(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137351
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】紙折り装置および画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 45/101 20060101AFI20230922BHJP
B65H 37/06 20060101ALI20230922BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
B65H45/101 E
B65H37/06
G03G15/00 460
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043523
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】庄子 智
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀貴
(72)【発明者】
【氏名】吉田 明仁
【テーマコード(参考)】
2H072
3F108
【Fターム(参考)】
2H072GA01
3F108AA01
3F108AB01
3F108AC01
3F108BA04
3F108BB07
3F108BB23
3F108CB03
3F108CB45
3F108CB48
3F108EA11
3F108GA01
3F108GB03
(57)【要約】
【課題】搬送経路に折り束が引っ掛かって紙詰まりになることを防止する。
【解決手段】記録媒体を進出後退自在に搬送する搬送ローラ対と、前記搬送ローラ対が前記記録媒体を搬送する方向に対して直交する方向に、前記記録媒体を進出後退自在に搬送する複数の折りローラ対と、前記記録媒体を誘導する前記折りローラ対を交互に切り替えつつ、前記記録媒体を前記折りローラ対のニップに進入させて折り込ませる折り処理を実行する一対の誘導手段と、前記折りローラ対、前記搬送ローラ対および前記誘導手段を制御し、前記折り処理を実行した折り束の折り回数が搬送可能な高さの上限となる最大折り回数になった場合に、前記折り処理を少なくとも1回分スキップする制御部と、を備える。
【選択図】
図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を進出後退自在に搬送する搬送ローラ対と、
前記搬送ローラ対が前記記録媒体を搬送する方向に対して直交する方向に、前記記録媒体を進出後退自在に搬送する複数の折りローラ対と、
前記記録媒体を誘導する前記折りローラ対を交互に切り替えつつ、前記記録媒体を前記折りローラ対のニップに進入させて折り込ませる折り処理を実行する一対の誘導手段と、
前記折りローラ対、前記搬送ローラ対および前記誘導手段を制御し、前記折り処理を実行した折り束の折り回数が搬送可能な高さの上限となる最大折り回数になった場合に、前記折り処理を少なくとも1回分スキップする制御部と、
を備えることを特徴とする紙折り装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記搬送ローラ対による前記記録媒体の搬送量を指定された折り幅よりも長く搬送することで、折りを形成しない非折り区間を作った後、残りの前記折り処理を前記折り幅で再開させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の紙折り装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記非折り区間を複数回作り、前記折り束を複数形成させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の紙折り装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記最大折り回数を、前記搬送可能な折り回数として自動的に設定するか、またはユーザが予め任意に設定するかを切り替えられる、
ことを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載の紙折り装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記非折り区間上に等間隔あるいはユーザ指定の任意の間隔で折り筋を付けるクリース処理を、一回あるいは複数回行う、
ことを特徴とする請求項1ないし4の何れか一項に記載の紙折り装置。
【請求項6】
画像形成装置と、
請求項1ないし5の何れか一項に記載の紙折り装置と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙折り装置および画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録媒体を蛇腹状に折る処理を行う紙折り装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、折り対象となる記録媒体を使用時に展開しやすくする目的で、記録媒体の中央を基準として折り束を2つ構築する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術によれば、折り束の排出時に、折り束の側面が紙折り装置の搬送経路(排出口など)に引っ掛かって記録媒体が詰まってしまう、という問題があった。また、従来の技術によれば、折り束の排出時に折り束の側面が紙折り装置の搬送経路(排出口など)に引っかからないようにするために、折り束の折り回数にある程度の上限を設けざるを得なくなる、という問題があった。