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特開2023-135768情報処理装置、プログラム及び復旧支援方法
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  • 特開-情報処理装置、プログラム及び復旧支援方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135768
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラム及び復旧支援方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20230922BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20230922BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
G06Q50/04
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041027
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】青井 良太
(72)【発明者】
【氏名】榎 美貴
(72)【発明者】
【氏名】岡田 康彦
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA38
3C100AA52
3C100BB13
3C100BB15
3C100BB33
3C100CC02
3C100EE06
5L049CC03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】熱処理装置の復旧を支援する情報処理装置、プログラム及び復旧支援方法を提供する。
【解決手段】製造工場に設置された複数の熱処理装置及び装置コントローラと、情報処理装置と、情報処理端末とが、インターネット及びLAN等のネットワークを介して通信可能に接続される情報処理システムにおいて、情報処理装置14は、稼働状況データ収集部52と、稼働状況データを熱処理装置毎に保存する稼働状況データ保存部54と、複数の熱処理装置の稼働が強制的に停止した場合に、複数の熱処理装置の復旧を支援する情報として、稼働状況データ保存部54に保存されている熱処理装置毎の稼働状況データの一覧情報を提供する稼働状況データ提供部56と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造工場に設置された複数の熱処理装置の稼働状況データを収集するように構成された稼働状況データ収集部と、
前記稼働状況データを前記熱処理装置ごとに保存するように構成された稼働状況データ保存部と、
前記複数の熱処理装置の稼働が強制的に停止した場合に、前記複数の熱処理装置の復旧を支援する情報として、前記稼働状況データ保存部に保存されている前記熱処理装置ごとの前記稼働状況データの一覧情報を提供するように構成された稼働状況データ提供部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記稼働状況データ収集部は、作業者による前記複数の熱処理装置の復旧の優先度を判断する為に必要な情報を前記複数の熱処理装置から定期的に収集するように構成されていること
を特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記稼働状況データは、前記熱処理装置が実行中のレシピの識別情報、前記レシピの処理の進行度を表すステップの識別情報、及び前記ステップの実行状態情報を含むこと
を特徴とする請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記稼働状況データ提供部は、前記複数の熱処理装置の稼働が強制的に停止する前の直近に前記稼働状況データ保存部に保存された前記稼働状況データの一覧情報を作業者に提供するように構成されていること
を特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記稼働状況データ提供部は、前記稼働状況データ保存部に保存されている前記熱処理装置ごとの前記稼働状況データに基づき、前記複数の熱処理装置の復旧の優先度を示す情報を提供するように構成されていること
を特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記製造工場が前記複数の熱処理装置の稼働を強制的に停止する環境となっても、稼働を続けることのできる環境に設置されていること
