(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135065
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/16 20060101AFI20230921BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20230921BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
G03G15/16
G03G15/00 303
G03G21/00 370
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040078
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】永田敦司
(72)【発明者】
【氏名】高橋大介
(72)【発明者】
【氏名】赤津慎一
(72)【発明者】
【氏名】小菅明朗
(72)【発明者】
【氏名】小池寿男
(72)【発明者】
【氏名】伊藤大介
(72)【発明者】
【氏名】伊澤敬幸
【テーマコード(参考)】
2H200
2H270
【Fターム(参考)】
2H200FA20
2H200GA10
2H200GA12
2H200GA23
2H200GA33
2H200GA47
2H200GB02
2H200GB13
2H200GB22
2H200GB26
2H200HA02
2H200HB12
2H200JA02
2H200JB10
2H200JB50
2H200JC04
2H200JC09
2H200PA11
2H200PA14
2H200PB16
2H200PB18
2H270LB01
2H270LB04
2H270LB08
2H270MA26
2H270MC40
2H270MC59
2H270MD10
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】二次転写線速及びレジスト線速を調整して二次転写ニップ量を変更することで、濃度ムラが顕在化しやすい画像パターンに対し、副作用なく濃度ムラを低減する。
【解決手段】本発明のラミネート処理装置は、像担持体と、像担持体上に担持されたトナー像が一次転写される中間転写ベルトと、中間転写ベルトに当接して二次転写ニップを形成し、中間転写ベルト上のトナー像を二次転写ニップにて記録材に二次転写させる二次転写ローラと、二次転写ニップに記録材を搬送するレジストローラと、を備える。
二次転写ローラの二次転写線速、及びレジストローラのレジスト線速がそれぞれ変更可能であり、画像データに基づいて、各ページの所定領域における画像面積率を算出し、画像面積率に応じて、二次転写線速、若しくはレジスト線速、又はその両方を変更し、二次転写ニップの上流部における、記録材と中間転写ベルトが接触する二次転写プレニップ量を変更する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
前記像担持体上に担持されたトナー像が一次転写される中間転写ベルトと、
前記中間転写ベルトに当接して二次転写ニップを形成し、前記中間転写ベルト上の前記トナー像を前記二次転写ニップにて記録材に二次転写させる二次転写ローラと、
前記二次転写ニップに前記記録材を搬送するレジストローラと、
を備える画像形成装置において、
前記二次転写ローラの二次転写線速、及び前記レジストローラのレジスト線速がそれぞれ変更可能であり、
画像データに基づいて、各ページの所定領域における画像面積率を算出し、
前記画像面積率に応じて、前記二次転写線速、若しくは前記レジスト線速、又はその両方を変更し、前記二次転写ニップの上流部における、前記記録材と前記中間転写ベルトが接触する二次転写プレニップ量を変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記二次転写線速をVt、前記レジスト線速をVrとし、
前記二次転写線速に対する前記レジスト線速の線速差をΔV(=Vr-Vt)として、
初期設定の線速差ΔVよりも変更時の線速差ΔVを大きくして、前記二次転写プレニップ量を大きくすること、及び、
前記変更時の線速差ΔVを、前記初期設定の線速差ΔVを下限として小さくして、前記二次転写プレニップ量を小さくすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像面積率が20%未満の場合、又は、80%より大きい場合、
