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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137089
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】スライドドア給電装置
(51)【国際特許分類】
   H02G 11/00 20060101AFI20230922BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
H02G11/00
B60R16/02 620C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043106
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】竿谷 尚志
(72)【発明者】
【氏名】奥村 政宏
【テーマコード(参考)】
5G371
【Fターム(参考)】
5G371AA01
5G371BA01
5G371CA03
(57)【要約】
【課題】電気ケーブルの湾曲部分が自重によって下方側に変位することを抑制できるスライドドア給電装置を提供する。
【解決手段】スライドドア給電装置1は、車体100とスライドドア200の間に架け渡される電気ケーブル2と、車体100に固定されて電気ケーブル2の一端側を保持する車体側保持部3と、スライドドア200に固定されて電気ケーブル2の他端側を保持するスライドドア側保持部4とを有している。そして、電気ケーブル2は、車体側保持部3からスライドドア側保持部4までの間に湾曲部分2Bが形成されており、スライドドア側保持部4には、電気ケーブル2における湾曲部分2Bに対して鉛直方向の力Fuが作用するように電気ケーブル2を保持するケーブル保持構造(ケーブル収容部41)が設けられたものである。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体からスライドドアに組み込まれた電装部品に対して給電を行うスライドドア給電装置であって、
前記車体と前記スライドドアの間に架け渡される電気ケーブルと、
前記車体に固定されて前記電気ケーブルの一端側を保持する車体側保持部と、
前記スライドドアに固定されて前記電気ケーブルの他端側を保持するスライドドア側保持部とを有し、
前記電気ケーブルは、前記車体側保持部から前記スライドドア側保持部までの間に湾曲部分が形成されており、
前記車体側保持部及び前記スライドドア側保持部の少なくとも一方には、前記電気ケーブルにおける前記湾曲部分に対して鉛直方向の力が作用するように前記電気ケーブルを保持するケーブル保持構造が設けられた
スライドドア給電装置。
【請求項2】
前記電気ケーブルの長手方向に対する垂直断面が水平方向に短く上下方向に長い形状とされ、
前記ケーブル保持構造は、前記電気ケーブルにおける前記湾曲部分の内周面につながる面を斜め上方側に向けて傾倒した傾倒姿勢で当該電気ケーブルを保持する
請求項1に記載のスライドドア給電装置。
【請求項3】
前記スライドドア側保持部における前記ケーブル保持構造から車体前側に向かった後に車体内側まわりで車体後側に向かうように前記電気ケーブルが湾曲して前記湾曲部分が形成されており、
前記ケーブル保持構造は、前記電気ケーブルにおける車体内側の面を斜め上方側に向けて傾倒した傾倒姿勢で当該電気ケーブルを保持する
請求項2に記載のスライドドア給電装置。
【請求項4】
前記車体側保持部における前記ケーブル保持構造から車体外側に向かった後に車体前側に向かうように電気ケーブルが湾曲して前記湾曲部分が形成されており、
前記ケーブル保持構造は、前記電気ケーブルにおける車体前側の面を斜め上方側に向けて傾倒した傾倒姿勢で当該電気ケーブルを保持する
請求項2に記載のスライドドア給電装置。
【請求項5】
前記ケーブル保持構造から水平方向に対して斜め上方側となる傾斜角度で前記電気ケーブルを延出する
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のスライドドア給電装置。
【請求項6】
前記ケーブル保持構造を有するケーブルホルダーが備えられ、
前記ケーブルホルダーを傾けた状態で被取付部に取付可能とした
請求項5に記載のスライドドア給電装置。
【請求項7】
前記電気ケーブルがフレキシブルフラットケーブルで構成された
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のスライドドア給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スライドドアに組み込まれた電装部品に対して給電を行うスライドドア給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車のスライドドアには、パワーウインドウ用モーターやオーディオ用スピーカー等の電装部品が組み込まれている。そのため、これらの電装部品に対して給電を行うスライドドア給電装置が存在している(特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
