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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135466
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】電源装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/02 20060101AFI20230921BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20230921BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
G03G15/02 102
G03G15/00 680
G03G21/00 398
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040704
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】川崎 浩一
【テーマコード(参考)】
2H171
2H200
2H270
【Fターム(参考)】
2H171FA05
2H171FA11
2H171GA21
2H171MA17
2H171QA04
2H171QA08
2H171QA24
2H171QB03
2H171QB10
2H171QB15
2H171QB32
2H171QC03
2H171RA01
2H171RA03
2H171RA05
2H171RA08
2H171SA07
2H171SA11
2H171SA15
2H171SA19
2H171SA20
2H171SA22
2H171SA23
2H171SA28
2H171TB04
2H171TB06
2H171TB09
2H200FA18
2H200GA12
2H200GA34
2H200HA14
2H200HA22
2H200HA28
2H200HB12
2H200HB23
2H200HB46
2H200HB48
2H200JA02
2H200JB13
2H200JB22
2H200JB32
2H200JC04
2H200KA03
2H200KA12
2H200NA06
2H200NA09
2H200NA10
2H200NA14
2H200NA18
2H200NA23
2H200NA25
2H200PB02
2H200PB05
2H200PB38
2H270KA04
2H270KA08
2H270KA32
2H270KA46
2H270LA02
2H270LA03
2H270LA04
2H270MA02
2H270MB25
2H270MB43
2H270MG01
2H270MG02
2H270ZC04
2H270ZC05
2H270ZC08
(57)【要約】
【課題】AC電圧の流れ込みが発生する位置でDC電流を検出する電源装置において、コストの増加を最小限に抑えて、検出誤差を低減する。
【解決手段】
像担持体を帯電させる帯電部材18にDC電圧とAC電圧とが重畳された電圧を印加する電源装置αは、AC電圧を生成するAC電圧生成部810と、DC電圧を生成するDC電圧生成部820と、DC電圧生成部820の出力端側に設けられ、像担持体40に流れ込む出力DC電流を検出するDC電流検出部840と、DC電流検出部へのAC電流の流れ込みを軽減する流れ込み軽減手段850と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体を帯電させる帯電部材にDC電圧とAC電圧とが重畳された電圧を印加する電源装置であって、
前記AC電圧を生成するAC電圧生成部と、
前記DC電圧を生成するDC電圧生成部と、
前記DC電圧生成部の出力端側に設けられ、前記像担持体に流れ込む出力DC電流を検出するDC電流検出部と、
前記DC電流検出部へのAC電流の流れ込みを軽減する流れ込み軽減手段と、を備える
電源装置。
【請求項2】
前記流れ込み軽減手段は、前記DC電流検出部の前段に設けられる、抵抗である
請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
像担持体を帯電させる帯電部材にDC電圧とAC電圧とが重畳された電圧を印加する電源装置であって、
前記AC電圧を生成するAC電圧生成部と、
前記DC電圧を生成するDC電圧生成部と、
前記DC電圧生成部の出力端側に設けられ、前記像担持体に流れ込む出力DC電流を検出するDC電流検出部と、
前記DC電流検出部で想定されるリップル電圧の逆相波形を、前記DC電流検出部に印加する逆波形印加部と、を備える
電源装置。
【請求項4】
前記DC電流検出部は、
前記像担持体に流れ込む出力DC電流を検出する検出ADコンバータと、
前記検出ADコンバータの抵抗となる電流検出素子と、を有し、
前記逆波形印加部は、前記リップル電圧の逆相波形を、前記検出ADコンバータと、前記電流検出素子との間のDC電流検出ラインに印加する
請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
前記逆波形印加部は、前記AC電圧生成部に指定するAC電圧を生成させるための制御信号を出力し、
前記逆波形印加部は、
前記制御信号の指定AC電圧毎に、発生するリップル波形を予め記憶しておくリップル電圧記憶部と
現在の制御信号に基づいて、発生するリップル波形を想定し、想定されるリップル波形の逆波形を算出する演算部と
算出されたリップル波形の逆波形を生成して前記DC電流検出ラインに出力するDAコンバータと、を有する
請求項4に記載の電源装置。
【請求項6】
前記DC電流検出ラインにおける、前記出力DC直流のリップル電圧の位相を検出する位相検出部を備え、
前記逆波形印加部は、算出されたリップル波形の逆波形を、検出されたリップル電圧の位相に合わせて、前記DC電流検出ラインの、前記位相検出部が接続された位置よりも下流側に出力する
請求項5に記載の電源装置。
【請求項7】
前記逆波形印加部は、
指定するAC周波数毎に、発生するリップル電圧の測定点における検出値の実際の検出値のズレ量の関係を予め記憶しておく、ズレ量記憶部を、さらに有し、
前記演算部は、前記制御信号と、記憶された前記測定点における前記ズレ量に基づいて、ずれ量が考慮されたリップル波形を想定し、想定されるずれ量が考慮されたリップル波形の逆波形を算出する
請求項6に記載の電源装置。
【請求項8】
像担持体を帯電させる帯電部材にDC電圧とAC電圧とが重畳された電圧を印加する電源装置であって、
前記AC電圧を生成するAC電圧生成部と、
前記DC電圧を生成するDC電圧生成部と
前記AC電圧生成部に指定する前記AC電圧を生成させるための制御信号を出力するとともに、前記DC電圧生成部の出力端側に接続され、前記像担持体に流れ込む出力DC電流を算出する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記DC電圧生成部の出力端側に接続され、DC電流を検出するADコンバータと、
前記制御信号の指定AC電圧毎に、発生するリップル波形を予め記憶しておくリップル電圧記憶部と
現在の制御信号に基づいて、発生するリップル波形を想定し、想定されるリップル波形の逆波形を算出し、算出した逆波形を、検出したリップルを含むDC電流に加算したものを、出力DC電流とする、演算部と、を有する
電源装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電源装置と、
像担持体と、
前記像担持体を帯電させる帯電部材と、
出力DC電流に基づいて、前記像担持体の表面電位を算出する制御装置と、を備える
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置、および該電源装置と帯電部材とを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子写真方式の画像形成装置では、帯電部材にDC電圧とAC電圧を重畳させて印加し、感光体ドラム等の像担持体を帯電させるAC(Alternating Current)帯電方式が知られている。
