(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135117
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】ウエハ用テープ搬送装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20230921BHJP
【FI】
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040160
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】石川 一政
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131AA10
5F131AA23
5F131BA53
5F131CA70
5F131EC33
5F131EC63
5F131EC68
(57)【要約】
【課題】ダイアタッチフィルムやダイシングフィルムにすじ状の痕や変形などを残すことなくテープ搬送を行うことができる、ウエハ用テープ搬送装置を提供する。
【解決手段】ウエハをマウントフレーム12に固定するダイシングフィルム13とカバーフィルム15とを備え、カバーフィルム15の片面側の貼付面15Aに、ダイシングフィルム13を貼り付けてなるウエハ用テープTを、テープ供給部25からウエハ貼付位置26に向けて供給若しくはガイドするローラを備えたウエハ用テープ搬送装置であって、ローラは、ダイシングフィルム13が通過する通路領域で、ウエハ用テープTとの接触を避けるようにした。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハをマウントフレームに固定するダイシングフィルムと長尺状のカバーフィルムとを備え、前記カバーフィルムの片面側の貼付面に、前記ダイシングフィルムを貼り付けてなるウエハ用テープを、テープ供給位置からウエハ貼付位置に向けて供給若しくはガイドするローラを備えたウエハ用テープ搬送装置であって、
前記ローラは、少なくとも前記ダイシングフィルムが通過する通路の領域で、前記ウエハ用テープとの接触を避ける、
ことを特徴とするウエハ用テープ搬送装置。
【請求項2】
前記ウエハ用テープは、前記カバーフィルムの両側縁に沿って配設された長尺状の保護シートを備え、
前記ローラは、前記保護シートと接触して前記ウエハ用テープを搬送若しくはガイドする、ことを特徴とする請求項1に記載のウエハ用テープ搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハ用テープ搬送装置に関するものであり、特に、半導体製品の製造工程において、半導体ウエハに貼り付けるダイアタッチフィルム及びマウントフレームに貼り付けるダイシングフィルム等をウエハ貼付位置に搬送するウエハ用テープ搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体製品の製造工程において、表面に多数の回路パターンを形成した半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」と言う)は、裏面研削(バックグラインド)工程を経た後、機能素子毎に切断(ダイシング工程)して、個々の半導体チップに分割される。ウエハのダイシング加工に際しては、略中央にダイアタッチフィルムを貼り付けた略円形のダイシングフィルムを略環状のマウントフレームに貼り付けるとともに、マウントフレーム内のダイアタッチフィルム上にウエハを貼り付けて固定し、マウントフレームに固定した状態でダイシングが行われている。
【0003】
下記の特許文献1には、このようなウエハをダイシングする際に用いられるウエハ用テープが開示されている。ウエハ用テープは、ウエハに貼り付けるダイアタッチフィルム上をマウントフレームに貼り付けるダイシングフィルムで覆い、前記ダイアタッチフィルムと前記ダイシングフィルムを積層して、これを長尺状のカバーフィルムの片面側の貼付面に貼り付けて、カバーフィルムの長さ方向に略等間隔で分散配置させてなる長尺状のウエハ用テープである。
【0004】
下記特許文献2には、特許文献1に示されるような長尺状のウエハ用テープを使用して、マウントフレームにダイシングフィルムとウエハを貼り付けるテープ貼付装置が示されている。そのテープ貼付装置では、長尺状のウエハ用テープが、巻回状態でテープ供給部にセットされる。そして、ウエハ用テープは、テープ供給部から順に繰り出されて、複数のガイドローラとピンチローラを介してウエハ貼付位置まで送られる。また、ウエハ貼付位置では、マウントフレームにダイシングフィルムが貼り付けられ、ダイアタッチフィルムにウエハが貼り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-202927号公報
