(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137136
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】部品内蔵基板及び部品内蔵基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20230922BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
H05K3/46 Q
H05K1/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043178
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】越 孝雄
【テーマコード(参考)】
5E316
5E338
【Fターム(参考)】
5E316AA02
5E316AA04
5E316AA12
5E316AA15
5E316AA32
5E316CC04
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5E338BB03
5E338BB19
5E338BB75
5E338CD25
5E338EE31
(57)【要約】
【課題】半導体チップが搭載される面に良好な平坦性を安定して得ることができる部品内蔵基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】部品内蔵基板は、キャビティが形成された基材と、前記キャビティの底面に設けられた電子部品搭載用パッドと、前記電子部品搭載用パッドに接着された電子部品と、を有し、前記電子部品搭載用パッドの前記キャビティに露出し前記電子部品が搭載される電子部品搭載面に、平面視で前記電子部品の外周の内側と外側とにつながる溝が形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティが形成された基材と、
前記キャビティの底面に設けられた電子部品搭載用パッドと、
前記電子部品搭載用パッドに接着された電子部品と、
を有し、
前記電子部品搭載用パッドの前記キャビティに露出し前記電子部品が搭載される電子部品搭載面に、平面視で前記電子部品の外周の内側と外側とにつながる溝が形成されている部品内蔵基板。
【請求項2】
前記電子部品を覆い、前記キャビティを埋める絶縁層を有する請求項1に記載の部品内蔵基板。
【請求項3】
前記電子部品は、前記電子部品搭載用パッド側とは反対側の面に設けられた端子を有し、
前記絶縁層の前記電子部品搭載用パッド側とは反対側の面の上方に設けられ、前記端子に電気的に接続された外部接続端子を有する請求項2に記載の部品内蔵基板。
【請求項4】
平面視で、前記溝は前記端子から離れている請求項3に記載の部品内蔵基板。
【請求項5】
前記絶縁層は、前記溝の少なくとも一部を埋める請求項2乃至4のいずれか1項に記載の部品内蔵基板。
【請求項6】
前記溝は前記電子部品搭載用パッドを貫通する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の部品内蔵基板。
【請求項7】
前記溝の深さは前記電子部品搭載用パッドの厚さよりも小さい請求項1乃至5のいずれか1項に記載の部品内蔵基板。
【請求項8】
電子部品搭載用パッドを有する基材に、前記電子部品搭載用パッドを露出するキャビティを形成する工程と、
前記電子部品搭載用パッドに電子部品を接着する工程と、
を有し、
前記電子部品搭載用パッドの前記キャビティに露出し前記電子部品が搭載される電子部品搭載面に溝が形成されており、
前記電子部品を接着する工程は、平面視で前記溝が前記電子部品の外周の内側と外側とにつながるように前記電子部品を前記電子部品搭載面に搭載する工程を有する部品内蔵基板の製造方法。
【請求項9】
前記電子部品を接着する工程は、前記電子部品を前記電子部品搭載面に搭載する工程の後、真空引きを行いながら、前記電子部品を前記電子部品搭載面に押圧する工程を有する請求項8に記載の部品内蔵基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、部品内蔵基板及び部品内蔵基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品を内蔵した部品内蔵基板が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の部品内蔵基板では、半導体チップの搭載面の平坦性が低くなり、半導体チップを部品内蔵基板に搭載しにくくなることがある。
【0005】
本開示は、半導体チップが搭載される面に良好な平坦性を安定して得ることができる部品内蔵基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態によれば、キャビティが形成された基材と、前記キャビティの底面に設けられた電子部品搭載用パッドと、前記電子部品搭載用パッドに接着された電子部品と、を有し、前記電子部品搭載用パッドの前記キャビティに露出し前記電子部品が搭載される電子部品搭載面に、平面視で前記電子部品の外周の内側と外側とにつながる溝が形成されている部品内蔵基板が提供される。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、半導体チップが搭載される面に良好な平坦性を安定して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る部品内蔵基板を例示する断面図である。
【
図2】電子部品搭載用パッド及び電子部品を例示する部分平面図である。
【
図3】第1実施形態に係る部品内蔵基板の製造工程を例示する図(その1)である。
【
図4】第1実施形態に係る部品内蔵基板の製造工程を例示する図(その2)である。
【
図5】第1実施形態に係る部品内蔵基板の製造工程を例示する図(その3)である。
【
図6】第1実施形態に係る部品内蔵基板の製造工程を例示する図(その4)である。
【
図7】第1実施形態に係る部品内蔵基板の製造工程を例示する図(その5)である。
【
図8】第1実施形態に係る部品内蔵基板の製造工程を例示する図(その6)である。
【
図9】第1実施形態において電子部品を電子部品搭載用パッドに接着する方法を例示する断面図である。
【
図10】第1実施形態において電子部品を電子部品搭載用パッドに接着する方法における電子部品搭載用パッドの上面の変化を例示する平面図である。
【
