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特開2023-135237マグネットポンプのインペラ脱着用治具及びこれを備えたインペラ脱着用装置
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  • 特開-マグネットポンプのインペラ脱着用治具及びこれを備えたインペラ脱着用装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135237
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】マグネットポンプのインペラ脱着用治具及びこれを備えたインペラ脱着用装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/62 20060101AFI20230921BHJP
【FI】
F04D29/62 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040344
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136825
【弁理士】
【氏名又は名称】辻川 典範
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】牟田 総一郎
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA02
3H130AA22
3H130AA29
3H130AB22
3H130AB42
3H130AC01
3H130BA87C
3H130BA87Z
3H130BA91C
3H130BA91Z
3H130BA95C
3H130BA95Z
3H130DJ08X
3H130EA04C
3H130EA04Z
3H130ED02C
3H130ED02Z
(57)【要約】
【課題】 作業員がインペラに直接触れることなく簡易かつ安全に脱着作業を行なうことが可能なマグネットポンプのインペラ脱着用治具を提供する。
【解決手段】 マグネットポンプのインペラ脱着用治具であって、略円柱状の基軸部11と、基軸部11の外周面に周方向に均等な間隔をあけて放射状に設けられた腕部12~14と、基軸部11に関して腕部12~14が延びる方向とは反対方向に位置するおもり部15と、これら基軸部11及びおもり部15を互いに接続する連結部16とから構成されており、腕部12~14は、それらの末端部が基軸部11の中心軸Oに垂直な同一面上において中心軸Oに向かって120度ずつ中心角のずれた3方向から差し向うように曲がっており、腕部13及び14はそれらの末端部が中心軸Oから離間する方向に伸縮自在になっている。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネットポンプのインペラ脱着用治具であって、略円柱状の金属製の基軸部と、該基軸部の外周面に周方向に均等な間隔をあけて放射状に設けられた3本の金属製の腕部と、該基軸部に関して該3本の腕部が延びる方向とは反対方向に位置する金属製のおもり部と、これら基軸部及びおもり部を互いに接続する金属製の連結部とから構成されており、前記3本の腕部は、それらの末端部が前記基軸部の中心軸に垂直な同一面上において該中心軸に向かって120度ずつ中心角のずれた3方向から差し向うように各々少なくとも1箇所で曲がっており、前記3本の腕部のうちの2本はそれらの末端部が前記中心軸から離間する方向に伸縮自在になっていることを特徴とするインペラ脱着用治具。
【請求項2】
前記3本の腕部の各々の前記末端部の先端には、インペラ側部の開口部分に差し込まれるテーパー形状の爪部が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のインペラ脱着用治具。
【請求項3】
請求項1又は2のインペラ脱着用治具と、これを支持する支持台車とから構成されるマグネットポンプのインペラ脱着用装置であって、前記支持台車は、下面4隅に車輪が設けられた矩形板状の基台部と、前記基台部の上面においてその幅方向中央部から立設する支持部と、前記支持部の上端部に取り付けられており、前記連結部を包むようにして保持する略円筒形状の把持部とから構成されることを特徴とするマグネットポンプのインペラ脱着用装置。
【請求項4】
前記支持台車は前記把持部がその中心軸を含む水平面で2分割された構造になっており、それらの周方向一端部同士の外側に設けた蝶番によって上半分が開閉可能に下半分に接続され、周方向他端部同士の外側に設けた係止手段によって上半分を閉じたときに下半分に固定できることを特徴とする、請求項3に記載のマグネットポンプのインペラ脱着用装置。
【請求項5】
