(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023134921
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】四方路光スイッチ及び光ファイバネットワーク
(51)【国際特許分類】
H04Q 3/52 20060101AFI20230921BHJP
H04B 10/27 20130101ALI20230921BHJP
【FI】
H04Q3/52 B
H04B10/27
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022039858
(22)【出願日】2022-03-15
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304026696
【氏名又は名称】国立大学法人三重大学
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】川野 友裕
(72)【発明者】
【氏名】藤本 達也
(72)【発明者】
【氏名】中江 和英
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 ひろし
(72)【発明者】
【氏名】片山 和典
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 哲也
【テーマコード(参考)】
5K069
5K102
【Fターム(参考)】
5K069AA17
5K069DB04
5K069DB36
5K069EA27
5K069EA30
5K102AA35
5K102AA44
5K102AH23
5K102AH26
5K102AH27
5K102AN03
5K102PB11
5K102PD01
5K102PD15
5K102PH31
5K102PH49
(57)【要約】
【課題】本開示は、光ファイバ需要に対して柔軟でかつ光ファイバの断線に対して迅速な復旧が可能な光ファイバネットワーク及びそれに利用する簡易な構成の四方路光スイッチを提供することを目的とする。
【解決手段】本開示は、第1のポート、第2のポート、第3のポート及び第4のポートを備え、前記第1のポートと前記第2のポートとが内部で接続され、前記第3のポートと前記第4のポートとが内部で接続される第1の接続状態と、前記第1のポートと前記第3のポートとが内部で接続され、前記第2のポートと前記第4のポートとが内部で接続される第2の接続状態と、前記第1のポートと前記第4のポートとが内部で接続され、前記第2のポートと前記第3のポートとが内部で接続される第3の接続状態と、が切替可能な四方路光スイッチである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のポート、第2のポート、第3のポート及び第4のポートを備え、
前記第1のポートと前記第2のポートとが内部で接続され、前記第3のポートと前記第4のポートとが内部で接続される第1の接続状態と、
前記第1のポートと前記第3のポートとが内部で接続され、前記第2のポートと前記第4のポートとが内部で接続される第2の接続状態と、
前記第1のポートと前記第4のポートとが内部で接続され、前記第2のポートと前記第3のポートとが内部で接続される第3の接続状態と、
が切替可能な四方路光スイッチ。
【請求項2】
第1の端子と第2の端子と及び第3の端子と第4の端子とがそれぞれ内部で接続される並行接続状態と、
前記第1の端子と前記第4の端子と及び前記第2の端子と前記第3の端子とがそれぞれ内部で接続される交差接続状態と、
が切替可能な第1及び第2の2組の2×2光スイッチを備え、
前記第1の2×2光スイッチの前記第3の端子と前記第2の2×2光スイッチの前記第1の端子とが接続され、前記第1の2×2光スイッチの前記第4の端子と前記第2の2×2光スイッチの前記第3の端子とが接続され、
前記第1の2×2光スイッチの前記第1の端子が前記第1のポートに内部で接続され、
前記第1の2×2光スイッチの前記第2の端子が前記第2のポートに内部で接続され、
前記第2の2×2光スイッチの前記第2の端子が前記第3のポートに内部で接続され、
