像処理部は、前記液滴の滴種として、前記輪郭補正ドットを形成する液滴の滴量又は前記輪郭補正ドットのドットサイズを決定する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像処理部は、前記時間差が閾値以下の場合、前記非輪郭補正ドットのドットサイズより小さな第1サイズの滴種を決定し、前記時間差が閾値を上回る場合、前記第1サイズより小さな第2サイズの滴種を決定する、
請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像処理部は、前記画像形成方法が、前記輪郭補正ドットと前記非輪郭補正ドットとを1回の走査で形成する方法の場合、前記非輪郭補正ドットのドットサイズより小さな第1サイズの滴種を決定し、前記画像形成方法が、前記輪郭補正ドットと前記非輪郭補正ドットとを2回の走査で交互に形成する方法の場合、前記第1サイズより小さな第2サイズの滴種を決定する、
請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像処理部は、前記画像形成方法が、前記媒体を幅方向に走査する吐出ヘッドが往路及び復路の両方で前記液滴を吐出して画像を形成する方法の場合、前記非輪郭補正ドットのドットサイズより小さな第1サイズの滴種を決定し、前記往路及び復路の何れか一方で前記液滴を吐出して画像を形成する方法の場合、前記第1サイズより小さな第2サイズの滴種を決定する、
請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像処理部は、前記画像形成方法が、前記媒体を幅方向に走査する吐出ヘッドが往路及び復路の両方で前記液滴を吐出して画像を形成する方法の場合、前記往路と前記復路との切り替えポイントからの距離に応じて、前記輪郭補正ドットを形成する液滴の滴種を決定する、
請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像処理部は、前記媒体の種別を加味して、前記輪郭補正ドットを形成する液滴の滴種を決定する、
請求項1~6の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記画像処理部は、前記画像データの出力先となる液体吐出装置の画像形成方法に応じて、前記輪郭補正ドットを形成する液滴の液種を決定する、
請求項1~7の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
請求項1~8の何れか1項に記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置で処理された画像データに基づき、液滴を吐出する液体吐出部と、
を備える液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及び液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な分野においてインクジェットプリンタが用いられている。かかるインクジェットプリンタは、記録ヘッドからインク滴(液体の一例)を吐出することで、記録媒体に複数のドットを形成し、当該ドットによって文字等の画像を作像する。
【0003】
また、インクジェットプリンタでは、文字等の輪郭部に輪郭補正用のドット(以下、輪郭補正ドットともいう)を配置することで、輪郭部をスムージング化するための輪郭補正処理が行われている。例えば、従来、輪郭部の周辺部にドットを配置し、当該ドットの明度を、輪郭部の他のドットの明度に対して相対的に高く変更する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のスムージング処理では、輪郭部を構成するドット(以下、非輪郭補正ドットという)に隣接して輪郭補正ドットを形成するためインク滴が吐出される。隣接する輪郭補正ドットと非輪郭補正部ドットとでは、インク滴が吐出されてから記録媒体に着弾するまでの時間差(以下、着弾時間差ともいう)が画像形成方法によって異なる。例えば、1回の走査で輪郭補正ドットと非輪郭補正ドットとを形成する方法と、2回の走査で輪郭補正ドットと非輪郭補正ドットとを交互に形成する方法とでは、着弾時間差が異なることになる。かかる着弾時間差は、輪郭補正ドットと非輪郭部のドットとで、インク滴の合一が発生するか否かの要因となる。
【0005】
ところで、画像形成方法の変更等により着弾時間差が変わると、輪郭補正ドットの形成結果が意図した結果とならず、スムージング効果が低下する可能性がある。例えば、一の画像形成方法においてインク滴の合一を考慮した滴量で輪郭補正ドットを形成している場合、画像形成方法が変わるとインク滴の合一具合が変わるため、輪郭補正用のドットの見え方が変わり、スムージング効果が低下する可能性がある。
【0006】
