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特開2023-135322画像形成装置、プログラム及び情報処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135322
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】画像形成装置、プログラム及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/32 20060101AFI20230921BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
H04N1/32 144
H04N1/387
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040473
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】洪 源
【テーマコード(参考)】
5C076
【Fターム(参考)】
5C076AA23
(57)【要約】
【課題】原稿画像に対する不正行為を抑制する画像形成装置を提供すること。
【解決手段】原稿画像に埋込画像を合成する画像形成装置であって、埋込画像の斜め可視角度設定を受け付ける設定受付部と、斜め可視角度設定に従って埋込画像の角度を変化させるように埋込画像のデータを処理する角度変形部と、角度を変形させた埋込画像の内容が、予め決められたパターンで描画されるように埋込画像のデータを処理する再描画部と、パターンで描画された埋込画像のデータを原稿画像のデータに合成させる合成部と、を有する画像形成装置であることを特徴とする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿画像に埋込画像を合成する画像形成装置であって、
前記埋込画像の斜め可視角度設定を受け付ける設定受付部と、
前記斜め可視角度設定に従って前記埋込画像の角度を変化させるように前記埋込画像のデータを処理する角度変形部と、
前記角度を変形させた前記埋込画像の内容が、予め決められたパターンで描画されるように前記埋込画像のデータを処理する再描画部と、
前記パターンで描画された前記埋込画像のデータを前記原稿画像のデータに合成させる合成部と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記埋込画像のデータが合成された前記原稿画像のデータに従って前記埋込画像が合成された前記原稿画像を印刷する印刷部、を更に有し、
前記埋込画像が合成された前記原稿画像は、前記埋込画像が前記斜め可視角度設定に従った角度から視認できること
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
再描画部は、前記埋込画像の内容が前記原稿画像に与える影響度を減らす前記パターンで描画されるように前記埋込画像のデータを処理すること
を特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
原稿画像に埋込画像を合成する画像形成装置に、
前記埋込画像の斜め可視角度設定を受け付ける設定受付ステップ、
前記斜め可視角度設定に従って前記埋込画像の角度を変化させるように前記埋込画像のデータを処理する角度変形ステップ、
前記角度を変形させた前記埋込画像の内容が、予め決められたパターンで描画されるように前記埋込画像のデータを処理する再描画ステップ、
前記パターンで描画された前記埋込画像のデータを前記原稿画像のデータに合成させる合成ステップ、
を実行させるためのプログラム。
【請求項5】
情報処理装置と画像形成装置とが通信可能に接続されており、原稿画像に埋込画像を合成する情報処理システムであって、
前記埋込画像の斜め可視角度設定を受け付ける設定受付部と、
前記斜め可視角度設定に従って前記埋込画像の角度を変化させるように前記埋込画像のデータを処理する角度変形部と、
前記角度を変形させた前記埋込画像の内容が、予め決められたパターンで描画されるように前記埋込画像のデータを処理する再描画部と、
前記パターンで描画された前記埋込画像のデータを前記原稿画像のデータに合成させる合成部と、
を有する情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、プログラム及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
原稿画像の無断引用又は不正引用等の不正行為を抑制するために、スタンプ画像、地紋画像、又は透かし画像を原稿画像に合成する技術は、従来から知られている。
【0003】