前記第2の2×2光スイッチの前記第4の端子が前記第4のポートに内部で接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の四方路光スイッチ。
【請求項3】
第1の端子と第2の端子と及び第3の端子と第4の端子とがそれぞれ内部で接続される並行接続状態と、
前記第1の端子と前記第4の端子と及び前記第2の端子と前記第3の端子とがそれぞれ内部で接続される交差接続状態と、
が切替可能な第1の2×2光スイッチ及び第2の2×2光スイッチを備え、
前記第1の2×2光スイッチの前記第1の端子と前記第2の2×2光スイッチの前記第1の端子とが接続され、前記第1の2×2光スイッチの前記第4の端子と前記第2の2×2光スイッチの前記第3の端子とが接続され、
前記第2の2×2光スイッチの前記第2の端子が前記第1のポートに内部で接続され、
前記第1の2×2光スイッチの前記第2の端子が前記第2のポートに内部で接続され、
前記第1の2×2光スイッチの前記第3の端子が前記第3のポートに内部で接続され、
前記第2の2×2光スイッチの前記第4の端子が前記第4のポートに内部で接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の四方路光スイッチ。
【請求項4】
前記第1の接続状態、前記第2の接続状態又は前記第3の接続状態を切替制御する光スイッチ制御回路を、
さらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の四方路光スイッチ。
【請求項5】
請求項1から3に記載のいずれかの四方路光スイッチと、
前記四方路光スイッチの前記第1のポートに接続される第1の光ファイバと、
前記四方路光スイッチの前記第2のポートに接続される第2の光ファイバと、
備える光ファイバネットワーク。
【請求項6】
請求項4に記載の四方路光スイッチと、
前記四方路光スイッチの前記第1のポートに接続される第1の光ファイバと、
前記四方路光スイッチの前記第2のポートに接続される第2の光ファイバと、
備える光ファイバネットワーク。
【請求項7】
前記四方路光スイッチの前記光スイッチ制御回路に接続される第5の光ファイバと、
前記第5の光ファイバを介して、前記四方路光スイッチの前記光スイッチ制御回路に光給電し、前記第1の接続状態、前記第2の接続状態又は前記第3の接続状態の切替制御を指示するセンタ側制御装置と、
をさらに備え、
前記光スイッチ制御回路は、前記センタ側制御装置からの光給電で動作し、前記センタ側制御装置からの指示で前記第1の接続状態、前記第2の接続状態又は前記第3の接続状態を切替制御する
ことを特徴とする請求項6に記載の光ファイバネットワーク。
【請求項8】
前記四方路光スイッチの前記第3のポートに接続される第3の光ファイバと、
前記四方路光スイッチの前記第4のポートに接続される第4の光ファイバと、
をさらに備えることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の光ファイバネットワーク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ループ型光ファイバネットワークの光経路を切替える四方路光スイッチ及びそれを利用した光ファイバネットワークに関する。
【背景技術】
【0002】
これまでのアクセス系における光ファイバネットワークはFTTH(Fiber To The Home)に代表されるように、通信センタからスター状に光ファイバを敷設することで通信サービスを提供してきた(例えば、非特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】有居 正仁、“FTTHを推進する光アクセス網技術の動向”、NTT技術ジャーナル、2010.2.
