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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134918
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】研磨方法および研磨装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 53/017 20120101AFI20230921BHJP
   B24B 37/10 20120101ALI20230921BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20230921BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20230921BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
B24B53/017 Z
B24B37/10
B24B37/00 K
B24B53/017 A
H01L21/304 622M
H01L21/304 621D
H01L21/304 622Q
B08B3/02 B
B08B3/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039853
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】伊東 伴
【テーマコード(参考)】
3B201
3C047
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3B201AA03
3B201AB03
3B201AB42
3B201BB22
3B201BB45
3B201BB92
3C047AA06
3C047AA21
3C047AA34
3C047EE04
3C158AA07
3C158AA19
3C158AB04
3C158AC02
3C158AC04
3C158AC05
3C158CB02
3C158CB03
3C158CB10
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EB01
3C158ED10
3C158ED11
5F057AA21
5F057DA03
5F057DA39
5F057EC30
5F057FA37
5F057FA39
5F057GA07
5F057GA29
(57)【要約】
【課題】基板の研磨プロセスの安定化を実現することができる研磨方法が提供される。
【解決手段】研磨方法は、基板Wの研磨終了後、ファインバブル液を研磨パッド1上に供給する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨パッドを支持する研磨テーブルを回転させ、
前記研磨パッド上に研磨液を供給した状態で、研磨ヘッドで保持された基板を前記研磨パッドに押し付けて、前記基板を研磨し、
前記基板の研磨終了後、ファインバブル液を前記研磨パッド上に供給する、研磨方法。
【請求項2】
前記ファインバブル液は、前記研磨テーブルの半径方向に揺動可能なノズルアームの、単数または複数のノズルから前記研磨パッド上に供給される、請求項1に記載の研磨方法。
【請求項3】
前記基板を前記研磨パッドに押し付けた状態で、前記ファインバブル液を前記研磨パッド上に供給して、前記基板を前記ファインバブル液で研磨する、請求項1または請求項2に記載の研磨方法。
【請求項4】
前記ファインバブル液は、1マイクロメートル以下のバブル直径を有するウルトラファインバブル液を備えている、請求項3に記載の研磨方法。
【請求項5】
前記基板の研磨終了後、前記基板を前記研磨パッドから搬送し、
前記基板の搬送後、ドレッサを前記研磨パッド上に移動させて、前記研磨パッドをドレッシングし、
前記研磨パッドのドレッシング中において、前記ファインバブル液を前記研磨パッド上に供給する、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の研磨方法。
【請求項6】
前記ファインバブル液は、1マイクロメートルから100マイクロメートル以下のバブル直径を有するマイクロバブル液を備えている、請求項5に記載の研磨方法。
【請求項7】
前記ファインバブル液は、前記研磨テーブルの半径方向に延びるアトマイザから前記研磨パッド上に供給される、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の研磨方法。
【請求項8】
前記基板の研磨終了後、前記基板を前記研磨パッドから搬送し、
前記基板の搬送後、前記研磨ヘッドを前記研磨パッドの外部に位置する退避位置に移動させ、
前記ファインバブル液を、前記退避位置に配置された前記研磨ヘッドに供給して、前記研磨ヘッドを洗浄する、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の研磨方法。
【請求項9】
前記ファインバブル液は、複数種のガスのうち、前記基板の構造に対応するガスから生成されたバブルを有している、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の研磨方法。
【請求項10】
前記ファインバブル液は、前記ガスを液体に溶解させる加圧溶解方式によって生成される、請求項9に記載の研磨方法。
【請求項11】
パーティクルカウンターによって前記ファインバブル液に含まれるバブル数を計測し、
前記バブル数が所定の基準数に到達した後に、前記ファインバブル液を供給する、請求項1~請求項10のいずれか一項に記載の研磨方法。
【請求項12】
研磨パッドを支持する研磨テーブルと、
基板を前記研磨パッドに押し付ける研磨ヘッドと、
前記研磨パッドに液体を供給する液体供給機構と、
