(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013682
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20230119BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 651Z
H01L21/304 651B
H01L21/304 643A
H01L21/304 647A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118041
(22)【出願日】2021-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153969
【弁理士】
【氏名又は名称】松澤 寿昭
(72)【発明者】
【氏名】岩永 耕治
(72)【発明者】
【氏名】田中 暁
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA09
5F157AB02
5F157AB13
5F157AB16
5F157AB33
5F157AB48
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5F157CF42
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5F157CF99
5F157DA21
5F157DB32
5F157DB37
5F157DC21
(57)【要約】
【課題】本開示は、基板の表面に形成される液膜の液量を精度よく調節することが可能な基板処理装置及び基板処理方法を説明する。
【解決手段】基板処理装置は、基板を回転させつつ処理液を供給して、基板の表面に液膜を形成するように構成された液処理部と、基板に供給される処理液の温度を測定するように構成された測定部と、液膜が形成された基板を乾燥させるように構成された乾燥処理部と、制御部とを備える。制御部は、基板に供給される処理液の温度と、基板の表面に形成される液膜の液量との関係を表す液膜モデルと、測定部によって測定された温度とに基づいて、基板の表面に形成される液膜の予測液量を算出する第1の処理と、第1の処理で算出された予測液量となるような処理条件を設定する第2の処理と、第2の処理で設定された処理条件に基づいて、液処理部において基板の表面に液膜を形成する第3の処理とを実行するように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を回転させつつ処理液を供給して、前記基板の表面に液膜を形成するように構成された液処理部と、
前記基板に供給される処理液の温度を測定するように構成された測定部と、
前記液膜が形成された前記基板を乾燥させるように構成された乾燥処理部と、
制御部とを備え、
前記制御部は、
前記基板に供給される処理液の温度と、前記基板の表面に形成される液膜の液量との関係を表す液膜モデルと、前記測定部によって測定された温度とに基づいて、前記基板の表面に形成される液膜の予測液量を算出する第1の処理と、
前記第1の処理で算出された前記予測液量となるような処理条件を設定する第2の処理と、
前記第2の処理で設定された前記処理条件に基づいて、前記液処理部において前記基板の表面に液膜を形成する第3の処理とを実行するように構成されている、基板処理装置。
【請求項2】
前記第3の処理は、
前記基板を回転させつつ処理液を供給して、前記基板の表面に処理液を拡げることと、
前記基板の表面に形成される液膜の液量が前記予測液量となるように、前記基板の表面に供給された処理液のうちの余剰部分を、前記基板を回転させることにより前記基板から振り切ることとを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2の処理は、前記余剰部分を前記基板から振り切る際の処理条件と、前記基板の表面に形成される液膜の液量との関係を表す処理条件モデルと、前記第1の処理で算出された前記予測液量とに基づいて、前記処理条件を設定することを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記処理条件は、前記余剰部分を前記基板から振り切る際における、前記基板の回転数、前記基板の回転加速度及び前記基板の回転時間のうちの少なくとも一つである、請求項2又は3に記載の装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第3の処理の前に、前記基板を回転させつつ洗浄液及びリンス液を順次供給して前記基板の表面を洗浄する第4の処理をさらに実行するように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記液処理部は、処理液が流通するように構成された供給ラインを含み、
前記供給ラインは、処理液が吐出される吐出ノズルと接続された先端部を含み、
前記測定部は、前記先端部を流れる処理液の温度を測定するように構成されている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記基板に供給される処理液はイソプロピルアルコールである、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記乾燥処理部は、前記液膜が形成された前記基板を超臨界処理によって乾燥させるように構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
重さを測定するように構成された計量部をさらに備え、
前記制御部は、
前記第3の処理の後に、前記第3の処理において表面に液膜が形成されている状態の前記基板の重さを前記計量部によって測定する第5の処理と、
前記第5の処理で測定された重さに基づいて前記基板の表面に形成された液膜の液量を算出する第6の処理と、
前記第6の処理で算出された液量と所定の基準値との差分に基づいて、後続の基板の処理に際して設定される前記処理条件を補正する第7の処理とをさらに実行するように構成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記第6の処理で算出された液量が所定の目標範囲外であった場合、前記第7の処理を実行することなく前記基板の処理を停止する第8の処理をさらに実行するように構成されている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
液処理部において基板に供給される処理液の温度と、前記基板に処理液が供給されることによって前記基板の表面に形成される液膜の液量との関係を表す液膜モデルを構築する第1の工程と、
前記液処理部において前記基板に供給される前の処理液の温度を測定部によって測定する第2の工程と、
前記液膜モデルと、前記測定部によって測定された温度とに基づいて、前記液処理部において前記基板の表面に形成される液膜の予測液量を算出する第3の工程と、
前記第3の工程で算出された前記予測液量となるような処理条件を設定する第4の工程と、
前記第4の工程で設定された前記処理条件に基づいて、前記液処理部において前記基板を回転させつつ処理液を供給して、前記基板の表面に液膜を形成する第5の工程と、
前記第5の工程の後に、前記液膜が形成された前記基板を乾燥処理部において乾燥させる第6の工程とを含む、基板処理方法。
【請求項12】
前記第5の工程は、
前記基板を回転させつつ処理液を供給して、前記基板の表面に処理液を拡げることと、
前記基板の表面に形成される液膜の液量が前記予測液量となるように、前記基板の表面に供給された処理液のうちの余剰部分を、前記基板を回転させることにより前記基板から振り切ることとを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第4の工程は、前記余剰部分を前記基板から振り切る際の処理条件と、前記基板の表面に形成される液膜の液量との関係を表す処理条件モデルと、前記第3の工程で算出された前記予測液量とに基づいて、前記処理条件を設定することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記処理条件は、前記余剰部分を前記基板から振り切る際における、前記基板の回転数、前記基板の回転加速度及び前記基板の回転時間のうちの少なくとも一つである、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記第5の工程の前に、前記基板を回転させつつ洗浄液及びリンス液を順次供給して前記基板の表面を洗浄する第7の工程をさらに含む、請求項11~例14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記液処理部は、処理液が流通するように構成された供給ラインを含み、