を特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータに、
製造工場に設置された複数の熱処理装置の稼働状況データを収集する稼働状況データ収集手順、
前記稼働状況データを前記熱処理装置ごとに保存する稼働状況データ保存手順、
前記複数の熱処理装置の稼働が強制的に停止した場合に、前記複数の熱処理装置の復旧を支援する情報として、前記稼働状況データ保存手順で保存された前記熱処理装置ごとの前記稼働状況データの一覧情報を提供する稼働状況データ提供手順、
を実行させるためのプログラム。
【請求項8】
製造工場に設置された複数の熱処理装置、前記複数の熱処理装置と通信可能に接続された情報処理装置、及び前記情報処理装置と通信可能に接続された情報処理端末を有する情報処理システムが実行する復旧支援方法であって、
前記複数の熱処理装置の稼働状況データを収集することと、
前記稼働状況データを前記熱処理装置ごとに保存することと、
前記複数の熱処理装置の稼働が強制的に停止した場合に、前記複数の熱処理装置の復旧を支援する情報として、前記保存した前記熱処理装置ごとの前記稼働状況データの一覧情報を前記情報処理端末に提供することと、
前記情報処理端末が、前記熱処理装置ごとの前記稼働状況データの一覧情報を表示することと、
を有する復旧支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、プログラム及び復旧支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば業務データの発生に応じてバックアップデータを日毎に最新状態にできるとともに、操作ミス等によるデータ消失や災害発生時等に復旧を速やかに行えるようにする遠隔バックアップシステムは従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-204036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、熱処理装置の復旧を支援する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、製造工場に設置された複数の熱処理装置の稼働状況データを収集するように構成された稼働状況データ収集部と、前記稼働状況データを前記熱処理装置ごとに保存するように構成された稼働状況データ保存部と、前記複数の熱処理装置の稼働が強制的に停止した場合に、前記複数の熱処理装置の復旧を支援する情報として、前記稼働状況データ保存部に保存されている前記熱処理装置ごとの前記稼働状況データの一覧情報を提供するように構成された稼働状況データ提供部と、を有する情報処理装置である。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、熱処理装置の復旧を支援する技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る情報処理システムの一例の構成図である。
図2】コンピュータの一例のハードウェア構成図である。
図3】本実施形態に係る情報処理装置の一例の機能ブロック図である。
図4】本実施形態に係る情報処理装置の処理の一例のフローチャートである。
図5】本実施形態に係る稼働状況データの一例の構成図である。
図6】本実施形態に係る情報処理装置の処理の一例のフローチャートである。
図7】本実施形態に係る情報処理装置の処理の一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
【0009】
<システム構成>
図1は本実施形態に係る情報処理システムの一例の構成図である。図1に示す情報処理システム1は、製造工場2に設置された熱処理装置10及び装置コントローラ12を有している。また、情報処理システム1は製造工場2において熱処理装置10が強制的に停止するような災害(例えば地震、停電など)が発生した場合であっても稼働を続けることのできる環境に設置された情報処理装置14を有している。情報処理装置14が設置される環境は、例えば製造工場2から十分に距離の離れた遠隔地等である。
【0010】
また、情報処理システム1は製造工場2に設置された熱処理装置10を復旧させる作業者、又は作業者に指示を与えて熱処理装置10を復旧させる管理者などが操作する情報処理端末16を有している。
【0011】
