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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137784
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】ファクシミリ装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
H04N1/00 838
H04N1/00 J
H04N1/00 350
H04N1/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044155
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】藤本 一平
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA32
5C062AB11
5C062AB17
5C062AB21
5C062AB23
5C062AB41
5C062AB42
5C062AB43
5C062AB44
5C062AC02
5C062AC22
5C062AF01
5C062AF02
(57)【要約】
【課題】着信拒否登録の誤登録を容易に抑制しつつ、端末識別情報の印字がない場合でも、着信拒否登録を実行することのできるファクシミリ装置を提供する。
【解決手段】本発明のファクシミリ装置は、外線から受信した画像情報を記録紙に印刷する印刷部と、少なくとも前記記録紙に印刷された前記画像情報を含む画像を読み取って記憶するスキャナ部と、前記外線からの前記画像情報の着信禁止または印刷抑制する送信者の情報を記憶する着信禁止送信者記憶部と、受信した前記画像情報と当該画像情報の送信者情報を関連付けて保存する記録部と、ユーザによる着信禁止相手先登録の開始を示す第1操作と、前記記録紙に印刷された前記画像情報が前記スキャナ部で読み込まれたことを示す第2操作を取得した場合、前記記録部に記憶された情報の中から前記スキャナ部で読み込んだ前記画像情報に関連する画像データとその送信者情報を表示部に表示させる制御部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外線から受信した画像情報を記録紙に印刷する印刷部と、
少なくとも前記記録紙に印刷された前記画像情報を含む画像を読み取って記憶するスキャナ部と、
前記外線からの前記画像情報の着信禁止または印刷抑制する送信者の情報を記憶する着信禁止送信者記憶部と、
受信した前記画像情報と当該画像情報の送信者情報を関連付けて保存する記録部と、
ユーザによる着信禁止相手先登録の開始を示す第1操作と、前記記録紙に印刷された前記画像情報が前記スキャナ部で読み込まれたことを示す第2操作を取得した場合、前記記録部に記憶された情報の中から前記スキャナ部で読み込んだ前記画像情報に関連する画像データとその送信者情報を表示部に表示させる制御部と、
を備える、ファクシミリ装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記表示部に表示した前記送信者情報を、前記着信禁止送信者記憶部に登録するか否かを前記ユーザに選択させる案内を実行する、請求項1に記載のファクシミリ装置。
【請求項3】
前記制御部は、操作部の所定のキー操作が実行された場合に前記第1操作が実行されたことを示す情報を取得する、請求項1または請求項2に記載のファクシミリ装置。
【請求項4】
前記制御部は、所定の指標が前記スキャナ部で読み込まれた場合に前記第1操作が実行されたことを示す情報を取得する、請求項1または請求項2に記載のファクシミリ装置。
【請求項5】
前記制御部は、所定の指標を前記記録紙に記録された前記画像情報の上に重ねて、前記画像情報とともに前記指標が前記スキャナ部で読み込まれた場合に前記第1操作及び前記第2操作が実行されたことを示す情報を取得する、請求項1または請求項2に記載のファクシミリ装置。
【請求項6】
受信した画像情報の画像データと前記画像情報の送信者情報とが保存されている記録部と、
前記記録部の前記画像データを記録紙に印刷する印刷部と、
少なくとも前記記録紙に印刷された画像を読み取るスキャナ部と、
を有し、