【非特許文献2】R. Helkey et al., “Remotely Powered Optical Switch for Remote Subscriber Aggregation and OTDR Measurement in PON,” 33rd European Conference and Exhibition of Optical Communication, Berlin, Germany, 2007, pp. 1-2, doi: 10.1049/ic:20070283.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、非特許文献1で提案された光ファイバネットワークでは、光ファイバ需要の変動に対して柔軟性を擁しておらず、一度敷設した光ファイバを別場所に敷設するのが困難である。
【0005】
また、光ファイバネットワークが冗長化されておらず、光ファイバが断線した場合、断線した光ファイバの直接的な修理によってのみしか復旧方法がないため、サービス断時間が大幅に大きくなる可能性があった。
【0006】
従来、商用電源を用いずに光ファイバ経路を切替える技術として、光ファイバを介して伝送した光エネルギーを電力に変換し、光ファイバ経路を切替える装置が提案されていた(例えば、非特許文献2参照。)。これは、光ファイバを介して伝送した光エネルギーを電力に変換し、光ファイバ経路を切替える装置であるが、供給しなければならない光パワーが1W程度と非常に大きく、安全面から実用化が困難であるという問題があった。
【0007】
そこで、前記課題を解決するために、本開示は、光ファイバ需要に対して柔軟でかつ光ファイバの断線に対して迅速な復旧が可能な光ファイバネットワーク及びそれに利用する簡易な構成の四方路光スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本開示では、2組のループ形態の光ファイバを連結接続し、それぞれの光ファイバを切替えるトポロジの光ファイバネットワークを提案する。また、2組のループ形態の光ファイバの連結接続に適用する四方路光スイッチを提案する。
【0009】
具体的には、本開示は、
第1のポート、第2のポート、第3のポート及び第4のポートを備え、
前記第1のポートと前記第2のポートとが内部で接続され、前記第3のポートと前記第4のポートとが内部で接続される第1の接続状態と、
前記第1のポートと前記第3のポートとが内部で接続され、前記第2のポートと前記第4のポートとが内部で接続される第2の接続状態と、
前記第1のポートと前記第4のポートとが内部で接続され、前記第2のポートと前記第3のポートとが内部で接続される第3の接続状態と、
が切替可能な四方路光スイッチ
である。
【0010】
また、本開示は、
第1の端子と第2の端子と及び第3の端子と第4の端子とがそれぞれ内部で接続される並行接続状態と、
前記第1の端子と前記第4の端子と及び前記第2の端子と前記第3の端子とがそれぞれ内部で接続される交差接続状態と、
が切替可能な第1及び第2の2組の2×2光スイッチを備え、
前記第1の2×2光スイッチの前記第3の端子と前記第2の2×2光スイッチの前記第1の端子とが接続され、前記第1の2×2光スイッチの前記第4の端子と前記第2の2×2光スイッチの前記第3の端子とが接続され、
前記第1の2×2光スイッチの前記第1の端子が前記第1のポートに内部で接続され、
前記第1の2×2光スイッチの前記第2の端子が前記第2のポートに内部で接続され、
前記第2の2×2光スイッチの前記第2の端子が前記第3のポートに内部で接続され、
前記第2の2×2光スイッチの前記第4の端子が前記第4のポートに内部で接続されている
ことを特徴とする。
【0011】
また、本開示は、
第1の端子と第2の端子と及び第3の端子と第4の端子とがそれぞれ内部で接続される並行接続状態と、
前記第1の端子と前記第4の端子と及び前記第2の端子と前記第3の端子とがそれぞれ内部で接続される交差接続状態と、
が切替可能な第1及び第2の2組の2×2光スイッチを備え、
前記第1の2×2光スイッチの前記第1の端子と前記第2の2×2光スイッチの前記第1の端子とが接続され、前記第1の2×2光スイッチの前記第4の端子と前記第2の2×2光スイッチの前記第3の端子とが接続され、
前記第2の2×2光スイッチの前記第2の端子が前記第1のポートに内部で接続され、
前記第1の2×2光スイッチの前記第2の端子が前記第2のポートに内部で接続され、
前記第1の2×2光スイッチの前記第3の端子が前記第3のポートに内部で接続され、
前記第2の2×2光スイッチの前記第4の端子が前記第4のポートに内部で接続されている
