(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135919
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】ヒューズボックス
(51)【国際特許分類】
H01H 85/20 20060101AFI20230922BHJP
H02G 3/16 20060101ALI20230922BHJP
B60R 16/02 20060101ALN20230922BHJP
【FI】
H01H85/20 B
H02G3/16
B60R16/02 635
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041250
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】神薗 伸一
(72)【発明者】
【氏名】鷲尾 明晴
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 直人
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 彰久
(72)【発明者】
【氏名】戸津川 裕志
(72)【発明者】
【氏名】玉川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】森野 義晃
【テーマコード(参考)】
5G361
5G502
【Fターム(参考)】
5G361BA02
5G361BA03
5G361BB01
5G361BB03
5G361BC01
5G502AA20
5G502BA05
5G502CC24
5G502CC47
5G502FF08
5G502GG10
(57)【要約】
【課題】収容されたヒューズに対して抜け出し方向へ意図しない外力が作用した場合に、ヒューズが不用意に抜け出すことを防止できるヒューズボックスを提供すること。
【解決手段】ヒューズボックス1は、絶縁性を有する絶縁本体部110と一対のブレード端子120が備えられたヒューズ100を収容する第二収容部30を有し、第二収容部30には、第二収容孔31と、第二収容孔31に収容されるヒューズ100の抜け出しを抑制する抜出抑制手段6が設けられ、抜出抑制手段6は、第二収容孔31の周縁部31aから反挿入方向Huに延出され、第二収容孔31を挟んで向かい合うように配置された一対の延出部51と、延出部51から突出し、絶縁本体部110に当接する突出部52とを有する一体構成された延出突出部材50と、延出突出部材50に対して、延出部51に当接して延出部51の過度の撓みを規制する規制壁40とが備えられている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性を有する絶縁本体部と、該絶縁本体部から突出する一対の端子部が備えられたヒューズを収容するヒューズ収容部を有するヒューズボックスであって、
前記ヒューズ収容部に、
内部に配置される接続部材と前記端子部が電気的に接続されるように前記ヒューズを収容する収容孔と、
該収容孔に収容される前記ヒューズの抜け出しを抑制する抜出抑制手段が設けられ、
該抜出抑制手段は、
前記収容孔の周縁部から、前記収容孔から前記ヒューズが抜け出す抜け出し方向に延出され、前記収容孔を挟んで向かい合うように配置された一対の延出部と、向かい合うように配置された前記延出部のそれぞれおいて一方から他方に向かって突出し、前記絶縁本体部に当接する突出部とを有する一体構成された延出突出部材と、
該延出突出部材に対して、前記突出部の突出方向の反対方向に所定の間隔を隔てて配置され、前記延出部に当接して前記延出部の所定量以上の撓みを規制する規制部材とが備えられた
ヒューズボックス。
【請求項2】
前記延出突出部材は、
前記収容孔に対して、収容される前記ヒューズにおいて一対の前記端子部が配置されるヒューズ幅方向の両側に配置された
請求項1に記載されたヒューズボックス。
【請求項3】
前記ヒューズを収容する方向を収容方向とし、
前記ヒューズの前記絶縁本体部における、前記ヒューズ幅方向、且つ、前記収容方向に直交する厚み方向の中央に、ブレード状の前記端子部が配置され、
前記延出突出部材において、前記突出部は前記厚み方向の中央を除くいずれか一方側に配置された
請求項2に記載されたヒューズボックス。
【請求項4】
一体構成された前記延出突出部材における一方の前記突出部は、前記厚み方向における一方側に配置され、
他方の前記突出部が前記厚み方向における他方側に配置された
請求項3に記載されたヒューズボックス。
【請求項5】
前記厚み方向に複数の前記収容孔が並設され、
前記規制部材は、前記厚み方向に並設された複数の前記収容孔に亘って設けられた壁状の規制壁部で構成された
請求項3又は請求項4に記載されたヒューズボックス。
【請求項6】
前記ヒューズを収容する方向を収容方向とし、
前記延出部は柱状に形成され、
前記突出部は、柱状に形成された前記延出部の先端側に設けられるとともに、
前記突出部に、前記突出方向、且つ、前記収容方向に傾斜し、前記収容孔へ前記ヒューズを案内する案内面が形成された
請求項1乃至請求項5のうちいずれかに記載されたヒューズボックス。
【請求項7】
前記突出部における前記収容方向側に、前記突出方向、且つ、前記抜け出し方向に傾斜する傾斜面が形成された
請求項6に記載されたヒューズボックス。
【請求項8】
前記突出方向、且つ、前記収容方向に傾斜する前記案内面の前記収容方向に対する傾斜角度が、前記突出方向、且つ、前記抜け出し方向に傾斜する前記傾斜面の前記収容方向に対する傾斜角度より小さく設定された
請求項7に記載されたヒューズボックス。
【請求項9】
前記延出部の前記突出方向に沿った長さが、前記端子部の板厚より長く、
前記規制部材と前記延出部との間隔が、前記延出部の前記突出方向に沿った長さよりも短い
請求項1乃至請求項8のうちいずれかに記載されたヒューズボックス。
【請求項10】
前記ヒューズ収容部の内部に配置され、一対の前記端子部のそれぞれと接続される前記接続部材それぞれの少なくとも一方は接続端子である
