(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137779
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/16 20060101AFI20230922BHJP
G03G 15/20 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
G03G15/16 103
G03G15/20 515
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044148
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 直洋
(72)【発明者】
【氏名】古市 祐介
(72)【発明者】
【氏名】平野 大輔
【テーマコード(参考)】
2H033
2H200
【Fターム(参考)】
2H033BA02
2H033BA11
2H033BA12
2H033BA25
2H033BA59
2H033BB13
2H033BB14
2H033BB15
2H033BB18
2H033CA44
2H200FA18
2H200GA09
2H200GA12
2H200GA23
2H200GA34
2H200GA44
2H200GB22
2H200HA02
2H200HB12
2H200JA02
2H200JA26
2H200JA28
2H200MB06
2H200NA03
2H200NA23
(57)【要約】
【課題】製造コストが増えることなく、ACバンディングを抑制でき、雷サージにも有利な画像形成装置を提供する。
【解決手段】回転可能な定着ベルト50と、該定着ベルトと対向し、定着ニップを形成する加圧部材51とを有する定着手段と、回転可能な転写部材25と、該転写部材と対向し、転写ニップを形成する対向部材21とを有する転写手段とを備えた画像形成装置である。定着手段は定着ベルトの内側に定着ベルトと当接する加熱手段52を有し、加熱手段は交流電圧を印加する電源と接続されている。前記転写抵抗Rtは、所定の式1を満たす。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な定着ベルトと、該定着ベルトと対向し、定着ニップを形成する加圧部材とを有する定着手段と、
回転可能な転写部材と、該転写部材と対向し、転写ニップを形成する対向部材とを有する転写手段と、を備えた画像形成装置であって、
前記転写手段は、前記定着手段よりも記録媒体の搬送方向上流側に配置され、
前記定着手段は、前記定着ベルトの内側に前記定着ベルトと当接する加熱手段を有し、
前記加熱手段は、交流電圧を印加する電源と接続され、
前記定着ベルト、前記加圧部材及び前記転写部材は、それぞれ異なる接地に接続され、
前記定着ベルトと接地との間に設けられた保護抵抗の抵抗値を定着接地抵抗Rfとし、
前記記録媒体の抵抗値を記録媒体抵抗Rpとし、前記転写部材の抵抗値を転写抵抗Rtとしたとき、
前記転写抵抗Rtは、下記式1を満たす
ことを特徴とする画像形成装置。
【数1】
ただし、式1中、以下を表す。
Rf:定着接地抵抗の抵抗値
Rt:転写抵抗の抵抗値
Rp:前記記録媒体の抵抗値
jXs:前記定着ベルトのインピーダンス
jXh:前記加熱手段のインピーダンス
【請求項2】
前記転写抵抗Rtは、35MΩ以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記転写抵抗Rtは、5MΩ以上である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記加熱手段は、前記定着ベルトの回転軸方向に長手を有する面状ヒータである
ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記転写部材は、2次転写ローラであり、像担持体から中間転写部材に転写されたトナー像を前記記録媒体に転写する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、定着装置の抵抗発熱体への給電方法として、商用電源からの交流電圧を用いる方法と、この交流電圧を整流し直流電圧に変換して用いる方法がある。交流電圧を整流しない場合、整流回路が不要になるため、コストが増えることを防止できる。しかし、交流電圧を整流せずに用いる場合、ACバンディングと呼ばれる画像の濃度ムラが生じる現象が発生するという問題がある。
【0003】
従来の画像形成装置では、定着ベルトと加圧ローラとで定着ニップを形成し、転写ローラと対向ローラとで転写ニップを形成している。このような装置では、定着ベルトに加熱部材を当接させ、加熱部材に交流電圧を印加し、定着ベルトを加熱することが行われている。この場合、定着ベルトを介して定着ニップ部に交流電圧が伝達されることがあり、記録媒体が定着ニップと転写ニップに同時に挟持されたときに、定着ニップ上の交流電圧が記録媒体を介して転写ニップに伝達してしまう。転写ニップに伝達した交流電圧は、転写ニップ上で転写電圧を変動させ、これにより転写ムラが引き起こされ、結果として画像に縞模様(濃度ムラ)が生じてしまうという問題があった。このような現象はACバンディングと呼ばれており、以下、このような濃度ムラのことをACバンディングとも称することがある。