前記液体供給機構の動作を制御する制御装置と、を備え、
前記液体供給機構は、前記基板の研磨終了後、ファインバブル液を前記研磨パッド上に供給するファインバブル液供給装置を備えている、研磨装置。
【請求項13】
前記ファインバブル液供給装置は、
前記研磨テーブルの半径方向に揺動可能なノズルアームと、
前記ノズルアームに配置された、前記ファインバブル液を前記研磨パッド上に供給する単数または複数のファインバブル液ノズルと、を備えている、請求項12に記載の研磨装置。
【請求項14】
前記ファインバブル液供給装置は、前記研磨ヘッドが前記基板を前記研磨パッドに押し付けた状態で、前記ファインバブル液として、1マイクロメートル以下のバブル直径を有するウルトラファインバブル液を前記研磨パッド上に供給する、請求項12または請求項13に記載の研磨装置。
【請求項15】
前記研磨装置は、前記研磨パッドをドレッシングし、かつ前記制御装置に電気的に接続されたドレッシング装置を備えており、
前記制御装置は、前記基板の研磨が終了し、前記基板の搬送後、前記ドレッシング装置を操作することにより、ドレッサを前記研磨パッド上に移動させて、前記研磨パッドをドレッシングし、
前記ファインバブル液供給装置は、前記研磨パッドのドレッシング中において、前記ファインバブル液として、1マイクロメートルから100マイクロメートル以下のバブル直径を有するマイクロバブル液を前記研磨パッド上に供給する、請求項12~請求項14のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項16】
前記研磨装置は、前記研磨テーブルの半径方向に延びるアトマイザを備えており、
前記ファインバブル液供給装置は、前記ファインバブル液を前記アトマイザから前記研磨パッド上に供給する、請求項12~請求項15のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項17】
前記制御装置は、前記基板の研磨が終了し、前記基板の搬送後、前記研磨ヘッドを前記研磨パッドの外部に位置する退避位置に移動させ、
前記ファインバブル液供給装置は、前記ファインバブル液を、前記退避位置に配置された前記研磨ヘッドに供給して、前記研磨ヘッドを洗浄する、請求項12~請求項16のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項18】
前記ファインバブル液は、複数種のガスのうち、前記基板の構造に対応するガスから生成されたバブルを有している、請求項12~請求項17のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項19】
前記ファインバブル液供給装置は、前記ファインバブル液を、前記ガスを液体に溶解させる加圧溶解方式によって生成するファインバブル液生成装置を備えている、請求項18に記載の研磨装置。
【請求項20】
前記ファインバブル液供給装置は、前記ファインバブル液に含まれるバブル数を計測するパーティクルカウンターを備えており、
前記ファインバブル液供給装置は、前記パーティクルカウンターによって計測されたバブル数に基づいて、前記バブル数が所定の基準数に到達した後に、前記ファインバブル液を供給する、請求項12~請求項19のいずれか一項に記載の研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨方法および研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程においては、デバイス表面の平坦化技術がますます重要になっている。この平坦化技術のうち、最も重要な技術は、化学的機械研磨(Chemical Mechanical PolishingまたはCMP)である。この化学的機械的研磨(以下、CMPと呼ぶ)は、研磨装置を用いて、シリカ(SiO)やセリア(CeO)などの砥粒を含んだ研磨液(スラリー)を研磨パッドに供給しつつ、ウェハなどの基板を保持した研磨ヘッドを研磨パッドの研磨面に摺接させて研磨を行うものである。
【0003】
基板の研磨後において、研磨パッド上に液体(例えば、純水)を供給して、基板の研磨プロセスの安定化を図ることが行われている。例えば、基板の表面に付着した研磨屑や研磨液の砥粒を除去するために、基板を水研磨したり、次の基板を研磨するための準備として、研磨パッドの表面状態を整えたり、研磨パッド表面の研磨屑や研磨液の砥粒を除去するために、研磨パッドをドレッシングしたりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-44250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、基板の研磨プロセスの安定化を図るために、基板の水研磨時において、基板に対する研磨圧力を高くしたり、処理時間を長くすると、基板のスループットが悪くなるのみならず、基板に欠陥が生じてしまうおそれがある。
【0006】
基板の研磨プロセスの安定化を図るために、研磨パッドのドレッシング時において、ドレッシング荷重を高くしたり、研磨テーブルの回転速度を上げたりして、研磨パッドを多く削り取ると、研磨パッドの寿命が短くなるのみならず、研磨レートや基板のプロファイルに悪影響を及ぼすおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、基板の研磨プロセスの安定化を実現することができる研磨方法および研磨装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、研磨パッドを支持する研磨テーブルを回転させ、前記研磨パッド上に研磨液を供給した状態で、研磨ヘッドで保持された基板を前記研磨パッドに押し付けて、前記基板を研磨し、前記基板の研磨終了後、ファインバブル液を前記研磨パッド上に供給する、研磨方法が提供される。
【0009】
