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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137406
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】処理装置の清掃方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20230922BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/68 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043612
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡村 卓
(72)【発明者】
【氏名】木村 昌照
(72)【発明者】
【氏名】金子 智洋
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA37
5F131CA12
5F131DB02
5F131DB22
5F131DB52
5F131DB76
5F131DB82
5F131EA05
5F131EB01
5F131EC32
5F131EC72
(57)【要約】
【課題】簡単かつ確実に処理装置内の異物を除去し清浄な状態を保つことが可能な処理装置の清掃方法を提供すること。
【解決手段】処理装置の清掃方法は、対象物を載置する載置面11を備えた保持テーブル10と、保持テーブル10に保持された対象物に処理を施す処理ユニットと、対象物を保持する保持部を有し、保持部で保持した対象物を搬送する搬送ユニットと、を備える処理装置において、タック力を有する樹脂部材200を搬送ユニットの保持部により保持する保持ステップと、搬送ユニットの保持部に保持された樹脂部材200を保持テーブル10へと搬送する搬送ステップと、搬送ユニットにより搬送された樹脂部材200を保持テーブル10上に載置する載置ステップと、を実施し、樹脂部材200のタック力により搬送ユニットの保持部及び保持テーブル10の載置面11の少なくともいずれかに付着した異物300を除去する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を載置する載置面を備えた保持テーブルと、
該保持テーブルに保持された対象物に対して処理を施す処理ユニットと、
該対象物を保持する保持部を有し、該保持部により保持した対象物を各構成要素間で搬送する搬送ユニットと、
を備える処理装置において、
タック力を有する樹脂部材を搬送ユニットの該保持部により保持する保持ステップと、
搬送ユニットの該保持部に保持された該タック力を有する樹脂部材を該保持テーブルへと搬送する搬送ステップと、
搬送ユニットにより該保持テーブルへと搬送された該タック力を有する樹脂部材を該保持テーブル上に載置する載置ステップと、を実施し、
該樹脂部材のタック力により該搬送ユニットの保持部および該保持テーブルの載置面の少なくともいずれかに付着した異物を除去することを特徴とする、処理装置の清掃方法。
【請求項2】
該保持テーブルの載置面に負圧を作用させることで、該保持テーブルに載置された該タック力を有する樹脂部材と該載置面とを密着させることを特徴とする、請求項1に記載の処理装置の清掃方法。
【請求項3】
該タック力を有する樹脂部材は、中央に開口を有するフレームと一体化されており、
搬送ユニットの該保持部は、該フレームを保持することを特徴とする、請求項1または2に記載の処理装置の清掃方法。
【請求項4】
該フレームは、タック力を有する樹脂部材からなる、請求項3に記載の処理装置の清掃方法。
【請求項5】
該タック力を有する樹脂部材は、板状物の一方の面と一体化されており、
該搬送ユニットの保持部は、該タック力を有する樹脂部材と一体化した該板状物の一方の面側を保持することを特徴とする、請求項1または2に記載の処理装置の清掃方法。
【請求項6】
該タック力を有する樹脂部材は、金属捕捉基を含有することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の処理装置の清掃方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置の清掃方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスにおいて使用される処理装置は、半導体のウエーハを保持する保持テーブルや、ウエーハに対して加工を施す加工ユニット、加工後のウエーハを洗浄する洗浄ユニットや、ウエーハを搬送する搬送ユニット等を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-007058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した処理装置において、加工等の処理時に発生した処理屑等の異物が保持テーブルに付着すると、続いて処理を施すウエーハを載置した際に処理屑を起点として割れが発生してしまうリスクが存在する。こうしたリスクを排除するために、ウォーターカーテン等により液体を供給して保持テーブルを洗浄する方法も考案されているが、液体により保持テーブルのポーラス部の剥離が発生しやすくなるという課題が存在しており、また、エアブロー等の気体の供給により保持テーブルを清掃する方法では、異物が完全には除去できないという異なる課題が存在していた。さらに、搬送ユニットに異物が付着すると、搬送時に脱落してウエーハを汚染したり、異物の影響でウエーハを正常に搬送できず落下させてしまったりする等の恐れが存在しており、現状では問題が起きてからオペレータが清掃するという後手、後手の対応となっていた。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単かつ確実に処理装置内の異物を除去し清浄な状態を保つことが可能な処理装置の清掃方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の処理装置の清掃方法は、対象物を載置する載置面を備えた保持テーブルと、該保持テーブルに保持された対象物に対して処理を施す処理ユニットと、該対象物を保持する保持部を有し、該保持部により保持した対象物を各構成要素間で搬送する搬送ユニットと、を備える処理装置において、タック力を有する樹脂部材を搬送ユニットの該保持部により保持する保持ステップと、搬送ユニットの該保持部に保持された該タック力を有する樹脂部材を該保持テーブルへと搬送する搬送ステップと、搬送ユニットにより該保持テーブルへと搬送された該タック力を有する樹脂部材を該保持テーブル上に載置する載置ステップと、を実施し、該樹脂部材のタック力により該搬送ユニットの保持部および該保持テーブルの載置面の少なくともいずれかに付着した異物を除去することを特徴とする。