また、従来の技術によれば、折り束の排出時に折り束の側面が紙折り装置の搬送経路(排出口など)に引っかからないようにするために、蛇腹折り処理の最中に折り回数の限界を検知した時点で折り動作を中止させて排紙せざるを得なくなる、という問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、搬送経路に折り束が引っ掛かって紙詰まりになることを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、記録媒体を進出後退自在に搬送する搬送ローラ対と、前記搬送ローラ対が前記記録媒体を搬送する方向に対して直交する方向に、前記記録媒体を進出後退自在に搬送する複数の折りローラ対と、前記記録媒体を誘導する前記折りローラ対を交互に切り替えつつ、前記記録媒体を前記折りローラ対のニップに進入させて折り込ませる折り処理を実行する一対の誘導手段と、前記折りローラ対、前記搬送ローラ対および前記誘導手段を制御し、前記折り処理を実行した折り束の折り回数が搬送可能な高さの上限となる最大折り回数になった場合に、前記折り処理を少なくとも1回分スキップする制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、搬送経路に折り束が引っ掛かって紙詰まりになることを防止することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態にかかる画像形成システムの概略構成を示す断面図である。
【
図2】
図2は、紙折り装置の動作を示す側面図である。
【
図3】
図3は、紙折り装置の動作を示す側面図である。
【
図4】
図4は、紙折り装置の動作を示す側面図である。
【
図5】
図5は、紙折り装置の動作を示す側面図である。
【
図6】
図6は、誘導手段の構成を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、誘導手段のレール溝による案内構成を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、紙折り装置の駆動構成を概略的に示す説明図である。
【
図9】
図9は、画像形成システムの制御系の概略を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、従来の蛇腹折り動作を行っている様子を示す図である。
【
図11】
図11は、蛇腹折りを実施した折り束の断面図である。
【
図12】
図12は、紙折り処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、紙折り装置の紙折り動作の処理手順を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、紙折り装置の紙折り動作の処理手順を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、紙折り装置の紙折り動作の処理手順を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、非折り区間の形成処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、クリースを付加しない非折り区間の形成動作を示す図である。
【
図18】
図18は、クリースを付加しない非折り区間の形成動作を示す図である。
【
図19】
図19は、クリースを付加せずに分割して形成した折り束の一例を示す断面図である。
【
図20】
図20は、クリースを付加する非折り区間の形成動作を示す図である。
【
図21】
図21は、クリースを付加する非折り区間の形成動作を示す図である。
【
図22】
図22は、クリースを付加する非折り区間の形成動作を示す図である。
【
図23】
図23は、クリースを付加する非折り区間の形成動作を示す図である。
【
図24】
図24は、クリースを付加する非折り区間の形成動作を示す図である。
【
図25】
図25は、クリース(折り筋)を付加して分割して形成した折り束の一例を示す断面図である。
【
図26】
図26は、クリースを付加して分割して形成した折り束の別の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、紙折り装置および画像形成システムの実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
図1は、実施の形態にかかる画像形成システムの概略構成を示す断面図である。まず、
図1にて本実施形態に係る画像形成システムの全体の構成について説明する。本実施形態に係る画像形成システムは、画像形成装置である複写機200と、紙折り装置100と、から主に構成されている。紙折り装置100は、複写機200の背面に連結されている。紙折り装置100は、複写機200から搬送される用紙(記録媒体)Pを蛇腹状に折る。なお、複写機200と紙折り装置100とは、一体となった画像形成装置であってもよいことはいうまでもない。
【0011】
紙折り装置100は、図示しない複写機200との連結部、用紙Pの先端の端面を折る端面折り部120、用紙Pを搬送方向に蛇腹状に折る紙折り部130、及び折られた用紙Pを排出しスタックするトレイ140を備える。
【0012】