熱処理装置10、装置コントローラ12、情報処理装置14、及び情報処理端末16はインターネット及びLAN(Local Area Network)等のネットワーク18及び20を介して通信可能に接続される。また、情報処理装置14及び情報処理端末16は製造工場2に災害が発生してネットワーク18が使用できない場合であっても、ネットワーク20を介して通信が可能である。
【0012】
熱処理装置10は、半導体製造装置及び成膜装置等であり、装置コントローラ12からレシピに従った制御命令を受け付け、レシピの処理を実行する。レシピの処理の進行度はステップと呼ばれる制御単位で管理される。レシピの処理の進行度は例えばステップ番号及びステップ名等で表される。
【0013】
また、熱処理装置10は図1に示すように装置コントローラ12が搭載されていてもよいし、通信可能に接続されていれば必ずしも搭載されていなくてもよい。装置コントローラ12は熱処理装置10を制御するコンピュータ構成を持ったコントローラである。装置コントローラ12はレシピに従って熱処理装置10の制御部品を制御する制御命令を出力する。
【0014】
なお、装置コントローラ12は熱処理装置10に対する指示を作業者から受け付けると共に、熱処理装置10に関する情報を作業者に提供するマンマシンインタフェース(MMI)の機能を有する。
【0015】
災害が発生していない平常時であれば、装置コントローラ12は熱処理装置10の稼働状況を表すデータ(稼働状況データ)を定期的(例えば10秒ごと)に情報処理装置14へ送信する。稼働状況データは、熱処理装置10が実行中のレシピの識別情報、実行中のレシピの処理の進行度を表すステップの識別情報、及びステップの実行状態情報などを含む情報である。
【0016】
災害の発生により停電が生じると、熱処理装置10は電源を喪失して実行中のレシピの処理を中断する。また、装置コントローラ12は電源を喪失して熱処理装置10の稼働状況データを情報処理装置14に送信できなくなる。
【0017】
情報処理装置14は、平常時に、製造工場2の装置コントローラ12から熱処理装置10の稼働状況データを定期的に収集し、保存する。なお、情報処理装置14が保存する熱処理装置10の稼働状況データは、装置コントローラ12から受信した直近の熱処理装置10のそれぞれの稼働状況データである。
【0018】
したがって、災害の発生により製造工場2が停電となって、熱処理装置10の稼働が強制的に停止したとしても、情報処理装置14には、装置コントローラ12から受信した直近の熱処理装置10の稼働状況データが保存されている。
【0019】
情報処理装置14は、災害が発生する前に装置コントローラ12から受信した直近の熱処理装置10の稼働状況データの一覧情報を、製造工場2に設置された複数の熱処理装置10の復旧を支援する情報として作業者又は管理者に提供できる。製造工場2に設置された複数の熱処理装置10の復旧を支援する情報の提供は、情報処理装置14のディスプレイ等に表示することで行ってもよいし、情報処理端末16のディスプレイ等に表示することで行ってもよい。
【0020】
このように、作業者又は管理者は、災害が発生する前に情報処理装置14が装置コントローラ12から受信した直近の熱処理装置10の稼働状況データの一覧情報を参照することで、製造工場2の複数の熱処理装置10が災害発生時に実行していたレシピの処理を容易に確認できる。また、作業者又は管理者は製造工場2の複数の熱処理装置10が災害発生時に実行していたレシピの処理を確認することで、災害の発生により稼働が強制的に停止した複数の熱処理装置10の復旧の優先度を容易に判断できる。
【0021】
なお、図1の情報処理システム1は一例であり、用途や目的に応じて様々なシステム構成例があることは言うまでもない。例えば情報処理システム1は、それぞれの熱処理装置10の装置コントローラ12が、複数の熱処理装置10用の装置コントローラに統合された構成や、更に分割された構成など、様々な構成が可能である。
【0022】
<ハードウェア構成>
図1に示す情報処理システム1の装置コントローラ12、情報処理装置14、及び情報処理端末16は例えば図2に示すようなハードウェア構成のコンピュータにより実現される。図2は、コンピュータの一例のハードウェア構成図である。
【0023】
図2のコンピュータ500は、入力装置501、出力装置502、外部I/F(インタフェース)503、RAM(Random Access Memory)504、ROM(Read Only Memory)505、CPU(Central Processing Unit)506、通信I/F507及びHDD(Hard Disk Drive)508などを備え、それぞれがバスBで相互に接続されている。なお、入力装置501及び出力装置502は必要なときに接続して利用する形態であってもよい。
