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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137613
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】偏光板の製造方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/48 20060101AFI20230922BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20230922BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20230922BHJP
   B29L 11/00 20060101ALN20230922BHJP
【FI】
B29C65/48
G02B5/30
B32B7/023
B29L11:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043881
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】白川 慶一
(72)【発明者】
【氏名】古川 淳
(72)【発明者】
【氏名】苅田 健吾
【テーマコード(参考)】
2H149
4F100
4F211
【Fターム(参考)】
2H149AA01
2H149AB26
2H149BA02
2H149BA12
2H149CA02
2H149DA02
2H149DA04
2H149DA05
2H149DA12
2H149EA02
2H149EA12
2H149EA22
2H149FA02X
2H149FA02Y
2H149FA03W
2H149FA03X
2H149FA03Y
2H149FA04X
2H149FA04Y
2H149FA05X
2H149FA05Y
2H149FA08X
2H149FA08Y
2H149FA12X
2H149FA12Y
2H149FA15X
2H149FA15Y
2H149FA63
2H149FA69
2H149FB00
4F100AJ06C
4F100AK03C
4F100AK21A
4F100AK21B
4F100AK21C
4F100AK41C
4F100AK49C
4F100AT00C
4F100BA03
4F100BA07
4F100CB00B
4F100EA02A
4F100EA02C
4F100EH46B
4F100EJ172
4F100EJ37A
4F100EK062
4F100GB41
4F100JA06B
4F100JN01
4F100JN10A
4F211AA01
4F211AA03
4F211AA11
4F211AA19
4F211AA21
4F211AA24
4F211AA40
4F211AG03
4F211AH73
4F211AM13
4F211AP02
4F211AP13
4F211AR02
4F211AR14
4F211TA03
4F211TC05
4F211TD11
4F211TN42
4F211TN47
4F211TN59
4F211TN60
4F211TN62
4F211TQ03
(57)【要約】
【課題】液体接着剤の吸引量の低下を検出しやすい偏光板の製造方法を提供する。
【解決手段】、偏光板の製造方法は、偏光子フィルム、光学フィルム、及び、前記偏光子フィルムと前記光学フィルムとの間に設けられた液体接着剤層を有する長尺のフィルム積層体40を、一対のロール52,54間に通過させて、フィルム積層体40に圧力を印加する工程と、偏光子フィルム10と光学フィルム20,30との間の余剰の液体接着剤ADを吸引ノズル82で吸引する吸引工程と、吸引ノズル82の内部、及び/又は、吸引ノズル82の先端に対して希釈用液体供給ノズル84,86で希釈用液体を供給する工程と、希釈用液体供給ノズル84,86の内圧、及び/又は、希釈用液体供給ノズル84,86内を流れる液体の流量を監視する工程と、を備える。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光子フィルム、光学フィルム、及び、前記偏光子フィルムと前記光学フィルムとの間に設けられた液体接着剤層を有する長尺のフィルム積層体を、一対のロール間に通過させて、前記フィルム積層体に圧力を印加する工程と、
前記偏光子フィルムと前記光学フィルムとの間の余剰の液体接着剤を吸引ノズルで吸引する吸引工程と、
前記吸引ノズルの内部、及び/又は、前記吸引ノズルの先端に対して希釈用液体供給ノズルで希釈用液体を供給する工程と、
前記希釈用液体供給ノズルの内圧、及び/又は、前記希釈用液体供給ノズル内を流れる液体の流量を監視する工程と、を備える、偏光板の製造方法。
【請求項2】
前記一対のロールの幅は、前記フィルム積層体の幅よりも狭く、
前記フィルム積層体の幅方向両端部に貯まる余剰の液体接着剤を前記吸引ノズルで吸引する、請求項1に記載の偏光板の製造方法。
【請求項3】
