IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧

<>
  • 特開-撮影装置、および撮影方法 図1
  • 特開-撮影装置、および撮影方法 図2
  • 特開-撮影装置、および撮影方法 図3
  • 特開-撮影装置、および撮影方法 図4
  • 特開-撮影装置、および撮影方法 図5
  • 特開-撮影装置、および撮影方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136341
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】撮影装置、および撮影方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/667 20230101AFI20230922BHJP
   H04N 23/70 20230101ALI20230922BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20230922BHJP
【FI】
H04N5/232 450
H04N5/235
G03B15/00 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041912
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】高巣 修作
(72)【発明者】
【氏名】菊地 太郎
(72)【発明者】
【氏名】澤田 圭人
(72)【発明者】
【氏名】山中 祐治
【テーマコード(参考)】
5C122
【Fターム(参考)】
5C122DA12
5C122EA12
5C122FA07
5C122FA18
5C122FC03
5C122FD04
5C122FF23
5C122GG21
5C122HA87
(57)【要約】
【課題】ノイズが少なくかつひび割れが確認し易い画像を得ることが可能となる撮影装置、および撮影方法を提供する。
【解決手段】本発明は、移動体に搭載されかつトンネルの壁面を撮影可能に設けられる撮影部と、前記トンネルの全長を記憶する全長記憶部と、前記トンネル内に前記移動体が進入した場合に、前記撮影部の露光条件を予め設定される露光条件に制御する露光制御固定モードから、前記撮影部の露光条件を被写体に応じて制御する露光制御自動モードに切り替える入口検知部と、前記トンネル外の基準点から、前記入口検知部により前記露光制御固定モードから前記露光制御自動モードに切り替えられる位置までの前走距離を記憶する前走距離記憶部と、前記入口検知部により前記露光制御固定モードから前記露光制御自動モードに切り替えられた後、前記全長から前記前走距離を差し引いた距離を前記移動体が走行した場合に、前記露光制御自動モードから前記露光制御固定モードに切り替える出口検知部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載されかつトンネルの壁面を撮影可能に設けられる撮影部と、
前記トンネルの全長を記憶する全長記憶部と、
前記トンネル内に前記移動体が進入した場合に、前記撮影部の露光条件を予め設定される露光条件に制御する露光制御固定モードから、前記撮影部の露光条件を被写体に応じて制御する露光制御自動モードに切り替える入口検知部と、
前記トンネル外の基準点から、前記入口検知部により前記露光制御固定モードから前記露光制御自動モードに切り替えられる位置までの前走距離を記憶する前走距離記憶部と、
前記入口検知部により前記露光制御固定モードから前記露光制御自動モードに切り替えられた後、前記全長から前記前走距離を差し引いた距離を前記移動体が走行した場合に、前記露光制御自動モードから前記露光制御固定モードに切り替える出口検知部と、
を備える撮影装置。
【請求項2】
前記撮影部から前記トンネルの壁面までの撮影距離を記憶する撮影距離記憶部と、
前記撮影部から前記壁面までの距離を計測する計測部と、
前記計測部により計測される距離を記憶する計測距離記憶部と、を備え、
前記入口検知部は、前記撮影距離記憶部に記憶される前記撮影距離と、前記計測距離記憶部に記憶される前記距離とが所定回数連続して一致した場合に、前記移動体が前記トンネル内に進入したと判断する、請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
前記撮影部から前記壁面までの距離を前記トンネルの断面方向に連続的に計測する断面計測部、を備え、
前記入口検知部は、前記断面計測部により計測される距離が所定距離を連続して示した場合に、前記移動体が前記トンネル内に進入したと判断する、請求項1に記載の撮影装置。
【請求項4】
前記トンネルの入口形状に応じた第1距離を記憶するトンネル入口距離情報記憶部と、
