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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136383
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】発光装置の製造方法及び検査方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/48 20100101AFI20230922BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20230922BHJP
【FI】
H01L33/48
H01L33/00 K
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041987
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 航
【テーマコード(参考)】
5F142
5F241
【Fターム(参考)】
5F142AA86
5F142BA32
5F142CA11
5F142CD02
5F142CD16
5F142CD17
5F142CD18
5F142CD44
5F142CD47
5F142CE03
5F142CE06
5F142CE13
5F142CE16
5F142CG03
5F142CG04
5F142CG05
5F142CG32
5F142DA02
5F142DA14
5F142DA72
5F142DA73
5F142DB16
5F142DB18
5F142DB24
5F142FA24
5F142FA40
5F142FA48
5F142GA02
5F142GA28
5F241CA04
5F241CA40
5F241FF01
5F241FF11
(57)【要約】
【課題】ボイド検査時に透光性部材の破損が生じることを抑制する。
【解決手段】発光装置の製造方法は、透光性部材20Aの主面に、複数の発光素子10が固定された第一中間体1を準備する工程と、第一中間体1とシート3とを接続する工程であって、透光性部材20Aとシート3との間に発光素子10を位置させ、かつ、発光素子10が位置する領域よりも外側にある透光性部材20Aの主面の外側領域にスペーサ5を配置して、第一中間体1とシート3とを接続する工程と、吸着ステージにシート3を吸着させ、発光素子10と透光性部材20Aの間のボイドの検査を行う工程と、ボイドの検査工程で良品と判定された第一中間体1を、それぞれが発光素子10を含む複数の第二中間体2に分離する工程とを含む。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性部材の主面に、複数の発光素子が固定された第一中間体を準備する工程と、
前記第一中間体とシートとを接続する工程であって、前記透光性部材と前記シートとの間に前記発光素子を位置させ、かつ、前記発光素子が位置する領域よりも外側にある前記透光性部材の主面の外側領域にスペーサを配置して、前記第一中間体と前記シートとを接続する工程と、
吸着ステージに前記シートを吸着させ、前記発光素子と前記透光性部材の間のボイドの検査を行う工程と、
前記ボイドの検査工程で良品と判定された前記第一中間体を、それぞれが前記発光素子を含む複数の第二中間体に分離する工程と、
を含む発光装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置の製造方法であって、
前記スペーサは、前記発光素子の周囲を連続して囲む発光装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の発光装置の製造方法であって、
前記スペーサを前記シート上に配置する工程において、前記スペーサは、前記発光素子と離隔して配置される発光装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法であって、さらに、
前記シートから前記第二中間体を取り外す前に、前記透光性部材を切断する工程を含む発光装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法であって、
前記第一中間体を準備する工程において、前記発光素子は、直接接合により前記透光性部材に固定されており、
前記ボイドの検査を行う工程において、ボイド検査装置として超音波映像撮像装置である発光装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法であって、