複写機200には画像読取装置205が配置されていると共に、その下部に手差し給紙台208が配置されている。この手差し給紙台208にセットされた用紙Pは、レジストロール207により一旦停止され、タイミングをとって作像ユニット206に供給される。作像ユニット206は、図示しない感光体に画像データに対応した潜像を形成し、この潜像をトナーにより現像し、このトナーを用紙Pに転写し、定着装置210により定着する。紙折りを行う場合、記録済用紙排出ロール211は、定着装置210でトナーが定着された記録済の用紙Pを、紙折り装置100へ排出する。また、紙折りを行わない場合、図示されていない切替爪および上排紙ローラ209は、記録済の用紙Pを複写機200の胴内へ排出する。
【0013】
次に、用紙Pを折る場合について説明する。
【0014】
記録済用紙排出ロール211より排出された用紙Pは、紙折り装置100に送られる。紙折り装置100は、入り口搬送ローラ対106,107によって用紙Pを搬送し、用紙Pの端面を折る場合は端面折り部120により用紙Pの先端の端面を折る。紙折り装置100は、端面折り部120により用紙Pの先端の端面を折った後、用紙Pを紙折り部130により搬送方向に蛇腹状に折り、折られた用紙Pをトレイ140にスタックする。
【0015】
次に、用紙Pを搬送方向に蛇腹状に折る紙折り装置100について説明する。
【0016】
ここで、
図2ないし
図5は紙折り装置100の動作を示す側面図である。
図1の紙折り部130の部分を拡大したのが
図2ないし
図5である。
【0017】
図2に示すように、紙折り部130は、用紙Pの先端を検出する先端検知センサ15を、紙折り部130の入り口に配置する。紙折り部130は、先端検知センサ15の下流側に、用紙Pを進出後退自在に搬送する搬送ローラ対14を設ける。紙折り部130は、搬送ローラ対14の下流側に、搬送ローラ対14が用紙Pを搬送する方向に対し、直交する方向に搬送する折りローラ対11(11a,11b),12(12a,12b)を配置する。折りローラ対11,12は、同期して正転、逆転し、用紙Pを蛇腹状に折る。すなわち、折りローラ対11,12は、搬送ローラ対14が用紙Pを搬送する方向に対して直交する方向に、用紙Pを進出後退自在に搬送する。
【0018】
紙折り部130は、折りローラ対11の外側に、それぞれ折り幅左検知センサ16、折り幅右検知センサ17を設け、用紙Pの先端及び折った用紙Pの折り端面を検出する。また、紙折り部130は、折りローラ対11,12の間に、下ガイド板18を配置し、折った用紙Pの端面をローラ対11,12に案内する。
【0019】
紙折り部130は、搬送ローラ対14の外側に、一対の誘導手段20,21を設け、用紙Pの先端の搬送方向の案内を折りローラ対11もしくは12のいずれかの側に切り替える。誘導手段20,21は、それぞれ下折りローラ11b,12bに当接するよう円弧状の軌跡を有し、駆動ギヤ22,23により回転駆動されることにより、進出後退動作を行う。すなわち、誘導手段20,21は、用紙Pを誘導する折りローラ対11,12を交互に切り替えつつ、用紙Pを折りローラ対11,12のニップに進入させて折り込ませる折り処理を実行する。
【0020】
紙折り部130は、用紙Pの先端を誘導手段20、21により折りローラ対11,12近傍に案内し、折りローラ対11,12のニップに進入させる。このとき、紙折り部130は、誘導手段20,21のどちらを動かすかにより、折りローラ対11,12どちらのニップに用紙Pの先端を進入させるかを選択する。ここでは右側の折りローラ対12に案内する誘導手段20を右誘導手段、左側の折りローラ対11に案内する誘導手段21を左誘導手段とする。さらに、誘導手段20,21は、
図4に示すように、用紙Pの折り時においては用紙Pの内側を折りローラ対11,12いずれかのニップに案内する構成でもある。このとき、誘導手段20,21の先端に構成されたコロ20a,21aが、それぞれ下折りローラ11b,12bに当接する。
【0021】
ここで、
図6は誘導手段20,21の構成を示す斜視図、
図7は誘導手段20,21のレール溝による案内構成を示す斜視図である。なお、
図6および
図7に示した誘導手段は左誘導手段21であるが、右誘導手段も左右対称で同一の構成である。
【0022】
図6に示すように、誘導手段21は、左誘導手段21の両側にギヤ部を有する側板21hを配置し、両側板21hをつなぎ、用紙Pの先端をガイドする案内板21dを側板21h間に設ける。さらに、誘導手段21は、ステー21eも側板21h間に設け、側板21hを支持する。誘導手段21は、ステー21eに、
図2に示す誘導手段ホームポジションセンサ(以降、誘導手段HPセンサと呼ぶ)24,25を遮光する遮光板21cを有する。また、誘導手段21は、両側板21h間先端には最大用紙幅以上の幅を有するコロ21aを有する。コロ21aは、両側板21hだけでなく、案内板21dの先端部21gでも軸受けとして支持されている。ここでは案内板21dの先端部21gはコロ21aの全幅を支持しているが、部分的に支持しても良い。また先端部21gはフッ素樹脂例えばテフロン(登録商標)コーティングされているが、案内板21d自身を摩擦係数の低い樹脂材料を用いても良い。また、コロ21aはパイプ材であっても良い。
【0023】
さらに、誘導手段21は、両側板21hの外側に、複数個のコロ21fを突設する。
図7に示すように、誘導手段20,21の両外側には一対のレール60が設けられる。また、誘導手段20,21がそれぞれ下折りローラ11b,12bに当接するよう、レール60にはレール溝60a,60bが円弧状に切溝され、コロ21fがレール溝60に遊嵌される。これにより、誘導手段20,21が円軌跡を描いて上下動するように構成されている。すなわち、レール溝60a,60b内をコロ21fが当接し、誘導手段20,21のギヤ部20b(図示せず)、21bが駆動ギヤ22,23とかみ合い、コロ21fがレール溝60a,60b内を転動することにより、誘導手段20,21はそれぞれ下折りローラ11b,12bに当接、離間するよう円弧軌跡を描いて往復動する。
