(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137142
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 43/08 20220101AFI20230922BHJP
H04L 43/10 20220101ALI20230922BHJP
【FI】
H04L43/08
H04L43/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043185
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】加藤 寛史
(57)【要約】
【課題】省電力性能を向上させることが可能な情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】本発明は、ネットワークを介して端末と接続される情報処理装置であって、通信処理部と電力制御部とを備える。通信処理は、端末から送信される要求情報を受信する。電力制御部は、要求情報の受信時に、要求情報のサイズに応じて、通常モード、または、通常モードよりも消費電力が小さい省電力モードの何れかに切り替えてネットワークインタフェースを動作させる制御を行う。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して端末と接続される情報処理装置であって、
前記端末から送信される要求情報を受信する通信処理部と、
前記要求情報の受信時に、前記要求情報のサイズに応じて、通常モード、または、通常モードよりも消費電力が小さい省電力モードの何れかに切り替えてネットワークインタフェースを動作させる制御を行う電力制御部と、を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記電力制御部は、ポート番号と、前記要求情報のデータのサイズとの対応関係を示す対応情報に基づいて、前記通常モードまたは前記省電力モードの切り替えを制御する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記電力制御部は、前記要求情報の通信に使用する前記ポート番号に対応する前記要求情報のデータのサイズが閾値以上の場合は、前記通常モードで前記ネットワークインタフェースを動作させ、前記要求情報の受信が完了した後に前記省電力モードに切り替える、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記電力制御部は、前記要求情報の通信に使用する前記ポート番号に対応する前記要求情報のデータのサイズが前記閾値未満であり、かつ、前記省電力モードで動作中の場合は前記省電力モードを維持し、前記要求情報のデータのサイズが前記閾値未満であり、かつ、前記通常モードで動作中の場合は前記通常モードを維持する、
請求項2または3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
ネットワークを介して端末と接続される情報処理装置による情報処理方法であって、
前記端末から送信される要求情報を受信する通信処理ステップと、
前記要求情報の受信時に、前記要求情報のサイズに応じて、通常モード、または、通常モードよりも消費電力が小さい省電力モードの何れかに切り替えてネットワークインタフェースを動作させる制御を行う電力制御ステップと、を含む、
情報処理方法。
【請求項6】
ネットワークを介して端末と接続される情報処理装置に、
前記端末から送信される要求情報を受信する通信処理ステップと、
前記要求情報の受信時に、前記要求情報のサイズに応じて、通常モード、または、通常モードよりも消費電力が小さい省電力モードの何れかに切り替えてネットワークインタフェースを動作させる制御を行う電力制御ステップと、を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを介して端末と接続されたサーバ(情報処理装置)の電力状態を可変に制御する技術が知られている。例えば特許文献1には、ネットワークを介して受信したデータの種類に応じてリンクスピードを決定し、応答する構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、データの受信時や通信状況については考慮されていないため、十分な省電力性能を得ることができないという問題があった。