【0007】
該保持テーブルの載置面に負圧を作用させることで、該保持テーブルに載置された該タック力を有する樹脂部材と該載置面とを密着させてもよい。
【0008】
該タック力を有する樹脂部材は、中央に開口を有するフレームと一体化されており、搬送ユニットの該保持部は、該フレームを保持してもよい。
【0009】
該フレームは、タック力を有する樹脂部材からなってもよい。
【0010】
該タック力を有する樹脂部材は、板状物の一方の面と一体化されており、該搬送ユニットの保持部は、該タック力を有する樹脂部材と一体化した該板状物の一方の面側を保持してもよい。
【0011】
該タック力を有する樹脂部材は、金属捕捉基を含有してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、タック力を有する樹脂部材を処理装置内の対象物の搬送経路に沿って搬送することにより、樹脂部材のタック力により対象物の搬送経路に付着した異物を吸着して除去することができるので、簡単かつ確実に処理装置内の異物を除去し清浄な状態を保つことができる。また、本発明は、保持テーブルの載置面に負圧を作用させて、保持テーブルの載置面に載置された樹脂部材と当該載置面とを密着させることにより、載置面に付着した異物を、より確実に樹脂部材で吸着して除去できる。また、本発明は、タック力を有する樹脂部材が中央に開口を有するフレームと一体化されており、搬送ユニットの保持部がフレームを保持する場合、処理装置がフレームが装着された対象物を搬送して処理する場合と同様の方法で容易にフレームが装着された樹脂部材を搬送できる。さらに、本発明は、フレームがタック力を有する樹脂部材を構成する材料と同様の材料で構成されている場合、フレームのタック力によりフレームを保持する搬送ユニットの保持部に付着した異物を吸着して除去することができる。また、本発明は、タック力を有する樹脂部材が板状物と一体化される場合、粘着テープが貼着された対象物と同様の形状を有するので、処理装置が粘着テープが貼着された対象物を搬送して処理する場合と同様の方法で容易に板状物と一体化されたタック力を有する樹脂部材を搬送できる。本発明は、さらに、タック力を有する樹脂部材が金属捕捉基を含有する場合、金属捕捉基により対象物の搬送経路における金属汚染を分子レベルで吸着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態1に係る処理装置の清掃方法の実施対象である処理装置の構成例を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態1に係る処理装置の清掃方法の処理手順を示すフローチャートである。
図3図3は、図2の処理装置の清掃方法に使用する樹脂部材の一例を示す斜視図である。
図4図4は、図2の保持ステップ及び搬送ステップの一例を説明する斜視図である。
図5図5は、図2の載置ステップの一例を説明する断面図である。
図6図6は、実施形態2に係る処理装置の清掃方法の実施対象である処理装置の構成例を示す斜視図である。
図7図7は、実施形態2に係る処理装置の清掃方法に使用する樹脂部材の一例を示す斜視図である。
図8図8は、実施形態2に係る保持ステップ及び搬送ステップの一例を説明する斜視図である。
図9図9は、実施形態2に係る載置ステップの一例を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0015】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る処理装置の清掃方法を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る処理装置の清掃方法の実施対象である処理装置1の構成例を示す斜視図である。処理装置1は、図1に示すように、保持テーブル10と、処理ユニット20と、搬送ユニット30と、カセット載置台40と、洗浄ユニット50と、制御ユニット60と、を備える。
【0016】
処理装置1の処理対象である対象物100は、実施形態1では、例えば、図1に示すように、シリコン、サファイア、シリコンカーバイド(SiC)、ガリウムヒ素などを母材とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハなどである。対象物100は、平坦な表面の格子状に形成される複数の分割予定ラインによって区画された領域にチップサイズの半導体デバイスや光デバイスなどのデバイスが形成されている。対象物100は、実施形態1では、裏面に粘着テープが貼着され、粘着テープの外縁部に、中央に開口を有する環状のフレームが装着されているが、本発明ではこれに限定されない。また、対象物100は、本発明では、樹脂により封止されたデバイスを複数有した矩形状のパッケージ基板、セラミックス板、又はガラス板等でも良い。
【0017】
保持テーブル10は、凹部が形成された円盤状の枠体と、凹部内に嵌め込まれた円盤形状の吸着部と、を備える。保持テーブル10の吸着部は、多数のポーラス孔を備えたポーラスセラミック等から形成されたポーラス部を有し、吸引路13(図5参照)を介して真空吸引源15(図5参照)と接続されている。ポーラス部は、実施形態1では、例えばアルミナセラミックス等で形成される。保持テーブル10の吸着部の上面は、図1に示すように、対象物100が載置される載置面11である。載置面11は、真空吸引源15から保持テーブル10内に形成された吸引路13を通じて導入される負圧により、載置された対象物100を載置面11に密着させて吸引保持する。載置面11は、本実施形態では、対象物100が表面を上方に向けて載置され、載置された対象物100を裏面側から粘着テープを介して吸引保持する。載置面11と保持テーブル10の枠体の上面とは、同一平面上に配置されており、水平面であるXY平面に平行に形成されている。保持テーブル10は、不図示のX軸方向移動ユニットにより水平方向と平行なX軸方向に移動自在に設けられており、不図示の回転駆動源により水平面(XY平面)に直交しかつ鉛直方向に平行なZ軸回りに回転自在に設けられている。
