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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136076
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】磁気記憶装置
(51)【国際特許分類】
   H10B 61/00 20230101AFI20230922BHJP
   H10N 70/00 20230101ALI20230922BHJP
   H10N 50/10 20230101ALI20230922BHJP
【FI】
H01L27/105 447
H01L45/00 Z
H01L43/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041502
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】310024033
【氏名又は名称】エスケーハイニックス株式会社
【氏名又は名称原語表記】SK hynix Inc.
【住所又は居所原語表記】2091, Gyeongchung-daero,Bubal-eub,Icheon-si,Gyeonggi-do,Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉野 健一
(72)【発明者】
【氏名】澤田 和也
(72)【発明者】
【氏名】秋山 直紀
(72)【発明者】
【氏名】島野 拓也
(72)【発明者】
【氏名】ドン・チャドク
(72)【発明者】
【氏名】チェ・ゴラク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ボギョン
(72)【発明者】
【氏名】キム・グッチョン
【テーマコード(参考)】
4M119
5F092
【Fターム(参考)】
4M119BB01
4M119CC05
4M119DD22
4M119DD31
4M119DD42
4M119EE22
4M119EE27
4M119JJ04
5F092AA13
5F092AB06
5F092AC12
5F092AD03
5F092AD25
5F092BB21
5F092BB29
5F092BB41
5F092BC03
5F092BC22
5F092CA03
5F092CA08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】半導体基板上に磁気抵抗効果素子及びセレクタ(スイッチング素子)を含むメモリセルが集積化され、優れた特性を有する磁気記憶装置を提供する。
【解決手段】磁気記憶装置は、磁気抵抗効果素子40及びスイッチング素子50が積層された積層構造30を備える。スイッチング素子は、磁気抵抗効果素子の下層側に設けられ、磁気抵抗効果素子及びスイッチング素子の積層方向から見て、スイッチング素子のパターンが磁気抵抗効果素子のパターンの内側に位置している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気抵抗効果素子及びスイッチング素子が積層された積層構造を備える磁気記憶装置であって、
前記スイッチング素子は、前記磁気抵抗効果素子の下層側に設けられ、
前記磁気抵抗効果素子及び前記スイッチング素子の積層方向から見て、前記スイッチング素子のパターンは前記磁気抵抗効果素子のパターンの内側に位置している
ことを特徴とする磁気記憶装置。
【請求項2】
前記磁気抵抗効果素子の側面に設けられ、第1の材料で形成された第1の絶縁層と、
前記スイッチング素子の側面に設けられ、前記第1の材料とは異なる第2の材料で形成された第2の絶縁層と、
をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の磁気記憶装置。
【請求項3】
磁気抵抗効果素子及びスイッチング素子が積層された積層構造と、
前記磁気抵抗効果素子の側面に設けられ、第1の材料で形成された第1の絶縁層と、
前記スイッチング素子の側面に設けられ、前記第1の材料とは異なる第2の材料で形成された第2の絶縁層と、
を備えることを特徴とする磁気記憶装置。
【請求項4】
前記スイッチング素子は、前記磁気抵抗効果素子の下層側に設けられている
ことを特徴とする請求項3に記載の磁気記憶装置。
【請求項5】
前記スイッチング素子は、前記磁気抵抗効果素子の上層側に設けられている
ことを特徴とする請求項3に記載の磁気記憶装置。
【請求項6】
前記第1の材料の窒素濃度は、前記第2の材料の窒素濃度よりも低い
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の磁気記憶装置。
【請求項7】
前記第2の材料の水素濃度は、前記第1の材料の水素濃度よりも低い