【0024】
入力装置501はキーボードやマウス、タッチパネルなどであり、作業者等が各操作信号を入力するのに用いられる。出力装置502はディスプレイ等であり、コンピュータ500による処理結果を表示する。通信I/F507はコンピュータ500をネットワーク18又は20に接続するインタフェースである。HDD508は、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置の一例である。
【0025】
外部I/F503は、外部装置とのインタフェースである。コンピュータ500は外部I/F503を介してSD(Secure Digital)メモリカードなどの記録媒体503aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。ROM505は、プログラムやデータが格納された不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)の一例である。RAM504はプログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)の一例である。
【0026】
CPU506は、ROM505やHDD508などの記憶装置からプログラムやデータをRAM504上に読み出し、処理を実行することで、コンピュータ500全体の制御や機能を実現する演算装置である。
【0027】
図1の装置コントローラ12、情報処理装置14、及び情報処理端末16は、図2のコンピュータ500のハードウェア構成等により、各種機能を実現できる。
【0028】
<機能構成>
本実施形態に係る情報処理システム1の情報処理装置14は、例えば図3に示すような機能ブロックで実現される。図3は本実施形態に係る情報処理装置の一例の機能ブロック図である。なお、図3の機能ブロック図は本実施形態の説明に不要な構成について図示を省略している。
【0029】
図3の情報処理装置14は、情報処理装置14用のプログラム(例えば復旧支援ソフトウェアなど)を実行することで、収集設定保存部50、稼働状況データ収集部52、稼働状況データ保存部54、稼働状況データ提供部56、操作受付部60、及び出力制御部62を実現している。
【0030】
収集設定保存部50は、情報処理装置14が、製造工場2に設置されている複数の熱処理装置10の稼働状況データを収集するために必要な収集設定を保存する。収集設定には装置コントローラ12と通信を行うための通信設定、稼働状況データの収集タイミング設定などの情報が含まれている。
【0031】
稼働状況データ収集部52は、製造工場2に設置された複数の熱処理装置10の稼働状況データを定期的に収集して、稼働状況データ保存部54に保存する。稼働状況データ保存部54には、製造工場2に設置された複数の熱処理装置10の稼働状況データが定期的に保存される。
【0032】
稼働状況データ提供部56は、情報処理装置14又は情報処理端末16を操作する作業者又は管理者に、製造工場2の複数の熱処理装置10の復旧を支援する情報として稼働状況データの一覧情報を提供する。
【0033】
例えば災害の発生により製造工場2が停電となって、熱処理装置10の稼働が強制的に停止した場合、作業者又は管理者は情報処理装置14又は情報処理端末16に製造工場2の複数の熱処理装置10の稼働状況データの一覧情報を表示できる。作業者又は管理者は災害発生時に実行していたレシピの処理を確認するために、製造工場2の複数の熱処理装置10に近付いて確認する必要が無くなる。
【0034】
作業者又は管理者は、情報処理装置14又は情報処理端末16に表示された製造工場2の複数の熱処理装置10の稼働状況データの一覧情報を参照することで、それぞれの熱処理装置10が災害発生時に実行していたレシピの処理を確認して、それぞれの熱処理装置10の復旧の優先度を判断できる。
【0035】
操作受付部60は、作業者又は管理者などのユーザから操作を受け付ける。出力制御部62は、作業者又は管理者などのユーザから受け付けた操作に従って、情報処理装置14又は情報処理端末16のディスプレイ等に情報を表示出力する。出力制御部62は、情報をメール出力してもよいし、印刷出力してもよい。
【0036】
例えば出力制御部62は、災害が発生する前に装置コントローラ12から受信した直近の熱処理装置10の稼働状況データの一覧情報を、情報処理装置14又は情報処理端末16のディスプレイ等に表示出力する。
【0037】
<処理>