【0004】
これに対して特許文献1では、加圧ローラと定着ローラとで定着ニップ部を形成し、定着ローラと加熱ローラとで加熱ニップ部を形成し、定着ニップ部と加熱ニップ部の間の抵抗値が所定の関係を満たすようにしている。特許文献1によれば、二次転写ニップ部の転写電圧に交流電圧のAC成分が重畳することによる画像の濃度ムラを防止できるとしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、加熱ローラを用いる必要があり、定着ローラと加熱ローラとで加熱ニップを形成する必要がある。このため、装置構成が限られる、装置構成が複雑になるなどの問題があった。
また、ACバンディングを防ぐためには、転写ニップに印加される電圧を減らすということも考えられ、そのために例えば定着部材の定着接地抵抗を小さくするということも考えられる。しかし、定着接地抵抗が小さすぎると、雷が発生した場合に、抵抗発熱体と接続した電源から高電圧が装置に印加されてしまうという雷サージが生じる可能性がある。そのため、製造コストが増えることなく、ACバンディングを抑制でき、雷サージにも有利な技術が求められている。
【0006】
そこで本発明は、製造コストが増えることなく、ACバンディングを抑制でき、雷サージにも有利な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、
回転可能な定着ベルトと、該定着ベルトと対向し、定着ニップを形成する加圧部材とを有する定着手段と、
回転可能な転写部材と、該転写部材と対向し、転写ニップを形成する対向部材とを有する転写手段と、を備えた画像形成装置であって、
前記転写手段は、前記定着手段よりも記録媒体の搬送方向上流側に配置され、
前記定着手段は、前記定着ベルトの内側に前記定着ベルトと当接する加熱手段を有し、
前記加熱手段は、交流電圧を印加する電源と接続され、
前記定着ベルト、前記加圧部材及び前記転写部材は、それぞれ異なる接地に接続され、
前記定着ベルトと接地との間に設けられた保護抵抗の抵抗値を定着接地抵抗Rfとし、
前記記録媒体の抵抗値を記録媒体抵抗Rpとし、前記転写部材の抵抗値を転写抵抗Rtとしたとき、
前記転写抵抗Rtは、下記式1を満たす
ことを特徴とする。
【0008】
【0009】
ただし、式1中、以下を表す。
Rf:定着接地抵抗の抵抗値
Rt:転写抵抗の抵抗値
Rp:前記記録媒体の抵抗値
jXs:前記定着ベルトのインピーダンス
jXh:前記加熱手段のインピーダンス
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、製造コストが増えることなく、ACバンディングを抑制でき、雷サージにも有利な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る画像形成装置の一例を示す概略図である。
【
図2】ベルト方式の2次転写ユニットの一例を示す要部概略図である。
【
図4】本発明に係る画像形成装置の一例における定着手段と転写手段を説明するための図であり、ACバンディングを模式的に説明するための図である。
【
図6】
図5の回路図の一部について配置を変更した回路図である。
【
図7】
図6の回路図を別の表現で表記した回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る画像形成装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0013】
本発明の画像形成装置は、
回転可能な定着ベルトと、該定着ベルトと対向し、定着ニップを形成する加圧部材とを有する定着手段と、
回転可能な転写部材と、該転写部材と対向し、転写ニップを形成する対向部材とを有する転写手段と、を備えた画像形成装置であって、
前記転写手段は、前記定着手段よりも記録媒体の搬送方向上流側に配置され、
前記定着手段は、前記定着ベルトの内側に前記定着ベルトと当接する加熱手段を有し、
前記加熱手段は、交流電圧を印加する電源と接続され、
前記定着ベルト、前記加圧部材及び前記転写部材は、それぞれ異なる接地に接続され、
前記定着ベルトと接地との間に設けられた保護抵抗の抵抗値を定着接地抵抗Rfとし、
前記記録媒体の抵抗値を記録媒体抵抗Rpとし、前記転写部材の抵抗値を転写抵抗Rtとしたとき、
前記転写抵抗Rtは、下記式1を満たす
ことを特徴とする。
【0014】
【0015】
ただし、式1中、以下を表す。
Rf:定着接地抵抗の抵抗値
Rt:転写抵抗の抵抗値
Rp:前記記録媒体の抵抗値