請求項1乃至請求項9のうちいずれかに記載されたヒューズボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、ヒューズを収容するヒューズ収容部を有するヒューズボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、車両に搭載されるヒューズボックスには、電気機器類と接続されたバスバなどと電気的に接続されるヒューズを収容する箇所と、前記ヒューズとは別用途のヒューズを収容する箇所を有するものがある。例えば、特許文献1には、予備のヒューズを収容する収容孔に、ヒューズを収容孔に誘導するガイド部を備えたヒューズの保持構造が開示されている。
【0003】
詳述すると、特許文献1に開示されているヒューズの保持構造では、ヒューズが接触することにより、ヒューズの姿勢を収容方向に変化させながらヒューズを誘導する一対のガイド片が、ヒューズ収容部の長手方向の両端から上方に突出している。このガイド片は、ヒューズの傾きに応じて撓むことで、ヒューズの姿勢を変化させることができるため、確実にヒューズを収容孔に案内して収容できるとされている。
【0004】
しかしながら、ガイド片はヒューズの傾きに応じて姿勢を変化させることができる程度の柔軟性を有しているため、ヒューズに対して抜け出し方向に意図しない外力が作用した場合に、抜け出し方向へ移動したヒューズとの接触によりガイド片が撓んで傾き、ヒューズ収容部からヒューズが意図せずに抜け出すおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、上述の問題に鑑み、収容されたヒューズに対して抜け出し方向へ意図しない外力が作用した場合に、ヒューズが不用意に抜け出すことを防止できるヒューズボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、絶縁性を有する絶縁本体部と、該絶縁本体部から突出する一対の端子部が備えられたヒューズを収容するヒューズ収容部を有するヒューズボックスであって、前記ヒューズ収容部に、内部に配置される接続部材と前記端子部が電気的に接続されるように前記ヒューズを収容する収容孔と、該収容孔に収容される前記ヒューズの抜け出しを抑制する抜出抑制手段が設けられ、該抜出抑制手段は、前記収容孔の周縁部から、前記収容孔から前記ヒューズが抜け出す抜け出し方向に延出され、前記収容孔を挟んで向かい合うように配置された一対の延出部と、向かい合うように配置された前記延出部のそれぞれにおいて一方から他方に向かって突出し、前記絶縁本体部に当接する突出部とを有する一体構成された延出突出部材と、該延出突出部材に対して、前記突出部の突出方向の反対方向に所定の間隔を隔てて配置され、前記延出部に当接して前記延出部の所定量以上の撓みを規制する規制部材とが備えられたことを特徴とする。
【0008】
前記接続部材は、ヒューズ収容部の内部に配置されるとともに、収容された前記ヒューズと電気的に接続されれば、特に種類に限定はなく、バスバや端子などを含む。
前記延出突出部材は、前記収容孔に収容された前記ヒューズのヒューズ幅方向や厚み方向に沿って一対に設けられている場合を含む。
【0009】
前記延出突出部材は、収容孔に収容されるヒューズのヒューズ幅方向又は厚み方向に沿った面を対称面として、向かい合う前記延出突出部材と面対称となる場合や面対称とならない場合、挿入方向に沿った収容孔の中心軸を回転軸として、回転対称となるや回転対称とならない場合などを含む。例えば、互いに面対称の前記延出部から向かい合う位置で突出部が突出する場合や、向かい合わない位置で突出部が突出する場合を含む。また、前記延出突出部材が、挿入方向から視て略矩形状の前記収容孔の周縁部における角部分に設けられた場合などを含む。
なお、一対で設けられた前記延出突出部材は、同じあるいは異なる形状である場合も含む。
【0010】
前記規制部材は、少なくとも前記延出突出部材の一部分が当接することで前記延出部の反対方向への撓みを規制できればよく、例えば、前記延出突出部材を挟んで前記収容孔の反対側に設けられた平板状の壁や、柱状などで構成されていてもよい。
なお、前記規制部材は、前記延出部と同じ高さ又は異なる高さの場合を含む。
【0011】
この発明により、収容孔に収容されたヒューズに意図しない外力が抜け出し方向に向けて作用した場合であっても、絶縁本体部が突出部に当接することで、突出部が設けられた延出部が突出部の突出方向と反対方向である撓み方向に撓みながら外力に抗するとともに、外力によって延出部が撓み方向に過度に撓むことを規制部材で規制できる。これにより、ヒューズが不用意に抜け出すことを防止できる。
【0012】
この発明の態様として、前記延出突出部材は、前記収容孔に対して、収容される前記ヒューズにおいて一対の前記端子部が配置されるヒューズ幅方向の両側に配置されてもよい。
この発明により、収容孔に収容されたヒューズをヒューズ幅方向の両側から押さえ込むことができるため、ヒューズが収納孔から不用意に抜け出すことを確実に防止できる。また、延出突出部材がヒューズ幅方向の中央部分を避けて配置されているため、収容孔にヒューズを抜き出す際に、作業者の抜け出し作業を阻害することを防止でき、作業性を向上できる。
【0013】
またこの発明の態様として、前記ヒューズを収容する方向を収容方向とし、前記ヒューズの前記絶縁本体部における、前記ヒューズ幅方向、且つ、前記収容方向に直交する厚み方向の中央に、ブレード状の前記端子部が配置され、前記延出突出部材において、前記突出部は前記厚み方向の中央を除くいずれか一方側に配置されてもよい。
この発明により、突出部がブレード状の端子部と干渉することなく、収容孔にヒューズを収容できるとともに、ヒューズの不用意な抜け出しをしっかりと防止できる。
【0014】
またこの発明の態様として、一体構成された前記延出突出部材における一方の前記突出部は、前記厚み方向における一方側に配置され、他方の前記突出部が前記厚み方向における他方側に配置されてもよい。
この発明により、ヒューズの絶縁本体部に対して突出部が対角方向から当接するため、ヒューズの不用意な抜け出しをよりしっかりと防止できる。また、ヒューズを収容孔に収容する際、ヒューズ幅方向に沿った軸を揺動軸として、ヒューズが厚み方向に揺動することを防止できるため、ヒューズをより確実に収容孔に収容できる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記厚み方向に複数の前記収容孔が並設され、前記規制部材は、前記厚み方向に並設された複数の前記収容孔に亘って設けられた壁状の規制壁部で構成されてもよい。
