(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137079
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 67/565 20220101AFI20230922BHJP
【FI】
H04L67/565
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043089
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】浅木森 浩樹
(57)【要約】
【課題】機器のデータの共有に関する柔軟性を向上させることができる。
【解決手段】複数の機器に関するデータを共有するための情報共有装置にネットワークを介して接続する情報処理装置は、前記機器から送信されるデータ群を受信する共通基盤部と、前記機器から前記共通基盤部が受信したデータ群を前記情報共有装置に対応した形式に変換し、変換後のデータ群を前記情報共有装置へ送信する、それぞれが1以上の前記機器に対応する複数の仮想デバイス部と、を有し、前記共通基盤部は、受信したデータ群の送信元の前記機器に対応する前記仮想デバイス部へ当該データ群を送信する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機器に関するデータを共有するための情報共有装置にネットワークを介して接続する情報処理装置であって、
前記機器から送信されるデータ群を受信する共通基盤部と、
前記機器から前記共通基盤部が受信したデータ群を前記情報共有装置に対応した形式に変換し、変換後のデータ群を前記情報共有装置へ送信する、それぞれが1以上の前記機器に対応する複数の仮想デバイス部と、
を有し、
前記共通基盤部は、受信したデータ群の送信元の前記機器に対応する前記仮想デバイス部へ当該データ群を送信する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
複数の機器の中からいずれかの機器の選択と、複数の前記情報共有装置の中からいずれかの情報共有装置の選択とを受け付ける設定受付部を有し、
複数の前記仮想デバイス部のそれぞれは、1以上の前記機器と1以上の前記情報共有装置との組み合わせに対応し、
前記共通基盤部は、前記設定受付部が選択を受け付けた前記機器と前記情報共有装置との組み合わせに対応する前記情報共有装置へ、受信したデータ群を送信する、
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記設定受付部は、選択を受け付けた機器から送信されるデータ群のうち公開対象とするデータ群の選択を受け付け、
前記選択を受け付けた機器に対応する前記仮想デバイス部は、当該機器から送信されるデータ群のうち前記設定受付部が選択を受け付けたデータ群を前記設定受付部が選択を受け付けた情報共有装置が要求する形式に変換し、変換後のデータ群を当該情報共有装置に送信する、
ことを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記共通基盤部は、前記設定受付部が選択を受け付けた前記機器と前記情報共有装置との組み合わせに対応する前記仮想デバイス部としてコンピュータを機能させるプログラムを起動する、
ことを特徴とする請求項2又は3記載の情報処理装置。
【請求項5】
複数の機器に関するデータを共有するための情報共有装置にネットワークを介して接続する情報処理システムであって、
前記機器から送信されるデータ群を受信する共通基盤部と、
前記機器から前記共通基盤部が受信したデータ群を前記情報共有装置に対応した形式に変換し、変換後のデータ群を前記情報共有装置へ送信する、それぞれが1以上の前記機器に対応する複数の仮想デバイス部と、
を有し、
前記共通基盤部は、受信したデータ群の送信元の前記機器に対応する前記仮想デバイス部へ当該データ群を送信する、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項6】
複数の機器に関するデータを共有するための情報共有装置にネットワークを介して接続する情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
前記機器から送信されるデータ群を受信する受信手順と、
前記機器から前記受信手順が受信したデータ群を前記情報共有装置に対応した形式に変換し、変換後のデータ群を前記情報共有装置へ送信する、それぞれが1以上の前記機器に対応する複数の送信手順と、
を有し、
前記受信手順は、受信したデータ群の送信元の前記機器に対応する前記送信手順へ当該データ群を送信する、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項7】
複数の機器に関するデータを共有するための情報共有装置にネットワークを介して接続する情報処理システムが実行する情報処理装置に、
前記機器から送信されるデータ群を受信する受信手順と、
