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特開2023-136824半導体装置、インバータ回路、駆動装置、車両、及び、昇降機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136824
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】半導体装置、インバータ回路、駆動装置、車両、及び、昇降機
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20230922BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20230922BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652T
H01L29/78 653A
H01L29/78 652S
H01L29/78 652P
H01L29/06 301V
H01L29/06 301F
H01L29/78 652K
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042734
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】木本 真一
(72)【発明者】
【氏名】飯島 良介
(72)【発明者】
【氏名】原田 信介
(57)【要約】
【課題】信頼性の向上が可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】実施形態の半導体装置は、第1の方向及び第1の方向に交差する第2の方向に平行な第1の面と、第1の面に対向する第2の面と、を有する炭化珪素層と、炭化珪素層の中の第1の面の側に位置し、第1の方向に延びる第1のトレンチと、第1の方向に延びる第2のトレンチと、第2の方向に延び、第1のトレンチ及び第2のトレンチと連続する第3のトレンチと、第1の方向に延び、第1のトレンチと第2のトレンチとの間に位置し、第3のトレンチと第1の方向に離間する第4のトレンチと、第1のトレンチ、第2のトレンチ、第3のトレンチ、及び第4のトレンチの中のゲート電極と、ゲート電極と炭化珪素層との間のゲート絶縁層と、第3のトレンチと交差し、ゲート電極に接続された第1の導電層と、第1の面の側の第1の電極と、第2の面の側の第2の電極と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向及び前記第1の方向に交差する第2の方向に平行な第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面と、を有する炭化珪素層と、
前記炭化珪素層の中に存在し、前記第1の面の側に存在し、前記第1の方向に延びる第1のトレンチと、
前記炭化珪素層の中に存在し、前記第1の面の側に存在し、前記第1の方向に延び、前記第1のトレンチに対し前記第2の方向に位置する第2のトレンチと、
前記炭化珪素層の中に存在し、前記第1の面の側に存在し、前記第2の方向に延び、前記第1のトレンチ及び前記第2のトレンチと連続する第3のトレンチと、
前記炭化珪素層の中に存在し、前記第1の面の側に存在し、前記第1の方向に延び、前記第1のトレンチと前記第2のトレンチとの間に位置し、前記第3のトレンチと前記第1の方向に離間する第4のトレンチと、
前記炭化珪素層の中に存在するn型の第1の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層の中に存在し、前記第1の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第2の面から前記第1のトレンチまでの距離よりも前記第2の面からの距離が大きいp型の第2の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層の中に存在し、前記第2の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置するn型の第3の炭化珪素領域と、
前記第1のトレンチ、前記第2のトレンチ、前記第3のトレンチ、及び前記第4のトレンチの中に存在するゲート電極と、
前記ゲート電極と前記炭化珪素層との間に存在するゲート絶縁層と、
前記炭化珪素層に対し前記第1の面の側に存在し、前記第3のトレンチに対し前記第1の方向に位置し、前記第2の方向に延びる第1の配線層と、
前記第3のトレンチと交差し、前記ゲート電極に接続され、前記第1の配線層に電気的に接続された第1の導電層と、
前記炭化珪素層に対し前記第1の面の側に存在し、前記第3の炭化珪素領域と電気的に接続された第1の電極と、
前記炭化珪素層に対し前記第2の面の側に存在する第2の電極と、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記ゲート電極と前記第1の導電層は同一材料を含む請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記同一材料は、多結晶シリコンである請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1の導電層と前記炭化珪素層との間に前記ゲート絶縁層が存在する請求項1ないし請求項3いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1の導電層と交差する部分の、前記第3のトレンチの前記第1の面における形状は直線形状である請求項1ないし請求項4いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1の導電層と交差する部分の、前記第3のトレンチの側面は、a面又はm面で形成される請求項1ないし請求項5いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1のトレンチの前記第2の方向の幅と、前記第1のトレンチと前記第4のトレンチとの間の前記第2の方向の距離の和は、例えば、2μm以下である請求項1ないし請求項6いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項8】
前記炭化珪素層の中に存在し、前記第1の面の側に存在し、前記第1の方向に延び、前記第4のトレンチと前記第2のトレンチとの間に位置し、前記第3のトレンチと前記第1の方向に離間する第5のトレンチと、
前記炭化珪素層の中に存在し、前記第1の面の側に存在し、前記第2の方向に延び、前記第4のトレンチ及び前記第5のトレンチと連続し、前記第3のトレンチと前記第1の方向に離間する第6のトレンチと、
を更に備える、請求項1ないし請求項7いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項9】
前記炭化珪素層の中に存在し、前記第1の面の側に存在し、前記第1の方向に延び、前記第4のトレンチとの間に前記第1のトレンチが位置する第7のトレンチと、
前記炭化珪素層の中に存在し、前記第1の面の側に存在し、前記第2の方向に延び、前記第4のトレンチ及び前記第7のトレンチと連続し、前記第1のトレンチと前記第1の方向に離間する第8のトレンチと、
を更に備える請求項1ないし請求項7いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項10】
前記炭化珪素層に対し前記第1の面の側に存在し、前記第8のトレンチに対し前記第1の方向に位置し、前記第2の方向に延びる第2の配線層と、
前記第8のトレンチと交差し、前記ゲート電極に接続され、前記第2の配線層に電気的に接続された第2の導電層と、
を更に備える請求項9記載の半導体装置。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10いずれか一項記載の半導体装置を備えるインバータ回路。
【請求項12】
請求項1ないし請求項10いずれか一項記載の半導体装置を備える駆動装置。
【請求項13】
請求項1ないし請求項10いずれか一項記載の半導体装置を備える車両。
【請求項14】
