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  • 特開-振動解析装置及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136448
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】振動解析装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01H 9/00 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
G01H9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042121
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
(74)【代理人】
【識別番号】100196380
【弁理士】
【氏名又は名称】森 匡輝
(72)【発明者】
【氏名】石井 抱
(72)【発明者】
【氏名】王 飛躍
(72)【発明者】
【氏名】島崎 航平
【テーマコード(参考)】
2G064
【Fターム(参考)】
2G064AA12
2G064AB01
2G064AB02
2G064BA02
2G064BC22
2G064CC29
(57)【要約】
【課題】解析対象の周波数ごとの振動状態の把握を容易にし、効率的に振動解析を行うことができる振動解析装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】振動解析装置1は、解析対象の時系列画像を取得する画像取得部111と、画像取得部111で取得された時系列画像に基づいて、解析対象を複数の部分に分割した解析要素の変位、速度、歪み及び軌跡の少なくなくともいずれかを含む振動情報を演算する振動解析部112と、振動解析部112で演算された振動情報から選択された選択表示項目を、解析周波数として設定された周波数ごとに複数表示するサムネイル画像、及び複数の解析周波数から選択された選択周波数における選択表示項目と解析対象の画像とを合成して表示する詳細画像とを生成する表示画像生成部113と、選択周波数及び選択表示項目を選択する入力部14と、サムネイル画像及び詳細画像を表示する表示部13と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
解析対象の時系列画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部で取得された前記時系列画像に基づいて、前記解析対象を複数の部分に分割した解析要素の変位、速度、歪み及び軌跡の少なくなくともいずれかを含む振動情報を演算する振動解析部と、
前記振動解析部で演算された前記振動情報から選択された選択表示項目を、解析周波数として設定された周波数ごとに複数表示するサムネイル画像、及び複数の前記解析周波数から選択された選択周波数における前記選択表示項目と前記解析対象の画像とを合成して表示する詳細画像とを生成する表示画像生成部と、
前記選択周波数及び前記選択表示項目を選択する入力部と、
前記サムネイル画像及び前記詳細画像を表示する表示部と、を備える、
ことを特徴とする振動解析装置。
【請求項2】
前記振動解析部は、
デジタル画像相関法によって、前記振動情報を演算する、
ことを特徴とする請求項1に記載の振動解析装置。
【請求項3】
前記選択周波数は、
前記表示部に表示された前記サムネイル画像から、いずれかの前記解析周波数の画像を選択することによって設定される、
ことを特徴とする請求項1に記載の振動解析装置。
【請求項4】
前記表示画像生成部は、
前記振動情報に係る値が所定の閾値以上である解析要素を含む前記解析周波数を選択して、前記サムネイル画像を生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の振動解析装置。
【請求項5】
コンピュータを、
解析対象の時系列画像を取得する画像取得部、
前記画像取得部で取得された前記時系列画像に基づいて、前記解析対象を複数の部分に分割した解析要素の変位、速度、歪み及び軌跡の少なくなくともいずれかを含む振動情報を演算する振動解析部、
前記振動解析部で演算された前記振動情報から選択された選択表示項目を、解析周波数として設定された周波数ごとに複数表示するサムネイル画像、及び複数の前記解析周波数から選択された選択周波数における前記選択表示項目と前記解析対象の画像とを合成して表示する詳細画像とを生成し、生成されたサムネイル画像及び詳細画像を表示部に表示させる表示画像生成部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動解析装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像認識技術の発達にともない、画像認識を用いた振動解析方法が開発されている。例えば、特許文献1では、テンプレートマッチングを用いてプロペラの軸の振動を計測する方法が開示されている。テンプレートマッチングによる振動解析は、解析対象の画像の類似度から、解析対象の変位量を算出して行われる。