【特許文献2】特開2017-76644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献2に示されるような、ウエハ用テープをテープ供給部に巻回状態で保持しておき、テープ供給部からウエハ用テープが順に繰り出されて、複数のガイドローラとピンチローラを介してウエハ貼付位置まで送るテープ搬送構造では、例えば
図7及び
図8に示すように、定速送りされる定速送り機構の箇所でのウエハ用テープTは、駆動ガイドローラ101とピンチローラ102とで挟まれて送られる。このように、ウエハ用テープTを駆動ガイドローラ101とピンチローラ102とで挟んで送る場合、ウエハ用テープTにテンションによる負荷や、テープ送り時における駆動ガイドローラ101やピンチローラ102からの圧接力により、ダイアタッチフィルム14やダイシングフィルム13に悪い影響を与える場合があった。具体例としては、ウエハ用テープTが、駆動ガイドローラ101やピンチローラ102に挟まれたときに、ダイアタッチフィルム14が変形し、それが貼り付け後にすじ状の痕として残る。
【0007】
特に、ウエハ用テープTのテンションコントロールを行っている場合、表面がゴム性等のピンチローラ102が用いられている機構では、ウエハ用テープTを挟んでいる状態で駆動ガイドローラ101とピンチローラ102等の回転にブレーキを掛けて張力コントロールを行うが、コントロール時にウエハ用テープTに負荷が掛かり変形がし易い。また、積層チップに用いられるウエハ用テープTは、更なるチップの薄化やパッケージの薄化に伴い、ダイアタッチフィルム14やダイシングフィルム13自身の薄化及び軟化傾向にある。このようなウエハ用テープTを貼り付ける機構では、互いのローラをシリンダで挟み込むピンチローラ102が多く用いられるが、このローラ間の挟持圧にてダイアタッチフィルム14やダイシングフィルム13にすじ状の痕や変形を残す等の影響を与え、品質低下をもたらす問題点があった。
【0008】
そこで、ダイアタッチフィルムやダイシングフィルムにすじ状の痕や変形などを残すことなく、高品質にテープ搬送を行うことができるウエハ用テープ搬送装置を提供するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載の発明は、ウエハをマウントフレームに固定するダイシングフィルムと長尺状のカバーフィルムとを備え、前記カバーフィルムの片面側の貼付面に、前記ダイシングフィルムを貼り付けてなるウエハ用テープを、テープ供給位置からウエハ貼付位置に向けて供給若しくはガイドするローラを備えたウエハ用テープ搬送装置であって、前記ローラは、少なくとも前記ダイシングフィルムが通過する通路の領域で、前記ウエハ用テープとの接触を避ける、ウエハ用テープ搬送装置を提供する。
【0010】
この構成によれば、ウエハ用テープの搬送時、ダイアタッチフィルムとダイシングフィルムは、ローラの小径部の領域を通過して送られる。すなわち、ダイアタッチフィルムとダイシングフィルムは、ローラの小径部の領域箇所を通過するので、ローラと接触することなくテープ供給位置からフィルム貼付位置まで搬送される。したがって、従来装置で問題となっていた、テープ搬送時に、ダイアタッチフィルム及びダイシングフィルムとローラとの圧接により付くライン状の痕をなくすことができるとともに、搬送による変形等もなくすことができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成において、前記ウエハ用テープは、前記カバーフィルムの両側縁に沿って配設された長尺状の保護シートを備え、前記ローラは、前記保護シートと接触して前記ウエハ用テープを供給若しくはガイドする、ウエハ用テープ搬送装置を提供する。
【0012】
この構成によれば、テープ供給位置からウエハ貼付位置に搬送されるウエハ用テープは、保護シートにローラが接触し、ダイシングフィルムにはローラが接触しない状態で送られるので、ウエハ用テープ搬送時におけるダイシングフィルムをローラから保護することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、テープの走行時、ダイシングフィルムは、ローラと接触することなく、テープ供給位置からフィルム貼付位置まで搬送若しくはガイドできる。これにより、従来のテープ搬送時に、ローラとダイシングフィルムとの接触によりダイシングフィルムに付いていた、すじ状の痕を残す問題をなくすことができるとともに、テープ搬送時に生じ易い変形等もなくなり、品質の向上が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態に係るウエハ用テープ搬送装置を適用したウエハ用テープ貼付装置の概略断面図である。