請求項1ないし請求項10いずれか一項記載の半導体装置を備える昇降機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置、インバータ回路、駆動装置、車両、及び、昇降機に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代の半導体デバイス用の材料として炭化珪素(SiC)が期待されている。炭化珪素はシリコンと比較して、バンドギャップが約3倍、破壊電界強度が約10倍、熱伝導率が約3倍と優れた物性を有する。この物性を活用すれば低損失かつ高温動作可能な半導体デバイスを実現することができる。
【0003】
縦型のMetal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor(MOSFET)において、低いオン抵抗を実現するために、トレンチの中にゲート電極を設けるトレンチゲート構造が適用される。トレンチゲート構造を適用することで、単位面積あたりのチャネル面積が増加し、オン抵抗が低減される。トレンチの配置の繰り返し間隔であるセルピッチを縮小することで、単位面積あたりのチャネル面積が更に増加し、オン抵抗が更に低減される。トレンチゲート構造のMOSFETでは、信頼性の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許5211666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、信頼性の向上が可能な半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の半導体装置は、第1の方向及び前記第1の方向に交差する第2の方向に平行な第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面と、を有する炭化珪素層と、前記炭化珪素層の中に存在し、前記第1の面の側に存在し、前記第1の方向に延びる第1のトレンチと、前記炭化珪素層の中に存在し、前記第1の面の側に存在し、前記第1の方向に延び、前記第1のトレンチに対し前記第2の方向に位置する第2のトレンチと、前記炭化珪素層の中に存在し、前記第1の面の側に存在し、前記第2の方向に延び、前記第1のトレンチ及び前記第2のトレンチと連続する第3のトレンチと、前記炭化珪素層の中に存在し、前記第1の面の側に存在し、前記第1の方向に延び、前記第1のトレンチと前記第2のトレンチとの間に位置し、前記第3のトレンチと前記第1の方向に離間する第4のトレンチと、前記炭化珪素層の中に存在するn型の第1の炭化珪素領域と、前記炭化珪素層の中に存在し、前記第1の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第2の面から前記第1のトレンチまでの距離よりも前記第2の面からの距離が大きいp型の第2の炭化珪素領域と、前記炭化珪素層の中に存在し、前記第2の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置するn型の第3の炭化珪素領域と、前記第1のトレンチ、前記第2のトレンチ、前記第3のトレンチ、及び前記第4のトレンチの中に存在するゲート電極と、前記ゲート電極と前記炭化珪素層との間に存在するゲート絶縁層と、前記炭化珪素層に対し前記第1の面の側に存在し、前記第3のトレンチに対し前記第1の方向に位置し、前記第2の方向に延びる第1の配線層と、前記第3のトレンチと交差し、前記ゲート電極に接続され、前記第1の配線層に電気的に接続された第1の導電層と、前記炭化珪素層に対し前記第1の面の側に存在し、前記第3の炭化珪素領域と電気的に接続された第1の電極と、前記炭化珪素層に対し前記第2の面の側に存在する第2の電極と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態の半導体装置の模式上面図。
図2】第1の実施形態の半導体装置の一部の模式平面図。
図3】第1の実施形態の半導体装置の一部の模式断面図。
図4】第1の実施形態の半導体装置の一部の模式断面図。
図5】第1の実施形態の半導体装置の一部の模式平面図。
図6】比較例の半導体装置の一部の模式平面図。
図7】比較例の半導体装置の一部の模式平面図。
図8】第2の実施形態の半導体装置の一部の模式平面図。
図9】第2の実施形態の変形例の半導体装置の一部の模式平面図。
図10】第3の実施形態の半導体装置の一部の模式平面図。
図11】第4の実施形態の半導体装置の一部の模式平面図。
図12】第4の実施形態の第1の変形例の半導体装置の一部の模式平面図。
図13】第4の実施形態の第2の変形例の半導体装置の一部の模式平面図。
図14】第5の実施形態の半導体装置の一部の模式平面図。
図15】第6の実施形態の駆動装置の模式図。
図16】第7の実施形態の車両の模式図。
図17】第8の実施形態の車両の模式図。
図18】第9の実施形態の昇降機の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の部材等には同一の符号を付し、一度説明した部材等については適宜その説明を省略する。
【0009】
また、以下の説明において、n、n、n及び、p、p、pの表記を用いる場合、これらの表記は、各導電型における不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわちnはnよりもn型の不純物濃度が相対的に高く、nはnよりもn型の不純物濃度が相対的に低いことを示す。また、pはpよりもp型の不純物濃度が相対的に高く、pはpよりもp型の不純物濃度が相対的に低いことを示す。なお、n型、n型を単にn型、p型、p型を単にp型と記載する場合もある。
【0010】
不純物濃度は、例えば、Secondary Ion Mass Spectrometry(SIMS)により測定することが可能である。また、不純物濃度の相対的な高低は、例えば、Scanning Capacitance Microscopy(SCM)で求められるキャリア濃度の高低から判断することも可能である。また、不純物領域の幅や深さ等の距離は、例えば、SIMSで求めることが可能である。また。不純物領域の幅や深さ等の距離は、例えば、SCM像から求めることが可能である。
【0011】
半導体装置を構成する構成要素のサイズや、構成要素間の距離は、例えば、Scannning Electron Microscope(SEM)の画像上、又は、Transmission Electron Microscope(TEM)の画像上で計測することが可能である。
【0012】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の半導体装置は、第1の方向及び第1の方向に直交する第2の方向に平行な第1の面と、第1の面に対向する第2の面と、を有する炭化珪素層と、炭化珪素層の中に存在し、第1の面の側に存在し、第1の方向に延びる第1のトレンチと、炭化珪素層の中に存在し、第1の面の側に存在し、第1の方向に延び、第1のトレンチに対し第2の方向に位置する第2のトレンチと、炭化珪素層の中に存在し、第1の面の側に存在し、第2の方向に延び、第1のトレンチ及び第2のトレンチと連続する第3のトレンチと、炭化珪素層の中に存在し、第1の面の側に存在し、第1の方向に延び、第1のトレンチと第2のトレンチとの間に位置し、第3のトレンチと第1の方向に離間する第4のトレンチと、炭化珪素層の中に存在するn型の第1の炭化珪素領域と、炭化珪素層の中に存在し、第1の炭化珪素領域と第1の面との間に位置し、第2の面から第1のトレンチまでの距離よりも第2の面からの距離が大きいp型の第2の炭化珪素領域と、炭化珪素層の中に存在し、第2の炭化珪素領域と第1の面との間に位置するn型の第3の炭化珪素領域と、第1のトレンチ、第2のトレンチ、第3のトレンチ、及び第4のトレンチの中に存在するゲート電極と、ゲート電極と炭化珪素層との間に存在するゲート絶縁層と、炭化珪素層に対し第1の面の側に存在し、第3のトレンチに対し第1の方向に位置し、第2の方向に延びる第1の配線層と、第3のトレンチと交差し、ゲート電極に接続され、第1の配線層に電気的に接続された第1の導電層と、炭化珪素層に対し第1の面の側に存在し、第3の炭化珪素領域と接する第1の電極と、炭化珪素層に対し第2の面の側に存在する第2の電極と、を備える。
【0013】
