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特開2023-136661導電層の形成方法、導電層、電子モジュール、および電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136661
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】導電層の形成方法、導電層、電子モジュール、および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/12 20060101AFI20230922BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20230922BHJP
   H01L 23/28 20060101ALI20230922BHJP
   B05D 5/12 20060101ALI20230922BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20230922BHJP
   B05D 1/36 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
H05K3/12
H05K9/00 Q
H01L23/28 F
B05D5/12 B
B05D7/00 P
B05D1/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042458
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】若林 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】福田 智男
(72)【発明者】
【氏名】志連 陽平
(72)【発明者】
【氏名】藤田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】平塚 弘行
(72)【発明者】
【氏名】田村 麻人
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 徹
(72)【発明者】
【氏名】竹内 弘司
(72)【発明者】
【氏名】中森 英雄
【テーマコード(参考)】
4D075
4M109
5E321
5E343
【Fターム(参考)】
4D075AC06
4D075AC09
4D075AC88
4D075AC91
4D075AC92
4D075AE02
4D075BB23X
4D075BB26Z
4D075BB42Z
4D075BB46Z
4D075BB49X
4D075BB57X
4D075BB65X
4D075BB69X
4D075BB91Y
4D075BB91Z
4D075BB92Y
4D075CA22
4D075CA23
4D075CA47
4D075CA48
4D075DA35
4D075DC21
4D075EA05
4D075EA21
4D075EA33
4D075EC10
4M109AA02
4M109BA04
4M109CA05
4M109EC07
4M109EE07
5E321AA21
5E321BB23
5E321BB57
5E321GG05
5E343AA02
5E343BB25
5E343DD15
5E343FF02
5E343GG11
(57)【要約】
【課題】基材100の上面102および側面104にシールド層250、260を効率的に形成すること。
【解決手段】シールド層200の形成方法は、基材100の上面102に、インクジェットヘッド400により導電材520を含むインク500を付与する第1の付与工程と、基材100の側面104に、インクジェットヘッド400によりインク500を付与する第2の付与工程と、を含む。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の上面に、付与部により導電材を含む液体組成物を付与する第1の付与工程と、
前記対象物の側面に、前記付与部により前記液体組成物を付与する第2の付与工程と、
を含む導電層の形成方法。
【請求項2】
前記第1の付与工程と前記第2の付与工程の間に、前記付与部が前記液体組成物を付与する方向と交差する方向に、前記対象物と前記付与部を相対移動させる移動工程と、
をさらに含む請求項1記載の導電層の形成方法。
【請求項3】
前記第2の付与工程において、
前記付与部は、前記対象物の前記上面および前記側面に交差する方向に、前記液体組成物を付与する請求項1または2記載の導電層の形成方法。
【請求項4】
前記第2の付与工程において、前記付与部が、前記側面に前記液体組成物を付与する方向は、前記第1の付与工程において、前記付与部が、前記上面に前記液体組成物を付与する方向と同じである請求項1~3の何れか記載の導電層の形成方法。
【請求項5】
