(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137086
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】光学系、光学機器、および光学系の製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 13/00 20060101AFI20230922BHJP
G02B 13/18 20060101ALN20230922BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043101
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(72)【発明者】
【氏名】幸島 知之
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA02
2H087KA03
2H087LA01
2H087MA07
2H087MA09
2H087NA07
2H087PA08
2H087PA09
2H087PA16
2H087PA19
2H087PA20
2H087PB11
2H087PB13
2H087QA01
2H087QA02
2H087QA03
2H087QA05
2H087QA12
2H087QA18
2H087QA19
2H087QA21
2H087QA26
2H087QA38
2H087QA41
2H087QA42
2H087QA45
2H087QA46
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
2H087RA44
(57)【要約】
【課題】小型でありながら、明るくて良好な光学性能を有する光学系を提供する。
【解決手段】光学系OLは、前群GAと、中間群GMと、後群GRとからなり、中間群GMは、第1合焦レンズ群GF1と、第2合焦レンズ群GF2とを有し、合焦の際、第1合焦レンズ群GF1と第2合焦レンズ群GF2とが互いに異なる軌跡で光軸に沿って移動し、前群GAと後群GRとが像面Iに対して固定され、後群GRは、後群GRの最も像面側に配置された負レンズを有し、以下の条件式を満足する。
0.09<fF2/fA<0.40
0.10<fA/|fF1|<3.00
但し、fA:前群GAの焦点距離
fF1:第1合焦レンズ群GF1の焦点距離
fF2:第2合焦レンズ群GF2の焦点距離
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸に沿って物体側から順に並んだ、前群と、中間群と、後群とからなり、
前記中間群は、第1合焦レンズ群と、前記第1合焦レンズ群よりも像面側に配置された第2合焦レンズ群とを有し、
合焦の際、前記第1合焦レンズ群と前記第2合焦レンズ群とが互いに異なる軌跡で光軸に沿って移動し、前記前群と前記後群とが像面に対して固定され、
前記後群は、前記後群の最も像面側に配置された負レンズを有し、
以下の条件式を満足する光学系。
0.09<fF2/fA<0.40
0.10<fA/|fF1|<3.00
但し、fA:前記前群の焦点距離
fF1:前記第1合焦レンズ群の焦点距離
fF2:前記第2合焦レンズ群の焦点距離
【請求項2】
開口絞りをさらに有し、
以下の条件式を満足する請求項1に記載の光学系。
0.05<fSr/fSa<1.50
但し、fSr:前記光学系における前記開口絞りよりも像面側に配置されたレンズの無限遠合焦状態における合成焦点距離
fSa:前記光学系における前記開口絞りよりも物体側に配置されたレンズの無限遠合焦状態における合成焦点距離
【請求項3】
以下の条件式を満足する請求項1または2に記載の光学系。
0.10<(-fR)/fF2<6.00
但し、fR:前記後群の焦点距離
【請求項4】
以下の条件式を満足する請求項1~3のいずれか一項に記載の光学系。
0.30<|fF1|/(-fR)<6.00
但し、fR:前記後群の焦点距離
【請求項5】
以下の条件式を満足する請求項1~4のいずれか一項に記載の光学系。
0.10<fA/(-fR)<4.00
但し、fR:前記後群の焦点距離
【請求項6】
以下の条件式を満足する請求項1~5のいずれか一項に記載の光学系。
0.01<fF2/|fF1|<3.00
【請求項7】
以下の条件式を満足する請求項1~6のいずれか一項に記載の光学系。
0.50<Y/Bf<4.00
但し、Y:前記光学系の像高
Bf:前記光学系のバックフォーカス
【請求項8】
以下の条件式を満足する請求項1~7のいずれか一項に記載の光学系。
1.00<f/Bf<6.00
但し、f:前記光学系の焦点距離
Bf:前記光学系のバックフォーカス
【請求項9】
以下の条件式を満足する請求項1~8のいずれか一項に記載の光学系。
0.80<TL/f<6.00
但し、f:前記光学系の焦点距離
TL:前記光学系の全長
【請求項10】
以下の条件式を満足する請求項1~9のいずれか一項に記載の光学系。
0.10<fe/fR<0.90
但し、fe:前記後群の最も像面側に配置された負レンズの焦点距離
fR:前記後群の焦点距離
【請求項11】
開口絞りをさらに有し、
前記第1合焦レンズ群が前記開口絞りの像面側に対向して配置される請求項1~10のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項12】
前記前群と前記中間群との間に配置された開口絞りをさらに有する請求項1~11のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項13】
前記中間群は、前記第1合焦レンズ群と、前記第2合焦レンズ群とからなる請求項1~12のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項14】
前記第1合焦レンズ群および前記第2合焦レンズ群は、正の屈折力を有する請求項1~13のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項15】
前記前群は、正の屈折力を有する請求項1~14のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項16】
前記後群は、負の屈折力を有する請求項1~15のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の光学系を備えて構成される光学機器。
【請求項18】
光軸に沿って物体側から順に並んだ、前群と、中間群と、後群とからなる光学系の製造方法であって、
前記中間群は、第1合焦レンズ群と、前記第1合焦レンズ群よりも像面側に配置された第2合焦レンズ群とを有し、
合焦の際、前記第1合焦レンズ群と前記第2合焦レンズ群とが互いに異なる軌跡で光軸に沿って移動し、前記前群と前記後群とが像面に対して固定され、
前記後群は、前記後群の最も像面側に配置された負レンズを有し、
以下の条件式を満足するように、
レンズ鏡筒内に各レンズを配置する光学系の製造方法。
0.09<fF2/fA<0.40
0.10<fA/|fF1|<3.00
但し、fA:前記前群の焦点距離
fF1:前記第1合焦レンズ群の焦点距離
fF2:前記第2合焦レンズ群の焦点距離
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学系、光学機器、および光学系の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、写真用カメラ、電子スチルカメラ、ビデオカメラ等に適した光学系が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。このような光学系においては、小型にしつつ、明るくて良好な光学性能を得ることが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本発明に係る光学系は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、前群と、中間群と、後群とからなり、前記中間群は、第1合焦レンズ群と、前記第1合焦レンズ群よりも像面側に配置された第2合焦レンズ群とを有し、合焦の際、前記第1合焦レンズ群と前記第2合焦レンズ群とが互いに異なる軌跡で光軸に沿って移動し、前記前群と前記後群とが像面に対して固定され、前記後群は、前記後群の最も像面側に配置された負レンズを有し、以下の条件式を満足する。