jXs:前記定着ベルトのインピーダンス
jXh:前記加熱手段のインピーダンス
【0016】
本発明によれば、製造コストが増えることなく、ACバンディングを抑制でき、雷サージにも有利な画像形成装置を提供することができる。
【0017】
図1は、本実施形態の画像形成装置の全体概略図である。
感光体1は、円筒形の感光体ドラムであり、矢印の方向に回転する。感光体は静電潜像担持体、像担持体などと称されてもよい。
帯電器2は、帯電手段の一例であり、例えばローラ形状である。帯電器2は、感光体1の表面に圧接されており、感光体1の回転により従動回転する。帯電器2は、例えば高圧電源によりDCあるいはDCにACが重畳されたバイアスを感光体1に印加し、感光体1一様に帯電させる。なお、用いる帯電手段としては、ローラ形状の部材を用いる方式であってもよいし、ワイヤ放電による方式であってもよい。
【0018】
感光体1は、帯電された後、潜像形成手段である露光手段3により画像情報が露光されて静電潜像が形成される。露光工程は、例えばレーザーダイオードを用いたレーザービームスキャナやLEDなどを用いて行われる。
【0019】
現像器4は、現像手段の一例であり、高圧電源から供給される所定の現像バイアスによって、感光体1の静電潜像をトナー像として顕像化する。現像器4には、トナーが収納される。
【0020】
プロセスユニット10は、感光体1、帯電器2、現像器4、クリーニングユニット7を一体化している。プロセスユニット10は、並列に4個配設され、例えばブラック、シアン、マゼンタ、イエローのプロセスユニットが用いられる。フルカラー画像を形成する際は、各色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)の可視像(トナー像)が転写ベルト15に順次重ねて転写される。
【0021】
クリーニングユニット8は、内部に感光体をクリーニングするクリーニングブレード6を有している。
【0022】
転写ベルト15は、転写も兼ねた2次転写対向ローラ21、クリーニング対向ローラ16、1次転写ローラ5、テンションローラ20により張架されており、例えば、駆動モータにより2次転写ローラ21を介して回転駆動される。また、転写ベルト15の張架機構として、テンションローラ20をローラ両側にてばねにより加圧している。2次転写対向ローラ21は、対向部材の一例であり、転写部材(例えば2次転写ローラ25)と対向している。
【0023】
なお、プロセスユニット10と2次転写対向ローラ21の駆動源は、独立していてもよいし、共通していてもよい。少なくともブラック用のプロセスユニットと転写駆動はON/OFFさせることが一般的であり、装置の小型化や低コスト化の観点から、駆動源は共通であることが好ましい。
【0024】
転写ベルトクリーニングユニット32は、ベルト15に対してカウンタ当接されるクリーニングブレード31を有している。転写ベルトクリーニングユニット32は、このクリーニングブレード31により転写ベルト15上の転写残トナーを掻き取ることでクリーニングを行う。
【0025】
なお、転写ベルト15のクリーニング方式は、ブレードクリーニング方式の他にも、静電ブラシ方式、静電ローラ方式等の静電方式も用いることが可能である。装置の小型化、低コスト化、清掃性の観点からはブレードクリーニング方式が好ましい。静電方式の場合、バイアス印加されるブラシやローラが用いられるが、画像形成装置の使用状況に応じて転写残トナーの予備荷電が必要になる場合がある。そのため静電方式では、クリーニングユニット自体が大きくなる、高圧電源が1~2系統追加になる、バイアスクリーニングのための余分な動作が必要になる等の欠点が生じる可能性がある。
【0026】
クリーニングブレード31により掻き取られた転写残トナーは、トナー搬送経路を通り、中間転写体用廃トナー収納部33に収納される。
【0027】
1次転写ローラ5(5_1~5_4)は、例えば、金属ローラ、導電性スポンジローラであり、感光体1に対して転写ベルト15を介して対向配置される。1次転写ローラ5は、単独の高圧電源により1次転写バイアスが印加され、感光体1上のトナー像(可視像)を転写ベルト15に転写させる。
【0028】
1次転写ローラ5として用いられる金属ローラとしては、例えばアルミニウム、SUS等を用いることができる。1次転写ローラ5として用いられる導電性スポンジローラとしては、例えばイオン導電性ローラを用いることができ、イオン導電性ローラとしては、例えばウレタンにカーボンを分散させたもの、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、ヒドリンゴム等を用いることができる。また、1次転写ローラ5としては、上記の他にも、電子導電タイプのローラ等も用いることができ、電子導電タイプのローラとしては、例えばEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)を用いることができる。