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の磁気記憶装置。
【請求項8】
前記第1の材料は酸化物であり、前記第2の材料は窒化物である
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の磁気記憶装置。
【請求項9】
前記第1の材料及び前記第2の材料は、シリコン(Si)、窒素(N)及び水素(H)を含有し、
前記第1の材料のシリコン(Si)、窒素(N)及び水素(H)の組成比と、前記第2の材料のシリコン(Si)、窒素(N)及び水素(H)の組成比とは、互いに異なる
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の磁気記憶装置。
【請求項10】
前記磁気抵抗効果素子は、可変の磁化方向を有する第1の磁性層と、固定された磁化方向を有する第2の磁性層と、前記第1の磁性層と前記第2の磁性層との間に設けられた非磁性層とを含む
ことを特徴とする請求項1又は3に記載の磁気記憶装置。
【請求項11】
第1の方向に延伸する第1の配線と、
前記第1の方向と交差する第2の方向に延伸する第2の配線と、
をさらに備え、
前記積層構造は、前記第1の配線と前記第2の配線との間に設けられている
ことを特徴とする請求項1又は3に記載の磁気記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上に磁気抵抗効果素子及びセレクタ(スイッチング素子)を含むメモリセルが集積化された磁気記憶装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第10217934号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
優れた特性を有する磁気記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る磁気記憶装置は、磁気抵抗効果素子及びスイッチング素子が積層された積層構造を備える磁気記憶装置であって、前記スイッチング素子は、前記磁気抵抗効果素子の下層側に設けられ、前記磁気抵抗効果素子及び前記スイッチング素子の積層方向から見て、前記スイッチング素子のパターンは前記磁気抵抗効果素子のパターンの内側に位置している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態に係る磁気記憶装置の構成を模式的に示した斜視図である。
図2】第1の実施形態に係る磁気記憶装置の詳細な構成を模式的に示した断面図である。
図3】第1の実施形態に係る磁気記憶装置の構成要素のパターン間の関係を模式的に示したパターン図である。
図4】第1の実施形態に係る磁気記憶装置の磁気抵抗効果素子の構成を模式的に示した断面図である。
図5】第1の実施形態に係る磁気記憶装置のセレクタの電流-電圧特性を模式的に示した図である。
図6A】第1の実施形態に係る磁気記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図6B】第1の実施形態に係る磁気記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図6C】第1の実施形態に係る磁気記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図6D】第1の実施形態に係る磁気記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図6E】第1の実施形態に係る磁気記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図6F】第1の実施形態に係る磁気記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図6G】第1の実施形態に係る磁気記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図6H】第1の実施形態に係る磁気記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図6I】第1の実施形態に係る磁気記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図7】第2の実施形態に係る磁気記憶装置の構成を模式的に示した斜視図である。
図8】第2の実施形態に係る磁気記憶装置の詳細な構成を模式的に示した断面図である。
図9】第2の実施形態に係る磁気記憶装置の構成要素のパターン間の関係を模式的に示したパターン図である。