第1の実施形態の半導体装置は、炭化珪素層の中に存在し、第1の面の側に存在し、第1の方向に延び、第4のトレンチとの間に第1のトレンチが位置する第7のトレンチと、炭化珪素層の中に存在し、第1の面の側に存在し、第2の方向に延び、第4のトレンチ及び第7のトレンチと連続し、第1のトレンチと第1の方向に離間する第8のトレンチと、炭化珪素層に対し第1の面の側に存在し、第8のトレンチに対し第1の方向に位置し、第2の方向に延びる第2の配線層と、第8のトレンチと交差し、ゲート電極に接続され、第2の配線層に電気的に接続された第2の導電層と、を更に備える。
【0014】
図1は、第1の実施形態の半導体装置の模式上面図である。
【0015】
図2は、第1の実施形態の半導体装置の一部の模式平面図である。図2は、図1の領域Xに置ける平面図である。図2において、領域Xの中央部は図示を省略している。第1の方向と第2の方向は互いに交差する。第1の方向と第2の方向は、例えば直交する。第3の方向は、第1の方向及び第2方向を含む平面と交差する。例えば第3の方向は、第1の方向及び第2方向を含む平面と直交する。
【0016】
図3は、第1の実施形態の半導体装置の一部の模式断面図である。図3は、図2のAA’断面である。
【0017】
図4は、第1の実施形態の半導体装置の一部の模式断面図である。図4は、図2のBB’断面である。
【0018】
第1の実施形態の半導体装置は、炭化珪素を用いたトレンチゲート型の縦型MOSFET100である。MOSFET100は、電子をキャリアとするnチャネル型のMOSFETである。
【0019】
MOSFET100は、炭化珪素層10、第1のゲートトレンチ11a(第7のトレンチ)、第2のゲートトレンチ11b(第1のトレンチ)、第3のゲートトレンチ11c(第4のトレンチ)、第4のゲートトレンチ11d(第2のトレンチ)、第5のゲートトレンチ11e、第6のゲートトレンチ11f、第7のゲートトレンチ11g、第8のゲートトレンチ11h、第9のゲートトレンチ11i、第1の右側接続トレンチ12a(第3のトレンチ)、第2の右側接続トレンチ12b、第3の右側接続トレンチ12c、第1の左側接続トレンチ13a(第8のトレンチ)、第2の左側接続トレンチ13b、第3の左側接続トレンチ13c、ゲート電極14、ゲート絶縁層15、第1のゲート引き出し層16a(第1の導電層)、第2のゲート引き出し層16b、第3のゲート引き出し層16c、第4のゲート引き出し層16d(第2の導電層)、第5のゲート引き出し層16e、第6のゲート引き出し層16f、第1のゲート配線層18a(第1の配線層)、第2のゲート配線層18b(第2の配線層)、第1のゲート金属配線20a、第2のゲート金属配線20b、第3のゲート金属配線20c、ソース電極31(第1の電極)、ドレイン電極32(第2の電極)、ゲート電極パッド33、フィールド絶縁層41、層間絶縁層42を備える。
【0020】
以下、第1のゲートトレンチ11aないし第9のゲートトレンチ11iを総称して、ゲートトレンチ11と記載する場合がある。また、第1の右側接続トレンチ12a、第2の右側接続トレンチ12b、及び第3の右側接続トレンチ12cを総称して、右側接続トレンチ12と記載する場合がある。また、第1の左側接続トレンチ13a、第2の左側接続トレンチ13b、及び第3の左側接続トレンチ13cを総称して、左側接続トレンチ13と記載する場合がある。また、第1のゲート引き出し層16a、第2のゲート引き出し層16b、第3のゲート引き出し層16c、第4のゲート引き出し層16d、第5のゲート引き出し層16e、及び第6のゲート引き出し層16fを総称して、ゲート引き出し層16と記載する場合がある。また、第1のゲート配線層18a及び第2のゲート配線層18bを総称して、ゲート配線層18と称する場合がある。また、第1のゲート金属配線20a、第2のゲート金属配線20b、及び第3のゲート金属配線20cを総称して、ゲート金属配線20と記載する場合がある。
【0021】
炭化珪素層10の中には、n型のドレイン領域50、n型のドリフト領域51(第1の炭化珪素領域)、p型のボディ領域52(第2の炭化珪素領域)、及びn型のソース領域53(第3の炭化珪素領域)が設けられる。
【0022】
図1に示すように、MOSFET100の上面には、第1のゲート金属配線20a、第2のゲート金属配線20b、第3のゲート金属配線20c、ソース電極31、及びゲート電極パッド33が設けられる。第1のゲート金属配線20a、第2のゲート金属配線20b、第3のゲート金属配線20c、ソース電極31、及びゲート電極パッド33は、例えば、同一材料で同時形成される。
【0023】
第1のゲート金属配線20a、第2のゲート金属配線20b、及び第3のゲート金属配線20cは、ゲート電極パッド33に接続される。第1のゲート金属配線20a、第2のゲート金属配線20b、及び第3のゲート金属配線20cは、第2の方向に延びる。ソース電極31は、第1のゲート金属配線20aと第2のゲート金属配線20bとの間に位置する。また、ソース電極31は、第1のゲート金属配線20aと第3のゲート金属配線20cとの間に位置する。
【0024】
ゲート電極パッド33は、ゲート金属配線20、ゲート配線層18、ゲート引き出し層16、及びゲート電極14に電気的に接続される。ゲート電極パッド33に、ゲート電圧を印加することで、ゲート電極14にゲート電圧が印加される。
【0025】
炭化珪素層10は、単結晶のSiCである。炭化珪素層10は、例えば、4H-SiCである。
【0026】
炭化珪素層10は、第1の面(図3図4中“F1”)と第2の面(図3図4中“F2”)とを備える。第1の面F1と第2の面F2は対向する。以下、第1の面F1を表面、第2の面F2を裏面とも称する。なお、以下、「深さ」とは、第1の面F1を基準とした第2の面F2に向かう方向の深さを意味する。
【0027】
第1の面F1及び第2の面F2は、第1の方向及び第2の方向に平行である。第2の方向は、第1の方向に垂直である。
【0028】
第1の面F1は、例えば、(0001)面に対し0度以上8度以下傾斜した面である。すなわち、法線が[0001]方向のc軸に対し0度以上8度以下傾斜した面である。言い換えれば、(0001)面に対するオフ角が0度以上8度以下である。また、第2の面F2は、例えば、(000-1)面に対し0度以上8度以下傾斜した面である。
【0029】
(0001)面はシリコン面と称される。(000-1)面はカーボン面と称される。第1の面F1及び第2の面F2の傾斜方向は、例えば、[11-20]方向である。[11-20]方向は、a軸方向である。図2では、例えば、図中に示す第1の方向がa軸方向である。
【0030】
図2は、第1の面F1におけるゲートトレンチ11、右側接続トレンチ12、左側接続トレンチ13のパターンを示す。また、図2には、ゲート引き出し層16及びゲート配線層18のパターンも示す。
【0031】
第1のゲートトレンチ11a(第7のトレンチ)、第2のゲートトレンチ11b(第1のトレンチ)、第3のゲートトレンチ11c(第4のトレンチ)、第4のゲートトレンチ11d(第2のトレンチ)、第5のゲートトレンチ11e、第6のゲートトレンチ11f、第7のゲートトレンチ11g、第8のゲートトレンチ11h、第9のゲートトレンチ11iは、炭化珪素層10の中に存在する。ゲートトレンチ11は、第1の方向に延びる。
【0032】
ゲートトレンチ11は、第2の方向に一定のセルピッチ(図2中のCP)で繰り返し配置される。セルピッチCPは、ゲートトレンチ11の第2の方向の幅と、隣り合うゲートトレンチ11の間の第2の方向の距離の和に等しい。
【0033】
セルピッチCPは、例えば、2μm以下である。ゲートトレンチ11の第2の方向の幅と、隣り合うゲートトレンチ11の間の第2の方向の距離の和は、例えば、2μm以下である。例えば、第2のゲートトレンチ11bの第2の方向の幅(図2中のw1)と、第2のゲートトレンチ11b(第1のトレンチ)と第3のゲートトレンチ11c(第4のトレンチ)との間の距離(図2中のd1)との和は、2μm以下である。
【0034】
ゲートトレンチ11の第2の方向の幅は、例えば、0.3μm以上1μm以下である。隣り合うゲートトレンチ11の間の第2の方向の距離は、例えば、0.5μm以上1.5μm以下である。
【0035】
第2のゲートトレンチ11b(第1のトレンチ)と第4のゲートトレンチ11d(第2のトレンチ)との間に、第3のゲートトレンチ11c(第4のトレンチ)が位置する。第1のゲートトレンチ11a(第7のトレンチ)と第3のゲートトレンチ11c(第4のトレンチ)との間に、第2のゲートトレンチ11b(第1のトレンチ)が位置する。
【0036】