この発明により、規制部材が壁状であるため、厚み方向に並設された複数の前記収容孔のそれぞれに設けられた規制部材に比べて、剛性を向上させることができる。このため、規制部材をヒューズ幅方向に薄くすることができ、全体のコンパクト化を図ることができるとともに、厚み方向に複数並列配置された収容孔のそれぞれにおいて、抜け出し方向の外力によりヒューズが当接することによる延出部の過度の撓みを確実に規制できる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記ヒューズを収容する方向を収容方向とし、前記延出部は柱状に形成され、前記突出部は、柱状に形成された前記延出部の先端側に設けられるとともに、前記突出部に、前記突出方向、且つ、前記収容方向に傾斜し、前記収容孔へ前記ヒューズを案内する案内面が形成されてもよい。
【0017】
この発明によると、突出部の案内面によって、ヒューズを収容孔の所定位置に誘導できる。これにより、容易に延出部を撓み方向に撓ませながら、ヒューズを突出部同士の間に割り込ませ、ヒューズ収容部に収容させることができる。
【0018】
また、延出部から突出するそれぞれの突出部に形成されている案内面の傾斜が同じである場合には、収容方向に対してヒューズがヒューズ幅方向に傾くことを防止できる。したがって、ヒューズが収容孔の中央部分に配置されるように収容孔に案内できる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記突出部における前記収容方向側に、前記突出方向、且つ、前記抜け出し方向に傾斜する傾斜面が形成されてもよい。
この発明により、突出部の傾斜面によって、延出部を撓み方向に撓ませながら、収容孔に収容されたヒューズを突出部同士の間に割り込ませることができる。また、傾斜面によって、傾くことなく抜け出し方向に案内できるとともに、突出部による抜け出し抵抗を軽減できる。したがって、抜け出し方向に沿って所定の外力以上の外力をヒューズに作用させることで、収容孔に収容されたヒューズを外部に案内できる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記突出方向、且つ、前記収容方向に傾斜する前記案内面の前記収容方向に対する傾斜角度が、前記突出方向、且つ、前記抜け出し方向に傾斜する前記傾斜面の前記収容方向に対する傾斜角度より小さく設定されてもよい。
【0021】
この発明により、前記案内面の前記収容方向に対する傾斜角度が、前記傾斜面の前記収容方向に対する傾斜角度より小さく設定されているため、収容方向に沿った外力は案内面を介して延出部の撓み方向に作用しやすく、抜け出し方向に沿った外力は傾斜面を介して延出部の撓み方向に作用しにくくなる。
【0022】
したがって、ヒューズを挿入する際には、延出部が撓みやすくできるため、収容時の挿入抵抗を軽減できるため、容易にヒューズを挿入することができる。逆に、ヒューズを抜け出す際には、延出部の撓みを抑制できるため、安易なヒューズの抜け出しを防止できる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記延出部の前記突出方向に沿った長さが、前記端子部の板厚より長く、前記規制部材と前記延出部との間隔が、前記延出部の前記突出方向に沿った長さよりも短くてもよい。
この発明により、延出部の剛性を向上させることができるとともに、延出部に対して延出部の突出方向に沿った長さよりも短い間隔を隔てた規制部材により、剛性が向上した延出部が突出方向に沿って過剰に撓むことを防止できるため、撓みによる延出部の破損を防止できる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記ヒューズ収容部の内部に配置され、一対の前記端子部のそれぞれと接続される前記接続部材それぞれの少なくとも一方は接続端子であってもよい。
この発明により、端子部との接続強度は、例えば音叉端子に比べて低くなるが、確実にヒューズを接続端子との接続を維持できる。
【発明の効果】
【0025】
この発明により、装着されたヒューズに対して抜け出し方向へ意図しない外力が作用した場合に、ヒューズが不用意に抜け出すことを防止できるヒューズボックスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図10】ヒューズの挿入方法を示す概略拡大断面図。
【
図11】ヒューズの意図しない抜け出し防止を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
この発明の一実施態を以下図面とともに説明する。
本実施形態のヒューズボックス1は、例えば、ヒューズ100を収容することができる筐体である。このヒューズボックス1には、バッテリと電気的に接続され、内部に収容されたバスバ(図示省略)と接続するヒューズ100を収容する第一収容領域2と、内部に収容された端子200と接続するヒューズ100を収容する第二収容領域3とを備えている。以下、このようなヒューズボックス1について、
図1から
図11に基づいて説明する。
【0028】
図1はヒューズ100が収容されたヒューズボックス1を上方前方から視た概略斜視図を示し、
図2はヒューズ100の概略斜視図を示し、
図3は端子200を説明する説明図を示す。
図2及び
図3について詳述する。
図2(al)はヒューズ100を上方前方から視た概略斜視図を示し、
図2(b)はヒューズ100を下方前方から視た概略斜視図を示す。
図3(a)は端子200を上方前方から視た概略斜視図を示し、
図3(b)は端子200の側面図を示す。
【0029】
図4はヒューズボックス1の平面図を示し、
図5は
図4におけるα部の拡大概略斜視図を示し、
図6は
図4におけるα部の拡大概略平面図を示し、
図7及び
図8は第二収容部30の概略断面図を示す。
図7及び
図8について詳述すると、
図7(a)は
図6におけるA-A矢視断面図を示し、
図7(b)は
図7(a)におけるβ部の拡大概略断面図を示し、
図8(a)は
図6におけるB-B矢視断面図を示し、
図8(b)は
