(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137820
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/06 20060101AFI20230922BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20230922BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
G06F3/06
G06F3/06 301M
G06F3/06 304N
G06F3/06 304Z
B41J29/42 F
H04N1/00 002B
H04N1/00 127
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044206
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小池 和正
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP10
2C061CQ04
2C061CQ24
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA29
5C062AB20
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB40
5C062AB42
5C062AB49
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC34
5C062AE15
(57)【要約】
【課題】操作部とコントローラを備える情報処理装置において、操作部の操作画面のデータをコントローラ側の記憶媒体への書き込み可能か否かに依存せずに保存可能とする。
【解決手段】情報処理装置の一例としての画像形成装置10は、操作部110と、コントローラ100と、を備え、操作部110とコントローラ100とが独立したOS115、116を有し、独立した省エネ状態を取ることが可能であり、操作部110とコントローラ100とが単一のインタフェース114により接続され、コントローラ100は、HDD112を有し、操作部110のパネル画面117のデータ(動画ファイルM)を保存する際に、コントローラ100のHDD112の書き込み可能か否かに応じて、データMの保存先をコントローラ100のHDD112から操作部110のRAM118に変更する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部と、
コントローラと、を備え、
前記操作部と前記コントローラとが独立したOSを有し、独立した省エネ状態を取ることが可能であり、前記操作部と前記コントローラとが単一のインタフェースにより接続され、
前記コントローラは、記憶媒体を有し、
前記操作部のパネル画面のデータを保存する際に、前記コントローラの前記記憶媒体の書き込み可能か否かに応じて、前記データの保存先を前記コントローラの前記記憶媒体から前記操作部のメモリに変更する、情報処理装置。
【請求項2】
前記コントローラの前記記憶媒体の電源状態により、自動的に前記データの保存先を前記操作部の前記メモリに変更する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記データは、前記パネル画面を録画した動画ファイルである、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記メモリに保存されたの前記データは、前記コントローラの前記記憶媒体の電源がオン状態となったとき、前記メモリから前記記憶媒体へ移動させる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記操作部は、書き込み回数制限のある記憶媒体を有し、
前記コントローラの前記記憶媒体の電源がオン状態となった通知が前記コントローラから前記操作部に来ないままシャットダウン処理を開始してしまった場合、前記メモリに保存された前記データを前記操作部上の前記記憶媒体に移動させる、
請求項1~4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記コントローラの前記記憶媒体に前記データを保存中に前記コントローラとの恒久的な不通を検知した場合、前記データの保存先を前記記憶媒体から前記操作部の前記メモリへ変更する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記操作部は、前記データの保存先を表示するユーザインタフェースを有する、
請求項1~6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記操作部は、保存された複数の前記データを収集するためのユーザインタフェースを有する、