このようなスライドドア給電装置は、車体とスライドドアの間に架け渡される電気ケーブルと、車体に固定されて電気ケーブルの一端側を保持する車体側保持部と、スライドドアに固定されて電気ケーブルの他端側を保持するスライドドア側保持部とを有している。
【0004】
ところで、スライドドアの移動に伴って車体側保持部とスライドドア側保持部の相対距離が近づいた際には、電気ケーブルの緊張状態が緩むため、電気ケーブルの中途部分が垂れ下がってしまうという問題があった。つまりは、電気ケーブルの中途部分が自重によって下方側に変位してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-158065号公報
【特許文献2】特開2020-137396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、電気ケーブルの中途部分が自重によって下方側に変位することを抑制できるスライドドア給電装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は、車体からスライドドアに組み込まれた電装部品に対して給電を行うスライドドア給電装置であって、前記車体と前記スライドドアの間に架け渡される電気ケーブルと、前記車体に固定されて前記電気ケーブルの一端側を保持する車体側保持部と、前記スライドドアに固定されて前記電気ケーブルの他端側を保持するスライドドア側保持部とを有し、前記電気ケーブルは、前記車体側保持部から前記スライドドア側保持部までの間に湾曲部分が形成されており、前記車体側保持部及び前記スライドドア側保持部の少なくとも一方には、前記電気ケーブルにおける前記湾曲部分に対して鉛直方向の力が作用するように前記電気ケーブルを保持するケーブル保持構造が設けられたものである。
【0008】
この発明により、電気ケーブルの中途部分が自重によって下方側に変位することを抑制できる。
詳述すると、本願発明に係るスライドドア給電装置において、電気ケーブルは、車体側保持部からスライドドア側保持部までの間に湾曲部分が形成されており、車体側保持部及びスライドドア側保持部の少なくとも一方には、電気ケーブルにおける湾曲部分に対して鉛直方向の力が作用するように電気ケーブルを保持するケーブル保持構造が設けられている。そのため、電気ケーブルの中途部分に作用する重力を鉛直方向の力によって打ち消すことができる。したがって、電気ケーブルの中途部分が自重によって下方側に変位することを抑制できる。
【0009】
この発明の態様として、前記電気ケーブルの長手方向に対する垂直断面が水平方向に短く上下方向に長い形状とされ、前記ケーブル保持構造は、前記電気ケーブルにおける前記湾曲部分の内周面につながる面を斜め上方側に向けて傾倒した傾倒姿勢で当該電気ケーブルを保持してもよい。
【0010】
この発明により、ケーブル保持構造から延出された電気ケーブルに所定方向の捩り荷重を作用させることが可能となる。すると、ケーブル保持構造から延出された電気ケーブルの延出方向に沿う軸を中心として電気ケーブルの湾曲部分に下方側から上方側に向かう鉛直方向の力が作用することとなる。そのため、電気ケーブルの中途部分に作用する重力を鉛直方向の力によって打ち消すことができる。したがって、電気ケーブルの中途部分が自重によって下方側に変位することを抑制できる。
【0011】
またこの発明の態様として、スライドドア側保持部における前記ケーブル保持構造から車体前側に向かった後に車体内側まわりで車体後側に向かうように前記電気ケーブルが湾曲して前記湾曲部分が形成されており、前記ケーブル保持構造は、前記電気ケーブルにおける前記車体内側の面を斜め上方側に向けて傾倒した傾倒姿勢で当該電気ケーブルを保持してもよい。
【0012】
この発明により、スライドドア側保持部におけるケーブル保持構造から延出された電気ケーブルに対し、車体前側から視て時計方向の捩り荷重を作用させることが可能となる。すると、ケーブル保持構造から延出された電気ケーブルの延出方向に沿う軸を中心として電気ケーブルの湾曲部分に下方側から上方側に向かう鉛直方向の力が作用することとなる。そのため、電気ケーブルの中途部分に作用する重力を鉛直方向の力によって打ち消すことができる。したがって、電気ケーブルの中途部分が自重によって下方側に変位することを抑制できる。
【0013】
またこの発明の態様として、前記車体側保持部における前記ケーブル保持構造から車体外側に向かった後に車体前側に向かうように前記電気ケーブルが湾曲して前記湾曲部分が形成されており、前記ケーブル保持構造は、前記電気ケーブルにおける前記車体前側の面を斜め上方側に向けて傾倒した傾倒姿勢で当該電気ケーブルを保持してもよい。
【0014】
この発明により、車体側保持部におけるケーブル保持構造から延出された電気ケーブルに対し、車体外側から視て時計方向の捩り荷重を作用させることが可能となる。すると、ケーブル保持構造から延出された電気ケーブルの延出方向に沿う軸を中心として電気ケーブルの湾曲部分に下方側から上方側に向かう鉛直方向の力が作用することとなる。そのため、電気ケーブルの中途部分に作用する重力を鉛直方向の力によって打ち消すことができる。したがって、電気ケーブルの中途部分が自重によって下方側に変位することを抑制できる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記ケーブル保持構造から水平方向に対して斜め上方側となる傾斜角度で前記電気ケーブルを延出してもよい。