0.09<fF2/fA<0.40
0.10<fA/|fF1|<3.00
但し、fA:前記前群の焦点距離
fF1:前記第1合焦レンズ群の焦点距離
fF2:前記第2合焦レンズ群の焦点距離
【0005】
本発明に係る光学機器は、上記光学系を備えて構成される。
【0006】
本発明に係る光学系の製造方法は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、前群と、中間群と、後群とからなる光学系の製造方法であって、前記中間群は、第1合焦レンズ群と、前記第1合焦レンズ群よりも像面側に配置された第2合焦レンズ群とを有し、合焦の際、前記第1合焦レンズ群と前記第2合焦レンズ群とが互いに異なる軌跡で光軸に沿って移動し、前記前群と前記後群とが像面に対して固定され、前記後群は、前記後群の最も像面側に配置された負レンズを有し、以下の条件式を満足するように、レンズ鏡筒内に各レンズを配置する。
0.09<fF2/fA<0.40
0.10<fA/|fF1|<3.00
但し、fA:前記前群の焦点距離
fF1:前記第1合焦レンズ群の焦点距離
fF2:前記第2合焦レンズ群の焦点距離
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施例に係る光学系のレンズ構成を示す図である。
【
図2】
図2(A)、
図2(B)はそれぞれ、第1実施例に係る光学系の無限遠合焦時、近距離合焦時の諸収差図である。
【
図3】第2実施例に係る光学系のレンズ構成を示す図である。
【
図4】
図4(A)、
図4(B)はそれぞれ、第2実施例に係る光学系の無限遠合焦時、近距離合焦時の諸収差図である。
【
図5】第3実施例に係る光学系のレンズ構成を示す図である。
【
図6】
図6(A)、
図6(B)はそれぞれ、第3実施例に係る光学系の無限遠合焦時、近距離合焦時の諸収差図である。
【
図7】第4実施例に係る光学系のレンズ構成を示す図である。
【
図8】
図8(A)、
図8(B)はそれぞれ、第4実施例に係る光学系の無限遠合焦時、近距離合焦時の諸収差図である。
【
図9】本実施形態に係る光学系を備えたカメラの構成を示す図である。
【
図10】本実施形態に係る光学系の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る好ましい実施形態について説明する。まず、本実施形態に係る光学系を備えたカメラ(光学機器)を
図9に基づいて説明する。このカメラ1は、
図9に示すように、本体2と、本体2に装着される撮影レンズ3により構成される。本体2は、撮像素子4と、デジタルカメラの動作を制御する本体制御部(不図示)と、液晶画面5とを備える。撮影レンズ3は、複数のレンズ群からなる光学系OLと、各レンズ群の位置を制御するレンズ位置制御機構(不図示)とを備える。レンズ位置制御機構は、レンズ群の位置を検出するセンサと、レンズ群を光軸に沿って前後に移動させるモータと、モータを駆動する制御回路などにより構成される。
【0009】
被写体からの光は、撮影レンズ3の光学系OLにより集光されて、撮像素子4の像面I上に到達する。像面Iに到達した被写体からの光は、撮像素子4により光電変換され、デジタル画像データとして不図示のメモリに記録される。メモリに記録されたデジタル画像データは、ユーザの操作に応じて液晶画面5に表示することが可能である。なお、このカメラは、ミラーレスカメラでも、クイックリターンミラーを有した一眼レフタイプのカメラであっても良い。また、
図9に示す光学系OLは、撮影レンズ3に備えられる光学系を模式的に示したものであり、光学系OLのレンズ構成はこの構成に限定されるものではない。
【0010】
次に、本実施形態に係る光学系について説明する。本実施形態に係る光学系OLの一例としての光学系OL(1)は、
図1に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、前群GAと、中間群GMと、後群GRとから構成される。中間群GMは、第1合焦レンズ群GF1と、第1合焦レンズ群GF1よりも像面側に配置された第2合焦レンズ群GF2とを有する。合焦の際、第1合焦レンズ群GF1と第2合焦レンズ群GF2とが互いに異なる軌跡で光軸に沿って移動し、前群GAと後群GRとが像面Iに対して固定される。後群GRは、後群GRの最も像面側に配置された負レンズ(L44)を有する。
【0011】
上記構成の下、本実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(1)および条件式(2)を満足する。
0.09<fF2/fA<0.40 ・・・(1)
0.10<fA/|fF1|<3.00 ・・・(2)
但し、fA:前群GAの焦点距離
fF1:第1合焦レンズ群GF1の焦点距離
fF2:第2合焦レンズ群GF2の焦点距離
【0012】
本実施形態によれば、小型でありながら、明るくて良好な光学性能を有する光学系、およびこの光学系を備えた光学機器を得ることが可能になる。本実施形態に係る光学系OLは、
図3に示す光学系OL(2)でも良く、
図5に示す光学系OL(3)でも良く、
図7に示す光学系OL(4)でも良い。
【0013】
条件式(1)は、第2合焦レンズ群GF2の焦点距離と、前群GAの焦点距離との適切
な関係を規定するものである。条件式(1)を満足することで、コマ収差および像面湾曲等の諸収差を良好に補正することができる。
【0014】
条件式(1)の対応値が上限値を上回ると、前群GAの屈折力が強くなりすぎるため、球面収差、コマ収差および像面湾曲の補正を行うことが困難になる。条件式(1)の上限値を0.35、さらに0.32に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0015】
条件式(1)の対応値が下限値を下回ると、第2合焦レンズ群GF2の屈折力が強くなりすぎるため、近距離物体に合焦する際のコマ収差および像面湾曲の補正を行うことが困難になる。条件式(1)の下限値を0.13、さらに0.17に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0016】
条件式(2)は、前群GAの焦点距離と、第1合焦レンズ群GF1の焦点距離との適切な関係を規定するものである。条件式(2)を満足することで、球面収差およびコマ収差等の諸収差を良好に補正することができる。
【0017】
条件式(2)の対応値が上限値を上回ると、第1合焦レンズ群GF1の屈折力が強くなりすぎるため、近距離物体に合焦する際の球面収差およびコマ収差の補正を行うことが困難になる。条件式(2)の上限値を2.50、さらに2.00に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0018】
条件式(2)の対応値が下限値を下回ると、前群GAの屈折力が強くなりすぎるため、球面収差、コマ収差および像面湾曲の補正を行うことが困難になる。条件式(2)の下限値を0.40、さらに0.45に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0019】
本実施形態に係る光学系OLは、開口絞りSをさらに有し、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
0.05<fSr/fSa<1.50 ・・・(3)
但し、fSr:光学系OLにおける開口絞りSよりも像面側に配置されたレンズの無限遠合焦状態における合成焦点距離
fSa:光学系OLにおける開口絞りSよりも物体側に配置されたレンズの無限遠合焦状態における合成焦点距離
【0020】