請求項1~7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記操作部は、収集した前記複数のデータのそれぞれの保存先を選択可能なユーザインタフェースを有する、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
操作部と、
コントローラと、を備え、
前記操作部と前記コントローラとが独立したOSを有し、独立した省エネ状態を取ることが可能であり、前記操作部と前記コントローラとが単一のインタフェースにより接続される情報処理装置を用いる情報処理方法であって、
前記操作部のパネル画面のデータを保存する際に、前記コントローラに設けられる記憶媒体の書き込み可能か否かに応じて、前記データの保存先を前記コントローラの前記記憶媒体から前記操作部のメモリに変更する変更ステップ、
を含む情報処理方法。
【請求項11】
操作部と、
コントローラと、を備え、
前記操作部と前記コントローラとが独立したOSを有し、独立した省エネ状態を取ることが可能であり、前記操作部と前記コントローラとが単一のインタフェースにより接続される情報処理装置に、
前記操作部のパネル画面のデータを保存する際に、前記コントローラに設けられる記憶媒体の書き込み可能か否かに応じて、前記データの保存先を前記コントローラの前記記憶媒体から前記操作部のメモリに変更する変更機能、
を実現させるための情報処理プログラム。
【請求項12】
操作部と、
コントローラと、を備え、
前記操作部と前記コントローラとが独立したOSを有し、独立した省エネ状態を取ることが可能であり、前記操作部と前記コントローラとが単一のインタフェースにより接続され、
前記コントローラは、記憶媒体を有し、
前記操作部のパネル画面のデータを保存する際に、前記コントローラの前記記憶媒体の書き込み可能か否かに応じて、前記データの保存先を前記コントローラの前記記憶媒体から前記操作部のメモリに変更する、
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置などの情報処理装置において障害が発生した場合、一般には同手順を行って障害を再現させることで解析を行う。しかし、ユーザからの再現手順の申告があいまいな場合などは得られているログベースで再現を行うことになり、難航する問題がある。その解決方法として、操作画面を録画する方法がある。
【0003】
今までのログベースによる解析のような少量のファイルサイズとは異なり、録画を行う場合は、膨大なサイズのファイルを常時書き込むことになる。画像形成装置においては、操作部側ストレージにはeMMCのようなNANDフラッシュメモリのみ搭載しているので、本体側(コントローラ側)のHDDなどの大容量記憶媒体に録画データを書き込む必要がある。しかし、画像形成装置の省エネ状態によっては、HDDの電源をOFFしてしまうため、その状態においては録画データを保存できず、ログベースの解析に頼らざるを得ないという問題があった。
【0004】
特許文献1には、消費電力を削減する目的でHDD及びSSDを併用し、HDDの消費電力を低減する構成が開示されている。これにより、データを保存する不揮発記憶領域として、HDDとSSD(NANDフラッシュ)のどちらを利用するかを所定の条件で切り替えることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1などの従来手法では、操作部側、コントローラ側それぞれ異なるOSが動作して、異なる省エネ状態を持つ装置において、コントローラ側が省エネ状態のときに操作部の操作画面を録画できないという問題は解消できていない。
【0006】
本発明は操作部とコントローラを備える情報処理装置において、操作部の操作画面のデータをコントローラ側の記憶媒体への書き込み可能か否かに依存せずに保存可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の一観点に係る情報処理装置は、操作部と、コントローラと、を備え、前記操作部と前記コントローラとが独立したOSを有し、独立した省エネ状態を取ることが可能であり、前記操作部と前記コントローラとが単一のインタフェースにより接続され、前記コントローラは、記憶媒体を有し、前記操作部のパネル画面のデータを保存する際に、前記コントローラの前記記憶媒体の書き込み可能か否かに応じて、前記データの保存先を前記コントローラの前記記憶媒体から前記操作部のメモリに変更する。
【発明の効果】
【0008】
操作部とコントローラを備える情報処理装置において、操作部の操作画面のデータをコントローラ側の記憶媒体への書き込み可能か否かに依存せずに保存することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る画像形成装置の基本構成を示す図