前記供給ラインは、処理液が吐出される吐出ノズルと接続された先端部を含み、
前記測定部は、前記先端部を流れる処理液の温度を測定するように構成されている、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記基板に供給される処理液はイソプロピルアルコールである、請求項11~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記乾燥処理部は、前記液膜が形成された前記基板を超臨界処理によって乾燥させるように構成されている、請求項11~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記第5の工程の後で且つ前記第6の工程の前に、前記第5の工程において表面に液膜が形成されている状態の前記基板の重さを計量部によって測定する第8の工程と、
前記第8の工程で測定された重さに基づいて前記基板の表面に形成された液膜の液量を算出する第9の工程と、
前記第9の工程で算出された液量と所定の基準値との差分に基づいて、後続の基板の処理に際して設定される前記処理条件を補正する第10の工程とをさらに含む、請求項11~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記第9の工程で算出された液量が所定の目標範囲外であった場合、前記第10の工程を実行することなく前記基板の処理を停止する第11の工程をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造方法は、例えば、基板(例えば、半導体ウエハなど)を微細加工することにより、基板の表面に集積回路の積層構造を形成することを含む。基板の微細加工することは、基板の表面における微小なパーティクルや自然酸化膜を除去するために、処理液を基板に供給して基板を洗浄及び乾燥することを含む。特許文献1は、基板の乾燥処理の一例として、超臨界流体を利用して基板を乾燥する手法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板の表面に形成される液膜の液量を精度よく調節することが可能な基板処理装置及び基板処理方法を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
基板処理装置の一例は、基板を回転させつつ処理液を供給して、基板の表面に液膜を形成するように構成された液処理部と、基板に供給される処理液の温度を測定するように構成された測定部と、液膜が形成された基板を乾燥させるように構成された乾燥処理部と、制御部とを備える。制御部は、基板に供給される処理液の温度と、基板の表面に形成される液膜の液量との関係を表す液膜モデルと、測定部によって測定された温度とに基づいて、基板の表面に形成される液膜の予測液量を算出する第1の処理と、第1の処理で算出された予測液量となるような処理条件を設定する第2の処理と、第2の処理で設定された処理条件に基づいて、液処理部において基板の表面に液膜を形成する第3の処理とを実行するように構成されている。
【発明の効果】
【0006】
本開示に係る基板処理装置及び基板処理方法によれば、基板の表面に形成される液膜の液量を精度よく調節することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、基板処理システムの一例を模式的に示す平面図である。
【
図2】
図2は、
図1の基板処理システムの内部を模式的に示す側面図である。
【
図3】
図3は、液処理ユニットの一例を模式的に示す側面図である。
【
図4】
図4は、乾燥処理ユニットの一例を模式的に示す斜視図である。
【
図5】
図5は、基板処理システムの主要部の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、コントローラのハードウェア構成の一例を示す概略図である。
【
図7】
図7は、モデルを生成する手順を説明するためのフローチャートである。
【
図8】
図8は、基板の表面に液膜を形成する際における、基板の回転数及び処理液の供給流量の時間変化の一例を示すグラフである。
【
図9】
図9(a)は液膜モデルの一例を示すグラフであり、
図10(b)は処理条件モデルの一例を示すグラフである。
【
図10】
図10は、基板の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。なお、本明細書において、図の上、下、右、左というときは、図中の符号の向きを基準とすることとする。
【0009】
[基板処理システム]
まず、
図1及び
図2を参照して、基板Wを処理するように構成された基板処理システム1(基板処理装置)について説明する。基板処理システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3と、コントローラCtr(制御部)とを備える。搬入出ステーション2及び処理ステーション3は、例えば水平方向に一列に並んでいてもよい。
【0010】
基板Wは、円板状を呈してもよいし、多角形など円形以外の板状を呈していてもよい。基板Wは、一部が切り欠かれた切欠部を有していてもよい。切欠部は、例えば、ノッチ(U字形、V字形等の溝)であってもよいし、直線状に延びる直線部(いわゆる、オリエンテーション・フラット)であってもよい。基板Wは、例えば、半導体基板(シリコンウエハ)、ガラス基板、マスク基板、FPD(Flat Panel Display)基板その他の各種基板であってもよい。基板Wの直径は、例えば200mm~450mm程度であってもよい。
【0011】
搬入出ステーション2は、載置部4と、搬入搬出部5と、棚ユニット6とを含む。載置部4は、幅方向(
図1の上下方向)において並ぶ複数の載置台(図示せず)を含んでいる。各載置台は、キャリア7(収容容器)を載置可能に構成されている。キャリア7は、少なくとも一つの基板Wを密封状態で収容するように構成されている。キャリア7は、基板Wを出し入れするための開閉扉(図示せず)を含む。
【0012】
搬入搬出部5は、搬入出ステーション2及び処理ステーション3が並ぶ方向(
図1の左右方向)において、載置部4に隣接して配置されている。搬入搬出部5は、載置部4に対して設けられた開閉扉(図示せず)を含む。載置部4上にキャリア7が載置された状態で、キャリア7の開閉扉と搬入搬出部5の開閉扉とが共に開放されることで、搬入搬出部5内とキャリア7内とが連通する。
【0013】
搬入搬出部5は、搬送アームA1及び棚ユニット6を内蔵している。搬送アームA1は、搬入搬出部5の幅方向(
図1の上下方向)における水平移動と、鉛直方向における上下動と、鉛直軸周りにおける旋回動作とが可能に構成されている。搬送アームA1は、キャリア7から基板Wを取り出して棚ユニット6に渡し、また、棚ユニット6から基板Wを受け取ってキャリア7内に戻すように構成されている。棚ユニット6は、処理ステーション3の近傍に位置しており、搬入搬出部5と処理ステーション3との間での基板Wの受け渡しを仲介するように構成されている。
【0014】
処理ステーション3は、搬送部8と、複数の基板処理ユニットU(基板処理装置)とを含む。搬送部8は、例えば、搬入出ステーション2及び処理ステーション3が並ぶ方向(
図1の左右方向)において水平に延びている。搬送部8は、搬送アームA2を内蔵している。搬送アームA2は、搬送部8の長手方向(
図1の左右方向)における水平移動と、鉛直方向における上下動と、鉛直軸周りにおける旋回動作とが可能に構成されている。搬送アームA2は、棚ユニット6から基板Wを取り出して基板処理ユニットUに渡し、また、基板処理ユニットUから基板Wを受け取って棚ユニット6内に戻すように構成されている。