【0003】
また、AC帯電方式の画像形成装置において、帯電部材によって帯電される像担持体の表面電位を把握するために、帯電部材に電圧を印加する帯電用電源に配置した電流検出回路により電源の出力直流電流を検出することが知られている。
【0004】
例えば、特許文献1では、図1に示すように、帯電用電源90の高電圧部であるAC電圧生成部91で電流検出を行っており、検出部93は、DCにACが重畳されているので、DC電流のみを抜き出してから、高耐圧素子を使用して計測する、絶縁することで電流を取り出して計測する、あるいは高電位を低電位に落として計測する、等が開示されている。このように、高電圧部91で検出される場合は、電流を検出するための検出経路は、いずれの場合も回路が複雑になり、コストも大きくなってしまう。
【0005】
一方、特許文献2では、DC電圧にAC電圧を重畳させる構成において、図2に示すように、帯電用電源95の低電圧部であるDC電圧発生部97の出力部に、出力の直流電流を検出する電流検出部98を設ける構成が開示されている。本構成では、検出部は低電圧部に設けられるため、安価に、より簡単に電流を検出できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2では、電流検出部98へのAC電圧の電流流れ込みについては考慮されていなかった。そのため、サンプリングの回数によっては、検出部に流れ込んだAC電流によるリップル電圧に起因して、誤差が生じるおそれがあった。詳しくは、図3に、AC電圧が流れ込んだ電圧の検出において、サンプリング速度の違いで、平均値に差が出る理由について説明する波形を示す。図3(a)に示すように、リップル電圧周波数に対して、十分に速いサンプリング速度でサンプリング回数が多いと、検出される電圧は、平均すれば本来の平均電圧と同じとなる。しかし、図3(b)に示すように、十分なサンプリング速度が得られずサンプリング回数が少ない場合は、偏った点を検出し、平均すると、本来の平均電圧からズレた値となってしまう。よって、十分なサンプリング速度が得られない場合は、最大の誤差値は、リップル電圧の最大値と最小値の差Vppとなってしまう。
【0007】
一方、サンプリング回数を増やすように、リップル周波数に対して十分なサンプリング速度があれば、リップル電圧によって発生する検出誤差は抑えられるが、高頻度のサンプリングを実現するために、CPUの占有率が増え、高性能なCPUが必要になってしまう。
【0008】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、AC電圧の流れ込みが発生する位置でDC電流を検出する際に、コストの増加を最小限に抑えて、検出誤差を低減することができる、電源装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の一態様では、
像担持体を帯電させる帯電部材にDC電圧とAC電圧とが重畳された電圧を印加する電源装置であって、
前記AC電圧を生成するAC電圧生成部と、
前記DC電圧を生成するDC電圧生成部と、
前記DC電圧生成部の出力端側に設けられ、前記像担持体に流れ込む出力DC電流を検出するDC電流検出部と、
前記DC電流検出部へのAC電流の流れ込みを軽減する流れ込み軽減手段と、を備える
電源装置、を提供する。
【発明の効果】
【0010】
一態様によれば、AC電圧の流れ込みが発生する位置でDC電流を検出する電源装置において、コストの増加を最小限に抑えて、検出誤差を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】従来例1に係る、帯電用電源の構成例を示す図。
図2】従来例2に係る、帯電用電源の構成例を示す図。
図3】交流電圧が流れ込んだ電圧の検出において、サンプリング速度の違いで、平均値に差が出る理由について説明する波形を示す図。
図4】本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成例を示す図。
図5】実施形態に係る作像装置の構成例を示す図。
図6】第1実施形態に係る帯電用高圧電源の制御から帯電部までの説明図。
図7】第1実施形態に係る電源装置の構成と電流の流れを示す図。
図8】第1実施形態のAC電流低減部を介した場合と介さない場合の出力DC電流上のリップル電圧について説明する図です。
図9】第2実施形態に係る電源装置の構成と電流の流れを示す図。
図10】第2実施形態に係る電源制御装置のCPU内の機能ブロック図。
図11】リップル電圧の打ち消しの説明図。
図12】DC電流検出部の上流側で発生するリップル電圧の内訳について説明する図。
図13】第3実施形態に係る電源装置の構成と電流の流れを示す図。
図14】第4実施形態に係る電源装置の構成と電流の流れを示す図。
図15】位相検出機構の第1の回路例を示す図。
図16図15のA点の波形、生成される矩形波、調整された逆相波形の位相について説明する図。
図17】位相検出機構の第2の回路例を示す図。
図18図17のA点の波形、生成される矩形波、調整された逆相波形の位相について説明する図。
図19】正常な正弦波と放電した時の歪んだの波形の例を示す図。
図20】AC波形内の測定する範囲について説明する図。
図21】AC波形内の平均値クロス点(0sec)について説明する図。
図22】AC波形内の測定する箇所の測定タイミングについて説明する図。
図23】AC波形におけるサンプリング箇所を示す図。
図24】測定の平均の波形の平均からの測定ズレについて説明する図。
図25】出力電圧と、リップル電圧におけるサンプリングタイミングで検出される電圧値を示す図。
図26】出力とリップル電圧測定部の電圧についての相関テーブル。
図27】第5実施形態に係る電源装置の構成と電流の流れを示す図。
図28】第5実施形態に係る電源制御装置の記憶部及びCPU内の機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0013】
以下では、タンデム方式といわれる二次転写機構を備える電子写真方式の画像形成装置を一例として、実施形態を説明する。また、画像形成装置は、コピー機能、プリント機能、ファクシミリ機能等を一つの筐体に搭載したMFP(Multifunction Peripheral Printer Product)である。
【0014】
<画像形成装置100の全体構成例>
図4は、画像形成装置100の全体構成の一例を説明する図である。画像形成装置100は、中央に中間転写ユニットを備え、中間転写ユニットは、無端ベルトである中間転写ベルト10を備える。中間転写ベルト10は、第1支持ローラ14、第2支持ローラ15及び第3支持ローラ16に掛け廻され、時計廻りに回動駆動される。
【0015】
また、画像形成装置100は、第2支持ローラ15の右方に、記録媒体Pへのトナー像の転写後に、中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニングユニット17を備える。
【0016】
第1支持ローラ14と第2支持ローラ15との間に配置された中間転写ベルト10に対向して、イエロー(Y)の作像部、マゼンタ(M)の作像部、シアン(C)の作像部、及びブラック(K)の作像部から構成される作像部20が設けられ、各色の作像部が中間転写ベルト10の走行方向に沿って並置されている。
【0017】
なお、各色の作像部は、使用するトナーの色が異なる点以外は同様の構成となっている。そのため、説明及び図面では、使用するトナーの色を示す「Y」、「M」、「C」、「K」という添字は適宜省略して説明する。また、画像形成装置100は、中間転写ベルト10の走行方向におけるイエロー(Y)の作像部の上流側にホワイト(W)の作像部も備えてもよいが、図4ではこの図示を省略している。
【0018】
作像部20は、各色の感光体40と、帯電部材の一例としての帯電ローラ18と、現像ユニットと、クリーニングユニットとを備え、画像形成装置100に対して脱着可能に装着されている。ここで、感光体40は像担持体の一例である。