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、省電力性能を向上させることが可能な情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ネットワークを介して端末と接続される情報処理装置であって、前記端末から送信される要求情報を受信する通信処理部と、前記要求情報の受信時に、前記要求情報のサイズに応じて、通常モード、または、通常モードよりも消費電力が小さい省電力モードの何れかに切り替えてネットワークインタフェースを動作させる制御を行う電力制御部と、を備える情報処理装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、省電力性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態の情報処理システムの概略構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態のサーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態のサーバが有する機能の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態のパケットの構造の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態のTCPヘッダの構造の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態のパケット判別テーブルの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態のパケットデータ受信時の電力状態の移行判断の一例を示すシーケンス図である。
【
図8】
図8は、実施形態のサーバの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る情報処理装置、情報処理方法およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。
【0009】
図1は、本実施形態の情報処理システム1の概略構成の一例を示す図である。
図1に示すように、情報処理システム1は、サーバ10と、端末20と、を含む。サーバ10と端末20はネットワーク30を介して接続される。ネットワーク30の一例として、例えばLAN(Local Area Network)であってもよい。以下の説明では、ネットワーク30を「LAN30」と称する場合がある。
【0010】
情報処理システム1に含まれる端末20の数は任意に設定可能であり、例えば1つでもよいし、2以上であってもよい。サーバ10は「情報処理装置」の一例であり、複数台の端末20からの要求を受け付けることも可能である。
【0011】
図2は、本実施形態のサーバ10のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2に示すように、サーバ10は、プロセッサ11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、記憶媒体14と、通信制御部15と、電力制御部16と、無線LAN制御部17と、有線LAN制御部18と、を備える。
【0012】
プロセッサ11は、ROM12に格納されたプログラムを実行することにより、サーバ10の動作を統括的に制御し、サーバ10が有する各種の機能を実現する。サーバ10が有する各種の機能については後述する。
【0013】
ROM12は不揮発性のメモリであり、サーバ10を起動させるためのプログラムを含む各種データを記憶する。RAM13は、プロセッサ11の作業領域を有する揮発性のメモリである。記憶媒体14は補助メモリとして機能することもできる。
【0014】
通信制御部15は、LAN30上の端末20と通信を行うためのハードウェアである。電力制御部16は、通信制御部15の電力制御を行うためのハードウェアである。無線LAN制御部17は、無線LANを制御するためのハードウェアであり、有線LAN制御部18は、有線LANを制御するためのハードウェアである。ここで、無線LANを制御するためのハードウェア(例えばアンテナなどの無線通信装置)や有線LANを制御するためのハードウェアが「ネットワークインタフェース」に該当する。
【0015】
通信制御部15は、ネットワーク通信を行うための物理インタフェースとして、各種制御部(電力制御部16、無線LAN制御部17、有線LAN制御部18)と接続されている。
【0016】
図3は、本実施形態のサーバ10が有する機能の一例を示す図である。
図3に示すように、サーバ10は、通信処理部110と、ネットワーク処理部120と、データ処理制御部130と、データ処理部140と、プログラム記憶部150と、データ記憶部160と、を有する。
【0017】
通信処理部110は、LAN30上で流れるパケット単位のデータ(通信パケット、パケットデータ)を送受信する。後述するように、パケットデータには端末20からのリクエストデータが含まれており、リクエストデータは「要求情報」の一例である。
【0018】
ネットワーク処理部120は、通信処理部110で受信されたデータの処理を行う。ネットワーク処理部120は、電力制御部121、プロトコルスタック部122、パケット判別テーブル123、パケット判別部124を有する。
【0019】