前記側面に形成された前記導電層は、上部に比べて下部の厚みが厚い請求項1~4の何れか記載の導電層の形成方法。
【請求項6】
前記第2の付与工程において、前記付与部は、表面に複数の凸部が形成された前記側面に前記液体組成物を付与する請求項1~5の何れか記載の導電層の形成方法。
【請求項7】
前記凸部は、硬化性樹脂により形成される請求項6記載の導電層の形成方法。
【請求項8】
前記硬化性樹脂は、光により硬化する請求項7記載の導電層の形成方法。
【請求項9】
前記複数の凸部は、絶縁材により形成される請求項6~8の何れか記載の導電層の形成方法。
【請求項10】
前記凸部は、前記側面に形成された前記導電層において、上部に比べて下部の密度が高い請求項6~9の何れか記載の導電層の形成方法。
【請求項11】
前記第1の付与工程より前に、
前記側面に、付与部により液体組成物を付与して前記複数の凸部を形成する第3の付与工程を含む、請求項6~10の何れか記載の導電層の形成方法
【請求項12】
対象物における互いに交差する第1の表面および第2の表面に形成された導電層であって、
前記第1の表面の一端における前記導電層の厚さと、前記第1の表面の前記一端と反対側の他端における前記導電層の厚さの差よりも、
前記第2の表面の一端における前記導電層の厚さと、前記第2の表面の前記一端と反対側の他端の前記導電層の厚さの差が大きい導電層。
【請求項13】
対象物の表面に形成された導電層であって、
前記表面の一端における前記導電層の厚さは、前記表面の前記一端と反対側の他端における前記導電層の厚さよりも厚く、
前記表面の一端における前記導電層に含まれる硬化性樹脂の密度は、前記表面の前記一端と反対側の他端における前記導電層に含まれる前記硬化性樹脂の密度よりも大きい導電層。
【請求項14】
請求項12または13記載の導電層を備えた電子モジュール。
【請求項15】
請求項12もしくは13記載の導電層、または請求項14記載の電子モジュールを備えた電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電層の形成方法、導電層、電子モジュール、および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、配線パターンが形成されているプリント基板上に搭載され、複数設けられた端子を介して前記配線パターンと接続する半導体集積回路において、前記半導体集積回路の反プリント基板側の面を覆う形態に設けられた電磁波ノイズを遮蔽する遮蔽部と、前記遮蔽部と前記プリント基板上のグランドとを接続するための接続部とを有することを特徴とする電磁波ノイズの遮蔽部を備える半導体集積回路が記載されている。
【0003】
特許文献2には、導電層がインクジェット印刷を含むEMIシールドが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001―127211号公報
【特許文献2】米国特許第9282630号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、導電層を効率的に形成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る導電層の形成方法は、対象物の上面に、付与部により導電性材料を含む液体組成物を付与する第1の付与工程と、対象物の側面に、付与部により液体組成物を付与する第2の付与工程と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明の請求項1によれば、導電層を効率的に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る電子機器の説明図である。
図2】本実施形態に係る他の電子機器の説明図である。
図3】本実施形態に係る電磁波シールドの形成方法の説明図である。
図4】本実施形態に係る電磁波シールドの形成方法の他の説明図である。
図5】本実施形態に係る電磁波シールドの形成途中の説明図である。
図6】本実施形態に係る電磁波シールドの形成後の説明図である。
図7】本実施形態に係る電磁波シールドの形成途中の他の説明図である。
図8】本実施形態に係る電磁波シールドの形成後の他の説明図である。
図9】本実施形態に係る電磁波シールドの形成工程の説明図である。
図10】本実施形態の実施例に係る電磁波シールドの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
高速通信である5Gや自動運転などに使用される電子部品が取り付けられていない状態のプリント配線板(PWB=printed wiring board)、電子部品がはんだ付けされた電子回路として動作するようになったww状態のプリント回路板(PCB=printed circuit board)は、高い信頼性が要求されてきており、電子部品や配線から発生する電磁波による制御技術が知られている。また、製品の小型化や軽量化に伴い、PCB等も薄肉化や軽量化が要求されており、PCB等やPCB等に使用されている電子部品に電磁波シールドをする技術も知られている。