なお、上述した従来技術では、着弾時間差と輪郭補正ドットとの関係について何ら考慮されていないため、上述した問題を解決することはできない。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、輪郭部のスムージング効果の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、画像データを取得する取得部と、前記画像データを画像処理する画像処理部と、前記画像処理部で画像処理された前記画像データを出力する出力部と、を備え、前記画像処理部は、前記画像データに表された画像をドットパターンに変換し、前記ドットパターンの輪郭部に輪郭補正用の輪郭補正ドットを付加し、前記輪郭補正ドットと当該輪郭補正ドットに隣接する非輪郭補正ドットとを液体の吐出によって媒体上に形成する際の前記液体が前記媒体に着弾するまでの時間差、又は前記輪郭補正ドットと前記輪郭補正ドットとの画像形成方法に応じて、前記輪郭補正ドットを形成する液滴の滴種を決定する処理を実行する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、輪郭部のスムージング効果の向上させることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る液体吐出装置の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る液体吐出装置の構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る液体吐出装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る液体吐出装置のヒータの構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る画像処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る画像処理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る画像処理部が行う輪郭補正処理を説明するための図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る画像処理部が行う輪郭補正処理を説明するための図である。
【
図9】
図9は、実施形態の画像処理装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係る画像処理装置及び液滴吐出装置を図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態の構成、並びに当該構成によってもたらされる作用及び結果(効果)は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
【0012】
図1は、本実施形態に係る液体吐出装置1の一例を示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係る液体吐出装置1の構成の一例を示す図である。液体吐出装置1は、例えばインクジェットプリンタである。
【0013】
図1、2に示すように、本実施形態に係る液体吐出装置1は、装置本体10と、装置本体10を支持する支持台11と、を備える。
【0014】
装置本体10の左右には、側板10A、10Bを備える。側板10A、10Bにガイド部材であるガイドロッド12及びガイドステー13が掛け渡される。また、液体吐出装置1は、サブ板金ガイド14を備える。ガイドロッド12及びガイドステー13は、キャリッジ15を摺動自在に保持する。
【0015】
キャリッジ15を移動走査する主走査機構部16は、主走査方向の一方側に配置される主走査モータ17と、当該主走査モータ17によって回転駆動される駆動プーリ18と、主走査方向の他方側に配置された従動プーリ19と、駆動プーリ18と従動プーリ19との間に掛け回された牽引部材であるタイミングベルト20と、を備える。なお、従動プーリ19には、テンションスプリングによって外方(駆動プーリ18に対して離れる方向)にテンションが掛けられている。
【0016】
キャリッジ15は、主走査モータ17によって回転駆動されるタイミングベルト20を介して、矢印A方向(主走査方向)に移動する。また、キャリッジ15は、媒体の端部(用紙端部)を検知する光学センサ21を搭載する。
【0017】
キャリッジ15は、装着されたインクカートリッジ22に応じて、例えば、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)等の各色のインク滴を吐出する液体吐出ヘッド23を備える。
【0018】
液体吐出ヘッド23は、液滴を吐出する複数のノズル23aと、23bと、23cと、を備える。なお、液体吐出ヘッド23は、液体吐出部の一例である。
【0019】
液体吐出ヘッド23は、複数のノズル23aと、23bと、23cからなるノズル列を矢印B方向(副走査方向)に配列する。ここで、副走査方向は、主走査方向と直交する方向である。液体吐出ヘッド23は、ノズル23a、23b、23cからのインク滴吐出方向を下方に向けて装着されている。