この発明により、ケーブル保持構造から電気ケーブルを斜め上方側に向かって延出させて架け渡すことができる。そのため、電気ケーブルの中途部分が自重によって下方側に変位しても、かかる変位量を相殺できる。したがって、電気ケーブルの中途部分が自重によって下方側に変位することを抑制できる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記ケーブル保持構造を有するケーブルホルダーが備えられ、前記ケーブルホルダーを傾けた状態で被取付部に取付可能としてもよい。
この発明により、簡素な構成でありながら電気ケーブルを斜め上方側に向かって延出させて架け渡すことができる。そのため、電気ケーブルの中途部分が自重によって下方側に変位しても、かかる変位量を相殺できる。したがって、電気ケーブルの中途部分が自重によって下方側に変位することを抑制できる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記電気ケーブルがフレキシブルフラットケーブルで構成されてもよい。
なお、フレキシブルフラットケーブルは、一枚又は複数枚を重ね合わせた態様で使用される。
【0018】
この発明により、電気ケーブルの許容曲げ半径が小さくなる。したがって、電気ケーブルの湾曲部分に過大な負荷が作用することを防止できる。また、フレキシブルフラットケーブルは、導電体を覆うシート状の絶縁体が高い弾性を有するため、その反発力によって十分な鉛直方向の力を発揮させることが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本願発明によれば、電気ケーブルの中途部分が自重によって下方側に変位することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】スライドドア給電装置の斜視図。
図2】車体側保持部を前方斜め上方側から視た斜視図。
図3】スライドドア側保持部を前方斜め上方側から視た斜視図。
図4】ケーブルホルダーを前方斜め上方側から視た斜視図。
図5図4における矢印V1の方向から視たケーブルホルダーの平面図。
図6図4における矢印V2の方向から視たケーブルホルダーの正面図。
図7】電気ケーブルの架渡経路を示す平面図ならびに正面図。
図8】車体側保持部を前方斜め上方側から視た斜視図。
図9】電気ケーブルの架渡経路を示す平面図ならびに正面図。
図10図1における矢印V3の方向から視た車体側保持部に相当する正面図。
図11図1における矢印V4の方向から視たスライドドア側保持部に相当する側面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明の第一実施形態に係るスライドドア給電装置1について詳述する。
本願においては、全ての図面で車体100の方向を示している。詳しくは、矢印Fが車体前側を示し、矢印Bが車体後側を示し、矢印Eが車体外側を示し、矢印Iが車体内側を示している。そして、矢印Uが上方側を示し、矢印Dが下方側を示している。加えて、前後方向をX、左右方向をY、上下方向をZとして説明する。
【0022】
図1はスライドドア給電装置1の斜視図である。図1においては、電気ケーブル2を構成するフレキシブルフラットケーブル21が見えるようにケーブル外装部材22の一部を切り欠いた状態としている。図2は車体側保持部3を前方斜め上方側から視た斜視図である。
【0023】
また、図3はスライドドア側保持部4を前方斜め上方側から視た斜視図である。図4はケーブルホルダー40を前方斜め上方側から視た斜視図であり、図5図4における矢印V1の方向から視たケーブルホルダー40の平面図であり、図6図4における矢印V2の方向から視たケーブルホルダーの正面図である。そして、図7は電気ケーブル2の架渡経路を示す平面図ならびに正面図である。
【0024】
図1に示すように、本願発明に係るスライドドア給電装置1は、車体100からスライドドア200に組み込まれた電装部品に対して給電を行うものである。スライドドア給電装置1は、電気ケーブル2と、車体側保持部3と、スライドドア側保持部4とを有している。
【0025】
電気ケーブル2は、車体100とスライドドア200の間に架け渡される。電気ケーブル2は、複数枚のフレキシブルフラットケーブル(以降FFCという)21を重ね合わせたものであり、それぞれのFFC21は、平行に並べた帯状の導電体をシート状の絶縁体で挟み込んだ構造とされている。このようなFFC21の束は、可撓性を有するケーブル外装部材22によって覆われている。なお、電気ケーブル2の垂直断面は、水平方向(前後方向X及び左右方向Yで規定される方向)に短く上下方向Zに長い形状とされる。
【0026】
車体側保持部3は、車体100に固定されて電気ケーブル2の一端側を保持する。車体側保持部3は、車体100のフロアパネル101に固定されるケーブルホルダー30を有している。ケーブルホルダー30には、電気ケーブル2と車体100側の電源ケーブルとを接続するコネクタユニット5が取り付けられている。本実施形態に係るスライドドア給電装置1においては、電源ケーブルがコネクタユニット5から延出した中継ケーブル71に接続される。なお、ケーブルホルダー30については、以下に簡単に説明する。
