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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136064
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】調理済み麺類の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/109 20160101AFI20230922BHJP
【FI】
A23L7/109 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041481
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】301049777
【氏名又は名称】日清製粉株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋草 伸吾
(72)【発明者】
【氏名】山田 みのり
【テーマコード(参考)】
4B046
【Fターム(参考)】
4B046LA05
4B046LB10
4B046LC12
4B046LE06
4B046LG04
4B046LG09
4B046LG21
4B046LG29
4B046LG34
4B046LP01
4B046LP12
4B046LP15
4B046LP38
4B046LP69
4B046LQ02
(57)【要約】
【課題】解凍後にも、中華麺らしい風味と食感に優れ、かつスープのりの良好な冷凍中華麺の提供。
【解決手段】冷凍中華麺の製造方法であって、該中華麺の生麺を蒸し、水分量40.5~60質量%の蒸し麺を得ること、該蒸し麺を冷凍することを含み、該中華麺は、2つのA層の間にB層が配置された積層構造を有する多層麺であり、該A層の生地のpHが3.5~6.2であり、かつ該B層の生地のpHが8.7~11.0である、方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍中華麺の製造方法であって、
該中華麺の生麺を蒸し、水分量40.5~60質量%の蒸し麺を得ること、
該蒸し麺を冷凍すること、
を含み、
該中華麺は、2つのA層の間にB層が配置された積層構造を有する多層麺であり、
該A層の生地のpHが3.5~6.2であり、かつ該B層の生地のpHが8.7~11.0である、
方法。
【請求項2】
前記多層麺が三層麺である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記B層の厚みが、前記多層麺の全厚に対して20~85%である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記蒸し麺を、別途添加された水分と混合して冷凍することを含み、該水分の量が、該蒸し麺100質量部あたり10~80質量部である、請求項1~3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記蒸し麺を冷凍した後、水分の凍結物とともに包装することを含み、該水分の量が、該蒸し麺100質量部あたり10~80質量部である、請求項1~3のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
冷凍中華麺が電子レンジ解凍用の冷凍中華麺である、請求項1~5のいずれか記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理済み麺類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
麺生地のpHを調整することで茹で麺の品質を向上させる技術が開示されている。特許文献1には、pH4.0~5.5の弱酸性のA層とpH8.5~11.5の弱アルカリ性のB層とを含み、かつA層が最外層を構成する多層麺が記載されている。特許文献2には、pHが7.2~9.4となる量のかん水を含む内層とpHが4.0~7.0の外層とからなる多層麺を、水分含量が55~70重量%となるように茹処理し、加圧加熱殺菌処理することで加圧加熱殺菌処理ラーメンを製造することが記載されている。特許文献3には、中華麺は、麺のpHが高くなると表面が茹でどけしやすくなるため、茹で後の麺が滑らかさや食感に劣ることがあること、及び、外層用の麺生地が原料粉とpH5.6~6.0の水溶液から調製されており、内層用の麺生地がpH7.0以上である多層麺が、滑らかで良好な食感を有することが記載されている。
【0003】