【0015】
図1及び
図2に示される例では、複数の基板処理ユニットUは、搬送部8の一方の側において上下に並ぶ複数(例えば3つ)の基板処理ユニットUと、搬送部8の他方の側において上下に並ぶ複数(例えば3つ)の基板処理ユニットUとを含んでいる。基板処理ユニットUは、液処理ユニットU1と、乾燥処理ユニットU2とを含んでいる。
図1及び
図2に示される例では、液処理ユニットU1と乾燥処理ユニットU2とが、搬送部8の長手方向(
図1の左右方向)に沿って隣り合うように配置されている。
【0016】
[液処理ユニット]
続いて、
図1~
図3を参照して、液処理ユニットU1について詳しく説明する。
図1及び
図2に例示されるように、液処理ユニットU1は、計量部U11と、液処理部U12と、測定部U13を含む。
【0017】
計量部U11は、液処理ユニットU1に搬入された基板Wの重量を測定するように構成されている。計量部U11は、測定した重量のデータをコントローラCtrに送信するように構成されている。
【0018】
液処理部U12は、基板Wに所定の液処理を行うように構成されている。当該所定の液処理は、例えば、基板Wの洗浄処理、基板Wの表面Wa(
図3参照)に液膜R(
図3参照)を形成する処理を含む。液処理部U12は、例えば、スピン洗浄により基板Wを1枚ずつ洗浄する枚葉式の洗浄装置であってもよい。
図3に例示されるように、液処理部U12は、回転保持部10と、洗浄液供給部20と、リンス液供給部30と、処理液供給部40とを含む。
【0019】
回転保持部10は、回転部11と、シャフト12と、保持部13とを含む。回転部11は、コントローラCtrからの動作信号に基づいて動作し、シャフト12を回転させるように構成されている。回転部11は、例えば電動モータ等の動力源であってもよい。
【0020】
保持部13は、シャフト12の先端部に設けられている。保持部13は、例えば吸着等により、基板Wの裏面を吸着保持するように構成されている。すなわち、回転保持部10は、基板Wの姿勢が略水平の状態で、基板Wの表面Waに対して垂直な中心軸(回転軸)周りで基板Wを回転させるように構成されていてもよい。
図3に例示されるように、回転保持部10は、上方から見て時計回りに基板Wを回転させてもよい。
【0021】
洗浄液供給部20は、基板Wに洗浄液L1を供給するように構成されている。洗浄液L1は、例えば、基板Wの表面Waの薄膜(例えば、シリコン酸化膜などの自然酸化膜)を除去するための薬液であってもよいし、基板Wの表面Waに付着した異物(例えば、パーティクル、有機物など)を除去するための薬液であってもよい。当該薬液は、酸性又はアルカリ性の薬液を含んでいてもよい。酸性の薬液は、例えば、SC-2液(塩酸、過酸化水素及び純水の混合液)、SPM(硫酸及び過酸化水素水の混合液)、HF液(フッ酸)、DHF液(希フッ酸)、HNO3+HF液(硝酸及びフッ酸の混合液)などを含んでいてもよい。アルカリ性の薬液は、例えば、SC-1液(アンモニア、過酸化水素及び純水の混合液)、過酸化水素水などを含んでいてもよい。洗浄液L1の温度は、基板Wの洗浄条件によって種々の値に設定されうるが、例えば、20℃~160℃程度であってもよい。
【0022】
洗浄液供給部20は、液源21と、ポンプ22と、バルブ23と、ノズル24と、配管25と、駆動源26とを含む。液源21は、洗浄液L1の供給源である。
図1及び
図2に例示されるように、液源21は、搬入搬出部5内に配置されていてもよい。
図3に戻って、ポンプ22は、コントローラCtrからの動作信号に基づいて動作し、液源21から吸引した洗浄液L1を、配管25及びバルブ23を介してノズル24に送り出すように構成されている。
【0023】
バルブ23は、コントローラCtrからの動作信号に基づいて動作し、配管25における流体の流通を許容する開状態と、配管25における流体の流通を妨げる閉状態との間で遷移するように構成されている。ノズル24は、吐出口が基板Wの表面Waに向かうように基板Wの上方に配置されている。ノズル24は、ポンプ22から送り出された洗浄液L1を吐出口から吐出するように構成されている。
【0024】
配管25は、上流側から順に、液源21、ポンプ22、バルブ23及びノズル24を接続している。
図1及び
図2に例示されるように、配管25は、搬入搬出部5内の液源21と、複数の液処理ユニットU1の液処理部U12におけるそれぞれのノズル24とを接続するように、途中で分岐しつつ延びていてもよい。
【0025】
図3に戻って、駆動源26は、ノズル24に対して直接的又は間接的に接続されている。駆動源26は、コントローラCtrからの動作信号に基づいて動作し、基板Wの上方において、水平方向又は鉛直方向に沿ってノズル24を移動させるように構成されている。
【0026】
リンス液供給部30は、基板Wにリンス液L2を供給するように構成されている。リンス液L2は、例えば、基板Wの表面Waに供給された洗浄液L1及び洗浄液L1による膜の溶解成分を表面Waから除去する(洗い流す)ための液であってもよい。リンス液L2は、例えば、純水(DIW:deionized water)、オゾン水、炭酸水(CO2水)、アンモニア水などを含んでいてもよい。
【0027】
リンス液供給部30は、液源31と、ポンプ32と、バルブ33と、ノズル34と、配管35と、駆動源36とを含む。液源31は、リンス液L2の供給源である。図示してないが、液源31は、搬入搬出部5内に配置されていてもよい。ポンプ32は、コントローラCtrからの動作信号に基づいて動作し、液源31から吸引したリンス液L2を、配管35及びバルブ33を介してノズル34に送り出すように構成されている。
【0028】
バルブ33は、コントローラCtrからの動作信号に基づいて動作し、配管35における流体の流通を許容する開状態と、配管35における流体の流通を妨げる閉状態との間で遷移するように構成されている。ノズル34は、吐出口が基板Wの表面Waに向かうように基板Wの上方に配置されている。ノズル34は、ポンプ32から送り出されたリンス液L2を吐出口から吐出するように構成されている。
【0029】
配管35は、上流側から順に、液源31、ポンプ32、バルブ33及びノズル34を接続している。図示してないが、配管35は、搬入搬出部5内の液源31と、複数の液処理ユニットU1の液処理部U12におけるそれぞれのノズル34とを接続するように、途中で分岐しつつ延びていてもよい。
【0030】
駆動源36は、ノズル34に対して直接的又は間接的に接続されている。駆動源36は、コントローラCtrからの動作信号に基づいて動作し、基板Wの上方において、水平方向又は鉛直方向に沿ってノズル34を移動させるように構成されている。
【0031】
処理液供給部40は、基板Wに処理液L3を供給するように構成されている。処理液L3は、例えば、基板Wの表面Waに供給されたリンス液L2を表面Waから除去する(洗い流す)ための液である。リンス液L2が処理液L3に置換されると、基板Wの表面Waには処理液L3の液膜Rが形成される。処理液L3は、例えば、IPA(イソプロピルアルコール)などを含んでいてもよい。
【0032】
処理液供給部40は、液源41と、ポンプ42と、バルブ43と、ノズル44(吐出ノズル)と、配管45(供給ライン)と、駆動源36とを含む。液源41は、処理液L3の供給源である。
図1及び
図2に例示されるように、液源41は、搬入搬出部5内に配置されていてもよい。
図3に戻って、ポンプ42は、コントローラCtrからの動作信号に基づいて動作し、液源41から吸引した処理液L3を、配管45及びバルブ43を介してノズル44に送り出すように構成されている。
【0033】
バルブ43は、コントローラCtrからの動作信号に基づいて動作し、配管45における流体の流通を許容する開状態と、配管45における流体の流通を妨げる閉状態との間で遷移するように構成されている。ノズル44は、吐出口が基板Wの表面Waに向かうように基板Wの上方に配置されている。ノズル44は、ポンプ42から送り出された処理液L3を吐出口から吐出するように構成されている。
【0034】
配管45は、上流側から順に、液源41、ポンプ42、バルブ43及びノズル44を接続している。
図1及び