1つの前記吸引ノズルに対して、フィルム積層体の搬送方向の上流側に設けた上流側液体供給ノズル、及び、フィルム積層体の搬送方向の下流側に設けた下流側液体供給ノズルの両方から前記吸引ノズルの先端に対して希釈用液体を供給し、
前記上流側液体供給ノズル及び前記下流側液体供給ノズルの両方について、前記内圧及び/又は前記流量を監視する、請求項1又は2に記載の偏光板の製造方法。
【請求項4】
偏光子フィルム、光学フィルム、及び、前記偏光子フィルムと前記光学フィルムとの間に設けられた液体接着剤層を有する長尺のフィルム積層体に圧力を印加する一対のロールと、
前記偏光子フィルムと前記光学フィルムとの間の余剰の液体接着剤を吸引する吸引ノズルと、
前記吸引ノズルの内部、及び/又は、前記吸引ノズルの先端に対して希釈用液体を供給する希釈用液体供給ノズルと、
前記希釈用液体供給ノズルの内圧、及び/又は、前記希釈用液体供給ノズル内を流れる液体の流量を監視するセンサと、を備える、偏光板の製造装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は偏光板の製造方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、偏光子フィルムと、保護フィルムなどの光学フィルムと、これらのフィルム間に液体接着剤を含む積層体を、一対の貼合ロール間を通過させて貼合することが知られている。
【0003】
このような貼合方法では、貼合ロールでの圧力の印加により、積層体の幅方向の端部に余剰の液体接着剤が移動する。このため、余剰の液体接着剤を吸引ノズルで吸引して積層体から除去しながら貼合を続けると共に、吸引ノズルの閉塞を予防するために、水などの液体をノズルに対して供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-88651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、水などを供給しても液体接着剤の固化による吸引ノズルの一部または全部の閉塞が発生することがあり、また、異物の吸い込み、及び、偏光子フィルムや光学フィルムの吸い込みなどにより、余剰の液体接着剤の吸引量が不足することもある。液体接着剤の吸引量が不足すると、液体接着剤がフィルム間からあふれ、工程汚染、品質低下の原因となる。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、液体接着剤の吸引量の低下を検出しやすい偏光板の製造方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の一態様にかかる偏光板の製造方法は、偏光子フィルム、光学フィルム、及び、前記偏光子フィルムと前記光学フィルムとの間に設けられた液体接着剤層を有する長尺のフィルム積層体を、一対のロール間に通過させて、前記フィルム積層体に圧力を印加する工程と、
前記偏光子フィルムと前記光学フィルムとの間の余剰の液体接着剤を吸引ノズルで吸引する吸引工程と、
前記吸引ノズルの内部、及び/又は、前記吸引ノズルの先端に対して希釈用液体供給ノズルで希釈用液体を供給する工程と、
前記希釈用液体供給ノズルの内圧、及び/又は、前記希釈用液体供給ノズル内を流れる液体の流量を監視する工程と、を備える。
【0008】
上記方法では、前記一対のロールの幅は、前記フィルム積層体の幅よりも狭く、
前記フィルム積層体の幅方向両端部に貯まる余剰の液体接着剤を前記吸引ノズルで吸引することができる。
【0009】
上記方法では、1つの前記吸引ノズルに対して、フィルム積層体の搬送方向の上流側に設けた上流側液体供給ノズル、及び、フィルム積層体の搬送方向の下流側に設けた下流側液体供給ノズルの両方から前記吸引ノズルの先端に対して希釈用液体を供給し、
前記上流側液体供給ノズル及び前記下流側液体供給ノズルの両方について、前記内圧及び/又は前記流量を監視することができる。
【0010】
一実施形態に係る偏光板の製造装置は、偏光子フィルム、光学フィルム、及び、前記偏光子フィルムと前記光学フィルムとの間に設けられた液体接着剤層を有する長尺のフィルム積層体に圧力を印加する一対のロールと、
前記偏光子フィルムと前記光学フィルムとの間の余剰の液体接着剤を吸引する吸引ノズルと、
前記吸引ノズルの内部、及び/又は、前記吸引ノズルの先端に対して希釈用液体を供給する希釈用液体供給ノズルと、
前記希釈用液体供給ノズルの内圧、及び/又は、前記希釈用液体供給ノズル内を流れる液体の流量を監視するセンサと、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、液体接着剤の吸引量の低下を検出しやすい偏光板の製造方法及び装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施形態の製造方法及び装置の一例を示すフロー図である。
図2図2は、図1のロールの一端を上から見た状態を示す一部断面図である。
