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特開2023-137899接着方法及び誘導加熱用ホットメルト接着性フィルム
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  • 特開-接着方法及び誘導加熱用ホットメルト接着性フィルム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137899
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】接着方法及び誘導加熱用ホットメルト接着性フィルム
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/36 20060101AFI20230922BHJP
   B29C 65/40 20060101ALI20230922BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20230922BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20230922BHJP
   C09J 5/00 20060101ALI20230922BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
B29C65/36
B29C65/40
B32B27/00 M
B32B15/08 A
C09J5/00
C09J201/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044326
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100155066
【弁理士】
【氏名又は名称】貞廣 知行
(72)【発明者】
【氏名】丸山 悠以子
(72)【発明者】
【氏名】竹山 俊輔
【テーマコード(参考)】
4F100
4F211
4J040
【Fターム(参考)】
4F100AB01B
4F100AB10B
4F100AB33B
4F100AK01A
4F100AK01C
4F100AK07C
4F100AK41A
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100CB03
4F100JB16A
4F100JB16C
4F100JL12
4F211AA04
4F211AA11
4F211AA24
4F211AA28
4F211AD03
4F211AG03
4F211AK11
4F211TA01
4F211TA04
4F211TC01
4F211TD11
4F211TN16
4F211TN43
4F211TN56
4J040JA09
4J040JB01
4J040MA10
4J040PA00
(57)【要約】
【課題】接着方法及び誘導加熱用ホットメルト接着性フィルムの提供。
【解決手段】樹脂(1)から構成される被着体1と、前記樹脂(1)とは異なる樹脂(2)から構成される被着体2とを接着する接着方法であって、前記被着体1、誘導加熱用ホットメルト接着性フィルム及び前記被着体2をこの順に積層し、積層物を得る工程と、誘導加熱装置を用いて前記誘導加熱用ホットメルト接着性フィルムを加熱する工程を有し、前記誘導加熱用ホットメルト接着性フィルムは、熱可塑性樹脂(A)から構成される熱可塑性樹脂層(A’)、金属層、及び熱可塑性樹脂(B)から構成される熱可塑性樹脂層(B’)がこの順に積層された、誘導加熱用ホットメルト接着性フィルムであって、前記積層物は、前記被着体1と前記熱可塑性樹脂層(A’)とが接し、前記被着体2と前記熱可塑性樹脂層(B’)とが接している、接着方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂(1)から構成される被着体1と、前記樹脂(1)とは異なる樹脂(2)から構成される被着体2とを接着する接着方法であって、
前記被着体1、誘導加熱用ホットメルト接着性フィルム及び前記被着体2をこの順に積層し、積層物を得る工程と、
誘導加熱装置を用いて前記誘導加熱用ホットメルト接着性フィルムを加熱する工程を有し、
前記誘導加熱用ホットメルト接着性フィルムは、熱可塑性樹脂(A)から構成される熱可塑性樹脂層(A’)、金属層、及び熱可塑性樹脂(B)から構成される熱可塑性樹脂層(B’)がこの順に積層された、誘導加熱用ホットメルト接着性フィルムであって、
前記積層物は、前記被着体1と前記熱可塑性樹脂層(A’)とが接し、前記被着体2と前記熱可塑性樹脂層(B’)とが接している、接着方法。