【0020】
液体吐出ヘッド23のノズル23a、23b、23cは、それぞれ副走査方向にずらされて接地される。キャリッジ15は、液体吐出ヘッド23に対応して各色のインクを供給するため、サブタンクを搭載する。
【0021】
液体吐出装置1は、各色のインクカートリッジ22a、22b、22c、22d、を着脱自在に装着するカートリッジ装填部2を備える。インクカートリッジ22のインクは、供給ポンプユニットによって各色の供給チューブ24を介してキャリッジ15のサブタンクに補充供給される。なお、インクカートリッジ22は、白色のインクカートリッジを含んでいてもよい。
【0022】
液体吐出装置1は、キャリッジ15の主走査方向の一方側の非印字領域に、維持回復機構3を備える。維持回復機構3は、液体吐出ヘッド23のノズル23a、23b、23cの状態を維持又は回復する。
【0023】
維持回復機構3は、液体吐出ヘッド23の各ノズル面をキャピングするためのキャップ31と、ノズル面をワイピングするための払拭ユニット32と、を備える。また、維持回復機構3の下方側には維持回復動作によって生じる廃液を収容するための交換可能な廃液タンクが設けられている。
【0024】
給紙手段40には、用紙41がセットされているが、幅方向のサイズが異なる用紙41もセット可能である。
【0025】
図3は、本実施形態に係る液体吐出装置1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、液体吐出装置1は、制御部100と、操作パネル120と、センサ130と、ヘッドドライバ140と、主走査モータ17と、副走査モータ150と、キャリッジ15と、搬送ベルト160と、プリンタドライバ170と、ファン180と、ヒータ190と、を備える。
【0026】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、を有する。
【0027】
CPU101は、液体吐出装置1全体の制御を行う。ROM102は、CPU101が実行するプログラム等の固定データを記憶する。RAM103は、画像データ等を一時的に記憶する。
【0028】
制御部100は、NVRAM(Non Volatile RAM)104と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)105と、を有する。
【0029】
NVRAM104は、液体吐出装置1の電源が遮断されている間もデータを保持する不揮発性メモリである。ASIC105は、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理や、その他、液体吐出装置1全体を制御するための入出力信号を処理する。
【0030】
制御部100は、印刷制御部106を有する。キャリッジ15は、液体吐出ヘッド23を駆動するためのデータをヘッドドライバ140へ転送する。ヘッドドライバ140は、キャリッジ15に設けられた液体吐出ヘッド23を駆動し、当該液体吐出ヘッド23からインク滴を吐出させる。
【0031】
制御部100は、モータ駆動部107を有する。モータ駆動部107は、主走査モータ17と副走査モータ150を駆動させる。主走査モータ17は、駆動によりキャリッジ15を移動走査させる。副走査モータ150は、駆動により搬送ベルト160を周回移動させる。
【0032】
制御部100は、I/O108を有する。I/O108は、センサ130からの情報を取得し、液体吐出装置1本体の各部の制御に利用される情報を抽出する。例えば、センサ130は、フォトセンサや温度センサ、エンコーダセンサ等のセンサ群に対応する。操作パネル120は、各種情報の入力や出力を行う。
【0033】
制御部100は、ホストI/F109を有する。ホストI/F109は、ホスト側との間でデータや信号の送受信を行う。具体的には、クライアントPC等の情報処理装置、画像読取装置、撮影装置等のホストのプリンタドライバ170側からケーブル又はネットワークを介してデータや信号の送受信を行う。CPU101は、ホストI/F109に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析する。そして、ASIC105にて画像処理やデータの並び替え処理等が行われ、画像データが印刷制御部106からヘッドドライバ140に転送される。
【0034】
印刷制御部106は、画像データをシリアルデータで転送するとともに、画像データの転送に要する転送クロックやラッチ信号、制御信号等をヘッドドライバ140に出力する。ヘッドドライバ140は、シリアルに入力される液体吐出ヘッド23の一行分に相当する画像データに基づいて、印刷制御部106から与えられる駆動波形を構成する駆動パルスを、液体吐出ヘッド23の圧力発生手段に対して選択的に与える。これにより、液体吐出ヘッド23が駆動され、液体が吐出される。
【0035】