前記第一中間体を準備する工程において、前記発光素子は、接着材を介して前記透光性部材に固定されており、
前記ボイドの検査を行う工程において、ボイド検査装置としてX線撮像装置である発光装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法であって、
前記スペーサは、シリコーン樹脂である発光装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法であって、
前記スペーサは、前記発光素子と同等の厚さである発光装置の製造方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法であって、
前記シートは、紫外線硬化型である発光装置の製造方法。
【請求項10】
透光性部材の主面に、複数の発光素子が固定された第一中間体を準備する工程と、
前記第一中間体とシートとを接続する工程であって、吸着ステージ上に配置した前記透光性部材と前記シートとの間に前記発光素子を位置させ、かつ、前記透光性部材の周囲の前記吸着ステージ上にスペーサを配置して、前記第一中間体と前記シートとを接続する工程と、
前記吸着ステージに前記シートを吸着させ、前記発光素子と前記透光性部材の間のボイドの検査を行う工程と、
前記ボイドの検査工程で良品と判定された前記第一中間体を、それぞれが前記発光素子を含む複数の第二中間体に分離する工程と、
を含む発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置の製造方法及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子と、蛍光体等を含む透光性部材とが接合された発光装置が知られている。このような発光装置の製造工程において、発光素子と透光性部材との間のボイドを検査する工程が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-7951号公報
【特許文献1】特開2013-164371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的の一は、発光素子と透光性部材との間のボイド検査時に透光性部材の破損が生じることを低減した発光装置の製造方法及び検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一形態に係る発光装置の製造方法は、透光性部材の主面に、複数の発光素子が固定された第一中間体を準備する工程と、前記第一中間体とシートとを接続する工程であって、前記透光性部材と前記シートとの間に前記発光素子を位置させ、かつ、前記発光素子が位置する領域よりも外側にある前記透光性部材の主面の外側領域にスペーサを配置して、前記第一中間体と前記シートとを接続する工程と、吸着ステージに前記シートを吸着させ、前記発光素子と前記透光性部材の間のボイドの検査を行う工程と、前記ボイドの検査工程で良品と判定された第一中間体を、それぞれが前記発光素子を含む複数の第二中間体に分離する工程とを含む。
【0006】
また本発明の他の形態に係る発光装置の製造方法は、透光性部材の主面に、複数の発光素子が固定された第一中間体を準備する工程と、前記第一中間体とシートとを接続する工程であって、吸着ステージ上に配置した前記透光性部材と前記シートとの間に前記発光素子を位置させ、かつ、前記透光性部材の周囲の前記吸着ステージ上にスペーサを配置して、前記第一中間体と前記シートとを接続する工程と、前記吸着ステージに前記シートを吸着させ、前記発光素子と前記透光性部材の間のボイドの検査を行う工程と、前記ボイドの検査工程で良品と判定された前記第一中間体を、それぞれが前記発光素子を含む複数の第二中間体に分離する工程とを含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一形態に係る発光装置の製造方法によれば、透光性部材の破損を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る製造方法により得られる発光装置の上面図である。
図2図1の発光装置のII-II線における断面図である。
図3】第一中間体を示す斜視図である。
図4】シート貼り付け装置のステージ上に第一中間体を載置した状態を示す断面図である。
図5図4の第一中間体にスペーサを配置した状態を示す断面図である。
図6図5の第一中間体及びスペーサの上面にシートを載置した状態を示す断面図である。
図7】超音波映像撮像装置を示す側面図である。
図8】発光素子の接合面のボイドを撮像した超音波画像を示すイメージ図である。
図9】第一中間体を検査面に保持するダイシングリングを示す上面図である。