ことを特徴とする。
【0012】
また、本開示は、
前記第1の接続状態、前記第2の接続状態又は前記第3の接続状態を切替制御する光スイッチ制御回路を、
さらに備える
ことを特徴とする。
【0013】
具体的には、本開示は、
上記に記載のいずれかの四方路光スイッチと、
前記四方路光スイッチの前記第1のポートに接続される第1の光ファイバと、
前記四方路光スイッチの前記第2のポートに接続される第2の光ファイバと、
備える光ファイバネットワーク
である。
【0014】
また、本開示は、
前記四方路光スイッチの前記光スイッチ制御回路に接続される第5の光ファイバと、
前記第5の光ファイバを介して、前記四方路光スイッチの前記光スイッチ制御回路に光給電し、前記第1の接続状態、前記第2の接続状態又は前記第3の接続状態の切替制御を指示するセンタ側制御装置と、
をさらに備え、
前記光スイッチ制御回路は、前記センタ側制御装置からの光給電で動作し、前記センタ側制御装置からの指示で前記第1の接続状態、前記第2の接続状態又は前記第3の接続状態を切替制御する
ことを特徴とする。
【0015】
また、本開示は、
前記四方路光スイッチの前記第3のポートに接続される第3の光ファイバと、
前記四方路光スイッチの前記第4のポートに接続される第4の光ファイバと、
をさらに備える
ことを特徴とする。
【0016】
なお、上記各開示の発明は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0017】
このように、本開示は、光ファイバ需要に対して柔軟でかつ光ファイバの断線に対して迅速な復旧が可能な光ファイバネットワーク及びそれに利用する四方路光スイッチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本開示の四方路光スイッチの構成を説明する図である。
【
図2】本開示の四方路光スイッチの構成を説明する図である。
【
図3】本開示の四方路光スイッチの構成を説明する図である。
【
図4】本開示の四方路光スイッチの構成を説明する図である。
【
図5】本開示の四方路光スイッチの構成を説明する図である。
【
図6】本開示の四方路光スイッチの構成を説明する図である。
【
図7】本開示の四方路光スイッチの構成を説明する図である。
【
図8】本開示の四方路光スイッチの構成を説明する図である。
【
図9】本開示の光ファイバネットワークの構成を説明する図である。
【
図10】本開示の光ファイバネットワークの構成を説明する図である。
【
図11】本開示の光ファイバネットワークの構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本開示は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0020】
(実施形態1)
本実施形態の四方路光スイッチの構成を
図1に示す。本実施形態の四方路光スイッチ10は、第1のポートP1、第2のポートP2、第3のポートP3及び第4のポートP4を有する。
【0021】
四方路光スイッチ10は、第1の接続状態(
図1(a))、第2の接続状態(
図1(b))及び第3の接続状態(図(c))のいずれかに切替可能である。第1の接続状態は、第1のポートP1と第2のポートP2とが内部で接続され、第3のポートP3と第4のポートP4とが内部で接続される。第2の接続状態は、第1のポートP1と第3のポートP3とが内部で接続され、第2のポートP2と第4のポートP4とが内部で接続される。第3の接続状態は、第1のポートP1と第4のポートP4とが内部で接続され、第2のポートP2と第3のポートP3とが内部で接続される。
【0022】
従って、簡易な構成の四方路光スイッチを実現することができる。また、このような3種の接続状態を切替可能とすると、光ファイバ需要に対して柔軟でかつ光ファイバの断線に対して迅速な復旧が可能な光ファイバネットワークに利用することができる。
【0023】
(実施形態2)
本実施形態の四方路光スイッチの構成を
図2、
図3及び
図4に示す。本実施形態の四方路光スイッチ10は、第1の2×2光スイッチ11及び第2の2×2光スイッチ12を備える。第1の2×2光スイッチ11及び第2の2×2光スイッチ12は、それぞれ第1の端子T1、第2の端子T2、第3の端子T3及び第4の端子T4を有する。