【0029】
転写ベルト15としては、例えば、PVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン-四フッ化エチレン共重合体)、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネート)、TPE(熱可塑性エラストマー)等にカーボンブラック等の導電性材料を分散させ樹脂フィルム状のエンドレスベルトとしたものが用いられる。転写ベルト15は、中間転写部材の一例である。
【0030】
図1に示す画像形成装置は、2次転写ユニットを用いた例であり、2次転写ユニットとしては、例えば
図1に示すローラを用いる方式(ローラ方式)を用いることができ、この他にもベルトを用いる方式(ベルト方式)を用いることができる。
【0031】
ローラを用いる方式の場合、2次転写ローラ25としては、例えばスポンジローラ、イオン導電性ローラ、電子導電タイプのローラ等を用いることができる。イオン導電性ローラとしては、例えばウレタンにカーボンを分散させたもの、NBR、ヒドリンゴム等を用いることができる。電子導電タイプのローラとしては、例えばEPDMを用いることができる。
【0032】
2次転写ローラ25は、例えばモータ等により駆動力が印加されるとともに、バイアスが印加される。
【0033】
ローラを用いる方式の場合、
図1には図示していないが、2次転写ローラ25をクリーニングするクリーニングユニットを用いることが好ましい。このクリーニングユニットは、例えば、2次転写ローラ25に対してカウンタ当接するクリーニングブレードを有し、このクリーニングブレードにより2次転写ローラ25上の残トナーを掻き取ることでクリーニングを行う。このようなクリーニングユニットとしては、例えば後述の
図2に示されるクリーニングユニット27を用いることができる。
【0034】
図2に、ベルト方式の2次転写ユニットを説明するための図を示す。
図2は、
図1の要部を示す図であり、2次転写ユニットとして、ローラ方式をベルト方式に変えた図である。
【0035】
ベルト方式の場合、2次転写ベルト28は、2次転写ローラ25、テンションローラ29により張架されている。2次転写ベルト28は、図示しない駆動モータによって2次転写ローラ25を介して回転駆動される。
【0036】
2次転写ベルト28としては、例えば転写ベルト15と同様のものを用いることができる。2次転写ベルト28としては、例えば、PVDF、ETFE、PI、PC、TPE等にカーボンブラック等の導電性材料を分散させ樹脂フィルム状のエンドレスベルトとしたもの用いることができる。
【0037】
図1に戻り、転写材(記録媒体、記録材などとも称する)は、給紙カセット22にセットされてもよいし、手差し口42にセットされてもよい。転写材は、給紙搬送ローラ23、レジストローラ対24等によって、転写ベルト15上のトナー像の先端部が2次転写位置に到達するタイミングに合わせて搬送される。高圧電源により所定の2次転写バイアスを2次転写ローラ25に印加することで、点差yベルト15上のトナー像が転写材に転移する。
【0038】
本実施形態において、記録材の搬送は縦型パスとしているが、これに限られない。転写材は、2次転写対向ローラ21の曲率によって転写ベルト15から分離される。転写材に転写トナー像は定着手段40により定着され、その後、転写材が排出口41から排出される。
【0039】
次に、本実施形態における定着手段について説明する。
図3は、本実施形態における定着手段40(定着装置と称してもよい)を説明するための図である。
【0040】
図3に示すように、本実施形態における定着手段40は、定着部材としての無端状のベルト部材から成る定着ベルト50と、定着ベルト50の外周面に接触して定着ニップN1を形成する加圧部材としての加圧ローラ51と、定着ベルト50を加熱する加熱手段としてのヒータ52と、を備えている。
【0041】
ヒータ52は、定着ベルト50の回転軸方向に長手を有する面状ヒータである。また、ヒータホルダ53は、保持部材としてヒータ52を保持している。また、ステー54は、補強部材としてヒータホルダ53を長手方向に渡って補強する。
【0042】
定着ベルト50は、例えば外径が25mmで厚みが40~120μmのポリイミド(PI)製の筒状基体を有している。定着ベルト50の最表層には、耐久性を高めて離型性を確保するために、PFAやPTFE等のフッ素系樹脂による厚みが5~50μmの離型層が形成される。基体と離型層の間に厚さ50~500μmのゴム等からなる弾性層を設けてもよい。また、定着ベルト50の基体はポリイミドに限らず、PEEKなどの耐熱性樹脂やニッケル(Ni)、SUSなどの金属基体であってもよい。定着ベルト50の内周面に摺動層としてポリイミドやPTFEなどをコートしてもよい。
【0043】