前記トンネルの出口形状に応じた第2距離を記憶するトンネル出口距離情報記憶部と、をさらに備え、
前記入口検知部は、前記基準点から前記第1距離を前記移動体が走行した場合に、前記トンネル内に前記移動体が進入したと判断し、
前記出口検知部は、前記トンネルの出口から前記第2距離の分だけ手前で、前記露光制御自動モードから前記露光制御固定モードに切り替える、請求項1に記載の撮影装置。
【請求項5】
前記壁面の明るさを検出する明るさ検出部をさらに備え、
前記入口検知部は、前記トンネルの天頂側の壁面よりも地面側の壁面が明るくかつ前記地面側の壁面の明るさが変化する場合、前記地面側の明るさの変化が安定してから、前記露光制御固定モードから前記露光制御自動モードに切り替える、請求項1に記載の撮影装置。
【請求項6】
前記出口検知部は、前記トンネルの出口の手前において、前記明るさ検出部により前記壁面の明るさが所定の明るさ以上となった場合に、前記露光制御自動モードから前記露光制御固定モードに切り替える、請求項5に記載の撮影装置。
【請求項7】
撮影装置で実行される撮影方法であって、
トンネル内に移動体が進入した場合に、前記移動体に搭載されかつ前記トンネルの壁面を撮影可能に設けられる撮影部の露光条件を予め設定される露光条件に制御する露光制御固定モードから、前記撮影部の露光条件を被写体に応じて制御する露光制御自動モードに切り替える工程と、
前記露光制御固定モードから前記露光制御自動モードに切り替えられた後、前記トンネル外の基準点から、前記露光制御固定モードから前記露光制御自動モードに切り替えられる位置までの前走距離を、前記トンネルの全長から差し引いた距離を前記移動体が走行した場合に、前記露光制御自動モードから前記露光制御固定モードに切り替える工程と、
を含む撮影方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影装置、および撮影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル等の構造物の維持管理において、点検を効率化するために、撮影システムを搭載した車両で走行しながらトンネルの壁面を撮影する方法が知られている。このような方法で、トンネルの内部を撮影するには、撮影システムにおける光の露光量をトンネル内の明るさに合わせる露光制御が必要になる(特許文献1参照)。また、特許文献2には、トンネルの入口および出口を検知して、撮影システムにおける露光制御を切り替える技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、トンネルの内部と外部では明るさの差が大きいため、露光制御を自動で行うと、トンネルの外部から内部に車両が進入する際に、制御に遅れ(追従遅れ)が生じる等して適切に露光制御することができない場合がある。そして、トンネルの入口付近等で、昼間に撮影する場合には、トンネル壁面への直射日光の当たっている箇所がある場合に撮影画像で影となる暗い部分の階調が失われ真っ黒になる黒潰れが発生したり、夜間に撮影する場合には、トンネル進入前の景色と進入直後のトンネル壁面における照明の明るさの差によって撮影画像で明るい部分の階調が失われ真っ白になる白飛びが発生したりして、適切に撮影できなくなる場合がある。そのため、トンネルの入口および出口における露光制御を適切かつ簡易に実現することが求められている。また、特許文献2に記載の技術は、撮影時の天候、被写体の形状等の撮影時の環境に影響を受け難い露光制御を行うという観点で改善が求められている。
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ノイズが少なくかつひび割れが確認し易い画像を得ることが可能となる撮影装置、および撮影方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、移動体に搭載されかつトンネルの壁面を撮影可能に設けられる撮影部と、前記トンネルの全長を記憶する全長記憶部と、前記トンネル内に前記移動体が進入した場合に、前記撮影部の露光条件を予め設定される露光条件に制御する露光制御固定モードから、前記撮影部の露光条件を被写体に応じて制御する露光制御自動モードに切り替える入口検知部と、前記トンネル外の基準点から、前記入口検知部により前記露光制御固定モードから前記露光制御自動モードに切り替えられる位置までの前走距離を記憶する前走距離記憶部と、前記入口検知部により前記露光制御固定モードから前記露光制御自動モードに切り替えられた後、前記全長から前記前走距離を差し引いた距離を前記移動体が走行した場合に、前記露光制御自動モードから前記露光制御固定モードに切り替える出口検知部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ノイズが少なくかつひび割れが確認し易い画像を得ることが可能となる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施の形態にかかる撮影装置の一例を示す図である。