図11】第2実施形態に係る部品内蔵基板を例示する断面図である。
【
図12】第2実施形態に係る部品内蔵基板の製造工程を例示する図(その1)である。
【
図13】第2実施形態に係る部品内蔵基板の製造工程を例示する図(その2)である。
【
図14】第2実施形態に係る部品内蔵基板の製造工程を例示する図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
【0010】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について説明する。第1実施形態は部品内蔵基板に関する。
【0011】
[第1実施形態に係る部品内蔵基板の構造]
まず、部品内蔵基板の構造について説明する。
図1は、第1実施形態に係る部品内蔵基板を例示する断面図である。
図2は、電子部品搭載用パッド及び電子部品を例示する部分平面図である。なお、
図1の電子部品搭載用パッド及び電子部品の近傍の断面は、
図2中のI-I線に沿う断面である。また、
図2において、電子部品10よりも上層(絶縁層242B、配線層251、ソルダーレジスト層252及び外部接続端子40)の図示は省略されている。
【0012】
図1を参照するに、第1実施形態に係る部品内蔵基板1は、コア層111の両面に配線層及び絶縁層が積層され、コア層111の一方の側に電子部品10を内蔵する配線基板である。
【0013】
具体的には、部品内蔵基板1において、コア層111の一方の面111aには、配線層211と、絶縁層212と、配線層221と、絶縁層222と、配線層231と、絶縁層232と、配線層241と、絶縁層242Aと、絶縁層242Bと、配線層251と、ソルダーレジスト層252とが順次積層されている。また、コア層111の他方の面111bには、配線層311と、絶縁層312と、配線層321と、絶縁層322と、配線層331と、絶縁層332と、配線層341と、絶縁層342と、配線層351と、ソルダーレジスト層352とが順次積層されている。
【0014】
なお、本実施の形態では、便宜上、部品内蔵基板1のソルダーレジスト層252側を上側又は一方の側、ソルダーレジスト層352側を下側又は他方の側とする。また、各部位のソルダーレジスト層252側の面を一方の面又は上面、ソルダーレジスト層352側の面を他方の面又は下面とする。但し、部品内蔵基板1は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。また、平面視とは対象物をコア層111の一方の面111aの法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物をコア層111の一方の面111aの法線方向から視た形状を指すものとする。
【0015】
コア層111としては、例えば、ガラスクロスにエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を含浸させた所謂ガラスエポキシ基板等を用いることができる。コア層111として、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の織布や不織布にエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等を含浸させた基板等を用いてもよい。コア層111の厚さは、例えば、60~400μm程度とすることができる。コア層111には、コア層111を厚さ方向に貫通する貫通孔111xが設けられている。貫通孔111xの平面形状は例えば円形である。貫通孔111x内に貫通配線114が形成されている。貫通配線114は、例えば貫通孔111xの内壁面の上に形成されている。貫通孔111xの貫通配線114よりも内側が絶縁層115により充填されていてもよい。
【0016】
配線層211は、コア層111の一方の面111aに形成されている。また、配線層311は、コア層111の他方の面111bに形成されている。配線層211と配線層311とは、貫通配線114により電気的に接続されている。配線層211及び311は、各々所定の平面形状にパターニングされている。配線層211及び311、並びに貫通配線114の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。配線層211及び311の厚さは、例えば、10~30μm程度とすることができる。なお、配線層211と配線層311と貫通配線114とは一体に形成されたものであってもよい。
【0017】
絶縁層212は、コア層111の一方の面111aに配線層211を覆うように形成されている。絶縁層212の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂を主成分とする絶縁性樹脂等を用いることができる。絶縁層212の厚さは、例えば30~40μm程度とすることができる。絶縁層212は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有することができる。絶縁層212におけるフィラーの含有量は、要求される熱膨張係数(CTE)に応じて適宜設定できる。
【0018】
配線層221は、絶縁層212の一方の側に形成されている。配線層221は、絶縁層212を貫通し配線層211の上面を露出するビアホール212x内に充填されたビア配線221aと、絶縁層212の上面に形成された配線パターン221bとを含んで構成されている。配線パターン221bは、ビア配線221aを介して、配線層211と電気的に接続されている。ビアホール212xは、絶縁層222側に開口されている開口部の径が配線層211の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部とすることができる。配線層221の材料や配線パターン221bの厚さは、例えば、配線層211と同様とすることができる。
【0019】
絶縁層222は、絶縁層212の上面に配線層221を覆うように形成されている。絶縁層222の材料や厚さは、例えば、絶縁層212と同様とすることができる。絶縁層222は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有することができる。絶縁層222におけるフィラーの含有量は、例えば、絶縁層212と同様とすることができる。
【0020】