前記二次転写プレニップ量を小さくすることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像データが黄色基調である場合、前記二次転写プレニップ量を小さくし、
前記画像データが黒色基調である場合、前記二次転写プレニップ量を大きくすることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置として、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ装置、又は、ファクシミリ装置などがよく知られている。この種の画像形成装置は、像担持体上のトナー像を中間転写ベルトに一次転写した後、中間転写ベルトに転写ローラが当接する転写ニップ部にて、中間転写ベルト上のトナー像をレジストローラ対で送り出された記録材に二次転写する。そして、記録材に二次転写されたトナー像を、定着装置によって加圧及び加熱することにより、記録材に所望の画像を定着させる。
【0003】
ここで、転写ニップ部での画像の濃度ムラや、放電による異常画像を防止し、良好な画像品質とするため、転写ニップ幅を制御する技術が検討され、既に利用されている。
【0004】
例えば特許文献1には、転写ニップにおける放電による異常画像の発生を抑制する目的で、転写ニップ幅を広げる接触幅変更手段を有する構成が開示されている。転写ニップ幅を広げることで、像担持体と記録材とを密着させた状態で転写バイアスを印加でき、放電による異常画像を防止できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1などの従来の転写ニップ幅を制御する構成は、接触幅変更手段といった機構を設けるため、コストアップを招くという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、二次転写線速及びレジスト線速を調整して二次転写ニップ量を変更することで、濃度ムラが顕在化しやすい画像パターンに対し、副作用なく濃度ムラを低減する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、像担持体と、前記像担持体上に担持されたトナー像が一次転写される中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトに当接して二次転写ニップを形成し、前記中間転写ベルト上の前記トナー像を前記二次転写ニップにて記録材に二次転写させる二次転写ローラと、前記二次転写ニップに前記記録材を搬送するレジストローラと、を備える画像形成装置において、前記二次転写ローラの二次転写線速、及び前記レジストローラのレジスト線速がそれぞれ変更可能であり、画像データに基づいて、各ページの所定領域における画像面積率を算出し、前記画像面積率に応じて、前記二次転写線速、若しくは前記レジスト線速、又はその両方を変更し、前記二次転写ニップの上流部における、前記記録材と前記中間転写ベルトが接触する二次転写プレニップ量を変更することを特徴とする画像形成装置によって解決される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の画像形成装置は、濃度ムラが顕在化しやすい画像パターン(画像面積率)に対し、二次転写線速及びレジスト線速を調整して二次転写プレニップ量を変更することで、副作用なく濃度ムラを低減できる。また、別途複雑な機構を設けないため、コストアップを招かない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【
図2】
図1に示す画像形成装置の制御部の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1の二次転写部を拡大して示す概略構成図である。
【
図4】画像面積率と二次転写プレニップ量の関係を示すグラフである。
【
図5】二次転写時の画像面積率を算出する構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。また、
図2は、その画像形成装置の制御部の構成を示すブロック図である。
【0011】
これらの図に示すように、画像形成装置1は、記録材の一例としての用紙にトナー像を定着させることにより画像を形成する。画像形成装置1は、
図1に示すように制御部10、画像読取部11、作像部12、給紙部13、二次転写部14、定着部15、排紙部16、及び表示・操作部17等を有している。
