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特開2023-135333生体磁気計測装置、生体磁気計測システム、及び生体磁気計測方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135333
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】生体磁気計測装置、生体磁気計測システム、及び生体磁気計測方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/242 20210101AFI20230921BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
A61B5/242
A61B6/00 350P
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040488
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】栗原 春香
(72)【発明者】
【氏名】岡田 吉智
(72)【発明者】
【氏名】久保田 寛
(72)【発明者】
【氏名】稲本 慎
(72)【発明者】
【氏名】島 信広
【テーマコード(参考)】
4C093
4C127
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093CA37
4C093EB05
4C093EB13
4C093FF13
4C093FF35
4C093FF37
4C127AA10
4C127BB05
4C127HH13
(57)【要約】
【課題】生体磁気計測において、生体磁気検出結果と形態画像を重畳する際の位置合わせ精度を向上する。
【解決手段】生体磁気計測装置は、生体磁気検出部と、前記生体磁気検出部で検出可能な第1マーカと、放射線源と、前記放射線源と対向して設けられる放射線検出器と、前記放射線源と前記放射線検出器とにより撮像可能第2マーカとを備え、前記第1マーカと前記第2マーカの位置情報は既知または取得可能である。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体磁気検出部と、
前記生体磁気検出部で検出可能な第1マーカと、
放射線源と、
前記放射線源と対向して設けられる放射線検出器と、
前記放射線源と前記放射線検出器とにより撮像可能な第2マーカと、
を備え、前記第1マーカと前記第2マーカの位置情報は既知または取得可能であることを特徴とする生体磁気計測装置。
【請求項2】
前記第1マーカは前記生体磁気検出部で検出可能な第1領域に設けられ、
前記第2マーカは、前記放射線源と前記放射線検出器の位置関係で決まる撮像可能な第2領域に設けられ、
前記第1領域と前記第2領域は一部重なり合う、
請求項1に記載の生体磁気計測装置。
【請求項3】
前記生体磁気検出部の磁気検出面または前記放射線検出器の撮像面と平行な二次元面内で、前記第1領域の面積は前記第2領域の面積よりも小さく、前記第2マーカは、前記第1領域の外、かつ前記第2領域の中に設けられている、
請求項2に記載の生体磁気計測装置。
【請求項4】
前記第2マーカは、所定距離離れた2つのマーカを含み、前記2つのマーカの座標位置または中心間距離は既知である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の生体磁気計測装置。
【請求項5】
前記第2マーカは、所定の長さの線状または棒状のマーカであり、前記第2マーカの長さは既知である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の生体磁気計測装置。
【請求項6】
前記生体磁気検出部の少なくとも一部を収容する空間を有するベッドと、
前記空間をまたいで前記生体磁気検出部と対向するブリッジと、
を有し、前記第1マーカと前記第2マーカは前記ブリッジに設けられている、
請求項1から5のいずれか一項に記載の生体磁気計測装置。
【請求項7】
前記ブリッジは、前記生体磁気検出部に対向する本体と、前記本体から延びる平坦部とを有し、前記第1マーカは前記本体に設けられ、前記第2マーカは前記平坦部に設けられている、
請求項6に記載の生体磁気計測装置。
【請求項8】
前記ブリッジは、生体磁気検出部に対向する本体を有し、前記第1マーカは前記本体の中央またはその近傍に設けられ、前記第2マーカは前記本体の端部に設けられる、
請求項6に記載の生体磁気計測装置。
【請求項9】
前記放射線源はX線照射源であり、前記第2マーカは前記第1マーカよりもX線透過率が低い、
請求項1から8のいずれか一項に記載の生体磁気計測装置。
【請求項10】
前記第1マーカはコイルパターンを有するフレキシブルプリント回路である、
請求項1から9のいずれか一項に記載の生体磁気計測装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の生体磁気計測装置と、