【0010】
すなわち、ICチップ、コンデンサー、抵抗、ダイオード、ソレノイド、半導体パッケージ等の電子部品や電子機器の電磁波シールドとして、シールドフィルム、金属キャップ、導電性塗料等の導電体、又は電磁波吸収体で覆うことも行われている。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る電子機器の説明図である。
【0012】
図1(a)に示すように、電子機器1は、半導体パッケージ110の外周面に形成された基材100上に、シールド層200および保護層300を備える。シールド層200は、半導体パッケージ110に含まれるグランド部100Gと電気的に接続される。保護層300は省略してもよく、シールド層200と一体で形成しても良い。
【0013】
図1(b)に示すように、本実施形態では、インクジェットヘッド400が、半導体パッケージ110の外周面に配置された基材100の表面に導電性材料を含むインク500を吐出することにより、基材100の表面にシールド層200を形成する。
【0014】
ここで、インク500は、導電性材料を含む液体組成物の一例であり、インクジェットヘッド400は、液体組成物を付与する付与部の一例である。また、シールド層200は導電層の一例である。
【0015】
図2は、本実施形態に係る他の電子機器の説明図である。
【0016】
図2(a)に示すように、電子機器1は、電子部品120と、基板130を備える。電子部品120に設けられた接続部125は、電子部品120が基板130に取り付けられることにより、基板130に設けられた配線135と電気的に接続する。
【0017】
電子部品120は、外周面に形成された基材100上に、シールド層200を備え、シールド層200は、電子部品120が基板130に取り付けられることにより、基板130に設けられたグランド部100Gと電気的に接続する。電子部品120は、電子モジュールの一例である。
【0018】
図2(b)に示すように、本実施形態では、インクジェットヘッド400が、電子部品120の外周面に配置された基材100の表面に導電性材料を含むインク500を吐出することにより、基材100の表面にシールド層200を形成する。
【0019】
米国特許第9282630号明細書には、導電層がインクジェット印刷を含むEMIシールドが記載されているが、シールド層200を効率的に形成することについては言及が無い。
【0020】
すなわち、図1および図2に示したように、シールド層200は、基材100の上面、左右側面、および前後側面の5つの面に形成する必要があった。
【0021】
本実施形態は、複数の面を有する基材100にシールド層200を効率的に形成することを目的とする。
【0022】
図3は、本実施形態に係る電磁波シールドの形成方法の説明図である。
【0023】
図3(a)に示すように、インクジェットヘッド400が、載置台600上に配置された基材100の上面102に対して、インク500を付与することにより、上面のシールド層250を形成する。これは、対象物の上面に、付与部により導電性材料を含む液体組成物を付与する第1の付与工程の一例である。
【0024】
次に、図中矢印の方向に載置台600を移動させる。これは、付与部が液体組成物を付与する方向と交差する方向に、対象物と付与部を相対移動させる移動工程の一例である。
【0025】
続いて、図3(b)に示すように、インクジェットヘッド400が、載置台600上に配置された基材100の角部106に対して、インク500を付与することにより、基材100の側面104をインク500が滴下して、側面のシールド層260を形成する。
【0026】
ここで、インクジェットヘッド400がインク500を吐出する方向は、図3(a)および図3(b)において、同方向である。
【0027】
そして、図の垂直方向の軸を中心に載置台600を回転させることにより、インクジェットヘッド400が、載置台600上に配置された基材100の他の3つの側面104に対して、インク500を付与することにより、他の3つの側面のシールド層260を形成する。
【0028】
図4は、本実施形態に係る電磁波シールドの形成方法の他の説明図である。
【0029】
図3に示したインクジェットヘッド400は、基材100の上面102の法線方向にインク500を吐出するように配置されていたが、図4に示すインクジェットヘッド400は、基材100の上面102および側面104に交差する方向にインク500を吐出するように配置される。
【0030】
図4(a)に示すように、インクジェットヘッド400が、載置台600上に配置された基材100の上面102に対して、インク500を付与することにより、上面のシールド層250を形成する。