加圧ローラ51は、例えば外径が25mmであり、中実の鉄製芯金51aと、この芯金51aの表面に形成された弾性層51bと、弾性層51bの外側に形成された離型層51cとで構成されている。弾性層51bはシリコーンゴムで形成されており、厚みは例えば3.5mmである。弾性層51bの表面は離型性を高めるために、厚みが例えば40μm程度のフッ素樹脂層による離型層51cを形成するのが望ましい。
【0044】
ヒータ52は、定着ベルト50の幅方向に渡って長手状に設けられ、定着ベルト50の内周面に接触するように配置されている。ヒータ52は、定着ベルト50に対して非接触、あるいは低摩擦シートなどを介して間接的に接触する場合であってもよいが、ヒータ52を定着ベルト50に対して直接接触させる方が定着ベルト50への熱伝達効率がよくなる。また、ヒータ52を定着ベルト50の外周面に接触させることもできるが、定着ベルト50の外周面がヒータ52との接触により傷付くと定着品質が低下する虞があるため、ヒータ52は定着ベルト50の内周面に接触している方がよい。
【0045】
ヒータ52は、例えば抵抗発熱体を有し、抵抗発熱体は例えばガラスでコーティングされている。
【0046】
ヒータホルダ53及びステー54は、定着ベルト50の内周側に配置されている。ステー54は、金属製のチャンネル材で構成され、その両端部分が定着手段40の両側壁部に支持されている。ステー54によってヒータホルダ53のヒータ52側とは反対側の面が支持されていることで、ヒータ52及びヒータホルダ53は加圧ローラ51の加圧力に対して大きく撓むことなく保たれ、定着ベルト50と加圧ローラ51との間に定着ニップ部N1が形成される。また、本実施形態では、ヒータ52が、加圧ローラ51との間で定着ベルト50を挟んで定着ニップ部N1を形成するニップ形成部材として機能する。
【0047】
ヒータホルダ53は、ヒータ52の熱によって高温になりやすいため、耐熱性の材料で形成されることが望ましい。例えば、ヒータホルダ53をLCPやPEEKなどの低熱伝導性の耐熱性樹脂で形成した場合は、ヒータ52からヒータホルダ53への伝熱が抑制され効率的に定着ベルト50を加熱することが可能である。
【0048】
加圧ローラ51と定着ベルト50は、付勢部材としてのバネによって互いに圧接されている。これにより、定着ベルト50と加圧ローラ51との間に定着ニップ部N1が形成される。また、加圧ローラ51は、画像形成装置本体103に設けられた駆動手段から駆動力が伝達されて回転駆動する駆動ローラとして機能する。一方、定着ベルト50は、加圧ローラ51の回転に伴って従動回転するように構成されている。回転時、定着ベルト50はヒータ52に対して摺動する。定着ベルト50の摺動性を高めるために、ヒータ52と定着ベルト50との間にオイルやグリースなどの潤滑剤を介在させてもよい。
【0049】
印刷動作が開始されると、加圧ローラ51が回転駆動され、定着ベルト50が従動回転を開始する。また、ヒータ52に電力が供給されることで、定着ベルト50が加熱される。そして、定着ベルト50の温度が所定の目標温度(定着温度)に到達した状態で、
図3に示すように、未定着トナー画像が担持された記録材Pが、定着ベルト50と加圧ローラ51との間(定着ニップ部N1)に搬送されることで、未定着トナー画像が加熱及び加圧されて記録材Pに定着される。
【0050】
次に、
図4を用いて、ACバンディングについて説明する。
図4は、The Horizontal Banding Image Related to the Surface Heating Fuser System,Jun Asami,Yasutaka Yagi,Kenichi Karino, and Ken Oi,Canon,Inc. (Japan) NIP26 and Digital Fabrication 2010 Technical Program and Proceedings,pp.238-241も参考にして作成した図である。
図4では、転写手段と定着手段が模試的に示されており、記録材P(記録媒体)が定着ニップ部N1と転写ニップ部N2に同時に挟持されているときの状態が模式的に示されている。
【0051】
本実施形態の画像形成装置は、定着手段と転写手段を有している。
定着手段40は、定着ベルト50と、該定着ベルト50と対向し、定着ニップ部N1を形成する加圧ローラ51(加圧部材)とを有している。
転写手段は、2次転写ローラ25(転写部材)と、該2次転写ローラ25と対向し、転写ニップ部N2を形成する2次転写対向ローラ21(対向部材)とを有している。
【0052】
転写手段は、定着手段よりも記録材P(記録媒体)の搬送方向上流側に配置されている。定着手段は、定着ベルト50の内側に定着ベルト50と当接するヒータ52(加熱手段)を有している。ヒータ52は、交流電圧を印加する電源(AC電源60)と接続されている。
【0053】