なお、駆動波形を構成するパルスの一部又は全部、パルスを形成する波形用要素の一部又は全部を選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴等の大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
【0036】
制御部100は、ファン制御部110と、ヒータ制御部111と、を有する。ファン制御部110は、所定の温度及び風量の送風が行われるようにファン180の出力を制御する。ヒータ制御部111は、設定された温度となるようにヒータ190を制御する。
【0037】
ファン180は、駆動により液体吐出装置1の内部の空気の対流を促し、当該液体吐出装置1の上部が暖められた空気の滞留によって過剰に温度上昇することを防ぐ。ファン180は、制御部100のファン制御部110に接続されている。
【0038】
図4は、本実施形態に係る液体吐出装置1のヒータ190の構成の一例を示す図である。なお、
図4に示す例では、簡単のために、一部の液体吐出ヘッド23に関しては記載を省略している。
【0039】
図4に示すように、ヒータ190は、プリヒータ190aと、プリントヒータ190bと、プリントヒータ190cと、ポストヒータ190dと、乾燥ヒータ190eと、を有する。これらの各ヒータ190には、温度制御のために例えば、サーミスタ等の温度センサが設けられている。
【0040】
プリヒータ190aは、液体塗布面の形成に適した温度に媒体Pを予熱する装置である。例えば、プリヒータ190aは、アルミ箔コードヒータである。プリヒータ190aは、搬送ガイド板191の裏面に貼られる。プリヒータ190aは、搬送ガイド板191自体を暖めることにより媒体Pを暖める。
【0041】
プリントヒータ190b及びプリントヒータ190cは、媒体Pに液体塗布面を形成するとき、媒体Pを保温する装置である。例えば、プリントヒータ190b及びプリントヒータ190cは、アルミ材であるプラテン192の中に埋め込まれたコードヒータである。プリントヒータ190b及びプリントヒータ190cは、プラテン192自体を暖めることで媒体Pを暖める。
【0042】
ポストヒータ190d及び乾燥ヒータ190eは、インク等の液体を乾燥させ定着させるために、液体塗布面が形成された媒体Pを暖める装置である。例えば、ポストヒータ190dは、アルミ箔コードヒータである。ポストヒータ190dは、搬送ガイド板191の裏面に貼られる。ポストヒータ190dは、搬送ガイド板191自体を暖めることで媒体Pを暖める。また、例えば、乾燥ヒータ190eは、IRヒータである。乾燥ヒータ190eは、媒体Pの液体塗布面にIRの輻射を放射して乾燥させる。乾燥ヒータ190eは、ファンを備えて媒体Pの液体塗布面に熱風を送るように構成されていてもよい。
【0043】
次に、本実施形態に係る液体吐出装置1の動作の一例について説明する。
【0044】
CPU101は、ホストI/F109の受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC105にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行って印刷制御部106に転送する。
【0045】
印刷制御部106は、所要のタイミングでヘッドドライバ140に画像データや駆動波形を出力する。詳細には、印刷制御部106は、ROM102に格納されてCPU101で読み出される駆動パルスのパターンデータをD/A変換して増幅することにより、一つの駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動波形を生成する。
【0046】
なお、画像出力するための画像データの生成は、例えば、ROM102にフォントデータを格納して行ってもよいし、ホスト側のプリンタドライバで画像データをビットマップに展開して液体吐出装置1に転送するようにしてもよい。
【0047】
ヘッドドライバ140は、入力される画像データに基づいて、印刷制御部106から与えられる駆動波形を構成する駆動パルスを、選択的に液体吐出ヘッド23の圧力発生手段に対して印加することにより、当該液体吐出ヘッド23を駆動する。
【0048】
ヒータ190は、スリープモードから覚めると点灯し、媒体Pやモードに応じた設定温度に制御される。液体吐出装置1は、ヒータ190が立ち上がれば、液体塗布面の形成が可能な状態になり、当該液体塗布面の形成のための初期動作を開始する。乾燥ヒータ190eは、液体塗布面の形成が開始されると点灯を開始する。
【0049】
媒体Pは、プリヒータ190a側にセットされている。また、媒体Pは、副走査モータ150から駆動力を付与された搬送ベルト160によって矢印B方向に搬送され、液体吐出ヘッド23からの液体の吐出によって液体塗布面が形成される。例えば、媒体Pとしては、ロールタイプの用紙以外にも、軟包装メディアと呼ばれるPETやPVC、OPP、シート状のメディア等を使用することができる。
【0050】
プリヒータ190a側から送られてきた媒体Pは、まず、プリヒータ190aによって液体塗布面の形成に適した温度に予熱される。予熱された媒体Pは、搬送ベルト160によって液体吐出ヘッド23が配置された画像形成部193に送られる。