【0024】
図8は、紙折り装置100の駆動構成を概略的に示す説明図である。
【0025】
図8において、搬送ローラ対14の駆動側ローラは端部に連結されたプーリ50により駆動ベルト51を介して搬送モータ52から駆動力を得し、搬送方向(
図8中の矢印方向)に回転する。また、搬送ローラ対14の中央近傍に先端検知センサ15が設けられている。
【0026】
誘導手段20,21の駆動については左右対称で同一の駆動構成であるため、ここでは左誘導手段21を使って説明する。まず、左誘導手段21の両端のギヤ部21bには駆動ギヤ23がそれぞれ噛合している。両端の駆動ギヤ23は1本の同一駆動軸54上に取り付けられて駆動するため、駆動軸54が回転する分同一駆動軸54と平行に左誘導手段21が移動することになる。駆動軸54にはトルクリミッタ42bを介して駆動プーリ42aと連結され、駆動プーリ42aと駆動プーリ40は駆動ベルト41により連結駆動され、さらに駆動プーリ40と同一軸39上の駆動プーリ55は駆動ベルト37を介して誘導手段左モータ36と連結されている。従って、誘導手段左モータ36が矢印方向に回転すると、左誘導手段21が矢印方向に移動する。そのとき、左誘導手段21にトルクリミッタ42bの回転負荷トルク以上の負荷がかかった場合、トルクリミッタ42bと駆動プーリ42aの間でトルクを発生させながら滑る構成になっている。さらに、誘導手段21の端部には遮光板21cを有し、誘導手段21が上昇待機している位置で誘導手段左HPセンサ25を遮光し、待機位置を検出する。なお、右誘導手段20についても同様の構成で
図8中では右誘導手段20が下降時の回転方向を示している。
【0027】
次に折りローラ対11,12の駆動について説明する。上折りローラ11aの端部には駆動プーリ35、上折りローラ12aの端部には駆動プーリ33bが連結され、駆動プーリ35と駆動プーリ33bは駆動ベルト34により連結されている。さらに、駆動プーリ33bと一体化された駆動プーリ33aは駆動ベルト31を介して、駆動プーリ57aと連結され、さらに駆動プーリ57aと一体化された駆動プーリ57bは駆動ベルト56を介して折りモータ30と連結されている。従って、折りモータ30が
図8中の矢印方向に回転すると。上折りローラ11a,12aは同期して矢印方向に回転する。さらに図示されていない駆動ベルトが上折りローラ11a,12aと下折りローラ11b,12bを連結することにより、折りモータ30が回転すると折りローラ対11,12は同期して上下折りローラとも搬送方向に回転する構成となっている。さらに両折りローラ対11,12の外側中央近傍にそれぞれ折り幅右検知センサ17、折り幅左検知センサ16が配置されている。
【0028】
図9は、画像形成システムの制御系の概略を示すブロック図である。
【0029】
複写機200の制御系は、操作部201及び本体制御基板202から構成されている。紙折り装置100の制御系は、制御部である紙折りコントローラ10、先端検知センサ15、誘導手段右HPセンサ24、誘導手段左HPセンサ25、折り幅左検知センサ16、折り幅右検知センサ17、折りモータ30、搬送モータ52、誘導手段右モータ43及び誘導手段左モータ36から構成されている。
【0030】
紙折りコントローラ10は、CPU(Central Processing Unit)、プログラムなどを記憶するROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。紙折りコントローラ10は、ROMに記憶されたプログラムをRAMに展開して、CPUが実行することで、後述する紙折り機能などの各種の機能を実現する。
【0031】
紙折りコントローラ10は各モータ30,52,43,36を制御し、複写機200の操作部201から折り種類、サイズ等の入力信号を本体制御基板202が受け、紙折りコントローラ10に情報が送られ、各センサ情報に基づいて各モータを制御し、用紙Pを折る。
【0032】
図9の構成では、紙折りコントローラ10により各モータ30,52,43,36を制御し、複写機200の操作部201より折り種類、サイズ等の入力信号を本体制御基板202が受け、紙折りコントローラ10に用紙Pの種類等必要な情報が付加された情報が送られ、各センサ情報を元に、各モータを制御し用紙Pを折る構成になっている。
【0033】
ここで、
図10は従来の蛇腹折り動作を行っている様子を示す図である。
図10に示すように、紙折り装置100の紙折り部130は、搬送ローラ対14によって搬送されてきた用紙Pに対して、ニップによって左側に折り位置を形成する折りローラ対11と、ニップによって右側に折り位置を形成する折りローラ対12と、折りローラ対11に用紙Pを導く誘導手段21と、折りローラ対12に用紙Pを導く誘導手段20と、左側から折り幅を計測するための折り幅右検知センサ17と、右側から折り幅左検知センサ16によって、左右交互に折り位置を形成していく。
【0034】
図10に示す例においては、搬送ローラ対14が下方向搬送回転、折りローラ対11と折りローラ対12が右方向搬送回転、誘導手段20が稼働、という動作をしている。このような動作により、紙折り部130は、折りローラ対12によって用紙Pの右側に折り位置を形成しようとしている。
【0035】
このような動作を左右交互に繰り返すことで、紙折り部130は、用紙Pに対して蛇腹折りを形成し、最終的に一つの折り束を排出する。