【0024】
第1の2×2光スイッチ11及び第2の2×2光スイッチ12は、それぞれ、並行接続状態及び交差接続状態のいずれかに切替可能である。並行接続状態は、第1の端子T1と第2の端子T2とが内部で接続され、第3の端子T3と第4の端子T4とが内部で接続される。交差接続状態は、第1の端子T1と第4の端子T4とが内部で接続され、第2の端子T2と第3の端子T3とが内部で接続される。
【0025】
第1の2×2光スイッチ11の第3の端子T3と第2の2×2光スイッチ12の第1の端子T1とが接続され、第1の2×2光スイッチ11の第4の端子T4と第2の2×2光スイッチ12の第3の端子T3とが接続されている。
【0026】
四方路光スイッチ10では、第1の2×2光スイッチ11の第1の端子T1が第1のポートP1に内部で接続されてもよいし、第1の2×2光スイッチ11の第1の端子T1が第1のポートP1として機能してもよい。第1の2×2光スイッチ11の第2の端子T2が第2のポートP2に内部で接続されてもよいし、第1の2×2光スイッチ11の第2の端子T2が第2のポートP2として機能してもよい。第2の2×2光スイッチ12の第2の端子T2が第3のポートP3に内部で接続されてもよいし、第2の2×2光スイッチ12の第2の端子T2が第3のポートP3として機能してもよい。第2の2×2光スイッチ12の第4の端子T4が第4のポートP4に内部で接続されてもよいし、第2の2×2光スイッチ12の第4の端子T4が第4のポートP4として機能してもよい。
【0027】
図2は四方路光スイッチの第1の接続状態を実現している。第1の接続状態は、
図2(a)又は
図2(b)に示すいずれの接続構成でも可能である。
図2(a)では、第1の2×2光スイッチ11は並行接続状態で、第2の2×2光スイッチ12も並行接続状態である。
図2(b)では、第1の2×2光スイッチ11は並行接続状態で、第2の2×2光スイッチ12は交差接続状態である。この接続構成によると、第1のポートP1と第2のポートP2とが内部で接続され、第3のポートP3と第4のポートP4とが内部で接続されている。即ち、第1の接続状態を実現している。
【0028】
図3は四方路光スイッチの第2の接続状態を実現している。
図3では、第1の2×2光スイッチ11は交差接続状態で、第2の2×2光スイッチ12も交差接続状態である。この接続構成によると、第1のポートP1と第3のポートP3とが内部で接続され、第2のポートP2と第4のポートP4とが内部で接続されている。即ち、第2の接続状態を実現している。
【0029】
図4は四方路光スイッチの第3の接続状態を実現している。
図4では、第1の2×2光スイッチ11は交差接続状態で、第2の2×2光スイッチ12は並行接続状態である。この接続構成によると、第1のポートP1と第4のポートP4とが内部で接続され、第2のポートP2と第3のポートP3とが内部で接続されている。即ち、第3の接続状態を実現している。
【0030】
第1の2x2光スイッチ11や第2の2x2光スイッチ12は、低電圧(3~5V)かつ、数百μJ以下の非常に小さな消費電力量で動作するものが望ましく、例えば、駆動電力が少なく、一般にも入手可能な、自己保持型のMEMS光スイッチを用いることが可能である。自己保持型であれば、省電力化につながる。
【0031】
従って、2つの2×2光スイッチを利用することにより、簡易な構成の四方路光スイッチを実現することができる。また、このような3種の接続状態を切替可能とすると、後述する光ファイバネットワークに利用することができる。
【0032】
(実施形態3)
本実施形態の四方路光スイッチの構成を
図5、
図6及び
図7に示す。本実施形態の四方路光スイッチ10は、第1の2×2光スイッチ11及び第2の2×2光スイッチ12を備える。第1の2×2光スイッチ11及び第2の2×2光スイッチ12は第1の端子T1、第2の端子T2、第3の端子T3及び第4の端子T4を有する。
【0033】