配線層231は、絶縁層222の一方の側に形成されている。配線層231は、絶縁層222を貫通し配線層221の上面を露出するビアホール222x内に充填されたビア配線231aと、絶縁層222の上面に形成された配線パターン231bと、絶縁層222の上面に形成された電子部品搭載用パッド231cとを含んで構成されている。配線パターン231bは、ビア配線231aを介して、配線層221と電気的に接続されている。ビアホール222xは、絶縁層232側に開口されている開口部の径が配線層221の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部とすることができる。配線層231の材料や配線パターン231b及び電子部品搭載用パッド231cの厚さは、例えば、配線層211と同様とすることができる。電子部品搭載用パッド231cの上面は、電子部品が搭載される電子部品搭載面231dである。
【0021】
絶縁層232は、絶縁層222の上面に配線層231を覆うように形成されている。絶縁層232の材料や厚さは、例えば、絶縁層212と同様とすることができる。絶縁層232は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有することができる。絶縁層232におけるフィラーの含有量は、例えば、絶縁層212と同様とすることができる。
【0022】
配線層241は、絶縁層232の一方の側に形成されている。配線層241は、絶縁層232を貫通し配線層231の上面を露出するビアホール232x内に充填されたビア配線241aと、絶縁層232の上面に形成された配線パターン241bとを含んで構成されている。配線パターン241bは、ビア配線241aを介して、配線層231と電気的に接続されている。ビアホール232xは、絶縁層242A側に開口されている開口部の径が配線層231の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部とすることができる。配線層241の材料や配線パターン241bの厚さは、例えば、配線層211と同様とすることができる。
【0023】
絶縁層242Aは、絶縁層232の上面に配線層241を覆うように形成されている。絶縁層242Aの材料や厚さは、例えば、絶縁層212と同様とすることができる。絶縁層242Aは、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有することができる。絶縁層242Aにおけるフィラーの含有量は、例えば、絶縁層212と同様とすることができる。
【0024】
絶縁層242A及び232には、電子部品搭載用パッド231cの上面、すなわち電子部品搭載面231dを露出するキャビティ30が形成されている。なお、絶縁層232上のキャビティ30の形成領域には、配線層241は形成されていない。すなわち、絶縁層232上の配線層241の非形成領域及び絶縁層242A上の配線層251の非形成領域にキャビティ30が形成されている。キャビティ30の平面形状は、電子部品10の平面形状と相似形であってもよく、相似形でなくてもよい。
【0025】
キャビティ30内に露出する電子部品搭載用パッド231cの電子部品搭載面231dには、電子部品10が搭載されている。電子部品10は、本体11と、本体11の上面に形成された端子12とを備える。電子部品10は、例えば、半導体チップ、コンデンサ、インダクタ、抵抗等である。端子12は、例えば、銅等により形成されており、厚さは略一定である。
【0026】
本体11の下面は、接着層20を介して、キャビティ30内に露出する電子部品搭載用パッド231cの電子部品搭載面231dに接着されている。電子部品10は、例えば、本体11の上面が絶縁層232の上面より突出するように、キャビティ30内に搭載することができる。接着層20の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂を主成分とする絶縁性接着剤等(例えば、ダイアタッチフィルム)を用いることができる。接着層20の厚さは、例えば5μm程度とすることができる。
【0027】
図2に示すように、電子部品搭載用パッド231cは矩形状の平面形状を有する。また、電子部品搭載用パッド231cには、溝231xが形成されている。溝231xは、電子部品搭載用パッド231cを貫通し絶縁層222の上面を露出する。キャビティ30の底面に垂直な方向から視たときに、すなわち平面視で、電子部品10の外周は、電子部品搭載用パッド231cの外周の内側にある。電子部品10は、電子部品10の外周が溝231xと交差するように電子部品搭載用パッド231cに接着されている。平面視で、溝231xの一部は電子部品10の外周の内側にあって電子部品10と重なり、残部は電子部品10の外周の外側にあって電子部品10と重ならない。このように、平面視で、溝231xは電子部品10の外周の内側と外側とにつながる。
【0028】
絶縁層242Bは、電子部品10を被覆して絶縁層242Aの上面に形成されている。絶縁層242Bの一部はキャビティ30と電子部品10との間に形成された隙間に入り込んでいる。また、絶縁層242Bの一部は溝231xに入り込んでいる。例えば、絶縁層242Bの一部はキャビティ30の側壁と電子部品10の側面との間に形成された隙間を充填し、キャビティ30の側壁と、電子部品10の側面と、電子部品搭載用パッド231cの上面とを被覆している。絶縁層242Bの材料や厚さは、例えば、絶縁層212と同様とすることができる。絶縁層242Bは、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有することができる。絶縁層242Bにおけるフィラーの含有量は、例えば、絶縁層212と同様とすることができる。浸透性のよいエポキシ樹脂等を電子部品10の周辺部に充填して溝231xを埋めるようにして絶縁層242Bが形成されていてもよい。絶縁層242Bが溝231xの少なくとも一部を埋めてもよい。
【0029】
配線層251は、絶縁層242Bの一方の側に形成されている。配線層251は、絶縁層242B及び242Aを貫通し配線層241の上面を露出するビアホール242x内又は絶縁層242Bを貫通し端子12の上面を露出するビアホール242y内に充填されたビア配線251aと、絶縁層242Bの上面に形成された配線パターン251bとを含んで構成されている。配線パターン251bの一部は、絶縁層242B及び242Aを貫通するビア配線251aを介して、配線パターン241bと電気的に接続されている。配線パターン251bの他の一部は、絶縁層242Bを貫通するビア配線251aを介して、端子12と電気的に接続されている。ビアホール242x及び242yは、ソルダーレジスト層252側に開口されている開口部の径が配線層241の上面や端子12の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部とすることができる。配線層251の材料や配線パターン251bの厚さは、例えば、配線層211と同様とすることができる。