災害が発生していない平常時、情報処理装置14は図4に示すような手順で処理を実行する。図4は本実施形態に係る情報処理装置の処理の一例のフローチャートである。製造工場2の複数の熱処理装置10は、それぞれの装置コントローラ12からレシピに従った制御命令を受け付け、非同期にレシピの処理(プロセス)を実行するものとする。
【0038】
ステップS10において、情報処理装置14の稼働状況データ収集部52は収集設定保存部50から収集設定を読み出す。ステップS12において、稼働状況データ収集部52は読み出した収集設定に含まれる稼働状況データの収集タイミング設定に基づき、稼働状況データの収集タイミングであるか否かを判定する。
【0039】
稼働状況データ収集部52は稼働状況データの収集タイミングと判定するまでステップS12の処理を繰り返す。また、稼働状況データの収集タイミングと判定すると、稼働状況データ収集部52はステップS14の処理を行う。
【0040】
ステップS14において、稼働状況データ収集部52は収集設定に従い、製造工場2に設置された複数の熱処理装置10の稼働状況データを収集する。収集した複数の熱処理装置10の稼働状況データはステップS16において稼働状況データ保存部54に保存される。
【0041】
稼働状況データ保存部54に保存される複数の熱処理装置10の稼働状況データは例えば図5に示すような構成である。図5は本実施形態に係る稼働状況データの一例の構成図である。図5の稼働状況データは、項目として、装置名、プロセス種、実行状態、実行レシピ名、実行サブレシピ名、実行ステップ名、ステップ経過時間、及びデータ収集結果を含む。
【0042】
装置名は、熱処理装置10の識別情報の一例であって、例えば熱処理装置10の名称である。プロセス種は、熱処理装置10が実行するプロセスの種類を表している。実行状態はステップの実行状態情報の一例であって、実行中、一時停止中、処理準備中などの実行状態を表している。実行レシピ名は実行中のレシピの識別情報の一例であって、例えば実行中のレシピの名称である。実行サブレシピ名は実行中のサブレシピの識別情報の一例であって、例えば実行中のサブレシピの名称である。実行ステップ名は、実行中のステップの識別情報の一例であって、例えば実行中のステップのステップ番号及びステップ名等である。ステップ経過時間は、ステップを開始してからの経過時間を表している。データ収集結果は、データ収集の成功又は失敗を表している。
【0043】
稼働状況データは、更に項目としてデータ収集日時、レシピ開始日時、ステップ開始時刻、ヒータ温度、又はボートエレベータ位置を有していてもよいが、ネットワーク負荷を軽減するため、復旧の優先度を判断するために必要な必要最小限の項目であることが望ましい。
【0044】
ステップS18において、稼働状況データ収集部52は稼働状況データの収集を停止するか否かを判定する。稼働状況データ収集部52は稼働状況データの収集を停止すると判定するまでステップS12~S18の処理を繰り返す。稼働状況データ収集部52は稼働状況データの収集を停止すると判定すると、図4のフローチャートの処理を終了する。
【0045】
図4のフローチャートの処理によれば、情報処理装置14は災害が発生していない平常時に、製造工場2の複数の熱処理装置10の例えば図5に示した稼働状況データを定期的に収集し、保存できる。
【0046】
例えば災害の発生により製造工場2が停電となって、製造工場2の複数の熱処理装置10の稼働が強制的に停止になったものとする。情報処理装置14には、稼働が強制的に停止になった複数の熱処理装置10の直近の稼働状況データが例えば図5に示すように保存されている。
【0047】
情報処理装置14が設置される環境は、例えば製造工場2から十分に距離の離れた遠隔地等であるため、情報処理装置14及び情報処理端末16は停電などの影響を受けていないものとする。情報処理装置14及び情報処理端末16は、製造工場2に災害が発生してネットワーク18が使用できない場合であっても、ネットワーク20を介して通信が可能である。
【0048】
製造工場2に設置された熱処理装置10を復旧させる作業者、又は作業者に指示を与えて熱処理装置10を復旧させる管理者は、情報処理装置14又は情報処理端末16を操作して、製造工場2に設置された熱処理装置10の稼働状況データの一覧情報の参照要求を行う。
【0049】
情報処理装置14は、例えば図6に示すような手順で処理を実行する。図6は本実施形態に係る情報処理装置の処理の一例のフローチャートである。
【0050】
製造工場2に設置された熱処理装置10の稼働状況データの一覧情報の参照要求を作業者又は管理者から受け付けるまで、稼働状況データ提供部56はステップS30の処理を繰り返す。また、参照要求を作業者又は管理者から受け付けると、稼働状況データ提供部56はステップS32の処理を行う。