【0018】
また、保持テーブル10は、図1に示すように、枠体の外周部に配置されて、対象物100に装着されたフレームを、フレームの上面が載置面11より鉛直方向の高さが低くなる位置で保持して固定する複数(図1に示す例では2つ)のクランプ状のフレーム保持部12を備える。
【0019】
処理ユニット20は、保持テーブル10に保持された対象物100に対して処理を施す。処理ユニット20は、実施形態1では、図1に示すように、先端に切削ブレードが装着されるスピンドルを備え、保持テーブル10に保持された対象物100を切削処理する切削ユニットである。処理ユニット20は、不図示のY軸方向移動ユニットにより水平方向と平行でかつX軸方向に直交するY軸方向に移動自在に設けられており、不図示のZ軸方向移動ユニットによりZ軸方向に移動自在に設けられている。処理ユニット20は、スピンドルの先端に装着された切削ブレードが、スピンドルの回転動作により、水平方向の一方向(図1のY軸方向)と平行な軸心周りの回転動作が加えられて、保持テーブル10に保持された対象物100を分割予定ラインに沿って切削処理する。処理装置1は、図1に示すように、処理ユニット20(切削ユニット)を2組備えた、即ち、2スピンドルのダイサ、いわゆるフェイシングデュアルタイプの処理装置(切削装置)である。
【0020】
搬送ユニット30は、対象物100を保持して、処理装置1の各構成要素間で搬送する。ここで、各構成要素間は、実施形態1では、具体的には、保持テーブル10と、カセット載置台40に載置されたカセット45と、洗浄ユニット50と、の間を指す。搬送ユニット30は、実施形態1では、図1に示すように、第1搬送ユニット31と、第2搬送ユニット32と、を有する。
【0021】
第1搬送ユニット31は、図1に示すように、カセット載置台40に載置されたカセット45の対象物100を搬出入する搬出入部の手前に、搬出入方向であるY軸方向に沿って移動可能に設けられている。第1搬送ユニット31は、対象物100に装着されたフレームの搬出入部側の部分を+Y方向から保持する保持部35を有する。保持部35は、実施形態1では、フレームを把持する把持クリップであり、例えばステンレスに、ニトリルゴム、シリコンゴム、天然ゴム、ポリウレタンゴム、フッ素ゴムなどが覆われて形成される。第1搬送ユニット31は、カセット45に収容された対象物100に装着されたフレームを保持部35で保持してY軸方向に沿って搬出して、カセット載置台40に載置されたカセット45の搬出入部の手前に設けられた不図示の一対のガイドレール上へと搬送する。また、第1搬送ユニット31は、一対のガイドレール上の対象物100に装着されたフレームを保持部35で保持してカセット45にY軸方向に沿って搬入する。
【0022】
第2搬送ユニット32は、図1に示すように、一対のガイドレール、保持テーブル10及び洗浄ユニット50の間でY軸方向及びZ軸方向に沿って移動可能に設けられている。第2搬送ユニット32は、対象物100に装着されたフレームの上面を上方(+Z方向)から保持する保持部36を有する。第2搬送ユニット32は、実施形態1では、4個の保持部36を有するが、本発明ではこれに限定されず、1~3個でも良いし、5個以上でもよい。保持部36は、実施形態1では、フレームを吸着保持する吸着パッドであり、例えばニトリルゴム、シリコンゴム、天然ゴム、ポリウレタンゴム、フッ素ゴムなどで形成される。第2搬送ユニット32は、一対のガイドレール、保持テーブル10及び洗浄ユニット50の間で対象物100を搬送する。
【0023】
カセット載置台40は、複数の対象物100を収容するための収容器であるカセット45を載置する載置台であり、載置されたカセット45をZ軸方向に昇降させる。洗浄ユニット50は、処理後の対象物100を洗浄し、対象物100に付着した処理屑等の異物300(図5参照)を除去する。洗浄ユニット50は、実施形態1では、例えば、処理後の対象物100を粘着テープを介して保持して回転移動させるスピンナテーブルと、スピンナテーブルに保持された対象物100に洗浄液を供給するノズルと、を有する。
【0024】
制御ユニット60は、処理装置1の各構成要素の動作を制御して、対象物100に対する処理及び実施形態1に係る処理装置の清掃方法を処理装置1に実施させる。制御ユニット60は、本実施形態では、コンピュータシステムを含む。制御ユニット60が含むコンピュータシステムは、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有する。制御ユニット60の演算処理装置は、制御ユニット60の記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、処理装置1を制御するための制御信号を、制御ユニット60の入出力インターフェース装置を介して処理装置1の各構成要素に出力する。
【0025】
次に、本明細書は、実施形態1に係る処理装置の清掃方法を図面に基づいて説明する。図2は、実施形態1に係る処理装置の清掃方法の処理手順を示すフローチャートである。図3は、図2の処理装置の清掃方法に使用する樹脂部材200の一例を示す斜視図である。実施形態1に係る処理装置の清掃方法は、処理装置1に対して図3に示すタック力を有する樹脂部材200を使用して、図2に示すように、保持ステップ1001と、搬送ステップ1002と、載置ステップ1003と、を実施するものである。
【0026】
ここで、樹脂部材200がタック力を有するとは、本明細書では、樹脂部材200が、処理ユニット20による処理によって発生する処理屑等の異物300に対し、対象物100の搬送経路に使用される材料よりも強くくっつき、なおかつ、異物300がくっついた樹脂部材200の面を傾けても異物300が樹脂部材200の面から離れないことを言う。なお、対象物100の搬送経路は、処理装置1において対象物100を搬送する際に対象物100もしくは対象物100に貼着された粘着テープ及び対象物100に装着されたフレームと接触する部分を指し、実施形態1では、例えば、保持テーブル10の載置面11及び搬送ユニット30の保持部35,36である。また、対象物100の搬送経路は、洗浄ユニット50のスピンナテーブルを含んでもよい。対象物100の搬送経路は、このように対象物100等と接触する部分であるため、異物300が付着しやすい領域である。
【0027】