図8(a)におけるγ部の拡大概略断面図を示す。
【0030】
図9及び
図10は第二収容部30にヒューズ100を収容する過程を示した概略断面図を示す。詳述すると、
図9(a)はヒューズ100を第二収容部30に収容する前の概略断面図を示し、
図9(b)はヒューズ100を第二収容部30に収容する途中の概略断面図を示し、
図9(c)はヒューズ100を第二収容部30に収容した状態の概略断面図を示す。
図10(a)は
図9(b)におけるδ部の概略拡大断面図を示し、
図10(b)は
図9(c)におけるε部の概略拡大断面図を示す。
【0031】
図11は第二収容部30にヒューズ100を収容した状態において、意図しない外力Fが作用した場合のヒューズボックス1の概略断面図を示す。詳述すると、
図11(a)はヒューズボックス1の概略断面図を示し、
図11(b)は
図11(a)におけるζ部の概略拡大断面図を示す。
なお、
図9乃至
図11は
図6におけるB-B矢視断面図に対応する概略断面図を示す。
【0032】
ここで、
図1中において、上下方向を高さ方向Hとし、ヒューズボックス1の長手方向を長手方向Lとする。この高さ方向Hと長手方向Lとは互いに直交している。そして、高さ方向H及び長手方向Lと直交する方向を幅方向Wとする。また、
図1中において、長手方向Lに沿って左側を後方向Lbとし、右側を前方向Lfとし、高さ方向Hに沿って下方側を挿入方向Hdとし、上方側を反挿入方向Huとする。なお、
図1中における方向は
図2乃至
図11にも適用する。
【0033】
ヒューズボックス1は長手方向Lに沿った長さが幅方向Wに沿った長さよりも長い略直方体状の筐体であり、前方向Lfにはバッテリと接続するヒューズ100を収容する第一収容領域2が備えられ、後方向Lbには別用途のヒューズ100を収容する第二収容領域3が備えられている。
【0034】
まず、ヒューズボックス1に収容するヒューズ100について、
図2に基づき説明する。
ヒューズ100は、
図2に示すように、いわゆる低背ヒューズであり、絶縁性を有する絶縁本体部110と、絶縁本体部110から突出する一対のブレード端子120とが備えられている。
【0035】
詳述すると、絶縁本体部110は、絶縁性の樹脂で構成されており、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、上方に設けられた上部111と、上部111から下方に向けて延出する略板状のケース本体112とで一体構成されている。
【0036】
上部111は、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、樹脂横幅(幅方向Wに沿った長さ)に対する厚さ方向の長さである樹脂板厚(長手方向Lに沿った長さ)が短い略直方体形状の上端部分と、上端部分の長手方向Lの中央部分から下方に向けて一部が突出する下端部分とで構成されており、側面視略T字状となっている。すなわち、絶縁本体部110の上端部分は、長手方向Lの外側に向けてわずかに出っ張っている。
なお、
図2(a)に示すように、上部111の上端部分の樹脂横幅(幅方向Wに沿った長さ)をD1とする。
【0037】
ケース本体112は、上部111の上端部分における長手方向Lの中央部分から突出する上部111の下端部分と同じ板厚を有する板状体であり、上部111における幅方向Wの中央部分から下方に向けて突出している。なお、ケース本体112における幅方向Wの中央部分は、長手方向Lの外側に向けて突出しており、内部に可溶体(図示省略)が備えられている。
【0038】
このように構成された絶縁本体部110は、導電性を有する金属製のブレード端子120が幅方向Wに向けて突出している。詳述すると、ブレード端子120は、上部111の長手方向Lの中央部分から下方に向けて突出するとともに、ケース本体112から幅方向Wの外側に向けてそれぞれ突出するブレード状の端子である。
【0039】
このブレード端子120の幅方向Wの外側端部は、上部111と面一となっている。また、ブレード端子120の下端は先細り形状となっており、ケース本体112の下端よりも下方に突出している。
なお、ブレード端子120の端子板厚(長手方向Lに沿った長さ)は、側面視略T字状に形成された上部111の下端部分よりも薄くなるように構成されている。この端子板厚をD2とする(
図2(a)参照)。
このように絶縁本体部110から突出する一対のブレード端子120は、ケース本体112の内部に備えられた可溶体を介して電気的に接続している。
【0040】
このように構成されたヒューズ100は、第一収容領域2において、一対のブレード端子120が内部に備えられたバスバの音叉端子(図示省略)と端子200とにそれぞれ接続される。また、第二収容領域3において、一対のブレード端子120が、内部に備えられた一対の端子200と接続される。
【0041】
第二収容領域3においてブレード端子120と接続される端子200は、一枚の板材を折り曲げて形成されており、
図3(a)に示すように、ブレード端子120と接続される接続部210と、電線が圧着接続される電線圧着部220とで一体構成されている。
【0042】
接続部210は、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、中空状に形成された四角柱状の基端部211と、基端部211における幅方向Wの一方側から反挿入方向Huに向けて延出する外側突片212と、基端部211における長手方向Lの両端から反挿入方向Huに向けて延出する一対の弾性片213とを備えている。
【0043】
基端部211は、平面視で矩形状に形成されており、幅方向Wの一方側から上方に外側突片212が、下方に電線圧着部220が連結されている。
基端部211から上方に延出される外側突片212の上端部分には、長手方向Lに沿って端子板厚(D2)以上の間隔を隔てた一対の突片を幅方向Wの他方側に向けて折り曲げて形成された挿入部214が設けられている。
【0044】
基端部211の長手方向L両端から延出する弾性片213は、反挿入方向Huに向かうに伴い長手方向Lの内側に向かうように傾斜しているとともに、先端部分が長手方向Lの外側に向けて折り返されている。すなわち、弾性片213は、長手方向Lの内側が湾曲する側面視くの字状に形成されている。
【0045】