【0012】
制御部10は、
図2に示すようにCPU1011、メインメモリ(MEM-P)1012、ノースブリッジ(NB)1013、サウスブリッジ(SB)1014、AGPバス1015、ASIC1016、ローカルメモリ(MEM-C)1017、HD1018、HDD1019、ネットワークI/F102を有している。
【0013】
CPU1011は、メインメモリ1012に記憶されたプログラムに従って、データを加工・演算したり、画像読取部11、作像部12、給紙部13、二次転写部14、定着部15、排紙部16の動作を制御したりするものである。メインメモリ1012は、制御部10の記憶領域であり、ROM1012a、RAM1012bを有している。ROM1012aは、制御部10の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリである。
【0014】
ネットワークI/F102は、通信ネットワークを介して情報処理装置等の外部機器と情報を送受信する。MEM-C1017は、コピー用画像バッファ及び符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD1018は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HDD1019は、CPU1011の制御に従ってHD1018に対するデータの読み出し又は書き込みを制御する。
【0015】
画像読取部11は、用紙に記載されている画像を光学的に読み取ることにより、画像情報を生成するものである。具体的には、用紙に光を当てて、その反射光をCCD、又は、CIS等の読取センサで受光することによって画像情報を読み取る。なお、画像情報とは、用紙等の記録材に形成させる画像を表す情報であり、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色を示す電気的な色分解画像信号を用いて示されたものである。
【0016】
画像読取部11は、
図1に示すようにコンタクトガラス111、読取センサ112などを有している。コンタクトガラス111は、画像が記載されている用紙が載置されるものである。読取センサ112は、コンタクトガラス111に載置されている用紙に記載されている画像の画像情報を読み取るものである。
【0017】
作像部12は、画像読取部11によって読み取られた画像情報、又はネットワークI/F102によって受信された画像情報に基づいて二次転写部14の中間転写ベルト143の表面にトナーを付着させて画像(トナー像)を形成するものである。
【0018】
作像部12は、それぞれ、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)、及びクリア(T)トナーを用いてトナー像を形成する画像形成ユニット120C、120M、120Y、120K、120Tを備えている。
【0019】
画像形成ユニット120Cは、トナー供給部121C、感光体ドラム122C、帯電部123C、露光部124C、現像部125C、除電部126C、及び清掃部127Cを備えている。
【0020】
トナー供給部121Cは、C色のトナーを収容しており、現像部125Cに対してC色のトナーを供給するものである。トナー供給部121Cに収容されているトナーは、トナー供給部121C内の搬送スクリューが駆動することによって所定の量だけ現像部125Cに供給される。
【0021】
像担持体である感光体ドラム122Cは、帯電部123Cにより表面が一様に帯電され、制御部10から受け取った画像情報に基づき、露光部124Cによって表面に静電潜像が形成されるものである。また、感光体ドラム122Cは、静電潜像が形成された表面に、現像部125Cがトナーを付着させることによってトナー像が形成される。また、感光体ドラム122Cは、中間転写ベルト143に接するように設けられ、中間転写ベルト143との接点で中間転写ベルト143の移動方向と同じ方向に回転するように設けられている。
【0022】
帯電部123Cは、感光体ドラム122Cの表面を一様に帯電させる。露光部124Cは、帯電部123Cによって帯電された感光体ドラム122Cの表面に、制御部10によって決定されたC色の網点面積率に基づいて光を照射して静電潜像を形成する。現像部125Cは、露光部124Cによって感光体ドラム122Cの表面に形成された静電潜像に対してトナー供給部121Cに収容されているC色のトナーを付着させることによって現像し、トナー像を形成する。