【0003】
また、他の画像認識方法として、機械学習の手法を用いて解析対象をトラッキングする技術が開発されている。この方法では、予め学習された学習済みモデルを用いて画像を処理して、解析対象を認識することにより、解析対象の変位を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-32496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、解析対象の振動状態を分析する場合、解析対象のどの部分でいかなる振動が生じているかを把握することが重要となる。より具体的には、解析対象の各部の変位を把握するとともに、振動を生じている部分がいかなる周波数で振動しているかを把握することが重要となる。
【0006】
一般的な振動解析手法では、モニタ上に解析対象の各部の変位の大きさを表示したり、特定の部分の振動の周波数スペクトルを表示したりすることによって、分析が行われる。したがって、振動の周波数特性を分析した後に、注目する周波数の振動情報を適宜参照して分析を行うなど、振動状態の分析には多くの手間を要していた。
【0007】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、解析対象の周波数ごとの振動状態の把握を容易にし、効率的に振動解析を行うことができる振動解析装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の第1の観点に係る振動解析装置は、
解析対象の時系列画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部で取得された前記時系列画像に基づいて、前記解析対象を複数の部分に分割した解析要素の変位、速度、歪み及び軌跡の少なくなくともいずれかを含む振動情報を演算する振動解析部と、
前記振動解析部で演算された前記振動情報から選択された選択表示項目を、解析周波数として設定された周波数ごとに複数表示するサムネイル画像、及び複数の前記解析周波数から選択された選択周波数における前記選択表示項目と前記解析対象の画像とを合成して表示する詳細画像とを生成する表示画像生成部と、
前記選択周波数及び前記選択表示項目を選択する入力部と、
前記サムネイル画像及び前記詳細画像を表示する表示部と、を備える。
【0009】
また、前記振動解析部は、
デジタル画像相関法によって、前記振動情報を演算する、
こととしてもよい。
【0010】
また、前記選択周波数は、
前記表示部に表示された前記サムネイル画像から、いずれかの前記解析周波数の画像を選択することによって設定される、
こととしてもよい。
【0011】
また、前記表示画像生成部は、
前記振動情報に係る値が所定の閾値以上である解析要素を含む前記解析周波数を選択して、前記サムネイル画像を生成する、
こととしてもよい。
【0012】
また、本発明の第2の観点に係るプログラムは、
コンピュータを、
解析対象の時系列画像を取得する画像取得部、
前記画像取得部で取得された前記時系列画像に基づいて、前記解析対象を複数の部分に分割した解析要素の変位、速度、歪み及び軌跡の少なくなくともいずれかを含む振動情報を演算する振動解析部、
前記振動解析部で演算された前記振動情報から選択された選択表示項目を、解析周波数として設定された周波数ごとに複数表示するサムネイル画像、及び複数の前記解析周波数から選択された選択周波数における前記選択表示項目と前記解析対象の画像とを合成して表示する詳細画像とを生成し、生成されたサムネイル画像及び詳細画像を表示部に表示させる表示画像生成部、
として機能させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の振動解析装置及びプログラムによれば、複数の解析周波数の振動状態を示すサムネイル画像と、選択周波数における振動情報及び解析対象の画像を合成した詳細画像とを表示させるので、解析対象の振動状態を容易に分析することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係る振動解析装置の機能ブロック図である。
図2】実施の形態に係る振動解析の流れを示すフローチャートである。
図3】実施の形態に係るロータキットの構成を示す概要図である。
図4】選択表示項目として変位が設定された場合のサムネイル画像及び詳細画像の例を示す図である。