図10A】第2の実施形態に係る磁気記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図10B】第2の実施形態に係る磁気記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図10C】第2の実施形態に係る磁気記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図10D】第2の実施形態に係る磁気記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図10E】第2の実施形態に係る磁気記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図10F】第2の実施形態に係る磁気記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図10G】第2の実施形態に係る磁気記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図10H】第2の実施形態に係る磁気記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
図10I】第2の実施形態に係る磁気記憶装置の製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る磁気記憶装置(不揮発性の磁気記憶装置)の構成を模式的に示した斜視図である。
【0009】
磁気記憶装置は、半導体基板(図示せず)を含む下部構造(図示せず)上に設けられており、X方向に延伸する第1の配線10と、Y方向に延伸する第2の配線20と、第1の配線10と第2の配線20との間に設けられた積層構造30とを含んでいる。
【0010】
第1の配線10及び第2の配線20の一方はワード線に対応し、第1の配線10及び第2の配線20の他方はビット線に対応している。
【0011】
積層構造30は、磁気抵抗効果素子40及びセレクタ(スイッチング素子)50が積層された構造を有しており、セレクタ50が磁気抵抗効果素子40の下層側(半導体基板側)に設けられている。また、磁気抵抗効果素子40及びセレクタ50の直列接続によってメモリセルが構成されている。
【0012】
なお、X方向、Y方向及びZ方向は、互いに交差する方向である。より具体的には、X方向、Y方向及びZ方向は、互いに直交している。
【0013】
図2は、本実施形態に係る磁気記憶装置の詳細な構成を模式的に示した断面図である。
【0014】
上述したように、第1の配線10と第2の配線20との間に、積層構造30が設けられている。積層構造30は、磁気抵抗効果素子40及びセレクタ50に加えてさらに、ハードマスク部61及び中間電極62を含んでいる。より具体的には、第2の配線20と磁気抵抗効果素子40との間にハードマスク部61が設けられ、磁気抵抗効果素子40とセレクタ50との間に中間電極62が設けられ、第1の配線10と中間電極62との間にセレクタ50が設けられている。
【0015】
ハードマスク部61は、ハードマスクとしての機能に加えて、磁気抵抗効果素子40用の上部電極としての機能も有している。中間電極62は、磁気抵抗効果素子40用の下部電極及びセレクタ50用の上部電極としての機能を有している。また、第1の配線10は、セレクタ50用の下部電極としての機能も有している。
【0016】
図3は、図2に示した磁気記憶装置の構成要素のパターン間の関係を模式的に示したパターン図である。
【0017】
図3に示すように、磁気抵抗効果素子40及びセレクタ50の積層方向(Z方向)から見て、セレクタ50及び中間電極62のパターン(平面パターン)は磁気抵抗効果素子40及びハードマスク部61のパターン(平面パターン)の内側に位置している。すなわち、セレクタ50及び中間電極62のパターンは、磁気抵抗効果素子40及びハードマスク部61のパターンよりも小さい。
【0018】
図4は、磁気抵抗効果素子40の構成を模式的に示した断面図である。
【0019】
磁気抵抗効果素子40は、MTJ(magnetic tunnel junction)素子であり、記憶層(第1の磁性層)41、参照層(第2の磁性層)42及びトンネルバリア層(非磁性層)43を含んでいる。記憶層41は可変の磁化方向を有する強磁性層であり、参照層42は固定された磁化方向を有する強磁性層である。トンネルバリア層43は、記憶層41と参照層42との間に設けられた絶縁層である。なお、可変の磁化方向とは、所定の書き込み電流に対して磁化方向が変わることを意味する。固定された磁化方向とは、所定の書き込み電流に対して磁化方向が変わらないことを意味する。
【0020】
記憶層41の磁化方向が参照層42の磁化方向に対して平行である場合には、磁気抵抗効果素子40は相対的に抵抗が低い低抵抗状態を示し、記憶層41の磁化方向が参照層42の磁化方向に対して反平行である場合には、磁気抵抗効果素子40は相対的に抵抗が高い高抵抗状態を示す。したがって、磁気抵抗効果素子40は、抵抗状態に応じて2値データを記憶することが可能である。