【0030】
ソルダーレジスト層252は、部品内蔵基板1の一方の側の最外層であり、絶縁層242Bの上面に、配線層251を覆うように形成されている。ソルダーレジスト層252は、例えば、エポキシ系樹脂やアクリル系樹脂等の感光性樹脂等から形成することができる。ソルダーレジスト層252の厚さは、例えば15~35μm程度とすることができる。
【0031】
ソルダーレジスト層252は、開口部252xを有し、開口部252xの底部には配線層251の上面の一部が露出している。開口部252xの平面形状は、例えば、円形とすることができる。必要に応じ、開口部252x内に露出する配線層251の上面に金属層を形成したり、水溶性フラックス(Organic Solderability Preservative:OSP)処理等の酸化防止処理を施したりしてもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。
【0032】
開口部252xの底部に露出する配線層251の上面には、外部接続端子40が形成されている。外部接続端子40は、例えば、はんだバンプである。はんだバンプの材料としては、例えばPbを含む合金、SnとCuの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。外部接続端子40は、半導体チップと電気的に接続するための端子となる。
【0033】
絶縁層312は、コア層111の他方の面111bに配線層311を覆うように形成されている。絶縁層312の材料や厚さは、例えば、絶縁層212と同様とすることができる。絶縁層312は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有することができる。絶縁層312におけるフィラーの含有量は、例えば、絶縁層212と同様とすることができる。
【0034】
配線層321は、絶縁層312の他方の側に形成されている。配線層321は、絶縁層312を貫通し配線層311の下面を露出するビアホール312x内に充填されたビア配線321aと、絶縁層312の下面に形成された配線パターン321bとを含んで構成されている。配線パターン321bは、ビア配線321aを介して、配線層311と電気的に接続されている。ビアホール312xは、絶縁層322側に開口されている開口部の径が配線層311の下面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい円錐台状の凹部とすることができる。配線層321の材料や配線パターン321bの厚さは、例えば、配線層211と同様とすることができる。
【0035】
絶縁層322は、絶縁層312の下面に配線層321を覆うように形成されている。絶縁層322の材料や厚さは、例えば、絶縁層212と同様とすることができる。絶縁層322は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有することができる。絶縁層322におけるフィラーの含有量は、例えば、絶縁層212と同様とすることができる。
【0036】
配線層331は、絶縁層322の他方の側に形成されている。配線層331は、絶縁層322を貫通し配線層321の下面を露出するビアホール322x内に充填されたビア配線331aと、絶縁層322の下面に形成された配線パターン331bとを含んで構成されている。配線パターン331bは、ビア配線331aを介して、配線層321と電気的に接続されている。ビアホール322xは、絶縁層332側に開口されている開口部の径が配線層321の下面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい円錐台状の凹部とすることができる。配線層331の材料や配線パターン331bの厚さは、例えば、配線層211と同様とすることができる。
【0037】
絶縁層332は、絶縁層322の下面に配線層331を覆うように形成されている。絶縁層332の材料や厚さは、例えば、絶縁層212と同様とすることができる。絶縁層332は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有することができる。絶縁層332におけるフィラーの含有量は、例えば、絶縁層212と同様とすることができる。
【0038】
配線層341は、絶縁層332の他方の側に形成されている。配線層341は、絶縁層332を貫通し配線層331の下面を露出するビアホール332x内に充填されたビア配線341aと、絶縁層332の下面に形成された配線パターン341bとを含んで構成されている。配線パターン341bは、ビア配線341aを介して、配線層331と電気的に接続されている。ビアホール332xは、絶縁層342側に開口されている開口部の径が配線層331の下面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい円錐台状の凹部とすることができる。配線層341の材料や配線パターン341bの厚さは、例えば、配線層211と同様とすることができる。
【0039】
絶縁層342は、絶縁層332の下面に配線層341を覆うように形成されている。絶縁層342の材料や厚さは、例えば、絶縁層212と同様とすることができる。絶縁層342は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有することができる。絶縁層342におけるフィラーの含有量は、例えば、絶縁層212と同様とすることができる。
【0040】
配線層351は、絶縁層342の他方の側に形成されている。配線層351は、絶縁層342を貫通し配線層341の下面を露出するビアホール342x内に充填されたビア配線351aと、絶縁層342の下面に形成された配線パターン351bとを含んで構成されている。配線パターン351bは、ビア配線351aを介して、配線層341と電気的に接続されている。ビアホール342xは、ソルダーレジスト層352側に開口されている開口部の径が配線層341の下面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい円錐台状の凹部とすることができる。配線層351の材料や配線パターン351bの厚さは、例えば、配線層211と同様とすることができる。