【0027】
図2に示すように、ケーブルホルダー30には、ケーブル収容部31とコネクタユニット収容部32が車体100の左右方向Yに並べて設けられている。また、ケーブルホルダー30には、ケーブル曲げ規制部33とフロアパネル取付部34,35が設けられている。
【0028】
ケーブル収容部31は、電気ケーブル2を収容するケーブル収容空間31Sが設けられた部位を指し、コネクタユニット収容部32は、コネクタユニット5を収容するコネクタユニット収容空間32Sが設けられた部位を指す。また、ケーブル曲げ規制部33は、スライドドア200が全閉状態となる際に、かかるスライドドア200によって車体前側Fに引かれた電気ケーブル2の湾曲部分2Bbの形状を規制する部位を指す。そして、フロアパネル取付部34,35は、ケーブルホルダー40をフロアパネル101に取り付けるための部位を指す。
【0029】
スライドドア側保持部4は、スライドドア200に固定されて電気ケーブル2の他端側を保持する。スライドドア側保持部4は、スライドドア200のインナーパネル201に固定されるケーブルホルダー40を有している。ケーブルホルダー40には、電気ケーブル2とスライドドア200側の電装ケーブルとを接続するコネクタユニット6が取り付けられている。本実施形態に係るスライドドア給電装置1においては、電装ケーブルがコネクタユニット6から延出した中継ケーブル72に接続される。なお、ケーブルホルダー40については、以下に詳しく説明する。
【0030】
図3から図6に示すように、ケーブルホルダー40には、ケーブル収容部41とコネクタユニット収容部42が車体100の前後方向Xに並べて設けられている。また、ケーブルホルダー40には、ケーブル曲げ規制部43とインナーパネル取付部44,45が設けられている。
【0031】
ケーブル収容部41は、電気ケーブル2を収容する部位を指す。換言すると、ケーブル収容部41は、電気ケーブル2を収容するケーブル収容空間41Sが設けられた部位を指す。ケーブル収容空間41Sは、上方側Uに向かって開放されており、組立作業においては、この開放端から電気ケーブル2が嵌め込まれる。
【0032】
ケーブル収容部41は、ケーブルホルダー40における前後方向Xの前端部分から中途部分までに設けられている。ケーブル収容部41は、一対の側板部411と、各側板部411の下方側Dの端部同士をつなぐ底板部412とを有している。また、ケーブル収容部41は、車体前側Fに向かって開口するケーブル挿通孔41aと、このケーブル挿通孔41aに対して対向する後壁部414とを有している。
【0033】
加えて、ケーブル収容部41には、それぞれの側板部411から対向する側板部411に向かって突出する係止部415が設けられている。換言すると、ケーブル収容部41には、ケーブル収容空間41Sに収容された電気ケーブル2に向かって突出する係止部415が設けられている。これらの係止部415は、ケーブル外装部材22における凹溝部分に入り込んで嵌合する。したがって、ケーブル収容部41は、ケーブル保持構造として機能する。
【0034】
さらに加えて、ケーブル収容部41には、一対の側板部411のそれぞれに沿って結束バンド91(図3参照)を挿通可能とする挿通孔41hが形成されている。そのため、電気ケーブル2は、ケーブル収容空間41Sに収容された状態で、結束バンド91によって巻き留められる。こうして、ケーブル収容部41は、電気ケーブル2がガタついたり位置がズレたり、あるいはケーブル収容空間41Sから引き出されたりすることを防止している。
【0035】
コネクタユニット収容部42は、コネクタユニット6を収容する部位を指す。換言すると、コネクタユニット収容部42は、コネクタユニット6を収容するコネクタユニット収容空間42Sが設けられた部位を指す。コネクタユニット収容空間42Sは、上方側Uに向かって開放されており、組立作業においては、この開放端からコネクタユニット6が嵌め込まれる。
【0036】
コネクタユニット収容部42は、ケーブルホルダー40における前後方向Xの中途部分から後端部分までに設けられている。コネクタユニット収容部42は、一対の側板部421と、各側板部421の下方側Dの端部同士をつなぐ底板部422とを有している。また、コネクタユニット収容部42は、ケーブル収容部41の後壁部414よりも車体後側Bに位置する前壁部423と、この前壁部423に対して対向する後壁部424とを有している。
【0037】
加えて、コネクタユニット収容部42には、後壁部424を上下方向Zに連通するとともに底板部422を前後方向Xの中途部分まで切り欠いた切り欠き部42nが設けられている。そして、前壁部423における切り欠き部42nから車体前側Fに向かった延長線上の位置にコネクタユニット6を固定するための固定爪42fや固定溝42gが設けられている。したがって、コネクタユニット収容部42は、コネクタユニット保持構造として機能する。
【0038】