着信禁止相手先登録の開始を示す第1操作と、前記記録紙に印刷された前記画像が前記スキャナ部で読み込まれたことを示す第2操作とが行われた場合、前記記録部から前記スキャナ部で読み込んだ前記画像に関連する画像データと、送信者情報とを表示部に表示させる、ファクシミリ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファクシミリ機器においては、不要な広告などを拒否する迷惑FAX防止機能を備える機種が実用化されている。迷惑FAX防止機能は、ユーザが着信禁止相手先リストに入力した宛先からの着信を拒否する機能である。この場合、受信したFAXの内容をユーザが確認し、迷惑FAXでると感じた場合に、その都度、着信禁止相手先リストに操作入力により登録する必要があり、登録がなおざりになりやすく、機能が発揮されないことがあった。そこで、特許文献1には、受信したFAX文書をスキャナで読取り、所定領域内の画像の文字認識を行って相手先を示す端末識別情報(電話番号や相手先名称)を自動認識することで、登録の手間を削減する技術が公開されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、画像の文字認識は完全ではなく、不安要素を含むことが考えられる。すなわち、文字認識の際に誤認識により、本来、着信拒否対象外の情報を着信拒否登録してしまった場合には、例えば、商品の受注など大事な顧客からの着信ができない事態になる虞があり、自動認識による着信拒否登録の利用がためらわれてしまうという問題があった。また、端末識別情報TSIが記録紙に印字される設定になっていなければ、画像を文字認識で読み取ることはできない。例えば、記載が煩わしい等の理由で、印字しない設定になっている機器では自動登録を利用できない、という問題もある。
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、着信拒否登録の誤登録を容易に抑制しつつ、端末識別情報の印字がない場合でも、着信拒否登録を実行することのできることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示の一例としてのファクシミリ装置は、外線から受信した画像情報を記録紙に印刷する印刷部と、少なくとも前記記録紙に印刷された前記画像情報を含む画像を読み取って記憶するスキャナ部と、前記外線からの前記画像情報の着信禁止または印刷抑制する送信者の情報を記憶する着信禁止送信者記憶部と、受信した前記画像情報と当該画像情報の送信者情報を関連付けて保存する記録部と、ユーザによる着信禁止相手先登録の開始を示す第1操作と、前記記録紙に印刷された前記画像情報が前記スキャナ部で読み込まれたことを示す第2操作を取得した場合、前記記録部に記憶された情報の中から前記スキャナ部で読み込んだ前記画像情報に関連する画像データとその送信者情報を表示部に表示させる制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
この構成によれば、着信拒否登録の誤登録を容易に抑制しつつ、端末識別情報の印字がない場合でも、着信拒否登録を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本実施形態にかかるファクシミリ装置の外観を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
図2図2は、本実施形態にかかるファクシミリ装置と他のファクシミリ装置の接続状態を示す例示的かつ模式的な説明図である。
図3図3は、本実施形態にかかるファクシミリ装置のハードウェア構成を示す例示的かつ模式的なブロック図である。
図4図4は、本実施形態にかかるファクシミリ装置における迷惑FAXの登録処理の流れを示す例示的なフローチャートである。
図5図5は、本実施形態にかかるファクシミリ装置における迷惑FAXの登録処理の際に操作表示部に表示される表示画面を示す例示的かつ模式的な説明図である。
図6図6は、本実施形態にかかるファクシミリ装置における迷惑FAXの登録処理の開始操作に適用可能な指標(マーク)を示す例示的かつ模式的な説明図である。
図7図7は、本実施形態にかかるファクシミリ装置における迷惑FAXの登録処理の開始操作を簡略化するためにスキャナ部で読み取り可能な記録紙の態様を示す例示的かつ模式的な説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態および変形例を図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態および変形例の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および効果は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
【0009】