条件式(3)は、光学系OLにおける開口絞りSよりも像面側に配置されたレンズの無限遠合焦状態における合成焦点距離と、光学系OLにおける開口絞りSよりも物体側に配置されたレンズの無限遠合焦状態における合成焦点距離との適切な関係を規定するものである。条件式(3)を満足することで、球面収差、コマ収差および像面湾曲を良好に補正することができる。
【0021】
条件式(3)の対応値が上限値を上回ると、光学系OLにおける開口絞りSよりも物体側に配置されたレンズの屈折力が強くなりすぎるため、球面収差、コマ収差および像面湾曲の補正を行うことが困難になる。条件式(3)の上限値を1.00、さらに0.50に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0022】
条件式(3)の対応値が下限値を下回ると、光学系OLにおける開口絞りSよりも像面側に配置されたレンズの屈折力が強くなりすぎるため、球面収差、コマ収差および像面湾曲の補正を行うことが困難になる。条件式(3)の下限値を0.13、さらに0.18に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0023】
本実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
0.10<(-fR)/fF2<6.00 ・・・(4)
但し、fR:後群GRの焦点距離
【0024】
条件式(4)は、後群GRの焦点距離と、第2合焦レンズ群GF2の焦点距離との適切な関係を規定するものである。条件式(4)を満足することで、コマ収差および像面湾曲を良好に補正することができる。
【0025】
条件式(4)の対応値が上限値を上回ると、第2合焦レンズ群GF2の屈折力が強くなりすぎるため、近距離物体に合焦する際のコマ収差および像面湾曲の補正を行うことが困難になる。条件式(4)の上限値を5.00、さらに4.00に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0026】
条件式(4)の対応値が下限値を下回ると、後群GRの屈折力が強くなりすぎるため、コマ収差および像面湾曲の補正を行うことが困難になる。条件式(4)の下限値を0.60、さらに1.10に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0027】
本実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(5)を満足することが望ましい。
0.30<|fF1|/(-fR)<6.00 ・・・(5)
但し、fR:後群GRの焦点距離
【0028】
条件式(5)は、第1合焦レンズ群GF1の焦点距離と、後群GRの焦点距離との適切な関係を規定するものである。条件式(5)を満足することで、コマ収差等の諸収差を良好に補正することができる。
【0029】
条件式(5)の対応値が上限値を上回ると、後群GRの屈折力が強くなりすぎるため、コマ収差および像面湾曲の補正を行うことが困難になる。条件式(5)の上限値を4.00、さらに2.80に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0030】
条件式(5)の対応値が下限値を下回ると、第1合焦レンズ群GF1の屈折力が強くなりすぎるため、近距離物体に合焦する際の球面収差およびコマ収差の補正を行うことが困難になる。条件式(5)の下限値を0.50、さらに0.85に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0031】
本実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(6)を満足することが望ましい。
0.10<fA/(-fR)<4.00 ・・・(6)
但し、fR:後群GRの焦点距離
【0032】
条件式(6)は、前群GAの焦点距離と、後群GRの焦点距離との適切な関係を規定するものである。条件式(6)を満足することで、コマ収差および像面湾曲等の諸収差を良好に補正することができる。
【0033】
条件式(6)の対応値が上限値を上回ると、後群GRの屈折力が強くなりすぎるため、コマ収差および像面湾曲の補正を行うことが困難になる。条件式(6)の上限値を3.00、さらに2.50に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0034】
条件式(6)の対応値が下限値を下回ると、前群GAの屈折力が強くなりすぎるため、球面収差、コマ収差および像面湾曲の補正を行うことが困難になる。条件式(6)の下限値を0.50、さらに1.00に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0035】
本実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(7)を満足することが望ましい。
0.01<fF2/|fF1|<3.00 ・・・(7)
【0036】
条件式(7)は、第2合焦レンズ群GF2の焦点距離と、第1合焦レンズ群GF1の焦点距離との適切な関係を規定するものである。条件式(7)を満足することで、コマ収差等の諸収差を良好に補正することができる。
【0037】
条件式(7)の対応値が上限値を上回ると、第1合焦レンズ群GF1の屈折力が強くなりすぎるため、近距離物体に合焦する際の球面収差およびコマ収差の補正を行うことが困難になる。条件式(7)の上限値を1.50、さらに0.78に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0038】
条件式(7)の対応値が下限値を下回ると、第2合焦レンズ群GF2の屈折力が強くなりすぎるため、近距離物体に合焦する際のコマ収差および像面湾曲の補正を行うことが困難になる。条件式(7)の下限値を0.05、さらに0.10に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0039】
本実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(8)を満足することが望ましい。
0.50<Y/Bf<4.00 ・・・(8)
但し、Y:光学系OLの像高
Bf:光学系OLのバックフォーカス
【0040】
条件式(8)は、光学系OLの像高と、光学系OLのバックフォーカスとの適切な関係を規定するものである。なお、本実施形態において、光学系OLのバックフォーカスは、光学系OLの最も像面側のレンズ面から像面Iまでの光軸上の空気換算距離とする。条件式(8)を満足することで、小型でありながら、明るくて良好な光学性能を有する光学系を得ることが可能になる。条件式(8)の上限値を3.00、さらに2.00に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、条件式(8)の下限値を1.00、さらに1.40に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0041】
本実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(9)を満足することが望ましい。
1.00<f/Bf<6.00 ・・・(9)
但し、f:光学系OLの焦点距離
Bf:光学系OLのバックフォーカス
【0042】
条件式(9)は、光学系OLの焦点距離と、光学系OLのバックフォーカスとの適切な関係を規定するものである。条件式(9)を満足することで、小型でありながら、明るくて良好な光学性能を有する光学系を得ることが可能になる。条件式(9)の上限値を5.00、さらに4.20に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、条件式(9)の下限値を1.80、さらに2.40に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0043】