第1の右側接続トレンチ12a(第3のトレンチ)、第2の右側接続トレンチ12b、及び第3の右側接続トレンチ12cは、炭化珪素層10の中に存在する。右側接続トレンチ12は、領域X(図1)の第1のゲート金属配線20aの側に設けられる。
【0037】
右側接続トレンチ12は、第2の方向に延びる。右側接続トレンチ12は、2つのゲートトレンチ11と連続する。右側接続トレンチ12は、2つのゲートトレンチ11の端部を接続する。右側接続トレンチ12は、それぞれが第2の方向に離間する。
【0038】
右側接続トレンチ12で接続される2つのゲートトレンチ11の間に、1つのゲートトレンチ11が設けられる。2つのゲートトレンチ11の間に設けられるゲートトレンチ11と、右側接続トレンチ12は第1の方向に離間する。
【0039】
例えば、第1の右側接続トレンチ12a(第3のトレンチ)は、第2のゲートトレンチ11b(第1のトレンチ)及び第4のゲートトレンチ11d(第2のトレンチ)と連続する。第1の右側接続トレンチ12aは、第2のゲートトレンチ11bと第4のゲートトレンチ11dを接続する。
【0040】
第2のゲートトレンチ11b(第1のトレンチ)及び第4のゲートトレンチ11d(第2のトレンチ)との間に、第3のゲートトレンチ11c(第4のトレンチ)が位置する。第3のゲートトレンチ11cは、第1の右側接続トレンチ12aと第1の方向に離間する。
【0041】
右側接続トレンチ12の第2の方向の長さは、セルピッチCPの2倍である。なお、右側接続トレンチ12の第2の方向の長さd2は、右側接続トレンチ12で接続される2つのゲートトレンチ11の中心線の間の第2の方向の距離と定義する。
【0042】
例えば、第1の右側接続トレンチ12a(第3のトレンチ)の第2の方向の長さ(図2中のd2)は、セルピッチCPの2倍である。
【0043】
第1の左側接続トレンチ13a(第8のトレンチ)、第2の左側接続トレンチ13b、及び第3の左側接続トレンチ13cは、炭化珪素層10の中に存在する。左側接続トレンチ13は、領域Xの第2のゲート金属配線20bの側に設けられる。
【0044】
左側接続トレンチ13は、第2の方向に延びる。左側接続トレンチ13は、2つのゲートトレンチ11と連続する。左側接続トレンチ13は、2つのゲートトレンチ11の端部を接続する。左側接続トレンチ13は、それぞれが第2の方向に離間する。
【0045】
左側接続トレンチ13で接続される2つのゲートトレンチ11トレンチの間に、1つのゲートトレンチ11が設けられる。2つのゲートトレンチ11の間に設けられるゲートトレンチ11と、左側接続トレンチ13は第1の方向に離間する。
【0046】
例えば、第1の左側接続トレンチ13a(第8のトレンチ)は、第1のゲートトレンチ11a(第7のトレンチ)及び第3のゲートトレンチ11c(第4のトレンチ)と連続する。第1の左側接続トレンチ13aは、第1のゲートトレンチ11aと第3のゲートトレンチ11cを接続する。
【0047】
第1のゲートトレンチ11a(第7のトレンチ)及び第3のゲートトレンチ11c(第4のトレンチ)との間に、第2のゲートトレンチ11b(第1のトレンチ)が位置する。第2のゲートトレンチ11bは、第1の左側接続トレンチ13aと第1の方向に離間する。
【0048】
左側接続トレンチ13の第2の方向の長さは、セルピッチCPの2倍である。第1の左側接続トレンチ13a(第8のトレンチ)の第2の方向の長さは、セルピッチCPの2倍である。
【0049】
型のドレイン領域50は、炭化珪素層10の中に存在する。ドレイン領域50は、炭化珪素層10の第2の面F2側に設けられる。ドレイン領域50は、例えば、窒素(N)をn型不純物として含む。ドレイン領域50のn型不純物濃度は、例えば、1×1018cm-3以上1×1021cm-3以下である。
【0050】
型のドリフト領域51は、炭化珪素層10の中に存在する。ドリフト領域51は、ドレイン領域50上に設けられる。ドリフト領域51は、ドレイン領域50と炭化珪素層10の第1の面F1との間に設けられる。
【0051】
ドリフト領域51は、例えば、窒素(N)をn型不純物として含む。ドリフト領域51のn型不純物濃度は、例えば、4×1014cm-3以上1×1018cm-3以下である。
【0052】
p型のボディ領域52は、炭化珪素層10の中に存在する。ボディ領域52は、ドリフト領域51と炭化珪素層10の第1の面F1表面との間に設けられる。
【0053】
第2の面F2からボディ領域52までの距離は、第2の面F2からゲートトレンチ11までの距離よりも大きい。言い換えれば、ボディ領域52の第1の面F1からの深さは、ゲートトレンチ11の第1の面F1からの深さよりも浅い。
【0054】
ボディ領域52はMOSFET100のチャネル領域として機能する。例えば、MOSFET100のオン動作時に、ボディ領域52のゲート絶縁層と接する領域に電子が流れるチャネルが形成される。
【0055】
ボディ領域52は、例えば、アルミニウム(Al)をp型不純物として含む。ボディ領域52のp型不純物濃度は、例えば、5×1016cm-3以上5×1017cm-3以下である。
【0056】
型のソース領域53は、炭化珪素層10の中に存在する。ソース領域53は、ボディ領域52と炭化珪素層10の第1の面F1との間に設けられる。ソース領域53は、ソース電極31と接する。
【0057】
ソース領域53は、例えば、リン(P)をn型不純物として含む。ソース領域53のn型不純物濃度は、例えば、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下である。
【0058】
ゲート電極14は、ゲートトレンチ11、右側接続トレンチ12、及び左側接続トレンチ13の中に存在する。ゲート電極14は、例えば、第1のゲートトレンチ11a(第7のトレンチ)、第2のゲートトレンチ11b(第1のトレンチ)、第3のゲートトレンチ11c(第4のトレンチ)、第4のゲートトレンチ11d(第2のトレンチ)、第1の右側接続トレンチ12a(第3のトレンチ)、及び第1の左側接続トレンチ13a(第8のトレンチ)の中に存在する。
【0059】
ゲート電極14は、ソース電極31とドレイン電極32との間に設けられる。
【0060】
ゲート電極14は、導電層である。ゲート電極14は、例えば、p型不純物又はn型不純物を含む多結晶シリコンを含む。ゲート電極14は、例えば、p型不純物又はn型不純物を含む多結晶シリコンである。
【0061】
ゲート絶縁層15は、ゲート電極14と炭化珪素層10との間に存在する。ゲート絶縁層15は、例えば、ゲート引き出し層16と炭化珪素層10との間に存在する。ゲート絶縁層15は、例えば、第1のゲート引き出し層16aと炭化珪素層10との間に存在する。
【0062】
ゲート絶縁層15は、例えば、シリコン酸化膜である。ゲート絶縁層15には、例えば、High-k絶縁膜(HfSiON,ZrSiON,AlONなどの高誘電率絶縁膜)が適用可能である。また、ゲート絶縁層15には、例えば、シリコン酸化膜(SiO)とHigh-K絶縁膜との積層膜も適用可能である。
【0063】
第1のゲート配線層18aは、第3の方向において、第1のゲート金属配線20aと炭化珪素層10との間に設けられる。第1のゲート配線層18aは、第1のゲート金属配線20aに電気的に接続される。第1のゲート配線層18aは、第2の方向に延びる。
【0064】
第2のゲート配線層18bは、第3の方向において、第2のゲート金属配線20bと炭化珪素層10との間に設けられる。第2のゲート配線層18bは、第2のゲート金属配線20bに電気的に接続される。第2のゲート配線層18bは、第2の方向に延びる。
【0065】
ゲート配線層18は、導電層である。ゲート配線層18は、例えば、p型不純物又はn型不純物を含む多結晶シリコンを含む。ゲート配線層18は、例えば、p型不純物又はn型不純物を含む多結晶シリコンである。
【0066】
ゲート配線層18は、例えば、ゲート電極14と同一材料を含む。
【0067】
フィールド絶縁層41は、第3の方向において第1のゲート配線層18aと炭化珪素層10との間に設けられる。フィールド絶縁層41は、第2のゲート配線層18bと炭化珪素層10との間に設けられる。フィールド絶縁層41は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0068】
層間絶縁層42は、第3の方向においてゲート電極14の上、ゲート引き出し層16の上、及びゲート配線層18の上に設けられる。層間絶縁層42は、例えば、第3の方向において、ゲート電極14とソース電極31との間、ゲート引き出し層16とソース電極31との間、ゲート配線層18とゲート金属配線20との間に設けられる。層間絶縁層42は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0069】