図3図3は、図2のノズルアセンブリ近傍を開口面側から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0014】
図1は、本発明の1実施形態に係る偏光板の製造方法及び装置を示すフロー図である。図2は、図1のロール52の一端を上から見た状態を示す一部断面図である。図3は、図2のノズルアセンブリ80近傍を開口面側から見た模式図である。
【0015】
本実施形態に係る偏光板の製造方法は、圧力印加工程、吸引工程、希釈用液体供給工程、及び、監視工程を備える。本実施形態に係る偏光板の製造装置は、一対のロール52,54と、吸引ノズル82と、希釈用液体供給ノズル84,86と、センサM1,M2と、を備える。以下詳細に説明する。
【0016】
(圧力印加工程)
本実施形態に係る偏光板の製造方法は、まず、偏光子フィルム10、光学フィルム20、30、及び、偏光子フィルム10と光学フィルム20,30との間に設けられた液体接着剤層を有するフィルム積層体40を、一対のロール52,54間に通過させて、フィルム積層体40に圧力を印加する工程を行う。
【0017】
(偏光子フィルム)
偏光子フィルム10の例は、二色性色素で染色された延伸フィルムである。二色性色素の例は、ヨウ素などのヨウ素系化合物である。フィルムの例は、ポリビニルアルコール系フィルムである。偏光子フィルムは、ホウ素などの架橋剤で架橋されていることができる。
【0018】
偏光子フィルムは、配向した重合性液晶化合物の硬化物及び二色性色素を含み、重合性液晶化合物の硬化物中において二色性色素が分散及び配向しているものであってもよい。その場合、偏光子フィルムは配向膜を含んでいてもよい。
【0019】
偏光子フィルムの厚みは、30μm以下であってよく、好ましくは5μm以上25μm以下である。
【0020】
(光学フィルム)
光学フィルム20,30は、光を透過させることができるフィルムである。光学フィルム20,30は互いに同一でもよいし、異なっていてもよい。
【0021】
光学フィルムの例は、樹脂フィルムであり、樹脂の例は、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂(トリアセチルセルロース等)、ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂等)、環状オレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)、アクリル系樹脂(ポリメチルメタクリレート系樹脂等)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート系樹脂等)、及び、ポリイミド系樹脂(ポリイミド、ポリアミドイミド)等である。
【0022】
光学フィルムは、保護フィルム、位相差フィルム(λ/2位相差板、λ/4位相差板等)、及び/又は、ウィンドウフィルム、であることができる。光学フィルムは積層フィルムであってもよい。例えば、光学フィルムは、さらに、基材フィルム、接着剤層、粘着剤層、剥離フィルム(粘着剤層に弱接着されており、フィルム積層体を他の部材に貼り付ける際に粘着剤層から剥離される)、プロテクトフィルム(粘着剤層に強接着されており、粘着剤と共に保護対象の他のフィルムから剥離される)などを含むことができる。
【0023】
光学フィルムの厚みに限定はなく、2~300μmであることができる。
【0024】
フィルム積層体40の全厚みに限定はなく、10~500μmであることができる。
【0025】
偏光子フィルム10及び光学フィルム20,30の幅に特に限定はなく500~2,500mmであることができる。
【0026】
偏光子フィルム10及び光学フィルム20,30は、長尺フィルム(原反)であり、長手方向の長さは100~100,000mであることができ、8,000m以下であってもよい。
【0027】
本工程では、図1に示すように、偏光子フィルム10、ロール5に案内された光学フィルム20、及び、ロール7に案内された光学フィルム30を重ねる。本実施形態では、偏光子フィルム10及びフィルム積層体40は水平方向に搬送される。
【0028】
偏光子フィルム10と光学フィルム20とが重ねられる部分、及び、偏光子フィルム10と光学フィルム30とが重ねられる部分には、それぞれ、ラインL1に接続されたノズル70から、液体接着剤が供給される。液体接着剤の供給量は、液体接着剤中の接着剤の種類や粘度等に応じて適宜設定できる。
【0029】
これにより、偏光子フィルム10、光学フィルム20,30、及び、偏光子フィルム10と光学フィルム20、30との間に設けられた液体接着剤層を有するフィルム積層体40が形成され、一対のロール52,54間に供給される。一対のロール52,54間では、ロールによりフィルム積層体40に厚み方向に圧力が印加される。貼合圧力例えば0.1~4.0MPaとすることができる。
【0030】
液体接着剤は、接着剤を含み、さらに、必要に応じて希釈用液体(溶媒)を含むことができる。
【0031】