【
図2】同上ウエハ用テープ貼付装置におけるテープ搬送駆動部の一例として、
図1中の一部を模式的に拡大して示す平面図である。
【
図4】同上ウエハ用テープ貼付装置で使用するウエハ用テープの平面図である。
【
図6】マウントフレームにウエハが貼付されたウエハユニットの一例を示す斜視図である。
【
図7】従来の同上ウエハ用テープ貼付装置におけるテープ搬送駆動部の一例を説明する概略拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、ダイアタッチフィルムやダイシングフィルムにすじ状の痕や変形などを残すことなく、高品質にテープ搬送を行うことができる、ウエハ用テープ搬送装置を提供するという目的を達成するために、ウエハをマウントフレームに固定するダイシングフィルムと長尺状のカバーフィルムとを備え、前記カバーフィルムの片面側の貼付面に、前記ダイシングフィルムを貼り付けてなるウエハ用テープを、テープ供給位置からウエハ貼付位置に向けて供給若しくはガイドするローラを備えたウエハ用テープ搬送装置であって、前記ローラは、少なくとも前記ダイシングフィルムが通過する通路の領域で、前記ウエハ用テープとの接触を避ける、構成にしたことにより実現した。
【実施例0016】
以下、本発明の実施形態に係る一実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例において、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
【0017】
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0018】
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、構成要素の断面構造を分かり易くするために、一部の構成要素のハッチングを省略することがある。
【0019】
また、以下の説明において、上下や左右等の方向を示す表現は、絶対的なものではなく、本発明のウエハ用テープ搬送装置の各部が描かれている姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。また、実施例の説明の全体を通じて同じ要素には同じ符号を付している。
【0020】
図1は本発明に係るウエハ用テープ搬送装置を適用したテープ貼付装置10の概略断面図を示すもので、
図2は
図1中の一部を模式的に拡大して示す平面図、
図3は
図2のA-A線断面矢視図である。また、
図4はテープ貼付装置10で使用するウエハ用テープTの一例を示す平面図で、
図5は
図4のB-B線断面矢視図である。また、
図6は、ウエハWをマウントフレーム12に貼付して固定したウエハユニット11の一例を示す斜視図である。
【0021】
図6に示すウエハユニット11は、環状をしたマウントフレーム12の片側全面にダイシングフィルム13を貼り付け、そのダイシングフィルム13の中央にダイアタッチフィルム14を介してウエハWを貼り付けた構造を示している。すなわち、本実施例で取り扱うウエハ用テープTは、後述するウエハ貼付位置26で、マウントフレーム12にダイシングフィルム13とダイアタッチフィルム14とウエハWをそれぞれ貼り付けるためのものであり、ウエハ用テープTはロール状に巻回保管しておくことができる。テープ貼付装置10は、テープ供給位置となるテープ供給部25に巻回保管されているウエハ用テープTを、そのテープ供給部25からテープ状に引き出してウエハ貼付位置26に搬送するための装置である。
【0022】
まず、本実施例のウエハ用テープ搬送装置を適用しているテープ貼付装置10で使用している、ウエハ用テープTの構造の一例を
図4及び
図5を用いて説明する。
図4及び
図5において、ウエハ用テープTは、長尺状のカバーフィルム15を基材とし、そのカバーフィルム15の片面側である貼付面15Aに、
図6に示したマウントフレーム12の片側全面に貼り付けるダイシングフィルム13と、ウエハWを貼り付けるダイアタッチフィルム14と、保護シート16が配置されている。
【0023】
カバーフィルム15は、例えば剥離処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)などである。ダイアタッチフィルム14は、適用されるウエハWの外径と略等しい外径をした円板状のフィルムシートであり、カバーフィルム15の貼付面15A上に剥離可能に貼り付けられている。
【0024】