前記機器から前記受信手順が受信したデータ群を前記情報共有装置に対応した形式に変換し、変換後のデータ群を前記情報共有装置へ送信する、それぞれが1以上の前記機器に対応する複数の送信手順と、
を実行させ、
前記受信手順は、受信したデータ群の送信元の前記機器に対応する前記送信手順へ当該データ群を送信する、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
政府主導でエッジデバイス等の機器が出力するデータを共有するための情報基盤の整備が進んでいる(Society5.0)。このような情報基盤に集積されたビッグデータは、例えば、AIによって解析され、ロボット等を介して人間にフィードバックされることが想定されている。
【0003】
なお、情報の共有に関して、特許文献1には、ユーザに紐づく認証情報を共有する構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
情報基盤を介してデータを共有するためには各機器は、情報基盤が要求する仕様(データ形式やプロトコル等)に合わせてデータを送信する必要が有る。
【0005】
しかし、各機器に対して情報基盤が要求する仕様に対応した実装が行われるのはシステムの柔軟性を損なう可能性が有る。例えば、情報基盤の仕様に変更が発生した場合や、新たな情報基盤が出現した場合に、各機器に対して変更後の仕様に応じた対応や、新たな情報基盤に対する対応等が行われる必要が有る。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、機器のデータの共有に関する柔軟性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで上記課題を解決するため、複数の機器に関するデータを共有するための情報共有装置にネットワークを介して接続する情報処理装置は、前記機器から送信されるデータ群を受信する共通基盤部と、前記機器から前記共通基盤部が受信したデータ群を前記情報共有装置に対応した形式に変換し、変換後のデータ群を前記情報共有装置へ送信する、それぞれが1以上の前記機器に対応する複数の仮想デバイス部と、を有し、前記共通基盤部は、受信したデータ群の送信元の前記機器に対応する前記仮想デバイス部へ当該データ群を送信する。
【発明の効果】
【0008】
機器のデータの共有に関する柔軟性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態における情報共有システムの構成例を示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態における情報処理装置10のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】本発明の実施の形態における情報処理装置10の機能構成例を示す図である。
【
図4】共通基盤部112に対する設定情報の設定処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図5】各情報共有装置20が必要とするデータ群を示す情報の一例である。
【
図7】第1の実施の形態におけるデータ送信処理の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
【
図8】第2の実施の形態におけるデータ送信処理の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態における情報共有システムの構成例を示す図である。
図1において、情報共有システムは、1以上の機器30、情報処理装置10及び1以上の情報共有装置20を含む。各機器30は、インターネット等のネットワークを介して情報処理装置10に接続する。各情報処理装置10は、インターネット等のネットワークを介していずれか1以上の情報共有装置20に接続する。
【0011】
機器30は、例えば、IoT(Internet of Things)デバイス等のエッジデバイスであり、インターネット等のネットワークを介してデータを送信する。機器30は、例えば、各種のセンサ又は機器である。一例として、機器30は、画像形成装置であってもよい。機器30が送信するデータとは、例えば、機器30がセンサであれば、当該センサが測定した値を含むデータである。機器30が画像形成装置等のようにユーザによって利用されるデバイスであれば、当該データは、例えば、機器30の利用に応じて変化する値を含むデータやログデータ等である。
【0012】
情報共有装置20は、機器30が送信するデータを集積し、集積したデータをビッグデータとして共有するために当該データをインターネット等のネットワークを介して公開する1以上のコンピュータである。各情報共有装置20の運用主体は異なってもよい。或る情報共有装置20は、国によって運用され、或る情報共有装置20は、地方自治体によって運用されてもよい。又は、企業等によって運用される情報共有装置20が存在してもよい。情報共有装置20は、Society5.0を実現するためのコンピュータシステムであってもよい。