【0031】
次に、図中矢印の方向に載置台600を移動させる。これは、付与部が液体組成物を付与する方向と交差する方向に、対象物と付与部を相対移動させる移動工程の一例である。以上は、図3と同様である。
【0032】
続いて、図4(b)に示すように、インクジェットヘッド400が、載置台600上に配置された基材100の角部106および側面104に対して、インク500を付与することにより、側面のシールド層260を形成する。
【0033】
ここで、インクジェットヘッド400がインク500を吐出する方向は、図4(a)および図4(b)において、同方向である。
【0034】
そして、図の垂直方向の軸を中心に載置台600を回転させることにより、インクジェットヘッド400が、載置台600上に配置された基材100の他の3つの側面104に対して、インク500を付与することにより、他の3つの側面のシールド層260を形成する。
【0035】
図3および図4に示したように本実施形態では、載置台600を図の水平方向に移動させたり、図の垂直方向の軸を中心に載置台600を回転させたりするだけで、1つのインクジェットヘッド400により、基材100の上面、左右側面、および前後側面の5つの面にシールド層200を形成することができる。
【0036】
すなわち、基材100の側面104が上を向くように基材100を回転させたり、基材100の上面、左右側面、および前後側面の5つの面毎に別々のインクジェットヘッド400を設けたり、インクジェットヘッド400の向きを変更する場合に比べて、本実施形態では、効率的にシールド層200を形成することができる。
【0037】
また、図4に示したようにインクジェットヘッド400を配置する場合には、基材100の側面104に対向してインク500を吐出できるため、基材100の側面104に側面のシールド層260を確実に形成することができる。
【0038】
ここで、図3および図4に示したように、上面のシールド層250の厚みはほぼ均一であるが、側面104のシールド層260は、インク500が滴下して形成されることから、上部に比べて下部の厚みが厚くなるように形成される。
【0039】
すなわち、第1の表面の一例である側面104の一端におけるシールド層260の厚さと、側面104の一端と反対側の他端におけるシールド層260の厚さの差は、第2の表面の一例である上面102の一端におけるシールド層250の厚さと、上面102の一端と反対側の他端のシールド層250の厚さの差よりも大きくなるように、シールド層260は形成される。
【0040】
図5は、本実施形態に係る電磁波シールドの形成途中の説明図である。図5(a)は、基材100の側面図であり、図5(b)は、図5(a)におけるA-A断面図である。
【0041】
図5(a)および(b)に示すように、基材100の側面104の下端部には、絶縁材510が付与されており、インクジェットヘッドにより吐出された導電材520が、側面104の上方から滴下される。絶縁材510は、インクジェットヘッドにより吐出されて付与されることが好ましいが、他の方法により付与されていても良い。絶縁材510は、熱硬化性かつ光硬化性樹脂であり、側面104の表面に形成された凸部の一例である。
【0042】
絶縁材510は、インクジェットにより付与されるインク500としては、太陽インキIJSR-4000や、互応化学PR-1205が好ましいが、これらのインクの機能を有するものであればよい。
【0043】
図6は、本実施形態に係る電磁波シールドの形成後の説明図である。図6(a)は、基材100の側面図であり、図6(b)は、図6(a)におけるA-A断面図である。
【0044】
図6(a)および(b)に示すように、基材100の側面104の下端部に付与された絶縁材510により、上方から滴下された導電材520が堰き止められる。これにより、導電材520は、側面104の上部に比べて下部の厚みが厚くなるように形成される。
【0045】
導電材520は、インクジェットにより付与されるインク500としては、GenesInk Smart Jet I(S-CS01520)Ag粒子や、バンドー化学SR7000Ag粒子等が好ましいが、これらのインクの機能を有するものであればよい。
【0046】
ここで、上方から滴下された導電材520の一部がグランド部100Gに到達するように、絶縁材510は、導電材520が通過できるような間隙を設けて付与される。あるいは、絶縁材510は、グランド部100Gにはみ出して付与されていても良い。
【0047】
以上説明したように、本実施形態では、基材100の側面104の下端部に絶縁材510を付与することにより、側面104に滴下された導電材520が硬化する前に流出することを抑制し、基材100の側面104に側面のシールド層260を確実に形成することができる。
【0048】