図5】サムネイル画像の選択表示項目として変位が設定され、詳細画像の選択表示項目として軌跡が設定された場合のサムネイル画像及び詳細画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る振動解析装置1について説明する。図1の機能ブロック図に示すように、本実施の形態に係る振動解析装置1は、カメラユニット20と接続され、カメラユニット20で撮影された時系列画像に基づいて解析対象の振動解析を行う。
【0016】
振動解析装置1は、例えばコンピュータ装置であり、図1に示すように、制御部11、記憶部12、表示部13、入力部14を備える。
【0017】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等から構成されており、振動解析装置1の動作を制御する。また、制御部11は、カメラユニット20で撮影された解析対象の時系列画像に基づいて、解析対象の振動状態を解析する。制御部11は、制御部11のROM、記憶部12等に記憶されている各種動作プログラム及びデータをRAMに読み込んでCPU及びGPUを動作させることにより、図1に示される制御部11の各機能を実現させる。これにより、制御部11は、画像取得部111、振動解析部112、表示画像生成部113として動作する。
【0018】
画像取得部111は、カメラユニット20を制御して、解析対象を含む画像を撮影する。また、画像取得部111は、撮影された時系列の画像データをカメラユニット20から取得する。
【0019】
振動解析部112は、画像取得部111で取得された画像データに基づいて、撮影された画像に含まれる解析対象の振動状態を解析する。振動状態の解析は、解析対象を複数の部分に分割した解析要素ごとに行われる。より具体的には、撮影された画像を予め定められた所定の大きさの範囲に分割して解析要素とし、解析要素ごとの変位等の振動状態を演算する。振動状態の演算方法は特に限定されない。本実施の形態に係る振動解析部112は、デジタル画像相関法(Digital Image Correlation)を用いて各解析要素の変位量を算出し、変位量の時間変化から、各解析要素の速度、歪み、軌跡等の振動情報を算出する。また、解析要素の大きさは特に限定されず、解析対象の構造、大きさ、振動状態の演算方法等に基づいて選択すればよい。
【0020】
表示画像生成部113は、振動解析部112で算出された振動情報に基づいて、解析対象の振動情報を表す画像を生成し、表示部13に表示させる。本実施の形態に係る表示画像生成部113は、解析対象の振動状態を表す画像として、サムネイル画像It及び詳細画像Idを生成する。
【0021】
サムネイル画像Itは、解析を行う振動の周波数範囲内で設定された解析周波数ごとの振動情報を、一覧可能なように複数表示する画像である。解析周波数は、解析対象の振動状態の周波数特性を分析するために予め設定される周波数であり、例えば、解析を行う周波数範囲内において1Hz間隔で設定される。詳細画像Idは、カメラユニット20で撮影された時系列画像に選択された解析周波数の振動情報が合成された画像である。
【0022】
本実施の形態に係る解析周波数ごとの振動情報は、各解析周波数における振動情報(変位、速度、歪み、軌跡等)の値であるが、これに限られない。例えば、解析周波数ごとの振動情報は、解析周波数を含む所定の周波数帯域における振動情報の値の平均値、中央値等であってもよい。
【0023】
記憶部12は、ハードディスク、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリであり、時系列の画像データから解析対象の振動状態を示す振動情報を演算するプログラム、振動解析部112で算出された振動情報等を記憶する。
【0024】
表示部13は、コンピュータ装置である振動解析装置1に備えられた表示用デバイスであり、例えば液晶ディスプレイである。表示部13は、表示画像生成部113で生成されたサムネイル画像It、詳細画像Id等の情報を表示する。
【0025】
入力部14は、解析の開始、終了指示、詳細画像Idとして振動情報を表示させる周波数の選択、表示させる振動情報の選択等を入力するための入力デバイスである。入力部14は、振動解析装置1に備えられたキーボード、タッチパネル、マウス等である。
【0026】
カメラユニット20は、振動の解析対象を含む画像を撮影する撮像装置であり、所定のフレームレートで時系列画像を撮影する。カメラユニット20で撮影される解析対象は特に限定されず、例えば、機器の動作にともなって振動を生じる自動車用エンジン、工作機械等である。カメラユニット20は、予め定められたフレームレートで解析対象を含む画像を撮影し、各時刻の画像データを出力する。
【0027】