【0036】
図11は、蛇腹折りを実施した折り束の断面図である。
図11に示すように、通常、蛇腹折りは折り回数が増えれば増えるほど、折り束の高さが増していく。例えば、紙折り装置100内で搬送可能な折り束の高さがHmaxである場合、折り束の高さがHになってしまうと紙折り装置100内での搬送および排出時に紙詰まりなどの不都合が生じる。または、そもそも折り束の高さがHになる折り回数を設定できないという制約が生じる。
【0037】
そこで、本実施形態においては、用紙Pが搬送困難な高さに到達する折り回数を指定された場合に、搬送可能な高さの上限となる折り回数になる前に、折り動作を1回分スキップすることで、形成される折り束を分割する。これにより、折り束全体の高さが抑制されるため、搬送経路(排出口など)に折り束が引っ掛かって紙詰まりになることがなくなり、また搬送可能な折り回数を従来よりも多く設定することができるようにしたものである。以下において詳述する。
【0038】
ここで、
図12は紙折り処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【0039】
図12に示すように、紙折り装置100の紙折りコントローラ10は、用紙Pの用紙サイズ、用紙Pの用紙種類等の必要情報の設定を受け付ける(ステップS201)。
【0040】
また、紙折りコントローラ10は、折り種類の設定を受け付ける(ステップS202)。折り種類は、例えば、右側の折りローラ12に入れる紙折り種類か、左側の折りローラ11に入れる紙折り種類か、蛇腹折りの際にクリース(折り筋)を付けるか否かなどである。
【0041】
次に、紙折りコントローラ10は、搬送可能な最大折り回数Nmaxを算出する(ステップS203)。より詳細には、紙折りコントローラ10は、用紙Pが搬送困難な高さに到達する直前の最大折り回数Nmaxを設定する。
【0042】
なお、紙折りコントローラ10は、搬送可能な最大折り回数Nmaxを、搬送可能な折り回数として自動的に設定するか、またはユーザが予め任意に設定するかを切り替えられるものとする。これにより、搬送可能な折り回数で設定するのみだと、最後の折り束だけ極端に低くなり、見た目がアンバランスになってしまうことがある。本実施形態においては、紙折りコントローラ10は、ユーザが予め折り束の折り回数を設定可能とすることで、排出される折り束の高さをフラットにすることができる。
【0043】
次に、紙折りコントローラ10は、折り回数N=0とする初期設定を行う(ステップS204)。
【0044】
続いて、紙折りコントローラ10は、紙折り動作を実行(ステップS205)。
【0045】
ここで、ステップS205における紙折り装置100の一連の紙折り動作の流れについて説明する。
【0046】
図13ないし
図15は紙折り装置100の紙折り動作の処理手順を示すフローチャートである。
【0047】
まず、複写機200の本体操作部201より紙折りありの信号が入力されるとその信号が本体制御基板202を経由して用紙Pの種類等必要な情報が付加され、紙折りコントローラ10に送られる。その場合、紙折り装置100側では、
図13のフローチャートがスタートし、紙折りコントローラ10は、誘導手段左モータ36が正転方向にONし(ステップS0-1)、誘導手段左HPセンサ25がOFFした後、T10秒後に誘導手段左モータ36をOFFする(ステップS0-2)。その後、紙折りコントローラ10は、誘導手段左モータ36が逆転方向にONし(ステップS0-3)、誘導手段左HPセンサ25がONした後、T11秒後に誘導手段左モータ36をOFFし(ステップS0-4)、左誘導手段21の待機位置を調整する。
【0048】
次に、紙折りコントローラ10は、左誘導手段21の調整と同様にして右誘導手段20の待機位置の調整を、フローチャートのステップS0-5からS0-8の工程を経て、誘導手段右モータ43、誘導手段右HPセンサ24により行う。誘導手段20、21の待機位置は紙折りコントローラ10が本体制御基板202より折り種類、用紙サイズ、用紙種類等の必要情報を入手し、各種センサ、情報を元に決定する。その後、紙折りコントローラ10は、
図14に示すSに飛んで、搬送モータ52をONし、搬送ローラ対14が矢印方向に回転をはじめる(ステップS0)。
【0049】
そして、
図14のフローチャートに示すように先端検知センサ15がONになると(ステップS1)、紙折りコントローラ10は、本体操作部201から入力された紙折り種類の信号により最初の用紙Pの搬送が右側の折りローラ12に入れる紙折り種類であるかどうかを判断する(ステップS2)。ここでは紙折り種類の信号が、最初の用紙Pの搬送が右側の折りローラ12に入れる紙折り種類である場合(ステップS2のYes)について説明する。次いで、紙折りコントローラ10は、折りモータ30をONし、
図2の矢印方向(ここでは正転とする)に回転を開始する(ステップS3)。また、紙折りコントローラ10は、誘導手段右モータ43をONし、
図2の右誘導手段20を実線位置から破線位置に向かって移動を開始させる(このときの回転方向を正転とする)(ステップS4)。
【0050】
このとき、紙折りコントローラ10は、誘導手段右HPセンサ24をOFFし(ステップS5)、右誘導手段20が実線位置から破線位置に達する駆動時間T1秒後、誘導手段右モータ43をOFFする(ステップS6)。このとき
図2のように右誘導手段20の先端のコロ20aと下折りローラ12bとは当接せず、若干の隙間がある状態で右誘導手段20を停止させる。この状態で、紙折りコントローラ10は、