前記生体磁気計測装置に接続される情報処理装置と、
前記情報処理装置に設けられる、あるいは前記情報処理装置に接続される表示装置と、
を含み、
前記情報処理装置は、前記生体磁気検出部で得られた生体磁気計測結果と、前記放射線源及び前記放射線検出器により得られた撮像結果とを合成し、合成結果を前記表示装置に表示する、
生体磁気計測システム。
【請求項12】
計測部位の生体磁場と、磁気計測領域内に設けられた第1マーカからの磁場を含む磁場データを取得し、
前記計測部位と、撮像領域内に設けられた第2マーカとを含む形態画像を取得し、
前記第1マーカと前記第2マーカの位置情報に基づいて、前記磁場データと前記形態画像を重畳する、
生体磁気計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体磁気計測装置、生体磁気計測システム、及び、生体磁気計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脊磁計による生体磁気計測結果は、骨や神経の位置関係に関する情報を持たないため、生体磁気の計測結果に基づく磁場分布または再構成された電流源分布に、形態画像を重ね合わせる必要がある。生体磁気計測結果と形態画像を重ね合わせるには、生体磁気検出部の座標系で既知の点(印、マークなど)が形態画像に写っている必要がある。生体磁気検出部の座標系で位置が既知の点として、マーカコイルが用いられることがある。
【0003】
画像診断結果と生体磁気計測結果を精度よく重ね合わせるために、被検体を架台から動かさずに、電磁石コイルをマーカとして放射線撮像と生体磁気計測を行う生体磁気計測装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。また、超音波画像を利用して、磁場計測時の神経の位置と磁気センサとの位置関係を特定する生体磁気計測装置が知られている(たとえば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
磁気センサの検出領域内に設けたマーカコイルを、形態画像の位置合わせ用マーカとして用いる場合、計測部位の骨や関節等の像とマーカコイルの像が重なって、マーカコイルの位置判別が困難になる場合がある。マーカコイルを計測部位と抵触しない位置、すなわち磁気検出領域の境界近くに配置すると、マーカコイルから発生する磁場が十分に検出されず、マーカコイルの位置推定精度が悪くなる。その結果、生体磁気計測結果と形態画像の位置合わせ精度が低下する。
【0005】
本発明は、生体磁気計測において、生体磁気計測結果を重畳する際の位置合わせ精度を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、生体磁気計測装置は、
生体磁気検出部と、
前記生体磁気検出部で検出可能な第1マーカと、
放射線源と、
前記放射線源と対向する位置に設けられる放射線検出器と、
前記放射線源と前記放射線検出器とにより撮像可能な第2マーカと、
を備え、前記第1マーカと前記第2マーカの位置情報は既知または取得可能である。
【発明の効果】
【0007】
生体磁気計測において、生体磁気計測結果を重畳する際の位置合わせ精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】実施形態の生体磁気計測装置の磁気計測時の側面図である。
図1B】実施形態の生体磁気計測装置の磁気計測時の正面図である。
図2A】実施形態の生体磁気計測装置の放射線撮像時の側面図である。
図2B】実施形態の生体磁気計測装置の放射線撮像時の正面図である。
図3】ブリッジに設けられる第1マーカと第2マーカの一例を示す図である。
図4A】ブリッジに設けられる第1マーカと第2マーカの別の例を示す図である。
図4B図4Aの配置における第1領域と第2領域の位置関係の例を示す図である。
図4C図4Aの配置における第1領域と第2領域の位置関係の別の例を示す図である。
図5】ブリッジに設けられる第1マーカと第2マーカの別の例を示す図である。
図6】ブリッジに設けられる第1マーカと第2マーカの別の例を示す図である。
図7】ブリッジの変形例を示す図である。
図8A】実施形態の生体磁気計測システムの磁気計測時の模式図である。
図8B】実施形態の生体磁気計測システムの放射線撮像時の模式図である。
図9】情報処理装置の機能ブロック図である。
図10】実施形態の生体磁気計測方法のフローチャートである。