また、図示するように、定着ベルト50、加圧ローラ51及び2次転写ローラ25は、それぞれ異なる接地に接続されている。詳細には、定着ベルト50内面の導電部分は、当接部材55(例えばブラス等)を介して保護抵抗56に接続され、更に保護抵抗56は接地62と接続されている。そのため、定着ベルト50は、当接部材55と保護抵抗56を介して接地62に接続されているといえる。なお、ここでは、接地と接続されているなどと記載しているが、接地されているなどと記載してもよい。
【0054】
また、
図4に示す例では、加圧ローラ51の芯金51aは接地63と接続されており、2次転写ローラ25の芯金25aは直流電圧源70を介して接地64と接続されている。
【0055】
2次転写バイアスを印加する方式として、引力転写方式と斥力転写方式がある。
引力転写方式では、2次転写ローラ25に+(正)のバイアスを印加し、2次転写対向ローラ21を接地することで2次転写電界を形成する。
斥力転写方式では、2次転写対向ローラ21に-(負)のバイアスを印加し、2次転写ローラ25を接地することで2次転写電界を形成する。
【0056】
図4に示す例では、2次転写ローラ25にバイアスを印加する引力転写方式としており、2次転写ローラ25は直流電圧源70によりバイアスが印加される。また、直流電圧源70は接地64と接続されている。そのため、2次転写ローラ25は、直流電圧源70を介して接地64と接続されている。
【0057】
図中、白矢印aは記録材Pの搬送方向を示している。記録材Pは、2次転写ローラ25と2次転写対向ローラ21により形成される転写ニップ部N2を通過する際に、転写ベルト15上のトナー像が転写される。なお、
図4では転写ベルト15の図示を省略している。
【0058】
トナー像が転写された記録材Pは、定着手段の方向に搬送される(図中の白矢印の方向)。記録材Pは、定着ベルト50と加圧ローラ51により形成される転写ニップ部N1を通過する際に、転写材P上のトナー像が定着される。
【0059】
このとき、記録材P(記録媒体)が定着ニップ部N1と転写ニップ部N2に同時に挟持された場合、ヒータ52に印加した交流電圧が記録材Pを介して定着ニップ部N1から転写ニップ部N2に伝達することがある。例えば、記録材の含水分量が高いと記録材Pのインピーダンスが小さくなり、ヒータ52に印加した交流電圧が転写ニップ部N2に伝達しやすくなる。図中、交流電圧が記録材Pを介して転写ニップ部N2に伝達することを波形で模式的に示しており、図中の黒矢印はその伝達方向を表している。
【0060】
転写ニップ部N2に伝達した交流電圧は、転写ニップ部N2上で転写電圧を変動させ、これにより転写ムラが引き起こされ、結果として画像に縞模様(濃度ムラ)が生じてしまう。このような現象はACバンディングと称される。ACバンディングが生じると、画像に濃度ムラが生じてしまい、良好な画像が得られない。ACバンディングを防止するために特許文献1などが提案されているが、部材が増えるなど製造コストが増えてしまう等の問題がある。
【0061】
例えば、AC電源の交流成分(例えば50Hz)が定着ベルトや記録媒体を介して転写ニップ部N2に伝達し、転写バイアスに重畳することで、記録媒体の線速×1/50Hzの周期のバンディング画像となってしまう。
【0062】
これに対して本発明者らは鋭意検討を行い、本発明に至った。本発明の一実施形態について
図5、
図6を用いて説明する。
図5は、
図4の状態における回路図(等価回路)であり、
図6は、
図5の等価回路と同じものであるが、説明のために一部の配置を変更したものである。
【0063】
図5、
図6では以下を表す。
Rf:定着接地抵抗の抵抗値
Rt:転写抵抗の抵抗値
Rp:記録媒体の抵抗値
Rk:加圧部材の抵抗の抵抗値
jXs:定着ベルトのインピーダンス
jXh:加熱手段のインピーダンス
jXk:加圧部材のインピーダンス
【0064】
定着接地抵抗Rfは、定着接地抵抗の抵抗値であり、例えば定着ベルト50と接地62との間に設けられた保護抵抗56の抵抗値である。
転写抵抗Rtは、転写部材の抵抗値であり、2次転写ローラ25として、例えば芯材25aとスポンジ部分とからなるスポンジローラを用いた場合、転写抵抗Rtは2次転写ローラ25のスポンジ部分の抵抗値であるといえる。2次転写ローラ25として、例えばイオン導電性ローラ、電子導電タイプのローラを用いた場合、転写抵抗Rtは、イオン導電性ローラ自体の抵抗値、電子導電タイプのローラ自体の抵抗値であるといえる。
【0065】
Rkは、加圧部材の抵抗の抵抗値であり、例えば加圧ローラ51の芯金51aを接地した場合に含まれる直列抵抗成分である。
jXsは、定着ベルト50のインピーダンスである。
jXhは、ヒータ52のインピーダンスである。ヒータ52は、例えば抵抗発熱体を有し、抵抗発熱体は例えばガラスでコーティングされる。このため、このガラスは等価回路上ではコンデンサとして作用することから、jXhと表記されている。
jXkは、例えば加圧ローラ51の弾性層51bや離型層51cのインピーダンスである。
【0066】