【0041】
ソルダーレジスト層352は、部品内蔵基板1の他方の側の最外層であり、絶縁層342の下面に、配線層351を覆うように形成されている。ソルダーレジスト層352の材料や厚さは、例えば、ソルダーレジスト層252と同様とすることができる。ソルダーレジスト層352は、開口部352xを有し、開口部352x内には配線層351の下面の一部が露出している。開口部352xの平面形状は、例えば、円形とすることができる。開口部352x内に露出する配線層351は、マザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続するためのパッドとして用いることができる。必要に応じ、開口部352x内に露出する配線層351の下面に前述の金属層を形成したり、OSP処理等の酸化防止処理を施したりしてもよい。
【0042】
[第1実施形態に係る部品内蔵基板の製造方法]
次に、第1実施形態に係る部品内蔵基板の製造方法について説明する。
図3~
図8は、第1実施形態に係る部品内蔵基板の製造工程を例示する図である。なお、ここでは、1つの部品内蔵基板を作製する工程の例を示すが、部品内蔵基板となる複数の部分を作製し、その後個片化して各部品内蔵基板とする工程としてもよい。
【0043】
まず、
図3(a)に示す工程では、コア層111に貫通配線114、絶縁層115、配線層211及び配線層311を形成する。具体的には、例えば、所謂ガラスエポキシ基板等であるコア層111の一方の面及び他方の面にパターニングされていないプレーン状の銅箔が形成された積層板を準備する。そして、準備した積層板において、必要に応じて各面の銅箔を薄化した後、CO
2レーザ等を用いたレーザ加工法等により、コア層111及び各面の銅箔を貫通する貫通孔111xを形成する。
【0044】
次に、必要に応じてデスミア処理を行い、貫通孔111xの内壁面に付着したコア層111に含まれる樹脂の残渣を除去する。そして、例えば無電解めっき法やスパッタ法等により、各面の銅箔及び貫通孔111xの内壁面を被覆するシード層(銅等)を形成し、シード層を給電層に利用した電解めっき法により、シード層上に電解めっき層(銅等)を形成する。これにより、貫通配線114が形成される。次に、貫通孔111xの貫通配線114よりも内側を絶縁層115により充填する。次に、サブトラクティブ法等により、コア層111の一方の面に配線層211を形成し、他方の面に配線層311を形成する。
【0045】
次に、
図3(b)に示す工程では、コア層111の一方の面に配線層211を覆うように半硬化状態のフィルム状のエポキシ系樹脂等をラミネートし、硬化させて絶縁層212を形成する。また、コア層111の他方の面に配線層311を覆うように半硬化状態のフィルム状のエポキシ系樹脂等をラミネートし、硬化させて絶縁層312を形成する。或いは、フィルム状のエポキシ系樹脂等のラミネートに代えて、液状又はペースト状のエポキシ系樹脂等を塗布後、硬化させて絶縁層212及び312を形成してもよい。絶縁層212及び312の各々の厚さは、例えば、30~40μm程度とすることができる。絶縁層212及び312の各々は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有することができる。
【0046】
次に、絶縁層212に、絶縁層212を貫通し配線層211の上面を露出させるビアホール212xを形成する。また、絶縁層312に、絶縁層312を貫通し配線層311の下面を露出させるビアホール312xを形成する。ビアホール212x及び312xは、例えば、CO2レーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。ビアホール212x及び312xを形成後、デスミア処理を行い、ビアホール212x及び312xの底部に各々露出する配線層211及び311の表面に付着した樹脂残渣を除去することが好ましい。
【0047】
次に、絶縁層212の一方の側に配線層221を形成する。配線層221は、ビアホール212x内に充填されたビア配線221aと、絶縁層212の上面に形成された配線パターン221bとを含んで構成される。配線層221の材料や配線パターン221bの厚さは、例えば、配線層211と同様とすることができる。配線層221は、ビアホール212xの底部に露出した配線層211と電気的に接続される。
【0048】
また、絶縁層312の他方の側に配線層321を形成する。配線層321は、ビアホール312x内に充填されたビア配線321aと、絶縁層312の下面に形成された配線パターン321bとを含んで構成される。配線層321の材料や配線パターン321bの厚さは、例えば、配線層211と同様とすることができる。配線層321は、ビアホール312xの底部に露出した配線層311と電気的に接続される。配線層221及び321は、セミアディティブ法やサブトラクティブ法等の各種の配線形成方法を用いて形成できる。
【0049】
例えば、配線層221をセミアディティブ法で形成する場合、絶縁層212にビアホール212xを形成し、次いで、ビアホール212xの内壁を含む絶縁層212の表面及びビアホール212x内に露出する配線層211の表面に銅の無電解めっきによるシード層を形成する。次いで、シード層上に配線層221の配線パターン221bの形状に合わせた開口部を有するめっきレジストパターンを形成し、次いで、シード層から給電する銅の電解めっきにより、めっきレジストパターンの開口部に露出するシード層上に電解めっき層を析出する。次いで、めっきレジストパターンを除去し、次いで、電解めっき層をマスクとしたエッチングを行い、電解めっき層から露出するシード層を除去し、ビア配線221aと配線パターン221bを有する配線層221を得ることができる。
【0050】
次に、絶縁層212と同様の形成方法により、絶縁層212の上面に配線層221を覆うように絶縁層222を形成する。絶縁層222の材料や厚さは、例えば、絶縁層212と同様とすることができる。そして、ビアホール212xと同様の形成方法により、ビアホール222xを形成する。そして、配線層221と同様の形成方法により、絶縁層222の一方の側に配線層231を形成する。配線層231は、ビアホール222x内に充填されたビア配線231aと、絶縁層222の上面に形成された配線パターン231bと、絶縁層222の上面に形成された電子部品搭載用パッド231cとを含んで構成される。配線層231の材料や配線パターン231b及び電子部品搭載用パッド231cの厚さは、例えば、配線層211と同様とすることができる。配線層231は、ビアホール222xの底部に露出した配線層221と電気的に接続される。電子部品搭載用パッド231cは矩形状の平面形状し、電子部品搭載用パッド231cには、溝231xが形成される(