【0051】
画像形成部193では、媒体Pをプリントヒータ190b、プリントヒータ190cによって保温しつつ、そこに液体吐出ヘッド23からインク等の液体が吐出されて液体塗布面が形成される。暖められた空気は、蒸気とともに上昇するが、その滞留によって液体吐出装置1の上部が過剰に温度上昇することを防ぐために、ファン180によって空気の対流を促す。
【0052】
副走査方向に媒体Pが搬送され、媒体Pの移動方向と垂直な方向にキャリッジ15が走査し、画像が形成される。なお、画像を形成する場合には、作像する画像の解像度に応じて走査回数を変更し、高解像度の画像を形成することができる。
【0053】
画像形成部193において液体塗布面が形成された媒体Pは、さらに下流に送られる。
【0054】
乾燥ヒータ190eは、液体塗布面が形成された媒体Pが到着するまでに、フィラメント温度を目的の温度になるように予備加熱を行う。その後、乾燥ヒータ190eは、液体塗布面が形成された媒体Pが到着したら、副走査の停止タイミングと同期して点灯する。点灯タイミングは、媒体Pの種類やモードにより変更可能となっている。
【0055】
ポストヒータ190d及び熱風を送る乾燥ヒータ190eは、媒体Pの上のインク等の液体を乾燥させ定着させる。乾燥及び定着が済んだ媒体Pは、さらに、下流においてロール状に巻き取られる。
【0056】
次に、本形態に係る画像処理装置5について説明する。
図5は、本実施形態に係る画像処理装置5のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0057】
液体吐出装置1は、画像処理装置5を備える。なお、本実施形態では、液体吐出装置1に画像処理装置5が接続されているが、これに限らない。例えば、画像処理装置5の機能を液体吐出装置1の制御部100が備えてもよい。
【0058】
図5に示すように、画像処理装置5は、CPU(Central Processing Unit)501と、ROM(Read Only Memory)502と、RAM(Random Access Memory)503と、メモリ504と、I/F505と、を有する。
【0059】
CPU501は、画像処理装置5全体の制御を行う。ROM502は、CPU501が実行するプログラム等の固定データを記憶する。RAM503は、画像データ等を一時的に記憶する。
【0060】
メモリ504は、揮発性又は不揮発性の半導体メモリ、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置で構成される。おな、メモリ504が、ROM502及びRAM503を含んでもよい。
【0061】
I/F505は、外部のクライアントPC等に接続され、クライアントPC等との間でデータ及び信号を送受信する。クライアントPC等から送られてくるデータには、画像データも含まれる。
【0062】
図6は、本実施形態に係る画像処理装置5の機能構成の一例を示すブロック図である。
図6に示すように、画像処理装置5は、取得部506と、画像処理部507と、出力部508と、を有する。
【0063】
画像処理部507の機能は、CPU501が所定のプログラムを実行することにより実現される。また、取得部506と、出力部508と、の機能は、メモリ504により実現される。
【0064】
取得部506は、クライアントPC等で生成された印刷ジョブを受信し、印刷ジョブにおける画像データ等を画像処理部507に出力する。すなわち、取得部506は、PCより画像データ、印刷指示等を取得する。
【0065】
画像処理部507は、取得部506から出力された画像データをドットパターンに変換する中間調処理等の画像処理を行う。また、画像処理部507は、ドットパターンに変換した輪郭部をスムージング化する輪郭補正処理を行う。画像処理部507は、処理した画像データを、出力部508を介して液体吐出装置1に送信する。なお、画像処理部507が行う輪郭補正処理の詳細については、後ほど説明する。
【0066】
出力部508は、液体吐出装置1に画像処理部507で処理された画像データを出力する。なお、出力先は、液体吐出装置1に限らないものとする。例えば、液体吐出装置1以外の他の液体吐出装置に出力してもよい。
【0067】
次に、本実施形態に係る画像処理部507にて行われる輪郭補正処理について説明する。
図7、8は、本実施形態に係る画像処理部507が行う輪郭補正処理を説明するための図である。
【0068】
図7(a)に示す文字等の画像がドットパターンに変換されると、
図7(b)に示すように、その輪郭部にジャギーが発生する。そこで、画像処理部507は、
図7(c)に示すように、輪郭部のジャギーを目立たなくするため、輪郭部に輪郭補正ドットを付加する輪郭補正処理を実行する。
【0069】
図7(c)では、ハッチングを施したドットが、輪郭補正処理で付加された輪郭補正ドットに対応する。また、輪郭補正ドット以外のドットは非輪郭補正ドットに対応する。なお、輪郭補正ドットのドットサイズは、非輪郭補正ドットのドットサイズよりも小さく設定される。