図1は、本実施形態にかかるファクシミリ装置10の外観を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【0010】
本実施形態のファクシミリ装置10は、迷惑FAX対応機能を備える。なお、本実施形態の迷惑FAX対応機能は、専用機器に搭載されてもよいし、FAX受信が可能な既存の機器に適用することも可能である。本実施形態で説明するファクシミリ装置10は、一例として、MFP(Multi Function Printer)である。なお、本実施形態のファクシミリ装置10(MFP)は、少なくともFAX機能とプリンタ機能とスキャナ機能に加え、コピー機能といった複数の機能を1つの筐体で実現した画像形成装置である複合機である。
【0011】
図1に示すファクシミリ装置10は、例えば、フィーダー部12(例えば、ADF(Auto Doucument Feeder))と、スキャナ部14と、プリンタ部16と、給紙トレイ部18と、操作表示部20等を備える。また、ファクシミリ装置10の背面に取り付けられたコントローラボードとそれに接続された公衆回線インターフェース等を有する。
【0012】
ファクシミリ装置10が備える、フィーダー部12、スキャナ部14、プリンタ部16、給紙トレイ部18、操作表示部20等は、いずれも周知の構成であり、詳細な説明は省略する。なお、操作表示部20は、例えば、タッチパネルであり、ファクシミリ装置10の利用状態に応じた表示内容が表示される。ファクシミリ装置10を利用するユーザPは、操作表示部20に表示されたアイコンやボタン等をタッチすることで選択操作が可能である。また、操作表示部20にソフトウェアキーボードが表示された場合には、ソフトウェアキーボードを用いて所望の情報の入力が可能である。
【0013】
図2は、本実施形態にかかるファクシミリ装置10と他のファクシミリ装置10A,10B等との接続状態を示す例示的かつ模式的な説明図である。ファクシミリ装置10は、公衆回線22を介して1以上(図1の例では2つ)のファクシミリ装置10A,10Bと接続されている。ファクシミリ装置10は、公衆回線22を介してファクシミリ装置10Aやファクシミリ装置10Bに文書の送信が可能であり、ファクシミリ装置10Aやファクシミリ装置10Bから文書を受信することができる。ファクシミリ装置10は、文書を受信した際には、受信データを内部の記憶部(後述するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等)に蓄積したうえで、その受信データの内容をファクシミリ装置10が備えるプリンタ部16によって印刷可能である。
【0014】
図3は、本実施形態にかかるファクシミリ装置10のハードウェア構成を示す例示的かつ模式的なブロック図である。
【0015】
ファクシミリ装置10は、前述したように、操作表示部20、スキャナ部14、プリンタ部16、画像処理部26、CPU24(Central Processing Unit)、ROM28(Read Only Memory)、RAM30(Random Access Memory)、HDD32、公衆回線I/F34等を備える。なお、ファクシミリ装置10は,図3に示す構成要素以外にも、一般的な装置が備える構成要素も備えているが、図3では、図示を省略する。
【0016】
CPU24は、ファクシミリ装置10全体制御を行う制御部である。CPU24は、ROM28等の不揮発性の記憶装置にインストールされ記憶されたプログラムを読み出し、当該プログラムにしたがって演算処理を実行し、ファクシミリ装置10における各種処理を実行する。RAM30は、CPU24での演算で用いられる各種のデータを一時的に記憶する。RAM30は、例えば、記憶用メモリとして、プログラムやデータの展開、及び印刷時の描画用メモリ等として利用される。HDD32は、ファクシミリ装置10が受信した文書データを蓄積する。なお、HDD32は、後述する迷惑FAX登録(着信禁止相手先登録)されたリストデータ等の保存も行う。なお、CPU24や、ROM28、RAM30等は、同一パッケージ内に集積されうる。また、また、HDD32に替えてSSD(Solid State Drive)が設けられてもよい。
【0017】
画像処理部26は、例えば、DSP(Digital Signal Processors)等により構成され、HDD32に記憶させる画像情報(画像データ)の圧縮処理やその画像データを読み出す際のデータ伸長処理(復元処理)、データ形式変換等の各種画像処理を行うことが可能である。また、画像処理部26は、後述する画像認識処理も実行可能である。
【0018】