【0013】
情報共有装置20に対してデータを送信するためのインタフェース(以下、「共有インタフェース」という。)の仕様(データ形式、通信プロトコル、タイミング等)は、情報共有装置20側で定義されている。共有インタフェースは情報共有装置20ごとに異なってもよいし、複数の情報共有装置20に跨がって共通であってもよい。いずれの場合であっても、或る情報共有装置20に対してデータを送信する側は、当該情報共有装置20の共有インタフェースに従ってデータを送信する必要が有る。したがって、仮に、機器30が情報共有装置20に対してデータを送信する場合、当該機器30には、共有インタフェースに従ってデータを送信するための実装が必要となる。
【0014】
情報処理装置10は、機器30における斯かる実装を不要とするために配置される1以上のコンピュータである。具体的には、情報処理装置10は、機器30が自機の仕様(データ形式、通信プロトコル、タイミング等)で送信するデータ群を受信し、当該データ群を共有インタフェースに適合又は整合する形式に変換する。情報処理装置10は、変換後のデータ群を共有インタフェースに従って情報共有装置20へ送信する。なお、或る一つの機器30のデータ群は、複数の情報共有装置20へ送信されてもよい。
【0015】
図2は、本発明の実施の形態における情報処理装置10のハードウェア構成例を示す図である。
図2の情報処理装置10は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置100、補助記憶装置102、メモリ装置103、CPU104、及びインタフェース装置105等を有する。
【0016】
情報処理装置10での処理を実現するプログラムは、CD-ROM等の記録媒体101によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体101がドライブ装置100にセットされると、プログラムが記録媒体101からドライブ装置100を介して補助記憶装置102にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体101より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置102は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0017】
メモリ装置103は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置102からプログラムを読み出して格納する。CPU104は、メモリ装置103に格納されたプログラムに従って情報処理装置10に係る機能を実行する。インタフェース装置105は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。
【0018】
図3は、本発明の実施の形態における情報処理装置10の機能構成例を示す図である。
図3において、情報処理装置10は、設定受付部111、共通基盤部112、及び1以上の仮想デバイス部113を有する。これら各部は、情報処理装置10にインストールされた1以上のプログラムが、CPU104に実行させる処理により実現される。情報処理装置10は、また、設定記憶部114を利用する。設定記憶部114は、例えば、補助記憶装置102、又は情報処理装置10にネットワークを介して接続可能な記憶装置等を用いて実現可能である。
【0019】
共通基盤部112は、機器30と連携し、機器30が有するデータ群を機器30に固有の仕様(データ形式や通信プロトコル等)で収集(受信)する。共通基盤部112は、機器30に固有の仕様(以下、「機器30側の仕様」という。)に対応しているため、機器30が送信するデータ群の全部を受信することができる。したがって、例えば、送信可能な全てのデータ群を送信するように機器30を実装しておくことで、機器30の実装を簡略化することができる。
【0020】
なお、機器30側の仕様は、機器30のモデルごとに異なる可能性が有る。共通基盤部112が複数の仕様に対応する場合には、仕様ごとに当該仕様に従ってデータ群を受信する部分がプラグインとされてもよい。そうすることで、共通基盤部112の拡張性を確保することができる。以下、共通基盤部112が機器30から収集(受信)するデータ群を生データ群という。生データ群は、情報共有装置20(共有インタフェース)が要求する仕様に対して過不足があったり、データ形式が異なっていたりといった不整合を有するため、情報共有装置20にはそのまま送信できない状態である。過不足とは、共有インタフェースにおいて規定されている必要なデータ項目対する過不足をいう。
【0021】