実施形態1に係る処理装置の清掃方法に使用するタック力を有する樹脂部材200は、実施形態1に係る処理装置の清掃方法に使用されるときの環境下で貯蔵弾性率(動的貯蔵弾性率)が1×10Pa以上1×10Pa以下である。
【0028】
貯蔵弾性率は、損失弾性率(動的損失弾性率)や損失正接とともに動的弾性率測定(Dynamic Mechanical Analysis、DMA)によって測定される。具体的には、貯蔵弾性率は、日本工業規格のJIS K 7244-4(非共振強制振動法)、JIS K 7244-5(曲げモード)及びJIS K 7244-6(せん断モード)のいずれかに従う方法で測定される。なお、日本工業規格によれば、貯蔵弾性率は、0.01GPa(1×10GPa)より小さい場合にはJIS K 7244-6(せん断モード)に従う方法で測定することが好ましく、0.01GPa以上5GPa以下(1×10GPa以上5×10GPa以下)である場合にはJIS K 7244-4(非共振強制振動法)に従う方法で測定することが好ましく、5GPa(5×10GPa)より大きい場合にはJIS K 7244-5(曲げモード)に従う方法で測定することが好ましいとされている。
【0029】
貯蔵弾性率は、一般に測定時の温度及び測定時に加える変形の周波数(速度)によって変化する。実施形態1に係る処理装置の清掃方法に使用するタック力を有する樹脂部材200は、より詳細には、温度が使用環境温度、及び、変形の周波数が0.01Hz以上10Hz以下の条件下において測定した貯蔵弾性率が1×10Pa以上1×10Pa以下を満たしている。以下において、温度が使用環境温度(ここでは例えば20℃)、及び、変形の周波数が0.01Hz以上10Hz以下の条件を、所定の条件と略記する。
【0030】
樹脂部材200は、所定の条件下において測定した貯蔵弾性率が1×10Pa以上1×10Pa以下であるため、タック力を有するものとなり、すなわち処理ユニット20による処理によって発生する処理屑等の異物300に対し、対象物100の搬送経路に使用される材料よりも強くくっつき、なおかつ、異物300がくっついた樹脂部材200の面を傾けても異物300が樹脂部材200の面から離れないという性質を有するものとなり、樹脂部材200を対象物100の搬送経路に接触させた際に当該搬送経路に付着した異物300を十分に吸着できるものとなる。
【0031】
一方、樹脂部材は、所定の条件下において測定した貯蔵弾性率が1×10Pa未満である場合、樹脂部材がべたつきすぎて、樹脂部材を対象物100の搬送経路に接触させた際に当該搬送経路に樹脂部材の素材由来の残渣が残ってしまう恐れがある。また、樹脂部材は、所定の条件下において測定した貯蔵弾性率が1×10Paより高い場合、樹脂部材が硬すぎて、樹脂部材を対象物100の搬送経路に接触させた際に当該搬送経路に付着した異物300を十分に吸着できない恐れがある。
【0032】
樹脂部材200は、実施形態1では、熱可塑性樹脂によって構成される。樹脂部材200を構成する熱可塑性樹脂は、具体的には、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ビニル系樹脂、ポリアセタール、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリ(4-メチル-1-ペンテン),ポリ(1-ブテン)等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン-6,ナイロン-66,ポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルイミド、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレン、エーテルポリブタジエン樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フッ素樹脂、エチレン-不飽和カルボン酸共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、アイオノマー、エチレン-酢酸ビニル-無水マレイン酸三元共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化樹脂、並びに、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
【0033】
樹脂部材200を構成する熱可塑性樹脂に使用される上記のエチレン-不飽和カルボン酸共重合樹脂を構成する不飽和カルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸、及び、無水イタコン酸等が例示される。ここで、エチレン-不飽和カルボン酸共重合樹脂は、エチレンと不飽和カルボン酸の2元共重合体のみならず、更に他の単量体が共重合された多元共重合体を包含するものである。エチレン-不飽和カルボン酸共重合樹脂に共重合されていてもよい上記他の単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n-ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルのような不飽和カルボン酸エステルなどが例示される。
【0034】
樹脂部材200は、上記した熱可塑性樹脂によって構成されることにより、所定の条件下において測定した貯蔵弾性率が1×10Pa以上1×10Pa以下とすることができる。樹脂部材200は、所定の条件下において測定した貯蔵弾性率が1×10Pa以上1×10Pa以下となるように、上記した熱可塑性樹脂から樹脂部材200に使用される熱可塑性樹脂、その分子量及びその組合せが適切に選択され、その混合割合が適切に決定される。
【0035】
また、樹脂部材200は、さらに金属捕捉基が混合されていてもよい。樹脂部材200に混合されて使用される金属捕捉基は、対象物100の搬送経路における金属汚染を分子レベルで吸着することができる材料であり、具体的には、キレート剤、カリックスアレーン、ゼオライトや活性炭、メソポーラスシリカ、クラウンエーテルなどが例示される。
【0036】
特に、金属捕捉基のうち、一部のキレート剤、カリックスアレーン、クラウンエーテルは、樹脂部材200を構成する熱可塑性樹脂と結合できる官能基を持つため、当該熱可塑性樹脂と結合することで、対象物100の搬送経路からの剥離時に金属捕捉基が樹脂部材200から脱離することを抑えられる。
【0037】