【0019】
また、画像形成装置100は、作像部20の上方に、光ビーム走査部21を備える。光ビーム走査部21は、各色の感光体40に、画像形成のための光ビーム(レーザ光)を照射することで、各色の感光体40に画像データに応じた静電潜像(潜像画像)を形成することができる。
【0020】
各色の感光体40の静電潜像は現像ユニットにより現像され、現像された各色のトナー像は、中間転写ベルト10上に重ね合わせられて一次転写される。これにより、中間転写ベルト10上にカラーのトナー像が形成される。トナー像は、中間転写ベルト10に担持され、中間転写ベルト10の走行方向に沿って移動(搬送)される。なお、作像部20の構成は、別途、図5を参照して詳述する。
【0021】
画像形成装置100は、中間転写ベルト10の下方に二次転写ユニット22を備える。二次転写ユニット22は、2つのローラ23間に、無端ベルトである二次転写ベルト24を架け渡し、中間転写ベルト10を押し上げて第3支持ローラ16に押し当てるようにして配置されている。二次転写ベルト24は、中間転写ベルト10上に形成されたトナー像を、記録媒体P上に二次転写させることができる。
【0022】
また画像形成装置100は、二次転写ユニット22の側方に、定着ユニット25を備える。定着ユニット25は、トナー像が二次転写された状態で搬送されてきた記録媒体P上のトナー像を記録媒体Pに定着させる。定着ユニット25は、無端ベルトである定着ローラ26と、加圧ローラ27とを備え、定着ローラ26及び加圧ローラ27による熱と圧力とにより、記録媒体Pの表面に転写されたトナー像を記録媒体Pに定着させることができる。
【0023】
さらに画像形成装置100は、二次転写ユニット22、及び定着ユニット25の下方に、表面に画像形成された直後の記録媒体Pの裏面にも画像形成するために、記録媒体Pの表裏を反転させて送り出すシート反転ユニット28を備える。
【0024】
次に、画像形成装置100において、記録媒体P上に画像が形成される一連の流れを説明する。
【0025】
画像形成装置100は、操作部(図示を省略)における「コピー」のスタートボタンが押されると、原稿自動搬送部であるADF(Auto Document Feeder)400の原稿給紙台501上に原稿が載置されている場合には、ADF400に、原稿をコンタクトガラス502上に向けて搬送させる。一方、原稿給紙台501上に原稿が載置されていない場合には、コンタクトガラス502上に手置きされた原稿を読むために、第1キャリッジ503、及び第2キャリッジ504を備える画像読み取りユニット500を駆動させる。
【0026】
画像読み取りユニット500において、第1キャリッジ503に含まれる光源は、コンタクトガラス502に光を照射する。原稿面からの反射光は、第1キャリッジ503に含まれる第1ミラーにより第2キャリッジ504に向けて反射され、第2キャリッジ504に含まれるミラーで反射される。そして、原稿面からの反射光は、結像レンズ505により読取りセンサであるCCD(Charge Coupled Device)506の撮像面上で結像させられる。CCD506は原稿面の像を撮像し、CCD506により撮像された画像信号に基づいてY、M、C、Kの各色の画像データが生成される。
【0027】
また、画像形成装置100は、「プリント」のスタートボタンが押された時や、PC(Personal Computer)等の外部装置から画像形成の指示があった時、FAX(Facsimile)の出力指示があった時には、中間転写ベルト10の回動駆動を開始させるとともに、作像部20の各ユニットの作像準備を行う。
【0028】
その後、画像形成装置100は、各色の作像プロセスを開始する。各色用の感光体40に各色の画像データに基づいて変調されたレーザが照射され、静電潜像が形成される。そして、静電潜像が現像された各色のトナー像が、中間転写ベルト10上に、一枚の画像として重ね合わされて形成される。
【0029】
その後、中間転写ベルト10上のトナー画像の先端が二次転写ユニット22に進入するタイミングで、記録媒体Pの先端が二次転写ユニット22に進入するように、タイミングをはかって記録媒体Pが二次転写ユニット22に送り込まれる。そして、二次転写ユニット22により、中間転写ベルト10上のトナー像が記録媒体Pに二次転写される。トナー像が二次転写された用紙は、定着ユニット25に送り込まれ、トナー像が記録媒体Pに定着される。
【0030】
ここで、二次転写位置までの記録媒体Pの給紙について説明する。記録媒体Pは、給紙テーブル200の給紙ローラ42のうちの1つが回転駆動することで、給紙ユニット43に多段に備えられた給紙トレイ44のうちの1つから繰り出される。その後、分離ローラ45で1枚だけ分離され、搬送コロユニット46に進入し、搬送ローラ47により搬送される。その後、画像形成装置100内の搬送コロユニット48に導かれ、搬送コロユニット48のレジストローラ49に突き当てられて一時停止された後、上述したように、二次転写のタイミングに合わせて二次転写ユニット22に向けて送り出される。
【0031】
また、ユーザが手差しトレイ51に記録媒体Pを差し込んで給紙することもできる。ユーザが手差しトレイ51に記録媒体Pを差し込んだ場合には、画像形成装置100は、給紙ローラ50を回転駆動して手差しトレイ51上の記録媒体Pの一枚を分離して手差し給紙路53に引き込む。そして、上述したものと同様に、レジストローラ49に突き当てて一旦停止させてから、上述した二次転写のタイミングに合わせて二次転写ユニット22に送り出す。
【0032】
定着ユニット25で定着されて排出された記録媒体Pは、切換爪55で排出ローラ56に案内され、排出ローラ56により排出されて、排紙トレイ57上にスタックされる。或いは、切換爪55でシート反転ユニット28に案内され、シート反転ユニット28により反転されて再び二次転写位置に導かれる。その後、記録媒体Pの裏面にも画像が形成された後、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出される。
【0033】
一方、画像転写後の中間転写ベルト10上に残留する残留トナーは、中間転写体クリーニングユニット17で除去され、再度の画像形成に備えられる。
【0034】
画像形成装置100は、このようにして、記録媒体Pにカラー画像を形成することができる。
【0035】
<作像部20の構成>
次に、画像形成装置100の備える作像部20について説明する。図5は、作像部20の構成の一例を説明する図である。図5は、黒色用の作像部20Kの構成の一例を示している。その他の3色の作像部20Y、20M、及び20Cは、それぞれ作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる点を除き、黒色用の作像部20Kと同じに構成される。そのため、図示と説明を省略し、黒色用の作像部20Kのみを説明する。
【0036】
作像部20Kは、感光体40と、帯電ローラ18と、現像器29と、クリーニングブレード13と、除電器19とを有する。
【0037】
感光体(感光体ドラム)40は負帯電性のドラム式の有機感光体であり、ドラム状導電性支持体上に感光層等を設けたものである。感光体40は、基層としての導電性支持体上に絶縁層である下引き層と、感光層としての電荷発生層及び電荷輸送層と、保護層等の表面層とが順次積層されて構成されている。感光体40の導電性支持体には、体積抵抗が1010Ωcm以下の導電性材料等を用いることができる。
【0038】
帯電ローラ18は、導電性芯金の外周に中抵抗の弾性層を被覆してなるローラ部材である。直流電圧に交流電圧を重畳させた帯電バイアスが帯電用高圧電源180から帯電ローラ18に印加されることで、帯電ローラ18に対向する感光体40の表面は帯電する。帯電ローラ18の汚れを除去するクリーニングローラを帯電ローラ18に接触させて設置する構成としてもよい。
【0039】
現像器29は、感光体40に対向する現像ローラ29aを備える。現像ローラ29aは、内部に固設されてローラ周面に磁極を形成するマグネットと、マグネットの周囲を回転するスリーブとを備える。マグネットによって現像ローラ29a上に複数の磁極が形成され、現像ローラ29a上に現像剤が担持される。