【
図2】
図1中の操作部とコントローラの詳細な構成を示す図
【
図3】コントローラの電源オフ中の録画処理の概要を示す図
【
図4】コントローラの電源オフ→オン時の録画処理の概要を示す図
【
図5】録画処理開始時の動画データ保存制御のフローチャート
【
図6】HDDへ録画中の動画データ保存制御のフローチャート
【
図7】操作部RAMへ録画中の動画データ保存制御のフローチャート
【
図9】画像形成装置の各部の状態に応じた録画先の一覧
【
図10】録画中の操作部のタッチパネルの画面表示例
【
図11】録画中の操作部のタッチパネルの画面表示例
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0011】
本発明に係る情報処理装置の一例として画像形成装置10を例示して説明する。
図1は、実施形態に係る画像形成装置10の基本構成を示す図である。画像形成装置10は、コントローラ100と操作部110とを備える。コントローラ100は主に画像形成装置10の本体部に設けられる。
【0012】
コントローラ100は、演算装置としてのCPU101(SoCなど)を有する。CPU101には記憶装置としてのDRAM103が接続される。また、コントローラ100は、外部へのインタフェース(I/F)としてUSB I/F106(USBホスト機能)を有し、USB I/F106を介して、USBメモリ108が接続される。また、ユーザの操作入力を受け付ける操作部110は、コントローラ100のCPU101に接続されるが、たとえばUSBなどのインタフェース114(
図2参照)を介して接続される。
【0013】
CPU101には、画像処理や各種I/Fの機能のためのASIC102が接続されている。ASIC102には、ユーザーデータの管理用の不揮発メモリとして小容量のNVRAM105が接続されている。NVRAM105内には、ソフトウェアの設定値等が保存される。
【0014】
また、ASIC102には、オプションプログラムの搭載手段としてSDカードI/F107(SDカードスロット)も接続されている。SDカードI/F107にはSDカード109が挿入接続される。また、ASIC102には、システムの起動用のプログラム格納先としてSSD104が接続されている。また、コントローラ100には、大容量外部記憶装置としてHDD110が接続されている。また、ASIC102には画像形成を行うエンジン111が接続される。
【0015】
画像形成装置10では、操作部110側にeMMC113、コントローラ100側にHDD112を持つ。この理由は、操作部110はユーザから直接操作可能なモジュールであるため、セキュリティ上HDD112のような着脱可能なデバイスではなくeMMC113のように組み込み型の不揮発記憶領域を備えている。一方、コントローラ100はユーザからは操作不可であるため、大容量かつ書き込み耐性の強いHDD112を採用している。
【0016】
図2は、
図1中の操作部110とコントローラ100の詳細な構成を示す図である。
【0017】
図2に示すように、操作部110とコントローラ100間は、USBなどのインタフェース(I/F)114により接続される。
【0018】
また、操作部110、コントローラ100はそれぞれ異なるOS115、116で動作しており、操作部110は独立して操作可能である。
【0019】
各OS115,116は、それぞれ操作部110及びコントローラ100が有するRAM118、119に格納されている。
【0020】
そのため、操作部110とコントローラ100は、それぞれ異なる省エネ状態を取ることが可能であり、それぞれに接続されるeMMC113、HDD112(記憶媒体)も、またその省エネ状態によって利用可否が決まる。
【0021】
また、例えば操作部110からコントローラ100のHDD112に直接書き込むような物理的なバスはなく、必ずコントローラ100側のOS116に依頼して書き込むことになる。
【0022】
また、操作部110はパネル117を持ち、GUIにより操作可能である。
【0023】
図2には、操作部110のパネル117の録画データの保存処理の概要も矢印Aで示される。
図2に示すように、操作部110のパネル117を操作部110のOS115が介在して録画し、USB I/F114を通してコントローラ100側のHDD112へ書き込む処理を行う。操作部110のeMMC113は、基本的に小容量かつ書き込み耐性がないため、コントローラ100側のHDD112へ書き込む必要がある。この結果、HDD112に録画データの動画ファイルMが保存される。
【0024】
ここで問題となるのが、画像形成装置10は操作部110、コントローラ100それぞれ独立して省エネ状態を取ることが可能であり、省エネ状態によってはHDD112の電源がOFFになる場合があることである。