また、樹脂部材200を構成する熱可塑性樹脂のうち、エチレン-不飽和カルボン酸共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、アイオノマー、エチレン-酢酸ビニル-無水マレイン酸三元共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化樹脂、並びに、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂等は、上記した金属捕捉基と反応する反応基を有するので、これらの熱可塑性樹脂を樹脂部材200に使用することで、対象物100の搬送経路からの剥離時に金属捕捉基が樹脂部材200から脱離することを抑えられる。
【0038】
樹脂部材200は、実施形態1では、図3に示すように、対象物100に貼着される粘着テープと同様の形状に、すなわちシート状に形成されて使用される。シート状に形成された樹脂部材200は、実施形態1ではさらに、樹脂部材200の外縁部に、対象物100に装着されるフレームと同様の形状の、中央に開口202を有するフレーム201が装着されて、フレーム201と一体化されて使用されることが好ましい。この場合、フレーム201が装着されたシート状の樹脂部材200は、フレームが装着された対象物100と同様の方法で、処理装置1内で対象物100の搬送経路を搬送することができる。
【0039】
フレーム201は、実施形態1では、タック力を有する樹脂部材200を構成する材料と同様の、所定の条件下において測定した貯蔵弾性率が1×10Pa以上1×10Pa以下となる材料で構成されていることが好ましい。この場合、フレーム201は、シート状に形成された樹脂部材200と同様にタック力を有するものとなり、露出している面203及びシート状に形成された樹脂部材200が貼着された面204で対象物100の搬送経路に付着した異物300を吸着できる。
【0040】
保持ステップ1001は、タック力を有する樹脂部材200を搬送ユニット30の保持部35,36により保持するステップである。保持ステップ1001は、適宜複数回に分けて行われ、実施形態1では、例えば2回に分けて行われる。1回目の保持ステップ1001では、制御ユニット60は、第1搬送ユニット31の保持部35により、カセット載置台40に載置されたカセット45内に収められたシート状の樹脂部材200に装着されたフレーム201を保持する。1回目の保持ステップ1001を実施することにより、フレーム201がタック力を有する樹脂部材200を構成する材料と同様の材料で構成されていてタック力を有する場合、フレーム201の第1搬送ユニット31の保持部35により保持された部分が、第1搬送ユニット31の保持部35に付着した異物300を吸着して除去できる。
【0041】
搬送ステップ1002は、搬送ユニット30の保持部35,36に保持されたタック力を有する樹脂部材200を保持テーブル10へと搬送するステップである。搬送ステップ1002は、保持ステップ1001と同じ回数に分けて行われ、実施形態1では、例えば2回に分けて行われる。1回目の搬送ステップ1002では、制御ユニット60は、まず、第1搬送ユニット31により、1回目の保持ステップ1001で保持部35により保持したフレーム201が装着されたシート状の樹脂部材200を、カセット載置台40に載置されたカセット45内から不図示の一対のガイドレール上へと搬送する。1回目の保持ステップ1001を実施することにより、フレーム201がタック力を有する樹脂部材200を構成する材料と同様の材料で構成されていてタック力を有する場合、フレーム201の一対のガイドレールにより保持された部分が、一対のガイドレールに付着した異物300を吸着して除去できる。
【0042】
図4は、図2の保持ステップ1001及び搬送ステップ1002の一例を説明する斜視図である。図4は、2回目の保持ステップ1001及び搬送ステップ1002の一例を示したものである。2回目の保持ステップ1001では、制御ユニット60は、図4に示すように、第2搬送ユニット32の保持部36により、一対のガイドレール上に載置されたシート状の樹脂部材200に装着されたフレーム201を保持する。2回目の保持ステップ1001を実施することにより、フレーム201がタック力を有する樹脂部材200を構成する材料と同様の材料で構成されていてタック力を有する場合、フレーム201の第2搬送ユニット32の保持部36により保持された部分が、第2搬送ユニット32の保持部36に付着した異物300を吸着して除去できる。
【0043】
2回目の搬送ステップ1002では、制御ユニット60は、第2搬送ユニット32により、2回目の保持ステップ1001で保持部36により保持したフレーム201が装着されたシート状の樹脂部材200を、不図示の一対のガイドレール上から保持テーブル10へと搬送する。
【0044】
このように、実施形態1では、搬送ユニット30が第1搬送ユニット31と第2搬送ユニット32とを有するので、第1搬送ユニット31による保持及び搬送と、第2搬送ユニット32による保持及び搬送とにより、保持ステップ1001及び搬送ステップ1002をそれぞれ2回に分けて実施する。なお、本発明ではこれに限定されず、少なくとも1回ずつの保持ステップ1001及び搬送ステップ1002を含んでいればよく、例えば、1つの搬送ユニットで保持ステップ1001及び搬送ステップ1002をそれぞれ1回で実施しても良いし、3つ以上の搬送ユニットで保持ステップ1001及び搬送ステップ1002をそれぞれ3回以上に分けて実施してもよい。
【0045】
載置ステップ1003は、搬送ユニット30により保持テーブル10へと搬送されたタック力を有する樹脂部材200を保持テーブル10上に載置するステップである。載置ステップ1003では、実施形態1では、制御ユニット60は、第2搬送ユニット32により、2回目の搬送ステップ1002で保持テーブル10へと搬送したフレーム201が装着されたシート状の樹脂部材200を、保持テーブル10上に載置する。
【0046】
載置ステップ1003では、また、制御ユニット60は、フレーム保持部12により、保持テーブル10の載置面11上に載置されたシート状の樹脂部材200に装着されたフレーム201を、フレーム201の上側の面203が載置面11より鉛直方向の高さが低くなる位置で保持して固定する。これにより、フレーム201がタック力を有する樹脂部材200を構成する材料と同様の材料で構成されていてタック力を有する場合、フレーム201のフレーム保持部12により保持された部分が、フレーム保持部12に付着した異物300を吸着して除去できる。