【0040】
クリーニングブレード13は、感光体40表面に付着する未転写トナー等の付着物を機械的に掻き取る。クリーニングブレード13は、ウレタンゴム等のゴム材料からなり略板状に形成されたブレード状部材であり、感光体40表面に所定角度且つ所定圧力で当接する。
【0041】
除電器19は、トナー像が転写された後に感光体40表面の電荷を除去する。
【0042】
帯電ローラ18で帯電された感光体40は、画像データに応じて光ビーム走査部21で露光される。これにより感光体40表面には静電潜像が形成される。現像器29は、感光体40表面に形成された静電潜像にトナーを付着させる。これにより感光体40表面にトナー像が現像される。
【0043】
転写用高圧電源621で生成された電圧が一次転写ローラ62に印加されることで、感光体40表面のトナー像は、中間転写ベルト10に一次転写される。中間転写ベルト10のトナー像は、二次転写ユニット22で記録媒体Pに転写され、定着ユニット25で記録媒体Pに定着される。感光体40表面の残トナー等はクリーニングブレード13で除去される。感光体40表面の電荷は、除電器19により除去される。
【0044】
カラー印刷の場合、同様の構成が色毎に4つ備えられ、色毎で中間転写ベルト10にトナー像が転写され、その後に二次転写及び定着プロセスが実行される。
【0045】
実施形態では、帯電ローラ18は感光体40に近接し、感光体40に対し非接触な状態で配置されている。このように、感光体40と帯電ローラ18との間に微小な空隙を設定する帯電方式は、非接触帯電方式と呼ばれる。この方式によれば、感光体40と帯電ローラ18を接触させて用いる接触帯電方式に比べ、感光体40上に残留するトナーや潤滑剤などの異物が帯電ローラ18に付着しづらいため、異物の付着による帯電ムラを抑えることができる等の効果が得られる。但し、実施形態は、非接触帯電方式に限定されるものではなく、接触帯電方式であってもよい。
【0046】
<第1実施形態の帯電用高圧電源>
次に、図6を用いて、帯電ローラ18への電源供給の流れを説明する。図6は、第1実施形態に係る高圧電源の制御から帯電部までの説明図である。
【0047】
図6に示すように、帯電用高圧電源180には、帯電ローラ18が接続されるとともに、帯電動作を制御する上位コントローラである電源制御装置70も接続されている。帯電用高圧電源180と、電源制御装置70とを合わせて、電源装置αとする。
【0048】
帯電用高圧電源180は、AC(Alternating Current)生成回路810と、DC(Direct Current)生成回路820と、を主に備える。帯電用高圧電源180から出力されるDC電圧は100V~2000Vであって、AC電圧は、AC_Vout:500Vpp~3500Vppであって駆動周波数f:500~3000Hz程度である。
【0049】
まず、電源制御装置70のCPU71からの、命令である交流制御信号、直流制御信号をそれぞれ受けて、帯電用高圧電源180のAC生成回路810、DC生成回路820が動作し、それぞれ高電圧を発生させる。
【0050】
そして、帯電用高圧電源180は、DC電圧(直流電圧)にAC電圧(交流電圧)が重畳された電圧を帯電ローラ18に印加することで、帯電ローラ18が像担持体である感光体40を帯電させる。
【0051】
図7は、第1実施形態の電源装置αにおける構成と電流の流れを示す説明図である。図6図7を用いて電源装置αの詳細について説明する。
【0052】
帯電用高圧電源180は、上述のAC生成回路810、DC生成回路820に加えて、カップリングコンデンサ830、DC電流検出部840、及びAC電流軽減部850を備えている。
【0053】
AC生成回路810は、AC電圧生成部の一例であって、電源制御装置70から入力される交流制御信号に基づいて、指定された交流電圧を生成する電気回路である。AC生成回路810は、駆動回路811と、制御回路812と、交流トランス813と、を備えている。
【0054】
駆動回路811は交流トランス813を駆動させる電気回路である。
【0055】
交流トランス813は、駆動回路811により駆動されることで交流電圧を生成する。交流トランス813の一次側は複巻きコイルにより構成されている。また交流トランス813の二次側コイルの一端は負荷である帯電ローラ18に接続され、他端はDC生成回路820(直流トランス823の二次側コイルの一端)及びカップリングコンデンサ830のそれぞれに接続されている。
【0056】
交流トランス813によって生成される交流電圧は、DC生成回路820によって生成された直流電圧が重畳されて帯電ローラ18へ印加される。
【0057】
制御回路812は、交流トランス813の複巻きコイルに発生する電流量に基づき、駆動回路811へ駆動回路制御信号を供給して、交流トランス813によって生成される交流電圧を制御する。これにより、交流トランス813によって生成される交流電圧が上位の電源制御装置70から入力される交流制御信号の示す目標電圧となるようにしている。
【0058】
また、結合コンデンサの一例としてのカップリングコンデンサ830は、AC生成回路810とDC生成回路820との間に設けられている。カップリングコンデンサ830の一端は交流トランス813の二次側コイルの他端に接続され、カップリングコンデンサ830の他端は接地されている。
【0059】
カップリングコンデンサ830をこのように配置することで、AC生成回路810と負荷である帯電ローラ18との間を流れる交流電流のほとんどがカップリングコンデンサ830に流れ、DC生成回路820に流入することを防いでいる。ここで、図6に示すように、矢印で示す電源の外側であって、負荷18にも流れる外側の交流電流Iacは、カップリングコンデンサ830にも流れる。
【0060】
また、カップリングコンデンサ830は、交流電流のみを流すバイパスコンデンサの機能も備えている。
【0061】
一方、DC生成回路820は、直流電圧生成部の一例であって、電源制御装置70から入力される交流制御信号に基づいて、指定された直流電圧を生成する電気回路である。DC生成回路820は、駆動回路821と、制御回路822と、直流トランス823と、ダイオード824と、整流コンデンサ825と、抵抗826と、を備えている。
【0062】
これらのうち、駆動回路821は直流トランス823を駆動させる電気回路である。直流トランス823は、駆動回路821により駆動されることで、入力電圧から入力電圧よりも高電圧の直流電圧を生成する。
【0063】
直流トランス823によって生成された直流電圧は、AC生成回路810によって生成された交流電圧に重畳されて、負荷18へ印加される。
【0064】
直流トランス823の二次側コイルの一端は、AC生成回路810(交流トランス813の二次側コイルの他端)に接続されている。直流トランス823の一次側は複巻きコイルにより構成されている。
【0065】
直流トランス823の両端は整流コンデンサ825に接続されている。これにより二次側に流れる直流電流を、帯電用高圧電源180の外部に流れるものと帯電用高圧電源180の内部に流れるものに分離している。
【0066】
ここで、図7の矢印Idc_oは、帯電用高圧電源180の外部に流れる直流電流を示しており、矢印Idc_iは、帯電用高圧電源180の内部に流れる直流電流を示している。
【0067】
制御回路822は、直流トランス823の複巻きコイルに発生する電流量に基づき、駆動回路821へ駆動回路制御信号を供給することにより、直流トランス823によって生成される直流電圧を制御する。
【0068】
例えば、制御回路822は、直流トランス823の複巻きコイルに発生する電流量が、上位の電源制御装置70から入力される直流制御信号の示す目標電圧に対応する電流量より小さい場合、駆動回路821の制御値を高める。反対に、制御回路822は、直流トランス823の複巻きコイルに発生する電流量が、上位の電源制御装置70から入力される直流制御信号の示す目標電圧に対応する電流量よりも大きい場合、駆動回路821の制御値を低める。