スキャナ部14は、イメージセンサを備え、当該イメージセンサは、原稿台に設置された読み込み対象の原稿(記録紙)や、読取り位置に移動してきた原稿から画像データを読み取ってHDD32に記録したりRAM30に一時的に記録したりする。HDD32は、外線からの画像データの着信禁止または印刷抑制する送信者の情報を記憶する着信禁止送信者記憶部としても機能する。また、HDD32は、受信した画像データと当該画像データの送信者情報(端末識別情報TSI)を関連付けて保存する記録部としても機能する。
【0019】
プリンタ部16は、外線から受信した画像データを記録紙に印刷する印刷部として機能する。プリンタ部16は、CPU24からの印刷の指示に基づき、RAM30やHDD32に記憶されている画像情報を記録紙に出力(印字)する。出力方式は、電子写真方式、インクジェット方式、もしくは、感熱記録方式など種々を用いることができる。
【0020】
操作表示部20は、ファクシミリ装置10に取り付けられた操作パネルであり、ユーザに対する情報の表示と、ユーザからの操作入力を受け付ける入出力インターフェースである。なお、操作表示部20に代えて、操作部と表示部とを独立的に設ける構成としてもよい。
【0021】
公衆回線I/F34は、公衆回線22を介して文書データの送受信をするためのインターフェースである。
【0022】
続いて、ファクシミリ装置10における通常の送受信手順と迷惑FAX防止機能の概要を説明する。ファクシミリ装置10における動作状態は、大別して、以下の5種類のフェーズで遷移する。
1.フェーズA:電話の接続を行う。
2.フェーズB:互いのファクシミリ装置の能力から送る設定値を決定する。
3.フェーズC:画情報(文書)を送信する。
4.フェーズD:画情報(文書)の終了と受信確認。
5.フェーズE:電話を切る。
【0023】
ファクシミリ装置10が受信機側である場合、フェーズEのあと、受信した文書データとその送信者情報(端末識別情報TSI)および、受信した日時の情報などを紐づけしてHDD32に蓄積する。また、ファクシミリ装置10が受信後に印刷する設定になっている場合には、自動でHDD32に蓄積したデータをプリンタ部16で記録紙に出力する。なお、HDD32に蓄積された文書データは、操作表示部20で、ユーザの要望(操作)により、プレビュー表示して中身を確認したり、必要に応じてユーザが手動印刷を選択し記録紙に出力したりすることもできる。ここで、前述したフェーズBにて、受信側のファクシミリ装置は、送信側のファクシミリ装置に登録された端末識別情報TSIを受信する。端末識別情報TSIは、送信側のファクシミリ装置で任意に登録可能な情報で、一般的には電話番号等の情報である。この端末識別情報TSIを用いて、受信側のファクシミリ装置で迷惑FAX防止機能が実現され得る。すなわち、受信側のファクシミリ装置のユーザは、あらかじめ迷惑FAX(着信禁止相手先)として対応したい端末識別情報TSIをHDD32に迷惑FAX登録(着信禁止相手先登録)しておく。そして、フェーズBで受信した端末識別情報TSIと、迷惑登録してある端末識別情報TSIが一致した場合には、それ以上の通信を中断する、もしくは、文書の受信は行うが記録紙への自動出力を抑制する。その結果、広告等自分に不要な文書が印刷されてしまうことで、記録紙やインクを無駄に消費することを防ぐことができる。
【0024】
ところで、上述したような一般的な迷惑FAX防止機能は、あらかじめ受信側のファクシミリ装置10のユーザが、端末識別情報TSIをファクシミリ装置10に登録しておく必要があり、手間がかかるため利用率が低い場合がある。すなわち、従来の構成の場合、出力された記録紙に記載された端末識別情報TSIを見て、ファクシミリ装置10の操作表示部20から手入力する必要があり、場合によっては誤入力してしまう虞があった。また、送信側のファクシミリ装置の端末識別情報TSIをファクシミリ装置10において記録紙に印字しない設定になっている場合、記録紙を見て端末識別情報TSIを入力することができない。この場合、ファクシミリ装置10の操作表示部20から受信履歴を見ることで、端末識別情報TSIを確認することも可能であるが、受信件数が多い場合には、該当する端末識別情報TSIを探す必要があり、登録作業が煩わしいという問題もある。
【0025】