定着ニップ部N1の交流電圧が記録材Pを介して転写ニップ部N2に伝達しないようするには、2次転写ローラ25の抵抗値(転写抵抗Rt)を小さくすることが考えられる。この場合、定着ニップ部N1にAC電源60からの交流電圧(交流成分)が伝達しないようにするには、分圧して転写手段にかかる電圧を減らすようにすることが考えられる。ここでいう分圧としては、例えば、定着接地(接地62)や加圧接地(接地63)に電圧がかかるようにすることが挙げられる。このような分圧を行い、転写手段にかかる電圧を減らすためには、定着ニップ部N1より先の抵抗値(記録媒体抵抗Rp+転写抵抗Rt)の総計を小さくすればよい。ただしこの場合、記録媒体の抵抗値は、設計でコントロールすることができないため、転写抵抗Rtを小さくすることで解決できる。
【0067】
転写手段にかかる電圧を減らすやり方として、定着接地抵抗Rfを小さくする方法も考えられる。定着接地抵抗Rfが小さい場合、ヒータ52に印加された交流電圧が定着接地抵抗Rf側に伝達しやすくなり、定着ベルト50や定着ニップ部N1に交流電圧が伝達しにくくなる。このため、転写手段に交流電圧が伝達しにくくなる。
【0068】
しかし、接地に関して、雷サージとACバンディングという問題に対して次のようなトレードオフの関係がある。ACバンディングについては、定着接地抵抗Rfが小さいほど有利であるが、雷サージについては、定着接地抵抗Rfが大きいほど有利である。そのため、定着接地抵抗Rfを小さくすることでACバンディングは防止しやすくなるが、定着接地抵抗Rfが小さすぎると、雷が発生した場合に、AC電源60から高電圧が装置に印加されてしまうという雷サージが生じてしまう。定着接地抵抗Rfがある程度の大きさを有していれば、雷が生じた場合に、AC電源60からの高電圧が接地61側に流れることができる。
【0069】
本発明者らは上記について検討を行い、転写抵抗Rtを小さくすることができれば、定着接地抵抗Rfがある程度大きい場合であっても、ACバンディングを抑制でき、かつ、雷サージによって装置に高電圧が印加されることを防止できることを見出した。すなわち、転写抵抗Rtを小さくすることにより、交流電圧が記録材Pを介して転写ニップ部N2に伝達することを抑制してACバンディングを抑制でき、雷サージにも有利な装置構成にすることができる。
【0070】
また、2次転写ローラ25にかかる交流分圧比が30%より小さい場合に、ACバンディングを抑制することができる。
【0071】
一方で、転写抵抗Rtが小さすぎると、白ぽちやボソツキ画像などの異常画像が生じてしまう。また、転写抵抗Rtが小さすぎると、同一画像上に存在する複数色画像部(例えば3色重ね像)と単色画像部との転写性が両立できなくなる場合があり、転写効率が低減してしまう場合がある。
【0072】
これらを考慮して検討したところ、転写抵抗Rtが下記式1を満たすようにすることで所期の効果が得られることがわかった。
【0073】
【0074】
ただし、式1中、以下を表す。
Rf:定着接地抵抗の抵抗値
Rt:転写抵抗の抵抗値
Rp:記録媒体の抵抗値
jXs:定着ベルトのインピーダンス
jXh:加熱手段のインピーダンス
【0075】
なお、上記式1中、加圧部材(加圧ローラ51)に由来する抵抗(Rk)やインピーダンス(jXk)が記載されていない。加圧ローラ51は、通常、分厚い弾性層51bを有しており、これにより他の経路に比べて非常に大きなインピーダンスを持つ。このため、加圧部材の方向に交流電流が流れず、もしくはほとんど流れないため、加圧部材方面の経路のインピーダンスや抵抗を省略して考えることができる。
【0076】
図7、
図8は、上記式1の導出について説明する図である。
図7は、
図6の回路図を別の表現で表記した回路図であり、
図8は、
図7の説明である。
【0077】
式1は分圧比の計算をするものであるが、コンデンサの複素数成分が入っているため、分圧比も複素数になる。そのため、複素数の絶対値を取ることで振幅の分圧比になる。このようなことから、式1において、左辺を絶対値にしている。
【0078】
転写抵抗Rtの測定は、以下のようにして行う。
導電性の金属製の板に2次転写ローラ25を設置し、2次転写ローラ25の芯金25aの両端部に片側4.9N(両側で合計9.8N)の荷重を掛けた状態で、芯金25aと金属製の板との間に1000Vの電圧を印加した時に流れる電流値から算出する。このときの測定の環境は、高温高湿(27℃80%)とする。
【0079】
定着接地抵抗Rfの測定は、テスターで抵抗器の両端を測定することにより行う。
記録媒体の抵抗値(記録媒体抵抗Rp)の測定は、以下のようにして行う。
用紙を計測する環境に24時間以上放置した状態で、三菱化学アナリテック製Hiresta IP(MCP-HT450)の計測器を用いて、Type HAプローブで表面抵抗率を測定する。
【0080】
定着ベルト50のインピーダンスjXsの測定及び加熱手段(ヒータ52)のインピーダンスjXhの測定は、以下のようにして行う。