【0021】
図2に示すように、セレクタ50は、磁気抵抗効果素子40の下層側に設けられており、絶縁性のセレクタ材料(スイッチング材料)で形成されている。具体的には、セレクタ50は、ヒ素(As)を含有するシリコン酸化物で形成されている。
【0022】
図5は、セレクタ50の電流-電圧特性を模式的に示した図である。
【0023】
図5に示すように、セレクタ50は、その両端間に印加される電圧が閾電圧Vth以上になるとオフ状態からオン状態に移行する特性を有している。すなわち、セレクタ50は、下部電極として機能する第1の配線10と上部電極として機能する中間電極62との間に印加される電圧が閾電圧Vth以上になると、オフ状態からオン状態に移行する特性を有している。
【0024】
したがって、第1の配線10と第2の配線20との間に印加される電圧を制御して、セレクタ50の両端間に印加される電圧が閾電圧Vth以上になると、セレクタ50がオン状態になり、セレクタ50に直列に接続された磁気抵抗効果素子40に対して書き込み及び読み出しを行うことが可能となる。
【0025】
図2に示すように、磁気抵抗効果素子40及びハードマスク部61の側面には層間絶縁層71が設けられ、セレクタ50及び中間電極62の側面には層間絶縁層72が設けられている。したがって、層間絶縁層71は、セレクタ50及び中間電極62の側面には接していない。同様に、層間絶縁層72は、磁気抵抗効果素子40及びハードマスク部61の側面には接していない。層間絶縁層72の上面は凹んでおり、層間絶縁層72の凹んだ上面上に層間絶縁層71が設けられている。また、第1の配線10の側面には、層間絶縁層73が設けられている。
【0026】
層間絶縁層71は第1の材料で形成され、層間絶縁層72は第1の材料とは異なる第2の材料で形成されている。なお、第1の材料と第2の材料とが異なる例としては、以下のような例があげられる。第1の例は、第1の材料に第2の材料に含有されていない元素が含有されている場合、或いは第2の材料に第1の材料に含有されていない元素が含有されている場合である。第2の例は、第1の材料に含有されている元素と第2の材料に含有されている元素とが全て同じであり、第1の材料に含有されている元素の組成比と第2の材料に含有されている元素の組成比とが異なる場合である。
【0027】
第1の例としては、第1の材料に酸化物が用いられ、第2の材料に窒化物が用いられる場合があげられる。この場合、例えば、第1の材料にはシリコン酸化物(SiOx )或いはアルミニウム酸化物(AlOx )が用いられ、第2の材料にはシリコン窒化物(SiNx )が用いられる。
【0028】
第2の例としては、第1の材料及び第2の材料がいずれもシリコン(Si)、窒素(N)及び水素(H)を含有し(すなわち、第1の材料及び第2の材料がいずれも水素(H)を含有するシリコン窒化物で形成され)、第1の材料のシリコン(Si)、窒素(N)及び水素(H)の組成比と、第2の材料のシリコン(Si)、窒素(N)及び水素(H)の組成比とが互いに異なる場合があげられる。
【0029】
なお、第1の例及び第2の例いずれの場合も(特に、第2の例の場合)、第1の材料の窒素濃度が第2の材料の窒素濃度よりも低い、或いは第2の材料の水素濃度が第1の材料の水素濃度よりも低いことが好ましい。
【0030】
次に、本実施形態に係る磁気記憶装置の製造方法を、図6A図6I及び図2を参照して説明する。
【0031】
まず、図6Aに示すように、半導体基板(図示せず)等を含む下部構造(図示せず)上に、第1の配線10及び層間絶縁層73を形成する。続いて、第1の配線10及び層間絶縁層73上にセレクタ材料層50sを形成する。
【0032】
次に、図6Bに示すように、セレクタ材料層50s上に中間電極層62sを形成する。
【0033】
次に、図6Cに示すように、中間電極層62sをパターニングして、予備的な中間電極62pを形成する。
【0034】
次に、図6Dに示すように、予備的な中間電極62pをマスクとして用いて、RIE(reactive ion etching)によってセレクタ材料層50sをエッチングする。その結果、セレクタ50のパターンが得られる。また、予備的な中間電極62pの厚さが減少し、中間電極62が得られる。
【0035】
次に、図6Eに示すように、CVD(chemical vapor deposition)等によって、セレクタ50及び中間電極62の側面に層間絶縁層72を形成する。具体的には、図6Dの工程で得られた構造上に層間絶縁層72を形成した後、層間絶縁層72を平坦化する。これにより、図6Eに示すような構造が得られる。
【0036】
次に、図6Fに示すように、図6Eの工程で得られた構造上に磁気抵抗効果素子層40sを形成する。
【0037】