【0025】
その場合、HDD112への動画ファイルMの保存ができないため、その省エネ状態中の動画は保持できないことになる。
【0026】
図3は、コントローラ100の電源オフ中の録画処理の概要を示す図である。
図4は、コントローラ100の電源オフからオンになった場合の録画処理の概要を示す図である。
図3、
図4の構成は
図2と同様である。
【0027】
図3には、上記の問題を解決したコントローラ100側の電源OFF時の動作を示す。HDD112の電源状態により保存先を切り替えている。
【0028】
具体的には、コントローラ100よりHDD112のOFF/ON時に操作部110側へその旨を通知する。
【0029】
操作部110上の省エネ管理モジュール120は、
図3に矢印Bで示すように、コントローラ100よりHDD112の電源OFF通知を受け取った場合、操作部OS115に対してtmpfsなどの操作部110のRAM118上の所定のディレクトリへ動画ファイルMを保存するように要求する。RAM118は書き込み回数無制限なHDD112よりも容量の少ない揮発記憶領域を有する揮発メモリであるため、書き込み自体は問題ない。この操作部RAM118に保存する際はリングバッファ形式を想定しており、所定のファイルサイズ以上は超えないことを保証する。OS115は、省エネ管理モジュール120からの要求に応じて、
図3に矢印Cで示すように、録画動画データの動画ファイルMをRAM118に保存する。
【0030】
ただし、このままRAM118上に残したままでは電源OFF時に動画ファイルMは消えてしまう。
【0031】
そのため、
図4に示すように、操作部110上の省エネ管理モジュール120が、
図4に矢印Dで示すように、コントローラ100よりHDD112の電源ON通知を受け取った場合、 操作部RAM118上からコントローラ100のHDD112の所定のディレクトリへ動画ファイルMを移動させる。これにより、電源OFFによる動画ファイルMの消失を防げる。
【0032】
図5~8は、
図2~
図4を参照して説明した処理をフローチャート化したものである。
【0033】
図5は、録画処理開始時の動画データ保存制御のフローチャートである。
図5に示すように、操作部110が起動されて(S11)、録画処理が開始されると、操作部110のOS115は、コントローラ100からHDD112の利用可否通知を受信する(S12)。
【0034】
次に、OS115は、受信したHDD利用可否通知の内容を確認する(S13)。利用不可の場合、すなわち、
図3に矢印Bで示した電源OFF通知を受信している場合には、操作画面117を操作部RAM118へ録画する(S14)。一方、利用可能の場合、すなわち
図4に矢印Dで示した電源ON通知を受信している場合には、操作画面をコントローラ100のHDD112へ録画する(S15)。
【0035】
図6は、HDDへ録画中の動画データ保存制御のフローチャートである。
図6においては、コントローラ100のHDD112に対して録画中に、省エネ移行等でHDD利用不可の通知が来た場合の録画先の切り替え処理が示される。また、利用不可通知は来ていないものの、HDD112への録画中に何らかの障害にて、コントローラ100とのUSB I/F114上での恒久的な不通により規定回数のリトライを超えた場合、操作部RAM118上へ退避するフローも示している。
【0036】
図6の前提として、操作部110は既に電源ON通知をコントローラ100から受信しており、
図2に示したように、操作画面117をコントローラ100のHDD112に録画中である(S21)。この録画中にも、操作部110のOS115は、コントローラ100からHDD112の利用可否通知を受信する(S22)。
【0037】
次に、OS115は、受信したHDD利用可否通知の内容を確認する(S23)。利用不可の場合、すなわち、
図3に矢印Bで示した電源OFF通知を受信した場合には、操作画面117を操作部RAM118へ録画するよう録画先を切り替える(S24)。一方、利用可能の場合、すなわち
図4に矢印Dで示した電源ON通知を引き続き受信した場合には、操作画面117をコントローラ100のHDD112へ録画する処理を継続する(S25)。
【0038】
また、ステップS21において操作画面117をコントローラ100のHDD112に録画中に、HDD112への保存に際し何らかのエラーが発生し(S26)、HDD112への録画が実施できない状況となる場合が生じ得る。この場合、規定回数失敗したか否かが判定される(S27)。
【0039】
まだ規定回数まで失敗していない場合(S27のNO)には、規定秒数待機し(S28)、その後にHDD112への保存処理のリトライが行われる(S29)。
【0040】