このように構成された一対の弾性片213と弾性片213との間隔は、端子板厚(D2)よりも短くなるように構成されており、
図3(b)に示すように、挿入部214を反挿入方向Huから挿通するブレード端子120を挟み込んでヒューズ100と端子200とを電気的に接続することができる。
【0046】
上述のように、ヒューズボックス1は、第一収容領域2と第二収容領域3とが長手方向Lに沿って配置されている。また、ヒューズボックス1は、
図1及び
図4に示すように、車両に設けた挿通口に挿通し固定するアンカー4が第一収容領域2の前方向Lfに設けられ、車両にボルト固定するための貫通孔5が第二収容領域3の後方向Lbに設けられている。
このアンカー4と貫通孔5とで、例えばエンジンルームなどの車両における所定箇所に対してヒューズボックス1を固定することができる。
【0047】
第一収容領域2は、
図1及び
図4に示すように、略直方体で構成されたヒューズボックス1における前方向Lfのおよそ3分の2の領域であり、ヒューズ100を収容する複数の第一収容部20が設けられている。
【0048】
第一収容部20は、平面視で略十字状に形成された第一挿通孔21を有するとともに、第一挿通孔21の長手方向L及び後方向Lbに仕切り部22が配置されている。また、第一収容部20の内部(挿入方向Hd)には、第一挿通孔21に挿入されたヒューズ100と接続するバスバと端子200とが収容されている(図示省略)。
【0049】
このように構成された第一収容部20は、第一収容領域2において、幅方向Wに2つ並列配置されている。
より詳しくは、幅方向Wの一方側(
図1中において幅方向Wに沿って右側)には、長手方向Lに沿って5つの第一収容部20が並設されたセットが、長手方向Lに2つ並んでいる。一方で、幅方向Wの他方側(
図1中において幅方向Wに沿って左側)には、長手方向Lに沿って4つの第一収容部20が並設されたセットと、長手方向Lに沿って5つの第一収容部20が並設されたセットとが、長手方向Lに2つ並んでいる。
【0050】
なお、
図4に示すように、幅方向Wの一方側及び他方側に並列配置された第一収容部20のセットの前方向Lf及び後方向Lb、第一収容部20のセットの間には、端子接続部23が配置されている。
【0051】
第二収容領域3は、
図1、
図4、
図5及び
図6に示すように、略直方体で構成されたヒューズボックス1における後方向Lbのおよそ3分の1の領域であり、ヒューズ100を収容する複数の第二収容部30が長手方向Lに沿って並列配置されている。
【0052】
第二収容部30は、ヒューズ100を収容する第二収容孔31と、長手方向Lに隣接する他の第二収容部30との間に配置された仕切部材32とが設けられ、第二収容孔31の幅方向Wの両側にはそれぞれ延出突出部材50が備えられている。また、第二収容部30には、並列配置された第二収容孔31の幅方向Wの外側に長手方向Lに沿った板状の規制壁40が立設している。
【0053】
第二収容孔31は、
図5及び
図6に示すように、平面視において、幅方向Wに沿った長さがケース本体112の横幅(幅方向Wに沿った長さ)と略等しく、長手方向Lに沿った長さがケース本体112における中央部分の板厚(長手方向Lに沿った長さ)略等しい矩形状の中央貫通部311と、中央貫通部311の幅方向Wの中央部分及び長手方向Lの中央部分がそれぞれ外側に向けて突出する幅貫通部312、板厚貫通部313とで構成されている。
【0054】
なお、中央貫通部311に対する幅貫通部312の突出部分の長さは、ケース本体112から幅方向Wに突出するブレード端子120の幅方向Wの長さよりもわずかに長く突出している。また、中央貫通部311に対する板厚貫通部313の突出部分の長さは、ケース本体112の中央部分が長手方向Lに突出する長さよりも一回り長く突出している。
【0055】
すなわち、第二収容孔31に対してヒューズ100を挿入した際に、中央貫通部311にはケース本体112が嵌合し、幅貫通部312にブレード端子120が挿入され、絶縁本体部110が第二収容孔31を形成する周縁部31aに載置される。なお、板厚貫通部313は、第二収容孔31に対して挿入されたヒューズ100を引き抜く際に絶縁本体部110にクリップを係止させるための空間となる。
【0056】
仕切部材32は、
図5及び
図6に示すように、隣接する第二収容孔31の間に形成される周縁部31aにおける幅方向Wの両端部分において、反挿入方向Huに向けて突出する凸部である。なお、仕切部材32の高さは上部111の高さと略等しい。
【0057】
延出突出部材50は、第二収容孔31の幅方向Wの両端を形成する周縁部31aから反挿入方向Huに延出されている延出部51と、延出部51の幅方向Wの内側に向けて突出する突出部52とで一体構成されている。
【0058】
延出部51は、
図5及び
図6に示すように、平面視において略長方形状の柱状に形成されており、周縁部31aにおける幅貫通部312の幅方向Wの外側に対応する箇所から反挿入方向Huに向けて立設している。
【0059】
詳述すると、延出部51は、平面視において、長手方向Lに沿った長さが幅方向Wに沿った長さよりも長い、底面が長方形状の略四角柱であり、所定の弾性を有している。延出部51の長手方向Lに沿った長さは、上部111における上端部分の板厚と略同じ長さで構成されている。また、延出部51の高さ(高さ方向Hに沿った長さ)は、上部111の高さよりもわずかに高く構成されている。
なお、延出部51の板厚(幅方向Wに沿った長さ)は、端子板厚(D2)よりも厚くなっている。
【0060】
このように構成された延出部51は、第二収容孔31を挟んで、互いに対向するように二つ配置されており、延出部51の基端部分は、長手方向Lの両側に配置された仕切部材32と連結されている。なお、対となる延出部51と延出部51との間隔は、絶縁本体部110の樹脂横幅(D1)と略同じ長さとなっている。
【0061】
突出部52は、
図5及び
図6に示すように、延出部51の長手方向Lの中央部分を外した延出部51の上端における長手方向Lの端部部分から、第二収容孔31(幅方向Wの内側)に向けて突出ている。
【0062】
詳述すると、一対で構成された延出部51における幅方向Wの一方側(
図5における左側)の突出部52は、延出部51の前方向Lfの端部から幅方向Wの他方側(