続いて、図2のフローチャートを参照しつつ、振動解析装置1を用いた振動解析について説明する。本実施の形態では、サーボモータによって回転体を回転させるロータキット(図3)を動作させた状態において、回転軸の軸受部を撮影して、撮影された時系列の画像から、解析対象である軸受部の各部の振動を解析する場合を例として説明する。
【0028】
まず、解析条件設定として、カメラユニット20の撮影に係るフレームレート、サムネイル画像Itを作成するための周波数範囲、解析周波数の間隔、解析要素の大きさ(解析要素の範囲となる画素数)等を設定する(ステップS1)。カメラユニット20の撮影に係るフレームレートは、例えば1000fpsである。
【0029】
ロータキットの動作が開始され、入力部14への解析開始指示が入力されると、画像取得部111は、カメラユニット20を制御して解析対象である軸受部を撮影し、カメラユニット20から時系列の画像データを取得する(ステップS2)。また、画像取得部111は、取得した画像データを逐次振動解析部112へ送信する。
【0030】
振動解析部112は、受信した画像データについて、デジタル画像相関法を用いて解析対象に係る変位を算出する。また、振動解析部112は算出された変位量の時系列データから高速フーリエ変換等により解析周波数ごとの変位を演算する。演算に係る周波数の範囲はステップS1の解析条件設定で設定された範囲である。
【0031】
また、振動解析部112は、算出された変位に基づいて、各解析要素の速度、歪み、軌跡等の振動情報を演算する(ステップS3)。
【0032】
表示画像生成部113は、振動解析部112で演算された解析対象の振動状態、より詳細には、解析対象の各解析要素の変位、速度、歪み、軌跡等の振動情報に基づいて、表示部13に表示させるサムネイル画像It及び詳細画像Idを生成する(ステップS4)。サムネイル画像It及び詳細画像Idで表示させる振動情報の種類は、選択表示項目として予め設定されている。初期状態では、例えば、変位が選択表示項目として設定されている。
【0033】
表示画像生成部113は、解析周波数ごとに、各解析要素の選択表示項目である変位の大きさをカラーマップ表示するサムネイル画像It(図4)を生成する。本実施の形態に係るサムネイル画像Itは、表示させる解析周波数の範囲を0Hzから500Hzとし、1Hz間隔で解析要素の変位の大きさを示す画像を作成する。そして、表示画像生成部113は、作成された解析周波数ごとの画像を並べた画像を、サムネイル画像Itとして表示部13に表示させる。
【0034】
また、表示画像生成部113は、詳細画像Idを生成する。詳細画像Idは、カメラユニット20で撮影された解析対象の画像と、選択された解析周波数(以下、選択周波数という。)における解析要素の選択表示項目である変位の大きさを表すカラーマップとが合成された画像である。詳細画像Idは、撮影された解析対象の画像全体について、各部の振動状態を分析可能なように、解析周波数ごとのサムネイル画像よりも大きい画像として生成される。初期状態では、予め設定された所定の解析周波数、例えば100Hzが選択周波数として設定されている。表示画像生成部113は、上記サムネイル画像Itとともに詳細画像Idを表示部13に表示させる(ステップS5)。
【0035】
また、制御部11は、表示部13に表示させる振動情報を切り替えるための表示項目選択ボタンSBを表示部13に表示させる。
【0036】
入力部14は、ユーザからの表示切替に関する入力を受け付ける。ユーザは、図4に示されるサムネイル画像Itから、局所的に変位が大きくなっている周波数等、詳細に観察したい解析周波数があれば、その解析周波数を選択する(ステップS6のYES)。選択周波数は、例えば、ユーザがサムネイル画像Itからいずれかの画像を、マウスを用いてクリックすることで選択される。
【0037】
ユーザが選択周波数の入力を行った場合、表示画像生成部113は、選択された解析周波数を新たな選択周波数に設定する(ステップS7)。選択周波数の設定が完了すると、次の処理に進む。また、ユーザが周波数選択を行わなかった場合(ステップS6のNO)も、次の処理に進む。
【0038】
ユーザは、振動解析部112で演算された振動情報のうち表示させたい項目を選択する(ステップS8のYES)。表示項目の選択は、例えば、表示部13に表示されている表示項目選択ボタンSBを、マウスを用いてクリックして行う。例えば、選択表示項目を軌跡に切り替えることにより、解析周波数ごとの各解析要素の軌跡を表示させることができる。
【0039】
ユーザが表示項目選択の入力を行った場合、表示画像生成部113は、選択された項目、すなわち変位、速度、歪み、軌跡等を新たな選択表示項目に設定する(ステップS9)。選択表示項目の設定が完了すると、次の処理に進む。また、ユーザが表示項目の選択を行わなかった場合(ステップS8のNO)も、次の処理に進む。
【0040】