【0070】
そして、画像処理部507は、輪郭補正ドットが付加されたドットパターンとともに、輪郭補正ドットを形成するインク滴の滴種を設定した画像データを生成し、液体吐出装置1に送信する。これにより、液体吐出装置1は、画像データに基づく画像を媒体P上に印字する。
【0071】
ここで、
図7(d)は、
図7(b)に示した輪郭補正処理が施されていないドットパターンの印字結果を示している。また、
図7(e)は、
図7(c)に示した輪郭補正処理を施したドットパターンの印字結果を示している。
図7(e)から明らかなように、輪郭補正処理を行った印字結果では、輪郭補正処理が未処理の印字結果と比較し、輪郭部のジャギーが低減された状態となる。
【0072】
ところで、画像形成方法によっては、輪郭補正ドットと、当該輪郭補正ドットに隣接する非輪郭補正ドットとの間でインク滴の合一が発生する場合がある。
図7(f)は、インク滴の合一が発生した状態を示している。ここで、隣接は、主走査方向の隣接を意味するものとするが、これに限らず、副走査方向の隣接も含める概念としてもよい。
【0073】
上述したインク滴の合一は、隣接する輪郭補正ドットと非輪郭補正ドットとの各々を形成するインク滴が媒体Pに着弾するタイミングの時間差(以下、着弾時間差ともいう)が短いほど発生しやすくなる。例えば、1回の走査(スキャン)で主走査方向及び副走査方向の印字を行う、1パス、1/1インターレース(以下、1スキャン印刷ともいう)印刷では、隣接する輪郭補正ドットと非輪郭補正ドットとが1回の走査で形成される。そのため、着弾時間差は短くなり、インク滴の合一が発生する可能性がある。また、例えば、2回の走査で主走査方向及び副走査方向の印字を行う2パス、1/2インターレース(以下、2スキャン印刷ともいう)印刷では、隣接する輪郭補正ドットと非輪郭補正ドットとが2回に分けて交互に形成される。この場合、着弾時間差は1スキャン印刷と比較して長くなるため、インク滴の合一は発生し辛くなる。
【0074】
インク滴の合一が不用意に発生すると、輪郭補正ドットが意図しない像を形成することになり、画質の劣化につながる可能性がある。そのため、輪郭補正ドットを形成するインク滴の滴径は、合一が発生した場合であってもスムージング効果を維持できる程度の大きさとすることが好ましい。具体的には、輪郭補正ドットの滴径は、1スキャン印刷時に発生するインク滴の合一を考慮し、輪郭部のスムージング効果を維持できる程度の大きさに設定することが好ましい。以下では、1スキャン印刷時に用いるインク滴の合一を考慮した輪郭補正ドットのドットサイズを「第1サイズ」とも表記する。
【0075】
ところで、上述したように、2スキャン印刷では着弾時間差が1スキャン印刷よりも長くなるため、インク滴の合一が発生し辛い条件となる。そのため、1スキャン印刷に最適化された第1サイズを用いて2スキャン印刷を行うと、輪郭補正ドットの見え方が1スキャン印刷と異なり、輪郭部のスムージング効果が低下する可能性がある。
【0076】
例えば、インク滴の合一を許容する場合、第1サイズは合一による液滴移動を考慮した大きさを有することになるが、2スキャン印刷では、合一による液滴移動が発生しないため、輪郭補正ドットの見え方が1スキャン印刷と異なる。この場合、2スキャン印刷では、輪郭補正ドットが1スキャン印刷時よりも大きく強調して印字される可能性がある。この場合、輪郭部の段差がかえって目立ってしまうため、スムージング効果が低下することになる。
【0077】
そこで、本実施形態の画像処理部507は、輪郭補正ドットと当該輪郭補正ドットに隣接する非輪郭補正ドットとの着弾時間差に応じて、輪郭補正ドットを形成するインク滴の滴種を切り替えるように制御する。なお、本実施形態において、インク滴の滴種は、輪郭補正ドットを形成するインク滴の滴量(吐出量)や、輪郭補正ドットのドットサイズ等、輪郭補正ドットを形成する際の形成条件に対応する。
【0078】
具体的には、画像処理部507は、画像形成方法等に基づいて、輪郭補正ドットと当該輪郭補正ドットに隣接する非輪郭補正ドットとの着弾時間差を導出し、当該着弾時間差とインク滴の滴種判別に係る閾値とを比較する。そして、画像処理部507は、比較結果に基づいて、輪郭補正ドットの形成に使用するインク滴の滴種を決定する。ここで、閾値は、任意に設定することが可能であるが、本実施形態では、インク滴の合一が発生する可能性のある着弾時間差の値が設定されているものとする。
【0079】
例えば、画像処理部507は、1スキャン印刷の場合、隣接ドットの着弾時間差が閾値以上と判定する。この場合、画像処理部507は、輪郭補正ドットのドットサイズを第1サイズに設定する。また、例えば、画像処理部507は、2スキャン印刷の場合、隣接ドットの着弾時間差が閾値未満と判定する。この場合、画像処理部507は、輪郭補正ドットのドットサイズを、第1サイズより小さな第2サイズに設定する。
【0080】
図8は、画像処理部507の処理結果の一例を示す図である。
図8では、