図2図2は、第1の実施の形態にかかる撮影装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3図3は、第1の実施の形態にかかる撮影装置が有するセンサ制御ボードの機能構成の一例を示す図である。
図4図4は、第1の実施の形態にかかる撮影装置における露光条件の制御処理の一例を説明するための図である。
図5図5は、第2の実施の形態にかかる撮影装置の機能構成の一例を示す図である。
図6図6は、第3の実施の形態にかかる撮影装置の機能構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、撮影装置、および撮影方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる撮影装置の一例を示す図である。本実施の形態にかかる撮影装置1は、一般車両(移動体の一例)5のルーフに載せられた撮影ユニットを有し、車両5が走行しながら撮影ユニットによりトンネルの壁面等の構造物を撮影する。撮影ユニットは、複数のカメラユニットを有するカメラユニット群11と、複数の照明ユニットを有する照明ユニット群12と、を有する。すなわち、カメラユニット群11が有するカメラユニットは、例えば、ラインセンサ(ラインカメラ)であっても良く、車両5に搭載されかつトンネルの壁面6を撮影可能に設けられる撮影部の一例である。また、照明ユニット群12は、撮影ユニットの撮像領域Rの明るさを調整する。
【0010】
カメラユニット群11の複数のカメラユニットは、それぞれ隣り合うカメラユニットの画角が一部重複するように設置されている。そして、カメラユニット群11の複数のカメラユニットは、カメラユニット群11全体でトンネルの壁面6の円周方向半分が画角に収まるように設置されている。照明ユニット群12が有する照明ユニットも、カメラユニット群11と同様に、それぞれ隣り合う照明ユニットと照射角が一部重複するように設置されている。そして、照明ユニット群12の複数の照明ユニットは、照射角がカメラユニット群11の画角全体をカバーするように設置されている。撮影装置1は、一つのトンネルを往復して撮影することでトンネル全体の壁面6を撮影する。
【0011】
図2は、第1の実施の形態にかかる撮影装置のハードウェア構成の一例を示す図である。本実施の形態にかかる撮影装置1は、図2に示すように、カメラ照明ユニット100、ToF(Time of Flight)センサ101、IMU(Inertial Measurement Unit)102、車速移動距離計103、センサ制御ボード104、メモリ105、および操作用PC(Personal Computer)106を有する。
【0012】
カメラ照明ユニット100は、カメラユニット群11および照明ユニット群12を有する。そして、カメラ照明ユニット100は、図1に示すように、車両5のルーフに取り付けられる。また、カメラ照明ユニット100は、後述するセンサ制御ボード104によって、ONまたはOFF、露光条件の設定、明るさの制御等、全ての制御が実施される。なお、カメラ照明ユニット100が有するカメラユニットは、エリアカメラ(2次元センサ)でも、ラインセンサ(ラインカメラ)でもよい。カメラ照明ユニット100が有するカメラユニットがラインカメラの場合は、センサ方向がトンネルの壁面6の円周方向となり、後述する車速移動距離計103から所定の移動量で出力されるピッチパルスをトリガに撮影する。例えば、車速移動距離計103は、車両5が1mm動くごとにパルスを出力して、ラインカメラは、当該パルスをトリガに1mm毎にシャッターを切って撮影する。
【0013】
特に、ラインカメラの方が本実施の形態の効果が顕著となるため、本実施の形態では、カメラ照明ユニット100は、カメラユニットとして、ラインカメラを搭載することとする。ラインセンサは、2次元センサよりも撮影領域は狭いため、照明しながら撮影する場合、撮影領域内の照明ムラが生じ辛くなり、構造物の全体画像を作成した際の輝度値のムラが生じ辛いというメリットがある。
【0014】
ToFセンサ101は、カメラ照明ユニット100と同様に車両5のルーフに取り付けられる。ToFセンサ101は、カメラ照明ユニット100の撮影と同時に、ToFの撮影を行い、トンネルの壁面6と撮影装置(カメラ照明ユニット100)との距離の算出を行う。本実施の形態では、トンネル内の避難待避所を検出して、カメラ照明ユニット100が避難待避所に侵入するまでに、カメラ照明ユニット100の露光制御を実施しなければならない。そのため、ToFセンサ101は、車両5の進行方向において、カメラ照明ユニット100よりも物理的に前方に設けられていなければならない。すなわち、ToFセンサ101は、カメラユニット群11より構造物を撮影する前に、カメラユニット群11とトンネルの壁面6との間の距離を測距する測距部の一例である。