第1の2×2光スイッチ11及び第2の2×2光スイッチ12は、それぞれ、並行接続状態及び交差接続状態のいずれかに切替可能である。並行接続状態は、第1の端子T1と第2の端子T2とが内部で接続され、第3の端子T3と第4の端子T4とが内部で接続される。交差接続状態は、第1の端子T1と第4の端子T4とが内部で接続され、第2の端子T2と第3の端子T3とが内部で接続される。
【0034】
第1の2×2光スイッチ11の第1の端子T1と第2の2×2光スイッチ12の第1の端子T1とが接続され、第1の2×2光スイッチ11の第4の端子T4と第2の2×2光スイッチ12の第3の端子T3とが接続されている。
【0035】
四方路光スイッチ10では、第2の2×2光スイッチ12の第2の端子T2が第1のポートP1に内部で接続されてもよいし、第2の2×2光スイッチ12の第2の端子T2が第1のポートP1として機能してもよい。第1の2×2光スイッチ11の第2の端子T2が第2のポートP2に内部で接続されてもよいし、第1の2×2光スイッチ11の第2の端子T2が第2のポートP2として機能してもよい。第1の2×2光スイッチ11の第3の端子T3が第3のポートP3に内部で接続されてもよいし、第1の2×2光スイッチ11の第3の端子T3が第3のポートP3として機能してもよい。第2の2×2光スイッチ12の第4の端子T4が第4のポートP4に内部で接続されてもよいし、第2の2×2光スイッチ12の第4の端子T4が第4のポートP4として機能してもよい。
【0036】
図5は四方路光スイッチの第1の接続状態を実現している。
図5では、第1の2×2光スイッチ11は並行接続状態で、第2の2×2光スイッチ12も並行接続状態である。この接続構成によると、第1のポートP1と第2のポートP2とが内部で接続され、第3のポートP3と第4のポートP4とが内部で接続されている。即ち、第1の接続状態を実現している。
【0037】
図6は四方路光スイッチの第2の接続状態を実現している。
図6では、第1の2×2光スイッチ11は並行接続状態で、第2の2×2光スイッチ12は交差接続状態である。この接続構成によると、第1のポートP1と第3のポートP3とが内部で接続され、第2のポートP2と第4のポートP4とが内部で接続されている。即ち、第2の接続状態を実現している。
【0038】
図7は四方路光スイッチの第3の接続状態を実現している。
図7(a)では、第1の2×2光スイッチ11は交差接続状態で、第2の2×2光スイッチ12は並行接続状態である。
図7(b)では、第1の2×2光スイッチ11は交差接続状態で、第2の2×2光スイッチ12も交差接続状態である。この接続構成によると、第1のポートP1と第4のポートP4とが内部で接続され、第2のポートP2と第3のポートP3とが内部で接続されている。即ち、第3の接続状態を実現している。
【0039】
第1の2x2光スイッチ11や第2の2x2光スイッチ12は、低電圧(3~5V)かつ、数百μJ以下の非常に小さな消費電力量で動作するものが望ましく、例えば、駆動電力が少なく、一般にも入手可能な、自己保持型のMEMS光スイッチを用いることが可能である。
【0040】
従って、2つの2×2光スイッチを利用することにより、簡易な構成の四方路光スイッチを実現することができる。また、このような3種の接続状態を切替可能とすると、後述する光ファイバネットワークに利用することができる。
【0041】
(実施形態4)
本実施形態の四方路光スイッチの構成を
図8に示す。本実施形態の四方路光スイッチ10は、第1の2×2光スイッチ11、第2の2×2光スイッチ12及び光スイッチ制御回路を備える。第1の2×2光スイッチ11及び第2の2×2光スイッチ12の端子接続、ポート接続及び並行接続状態か交差接続状態かは、実施形態2又は実施形態3で説明した通りである。
【0042】
光スイッチ制御回路13は、マイクロプロセッサ38を有し、第1の2×2光スイッチ11及び第2の2×2光スイッチ12を制御して、第1の接続状態、第2の接続状態又は第3の接続状態を切替制御する。
【0043】
光スイッチ制御回路13は四方路光スイッチ10の外部からの指示によって、マイクロプロセッサ38を動作させてもよい。光スイッチ制御回路13は、光分岐部32、光電変換素子33、反射光スイッチ37をさらに備える。マイクロプロセッサ38は、下りフレーム解析機能40、上り信号生成機能41及び切替動作制御機能42を有する。
【0044】