図11】実施形態の生体磁気計測方法のより詳細なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態では、生体磁気検出部で得られた生体磁気計測結果と、放射線撮像された画像とを重ね合わせる際の位置合わせ精度を向上するために、2種類のマーカを用いる。すなわち、生体磁気検出部で検出可能な第1マーカと、放射線撮像が可能な第2マーカを用いる。第1マーカは生体磁気検出が可能な第1領域に設けられ、第2マーカは放射線撮像が可能な第2領域に設けられる。第1領域と第2領域は重なり合う部分を有する。第1マーカと第2マーカの位置情報は既知または取得可能である。位置情報が「既知または取得可能」というのは、何らかの方法で位置情報が知り得る状態にあることをいう。位置情報には、空間座標系における第1マーカと第2マーカの座標位置、相対的な位置関係などが含まれる。事前に計測した第1マーカと第2マーカの座標、位置関係などの情報を任意の記憶手段、保存テーブル等に保存しておいてもよいし、クラウドから、あるいはネットワークを介して外部から取得してもよい。第1マーカと第2マーカの座標や位置関係は、設計上の理想値であってもよいし、実測された値であってもよい。設計値と実測値の相違が許容される誤差を超える場合は、差分を補正情報として用いてもよい。
【0010】
生体磁気検出部で検知される第1マーカと、放射線画像に写る第2マーカとの位置情報を知り得る状態にしておくことによって、放射線画像上で第1マーカの位置判別が困難な場合でも、生体磁気検出結果と放射線画像との位置合わせ精度を向上できる。以下で実施形態の生体磁気計測の詳細を説明する。以下の記載で、同じ構成要素に同じ符号を付けて、重複する説明を控える場合がある。また、放射線撮影された生体部位の画像を「形態画像」と呼ぶ。
【0011】
<生体磁気計測装置の基本構成>
図1Aは、実施形態の生体磁気計測装置10の磁気計測時の側面図、図1Bは、生体磁気計測装置10の磁気計測時の正面図である。図1A及び図1Bの空間座標系として、被計測者Sが横たわる面内をX-Y面、X-Y面に垂直な高さ方向をZ方向、被計測者Sが横たわるベッド13の幅方向をX方向、長さ方向をY方向とする。
【0012】
生体磁気計測装置10は、生体磁気検出部12と、生体磁気検出部12で検出可能な第1マーカM1と、放射線源5から出射される放射線で撮像可能な第2マーカM2と含む。第1マーカM1は、生体磁気検出部12で検出可能な第1領域120の内部に設けられ、第2マーカM2は、第1領域120の外側に設けられている。図1の生体磁気計測空間に、被計測者Sを支持するベッド13が置かれている。ベッド13は、被計測者Sの計測部位(たとえば、頸部)よりも頭側を支持する第1部分131と、計測部位よりも尾側を支持する第2部分132を有していてもよい。第1部分131と第2部分132の間には、生体磁気検出部12を収容する空間135が設けられている。ベッド13の第1部分131と第2部分132の少なくとも一方に、空間135をまたぐブリッジ14が設けられている。
【0013】
ブリッジ14の位置や数は図1Aの例に限定されず、図1Aの配置に替えて、あるいは図1Aの配置に加えて、ベッド13の被計測者Sの腰部に対応する位置にブリッジが設けられてもよい。その場合、ブリッジの下方に収容される生体磁気検出部12は、たとえば馬尾神経活動に起因する生体磁気を被計測者Sの腰部の皮膚表面から検出する。
【0014】
ブリッジ14の上方、すなわち生体磁気検出部12の上方に、放射線を照射する放射線源5が設置されている。放射線源5は生体を透過する放射線を出射する。放射線として、X線、α線、β線、γ線の他、これらの同等のエネルギーを持つ粒子ビームを用いることができる。ブリッジ14は、放射線源5から出射される放射線に対して透明であり、かつ、生体磁気計測と抵触しない非磁性材料で形成されている。ブリッジ14を放射線透過率の高い材料で形成することで、被計測者Sへの放射線量を低減することができる。放射線源5は、ブリッジ14の位置または照射位置に応じて、照射位置、照射角度等が可変に設置されていてもよい。
【0015】
ブリッジ14は、生体磁気検出部12の近傍に位置するため、非磁性体で形成されている。ジョンソンノイズ(熱雑音)の影響を抑制する観点から、ブリッジ14は非金属であることが望ましい。さらに、被計測者Sの計測部位を支えるため、ある程度の機械的強度をもち、計測部位の形状に沿った外形を持つことが望ましい。ブリッジ14は、たとえばガラス繊維強化樹脂(GFRP:Glass Fiber Reinforced Plastic)、ポリカーボネート、セラミクス等で形成され、射出成型、切削加工等で所望の形状に加工される。
【0016】
ブリッジ14に、第1マーカM1と第2マーカM2が埋め込まれている。第1マーカM1は、ブリッジ14のほぼ中央部に設けられ、電流の印加により磁場を発生する。第1マーカM1は、たとえばコイル形状にパターニングされた非磁性金属材料で形成されており、当該コイルに電流を印加することで、生体磁気検出部12で検出される磁気マーカとして機能する。空間座標系における第1マーカの座標位置は既知または取得可能である。
【0017】
第1マーカM1は、ブリッジ14の中央部分に設けられてもよいし、生体磁気検出部12で磁場が感度良く検知される限り、ブリッジ14の中央以外の位置に設けられてもよい。第1マーカM1として、配線をコイル状に巻いたものを用いてもよい。第1マーカM1がブリッジ14の曲面に設けられる場合は、フレキシブルプリント回路(FPC)基板に形成されたコイルパターンであってもよい。
【0018】