【0069】
これにより、制御回路822は、DC生成回路820の出力電圧が、直流制御信号の示す目標電圧となるように定電圧制御する。直流トランス823の複巻きコイルに発生する電流量を用いることで、簡単な回路構成で定電圧制御を実行可能にしている。
【0070】
ダイオード824、整流コンデンサ825、及び抵抗826は、交流電圧の半サイクルを整流し、平滑化して直流にする半波整流回路である。出力電圧に出現するリップルは交流の電源周波数と同じになる。
【0071】
半波整流回路の電流出力端には、AC電流軽減部850を介してDC電流検出部840が設けられている。AC電流軽減部850では、インピーダンスを上げて、後段の電流検出部に向けて流れ込むAC成分を抑制する。
【0072】
DC電流検出部840は、DC電圧生成部820の出力端側に設けられ、出力直流電流を検出する出力電流検出部であって、電流検出素子841と、検出ADコンバータ(以降、検出ADCとする)842と、を有する。
【0073】
電流検出素子841は、DC生成回路820と基準電位部との間に接続されることで接地されている。電流検出素子841は、検出ADC842で電流を検出するための抵抗として機能する。
【0074】
本実施形態における、検出ADC842は、帯電用高圧電源180の出力直流電流(出力DC電流)を検出し、出力直流電流を示す電流検出信号を上位制御装置60へ出力する。
【0075】
そして、DC電流検出部840の検出ADC842で検出された直流電流の電位情報を、上位制御装置60のCPU(不図示)にインプットさせる。そして、上位制御装置60は、DC電流検出部840によって検出された、帯電用DC電流である測定出力DC電流に基づいて、感光体40の表面電位を予測する。
【0076】
(感光体の表面電位の算出方法)
ここで、帯電DC電流である出力DC電流から、感光体40の表面電位を予測する算出方法について説明する。
【0077】
感光体40は表層に電荷を溜めることで帯電するため、感光体40を帯電させることはコンデンサに充電することと等価的に考えられる。そのため、感光体40に溜まった電荷(Q)と帯電電位Vの間には以下の式が成り立つ。なお、下記式において、Cは感光体40の静電容量とする。
【数1】
ここで、感光体40に溜まった電荷Qは下式で表せられ、変換できる。
【数2】
【数3】
両辺を微分して、
【数4】
ここで、帯電前感光体表面電位(Vd0)、帯電印加電圧(Vc)は一定とし、AC電圧が重畳した帯電では、帯電印加電圧Vc=現在の感光体表面電位(Vd)になるので、帯電電圧Vについては下記式(5)が成り立つ。
【数5】
また、下記式も成り立つ。
【数6】
(ε:感光体表層の誘電率、S:帯電に寄与する感光体表面積、d:感光体表層の膜厚、L:帯電に寄与する感光体長さ、 λ:線速)
この関係式(6)を変形することで、帯電電流のDC成分(Idc)は、感光体表面電位(Vd)を用いた下記式が導ける。
【数7】
ここで、非接触帯電方式では感光体膜厚dは経時でほとんど変化しないことがわかっているため膜厚dは一定で、誘電率ε、感光体長さLも一定であるため、帯電電流のDC成分Idcと感光体表面電位V(正しくは、Vd-Vd0)は比例するといえる。
【0078】
このような算出方法によって、上位制御装置60は、DC電流検出部840により検出された測定出力DC電流に基づいて、感光体40の流れ込む電流を把握して、感光体40の表面電位を算出し、作像制御等を行うことができる。
【0079】
(AC電流軽減部)
上述のように、本実施形態では、DC電流検出部840の前段に、AC電流軽減部850が、設けられている。AC電流軽減部850は、流れ込み軽減手段であって、DC電流検出部840の前段に設けられることで、DC電流検出部840に流れ込むAC電流に起因するリップル電圧を低減させる。
【0080】
詳しくは、本来、AC電流の大部分が、カップリングコンデンサ830がバイパスの役目を負って、DC電流検出部840側に流れないように抑制しているのだが、第1の電流検出ラインDL1のインピーダンスが低いと、AC電流が流れることがある。
【0081】
そこで、本実施形態では、DC電流検出部840のすぐ上流側に、AC電流軽減部850を設ける。AC電流軽減部850は一例として、抵抗である。AC電流軽減部850として、より大きな抵抗値を設けることで、AC電流の流れを抑制することが出来る。
【0082】
また、DC電流検出部840において、電流検出に使用する電流検出素子841を構成する抵抗の抵抗値自体を大きくすると、より好適である。
【0083】
具体的には、AC出力が、以下であった場合、
周波数:1290Hz、電圧:2200Vpp、電流:2.7mA
AC電流軽減部850と電流検出素子841の抵抗値の合成が、20kΩの時は、検出ADC842で検出されるリップル電圧は、50mVpp程度となる。
AC電流軽減部850と電流検出素子841の抵抗値の合成が、56kΩの時は、検出ADC842で検出されるリップル電圧は、20mVpp程度まで軽減される。
これにより、抵抗値が20kΩ時は、検出された値は、検出値±50mVのブレを考慮して考えなければいけないが、56kΩ時では、検出値±20mVと20kΩと比較して半分以下の公差を考慮すればよいことになる。
【0084】
図8は、検出ADC842に流れ込むリップル電圧を示す図である。図8において(a)は、軽減手段がない場合の検出ADC842におけるリップル電圧の例、(b)は、軽減手段850がある場合の検出ADC842におけるリップル電圧の例を示す。
【0085】
図8(b)に示すように、AC電流軽減部850を追加することで、AC電流の流れ込みを抑制して、検出ADC842の電位のリップル電圧が小さくなる(抑制される)。このように、リップル幅が小さくなることによって、図3(b)に示したような高速な読み込み(サンプリング)ができなくても、検出ADC842は、精度よく出力直流電流を検出することが可能となる。
【0086】
ただし、第1実施形態のようにAC電流軽減部850を追加することで、図8のように、一定の効果はあるが、AC電流軽減部850を追加しても、インピーダンスを無限にすることは難しいため、DC電流検出部840に流れるAC電流に起因するリップル電圧をゼロにすることはできない。また、いろいろな理由で、AC電流軽減部の搭載が難しい場合もありえる。
【0087】
そのため、DC電流検出部840で検出される出力DC電流のリップル電圧による誤差を低減する他の方法について、下記、説明する。
【0088】
<第2実施形態>
図9は、第2実施形態に係る電源装置βの構成と電流の流れを示す説明図である。図10は、電源制御装置70AのCPU71の機能ブロック図である。
【0089】
第2実施形態では、DC電流検出部840で検出される出力DC電流におけるリップル電圧を抑制する手段として、逆波形印加部が設けられている。逆波形印加部は、上位コントローラである電源制御装置70Aによって実現される。
【0090】
逆波形印加部は、DC電流検出部840で想定されるリップル電圧の逆相波形(逆波形)を、電流検出素子841と、電源制御装置70Aの検出ADC73とを接続する第2の直流電流検出ラインDL2に印加する。
【0091】
本実施形態における、上位制御装置60は、電源制御装置70Aに含まれる検出ADC73により検出された出力直流電流(測定出力DC電流)に基づき、感光体40の表面電位を算出して、作像制御等を行う。本実施形態における電源制御装置70Aは、検出ADC73で検出される出力直流電流に乗るリップル電圧を抑制するために、想定されるリップル電圧の逆相波形を印加する機能を有している。
【0092】
電源制御装置70Aは、CPU71Aと、メモリ72と、検出ADCであるADコンバータ73と、印加DACであるDAコンバータ74とを有している。このうち、CPU71Aと、メモリ72と、印加DAC74が、逆波形印加部として機能する。
【0093】
メモリ72は、AC出力値である制御信号と、リップル電圧の関係を記憶する。詳しくは、生成される交流電流の電圧に基づいて、発生が予想されるリップル波形、即ち、AC出力起因のリップル波形を記憶しておく。なお、記憶するリップル波形は、使用する電圧、電流によって、どの程度のリップルが発生しているのかを状況毎に予め測定しておき、メモリ72に記憶しておく。