図7は、本実施形態に係る電磁波シールドの形成途中の他の説明図である。図7(a)は、基材100の側面図であり、図7(b)は、図7(a)におけるA-A断面図である。
【0049】
図7(a)および(b)に示すように、基材100の側面104には、絶縁材510が付与されており、インクジェットヘッドにより吐出された導電材520が、側面104の上方から滴下される。
【0050】
絶縁材510は、図5および図6とは異なり、基材100の側面104の下端部以外にも付与されているが、側面104の上部に比べて下部の密度が高くなるように、付与されている。
【0051】
図8は、本実施形態に係る電磁波シールドの形成後の他の説明図である。図8(a)は、基材100の側面図であり、図8(b)は、図8(a)におけるA-A断面図である。
【0052】
図8(a)および(b)に示すように、基材100の側面104に付与された絶縁材510により、上方から滴下された導電材520の流動が阻害されるとともに、基材100の側面104の下端部に付与された絶縁材510により、上方から滴下された導電材520が堰き止められる。
【0053】
これにより、導電材520は、側面104の上部に比べて下部の厚みが厚くなるように形成される。
【0054】
ここで、図5および図6と同様に、上方から滴下された導電材520の一部がグランド部100Gに到達するように、絶縁材510は、導電材520が通過できるような間隙を設けて付与される。あるいは、絶縁材510は、グランド部100Gにはみ出して付与されていても良い。
【0055】
以上説明したように、本実施形態では、基材100の側面104に絶縁材510を付与することにより、側面104に滴下された導電材520が流出することを抑制する。さらに、基材100の側面104の上部に比べて下部の密度が高くなるように、かつ下端部に絶縁材510を付与することにより、側面104に滴下された導電材520が流出することを確実に抑制する。これにより、基材100の側面104に側面のシールド層260を確実に形成することができる。
【0056】
なお、基材100の上面102のシールド層250は、側面104のように導電材520が流出しないので、絶縁材510を含まなくてもよいが、酸化防止などの面から絶縁材510を含んでも良い。その場合、シールド層250内の絶縁材510の密度は、均一で有ることが好ましい。
【0057】
図9は、本実施形態に係る電磁波シールドの形成工程の説明図である。
【0058】
まず、基材100をワークとして、インクジェット装置にセットして(ステップS1)、ワークを洗浄する(ステップS2)。ワークの洗浄の実施例としては、エアー圧によるエアーブロー洗浄を用いたが、一般的な有機溶剤(アルコール類など)や粘着による粘着ローラ洗浄、プラズマ洗浄などを活用しても良い。
【0059】
次に、載置台600上に載置された基材100の側面104に対して、図6および図8で説明したように、インクジェットヘッド400により絶縁材510を含むインク500を付与し(ステップS3)、UV露光して絶縁材510を硬化させる(ステップS4)。
【0060】
実施例では、絶縁材510として太陽インキ製造株式会社製IJSR4000IJ材を用いて、UV露光は、波長:365nmで1~9秒で実施した。
【0061】
ここで、ステップS3およびS4を繰り返すことにより、絶縁材510の膜厚を厚くして、所望の膜厚に形成することができる。
【0062】
次に、絶縁材510の塗膜位置、膜厚等の膜状態について、外観・膜厚検査を行い(ステップS5)、載置台600の温度を30~200℃、好ましくは130℃)に昇温させる(ステップS6)。
【0063】
そして、載置台600上に載置された基材100の上面102および側面104に対して、図3および図4で説明したように、インクジェットヘッド400により導電材520を含むインク500を付与し(ステップS7)、導電材520を熱硬化させる(ステップS8)。
【0064】
実施例では、導電材520としてアルバック製Ag材を用いて、熱硬化は、150℃/30分で実施した。
【0065】
次に、導電材520の塗膜位置、膜厚等の膜状態について、外観・膜厚検査を行う(ステップS9)。
【0066】
図10は、本実施形態の実施例に係る電磁波シールドの説明図であり、図9のステップS9で塗膜状態を観察した対象を示す写真である。
【0067】
実施例では、全般的に絶縁材510の厚みが薄かったため、シールド層の側面260の表面には全般的に導電材520が塗膜されており、基材100の側面104とグランド部100Gの境界付近では、絶縁材510により凹凸が形成されていたため、この部分で導電材520が堰き止められている。
【0068】
この結果から、絶縁材510の厚みと、導電材520の表面エネルギーと吐出量を最適化することで、基材100の側面104にシールド層200を形成することが可能であることを確認した。
【0069】
また、今回の結果から、ワークの表面に凹凸をつけた状態でも、導電材520を塗膜できることを確認した。