【請求項2】
前記被着体1及び前記被着体2のいずれか一方又は両方は厚さが0.5mm以上10mm以下である、請求項1に記載の接着方法。
【請求項3】
樹脂(1)から構成される被着体1と、前記樹脂(1)とは異なる樹脂(2)から構成される被着体2とを接着させる誘導加熱用ホットメルト接着性フィルムであって、
前記誘導加熱用ホットメルト接着性フィルムは、熱可塑性樹脂層(A’)、金属層、及び熱可塑性樹脂層(B’)がこの順に積層されたフィルムであり、
前記熱可塑性樹脂層(A')を構成する熱可塑性樹脂(A)は、前記熱可塑性樹脂層(B’)を構成する熱可塑性樹脂(B)とは異なる樹脂である、誘導加熱用ホットメルト接着性フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着方法及び誘導加熱用ホットメルト接着性フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
被着体同士を接着させる方法として、ヒートシール(熱融着)方法が知られている。ヒートシール方法には、例えばホットメルト(熱可塑性)接着層を有するフィルムを使用する。このようなフィルムを被着体同士の間に介在させた後に加熱すると、接着層が溶融し、加熱を停止すると接着層が固化し、被着体同士が接着する。
【0003】
このようなフィルムとして、特許文献1は、ポリオレフィン系のヒートシール層を備える積層体を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2019/078134号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
加熱により被着体同士を接着させるヒートシール法において、被着体として異なる樹脂同士を接着させる場合には、低接着強度となりやすい。異なる樹脂とは、例えば融点や熱伝導が異なる樹脂である。この場合、融点が低い樹脂又は熱伝導が速い樹脂の方がヒートシールする際に先に溶融し、シール部の相互溶着や、固化の程度に差が生じるためである。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、異なる樹脂同士を強固に接着させることができる接着方法及びこれに用いる誘導加熱用ホットメルト接着性フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は以下の構成を採用した。
[1]樹脂(1)から構成される被着体1と、前記樹脂(1)とは異なる樹脂(2)から構成される被着体2とを接着する接着方法であって、前記被着体1、誘導加熱用ホットメルト接着性フィルム及び前記被着体2をこの順に積層し、積層物を得る工程と、誘導加熱装置を用いて前記誘導加熱用ホットメルト接着性フィルムを加熱する工程を有し、前記誘導加熱用ホットメルト接着性フィルムは、熱可塑性樹脂(A)から構成される熱可塑性樹脂層(A’)、金属層、及び熱可塑性樹脂(B)から構成される熱可塑性樹脂層(B’)がこの順に積層された、誘導加熱用ホットメルト接着性フィルムであって、
前記積層物は、前記被着体1と前記熱可塑性樹脂層(A’)とが接し、前記被着体2と前記熱可塑性樹脂層(B’)とが接している、接着方法。
[2]前記被着体1及び前記被着体2のいずれか一方又は両方は厚さが0.5mm以上10mm以下である、[1]に記載の接着方法。
[3]樹脂(1)から構成される被着体1と、前記樹脂(1)とは異なる樹脂(2)から構成される被着体2とを接着させる誘導加熱用ホットメルト接着性フィルムであって、前記誘導加熱用ホットメルト接着性フィルムは、熱可塑性樹脂層(A’)、金属層、及び熱可塑性樹脂層(B’)がこの順に積層されたフィルムであり、前記熱可塑性樹脂層(A')を構成する熱可塑性樹脂(A)は、前記熱可塑性樹脂層(B’)を構成する熱可塑性樹脂(B)とは異なる樹脂である、誘導加熱用ホットメルト接着性フィルム。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、異なる樹脂同士を強固に接着させることができる接着方法及びこれに用いる誘導加熱用ホットメルト接着性フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の接着方法の工程を説明するための模式図である。
図2】本実施形態の接着方法の工程を説明するための模式図である。
図3】本実施形態の誘導加熱用ホットメルト接着性フィルムの一例の断面の模式図である。