図2参照)。
【0051】
また、絶縁層212と同様の形成方法により、絶縁層312の下面に配線層321を覆うように絶縁層322を形成する。絶縁層322の材料や厚さは、例えば、絶縁層212と同様とすることができる。そして、ビアホール212xと同様の形成方法により、ビアホール322xを形成する。そして、配線層221と同様の形成方法により、絶縁層322の他方の側に配線層331を形成する。配線層331は、ビアホール322x内に充填されたビア配線331aと、絶縁層322の下面に形成された配線パターン331bとを含んで構成される。配線層331の材料や配線パターン331bの厚さは、例えば、配線層211と同様とすることができる。配線層331は、ビアホール322xの底部に露出した配線層321と電気的に接続される。
【0052】
次に、絶縁層212と同様の形成方法により、絶縁層222の上面に配線層231を覆うように絶縁層232を形成する。絶縁層232の材料や厚さは、例えば、絶縁層212と同様とすることができる。そして、ビアホール212xと同様の形成方法により、ビアホール232xを形成する。そして、配線層221と同様の形成方法により、絶縁層232の一方の側に配線層241を形成する。配線層241は、ビアホール232x内に充填されたビア配線241aと、絶縁層232の上面に形成された配線パターン241bとを含んで構成される。配線層241の材料や配線パターン241bの厚さは、例えば、配線層211と同様とすることができる。配線層241は、ビアホール232xの底部に露出した配線層231と電気的に接続される。
【0053】
また、絶縁層212と同様の形成方法により、絶縁層322の下面に配線層331を覆うように絶縁層332を形成する。絶縁層332の材料や厚さは、例えば、絶縁層212と同様とすることができる。そして、ビアホール212xと同様の形成方法により、ビアホール332xを形成する。そして、配線層221と同様の形成方法により、絶縁層332の他方の側に配線層341を形成する。配線層341は、ビアホール332x内に充填されたビア配線341aと、絶縁層332の下面に形成された配線パターン341bとを含んで構成される。配線層341の材料や配線パターン341bの厚さは、例えば、配線層211と同様とすることができる。配線層341は、ビアホール332xの底部に露出した配線層331と電気的に接続される。
【0054】
次に、絶縁層212と同様の形成方法により、絶縁層232の上面に配線層241を覆うように絶縁層242Aを形成する。絶縁層242Aの材料や厚さは、例えば、絶縁層212と同様とすることができる。
【0055】
また、絶縁層212と同様の形成方法により、絶縁層332の下面に配線層341を覆うように絶縁層342を形成する。絶縁層342の材料や厚さは、例えば、絶縁層212と同様とすることができる。
【0056】
次に、
図4に示す工程では、絶縁層242A及び232に、電子部品搭載用パッド231cの上面、すなわち電子部品搭載面231dを露出するキャビティ30を形成する。キャビティ30の平面形状は、後工程で電子部品10上に形成される絶縁層242Bの厚さが均一になるように、搭載する電子部品10の側面とキャビティ30の側壁との隙間が所定値になるように決定されている。キャビティ30は、例えば、CO
2レーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。
【0057】
次に、
図5に示す工程では、本体11及び端子12を備えた電子部品10を準備し、キャビティ30内で電子部品10を電子部品搭載用パッド231cに接着する。なお、電子部品10の下面に接着層20を予め形成しておく。
【0058】
ここで、電子部品10を電子部品搭載用パッド231cに接着する方法について詳細に説明する。
図9は、第1実施形態において電子部品10を電子部品搭載用パッド231cに接着する方法を例示する断面図である。
図10は、第1実施形態において電子部品10を電子部品搭載用パッド231cに接着する方法における電子部品搭載用パッド231cの上面の変化を例示する平面図である。
図9は、
図10中のIX-IX線に沿った断面図に相当する。
【0059】
図9(a)及び
図10(a)に示す工程は、
図4に示す工程に相当し、
図9(a)及び
図10(a)に示す工程では、絶縁層242A及び232に、電子部品搭載用パッド231cの上面、すなわち電子部品搭載面231dを露出するキャビティ30を形成する。このとき、
図9(a)に示すように、電子部品搭載用パッド231cの外周が絶縁層242A及び232に覆われるようにキャビティ30を形成してもよい。
【0060】
次に、
図9(b)及び
図10(b)に示す工程では、ボンディング装置のボンディングヘッドに、下面に接着層20が形成された電子部品10を取り付け、接着層20が電子部品搭載用パッド231cに接するように電子部品10を電子部品搭載用パッド231cの電子部品搭載面231dに搭載する。つまり、いわゆる電子部品10の仮付けを行う。このとき、例えば、接着層20を加熱するために、
図4に示す積層構造体を載置したステージを50~100℃程度に加熱し、ボンディングヘッドを50~100℃に加熱する。これらの加熱により、
図9(b)に示すように、電子部品10にクライ反りが生じることがある。つまり、電子部品10が、端子12が設けられた上面において、中央部が周縁部よりも高くなるように凸状に反ることがある。この場合、電子部品10の周縁部では接着層20が電子部品搭載用パッド231cに接触するが、その内側の部分では、接着層20と電子部品搭載用パッド231cとの間に空隙15が生じることとなる。すなわち、
図10(b)に示すように、平面視で、電子部品10の外周の内側において、電子部品搭載用パッド231cの電子部品搭載面231dに、接着層20が接触する接触領域16と、接着層20が接触しない非接触領域17とが形成される。
【0061】
本実施形態では、電子部品搭載用パッド231cに溝231xが形成されている。このため、
図9(b)に示すように、空隙15は溝231xにつながり、
図10(b)に示すように、非接触領域17は溝231xにつながる。
【0062】
次に、
図9(c)及び