特許文献1には、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置とプリンタなどの印刷装置を有して構成されるシステムにおいて、複写物の使用などを牽制する地紋画像を含んだ画像をプリントする際の処理について開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、スタンプ画像、地紋画像、又は透かし画像などの埋込画像は、閲覧者の印象を考慮すると、原稿画像に与える影響度が小さいことが望ましい。一方で、スタンプ画像、地紋画像、又は透かし画像などの埋込画像は、原稿画像に合成されたあと、画像処理ソフトで改ざんが容易でないことが望ましい。さらに、スタンプ画像、地紋画像、又は透かし画像などの埋込画像は、原稿画像に合成されたあと、不正利用者が気付き難いことが望ましい。なお、引用文献1は、このような内容について記載されたものではない。
【0005】
本発明の一実施形態は、上記の点に鑑みてなされたもので、原稿画像に対する不正行為を抑制する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の一実施形態は、原稿画像に埋込画像を合成する画像形成装置であって、前記埋込画像の斜め可視角度設定を受け付ける設定受付部と、前記斜め可視角度設定に従って前記埋込画像の角度を変化させるように前記埋込画像のデータを処理する角度変形部と、前記角度を変形させた前記埋込画像の内容が、予め決められたパターンで描画されるように前記埋込画像のデータを処理する再描画部と、前記パターンで描画された前記埋込画像のデータを前記原稿画像のデータに合成させる合成部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、原稿画像に対する不正行為を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る情報処理システムの一例の構成図である。
図2】本実施形態に係る画像形成装置の一例のハードウェア構成図である。
図3】本実施形態に係るコンピュータの一例のハードウェア構成図である。
図4】本実施形態に係る画像形成装置の一例のソフトウェア構成図である。
図5】本実施形態に係る画像形成装置の一例の機能構成を示す図である。
図6】埋込画像の一例のイメージ図である。
図7】角度を変化させた埋込画像の一例のイメージ図である。
図8】予め決められたパターンで再描画された埋込画像の一例のイメージ図である。
図9】斜め可視の機能を利用して埋込画像を合成した原稿画像の一例のイメージ図である。
図10】斜め可視の機能を利用して印刷した原稿の一例のイメージ図である。
図11】本実施形態に係る情報処理システムの処理の一例のフローチャートである。
図12】本実施形態に係る情報処理システムの一例の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
[第一の実施形態]
<システム構成>
図1は本実施形態に係る情報処理システムの一例の構成図である。図1に示す情報処理システム1は画像形成装置10及びユーザ端末12がローカルエリアネットワーク(LAN)及びインターネット等のネットワーク18を介して通信可能に接続されている。
【0011】
画像形成装置10は、印刷機能を備えた電子機器である。画像形成装置10は、例えばプリンタ又はMFP(Multifunction Peripheral)である。MFPは、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、及びファックス機能等の機能を有する複合機である。
【0012】
本実施形態に係る画像形成装置10はプリントアプリケーションなどのプログラムを実行する。画像形成装置10はプログラムを実行することでプリント機能などの各種機能を実現する。
【0013】
ユーザ端末12はユーザが操作する情報処理端末の一例である。ユーザ端末12は例えばノートPC、デスクトップPC、ウェアラブルPC、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDAなどである。ユーザは、ユーザ端末12を操作して画像形成装置10に印刷ジョブを送信し、その印刷ジョブに従った印刷処理を画像形成装置10に実行させることができる。なお、図1の情報処理システム1の構成は一例である。
【0014】
<ハードウェア構成>
《画像形成装置》
情報処理システム1に含まれる画像形成装置10は例えば図2に示すハードウェア構成である。図2は本実施形態に係る画像形成装置の一例のハードウェア構成図である。図2に示すように、画像形成装置10は制御装置300、操作表示装置302、画像入力装置304、画像出力装置306、1次記憶装置308、2次記憶装置310、及び外部通信装置312を備えている。制御装置300は、CPU(Central Processing Unit)320及びROM(Read Only Memory)322を備えている。
【0015】
制御装置300は2次記憶装置16から1次記憶装置15に読み出されたプログラムを実行することにより、画像形成装置10の全体の動作を制御する。画像形成装置10が実行するプログラムには、後述するソフトウェア群のアプリ層、サービス層、及びハンドラ層に属する各種ソフトウェアが含まれる。