図4】せん断強度の測定方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明において、被着体同士が強固に接着しているか否かは、剥離状態の観察とせん断強度の測定により評価する。
【0011】
[せん断強度の測定方法]
試験片:後述する被着体1及び被着体2を誘導加熱用ホットメルト接着性フィルムで加熱接着した積層体。より具体的には、図4に示す積層体を試験片とする。図4中、符号41で示す被着体1、符号43で示す誘導加熱用ホットメルト接着性フィルム、符号42で示す被着体2がこの順で積層された積層体を試験片とする。
【0012】
被着体1及び被着体2の形状は、それぞれ、幅25mm、長さ50mm、厚さ2mmとする。誘導加熱用ホットメルト接着性フィルムの形状は、幅25mm、長さ15mm、厚さ340μmとする。
【0013】
試験条件:図4に示す積層体について、符号41で示す被着体1及び符号42で示す被着体2をそれぞれ、引張速度1mm/分で同時に引張ったときのせん断強度を測定する。図4中、符号41で示す被着体1の引張方向はD1、符号42で示す被着体2の引張方向はD2と記載している。
【0014】
せん断強度が1.6MPa以上であって、剥離状態が凝集破壊又は剥離しない場合には、「被着体同士が強固に接着している」と評価する。例えばせん断強度が1.6MPa以上であっても、剥離状態が界面剥離の場合には、被着体同士の接着は不十分と評価する。
【0015】
<接着方法>
本実施形態は、樹脂(1)から構成される被着体1と、前記樹脂(1)とは異なる樹脂(2)から構成される被着体2とを、誘導加熱装置を用いて接着する接着方法である。
本実施形態の接着方法は、積層物を得る工程と、誘導加熱用ホットメルト接着性フィルムを加熱する工程とを有する。
以下、本実施形態の各工程について説明する。
【0016】
≪積層物を得る工程≫
まず、被着体1、誘導加熱用ホットメルト接着性フィルム20及び被着体2をこの順に積層し、積層物10を得る。図1に積層物10の断面の模式図を示す。積層物10は、被着体1、誘導加熱用ホットメルト接着性フィルム20及び被着体2がこの順に積層されている。
【0017】
誘導加熱用ホットメルト接着性フィルム20は、熱可塑性樹脂層(A’)21、金属層22、及び熱可塑性樹脂層(B’)23がこの順に積層されている。
【0018】
積層物10は、被着体1が誘導加熱用ホットメルト接着性フィルム20の面21aに接し、被着体2が誘導加熱用ホットメルト接着性フィルム20の面23aに接している。
面21aは、熱可塑性樹脂層(A’)21が金属層22に接する面とは反対の面である。
面23aは、熱可塑性樹脂層(B’)23が金属層22に接する面とは反対の面である。
【0019】
熱可塑性樹脂層(A’)21は熱可塑性樹脂(A)から構成され、熱可塑性樹脂層(B’)は熱可塑性樹脂(B)から構成される。
【0020】
≪誘導加熱用ホットメルト接着性フィルムを加熱する工程≫
図2に示すように積層物10に誘導加熱装置30を押し当てて誘導加熱すると、金属層22が発熱する。これに伴い、金属層22に接する熱可塑性樹脂層(A’)21及び熱可塑性樹脂層(B’)23が加熱されて溶融する。
【0021】
誘導加熱を停止すると、金属層22の発熱が停止して温度が下がり、溶融した結晶性樹脂が固化し、熱可塑性樹脂層(A’)21が接着層21bに、熱可塑性樹脂層(B’)23が接着層23bに変化して、被着体1と被着体2とが接着する。
【0022】
図2では被着体1の方向から誘導加熱装置30を押し当てているが、被着体2の方向から誘導加熱装置30を押し当ててもよい。
【0023】
誘導加熱装置30としては、例えばBROWNIE社製の携帯型電磁誘導加熱機が使用できる。
【0024】
誘導加熱装置30を押し当てる時間は、5秒間から10秒間程度である。この程度の加熱時間であれば、被着体1及び被着体2に熱によるダメージを与えることなく接着することができる。
【0025】
誘導加熱装置30の周波数は、例えば3kHz~30kHzの範囲で適宜設定すればよい。
【0026】
(被着体1)
被着体1は、樹脂(1)から構成される。
樹脂(1)としては、ポリエチレン(融点120℃)、ポリプロピレン(融点160℃)、ポリアミド(融点225℃)、ポリエチレンテレフタレート(融点260℃)、ポリブチレンテレフタレート(融点223℃)、ポリカーボネート(ガラス転移温度150℃)等が挙げられる。
【0027】
被着体1の形状は特に限定されないが、例えば厚さ3mm以上10mm以下の板状であってもよく、所望の立体形状であってもよい。
【0028】
(被着体2)
被着体2は、樹脂(2)から構成される。