ソース電極31は、炭化珪素層10に対し第1の面F1側に存在する。ソース電極31は、ソース領域53に接する。
【0070】
ソース電極31は、金属を含む。ソース電極31を形成する金属は、例えば、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造である。ソース電極31は、炭化珪素層10に接する金属シリサイドや金属カーバイドを含んでも構わない。
【0071】
ドレイン電極32は、炭化珪素層10に対し第2の面F2側に存在する。ドレイン電極32は、ドレイン領域50に接する。
【0072】
ドレイン電極32は、例えば、金属又は金属半導体化合物である。ドレイン電極32は、例えば、ニッケルシリサイド(NiSi)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、及び、金(Au)から成る群から選ばれる材料を含む。
【0073】
ゲート引き出し層16は、炭化珪素層10に対し第1の面F1側に存在する。図2に示すように、ゲート引き出し層16は、右側接続トレンチ12又は左側接続トレンチ13と交差する。
【0074】
例えば、第1のゲート引き出し層16a(第1の導電層)は、第1の右側接続トレンチ12a(第3のトレンチ)と交差する。また、例えば、第4のゲート引き出し層16d(第2の導電層)は、第1の左側接続トレンチ13a(第8のトレンチ)と交差する。
【0075】
ゲート引き出し層16は、ゲート電極14に電気的及び物理的に接続される。例えば、第1のゲート引き出し層16a(第1の導電層)は、ゲート電極14に電気的及び物理的に接続される。また、第4のゲート引き出し層16d(第2の導電層)は、ゲート電極14に電気的及び物理的に接続される。
【0076】
ゲート引き出し層16は、ゲート配線層18に電気的に接続される。ゲート引き出し層16は、例えば、ゲート配線層18に物理的に接続される。
【0077】
例えば、第1のゲート引き出し層16a(第1の導電層)、第2のゲート引き出し層16b、及び第3のゲート引き出し層16cは、第1のゲート配線層18aに電気的に接続される。例えば、第1のゲート引き出し層16a(第1の導電層)、第2のゲート引き出し層16b、及び第3のゲート引き出し層16cは、第1のゲート配線層18aに物理的に接続される。
【0078】
例えば、第4のゲート引き出し層16d(第2の導電層)、第5のゲート引き出し層16e、及び第6のゲート引き出し層16fは、第2のゲート配線層18bに電気的に接続される。例えば、第4のゲート引き出し層16d、第5のゲート引き出し層16e、及び第6のゲート引き出し層16fは、第2のゲート配線層18bに物理的に接続される。
【0079】
ゲート引き出し層16は、導電層である。ゲート引き出し層16は、例えば、p型不純物又はn型不純物を含む多結晶シリコンを含む。ゲート配線層18は、例えば、p型不純物又はn型不純物を含む多結晶シリコンである。
【0080】
ゲート引き出し層16は、例えば、ゲート電極14と同一材料を含む。ゲート引き出し層16は、例えば、ゲート配線層18と同一材料を含む。
【0081】
ゲート引き出し層16の第2の方向の幅は、例えば、右側接続トレンチ12の第2の方向の長さよりも小さい。ゲート引き出し層16の第2の方向の幅は、例えば、左側接続トレンチ13の第2の方向の長さよりも小さい。ゲート引き出し層16の第2の方向の幅は、例えば、セルピッチCPよりも小さい。
【0082】
例えば、第1のゲート引き出し層16aの第2の方向の幅(図2中のw2)は、第1の右側接続トレンチ12aの第2の方向の長さ(図2中のd2)よりも小さい。第1のゲート引き出し層16aの第2の方向の幅(図2中のw2)は、例えば、セルピッチCPよりも小さい。
【0083】
第2のゲート配線層18bに接続される第4のゲート引き出し層16d、第5のゲート引き出し層16e、及び第6のゲート引き出し層16fは、第1のゲート配線層18aに接続される第1のゲート引き出し層16a、第2のゲート引き出し層16b、及び第3のゲート引き出し層16cに対し、第2の方向にセルピッチCPの1倍ずれて配置されている。
【0084】
図5は、第1の実施形態の半導体装置の一部の模式平面図である。図5は、図2の一部を拡大した平面図である。
【0085】
図5は、第1の面F1における第2のゲートトレンチ11b、第3のゲートトレンチ11c、第4のゲートトレンチ11d、及び第1の右側接続トレンチ12aの形状を示す。また、図5は、第1のゲート引き出し層16aのパターンを示す。
【0086】
図5に示すように、例えば、第2のゲートトレンチ11bと第1の右側接続トレンチ12aの交わる角部では、トレンチの側面に炭化珪素の特定の結晶面が現れる。例えば、第2のゲートトレンチ11bの側面がm面、第1の右側接続トレンチ12aの側面がa面の場合、角部にa面とm面が交互に現れる。トレンチを形成した後に、トレンチの表面形状を制御するための水素アニールを行った場合に、トレンチの側面に特定の結晶面が現れる。
【0087】
第1の実施形態のMOSFET100では、ゲート引き出し層16が、例えば、ゲートトレンチ11の面と右側接続トレンチ12の面とが交わる角部とは交差しない。例えば、第1のゲート引き出し層16aは、第2のゲートトレンチ11bの面と第1の右側接続トレンチ12aの面とが交わる角部と交差しない。第1のゲート引き出し層16aは、第4のゲートトレンチ11dの面と第1の右側接続トレンチ12aの面とが交わる角部と交差しない。
【0088】
また、例えば、ゲート引き出し層16が交差する部分の右側接続トレンチ12の第1の面F1における形状が直線形状である。例えば、第1のゲート引き出し層16aが交差する部分の、第1の右側接続トレンチ12aの外側側面12ax及び内側側面12ayの第1の面F1における形状が直線形状である。
【0089】
また、例えば、ゲート引き出し層16が交差する部分の、右側接続トレンチ12の側面は、単一の面方位の面で形成される。例えば、ゲート引き出し層16が交差する部分の、右側接続トレンチ12の側面は、a面又はm面で形成される。
【0090】
例えば、第1のゲート引き出し層16aが交差する部分の、第1の右側接続トレンチ12aの外側側面12ax及び内側側面12ayは、a面又はm面で形成される。外側側面12ax及び内側側面12ayは、例えば、a面のみで形成される。外側側面12ax及び内側側面12ayは、例えば、m面のみで形成される。
【0091】
次に、第1の実施形態の半導体装置の作用及び効果について説明する。
【0092】
第1の実施形態のMOSFET100は、ゲートトレンチ11の中にゲート電極14が設けられたトレンチゲート構造が適用される。トレンチゲート構造を適用することで、単位面積あたりのチャネル面積が増加し、MOSFET100のオン抵抗が低減される。
【0093】
発明者らの検討により、ゲートトレンチの中からゲート電極を引き出すゲート引き出し層が、2つのトレンチの面が交わる角部と交差することで、ゲート絶縁層の信頼性が低下することが明らかになった。第1の実施形態のMOSFET100によれば、右側接続トレンチ12及び左側接続トレンチ13の第2の方向の長さを、セルピッチCPの2倍とすることで、ゲート引き出し層16が、2つのトレンチの面が交わる角部と交差することを防止できる。よって、ゲート絶縁層の信頼性が向上する。以下、詳述する。
【0094】
図6は、比較例の半導体装置の一部の模式平面図である。図6は、第1の実施形態の図2に対応する図である。
【0095】
比較例のMOSFETは、第1のゲートトレンチ11a、第2のゲートトレンチ11b、第3のゲートトレンチ11c、第4のゲートトレンチ11d、第5のゲートトレンチ11e、第6のゲートトレンチ11f、第7のゲートトレンチ11g、第8のゲートトレンチ11h、第1の右側接続トレンチ12a、第2の右側接続トレンチ12b、第3の右側接続トレンチ12c、第4の右側接続トレンチ12d、第1の左側接続トレンチ13a、第2の左側接続トレンチ13b、第3の左側接続トレンチ13c、第4の左側接続トレンチ13d、第1のゲート引き出し層16a、第2のゲート引き出し層16b、第3のゲート引き出し層16c、第4のゲート引き出し層16d、第5のゲート引き出し層16e、第6のゲート引き出し層16f、第7のゲート引き出し層16g、第8のゲート引き出し層16h、第1のゲート配線層18a、第2のゲート配線層18bを備える。