図2に例示されるように、配管45は、搬入搬出部5内の液源41から出発し、複数の液処理ユニットU1の液処理部U12内をそれぞれ通過するように分岐した後に再び合流して、液源41に戻るように延びていてもよい。すなわち、処理液L3は、配管45を循環するように流れていてもよい。
【0035】
図2に例示されるように、各液処理部U12内において、配管45は、配管25の近傍に配置された中間部45aと、中間部45aから分岐してノズル44に接続された先端部45bとを含んでいてもよい。すなわち、処理液L3の流動方向を基準として、中間部45aは、先端部45bの上流側に配置されている。中間部45aを流れる処理液L3は、その近傍に位置する配管25を流れる洗浄液L1の熱の影響を受けて、加熱されうる。
【0036】
図3に戻って、駆動源46は、ノズル44に対して直接的又は間接的に接続されている。駆動源46は、コントローラCtrからの動作信号に基づいて動作し、基板Wの上方において、水平方向又は鉛直方向に沿ってノズル44を移動させるように構成されている。
【0037】
測定部U13は、配管45を流れる処理液L3の温度を測定するように構成されている。測定部U13は、
図2に例示されるように、先端部45bを流れる処理液L3の温度を測定するように構成されていてもよいし、配管45のうち先端部45b以外の部分を流れる処理液L3の温度を測定するように構成されていてもよい。測定部U13は、測定した温度のデータをコントローラCtrに送信するように構成されている。
【0038】
[乾燥処理ユニットU2]
続いて、
図1、
図2及び
図4を参照して、乾燥処理ユニットU2について詳しく説明する。
図1及び
図2に例示されるように、乾燥処理ユニットU2は、乾燥処理ユニットU2は、計量部U21と、乾燥処理部U22とを含む。
【0039】
計量部U21は、乾燥処理ユニットU2に搬入された基板Wの重量を測定するように構成されている。計量部U21は、測定した重量のデータをコントローラCtrに送信するように構成されている。
【0040】
乾燥処理部U22は、表面Waに液膜Rが形成された基板Wに対して超臨界処理を行うように構成されている。超臨界処理とは、表面Waに液膜Rが形成された基板Wに超臨界状態の処理流体(超臨界流体)を接触させることによって、基板Wを乾燥させる処理である。
図4に例示されるように、乾燥処理部U22は、本体51と、保持板52と、蓋部材53とを含む。
【0041】
本体51は、基板Wを内部に収容可能に構成された容器である。本体51の前面には、基板Wが出入りするための開口部51aが形成されている。本体51の壁部には、供給ポート54,55と排出ポート56とが設けられている。
【0042】
供給ポート54,55はそれぞれ、供給配管を介して処理流体(例えば、二酸化炭素)の供給源(図示せず)に接続されている。供給ポート54は、本体51の背面に取り付けられた供給ヘッダ57に接続されている。供給ポート55は、本体51の底面に取り付けられた供給ヘッダ58に接続されている。供給ヘッダ57,58はそれぞれ、所定の方向に一列に並んだ複数の供給口を含んでおり、当該供給口から超臨界流体を本体51内に供給するように構成されている。
【0043】
排出ポート56は、本体51外に延びる排出配管に接続されている。排出ポート56は、本体51の開口部51a近傍に取り付けられた排出ヘッダ59に接続されている。排出ヘッダ59は、所定の方向に一列に並んだ複数の排出口を含んでおり、当該排出口から超臨界流体を本体51外に排出するように構成されている。なお、排出ヘッダ59から本体51の外部に排出される超臨界流体には、基板Wの表面から超臨界状態の超臨界流体に溶け込んだ処理液L3が含まれうる。
【0044】
保持板52は、処理対象の基板Wを水平に保持可能に構成されている。蓋部材53は、保持板52に取り付けられており、保持板52が開口部51aを通じて本体51内に挿入された状態で開口部51aを密閉するように構成されている。
【0045】
[コントローラの詳細]
コントローラCtrは、基板処理システム1を部分的又は全体的に制御するように構成されている。コントローラCtrは、
図5に例示されるように、機能モジュールとして、読取部M1と、記憶部M2と、処理部M3と、指示部M4とを有する。これらの機能モジュールは、コントローラCtrの機能を便宜上複数のモジュールに区切ったものに過ぎず、コントローラCtrを構成するハードウェアがこのようなモジュールに分かれていることを必ずしも意味するものではない。各機能モジュールは、プログラムの実行により実現されるものに限られず、専用の電気回路(例えば論理回路)、又は、これを集積した集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)により実現されるものであってもよい。
【0046】
読取部M1は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体RMからプログラムを読み取るように構成されている。記録媒体RMは、基板処理システム1の各部を動作させるためのプログラムを記録している。記録媒体RMは、例えば、半導体メモリ、光記録ディスク、磁気記録ディスク、光磁気記録ディスクであってもよい。なお、以下では、基板処理システム1の各部は、液処理部U12及び乾燥処理部U22の各部を含みうる。
【0047】
記憶部M2は、種々のデータを記憶するように構成されている。記憶部M2は、例えば、読取部M1において記録媒体RMから読み出したプログラム、外部入力装置(図示せず)を介してオペレータから入力された設定データなどを記憶してもよい。記憶部M2は、例えば、計量部U11,U21によって取得された重量のデータ、測定部U13によって取得された温度のデータを記憶してもよい。記憶部M2は、例えば、基板Wの処理のための処理条件と、基板Wの表面Waに形成される液膜Rの予測液量を推定するための液膜モデルD1と、基板Wの処理条件を推定するための処理条件モデルD2とを記憶してもよい。液膜モデルD1及び処理条件モデルD2の詳細については、後述する。
【0048】
処理部M3は、各種データを処理するように構成されている。処理部M3は、例えば、記憶部M2に記憶されている各種データに基づいて、基板処理システム1の各部を動作させるための信号を生成してもよい。
【0049】
指示部M4は、処理部M3において生成された動作信号を、基板処理システム1の各部に送信するように構成されている。
【0050】
コントローラCtrのハードウェアは、例えば一つ又は複数の制御用のコンピュータにより構成されていてもよい。コントローラCtrは、
図6に例示されるように、ハードウェア上の構成として回路C1を含んでいてもよい。回路C1は、電気回路要素(circuitry)で構成されていてもよい。回路C1は、例えば、プロセッサC2と、メモリC3と、ストレージC4と、ドライバC5と、入出力ポートC6とを含んでいてもよい。
【0051】
プロセッサC2は、メモリC3及びストレージC4の少なくとも一方と協働してプログラムを実行し、入出力ポートC6を介した信号の入出力を実行することで、上述した各機能モジュールを実現するように構成されていてもよい。メモリC3及びストレージC4は、記憶部M2として機能してもよい。ドライバC5は、基板処理システム1の各部をそれぞれ駆動するように構成された回路であってもよい。入出力ポートC6は、ドライバC5と基板処理システム1の各部との間で、信号の入出力を仲介するように構成されていてもよい。
【0052】
基板処理システム1は、一つのコントローラCtrを備えていてもよいし、複数のコントローラCtrで構成されるコントローラ群(制御部)を備えていてもよい。基板処理システム1がコントローラ群を備えている場合には、上記の機能モジュールがそれぞれ、一つのコントローラCtrによって実現されていてもよいし、2個以上のコントローラCtrの組み合わせによって実現されていてもよい。コントローラCtrが複数のコンピュータ(回路C1)で構成されている場合には、上記の機能モジュールがそれぞれ、一つのコンピュータ(回路C1)によって実現されていてもよいし、2つ以上のコンピュータ(回路C1)の組み合わせによって実現されていてもよい。コントローラCtrは、複数のプロセッサC2を有していてもよい。この場合、上記の機能モジュールがそれぞれ、一つのプロセッサC2によって実現されていてもよいし、2つ以上のプロセッサC2の組み合わせによって実現されていてもよい。