第5の光ファイバ28を介して、下り光30を受光する。光分岐部32で下り光30を光電変換素子33と反射光スイッチ37に分岐する。光分岐部32は反射光スイッチ37よりも光電変換素子33に多くの割合で分岐することが好ましい。光分岐部32は例えば光カプラである。分岐した下り光30の一部を光電変換素子33で電気信号に変換する。光電変換素子33は、通信用の長波長帯である1300~1600nmに適したインジウム・ガリウム・ヒ素を組成とする開放電圧が5V以下、変換効率が30%程度のものが適用できる。
【0045】
マイクロプロセッサ38の下りフレーム解析機能40で下り信号の内容を解析し、切替動作制御機能42で第1の2×2光スイッチ11及び第2の2×2光スイッチ12を制御する。外部からの指示に対して応答するために、光分岐部32で分岐した一部の下り光30を反射光スイッチ37で反射して上り信号光31を生成する。反射光スイッチ37は上り信号生成機能41によって制御される。光分岐部32で上り信号光31を第5の光ファイバ28に合波する。
【0046】
上り信号光31を反射光スイッチ37で生成するには、下り光30の一部期間を無変調の光として、無変調期間の光を反射光スイッチ37が変調することでもよい。この場合、下り光30や上り信号光31の変調形式は問わない。下り光30の変調速度よりも、十分に遅い変調速度で反射光スイッチ37が下り光30を変調することでもよい。この場合、下り光30の変調形式としては、平均光強度が一定となるパルス位相変調やパルス周波数変調又は、一定期間内で平均光強度が一定になるように設定したパルス強度変調やパルス位置変調などが適用できる。上り信号光31の変調形式は、パルス強度変調を始めとして変調形式は問わない。
図8では、反射を利用して上り信号光31を生成しているが、電力に余裕があれば、発光素子を変調して上り信号光31を生成してもよい。
【0047】
従って、2つの2×2光スイッチを利用することにより、低消費電力の四方路光スイッチを実現することができる。また、このような3種の接続状態を切替可能とすると、後述する光ファイバネットワークに利用することができる。
【0048】
(実施形態5)
本実施形態の光ファイバネットワークの構成を
図9に示す。本実施形態の光ファイバネットワークは、四方路光スイッチ10と、四方路光スイッチ10の第1のポートP1に接続される第1の光ファイバ24と、四方路光スイッチ10の第2のポートP2に接続される第2の光ファイバ25と、を備える。本実施形態の光ファイバネットワークは、センタ側制御装置14、及び四方路光スイッチ10の光スイッチ制御回路13とセンタ側制御装置14とを接続する第5の光ファイバ28をさらに備えてもよい。
【0049】
本実施形態のセンタ側制御装置14は、第5の光ファイバ28を介して四方路光スイッチ10の光スイッチ制御回路13に光給電する。光給電用のレーザの波長は長波長帯の1300nm~1600nmが適している。また、センタ側制御装置14は、第5の光ファイバ28を介して四方路光スイッチ10の光スイッチ制御回路13に第1の接続状態、第2の接続状態又は第3の接続状態の切替制御を指示する。
【0050】
本実施形態の光スイッチ制御回路13の構成を
図10に示す。本実施形態の四方路光スイッチ10は、第1の2×2光スイッチ11、第2の2×2光スイッチ12及び光スイッチ制御回路13を備える。第1の2×2光スイッチ11及び第2の2×2光スイッチ12の端子接続、ポート接続及び並行接続状態か交差接続状態かは、実施形態2又は実施形態3で説明した通りである。本実施形態の光スイッチ制御回路13は、光分岐部32、光電変換素子33、二次電池34、マイクロプロセッサ38、反射光スイッチ37を備える。マイクロデバイス8は、下りフレーム解析機能40、上り信号生成機能41、切替動作制御機能42及び電力監視機能43を有する。
【0051】
本実施形態の光スイッチ制御回路13は、実施形態4の光スイッチ制御回路13に対して、二次電池34及び電力監視機能43を加えた構成となっている。二次電池34及び電力監視機能43について説明する。光電変換素子33で下り光30を電気に変換し、直流成分を二次電池34に蓄電する。二次電池34は四方路光スイッチ10内にアクティブ素子の駆動電力35を供給する。二次電池34としては、電気二重層キャパシタ等を使用してもよい。二次電池34から四方路光スイッチ10内への電力供給には、適宜DC/DCコンバータで供給電圧を調整する。