本実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(10)を満足することが望ましい。
0.80<TL/f<6.00 ・・・(10)
但し、f:光学系OLの焦点距離
TL:光学系OLの全長
【0044】
条件式(10)は、光学系OLの全長と、光学系OLの焦点距離との適切な関係を規定するものである。なお、本実施形態において、光学系OLの全長は、光学系OLの最も物体側のレンズ面から像面Iまでの光軸上の距離(但し、光学系OLの最も像面側のレンズ面から像面Iまでの光軸上の距離は空気換算距離)とする。条件式(10)を満足することで、小型でありながら、明るくて良好な光学性能を有する光学系を得ることが可能になる。条件式(10)の上限値を5.00、さらに3.20に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、条件式(10)の下限値を1.40、さらに1.78に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0045】
本実施形態に係る光学系OLは、以下の条件式(11)を満足することが望ましい。
0.10<fe/fR<0.90 ・・・(11)
但し、fe:後群GRの最も像面側に配置された負レンズの焦点距離
fR:後群GRの焦点距離
【0046】
条件式(11)は、後群GRの最も像面側に配置された負レンズの焦点距離と、後群GRの焦点距離との適切な関係を規定するものである。条件式(11)を満足することで、像面湾曲等の諸収差を良好に補正することができる。
【0047】
条件式(11)の対応値が上限値を上回ると、後群GRの屈折力が強くなりすぎるため、コマ収差および像面湾曲の補正を行うことが困難になる。条件式(11)の上限値を0.85、さらに0.75に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0048】
条件式(11)の対応値が下限値を下回ると、後群GRの最も像面側に配置された負レンズの屈折力が強くなりすぎるため、像面湾曲の補正を行うことが困難になる。条件式(11)の下限値を0.15、さらに0.20に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。
【0049】
本実施形態に係る光学系OLは、開口絞りSをさらに有し、第1合焦レンズ群GF1が開口絞りSの像面側に対向して配置されることが望ましい。これにより、近距離物体に合焦する際の球面収差、コマ収差および像面湾曲の補正を行うことが可能になる。
【0050】
本実施形態に係る光学系OLは、前群GAと中間群GMとの間に配置された開口絞りSをさらに有することが望ましい。これにより、近距離物体に合焦する際の球面収差、コマ収差および像面湾曲の補正を行うことが可能になる。
【0051】
本実施形態に係る光学系OLにおいて、中間群GMは、第1合焦レンズ群GF1と、第2合焦レンズ群GF2とからなることが望ましい。これにより、小型でありながら、近距離物体に合焦する際の諸収差の補正を行うことが可能になる。
【0052】
本実施形態に係る光学系OLにおいて、第1合焦レンズ群GF1および第2合焦レンズ群GF2は、正の屈折力を有することが望ましい。これにより、近距離物体に合焦する際の球面収差、コマ収差および像面湾曲の補正を行うことが可能になる。
【0053】
本実施形態に係る光学系OLは、前群GAは、正の屈折力を有することが望ましい。これにより、球面収差、コマ収差および像面湾曲の補正を行うことが可能になる。
【0054】
本実施形態に係る光学系OLは、後群GRは、負の屈折力を有することが望ましい。これにより、コマ収差および像面湾曲の補正を行うことが可能になる。
【0055】
続いて、
図10を参照しながら、本実施形態に係る光学系OLの製造方法について概説する。まず、光軸に沿って物体側から順に、前群GAと、中間群GMと、後群GRとを配置する(ステップST1)。次に、中間群GMに、第1合焦レンズ群GF1と、第1合焦レンズ群GF1よりも像面側の第2合焦レンズ群GF2とを配置する(ステップST2)。次に、合焦の際、第1合焦レンズ群GF1と第2合焦レンズ群GF2とが互いに異なる軌跡で光軸に沿って移動し、前群GAと後群GRとが像面Iに対して固定されるように構成する(ステップST3)。また、後群GRの最も像面側に、負レンズを配置する(ステップST4)。そして、少なくとも上記条件式(1)および条件式(2)を満足するように、レンズ鏡筒内に各レンズを配置する(ステップST5)。このような製造方法によれば、小型でありながら、明るくて良好な光学性能を有する光学系を製造することが可能になる。
【実施例0056】
以下、本実施形態の実施例に係る光学系OLを図面に基づいて説明する。
図1、
図3、
図5、
図7は、第1~第4実施例に係る光学系OL{OL(1)~OL(4)}の構成及び屈折力配分を示す断面図である。第1~第4実施例に係る光学系OL(1)~OL(4)の断面図では、無限遠から近距離物体へ合焦する際の各レンズ群の光軸に沿った移動方向を矢印で示している。
【0057】
これらの
図1、
図3、
図5、
図7において、各レンズ群を符号Gと数字の組み合わせにより、各レンズを符号Lと数字の組み合わせにより、それぞれ表している。この場合において、符号、数字の種類および数が大きくなって煩雑化するのを防止するため、実施例毎にそれぞれ独立して符号と数字の組み合わせを用いてレンズ群等を表している。このため、実施例間で同一の符号と数字の組み合わせが用いられていても、同一の構成であることを意味するものでは無い。
【0058】
以下に表1~表4を示すが、この内、表1は第1実施例、表2は第2実施例、表3は第3実施例、表4は第4実施例における各諸元データを示す表である。各実施例では収差特性の算出対象として、d線(波長λ=587.6nm)、g線(波長λ=435.8nm)を選んでいる。
【0059】
[全体諸元]の表において、fはレンズ全系の焦点距離、FNОはFナンバー、ωは半画角(単位は°(度))、Yは像高を示す。TLは無限遠合焦時の光学系の最も物体側のレンズ面から最も像面側のレンズ面までの光軸上の距離にBf(バックフォーカス)を加えた距離を示し、Bfは無限遠合焦時の光学系の最も像面側のレンズ面から像面までの光軸上の距離(空気換算距離)を示す。
【0060】
また、[全体諸元]の表において、fAは、前群の焦点距離を示す。fRは、後群の焦点距離を示す。fF1は、第1合焦レンズ群の焦点距離を示す。fF2は、第2合焦レンズ群の焦点距離を示す。fSaは、光学系における開口絞りよりも物体側に配置されたレンズの無限遠合焦状態における合成焦点距離を示す。fSrは、光学系における開口絞りよりも像面側に配置されたレンズの無限遠合焦状態における合成焦点距離を示す。feは、後群の最も像面側に配置された負レンズの焦点距離を示す。
【0061】
[レンズ諸元]の表において、面番号は光線の進行する方向に沿った物体側からの光学面の順序を示し、Rは各光学面の曲率半径(曲率中心が像側に位置する面を正の値として
いる)、Dは各光学面から次の光学面(又は像面)までの光軸上の距離である面間隔、ndは光学部材の材料のd線に対する屈折率、νdは光学部材の材料のd線を基準とするアッベ数をそれぞれ示す。曲率半径の「∞」は平面又は開口を、(絞りS)は開口絞りSをそれぞれ示す。空気の屈折率nd=1.00000の記載は省略している。光学面が非球面であ
る場合には面番号に*印を付して、曲率半径Rの欄には近軸曲率半径を示している。
【0062】
[非球面データ]の表には、[レンズ諸元]に示した非球面について、その形状を次式(A)で示す。X(y)は非球面の頂点における接平面から高さyにおける非球面上の位置までの光軸方向に沿った距離(サグ量)を、Rは基準球面の曲率半径(近軸曲率半径)を、κは円錐定数を、Aiは第i次の非球面係数を示す。「E-n」は、「×10-n」を示す。例えば、1.234E-05=1.234×10-5である。なお、2次の非球面係数A2は0であり、
その記載を省略している。
【0063】