【0047】
図5は、図2の載置ステップ1003の一例を説明する断面図である。載置ステップ1003では、さらに、図5に示すように、制御ユニット60は、開閉弁14を開状態に切り替えて、真空吸引源15からの負圧を吸引路13を通じて載置面11に導入して作用させることにより、保持テーブル10の載置面11に載置されたシート状の樹脂部材200と当該載置面11とを密着させる。これにより、載置面11に付着した異物300を、より確実にシート状の樹脂部材200で吸着して除去できる。
【0048】
なお、実施形態1では、制御ユニット60は、さらに、第2搬送ユニット32により、フレーム201が装着されたシート状の樹脂部材200を洗浄ユニット50のスピンナテーブルに搬送及び載置して、シート状の樹脂部材200により洗浄ユニット50のスピンナテーブルに付着した異物300を吸着して除去してもよい。
【0049】
以上のような構成を有する実施形態1に係る処理装置の清掃方法は、タック力を有する樹脂部材200を処理装置1内の対象物100の搬送経路に沿って搬送することにより、樹脂部材200のタック力により対象物100の搬送経路、具体的には、保持テーブル10の載置面11及び搬送ユニット30の保持部35,36等に付着した異物300を吸着して除去することができるので、簡単かつ確実に処理装置1内の異物300を除去し清浄な状態を保つことができるという作用効果を奏する。
【0050】
また、実施形態1に係る処理装置の清掃方法は、保持テーブル10の載置面11に負圧を作用させて、保持テーブル10の載置面11に載置されたシート状の樹脂部材200と当該載置面11とを密着させることにより、載置面11に付着した異物300を、より確実にシート状の樹脂部材200で吸着して除去できる。
【0051】
また、実施形態1に係る処理装置の清掃方法は、タック力を有する樹脂部材200が中央に開口202を有するフレーム201と一体化されており、搬送ユニット30の保持部35,36は、フレーム201を保持するので、処理装置1がフレームが装着された対象物100を搬送して処理する場合と同様の方法で容易にフレーム201が装着されたシート状の樹脂部材200を搬送できる。さらに、実施形態1に係る処理装置の清掃方法は、フレーム201がタック力を有する樹脂部材200を構成する材料と同様の材料で構成されているので、フレーム201のタック力によりフレーム201を保持する搬送ユニット30の保持部35,36に付着した異物300を吸着して除去することができる。
【0052】
実施形態1に係る処理装置の清掃方法は、さらに、タック力を有する樹脂部材200が金属捕捉基を含有するので、金属捕捉基により対象物100の搬送経路における金属汚染を分子レベルで吸着することができる。
【0053】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係る処理装置の清掃方法を図面に基づいて説明する。図6は、実施形態2に係る処理装置の清掃方法の実施対象である処理装置1-2の構成例を示す斜視図である。図7は、実施形態2に係る処理装置の清掃方法に使用する樹脂部材200の一例を示す斜視図である。図8は、実施形態2に係る保持ステップ1001及び搬送ステップ1002の一例を説明する斜視図である。図9は、実施形態2に係る載置ステップ1003の一例を説明する断面図である。図6から図9は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0054】
処理装置1-2は、図6に示すように、保持テーブル10-2と、処理ユニット20-2と、搬送ユニット30-2と、カセット載置台40と、洗浄ユニット50と、制御ユニット60と、位置合わせユニット70と、を備える。処理装置1-2は、処理装置1において、保持テーブル10、処理ユニット20及び搬送ユニット30をそれぞれ保持テーブル10-2、処理ユニット20-2及び搬送ユニット30-2に変更し、位置合わせユニット70をさらに追加したものである。
【0055】
処理装置1-2は、処理装置1と同様に、対象物100を処理する。実施形態2で処理装置1-2が処理する対象物100は、実施形態1で処理装置1が処理する対象物100のように裏面に粘着テープが貼着されておらず、これに代えて表面に粘着テープが貼着されており、また、環状のフレームが装着されていないが、本発明ではこれに限定されない。
【0056】
保持テーブル10-2は、保持テーブル10において、フレーム保持部12を備えないように変更されたものである。位置合わせユニット70は、カセット載置台40に載置されたカセット45から取り出された対象物100が仮置きされて、その中心位置合わせを行うためのテーブルである。
【0057】
処理ユニット20-2は、保持テーブル10-2に保持された対象物100の例えば裏面に対して処理を施す。処理ユニット20-2は、実施形態2では、図6に示すように、研削砥石を環状に配置した研削ホイールが先端に装着されるスピンドルを備え、保持テーブル10-2に保持された対象物100を研削処理する研削ユニットである。処理ユニット20-2は、Z軸方向移動ユニットによりZ軸方向に移動自在に設けられている。処理ユニット20-2は、スピンドルの先端に装着された研削ホイールが、スピンドルの回転動作により、鉛直方向(図6のZ軸方向)と平行な軸心周りの回転動作が加えられて、下方に向けて押圧されることで、下方にある保持テーブル10-2に保持された対象物100を研削処理する。
【0058】
搬送ユニット30-2は、対象物100を保持して、処理装置1-2の各構成要素間で搬送する。ここで、各構成要素間は、実施形態2では、具体的には、保持テーブル10-2と、カセット載置台40に載置されたカセット45と、洗浄ユニット50と、の間を指す。搬送ユニット30-2は、実施形態2では、図6に示すように、第1搬送ユニット31-2と、第2搬送ユニット32-2と、第3搬送ユニット33-2と、を有する。
【0059】