【0016】
なお、制御装置300が実行するプログラムは、予め2次記憶装置310に記憶しておいて提供してもよいし、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルを記録した画像形成装置10が読み取り可能な記録媒体で提供してもよい。画像形成装置10が読み取り可能な記録媒体は、CD-ROM、メモリカード、CD-R、DVD(Digital Versatile Disc)等である。
【0017】
また、制御装置300が実行するプログラムは、外部通信装置312を介して通信可能な別の画像形成装置10又は別のコンピュータからダウンロードさせることで提供してもよい。
【0018】
操作表示装置302は、情報を表示する液晶ディスプレイと、ユーザからの操作を受け付けるハードウェアスイッチ又はタッチパネル等の入力装置と、を備える。画像入力装置304は、紙媒体に印刷されている画像のデータをスキャナ機能によって入力する装置である。また、画像出力装置306は、ジョブ情報に従って画像のデータをプリンタ機能により印刷出力する装置である。1次記憶装置308は、制御装置300のワークエリアとして機能するRAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶装置である。2次記憶装置310は、プログラム及びデータ等を記憶する不揮発性記憶装置である。2次記憶装置310は例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はメモリカード等である。外部通信装置312は、ネットワーク18を介してユーザ端末12等とデータ通信を行う装置である。
【0019】
《コンピュータ》
ユーザ端末12は例えば図3に示すハードウェア構成のコンピュータ500により実現される。図3は本実施形態に係るコンピュータの一例のハードウェア構成図である。図3のコンピュータ500はCPU501、ROM502、RAM503、HD504、HDDコントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F(Interface)508、ネットワークI/F509、データバス510、キーボード511、ポインティングデバイス512、DVD-RWドライブ514、及びメディアI/F516を備えている。
【0020】
CPU501は、コンピュータ500全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。
【0021】
ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのI/Fである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ又は画像形成装置10等である。ネットワークI/F509は、ネットワーク18を利用してデータ通信をするためのI/Fである。データバス510は、CPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0022】
キーボード511は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力装置の一例である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力装置の一例である。DVD-RWドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD-RW513は一例であって、DVD-R等であってもよい。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0023】
<画像形成装置のソフトウェア構成>
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の一例のソフトウェア構成図である。画像形成装置10は、エンジン241及びハードウェア資源242を利用して各種の動作を実現するためのソフトウェア群200を有する。
【0024】
ソフトウェア群200は、UNIX(登録商標)等のOS上で動作するアプリ層200aと、サービス層200bと、ハンドラ層200cと、を含む。アプリ層200aに対して各種機能を提供するプラットフォーム200eは、サービス層200bと、ハンドラ層200cと、ハード層200dと、を含む。
【0025】
さらに、プラットフォーム200eは、予め定義された関数等によりアプリ層200aからの処理要求を受信するAPI(Application Program Interface)251と、エンジンI/F252と、を含む。エンジンI/F252は、ソフトウェア群200からエンジン241及びハードウェア資源242への駆動指令を受信する。
【0026】