仮想デバイス部113は、生データ群が有する上記の不整合を解消するための処理を実行することで、機器30からのデータ群を機器30に代わって情報共有装置20へ送信する。情報共有装置20から見た場合、仮想デバイス部113は、機器30として見える。具体的には、仮想デバイス部113は、共通基盤部112が収集したデータ群を、情報共有装置20(共有インタフェース)の仕様に適合した形式に変換し、変換後のデータ群を情報共有装置20(共有インタフェース)の仕様に適合した通信プロトコルで情報共有装置20へ送信する。斯かる変換は、データ形式の変換のみならず、機器30からのデータ群の過不足を解消するための変換をも含む。すなわち、当該変換は、不要なデータ項目に対応するデータ群の破棄や、必要なデータ項目に対応するデータ群の補完等をも含む。
【0022】
なお、CPU104を仮想デバイス部113として機能させるプログラム(以下、「仮想プログラム」という。)の実行単位(例えば、プロセス)は、実際の機器30ごとに起動されてもよい。この場合、情報共有装置20からは、或る一つの仮想デバイス部113は当該仮想デバイス部113が対応する特定の機器30として見える。また、或る機器30のデータ群を複数の情報共有装置20へ送信する場合であって、複数の情報共有装置20の共有インタフェースが異なる場合、当該機器30については、情報共有装置20ごとに仮想デバイス部113が起動されてもよい。但し、仮想デバイス部113は、必ずしも1台の機器30に対応しなくてもよい。例えば、送信するデータ群の仕様が共通する複数の機器30に対して一つの仮想デバイス部113が対応付けられてもよい。
【0023】
なお、仮想プログラムは、入出力が共通する単位で実装されればよい。入出力の入とは、機器30から送信されるデータ群をいい、出とは、情報共有装置20へ送信されるデータ群をいう。例えば、仮想プログラムは、機器30のモデルごとに実装されてもよいし、機能別の機器30を分類した場合の機器30のタイプごとに実装されてもよい。
【0024】
また、仮想デバイス部113は、所定のプロトコルで共通基盤部112と接続されており、常時セッションを維持することで共通基盤部112との間で情報のやり取りを可能としている。所定のプロトコルとは、例えば、プロセス間通信やHTTPによる通信等である。
【0025】
設定受付部111は、情報処理装置10に対する設定情報を管理者等から受け付け、当該設定情報を設定記憶部114に保存する。例えば、いずれの機器30のデータ群をいずれの情報共有装置20へ送信するのかについての設定情報や、各情報共有装置20に対して送信対象とするデータ項目に関する設定情報等が設定記憶部114に保存される。
【0026】
以下、情報共有システムにおいて実行される処理手順について説明する。
図4は、共通基盤部112に対する設定情報の設定処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
図4の処理手順は、例えば、或る機器30の管理者が、当該機器30のデータ群を情報処理装置10を介して共有したい場合に実行される。以下、データ群の送信元とされる機器30を「対象機器30」という。
図4の処理手順における設定は、例えば、管理者が利用する端末に対して設定受付部111が送信した画面データに基づいて当該端末が表示する設定画面を介して行われる。当該画面データは、例えば、Webページであってもよい。
【0027】
ステップS101において、設定受付部111は、1つの対象機器30のタイプの選択を、設定画面を介して受け付ける。タイプは、複合機、カメラ、温度センサ、照度センサ等のように、デバイスの機能の違いに基づいてデバイスを分類した場合の各グループに対応する概念である。本実施の形態では、タイプ別に仮想デバイス部113が実装される場合を想定するためタイプの選択が行われるが、他の分類基準で仮想デバイス部113が区別される場合、当該分類基準に応じた分類が選択されればよい。
【0028】
続いて、設定受付部111は、対象機器30の指定を設定画面を介して受け付ける(S102)。例えば、対象機器30を識別可能な識別情報(例えば、シリアル番号又はIPアドレス等)が指定される。以下、当該識別情報を「機器ID」という。
【0029】
続いて、設定受付部111は、対象機器30のデータ群の送信先(公開先)の1以上の情報共有装置20の選択を設定画面を介して受け付ける(S103)。以下、選択された情報共有装置20を「対象情報共有装置20」という。
【0030】
続いて、設定受付部111は、データ公開及びデータ補完に関する設定を受け付ける(S104)。
【0031】
データ公開に関する設定とは、対象機器30が(情報処理装置10へ)送信するデータ群のうち公開対象とする(情報共有装置20への送信対象とする)データ群(以下、「公開データ群」という。)の選択をいう。すなわち、本実施の形態において、公開データ群は、管理者等によって一部のデータ群に限定することが可能である。そうすることで、機密事項に関連するようなデータ群が公開されることを抑制することができる。
【0032】