【0023】
除電部126Cは、中間転写ベルト143に画像が転写された後の感光体ドラム122Cの表面を除電する。清掃部127Cは、除電部126Cによって除電された感光体ドラム122Cの表面に残った転写残トナーを除去する。
【0024】
なお、画像形成ユニット120M、120Y、120K、120Tは、画像形成ユニット120Cとトナーの色以外は同じ構成であるため、それらの説明を省略する。
【0025】
給紙部13は、二次転写部14に対して用紙を供給するものである。給紙部13は、用紙収容部131、給紙ローラ132、給紙ベルト133、及びレジストローラ134を備えている。
【0026】
用紙収容部131は、記録材の一例である用紙を収容している。給紙ローラ132は、用紙収容部131に収容されている用紙を給紙ベルトの方へ移動させるために回転するように設けられている。このように設けられている給紙ローラ132は、収容されている用紙のうち最上段にある用紙を一枚ずつ取り出し、給紙ベルトに載置する。
【0027】
給紙ベルト133は、給紙ローラ132によって取り出された用紙を二次転写部14に搬送する。レジストローラ134は、後述する中間転写ベルト143のトナー像が形成されている部分が二次転写部14に到達されるタイミングで給紙ベルト133によって搬送された用紙を送り出すものである。
【0028】
二次転写部14は、作像部12によって感光体ドラム122に形成された画像を中間転写ベルト143に転写し(一次転写)、中間転写ベルト143に転写された画像を用紙に転写する(二次転写)ものである。
【0029】
二次転写部14は、駆動ローラ141、従動ローラ142、中間転写ベルト143、一次転写ローラ144C、144M、144Y、144K、144T、二次転写対向ローラ145、二次転写ローラ146を備えている。
【0030】
駆動ローラ141は、従動ローラ142とともに中間転写ベルト143を掛け渡すものである。駆動ローラ141が駆動し回転することによって、掛け渡されている中間転写ベルト143が移動する。従動ローラ142は、駆動ローラ141とともに中間転写ベルト143を掛け渡すものである。従動ローラ142は、駆動ローラ141が回転し、中間転写ベルト143が移動するとともに回転する。
【0031】
中間転写ベルト143は、駆動ローラ141及び従動ローラ142に掛け渡され、駆動ローラ141の回転とともに感光体ドラム122に接しながら移動するものである。中間転写ベルト143が感光体ドラム122に接しながら移動することによって、感光体ドラム122に形成された画像が中間転写ベルト143の表面に転写される。
【0032】
一次転写ローラ144C、144M、144Y、144K、144Tは、中間転写ベルト143を挟んで、それぞれ感光体ドラム122C、122M、122Y、122K、122Tと対向して備えられ、中間転写ベルト143を移動させるように回転する。二次転写ローラ146は、二次転写対向ローラ145との間に中間転写ベルト143と用紙を挟みこんで回転する。
【0033】
定着部15は、二次転写部14によって用紙に転写されたトナーを定着させる。定着とは、トナーに熱と圧力を同時に加えることによってトナーの樹脂成分を用紙に溶着させることである。二次転写部14によって用紙に転写されたトナーに定着処理が行われることによって、用紙上のトナーの状態は安定したものとなる。
【0034】
定着部15は、搬送ベルト151、定着ベルト152、定着ローラ153、定着ベルト搬送ローラ154、定着対向ローラ155、発熱部156を有している。搬送ベルト151は、二次転写部14によってトナーが転写された用紙を定着ローラ153、定着対向ローラ155に向けて搬送する。定着ベルト152は、定着ローラ153と定着ベルト搬送ローラ154とに掛け渡され、それらのローラが回転することによって移動する。
【0035】
定着ローラ153は、対向して設置されている定着対向ローラ155との間で、搬送ベルト151に搬送された用紙を挟みこんで、用紙を加熱・加圧する。定着ベルト搬送ローラ154は、定着ローラ153とともに定着ベルト152を掛け渡すものであり、定着ベルト搬送ローラ154が回転することによって定着ベルト152を移動させる。
【0036】
定着対向ローラ155は、定着ローラ153に対向して設置されるものであり、定着ローラ153との間に搬送された用紙を挟みこむ。発熱部156は、定着ローラ153の内部に設置され、発熱するものであり、定着ローラ153を介して用紙を加熱する。