【0053】
[モデルの生成方法]
続いて、
図7及び
図8を参照して、液膜モデルD1の生成方法について説明する。まず、テスト基板を液処理ユニットU1に搬送する(
図7のステップS1参照)。次に、テスト基板を計量部U11に載置し、テスト基板の重量を測定する(
図7のステップS2参照)。測定された重量のデータは、コントローラCtrに送信される。
【0054】
次に、テスト基板を液処理部U12の回転保持部10に保持させる。次に、コントローラCtrが回転保持部10を制御して、テスト基板の裏面を保持部13で吸着保持しつつ回転させる。この状態で、コントローラCtrが洗浄液供給部20を制御して、ノズル24からテスト基板の表面に洗浄液L1を供給させる(
図7のステップS3参照)。
【0055】
テスト基板の表面に供給された洗浄液L1は、テスト基板の回転によって、テスト基板の中央部から外周縁に向けて表面全体を流れた後、外周縁から外方に振り切られる。そのため、ノズル24からの洗浄液L1の供給が継続されている間、テスト基板の表面に洗浄液L1の液膜が形成される。これにより、テスト基板が洗浄液L1によって洗浄される。
【0056】
次に、コントローラCtrが回転保持部10を制御して、テスト基板の裏面を保持部13で吸着保持しつつ回転させる。この状態で、コントローラCtrがリンス液供給部30を制御して、ノズル34からテスト基板の表面にリンス液L2を供給させる(
図7のステップS4参照)。
【0057】
テスト基板の表面に供給されたリンス液L2は、テスト基板の回転によって、テスト基板の中央部から外周縁に向けて洗浄液L1と置き換わりながら表面全体を流れた後、テスト基板の外周縁から外方に振り切られる。そのため、テスト基板の表面から洗浄液L1が排出されると共に、ノズル34からのリンス液L2の供給が継続されている間、テスト基板の表面にリンス液L2の液膜が形成される。
【0058】
次に、テスト基板の表面に供給される処理液L3の温度を測定部U13によって測定する(
図7のステップS5参照)。測定された温度のデータは、コントローラCtrに送信される。
【0059】
次に、コントローラCtrが回転保持部10を制御して、テスト基板の裏面を保持部13で吸着保持しつつ回転させる。この状態で、コントローラCtrが処理液供給部40を制御して、ノズル44からテスト基板の表面に処理液L3を供給させる(
図7のステップS6参照)。
【0060】
テスト基板の表面に供給された処理液L3は、テスト基板の回転によって、テスト基板の中央部から外周縁に向けてリンス液L2と置き換わりながら表面全体を流れた後、テスト基板の外周縁から外方に振り切られる(
図8の処理期間T1を参照)。テスト基板の表面のリンス液L2が処理液L3に置き換わったタイミングで、コントローラCtrが処理液供給部40を制御して、処理液L3の供給を徐々に停止させる(
図8の処理期間T2を参照)。その後、コントローラCtrが回転保持部10を制御して、テスト基板の回転数を上昇させ(
図8の処理期間T3を参照)、所定時間が経過したらテスト基板の回転を停止させる。これにより、テスト基板上の処理液L3の余剰部分がテスト基板から振り切られ、テスト基板の表面上に所定の液量の液膜Rが形成される。
【0061】
処理期間T3において、基板の回転数は、例えば、10rpm~300rpm程度に設定されていてもよい。処理期間T3において、基板の回転加速度は、例えば、200r.p.s2~1500r.p.s2程度に設定されていてもよい。処理期間T3において、基板の回転時間は、例えば、0.1sec~5sec程度に設定されていてもよい。
【0062】
次に、表面に液膜Rが形成されたテスト基板を計量部U11に載置し、テスト基板及び液膜Rの重量を測定する(
図7のステップS7参照)。測定された重量のデータは、コントローラCtrに送信される。コントローラCtrは、ステップS7において測定された重量のデータから、ステップS2において測定された重量のデータを減算することにより、液膜Rの重量を算出する。さらに、コントローラCtrは、当該重量を処理液L3の密度で除算することにより、液膜Rの液量、すなわち、液膜Rの体積を算出する(
図7のステップS8参照)。こうして、ステップS5で計測された処理液L3の温度と、テスト基板の表面に形成された液膜Rの液量とが対応付けられて、コントローラCtrに記憶される。
【0063】
そして、処理期間T3におけるテスト基板の回転数、回転加速度及び回転時間(以下、これらのパラメータをまとめて「処理条件」ということがある。)を変えずに、処理液L3の温度を変えつつ、複数のテスト基板の表面に液膜Rを形成し、液膜Rの液量を取得する処理を繰り返す。これにより、処理液L3の温度と液膜Rの液量との対応関係を示す複数のデータが得られる(
図9(a)参照)。これらの複数のデータに基づいて、例えば最小二乗法などによって近似直線を算出することで、処理液L3の温度と、液膜Rの液量とが対応付けられた液膜モデルD1が得られる(
図7のステップS9参照)。なお、液膜モデルD1を得るにあたり、処理液L3の種類や、処理期間T3における処理条件が、複数のテスト基板の間で同じに設定されていればよい。
【0064】
続いて、処理条件モデルD2の生成方法について説明する。処理条件モデルD2の生成方法は、液膜モデルD1の生成方法とほぼ同じである。ただし、処理期間T3におけるテスト基板の回転加速度及び回転時間と処理液L3の温度とを変えずに、処理期間T3におけるテスト基板の回転速度を変えつつ、複数のテスト基板の表面に液膜Rを形成し、液膜Rの液量を取得する処理を繰り返す点が異なる。そのため、処理期間T3における基板の回転速度と液膜Rの液量との対応関係を示す複数のデータが得られる(
図9(b)参照)。これらの複数のデータに基づいて、例えば最小二乗法などによって近似直線を算出することで、処理期間T3における基板の回転数と、液膜Rの液量とが対応付けられた処理条件モデルD2が得られる。なお、処理期間T3における基板の回転数に代えて、処理期間T3における基板の回転加速度と、液膜Rの液量とが対応付けられた処理条件モデルD2を生成してもよい。また、処理期間T3における基板の回転数に代えて、処理期間T3における基板の回転時間と、液膜Rの液量とが対応付けられた処理条件モデルD2を生成してもよい。あるいは、処理期間T3における、基板の回転数、回転加速度及び回転時間の少なくとも一つと、液膜Rの液量とが対応付けられた処理条件モデルD2を生成してもよい。
【0065】
[基板処理方法]
続いて、
図10を参照して、基板Wの処理方法について説明する。まず、コントローラCtrが搬送アームA1,A2を制御して、基板Wをキャリア7から液処理ユニットU1に搬送する(
図10のステップS11参照)。次に、基板Wを計量部U11に載置し、基板Wの重量を測定する(
図10のステップS12参照)。測定された重量のデータは、コントローラCtrに送信される。
【0066】
次に、基板Wを液処理部U12の回転保持部10に保持させる。次に、コントローラCtrが回転保持部10を制御して、基板Wの裏面を保持部13で吸着保持しつつ回転させる。この状態で、コントローラCtrが洗浄液供給部20を制御して、ノズル24から基板Wの表面Waに洗浄液L1を供給させる(
図10のステップS13参照)。
【0067】
基板Wの表面Waに供給された洗浄液L1は、基板Wの回転によって、基板Wの中央部から外周縁に向けて表面Waの全体を流れた後、外周縁から外方に振り切られる。そのため、ノズル24からの洗浄液L1の供給が継続されている間、基板Wの表面Waに洗浄液L1の液膜が形成される。これにより、基板Wが洗浄液L1によって洗浄される。
【0068】
次に、コントローラCtrが回転保持部10を制御して、基板Wの裏面を保持部13で吸着保持しつつ回転させる。この状態で、コントローラCtrがリンス液供給部30を制御して、ノズル34から基板Wの表面Waにリンス液L2を供給させる(
図10のステップS14参照)。
【0069】
基板Wの表面Waに供給されたリンス液L2は、基板Wの回転によって、基板Wの中央部から外周縁に向けて洗浄液L1と置き換わりながら表面Waの全体を流れた後、基板Wの外周縁から外方に振り切られる。そのため、基板Wの表面Waから洗浄液L1が排出されると共に、ノズル34からのリンス液L2の供給が継続されている間、基板Wの表面Waにリンス液L2の液膜が形成される。