図10図9の第一中間体を吸着する様子を示す断面図である。
図11図11A図11Dは、スペーサの例を示す上面図である。
図12】変形例に係る第一中間体を吸着する様子を示す断面図である。
図13】他の変形例に係る第一中間体を吸着する様子を示す断面図である。
図14】さらに他の変形例に係る第一中間体を示す断面図である。
図15】第一中間体を切断して第二中間体を得る工程を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の各実施形態を説明する。なお以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。
【0010】
さらに以下に示す実施形態は、本発明の技術思想の具体例を示すものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。また、断面図として、切断面のみを示す端面図を用いる場合がある。
【0011】
[実施形態1]
本発明の実施形態1に係る製造方法によって得られる発光装置100の平面図を図1に、図1のII-II線における断面図を図2に、それぞれ示す。これらの図に示す発光装置100は、発光素子10と、発光素子10上に配置された透光性部材20を備える。発光素子10は、上面10a、下面10bおよび側面10c、10dと、下面10b側に位置する正極13および負極14とを有し、主に上面10aから光を出射する。透光性部材20は、上面と、側面と、発光素子10の上面と接合される下面とを有する。発光装置100はさらに、透光性部材20と、発光素子10の側面および透光性部材20の発光素子10から露出する下面を覆う導光部材30と、透光性部材20の側面および導光部材30を覆う光反射性部材40とを備える。また、本実施形態では、発光装置100は基板50を備える。以下、各構成要素を詳細に説明する。
【0012】
(発光素子10)
発光素子10は、発光ダイオード等の半導体発光素子である。発光装置100は1以上の発光素子10を含む。発光素子10は、半導体積層体12と、半導体積層体12の表面に設けられた正極13、負極14とを含む。半導体積層体12は、上面12aと下面12bを有し、その下面12bには正極13と負極14が設けられている。
【0013】
発光素子10の大きさは、例えば、0.5μm~200mmとできる。さらに発光素子10の形状は、円形や正方形、長方形等とできる。発光素子10は、平面視において、例えば、略矩形形状であり、側面10c、10dを有する。
【0014】
発光素子10は、透光性基板11を備えていてもよい。透光性基板11としては、は例えば、サファイア(Al23)、窒化物半導体などが挙げられる。
【0015】
半導体積層体12は、図2では、透光性基板11の下面11b側に位置している。半導体積層体12は、発光層(活性層)と、発光層を挟む第1導電型半導体層(例えばn型半導体層)および第2導電型半導体層(例えばp型半導体層)とを含む。発光層のバンドギャップに対応した波長の光を発光素子10は出射する。紫外光、青色光から緑色光の可視光を発光可能な半導体層としては、例えば、III-V族化合物半導体、II-VI族化合物半導体等の半導体材料が挙げられる。具体的には、InXAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)等組成を有する窒化物系の半導体積層体12を用いることができる。
【0016】
半導体積層体12の下面12bには、正極13、および負極14が設けられている。正極13および負極14は、それぞれ、第1導電型半導体層および第2導電型半導体層と電
【0017】
(透光性部材20)
透光性部材20は、発光装置の光取り出し面を構成する第2主面20aを備える。透光性部材20は、第2主面20aの反対側に、発光素子と接続される主面(第1主面20b)を備える。透光性部材20の第1主面20bと発光素子10の上面10aとは接合部材を介して、又は、直接接合によって接合される。透光性部材20は、第1主面20bと第2主面20aとの間に、側面20c、20d、20e、20fを有する。
【0018】
平面視において、透光性部材20は略矩形形状である。透光性部材20の第1主面20b及び第2主面20aは、互いに略平行であることが好ましい。透光性部材20の厚さ(つまり透光性部材20の第1主面20bから透光性部材20の第2主面20aまでの高さ)は、例えば、50μm~300μm程度である。図1図2に示す例では、透光性部材20の第1主面20bは発光素子10の上面10aよりも大きい。透光性部材20の第1主面20bの外縁は、発光素子10の上面10aの外縁より外側に位置している。