第2マーカM2は、生体磁気計測の妨げにならず、かつ、放射線源5を用いた放射線撮像が可能な場所、たとえば、ブリッジ14の端部に設けられている。放射線源5の放射線に対する第2マーカM2の透過率は、第1マーカM1の放射線透過率よりも低く、放射線マーカとして機能する。第2マーカM2は、たとえば非磁性の金属球、金属パターン等で形成されている。第2マーカM2は、生体磁気検出部12の検出領域である第1領域120の外側に設けられていてもよい。空間座標系における第2マーカM2の座標位置、あるいは、第1マーカM1に対する第2マーカMの相対位置は既知または取得可能である。第1マーカM1と第2マーカM2は、被計測者Sと接触しないように、ブリッジ14の下面、すなわち、生体磁気検出部12と対向する面の近傍に設けられる。
【0019】
ブリッジ14と対向する位置に、生体磁気検出部12の磁気センサアレイ121が設けられている。磁気センサアレイ121は、ブリッジ14に載せられた被計測者Sの計測部位から発せられる生体磁場を検知する。計測部位が頸部の場合は、生体磁気検出部12とブリッジ14の互いに対向する面は、ヒトの頸部の後側に即した形状に形成され、頸髄の神経活動に伴って発生する磁界を、磁気センサアレイ121で検出する。生体磁気検出部2とブリッジ14が隙間なく密着できるように、ブリッジ14は生体磁気検出部12の表面形状に沿った形状をしているのが望ましい。被計測者Sの計測部位と生体磁気検出部12との距離が短いほど、計測部位から発せられる生体磁気信号を、少ない減衰で検知することができるが、機械的強度との兼ね合いで、ブリッジ14の厚みは適切に設定されている。
【0020】
磁気センサアレイ121は、たとえば、温度調整機能を有する断熱容器内に固定されている。磁気センサアレイ121を構成する磁気センサとして、超電導量子干渉計(SQUID:Superconducting Quantum Interference Device)ほか、磁気抵抗(MR:Magneto Resistive)センサ、磁気インピーダンス(MI:Magneto-Impedance)センサ、常温磁気センサとして知られる光ポンピング原子磁気センサ(OPAM:Optically Pumped Atomic Magnetometer)などを利用することができる。
【0021】
SQUIDセンサを利用する場合、磁気センサアレイ121はクライオスタッドと呼ばれる断熱容器内に収められて極低温に冷却される。液体ヘリウムによる冷却が不要な磁気センサを用いる場合は、断熱容器以外のセンサ格納容器を用いてもよい。生体磁気検出部12は、磁場変動の影響を最小限にするために、測定空間内での位置が固定されていてもよい。
【0022】
空間座標系での位置情報が既知または取得可能である第1マーカM1と第2マーカM2を別々に設けることで、生体磁気計測結果と、放射線撮像で得られた形態画像を精度よく重ね合わせることができる。生体磁気計測結果と形態画像の重ね合わせについては後述する。
【0023】
図2Aは、実施形態の生体磁気計測装置10の放射線撮像時の側面図、図2Bは、生体磁気計測装置10の放射線撮像時の正面図である。図2A及び図2Bの空間座標系は、図1A及び図1Bの空間座標系と同じである。生体磁気計測装置10は、放射線源5から出射される放射線に感度をもつ放射線検出器16を含む。生体磁気検出部12による生体磁気計測と、放射線撮像との順序は、どちらが先でもよい。
【0024】
ベッド13は昇降機構を備えており、放射線撮像を行うときに、ベッド13は+Z方向に上昇する。ベッド13の上昇により、ベッド13に固定されたブリッジ14も上昇し、生体磁気検出部12とブリッジ14の間に空隙ができる。この空隙に、放射線検出器16を設置する。たとえば、ベッド13の第1部分131と第2部分132の間に、放射線検出器16を取り付けるマウント19が設けられ、放射線検出器16はマウント19にセットされる。
【0025】
X線撮影の場合、放射線検出器16はフラットパネルディテクタ(FPD)であってもよい。FPDは、被計測者Sを透過したX線を個々の素子で検知し、X線の線量に応じた電気信号を出力する。FPDに替えて、輝尽性蛍光体が塗布されたフィルムを用いるイメージングプレートを用いてもよい。後者の場合、被計測者Sを透過した放射線のエネルギーが輝尽性蛍光体に蓄積される。撮像後に特定波長の光または電磁波を照射し、その刺激で生じる閃光の量に応じた電気信号が取得される。
【0026】
放射線検出器16がマウント19にセットされたら、放射線源5と放射線検出器16で決定される撮像領域である第2領域150で、計測部位を撮像する。計測部位の放射線画像には、ブリッジ14に設けられた第1マーカM1と第2マーカM2の像も含まれる。第1マーカM1がブリッジ14の中央部に設けられている場合、計測部位の骨や関節に第1マーカM1の画像が重なって、第1マーカM1がはっきりと特定できない場合がある。一方、ブリッジ14の端部に設けられた第2マーカM2は、計測部位の放射線像と抵触せずに明確に撮像される。生体磁気検出部12の座標系での第1マーカM1と第2マーカM2の位置は既知なので、第1マーカM1の放射線像が不鮮明な場合でも、第1マーカM1に対する第2マーカM2の相対位置に基づいて、放射線撮像で得られた形態画像を生体磁気計測結果に精度よく重ねることができる。