前記支持台車は、前記支持部の上端の高さを調節できる構造を有していることを特徴とする、請求項3又は4に記載のマグネットポンプのインペラ脱着用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マグネットポンプのインペラ脱着用治具及びこれを備えたインペラ脱着用装置に関し、特に、ノンシールポンプとも称される遠心式のマグネットポンプのメンテナンス時等に際して、ケーシング内のインペラを作業員が直接手で触れることなく脱着できるインペラ脱着用治具及びこれを備えたインペラ脱着用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マグネットポンプは、ノンシールポンプとも呼ばれるように軸封部のないシールレス構造であるため、腐食性流体を取り扱う化学工業や引火性流体を取り扱う石油化学工業等のように外部への液漏れが問題になる分野において多用されている。このマグネットポンプの構造には様々なものが提案されているが、いずれも特許文献1、2に示すように、被昇圧流体が流れ込むフロントケーシング内に収納されたインペラ(羽根車)と、該インペラに同芯軸状に接続された内部磁石と、この内部磁石を囲むように同芯軸状に配されている駆動軸側の外部磁石とから構成される。
【0003】
上記の内部磁石は、上記のフロントケーシングに連通するリアケーシングによって、その外側に位置する外部磁石から隔てられているが、該リアケーシングを介して作用する磁力によりこれら内部磁石及び外部磁石は互いに引き付けられているので、モーターの回転駆動に追随してインペラが同期回転するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-285909号公報
【特許文献2】特開平07-238896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記構造のマグネットポンプにおいては、運転条件の変更等に対応させるため、インペラの種類を変更したり接液面の摩耗や腐食によりインペラを交換したりする必要が生じる場合があり、この場合は、例えば図1の分解斜視図で示すような構造のマグネットポンプでは、先ずフロントケーシング1を取り外した後、インペラ2を内部磁石3と共にリアケーシング4から引き抜いたり挿入したりする作業(以下、脱着とも称する)が必要になる。このため、作業者は、インペラ2の側部に指を引っ掛けて前述した互いに引き付けあう磁石同士の磁力に逆らいながらインペラ2をその回転軸方向に徐々に移動させる作業が一般的に必要になる。
【0006】
しかしながら、上記のインペラ2の引き抜きや挿入の途中で作業員の力よりも磁力の方が勝ってしまうと、インペラ2は内部磁石3と共に勢いよくリアケーシング4内の定位置に引き込まれるため、インペラ2の側部に引っ掛けていた指や手がこれらリアケーシング4とインペラ2との間に挟まれる事故が生じるおそれがあった。特にポンプサイズが大型化するに従いインペラ2及び内部磁石3も重量化するので危険性が増すうえ、そもそも大型化すると人力のみでインペラ2及び内部磁石3を移動させるのは困難であった。
【0007】
本発明は上記したマグネットポンプのインペラの脱着作業時に生じうる問題点に鑑みてなされたものであり、作業員がインペラに直接触れることなく簡易かつ安全に脱着作業を行なうことが可能なマグネットポンプのインペラ脱着用治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係るマグネットポンプのインペラ脱着用治具は、略円柱状の金属製の基軸部と、該基軸部の外周面に周方向に均等な間隔をあけて放射状に設けられた3本の金属製の腕部と、該基軸部に関して該3本の腕部が延びる方向とは反対方向に位置する金属製のおもり部と、これら基軸部及びおもり部を互いに接続する金属製の連結部とから構成されており、前記3本の腕部は、それらの末端部が前記基軸部の中心軸に垂直な同一面上において該中心軸に向かって120度ずつ中心角のずれた3方向から差し向うように各々少なくとも1箇所で曲がっており、前記3本の腕部のうちの2本はそれらの末端部が前記中心軸から離間する方向に伸縮自在になっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、マグネットポンプのインペラ脱着作業時において、作業員がインペラに直接触れることなく簡易且つ安全に脱着作業を行なうことが可能になるので、その工業的価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係るインペラ脱着用治具が対象とするマグネットポンプの一具体例の分解斜視図である。
図2】本発明に係るインペラ脱着用治具の一具体例の斜視図である。
図3図2のインペラ脱着用治具の正面図である。
図4図2のインペラ脱着用治具の背面図である。
図5図2のインペラ脱着用治具の右側面図である。
図6図4のインペラ脱着用治具をA-A線で切断した端面図である。
図7図2のインペラ脱着用治具及びその支持台車からなるインペラ脱着用装置を用いてマグネットポンプのインペラを側部から掴持している状態を示す斜視図である。
図8図2のインペラ脱着用治具及びその支持台車からなるインペラ脱着用装置を用いて縦断面図で示すマグネットポンプのインペラを側部から掴持している状態を示す側面図である。
図9図7に示す支持台車の正面図である。