さらに加えて、コネクタユニット収容部42には、前壁部423に沿って結束バンド92(図3参照)を挿通可能とする挿通孔42hが形成されている。そのため、コネクタユニット6は、コネクタユニット収容空間42Sに収容された状態で、結束バンド92によって巻き留められる。こうして、コネクタユニット収容部42は、コネクタユニット6がガタついたり位置がズレたり、あるいはコネクタユニット収容空間42Sから引き出されたりすることを防止している。
【0039】
ケーブル曲げ規制部43は、電気ケーブル2における湾曲部分2Baの形状を規制する部位を指す。詳しく説明すると、ケーブル曲げ規制部43は、スライドドア200が全閉状態となる際に、かかるスライドドア200によって車体前側Fに引かれた電気ケーブル2の湾曲部分2Ba(図1及び図7参照)の形状を規制する部位を指す。ケーブル曲げ規制部43の円弧面43sは、前述したケーブル収容空間41Sを構成する側板部411に段差なくつながっている。
【0040】
ケーブル曲げ規制部43は、ケーブル収容部41における車体内側Iの前端部分に設けられている。ケーブル曲げ規制部43は、電気ケーブル2の許容曲げ半径よりも大きな半径にて形成された半円筒状部分であり、電気ケーブル2の湾曲部分2Baが円弧面43sに沿って巻き掛かることとなる。こうして、ケーブルホルダー40は、スライドドア200が全閉状態となる際に、電気ケーブル2が局所的に曲げられることを防止し、ひいては電気ケーブル2に大きな負荷が作用することを防止している。
【0041】
インナーパネル取付部44は、ケーブルホルダー40の前端部分をインナーパネル201に取り付けるための部位を指す。インナーパネル取付部44は、ケーブル収容部41を構成する車体外側Eの側板部411から上方側Uに向かって延設されており、その中央部分にボルト座部441が形成されている。ボルト座部441には、左右方向Yに貫通する貫通孔が形成されており、この貫通孔に取付ボルトを挿通することができる。
【0042】
インナーパネル取付部45は、ケーブルホルダー40の後端部分をインナーパネル201に取り付けるための部位を指す。インナーパネル取付部45は、コネクタユニット収容部42を構成する車体外側Eの側板部421から車体後側Bに向かって延設されており、その中央部分にファスナー座部451が形成されている。ファスナー座部451には、左右方向Yに貫通する貫通孔が形成されており、この貫通孔につながる案内溝を介してファスナー452が嵌め込まれている。
【0043】
ところで、これらインナーパネル取付部44,45は、ケーブル収容空間41Sの開放端側から底板部412に向かう方向の中心軸C(図6及び図7参照)に対して平行ではない所定の角度で傾斜している。また、これらインナーパネル取付部44,45は、コネクタユニット収容空間42Sの開放端側から底板部422に向かう方向の中心軸(図示せず)に対しても同様の角度で傾斜している。但し、ケーブル収容空間41Sのみが傾斜するよう構成されていてもよい。本実施形態に係るスライドドア給電装置1においては、様々な実験により見出された15度の角度で傾斜している。
【0044】
このような構成により、図7に示すように、ケーブルホルダー40がインナーパネル201に取り付けられた状態においては、ケーブル収容部41が上下方向Zに対して15度の角度で傾くこととなる。そのため、ケーブル保持構造として機能するケーブル収容部41は、電気ケーブル2における湾曲部分2Baの内周面につながる面2sを斜め上方側に向けて傾倒した傾倒姿勢で保持できる。換言すると、ケーブル収容部41は、電気ケーブル2における車体内側Iの面2sを斜め上方側に向けて傾倒した傾倒姿勢で保持できる。
【0045】
したがって、ケーブル収容部41のケーブル挿通孔41aから延出された電気ケーブル2に対し、車体前側Fから視て時計方向の捩り荷重Ftを作用させることが可能となる。すると、ケーブル保持構造から延出された電気ケーブル2の延出方向に沿う軸Aを中心として電気ケーブル2の湾曲部分2Baに下方側Dから上方側Uに向かう鉛直方向の力Fuが作用することとなる。こうして、電気ケーブル2の中途部分に作用する重力Gを鉛直方向の力Fuによって打ち消すことができるのである。
【0046】
以上のように、第一実施形態に係るスライドドア給電装置1は、車体100からスライドドア200に組み込まれた電装部品に対して給電を行うものである。スライドドア給電装置1は、車体100とスライドドア200の間に架け渡される電気ケーブル2と、車体100に固定されて電気ケーブル2の一端側を保持する車体側保持部3と、スライドドア200に固定されて電気ケーブル2の他端側を保持するスライドドア側保持部4とを有している。そして、電気ケーブル2は、車体側保持部3からスライドドア側保持部4までの間に湾曲部分2Ba,2Bbが形成されており、スライドドア側保持部4には、電気ケーブル2における湾曲部分2Baに対して鉛直方向の力Fuが作用するように電気ケーブル2を保持するケーブル保持構造(ケーブル収容部41)が設けられたものである。
【0047】
このようなスライドドア給電装置1によれば、電気ケーブル2の中途部分が自重によって下方側Dに変位することを抑制できる。