図5における右側)に向けて突出している。一方で、一対で構成された延出部51における幅方向Wの他方側の突出部52は、延出部51の後方向Lbの端部から幅方向Wの一方側に向けて突出している。
【0063】
なお、延出部51から幅方向W内側に向けて突出している突出部52の突出量、すなわち、幅方向Wに沿った突出部52の基端から先端までの長さは、ブレード端子120の幅方向Wの長さよりも短くなるように構成されている。また、突出部52の幅長(長手方向Lに沿った長さ)は、上部111における樹脂横幅(D1)の3分の1程度の長さである。
【0064】
すなわち、一対の延出部51から幅方向Wの内側に向けて突出する突出部52の幅方向Wに沿った間隔は、絶縁本体部110の樹脂横幅(D1)よりも短くなるように構成されている。また、互いに向き合った突出部52と突出部52の長手方向Lに沿った間隔は、ブレード端子120の端子板厚(D2)よりも長くなるように構成されている。
【0065】
このように延出部51から突出する突出部52は、
図7及び
図8に示すように、幅方向Wの内側に向かうに伴い先細りするように構成されている。すなわち、突出部52の上面(案内面52aとする。)は、幅方向Wに向かうに伴い挿入方向Hdに向けて傾斜している。一方で、突出部52の下面(傾斜面52bとする。)は、幅方向Wに向かうに伴い反挿入方向Huに向けて傾斜している。
【0066】
なお、幅方向Wの内側、且つ、挿入方向Hdに向けて傾斜する案内面52aの高さ方向Hに対する傾斜角度は、
図7(b)及び
図8(b)に示すように、幅方向Wの内側、且つ、反挿入方向Huに向けて傾斜する傾斜面52bの高さ方向Hに対する傾斜角度より小さく設定されている。すなわち、案内面52aの傾斜は傾斜面52bの傾斜よりも急となっている。
【0067】
このように構成された延出突出部材50は、第二収容孔31の中心を高さ方向Hに沿って延びる軸を中心軸として、回転対称となるように構成されており、突出部52は幅貫通部312における長手方向Lの外側端部に対応する位置に配置されている。
【0068】
また、このように構成された第二収容部30及び延出突出部材50は、第二収容領域3において、幅方向Wに2つ並列配置されている。
より詳しくは、幅方向Wの一方側(
図1中において幅方向Wに沿って右側)には、長手方向Lに沿って5つの第二収容部30及び延出突出部材50が並設され、幅方向Wの他方側(
図1中において幅方向Wに沿って左側)には、長手方向Lに沿って4つの第二収容部30及び延出突出部材50が並設されている。
【0069】
規制壁40は、
図5乃至
図8に示すように、延出部51に対して突出部52が突出する方向と反対方向である幅方向Wの外側において、延出部51に対して所定の間隔を隔てて配置されている。
具体的には、規制壁40は、延出部51の幅方向Wの外側に設けられた壁状体であり、長手方向Lに沿って並列配置された第二収容孔31に亘って設けられている。また、延出部51に対する規制壁40の間隔は、延出部51から幅方向Wの内側に突出する突出部52の幅方向Wへの長さと略同じであり、延出部51の板厚(幅方向Wに沿った長さ)よりも短い。なお、壁状に形成された規制壁40の上端は、
図7及び
図8に示すように、延出部51の上端と同じ高さとなっている。また、
図4に示すように、幅方向Wの両外側に立設される規制壁40と、幅方向Wの中央部分に立設されている規制壁40とが、後方向Lbの端部で連結されている。
【0070】
このように構成された規制壁40と延出突出部材50とは、第二収容孔31に収容されたヒューズ100に意図しない外力Fが作用した場合において、ヒューズ100の不用意な抜け出しを抑制する抜出抑制手段6を構成する。
【0071】
次に、端子200が内部に装着された第二収容部30に対して、ヒューズ100を収容する方法について、
図9及び
図10に基づき簡単に説明する。
はじめに、
図9(a)に示すように、絶縁本体部110からブレード端子120が挿入方向Hdに向けて突出するように、ヒューズ100を収容したい第二収容部30の反挿入方向Huに配置し、ヒューズ100を第二収容孔31に収容させる方向である挿入方向Hdに移動させる。
【0072】
ヒューズ100を挿入方向Hdに移動させることで、中央貫通部311の幅方向Wの両端に設けられた周縁部31aからそれぞれ立設する延出部51に沿ってブレード端子120が挿入方向Hdに向けて移動し、ケース本体112及びブレード端子120がそれぞれ中央貫通部311及び幅貫通部312に挿入される。
【0073】
この際、それぞれの延出部51から幅方向Wの内側に向けて突出する突出部52と突出部52との間隔がブレード端子120の端子板厚(D2)と略等しいため、ヒューズ100が長手方向Lに傾いたとしても、突出部52がブレード端子120と当接し、ヒューズ100の長手方向Lへの傾きを規制できる。したがって、ヒューズ100を高さ方向Hに沿って挿入することができる。
【0074】
続いて、ヒューズ100を挿入方向Hdに向けて押し込むことで、
図9(b)及び
図10(a)に示すように、ブレード端子120が挿入部214に挿入されることとなる。また、絶縁本体部110の下端が突出部52と当接し、突出部52を幅方向Wの外側に押圧する。これにより、延出部51を幅方向Wの外側に撓むこととなる。なお、それぞれの突出部52の上面である案内面52aは、幅方向Wの内側に向かうに伴い挿入方向Hdに向けて同じ傾斜角度で傾斜しているため、ヒューズ100を第二収容孔31の中央部分に向けて案内するとともに、延出部51を幅方向Wの外側に同程度撓ませることができる。したがって、延出部51が規制壁40と干渉することなく、確実にヒューズ100を下方に押し込むことができる。
【0075】
さらにヒューズ100を下方に押し込むことで、
図9(c)及び
図10(b)に示すように、ブレード端子120が一対の弾性片213と弾性片213との間に挟持されて、ヒューズ100と端子200とを電気的に接続できる。
【0076】
また、ヒューズ100を下方に押し込むことで、絶縁本体部110の上端が突出部52を越え、絶縁本体部110と突出部52との接触がなくなるため、幅方向Wの外側に向けて撓んでいた延出部51が元の位置に戻る。そして、突出部52が絶縁本体部110の反挿入方向Huに配置され、第二収容孔31に収容されたヒューズ100の反挿入方向Huへの移動を規制できる。これにより、接続強度が音叉端子に比べて弱いヒューズ100と端子200との接続であっても、ヒューズ100と端子200との接続を確実に維持できる