図7(e)に示した輪郭補正ドットのドットサイズ(第1サイズ)を、第2サイズに変更した状態を示している。上述したように、2スキャン印刷ではインク滴の合一が発生し辛いため、ドットサイズを小さくすることで、輪郭補正ドットが強調されることを抑えることができる。これにより、2スキャン印刷での、輪郭部のスムージング効果を向上させることができる。
【0081】
なお、画像処理部507は、画像データの出力先となる液体吐出装置1の画像形成方法に応じて、輪郭補正フォットを形成するインク滴の滴種の決定を行うものとするが、これに限るものではない。例えば、ユーザから指定された画像形成方法に応じて、滴種の決定を行ってもよい。
【0082】
また、上記例では、画像処理部507は、画像形成方法に基づき着弾時間差を導出したが、着弾時間差の導出方法は特に問わないものとする。例えば、画像処理部507は、画像形成方法毎に予め定められた着弾時間差を算出するための関係式に基づき、輪郭補正ドットと非輪郭補正ドットとの着弾時間差を算出してもよい。また、例えば、画像処理部507は、I/F505等を介して明示的に指示される着弾時間差を導出結果として用いてもよい。また、画像形成方法と着弾時間差は一意に対応するため、画像処理部507は、着弾時間差の導出を省略し、画像形成方法に応じて輪郭補正ドットを形成するインク滴の滴種を決定する構成としてもよい。
【0083】
次に、
図9を参照して、画像処理装置5で実行される処理を説明する。
図9は、画像処理装置5が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0084】
まず、取得部506は、PCアプリ等で生成された画像データをケーブルやネットワークを介して取得する(ステップS11)。
【0085】
続いて、画像処理部507は、取得部506で取得された画像データをドットパターンに変換する(ステップS12)。次いで、画像処理部507は、ドットパターンに変換した画像データの輪郭部に対し、輪郭補正ドットを付加する輪郭補正処理を実行する(ステップS13)。
【0086】
続いて、画像処理部507は、画像データの画像形成方法等に基づき、輪郭補正ドットと当該輪郭補正ドットに隣接する非輪郭補正ドットとの着弾時間差を特定する(ステップS14)。次いで、画像処理部507は、特定した着弾時間差と閾値とを比較し、インク滴の合一が発生する可能性があるか否かを判定する(ステップS15)。
【0087】
着弾時間差が閾値を上回る場合、画像処理部507は、インク滴の合一が発生する可能性があると判定する(ステップS15;Yes)。この場合、画像処理部507は、輪郭補正ドットの滴種を第1サイズに設定し(ステップS16)、ステップS18に移行する。
【0088】
一方、着弾時間差が閾値以下の場合、画像処理部507は、インク滴の合一は発生しないと判定する(ステップS15;No)。この場合、画像処理部507は、輪郭補正ドットの滴種を、第1サイズよりも小さな第2サイズに設定し(ステップS17)、ステップS18に移行する。
【0089】
そして、出力部508は、ステップS16又はステップS17で処理された出力用の画像データを液体吐出装置1に出力する(ステップS18)。
【0090】
以上説明したように、本実施形態に係る画像処理装置5は、輪郭補正処理において、隣接する輪郭補正ドットと非輪郭補正ドットとの着弾時間差に応じて、輪郭補正ドットを形成するインク滴の滴種を変更する。これにより、画像処理装置5は、印刷方向に応じたドットサイズの輪郭補正ドットを輪郭部に付加することができるため、画像形成方法が変更された場合であっても輪郭部のスムージング効果の向上を図ることができる。
【0091】
なお、上述した実施形態は、上述した各装置が有する構成又は機能の一部を変更することで、適宜に変形して実施することも可能である。そこで、以下では、上述した実施形態に係るいくつかの変形例を他の実施形態として説明する。なお、以下では、上述した実施形態と異なる点を主に説明することとし、既に説明した内容と共通する点については詳細な説明を省略する。また、以下で説明する変形例は、個別に実施されてもよいし、適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0092】
(変形例1)
上述の実施形態では、画像形成方法として、1スキャン印刷と2スキャン印刷とを例示したが、輪郭補正ドットの滴種切り替えの対象となる画像形成方法はこれに限るものではない。
【0093】
例えば、キャリッジ15が媒体Pの幅方向(主走査方向)に往復運動しながらインク滴を吐出して画像を形成する液体吐出装置1では、片方向印字と双方向印字とを行うことができる。片方向印字は、キャリッジ15の動作が往路(又は復路)のときにのみインクを吐出して画像を形成する方法である。双方向印字は、キャリッジ15の動作が往路復路両方でインクを吐出して画像を形成する方法である。
【0094】