【0070】
●まとめ●
以上説明したように、本発明の一実施形態に係るシールド層200の形成方法は、基材100の上面102に、インクジェットヘッド400により導電材520を含むインク500を付与する第1の付与工程と、基材100の側面104に、インクジェットヘッド400によりインク500を付与する第2の付与工程と、を含む。好ましくは、第1の付与工程と第2の付与工程の間に、インクジェットヘッド400がインク500を付与する方向と交差する方向に、基材100とインクジェットヘッド400を相対移動させる移動工程と、を含む。
【0071】
ここで、基材100は対象物の一例であり、シールド層は導電層の一例であり、インクジェットヘッド400は付与部の一例であり、インク500は液体組成物の一例である。
【0072】
これにより、基材100の上面102および側面104にシールド層250、260を効率的に形成することができる。
【0073】
第2の付与工程において、インクジェットヘッド400は、基材100の上面102および側面104に交差する方向に、インクを付与する。これにより、基材100の側面104に対向してインク500を吐出できるため、基材100の側面104にシールド層260を確実に形成することができる。
【0074】
第2の付与工程において、インクジェットヘッド400が、側面104にインクを付与する方向は、第1の付与工程において、インクジェットヘッド400が、上面102にインクを付与する方向と同じである。
【0075】
これにより、インクジェットヘッド400の向きを変更する場合に比べて、効率的にシールド層250、260を形成することができる。
【0076】
そして、以上の形成方法により、側面104に形成されたシールド層260は、上部に比べて下部の厚みが厚く構成される。
【0077】
側面104に形成されたシールド層260は、絶縁材510を含む。これにより、側面104に滴下された導電材520が硬化する前に流出することを抑制し、側面104にシールド層260を確実に形成することができる。絶縁材510は、側面104の表面に形成された凸部、および光硬化性樹脂の一例である。
【0078】
絶縁材510は、側面104に形成されたシールド層260において、上部に比べて下部の密度が高い。これにより、側面104に滴下された導電材520が硬化する前に流出することを確実に抑制し、側面104にシールド層260をより確実に形成することができる。
【0079】
シールド層200の形成方法は、第1の付与工程より前に、側面104に、インクジェットヘッド400により絶縁材510を含むインク500を付与する第3の付与工程を含む。
【0080】
これにより、インクジェットヘッド400により導電材520を含むインク500を付与する前に、側面104に絶縁材510を付与しておくことができる。
【0081】
本発明の一実施形態に係るシールド層200は、基材100における互いに交差する第1の表面の一例である上面102および第2の表面の一例である側面104に形成されたシールド層200であって、上面102の一端におけるシールド層250の厚さと、上面102の一端と反対側の他端におけるシールド層250の厚さの差よりも、側面104の一端におけるシールド層260の厚さと、側面104の一端と反対側の他端のシールド層260の厚さの差が大きい。これにより、効率的に形成されたシールド層200を得ることができる。
【0082】
また、本発明の一実施形態に係るシールド層200は、基材100の表面の一例である側面104に形成されたシールド層200であって、側面104の一端におけるシールド層260の厚さは、側面104の一端と反対側の他端におけるシールド層260の厚さよりも厚く、側面104の一端におけるシールド層260に含まれる絶縁材510の密度は、側面104の一端と反対側の他端におけるシールド層260に含まれる絶縁材510の密度よりも大きい。これにより、効率的かつ確実に形成されたシールド層200を得ることができる。
【符号の説明】
【0083】
1 電子機器
100 基材
102 上面
104 側面
106 角部
100G グランド部
110 半導体パッケージ
120 電子部品
125 接続部
130 基板
135 配線
200 シールド層(導電層の一例)
250 上面
260 側面
300 保護層
400 インクジェットヘッド(付与部の一例)
500 インク(液体組成物の一例)
510 絶縁材
520 導電材
600 載置台
図1
図2
図3
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図6
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図8
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図10