【0027】
放射線撮像の後に生体磁気計測を行う場合、放射線撮像の終了後に、放射線検出器16がマウント19から取り外され、ベッド13が下降する。ベッド13の下降により、ブリッジ14が下降して、生体磁気検出部12の上面に密着する。その後、図1A図1Bを参照して上述した生体磁気計測が行われる。
【0028】
ベッド13の昇降機構は、手動か電動かを問わない。油圧シリンダと電動ポンプによる電動昇降機構を用いてもよい。昇降機構は、ベッド13の第1部分131と第2部分132のそれぞれに独立して設けられて、両方同時に、またはいずれか一方だけをZ方向に移動させてもよい。
【0029】
ベッド13の高さが変わることで、生体磁気検出部12の計測結果に対する放射線画像の尺度が変わる。ベッド13の下降位置で、計測部位の生体磁気データが取得され、ベッド13の上昇位置で、放射線撮像により形態画像が得られる場合、生体磁気計測結果に形態画像を重ね合わせるにはベッド13の上昇量、すなわち高さ位置の変化が必要である。
【0030】
そこで、ベッド13の上昇位置で、放射線検出器16のない状態で、第1マーカM1の磁場計測を行ってもよい。ベッド13の上昇位置では、被計測者Sの皮膚表面の生体磁場は生体磁気検出部12でほとんど検知されないが、第1マーカM1に通電することで、第1マーカM1から発生する磁場は、生体磁気検出部12で検知され得る。ベッドが下降位置にあるときと、上昇位置にあるときの両方で第1マーカM1の磁気計測を行うことで、2つの計測結果の差分ベクトルを算出して、ベッドの上昇量を求めてもよい。
【0031】
上述したように、生体磁気計測結果と、放射線撮像による形態画像とを重ね合わせるためには、空間座標系での位置がわかる物体が放射線画像に写っている必要がある。第2マーカM2は、空間座標系で位置が既知または取得可能の物体として用いられる。第2マーカM2は、放射線源5と放射線検出器16の位置関係で決定される撮像範囲、すなわち第2領域150の内部に設けられる。
【0032】
第2マーカM2は、放射線撮像が可能(すなわち放射線透過率が低く)、かつ生体磁気計測を妨げない非磁性金属で形成されている。第2マーカM2に、真鍮や銅、タングステンなどを用いることができる。X線画像の自動円検出を利用できる場合は、第2マーカM2は球体であってもよい。球体が大きすぎると、ブリッジ14の内部に埋め込むことができない。球体が小さすぎると、放射線画像上での位置検出が困難になるため、ある程度の大きさが必要である。第2マーカM2として球体を用いるときの直径は、1mm以上、10mm以下が好ましく、2mm以上、6mm以下がさらに好ましい。
【0033】
第1マーカM1と第2マーカM2は、実際の空間座標に置ける同一の基準点から3次元測長され、相対距離が既知または取得可能である。この測長結果と、第1マーカM1で推定位置した結果を合わせることで、空間座標系における第2マーカM2の位置座標がわかる。
【0034】
<マーカの配置構成>
図3は、ブリッジ14Aに設けられる第1マーカM1と第2マーカM2の一例を示す。ブリッジ14Aは、生体磁気検出部12と対向する本体141と、本体141から延びる平坦部143とを含む。本体141は、生体磁気検出部12の上面の形状に沿った湾曲面を含んでいてもよい。平坦部143はベッド3への固定部として用いられてもよい。
【0035】
第1マーカM1は、本体141のほぼ中央に設けられている。第1マーカM1に電流供給用の配線Wが接続されている。配線Wの一部は、第1マーカM1とともにブリッジ14Aの内部に埋め込まれ、外部の電流源に接続されている。図示の便宜上、配線Wは1本の点線で描かれているが、第1マーカM1を構成するコイルの両端に接続された2本の配線を含む。
【0036】
第2マーカM2は、ブリッジ14Aの平坦部143に埋め込まれている。第2マーカM2は、所定距離離れて設けられる2つのマーカM21とM22を含む。マーカM21とM22の双方が非磁性金属の球体であってもよい。この場合、マーカM21とM22は、放射線画像上で2つの円または点として写る。平坦部143でのマーカM21とM22の中心間距離がL1(たとえば50mm)、放射線画像上での2つの円の中心間距離がL2(たとえば80mm)だとする。放射線撮像で得られた形態画像を磁場分布に重ね合わせる際に、形態画像は生体磁気計測結果に合わせてL1/L2に拡大または縮小される。
【0037】
第1マーカM1に対するマーカM21とマーカM22の相対位置関係は既知である。放射線画像を拡大または縮小した後に、形態画像中のマーカM21とM22を、生体磁気計測で検出された第1マーカM1の位置に対して相対的に合わせこむことで、放射線画像を生体磁気計測結果に精度よく重畳できる。
【0038】
図4Aは、ブリッジ14Bに設けられる第1マーカM1と第2マーカM2の別の例を示す。ブリッジ14Bは、生体磁気検出部12と対向する本体141と、本体141から延びる固定部146を含む。本体141は、生体磁気検出部12の上面の形状に沿った湾曲面を含んでいてもよい。固定部146は、ベッド3に固定可能な形状と寸法を有する。