【0019】
透光性部材20の材料としては、例えば、ガラス、サファイア等が挙げられる。また、透光性部材20は、例えば、蛍光体の焼結体、あるいは、セラミックス、ガラス等の無機材料に蛍光体粉末を含有するものが挙げられる。
【0020】
透光性部材20に含有される蛍光体としては、発光素子10が出射する光で励起可能なものが使用される。例えば、以下に示す具体例のうちの1種を単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。青色発光素子または紫外線発光素子で励起可能な蛍光体の具体例としては、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Y3(Al,Ga)512:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu3(Al,Ga)512:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb3(Al,Ga)512:Ce)、βサイアロン系蛍光体(例えば、(Si,Al)3(O,N)4:Eu)、α系サイアロン蛍光体(例えば、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu)、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN3:Eu)若しくはSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(例えば、K2SiF6:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、K2(Si,Al)F6:Mn)若しくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn)等のフッ化物系蛍光体、ペロブスカイト構造を有する蛍光体(例えば、CsPb(F,Cl,Br,I)3)、又は、量子ドット蛍光体(例えば、CdSe、InP、AgInS2又はAgInSe2)等を用いることができる。
【0021】
これらの蛍光体と、青色発光素子または紫外線発光素子と組み合わせることにより、所望の発光色の発光装置を得ることができる。例えば、透光性部材20に含まれる蛍光体の種類および濃度を調整することにより白色光を出射する発光装置100を得ることができる。透光性部材20中の蛍光体の含有量は、例えば、5~50質量%程度である。
【0022】
透光性部材20は、蛍光体の他に光拡散材を含んでいてもよい。光拡散材としては、例えば、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等を用いることができる。
【0023】
(導光部材30)
導光部材30は、発光素子10の側面10c、10dを覆い、発光素子10の側面10c、10dから出射する光を透光性部材20へ導く部材である。導光部材30は、発光素子10の下面と透光性部材20の第1主面20bとの間に配置されていてもよい。
【0024】
導光部材30の材料としては、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂の1種以上を含む樹脂またはハイブリッド樹脂等が挙げられる。導光部材30は、蛍光体を含んでいてもよい。
【0025】
(光反射性部材40)
光反射性部材40は、透光性部材20の側面20c、20d、20e、20fと、導光部材30を覆う。光反射性部材40は、発光素子10から出射した光を透光性部材20および導光部材30側へ反射させることができる。発光素子10の側面のうち、導光部材30によって覆われていない部分がある場合には、導光部材30によって覆われていない側面も光反射性部材40が覆っていることが好ましい。
【0026】
また、発光素子10が基板50上に配置される際には、光反射性部材40は、発光素子10と基板50との間にも配置されていることが好ましい。
【0027】
光反射性部材40は、発光素子10から出射される光を反射することができる材料で構成される。具体的には、上述した導光部材30と同様の樹脂部材に、光反射性物質を含有させることにより得られる。光反射性物質としては、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、イットリア安定化ジルコニア、チタン酸カリウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素などが挙げられる。光反射性部材40における光反射性物質等の含有量は、例えば、母材となる樹脂部材100重量部に対し、光反射性物質は30~60重量部含有されていることが好ましく、特に45~60重量部含有されていることが好ましい。これにより、発光装置外部への光漏れをより抑制することが可能となり好ましい。