接着剤は、特に限定されるものではなく、従来公知の種々のものを採用することができる。例えば、ポリビニルアルコール系接着剤、ポリウレタン系接着剤、イソシアネート系接着剤や、前記ポリビニルアルコール系接着剤とホウ酸、ホウ砂、グルタルアルデヒド、メラミン及びシュウ酸等の水溶性架橋剤からなる接着剤が挙げられる。特に、偏光子フィルム10との接着性が最も良好な点を考慮すると、ポリビニルアルコール系接着剤を用いるのが好ましい。
【0032】
液体接着剤の希釈用液体(溶媒)も特に限定されず、例えば、水であってよい。また、液体接着剤は、必要に応じて他の添加剤や酸等の触媒を配合しても良い。
【0033】
また、液体接着剤の粘度にも特に限定はないが、1~1000mPa・sの範囲が好ましく、より好ましくは1~100mPa・sの範囲である。
【0034】
図2は、図1のロール52の端部近傍を上から見た状態を示す。フィルム積層体40は、図の矢印で示された搬送方向Aに従って上方に搬送される。図1に関して上述したように、一対のロール52、54で挟まれる直前に、フィルム積層体40の偏光子フィルム10と光学フィルム20との間、及び、偏光子フィルム10と光学フィルム30との間にそれぞれ液体接着剤ADが供給される。
【0035】
偏光子フィルム10の幅は、光学フィルム20,30の幅よりも小さくされている。同様にロール52,54の幅(軸方向長さ)は、光学フィルム20,30の幅よりも小さくされており、フィルム積層体40の幅方向両端には、ロール52,54で押圧されず、偏光子フィルム10も積層されない部分(非押圧部)が残される。余剰の液体接着剤ADは、フィルム積層体40がロール52,54に押圧されることでロールの幅方向外側すなわちフィルム積層体40の幅方向両端の非押圧部に押し出されてこの非押圧部にたまる。
【0036】
(吸引工程)
続いて、非押圧部に貯まった余剰の液体接着剤ADを、ノズルアセンブリ80に設けられた吸引ノズル82で吸引する吸引工程を行う。
【0037】
図2では、ノズルアセンブリ80の水平断面図を示している。ノズルアセンブリ80は、吸引ノズル82、及び、希釈用液体供給ノズル84を備える。
【0038】
吸引ノズル82の開口82Oは、ノズルアセンブリ80におけるロール側の端面80Sに配置されている。吸引ノズル82には、吸引用のポンプP1を有するラインL4が設けられている。吸引ノズル82の開口82Oから余剰の液体接着剤ADが吸引され、フィルム積層体40から除去される。
【0039】
図3は、図2のノズルアセンブリ80近傍をノズル側から見た拡大図である。ノズルアセンブリ80は、上側の光学フィルム20と下側の光学フィルム30との間に設けられている。したがって、光学フィルム20と光学フィルム30との間の余剰の接着剤がノズルアセンブリ80により吸引される。図2に示すようにノズルアセンブリ80が配置される部分は、フィルム積層体40における非押圧部、すなわち、一対のロール52,54で押圧されず、偏光子フィルム10も存在しない部分である。
【0040】
(希釈用液体供給工程)
図2及び図3に示すように、希釈用液体供給ノズル84、86の開口84O、86Oはノズルアセンブリ80のロール側の端面80Sに設けられている。具体的には、開口84O,86Oは、吸引ノズル82の先端82t、すなわち、開口82Oを形成する壁に対して希釈用液体を供給できる位置に設けられている。本実施形態では、1つのノズルアセンブリ80に対して、希釈用液体供給ノズルは2つ設けられており、一方の希釈用液体供給ノズル(下流側液体供給ノズル)84の開口84Oは、吸引ノズル82の開口82Oよりもフィルム積層体40の搬送方向Aの下流側に設けられ、他方の希釈用液体供給ノズル(上流側液体供給ノズル)86の開口86Oは、吸引ノズル82の開口86Oよりもフィルム積層体40の搬送方向Aの上流側に設けられている。
【0041】
ノズルアセンブリ80の位置に特に限定はないが以下の各条件を満たすことが好適である。
まず、図2に示す、ノズルアセンブリ80の開口82O,84Oが形成された端面80Sの位置について説明する。ノズルアセンブリ80の端面80Sと、ロール52,54の端面52S,54Sと、の距離Gは0~10mmとすることが好適である。
【0042】
次に、図3に示す、ノズルアセンブリ80の吸引ノズル82の開口82Oの重心(中心)82Gの位置について説明する。
まず、フィルム積層体40を含む面と直交するZ方向における吸引ノズル82の開口82Oの重心82Gの位置について説明する。ロール52の中心軸52Xと、ロール54の中心軸54Xと、を含む平面P10と、フィルム積層体40と、が交わる点RPを基準(距離0)として、一方のロール52の中心軸52Xに近づく方向を+Z座標、他方のロール54の中心軸54Xに近づく方向を-Z座標とした場合、吸引ノズル82の開口82Oの重心82GのZ軸方向の位置は、Z=0の位置を基準として±15mmの範囲内にあることが好ましく、±5mmの範囲内にあることがより好ましい。
【0043】