【0039】
図4Aでは、第1マーカM1と第2マーカM2の両方が本体141に設けられている。たとえば、第1マーカM1は、磁気検出感度が良好な本体141のほぼ中央に設けられている。第2マーカM2は、磁気検出領域の外部で本体141の端部に埋め込まれている。図3と同様に、第2マーカM2は、所定距離離れて設けられる2つのマーカM21とM22を含んでいてもよい。
【0040】
図4Bは、図4Aの配置における第1領域120と第2領域150の位置関係の例を示す。第1領域120は、生体磁気検出部12の磁気センサアレイ121の検出範囲である。第1マーカM1は、第1領域120の中にある。第2領域150は、放射線源5と放射線検出器16の位置関係によって決まる撮像範囲である。第2マーカM2は、第1領域120の外側、かつ第2領域150の内側に設けられている。 磁気検出面、または放射線撮像面と平行な面内(二次元面であれば平面であっても曲面であってもよい)で、第1領域120の面積は、第2領域150の面積よりも小さい。第1マーカM1を第1領域120の内部に配置し、第2マーカM2を第1領域120の外、かつ第2領域の中に配置する。これにより、放射線画像中で、計測部位の画像と抵触せずに第2マーカM2の画像が得られる。第2マーカM2を第1領域120の外に設けることで、生体磁気計測を妨げずに、生体磁気計測結果に対する形態画像の位置合わせ精度を向上できる。
【0041】
図4Cは、図4Aの配置における第1領域120と第2領域150の位置関係の別の例を示す。第1領域120と第2領域は、一部重なり合っていてもよい。たとえば、磁気センサアレイ121の一部を用いて、ブリッジ14Bに置かれた被計測部位(腕など)を磁気計測する際に、被計測部位と第2のマーカM2が写るように、第2領域150が第1領域と一部重なって設定されてもよい。この場合も、第1マーカM1は生体磁気検出部12で検出可能な第1領域120に設けられ、第2マーカM2(M21とM22)は、第1領域120の外で、かつ第2領域150の中に設けられる。
【0042】
図5は、ブリッジ14Cに設けられる第1マーカM1と第2マーカM2のさらに別の例を示す。ブリッジ14Cは、生体磁気検出部12と対向する本体141と、本体141から延びる平坦部143とを含む。第1マーカM1は、本体141のほぼ中央に設けられている。第2マーカM2は、ブリッジ14Cの平坦部143に埋め込まれている。第2マーカM2は、所定の長さの線状の非磁性金属パターン、または棒状のマークである。空間座標系での第2マーカM2の長さは既知または取得可能である。
【0043】
第2マーカM2は、放射線画像上で線分として写る。平坦部143での第2マーカM2の長さL1と、放射線画像上での線分の長さL2に基づいて、放射線撮像で得られた画像データを生体磁気計測結果の尺度に拡大または縮小できる。第1マーカM1に対する第2マーカM2の相対位置関係は既知である。画像データを拡大または縮小した後に、生体磁気計測結果から推定された第1マーカM1位置に対して、放射線画像中の第2マーカM2の相対位置を合わせることで、生体磁気計測結果に形態画像を精度よく重畳できる。
【0044】
図6は、ブリッジ14Dに設けられる第1マーカM1と第2マーカM2のさらに別の例を示す。ブリッジ14Bは、生体磁気検出部12と対向する本体141と、本体141から延びる固定部146を含む。本体141は、生体磁気検出部12の上面の形状に沿った湾曲面を含んでいてもよい。固定部146はベッド3に固定可能な形状と寸法を有する。
【0045】
第1マーカM1と線状の第2マーカM2は、本体141に設けられている。第1マーカM1は、磁気検出されやすい本体141のほぼ中央に設けられ、第2マーカM2は、磁気検出領域から外れた本体141の端部に埋め込まれている。第1マーカM1を磁気検出感度が良好な第1領域120の内部に置くことで、計測された磁場データ中の第1マーカM1の位置が精度よく推定される。第2マーカM2を、生体磁気検出部12の磁気検出領域(第1領域)の外側、かつ撮像領域(第2領域)の内側に設けることで、放射線画像に写る骨、間接等と抵触せずに、第1マーカM1に対する第2マーカM2の相対位置が求められる。
【0046】
第2マーカM2を用いて形態画像を適切に拡大または縮小し、生体磁気計測結果に倍率変換後の形態画像を精度良く重ねることができる。
【0047】
図7は、変形例のブリッジ14Eの構成を示す。ブリッジ14Eは、本体141の表面に突起144を有する。突起144は、磁気センサアレイ121の磁気検出領域を妨げない位置に設けられ、被計測者Sの計測部位の位置固定用に用いられる。たとえば、被計測者Sは、首の側面を突起144に押し当てて仰臥することで、磁気センサアレイ121に対する計測部位の位置を一定に保つことができる。また、生体磁気計測と放射線撮像を通して、被計測者Sの計測部位の姿勢を一定に保つことができる。
【0048】
図7では、ブリッジ14Eに平坦部143を設け、平坦部143に2つのマーカM21とM22を埋め込んでいるが、図4Aから図6のいずれのマーカ配置に対しても、突起144を設けたブリッジ形状を組み合わせることができる。