一態様では、前記ファインバブル液は、前記研磨テーブルの半径方向に揺動可能なノズルアームの、単数または複数のノズルから前記研磨パッド上に供給される。
一態様では、前記基板を前記研磨パッドに押し付けた状態で、前記ファインバブル液を前記研磨パッド上に供給して、前記基板を前記ファインバブル液で研磨する。
一態様では、前記ファインバブル液は、1マイクロメートル以下のバブル直径を有するウルトラファインバブル液を備えている。
【0010】
一態様では、前記基板の研磨終了後、前記基板を前記研磨パッドから搬送し、前記基板の搬送後、ドレッサを前記研磨パッド上に移動させて、前記研磨パッドをドレッシングし、前記研磨パッドのドレッシング中において、前記ファインバブル液を前記研磨パッド上に供給する。
一態様では、前記ファインバブル液は、1マイクロメートルから100マイクロメートル以下のバブル直径を有するマイクロバブル液を備えている。
一態様では、前記ファインバブル液は、前記研磨テーブルの半径方向に延びるアトマイザから前記研磨パッド上に供給される。
【0011】
一態様では、前記基板の研磨終了後、前記基板を前記研磨パッドから搬送し、前記基板の搬送後、前記研磨ヘッドを前記研磨パッドの外部に位置する退避位置に移動させ、前記ファインバブル液を、前記退避位置に配置された前記研磨ヘッドに供給して、前記研磨ヘッドを洗浄する。
一態様では、前記ファインバブル液は、複数種のガスのうち、前記基板の構造に対応するガスから生成されたバブルを有している。
一態様では、前記ファインバブル液は、前記ガスを液体に溶解させる加圧溶解方式によって生成される。
一態様では、パーティクルカウンターによって前記ファインバブル液に含まれるバブル数を計測し、前記バブル数が所定の基準数に到達した後に、前記ファインバブル液を供給する。
【0012】
一態様では、研磨パッドを支持する研磨テーブルと、基板を前記研磨パッドに押し付ける研磨ヘッドと、前記研磨パッドに液体を供給する液体供給機構と、前記液体供給機構の動作を制御する制御装置と、を備える研磨装置が提供される。前記液体供給機構は、前記基板の研磨終了後、ファインバブル液を前記研磨パッド上に供給するファインバブル液供給装置を備えている。
【0013】
一態様では、前記ファインバブル液供給装置は、前記研磨テーブルの半径方向に揺動可能なノズルアームと、前記ノズルアームに配置された、前記ファインバブル液を前記研磨パッド上に供給する単数または複数のファインバブル液ノズルと、を備えている。
一態様では、前記ファインバブル液供給装置は、前記研磨ヘッドが前記基板を前記研磨パッドに押し付けた状態で、前記ファインバブル液として、1マイクロメートル以下のバブル直径を有するウルトラファインバブル液を前記研磨パッド上に供給する。
一態様では、前記研磨装置は、前記研磨パッドをドレッシングし、かつ前記制御装置に電気的に接続されたドレッシング装置を備えており、前記制御装置は、前記基板の研磨が終了し、前記基板の搬送後、前記ドレッシング装置を操作することにより、ドレッサを前記研磨パッド上に移動させて、前記研磨パッドをドレッシングし、前記ファインバブル液供給装置は、前記研磨パッドのドレッシング中において、前記ファインバブル液として、1マイクロメートルから100マイクロメートル以下のバブル直径を有するマイクロバブル液を前記研磨パッド上に供給する。
【0014】
一態様では、前記研磨装置は、前記研磨テーブルの半径方向に延びるアトマイザを備えており、前記ファインバブル液供給装置は、前記ファインバブル液を前記アトマイザから前記研磨パッド上に供給する。
一態様では、前記制御装置は、前記基板の研磨が終了し、前記基板の搬送後、前記研磨ヘッドを前記研磨パッドの外部に位置する退避位置に移動させ、前記ファインバブル液供給装置は、前記ファインバブル液を、前記退避位置に配置された前記研磨ヘッドに供給して、前記研磨ヘッドを洗浄する。
一態様では、前記ファインバブル液は、複数種のガスのうち、前記基板の構造に対応するガスから生成されたバブルを有している。
【0015】
一態様では、前記ファインバブル液供給装置は、前記ファインバブル液を、前記ガスを液体に溶解させる加圧溶解方式によって生成するファインバブル液生成装置を備えている。
一態様では、前記ファインバブル液供給装置は、前記ファインバブル液に含まれるバブル数を計測するパーティクルカウンターを備えており、前記ファインバブル液供給装置は、前記パーティクルカウンターによって計測されたバブル数に基づいて、前記バブル数が所定の基準数に到達した後に、前記ファインバブル液を供給する。
【発明の効果】
【0016】
基板の研磨終了後に、高い洗浄力を有するファインバブル液を研磨パッド上に供給することにより、基板の研磨プロセスの安定化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】研磨装置の一実施形態を示す図である。
図2】液体供給機構を示す図である。
図3】ファインバブル液生成装置を示す図である。
図4】ファインバブル液供給装置の他の実施形態を示す図である。
図5】ファインバブル液生成装置の他の実施形態を示す図である。
図6】制御装置による、基板の処理フローを示す図である。
図7】研磨装置の他の実施形態を示す図である。
図8】制御装置による、基板の処理フローの他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下で説明する図面において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0019】
図1は、研磨装置の一実施形態を示す図である。図1に示すように、研磨装置PAは、研磨パッド1を支持する研磨テーブル2と、ウェハなどの基板Wを研磨パッド1に押し付ける研磨ヘッド3と、研磨パッド1に液体を供給するための液体供給機構4と、を備えている。液体供給機構4から研磨パッド1上に供給される液体は、研磨液(スラリー)、純水(DIW)、またはファインバブル液(後述する)である。
【0020】