定着ベルトの内周/外周にLCRメータの電極を付け、測定周波数をACバンディングで問題となる商用周波数50Hz/60Hzに設定して、抵抗/静電容量(インピーダンス)を測定する。(特許第6961123号の[0065]参照。)
【0081】
転写抵抗Rtが式1を満たす場合、交流分圧比が30%より小さくなり、ACバンディングを抑制できる。また、式1を満たすことで、雷サージに対して有効な装置構成になる。本発明のように、転写抵抗Rtを調整することでACバンディングの対策を行うことができれば、定着接地抵抗Rfを大きくできる。そして、定着接地抵抗Rfを大きくすれば、分圧により、式1中のXh(例えばヒータの絶縁層)にかかる電圧を小さくすることができる。そのため、雷サージによるヒータの絶縁破壊に有利になる。なお、雷サージを考慮する際には、等価回路に記録媒体から転写までの経路は含まないので、記録媒体の抵抗値Rpと転写抵抗Rtは除外して考える。
【0082】
式1を満たすためには、例えば以下のような方法も考えられる。
(1)ヒータや定着ベルトの絶縁層の厚みを増やす(jXhやjXsを増やす)
(2)定着を行う箇所から転写を行う箇所までの間の距離を長くし、記録媒体の抵抗値Rpを増やす
(3)定着接地抵抗Rfの値を小さくする
(4)2次転写ローラ25の抵抗値(転写抵抗Rt)を小さくする
これらの中でも、(4)のように、2次転写ローラ25の抵抗値(転写抵抗Rt)を小さくする方法が好ましい。
【0083】
転写抵抗Rtの値を小さくする場合、定着接地抵抗Rfとの関係を考慮することが好ましい。交流分圧比を30%よりも小さくするための転写抵抗Rtの範囲は、例えば、定着接地抵抗Rfの値、2次転写ローラ25の絶縁物の厚み、定着を行う箇所から転写を行う箇所までの距離によって変化する。例えば、定着接地抵抗Rfが2MΩのとき、転写抵抗Rtが1250MΩ以下であれば、交流分圧比を30%よりも小さくすることができ、ACバンディングを抑制できる。
【0084】
なお、ACバンディングを考慮する際、AC成分における交流分圧比は、AC漏洩率と称してもよい。交流分圧比が30%よりも小さいことは、AC漏洩率が30%よりも小さいことに相当する。
【0085】
転写抵抗Rtとしては、35MΩ以下であることが好ましい。転写抵抗Rtが35MΩ以下である場合、定着接地抵抗Rfの値によらず、交流分圧比を30%よりも小さくすることができ、ACバンディングを抑制できる。
【0086】
転写抵抗Rtとしては、5MΩ以上であることが好ましい。
転写抵抗Rtが5MΩ以上である場合、白ぽちやボソツキ画像などの異常画像を抑制できる。また、転写抵抗Rtが低すぎると、同一画像上に存在する複数色画像部(例えば3色重ね像)と単色画像部との転写性が両立できなくなる場合がある。画像における単色の部分(単色画像部とも称する)は、比較的、低電圧で転写するのに十分な電流が流れる。一方、画像における複数色の部分(複数色画像部とも称する)は、転写するために、単色画像部に最適な電圧よりも高い電圧値が必要になる。そのため、複数色画像部を転写できる電圧に設定すると、単色画像部では転写電流が過剰となり、転写効率が低減してしまう。
【0087】
本実施形態では、転写抵抗Rtを小さくするという思想のもと、定着接地抵抗Rf等の関係を式1のようにしている。このため、ACバンディングを防止するために新たに部材を備える必要がなく、製造コストが増えることを防止することができる。また、装置構成が複雑にならずに、ACバンディングや雷サージに有効な装置にすることができる。
【0088】
ヒータ52は、定着ベルト50の回転軸方向に長手を有する面状ヒータである。このような面状ヒータを用いることにより、定着ベルト50を効率良く加熱することができる。
【0089】
図4~
図6に示す例では、斥力転写方式を用いており、2次転写対向ローラ21に-(負)のバイアスを印加し、2次転写ローラ25を接地している。本実施形態では、引力転写方式も用いることができ、この場合、2次転写ローラ25に+(正)のバイアスを印加し、2次転写対向ローラ21を接地する。引力転写方式であっても、式1の関係性は変わらない。
【0090】
また、
図4~
図6に示す例では、転写部材として2次転写ローラを用いていたが、本実施形態では、上述のように、2次転写ユニットとして、ローラ方式に限られるものではなく、ベルト方式(
図2)も用いることができる。
【0091】
ベルト方式の場合も2次転写ローラ25を用いているため、転写抵抗Rtはローラ方式と同じになる。ベルト方式の場合であっても式1の関係は変わらない。
【符号の説明】
【0092】
21 2次転写対向ローラ
25 2次転写ローラ
50 定着ベルト
51 加圧ローラ
52 ヒータ
55 当接部材
56 保護抵抗
60 AC電源
70 直流電圧源
N1 定着ニップ部
N2 転写ニップ部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0093】