【0037】
排紙部16は、定着部15でトナーが定着された用紙を画像形成装置1から排出するものであり、排紙ベルト161、排紙ローラ162、排紙口163、及び用紙収容部164を有している。
【0038】
排紙ベルト161は、定着部15によって定着処理された用紙を排紙口163に向けて搬送する。排紙ローラ162は、排紙ベルト161によって搬送された用紙を排紙口163から排出し、用紙収容部164に収容する。
【0039】
表示・操作部17は、パネル表示部171及び操作部172を有している。パネル表示部171には、設定値や選択画面などが表示される。また、パネル表示部171は、ユーザからの入力を受け付けるタッチパネルであってもよい。操作部172は、画像形成にかかる諸条件を受け付けるテンキー、複写開始指示を受け付けるスタートキーなどのユーザが入力をするために操作を行うものである。
【0040】
図3は、
図1の二次転写部を拡大して示す概略構成図である。中間接転写方式の画像形成装置は、トナー像が一次転写される中間転写ベルト143と、中間転写ベルト143に当接して二次転写ニップを形成し、中間転写ベルト上のトナー像を二次転写ニップにて記録材Pに二次転写させる二次転写ローラ146と、を備える。
【0041】
また、二次転写ニップに対し、記録材Pの搬送方向上流に配置され、二次転写ニップに記録材Pを搬送するレジストローラ134を備える。このレジストローラ134が、タイミングよく二次転写部14に記録材Pを搬送することで、トナー像を記録材Pに二次転写できる。
【0042】
二次転写ローラ146及びレジストローラ134は、モータなどの駆動手段によってそれらの線速を変更可能に回転駆動される。各々の線速は、記録材Pの搬送性、画像倍率、及びトルクなどで決定されている。
【0043】
二次転写ニップは、二次転写ローラ146と二次転写対向ローラ145によって形成される二次転写ローラニップNと、二次転写ニップの上流部で、記録材Pと中間転写ベルト143とが接触する二次転写プレニップNpによって形成されている(二次転写ニップ=二次転写ローラニップN+二次転写プレニップNp)。
【0044】
画像の濃度ムラは、二次転写ローラニップNに入る前の二次転写プレニップNpにおいて発生し易く、特に、二次転写プレニップNpの長さが短いと発生し易い。これは、中間転写ベルト143と記録材Pとの接触長さが短いと、中間転写ベルト143と記録材Pとの密着状態が不安定となり、ドット(ドット画像)がズレ易くなるためである。
【0045】
そこで、二次転写ローラ146の二次転写線速と、レジストローラ134のレジスト線速とをそれぞれ変更して、搬送される記録材Pの弛み量を増やし、二次転写プレニップNpの長さ(二次転写プレニップ量)を増やす方法が考えられる。
【0046】
しかし、それらローラの線速は、記録材Pの搬送性、画像倍率、及び/又はモータ(駆動手段)のトルクなどで決定されており、常時そのような状態にするとモータトルク上昇を招き、脱調などによる装置の不具合となるおそれがある。
【0047】
一方で、濃度ムラは、色、又は画像パターンによって、顕在化しやすい場合と、顕在化しにくい場合がある。具体的に、色では黒色(K)が顕在化しやすく、黄色(Y)が顕在化しにくい。画像パターンでは、ハーフトーンの場合に顕在化しやすく、文字、又はベタ画像の場合では顕在化しにくい。
【0048】
そこで、本実施形態では、書込み時の画像データに基づいて、各ページ内の所定領域における画像面積率を算出する。そして、その領域が二次転写される際に、その領域の画像面積率に応じて、適切な二次転写プレニップ量となるように、レジスト線速と二次転写線速をページ内の領域ごとに制御(変更)する。なお、画像形成装置1の制御部10が画像面積率の算出を担っている。
【0049】
具体的に、濃度ムラが顕在化する画像パターン(画像面積率)では、二次転写プレニップを増やすように二次転写線速とレジスト線速を調整し、顕在化しにくい画像パターンでは初期設定のままとする。
【0050】
二次転写プレニップ量が大きいほど、中間転写ベルト143と記録材Pとの密着が強くなり、ドット(ドット画像)のズレを抑制できる。
【0051】
また、各線速の制御は次のようにする。二次転写ローラ146の二次転写線速をVt、レジストローラ134のレジスト線速をVrとし、二次転写線速に対するレジスト線速の線速差をΔV(=Vr-Vt)とする。
【0052】