【0094】
検出ADC73は、第2の直流検出ラインDL2に流れるDC電流を検出する。検出ADC73は、電源制御装置70A内であって、DC電圧生成部820の出力端側に接続されているため、帯電用高圧装置180Aから感光体40に流れ込む出力DC電流を検出するDC電流検出部としても機能する。
【0095】
ここで、電源制御装置70AのCPU71Aの機能ブロックを図10に示す。図10を参照して、演算部であるCPU71Aは、DC電流算出部711と、制御信号命令部712と、現状リップル算出部713と、逆波形算出部714とを実行可能に有している。
【0096】
DC電流算出部711は、ADC73で検出したフィードバック電圧からDC電流を算出する。
【0097】
制御信号命令部712は、制御信号(直流制御信号、交流制御信号)を命令する。詳しくは、カップリングコンデンサ830に流れるAC電流の周波数に合わせたCLK信号、即ち、AC電流と同じ周波数のハイロー信号と、AC電流の出力電圧信号を命令する。
【0098】
また、現状リップル算出部713は、命令している現在の制御信号(交流制御信号)と、メモリ72に記憶された情報からリップル電圧を想定する。なお、想定するリップル電圧はACのスイッチングリップルであり、DCのリップルは影響が小さいため無視する(図12参照)。
【0099】
そして、逆波形算出部714は、想定されたリップル電圧の逆相波形(逆波形)を算出し、印加DAC74に出力するように命令する。
【0100】
その後、印加DAC74は、CPU71Aで算出された、リップル波形の逆相波形を生成して、直流電流検出ラインDL2に印加する。
【0101】
なお、リップル逆相波形を印加する出力手段として、印加DAC74だけでは、容量が足りない、又はインピーダンス変換が必要である等の事情があれば、さらにオペアンプを設けて増幅して出力してもよい。
【0102】
ここで、図11にリップル電圧の打ち消しのしくみの説明図を示す。
本実施形態の逆波形印加部は、図11(a)のようにリップル電圧が発生している電流検出ラインに、現在の制御情報と記憶されたメモリ情報を基に算出した、図11(b)に示すリップル電圧の逆相波形を印加する。これにより、リップル電圧が打ち消され、図11(c)に示すように検出ADC73で検出される出力DC電流において、リップル電圧による誤差を低減する。
【0103】
図12は、DC電流検出素子841の上流で発生するリップル電圧の内訳について説明する図である。
【0104】
DC電流検出素子841の前の第1の直流電流検出ラインDL1に発生するリップル電圧は、通常DCのスイッチングリップルとAC出力リップルが合わさった電圧波形となる。
【0105】
図12において、(a)は、AC電流が流れ込んで発生するリップルを示し、(b)はDCのスイッチングで発生するリップルを示し、(c)は、DC電流検出部840に現れるリップルを示す。なお、図12(c)は説明のため、AC電流軽減部850を設けない場合の電圧波形を示している。
【0106】
一例として、AC出力周波数が1280Hz、DCスイッチング周波数が50kHzである場合、第2の直流検出ラインDL2に現れるリップル波形は、図12(c)に示すように、1280Hzの波形と50kHzの波形とが合わさった波形となる。
【0107】
ここで、DC電圧が出力ONでもOFFでもAC電流から流れ込む電流は変わらないため、DC出力OFF時に、AC電流が流れ込むことで発生したリップルを予め計測し、メモリ72に記憶しておく。
【0108】
DCのスイッチングリップルについては、除去できないが、図12(a)と図12(b)とを比較してわかるように、AC出力起因のリップルの方が、DCスイッチングリップルよりも大幅に大きい。そのため、上記のようにAC出力起因のリップル電圧の逆相波形を印加してAC出力起因のリップルを打ち消すことで、検出ADC73で検出される出力直流電流におけるリップルが少なくなり、リップルに起因して生じる検出誤差は大きく低減可能となる。
【0109】
このように、本実施形態では、AC出力起因のリップルの逆相波形を発生させて、検出直前の第2の直流検出ラインDL2にリップル電圧の逆相波形を印加することで、リップル電圧をキャンセルして、リップルによる誤差を低減し、検出ADC73で、精度よく出力DC電流を検出して、精度の良い、測定出力DC電流を出力することが可能となる。
【0110】
なお、第2実施形態、及び後述の第3~第5実施形態の構成示す図9図13図14図27では、AC電流軽減部850に加えて、リップル電圧の逆相波形を印加する制御を行う構成を説明するが、リップル電圧逆相波形を印加する構成において、AC電流軽減部は設けられていなくてもよい。
【0111】
<第3実施形態>
上記第2実施形態では、検出ADC73で、リップル成分を打ち消した電圧を検出させるために、電源制御装置70Aの印加DAC74から逆相波形を出力して電流検出ラインDL2に印加した。しかし、印加DAC74を設けずに、電源制御装置自体で、リップル電圧打ち消されない出力の直流電流を検出して、逆波形を加算して、測定出力DC電流を出力してもよい。
【0112】
図13は、第3実施形態に係る電源装置γの構成と電流の流れを示す図である。
【0113】
本実施形態では、電源制御装置70Bにおいて、検出ADC73Bで検出した電流をCPU71Bに入力して補正してから、測定出力DC電流として出力する。この際、電源制御装置70BのCPU71B内部で、検出ADC73Bで検出した電流に対して、制御情報とメモリ情報を基に、逆相波形を当てた計算を実施して、リップルを打ち消した検出電流を算出し、その算出結果を測定出力DC電流とする。これにより、CPU71Bから出力される測定出力DC電流は、検出した電流からリップルによる誤差が低減されている。
【0114】
詳しくは、本実施形態の電源制御装置70Bは、交流制御信号とメモリ72に記憶された状況毎のリップル電圧に基づいて、上述の図11(b)のようなAC出力起因のリップル電圧の逆相波形を作成する。そして、電源制御装置70Bの内部で、ADC73Bによって検出されたリップル電圧が含まれる出力DC電流に、算出により生成されたAC出力起因のリップル電圧の逆相波形を足し合わせることで、図11(c)のような、リップルが打ち消された出力直流電流を算出して、測定出力DC電流として出力する。そして、上位制御装置60は、算出された測定出力DC電流に基づいて、感光体40の表面電位を算出し、作像制御等を行うことができる。
【0115】
このように、本実施形態では、電源制御装置70Bの内部において、ADC73Bで検出したリップル電圧を含む検出波形を、CPU71B内部でリップルをキャンセルしながらDC電圧を算出することで、第2実施形態の構成よりも電源制御装置70B内部のDAコンバータ(印加DAC)を1つ少なくしながら、精度よく、出力するDCの出力電流(測定出力DC電流)を算出することが可能となる。
【0116】
ここで、リップルの逆相波形を、検出された出力直流電流に含まれるリップル電圧に合わせて打ち消すためには、位相を合わせる必要がある。上記の電源制御装置70A(70B)は、直流制御信号および交流制御信号を出力することで、出力であるAC電圧及びDC電圧をそれぞれ制御しているため、その制御信号から位相を合わせることができれば問題ない。
【0117】
しかしながら、制御信号後の回路構成によっては、検出されたリップル電圧と生成されたリップル逆相波形の、位相が同一にならないことがある。この場合、制御信号から位相を合わせることが出来ないので、位相を検出する機構が必要となる。
【0118】
<第4実施形態>
そこで、本実施形態では、図9に示す第2実施形態の構成に加えて、位相検出機構が設けられている。
【0119】
図14は、第4実施形態に係る電源装置δの構成と電流の流れを示す図である。本実施形態では、帯電用高圧電源180Cにおいて第2の直流電流検出ラインDL2と、電源制御装置70Cとを接続するように、位相検出機構860が設けられている。