【0070】
次に、テスト基板の表面に供給される処理液L3の温度を測定部U13によって測定する(
図10のステップS15参照)。測定された温度のデータは、コントローラCtrに送信される。コントローラCtrは、受信した温度のデータと、記憶部M2に記憶されている液膜モデルD1とに基づいて、当該温度に対応する液膜Rの予測液量を算出する。また、コントローラCtrは、算出した予測液量と、記憶部M2に記憶されている処理条件モデルD2とに基づいて、予測液量が得られる処理条件(例えば、処理期間T3における基板の回転数)を算出する(
図10のステップS16参照)。
【0071】
次に、コントローラCtrが回転保持部10を制御して、基板Wの裏面を保持部13で吸着保持しつつ回転させる。この状態で、コントローラCtrが処理液供給部40を制御して、ノズル44から基板Wの表面Waに処理液L3を供給させる(
図10のステップS17参照)。
【0072】
基板Wの表面Waに供給された処理液L3は、基板Wの回転によって、基板Wの中央部から外周縁に向けてリンス液L2と置き換わりながら表面全体を流れた後、基板Wの外周縁から外方に振り切られる(
図8の処理期間T1を参照)。基板Wの表面Waのリンス液L2が処理液L3に置き換わったタイミングで、コントローラCtrが処理液供給部40を制御して、処理液L3の供給を徐々に停止させる(
図8の処理期間T2を参照)。その後、コントローラCtrが回転保持部10を制御して、ステップS16で算出された処理条件に基づいて、基板Wの回転数を上昇させ(
図8の処理期間T3を参照)、所定時間が経過したら基板Wの回転を停止させる。これにより、基板Wの表面Wa上に所定の液量の液膜Rが形成される。
【0073】
次に、表面に液膜Rが形成された基板Wを計量部U11に載置し、基板W及び液膜Rの重量を測定する(
図10のステップS18参照)。測定された重量のデータは、コントローラCtrに送信される。次に、コントローラCtrは、ステップS18において測定された重量のデータから、ステップS12において測定された重量のデータを減算することにより、液膜Rの重量を算出する。さらに、コントローラCtrは、当該重量を処理液L3の密度で除算することにより、液膜Rの液量を算出する(
図10のステップS18参照)。
【0074】
ステップS18で算出された液膜Rの液量(以下、実測液量1という。)は、ステップS16で算出された予測液量と略等しくなっているはずである。しかしながら、液処理ユニットU1の不具合などの種々の要因の影響により、実測液量1が予測液量から離れた値となることがある。そこで、コントローラCtrは、実測液量1が所定の目標範囲H1内にあるかどうかを判断する(
図10のステップS19参照)。目標範囲H1は、例えば、予測液量を基準として、予測液量の±5%以下の範囲に設定されていてもよい。
【0075】
ステップS19においてNOであるとコントローラCtrが判断した場合には、基板Wが乾燥処理されておらず再利用できることから、ステップS20に進んで処理条件の補正を経て、同じ基板Wに対して再びステップS11以下の処理を実行する。ステップS19において実測液量1が目標範囲H1よりも大きいと判断された場合には、ステップS20において、例えば、処理期間T3における基板の回転数が大きくなるように補正してもよいし、処理期間T3における基板の回転加速度が大きくなるように補正してもよいし、処理期間T3における基板の回転時間が長くなるように補正してもよい。一方、ステップS19において実測液量1が目標範囲H1よりも小さいと判断された場合には、ステップS20において、例えば、処理期間T3における基板の回転数が小さくなるように補正してもよいし、処理期間T3における基板の回転加速度が小さくなるように補正してもよいし、処理期間T3における基板の回転時間が短くなるように補正してもよい。なお、ステップS19において、実測液量1が目標範囲H1よりも大幅に大きいと判断された場合や、目標範囲H1よりも大幅に小さいと判断された場合には、想定外の不具合が発生していると推定して、基板Wの処理を停止してもよい。
【0076】
ステップS19においてYESであるとコントローラCtrが判断した場合には、コントローラCtrが搬送アームA2を制御して、基板Wを液処理ユニットU1から乾燥処理ユニットU2に搬送する(
図10のステップS21参照)。次に、基板Wを計量部U21に載置し、基板Wの重量を測定する(
図10のステップS22参照)。測定された重量のデータは、コントローラCtrに送信される。次に、コントローラCtrは、ステップS22において測定された重量のデータから、ステップS12において測定された重量のデータを減算することにより、液膜Rの重量を算出する。さらに、コントローラCtrは、当該重量を処理液L3の密度で除算することにより、液膜Rの液量を算出する(
図10のステップS22参照)。
【0077】
ステップS22で算出された液膜Rの液量(以下、実測液量2という。)は、実測液量1や、ステップS16で算出された予測液量と略等しくなっているはずである。しかしながら、基板Wが乾燥処理ユニットU2に搬送される過程で基板Wから液がこぼれるなどの種々の要因の影響により、実測液量2が予測液量から離れた値となることがある。そこで、コントローラCtrは、実測液量2が所定の目標範囲H2内にあるかどうかを判断する(
図10のステップS23参照)。目標範囲H2は、例えば、予測液量を基準として、予測液量の±5%以下の範囲に設定されていてもよい。目標範囲H2は、目標範囲H1と同じであってもよい。
【0078】
ステップS23においてNOであるとコントローラCtrが判断した場合には、処理液L3のこぼれが発生した懸念があることから、ステップS24に進んで基板Wの処理を停止する。当該基板Wは、再度処理することができないため、廃棄される。
【0079】
ステップS23においてYESであるとコントローラCtrが判断した場合には、保持板52に基板Wを保持させ、基板Wを保持板52と共に乾燥処理部U22の本体51内に挿入する。乾燥処理部U22において基板Wに高圧状態(例えば16MPa程度)の超臨界流体が供給されると、基板W上に形成されているパターンの間に満たされている液膜Rは、当該超臨界流体と接触することで徐々に超臨界流体に溶解し、徐々に超臨界流体と置き換わる。そして、最終的には、当該パターンの間が超臨界流体のみで満たされる。
【0080】
超臨界流体との置換により当該パターンの間から液膜Rが除去された後に、本体51内の圧力が高圧状態から大気圧まで減圧されると、超臨界流体が気体状態に変化し、当該パターンの間が気体のみで占められる。このようにして、基板Wの表面Waから液膜Rが除去され、基板Wの乾燥処理が完了する(
図10のステップS25参照)。
【0081】
次に、基板Wを計量部U21に載置し、基板Wの重量を測定する(
図10のステップS26参照)。測定された重量のデータは、コントローラCtrに送信される。次に、コントローラCtrは、ステップS22において測定された重量のデータから、ステップS26において測定された重量のデータを減算することにより、液膜Rの重量を算出する。さらに、コントローラCtrは、当該重量を処理液L3の密度で除算することにより、液膜Rの液量を算出する(
図10のステップS26参照)。
【0082】
ステップS26で算出された液膜Rの液量(以下、実測液量3という。)は、実測液量1,2や、ステップS16で算出された予測液量と略等しくなっているはずである。しかしながら、乾燥処理ユニットU2の不具合などの種々の要因の影響により、実測液量3が予測液量から離れた値となることがある。そこで、コントローラCtrは、実測液量3が所定の目標範囲H3内にあるかどうかを判断する(
図10のステップS27参照)。目標範囲H3は、例えば、予測液量を基準として、予測液量の±5%以下の範囲に設定されていてもよい。目標範囲H3は、目標範囲H1と同じであってもよい。
【0083】
ステップS27においてNOであるとコントローラCtrが判断した場合には、液膜Rの乾燥が正常に行われていない懸念があることから、ステップS24に進んで基板Wの処理を停止する。当該基板Wは、再度処理することができないため、廃棄される。
【0084】