【0052】
電力監視機能43は、電圧モニタ等を介して二次電池34での蓄電エネルギー量を把握し、設定された閾値に基づいて第1の2×2光スイッチ11及び第2の2×2光スイッチの切替可否を判断する。蓄電エネルギー量が閾値より低ければ、第1の2×2光スイッチ11及び第2の2×2光スイッチ12の切替を延期又は中止し、蓄電エネルギー量が閾値より高ければ、第1の2×2光スイッチ11及び第2の2×2光スイッチ12の切替を実施する。
【0053】
本実施形態の光ファイバネットワークは、
図11に示すように、四方路光スイッチ10の第3のポートP3に接続される第3の光ファイバ26及び四方路光スイッチ10の第4のポートP4に接続される第4の光ファイバ27をさらに備えてもよい。ループ形態の第1の光ファイバ24及び第2の光ファイバ25の1組と、ループ形態の第3の光ファイバ26及び第4の光ファイバ27の1組とが連結接続され、2組のループ形態の光ファイバがそれぞれ四方路光スイッチ10によって切替えられる。
【0054】
また、第1の光ファイバ24及び第2の光ファイバ25に接続されるネットワーク装置20をさらに備えてもよい。また、第3の光ファイバ26及び第4の光ファイバ27に接続されるネットワーク端末21をさらに備えてもよい。
【0055】
センタ側制御装置14が四方路光スイッチ10の光スイッチ制御回路13に指示して、光スイッチ制御回路13が四方路光スイッチ10を第1の接続状態に切替えると、第1の光ファイバ24と第2の光ファイバ25が接続され、光は四方路光スイッチ10を通過することになる。第1の光ファイバ24又は/及び第2の光ファイバ25の途中に、他の四方路光スイッチが配置されている場合に利用する形態である。光ファイバ需要に対して柔軟に対応することができる。
【0056】
センタ側制御装置14が四方路光スイッチ10の光スイッチ制御回路13に指示して、光スイッチ制御回路13が四方路光スイッチ10を第2の接続状態に切替えると、ネットワーク装置20とネットワーク端末21とは、第1の光ファイバ24及び第3の光ファイバ26を介するか、第2の光ファイバ25及び第4の光ファイバ27を介するかして、接続されため、冗長経路を確保することができる。冗長経路があれば、光ファイバの断線に対して迅速な復旧が可能になる。
【0057】
センタ側制御装置14が四方路光スイッチ10の光スイッチ制御回路13に指示して、光スイッチ制御回路13が四方路光スイッチ10を第3の接続状態に切替えると、ネットワーク装置20とネットワーク端末21とは、第1の光ファイバ24及び第4の光ファイバ27を介するか、第2の光ファイバ25及び第3の光ファイバ26を介するかして、接続されため、冗長経路を確保することができる。冗長経路があれば、光ファイバの断線に対して迅速な復旧が可能になる。第2の接続状態と第3の接続状態とを切替えて選択すると、さらに、冗長経路を確保することができる。
【0058】
従って、ネットワーク装置20とネットワーク端末21との間は、連結接続のそれぞれで2ルートの光ファイバが切替可能となり、冗長経路のある光ファイバネットワークとすることができる。
【0059】
以上説明したように、四方路光スイッチ10が第1の接続状態、第2の接続状態又は第3の接続状態に切替えることによって、光ファイバ需要に対して柔軟でかつ光ファイバの断線に対して迅速な復旧が可能な光ファイバネットワークを構成することができる。
【符号の説明】
【0060】
10 四方路光スイッチ
11 第1の2×2光スイッチ
12 第2の2×2光スイッチ
13 光スイッチ制御回路
14 センタ側制御装置
20 ネットワーク装置
21 ネットワーク端末
24 第1の光ファイバ
25 第2の光ファイバ
26 第3の光ファイバ
27 第4の光ファイバ
28 第5の光ファイバ
30 下り光
31 上り信号光
32 光分岐部
33 光電変換素子
34 二次電池
35 アクティブ素子の駆動電力
37 反射光スイッチ
38 マイクロプロセッサ
40 下りフレーム解析機能
41 上り信号生成機能
42 切替動作制御機能
43 電力監視機能