X(y)=(y2/R)/{1+(1-κ×y2/R2)1/2}+A4×y4+A6×y6+A8×y8+A10×y10 …(A)
【0064】
[可変間隔データ]の表には、[レンズ諸元]の表において面間隔が(Di)となっている面番号iでの面間隔を示す。また、[可変間隔データ]の表には、無限遠合焦状態での面間隔、および近距離合焦状態での面間隔を示す。[可変間隔データ]の表において、fはレンズ全系の焦点距離を、βは撮影倍率をそれぞれ示す。また、D0は物体から光学系における最も物体側の光学面までの距離を示す。
【0065】
[レンズ群データ]の表には、各レンズ群のそれぞれの始面(最も物体側の面)と焦点距離を示す。
【0066】
以下、全ての諸元値において、掲載されている焦点距離f、曲率半径R、面間隔D、その他の長さ等は、特記のない場合一般に「mm」が使われるが、光学系は比例拡大又は比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。
【0067】
ここまでの表の説明は全ての実施例において共通であり、以下での重複する説明は省略する。
【0068】
(第1実施例)
第1実施例について、
図1~
図2および表1を用いて説明する。
図1は、第1実施例に係る光学系のレンズ構成を示す図である。第1実施例に係る光学系OL(1)は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成される。無限遠物体から近距離物体への合焦の際、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3とが異なる軌跡(移動量)で光軸に沿って物体側へ移動し、隣り合う各レンズ群の間隔が変化する。なお、合焦の際、第1レンズ群G1および第4レンズ群G4は、像面Iに対して位置が固定される。各レンズ群記号に付けている符号(+)もしくは(-)は各レンズ群の屈折力を示し、このことは以下の全ての実施例でも同様である。
【0069】
開口絞りSは、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間に配設される。合焦の際、開口絞りSは、像面Iに対して位置が固定される。本実施例では、第1レンズ群G1が前群GAを構成し、第2レンズ群G2および第3レンズ群G3が中間群GMを構成し、第4レンズ群G4が後群GRを構成する。また、第2レンズ群G2が第1合焦レンズ群GF1に該当し、第3レンズ群G3が第2合焦レンズ群GF2に該当する。
【0070】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凹形状の負レンズL11と、両凸形状の正レンズL12と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL13とが接合された接合正レンズと、から構成される。
【0071】
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凹形状の負レンズL21と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22とが接合された接合負レンズと、両凸形状の正レンズL23と、から構成される。正レンズL23は、ガラス製レンズ本体の像面側の面に樹脂層が設けられて構成されるハイブリッド型のレンズである。樹脂層の像面側の面が非球面であり、正レンズL23は複合型の非球面レンズである。後述の[レンズ諸元]において、面番号10がレンズ本体の物体側の面、面番号11がレンズ本体の像面側の面および樹脂層の物体側の面(両者が接合する面)、面番号12が樹脂層の像面側の面を示す。
【0072】
第3レンズ群G3は、両凸形状の正レンズL31から構成される。正レンズL31は、ガラス製レンズ本体の像面側の面に樹脂層が設けられて構成されるハイブリッド型のレンズである。樹脂層の像面側の面が非球面であり、正レンズL31は複合型の非球面レンズである。後述の[レンズ諸元]において、面番号13がレンズ本体の物体側の面、面番号14がレンズ本体の像面側の面および樹脂層の物体側の面(両者が接合する面)、面番号15が樹脂層の像面側の面を示す。
【0073】
第4レンズ群G4は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凹形状の負レンズL41と両凸形状の正レンズL42とが接合された接合正レンズと、両凹形状の負レンズL43と、像面側に平面を向けた平凹形状の負レンズL44と、から構成される。第4レンズ群G4の像側に、像面Iが配置される。
【0074】
以下の表1に、第1実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0075】
(表1)
[全体諸元]
f=36.050 FNO=1.442
ω=31.814 Y=20.374
TL=83.685 Bf=12.113
fA=154.383 fR=-70.566
fF1=150.000 fF2=42.786
fSa=154.383 fSr=41.385
fe=-49.090
[レンズ諸元]
面番号 R D nd νd
1 -84.278 1.000 1.48749 70.31
2 34.272 0.582
3 42.331 6.737 1.83481 42.73
4 -39.159 0.900 1.76182 26.58
5 -167.335 1.600
6 ∞ (D6) (絞りS)
7 -23.995 0.900 1.64769 33.73
8 28.408 5.263 1.83481 42.73
9 214.240 0.100
10 69.377 5.846 1.83481 42.73
11 -52.510 0.100 1.56093 36.64
12* -50.272 (D12)
13 133.009 7.274 1.77250 49.62
14 -47.184 0.100 1.56093 36.64
15* -41.494 (D15)
16 -101.299 1.000 1.68893 31.16
17 37.985 11.824 1.83481 42.73
18 -43.191 0.100
19 -79.644 1.000 1.78472 25.64
20 863.090 6.024
21 -30.438 1.300 1.62004 36.40
22 ∞ Bf
[非球面データ]
第12面
κ=1.0000,A4=9.82707E-06,A6=8.10431E-09,A8=-4.53816E-11,A10=8.08855E-14
第15面
κ=1.0000,A4=7.20448E-06,A6=3.36893E-10,A8=3.34430E-11,A10=-3.62441E-14
[可変間隔データ]
無限遠合焦状態 近距離合焦状態
f=36.050 β=-0.03333
D0 ∞ 1073.885
D6 13.904 12.690
D12 4.519 4.847
D15 1.500 2.386
Bf 12.113 12.113
[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
G1 1 154.383
G2 7 150.000
G3 13 42.786
G4 16 -70.566
【0076】
図2(A)は、第1実施例に係る光学系の無限遠合焦時の諸収差図である。
図2(B)は、第1実施例に係る光学系の近距離合焦時の諸収差図である。無限遠合焦時の各収差図において、FNOはFナンバー、Yは像高をそれぞれ示す。近距離合焦時の各収差図において、NAは開口数、Yは像高をそれぞれ示す。なお、球面収差図では最大口径に対応するFナンバーまたは開口数の値を示し、非点収差図および歪曲収差図では像高の最大値をそれぞれ示し、コマ収差図では各像高の値を示す。dはd線(波長λ=587.6nm)、gはg線(波長λ=435.8nm)をそれぞれ示す。非点収差図において、実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像面をそれぞれ示す。なお、以下に示す各実施例の収差図においても、本実施例と同様の符号を用い、重複する説明は省略する。