そして、初期設定の線速差ΔVよりも変更時の線速差ΔVを大きくして、二次転写プレニップ量を大きくする。又は、変更時の線速差ΔVを、初期設定の線速差ΔVを下限として小さくして、二次転写プレニップ量を小さくする。
【0053】
なお、各線速の制御は、二次転写線速、レジスト線速、又はその両方を変更するとしてよい。
【0054】
このように、別途機構を設けずに二次転写プレニップ量を変更できるため、コストアップなどを生じず、有利である。
【0055】
図4は、濃度ムラを低減するための、画像面積率に対する二次転写プレニップ量を示すグラフである。
図4の横軸は画像面積率(%)であり、縦軸は二次転写プレニップ量の程度(大、中、小(初期設定値))を示している。この対応関係は、トナーの4色(Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック))のそれぞれの場合について、グラフにプロットされている。
【0056】
ここで、二次転写プレニップ量の程度(大、中、小)とは、「小」を初期設定として、「中」、「大」となるにつれて、二次転写プレニップ量を大きくするものと理解されたい。
【0057】
図4に示すように、画像の色が黄色(黄色基調)である場合、濃度ムラは顕在化しにくいため、二次転写プレニップ量は「小」(初期設定値)とする。一方、画像の色が黒色(黒色基調)である場合、濃度ムラは顕在化し易いため、二次転写プレニップ量は、「大」又は「中」などと大きくする。
【0058】
また、画像面積率が20%未満(文字画像を想定)の場合、又は、80%より大きい(ベタ画像を想定)の場合、濃度ムラは顕在化しにくいため、二次転写プレニップ量を小さくし、又は「小」(初期設定値)とする。一方、画像面積率が20%以上80%以下(ハーフトーンを想定)の場合、濃度ムラは顕在化し易いため、二次転写プレニップ量を大きくする。
【0059】
図5は、二次転写時の画像面積率を算出する構成を示す模式図である。なお、
図5において、
図1、3と同一物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0060】
中間転写ベルト143上の破線で示す領域が、各ページ内の所定領域Sであり、この所定領域Sの画像面積によって、二次転写プレニップ量を決定する。本実施形態では、所定領域Sの寸法を330mm×25mmとしている。ただし、これに限定されない。
【0061】
図5において、中間転写ベルト143上の所定領域Sの画像面積率は、マゼンダ(M)が30%、及びイエロー(Y)が50%であり、シアン(C)、ブラック(K)が、それぞれ0%である。
【0062】
この場合、先の
図4から各色の二次転写プレニップ量は、マゼンダ(M)が「中」であり、イエロー(Y)が「小(初期設定値)」であり、シアン(C)、ブラック(K)がいずれも無いことになる。したがって、一番プレニップ量が大きくなるマゼンダ(M)に合わせて、二次転写プレニップ量の「中」を選択する。
【0063】
このように、記録材Pが二次転写される時の画像パターンによって、二次転写プレニップ量を変えることで、副作用なく濃度ムラを低減することができる。また、濃度ムラが顕在化する場合にのみ、線速(二次転写線速Vt、レジスト線速Vr)を変更するため、モータへの負荷を必要最小限にできる。
【0064】
以上、実施形態を用いて本発明を詳細に説明した。この実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して使用できる。
【符号の説明】
【0065】
1 画像形成装置
10 制御部
11 画像読取部
12 作像部
13 給紙部
14 二次転写部
15 定着部
16 排紙部
17 操作部
111 コンタクトガラス
112 読取センサ
120 画像形成ユニット
121 トナー供給部
122 感光体ドラム
131 用紙収容部
132 給紙ローラ
133 給紙ベルト
134 レジストローラ
141 駆動ローラ
142 従動ローラ
143 中間転写ベルト
144 一次転写ローラ
145 二次転写対向ローラ
146 二次転写ローラ
151 搬送ベルト
152 定着ベルト
153 定着ローラ
154 定着ベルト搬送ローラ
155 定着対向ローラ
156 発熱部
161 排紙ベルト
162 排紙ローラ
163 排紙口
164 用紙収容部
171 パネル表示部
172 操作部
N 二次転写ローラニップ
Np 二次転写プレニップ
P 記録材
S 所定領域
Vt 二次転写線速
Vr レジスト線速
ΔV 線速差
【先行技術文献】
【特許文献】
【0066】