冷凍麺は、α化した麺を冷凍することで製造される。冷凍麺は、電子レンジ加熱や短時間の茹で調理により簡便に喫食することができるが、一方、茹で立ての麺に比べて風味や食感に劣る。さらに、中華麺の冷凍麺は、中華麺らしい風味(いわゆるかんすい臭)が損なわれやすく、またスープのりが悪くなってしまう問題があった。特許文献4には、かん粉又は食塩の含有率が内層麺部と外層麺部で異なる三層麺をα化処理後冷凍することにより製造した三層冷凍麺が、解凍後の食感が良好であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-154725号公報
【特許文献2】特開平5-049425号公報
【特許文献3】特許第6600436号公報
【特許文献4】特開平8-009909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、解凍後にも中華麺らしい風味と食感に優れかつスープのりが良好な冷凍中華麺を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、冷凍中華麺の製造方法であって、
該中華麺の生麺を蒸し、水分量40.5~60質量%の蒸し麺を得ること、
該蒸し麺を冷凍すること、
を含み、
該中華麺は、2つのA層の間にB層が配置された積層構造を有する多層麺であり、
該A層の生地のpHが3.5~6.2であり、かつ該B層の生地のpHが8.7~11.0である、
方法を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、解凍後にも中華麺らしい風味と食感に優れ、かつスープのりが良好な冷凍中華麺を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は冷凍中華麺の製造方法を提供する。本発明では、内層がアルカリ性、外層が中性~酸性である多層構造を有する中華麺を、通常の調理麺よりも低歩留まりになるよう蒸し調理し、冷凍することで、解凍後にも中華麺らしい風味と食感に優れ、かつスープのりが良好な冷凍中華麺を製造することができる。さらに、該中華麺を水分とともに冷凍すれば、電子レンジ加熱解凍したときの食感をより向上させることができる。
【0009】
本発明で提供される中華麺は、2つのA層の間にB層が配置された積層構造を有する多層麺である。当該多層麺は、三層以上の層からなる多層構造を有する。好ましくは、当該多層麺は、A層を外層とし、B層を内層とする三層麺、すなわち「A層/B層/A層」からなる三層構造を有する三層麺である。あるいは、当該多層麺において2枚のA層に挟まれる内層は、複数の層を有していてもよい。
【0010】
本発明で用いられる多層麺のA層及びB層の原料粉は、好ましくは穀粉類を含有する。該穀粉類の例としては、小麦粉、米粉、大麦粉、モチ大麦粉、そば粉、大豆粉、コーンフラワー、オーツ麦粉、ライ麦粉、ふすま粉などが挙げられ、好ましくは小麦粉、米粉、大麦粉、モチ大麦粉、及びそば粉が挙げられる。これらの穀粉類は、いずれか単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。該A層及びB層の原料粉は、その全量中に、該穀粉類を、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上含有する。
【0011】
好ましくは、該A層及びB層の原料粉は小麦粉を含む。好ましくは、該A層及びB層の原料粉は、その全量中に、小麦粉を50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上含有する。また好ましくは、該A層及びB層の原料粉に使用される穀粉類の80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは100質量%が小麦粉である。該小麦粉は、麺類の製造に一般に使用されるものであればよく、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉、全粒粉、熱処理小麦粉(例えばα化小麦粉、部分α化小麦粉、焙焼小麦粉)などが挙げられる。これらの小麦粉は、いずれか単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。ただし、該A層及びB層の原料粉における熱処理小麦粉の量は20質量%以下であることが好ましい。
【0012】