【0077】
各諸収差図より、第1実施例に係る光学系は、無限遠合焦時のみならず近距離合焦時においても、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。
【0078】
(第2実施例)
第2実施例について、
図3~
図4および表2を用いて説明する。
図3は、第2実施例に係る光学系のレンズ構成を示す図である。第2実施例に係る光学系OL(2)は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成される。無限遠物体から近距離物体への合焦の際、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3とが異なる軌跡(移動量)で光軸に沿って物体側へ移動し、
隣り合う各レンズ群の間隔が変化する。なお、合焦の際、第1レンズ群G1および第4レンズ群G4は、像面Iに対して位置が固定される。
【0079】
開口絞りSは、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間に配設される。合焦の際、開口絞りSは、像面Iに対して位置が固定される。本実施例では、第1レンズ群G1が前群GAを構成し、第2レンズ群G2および第3レンズ群G3が中間群GMを構成し、第4レンズ群G4が後群GRを構成する。また、第2レンズ群G2が第1合焦レンズ群GF1に該当し、第3レンズ群G3が第2合焦レンズ群GF2に該当する。
【0080】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL13と、から構成される。正メニスカスレンズL12は、物体側のレンズ面が非球面である。
【0081】
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凹形状の負レンズL21と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22とが接合された接合負レンズと、両凸形状の正レンズL23と、から構成される。正レンズL23は、ガラス製レンズ本体の像面側の面に樹脂層が設けられて構成されるハイブリッド型のレンズである。樹脂層の像面側の面が非球面であり、正レンズL23は複合型の非球面レンズである。後述の[レンズ諸元]において、面番号11がレンズ本体の物体側の面、面番号12がレンズ本体の像面側の面および樹脂層の物体側の面(両者が接合する面)、面番号13が樹脂層の像面側の面を示す。
【0082】
第3レンズ群G3は、両凸形状の正レンズL31から構成される。正レンズL31は、ガラス製レンズ本体の像面側の面に樹脂層が設けられて構成されるハイブリッド型のレンズである。樹脂層の像面側の面が非球面であり、正レンズL31は複合型の非球面レンズである。後述の[レンズ諸元]において、面番号14がレンズ本体の物体側の面、面番号15がレンズ本体の像面側の面および樹脂層の物体側の面(両者が接合する面)、面番号16が樹脂層の像面側の面を示す。
【0083】
第4レンズ群G4は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL41と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL42とが接合された接合正レンズと、両凹形状の負レンズL43と、像面側に平面を向けた平凹形状の負レンズL44と、から構成される。第4レンズ群G4の像側に、像面Iが配置される。
【0084】
以下の表2に、第2実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0085】
(表2)
[全体諸元]
f=48.500 FNO=1.442
ω=24.256 Y=21.413
TL=92.309 Bf=12.113
fA=144.537 fR=-64.985
fF1=141.932 fF2=42.786
fSa=144.537 fSr=45.388
fe=-398.038
[レンズ諸元]
面番号 R D nd νd
1 44.354 3.671 1.83481 42.73
2 68.031 2.679
3* 30.946 5.657 1.83481 42.73
4 119.179 0.686
5 456.720 0.900 1.59270 35.27
6 23.170 5.704
7 ∞ (D7) (絞りS)
8 -19.295 0.900 1.64769 33.72
9 24.301 6.226 1.83481 42.73
10 222.101 0.100
11 51.221 7.224 1.77250 49.62
12 -44.866 0.100 1.56093 36.64
13* -44.287 (D13)
14 51.773 6.423 1.77250 49.62
15 -154.916 0.100 1.56093 36.64
16* -74.031 (D16)
17 -510.487 12.769 1.85026 32.35
18 -20.236 1.000 1.90265 35.73
19 -61.076 0.100
20 -98.851 1.024 1.75520 27.57
21 48.753 4.694
22 -235.917 1.300 1.59270 35.27
23 ∞ Bf
[非球面データ]
第3面
κ=1.0000,A4=1.39886E-06,A6=7.46585E-09,A8=-1.84946E-11,A10=7.06419E-14
第13面
κ=1.0000,A4=6.25043E-06,A6=7.63434E-09,A8=-2.42103E-12,A10=2.61079E-14
第16面
κ=1.0000,A4=1.51632E-05,A6=-2.12876E-09,A8=3.12457E-11,A10=-4.64496E-14
[可変間隔データ]
無限遠合焦状態 近距離合焦状態
f=48.500 β=-0.03333
D0 ∞ 1427.370
D7 12.239 11.399
D13 5.200 4.948
D16 1.500 2.591
Bf 12.113 12.113
[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
G1 1 144.537
G2 8 141.932
G3 14 42.786
G4 17 -64.985
【0086】
図4(A)は、第2実施例に係る光学系の無限遠合焦時の諸収差図である。
図4(B)は、第2実施例に係る光学系の近距離合焦時の諸収差図である。各諸収差図より、第2実施例に係る光学系は、無限遠合焦時のみならず近距離合焦時においても、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。
【0087】
(第3実施例)
第3実施例について、
図5~
図6および表3を用いて説明する。
図5は、第3実施例に
係る光学系のレンズ構成を示す図である。第3実施例に係る光学系OL(3)は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成される。無限遠物体から近距離物体への合焦の際、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3とが異なる軌跡(移動量)で光軸に沿って物体側へ移動し、隣り合う各レンズ群の間隔が変化する。なお、合焦の際、第1レンズ群G1および第4レンズ群G4は、像面Iに対して位置が固定される。
【0088】
開口絞りSは、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間に配設される。合焦の際、開口絞りSは、像面Iに対して位置が固定される。本実施例では、第1レンズ群G1が前群GAを構成し、第2レンズ群G2および第3レンズ群G3が中間群GMを構成し、第4レンズ群G4が後群GRを構成する。また、第2レンズ群G2が第1合焦レンズ群GF1に該当し、第3レンズ群G3が第2合焦レンズ群GF2に該当する。