図2のように用紙Pの先端を右側の折りローラ対12のニップに進入させ、折り幅右検知センサ17をONする(ステップS7)。その後、紙折りコントローラ10は、右誘導手段20を待機位置に戻すため、誘導手段右モータ43を逆転方向にONし(ステップS8)、誘導手段右HPセンサ24をONする(ステップS9)。そして、紙折りコントローラ10は、T11秒後、誘導手段右モータ43をOFFし(ステップS10)、右誘導手段20を
図2の実線位置の待機状態に戻す。
【0051】
次に、紙折りコントローラ10は、用紙Pの先端が右側の折りローラ対12に進入後、次の折りの有無の判断を行う(ステップS11)。紙折りコントローラ10は、次の折りがあれば(ステップS11のYes)、折り幅右検知センサ17をONしてからT4秒後、折りモータ30をOFF停止し(ステップS12)、今度は用紙Pの内側を左折りローラ対11のニップに案内するため、誘導手段左モータ36をONし、
図3の左誘導手段21を矢印方向に向かって移動を開始させる(このときの回転方向を正転とする)(ステップS13)。このとき、紙折りコントローラ10は、誘導手段左HPセンサ25をOFFする(ステップS14)。
【0052】
紙折りコントローラ10は、左誘導手段21の動作と同時に
図3のように先端検知センサ15をONしてからT3秒後、折りモータ30を逆転方向にONする(ステップS15)。このとき用紙Pのたるむスピードより左誘導手段21の移動速度の方を早く設定しているため、
図3の破線のように用紙Pのたるみが無くなり、用紙Pと左誘導手段21の先端のコロ21aが当接する。このとき左誘導手段21の移動速度が用紙Pのたるむスピード以上には移動できなくなるため、トルクリミッタ42bに負荷がかかり、トルクリミッタ42bと駆動プーリ42aの間でトルクを発生させながら滑り始める。従って、トルクリミッタ42bの空転トルク分、用紙Pに対し左誘導手段21の先端のコロ21aが張力を与え、用紙Pが張った状態を保ちながら移動し、
図4のように左誘導手段21の先端のコロ21aは用紙Pを左側の下折りローラ11bに当接させる。
【0053】
紙折りコントローラ10は、用紙Pをさらに送り続け、折られた用紙Pの先端を折り幅左センサ16に達しさせてONする(ステップS16)。その後、紙折りコントローラ10は、左誘導手段21を待機位置に戻すため、誘導手段左モータ36を停止させ(ステップS17)、さらに逆転方向にONし(ステップS18)、誘導手段左HPセンサ25をONする(ステップS19)。紙折りコントローラ10は、T11秒後、誘導手段左モータ43をOFFし(ステップS20)、右誘導手段21を
図2の実線位置の待機状態に戻し、これで1回目の折りを終了とする。
【0054】
折り動作(1回)が終了すると、紙折りコントローラ10は、折り回数を1インクリメント(N=N+1)する(ステップS71)。
【0055】
続いて、紙折りコントローラ10は、用紙Pが搬送ローラ対14を抜けたかを判定する(ステップS72)。
【0056】
紙折りコントローラ10は、用紙Pが搬送ローラ対14を抜けた場合(ステップS72のYes)、排出動作フローCに入る。
【0057】
一方、紙折りコントローラ10は、用紙Pが給紙ローラ対14を抜けていない場合(ステップS72のNo)、折り回数N=Nmaxであるかを判定する(ステップS73)。
【0058】
紙折りコントローラ10は、折り回数N=Nmaxでない場合(ステップS73のNo)、すなわち折り回数Nが最大折り回数Nmaxに達していない場合、ステップS76に進む。
【0059】
一方、紙折りコントローラ10は、折り回数N=Nmaxである場合(ステップS73のYes)、すなわち折り回数Nが最大折り回数Nmaxに達している場合、非折り区間L’の形成動作を実行する(ステップS74)。ステップS74における非折り区間L’の形成動作については、後述する。
【0060】
紙折りコントローラ10は、非折り区間L’の形成動作後(ステップS74)、折り回数N=0とし(ステップS75)、ステップS76に進む。
【0061】
一方、ステップS11の次の折りがあるかないかの判断で、折りがない場合は(ステップS11のNo)、排紙方向が左折りローラ対側にあるため、一度スイッチバックしてから排出することになる。紙折りコントローラ10は、右折りローラ対12が用紙Pを搬送した状態で用紙Pの後端が先端検知センサ15を抜けOFFすると、折りモータ30をOFF停止し(ステップS22)、今度は折りモータ30を逆転し(ステップS23)、用紙Pの後端を左折りローラ対11に向けて搬送させ、排出動作フローCに入る。
【0062】
また、ステップS2の最初の用紙Pの搬送が右側の折りローラ12に入れる紙折り種類であるかどうかの判断で左側の折りローラ11に入れる紙折り種類である場合(ステップS2のNo)は、紙折りコントローラ10は、右側の折りローラ12に入れる場合と左右逆の違いでステップS24~S42までステップS3からステップS21までと同様に動作させる。ただし、ステップS32の次の折りの有無の判断で折りがない場合は、紙折りコントローラ10は、排紙方向が左折りローラ対11側にあり、一度スイッチバックしてから排出する必要がないため、そのまま排出動作フローCに入る。
【0063】
なお、紙折りコントローラ10は、ステップS81~S85においては、ステップS71~S75と同様に動作させる。
【0064】
ここで、紙折りコントローラ10は、繰り返し折りがあるかないかの判断を行い(ステップS76,S42)、1回目折りが左側である場合で繰り返し折りがあるときは(ステップS76のYes)、右側の繰り返し折りのフローBに入り、繰り返し折りがない場合は(ステップS76のNo)、一度スイッチバックしてから排出する必要がないため、そのまま排出動作フローCに入る。