該A層及びB層の原料粉は、必要に応じて澱粉類を含有していてもよい。好ましくは、少なくとも該A層は澱粉類を含有する。該澱粉類の例としては、特に限定されず、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、米澱粉などの未加工澱粉、及びそれらを加工(例えば、架橋化、リン酸化、アセチル化、エーテル化、酸化、α化など)した加工澱粉が挙げられる。本発明において、これら未加工澱粉及び加工澱粉は、いずれか単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。好ましくは、該澱粉類はタピオカ澱粉である。また好ましくは、該澱粉類は加工澱粉である。より好ましくは、該澱粉類は加工タピオカ澱粉であり、さらに好ましくは、アセチル化、エーテル化及び架橋化からなる群より選択される1種以上の加工を行った加工タピオカ澱粉である。該A層及びB層の原料粉が澱粉類を含有する場合、該澱粉類の含有量は、該原料粉の全量中、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは10~30質量%である。
【0013】
該A層及びB層の原料粉は、穀粉類、澱粉類に加えて、麺類の製造に従来用いられる他の成分をさらに含有していてもよい。当該他の成分としては、小麦蛋白質(グルテン)、大豆蛋白質、乳蛋白質、卵黄粉、卵白粉、全卵粉、脱脂粉乳等の蛋白質素材、ならびに、油脂類、かんすい、焼成カルシウム、食物繊維、食塩、糖類、甘味料、香辛料、調味料、ビタミン、ミネラル、栄養強化剤、色素、香料、デキストリン(難消化性含む)、膨張剤、増粘剤、乳化剤、保水剤、保存剤、酵素剤、pH調整剤、酸化還元剤などが挙げられる。該A層及びB層の原料粉における該他の成分の含有量は、好ましくは15質量%以下、より好ましくは0~10質量%である。
【0014】
該A層及びB層の原料粉の組成は、同じであっても異なっていてもよい。例えば、該A層及びB層の原料粉に含まれる穀粉類、澱粉類及び他の材料の種類や量は、同じであっても異なっていてもよい。
【0015】
該A層及びB層の原料粉のそれぞれに、常法に従って水分を添加し、混捏することによりA層用生地及びB層用生地を調製することができる。該A層用生地及びB層用生地の調製に用いられる水分としては、麺生地の製造に通常用いられる練水、例えば水、塩水、かん水、酸性溶液などを用いることができる。該A層用生地及びB層用生地から多層麺が製造される。より詳細には、該多層麺は、その最外層の両側が該A層用生地から構成され、該最外層の内側の層が該B層用生地から構成されている。好ましくは、該A層用生地及びB層用生地はかんすいを含有し、これによって多層麺に中華麺らしい風味を付与することができる。
【0016】
本発明で用いられるA層用生地は、pH3.5~6.2、好ましくはpH3.5~6.0、より好ましくはpH3.5~5.8の麺生地である。A層用生地のpHが低すぎると製麺性が悪くなりやすく、一方、A層用生地のpHが高すぎると、該多層麺のスープのりが悪くなりやすい。該A層用生地は、前述したように、原料粉と水、塩水、酸性溶液などの練水とを混捏することで調製することができる。該A層用生地のpHは、有機酸、有機酸塩、リン酸、及びリン酸塩などのpH調整剤を用いて調整することができる。
【0017】
前記有機酸の例としては、一価~三価の有機酸、例えばクエン酸、リンゴ酸、フマル酸、グルコン酸、コハク酸、アジピン酸、乳酸、酢酸、イタコン酸、フィチン酸及び酒石酸からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられ、好ましい例としては、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、乳酸、イタコン酸、フィチン酸及び酒石酸からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられ、より好ましい例としては、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、乳酸、及び酒石酸からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられ、さらに好ましい例は、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、乳酸、又は酒石酸であり、さらに好ましい例は、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、又は乳酸である。
前記有機酸塩の例としては、前記に例示した有機酸の塩が挙げられ、好ましい例としては、クエン酸塩、リンゴ酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩及び酒石酸塩からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられ、さらに好ましい例は、クエン酸塩、リンゴ酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩又は酒石酸塩であり、さらに好ましい例は、クエン酸塩、リンゴ酸塩、グルコン酸塩、又は乳酸塩である。該塩の種類としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などが挙げられ、ナトリウム塩及びカリウム塩が好ましい。