図10図9に示す支持台車が有する2分割構造の把持部の上半分が開閉する様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るマグネットポンプのインペラ脱着用治具の一具体例について図面を参照しながら詳細に説明する。図2~5に示すように、この本発明の一具体例のインペラ脱着用治具10は、後述する支持台車によって中心軸を横向きにして支持される略円柱状の金属製の基軸部11と、この基軸部11の外周面における中心軸O方向の略中央部分に周方向に均等な間隔をあけて放射状に取り付けられた3本の金属製の腕部12~14と、基軸部11に関して3本の腕部12~14が延びる方向とは反対方向に位置する好ましくは円板状の金属製のおもり部15と、これら基軸部11及びおもり部15を互いに接続する好ましくは円管又は丸棒からなる金属製の連結部16とから構成される。
【0012】
上記の3本の腕部12~14は、全て同じ箇所で2回屈曲することで、基軸部11の中心軸Oに対して交差した根元部と、中心軸Oに対して平行な中間部と、中心軸Oに対して直交する末端部とからなる3つの部位が、この順で基軸部11側から繋がった形状を各々有している。これにより、これら3本の腕部12~14の末端部を、基軸部11の中心軸Oに垂直な同一面上において中心軸Oに向かって120度ずつ中心角のずれた3方向から差し向うように配することができる。なお、上記のように、3本の腕部12~14の末端部が基軸部11の中心軸Oに垂直な同一面上において中心軸Oに向かって120度ずつ中心角のずれた3方向から差し向うことができるのであれば、3本の腕部12~14の各々は2回屈曲した形状に限定されるものではなく、1回だけ曲がった形状でもよいし、3回以上曲がった形状でもよい。
【0013】
上記の3本の腕部12~14の各末端部の先端には、中心軸O方向の厚みが先端部に向かうに従って徐々に薄くなるテーパー形状(くさび形状)の爪部17が取り付けられている。この爪部17の材質は、インペラの脱着時にかかる負荷に耐えられる程度の強度を有するものであれば特に限定はないが、少なくとも表面部において硬質ゴムなどのわずかに変形可能な可撓性部材が用いられているのが好ましい。これにより、インペラを傷つけることなくインペラの側部の開口部分に対して密着度を高めることができるので、より確実にインペラを掴むことができる。
【0014】
更に、上記の3本の腕部12~14のうち、2本の腕部13及び14の各々は、根元部の略中間部分に軸方向に伸縮自在な伸縮部18を有している。この伸縮部18は、例えば図6に示すように、一端部に開口部を有する円筒部18aと、該開口部に挿通され、円筒部18a内で往復動可能なロッド部18bと、円筒部18a内においてロッド部18bを囲む形態で収容されたつるまきばね形状のばね部18cとから構成される。
【0015】
上記の円筒部18aの開口部は全周に亘って内側に屈曲することで環状の段差が形成されており、一方、ロッド部18bの先端にはフランジ部が形成されている。そして、これら段差及びフランジ部の互いに対向する環状面にそれぞればね部18cの両端が当接することで、ばね部18cは圧縮状態で円筒部18a内に収容されており、結果的に伸縮部18は収縮方向に付勢された状態で伸長可能になっている。2本の腕部13及び14の各根元部は略中間部分で分断しており、この分断した一方が円筒部18aの開口側とは反対側の端部に同芯軸状に接合しており、他方がロッド部18bに同芯軸状に接合している。これにより、2本の腕部13及び14は、それらの末端部が中心軸Oから離間する方向に伸縮自在になっている。
【0016】
マグネットポンプは、フロントケーシング1内でインペラ2を高速回転させることで、該インペラ2の片面側から吸い込んだ流体を遠心力でインペラ2の側部の全周から放出して昇圧させるものであるため、インペラ2の側部は該流体の放出のために全周に亘って開口している。よって、図7に示すように、マグネットポンプの図示しないフロントケーシングを取り外したときに露出するインペラ2の側部に対して、その回転中心軸に関して120度ずつ中心角のずれた3方向から、上記した構造のインペラ脱着用治具10の3本の腕部12~14の爪部17を差し込んで保持することが可能になる。
【0017】
前述したように、伸縮部18は収縮方向に付勢された状態で伸縮可能になっているので、インペラ2の側部に爪部17を差し込むときは、先ず2本の腕部13、14の伸縮部18を引き伸ばすことで爪部17を基軸部11の中心軸Oから離間させ、この引き伸ばした状態のままインペラ脱着用治具10をインペラ2に近づける。そして、3本の腕部12~14の爪部17がインペラ2の側部に対向したときに、引き伸ばされた状態の伸縮部18を元の状態に戻す。これにより、インペラ脱着用治具10の3本の腕部12~14によってインペラ2を掴むことができる。
【0018】
上記のようにして3本の腕部12~14でインペラ2の側部を掴んだ状態のままインペラ脱着用治具10をインペラ2の回転中心軸方向に引き抜くことで、インペラ2を内部磁石3と共にマグネットポンプから取り外すことができる。なお、インペラ2を内部磁石3と共にマグネットポンプに取り付けるときは、上記の取り外すときとは逆の作業を行なえばよい。このように、本発明の一具体例のインペラ脱着用治具10を用いることで、作業者は手指をインペラ2に直接触れることなく安全且つ容易にインペラ2及び内部磁石3の取り外しや取り付けを行なうことができる。
【0019】