詳述すると、本願発明に係るスライドドア給電装置1において、電気ケーブル2は、車体側保持部3からスライドドア側保持部4までの間に湾曲部分2Ba,2Bbが形成されており、スライドドア側保持部4には、電気ケーブル2における湾曲部分2Baに対して鉛直方向の力Fuが作用するように電気ケーブル2を保持するケーブル保持構造(ケーブル収容部41)が設けられている。そのため、電気ケーブル2の中途部分に作用する重力Gを鉛直方向の力Fuによって打ち消すことができる。したがって、電気ケーブル2の中途部分が自重によって下方側Dに変位することを抑制できる。
【0048】
また、第一実施形態に係るスライドドア給電装置1においては、電気ケーブル2の長手方向に対する垂直断面が水平方向(前後方向X及び左右方向Yで規定される方向)に短く上下方向Zに長い形状とされ、ケーブル保持構造(ケーブル収容部41)は、電気ケーブル2における湾曲部分2Ba,2Bbの内周面につながる面2sを斜め上方側に向けて傾倒した傾倒姿勢で電気ケーブル2を保持している。
【0049】
このようなスライドドア給電装置1によれば、ケーブル保持構造(ケーブル収容部41)から延出された電気ケーブル2に所定方向の捩り荷重Ftを作用させることが可能となる。すると、ケーブル保持構造(ケーブル収容部41)から延出された電気ケーブル2の延出方向に沿う軸Aを中心として電気ケーブル2の湾曲部分2Ba,2Bbに下方側Dから上方側Uに向かう鉛直方向の力Fuが作用することとなる。そのため、電気ケーブル2の中途部分に作用する重力Gを鉛直方向の力Fuによって打ち消すことができる。したがって、電気ケーブル2の中途部分が自重によって下方側Dに変位することを抑制できる。
【0050】
また、第一実施形態に係るスライドドア給電装置1においては、スライドドア側保持部4におけるケーブル保持構造(ケーブル収容部41)から車体前側Fに向かった後に車体内側Iまわりで車体後側Bに向かうように電気ケーブル2が湾曲して湾曲部分2Baが形成されており、ケーブル保持構造(ケーブル収容部41)は、電気ケーブル2における車体内側Iの面2sを斜め上方側に向けて傾倒した傾倒姿勢で電気ケーブル2を保持している。
【0051】
このようなスライドドア給電装置1によれば、スライドドア側保持部4におけるケーブル保持構造(ケーブル収容部41)から延出された電気ケーブル2に対し、車体前側Fから視て時計方向の捩り荷重Ftを作用させることが可能となる。すると、ケーブル保持構造(ケーブル収容部41)から延出された電気ケーブル2の延出方向に沿う軸Aを中心として電気ケーブル2の湾曲部分2Bに下方側Dから上方側Uに向かう鉛直方向の力Fuが作用することとなる。そのため、電気ケーブル2の中途部分に作用する重力Gを鉛直方向の力Fuによって打ち消すことができる。したがって、電気ケーブル2の中途部分が自重によって下方側Dに変位することを抑制できる。
【0052】
また、第一実施形態に係るスライドドア給電装置1においては、電気ケーブル2がFFC21で構成されている。
このようなスライドドア給電装置1によれば、電気ケーブル2の許容曲げ半径が小さくなる。したがって、電気ケーブル2の湾曲部分2Ba,2Bbに過大な負荷が作用することを防止できる。また、FFC21は、導電体を覆うシート状の絶縁体が高い弾性を有するため、その反発力によって十分な鉛直方向の力Fuを発揮させることが可能となる。
【0053】
次に、この発明の第二実施形態に係るスライドドア給電装置1について説明する。図8は車体側保持部3を前方斜め上方側から視た斜視図である。そして、図9は電気ケーブル2の架渡経路を示す平面図ならびに正面図である。ここでは、ケーブルホルダー30について、以下に詳しく説明する。
【0054】
図8に示すように、ケーブルホルダー30には、ケーブル収容部31とコネクタユニット収容部32が車体100の左右方向Yに並べて設けられている。また、ケーブルホルダー30には、ケーブル曲げ規制部33とフロアパネル取付部34,35が設けられている。
【0055】
ケーブル収容部31は、電気ケーブル2を収容するケーブル収容空間31Sが設けられた部位を指す。そのため、ケーブル収容部31は、ケーブル保持構造として機能する。なお、ケーブル収容部31は、図示しないカバーを装着することにより、電気ケーブル2がガタついたり位置がズレたり、あるいはケーブル収容空間31Sから引き出されたりすることを防止している。
【0056】
コネクタユニット収容部32は、コネクタユニット5を収容するコネクタユニット収容空間32Sが設けられた部位を指す。そのため、コネクタユニット収容部32は、コネクタユニット保持構造として機能する。なお、コネクタユニット収容部32は、結束バンド93に巻き留められることにより、コネクタユニット5がガタついたり位置がズレたり、あるいはコネクタユニット収容空間32Sから引き出されたりすることを防止している。
【0057】
ケーブル曲げ規制部33は、スライドドア200が全閉状態となる際に、かかるスライドドア200によって車体前側Fに引かれた電気ケーブル2の湾曲部分2Bbの形状を規制する部位を指す。そのため、ケーブルホルダー30は、スライドドア200が全閉状態となる際に、電気ケーブル2が局所的に曲げられることを防止し、ひいては電気ケーブル2に大きな負荷が作用することを防止している。
【0058】