を備える。
【0096】
比較例のMOSFETは、接続される2つのゲートトレンチ11の間に、別のゲートトレンチ11が存在しない点で、第1の実施形態のMOSFET100と異なる。比較例のMOSFETは、右側接続トレンチ12及び左側接続トレンチ13の第2の方向の長さが、セルピッチCPの1倍である点で、第1の実施形態のMOSFET100と異なる。比較例のMOSFETは、例えば、第1の右側接続トレンチ12aの第2の方向の長さ(図6中のd2)が、セルピッチCPの1倍である。
【0097】
図7は、比較例の半導体装置の一部の模式平面図である。図7は、図6の一部を拡大した平面図である。
【0098】
図7は、第1の面F1における第1のゲートトレンチ11a、第2のゲートトレンチ11b、及び第1の右側接続トレンチ12aの形状を示す。また、図7は、第1のゲート引き出し層16aのパターンを示す。
【0099】
比較例のMOSFETは、右側接続トレンチ12及び左側接続トレンチ13の第2の方向の長さが、セルピッチCPの1倍であるため、ゲート引き出し層16が、ゲートトレンチ11と右側接続トレンチ12の交わる角部とが交差しやすくなる。特に、セルピッチCPが小さくなると、ゲート引き出し層16が、ゲートトレンチ11と右側接続トレンチ12の角部とが交差しやすくなる。
【0100】
例えば、図7に示すように、第1のゲートトレンチ11aと第1の右側接続トレンチ12aが交わる角部、及び、第2のゲートトレンチ11bと第1の右側接続トレンチ12aが交わる角部と、第1のゲート引き出し層16aが交差する。
【0101】
また、例えば、ゲート引き出し層16が交差する部分の右側接続トレンチ12の第1の面F1における形状が直線形状ではなく、湾曲形状又は屈曲形状を呈する。例えば、第1のゲート引き出し層16aが交差する部分の、第1の右側接続トレンチ12aの外側側面12ax及び内側側面12ayの第1の面F1における形状が直線形状ではなく、湾曲形状又は屈曲形状を呈する。
【0102】
また、例えば、ゲート引き出し層16が交差する部分の、右側接続トレンチ12の側面は、複数の面方位の面で形成される。例えば、第1のゲート引き出し層16aが交差する部分の、第1の右側接続トレンチ12aの外側側面12ax及び内側側面12ayは、a面及びm面で形成される。
【0103】
発明者らの検討により、ゲート引き出し層16が、ゲートトレンチ11と右側接続トレンチ12の角部とが交差する箇所では、ゲート絶縁層15の信頼性が低下することが明らかになった。その理由は、ゲートトレンチ11の第1の面F1における形状が、湾曲形状又は屈曲形状を呈することで、ゲートトレンチ11の上端部でゲート絶縁層15が薄くなるからであると考えられる。あるいは、ゲートトレンチ11の上端部で電界が集中しやすくなるからであると考えられる。
【0104】
例えば、右側接続トレンチ12及び左側接続トレンチ13の第2の方向の長さが、セルピッチCPの1倍であったとしても、セルピッチCPを大きくすることで、ゲート引き出し層16を、ゲートトレンチ11と右側接続トレンチ12が交わる角部から離すことが可能である。しかしながら、セルピッチCPを大きくすると、単位面積あたりのチャネル面積が低下し、MOSFETのオン抵抗が上昇するため好ましくない。
【0105】
第1の実施形態のMOSFET100は、接続される2つのゲートトレンチ11の間に、別のゲートトレンチ11が存在する。MOSFET100は、右側接続トレンチ12及び左側接続トレンチ13の第2の方向の長さが、セルピッチCPの2倍である。
【0106】
したがって、ゲート引き出し層16と、ゲートトレンチ11と右側接続トレンチ12が交わる角部とが交差しにくくなる。また、ゲート引き出し層16と、ゲートトレンチ11と左側接続トレンチ13が交わる角部とが交差しにくくなる。よって、比較例のMOSFETと比べ、ゲート絶縁層15の信頼性が向上する。また、セルピッチCPを小さくして、MOSFET100のオン抵抗が低減できる。
【0107】
MOSFET100のオン抵抗を低減する観点から、セルピッチCPは2μm以下であることが好ましく、1.5μm以下であることがより好ましい。言い換えれば、ゲートトレンチ11の第2の方向の幅と、隣り合うゲートトレンチ11の間の第2の方向の距離の和は、2μm以下であることが好ましく、1.5μm以下であることがより好ましい。
【0108】
MOSFET100のゲート絶縁層15の信頼性を向上させる観点から、ゲート引き出し層16が交差する部分の右側接続トレンチ12の第1の面F1における形状が直線形状であることが好ましい。また、MOSFET100のゲート絶縁層15の信頼性を向上させる観点から、ゲート引き出し層16が交差する部分の左側接続トレンチ13の第1の面F1における形状が直線形状であることが好ましい。
【0109】
MOSFET100のゲート絶縁層15の信頼性を向上させる観点から、ゲート引き出し層16が交差する部分の、右側接続トレンチ12の側面は、a面又はm面で形成されることが好ましい。また、MOSFET100のゲート絶縁層15の信頼性を向上させる観点から、ゲート引き出し層16が交差する部分の、左側接続トレンチ13の側面は、a面又はm面で形成されることが好ましい。
【0110】
MOSFET100のゲート絶縁層15の信頼性を向上させる観点から、ゲート引き出し層16の第2の方向の幅は、セルピッチCPよりも小さいことが好ましい。言い換えれば、ゲート引き出し層16の第2の方向の幅は、ゲートトレンチ11の第2の方向の幅と、隣り合うゲートトレンチ11の間の第2の方向の距離の和よりも小さいことが好ましい。
【0111】
以上、第1の実施形態によれば、ゲート絶縁層の信頼性が向上することで、信頼性の向上が可能な半導体装置が実現できる。
【0112】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の半導体装置は、炭化珪素層の中に存在し、第1の面の側に存在し、第1の方向に延び、第4のトレンチと第2のトレンチとの間に位置し、第3のトレンチと第1の方向に離間する第5のトレンチと、炭化珪素層の中に存在し、第1の面の側に存在し、第2の方向に延び、第4のトレンチ及び第5のトレンチと連続し、第3のトレンチと第1の方向に離間する第6のトレンチと、を更に備える点で、第1の実施形態の半導体装置と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0113】
第2の実施形態の半導体装置は、炭化珪素を用いたトレンチゲート型の縦型MOSFETである。第2の実施形態のMOSFETは、電子をキャリアとするnチャネル型のMOSFETである。
【0114】
図8は、第2の実施形態の半導体装置の一部の模式平面図である。図8は、第1の実施形態の図2に対応する図である。
【0115】
第2の実施形態の半導体装置は、第1のゲートトレンチ11a、第2のゲートトレンチ11b(第1のトレンチ)、第3のゲートトレンチ11c(第4のトレンチ)、第4のゲートトレンチ11d(第5のトレンチ)、第5のゲートトレンチ11e(第2のトレンチ)、第6のゲートトレンチ11f、第7のゲートトレンチ11g、第8のゲートトレンチ11h、第9のゲートトレンチ11i、第1の右側接続トレンチ12a(第3のトレンチ)、第2の右側接続トレンチ12b、第3の右側接続トレンチ12x(第6のトレンチ)、第4の右側接続トレンチ12y、第1の左側接続トレンチ13a、第2の左側接続トレンチ13b、第3の左側接続トレンチ13x、第4の左側接続トレンチ13y、ゲート電極14、ゲート絶縁層15、第1のゲート引き出し層16a(第1の導電層)、第2のゲート引き出し層16b、第3のゲート引き出し層16c、第4のゲート引き出し層16d、第1のゲート配線層18a、第2のゲート配線層18bを備える。
【0116】
第2の実施形態のMOSFETは、第1の右側接続トレンチ12a(第3のトレンチ)は、第2のゲートトレンチ11b(第1のトレンチ)の端部と第5のゲートトレンチ11e(第2のトレンチ)の端部を接続する。
【0117】
第2の実施形態のMOSFETは、右側接続トレンチ12で接続される2つのゲートトレンチ11の間に、2つのゲートトレンチ11が設けられる。
【0118】