前該リン酸及びリン酸塩は、食用に用いられるものであればよく、該リン酸塩の例としては、リン酸三ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム等の単リン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩、メタリン酸塩等の重合又は縮合リン酸塩が挙げられる。
【0018】
前記pH調整剤は、粉体、水溶液等の任意の形態で該A層用生地の調製に使用されればよい。得られた該A層用生地が所望のpHになるように、該pH調整剤の使用量を適宜調整すればよい。該A層用生地の調製に用いられる練水の量は、練水の水分量として、原料粉100質量部あたり、好ましくは32~45質量部である。
【0019】
一方、本発明で用いられるB層用生地は、pH8.7~11.0、好ましくはpH9.0~11.0、より好ましくはpH9.5~11.0、さらに好ましくはpH10.0~11.0の麺生地である。B層用生地のpHが低すぎると該多層麺の中華麺らしい風味や食感が低下しやすく、一方、B層用生地のpHが高すぎても、アルカリの影響で該多層麺にえぐみが出るおそれがある。該B層用生地のpHは、アルカリ剤を用いて調整することができる。すなわち、該B層用生地の原料粉又は練水にアルカリ剤を添加すればよい。該アルカリ剤としては、例えば、かんすい、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。該アルカリ剤は、粉体、水溶液等の任意の形態で該B層用生地の調製に使用されればよい。好ましくは、該B層用生地は、該アルカリ剤を含む水溶液を練水として該B層の原料粉に添加し、混捏することで調製される。得られた該B層用生地が所望のpHになるように、該アルカリ剤の使用量を適宜調整すればよい。該B層用生地の調製に用いられる練水の量は、練水の水分量として、原料粉100質量部あたり、好ましくは30~42質量部である。
【0020】
本明細書において、麺生地のpHとは、麺生地(調製後、加熱調理又は乾燥していないもの)1gを水10mLに懸濁させた懸濁液のpH(25℃)をいう。また本明細書において、原料粉のpHとは、原料粉1gを水10mLに懸濁させた懸濁液のpH(25℃)をいう。
【0021】
次いで、得られたA層用生地及びB層用生地をそれぞれ圧延すれば、A層麺帯及びB層麺帯を得ることができる。該B層麺帯を2枚の該A層麺帯で両側から挟み込んで、多層麺帯を作製し、圧延し、製麺することにより、多層麺を製造することができる。本発明で用いる多層麺は、その最外層の両側を該A層用生地から作製し、該最外層の内側の層を該B層用生地から作製すること以外は、従来の多層麺の製造方法と同様の手順で製造することができる。例えば、圧延と製麺の手段としては、押出し、ロールによる圧延と切出し、などが挙げられるが、特に限定されない。
【0022】
得られた多層麺は、二つの外層(A層)の間に、B層を含む一層以上の内層を有する、三層以上の層構造を有していればよい。例えば、該多層麺類は、二つの外層と一つの内層を含む三層麺であってもよいが、二つの外層と二層以上の内層とを有する四層以上の麺であってもよい。好ましくは、該多層麺類は三層麺である。該内層が二層以上である場合、各々の層は、前述したB層の原料粉の組成の範囲内において、組成の異なる生地から調製されていてもよい。
【0023】
前記多層麺は、生麺の状態で、全体の厚みが1~5mmであることが好ましい。該多層麺の各層の厚みは、麺の層数や求める食感に応じて適宜調整することができる。例えば、該多層麺における前記B層の厚みは、該多層麺の全厚に対して、好ましくは20~85%、より好ましくは50~60%である。全厚に対する該B層の割合が低すぎると、該多層麺の中華麺らしい風味や食感が低下しやすく、一方、全厚に対する該B層の割合が高すぎると、該多層麺のスープのりが悪くなりやすい。
【0024】
本発明においては、前述の手順で得られた多層麺の生麺を蒸し調理する。該生麺の蒸し調理は通常の手順で行うことができ、ただし得られた蒸し麺の水分量が40.5~60質量%、好ましくは43~55質量%になるようにする。得られた蒸し麺は、通常の喫食用にα化された調理麺と比べて低歩留まりかつ低水分量である。これにより、蒸し麺のα化を抑え、冷凍中華麺を解凍したときの風味や食感の低下を防止することができる。本明細書における麺の水分量は、常圧加熱乾燥法(日本食品標準成分表2015年版(七訂)分析マニュアル[www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1368931.htm]、第1章、1, 1-1を参照)に従って測定した値をいう。