【0028】
(基板50)
基板50は、発光素子10を支持する。基板50は、発光素子10に電力を供給する配線および発光素子10を外部回路と接続するための外部端子を備えていてもよい。本実施形態では、基板50は、板状の基体51と、基体51の上面51aに配置された配線52と、基体51の下面51bに配置された外部端子53とを備える。配線52は、発光素子10の正極13、負極14と電気的に接続されている。配線52は例えば基体51に設けられたビアを介して外部端子53と電気的に接続されている。
【0029】
基体51の材料としては、ガラスエポキシ、樹脂、セラミックスなどの絶縁性部材、絶縁部材が配置された金属部材等が挙げられる。なかでも、基体51の材料として、耐熱性及び耐候性の高いセラミックスを用いることが好ましい。セラミックス材料としては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどが挙げられる。
【0030】
配線52および外部端子53の材料としては、例えば、銅、アルミニウム、金、銀、プラチナ、チタン、タングステン、パラジウム、鉄、ニッケル等の金属またはこれらを含む合金等が挙げられる。また、配線52は、発光素子10からの光を効率よく取り出すために、その最表面が銀または金などの反射率の高い材料で覆われていることが好ましい。
【0031】
(保護素子60)
発光装置100は、ツェナーダイオード等の保護素子60を備えていてもよい。例えば、図1において破線で示すように、保護素子60は、光反射性部材40に埋設することができる。
【0032】
[発光装置の製造方法]
以下、発光装置の製造方法を説明する。発光装置の製造方法は、第一中間体1を準備する工程、ボイドの検査工程、第二中間体2を得る工程を含む。
【0033】
(第一中間体1の準備工程)
まず、切断前の透光性部材20Aの主面(第1主面20b)に、複数の発光素子10が固定された第一中間体1を準備する。ここでは図3に示すように、円板状の透光性部材20Aの第1主面20bに、多数の発光素子10を固定することを考える。透光性部材20Aに複数の発光素子10を固定するには、接着材を用いた接合、接着材を用いずに直接接合する方法が挙げられる。なお切断前の透光性部材20の大きさは、発光素子10を接合する領域と、後述するスペーサ5を配置する領域とを備えた大きさとする。
【0034】
次に、第一中間体1にシート3を接続する。ここでは、透光性部材20Aとシート3との間に複数の発光素子10が位置するように第一中間体1とシート3を接続する。ここでは図4に示すように、吸着ステージST上に、発光素子10を固定した主面(第1主面)を上側に向けた状態で第一中間体1を載置する。吸着ステージSTは、第一中間体1を載置する載置領域に、第一中間体1を吸引して吸着する吸着手段SKを備えている。吸着手段SKは真空ポンプや減圧ポンプを利用して吸引力を発揮する。吸引力は、例えば0.3MPa~0.5MPaとする。また第一中間体1の周囲には、ダイシングリング4が配置される。
【0035】
この状態で第一中間体1を吸着ステージSTに吸着させる。また図5に示すように、透光性部材20Aの主面の内、発光素子10が位置する領域よりも外側にある外側領域には、スペーサ5を配置する。そして図6に示すように、この上面にシート3を配置して、シート3に第一中間体1を接続する。シート3は、その一面(図6において下面)を粘着面としており、第一中間体1に貼付してこれを保持する。
【0036】
スペーサ5は、シート3に第一中間体1を貼付する際、発光素子10の一面のみを貼付させ、透光性部材20Aが貼付されないように離隔させるための部材である。このようなスペーサ5を介在させることで、後述するボイドの検査工程の際に、シート3を保持する際の吸引によって透光性部材20Aが破損されるおそれを回避できる。
【0037】
(シート3)
シート3は、一面を粘着面とし、この粘着面に第一中間体1を保持するための部材である。シート3は、紫外線硬化型シートが好適に利用できる。紫外線硬化型シートは、紫外線を照射することで粘着面を硬化させて粘着力を弱めることができる。この性質を利用して、第一中間体1を貼付した後、紫外線硬化型シートに紫外光を照射すれば、粘着力を弱めて第一中間体1を取り外し易くなり、ピックアップ作業を容易に行える利点が得られる。このようなシート3には、例えばアクリル等が利用できる。またシート3の大きさは、透光性部材20Aと同程度とする。透光性部材20Aより多少大きいことが好ましく、例えばφ200mm程度とする。さらにシート3の厚さは、例えば100μm±10μmの範囲とすることができる