【0049】
<生体磁気計測システム>
図8Aは、実施形態の生体磁気計測システム1の磁気計測時の模式図、図8Bは生体磁気計測システム1の放射線撮像時の模式図である。生体磁気計測システム1は、生体磁気計測装置10と、情報処理装置30と、表示装置40とを含む。表示装置40は、情報処理装置30の外部に設けられてもよいし、情報処理装置30と一体に設けられてもよい。情報処理装置30は、プロセッサ31とメモリ32を有し、生体磁気検出部12、及び放射線検出器16に接続されている。
【0050】
図8Aで、生体磁気計測時にベッド13は下降位置にあり、生体磁気検出部12にブリッジ14が密着している。情報処理装置30は、磁気センサアレイ121の個々の磁気センサから出力される磁気信号を受け取る。生体磁気検出部12から出力される磁気信号には、第1領域120内で計測された計測部位の皮膚表面の磁場情報と、第1マーカM1からの磁場情報が含まれている。磁気信号は、生体磁気検出部12から直接、情報処理装置30に入力されて、磁場データとしてメモリ32に保存されてもよい。あるいは、生体磁気検出部12と情報処理装置30の間にデータロガーを接続して、データロガーに蓄積された磁気信号を磁場データとして情報処理装置30に入力してもよい。
【0051】
図8Bで、放射線撮像時にベッド13は上昇位置にあり、ブリッジ14と生体磁気検出部12の間に、放射線検出器16がセットされている。放射線検出器16は情報処理装置30に接続されており、放射線検出器16で取得された撮像データは情報処理装置30に入力され、メモリ32に保存される。情報処理装置30のプロセッサ31は、撮像データ中の第2マーカM2に基づいて、生体磁気計測結果に対する形態画像の拡大または縮小率を求め、生体磁気計測結果の尺度に倍率変換して形態画像を生成する。
【0052】
プロセッサ31はまた、第1マーカM1と第2マーカの位置関係に基づいて、形態画像中の第2マーカM2を、磁場データから推定された第1マーカM1の位置に対して相対的に位置合わせし、磁場データまたは磁場データから推定された電流分布に形態画像を重畳する。磁場データ中の第1マーカM1の位置は、第1マーカM1からの磁場波形の振幅と位相に基づいて、最適化アルゴリズム等の公知の手法により逆問題を解くことで求められる。生体磁気計測結果と形態画像が重ね合わされた画像、またはその解析画像は、表示装置40に出力され表示される。
【0053】
図9は、情報処理装置30の機能ブロック図である。情報処理装置30は、電流分布生成部301、変換倍率計算部302、形態画像重畳部303、マーカ位置情報保存部304、放射線画像保存部305、及び磁場データ保存部306を有する。電流分布生成部301、変換倍率計算部302、及び形態画像重畳部303の機能は、プロセッサ31により実現される。マーカ位置情報保存部304、放射線画像保存部305、及び磁場データ保存部306の機能は、メモリ32により実現される。
【0054】
マーカ位置情報保存部304は、事前に測定した、あるいは外部から取得した第1マーカM1と第2マーカM2の位置関係に関する情報を保存する。放射線画像保存部305は、放射線検出器16で取得された放射線像を保存する。この放射線像には、第2マーカM2の放射線像が含まれている。磁場データ保存部306は、生体磁気検出部12から得られた磁場データを保存する。上述のように、この磁場データには、被計測者Sの計測部位の表面の磁場情報と、第1マーカM1で発生する磁場情報が含まれている。第1マーカM1の磁場変化に基づいてベッド3の上昇量を求める場合は、磁場データの中に、ベッド3の上昇位置(撮像位置)での第1マーカM1の磁場情報が含まれていてもよい。
【0055】
変換倍率計算部302は、放射線画像保存部305に保存されている放射線像に含まれる第2マーカと、マーカ位置情報保存部304に保存されている位置情報とから、放射線像の拡大または縮小割合を計算する。形態画像重畳部303は、求められた拡大または縮小割合に基づいて、放射線画像の尺度を座標系の尺度に変換して形態画像を生成する。形態画像重畳部303は、第1マーカM1に対する第2マーカM2の相対位置情報に基づいて、形態画像中の第2マーカM2を、磁場データから推定された第1マーカM1位置に対して相対位置に合わせこむ。これにより、生体磁気計測結果である磁場データに形態画像を重畳する。
【0056】
電流分布生成部301は、形態画像の輪郭で決まる境界内の磁場データから、空間フィルタ法などの推定法を用いて、磁場源、すなわち生体内の電流分布を推定し、電流再構築面を生成する。電流再構築面は表示装置40に出力され、表示される。
【0057】
図10は、実施形態の生体磁気計測方法のフローチャートである。この処理フローは、情報処理装置30によって実行される。情報処理装置30は、被計測者Sの計測部位の生体磁場と、第1マーカM1からの磁場とを含む磁場データを、生体磁気計測結果として取得する(S1)。また、被計測者Sの計測部位と第2マーカM2を含む形態画像を取得する(S2)。ステップS1とS2は順不同である。生体磁気計測結果は、生体磁気検出部12から取得される。形態画像は、放射線検出器16から取得される。