そこで、本実施形態のファクシミリ装置10の制御部(CPU24)は、ユーザによる迷惑FAX登録(着信禁止相手先登録)の開始を示す第1操作と、記録紙に印刷された画像情報がスキャナ部で読み込まれたことを示す第2操作を取得した場合、記録部(HDD32)に記憶された情報の中からスキャナ部で読み込んだ画像情報に関連する画像データとその送信者情報を操作表示部20(表示部)に表示させる。具体的には、記録紙に印刷された文書が迷惑FAXであるとユーザが感じた場合、印刷された記録紙をスキャナ部14で読取り、HDD32に蓄積してあった受信画像データとの比較を行う。そして、読み取った画像全体の一致度が最も高い受信画像データとその送信者情報を迷惑FAX登録候補としてユーザに提示する。したがって、確実にかつ間違えることなく迷惑FAX登録を行うことができる。この場合、受信画像データをもとに印刷された記録紙を再度読み取っただけなので、全体としてみた特徴量は他の受信文書に比べ高い一致度になるはずである。また、その受信文書に紐づけて保存されている端末識別情報TSIを登録するので、登録する端末識別情報TSIの一部分だけ間違えた値等になることが確実に防止することができる。なお、ここで、画像情報に含まれる画像データとは、FAXで送信されてきた文書、写真、イラスト等であり、送信者情報(端末識別情報TSI)とは、FAX送信者を特定するための情報であり、送信者の電話番号や相手先名称(送信者の名称)等である。したがって、記録紙に印刷された画像とは、FAXで送信されてきた文書、写真、イラスト、送信者の電話番号や相手先名称等が含まれる。
【0026】
図4は、本実施形態にかかるファクシミリ装置10における迷惑FAXの登録処理の流れを示す例示的なフローチャートである。また、図5は、ファクシミリ装置10における迷惑FAXの登録処理の際に操作表示部20に表示される表示画面を示す例示的かつ模式的な説明図である。
【0027】
まず、ファクシミリ装置10の電源がONされると図4のフローが開始され、ファクシミリ装置10が動作可能状態であることを示すトップ画面の表示が行われる。複合機であるファクシミリ装置10の場合、トップ画面は、機能ごとに例えば、コピーモード用トップページ、プリンターモード用のトップページ、スキャナモード用のトップページ、FAXモード用のトップページ等が準備されている。各トップページは、外部からのデータ取得(受信)状態や操作表示部20の操作状態によって適宜遷移可能である。なお、ファクシミリ装置10のトップ画面は、例えば、最も利用頻度の高い機能に対応するトップページがデフォルトで表示されるようにしてもよい。例えば、トップ画面として、コピーモードのトップページをデフォルトで表示させてもよい。例えば、ユーザは、デフォルトのトップ画面として表示されたコピーモードのトップページを操作することにより、ファクシミリ装置10はコピー処理を実行する。また、通信可能な端末から印刷コマンドを受け付けると、ファクシミリ装置10のトップ画面が、プリンターモードのトップページに遷移して印刷処理を開始する。同様に、公衆回線22を介してFAXの着信があった場合、操作表示部20でFAX機能が選択された場合、ファクシミリ装置10のトップ画面が、FAXモードのトップページに遷移してFAX処理を開始する。
【0028】
例えば、ファクシミリ装置10の電源がONされた場合、トップ画面として例えば、コピーモード用トップページが表示されている。そして、FAXの着信があると(S100のYes)、操作表示部20には、図5に示すようなFAXモードのトップページG1が表示される(S102)。なお、FAXの着信がない場合(S100のNo)、このフローは、一旦終了し、トップ画面(例えば、コピーモード用トップページ)の表示が継続される(各機能の待機状態を維持する)。
【0029】
トップページG1は、例えば「FAX宛先を指定してください」と表示されたアイコンG11や宛先を指定するためのアイコンG12、送信条件や送信を指示可能なアイコンG13等の他、迷惑FAX登録用のアイコンG14等が表示されている。なお、図5に示すFAXモード用のトップページG1は、一例であり、適宜内容の増減が可能である。また、図5では、迷惑FAX登録用のアイコンG14が押下(キー操作)された場合、迷惑FAX登録用の登録画面G2または、登録画面G2のサブ画面G3~G8等が表示可能である。以下、図4のフローチャートの処理と、図5の操作表示部20の表示例を参照しながら処理の流れを説明する。
【0030】
S100において、FAXの着信があり、FAXモード用のトップページG1が表示されると、その時点で、HDD32に既に登録(保存)されている迷惑FAX登録データ(端末識別情報TSI)と送信側の端末識別情報TSIとを照合する(S104)。そして、迷惑FAX登録データ(端末識別情報TSI)に該当する端末識別情報TSIが存在する場合(S104のYes)、受信したFAXは、迷惑FAXと判定され、印刷は行われず、CPU24は、このフローを一旦終了し、トップ画面(例えば、コピーモード用トップページ)の表示に復帰させる。なお、この場合、受信したFAXの文書データをHDD32に保存するようにしてもよい。