例えば、第1の右側接続トレンチ12a(第3のトレンチ)は、第2のゲートトレンチ11b(第1のトレンチ)及び第5のゲートトレンチ11e(第2のトレンチ)と連続する。第1の右側接続トレンチ12aは、第2のゲートトレンチ11bと第5のゲートトレンチ11eを接続する。
【0119】
第2のゲートトレンチ11bと第5のゲートトレンチ11eとの間には、第3のゲートトレンチ11c(第4のトレンチ)及び第4のゲートトレンチ11d(第5のトレンチ)が位置する。第3の右側接続トレンチ12x(第6のトレンチ)は、第3のゲートトレンチ11c及び第4のゲートトレンチ11dと連続する。第3の右側接続トレンチ12xは第2の方向に延びる。第3の右側接続トレンチ12xは、第3のゲートトレンチ11c及び第4のゲートトレンチ11dを接続する。第3の右側接続トレンチ12x(第6のトレンチ)は、第1の右側接続トレンチ12a(第3のトレンチ)と第1の方向に離間する。
【0120】
ゲート引き出し層16と交差する右側接続トレンチ12の第2の方向の長さは、セルピッチCPの3倍である。例えば、第1の右側接続トレンチ12a(第3のトレンチ)の第2の方向の長さ(図8中のd2)は、セルピッチCPの3倍である。
【0121】
なお、第2のゲート配線層18bに接続される第3のゲート引き出し層16c及び第4のゲート引き出し層16dは、第1のゲート配線層18aに接続される第1のゲート引き出し層16a及び第2のゲート引き出し層16bに対し、第2の方向にセルピッチCPの2倍ずれて配置されている。
【0122】
第2の実施形態のMOSFETは、接続される2つのゲートトレンチ11の間に、別のゲートトレンチ11が2つ存在する。第2の実施形態のMOSFETは、ゲート引き出し層16と交差する右側接続トレンチ12、及び、ゲート引き出し層16と交差する左側接続トレンチ13の第2の方向の長さが、セルピッチCPの3倍である。したがって、ゲート引き出し層16と、ゲートトレンチ11と右側接続トレンチ12の交わる角部とが第1の実施形態のMOSFETと比較して、更に交差しにくくなる。よって、ゲート絶縁層15の信頼性が向上する。また、セルピッチCPを小さくして、MOSFETのオン抵抗が低減できる。
【0123】
(変形例)
図9は、第2の実施形態の変形例の半導体装置の一部の模式平面図である。図9は、第2の実施形態の図8に対応する図である。
【0124】
変形例のMOSFETは、ゲート引き出し層16の第2の方向の幅が、第2の実施形態のMOSFETより広い。例えば、第1のゲート引き出し層16aの第2の方向の幅(図9中のw2)が、第2の実施形態のMOSFETより広い。ゲート引き出し層16の第2の方向の幅は、例えば、セルピッチCPよりも広い。
【0125】
以上、第2の実施形態及び変形例によれば、ゲート絶縁層の信頼性が向上することで、信頼性の向上が可能な半導体装置が実現できる。
【0126】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の半導体装置は、第2のゲート配線層に接続されるゲート引き出し層が、第1のゲート配線層に接続されるゲート引き出し層に対し、第2の方向にセルピッチCPの1倍ずれて配置されている点で、第2の実施形態の半導体装置と異なる。以下、第2の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0127】
第3の実施形態の半導体装置は、炭化珪素を用いたトレンチゲート型の縦型MOSFETである。第3の実施形態のMOSFETは、電子をキャリアとするnチャネル型のMOSFETである。
【0128】
図10は、第3の実施形態の半導体装置の一部の模式平面図である。図10は、第2の実施形態の図8に対応する図である。
【0129】
第2のゲート配線層18bに接続される第3のゲート引き出し層16c及び第4のゲート引き出し層16dは、第1のゲート配線層18aに接続される第1のゲート引き出し層16a及び第2のゲート引き出し層16bに対し、第2の方向にセルピッチCPの1倍ずれて配置されている。
【0130】
以上、第3の実施形態によれば、ゲート絶縁層の信頼性が向上することで、信頼性の向上が可能な半導体装置が実現できる。
【0131】
(第4の実施形態)
第4の実施形態の半導体装置は、接続される2つのゲートトレンチの間に、別のゲートトレンチが3つ存在する点で、第1の実施形態の半導体装置と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0132】
第4の実施形態の半導体装置は、炭化珪素を用いたトレンチゲート型の縦型MOSFETである。第4の実施形態のMOSFETは、電子をキャリアとするnチャネル型のMOSFETである。
【0133】
図11は、第4の実施形態の半導体装置の一部の模式平面図である。図11は、第1の実施形態の図2に対応する図である。
【0134】
第4の実施形態の半導体装置は、第1のゲートトレンチ11a(第1のトレンチ)、第2のゲートトレンチ11b(第4のトレンチ)、第3のゲートトレンチ11c、第4のゲートトレンチ11d(第5のトレンチ)、第5のゲートトレンチ11e(第2のトレンチ)、第6のゲートトレンチ11f、第7のゲートトレンチ11g、第8のゲートトレンチ11h、第9のゲートトレンチ11i、第1の右側接続トレンチ12a(第3のトレンチ)、第2の右側接続トレンチ12b、第3の右側接続トレンチ12x(第6のトレンチ)、第4の右側接続トレンチ12y、第1の左側接続トレンチ13a、第2の左側接続トレンチ13b、第3の左側接続トレンチ13x、第4の左側接続トレンチ13y、ゲート電極14、ゲート絶縁層15、第1のゲート引き出し層16a(第1の導電層)、第2のゲート引き出し層16b、第3のゲート引き出し層16c、第4のゲート引き出し層16d、第1のゲート配線層18a、第2のゲート配線層18bを備える。
【0135】
第4の実施形態のMOSFETは、第1の右側接続トレンチ12a(第3のトレンチ)は、第1のゲートトレンチ11a(第1のトレンチ)及び第5のゲートトレンチ11e(第2のトレンチ)と連続する。第1の右側接続トレンチ12a(第3のトレンチ)は、第1のゲートトレンチ11a(第1のトレンチ)の端部と第5のゲートトレンチ11e(第2のトレンチ)の端部を接続する。
【0136】
第4の実施形態のMOSFETは、右側接続トレンチ12で接続される2つのゲートトレンチ11トレンチの間に、3つのゲートトレンチ11が設けられる。
【0137】
例えば、第1のゲートトレンチ11aと第5のゲートトレンチ11eとの間には、第2のゲートトレンチ11b(第4のトレンチ)、第3のゲートトレンチ11c、及び第4のゲートトレンチ11d(第5のトレンチ)、が位置する。第3の右側接続トレンチ12x(第6のトレンチ)は、第2のゲートトレンチ11b及び第4のゲートトレンチ11dと連続する。第3の右側接続トレンチ12xは、第2のゲートトレンチ11b及び第4のゲートトレンチ11dを接続する。第3の右側接続トレンチ12xは、第1の右側接続トレンチ12a(第3のトレンチ)と第1の方向に離間する。
【0138】
ゲート引き出し層16と交差する右側接続トレンチ12の第2の方向の長さは、セルピッチCPの4倍である。例えば、第1の右側接続トレンチ12a(第3のトレンチ)の第2の方向の長さ(図11中のd2)は、セルピッチCPの4倍である。
【0139】
なお、第2のゲート配線層18bに接続される第3のゲート引き出し層16c及び第4のゲート引き出し層16dは、第1のゲート配線層18aに接続される第1のゲート引き出し層16a及び第2のゲート引き出し層16bに対し、第2の方向にセルピッチCPの2倍ずれて配置されている。
【0140】
第4の実施形態のMOSFETは、接続される2つのゲートトレンチ11の間に、別のゲートトレンチ11が3つ存在する。第4の実施形態のMOSFETは、ゲート引き出し層16と交差する右側接続トレンチ12、及び、ゲート引き出し層16と交差する左側接続トレンチ13の第2の方向の長さが、セルピッチCPの4倍である。
【0141】
したがって、ゲート引き出し層16と、ゲートトレンチ11と右側接続トレンチ12とが交わる角部とが第1又は第2の実施形態のMOSFETと比較して、更に交差しにくくなる。よって、ゲート絶縁層15の信頼性が向上する。また、セルピッチCPを小さくして、MOSFETのオン抵抗が低減できる。
【0142】
(第1の変形例)
図12は、第4の実施形態の第1の変形例の半導体装置の一部の模式平面図である。図12は、第4の実施形態の図11に対応する図である。