電力制御部121は、ネットワーク30と接続するためのインタフェースであるネットワークインタフェースの電力制御を行う。本実施形態では、電力制御部121は、通信処理部110によるリクエストデータの受信時に、該受信されたリクエストデータのサイズに応じて、通常モード、または、通常モードよりも消費電力が小さい省電力モードの何れかに切り替えてネットワークインタフェースを動作させる制御を行う。省電力モードでは、ネットワークインタフェースのデータ転送速度が通常モードに比べて抑えられることで消費電力が低減される。
【0020】
プロトコルスタック部122は、TCP/IPプロトコルを処理する。パケット判別テーブル123は、ポート番号と、リクエストデータのサイズとの対応関係を示す「対応情報」の一例である。この例では、パケット判別テーブル123は、プロトコルスタック部122にて解析されたポート番号に対応するリクエストデータサイズを示すテーブル形式のデータ構造であるが、対応情報のデータ形式は任意であり、テーブル形式に限られるものではない。
【0021】
パケット判別部124は、プロトコルスタック部122にて解析されたポート番号から、パケット判別テーブルを参照して、サーバ10の電力状態の移行判断を行う。
【0022】
TCP/IPプロトコルされたパケットデータはデータ処理制御部130に渡されて、サーバ10の各種機能を実現するためのアプリケーションに渡される。プログラム記憶部150はアプリケーションを記憶する。データ処理部140は、データ処理制御部130の制御の下、データ処理を行う。データ記憶部160は、データ処理されたアプリケーションデータを記憶する。
【0023】
図4は、パケットの構造の一例を示す図である。プロトコルスタック部122は、IPヘッダ、TCPヘッダを処理する。アプリケーションには、ペイロードが渡される。ペイロードには端末20からのリクエストデータが格納されており、アプリケーションはリクエストデータを処理してレスポンスデータをペイロードとして応答を行う。
【0024】
図5は、TCPヘッダの構造の一例を示す図である。この例では、TCPヘッダには、
図5に示す各種のデータが含まれており、宛先ポート番号にはサーバ10のアプリケーションが待ち受けるポート番号が格納されているため、データの種類を判別することが可能である。また、確認応答番号は、受信したデータのサイズを積算して応答する部分であり、一連の受信パケットから端末20が送信してきたリクエストデータのデータサイズを判別することができる。
【0025】
図6は、パケット判別テーブル123の一例を示す図である。パケット判別テーブル123は、ポート番号別に管理されており、ポート番号ごとに、端末20からのリクエストデータの平均サイズ、平均サイズから判断されたサイズの大小、どのような電力状態にするか(通常モードで受信するか省電力モードで受信するか)がテーブル形式で対応付けられている。
【0026】
図6の例では、ポート番号が「9100」の場合は、端末20からのリクエストデータのデータ種別は印刷データとなるが、この場合のリクエストデータは大きいサイズになる傾向がある。一方、ポート番号が「161」の場合は、端末20からのリクエストデータのデータ種別は機器の状態の問い合わせとなるが、この場合のリクエストデータは小さいサイズになる傾向がある。このようにポート番号毎に端末20からのリクエストデータのデータサイズをあらかじめ測定してパケット判別テーブル123に記録しておくことで、ポート番号を判別でき次第、電力状態の移行判断もできるようになる。
【0027】
本実施形態では、電力制御部121は、上述のパケット判別テーブル123に基づいて、通常モードまたは省電力モードの切り替えを制御する。より具体的には、電力制御部121は、リクエストデータの通信に使用するポート番号に対応するリクエストデータのサイズが閾値以上の場合(サイズが大きい場合に相当)は、通常モードでネットワークインタフェースを動作させ、リクエストデータの受信が完了した後に省電力モードに切り替える。また、電力制御部121は、リクエストデータの通信に使用するポート番号に対応するリクエストデータのサイズが閾値未満(サイズが小さい場合に相当)であり、かつ、省電力モードで動作中の場合は省電力モードを維持し、リクエストデータのサイズが閾値未満であり、かつ、通常モードで動作中の場合は通常モードを維持する。
【0028】
一例として、ネットワークインタフェースが無線LANを制御するためのハードウェア(例えばアンテナなどの無線通信装置)であって、通常モードは、複数のアンテナを用いて通信を行う状態とすることができる。例えば通常モードでは、複数のアンテナを用いて、同一周波数で同時に通信することで通信帯域を広げるMIMO(Multiple Input Multiple Output)の技術を用いることができる。一方、省電力モードは、1つのアンテナのみを用いて通信を行う状態とすることができる。
【0029】