【0031】
S104において、送信側の端末識別情報TSIと保存された迷惑FAX登録データ(端末識別情報TSI)とが一致しない場合(S104のNo)、受信処理を行い、HDD32に文書データを保存したうえで、プリンタ部16を用いて記録紙に出力する(S106)。
【0032】
ユーザは、ファクシミリ装置10から排出された記録紙を確認し、広告等の迷惑FAXであることを確認した場合に、トップページG1の迷惑FAX登録を示すアイコンG14を押下(選択)することになる。ファクシミリ装置10のCPU24は、迷惑FAX登録を示すアイコンG14が選択されたこと(第1操作)を確認すると(S108のYes)、操作表示部20に迷惑FAX登録用の登録画面G2を表示する。登録画面G2には、「迷惑FAXを原稿台においてください」等の操作ガイドやスキャナ部14による読取り開始(スキャン開始)を指示するアイコンG21や読取りの中止を指示するアイコンG22等が表示される。
【0033】
記録紙が原稿台に置かれ、読取り開始(スキャン開始)を指示するアイコンG21が選択されると(S110のYes)、スキャナ部14は対象FAX文書の読み取りを実行する(S112:第2操作)。
【0034】
なお、S108の処理において、迷惑FAX登録を示すアイコンG14が所定期間選択されない場合(S108のNo)、CPU24は、このフローを一旦終了し、トップ画面(例えば、コピーモード用トップページ)の表示が復帰させる。また、S110の処理において、読取り開始(スキャン開始)を指示するアイコンG21の操作が所定期間実行されない場合(S110のNo)、CPU24は、このフローを一旦終了し、トップ画面(例えば、コピーモード用トップページ)の表示を復帰させる。また、S108で、迷惑FAX登録を示すアイコンG14が選択されたものの、途中で中止を示すアイコンG22が選択された場合、CPU24は、このフローを一旦終了し、トップ画面(例えば、コピーモード用トップページ)の表示を復帰させる。この場合、CPU24は、図5に示すように、ユーザに中止の確認を行うためのサブ画面G7を表示してもよい。サブ画面G7には、「迷惑FAX登録を中止しますか」や「トップ画面にもどります」等の表示とともに、「確認」を示すアイコンG71が表示され、アイコンG71の押下により、トップ画面(例えば、コピーモード用トップページ)の表示に復帰させる。
【0035】
S112の処理による対象FAX文書の読み取り中または読み取りが完了した場合、画像処理部26は、読取り文書の画像データとHDD32に登録された受信文書データ(登録文書)との照合を行う(S114)。
【0036】
上述のデータ照合は、ファクシミリ装置10に対して公知技術である文書の原本検索(例えば特開2004-334341号公報)の技術を適用可能である。例えば、まずブロック解析を行い、画像データのイメージに応じて、文書(テキスト)が含まれるテキストブロックとテキスト以外の情報(グラフ、写真など)が含まれる画像ブロックに大きく分類する。テキストブロックに対してはOCRによって読み取ったテキスト情報からテキスト特徴データを例えばTF-IDF法で算出することができる。画像ブロックに対しては、縦n個、横m個の矩形に分割して、各矩形の平均の輝度情報と色情報などの画像特徴量データを算出する。前述したテキスト特徴データと画像特徴量データをHDD32内にある画像データのテキスト特徴データと画像特徴量データと比較することで、一致度を算出することができる。なお、上述した処理に対しては時間がかかる場合があるが、ユーザが迷惑FAX登録を行う場合には、受信して2~3日の間に実施する傾向があるため、まず、HDD32内を検索する画像データはこの迷惑FAX登録の処理を行う日から3日以内のデータに対して行い、最も高い一致度のものをユーザに提示することで高速化することができる。また、提示したものに対し、ユーザが異なると判断し再検索になった時点で、さらに過去のデータに対しても検索を行うようにすることもできる。
【0037】
画像処理部26による照合が開始されると、登録画面G2は照合中であること示すサブ画面G3に切り替わる。サブ画面G3には、例えば、「照合中」の表示の他、照合中止を指示するアイコンG31等が表示される。照合の途中で中止を指示するアイコンG31が押下された場合(S116のYes)、画像処理部26は、照合を中止し、このフローを一旦終了し、トップ画面(例えば、コピーモード用トップページ)の表示に復帰させる。この場合、CPU24は、サブ画面G7を示し、ユーザに迷惑FAX登録の中止を確認し、アイコンG71の押下により、トップ画面(例えば、コピーモード用トップページ)の表示を復帰させる。