第1搬送ユニット31-2は、図6に示すように、カセット載置台40に載置されたカセット45の対象物100を搬出入する搬出入部の手前に設けられている。第1搬送ユニット31-2は、対象物100を保持する保持部37-2を有する。なお、保持部37-2は、図6及び図8に示す例では、対象物100の上面を上方(+Z方向)から保持するが、本発明ではこれに限定されず、対象物100の下面(-Z方向)から保持してもよい。保持部37-2は、例えば対象物100を吸着保持する吸着パッドであり、実施形態1の保持部36と同様の材料で形成される。第1搬送ユニット31-2は、カセット載置台40に載置されたカセット45に収容された対象物100を保持部37-2で保持して搬出して、位置合わせユニット70へと搬送する。第1搬送ユニット31-2は、洗浄ユニット50で洗浄された処理後の対象物100を保持部37-2で保持して搬出して、カセット載置台40に載置されたカセット45内へと搬入する。第1搬送ユニット31-2は、カセット載置台40に載置されたカセット45と位置合わせユニット70または洗浄ユニット50との間で対象物100を搬送する際に、対象物100の表裏を適宜反転させることができる。
【0060】
第2搬送ユニット32-2は、図6に示すように、位置合わせユニット70と保持テーブル10-2との間に設けられている。第2搬送ユニット32-2は、対象物100を保持する保持部38-2を有する。なお、保持部38-2は、図6に示す例では、対象物100の上面を上方(+Z方向)から保持するが、本発明ではこれに限定されず、対象物100の下面(-Z方向)から保持してもよい。保持部38-2は、例えば保持部37-2と同様の吸着パッドである。第2搬送ユニット32-2は、位置合わせユニット70で中心位置合わせが行われた対象物100を、保持部38-2で保持して搬出して、保持テーブル10-2へと搬送する。第2搬送ユニット32-2は、位置合わせユニット70と保持テーブル10-2との間で対象物100を搬送する際に、対象物100の表裏を適宜反転させることができる。
【0061】
第3搬送ユニット33-2は、図6に示すように、保持テーブル10-2と洗浄ユニット50との間に設けられている。第3搬送ユニット33-2は、対象物100を保持する保持部39-2を有する。なお、保持部39-2は、図6に示す例では、対象物100の上面を上方(+Z方向)から保持するが、本発明ではこれに限定されず、対象物100の下面(-Z方向)から保持してもよい。保持部39-2は、例えば保持部37-2,38-2と同様の吸着パッドである。第3搬送ユニット33-2は、保持テーブル10-2上の処理後の対象物100を、保持部39-2で保持して搬出して、洗浄ユニット50へと搬送する。第3搬送ユニット33-2は、保持テーブル10-2と洗浄ユニット50との間で対象物100を搬送する際に、対象物100の表裏を適宜反転させることができる。
【0062】
次に、本明細書は、実施形態2に係る処理装置の清掃方法を図面に基づいて説明する。実施形態2に係る処理装置の清掃方法は、実施形態1において、実施する対象が処理装置1から処理装置1-2に変更され、これに伴い、保持ステップ1001、搬送ステップ1002及び載置ステップ1003を変更したものである。実施形態2に係る処理装置の清掃方法は、処理装置1-2に対して図7に示すタック力を有する樹脂部材200を使用する。処理装置1-2に対して使用するタック力を有する樹脂部材200は、実施形態1で処理装置1に対して使用するタック力を有する樹脂部材200と同様の材料で構成され、同様の貯蔵弾性率を有する。また、処理装置1-2に対して使用するタック力を有する樹脂部材200は、実施形態1で処理装置1に対して使用するタック力を有する樹脂部材200と同様に、さらに金属捕捉基が混合されていてもよい。
【0063】
樹脂部材200は、実施形態2では、図7に示すように、実施形態1と同様にシート状に形成されて使用される。シート状に形成された樹脂部材200は、実施形態2ではさらに、対象物100と同様の形状の板状物210の一方の面に貼着されて一体化されて使用されることが好ましい。この場合、板状物210が貼着されたシート状の樹脂部材200は、粘着テープが貼着された対象物100と同様の方法で、処理装置1-2内で対象物100の搬送経路を搬送することができる。実施形態2では、樹脂部材200が一方の面に貼着された板状物210を、対象物100の搬送経路において、搬送ユニット30-2により適宜表裏を反転させながら搬送することで、1回の対象物100の搬送経路における搬送で、対象物100の搬送経路の所望の全ての箇所に樹脂部材200を接触させて、異物300を除去することができる。
【0064】
ここで、対象物100の搬送経路は、実施形態2では、処理装置1-2において対象物100を搬送する際に対象物100もしくは対象物100に貼着された粘着テープと接触する部分を指し、例えば、保持テーブル10-2の載置面11及び搬送ユニット30-2の保持部37-2,38-2,39-2である。また、対象物100の搬送経路は、洗浄ユニット50のスピンナテーブルを含んでもよい。
【0065】
実施形態2に係る保持ステップ1001は、実施形態1と同様に、複数回、例えば2回に分けて行われる。1回目の保持ステップ1001では、制御ユニット60は、図8に示すように、第1搬送ユニット31-2の保持部37-2により、カセット載置台40に載置されたカセット45内に収められ、シート状の樹脂部材200と一体化した板状物210のシート状の樹脂部材200が貼着された一方の面側を保持する。1回目の保持ステップ1001を実施することにより、シート状の樹脂部材200の第1搬送ユニット31-2の保持部37-2により保持された部分が、第1搬送ユニット31-2の保持部37-2に付着した異物300を吸着して除去できる。
【0066】
実施形態2に係る搬送ステップ1002は、実施形態1と同様に、保持ステップ1001と同じ回数に分けて行われる。1回目の搬送ステップ1002では、制御ユニット60は、まず、第1搬送ユニット31-2により、1回目の保持ステップ1001で保持部37-2により保持したシート状の樹脂部材200と一体化した板状物210を、カセット載置台40に載置されたカセット45内から位置合わせユニット70へと搬送する。
【0067】
2回目の保持ステップ1001では、制御ユニット60は、第2搬送ユニット32-2の保持部38-2により、位置合わせユニット70上に載置された、シート状の樹脂部材200と一体化した板状物210のシート状の樹脂部材200が貼着された一方の面側を保持する。2回目の保持ステップ1001を実施することにより、シート状の樹脂部材200の第2搬送ユニット32-2の保持部38-2により保持された部分が、第2搬送ユニット32-2の保持部38-2に付着した異物300を吸着して除去できる。
【0068】