【0038】
(ボイド検査工程)
このようにして第一中間体1をシート3上に貼付させた状態で、ボイドの検査を行う。ボイドの検査は、複数の発光素子10を透光性部材20Aに直接接合した接合面におけるボイドの有無や量を測定するものである。ボイド検査工程で所定値以上のボイドが検出された場合には、当該第一中間体1を不良品と判定する。
【0039】
(超音波映像撮像装置)
このようなボイド検査は、ボイド検査装置を用いて行う。このようなボイド検査装置としては、超音波映像撮像装置やX線撮像装置が挙げられる。超音波映像撮像装置1000は、図7に示すように、水槽1100と、超音波プローブ1200と、検査台1300と、吸引機構1400を備える。水槽1100内には液体が蓄えられる。液中で超音波を発することで、空気中に比べ超音波を伝搬し易くし、超音波信号の減衰を抑制できる。液体は、純水やアルコール、あるいは特定の成分を溶解、分散させた溶液でもよい。また液体は沸騰または凝固していなければ足りるので、その温度範囲も柔軟に設定でき、例えば10℃~30℃程度とする。
【0040】
液中に沈めて検査台1300に保持された第一中間体1に対して、超音波プローブ1200から超音波を発し、反射波から超音波画像を生成する。超音波画像では図8に示すように、黒く表示された直接接合エリア内に、ボイドVDが白く表示される。よって画像処理等により、白い領域の面積を積算して、所定の基準値を超えた場合に不良品と判定する。
【0041】
第一中間体1を貼付したシート3は、水槽1100内の検査台1300に保持される。検査台1300は、上面に検査対象である第一中間体1が保持される。検査台1300は、第一中間体1を吸引するよう、吸引機構1400を備えている。吸引機構1400は、吸引ポンプを備えており、検査台1300に開口された多数の開口穴からシート吸引することにより、シートを吸引する。また検査台の上面には、図9に示すようにダイシングリング4が設けられており、これにより第一中間体1の周囲を挟持して保持する。
【0042】
第一中間体1は検査台に設けられた吸引機構1400で吸引されて、検査台に保持される。吸引機構1400で水槽1100の底面に第一中間体1を保持すると共に、予め超音波プローブ1200の焦点距離を、水槽1100の底面内に保持した第一中間体1に調整しておくことで、超音波プローブ1200の焦点距離の調整作業を不要とできる。
【0043】
(スペーサ5)
ボイドの検査工程に際して、図10に示すように、シート3と透光性部材20Aの間にスペーサ5を介在させることで、シート3を保持する際の吸引によって透光性部材20Aが破損されるおそれを回避できる。
【0044】
スペーサ5は、発光素子10と離隔して配置される。スペーサ5は、発光素子10を囲む位置(外側領域)に配置される。例えばスペーサ5は、発光素子10を連続して囲む大きさの環状の部材である。またスペーサ5は、上面視における外形を円形とする他、矩形状や多角形状としてもよい。図11A図11Dに、スペーサ5の変形例を示す。図11Aに示すスペーサ5Aは円環状の例であり、図11Bに示すスペーサBは矩形状の例である。
【0045】
あるいは、スペーサ5は、全周に渡って連続した1つの環状の部材でなく、複数の部材の集合体として構成されていてもよい。スペーサ5を構成する複数の部材の上面視形状は、上述の連続するスペーサと同様に円形とする他、矩形や多角形状等とすることができる。例えば図11Cに示すスペーサ5Cは、複数の長方形状で構成されており、これらが発光素子を囲む位置において離隔されており、上面視における全体の形状が矩形状となるように配置されている。また図11Dに示すスペーサ5Dは、複数の正方形状の部材で構成されており、上面視における全体の形状が円環状となるように配置されている。つまり、これらのスペーサは、線状または点状のスペーサともいえる。このように1又は複数の部材で構成されるスペーサ5は、少なくとも透光性部材20Aの中心を通り、それぞれ直交する2つの直線で分割された4つの領域のそれぞれの領域に配置されることが好ましい。またスペーサ5の幅は一定としてもよく、あるいは、上述した領域以外において部分的に異なっていてもよい。さらにスペーサ5は、1層構造又は多層構造としてもよい。さらにスペーサ5の内、透光性部材20Aと接触する部分は、平坦面又は微細な凹凸を有する面としてもよい。
【0046】