次に、図6Gに示すように、磁気抵抗効果素子層40s上に、予備的なハードマスク部61pのパターンを形成する。Z方向から見て、予備的なハードマスク部61pのパターンの内側にセレクタ50及び中間電極62のパターンが位置するように、予備的なハードマスク部61pのパターンを形成する。
【0038】
次に、図6Hに示すように、予備的なハードマスク部61pをマスクとして用いてIBE(ion beam etching)を行う。具体的には、図6Gの構造が形成された基板を回転させながら、斜め上方からArイオンビームを図6Gの構造に照射する。これにより、予備的なハードマスク部61p、磁気抵抗効果素子層40s及び層間絶縁層72がエッチングされる。その結果、磁気抵抗効果素子40のパターンが得られる。また、予備的なハードマスク部61pの厚さが減少してハードマスク部61が得られる。さらに、層間絶縁層72の上面が凹んだ形状が得られる。
【0039】
すでに述べたように、Z方向から見て、予備的なハードマスク部61pのパターンの内側にセレクタ50のパターンが位置している。そのため、上述したIBE工程の際に、セレクタ50の側面を層間絶縁層72によって確実に保護することができる。したがって、上述したIBE工程の際に、セレクタ50がIBEダメージを受けることを抑制することが可能である。
【0040】
次に、図6Iに示すように、CVD等によって、磁気抵抗効果素子40及びハードマスク部61の側面に層間絶縁層71を形成する。具体的には、図6Hの工程で得られた構造上に層間絶縁層71を形成した後、層間絶縁層71を平坦化する。これにより、図6Iに示すような構造が得られる。
【0041】
その後、ハードマスク部61上及び層間絶縁層71上に第2の配線20を形成することで、図2に示すような構造が得られる。
【0042】
以上のように、本実施形態では、磁気抵抗効果素子40及びセレクタ50の積層方向(Z方向)から見て、セレクタ50のパターンが磁気抵抗効果素子40のパターンの内側に位置している。そのため、IBEによって磁気抵抗効果素子40のパターンを形成する際に、層間絶縁層72によってセレクタ50を確実に保護することができ、セレクタ50に対するIBEダメージを抑制することが可能である。したがって、IBEダメージによるセレクタ50の特性の劣化を抑制することができ、優れた特性を有する磁気記憶装置を得ることが可能となる。
【0043】
また、本実施形態では、磁気抵抗効果素子40の側面には第1の材料で形成された層間絶縁層71が設けられ、セレクタ50の側面には第2の材料で形成された層間絶縁層72が設けられている。そのため、磁気抵抗効果素子40に適した(悪影響を与えないような)第1の材料を選択し、セレクタ50に適した(悪影響を与えないような)第2の材料を選択することで、優れた特性を有する磁気記憶装置を得ることが可能となる。
【0044】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。なお、基本的な事項は第1の実施形態と同様であり、第1の実施形態で説明した事項の説明は省略する。
【0045】
図7は、本実施形態に係る磁気記憶装置(不揮発性の磁気記憶装置)の構成を模式的に示した斜視図である。
【0046】
第1の実施形態では、セレクタ50が磁気抵抗効果素子40の下層側に設けられていたが、本実施形態では、セレクタ50が磁気抵抗効果素子40の上層側に設けられている。
【0047】
図8は、本実施形態に係る磁気記憶装置の詳細な構成を模式的に示した断面図である。
【0048】
上述したように、本実施形態の積層構造30は、セレクタ50が磁気抵抗効果素子40の上層側に設けられた構造を有している。具体的には、第2の配線20とセレクタ50との間にハードマスク部63が設けられ、磁気抵抗効果素子40とセレクタ50との間に中間電極64が設けられ、第1の配線10と中間電極64との間に磁気抵抗効果素子40が設けられている。
【0049】
ハードマスク部63は、セレクタ50用の上部電極としての機能を有している。中間電極64は、磁気抵抗効果素子40用の上部電極及びセレクタ50用の下部電極としての機能を有している。また、第1の配線10は、磁気抵抗効果素子40用の下部電極としての機能を有している。
【0050】
図9は、図8に示した磁気記憶装置の構成要素のパターン間の関係を模式的に示したパターン図である。
【0051】
図9に示すように、磁気抵抗効果素子40及びセレクタ50の積層方向(Z方向)から見て、セレクタ50及びハードマスク部63のパターン(平面パターン)は磁気抵抗効果素子40及び中間電極64のパターン(平面パターン)の内側に位置している。ただし、本実施形態では、磁気抵抗効果素子40のパターン、セレクタ50のパターン、ハードマスク部63のパターン及び中間電極64のパターンの関係は、必ずしも図9で示したような関係を満たしていなくてもよい。
【0052】