【0120】
位相検出部の一例である位相検出機構860は、DC電流検出部840の直前の第2の直流電流検出ラインDL2のA点におけるリップル電圧の位相を検出する。その結果、本実施形態の電源制御装置70Cは、その検出したリップル電圧の位相に合わせて、逆相波形を、A点よりも下流側のB点に印加することで、検出ADC73で検出される出力DC電流におけるリップルを打ち消すことが出来る。本実施形態における電源制御装置70Cにおいて、CPU71Cと、メモリ72と、印加DAC74Cが、逆波形印加部として機能する。
【0121】
(位相検出部の第1の回路例)
図15は、位相検出機構860の第1の回路例を示す図である。図16は、図15のA点、生成された矩形波、調整された逆相波形の位相について説明する図である。
【0122】
図15の位相検出機構860は、コンデンサ861と、接地端子に接続されているコンパレータ862と、を有している。
【0123】
本構成では、A点の電位をコンデンサ861でカップリングし、コンパレータ862でGND(0V)と比較して、図16(b)に示すように、+部分のみHIGHとなる矩形波を作り出す。そして、矩形波のHIGHの始まりに、生成したリップル電圧の逆相波形の始まりを合わせることで、図16(c)のように、図16(a)の位相に合わせたリップル電圧の逆相波形を作成することができる。このように、位相調整されて作成された、想定されたリップルの逆相波形によって、リップル電圧の位相に合わせた打ち消しが可能となる。
【0124】
また、コンパレータ862においてカップリングすることが難しい場合は、位相検出動作を持たせ、コンパレータ862において、DC電圧の出力をOFF、AC電圧の出力のみONさせる状態で、DC成分を極力0付近にはできる。そのため、GNDに接続している端子に微小な電圧(リップルの0peak以下)と比較することで、位相検出が可能となる。
【0125】
(位相検出部の第2の回路例)
図17は、位相検出機構860Cの第2の回路例を示す図である。図18は、図17における、A点の波形、回路で生成される矩形波、逆相波形の位相について説明する図である。
【0126】
図17の位相検出機構860Cは、定電圧源864に接続されているコンパレータ863を有している。
【0127】
本構成例では、A点の波形は、図18(a)に示すように、0を振幅の中心とせずに、+側にシフトした位置にある。この場合、位相検出機構860Cのコンパレータ863で出力される矩形波のdutyは、図18(b)に示すように、50%とならない。
【0128】
電源制御装置70CのCPU71Cで、図18(b)の矩形波の立上りエッジと立下りエッジを確認し、そのエッジ間の中央のタイミングを、検出されたリップル波形の頂点(最大値、最小値)のタイミングと認定する。これにより、生成したリップル逆相波形における最小値、最大値が、それぞれ検出されたリップル波形の最大値、最小値のタイミングと合致するように位相を制御することで、図18(c)のように、図18(a)の位相に合わせたリップル電圧の逆相波形を作成して出力することができる。
【0129】
このように、本実施形態では、電源制御装置70Cにおいて、リップル逆相波形を発生させる際は、制御の電圧、位相について算出し、検出されたリップル電圧と位相を合わせた逆相波形を発生させる。そして、位相を合わせたリップル逆相波形を、A点よりもさらに検出ADC73に近い(DC電流検出ラインDL2の、位相検出機構860が接続された位置よりも下流側である)B点に印加する。これにより、AC電流流れ込みにより発生するリップル電圧を打ち消して検出ADC73でリップルが抑制された出力直流電流の検出が可能となる。
【0130】
したがって、本実施形態において、リップル電圧の位相を算出することで、より精度よくリップル電圧をキャンセルでき、より精度よくDCの出力電流を検出することが可能になる。
【0131】
<第5実施形態>
上記の第4の実施形態で位相を算出するが、リップル電圧を含む出力直流電流における、サンプリングのタイミングも特定できるとさらに好ましい。
【0132】
ここで、図19に、正常な正弦波と放電した時の歪んだ波形について示す。図19において、(a)は正常な正弦波を示し、(b)は放電した時の歪んだ波形を示す。
【0133】
接触帯電では図19(a)のように、AC波形に歪みがほとんど発生しない。しかし、非接触帯電では、感光体40と帯電ローラ18との間にギャップ(隙間)があり、電圧がある一定以上になった場合に、帯電ローラ18から感光体40に向けて放電し、感光体を帯電させる。この放電時に電流が通常より多く流れるため、非接触帯電では、図19(b)に示すように、AC波形が歪むことがある。
【0134】
また、第1実施形態、第2実施形態、第4実施形態のいずれかにおいて、検出ADC73の直前のC点に流れる直流電流の検出で、交流電流の影響でリップル電圧が発生しても、リップル波形の一定の箇所でサンプリングでき、かつ、その箇所が平均電圧との差がどの程度あるか予測できれば、リップルの影響を受けずに電流検出が可能となる。
【0135】
しかし、測定する波形の一定箇所とは、0V付近では、制御回路によっては、歪みが発生する場合がある。また、その部分は一番傾斜が立っていることから他と比較して、誤差が大きくなる恐れが高いため避けたい。
【0136】
歪み具合はギャップや負荷などの影響を受け変化するため、測定個所は、歪む前の所が望ましい。また、負荷である帯電ローラ18の放電によって歪みがばらつくので、放電後の箇所での測定は避けたい。よって、0V以上、放電開始までの一定箇所での測定(サンプリング)が望ましい。
【0137】
そこで、本実施形態では、AC電圧の波形内で、好適な測定範囲になるように、AC電圧に起因するリップル電圧を含む出力直流電流における測定のタイミングを設定する。
【0138】
図20は、AC波形内の測定する範囲について説明する図である。測定する箇所は、0Vより高く、丸で示す放電部以下の部分であると好適である。
【0139】
そのため、本実施形態では、第4実施形態と同様に、位相検出機構860(860C)によって、第2の直流電流検出ラインL2のA点におけるリップル電圧の位相検出を実施する。そして、電源制御装置70Dは、波形のどこかの1点を導き出し、波形の中央となる平均値クロス点(0sec)のタイミングを把握する。
【0140】
本明細書において、平均値クロス点0secとは、リップル波形の平均点からプラス側に立ち上がる部分とする。例えば、上述の図16(a)や図20の波形は、A点の波形は0点に対して、均等に推移するため、-側から+側にクロスするゼロクロス点が、平均値クロス点0secとなる。一方、上述の図18(a)の波形は、A点の波形は0点よりも高い平均値を中心として均等に推移するため、平均値クロス点(0sec)は、0よりも大きい平均値に-側から+側にクロスする、矢印で示す位置となる。
【0141】
図21は、AC波形内の平均値クロス点(0sec)に対する測定範囲について説明する図である。上述のように、リップル電圧を含む出力電流波形におけるサンプリングタイミングとして、平均値クロス点0secから、どのくらい進んだ時間で測定するのかを、決める必要がある。
【0142】
一例として、AC周波数が1700Hz(1周期≒0.588ms)の場合で、帯電ローラ18と感光体40のギャップが0.005mmで放電開始は、0secから0.125ms進んだ点で、おおよそ620Vだったとする。
【0143】
ここで、リップル電圧をサンプリングする場合、放電開始以下で測定したいので、測定(サンプリング)は、平均値クロス点0secから0.125ms以内で実施すると好適である。
【0144】
そのため、平均値クロス点0secからどの程度進んだ点で測定するのか予めメモリに記憶する必要がある。この際、異なる周波数や出力がある場合は、周波数毎に、0secから放電電位に達する時間が異なるため、それぞれの周波数で、決定する必要がある。
【0145】
このように設定された波形の範囲で測定することで、リップル電圧を含む出力電流として、平均値クロス点(0sec)以上かつ、波形が歪む前の放電開始以前の数値を測定可能となる。