【0077】
このように第二収容孔31に収納されたヒューズ100は、意図しない外力Fが作用した場合であっても、抜出抑制手段6により第二収容孔31から抜け出すことが防止される。以下、ヒューズ100の意図しない抜け出し防止について、
図11に基づき簡単に説明する。
【0078】
例えば、車両の振動などにより、
図11(a)に示すように、ヒューズ100に対して反挿入方向Huへの意図しない外力Fが作用することがある。例えば、外力Fが弱い場合には突出部52が絶縁本体部110の上端面と当接するため、第二収容孔31からの意図しないヒューズ100の抜け出しを防止できる。
【0079】
一方で、外力Fが所定の力よりも大きい場合、
図11(b)に示すように、傾斜面52bが絶縁本体部110に押圧され、延出部51が幅方向Wの外側に撓むこととなる。しかしながら、意図しない外力Fがヒューズ100に対して作用した場合、均等に反挿入方向Huにヒューズ100を引き出す力とならないため、ヒューズ100が傾いた状態で突出部52と当接する。
【0080】
例えば、
図11(b)に示すように、幅方向Wの一方側(図中の左側)にヒューズ100が傾いている場合、絶縁本体部110が幅方向Wの一方側の突出部52と対して強く当接するため、幅方向Wの一方側の延出部51が過度に撓むこととなる。
【0081】
しかしながら、延出部51の幅方向Wの外側に立設している規制壁40に、延出部51が当接する。すなわち、延出部51に対する突出部52の突出量以上に延出部51が撓むことを防止できる。このため、延出部51が過度に撓んで突出部52とヒューズ100との当接が解除されることを防止できる。これにより、第二収容孔31からヒューズ100が抜け出ることを防止できる。
【0082】
なお、壁状の規制壁40の上端は、延出部51の上端と同じ高さとなっているため、延出突出部材50に意図しない外力Fが作用して幅方向Wの外側に撓んだ延出突出部材50の上端部分が必ず規制壁40と当接することとなる。したがって、延出突出部材50が過度に撓んで損傷することを防止できる。また、外部から他の部材が干渉することにより、延出部51(延出突出部材50)が損傷することも防止できる。
【0083】
また、クリップなどを用いてヒューズ100を第二収容孔31から抜き出す際には、ヒューズ100に対して反挿入方向Huに沿った力を作用させることができるため、傾斜面52bによって第二収容孔31の中央部分に案内されたヒューズ100を第二収容孔31から抜き出すことができる。
【0084】
このように構成されたヒューズボックス1は、絶縁性を有する絶縁本体部110と、絶縁本体部110から突出する一対のブレード端子120が備えられたヒューズ100を収容する第二収容部30を有する。この第二収容部30には、内部に配置される端子200とブレード端子120が電気的に接続されるようにヒューズ100を収容する第二収容孔31と、第二収容孔31に収容されるヒューズ100の抜け出しを抑制する抜出抑制手段6が設けられている。そして、抜出抑制手段6は、第二収容孔31の周縁部31aから、第二収容孔31からヒューズ100が抜け出す反挿入方向Huに延出され、第二収容孔31を挟んで向かい合うように配置された一対の延出部51と、向かい合うように配置されたそれぞれの延出部51から向かい合う延出部51に向かって突出し、絶縁本体部110に当接する突出部52とを有する一体構成された延出突出部材50と、延出突出部材50に対して、突出部52の突出方向の反対方向に所定の間隔を隔てて配置され、延出部51に当接して延出部51の所定量以上の撓みを規制する規制壁40とが備えられている。
【0085】
これにより、第二収容孔31に収容されたヒューズ100に意図しない外力Fが反挿入方向Huに向けて作用したとしても、絶縁本体部110が突出部52に当接することで、突出部52が設けられた延出部51が突出部52の突出方向と反対方向である幅方向Wの外側に撓みながら外力Fに抗するとともに、外力Fによって延出部51が幅方向Wの外側に過度に撓むことを規制壁40で規制できる。これにより、ヒューズ100が不用意に抜け出すことを防止できる。
【0086】
また、延出突出部材50は、第二収容孔31に対して、収容されるヒューズ100において一対のブレード端子120が配置される幅方向Wの両側に配置されていることにより、第二収容孔31に収容されたヒューズ100を幅方向Wの両側から押さえ込むことができる。このため、ヒューズ100が収納孔から不用意に抜け出すことを確実に防止できる。
また、延出突出部材50が幅方向Wの中央部分を避けて配置されているため、第二収容孔31にヒューズ100を抜き出す際に、作業者の抜け出し作業を阻害することを防止でき、作業性を向上できる。
【0087】
さらにまた、ヒューズ100の絶縁本体部110における、幅方向W、且つ、挿入方向Hdに直交する長手方向Lの中央に、ブレード状のブレード端子120が配置され、延出突出部材50において、突出部52は長手方向Lの中央を除くいずれか一方側に配置されている。これにより、突出部52がブレード状のブレード端子120と干渉することなく、第二収容孔31にヒューズ100を収容できるとともに、ヒューズ100の不用意な抜け出しをしっかりと防止できる。
【0088】
また、一体構成された延出突出部材50における一方の突出部52は、長手方向Lにおける一方側(前方向Lf)に配置され、他方の突出部52が長手方向Lにおける他方側(後方向Lb)に配置されている。これにより、ヒューズ100の絶縁本体部110に対して突出部52が対角方向から当接するため、ヒューズ100の不用意な抜け出しをよりしっかりと防止できる。また、ヒューズ100を第二収容孔31に収容する際、幅方向Wに沿った軸を揺動軸としてヒューズ100が長手方向Lに揺動することを防止できるため、ヒューズ100をより確実に第二収容孔31に収容できる。
【0089】