【0051】
ステップS32において、稼働状況データ提供部56は、参照要求のあった製造工場2の複数の熱処理装置10の例えば図5に示した稼働状況データを稼働状況データ保存部54から読み出す。ステップS34において、稼働状況データ提供部56は、ステップS32で読み出した稼働状況データの一覧情報を表示出力等することで、参照要求のあった製造工場2の複数の熱処理装置10の復旧を支援する情報を作業者又は管理者に提供する。
【0052】
例えば図5に示した稼働状況データの一覧を参照した作業者又は管理者は、それぞれのレコードに対応する熱処理装置10が、災害の発生により稼働が強制的に停止されたときに実行中だったレシピ、そのレシピの処理の進行度、及び実行状態を確認できる。
【0053】
図5の装置名「ToolA」の熱処理装置10は、稼働が強制的に停止されたときに熱処理を実行中であり、処理チャンバにガスが充満している可能性が高いことを作業者又は管理者が判断できる。
【0054】
例えば図5の装置名「ToolA」の熱処理装置10の復旧のためには、ガス漏れなどの可能性に対処するため、ガスマスクの装備などが必要であり、且つ処理チャンバの中のウエハを再利用できる可能性が低いため、復旧の優先度が低くなる。
【0055】
図5の装置名「ToolC」の熱処理装置10は、稼働が強制的に停止されたときに熱処理を準備中であり、処理チャンバにガスが充満している可能性が低いことを作業者又は管理者が判断できる。
【0056】
例えば図5の装置名「ToolC」の熱処理装置10の復旧のためには、ガス漏れなどの可能性が低く、ガスマスクの装備などが不要であり、且つ処理チャンバの中のウエハを再利用できる可能性が高いため、復旧の優先度が高くなる。
【0057】
このように、図5に示した稼働状況データの一覧を参照した作業者又は管理者は、図5の稼働状況データの一覧情報から、製造工場2に設置されている複数の熱処理装置10の復旧の優先度を容易に判断できる。判断した復旧の優先度に従うことで、作業者又は管理者は迅速な対応が可能となり、製造工場2を復旧して再稼働させるまでの時間を短縮して被害を最小限に抑えることが可能となる。
【0058】
図6のフローチャートの処理は、図5に示した稼働状況データの一覧から作業者又は管理者が製造工場2に設置されている複数の熱処理装置10の復旧の優先度を判断するものである。情報処理装置14は、例えば図5に示した稼働状況データの一覧から製造工場2に設置されている複数の熱処理装置10の復旧の優先度を判断し、作業者又は管理者に提供してもよい。
【0059】
図7は本実施形態に係る情報処理装置の処理の一例のフローチャートである。ステップS50~S52の処理は、図6のステップS30~S32と同様である。ステップS54において、稼働状況データ提供部56は、ステップS52で読み出した稼働状況データの一覧情報に基づき、参照要求のあった製造工場2の複数の熱処理装置10の復旧の優先度を予め設定しておいたルールテーブル等に基づいて判断する。
【0060】
ルールベースは、例えば再利用が可能なウエハを回収できる可能性の高い熱処理装置10の優先度を高く、再利用が可能なウエハを回収できる可能性の低い熱処理装置10の優先度を低く、判断するように設定する。また、ルールベースは、例えばガス漏れの可能性が高い熱処理装置10の優先度を低く、ガス漏れの可能性が低い熱処理装置10の優先度を高く、判断するように設定する。
【0061】
ステップS56において、情報処理装置14は稼働状況データの一覧情報と、ステップS54で判断した製造工場2の複数の熱処理装置10の復旧の優先度と、を表示出力等することで、製造工場2の複数の熱処理装置10の復旧を支援する情報を作業者又は管理者に提供できる。
【0062】
本実施形態に係る情報処理システム1によれば、製造工場2において熱処理装置10が強制的に停止する災害または事故などが生じた場合であっても、製造工場2の熱処理装置10の復旧を支援する技術を提供できる。
【0063】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0064】
1 情報処理システム
10 熱処理装置
12 装置コントローラ
14 情報処理装置
16 情報処理端末
18、20 ネットワーク
52 稼働状況データ収集部
54 稼働状況データ保存部
56 稼働状況データ提供部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7