研磨テーブル2は、研磨テーブル2を支持するテーブル軸(図示しない)を介して、研磨テーブル2を回転させるテーブルモータ(図示しない)に連結されている。研磨パッド1は研磨テーブル2の上面に貼付されており、研磨パッド1の上面が基板Wを研磨する研磨面を構成している。
【0021】
研磨ヘッド3は研磨ヘッドシャフト(図示しない)の下端に固定されている。研磨ヘッド3は、その下面に真空吸着により基板Wを保持できるように構成されている。研磨ヘッドシャフトは回転機構(図示しない)に連結されており、研磨ヘッド3はこの回転機構により研磨ヘッドシャフトを介して回転される。
【0022】
研磨装置PAは、研磨パッド1をドレッシングするためのドレッシング装置10をさらに備えている。ドレッシング装置10は、研磨パッド1の研磨面に摺接されるドレッサ15と、ドレッサ15を支持するドレッサアーム11と、ドレッサアーム11を旋回させるドレッサ旋回軸12と、を備えている。ドレッサ旋回軸12は、研磨パッド1の外側に配置されている。
【0023】
ドレッサアーム11の旋回に伴って、ドレッサ15は研磨面上を揺動する。ドレッサ15の下面は、ダイヤモンド粒子などの多数の砥粒からなるドレッシング面を構成する。ドレッサ15は、研磨面上を揺動しながら回転し、研磨パッド1を僅かに削り取ることにより研磨面をドレッシングする。
【0024】
研磨装置PAは、洗浄液(より具体的には、後述するファインバブル液)を研磨パッド1の研磨面に噴射して研磨面を洗浄するアトマイザ20をさらに備えている。アトマイザ20は、研磨パッド1(または研磨テーブル2)の半径方向に沿って延びており、研磨パッド1の研磨面の上方に位置している。アトマイザ20は、大流量の洗浄液を研磨面に噴射することにより、研磨パッド1の研磨面から研磨屑および研磨液に含まれる砥粒を除去する。アトマイザ20は、ドレッサ15による研磨面のドレッシング時においても、大流量の洗浄液を研磨面に噴射する。
【0025】
研磨装置PAは、その構成要素(例えば、研磨テーブル2、研磨ヘッド3、液体供給機構4、ドレッシング装置10、およびアトマイザ20)の動作を制御する制御装置9を備えている。研磨装置PAの構成要素は、制御装置9に電気的に接続されている。したがって、制御装置9は、研磨装置PAの構成要素の動作を制御することができる。
【0026】
図2は、液体供給機構を示す図である。図2に示すように、液体供給機構4は、研磨テーブル2の半径方向に移動可能なノズルアーム30と、ノズルアーム30の先端部分30aに配置されたスラリーノズル31と、ノズルアーム30のアーム部分30bに配置された純水ノズル32およびファインバブル液ノズル33A,33B,33C,33D,33Eと、を備えている。
【0027】
ノズルアーム30は、ノズルアーム30を旋回させるノズル旋回軸35に連結されている(図1参照)。ノズル旋回軸35は、研磨パッド1の外側に配置されている。ノズルアーム30は、ノズル旋回軸35の駆動(より具体的には、ノズル旋回軸35に連結されたモータ)によって、研磨パッド1の外側にある退避位置と研磨パッド1の上方にある処理位置との間を移動可能に構成されている。
【0028】
図2に示すように、ノズルアーム30が処理位置にあるとき、ノズルアーム30の先端部分30aは、研磨パッド1の中心CLの上方に配置される。したがって、ノズルアーム30の先端部分30aに配置されたスラリーノズル31は、その噴射口が研磨パッド1の中心CLに対向するように、研磨パッド1の中心CLの上方に配置される。
【0029】
ノズルアーム30が処理位置にあるとき、ファインバブル液ノズル33A~33Eのそれぞれは、その噴射口が研磨パッド1の中心CLと研磨パッド1の外周部との間の領域に対向するように、この領域の上方に配置される。純水ノズル32は、スラリーノズル31に隣接して配置されており、ファインバブル液ノズル33Aは、純水ノズル32に隣接して配置されている。
【0030】
ファインバブル液ノズル33A~33Eは、ノズルアーム30の先端側(すなわち、先端部分30a)から基端側に向かって、この順に配置されている。ファインバブル液ノズル33A~33Eのそれぞれは、単管形状を有してもよく、スプレーノズル形状を有してもよい。
【0031】
図2に示す実施形態では、液体供給機構4は、複数(より具体的には、5つ)のファインバブル液ノズルを備えているが、ファインバブル液ノズルの数は、本実施形態には限定されない。一実施形態では、液体供給機構4は、1つのファインバブル液ノズルを備えてもよく、2つ以上のファインバブル液ノズルを備えてもよい。
【0032】
液体供給機構4は、スラリーノズル31に接続されたスラリーライン42と、スラリーライン42を開閉する開閉弁43と、スラリーライン42を通じて、スラリーノズル31にスラリーを供給するスラリー供給源41と、を備えている。同様に、液体供給機構4は、純水ノズル32に接続された純水ライン45と、純水ライン45を開閉する開閉弁46と、純水ライン45を通じて、純水ノズル32に純水を供給する純水供給源44と、を備えている。
【0033】
開閉弁43,46は、制御装置9に電気的に接続されている。制御装置9が開閉弁43を開くと、スラリーは、スラリーライン42を通じて、スラリー供給源41からスラリーノズル31に供給される。同様に、制御装置9が開閉弁46を開くと、純水は、純水ライン45を通じて、純水供給源44から純水ノズル32に供給される。
【0034】
図2に示すように、液体供給機構4は、ファインバブル液をファインバブル液ノズル33A~33Eのそれぞれに供給するファインバブル液供給装置50を備えている。ファインバブル液供給装置50は、ファインバブル液ノズル33Aに接続されたファインバブル液供給ライン52と、ファインバブル液供給ライン52に接続された噴射ノズル51と、ファインバブル液供給ライン52およびファインバブル液ノズル33B~33Eのそれぞれに接続されたファインバブル液戻りライン53と、を備えている。
【0035】