アプリ層200aは、ユーザが操作するアプリケーションで構成されるソフトウェア群を含む。アプリ層200aに含まれるソフトウェアは、画像形成装置10の操作表示装置302に対するユーザの操作に従って、プラットフォーム200eに要求を行い、各アプリケーションの機能を実行する。例えばアプリ層200aは、プリンタアプリ201、コピーアプリ202、ファックスアプリ203、スキャナアプリ204、及びネットファイルアプリ205を含む。
【0027】
サービス層200bは、画像形成装置10が備える画像入力機能、画像出力機能、画像処理機能、及び外部通信機能等の各種機能を制御するソフトウェア群を含む。サービス層200bは、NCS(Network Control Service)211、OCS(Operation Panel Control Service)212、FCS(Fax Control Service)213、MCS(Memory Control Service)214、ECS(Engine Control Service)215、DCS(Delivery Control Service)216、CCS(Certification and Charge Control Service)217、LCS(Log Control Service)218、UCS(User Information Control Service)219、及びSCS(System Control Service)220等の1以上のサービスモジュールを含む。
【0028】
NCS211は、ネットワークI/Oを必要とするアプリケーションが共通に利用できるサービスである。NCS211は、ネットワーク側から各プロトコルによって受信したデータの各アプリケーションへの振り分け、および、各アプリケーションからのデータをネットワーク側に送信する際の仲介を行う。
【0029】
OCS212は、ユーザが入力操作を行う操作表示装置302の制御(例えば、タッチパネルの動作制御)を行うサービスである。FCS213は、アプリ層200aからPSTN(Public Switched Telephone Networks)又はISDN(Integrated Services Digital Network)網を利用したファックスの送受信、バックアップ用のメモリで管理されている各種ファックスデータの登録及び引用、ファックスの読み取り、並びにファックスの受信印刷等を行うためのAPIを提供するサービスである。
【0030】
MCS214は1次記憶装置308及び2次記憶装置310のメモリ制御を行うサービスである。ECS215は、エンジン241及びハードウェア資源242を含むハード層200dの制御を行うサービスである。DCS216は、蓄積文書の配信等の制御を行うサービスである。CCS217は、認証及び課金に関する制御を行うサービスである。LCS218は、ログ情報の管理及び保持を行うサービスである。UCS219は、ユーザ情報の管理を行うサービスである。
【0031】
SCS220は、アプリケーション管理、操作表示装置302の制御、システム画面の表示制御、ハードウェア資源242の管理、及び割り込みアプリケーションの制御等の処理を行うサービスである。
【0032】
さらに、サービス層200bは、SRM(System Resource Manager)221を含んでいる。SRM221は、SCS220と共にシステムの制御、並びにエンジン241及びハードウェア資源242の管理を行うソフトウェアである。例えばSRM221は、エンジン241及びハードウェア資源242を利用する上位層からの獲得要求に従って調停を行い、実行制御を行う。
【0033】
具体的には、SRM221は、獲得要求の対象であるハードウェア資源242が利用可能であるかを判定し、利用可能であれば、ハードウェア資源242が利用可能である旨を上位層に通知する。また、SRM221は、上位層からの獲得要求に対してハードウェア資源242を利用するためのスケジューリングを行い、要求内容(例えば、プリンタエンジンによる紙搬送、作像動作、メモリ確保、及びファイル生成等)を実行する。
【0034】
ハンドラ層200cは、1次記憶装置308及び2次記憶装置310に対するデータの記憶及びデータの読み出しの制御、並びに、ハード層200dに属するエンジン241及びハードウェア資源242の制御を行うソフトウェア群を含む。例えばハンドラ層200cは、FCUH(Facsimile Control Unit Handler)231と、IMH(Image Memory Handler)232と、MEU(Media Edit Utility)233と、を含む。
【0035】
FCUH231はハード層200dに含まれるファックス機能を制御する制御ユニットの管理を行う。IMH232は、プロセスに対するメモリの割り振りおよびプロセスに割り振ったメモリの管理を行う。MEU233は、ハード層200dと接続されて、ハードウェア資源242に含まれるMLB(Media Link Board)等を制御する。
【0036】
ハード層200dは、図2に示すように、エンジン241と、ハードウェア資源242とを含む。例えばエンジン241は、プロッタ及びスキャナ等を制御するハードウェア資源である。また、ハードウェア資源242は、エンジン241以外のハードウェア資源である。