【0015】
ToFセンサ101により算出される距離は、以下の2つの用途で用いられる。
(1)ToFセンサ101により算出される距離は、カメラ照明ユニット100による撮影の幾何補正に利用可能である。IMU102および車速移動距離計103により得られる情報から、車両5の軌跡を算出することで、カメラ照明ユニット100の各カメラユニットがどのような姿勢で撮影を行ったかを求めることができる。これにより、カメラ照明ユニット100により撮影された画像が、トンネル中心から撮影された画像となるように各画素を補正すること可能となる。
(2)避難待避所等、被写体との距離が非連続に変化する箇所の検知に利用可能である。
なお、上記2つの用途で別々のToFセンサを利用してもよい。本実施の形態では、上記(1)、(2)の用途で別々のToFセンサ101を搭載しているものとする。
【0016】
IMU102は、加速度および角速度を測定可能なセンサであり、車両5の軌跡の算出に用いる。車速移動距離計103は、車両5の速度または移動量を測定するセンサであり、IMU102と同様に車両5の軌跡の算出に利用される。また、カメラ照明ユニット100が有するカメラがラインカメラの場合は、車速移動距離計103は、所定の移動量でパルスを出力し、ラインカメラに入力する役割を持つ。
【0017】
センサ制御ボード104は、上述の各センサ、カメラ、照明ユニットの制御を行うものである。具体的には、センサ制御ボード104は、カメラ照明ユニット100の自動露光制御も実施する。メモリ105は、各センサおよびカメラの画像を保存する。また、メモリ105は、後述する照明の特性情報も予め保存している。
【0018】
操作用PC106は、無線にてセンサ制御ボード104と接続され、センサ制御ボード104を制御する。具体的には、操作用PC106は、ノートPCおよびタブレット等のポータブルのものであっても良い。操作用PC106の使用シーンとしては、上述の各部100~105までを、車両5のルーフ部におき、実際に車両5が走行して撮影するときには、車両5の助手席に座っている人が操作用PC106を用いて、録画開始ボタンおよび停止ボタンだけを押すことで、カメラ,各センサ,照明が制御され、最終的に撮影画像とセンサ情報がメモリ105に格納されていることを想定する。
【0019】
図3は、第1の実施の形態にかかる撮影装置が有するセンサ制御ボードの機能構成の一例を示す図である。本実施の形態では、センサ制御ボード104は、図3に示すように、全長記憶部104a、入口検知部104b、前走距離記憶部104c、および出口検知部104dを有する。
【0020】
全長記憶部104aは、トンネルの全長を記憶する全長記憶部の一例である。入口検知部104bは、トンネル内に車両5が進入した場合に、露光制御固定モードから、露光制御自動モードに切り替える入口検知部の一例である。ここで、露光制御固定モードは、カメラユニット群11の露光条件を固定するモードである。また、ここで、露光制御自動モードは、カメラユニット群11の露光条件を被写体の輝度に応じて自動的に制御するモードである。
【0021】
前走距離記憶部104cは、トンネル外の撮影開始位置(基準点の一例)から、入口検知部104bにより露光制御固定モードから露光制御自動モードに切り替えられる位置までの前走距離を記憶する前走距離記憶部の一例である。本実施の形態では、撮影開始位置は、トンネル外の位置であり、カメラユニット群11による撮影を開始する位置である。
【0022】
出口検知部104dは、入口検知部104bにより露光制御固定モードから露光制御自動モードに切り替えられた後、全長記憶部104aに記憶される全長から前走距離を差し引いた距離を車両5が走行した場合に、カメラユニット群11の露光条件を、露光制御自動モードから露光制御固定モードに切り替える出口検知部の一例である。ここで、前走距離は、全長よりも短いものとする。
【0023】
車両5にカメラおよび照明を搭載して走行しながらトンネルの壁面6を撮影し、壁面6のひび割れ等の検査用画像を取得する走行型の撮影車両が存在する。当該撮影車両は、トンネル内の壁面6を適正な露光条件で撮影するために照明で壁面6を照らした範囲をカメラで撮影しながら走行する。しかし、車両5に搭載した照明およびカメラを用いてトンネルの壁面6を撮影する撮影車両(トンネル壁面点検装置)において、トンネルの出入口付近では、日光が直接壁面6に当たるため、照明の明るさに比べて大幅に明るくなる。また、トンネルの出入口が竹割形状で斜めに切られている所では、壁面6以外の空および草木等にAEが影響を受け、撮影すべき壁面6が適切な露光条件で撮影できずに白飛びおよび黒潰れが発生する場合がある。
【0024】