【0089】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に平面を向けた平凹形状の負レンズL11と、両凸形状の正レンズL12と両凹形状の負レンズL13とが接合された接合正レンズと、から構成される。
【0090】
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凹形状の負レンズL21と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22とが接合された接合負レンズと、両凸形状の正レンズL23と、から構成される。正レンズL23は、ガラス製レンズ本体の像面側の面に樹脂層が設けられて構成されるハイブリッド型のレンズである。樹脂層の像面側の面が非球面であり、正レンズL23は複合型の非球面レンズである。後述の[レンズ諸元]において、面番号10がレンズ本体の物体側の面、面番号11がレンズ本体の像面側の面および樹脂層の物体側の面(両者が接合する面)、面番号12が樹脂層の像面側の面を示す。
【0091】
第3レンズ群G3は、両凸形状の正レンズL31から構成される。正レンズL31は、ガラス製レンズ本体の像面側の面に樹脂層が設けられて構成されるハイブリッド型のレンズである。樹脂層の像面側の面が非球面であり、正レンズL31は複合型の非球面レンズである。後述の[レンズ諸元]において、面番号13がレンズ本体の物体側の面、面番号14がレンズ本体の像面側の面および樹脂層の物体側の面(両者が接合する面)、面番号15が樹脂層の像面側の面を示す。
【0092】
第4レンズ群G4は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凹形状の負レンズL41と両凸形状の正レンズL42とが接合された接合正レンズと、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL43と、像面側に平面を向けた平凹形状の負レンズL44と、から構成される。第4レンズ群G4の像側に、像面Iが配置される。
【0093】
以下の表3に、第3実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0094】
(表3)
[全体諸元]
f=36.050 FNO=1.442
ω=31.808 Y=20.358
TL=80.563 Bf=12.113
fA=175.868 fR=-103.535
fF1=100.040 fF2=50.621
fSa=175.868 fSr=38.887
fe=-55.498
[レンズ諸元]
面番号 R D nd νd
1 ∞ 1.000 1.48749 70.32
2 27.539 0.516
3 31.701 6.527 1.83481 42.73
4 -58.413 0.900 1.72825 28.38
5 142.453 2.116
6 ∞ (D6) (絞りS)
7 -23.996 0.900 1.59270 35.27
8 27.203 5.321 1.83481 42.73
9 403.040 0.124
10 75.848 5.128 1.83481 42.73
11 -58.068 0.100 1.56093 36.64
12* -54.564 (D12)
13 1598.814 5.843 1.75500 52.34
14 -40.976 0.100 1.56093 36.64
15* -38.468 (D15)
16 -119.723 1.000 1.72825 28.38
17 34.445 12.585 1.90265 35.73
18 -36.878 0.100
19 -43.561 2.607 1.84666 23.80
20 -236.442 4.820
21 -32.894 1.300 1.59270 35.27
22 ∞ Bf
[非球面データ]
第12面
κ=1.0000,A4=1.47674E-05,A6=-1.08656E-08,A8=8.95106E-12,A10=-3.68687E-15
第15面
κ=1.0000,A4=4.77686E-06,A6=1.19495E-08,A8=1.37062E-11,A10=3.29111E-14
[可変間隔データ]
無限遠合焦状態 近距離合焦状態
f=36.050 β=-0.03333
D0 ∞ 1081.803
D6 12.622 10.849
D12 3.342 4.228
D15 1.500 2.387
Bf 12.113 12.113
[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
G1 1 175.868
G2 7 100.040
G3 13 50.621
G4 16 -103.535
【0095】
図6(A)は、第3実施例に係る光学系の無限遠合焦時の諸収差図である。
図6(B)は、第3実施例に係る光学系の近距離合焦時の諸収差図である。各諸収差図より、第3実施例に係る光学系は、無限遠合焦時のみならず近距離合焦時においても、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。
【0096】
(第4実施例)
第4実施例について、
図7~
図8および表4を用いて説明する。
図7は、第4実施例に係る光学系のレンズ構成を示す図である。第4実施例に係る光学系OL(4)は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成される。無限遠物体から近距離物体への合焦の際、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3とが異なる軌跡(移動量)で光軸に沿って物体側へ移動し、隣り合う各レンズ群の間隔が変化する。なお、合焦の際、第1レンズ群G1および第4レンズ群G4は、像面Iに対して位置が固定される。
【0097】
開口絞りSは、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間に配設される。合焦の際、開口絞りSは、像面Iに対して位置が固定される。本実施例では、第1レンズ群G1が前群GAを構成し、第2レンズ群G2および第3レンズ群G3が中間群GMを構成し、第4レンズ群G4が後群GRを構成する。また、第2レンズ群G2が第1合焦レンズ群GF1に該当し、第3レンズ群G3が第2合焦レンズ群GF2に該当する。
【0098】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凹形状の負レンズL11と、両凸形状の正レンズL12と両凹形状の負レンズL13とが接合された接合正レンズと、から構成される。
【0099】
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凹形状の負レンズL21と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22とが接合された接合負レンズと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL23と、から構成される。正レンズL23は、ガラス製レンズ本体の像面側の面に樹脂層が設けられて構成されるハイブリッド型のレンズである。樹脂層の像面側の面が非球面であり、正レンズL23は複合型の非球面レンズである。後述の[レンズ諸元]において、面番号10がレンズ本体の物体側の面、面番号11がレンズ本体の像面側の面および樹脂層の物体側の面(両者が接合する面)、面番号12が樹脂層の像面側の面を示す。
【0100】
第3レンズ群G3は、両凸形状の正レンズL31から構成される。正レンズL31は、ガラス製レンズ本体の物体側の面に樹脂層が設けられて構成されるハイブリッド型のレンズである。樹脂層の物体側の面が非球面であり、正レンズL31は複合型の非球面レンズである。後述の[レンズ諸元]において、面番号13が樹脂層の物体側の面、面番号14が樹脂層の像面側の面およびレンズ本体の物体側の面(両者が接合する面)、面番号15がレンズ本体の像面側の面を示す。