本発明の一具体例のインペラ脱着用治具10は、上記した伸縮部18においてロッド部18bが円筒部18a内で往復動可能な範囲内を限度として種々のインペラの脱着に用いることができるが、この範囲の上限を超える大きなインペラや逆にこの範囲の下限未満の小さなインペラの脱着にも用いることが求められる場合は、それらのインペラに対応できるように、腕部12及び13において、伸縮部18の円筒部18aを含む末端部側を腕の長さが異なるものと交換すればよい。
【0020】
なお、図2に示すインペラ脱着用治具10は、3本の腕部12~14の根元部が基軸部11の中心軸Oに対して同じ角度で傾斜しているが、上記のように2本の腕部13及び14において、末端部側を腕の長さが異なるものと交換する場合は、3本の腕部12~14の根元部が基軸部11の中心軸Oに対して直交する形状を有しているのが好ましい。これにより、2本の腕部13及び14の末端部側を、残る1本の腕部12とは腕の長さが異なるものに交換しても、常にそれらの末端部を基軸部11の中心軸Oに垂直な同一面上に位置させることができる。
【0021】
上記した本発明の一具体例のインペラ脱着用治具10は、図7及び8に示すように支持台車20に支持した状態で脱着作業を行なうのが好ましい。これにより、インペラ及び内部磁石の脱着に際し、作業員はインペラ及び内部磁石のみならず、インペラ脱着用治具10も支持する必要がないので、作業者はインペラ脱着用治具10の3本の腕部12~14の爪部17をインペラの側部に差し込む作業だけに集中することができる。また、インペラ及び内部磁石をマグネットポンプに近づけたり離間させたりするときは、この支持台車20を移動させるだけでよいので、作業性及び安全性が向上する。
【0022】
支持台車20は、下面4隅に車輪が設けられた矩形板状の基台部21と、基台部21の上面においてその幅方向中央部から立設する支持部22と、支持部22の上端部に取り付けられており、インペラ脱着用治具10の連結部16を包むようにして保持する略円筒形状の把持部23とから構成するのが好ましい。この場合、支持台車20は、様々な種類のマグネットポンプに対応できるように、インペラ脱着用治具10を保持する把持部23の高さを調節できるのが好ましい。
【0023】
上記の把持部23の高さを調節する機構については特に限定はなく、例えば図9に示すように、基台部21から立設する2枚の互いに平行な略台形板状の固定部22aと、この2枚の固定部22aの間に挟持された上下方向に移動可能な可動部22bとで支持部22を構成する構造を挙げることができる。この場合、可動部22bは、高さ調節後にその位置が容易に動かないように、例えばボルトナットで固定部22aに固定できるのが好ましい。これは、例えば図7及び8に示すように、可動部22bに縦方向に延在する2個の長孔を横方向に互いに離間させて穿孔し、固定部22aにおいてこれら2個の長孔に重なる位置に、各々同様に縦方向に延在する2個の長孔を穿孔することで実現することができる。あるいは、可動部22bに2個の長孔ではなく縦方向に並ぶ複数個のボルト孔の列を横方向に互いに離間させて穿孔すると共に、固定部22aの各々には、これら2列のボルト孔の列にそれぞれ対応する2か所に長孔ではなくボルト孔を穿孔してもよい。
【0024】
また、上記の支持台車20の把持部23は、図9に示すようにその略円筒形状の中心軸を含む水平面で2分割された構造になっているのが好ましい。これにより、上半分23aを1点鎖線で示すように開閉させることができるので、インペラ脱着用治具10を支持台車20に容易に搭載することができる。上記の上半分23aを開閉させる構造については特に限定はないが、例えば図10に示すように、上半分23aと下半分23bの周方向一端部同士の外側に蝶番24を設けると共に、それらの周方向他端部同士の外側に例えばボルトナットを挿通可能な係止手段25を設けて、上半分23aを閉じたときにこれを下半分23bに固定できる構造が好ましい。
【0025】
上記のおもり部15は、3本の腕部12~14でインペラ及び内部磁石を保持したときや、斜め下方に位置する2本の腕部13及び14に対して、それらの伸縮部18をばね部18cの弾性力に抗して伸長させたときにおいても、インペラ脱着用治具10の重心が不安定になって支持台車20が倒れることのないようにその重さが定められている。なお、前述したように、2本の腕部13及び14を適宜交換して大きなインペラや小さなインペラを着脱するときにインペラ脱着用治具10の重心が不安定になって支持台車20が倒れることのないように、インペラ脱着用治具10は、把持部23で支持される部位を支点とするモーメントを変更するため、重さの異なるおもり部15と交換したり、長さの異なる連結部16と交換したりできる構造でも構わない。
【符号の説明】
【0026】
1 フロントケーシング
2 インペラ
3 内部磁石
4 リアケーシング
10 インペラ脱着用治具
11 基軸部
12~14 腕部
15 おもり部
16 連結部
17 爪部
18 伸縮部
18a 円筒部
18b ロッド部
18c ばね部
20 支持台車
21 基台部
22 支持部
22a 固定部
22b 可動部
23 把持部
23a 上半分
23b 下半分
24 蝶番
25 係止手段
O 中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10