【0038】
S116の処理で照合が途中で中止されることなく完了し(S116のNo)、照合により一致する文書が存在するか否か判定する(S118)。画像処理部26は、読み取った迷惑FAXと見なされる記録紙の画像データとHDD32内に保存された受信文書データとで、一致する文書が存在する場合(S118のYes)、画像処理部26は、一致度の高い受信文書データを抽出する。そして、CPU24は、操作表示部20に照合結果を示すサブ画面G4を表示する。サブ画面G4には、「迷惑FAXはこの文書ですか」という、確認メッセージの他、最も一致度の高い受信文書データのプレビューG41とその一致度、および受信日時のデータが含まれ、操作表示部20に表示される(S120)。また、サブ画面G4には、迷惑FAXであるか否かのユーザ意思を入力する確認用のアイコンG42等も表示されている。
【0039】
ユーザは、操作表示部20に表示されたサブ画面G4のプレビュー画面と受信日時のデータ等から、ユーザが迷惑FAX登録したい受信文書データであるかどうかを確認する(S122)。仮に照合結果が、ユーザにおいて迷惑FAX登録したい受信文書データではない場合(照合結果が正しくない場合)には(S122のNo)、サブ画面G4に示される「いいえ」を示すアイコンG42を選択することで、S114の処理の戻り、再照合する処理を行う。その結果、次に一致度が高い文書が照合結果として表示されることになる。
【0040】
S122の処理で、プレビューG41がユーザにおいて迷惑FAX登録したい受信文書データであった場合(照合結果が正しい場合)には(S122のYes)、ユーザがサブ画面G4に示される「はい」を示すアイコンG42を選択することで、登録処理を実行する。その文書の送信者の端末識別情報TSIを迷惑FAX登録リストに追加し、HDD32に保存(登録)する(S124)。この場合、操作表示部20には、迷惑AXの登録を行うための最終確認画面を示すサブ画面G5が表示される。サブ画面G5には、「この送信者情報を登録しますか」等の登録確認メッセージが表示されるとともに、サブ画面G4と同様に受信文書データのプレビューG51(プレビューG41)と同じ内容とその一致度、受信日時、及び送信者情報等のデータが含まれ、当該サブ画面G5が操作表示部20に表示される。また、また、サブ画面G5には、迷惑FAXを登録するか否かのユーザ意思を入力する確認用のアイコンG52等が含まれる。
【0041】
ユーザが、サブ画面G5において、プレビューG51を確認し、確認用のアイコンG52で「はい」を押下した場合、すなわち、迷惑FAXとして登録する場合(S124のYes)、その文書の送信者の端末識別情報TSIを迷惑FAXのデータとして、迷惑FAX登録リストに追加し、HDD32に保存(登録)する(S126)。この場合、操作表示部20には、迷惑FAX登録実行確認画面としてサブ画面G6が表示される。サブ画面G6には、「迷惑FAX登録を実行示す」というメッセージや「トップ画面にもどります」等のメッセージが表示されるとともに、登録及びトップ画面の復帰を確認(承認)するアイコンG61が表示される。サブ画面G6で、確認用のアイコンG61が押下された場合、操作表示部20の画面は、トップ画面(例えば、コピーモード用トップページ)の表示に復帰する。つまり、図4のフローは一旦終了し、トップ画面の表示が行われる。
【0042】
なお、S124の処理で、迷惑FAXとして登録しない場合、すなわち、サブ画面G5で、確認用のアイコンG52で「いいえ」が押下された場合(S124のNo)、操作表示部20の表示は、サブ画面G7に切り替わり、迷惑FAX登録を中止するか否か確認する画面に切り替わり、確認用のアイコンG71の押下があった場合、HDD32への登録が行われることなく、トップ画面(例えば、コピーモード用トップページ)の表示に復帰する。
【0043】
S118の画像処理部26の処理において、読み取った迷惑FAXの記録紙の画像データとHDD32内にある受信文書データとで、一致する文書が存在しない場合(S118のNo)、CPU24は、操作表示部20に、一致する文書が存在しないことをユーザに報知するサブ画面G8を表示させる(S128)。サブ画面G8には、「照合を行いましたが、迷惑FAXと一致しません」や「トップ画面にもどります」等のメッセージが表示されるとともに、不一致及びトップ画面の復帰を確認(承認)するアイコンG81が表示される。サブ画面G8で、確認用のアイコンG81が押下された場合、操作表示部20の画面は、トップ画面(例えば、コピーモード用トップページ)の表示に復帰する。つまり、図4のフローは一旦終了し、トップ画面の表示が行われる。