データ補完に関する設定とは、対象情報共有装置20が必要とするデータ群に対して、公開対象のデータ群に不足が有る場合に、不足するデータ群の補完方法についての設定をいう。補完方法の一例として、固定値で補完することや、所定の範囲内のランダムな値で補完することが挙げられる。公開対象のデータ群に不足が有る場合とは、そもそも対象機器30が送信するデータ群に不足がある場合、又は当該データ群には不足は無いが、データ公開に関する設定により公開対象が絞り込まれた結果、公開対象のデータ群に不足が発生した場合である。情報共有装置20ごとに必要とするデータ群は異なる可能性が有るため、対象情報共有装置20が複数の場合、データ補完に関する設定は対象情報共有装置20ごとに行われる。
【0033】
なお、設定受付部111には、予め、
図5に示すような情報が設定されている。
図5は、各情報共有装置20が必要とするデータ群を示す情報の一例である。
図5には、情報共有装置20ごとに、各データ(データ項目)について必要であるか否か、又はどちらでも良いことを示す情報が示されている。このような情報は、例えば、情報共有装置20から入手できるCapability情報に基づいて設定されてもよいし、人手によって入力されてもよい。設定受付部111は、
図5に示すような情報に基づいて、公開するデータ群について不足の有無を判定することができる。設定受付部111は、不足しているデータの補完方法(例えば、補完する値)の入力を、設定画面を介して管理者から受け付ける。
【0034】
続いて、設定受付部111は、ステップS104において受け付けた設定情報を設定記憶部114に保存する(S105)。
【0035】
図6は、設定情報の構成例を示す図である。
図6は、対象情報共有装置20が情報共有装置20A~Cの3つである例を示す。設定情報は、対象情報共有装置20ごとに、各データについて連携するか否か、又は送信すべき値を含む。「連携する」というデータは、公開対象データ群に含まれおり、かつ、情報共有装置20が必要としているデータである。「連携しない」というデータは、情報共有装置20が必要としていないデータである。「~固定とする」というデータは、「~」の値によって補完されるデータである。
【0036】
続いて、設定受付部111は、対象機器30のタイプ及び対象情報共有装置20の組み合わせに対応する仮想プログラムを起動することで、CPU104を当該組み合わせに対応する1つの仮想デバイス部113として機能させる(S106)。設定受付部111は、起動した仮想デバイス部113(としてのプロセス等)と、対象機器30との対応情報を共通基盤部112へ設定する。当該対応情報は、例えば、当該仮想デバイス部113の識別情報(例えば、プロセスID)と、対象機器30の機器IDとが対応付けられた情報である。対象情報共有装置20が複数の場合、対象情報共有装置20ごとに、対象機器30との組み合わせに対応する仮想プログラムが起動される。仮想プログラムが起動されることで、当該仮想プログラムが対応する機器30からのデータ群について、当該仮想プログラムが対応する情報共有装置20への送信が可能となる。
【0037】
次に、機器30からデータ群が送信される際に実行される処理手順について説明する。
図7は、第1の実施の形態におけるデータ送信処理の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
図7では、環境センサが機器30の一例である。したがって、仮想センサに対応する仮想デバイス部113は、仮想環境センサとして機能する。
図7では、環境センサに対応付けられている情報共有装置20は、温度、湿度及びCO2濃度情報を必要としているが、環境センサは、温度及び湿度しか測定できないとする。
【0038】
ステップS201において、環境センサは、環境センサに対して送信先として設定されている共通基盤部112へ温度及び湿度を送信する。環境センサによる温度及び湿度の送信は、情報共有装置20側の仕様に適合したタイミングで行われなくてもよい。
【0039】
共通基盤部112は、温度及び湿度を受信すると、温度及び湿度の送信元の環境センサに対応付けられている仮想デバイス部113(仮想環境センサ)へ当該温度及び当該湿度を送信する(S202)。なお、共通基盤部112は、温度及び湿度とともに、環境センサの機器IDをも受信する。共通基盤部112は、当該機器IDと、
図4のステップS106において設定受付部111から設定された対応情報とに基づいて、環境センサに対応する仮想デバイス部113を特定することができる。
【0040】
仮想環境センサとしての仮想デバイス部113は、温度及び湿度を受信すると、これらのデータ群について変換処理を実行する(S203)。例えば、仮想デバイス部113は、当該仮想デバイス部113に対応付けられている設定情報を参照して、情報共有装置20へ送信すべきデータを判定する。当該情報共有装置20が