【0065】
また、1回目折りが右側である場合で、繰り返し折りがあるときは(ステップS42のYes)、紙折りコントローラ10は、左側の繰り返し折りのフローAに入る。紙折りコントローラ10は、繰り返し折りがない場合は(ステップS42のNo)、一度スイッチバックしてから排出する必要があるため、右折りローラ対12が用紙Pを搬送した状態で用紙Pの後端が先端検知センサ15を抜け、OFFすると折りモータ30をOFF停止し(ステップS43)、今度は折りモータ30を逆転し(ステップS44)、用紙Pの後端を左折りローラ対11に向けて搬送させ、排出動作フローCに入る。
【0066】
次に、繰り返し折りのフローA、Bの場合では、左折りのフローAでは1回目折りのステップS12~S21、ステップS71~S75とほぼ同一でステップS48の折りモータ30を逆転させるタイミングが繰り返し折りの場合、紙折りコントローラ10は、折り幅右検知センサ17をONしてからT6秒後に逆転させている。同様に、右折りのフローBでは1回目折りのステップS33~S42、ステップS81~S85とほぼ同一でステップS58の折りモータ30を正転させるタイミングが繰り返し折りの場合、紙折りコントローラ10は、折り幅右検知センサ16がONしてからT6秒後に逆転させている。同様に、右折りのフローBでは1回目折りのフローチャートのステップS33ないしS42、ステップS81~S85とほぼ同一でステップS58の折りモータ30を正転させるタイミングが繰り返し折りの場合、紙折りコントローラ10は、折り幅右検知センサ16がONしてからT6秒後に逆転させている。その後のさらに繰り返し折りがある場合は、紙折りコントローラ10は、フローA、Bを繰り返し、最終折りが右側の場合は、排紙方向が左折りローラ対側にあるため、一度スイッチバックしてから排出することになる。紙折りコントローラ10は、右折りローラ対12が用紙Pを搬送した状態で用紙Pの後端が先端検知センサ15を抜けOFFすると、折りモータ30をOFF停止し(ステップS65)、今度は折りモータ30を逆転し(ステップS66)、用紙Pの後端を左折りローラ対11に向けて搬送させ、排出動作フローCに入る。最終折りが左側の場合は、紙折りコントローラ10は、そのまま排出動作フローCに入る。
【0067】
最後に、紙折りコントローラ10は、排出動作フローCで用紙Pの後端が折り幅左検知センサ16を通過し、折り幅左検知センサ16をOFF(ステップS67)した後、折りモータ30を停止させ(ステップS68)、搬送モータ52を停止させ(ステップS69)、排出を完了する。このように用紙Pを右折り、左折りと繰り返し折りを重ねると用紙Pは折られた束となり、折りローラ対11,12にニップされ搬送される。
【0068】
このように用紙Pに対し、右折り、左折りと繰り返し折りを重ねると、用紙Pは折られた束となり、折りローラ対11,12にニップされ搬送される。
【0069】
次に、ステップS74,S84,S94、S104における非折り区間L’の形成動作について説明する。
【0070】
ここで、
図16は非折り区間の形成処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
図16に示すように、紙折りコントローラ10は、まず、クリース(折り筋)を付加するかを判定する(ステップS111)。
【0071】
紙折りコントローラ10は、設定に基づいてクリース(折り筋)を付加しないと判定すると(ステップS111のNo)、非折り区間L’分の搬送を実行する(ステップS113)。
【0072】
ここで、
図17ないし
図18はクリース(折り筋)を付加しない非折り区間の形成動作を示す図である。
【0073】
図17は、紙折り動作を一回スキップして非折り区間L’を形成した時点を示したものである。本実施形態では、非折り区間L’は折り幅Lの三倍の長さとし、つまりそれは一回分折りをスキップしたことと同義となる。
図17に示すように、非折り区間L’を形成することで、折り束Paと折り束Pbとの二つに分割されることになる。
【0074】
図18は、折り処理を終えて折り束を排出する時点を示したものである。
図18に示すように、非折り区間L’によって折り束Paと折り束Pbとが形成されることによって、全体の折り束の高さが二つに分割されており、折り束全体の高さが抑制されている。
【0075】
ここで、
図19はクリース(折り筋)を付加せずに分割して形成した折り束の一例を示す断面図である。
図19に示すように、本実施形態では、紙折り装置100内で搬送可能な折り束の高さHmaxとなる折り回数に到達する前、つまり高さH’になった時点で、指定された折り幅Lよりも長い折り幅である非折り区間L’を形成する。本実施形態では、非折り区間L’は折り幅Lの三倍の長さとし、つまりそれは一回分折りをスキップしたことと同義となる。
【0076】
このように非折り区間L’を形成することにより、
図19に示すように、折り束を折り束Paと折り束Pbとの二つに分割することができ、本来、紙折り装置100内で搬送可能な折り束の高さHmaxを超えるような折り回数を実施することができる。なお、非折り区間L’の長さはユーザが任意で設定することもできる。
【0077】
なお、分割された折り束Paと折り束Pbとを、最終的にユーザが手で折り重ねて一つの蛇腹折り束が完成することになるが、折り処理中に非折り区間L’上にクリース(折り筋)をつけておけば、ユーザの手折り作業がやりやすくなる。この点については、以降において説明する。
【0078】