【0146】
図22は、AC波形の1周期におけるサンプリング箇所に対応するサンプリングタイミングについて説明する図である。結果測定は、サンプリングが遅くとも、0secから0.1ms進んだ部分のみを測定すれば、波形の同一箇所で測定可能となる。
【0147】
本実施形態では、すべての波形を測定したりサンプリング回数を増やしたりしてCPUの占有率を増やすことなく、図22のように、波形の歪みの少ない1周期内で1点をCPU71D(図27参照)の許す範囲で測定することで、安定した電圧を測定可能となる。
【0148】
図23は、AC波形におけるサンプリング箇所を示す図であり、図24は、測定の平均値の、波形の平均値からの測定ズレについて説明する図である。
【0149】
本実施形態では、上述のように、意図的に平均値クロス点から所定間隔経過後をサンプリングタイミングに設定しているため、図24のように、測定の平均値は、波形の平均値からズレて検出される。その後、サンプリングした出力直流電流に基づいて、感光体40の表面電位を算出する際に、波形の平均値を正しく使用できるように、この測定ズレを補正する必要がある。
【0150】
この測定ズレを補正するための補正値は、予め、制御信号で指定するAC電圧毎に、測定する点の電圧が平均からどの程度ずれるのかを確認し、メモリ72D(図27参照)に記憶しておく。
【0151】
図25は、AC出力と、後段のリップル電圧の電圧値の例について説明する図である。
【0152】
図25(a)のように出力するAC電圧の最大値が700Vの場合、対応するリップル電圧における平均値クロス点から所定間隔0.1ms経過後のサンプリングタイミングにおける電圧は、図25(b)に示すように10mVになる。
【0153】
図25(c)のように出力するAC電圧の最大値が1400Vの場合、対応するリップル電圧における平均値クロス点から所定間隔0.1ms経過後のサンプリングタイミングにおける電圧は、図25(d)に示すように、20mVになる。
【0154】
図25(b)に示した10mV、図25(d)に示した20mVは、図24に示したような測定の平均値の、波形の平均値からの測定ズレ(ズレ量)に相当する。
【0155】
このように、測定ズレは、AC電圧の振幅によって決まるので、AC電圧毎に記憶する。または、ズレ量は、ACの周波数が同じでかつ、同じ時間に測定する場合は、電圧に比例するので、数点測定し、その傾きで、テーブル化しても構わない。
【0156】
図26に、ACの駆動周波数と、AC出力値と、サンプリングタイミング(測定点)と、測定ズレの対応を示す相関テーブルの一例を示す。
【0157】
図25の関係や、図26の相関テーブルに示すように、AC電圧に応じて、サンプリングタイミング(測定点)における測定ズレ(ズレ量)も変化する。よって、AC周波数毎の測定ズレの相関関係を、AC周波数毎にテーブル化またはグラフ化して、メモリに保存しておく。
【0158】
この際、その周波数の出力値における測定点の電圧が放電開始電圧を超えないように設定する。よって、検出された測定値-平均値ズレ量=平均値となる。
【0159】
そして、測定後、平均化した数値からズレ量を加算(減算)することで、想定リップル電圧での誤差がなくなり、その後ズレを調整した逆相波形を生成可能になり、出力DC電流におけるより精密なリップルの打ち消しにより、精度ある測定値(測定出力DC電流)が得られる。
【0160】
図27は、第5実施形態に係る電源装置εの構成と電流の流れを示す図である。本実施形態では、電源制御装置70Dにおいて、検出ADC73Dで検出した電流をCPU71Dに入力してから測定出力DC電流として出力する点が、第4実施形態とは異なる。本実施形態における電源制御装置70Dにおいて、CPU71Dと、メモリ72Dと、印加DAC74Dが、逆波形印加部RDとして機能するとともに、CPU71Dと、メモリ72Dは測定波形選択補正部Sとしても機能する。
【0161】
図28は、第5実施形態に係る電源制御装置70Dのメモリ72D及びCPU71D内の機能ブロック図である。
【0162】
メモリ72Dは、リップル電圧記憶部721と、ズレ量記憶部722と、を有している。リップル電圧記憶部721は、制御信号における指定AC電圧毎のリップル電圧を記憶しておく。ズレ量記憶部722は、図26のようなテーブル化又はグラフ化したAC周波数毎の測定ズレの相関関係を、記憶しておく。
【0163】
CPU71Dは、上述のDC電流算出部711、制御信号命令部712、現状リップル算出部713、逆波形算出部714に加えて、リップル位相確認部715、出力電流平均値算出部716、測定位置決定部717、ずれ量加算部718、電圧値出力部719、及び逆波形位相調整部710を実行可能に有している。
【0164】
本実施形態では、まず、前準備として、メモリ72Dのズレ量記憶部722に、AC周波数、AC電圧、平均値クロス点0secから時間、平均値からのズレ量の関係を測定し、予め記憶しておく。
【0165】
リップル位相確認部715は、測定するリップル波形の位相を確認し、平均値クロス点0secの位置を確認する。
【0166】
測定位置決定部717は、AC周波数に応じて、平均値クロス点0secからいくら進んだ点で測定するか、即ち、サンプリングタイミング(測定点)を決定する。
【0167】
DC電流算出部711および出力電流平均値算出部716は、測定を実施し、平均を算出する。
【0168】
ずれ量加算部718は、平均電圧に出力電圧に合わせたズレ電圧を加算(減算)する。即ち、測定値の平均値は、「測定値-平均値ズレ量=平均値」で算出される。
【0169】
電圧値出力部719は、検出ADC73Dによって検出されたDC電流の、測定点におけるDC電流値から、平均値ずれ量を引いた測定値の平均値を、測定出力DC電流として、感光体40の表面電位を予測するための上位制御装置60へ送る。
【0170】
逆波形位相調整部710は、第4実施形態と同様に、検出された位相に合わせてリップル電圧の逆相波形を作成して出力する。
【0171】
本実施形態では、上記のように非接触帯電によって波形が歪んでも、測定点を指定して、ずれ量を把握して補正することで、リップル誤差を抑えて、歪んだ波形でも精度よくDCの出力電流を検出することができる。
【0172】
以上、好ましい実施形態等について詳説したが、上述した実施形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0173】
18 帯電ローラ(帯電部材の一例、負荷)
40 感光体ドラム(像担持体の一例)
60 上位制御装置
70 電源制御装置
70A、70B、70C、70D 電源制御装置
71、71A、71B、71C、71D CPU
72、72D メモリ
73、73B、73D 検出ADC(ADコンバータ)
74、74C、74C、74D 印加DAC
180、180A、180B、180C、180D、180E 帯電用高圧電源
810 AC電圧生成回路(AC電圧生成部の一例)
811 駆動回路
812 制御回路
813 交流トランス
814 カップリングコンデンサ
820 D電圧C生成回路(DC電圧生成部の一例)
821 駆動回路
822 制御回路
823 直流トランス
824 ダイオード
825 整流コンデンサ
826 抵抗
830 カップリングコンデンサ
840 DC電流検出部(出力直流電流検出部)
841 電流検出素子(抵抗)
842 検出ADC(検出ADコンバータ)
850 AC電流軽減部(軽減手段)
860 位相検出機構
R、RC、RD 逆波形印加部
α、β、γ、δ、ε 電源装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0174】
【特許文献1】特許第5546269号公報
【特許文献2】特開2021‐096427公報
図1
図2
図3
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図5
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