図6の情報共有装置20Aであれば、環境センサから送信された温度及び湿度はそのまま送信し、CO2濃度情報として80%を更に送信すべきことが分かる。そこで、仮想デバイス部113は、CO2濃度情報のデータとして80%を当該設定情報から取得し、当該CO2濃度情報を送信対象のデータ群に追加する。また、仮想デバイス部113は、送信対象の各データ(温度、湿度、濃度)について予め定義されている変換ロジックに基づいて、送信先の情報共有装置20の使用に各データを適合させるための変換を行ってもよい。例えば、単位の変換等が行われてもよい。
【0041】
続いて、仮想デバイス部113は、環境センサから送信された温度及び湿度と、設定情報から取得したCO2濃度情報とを、情報共有装置20の共有インタフェースに適合した形式で情報共有装置20へ送信する(S204)。その結果、情報共有装置20が要求するデータ群を情報共有装置20が要求する形式で送信することができる。
【0042】
上述したように、第1の実施の形態によれば、機器30のデータ群は、直接的に情報共有装置20に送信されるのではなく、共通基盤部112及び仮想デバイス部113を経由して情報共有装置20に送信される。ここで、共通基盤部112は、機器30にとって都合の良い仕様でデータ群を受信することができる。また、仮想デバイス部113は、情報共有装置20の仕様に適合した形式でデータ群を送信する。したがって、情報共有装置20の仕様に対応するための仕組みを仮想デバイス部113で吸収することができる。すなわち、情報共有装置20の仕様の変更等を仮想デバイス部113で対応することができる。また、新たな情報共有装置20が出現した場合には、当該機器30又は当該情報共有装置20に対応した仮想プログラムを作成することで、当該情報共有装置20へのデータ群の送信を行うことができる。その結果、当該仕様に対応する実装を各機器30に対して行う必要性を低減することができ、機器30のデータの共有に関する柔軟性を向上させることができる。
【0043】
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では第1の実施の形態と異なる点について説明する。したがって、特に言及されない点については、第1の実施の形態と同様でもよい。
【0044】
図8は、第2の実施の形態におけるデータ送信処理の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
図8中、
図7と同一ステップには同一ステップ番号を付し、その説明は省略する。
図7では、仮想デバイス部113と情報共有装置20との間の通信がPUSH型である例を説明したが、
図8では、当該通信がPULL型である例を示す。
【0045】
ステップS230に続いて、仮想デバイス部113は、変換後のデータ群(温度、湿度、CO2濃度情報)を、例えば、補助記憶装置102等に保存しておく(S231)。
【0046】
その後、情報共有装置20が仮想デバイス部113に対してデータ群(温度、湿度、CO2濃度情報)の送信を要求すると(S232)、仮想デバイス部113は、保存しておいたデータ群(温度、湿度、CO2濃度情報)を情報共有装置20へ送信する(S240)。
【0047】
このように、第2実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0048】
なお、機器30は、通信機能を備えた装置であれば、画像形成装置に限られない。機器30は、例えば、PJ(Projector:プロジェクタ)、IWB(Interactive White Board:相互通信が可能な電子式の黒板機能を有する白板)、デジタルサイネージ等の出力装置、HUD(Head Up Display)装置、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、ノートPC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ウェアラブルPCまたはデスクトップPC等であってもよい。
【0049】
また、上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0050】
また、上記各実施形態に記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、情報処理装置10は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む情報処理システムであってもよい。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。同様に、機器30は、互いに通信するように構成された複数のコンピューティングデバイスを含むことができる。
【0051】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0052】
10 情報処理装置
20 情報共有装置
30 機器
100 ドライブ装置
101 記録媒体
102 補助記憶装置
103 メモリ装置
104 CPU
105 インタフェース装置
111 設定受付部
112 共通基盤部
113 仮想デバイス部
114 設定記憶部
B バス
【先行技術文献】
【特許文献】
【0053】