ダイシングフィルム13は、マウントフレーム12の外径と略等しい外径をした円板状のフィルムシートであり、中心Oをダイアタッチフィルム14の中心Oと略一致させて、ダイアタッチフィルム14の一面(裏面)を覆い、一部をダイアタッチフィルム14上に積層させた状態で、カバーフィルム15の貼付面15A上に剥離可能に貼り付けられている。ダイシングフィルム13とダイアタッチフィルム14との間は、例えば、加熱による溶融または接着剤を伴う加圧により、互いに接着し合うとともに、ダイアタッチフィルム14とウエハWとの間、及び、ダイシングフィルム13とマウントフレーム12との間も例えば、加熱による溶融または接着剤を伴う加圧により、互いに強固に接着される。
【0025】
そして、ダイアタッチフィルム14上に積層させたダイシングフィルム13は、カバーフィルム15の幅方向における略中央に位置して、カバーフィルム15の長さ方向に略等間隔で分散配置されている。
【0026】
保護シート16は、カバーフィルム15の左右の両側縁に沿って長尺状で、かつ、ダイシングフィルム13の側方に沿って1対、それぞれダイシングフィルム13とは切り離された独立の状態で貼り付けられている。すなわち、1対の保護シート16の一部は、ダイシングフィルム13が設けられている位置よりもそれぞれ外側で、ダイシングフィルム13と切り離されて独立の状態で、カバーフィルム15の貼付面15A上に剥離可能に配設されている。なお、保護シート16は、ダイシングフィルム13と同じ樹脂材で形成してもよい。
【0027】
次に、
図1乃至
図3に示すテープ貼付装置10の構成について説明する。
図1に示されるテープ貼付装置10は、ハウジング21を備えている。ハウジング21の底面には複数のキャスタ22及び複数のストッパ23が設けられており、キャスタ22によってテープ貼付装置10を床Lの所定の位置まで移動させ、ストッパ23によってこの位置に固定できるようになっている。また、テープ貼付装置10の下方部分には扉24が設けられており、これら扉24を開放すると、テープ貼付装置10の下方部分に配置された図示しない制御部、例えばデジタルコンピュータにアクセスすることができる。
【0028】
図1に示されるように、ハウジング21内において、テープ供給部25の下流には、ウエハ用テープTを案内するとともにウエハ用テープTに所定の張力を掛けるガイドローラ27が設けられている。また、さらに下流側にはウエハ用テープTを定速送りする駆動ローラ28及びピンチローラ29を有する定速搬送機構30が設けられている。駆動ローラ28及びピンチローラ29は、ウエハ用テープTを挟んで互いに圧接配置されており、駆動ローラ28とピンチローラ29間の摩擦力でウエハ用テープTを下流側(ウエハ貼付位置26側)に向けて略定速で送る。なお、テープ供給部25から供給されるウエハ用テープTは、ウエハ貼付位置26においてダイシングフィルム13及びダイアタッチフィルム14が、後述する移動テーブル33の上面の所定の位置に配置されたマウントフレーム12及びウエハWとそれぞれ対峙するようにしてセットされる。
【0029】
さらに定速搬送機構30の下流には、カバーフィルム剥離機構31が設けられている。カバーフィルム剥離機構31は、ウエハ貼付位置26の直前でウエハ用テープTからカバーフィルム15を剥離するとともに、ダイシングフィルム13及びダイアタッチフィルム14を、移動テーブル33上に受け渡すガイド部材としての機能をなす。カバーフィルム剥離機構31で剥離されたカバーフィルム15は、カバーフィルム巻取部32に巻き取られ、残りの保護シート16は、移動テーブル33上を通って保護シート巻取部39に巻き取られる。一方、ダイシングフィルム13並びにダイアタッチフィルム14は、ウエハ貼付位置26でマウントフレーム12及びウエハWに上に貼り付けられる。
【0030】
ウエハ貼付位置26において、矢印34方向に往復移動する移動テーブル33は、カバーフィルム剥離機構31と隣接して設置されている。また、ウエハ貼付位置26には、カバーフィルム剥離機構31の前側に貼付ローラ38が配置されている。貼付ローラ38の長さは、マウントフレーム12の直径よりも大きい。そして、
図1に示すように、移動テーブル33の所定の位置にマウントフレーム12とウエハWが配置された状態で、移動テーブル33が矢印34の方向に水平移動されると、カバーフィルム15から剥離されダイシングフィルム13とダイアタッチフィルム14がそれぞれ貼付ローラ38によりマウントフレーム12とウエハWに押し付けられ、さらに移動テーブル33からの加熱による溶融または接着剤を伴う加圧により、ダイシングフィルム13がマウントフレーム12に貼り付けられると共にダイアタッチフィルム14がウエハWに貼り付けられ、
図6に示したウエハユニット11が形成される。
【0031】
図2及び
図3は、
図1における定速搬送機構30の構成を拡大して模式的に示すもので、
図2はその拡大平面図で、
図3は
図2のA-A線断面矢視図である。
図2及び