図8に示すように、磁気抵抗効果素子40及び中間電極64の側面には層間絶縁層71が設けられ、セレクタ50及びハードマスク部63の側面には層間絶縁層72が設けられている。したがって、層間絶縁層71は、セレクタ50及びハードマスク部63の側面には接していない。同様に、層間絶縁層72は、磁気抵抗効果素子40及び中間電極64の側面には接していない。また、第1の配線10の側面には、層間絶縁層73が設けられている。
【0053】
第1の実施形態と同様に、層間絶縁層71は第1の材料で形成され、層間絶縁層72は第1の材料とは異なる第2の材料で形成されている。第1の材料及び第2の材料については、第1の実施形態と同様である。
【0054】
次に、本実施形態に係る磁気記憶装置の製造方法を、図10A図10I及び図8を参照して説明する。
【0055】
まず、図10Aに示すように、半導体基板(図示せず)等を含む下部構造(図示せず)上に、第1の配線10及び層間絶縁層73を形成する。続いて、第1の配線10及び層間絶縁層73上に磁気抵抗効果素子層40sを形成する。
【0056】
次に、図10Bに示すように、磁気抵抗効果素子層40s上に、ハードマスクとして機能する中間電極層64sを形成する。
【0057】
次に、図10Cに示すように、中間電極層64sをパターニングして予備的な中間電極64pを形成する。
【0058】
次に、図10Dに示すように、予備的な中間電極64pをマスクとして用いてIBEを行う。具体的には、図10Cの構造が形成された基板を回転させながら、斜め上方からArイオンビームを図10Cの構造に照射する。これにより、予備的な中間電極64p、磁気抵抗効果素子層40s及び層間絶縁層73がエッチングされ、磁気抵抗効果素子40のパターンが得られる。また、予備的な中間電極64pの厚さが減少して中間電極64が得られる。さらに、層間絶縁層73の上面が凹んだ形状が得られる。
【0059】
次に、図10Eに示すように、磁気抵抗効果素子40及び中間電極64の側面に層間絶縁層71を形成する。具体的には、図10Dの工程で得られた構造上にCVD等によって層間絶縁層71を形成した後、層間絶縁層71を平坦化する。これにより、図10Eに示すような構造が得られる。
【0060】
次に、図10Fに示すように、図10Eの工程で得られた構造上にセレクタ材料層50sを形成する。
【0061】
次に、図10Gに示すように、セレクタ材料層50s上に、予備的なハードマスク部63pのパターンを形成する。Z方向から見て、磁気抵抗効果素子40及び中間電極64のパターンの内側に予備的なハードマスク部63pのパターンが位置するように、予備的なハードマスク部63pのパターンを形成する。ただし、本実施形態では、必ずしもそのような関係が満たされていなくてもよい。
【0062】
次に、図10Hに示すように、予備的なハードマスク部63pをマスクとして用いて、RIEによってセレクタ材料層50sをエッチングする。その結果、セレクタ50のパターンが得られる。また、予備的なハードマスク部63pの厚さが減少し、ハードマスク部63が得られる。
【0063】
次に、図10Iに示すように、CVD等によって、セレクタ50及びハードマスク部63の側面に層間絶縁層72を形成する。具体的には、図10Hの工程で得られた構造上に層間絶縁層72を形成した後、層間絶縁層72を平坦化する。これにより、図10Iに示すような構造が得られる。
【0064】
その後、ハードマスク部63上及び層間絶縁層72上に第2の配線20を形成することで、図8に示すような構造が得られる。
【0065】
以上のように、本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、磁気抵抗効果素子40の側面には第1の材料で形成された層間絶縁層71が設けられ、セレクタ50の側面には第1の材料とは異なる第2の材料で形成された層間絶縁層72が設けられている。そのため、磁気抵抗効果素子40に適した(悪影響を与えないような)第1の材料を選択し、セレクタ50に適した(悪影響を与えないような)第2の材料を選択することにより、優れた特性を有する磁気記憶装置を得ることが可能となる。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
10…第1の配線 20…第2の配線 30…積層構造
40…磁気抵抗効果素子
41…記憶層(第1の磁性層) 42…参照層(第2の磁性層)
43…トンネルバリア層(非磁性層)
50…セレクタ(スイッチング素子)
61、63…ハードマスク部 62、64…中間電極
71、72、73…層間絶縁層
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
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図7
図8
図9
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