ファインバブル液供給装置50は、ファインバブル液供給ライン52に接続されたバイパスライン57と、ファインバブル液供給ライン52に接続されたマイクロバブルフィルタ59と、バイパスライン57に接続されたウルトラファインバブルフィルタ58と、を備えている。
【0036】
ファインバブル液供給装置50は、バイパスライン57をファインバブル液供給ライン52に接続する三方弁56A,56Bを備えている。三方弁56A,56Bのそれぞれは、制御装置9に電気的に接続されている。制御装置9は、三方弁56A,56Bのそれぞれを動作させることにより、噴射ノズル51から噴射された液体(より具体的には、後述する混合液)の流れを、マイクロバブルフィルタ59を通過させる流れと、ウルトラファインバブルフィルタ58を通過させる流れと、の間で切り替えることができる。
【0037】
マイクロバブルフィルタ59は、1マイクロメートルから100マイクロメートル以下のバブル直径を有するマイクロバブル液の通過を許容し、マイクロバブルよりも大きなサイズのバブルを捕捉(除去)する。したがって、噴射ノズル51から噴射された液体がマイクロバブルフィルタ59を通過すると、1マイクロメートルから100マイクロメートル以下のバブル直径を有するマイクロバブル液が供給される。
【0038】
ウルトラファインバブルフィルタ58は、1マイクロメートル以下のバブル直径を有するウルトラファインバブル液の通過を許容し、ウルトラファインバブルよりも大きなサイズのバブルを捕捉(除去)する。したがって、噴射ノズル51から噴射された液体がウルトラファインバブルフィルタ58を通過すると、1マイクロメートル以下のバブル直径を有するウルトラファインバブル液が供給される。
【0039】
このようにして、ファインバブル液供給装置50は、マイクロバブル液と、ウルトラファインバブル液と、を供給することができる。本明細書において、ファインバブル液は、マイクロバブル液およびウルトラファインバブル液を備える上位概念であり、ウルトラファインバブル液は、マイクロバブル液よりも小さなバブル直径を有している。
【0040】
ファインバブルは、水中で長時間浮遊する性質を有しており、かつ大きな比表面積を有している。さらにファインバブルは、疎水性・親油性を有している。このようなファインバブルを有するファインバブル液は、界面での化学反応を促進し、油脂などの疎水性物質の表面に吸着しやすい性質を有している。
【0041】
ファインバブル液供給装置50は、ファインバブル液の流れ方向において、三方弁56Aの下流側に配置されたパーティクルカウンター60をさらに備えてもよい。パーティクルカウンター60は、ファインバブル液に含まれるバブル数を計測するように構成されている。したがって、ファインバブル液供給装置50は、パーティクルカウンター60によって計測されたバブル数に基づいて、ファインバブル液に含まれるバブル数が所定の基準数に到達した後に、ファインバブル液をファインバブル液ノズル33A~33Eのそれぞれから供給してもよい。所定の基準数を満たすバブルを有するファインバブル液は、その性質を十分に発揮することができる。
【0042】
図2に示すように、ウルトラファインバブルフィルタ58およびマイクロバブルフィルタ59は、ノズルアーム30(より具体的には、ファインバブル液ノズル33A~33E)に隣接して配置されている。フィルタ58,59とファインバブル液ノズル33A~33Eとの間の距離が大きいと、ファインバブル液がファインバブル液ノズル33A~33Eに移動する間に、ファインバブル液に含まれるバブルが消失してしまうおそれがある。本実施形態では、このような配置により、ファインバブル液に含まれるバブルの消失を確実に防止することができる。
【0043】
ファインバブル液戻りライン53は、ファインバブル液ノズル33A~33Eに接続された分岐ライン53A,53B,53C,53D,53Eを備えている。ファインバブル液供給装置50は、分岐ライン53A,53B,53C,53D,53Eに接続された開閉弁54A,54B,54C,54D,54Eと、ファインバブル液戻りライン53に接続された開閉弁55と、を備えている。開閉弁54A,54B,54C,54D,54Eおよび開閉弁55は、制御装置9に電気的に接続されている。制御装置9は、開閉弁54A,54B,54C,54D,54Eのそれぞれの動作と、開閉弁55の動作と、を制御可能である。
【0044】
ファインバブル液をファインバブル液ノズル33A~33Eから供給する場合には、制御装置9は、開閉弁54A~54Eを開き、かつ開閉弁55を閉じる。この動作により、ファインバブル液供給ライン52を流れるファインバブル液は、ファインバブル液ノズル33A~33Eから供給される。
【0045】
開閉弁54A~54Eは、ファインバブル液ノズル33A~33Eに対応している。したがって、制御装置9は、開閉弁54A~54Eのそれぞれを制御することにより、ファインバブル液を供給すべきファインバブル液ノズル33A~33Eを任意に選択することができる。
【0046】
例えば、制御装置9は、開閉弁54Aを開き、開閉弁54B,54C,54D,54Eおよび開閉弁55を閉じることにより、ファインバブル液は、ファインバブル液ノズル33Aからのみ供給される。制御装置9は、開閉弁55を開き、開閉弁54A,54B,54C,54D,54Eを閉じることにより、ファインバブル液は、ファインバブル液ノズル33A~33Eのいずれからも供給されず、ファインバブル液戻りライン53を通じて外部に排出される。
【0047】
図3は、ファインバブル液生成装置を示す図である。図3に示すように、ファインバブル液供給装置50は、ファインバブル液を生成するファインバブル液生成装置100を備えている。ファインバブル液生成装置100は、ガスを液体に溶解させる加圧溶解方式によってファインバブル液を生成する装置である。
【0048】