保存処理のリトライが成功した場合(S30のYes)には、操作画面をコントローラ100のHDD112へ録画する処理を継続する(S25)。保存処理のリトライが失敗した場合(S30のNO)にはステップS27に戻り、規定回数に達するまで再度待機後にリトライが行われる。
【0041】
一方、規定回数失敗した場合(S27のYes)には、操作画面を操作部RAM118へ録画するよう録画先を切り替える(S24)。これにより、USB I/F114のハード不良など、コントローラとの恒久的な不通を生じた場合でも録画の失敗を防げる。
【0042】
図7は、操作部RAM118へ録画中の動画データ保存制御のフローチャートである。
図7においては、操作部RAM118に対して録画中に、省エネ復帰等でHDD112利用可の通知が来た場合の切り替え処理が示される。また、何らかの障害によりHDD利用可通知が来ないまま操作部がシャットダウンを開始した場合の処理も示される。その場合は、操作部RAM118上の動画ファイルMをeMMC113の所定のディレクトリへ退避する。
【0043】
図7の前提として、操作部110は既に電源OFF通知をコントローラ100から受信しており、
図3に示したように、操作画面117を操作部RAM118に録画中である(S31)。この録画中にも、操作部110のOS115は、コントローラ100からHDD利用可否通知を受信する(S32)。
【0044】
次に、OS115は、受信したHDD利用可否通知の内容を確認する(S33)。利用不可の場合、すなわち、
図3に矢印Bで示した電源OFF通知を引き続き受信した場合には、操作画面117を操作部RAM118へ録画する処理を継続する(S34)。一方、利用可能の場合、すなわち
図4に矢印Dで示した電源ON通知を受信した場合には、操作画面117をコントローラ100のHDD112へ録画するよう録画先を切り替える(S35)。さらに、
図4に矢印Eで示すように、操作部RAM118に保存されている動画ファイルMをコントローラ100のHDD112へ転送する(S36)。
【0045】
また、ステップS31において操作画面117を操作部RAM118に録画中に、コントローラ100から電源ON通知を受信する前に、操作部110をシャットダウンする旨の通知を受信する場合が生じ得る(S37)。この場合、操作部RAM118から操作部eMMC113へ動画ファイルMを転送して(S38)、動画ファイルMを保存した後に操作部110のシャットダウン処理が行われる。これにより、不測のシャットダウンによる動画ファイルMの消失を防げる。
【0046】
図8は、録画データ収集処理のフローチャートである。
図8においては、HDD利用可通知がくるまで待機し、利用可になったときコントローラ100のHDD112や、操作部110のeMMC113の所定のディレクトリに保存されている動画ファイル群Mを、USBメモリ108やSDカード107などの外部メディアへ出力する。
【0047】
まず操作部110のパネル117などを介して、ユーザから動画ファイルMの収集要求を受け付ける(S41)と、操作部110のOS115は、現在のHDD利用可否通知の内容を確認する(S42)。現在のHDD利用可否通知が「利用不可」の間は、引き続き新たなHDD利用可否通知を受信するまで待機する(S43)。
【0048】
一方、現在のHDD利用可否通知が「利用可」の場合には、コントローラ100のHDD112(CTLHDD)の所定のディレクトリの全動画ファイルMを外部メディアへ転送し(S44)、転送済の所定のディレクトリの全動画ファイルMを削除する(S45)。また、操作部110のeMMC113の所定のディレクトリの全動画ファイルMを外部メディアへ転送し(S46)、転送済の所定のディレクトリの全動画ファイルMを削除する(S47)。
【0049】
図9は、画像形成装置10の各部の状態に応じた録画先の一覧である。
図9には、各部の状態として、「操作部110の省エネ状態」、「操作部RAM118の状態」、「操作部eMMC113の状態」、「コントローラ100の省エネ状態」、「コントローラ100のHDD112の状態」が挙げられ、各状態がON、OFFで示されている。なお、省エネ状態のOFFとは、文字通り電源OFFの状態と、いわゆるSTR(Suspended To RAM)の状態の両者を含むこととする。
【0050】
図9では[1]~[4]の4種類の各状態の組み合わせ条件が挙げられている。条件[1]は、操作部110及びコントローラ100のすべての項目がOFF状態であり、このとき操作部110が起動していないため録画処理は不要であるので、録画先も「不要」とされる。同様に、条件[2]は、操作部110の各項目がOFF状態であり、コントローラ100の各項目がON状態であり、このときも操作部110が起動していないため録画処理は不要であるので、録画先も「不要」とされる。
【0051】