さらにまた、長手方向Lに複数の第二収容孔31が並設され、規制壁40は、長手方向Lに並設された複数の第二収容孔31に亘って設けられた壁状で構成されている。このため、例えば、長手方向Lに並設された複数の第二収容孔31のそれぞれに対応して設けられた場合に比べて、壁状で構成された規制壁40は剛性が高い。したがって、規制壁40を幅方向Wに薄くすることができ、全体のコンパクト化を図ることができるとともに、長手方向Lに複数並列配置された第二収容孔31のそれぞれにおいて、反挿入方向Huの外力Fによりヒューズ100が当接することによる延出部51の過度の撓みを確実に規制できる。
【0090】
また、延出部51は柱状に形成され、突出部52は、柱状に形成された延出部51の先端側に設けられるとともに、突出部52に、幅方向Wの内側、且つ、挿入方向Hdに傾斜し、第二収容孔31へヒューズ100を案内する案内面52aが形成されている。
【0091】
この案内面52aによって、ヒューズ100を第二収容孔31の所定位置に誘導できるため、容易に延出部51を幅方向Wの外側に撓ませながら、ヒューズ100を突出部52同士の間に割り込ませ、第二収容部30に収容させることができる。また、延出部51から突出するそれぞれの突出部52に形成されている案内面52aの傾斜が同じであるため、高さ方向Hに対してヒューズ100が幅方向Wに傾くことを防止できる。したがって、ヒューズ100が第二収容孔31の中央部分に配置されるように第二収容孔31に案内できる。
【0092】
また、突出部52における挿入方向Hd側に、幅方向Wの内側、且つ、反挿入方向Huに傾斜する傾斜面52bが形成されていることにより、延出部51を幅方向Wの外側に撓ませながら、第二収容孔31に収容されたヒューズ100を突出部52同士の間に割り込ませることができる。また、傾斜面52bによって、傾くことなく反挿入方向Huに案内できるとともに、突出部52による抜け出し抵抗を軽減できる。したがって、反挿入方向Huに沿って所定の外力F以上の力を意図してヒューズ100に作用させることで、第二収容孔31に収容されたヒューズ100を外部に案内できる。
【0093】
また、幅方向Wの内側、且つ、挿入方向Hdに傾斜する案内面52aの挿入方向Hdに対する傾斜角度が、幅方向Wの内側、且つ、反挿入方向Huに傾斜する傾斜面52bの挿入方向Hdに対する傾斜角度より小さく設定されているため、挿入方向Hdに向けた力は案内面52aを介して延出部51の幅方向Wの外側に作用しやすく、反挿入方向Huに向けた力は傾斜面52bを介して延出部51の幅方向Wの外側に作用しにくくなる。
【0094】
したがって、ヒューズ100を挿入する際には、延出部51が撓みやすくできるため、収容時の挿入抵抗を軽減できるため、容易にヒューズ100を挿入することができる。逆に、ヒューズ100を抜け出す際には、延出部51の撓みを抑制できるため、安易なヒューズ100の抜け出しを防止できる。
【0095】
また、延出部51の板厚(幅方向Wに沿った長さ)が、ブレード端子120の板厚より長く、規制壁40と延出部51との間隔が、延出部51の板厚よりも短く構成されている。これにより、延出部51の剛性を向上させることができるとともに、延出部51に対して延出部51の板厚よりも短い間隔を隔てた規制壁40によって、剛性が向上した延出部51が突出方向に沿って過剰に撓むことを防止できるため、撓みによる延出部51の破損を防止できる。
【0096】
また、一対のブレード端子120のそれぞれと接続される端子200が、第二収容部30の内部に配置されている。端子200とブレード端子120との接続強度は、例えばバスバなどに備えられている音叉端子に比べて低くなるが、突出部52でヒューズ100の上端を抑え込むことができるため、確実にヒューズ100を端子200との接続を維持できる。
【0097】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
ヒューズ収容部は、第二収容部30に対応し、同様に、
端子部は、ブレード端子120に対応し、
接続部材及び接続端子は、端子200に対応し、
収容孔は、第二収容孔31に対応し、
抜け出し方向は、反挿入方向Huに対応し、
規制部材及び規制壁部は、規制壁40に対応し、
ヒューズ幅方向は、幅方向Wに対応し、
収容方向は、挿入方向Hdに対応し、
厚み方向は、長手方向Lに対応するが、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0098】
例えば、本実施形態において、延出部51から突出する突出部52における傾斜面52bの高さ方向Hに対する傾斜角が同じとしているが、傾斜角が異なっていてもよい。これにより、意図しない外力Fが作用した場合に、突出部52に外力Fが均等にかかることないため、第二収容孔31に収容されたヒューズ100の抜け出しをより規制できる。
【0099】
また、本実施形態において、抜出抑制手段6は第二収容領域3に設けられているが、第一収容領域2に設けてもよい。なお、一対のブレード端子120と電気的に接続されるそれぞれの端子200の代わりに、少なくとも一方をバスバとしてもよい。この場合、接続強度の強いバスバとブレード端子120とを接続できる。
【0100】
さらにまた、本実施形態では、延出突出部材50は、第二収容孔31(幅貫通部312)の幅方向Wの外側に設けられているが、例えば中央貫通部311の長手方向Lの外側に設けてもよい。また、周縁部31aにおける角部分に延出突出部材50を設けてもよい。なお、一対の延出突出部材50は互いに異なる形状であってもよい。
さらにまた、突出部52は互いに向き合う位置に設けられてもよい。
【0101】
また、本実施形態において、規制壁40は、長手方向Lに沿って並列する周縁部31aに沿って延出する板状で構成されているが、例えば、ブロック状に形成されていてもよく、また、それぞれの周縁部31aに対して独立して設けられていてもよい。
【0102】
また、規制壁40は延出突出部材50と同じ高さとなるように構成されているが、少なくとも延出突出部材50の一部分が当接することで延出部51の過度の撓みを規制できれば、異なる高さであってもよい。
【符号の説明】
【0103】
1 ヒューズボックス
6 抜出抑制手段
30 第二収容部
31 第二収容孔
31a 周縁部
40 規制壁
50 延出突出部材
51 延出部
52 突出部
52a 案内面
52b 傾斜面
100 ヒューズ
110 絶縁本体部
120 端子部
200 端子
Hd 挿入方向
Hu 反挿入方向
L 長手方向
W 幅方向