図3に示すように、ファインバブル液生成装置100は、純水とガスとの混合液を貯留するバッファタンク61と、純水をバッファタンク61に供給するための純水供給ライン62と、ガス(図3に示す実施形態では、不活性ガスとしての窒素ガス)をバッファタンク61に供給するためのガス供給ライン63と、備えている。ファインバブル液生成装置100は、バッファタンク61に接続された移送ライン65と、移送ライン65に接続されたポンプ66と、ポンプ66の駆動によって移送された混合液を貯留する加圧溶解タンク64と、を備えている。
【0049】
制御装置9は、ポンプ66に電気的に接続されており、ポンプ66を駆動することができる。ポンプ66の駆動により、バッファタンク61内の混合液は、移送ライン65を通じて加圧溶解タンク64に移送される。混合液は、加圧された状態で加圧溶解タンク64に貯留される。ファインバブル液生成装置100は、加圧溶解タンク64内の加圧された混合液を噴射ノズル51に導入する導入ライン67と、導入ライン67に接続された開閉弁68と、を備えている。開閉弁68は、制御装置9に接続されており、制御装置9が開閉弁68を開くことにより、加圧された混合液は、導入ライン67を通じて噴射ノズル51に導入される。
【0050】
噴射ノズル51は、その内部に高い圧力損失を発生させる減圧開放部(図示しない)を備えている。減圧開放部は、例えば、オリフィスである。ガスが十分に溶解され、加圧された混合液が噴射ノズル51に導入されると、混合液の圧力は減圧開放部によって急激に低下し、溶解しているガスがファインバブルとして混合液中に発生する。噴射ノズル51から噴射された混合液に含まれるファインバブルは、マイクロバブルフィルタ59またはウルトラファインバブルフィルタ58によって、マイクロバブルまたはウルトラファインバブルに選別される。
【0051】
図4は、ファインバブル液供給装置の他の実施形態を示す図である。上述したように、液体供給機構4(より具体的には、ファインバブル液供給装置50)は、1つのファインバブル液ノズル33と、ファインバブル液ノズル33に対応する開閉弁54と、を備えてもよい。
【0052】
図4に示すように、ファインバブル液供給装置50は、必ずしも、ウルトラファインバブルフィルタ58およびマイクロバブルフィルタ59の両方を備える必要はなく、ウルトラファインバブルフィルタ58およびマイクロバブルフィルタ59のいずれかを備えてもよい。さらに、ファインバブル液供給装置50は、必ずしも、パーティクルカウンター60を備える必要はない。
【0053】
図5は、ファインバブル液生成装置の他の実施形態を示す図である。図5に示すように、ファインバブル液生成装置100は、第1ガス(例えば、窒素ガス)をバッファタンク61に供給するためのガス供給ライン63Aと、第2ガス(例えば、酸素ガス、二酸化炭素ガス(炭酸ガス)、オゾンガス)をバッファタンク61に供給するためのガス供給ライン63Bと、を備えてもよい。
【0054】
処理対象の基板Wの構造に応じて、使用可能なガス種が存在する。したがって、ファインバブル液生成装置100は、処理対象の基板Wの構造に対応するガスを、ガス供給ライン63A,63Bから選択的に供給する。このような構成により、ファインバブル液供給装置50は、複数種のガスのうち、基板Wの構造に対応するガスから生成されたバブルを有するファインバブル液を供給することができる。
【0055】
図6は、制御装置による、基板の処理フローを示す図である。制御装置9は、ノズルアーム30を動作させて、ノズルアーム30の先端部分30aを研磨パッド1の中心CLの上方に配置させる。制御装置9は、研磨テーブル2を回転させつつ、開閉弁43を開き、研磨パッド1上にスラリーを供給する(図6のステップS101参照)。この状態で、制御装置9は、研磨ヘッド3で保持された基板Wを回転させつつ、研磨パッド1に押し付けて、基板Wをスラリー研磨する(ステップS102参照)。ステップS102において、制御装置9は、研磨パッド1および研磨ヘッド3を同一方向に回転させて、基板Wを研磨する。
【0056】
このとき、制御装置9は、ウルトラファインバブル液を安定的に供給するための供給準備を、基板Wの研磨動作(すなわち、ステップS102)と並行して実行する(ステップS103参照)。より具体的には、制御装置9は、ウルトラファインバブル液を供給するために、三方弁56A,56Bを操作して、バイパスライン57を開く。すると、噴射ノズル51から噴射された液体は、マイクロバブルフィルタ59を通過せずに、ウルトラファインバブルフィルタ58を通過し、結果として、ファインバブル液供給装置50は、ウルトラファインバブル液を供給する。
【0057】
制御装置9が開閉弁54A~54Eを閉じて、開閉弁55を開くことにより、ウルトラファインバブル液は、ファインバブル液ノズル33A~33Eから供給されずに、ファインバブル液戻りライン53を通じて、外部に排出される。制御装置9は、パーティクルカウンター60によって計測されたバブル数に基づいて、ウルトラファインバブル液のバブル数が安定しているか否かを判断する。
【0058】
その後、制御装置9は、開閉弁43を閉じて、基板Wのスラリー研磨を終了する。基板Wのスラリー研磨終了後、制御装置9は、基板Wの水研磨(本実施形態では、ファインバブル液研磨)を開始する(ステップS104参照)。より具体的には、制御装置9は、開閉弁54A~54Eのうちの少なくとも1つを開き、かつ開閉弁55を閉じて、ウルトラファインバブル液を、ファインバブル液ノズル33A~33Eの少なくとも1つから、研磨パッド1上に供給する。
【0059】
ウルトラファインバブル液が研磨パッド1上に供給されると、ウルトラファインバブル液に含まれるバブルは破裂する。破裂したバブルの衝撃によって、局所的にエネルギー(発光、高温高圧、衝撃波など)が放出され、このエネルギーによって基板Wの表面に付着した研磨屑や研磨液の砥粒が除去される。また、ウルトラファインバブル液の気液界面がマイナスの電位を帯びるため、ウルトラファインバブル液は、プラスの電位を帯びた電解質イオンや汚れを吸着し、除去する。