【0101】
第4レンズ群G4は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凹形状の負レンズL41と両凸形状の正レンズL42とが接合された接合正レンズと、両凸形状の正レンズL43と、像面側に平面を向けた平凹形状の負レンズL44と、から構成される。負レンズL44は、物体側のレンズ面が非球面である。第4レンズ群G4の像側に、像面Iが配置される。
【0102】
以下の表4に、第4実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0103】
(表4)
[全体諸元]
f=35.112 FNO=1.442
ω=32.665 Y=20.478
TL=87.133 Bf=12.113
fA=168.367 fR=-123.746
fF1=-296.732 fF2=37.728
fSa=168.367 fSr=39.129
fe=-37.837
[レンズ諸元]
面番号 R D nd νd
1 -21747.283 1.000 1.53172 48.78
2 37.213 1.800
3 53.194 5.462 1.83481 42.73
4 -51.168 0.900 1.59270 35.27
5 894.133 3.497
6 ∞ (D6) (絞りS)
7 -24.253 0.900 1.59270 35.27
8 23.894 6.015 1.83481 42.73
9 349.058 1.946
10 -115.833 2.906 1.83481 42.73
11 -55.477 0.100 1.56093 36.64
12* -40.683 (D12)
13* 139.639 0.100 1.56093 36.64
14 80.671 9.768 1.75500 52.34
15 -36.240 (D15)
16 -322.798 1.000 1.59270 35.27
17 33.899 10.635 1.59319 67.90
18 -78.853 0.100
19 230.314 7.179 1.59319 67.90
20 -80.048 4.961
21* -24.506 1.300 1.64769 33.72
22 ∞ Bf
[非球面データ]
第12面
κ=1.0000,A4=3.42464E-05,A6=-5.39724E-08,A8=2.52868E-10,A10=-3.32459E-13
第13面
κ=1.0000,A4=1.71135E-05,A6=-8.07673E-08,A8=2.46375E-10,A10=-4.44487E-13
第21面
κ=1.0000,A4=1.44575E-05,A6=-9.35583E-09,A8=5.29043E-11,A10=-1.33663E-13
[可変間隔データ]
無限遠合焦状態 近距離合焦状態
f=35.112 β=-0.03333
D0 ∞ 1046.815
D6 11.400 10.396
D12 2.551 2.350
D15 1.500 2.704
Bf 12.113 12.113
[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
G1 1 168.367
G2 7 -296.732
G3 13 37.728
G4 16 -123.746
【0104】
図8(A)は、第4実施例に係る光学系の無限遠合焦時の諸収差図である。
図8(B)は、第4実施例に係る光学系の近距離合焦時の諸収差図である。各諸収差図より、第4実
施例に係る光学系は、無限遠合焦時のみならず近距離合焦時においても、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。
【0105】
次に、[条件式対応値]の表を下記に示す。この表には、各条件式(1)~(11)に対応する値を、全実施例(第1~第4実施例)について纏めて示す。
条件式(1) 0.09<fF2/fA<0.40
条件式(2) 0.10<fA/|fF1|<3.00
条件式(3) 0.05<fSr/fSa<1.50
条件式(4) 0.10<(-fR)/fF2<6.00
条件式(5) 0.30<|fF1|/(-fR)<6.00
条件式(6) 0.10<fA/(-fR)<4.00
条件式(7) 0.01<fF2/|fF1|<3.00
条件式(8) 0.50<Y/Bf<4.00
条件式(9) 1.00<f/Bf<6.00
条件式(10) 0.80<TL/f<6.00
条件式(11) 0.10<fe/fR<0.90
【0106】
[条件式対応値](第1~第4実施例)
条件式 第1実施例 第2実施例 第3実施例 第4実施例
(1) 0.277 0.296 0.288 0.224
(2) 1.029 1.018 1.758 0.567
(3) 0.268 0.314 0.221 0.232
(4) 1.649 1.519 2.045 3.280
(5) 2.126 2.184 0.966 2.398
(6) 2.188 2.224 1.699 1.361
(7) 0.285 0.301 0.506 0.127
(8) 1.682 1.768 1.681 1.691
(9) 2.976 4.004 2.976 2.899
(10) 2.321 1.903 2.235 2.482
(11) 0.696 6.125 0.536 0.306
【0107】
上記各実施例によれば、小型でありながら、明るくて良好な光学性能を有する光学系を実現することができる。
【0108】
上記各実施例は本願発明の一具体例を示しているものであり、本願発明はこれらに限定されるものではない。
【0109】
以下の内容は、本実施形態の光学系の光学性能を損なわない範囲で適宜採用することが可能である。
【0110】
本実施形態の光学系の実施例として4群構成のものを示したが、本願はこれに限られず、その他の群構成(例えば、5群、6群、7群等)の光学系を構成することもできる。具体的には、本実施形態の光学系の最も物体側や最も像面側に、レンズ又はレンズ群を追加した構成でも構わない。本実施形態の光学系の中間群における第1合焦レンズ群と第2合焦レンズ群との間に、レンズ又はレンズ群を追加した構成でも構わない。なお、レンズ群とは、合焦時に変化する空気間隔で分離された、少なくとも1枚のレンズを有する部分を示す。
【0111】
レンズ群または部分レンズ群を光軸に垂直な方向の成分を持つように移動させ、または、光軸を含む面内方向に回転移動(揺動)させて、手ブレによって生じる像ブレを補正す
る防振レンズ群としても良い。
【0112】
レンズ面は、球面または平面で形成されても、非球面で形成されても構わない。レンズ面が球面または平面の場合、レンズ加工および組立調整が容易になり、加工および組立調整の誤差による光学性能の劣化を防げるので好ましい。また、像面がずれた場合でも描写性能の劣化が少ないので好ましい。
【0113】
レンズ面が非球面の場合、非球面は、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に形成したガラスモールド非球面、ガラスの表面に樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれでも構わない。また、レンズ面は回折面としても良く、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)あるいはプラスチックレンズとしても良い。
【0114】
開口絞りは、前群を構成する第1レンズ群と、中間群を構成する第2レンズ群との間に配置されるのが好ましいが、開口絞りとしての部材を設けずに、レンズの枠でその役割を代用しても良い。また、開口絞りの像面側に対向して第1合焦レンズ群が配置されてもよい。
【0115】
各レンズ面には、フレアやゴーストを軽減し、コントラストの高い光学性能を達成するために、広い波長域で高い透過率を有する反射防止膜を施しても良い。