図3において、ウエハ用テープTを挟んで配置される定速搬送機構30における駆動ローラ28とピンチローラ29は、ウエハ用テープTの幅方向の長さよりも大きい。また、ピンチローラ29は、駆動ローラ28との間を通過するウエハ用テープTに貼り付けられているダイシングフィルム13及びダイアタッチフィルム14が通過する通路となる左右の幅、すなわち通路幅S1の領域を跨ぐようにして形成してなる小径部29Aを有している。
【0032】
更に詳述すると、ピンチローラ29は、小径部29Aの左右両側にそれぞれ保護シート16と当接する大径部29Bを有し、また小径部29Aは大径部29Bとの間に、大径部29Bに向かって徐々に外径を大きくしてなる傾斜部29Cを有している。そして、ピンチローラ29の小径部29Aでは、駆動ローラ28との間にウエハ用テープTを挟んで、そのウエハ用テープTをウエハ貼付位置26に向けて搬送するとき、左右両側の大径部29Bは保護シート16を介して駆動ローラ28に圧接されるが、小径部29A及び傾斜部29Cはダイシングフィルム13及びダイアタッチフィルム14との接触を避け、かつ、駆動ローラ28に対して圧接しないように形成されている。
【0033】
次に、このように形成されたテープ貼付装置10の動作を説明する。テープ供給部25に巻回されているウエハ用テープTは、テープ供給部25からリボン状に引き出され、ガイドローラ27の下側を通り、さらに駆動ローラ28とピンチローラ29との間を通ってウエハ貼付位置26に向かって搬送される。ウエハ貼付位置26に向かって搬送されたウエハ用テープTは、カバーフィルム剥離機構31でカバーフィルム15が剥離されるとともに、カバーフィルム15上から保護シート16とダイシングフィルム13及びダイアタッチフィルム14がそれぞれ剥離される。そして、カバーフィルム15はカバーフィルム巻取部32に巻き取られ、保護シート16は保護シート巻取部39に巻き取られる。
【0034】
一方、ダイシングフィルム13及びダイアタッチフィルム14は、ウエハ用テープTの搬送に連動して矢印34方向に移動して来る移動テーブル33の所定の位置に配置されているマウントフレーム12及びウエハW上にそれぞれ配置され、貼付ローラ38の転動加圧によりそれぞれウエハW及びマウントフレーム12に貼り付けられる。
【0035】
ところで、この実施例におけるテープ貼付装置10でも、テープ供給部25から繰り出されたウエハ用テープTに張力を掛けるガイドローラ27と、ガイドローラ27とセンシング手段40とにより検出された、定速搬送機構30とテープ供給部25間におけるウエハ用テープTの弛み量を検出して、定速搬送機構30でのテープ送り速度を制御する図示しない制御部が設けられている。制御部では、ウエハ用テープTの繰り出し量が多くなって弛み量が増加したときは、例えばピンチローラ29を駆動ローラ28から離し、ウエハ用テープTの送り量を停止し、弛み量が減少したら再びピンチローラ29を駆動ローラ28にウエハ用テープTを介して接触させて、ウエハ用テープTの送り制御を行うようにしている。このように、ピンチローラ29を駆動ローラ28に、ウエハ用テープTを介して当接・解除の動作を繰り返していると、ウエハ用テープTが変形し、貼り付け後にすじ状の痕として残ることがあるが、本実施例の構造では、ウエハ用テープTの走行時、ウエハ用テープTに接触するピンチローラ29は、大径部29Bが保護シート16に接触するだけで、ダイアタッチフィルム14とダイシングフィルム13は、ピンチローラ29の小径部29Aの領域を通過して、ピンチローラ29とは非接触の状態で送られる。すなわち、ダイアタッチフィルム14とダイシングフィルム13は、ピンチローラ29と接触することなく、テープ供給位置であるテープ供給部25からウエハ貼付位置26まで搬送される。したがって、従来のテープ搬送時に、ピンチローラ29からのダイアタッチフィルム14やダイシングフィルム13に付いていた、すじ状の痕を残す問題をなくすことができるとともに、テープ搬送時に生じ易い変形等もなくなり、品質の向上が期待できる。
【0036】
なお、実施例では、定速搬送機構30におけるピンチローラ29にだけ、ダイアタッチフィルム14とダイシングフィルム13に接触しない小径部29Aを設けた構造を開示したが、ウエハ用テープTを略定速で供給するピンチローラ29以外に、ウエハ用テープTの走行をガイドするガイドローラ、例えばガイドローラ27等に設けても同様な効果が得られるものである。
【0037】
また、
図1に示したテープ貼付装置10の搬送経路系の構造は、ピンチローラ29に、ダイシングフィルム13が通過する通路の領域を跨いで形成してなる、ウエハ用テープTとの接触を避ける小径部29Aを設けた構造であれば、
図1に示した構造以外であってもよいものである。
【0038】
また、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を成すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。