図10(c)に示す工程では、接着層20の加熱及び真空引きを行いながら、電子部品10の上面及び絶縁層342の下面を平行平板でコア層111方向に加圧する。つまり、電子部品10を電子部品搭載面231dに押圧し、いわゆる電子部品10の本圧着を行う。本圧着では、例えばダイヤフラムを電子部品10の上面及び絶縁層342の下面に接触させる。また、雰囲気温度は、接着層20が硬化可能な温度、例えば80~150℃程度とすることができる。本圧着での加熱及び真空引きを行いながらの加圧により、空隙15中の空気が溝231xを通じて排出される。この結果、
図9(c)に示すように、接着層20は、溝231xと重なる部分を除いて電子部品搭載用パッド231cの電子部品搭載面231dに接触し、
図10(c)に示すように、電子部品搭載用パッド231cの電子部品搭載面231dから非接触領域17が消失する。従って、電子部品10の反りが解消される。
【0063】
図5に示す工程では、このような一連の処理により、電子部品10が電子部品搭載用パッド231cに接着される。
【0064】
次に、
図6に示す工程では、絶縁層212と同様の形成方法により、電子部品10及び絶縁層242Aを覆うように絶縁層242Bを形成する。すなわち、絶縁層242Bの形成では、半硬化状態のフィルム状のエポキシ系樹脂等をラミネートし、硬化させる。フィルム状のエポキシ系樹脂等のラミネートに代えて、液状又はペースト状のエポキシ系樹脂等を塗布後、硬化させてもよい。絶縁層242Bの材料や厚さは、例えば、絶縁層212と同様とすることができる。絶縁層242Bの一部はキャビティ30と電子部品10との間に形成された隙間に入り込む。また、絶縁層242Bの一部は溝231xに入り込む。溝231xの少なくとも一部を埋めるように絶縁層242Bを形成してもよい。
【0065】
次に、
図7に示す工程では、絶縁層242B及び242Aを貫通し配線層241の上面を露出するビアホール242xと、絶縁層242Bを貫通し端子12の上面を露出するビアホール242yとを形成する。また、絶縁層342を貫通し配線層341の下面を露出するビアホール342xを形成する。ビアホール242x、242y及び342xは、例えば、CO
2レーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。ビアホール242x、242y及び342xを形成後、デスミア処理を行い、ビアホール242x、242y及び342xの底部に各々露出する配線層241、端子12及び配線層341の表面に付着した樹脂残渣を除去することが好ましい。
【0066】
次に、配線層221と同様の形成方法により、絶縁層242Bの一方の側に配線層251を形成する。配線層251は、ビアホール242x内又は242y内に充填されたビア配線251aと、絶縁層242Bの上面に形成された配線パターン251bとを含んで構成される。配線層251の材料や配線パターン251bの厚さは、例えば、配線層211と同様とすることができる。配線パターン251bの一部は、絶縁層242B及び242Aを貫通するビア配線251aを介して、配線層241と電気的に接続される。配線パターン251bの他の一部は、絶縁層242Bを貫通するビア配線251aを介して、端子12と電気的に接続される。
【0067】
また、配線層221と同様の形成方法により、絶縁層342の他方の側に配線層351を形成する。配線層351は、ビアホール342x内に充填されたビア配線351aと、絶縁層342の下面に形成された配線パターン351bとを含んで構成される。配線層351の材料や配線パターン351bの厚さは、例えば、配線層211と同様とすることができる。配線層351は、ビアホール342xの底部に露出した配線層341と電気的に接続される。
【0068】
次に、
図8に示す工程では、絶縁層242Bの上面に、配線層251を覆うようにソルダーレジスト層252を形成する。また、絶縁層342の下面に、配線層351を覆うようにソルダーレジスト層352を形成する。ソルダーレジスト層252は、例えば、液状又はペースト状の感光性のエポキシ系絶縁性樹脂やアクリル系絶縁性樹脂を、配線層251を被覆するように絶縁層242Bの上面にスクリーン印刷法、ロールコート法、又は、スピンコート法等で塗布することにより形成できる。或いは、例えば、フィルム状の感光性のエポキシ系絶縁性樹脂やアクリル系絶縁性樹脂を、配線層251を被覆するように絶縁層242Bの上面にラミネートすることにより形成してもよい。ソルダーレジスト層352の形成方法は、ソルダーレジスト層252と同様である。
【0069】
次に、ソルダーレジスト層252及び352を露光及び現像することで、ソルダーレジスト層252に配線層251の上面の一部を露出する開口部252xを形成し(フォトリソグラフィ法)、ソルダーレジスト層352に配線層351の下面の一部を露出する開口部352xを形成する(フォトリソグラフィ法)。なお、開口部252x及び352xは、レーザ加工法やブラスト処理により形成してもよい。その場合には、ソルダーレジスト層252及び352に感光性の材料を用いなくてもよい。開口部252x及び352xの各々の平面形状は、例えば、円形状とすることができる。開口部252x及び352xの各々の直径は、接続対象(半導体チップやマザーボード等)に合わせて任意に設計できる。
【0070】
なお、この工程において、開口部252xの底部に露出する配線層251の上面及び開口部352xの底部に露出する配線層351の下面に、例えば無電解めっき法等により前述の金属層を形成してもよい。また、金属層の形成に代えて、OSP処理等の酸化防止処理を施してもよい。
【0071】
次に、開口部252xの底部に露出する配線層251の上面に、はんだバンプ等の外部接続端子40を形成する。外部接続端子40は、半導体チップと電気的に接続するための端子となる。
【0072】
このようにして、部品内蔵基板1を製造することができる。
【0073】
上述のように、電子部品10の仮付けの際に、電子部品10にクライ反りが生じることがある(
図9(b)参照)。電子部品搭載用パッド231cに溝231xが形成されておらず、電子部品搭載用パッド231cがベタ状である場合、クライ反りが生じた電子部品10の本圧着を行うと、電子部品10と電子部品搭載用パッド231cとの間に空隙15が残存したままとなり、電子部品10はクライ反りが生じたまま接着される。このため、絶縁層242B及びソルダーレジスト層252の上面に電子部品10のクライ反りを反映する膨らみが生じ、部品内蔵基板1に半導体チップを搭載しにくくなる。
【0074】