一方、紙折りコントローラ10は、設定に基づいてクリース(折り筋)を付加すると判定すると(ステップS111のYes)、非折り区間L’分の搬送(クリース付加動作あり)を実行する(ステップS112)。
【0079】
ここで、
図20ないし
図24はクリース(折り筋)を付加する非折り区間の形成動作を示す図である。
【0080】
図20は、紙折り装置100内で搬送可能な折り束の高さHmaxとなる折り回数に差し掛かった時点、つまり折り束が高さH’に達し、これから非折り区間L’の上に等間隔で二箇所のクリースCaとクリースCbとを付加しようとする時点を示したものである。紙折りコントローラ10は、
図20に示す時点においては、搬送ローラ対14を上方向搬送回転、折りローラ対11と折りローラ対12を左方向搬送回転させ、用紙Pを上方向へ引き戻していく。
【0081】
図21は、非折り区間L’上にクリースCbが付加された時点を示したものである。紙折りコントローラ10は、前述の
図20にて説明したように、用紙Pを上に引き戻していく。これにより、
図21に示すように、折りローラ対12から現在の右側の折り位置が離れ、それがそのままクリースCbとなる。
【0082】
図22は、非折り区間L’上にクリースCaが付加された時点を示したものである。紙折りコントローラ10は、前述の
図21にて説明したように、用紙Pを上に引き戻し続ける。これにより、
図22に示すように、折りローラ対8からも現在の左側の折り位置が離れ、それがそのままクリースCaとなる。
【0083】
図23は、二箇所のクリースCaとクリースCbとが付加された状態の非折り区間L’がこれから形成される時点を示したものである。
図23に示すように、紙折りコントローラ10は、前述の
図22にて説明したようにクリースCaを付加した後、搬送ローラ対14を下方向搬送回転、折りローラ対12を右方向搬送回転させ、用紙Pを右方向へ搬送する。
【0084】
図24は、非折り区間L’上に二箇所のクリースCaとクリースCbを付加し終えた時点を示したものである。
図24に示すように、非折り区間L’上には、二箇所のクリースCaとクリースCbとが付加されていることが分かる。
【0085】
なお、ここで説明したクリース付加方法(各折りローラ対11,12の回転制御を利用)を用いず、
図24の位置まで非折り区間L’を搬送してから(または紙折り装置100の範疇から折り束そのものを排出してから)、後付けで既存のクリース付加手段にてクリースCaとクリースCbを付加するようにしてもよい。
【0086】
ここで、
図25はクリース(折り筋)を付加して分割して形成した折り束の一例を示す断面図である。
図25に示すように、排出された二つの折り束Paと折り束Pbを、最終的にユーザが手で折り重ねて一つの折り束にするには、二箇所のクリースCaとクリースbとを付加するのが最適である。具体的には、非折り区間L’が折り幅Lの三倍の長さだとするならば、
図25に示すように、非折り区間L’を三等分する位置である。こうすれば、二つの折り束Paと折り束Pbとをユーザが手で折り重ねやすくなる上、全ての折り幅が本来指定した折り幅Lとなる。
【0087】
なお、
図25に示す例では、クリース(折り筋)の位置を蛇腹折りの体裁を保つため、非折り区間L’は折り幅Lの三倍の長さとしているが、これに限るものではなく、目的によって調整することは可能である。
【0088】
このように本実施形態によれば、用紙Pが搬送困難な高さに到達する折り回数が指定されており、搬送可能な高さの上限となる折り回数になる前に、折り動作を1回分スキップすることで、形成される折り束を分割する。これにより、折り処理を終えた折り束の高さが抑制されるため、搬送経路(排出口など)に折り束が引っ掛かって紙詰まりになることがなくなり、また搬送可能な折り回数を従来よりも多く設定することができる。
【0089】
なお、本実施形態においては、折り束を2つ作成する例を示したが、これに限るものではない。ここで、
図26はクリース(折り筋)を付加して分割して形成した折り束の別の一例を示す断面図である。
図26は、折り束を3つ作成する例を示したものである。
図13ないし
図15に示した通り、本実施形態においては、搬送可能な最大折り回数Nmaxを設定して非折り区間L’を作成することができるため、折り束の数には制限はない。本実施形態の紙折り装置100によれば、折り束Pa,Pb,Pc・・・と作成し続けることができる。
【0090】
なお、本実施形態の紙折り装置100で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供される。
【0091】
また、本実施形態の紙折り装置100で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の紙折り装置100で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0092】
また、本実施形態の紙折り装置100で実行されるプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0093】
なお、上記実施の形態では、本発明の画像形成装置を、複写機に適用した例を挙げて説明するが、これに限るものではなく、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0094】
10 制御部
11,12 折りローラ対
14 搬送ローラ対
20,21 誘導手段
100 紙折り装置
200 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0095】