ステップS27においてYESであるとコントローラCtrが判断した場合には、コントローラCtrは、実測液量3が所定の目標範囲H4内にあるかどうかを判断する(
図10のステップS28参照)。目標範囲H4は、目標範囲H3よりも狭い範囲であり、例えば、予測液量を基準として、予測液量の±3%以下の範囲に設定されていてもよい。
【0085】
ステップS28においてNOであるとコントローラCtrが判断した場合には、実測液量3が、目標範囲H3内であるので一応は適切な基板処理がなされているものの、基準値である予測液量からはやや離れている。そのため、ステップS20に進んで処理条件の補正を経て、後続の基板Wに対してステップS11以下の処理を実行する。
【0086】
ステップS28においてYESであるとコントローラCtrが判断した場合には、コントローラCtrが搬送アームA1,A2を制御して、基板Wをキャリア7に搬送する(
図10のステップS29参照)。以上により、基板Wの処理が完了する。
【0087】
[作用]
以上の例によれば、基板Wに供給される処理液L3の温度と、基板Wの表面Waに形成される液膜Rの液量との関係を表す液膜モデルD1を事前に準備しておき、実際の基板処理時において測定された処理液L3の温度と、液膜モデルD1とに基づいて算出される予測液量となるように、基板Wの処理条件を設定している。そのため、実際の基板処理時において基板Wに供給される処理液L3の温度に応じて、適切な液量の液膜Rが基板Wの表面Waに形成される。したがって、基板Wの表面Waに形成される液膜Rの液量を精度よく調節することが可能となる。
【0088】
以上の例によれば、基板Wを回転させて基板W上の処理液L3の余剰部分を基板Wから振り切ることにより、基板Wの表面Waに形成される液膜Rの液量を調節している。そのため、基板Wを回転させるという極めて簡易な手法で、基板Wの表面Waに形成される液膜Rの液量を調節することが可能となる。
【0089】
以上の例によれば、処理期間T3における処理条件と、基板Wの表面Waに形成される液膜Rの液量との関係を表す処理条件モデルD2と事前に準備しておき、処理条件モデルD2と、ステップS16において算出された予測液量とに基づいて、処理条件を設定している。そのため、予測液量となるような液膜Rが得られるまで基板Wに何度も液膜Rを形成するといった試行錯誤を経ることなく、素早く基板Wが処理される。したがって、基板Wの表面Waに形成される液膜Rの液量を精度よく調節しつつ、基板Wを迅速に処理することが可能となる。
【0090】
以上の例によれば、処理条件は、処理期間T3における基板Wの回転数、基板Wの回転加速度及び基板Wの回転時間のうちの少なくとも一つでありうる。これらは、基板Wの回転を制御する際に特に用いられる指標であるので、基板Wの表面Waに形成される液膜Rの液量をより簡易に調節することが可能となる。
【0091】
以上の例によれば、基板Wに対して、洗浄液L1、リンス液L2及び処理液L3が順次供給される。この場合、洗浄液L1及びリンス液L2によって洗浄された基板Wに対して、処理液L3の供給及び乾燥処理がさらに実行される。そのため、洗浄後の基板Wの清浄度を維持することが可能となる。
【0092】
以上の例によれば、測定部U13が、先端部45bを流れる処理液L3の温度を測定するように構成されている。すなわち、基板Wに吐出される直前又は少し前の処理液L3の温度が測定部U13によって測定される。そのため、基板Wに供給される処理液L3の温度がより精度よく取得される。したがって、基板Wの表面Waに形成される液膜Rの予測液量をより正確に把握することが可能となる。特に、以上の例によれば、洗浄液L1が流れる配管25の近傍に中間部45aが位置しており、洗浄液L1によって温められた後に先端部45bを流れる処理液L3の温度が、測定部U13によって測定されている。そのため、基板Wに吐出される前で且つ外部からの熱の影響を受けた後の処理液L3の温度が測定される。したがって、先端部45bよりも上流側を流れる処理液L3の温度が測定される場合と比較して、基板Wの表面Waに形成される液膜Rの予測液量をいっそう正確に把握することが可能となる。
【0093】
以上の例によれば、基板Wが超臨界処理によって乾燥されうる。そのため、基板Wにパターンが形成されている場合に、乾燥処理においてパターンが倒れることを抑制することができる。
【0094】
以上の例によれば、実測液量1と目標範囲H1との比較に基づいて、処理条件を補正しうる。同様に、実測液量3と目標範囲H4との比較に基づいて、処理条件を補正しうる。この場合、基板Wの表面に実際に形成された液膜Rの液量が基準となる予測液量から乖離していた度合いに応じて、処理条件が補正される。そのため、後続の基板Wの表面Waに形成される液膜Rの液量をより精度よく調節することが可能となる。
【0095】
以上の例によれば、実測液量1~3と目標範囲H1~H3との比較に基づいて、基板Wの処理を停止しうる。この場合、液膜Rの形成後の基板Wや乾燥処理後の基板Wに不具合が生じている懸念があるので、当該基板Wの処理を停止することで、当該基板Wを後続の処理から除外しうる。そのため、基板処理の生産性を高めることが可能となる。
【0096】
[変形例]
本明細書における開示はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特許請求の範囲及びその要旨を逸脱しない範囲において、以上の例に対して種々の省略、置換、変更などが行われてもよい。
【0097】
(1)ステップS24において基板Wの処理を停止する際に、アラーム等を用いた警告を作業者に通知してもよい。
【0098】
(2)測定部U13によって測定した処理液L3の温度に応じて、処理液L3の吐出流量を変化させてもよい。
【0099】
(3)乾燥処理ユニットU2内の環境温度と、基板の表面に形成された液膜Rの液量とが対応付けられた液膜モデルD1を生成してもよい。
【0100】
[他の例]
例1.基板処理装置の一例は、基板を回転させつつ処理液を供給して、基板の表面に液膜を形成するように構成された液処理部と、基板に供給される処理液の温度を測定するように構成された測定部と、液膜が形成された基板を乾燥させるように構成された乾燥処理部と、制御部とを備える。制御部は、基板に供給される処理液の温度と、基板の表面に形成される液膜の液量との関係を表す液膜モデルと、測定部によって測定された温度とに基づいて、基板の表面に形成される液膜の予測液量を算出する第1の処理と、第1の処理で算出された予測液量となるような処理条件を設定する第2の処理と、第2の処理で設定された処理条件に基づいて、液処理部において基板の表面に液膜を形成する第3の処理とを実行するように構成されている。
【0101】
ところで、基板の表面に形成される液膜は、基板が乾燥処理部に搬送されて乾燥処理されるまでに基板の表面が乾燥してしまい、当該表面にパーティクルが発生するのを防止する役割を有している。しかしながら、基板の表面における液膜の液量が少なすぎると、基板にパターンが形成されている場合に、乾燥処理でパターンが倒れてしまう場合がある。一方、基板の表面における液膜の液量が多すぎると、乾燥処理後に基板にパーティクルが発生してしまう場合がある。そこで、本発明者らが鋭意検討したところ、基板に供給される処理液の温度が変化すると、基板の表面に形成される液膜の体積が膨張又は収縮して液膜の液量にばらつきが生じ、その後の基板の乾燥処理に影響を及ぼしうるとの新たな知見を得て、本発明を完成するに至った。すなわち、例1によれば、基板に供給される処理液の温度と、基板の表面に形成される液膜の液量との関係を表す液膜モデルを事前に準備しておき、実際の基板処理時において測定された処理液の温度と、当該液膜モデルとに基づいて算出される予測液量となるように、基板の処理条件を設定している。そのため、実際の基板処理時において基板に供給される処理液の温度に応じて、適切な液量の液膜が基板の表面に形成される。したがって、基板の表面に形成される液膜の液量を精度よく調節することが可能となる。
【0102】
例2.例1の装置において、第3の処理は、基板を回転させつつ処理液を供給して、基板の表面に処理液を拡げることと、基板の表面に形成される液膜の液量が予測液量となるように、基板の表面に供給された処理液のうちの余剰部分を、基板を回転させることにより基板から振り切ることとを含んでいてもよい。この場合、基板を回転させるという極めて簡易な手法で、基板の表面に形成される液膜の液量を調節することが可能となる。