図7は、パケットデータ受信時の電力状態の移行判断の一例を示すシーケンス図である。端末20から送信されてきたデータがTCPパケットであった場合、端末20とサーバ10との間ではコネクション確立のためのSYNパケットのやり取りが行われる。
【0030】
まず、端末20はサーバ10へSYNパケットを送信する(S1)。このとき、TCPヘッダのフラグ部(
図5参照)にSYNのビットを立てたパケットになるが、サーバ10は、SYNパケット受信時に、宛先ポート番号を確認することで、ポート番号を判別できる(S2)。
【0031】
そして、サーバ10は、パケット判別テーブル123を参照し(S3)、S2で判別したポート番号に対応するサイズを確認し、該サイズに対応する電力状態を判別できる(S4)。そして、サーバ10は、S4の判別結果に応じて、電力状態を移行する処理を行うことができる(S5)。
【0032】
その後、サーバ10と端末20との間でパケット応答のやり取りを経た後に(S6,7)、端末20はサーバ10へリクエストデータを送信し(S8)、サーバ20は、リクエストデータに応じた電力状態で受信し、ペイロードをアプリケーションへ転送する(S9)。
【0033】
図8は、サーバ10の動作例を示すフローチャートである。なお、本実施形態では、ネットークインタフェースの初期の電力状態は省電力モードで動作しており、端末20からのリクエストデータに応じて電力状態を遷移させる。
【0034】
まず、通信処理部110で端末20からのパケットデータを受信する(S11)。ネットワーク処理部120(プロトコルスタック部122)は、S1で受信されたパケットデータを解析して、宛先ポート番号を取得する(S12)。ネットワーク処理部120(パケット判別部124)は、パケット判別テーブル123を参照して、S12で取得したポート番号に対応するサイズを特定し、その特定したサイズに対応する電力状態を判定する(S13)。
【0035】
S13で判定した電力状態が省電力モードであり(S14:Yes)、かつ、サーバ10が省電力モードで動作中の場合は(S15:Nо)、ネットワーク処理部120(電力制御部121)は省電力モードを維持し、省電力モードで残りのパケットを受信する(S16)。このように、リクエストデータのデータサイズが小さく、かつ、リクエストデータ受信時のサーバ10の電力状態が省電力モードの場合は、省電力モードを維持することで、省電力モードを維持したリクエストデータの受信を行うことができる。
【0036】
S13で判定した電力状態が通常モードの場合(S14:Nо)、ネットワーク処理部120(電力制御部121)は、サーバ10の電力状態を通常モードに制御して、残りのパケットを受信する(S17)。例えばリクエストデータ受信時のサーバ10の電力状態が省電力モードの場合は、ネットワーク処理部120(電力制御部121)は、サーバ10の電力状態を通常モードに切り替えて、残りのパケットを受信する。パケットデータの受信完了後、ネットワーク処理部120(電力制御部121)は、サーバ10の電力状態を通常モードから省電力モードへ移行させる。
【0037】
S13で判定した電力状態が省電力モードであり(S14:Yes)、かつ、サーバ10が通常モードで動作中の場合(S15:Yes)、ネットワーク処理部120(電力制御部121)は通常モードを維持し、通常モードで残りのパケットを受信する(S18)。このように、リクエストデータ受信時のサーバ10の電力状態が通常モードの場合は、他のデータサイズが大きいリクエストデータを扱っている最中であるため、電力状態は通常モードを維持したままリクエストデータを受けることで、先のリクエストデータの通信には影響が出ないように制御することができる。
【0038】
以上に説明したように、本実施形態のサーバ10は、端末20からのリクエストデータの受信時に、該リクエストデータのサイズに応じて、通常モード、または、通常モードよりも消費電力が小さい省電力モードの何れかに切り替えてネットワークインタフェースを動作させる制御を行う。これにより、リクエストデータの受信時および通信状況を反映させて、サーバ10の電力状態を設定することができるので、省電力性能を向上させることができるという有利な効果を奏する。
【0039】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、上述の実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 情報処理システム
10 サーバ
11 プロセッサ
12 ROM
13 RAM
14 記憶媒体
15 通信制御部
16 電力制御部
17 無線LAN制御部
18 有線LAN制御部
20 端末
30 ネットワーク(LAN)
110 通信処理部
120 ネットワーク処理部
121 電力制御部
122 プロトコルスタック部
123 パケット判別テーブル
124 パケット判別部
130 データ処理制御部
140 データ処理部
150 プログラム記憶部
160 データ記憶部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】