【0060】
バブルの衝撃の大きさは、バブル直径に依存する。したがって、研磨パッド1上に供給されるファインバブル液がマイクロバブル液である場合、マイクロバブル液に含まれるバブルの破裂に起因する衝撃は、ウルトラファインバブル液に含まれるバブルの破裂に起因する衝撃よりも大きい。
【0061】
本実施形態では、基板Wは、ウルトラファインバブル液で研磨される。したがって、バブルの破裂に起因して、基板Wに与える衝撃は小さい。基板Wは、微細な構造を有している場合があるため、基板Wをウルトラファインバブル液で研磨することにより、基板Wが受けるダメージを小さくすることができる。結果として、基板Wに欠陥が生じることを防止することができる。さらに、このような構成により、基板Wの処理時間を長くする必要はなく、基板Wのスループットを向上させることができる。
【0062】
基板Wのウルトラファインバブル液研磨を終了した後、制御装置9は、開閉弁54A~54Eを閉じつつ、開閉弁46を開いて、純水を研磨パッド1上に供給する。その後、制御装置9は、研磨テーブル2および研磨ヘッド3を回転させつつ、基板Wを研磨ヘッド3に吸着させる(ステップS105参照)。この状態で、制御装置9は、研磨ヘッド3を上昇させて、研磨ヘッド3を研磨パッド1の上方に位置させる。
【0063】
制御装置9は、マイクロバブル液を安定的に供給するための供給準備を、基板Wの搬送動作(すなわち、ステップS105および後述するステップS107)と並行して実行する(ステップS106参照)。より具体的には、制御装置9は、マイクロバブル液を供給するために、三方弁56A,56Bを操作して、バイパスライン57を閉じつつ、ファインバブル液供給ライン52の一部(より具体的には、三方弁56Aの上流側および三方弁56Bの下流側)を開く。すると、ファインバブル液は、マイクロバブルフィルタ59を通過し、結果として、ファインバブル液供給装置50は、マイクロバブル液を供給する。
【0064】
制御装置9が開閉弁54A~54Eを閉じて、開閉弁55を開くことにより、マイクロバブル液は、ファインバブル液ノズル33A~33Eから供給されずに、ファインバブル液戻りライン53を通じて、外部に排出される。制御装置9は、パーティクルカウンター60によって計測されたバブル数に基づいて、マイクロバブル液のバブル数が安定しているか否かを判断する。
【0065】
ステップS105の後、制御装置9は、基板Wを吸着した研磨ヘッド3を研磨パッド1の外部に移動させて、基板Wを次の工程に搬送する(ステップS107参照)。ステップS107の後、制御装置9は、ドレッサ15を研磨パッド1上に移動させつつ、マイクロバブル液を研磨パッド1上に供給して、研磨パッド1をドレッシングする(ステップS108参照)。
【0066】
研磨パッド1のドレッシング時において、制御装置9は、研磨パッド1の上方に配置されたアトマイザ20から大流量の洗浄液を研磨パッド1の表面に噴射させてもよい。一実施形態では、ノズルアーム30から供給されるファインバブル液の流量は、1L/minであり、アトマイザ20から供給されるファインバブル液の流量は、10L/minである。
【0067】
本実施形態では、ファインバブル液供給装置50は、ノズルアーム30を通じて、ファインバブル液を供給するように構成されている。一実施形態では、ファインバブル液供給装置50は、アトマイザ20を通じて、ファインバブル液を供給するように構成されてもよい。このような構成により、ファインバブル液供給装置50は、ノズルアーム30を通じてファインバブル液を供給するのみならず、アトマイザ20を通じて大流量のファインバブル液を研磨パッド1上に供給することができる。アトマイザ20からファインバブル液を供給する構造については、ノズルアーム30からファインバブル液を供給する構造と同一であるため、説明を省略する。
【0068】
研磨パッド1のドレッシング中において、ファインバブル液供給装置50は、マイクロバブル液を研磨パッド1上に供給する。より具体的には、制御装置9は、開閉弁54A~54Eのうちの少なくとも1つを開き、かつ開閉弁55を閉じて、マイクロバブル液を、ファインバブル液ノズル33A~33Eの少なくとも1つから、研磨パッド1上に供給する。
【0069】
上述したように、マイクロバブル液に含まれるバブルの破裂に起因する衝撃は、ウルトラファインバブル液に含まれるバブルの破裂に起因する衝撃よりも大きい。したがって、ファインバブル液供給装置50は、バブルの破裂に起因して、研磨パッド1の表面(研磨面)に大きな衝撃を与えることができる。
【0070】
このような構成により、研磨パッド1の目詰まりをより確実に解消することができる。したがって、研磨パッド1のドレッシング時において、研磨パッド1の削り取る量を小さくすることができる。結果として、研磨パッド1の長寿命化を実現することができ、研磨レートや基板Wのプロファイルに悪影響を及ぼすことはない。さらに、ドレッシング時間が短縮し、スループットを向上させることができる。
【0071】
本実施形態によれば、ファインバブル液供給装置50は、基板Wの研磨終了後に、高い洗浄力を有するファインバブル液(すなわち、ウルトラファインバブル液、マイクロバブル液)を研磨パッド1上に供給することにより、基板Wの研磨プロセスの安定化を実現することができる。
【0072】
図7は、研磨装置の他の実施形態を示す図である。図7に示すように、研磨装置PA(より具体的には、ファインバブル液供給装置50)は、ファインバブル液を研磨装置PAの構成要素(本実施形態では、研磨ヘッド3、液体供給機構4、およびドレッシング装置10)に分配するファインバブル液分配装置70を備えてもよい。
【0073】
ファインバブル液分配装置70は、ファインバブル液戻りライン53に接続された分配ライン71Aと、分配ライン71Aに接続された洗浄ノズル72Aと、分配ライン71Aに接続された開閉弁73Aと、を備えている。
【0074】