これに対し、本実施形態では、電子部品搭載用パッド231cに溝231xが形成されているため、空隙15は溝231xにつながり、本圧着の際に空隙15中の空気が溝231xを通じて排出される。この結果、電子部品搭載用パッド231cの上面から非接触領域17が消失し、電子部品10の反りが解消される。従って、絶縁層242B及びソルダーレジスト層252の上面における電子部品10のクライ反りを反映する膨らみが抑制することができる。つまり、半導体チップの搭載面に良好な平坦性を安定して得ることができる。
【0075】
平面視で、電子部品10が6mm×6mmより大きなサイズを有している場合、空隙15が生じやすく、本実施形態は、電子部品10がこのようなサイズを有している場合に特に有効である。
【0076】
なお、平面視で、溝231xは、電子部品10に設けられた端子12から離れていることが好ましい。平面視で、溝231xが端子12に重なっている場合、絶縁層242Bにビアホール242yが形成される時に、電子部品10が変形するおそれがあるが、溝231xが端子12から離れていれば、このような変形を抑制することができる。
【0077】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、主として電子部品搭載用パッド231cに形成される溝の深さの点で第1実施形態と相違する。
【0078】
[第2実施形態に係る部品内蔵基板の構造]
まず、部品内蔵基板の構造について説明する。
図11は、第2実施形態に係る部品内蔵基板を例示する断面図である。
【0079】
図11を参照するに、第2実施形態に係る部品内蔵基板2では、電子部品搭載用パッド231cに、溝231xに代えて溝231yが形成されている。溝231yは、電子部品搭載用パッド231cの厚さの半分程度の深さで形成されており、電子部品搭載用パッド231cを貫通していない。従って、第1実施形態とは異なり、絶縁層222の上面は溝231yから露出していない。
【0080】
他の構成は第1実施形態と同様である。
【0081】
[第2実施形態に係る部品内蔵基板の製造方法]
次に、第2実施形態に係る部品内蔵基板の製造方法について説明する。
図12~
図14は、第2実施形態に係る部品内蔵基板の製造工程を例示する図である。
【0082】
まず、
図12に示す工程では、第1実施形態と同様に、絶縁層242A及び342の形成までの処理を行う。ただし、電子部品搭載用パッド231cには溝231xを形成せず、ベタ状に電子部品搭載用パッド231cを形成する。
【0083】
次に、
図13に示す工程では、第1実施形態と同様に、絶縁層242A及び232に、電子部品搭載用パッド231cの上面を露出するキャビティ30を形成する。キャビティ30は、例えば、CO
2レーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。第1実施形態では、キャビティ30の形成前に、電子部品搭載用パッド231cを貫通する溝231xが形成されている。このため、キャビティ30の形成時に、電子部品搭載用パッド231cの下側に位置する絶縁層222に、溝231xにつながる溝が形成されることがある。これに対し、第2実施形態では、ベタ状に電子部品搭載用パッド231cが形成されているため、キャビティ30の形成時に絶縁層222に溝は形成されない。
【0084】
次に、
図14に示す工程では、電子部品搭載用パッド231cに溝231yを形成する。溝231yの形成では、例えば、溝231yの形状に合わせた開口部を有するレジストパターンを絶縁層242B及び電子部品搭載用パッド231cの上面に形成し、電子部品搭載用パッド231cのハーフエッチングを行う。
【0085】
その後、第1実施形態と同様にして、電子部品10の電子部品搭載用パッド231cへの接着以降の処理を行う。
【0086】
このようにして、部品内蔵基板2を製造することができる。
【0087】
第2実施形態によっても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第2実施形態によれば、キャビティ30の形成時に、絶縁層222に溝が形成されることを回避することができる。
【0088】
なお、溝231x及び231yの平面形状は特に限定されない。例えば、楕円状、長方形状、角丸長方形状、扇状等であってもよい。また、溝231x及び231yが設けられる位置及び数も特に限定されいない。例えば、電子部品10の外周の2か所と交差するように溝231x又は231yが形成されていてもよく、電子部品搭載用パッド231c毎に2個以上の溝231x又は231yが形成されていてもよい。
【0089】
図15に、溝の他の例の平面形状を示す。
図15(a)に示す例では、電子部品10の任意の1辺に対して複数個、ここでは2個の溝231xが設けられている。
図15(b)に示す例では、溝231xよりも長手方向の寸法が大きい溝231vが、電子部品10の互いに平行な2辺を跨ぐように設けられている。溝231vは、平面視で電子部品10の互いに平行な2辺と交差する。
図15(c)に示す例では、電子部品10の任意の2辺、ここでは互いに平行な2辺に溝231xが1個ずつ設けられている。
図15(a)に示す例のように、各辺に設けられる溝231xが2個以上であってもよい。
図15(d)に示す例では、平面形状が扇型の溝231wが設けられている。溝231wは、扇の中心に相当する部分が電子部品10の外縁の内側に位置し、弧に相当する部分が電子部品10の外縁の外側に位置するように設けられている。弧に相当する部分が電子部品10の外縁の外側に位置することで、絶縁層242Bを構成する材料が、弧に相当する部分から溝231w内に入り込みやすい。溝231v及び231wは溝231xの変形例であるが、溝231yの変形例が溝231v及び231wは溝231xと同様の平面形状を有していてもよい。
【0090】
ただし、平面視で、電子部品搭載用パッド231cの電子部品搭載面231dの電子部品10が搭載される領域の面積に対する溝231x又は231yが占める面積の割合が高くなるほど、電子部品10の電子部品搭載用パッド231cへの接着性が低下する。従って、溝231x及び231yの平面形状、位置及び数等は、電子部品10の電子部品搭載用パッド231cへの接着性を考慮して選択されることが好ましい。
【0091】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0092】
1、2 部品内蔵基板
10 電子部品
11 本体
12 端子
15 空隙
16 接触領域
17 非接触領域
20 接着層
30 キャビティ
231c 電子部品搭載用パッド
231d 電子部品搭載面
231x、231y 溝