以下、振動解析が終了するまで(ステップS10のNO)、振動解析装置1は、ステップS2~S9の振動解析処理を行う。振動解析開始時に設定された所定の解析時間の終了、ユーザによる振動解析の終了指示の入力等の終了条件を充足すると(ステップS10のYES)、振動解析装置1は、振動解析を終了する。
【0041】
以上説明したように、本実施の形態に係る振動解析装置1は、解析対象の時系列画像に基づいて、複数の解析周波数における解析対象の振動情報を表示するサムネイル画像Itと、選択周波数における振動情報及び解析対象の画像を合成して表示する詳細画像Idとを表示部13に表示させる。そして、ユーザは、サムネイル画像Itから注目する周波数を選択することにより、選択周波数の振動状態を詳細画像Idによって確認、分析することができる。したがって、ユーザは、解析周波数ごとの解析要素の振動情報を一覧して、振動の周波数特性を容易に把握することができるとともに、周波数ごとの振動状態の詳細を確認することができる。
【0042】
また、ユーザは、振動解析装置1を操作して、変位、速度、歪み、軌跡等、振動状態に係る表示項目を選択して、サムネイル画像It及び詳細画像Idに表示させる情報を切り替えることができる。これにより、ユーザは、解析対象の各部の振動状態を、解析周波数ごとに異なる観点で分析することが可能となるので、より詳細な振動解析を簡易な操作で行うことができる。
【0043】
本実施の形態に係る振動解析装置1は、予め設定された範囲の周波数について、サムネイル画像Itを生成して、表示部13に表示させることとしたが、これに限られない。表示画像生成部113は、選択表示項目に係る数値の大きさに基づいて、サムネイル画像Itとして表示する解析周波数ごとの画像を選択して表示させることとしてもよい。例えば、選択表示項目として変位が設定されている場合、表示画像生成部113は、所定の閾値以上の変位を示す解析要素が含まれる解析周波数のみを選択してサムネイル画像Itを生成し、表示部13に表示させる。これにより、解析対象に生じているクラック等の破損、締結部品の緩み等の不具合、共振に係る高調波振動等を容易に分析することができる。
【0044】
この場合、閾値は、ユーザによって設定されることとしてもよいし、表示画像生成部113が、各解析周波数における最大変位の上位となる解析周波数の画像を自動的に選択することとしてもよい。
【0045】
また、本実施の形態に係る振動解析装置1は、サムネイル画像Itと詳細画像Idとで同じ選択表示項目の振動情報を表示させることとしたが、これに限られない。例えば、図5に示すように、サムネイル画像Itの選択表示項目を変位とし、詳細画像Idに係る選択表示項目を軌跡としてもよい。これにより、容易に異なる振動情報を組み合わせて解析対象の振動状態を分析することが可能となる。
【0046】
本実施の形態では、振動解析装置1は、解析対象の振動状態を表示部13に表示させ、ユーザが表示された振動情報に基づいて解析を行うこととしたが、これに限られない。例えば、振動解析装置1は、記憶部12に予め記憶されている通常状態の振動情報と、カメラユニット20で撮影された解析対象の振動情報とを比較して、予め定められた基準を超える大きさの振動が生じている場合に、異常発生箇所、異常発生周波数等の情報とともに異常振動を表す警告を表示することとしてもよい。これにより、ユーザは、容易に異常の発生を検知し、異常発生に係る振動を解析することができる。
【0047】
また、本実施の形態に係る振動解析装置1は、カメラユニット20と接続され、カメラユニット20で撮影された画像を取得して振動解析を行うこととしたが、これに限られない。例えば、振動解析装置1は、記憶部12、外部のデータサーバ等に予め記憶されている解析対象の時系列画像を取得し、解析することとしてもよい。これにより、例えば、表示部13に逐次表示されるサムネイル画像It及び詳細画像Idの表示速度を調整し、解析対象の振動状態を分析しやすくすることができる。
【0048】
また、上記実施の形態に係る振動解析装置は、通常のコンピュータ装置を用いて実現可能である。例えば、上記実施の形態に係る振動解析を実行するためのコンピュータプログラムを、インターネット等のネットワークを介して配布し、当該コンピュータプログラムをコンピュータ装置にインストールすることにより、コンピュータ装置を上記の振動解析を実行する振動解析装置として機能させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、振動をピックアップ等により直接計測することが難しい物体の振動解析に好適である。
【符号の説明】
【0050】
1 振動解析装置、11 制御部、111 画像取得部、112 振動解析部、113 表示画像生成部、12 記憶部、13 表示部、14 入力部、20 カメラユニット、Id 詳細画像、It サムネイル画像、SB 表示項目選択ボタン
図1
図2
図3
図4
図5