【0103】
例3.例2の装置において、第2の処理は、余剰部分を基板から振り切る際の処理条件と、基板の表面に形成される液膜の液量との関係を表す処理条件モデルと、第1の処理で算出された予測液量とに基づいて、処理条件を設定することを含んでいてもよい。この場合、処理条件モデルを事前に準備しておくことにより、予測液量となる処理条件が直ちに算出される。そのため、予測液量となるような液膜が得られるまで基板に何度も液膜を形成するといった試行錯誤を経ることなく、素早く基板が処理される。したがって、基板の表面に形成される液膜の液量を精度よく調節しつつ、基板を迅速に処理することが可能となる。
【0104】
例4.例2又は3の装置において、処理条件は、余剰部分を基板から振り切る際における、基板の回転数、基板の回転加速度及び基板の回転時間のうちの少なくとも一つであってもよい。これらは、基板の回転を制御する際に特に用いられる指標であるので、基板の表面に形成される液膜の液量をより簡易に調節することが可能となる。
【0105】
例5.例1~例4のいずれかの装置において、制御部は、第3の処理の前に、基板を回転させつつ洗浄液及びリンス液を順次供給して基板の表面を洗浄する第4の処理をさらに実行するように構成されていてもよい。この場合、洗浄液及びリンス液によって洗浄された基板に対して、処理液の供給及び乾燥処理がさらに実行される。そのため、洗浄後の基板の清浄度を維持することが可能となる。
【0106】
例6.例5の装置において、液処理部は、処理液が流通するように構成された供給ラインを含み、供給ラインは、処理液が吐出される吐出ノズルと接続された先端部を含み、測定部は、先端部を流れる処理液の温度を測定するように構成されていてもよい。この場合、基板に吐出される直前又は少し前の処理液の温度が測定部によって測定される。そのため、基板に供給される処理液の温度がより精度よく取得される。したがって、基板の表面に形成される液膜の予測液量をより正確に把握することが可能となる。
【0107】
例7.例1~例6のいずれかの装置において、基板に供給される処理液はイソプロピルアルコールであってもよい。
【0108】
例8.例1~例7のいずれかの装置において、乾燥処理部は、液膜が形成された基板を超臨界処理によって乾燥させるように構成されていてもよい。この場合、超臨界流体は、処理液と比べて粘度が小さく、処理液を溶解する能力も高い。また、超臨界流体と平衡状態にある液体や気体との間に界面が存在しない。そのため、超臨界処理(超臨界流体を用いた乾燥処理)では、表面張力の影響を受けることなく処理液を乾燥させることができる。したがって、基板にパターンが形成されている場合に、乾燥処理においてパターンが倒れることを抑制することができる。
【0109】
例9.例1~例8のいずれかの装置は、重さを測定するように構成された計量部をさらに備え、制御部は、第3の処理の後に、第3の処理において表面に液膜が形成されている状態の基板の重さを計量部によって測定する第5の処理と、第5の処理で測定された重さに基づいて基板の表面に形成された液膜の液量を算出する第6の処理と、第6の処理で算出された液量と所定の基準値との差分に基づいて、後続の基板の処理に際して設定される処理条件を補正する第7の処理とをさらに実行するように構成されていてもよい。この場合、基板の表面に実際に形成された液膜の液量が基準値から乖離していた度合いに応じて、処理条件が補正される。そのため、後続の基板の表面に形成される液膜の液量をより精度よく調節することが可能となる。
【0110】
例10.例9の装置において、制御部は、第6の処理で算出された液量が所定の目標範囲外であった場合、第7の処理を実行することなく基板の処理を停止する第8の処理をさらに実行するように構成されていてもよい。この場合、乾燥処理後の基板に不具合が生ずる懸念があるので、当該基板の処理を停止することで、当該基板を後続の処理から除外しうる。そのため、基板処理の生産性を高めることが可能となる。
【0111】
例11.基板処理方法の一例は、液処理部において基板に供給される処理液の温度と、基板に処理液が供給されることによって基板の表面に形成される液膜の液量との関係を表す液膜モデルを構築する第1の工程と、液処理部において基板に供給される前の処理液の温度を測定部によって測定する第2の工程と、液膜モデルと、測定部によって測定された温度とに基づいて、液処理部において基板の表面に形成される液膜の予測液量を算出する第3の工程と、第3の工程で算出された予測液量となるような処理条件を設定する第4の工程と、第4の工程で設定された処理条件に基づいて、液処理部において基板を回転させつつ処理液を供給して、基板の表面に液膜を形成する第5の工程と、第5の工程の後に、液膜が形成された基板を乾燥処理部において乾燥させる第6の工程とを含む。この場合、例1の装置と同様の作用効果が得られる。
【0112】
例12.例11の方法において、第5の工程は、基板を回転させつつ処理液を供給して、基板の表面に処理液を拡げることと、基板の表面に形成される液膜の液量が予測液量となるように、基板の表面に供給された処理液のうちの余剰部分を、基板を回転させることにより基板から振り切ることとを含んでいてもよい。この場合、例2の装置と同様の作用効果が得られる。
【0113】
例13.例12の方法において、第4の工程は、余剰部分を基板から振り切る際の処理パラメータと、基板の表面に形成される液膜の液量との関係を表す処理条件モデルと、第3の工程で算出された予測液量とに基づいて、処理条件を設定することを含んでいてもよい。この場合、例3の装置と同様の作用効果が得られる。
【0114】
例14.例12又は例13の方法において、処理条件は、余剰部分を基板から振り切る際における、基板の回転数、基板の回転加速度及び基板の回転時間のうちの少なくとも一つであってもよい。この場合、例4の装置と同様の作用効果が得られる。
【0115】
例15.例11~例14のいずれかの方法は、第5の工程の前に、基板を回転させつつ洗浄液及びリンス液を順次供給して基板の表面を洗浄する第7の工程をさらに含んでいてもよい。この場合、例5の装置と同様の作用効果が得られる。
【0116】
例16.例15の方法において、液処理部は、処理液が流通するように構成された供給ラインを含み、供給ラインは、処理液が吐出される吐出ノズルと接続された先端部を含み、測定部は、先端部を流れる処理液の温度を測定するように構成されていてもよい。この場合、例6の装置と同様の作用効果が得られる。
【0117】
例17.例11~例16のいずれかの方法において、基板に供給される処理液はイソプロピルアルコールであってもよい。
【0118】
例18.例11~例17のいずれかの方法において、乾燥処理部は、液膜が形成された基板を超臨界処理によって乾燥させるように構成されていてもよい。この場合、例8の装置と同様の作用効果が得られる。
【0119】
例19.例11~例18のいずれかの方法は、第5の工程の後で且つ第6の工程の前に、第5の工程において表面に液膜が形成されている状態の基板の重さを計量部によって測定する第8の工程と、第8の工程で測定された重さに基づいて基板の表面に形成された液膜の液量を算出する第9の工程と、第9の工程で算出された液量と所定の基準値との差分に基づいて、後続の基板の処理に際して設定される処理条件を補正する第10の工程とをさらに含んでいてもよい。この場合、例9の装置と同様の作用効果が得られる。
【0120】
例20.例19の方法は、第9の工程で算出された液量が所定の目標範囲外であった場合、第10の工程を実行することなく基板の処理を停止する第11の工程をさらに含んでいてもよい。この場合、例10の装置と同様の作用効果が得られる。
【符号の説明】
【0121】
1…基板処理システム(基板処理装置)、20…洗浄液供給部、40…処理液供給部、44…ノズル(吐出ノズル)、45…配管(供給ライン)、45b…先端部、Ctr…コントローラ(制御部)、L1…洗浄液、L2…リンス液、L3…処理液、D1…液膜モデル、R…液膜、U…基板処理ユニット(基板処理装置)、U1…液処理ユニット、U11…計量部、U12…液処理部、U13…測定部、U2…乾燥処理ユニット、U21…計量部、U22…乾燥処理部、W…基板、Wa…表面。