【0143】
第1の変形例のMOSFETは、ゲート引き出し層16が、2つの右側接続トレンチ12又は2つの左側接続トレンチ13と交差する点で、第4の実施形態のMOSFETと異なる。例えば、第1のゲート引き出し層16aが、第1の右側接続トレンチ12a及び第3の右側接続トレンチ12xと交差する。
【0144】
(第2の変形例)
図13は、第4の実施形態の第2の変形例の半導体装置の一部の模式平面図である。図13は、第4の実施形態の図11に対応する図である。
【0145】
第2の変形例のMOSFETは、ゲート引き出し層16が、幅広部と幅狭部を有する点で、第1の変形例と異なる。例えば、第1のゲート引き出し層16aが、幅広部16axと幅狭部16ayを有する。
【0146】
以上、第4の実施形態及び変形例によれば、ゲート絶縁層の信頼性が向上することで、信頼性の向上が可能な半導体装置が実現できる。
【0147】
(第5の実施形態)
第5の実施形態の半導体装置は、第2のゲート配線層に接続されるゲート引き出し層が、第1のゲート配線層に接続されるゲート引き出し層に対し、第2の方向にセルピッチCPの1倍ずれて配置されている点で、第4の実施形態の半導体装置と異なる。以下、第4の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0148】
第5の実施形態の半導体装置は、炭化珪素を用いたトレンチゲート型の縦型MOSFETである。第5の実施形態のMOSFETは、電子をキャリアとするnチャネル型のMOSFETである。
【0149】
図14は、第5の実施形態の半導体装置の一部の模式平面図である。図14は、第4の実施形態の図11に対応する図である。
【0150】
第2のゲート配線層18bに接続される第3のゲート引き出し層16c及び第4のゲート引き出し層16dは、第1のゲート配線層18aに接続される第1のゲート引き出し層16a及び第2のゲート引き出し層16bに対し、第2の方向にセルピッチCPの1倍ずれて配置されている。
【0151】
以上、第5の実施形態によれば、ゲート絶縁層の信頼性が向上することで、信頼性の向上が可能な半導体装置が実現できる。
【0152】
(第6の実施形態)
第6の実施形態のインバータ回路及び駆動装置は、第1の実施形態の半導体装置を備える駆動装置である。
【0153】
図15は、第6の実施形態の駆動装置の模式図である。駆動装置1000は、モーター140と、インバータ回路150を備える。
【0154】
インバータ回路150は、第1の実施形態のMOSFET100をスイッチング素子とする3個の半導体モジュール150a、150b、150cで構成される。3個の半導体モジュール150a、150b、150cを並列に接続することで、3個の交流電圧の出力端子U、V、Wを備える三相のインバータ回路150が実現される。インバータ回路150から出力される交流電圧により、モーター140が駆動する。
【0155】
第6の実施形態によれば、特性の向上したMOSFET100を備えることで、インバータ回路150及び駆動装置1000の特性が向上する。
【0156】
(第7の実施形態)
第7の実施形態の車両は、第1の実施形態の半導体装置を備える車両である。
【0157】
図16は、第7の実施形態の車両の模式図である。第7の実施形態の車両1100は、鉄道車両である。車両1100は、モーター140と、インバータ回路150を備える。
【0158】
インバータ回路150は、第1の実施形態のMOSFET100をスイッチング素子とする3個の半導体モジュールで構成される。3個の半導体モジュールを並列に接続することで、3個の交流電圧の出力端子U、V、Wを備える三相のインバータ回路150が実現される。インバータ回路150から出力される交流電圧により、モーター140が駆動する。モーター140により車両1100の車輪90が回転する。
【0159】
第7の実施形態によれば、特性の向上したMOSFET100を備えることで、車両1100の特性が向上する。
【0160】
(第8の実施形態)
第8の実施形態の車両は、第1の実施形態の半導体装置を備える車両である。
【0161】
図17は、第8の実施形態の車両の模式図である。第8の実施形態の車両1200は、自動車である。車両1200は、モーター140と、インバータ回路150を備える。
【0162】
インバータ回路150は、第1の実施形態のMOSFET100をスイッチング素子とする3個の半導体モジュールで構成される。3個の半導体モジュールを並列に接続することで、3個の交流電圧の出力端子U、V、Wを備える三相のインバータ回路150が実現される。
【0163】
インバータ回路150から出力される交流電圧により、モーター140が駆動する。モーター140により車両1200の車輪90が回転する。
【0164】
第8の実施形態によれば、特性の向上したMOSFET100を備えることで、車両1200の特性が向上する。
【0165】
(第9の実施形態)
第9の実施形態の昇降機は、第1の実施形態の半導体装置を備える昇降機である。
【0166】
図18は、第9の実施形態の昇降機(エレベータ)の模式図である。第9の実施形態の昇降機1300は、かご610、カウンターウエイト612、ワイヤロープ614、巻上機616、モーター140と、インバータ回路150を備える。
【0167】
インバータ回路150は、第1の実施形態のMOSFET100をスイッチング素子とする3個の半導体モジュールで構成される。3個の半導体モジュールを並列に接続することで、3個の交流電圧の出力端子U、V、Wを備える三相のインバータ回路150が実現される。
【0168】
インバータ回路150から出力される交流電圧により、モーター140が駆動する。モーター140により巻上機616が回転し、かご610が昇降する。
【0169】
第9の実施形態によれば、特性の向上したMOSFET100を備えることで、昇降機1300の特性が向上する。
【0170】
以上、第1ないし第5の実施形態では、炭化珪素の結晶構造として4H-SiCの場合を例に説明したが、本発明は6H-SiC、3C-SiC等、その他の結晶構造の炭化珪素に適用することも可能である。
【0171】
第1ないし第5の実施形態では、半導体装置としてMOSFETを例に説明したが、本発明をInsulated Gate Bipolar Transistor(IGBT)に適用することも可能である。例えば、MOSFET100のドレイン領域50に相当する領域を、n型からp型に置き換えることで、IGBTが実現できる。
【0172】
また、第6ないし第9の実施形態においては、第1の実施形態の半導体装置を備える場合を例に説明したが、第2の実施形態ないし第5の実施形態の半導体装置を適用することも可能である。
【0173】
また、第6ないし第9の実施形態において、本発明の半導体装置を車両やエレベータに適用する場合を例に説明したが、本発明の半導体装置を例えば、太陽光発電システムのパワーコンディショナー等に適用することも可能である。
【0174】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0175】
10 炭化珪素層
11a 第1のゲートトレンチ(第7のトレンチ、第1のトレンチ)
11b 第2のゲートトレンチ(第1のトレンチ、第4のトレンチ)
11c 第3のゲートトレンチ(第4のトレンチ)
11d 第4のゲートトレンチ(第2のトレンチ、第5のトレンチ)
11e 第5のゲートトレンチ(第2のトレンチ)
12a 第1の右側接続トレンチ(第3のトレンチ)
12x 第3の右側接続トレンチ(第6のトレンチ)
13a 第1の左側接続トレンチ(第8のトレンチ)
14 ゲート電極
15 ゲート絶縁層
16a 第1のゲート引き出し層(第1の導電層)
16d 第4のゲート引き出し層(第2の導電層)
18a 第1のゲート配線層(第1の配線層)
18b 第2のゲート配線層(第2の配線層)
31 ソース電極(第1の電極)
32 ドレイン電極(第2の電極)
51 ドリフト領域(第1の炭化珪素領域)
52 ボディ領域(第2の炭化珪素領域)
53 ソース領域(第3の炭化珪素領域)
100 MOSFET(半導体装置)
150 インバータ回路
1000 駆動装置
1100 車両
1200 車両
1300 昇降機
F1 第1の面
F2 第2の面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18