これを回避するために、トンネルの出入口付近では、カメラの露光条件を固定してトンネルの壁面6を撮影する。これにより、トンネルの出入口付近での日光および壁面6以外の被写体によるAEの乱れは無くなる。しかしながら、トンネル内部では、カメラの露光条件を固定すると、コンクリートの反射率の違いに対してAEが追従できず、露光条件を最適化することが難しい場合がある。
【0025】
そこで、本実施の形態にかかる撮影装置1では、トンネルの出入口において、固定の露光条件で撮影を行い、かつトンネル内部では被写体に合わせて露光条件を変化させて適切な露光条件で撮影を可能とする。これにより、トンネルの出入口付近でのAEの乱れを抑制し、かつトンネル内部での壁面6の反射率の違いに対して露光条件を追従させて、露光条件を最適化することができる。その結果、ノイズが少なくかつひび割れが確認し易い画像を得ることが可能となる。
【0026】
図4は、第1の実施の形態にかかる撮影装置における露光条件の制御処理の一例を説明するための図である。図4において、台形Xは、トンネル内における壁面6の輝度情報を表しており、トンネルの出入口からトンネル内部に向かうに従って輝度情報が低くなることを表している。
【0027】
本実施の形態では、入口検知部104bは、撮影開始位置においては、様々な条件でも壁面6の輝度情報が残る入口露光モード(露光制御固定モード)で撮影を開始し、前走距離を持ってトンネルへ進入する。入口検知部104bは、前走距離の後の地点において、車両5がトンネルに進入したことを検知すると、そこで入口露光モードからトンネル内露光モード(露光制御自動モード)へと切り替える。
【0028】
その後、事前に入力していたトンネルの全長(総延長)から前走距離を減算した距離を車両5が走行した後に、出口検知部104dは、自動的に、露光制御自動モードから出口露光モード(露光制御固定モード)へと切り替える。これにより、トンネルの出口も入口と同様に壁面6の輝度情報を持つ画像を撮影し、かつトンネル内部では被写体に応じて露光条件を制御して最適な輝度情報の画像を得ることが可能となる。
【0029】
このように、第1の実施の形態にかかる撮影装置1によれば、トンネルの出入口付近でのAEの乱れを抑制し、かつトンネル内部での壁面6の反射率の違いに対して露光条件を追従させて、露光条件を最適化することができる。その結果、ノイズが少なくかつひび割れが確認し易い画像を得ることが可能となる。
【0030】
(第2の実施の形態)
本実施の形態は、カメラユニット群からトンネルの壁面までの撮影距離を記憶し、カメラユニット群から壁面までの計測距離を計測し、計測距離と、撮影距離と、が一致した場合に、車両がトンネル内に進入したと判断する例である。以下の説明では、第1の実施の形態と同様の構成については説明を省略する。
【0031】
図5は、第2の実施の形態にかかる撮影装置の機能構成の一例を示す図である。本実施の形態では、センサ制御ボード500は、図5に示すように、全長記憶部104a、入口検知部501,前走距離記憶部104c、出口検知部104d、撮影距離記憶部502、および計測距離記憶部503を有する。
【0032】
撮影距離記憶部502は、カメラユニット群11からトンネルの壁面6までの撮影距離を記憶する撮影距離記憶部の一例である。計測距離記憶部503は、ToFセンサ101により計測される計測距離を記憶する計測距離記憶部の一例である。
【0033】
そして、入口検知部501は、撮影距離記憶部502に記憶される撮影距離と、計測距離記憶部503に記憶される計測距離とが所定回数連続して一致した場合に、車両5がトンネル内に進入したと判断する。ToFセンサ101でトンネルの壁面6を検知してトンネルの入口を検知することが可能であるが、それだけでは木およびその他構造物等による誤作動(誤検知)が発生する可能性がある。そのため、本実施の形態では、入口検知部501は、事前に入力した撮影距離と、ToFセンサ101により計測される計測距離とを比較して、略一致した場合に、車両5がトンネルに進入したと判断して、露光制御自動モードに切り替えても良い。これにより、車両5がトンネル内に進入したと誤検知して、露光制御固定モードから露光制御自動モードに切り替わることを防止できる。
【0034】
または、撮影装置1は、3DLidar等、カメラユニット群11から壁面6までの距離をトンネルの断面方向に連続して計測可能な断面計測部を有していても良い。この場合、入口検知部501は、断面計測部により計測される距離が所定距離を連続して示した場合に、車両5がトンネル内に進入したと判断しても良い。これにより、3DLiDARのような断面形状を取得出来るセンサを断面計測部の一例として用いる事で、事前に、カメラユニット群11と壁面6との間の距離情報が無い場合にも、車両5がトンネルに進入したことを確実に検知することが可能となる。
【0035】
このように、第2の実施の形態にかかる撮影装置1によれば、車両5がトンネル内に進入したと誤検知して、露光制御固定モードから露光制御自動モードに切り替わることを防止できる。