【0058】
情報処理装置30は、メモリ32に保存されている、あるいは外部から取得した第1マーカM1と第2マーカの位置情報に基づいて、磁場データ、すなわち生体磁気計測結果に形態画像を重畳する(S3)。これにより、計測部位で測定された磁場データの境界が決まる。その後、境界内で生体内部の磁場源、すなわち電流源の分布を解析して出力してもよい。
【0059】
図11は、より詳細な生体磁気計測方法のフローチャートである。この処理フローは、生体磁気計測システム1によって実行される。生体磁気検出部12で、被計測者Sの計測部位の生体磁場と、第1マーカM1で生成された磁場を計測し、計測結果を情報処理装置30のメモリ32に保存する(S11)。放射線検出器16をセットし、放射線源5をオンにして、計測部位と第2マーカを含む形態画像を撮像し、形態画像を情報処理装置30のメモリ32に保存する(S12)。ステップS11とS12は順不同である。先にS11を実施する場合は、生体磁気計測の後に、ベッド3を上昇させて放射線検出器16をマウント19にセットし、ベッド3の上昇位置で放射線撮像してもよい。先にS12を実施する場合は、放射線撮像後に、放射線検出器16をマウント19から取り外し、ベッド3を加工して、ブリッジ14を生体磁気検出部12に密着させ、生体磁気計測を行う。
【0060】
情報処理装置30において、形態画像に含まれる第2マーカM2から、生体磁気計測結果と整合させる変換倍率を計算し、求められた変換倍率で形態画像を拡大または縮小する(S13)。第1マーカM1と第2マーカM2の位置関係に基づいて、倍率変化された形態画像中の第2マーカM2を、磁気データから推定された第1マーカM1位置に対する相対位置に合わせて、形態画像と生体磁気計測結果を重畳する(S14)。これにより、計測部位と皮膚表面で得られた磁場とが対応付けられる。
【0061】
情報処理装置30は、計測部位の境界内の磁場を解析して、皮膚表面の磁場分布を、生体内部の磁場源分布(電流源分布)に再構成する(S15)。再構成された電流分布を出力して表示する(S16)。
【0062】
生体磁気計測システム1では、ブリッジ14に磁気検出可能な第1マーカM1と、放射線撮像可能な第2マーカM2が設けられているので、第1マーカM1と第2マーカM2の位置関係が不変であり、一度の測長で位置関係が取得され、固定の位置情報として繰り返し用いることができる。第1マーカM1を生体磁気検出部12の検出範囲内に置くことで第1マーカM1の位置推定精度が向上する。第2マーカM2を磁気検出範囲の外で、撮像範囲内に置くことで、第2マーカM2を計測部位と抵触しない位置で計測部位とともに放射線撮像することができる。あらかじめ取得された第1マーカM1と第2マーカM2の相対位置関係に基づいて磁場データと形態画像を位置合わせするので、形態画像中で第1マーカM1の判別が困難な場合も、生体磁気計測結果に形態画像を精度良く重ねられる。
【0063】
以上、特定の構成例に基づいて生体磁気計測を説明してきたが、本発明は上述した例に限定されない。ブリッジ14の形状は、生体磁気検出部12の上面に沿った形状が望ましいが、表面形状が完全に一致してなくてもよい。第2マーカM2は、球体や線状のパターンに代えて、三角形や矩形のマークを用いてもよい。第1マーカM1は、電流の印加により磁場を発生できればよいので、渦巻のコイルに限定されず、一重のループを用いてもよい。実施形態の生体磁気計測は、頸髄からの磁場信号の計測に限定されず、馬尾神経やその他の神経系の生体磁気計測にも適用可能である。
【0064】
実施形態では、生体磁気検出部12の上方に放射線源5を配置し、放射線源5と対向する位置に放射線検出器16を配置したが、この配置に限定されない。被計測者Sの上方から撮像する構成に代えて、または上方からの撮像に加えて、被計測者Sの側方から放射線撮像してもよい。この場合、被計測者Sを間に挟んで一方の側(たとえば右側)に放射線源を配置し、他方の側(たとえば左側)に放射線検出器を配置してもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 生体磁気計測システム
5 放射線源
10 生体磁気計測装置
12 生体磁気検出部
121 磁気センサアレイ
13 ベッド
131 第1部分
132 第2部分
14、14A~14E ブリッジ
141 本体
143 平坦部
144 突起
16 放射線検出器
19 マウント
30 情報処理装置
31 プロセッサ
32 メモリ
40 表示装置
120 第1領域
150 第2領域
S 被計測者
M1 第1マーカ
M2 第2マーカ
M21、M22 マーカ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0066】
【特許文献1】特開2019-098156号公報
【特許文献2】特開2021-151429号公報
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11