洗浄ノズル72Aは、退避位置に配置された研磨ヘッド3に隣接して配置されており、ファインバブル液供給装置50は、研磨ヘッド3の下方から研磨ヘッド3に向けてファインバブル液を噴射する。高い洗浄力を有するファインバブル液の噴射により、研磨ヘッド3をより効果的に洗浄することができる。
【0075】
図6のステップS109に示すように、制御装置9は、基板Wの搬送後、研磨ヘッド3を研磨パッド1の外部に位置する退避位置に移動させ、ファインバブル液を、退避位置に配置された研磨ヘッド3に供給して、研磨ヘッド3を洗浄する。ファインバブル液供給装置50は、研磨ヘッド3が退避位置に配置された状態で、研磨ヘッド3を洗浄するため、研磨ヘッド3を洗浄したファインバブル液が研磨パッド1上に落下することを防止することができる。
【0076】
開閉弁73Aは、制御装置9に電気的に接続されている。制御装置9は、開閉弁54A~54Eを閉じつつ、開閉弁55(図2参照)および開閉弁73Aを開いて、ファインバブル液を研磨ヘッド3に供給する。ステップS108において、ファインバブル液供給装置50は、マイクロバブル液を供給するため、ステップS109においても、ファインバブル液供給装置50は、研磨ヘッド3にマイクロバブル液を供給する。
【0077】
図7に示すように、ファインバブル液分配装置70は、ファインバブル液戻りライン53に接続された分配ライン71Bと、分配ライン71Bに接続された洗浄ノズル72B,72Dと、を備えてもよい。
【0078】
洗浄ノズル72Bは、退避位置に配置されたノズルアーム30に隣接して配置されている。洗浄ノズル72Bには、分配ライン71Bから分岐した分岐ライン71Baが接続されており、分岐ライン71Baには、開閉弁73Bが接続されている。
【0079】
洗浄ノズル72Dは、退避位置に配置されたドレッサ15に隣接して配置されている。洗浄ノズル72Dに隣接して、分配ライン71Bに接続された開閉弁73Dが配置されている。
【0080】
制御装置9は、開閉弁54A~54Eを閉じつつ、開閉弁55および開閉弁73B,73Dを開いて、ファインバブル液をノズルアーム30およびドレッサ15に供給することができる。例えば、制御装置9は、図6のステップS109において、研磨ヘッド3のみならず、ノズルアーム30およびドレッサ15のうちの少なくとも1つを洗浄してもよい。
【0081】
図8は、制御装置による、基板の処理フローの他の実施形態を示す図である。図8に示すように、制御装置9は、研磨パッド1上にスラリーを供給し、基板Wをスラリー研磨する(ステップS201,S202参照)。制御装置9は、ウルトラファインバブル液を安定的に供給するための供給準備を、基板Wの研磨動作(すなわち、ステップS202)と並行して実行し、(ステップS203参照)、ファインバブル液分配装置70を通じて、ウルトラファインバブル液をドレッサ15に供給してもよい(ステップS204参照)。一実施形態では、制御装置9は、ドレッサ15のみならず、アトマイザ20をも洗浄してもよい。
【0082】
その後、制御装置9は、基板Wのファインバブル液研磨を開始し(ステップS205参照)、ステップS205が終了した後、制御装置9は、基板Wを研磨ヘッド3に吸着させる(ステップS206参照)。
【0083】
ステップS207に示すように、制御装置9は、マイクロバブル液を安定的に供給するための供給準備を、基板Wの搬送動作(すなわち、ステップS206および後述するステップS208)と並行して実行し、基板Wを次の工程に搬送した後(ステップS208参照)、マイクロバブル液を研磨パッド1上に供給して、研磨パッド1をドレッシングする(ステップS209参照)。
【0084】
制御装置9は、基板Wの搬送後、マイクロバブル液を、退避位置に配置された研磨ヘッド3に供給して、研磨ヘッド3を洗浄する(ステップS210参照)。図8に示す実施形態では、ファインバブル液供給装置50は、ステップS204において、ドレッサ15を洗浄しているため、ステップS210において、ドレッサ15を洗浄する必要はない。
【0085】
上述した実施形態では、ファインバブル液戻りライン53を通じて外部に排出されるファインバブル液を、研磨装置PAの構成要素に供給する構成について説明したが、ファインバブル液供給装置50は、外部に排出されたファインバブル液を貯留する貯留タンク(図示しない)を備えてもよい。ファインバブル液供給装置50は、貯留タンクに貯留されたファインバブル液を、再利用してもよい。
【0086】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。
【符号の説明】
【0087】
1 研磨パッド
2 研磨テーブル
3 研磨ヘッド
4 液体供給機構
9 制御装置
10 ドレッシング装置
11 ドレッサアーム
12 ドレッサ旋回軸
15 ドレッサ
20 アトマイザ
30 ノズルアーム
30a 先端部分
30b アーム部分
31 スラリーノズル
32 純水ノズル
33A~33E ファインバブル液ノズル
35 ノズル旋回軸
41 スラリー供給源
42 スラリーライン
43 開閉弁
44 純水供給源
45 純水ライン
46 開閉弁
50 ファインバブル液供給装置
51 噴射ノズル
52 ファインバブル液供給ライン
53 ファインバブル液戻りライン
53A~53E 分岐ライン
54A~54E 開閉弁
55 開閉弁
56A,56B 三方弁
57 バイパスライン
58 ウルトラファインバブルフィルタ
59 マイクロバブルフィルタ
61 バッファタンク
62 純水供給ライン
63,63A,63B ガス供給ライン
64 加圧溶解タンク
65 移送ライン
66 ポンプ
67 導入ライン
68 開閉弁
70 ファインバブル液分配装置
71A,71B 分配ライン
71Ba 分岐ライン
72A,72B,72D 洗浄ノズル
73A,73B,73D 開閉弁
100 ファインバブル液生成装置
PA 研磨装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8