【0044】
このように、本実施形態のファクシミリ装置10によれば、受信した画像全体の類似度によって受信画像データの送信者情報(端末識別情報TSI)を割り出すことで、文字認識よりも精度を高めることができる。また、受信した送信者情報(端末識別情報TSI)のデータをそのまま登録するので、文字認識のように一部だけが間違えた情報を誤って登録してしまうといった心配がなく、安心して迷惑FAX登録機能を利用することができる。また、送信者情報(端末識別情報TSI)を記録紙に印字しない設定であっても、画像全体の類似度によって受信画像データに紐づけされた送信者情報(端末識別情報TSI)を割り出すことができるので、使い勝手が向上する。
【0045】
ところで、上述した説明では、迷惑FAX登録を開始する際に、図5のトップページG1から、「迷惑FAX登録」を示すアイコンG14を押下する場合を示した。他の実施形態では、アイコンG14の押下の代わりに、図6のような指標36、例えばQRコード(登録商標)等のマークをスキャナ部14で読み取ることで迷惑FAX登録を開始する構成としてもよい。例えば、普段、迷惑FAX登録の操作に慣れていないユーザにとっては、迷惑FAX登録をどのように開始してよいかわからない場合がある。そこで、図6に示すような指標36(QRコード)をプレート化して、ファクシミリ装置10の周辺の目につきやすいところに設置し周知しておくことで、スキャナ部14でスキャンするという普段行っている読取り操作で、迷惑FAX登録を開始することができる。その結果、迷惑FAX登録操作をより簡単に効率的に行うことができる。
【0046】
また、他の実施形態では、迷惑FAX登録の開始と、迷惑FAXの記録紙の読取りを一度に行う構成とすることもできる。例えば、図7のように、迷惑FAXと思われる記録紙Mの上に、図6の指標36(例えばQRコード)を載せて、一緒にスキャナ部14で読み取ることで、迷惑FAX登録の開始(第1操作)と、迷惑FAXの記録紙の読取り(第2操作)を一度に行うことができる。その結果、迷惑FAX登録操作をさらに簡単かつ効率的に行うことができる。なお、この場合、画像処理部26において実行されるHDD32内の受信文書データとの照合は、図6の指標36を除いた部分で比較処理が実行される。
【0047】
上述した本実施形態の迷惑FAX登録処理を実行する処理プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録してROM28にインストールし、CPU24で実行するようにしてもよい。
【0048】
さらに、迷惑FAX登録処理を実行する処理プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態で実行される処理プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0049】
このような構成とすることにより、既存のファクシミリ装置においても本実施形態の迷惑FAX登録処理を実行可能となり、既存資源の有効利用に寄与することができる。
【0050】
このように、本実施形態のファクシミリ装置10によれば、例えば、画像全体の類似度によって受信した画像データの送信者情報を割り出すことが可能となり、端末識別情報の文字認識よりも精度の高い着信禁止登録に寄与できる。また、受信した送信者情報のデータをそのまま登録可能となるので、文字認識による誤認識による誤登録を抑制することができる。さらに、端末識別情報が記録紙に印字されない設定の場合でも送信者情報を割り出しが可能になり、着信禁止登録の効率化に寄与できる。
【0051】
以上、本実施形態および変形例を説明したが、上述した実施形態および変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上述した新規な実施形態および変形例は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上述した実施形態および変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
10 ファクシミリ装置
12 フィーダー部
14 スキャナ部
16 プリンタ部
18 給紙トレイ部
20 操作表示部
22 公衆回線
24 CPU
26 画像処理部
28 ROM
30 RAM
32 HDD
34 公衆回線I/F
36 指標
【先行技術文献】
【特許文献】
【0053】
【特許文献1】特開2011-049871号公報
図1
図2
図3
図4
図5
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図7