次に、図3において、フィルム積層体40の搬送方向における吸引ノズル82の開口82Oの重心82Gの位置について説明する。ロール52の中心軸52Xと、ロール54の中心軸54Xと、を含む平面P10と、フィルム積層体40と、が交わる点RPを基準として、フィルム積層体40の搬送方向Aと反対側の方向を-Y座標としたとき、重心82GのY軸方向の位置は、Y=0の位置を基準としては0~-20mmであることが好ましい。
【0044】
希釈用液体供給ノズル84には、図2に示すように、ポンプP2を有するラインL2が接続され、希釈用液体供給ノズル86には、ポンプP3を有するラインL3が設けられており、各ラインL2、L3を介して、希釈用液体が供給される。希釈用液体は、液体接着剤中の希釈用液体と同一でも良く異なっていてもよい。典型的な希釈用液体は、水である。希釈用液体の供給量は通常適切の一定の値に設定される。
【0045】
希釈用液体供給ノズル84,86から希釈用液体を供給することにより、吸引ノズル82の先端の液体が希釈され、吸引ノズル82の先端での接着剤の固着などを抑制することができる。
【0046】
供給された希釈用液体は、吸引ノズル82から吸引される。
【0047】
(監視工程)
次に、希釈用液体供給ノズル84、86の内圧、及び/又は、希釈用液体供給ノズル84,86内を流れる液体の流量をセンサにて監視する。この監視は、積層フィルムを押圧して貼合している間継続される。
【0048】
ラインL2にはセンサM1が、ラインL3はセンサM2が設けられている。センサM1,M2は、それぞれ、流体の内圧、及び/又は、流体の流量を経時的に検出する。
【0049】
吸引ノズル82の内部や先端に接着剤の固化や析出が起こったり、吸引ノズル82がフィルムを吸い込んだりして、吸引ノズル82の液体接着剤の吸引量が減ると、希釈用液体供給ノズル84,86の開口の液体の状態が変化するため、センサM1及びM2の出力(内圧、流量)が変化する。
【0050】
従って、センサM1及びM2の出力に対する閾値を設定するなどして、センサM1の出力が大きく変動するか否かを監視して、大きく変動した場合には警告を発することができる。警告が出た場合に、状況確認することにより、液体接着剤のあふれなどによる大きな障害を抑制できる。
【0051】
センサM1及びセンサM2の測定値は、例えば、コンピュータによって監視されていることができる。
【0052】
(作用)
余剰の液体接着剤ADの吸引量を監視するには吸引ノズル82の圧力又は流量を測定して監視することが考えられる。しかしながら、吸引ノズル82には、液体接着剤AD及び希釈用液体以外に環境中の空気などの気体も吸引することがあり、閉塞以外の要因によっても内圧や流量の測定値が大きく変動する。したがって、吸引ノズル82の圧力または流量を監視しても、液体接着剤ADの閉塞等による吸引量の低下を正確に把握することが困難である。
【0053】
これに対して、希釈用液体供給ノズル84,86には気体が混入しないので、希釈用液体供給ノズルの内圧や流量の変化を監視することで、吸引ノズル82の出口開口の近傍の液体接着剤ADなどの液体の流動状態の変化を精度よく迅速に認識することができる。したがって、吸引ノズル82の閉塞、フィルムの吸い込みなどによる液体接着剤の吸引量の減少などを迅速に検知することができる。
【0054】
本発明は、上記実施形態に限定されず、様々な変形態様を取ることができる。
【0055】
例えば、図2では、希釈用液体供給ノズルが2つ設けられているが、いずれか一方でもよいし、吸引ノズルの先端に対して希釈用液体を供給する開口の位置や形状も他の形態でもよい。また、希釈用液体供給ノズルは、吸引ノズルの内部に希釈用液体を供給する態様でもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、偏光子フィルム10及びフィルム積層体40の搬送方向が水平であるが、搬送方向は適宜設定でき、例えば、偏光子フィルム10及びフィルム積層体40の搬送方向が鉛直方向であってもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、一対のロールの幅がフィルム積層体の幅よりも狭くされているが、一対のロールの幅がフィルム積層体の幅と同じまたは広くされていてもよい。この場合、余剰の液体接着剤は、フィルム積層体の貼合ロールの上流側に貯まるが、この場合であっても、同様に、吸引ノズルでの吸引、希釈用液体ノズルでの希釈用液体の供給、及び、希釈用液体供給ノズルの内圧/流量の監視により、同様の効果を生じる。
【0058】
また、上記実施形態では、偏光子フィルムに対して、2つの光学フィルム20,30を同時に液体接着剤で貼合しているが、いずれか1つの光学フィルムを貼合する場合であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
10…偏光子フィルム、20,30…光学フィルム、40…フィルム積層体、52,54…ロール、82…吸引ノズル、84…希釈用液体供給ノズル(下流側液体供給ノズル),86…希釈用液体供給ノズル(上流側液体供給ノズル)、AD…液体接着剤、M1,M2…センサ。

図1
図2
図3