【0025】
前記蒸し麺の冷凍は、通常の手順で行うことができる。好ましくは、該蒸し麺を別途添加された水分とともに冷凍する。例えば、該蒸し麺を別途添加された水分と混合し、次いで冷凍することができる。あるいは、該蒸し麺を一旦冷凍した後、水分の凍結物とともに冷凍することができる。該蒸し麺を水分とともに電子レンジ加熱することで、解凍後の麺がより良好な食感となる。該蒸し麺に対する該水分の添加量は、該蒸し麺100質量部あたり、好ましくは10~80質量部、より好ましくは10~67質量部である。
【0026】
前記蒸し麺は、包装された状態で冷凍される。例えば、該蒸し麺を一旦冷凍した後、包装してもよく、又は、該蒸し麺を包装容器に収納し、次いで冷凍してもよい。該蒸し麺を水分とともに冷凍する場合は、該蒸し麺を該水分と混合し、それらを包装し、冷凍してもよく、又は、包装容器に冷凍した該蒸し麺と水分の凍結物を収納し、次いで冷凍してもよい。ただし、該蒸し麺の冷凍、包装は、上記の手順に限定されることなく、冷凍麺の冷凍や包装のための一般的な手順を適宜採用することができる。
【0027】
本発明により製造された冷凍中華麺は、電子レンジ加熱、湯煎などにより解凍し、喫食することができる。好ましくは、当該冷凍中華麺は、電子レンジ加熱解凍用の冷凍中華麺である。
【実施例0028】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0029】
試験例1 中華麺の製造
1)原料粉
小麦粉:特ナンバーワン(準強力粉)、宝雲(中力粉)
エーテル架橋タピオカ澱粉:あさがお(松谷化学)
グルテン:AグルG(グリコ栄養食品)
かんすい:かんすい赤(オリエンタル酵母工業(株))
【0030】
2)麺生地の製造
A層(外層):表1に示す配合でかんすいを含む練り水を調製した。この練り水を原料粉に添加し、減圧(-0.093MPa)下で混捏し、圧延して厚さ3~8mmのシート状の外層用生地を得た。麺生地が所定のpHとなるように練り水に乳酸を添加した。
B層(内層):表1に示す配合でかんすいを含む練り水を調製した。麺生地が所定のpHとなるように練り水中のかんすい量を調整した。この練り水を原料粉に添加し、減圧(-0.093MPa)下で混捏し、圧延して厚さ4~12mのシート状の内層用生地を得た。
【0031】
3)多層麺の製造
2枚のA層用生地の間に1枚のB層用生地を積層し、圧延して、三層麺帯を調製した。A層とB層の厚比は表2~7のとおりであった。得られた麺帯を切り刃(#20角)で切り出して三層の麺線(麺厚1.5mm)を製造した。
【0032】
4)単層麺の製造
□表1に示す配合で練り水を調製した。この練り水を原料粉に添加し、減圧(-0.093MPa)下で混捏して生地を調製した。該生地を製麺ロールで圧延して麺帯を作製し、切り刃(#20角)で切り出して単層の麺線(麺厚1.5mm)を製造した。
【0033】
【表1】
【0034】
5)冷凍麺の製造
得られた麺線を蒸し又は茹で調理した。蒸し調理の場合は、蒸し麺が所定の水分量になるように中間シャワー量を調節し、0.04Mpaで2分間、生麺を蒸した。茹で調理の場合は、茹で麺が所定の水分量になるまで沸騰したお湯で生麺を茹でた。調理後の麺は、水洗冷却、水切りした後、水分量を測定した。水切りした麺をトレーに入れ、-30℃のショックフリーザーで急速凍結させた。水を加える場合は、所定量の水を麺と良く混ぜた後、トレーに入れ、-30℃のショックフリーザーで急速凍結させた。凍結した麺は72時間連冷凍保存した。
【0035】
6)評価
冷凍麺を電子レンジで品温70℃になるまで加熱した。又は、冷凍麺を沸騰したお湯で1分間湯煎した。加熱した麺を予め用意した400mLの熱水を入れた器に入れ、下記評価基準にて品質を評価した。参考として、前記手順で製造した単層麺を茹で調理し、冷凍せずに評価した。評価は訓練された10名のパネラーによって行い、平均点を求めた。結果を表2~7に示す。
<評価基準>
(風味)
5点:中華麺らしいかんすい風味が非常に優れる
4点:中華麺らしいかんすい風味が優れる
3点:中華麺らしいかんすい風味にやや優れる
2点:中華麺らしいかんすい風味にやや劣る
1点:中華麺らしいかんすい風味に劣る
(粘弾性)
5点:粘弾性に非常に優れる
4点:粘弾性に優れる
3点:粘弾性にやや優れる
2点:粘弾性にやや劣る
1点:粘弾性に劣る
(麺のスープのり)
5点:スープのりが非常に良好
4点:スープのりが良好
3点:スープのりがやや良好
2点:スープのりがやや劣る
1点:スープのりが劣る
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】
【表7】