フロアパネル取付部34,35は、ケーブルホルダー30をフロアパネル101に取り付けるための部位を指す。フロアパネル取付部34のボルト座部341には、上下方向Zに貫通する貫通孔が形成されており、この貫通孔に取付ボルトを挿通することができる。フロアパネル取付部35のファスナー座部351には、下方側に向かって突出する一対の係止爪が設けられており、これら係止爪に沿うようにしてファスナー352が嵌め込まれている。
【0059】
ところで、これらフロアパネル取付部34,35は、ケーブル収容空間31Sの開放端側から底板部312に向かう方向の中心軸C(図9参照)に対して垂直ではない所定の角度で傾斜している。また、これらフロアパネル取付部35,36は、コネクタユニット収容空間32Sの開放端側から底板部に向かう方向の中心軸(図示せず)に対しても同様の角度で傾斜している。但し、ケーブル収容空間31Sのみが傾斜するよう構成されていてもよい。本実施形態に係るスライドドア給電装置1においては、様々な実験により見出された15度の角度で傾斜している。
【0060】
このような構成により、図9に示すように、ケーブルホルダー30がフロアパネル101に取り付けられた状態においては、ケーブル収容部31が上下方向Zに対して15度の角度で傾くこととなる。そのため、ケーブル保持構造として機能するケーブル収容部31は、電気ケーブル2における湾曲部分2Bbの内周面につながる面2sを斜め上方側に向けて傾倒した傾倒姿勢で保持できる。換言すると、ケーブル収容部31は、電気ケーブル2における車体前側Fの面2sを斜め上方側に向けて傾倒した傾倒姿勢で保持できる。
【0061】
したがって、ケーブル収容部31のケーブル挿通孔31aから延出された電気ケーブル2に対し、車体外側Eから視て時計方向の捩り荷重Ftを作用させることが可能となる。すると、ケーブル保持構造から延出された電気ケーブル2の延出方向に沿う軸Aを中心として電気ケーブル2の湾曲部分2Bbに下方側Dから上方側Uに向かう鉛直方向の力Fuが作用することとなる。こうして、電気ケーブル2の中途部分に作用する重力Gを鉛直方向の力Fuによって打ち消すことができるのである。
【0062】
以上のように、第二実施形態に係るスライドドア給電装置1は、車体100からスライドドア200に組み込まれた電装部品に対して給電を行うものである。スライドドア給電装置1は、車体100とスライドドア200の間に架け渡される電気ケーブル2と、車体100に固定されて電気ケーブル2の一端側を保持する車体側保持部3と、スライドドア200に固定されて電気ケーブル2の他端側を保持するスライドドア側保持部4とを有している。そして、電気ケーブル2は、車体側保持部3からスライドドア側保持部4までの間に湾曲部分2Ba,2Bbが形成されており、車体側保持部3には、電気ケーブル2における湾曲部分2Bbに対して鉛直方向の力Fuが作用するように電気ケーブル2を保持するケーブル保持構造(ケーブル収容部31)が設けられたものである。
【0063】
このようなスライドドア給電装置1によれば、電気ケーブル2の中途部分が自重によって下方側Dに変位することを抑制できる。
詳述すると、本願発明に係るスライドドア給電装置1において、電気ケーブル2は、車体側保持部3からスライドドア側保持部4までの間に湾曲部分2Ba,2Bbが形成されており、車体側保持部3には、電気ケーブル2における湾曲部分2Bbに対して鉛直方向の力Fuが作用するように電気ケーブル2を保持するケーブル保持構造(ケーブル収容部31)が設けられている。そのため、電気ケーブル2の中途部分に作用する重力Gを鉛直方向の力Fuによって打ち消すことができる。したがって、電気ケーブル2の中途部分が自重によって下方側Dに変位することを抑制できる。
【0064】
また、第二実施形態に係るスライドドア給電装置1においては、電気ケーブル2の長手方向に対する垂直断面が水平方向(前後方向X及び左右方向Yで規定される方向)に短く上下方向Zに長い形状とされ、ケーブル保持構造(ケーブル収容部31)は、電気ケーブル2における湾曲部分2Ba,2Bbの内周面につながる面2sを斜め上方側に向けて傾倒した傾倒姿勢で電気ケーブル2を保持している。
【0065】
このようなスライドドア給電装置1によれば、ケーブル保持構造(ケーブル収容部31)から延出された電気ケーブル2に所定方向の捩り荷重Ftを作用させることが可能となる。すると、ケーブル保持構造(ケーブル収容部31)から延出された電気ケーブル2の延出方向に沿う軸Aを中心として電気ケーブル2の湾曲部分2Ba,2Bbに下方側Dから上方側Uに向かう鉛直方向の力Fuが作用することとなる。そのため、電気ケーブル2の中途部分に作用する重力Gを鉛直方向の力Fuによって打ち消すことができる。したがって、電気ケーブル2の中途部分が自重によって下方側Dに変位することを抑制できる。
【0066】
また、第二実施形態に係るスライドドア給電装置1においては、車体側保持部3におけるケーブル保持構造(ケーブル収容部31)から車体外側Eに向かった後に車体前側Fに向かうように電気ケーブル2が湾曲して湾曲部分2Bbが形成されており、ケーブル保持構造(ケーブル収容部31)は、電気ケーブル2における車体前側Fの面2sを斜め上方側に向けて傾倒した傾倒姿勢で電気ケーブル2を保持している。
【0067】