【0037】
<機能構成>
図5は、本実施形態に係る画像形成装置の一例の機能構成を示す図である。図5に示す画像形成装置10は、設定受付部100、ジョブ受付部102、設定記憶部104、角度変形部106、埋込画像記憶部108、再描画部110、パターン記憶部112、合成部114、及び印刷部116を有する。これら各機能は、1以上のプログラムが、制御装置300に実行させる処理により実現される。
【0038】
設定受付部100は、埋込画像に関する設定を受け付ける。埋込画像に関する設定には斜め可視の機能を利用するために必要な各種パラメータが含まれる。各種パラメータには埋込画像の斜め可視角度設定が含まれる。また、各種パラメータには後述の再描画で利用するパターンの指定が含まれていてもよい。
【0039】
埋込画像に関する設定は、操作表示装置302を操作するユーザから受け付けるようにしてもよいし、ユーザ端末12から受信した印刷等のジョブ情報から受け付けるようにしてもよい。設定受付部100が受け付けた埋込画像に関する設定は、設定記憶部104が記憶する。
【0040】
また、ジョブ受付部102は、ユーザ端末12から受信した印刷等のジョブ情報を受け付ける。ジョブ受付部102は、ユーザ端末12から受信したジョブ情報を2次記憶装置310に記憶しておき、操作表示装置302を操作するユーザからの印刷等の指示により印刷等のジョブ情報を受け付けてもよい。
【0041】
角度変形部106は、斜め可視の機能を利用する場合、埋込画像記憶部108が記憶している例えば図6に示すような埋込画像のデータを読み出す。図6は埋込画像の一例のイメージ図である。図6の埋込画像はスタンプ画像の一例である著作権画像である。
【0042】
また、角度変形部106は埋込画像に関する設定に含まれている埋込画像の斜め角度設定を設定記憶部104から読み出す。角度変形部106は読み出した埋込画像の斜め角度設定に従って、図6の埋込画像の角度を図7の埋込画像のように変化させるように画像処理を行う。図7は角度を変化させた埋込画像の一例のイメージ図である。図7の埋込画像はユーザが原稿を見る通常の角度(例えば原稿面の真上方向など)からの埋込画像の視認がし難くなるように画像処理が行われている。
【0043】
パターン記憶部112は予め決められたパターンのデータが記憶されている。パターン記憶部112が記憶している予め決められたパターンは、原稿画像と合成した場合、通常の角度から見ても埋込画像が目立たないパターンである。再描画部110は、パターン記憶部112に記憶されている予め決められたパターンのデータを読み出す。
【0044】
再描画部110は、角度変形部106が角度を変化させた埋込画像を、パターン記憶部112から読み出したパターンで例えば図8のように再描画する画像処理を行う。図8は予め決められたパターンで再描画された埋込画像の一例のイメージ図である。なお、図8では見やすくするために実際よりも濃く記載している。予め決められたパターンで再描画された埋込画像は、再描画される前の埋込画像よりも、合成した場合の原稿画像への影響度が少ない。
【0045】
合成部114は、再描画部110が再描画した図8のような埋込画像を、ジョブ情報に含まれる原稿画像に例えば図9のように合成させる画像処理を行う。図9は斜め可視の機能を利用して埋込画像を合成した原稿画像の一例のイメージ図である。斜め可視の機能を利用して埋込画像を合成した原稿画像は、例えば図9に示すように、ユーザが原稿を見る通常の角度からの埋込画像の視認がし難いため、埋込画像を目立たせずに原稿画像へ合成できる。また、斜め可視の機能を利用して埋込画像を合成した原稿画像は例えば図9に示すように、ユーザが原稿を見る通常の角度からの埋込画像の視認がし難いため、不正利用者が気付き難い。さらに、斜め可視の機能を利用して埋込画像を合成した原稿画像は例えば図9に示すように、改ざんが容易でない。
【0046】
印刷部116は、合成部114が埋込画像を合成した原稿画像のデータに従って印刷処理を行う。なお、斜め可視の機能が利用されない印刷のジョブ情報の場合、印刷部116は合成部114から、ジョブ受付部102が受け付けたジョブ情報に含まれる原稿画像のデータを受信して印刷処理を行ってもよい。
【0047】
斜め可視の機能が利用された場合、印刷部116は例えば図10に示すような原稿を印刷する。図10は斜め可視の機能を利用して印刷した原稿の一例のイメージ図である。
【0048】
例えば図10(A)の原稿は、ユーザが原稿を見る通常の角度(点線矢印の方向)から見た場合、埋込画像が薄く見えるため、視認し難い。また、図10(A)の実線矢印はユーザが斜め可視角度設定の角度から原稿を見ている様子を示している。
【0049】
図10(A)に示した実線矢印の角度から原稿を見たユーザは例えば図10(B)に示すように、濃く見えるようになった埋込画像を視認できる。なお、図10(B)では原稿画像を省略している。
【0050】
<処理>