2回目の搬送ステップ1002では、制御ユニット60は、第2搬送ユニット32-2により、2回目の保持ステップ1001で保持部38-2により保持したシート状の樹脂部材200と一体化した板状物210を、位置合わせユニット70上から保持テーブル10-2へと搬送する。
【0069】
実施形態2に係る載置ステップ1003では、制御ユニット60は、第2搬送ユニット32-2により、2回目の搬送ステップ1002で保持テーブル10-2へと搬送したシート状の樹脂部材200と一体化した板状物210のシート状の樹脂部材200が貼着された一方の面側を、保持テーブル10-2の載置面11に向けて載置する。
【0070】
載置ステップ1003では、さらに、図9に示すように、制御ユニット60は、開閉弁14を開状態に切り替えて、真空吸引源15からの負圧を吸引路13を通じて載置面11に導入して作用させることにより、保持テーブル10-2の載置面11に載置されたシート状の樹脂部材200と一体化した板状物210のシート状の樹脂部材200が貼着された一方の面側と当該載置面11とを密着させる。これにより、載置面11に付着した異物300を、より確実にシート状の樹脂部材200で吸着して除去できる。
【0071】
なお、実施形態2では、制御ユニット60は、さらに、第3搬送ユニット33-2により、シート状の樹脂部材200と一体化した板状物210を洗浄ユニット50のスピンナテーブルに搬送及び載置して、シート状の樹脂部材200により洗浄ユニット50のスピンナテーブルに付着した異物300を吸着して除去してもよい。
【0072】
実施形態2では、シート状に形成された樹脂部材200が板状物210の両方の面に貼着されて一体化されたものを搬送するように変更してもよい。この場合、搬送ユニット30-2により樹脂部材200が貼着された板状物210の表裏を適宜反転させなくても、1回の対象物100の搬送経路における搬送で、対象物100の搬送経路の所望の全ての箇所に樹脂部材200を接触させて、異物300を除去することができる。
【0073】
また、実施形態2では、互いに別の面に樹脂部材200が貼着された板状物210をそれぞれ1枚ずつ合計2枚搬送するように変更してもよい。この場合でも、搬送ユニット30-2により樹脂部材200が貼着された板状物210の表裏を適宜反転させなくても、1枚ずつ各1回、合計2回の対象物100の搬送経路における搬送で、対象物100の搬送経路の所望の全ての箇所に樹脂部材200を接触させて、異物300を除去することができる。
【0074】
また、実施形態2では、樹脂部材200が一方の面に貼着された板状物210を、対象物100の搬送経路において、樹脂部材200が貼着された側を上方または下方のいずれか一方に向けて表裏を反転させずに搬送させ、そして、樹脂部材200が貼着された側を上方または下方のいずれか他方に向けて表裏を反転させずに搬送させるように変更してもよい。この場合でも、合計2回の対象物100の搬送経路における搬送で、対象物100の搬送経路の所望の全ての箇所に樹脂部材200を接触させて、異物300を除去することができる。
【0075】
以上のような構成を有する実施形態2に係る処理装置の清掃方法は、実施形態1において、実施する対象を処理装置1から処理装置1-2に変更し、これに伴い、フレーム201に代えて板状物210と一体化したシート状の樹脂部材200を使用するように変更し、保持ステップ1001、搬送ステップ1002及び載置ステップ1003を変更したものである。このため、実施形態2に係る処理装置の清掃方法は、フレーム201に関する部分を除き、実施形態1と同様の作用効果を奏するものとなる。また、実施形態2に係る処理装置の清掃方法は、搬送ユニット30-2の保持部37-2,38-2,39-2が、シート状の樹脂部材200と一体化した板状物210のシート状の樹脂部材200が貼着された面側を保持するので、シート状の樹脂部材200のタック力によりシート状の樹脂部材200側を保持する搬送ユニット30-2の保持部37-2,38-2,39-2に付着した異物300を吸着して除去することができる。
【0076】
また、実施形態2に係る処理装置の清掃方法は、板状物210と一体化されたタック力を有する樹脂部材200が、粘着テープが貼着された対象物100と同様の形状を有するので、処理装置1-2が粘着テープが貼着された対象物100を搬送して処理する場合と同様の方法で容易に板状物210と一体化されたタック力を有する樹脂部材200を搬送できる。
【0077】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。上記した実施形態1,2では、処理ユニット20,20-2はそれぞれ切削処理を実施する切削ユニット、研削処理を実施する研削ユニットであるが、本発明ではこれに限定されず、対象物100にレーザービームを照射してレーザー加工処理を実施するレーザービーム照射ユニット、対象物100を加工するプラズマを照射するプラズマ加工ユニット、対象物100に保護部材を貼着して保護部材設置処理をする貼着ユニット、対象物100に紫外線を照射する紫外線照射器を備え、対象物100を紫外線照射処理する紫外線照射ユニット、対象物100に洗浄液や洗浄用のガス等を供給するノズルを備え、対象物100を洗浄処理する洗浄ユニットや、対象物100を検査する(例えば、チッピングを検査する、表面粗さを検査する、等)検査ユニット等、対象物100に対して何らかの処理を施す如何なるユニットであってもよい。また、上記した実施形態1,2では、タック力を有する樹脂部材200を対象物100の搬送経路に接触させて異物300を吸着して除去するが、タック力を有する樹脂部材200をその他の処理装置1,1-2の色々な箇所(例えば外装カバーなど搬送中には樹脂部材200を接触させられない箇所)に接触させて、埃なども含めた異物300を樹脂部材200で吸着して除去することができる。この場合、その他の処理装置1,1-2の色々な箇所を溶剤で拭いたときの残渣や、ガーゼなどを用いた時の繊維付着、テープを貼って剥がした時の糊残りなどを無くすことができる。
【符号の説明】
【0078】
1,1-2 処理装置
10,10-2 保持テーブル
11 載置面
20,20-2 処理ユニット
30,30-2 搬送ユニット
35,36,37-2,38-2,39-2 保持部
100 対象物
200 樹脂部材
201 フレーム
202 開口
210 板状物
300 異物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9