一方、条件[3]は、操作部110の各項目がON状態であり、コントローラ100の各項目がOFF状態である。このとき、コントローラ100のHDD112がオフ状態であり録画ができないので、録画先として操作部RAM118が設定されて、動画ファイルMが一時的に保存される。さらに、操作部RAM118に一時保存された動画ファイルMは、条件[4]に遷移した場合にはコントローラ100のHDD112に転送される。一方、条件[4]に遷移できなかった場合には、操作部110のeMMC113に転送される。
【0052】
条件[4]は、操作部110及びコントローラ100のすべての項目がON状態であり、コントローラ100のHDD112がON状態であり録画可能であるので、録画先としてコントローラ100のHDD112が設定されて、動画ファイルMがHDD112に保存される。
【0053】
図10、
図11は、録画中の操作部110のタッチパネル117の画面表示例であり、録画中は常にその旨の表示を出す。任意アプリが表示される領域117Aとは別で、上部のバナー領域117Bに常に保存先をユーザに通知する。
図10の例では、保存先がHDD112であり、
図11の例では、保存先が操作部110のRAM118であることが表示されている。このように、動画ファイルMの保存先を表示するユーザインタフェースを設けることにより、ユーザが録画動作を確認できるので、ユーザビリティを向上できる。
【0054】
なお、eMMC113への保存ケースはシャットダウン時のみの例外ケースであり、タッチパネル117の前面にシャットダウン中表示のダイアログが表示され確認不可となるため、新たな画面は設けていない。
【0055】
図12は、動画ファイルMの収集要求画面121の一例である。この画面121は、例えば操作部110のタッチパネル117に表示される。ユーザは、表示された画面121上で出力先を指定し、
図8のフローに従いファイル群を収集する。
図12の例では、録画ログの出力先の外部メディアとしてUSBメモリ108とSDカード109とが表示され、ユーザが選択可能となっている。このように、保存された録画データMを収集するためのユーザインタフェースを設けることによって、ユーザがパネル操作でログを簡易に取得できる。また、収集した動画データMそれぞれの保存先を選択可能なユーザインタフェースを設けることによって、ユーザが持つ任意のデバイスが出力先として利用可能になるので、ユーザビリティをさらに向上できる。
【0056】
以上により、eMMCへの書き込みを極力減らした状態でのすべての省エネ状態をカバーした録画が可能な実施例となる。
【0057】
このように、本実施形態に係る画像形成装置10によれば、操作部110のパネル画面117のデータ(動画ファイルM)を保存する際に、コントローラ100のHDD112の書き込み可能か否かに応じて、データの保存先をHDD112から操作部110のRAM118に変更する。この構成により、操作部110とコントローラ100を備える情報処理装置において、操作部110の操作画面117のデータ(動画データM)を、コントローラ100側の省エネ状態(すなわちHDD112への書き込み可能か否か)に依存せずに保存可能とすることができる。
【0058】
なお、上記実施形態では、実施形態に係る情報処理装置の一例として画像形成装置10を例示した。しかし、実施形態に係る情報処理装置は、操作部110とコントローラ100とを備え、操作部110とコントローラ100とがそれぞれ独立して動作可能であり、それぞれ異なる省エネ状態を取ることが可能な装置であれば、画像形成装置10に限られない。情報処理装置は、例えば、MFP(Multifunction Peripheral/Printer/Product)などの複合機や、PJ(Projector:プロジェクタ)、IWB(Interactive White Board:相互通信が可能な電子式の黒板機能を有する白板)、デジタルサイネージ等の出力装置、HUD(Head Up Display)装置、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、自動車(Connected Car)、ノートPC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ウェアラブルPCまたはデスクトップPC等であってもよい。
【0059】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0060】
10 画像形成装置(情報処理装置)
100 コントローラ
110 操作部
112 HDD(コントローラの記憶媒体)
113 eMMC(操作部の記憶媒体)
114 インタフェース
115 操作部OS
116 コントローラOS
118 操作部RAM(メモリ)
M 動画ファイル(データ)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0061】