また、図10に示したように、スペーサの外縁は透光性部材20Aの外縁よりも外側に配置されるようにすることができる。また、図12示すように、スペーサ5Eの外縁が透光性部材20Aの外縁と一致するようにしてもよい。あるいは図13に示すように、スペーサ5Fの外縁が透光性部材20Aの外縁よりも内側に配置されるようにしてもよい。つまり、スペーサは、透光性部材20Aがシート3に貼付されないように、あるいは吸引されないようにする機能を有するよう位置に配置すればよい。
【0047】
スペーサ5は、透光性部材と接していることが好ましい。ただし、さらにスペーサ5は、透光性部材20Aに接していなくてもよい。例えば図14に示すスペーサ5Gのように、シート3の貼付時に透光性部材20Aの外縁に近い吸着ステージST上に配置してもよい。
【0048】
スペーサを透光性部材上ではなく吸着ステージ上に置く場合は、透光性部材と近い位置にある吸着ステージ上に配置することが好ましい。このようなスペーサは、透光性部材上に配置されるスペーサと同様に1つの環状の部材で構成されてもよく、あるいは、複数の部材の集合体で構成されていてもよい。
【0049】
また、複数のスペーサを用いる場合は、透光性部材上のみに配置されるペーサと、吸着ステージ上のみに配置されるスペーサとの両方を組み合わせて用いてもよい。
【0050】
スペーサ5の材料としては、シリコーン樹脂やPET樹脂等が挙げられる。スペーサ5の厚さは、発光素子10の厚みに対して、75%~150%程度とすることができ、同等の厚さとすることが好ましい。例えば発光素子10の厚さが150μmの場合は、100μm~200μmが好ましく、130μm~170μmがより好ましく、150μmが特に好ましい。
【0051】
(良品検査工程)
このような超音波映像撮像装置1000によるボイド検査を経て、第一中間体1の良品検査を行う。そして良品と判定された第一中間体1は、次工程に送られる。一方で不良品は製造ラインから除外され、破棄されるなど必要な処理に回される。
【0052】
(第二中間体2を得る工程)
良品検査工程を経た次処理としては、良品とされた第一中間体1を分割して第二中間体2を得る工程が挙げられる。ここでは複数の発光素子10を固定した透光性部材20Aの、発光素子10を固定した部位以外の領域において切断し、図15に示すように発光素子10を含む第二中間体2に分離される。図15の例では、第二中間体は、1個の発光素子10を含んでいる。第二中間体は2個以上の発光素子10を含んでもよいことはいうまでもない。第一中間体1を切断する位置は、上面視において発光素子10の外縁りも外側であることが好ましい。
【0053】
シート3の取り外しは、第一中間体1の切断工程の後に行う。換言すると、シートから第二中間体を取り外す前に、透光性部材を切断する工程を有していてもよい。これにより、複数の発光素子10を波長変換部材に接合した中間体をまとめてボイド検査することが可能となり、切断した波長変換部材と発光素子10毎にボイド検査を実行する手間を省くことができる。あるいは、先に第一中間体1を第二中間体2に切断した後に、シート3から取り外してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の発光装置の製造方法及び発光装置の製造方法は、車載用の光源等に好適に利用できる。例えば大型のディスプレイや、スマートフォンやタブレット、車載用の中型のモニタ、あるいはHMDやスマートグラスの画面等の小型のスクリーン等に好適に使用できる。
【符号の説明】
【0055】
100…発光装置
1…第一中間体
2…第二中間体
3…シート
4…ダイシングリング
5、5A、5B、5C、5D、5E、5F、5G…スペーサ
10…発光素子
10a…発光素子の上面
10b…発光素子の下面
10c、10d…発光素子の側面
11…透光性基板
11a…透光性基板の上面
11b…透光性基板の下面
12…半導体積層体
12a…半導体積層体の上面
12b…半導体積層体の下面
13…正極
14…負極
20…透光性部材;20A…切断前の透光性部材
20a…透光性部材の第2主面
20b…透光性部材の第1主面
20c、20d、20e、20f…透光性部材の側面
30…導光部材
40…光反射性部材
50…基板
51…基体
51a…基体の上面
51b…基体の下面
52…配線
53…外部端子
60…保護素子
1000…超音波映像撮像装置
1100…水槽
1200…超音波プローブ
1300…検査台
1400…吸引機構
VD…ボイド
ST…吸着ステージ
SK…吸着手段
図1
図2
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図13
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図15