【0036】
(第3の実施の形態)
本実施の形態は、トンネルの入口形状に応じた第1距離およびトンネルの出口形状に応じた第2距離を記憶し、撮影開始位置から第1距離を車両が走行した場合に、トンネル内に車両が進入したと判断し、トンネルの出口から第2距離の分だけ手前で、露光制御自動モードから露光制御固定モードに切り替える例である。以下の説明では、上述の実施の形態と同様の構成については説明を省略する。
【0037】
図6は、第3の実施の形態にかかる撮影装置の機能構成の一例を示す図である。本実施の形態では、センサ制御ボード600は、図6に示すように、全長記憶部104a、入口検知部601,前走距離記憶部104c、出口検知部602、撮影距離記憶部502、計測距離記憶部503、トンネル入口距離記憶部603、およびトンネル出口距離記憶部604を有する。
【0038】
トンネル入口距離記憶部603は、トンネルの入口形状に応じた第1距離を記憶する。ここで、第1距離は、予め設定される距離であり、撮影開始位置から、トンネルの内部に向かって、露光制御自動モードに切り替える位置までの距離である。トンネル出口距離記憶部604は、トンネルの出口形状に応じた第2距離を記憶する、ここで、第2距離は、予め設定される距離であり、トンネルの出口から、トンネルの内部に向かって、露光制御固定モードに切り替える位置までの距離である。
【0039】
入口検知部601は、撮影開始位置から第1距離を車両5が走行した場合に、トンネル内に車両5が進入したと判断する。また、出口検知部602は、トンネルの出口から第2距離の分だけ手前で、露光制御自動モードから露光制御固定モードに切り替える。これにより、トンネルの出入口の形状(例えば、竹割形状)に応じて、カメラユニット群11の露光条件を切り替える位置をずらすことができるので、最適な位置で、カメラユニット群11の露光条件を切り替えることができる。
【0040】
また、撮影装置1が、壁面6の明るさを検出する明るさ検出部を備えている場合、入口検知部601は、トンネルの天頂側の壁面6よりも地面側の壁面6が明るくかつ地面側の壁面6の明るさが変化する場合、地面側の明るさの変化が安定してから、露光制御固定モードから露光制御自動モードに切り替えても良い。例えば、トンネルの入口に西日が強く差し込んでいる場合に露光制御自動モードへ切り替えてしまうと、西日の場所が白飛びまたは影の部分が黒潰れをしてしまう。そのため、日光の影響が無くなるまでトンネル内部に車両5が進入してから露光制御自動モードへ切り替える必要がある。そこで、入口検知部601は、トンネルの地面側に当たる直射日光を検出して、露光制御自動モードに切り替えることで、露光制御自動モードへの確実な切り替えが可能となる。また、明るさの変化を条件とすることで、白いパネル等の連続した付帯物には反応させずに、露光制御自動モードに切り替えることができる。
【0041】
また、出口検知部602は、トンネルの出口の手前において、明るさ検出部により壁面6の明るさが所定の明るさ以上となった場合に、露光制御自動モードから露光制御固定モードに切り替えることも可能である。例えば、出口検知部602が反応する前の位置まで西日が差し込んでいる場合、その時点で露光制御固定モードに切り替える必要がある。そこで、出口検知部602は、検知された明るさが所定の明るさ以上となった場合、露光制御固定モードに切り替えても良い。その際、露光制御固定モードに切り替える位置をトンネルの出口付近に限定する事で、トンネル内部の外乱には反応しないようにしても良い。
【0042】
このように、第3の実施の形態にかかる撮影装置1によれば、トンネルの出入口の形状(例えば、竹割形状)に応じて、カメラユニット群11の露光条件を切り替える位置をずらすことができるので、最適な位置で、カメラユニット群11の露光条件を切り替えることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 撮影装置
5 車両
6 壁面
11 カメラユニット群
12 照明ユニット群
100 カメラ照明ユニット
101 ToFセンサ
102 IMU
103 車速移動距離計
104 センサ制御ボード
104a 全長記憶部
104b,501,601 入口検知部
104c 前走距離記憶部
104d,602 出口検知部
105 メモリ
106 操作用PC
502 撮影距離記憶部
503 計測距離記憶部
603 トンネル入口距離記憶部
604 トンネル出口距離記憶部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】
【特許文献1】特開2010-239479号公報
【特許文献2】特開2020-065239号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6