このようなスライドドア給電装置1によれば、車体側保持部3におけるケーブル保持構造(ケーブル収容部31)から延出された電気ケーブル2に対し、車体外側Eから視て時計方向の捩り荷重Ftを作用させることが可能となる。すると、ケーブル保持構造(ケーブル収容部31)から延出された電気ケーブル2の延出方向に沿う軸Aを中心として電気ケーブル2の湾曲部分2Bに下方側Dから上方側Uに向かう鉛直方向の力Fuが作用することとなる。そのため、電気ケーブル2の中途部分に作用する重力Gを鉛直方向の力Fuによって打ち消すことができる。したがって、電気ケーブル2の中途部分が自重によって下方側Dに変位することを抑制できる。
【0068】
また、第二実施形態に係るスライドドア給電装置1においても、電気ケーブル2がFFC21で構成されている。
このようなスライドドア給電装置1によれば、電気ケーブル2の許容曲げ半径が小さくなる。したがって、電気ケーブル2の湾曲部分2Ba,2Bbに過大な負荷が作用することを防止できる。また、FFC21は、導電体を覆うシート状の絶縁体が高い弾性を有するため、その反発力によって十分な鉛直方向の力Fuを発揮させることが可能となる。
【0069】
本願発明の構成と前述の実施形態との対応において、
スライドドア給電装置はスライドドア給電装置1に対応し、
電気ケーブルは電気ケーブル2に対応し、
車体側保持部は車体側保持部3に対応し、
スライドドア側保持部はスライドドア側保持部4に対応し、
ケーブルホルダーはケーブルホルダー30に対応し、
ケーブルホルダーはケーブルホルダー40に対応し、
ケーブル保持構造はケーブル収容部31に対応し、
ケーブル保持構造はケーブル収容部41に対応し、
車体は車体100に対応し、
被取付部はフロアパネル101に対応し、
スライドドアはスライドドア200に対応し、
被取付部はインナーパネル201に対応し、
湾曲部分は湾曲部分2Baに対応し、
湾曲部分は湾曲部分2Bbに対応し、
湾曲部分の内周面につながる面は面2sに対応し、
電気ケーブルにおける車体内側の面は面2sに対応し、
電気ケーブルにおける車体前側の面は面2sに対応するも、
この発明は、前述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0070】
例えば、図10に示すように、車体側保持部3においては、電気ケーブル2に捩り荷重Ftを作用させるのではなく、ケーブル保持構造(ケーブル収容部31)から左右方向Yに対して斜め上方側となる傾斜角度αで電気ケーブル2を延出してもよい。つまりは、車体内側Iから車体外側Eに向かうにつれて徐々に上方側Uに傾斜するようにケーブルホルダー30を取り付けることで、ケーブル保持構造(ケーブル収容部31)から左右方向Yに対して斜め上方側となる傾斜角度αで電気ケーブル2を延出してもよい。
【0071】
同様に、図11に示すように、スライドドア側保持部4においても、電気ケーブル2に捩り荷重Ftを作用させるのではなく、ケーブル保持構造(ケーブル収容部41)から前後方向Xに対して斜め上方側となる傾斜角度βで電気ケーブル2を延出してもよい。つまりは、車体後側Bから車体前側Fに向かうにつれて徐々に上方側Uに傾斜するようにケーブルホルダー40を取り付けることで、ケーブル保持構造(ケーブル収容部41)から前後方向Xに対して斜め上方側となる傾斜角度βで電気ケーブル2を延出してもよい。
【0072】
このようなスライドドア給電装置1によれば、ケーブル保持構造(ケーブル収容部31及びケーブル収容部41)から電気ケーブル2を斜め上方側に向かって延出させて架け渡すことができる。そのため、電気ケーブル2の中途部分が自重によって下方側Dに変位しても、かかる変位量を相殺できる。したがって、電気ケーブル2の中途部分が自重によって下方側Dに変位することを抑制できる。
【0073】
加えて、このようなスライドドア給電装置1によれば、簡素な構成でありながら電気ケーブル2を斜め上方側に向かって延出させて架け渡すことができる。そのため、電気ケーブル2の中途部分が自重によって下方側Dに変位しても、かかる変位量を相殺できる。したがって、電気ケーブル2の中途部分が自重によって下方側Dに変位することを抑制できる。
【0074】
最後に、前述の各実施形態に係るスライドドア給電装置1においては、電気ケーブル2が複数枚のFFC21を重ね合わせたものであるとされている。しかしながら、断面形状が丸い、いわゆる被覆電線を束ねたものであってもよい。あるいは、断面形状が扁平である、いわゆるリボン電線を重ね合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0075】
1…スライドドア給電装置
2…電気ケーブル
3…車体側保持部
4…スライドドア側保持部
30…ケーブルホルダー
40…ケーブルホルダー
31…ケーブル収容部
41…ケーブル収容部
100…車体
101…フロアパネル
200…スライドドア
201…インナーパネル
2Ba…湾曲部分
2Bb…湾曲部分
2s…湾曲部分の内周面につながる面
2s…電気ケーブルにおける車体内側の面
2s…電気ケーブルにおける車体前側の面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11