片方向印字の場合、往路のみインクの吐出が行われ、復路は空走査(スキャン)となる。この場合、例えば、輪郭補正ドット及び非輪郭補正ドットのうち、一方のドットを往路の走査で形成し、他方のドットを次の往路の走査で形成することが行われる。また、双方向印字の場合、往路及び復路でインクの吐出が行われるため、例えば、輪郭補正ドット及び非輪郭補正ドットのうち、一方のドットを往路で形成し、他方のドットを復路で形成することが行われる。
【0095】
上述した片方向印字と双方向印字とを比較すると、双方向印字ではより高速に画像形成を行うことができるため、双方向印字での着弾時間差は、片方向印字での着弾時間差よりも短いものとなる。
【0096】
そこで、本変形例に係る画像処理部507は、画像形成方法が双方向印字の場合、輪郭補正ドットの滴種を第1サイズに設定し、画像形成方法が片方向印字の場合、輪郭補正ドットの滴種を第2サイズに決定する。
【0097】
これにより、本変形例に係る画像処理装置5は、上述した実施形態と同様の効果を奏することができるため、輪郭部のスムージング効果の向上を図ることができる。
【0098】
なお、双方向印字の場合であっても、画像の形成位置によっては着弾時間差が長くなる場合がある。具体的には、往路から復路への切り替えポイントから離れるにつれて、着弾時間差が長くなる。ここで、切り替えポイントは、キャリッジ15が主走査方向に移動可能な範囲のうち、往路から復路への切り替え位置となる媒体Pの端部や、ガイドロッド12及びガイドステー13上での往路から復路への切り替え位置に対応する。
【0099】
この場合、画像処理部507は、切り替えポイントからの距離に応じて、輪郭補正ドットを形成するインク滴の滴種を決定する。例えば、画像処理部507は、切り替えポイントを基点とし、当該基点からインク滴の合一が発生する可能のある距離の範囲内に含まれる輪郭補正ドットの滴種を第1サイズに設定し、当該範囲外の輪郭補正ドットの滴種を第2サイズに決定する。
【0100】
これにより、本変形例に係る画像処理装置5は、双方向印字の場合であっても、輪郭補正ドットを形成する場所にインク滴の滴種を切り替えることができるため、より効果的にスムージング効果を向上させることができる。
【0101】
(変形例2)
上述の実施形態では、着弾時間差又は画像形成方法に基づき輪郭補正ドットの滴種を決定する構成を説明した。しかしながら、インク滴の合一具合は媒体Pの特性(或いは種類)によっても左右される。具体的には、媒体Pの種類によってインク滴が定着する時間が異なるため、インク滴同士が合一する時間に差が生じる。そこで、本変形例では、媒体Pの特性を加味して輪郭補正ドットの滴種を決定する構成について説明する。
【0102】
本変形例に係る画像処理部507は、液体吐出装置1で使用される媒体Pの種別を判別する。ここで、媒体Pの種別の判別方法は特に問わず、例えば、画像処理部507は、液体吐出装置1から媒体Pの種別を特的可能な情報を取得することで、媒体Pの種別を判別してもよい。また、画像処理部507は、ユーザから入力される媒体Pの種別を示す情報に基づいて媒体Pの種別を判別してもよい。
【0103】
次いで、画像処理部507は、媒体Pの種別に応じて輪郭補正ドットの滴種の決定方法を調整する。例えば、画像処理部507は、媒体Pの種別に応じて着弾時間差を補正したり、インク滴の滴種判別に係る閾値を補正したりする。また、例えば、画像処理部507は、画像形成方法により決定した滴種の滴量やドットサイズを、媒体Pの種別に応じて補正する。一例として、媒体Pの種別が普通紙よりもインクが浸透しにくいフィルム系の場合、画像処理部507は、閾値を調整することで、インク滴の合一が発生する可能性のある着弾時間差を拡大する。
【0104】
これにより、本変形例に係る画像処理装置5は、媒体Pの種別に応じて、輪郭補正ドットを形成する場所にインク滴の滴種を切り替えることができるため、より効果的にスムージング効果を向上させることができる。
【0105】
なお、上述した実施形態及び変形例の各装置で実行されるプログラムは、ROMや記憶部等に予め組み込まれた状態で提供される。上述した実施形態及び変形例の各装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0106】
さらに、上述した実施形態及び変形例の各装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上述した実施形態及び変形例の各装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
【0107】
以上、本発明の実施形態及び変形例を説明したが、これらの実施形態及び変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これらの実施形態及び変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0108】
1 液体吐出装置
5 画像処理装置
10 装置本体
506 取得部
507 画像処理部
508 出力部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0109】