次に、本実施形態に係る情報処理システム1の処理の詳細について説明する。図11は本実施形態に係る情報処理システムの処理の一例のフローチャートである。ここでは斜め可視の機能を利用する印刷のジョブ情報をユーザ端末12から画像形成装置10が受信した場合の処理について説明する。
【0051】
ステップS10において、画像形成装置10はユーザ端末12から印刷のジョブ情報を受け付ける。ステップS12において、画像形成装置10は受け付けた印刷のジョブ情報から埋込画像に関する設定を読み出す。ステップS14において、画像形成装置10は読み出した埋込画像に関する設定に従って、斜め可視の機能を利用する印刷のジョブ情報であるか否かを判定する。
【0052】
斜め可視の機能を利用する印刷のジョブ情報でなければ、画像形成装置10はステップS26の処理に進み、受け付けた印刷のジョブ情報に従って印刷処理を行う。斜め可視の機能を利用する印刷のジョブ情報であれば、画像形成装置10はステップS16の処理に進む。
【0053】
ステップS16において、画像形成装置10は例えば図6に示す埋込画像のデータを読み出す。ステップS18において、画像形成装置10は埋込画像に関する設定に含まれている埋込画像の斜め角度設定を読み出す。画像形成装置10は読み出した埋込画像の斜め角度設定に従って、図6の埋込画像の角度を図7の埋込画像のように変化させる画像処理を行う。
【0054】
ステップS20において、画像形成装置10は予め決められたパターンのデータを読み出す。ステップS22において、画像形成装置10はステップS18で角度を変化させた埋込画像を、読み出したパターンで例えば図8のように再描画する画像処理を行う。
【0055】
ステップS24において、画像形成装置10はステップS22で再描画した図8のような埋込画像を、ジョブ情報に含まれる原稿画像に例えば図9のように合成させる画像処理を行う。ステップS26において、画像形成装置10はステップS26で埋込画像を合成した原稿画像のデータに従って印刷処理を行う。
【0056】
したがって、本実施形態に係る情報処理システム1によれば、原稿画像への影響が少ない埋込画像であって、不正利用者が気付き難く、改ざんも容易でない埋込画像を原稿画像に合成できる。また、本実施形態に係る情報処理システム1の埋込画像は、複製しても原稿に残る埋込画像である。さらに、本実施形態に係る情報処理システム1の埋込画像は斜め可視角度設定の角度から原稿を見ることで視認し易くなる。したがって、本実施形態に係る情報処理システム1によれば、原稿画像に対する不正行為を抑制できる。
【0057】
[他の実施形態]
上記の実施形態では斜め可視の機能に関する処理を画像形成装置10が行う例を説明したが、例えば図12の情報処理システム1に示したサービス提供システム2の情報処理装置14が行ってもよい。
【0058】
図12は本実施形態に係る情報処理システムの一例の構成図である。図12図1の情報処理システム1にサービス提供システム2が追加された構成である。サービス提供システム2は1台以上の情報処理装置14を含む構成である。サービス提供システム2は例えばクラウドサービスを提供するコンピュータシステムであってもよい。
【0059】
サービス提供システム2の情報処理装置14は、第1の実施形態の画像形成装置10が行っていた斜め可視の機能に関する処理を実行する。例えば情報処理装置14はユーザ端末12から印刷等のジョブ情報を受信する。
【0060】
情報処理装置14は、第1の実施形態の画像形成装置10が行っていた斜め可視の機能に関する画像処理を行い、斜め可視の機能に関する画像処理により埋込画像を合成した原稿画像のデータを画像形成装置10に送信する。したがって、画像形成装置10は図10のような原稿を印刷できる。
【0061】
なお、サービス提供システム2の情報処理装置14は、画像形成装置10から印刷等のジョブ情報を受信して、第1の実施形態の画像形成装置10が行っていた斜め可視の機能に関する画像処理を行い、斜め可視の機能に関する画像処理により埋込画像を合成した原稿画像のデータを画像形成装置10に送信するようにしてもよい。
【0062】
本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。上記で説明した本実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【符号の説明】
【0063】
1 情報処理システム
2 サービス提供システム
10 画像形成装置
12 ユーザ端末
14 情報処理装置
18 ネットワーク
100 設定受付部
106 角度変形部
110 再描画部
114 合成部
116 印刷部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0064】
【特許文献1】特開2010-152912号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
図10
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図12