樹脂(2)は、上記樹脂(1)として例示した樹脂のうち、樹脂(1)として選択した樹脂とは融点又はガラス転移温度が異なる樹脂である。
樹脂(1)と樹脂(2)との融点の差は、例えば5℃以上、10℃以上、30℃以上、50℃以上、80℃以上、100℃以上、120℃以上である。
【0029】
被着体2の形状は特に限定されないが、例えば厚さが3mm以上10mm以下であってもよく、所望の立体形状であってもよい。
【0030】
被着体1と被着体2の組み合わせを以下に例示する。
・被着体1がポリエチレンテレフタレート、被着体2がポリプロピレンの組み合わせ。
・被着体1がポリエチレンテレフタレート、被着体2がポリエチレンの組み合わせ。
・被着体1がポリプロピレン、被着体2がポリエチレンの組み合わせ。
・被着体1がポリブチレンテレフタレート、被着体2がポリプロピレンの組み合わせ。
・被着体1がポリブチレンテレフタレート、被着体2がポリエチレンの組み合わせ。
・被着体1がポリカーボネート、被着体2がポリプロピレンの組み合わせ。
【0031】
例えば融点が120℃のポリエチレンから構成される被着体1と、融点が160℃であるポリプロピレンから構成される被着体2とを、外部から加熱する工程を備える従来のヒートシール法により接着する場合、融点が低いポリエチレンが先に溶融し、シール部の相互溶着や、固化の程度に差が生じる。また、被着体2の接着に必要な熱を加えると、被着体1が変形してしまう。
【0032】
さらに、例えば数mm厚の厚い被着体や、熱に弱い被着体を接着する場合には、ヒートシールによる接着が適用できない場合がある。
【0033】
本実施形態の接着方法は、後述する本実施形態の誘導加熱用ホットメルト接着性フィルムを使用し、誘導加熱により誘導加熱用ホットメルト接着性フィルム側から加熱する。このため、被着体が熱の影響を受けにくく、厚い被着体や、熱に弱い被着体であっても短時間で強固に接着することができる。
【0034】
(誘導加熱用ホットメルト接着性フィルム)
図3に本実施形態の誘導加熱用ホットメルト接着性フィルム20の一例の断面の模式図を示す。
誘導加熱用ホットメルト接着性フィルム20は、熱可塑性樹脂層(A’)21、金属層22及び熱可塑性樹脂層(B’)23がこの順に積層された積層体である。
【0035】
熱可塑性樹脂層(A’)21は、熱可塑性樹脂層(B’)23を構成する樹脂とは異なる樹脂から構成される。熱可塑性樹脂層(A’)21と、熱可塑性樹脂層(B’)23を構成する樹脂は、接着する被着体1及び被着体2を構成する樹脂の構成に合わせて選択する。
【0036】
熱可塑性樹脂層(A’)21を構成する熱可塑性樹脂(A)は、被着体1を構成する樹脂と同種の樹脂が好ましく、熱可塑性樹脂層(B’)23を構成する熱可塑性樹脂(B)は、被着体2を構成する樹脂と同種の樹脂が好ましい。
【0037】
「同種の樹脂」とは、同じ成分によって構成され、組成比率も同じ同一の樹脂であってもよく、主成分が同じであれば、組成比率は異なっていてもよい。
【0038】
例えば被着体1がポリプロピレン、被着体2がポリエチレンである場合、熱可塑性樹脂層(A’)21を構成する樹脂はポリプロピレンとし、熱可塑性樹脂層(B’)を構成する樹脂はポリエチレンとする。
【0039】
熱可塑性樹脂層(A’)21及び熱可塑性樹脂層(B’)23の厚さは、それぞれ20μm以上200μm以下の範囲で適宜調整すればよい。
熱可塑性樹脂層(A’)21及び熱可塑性樹脂層(B’)23の厚さは同一であってもよく異なっていてもよい。金属層22からの熱伝導を同等にする観点から、熱可塑性樹脂層(A’)21及び熱可塑性樹脂層(B’)23の厚さは同一であることが好ましい。
【0040】
金属層22は、例えば厚さが10μm以上80μm以下のアルミニウム箔、ステンレス箔が使用できる。
【0041】
(誘導加熱用ホットメルト接着性フィルムの製造方法)
誘導加熱用ホットメルト接着性フィルムの製造方法は、特に限定されない。
例えば、金属層と熱可塑性樹脂層(A)及び熱可塑性樹脂層(B)を積層する方法として、金属層とフィルム状の熱可塑性樹脂層(A)及びフィルム状の熱可塑性樹脂層(B)とを、ドライラミネート法、押出ラミネート法等により接着して製造する方法が挙げられる。
【実施例0042】
以下、実施例として、より具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0043】
<実験例1>
被着体1としてポリエチレンテレフタレート板と、被着体2としてポリプロピレン板とを接着した。被着体1及び被着体2は、それぞれ、幅25mm、長さ50mm、厚さ2mmとした。
【0044】
≪実施例1≫
厚さ40μmのアルミニウム箔の片面にポリエステル系接着性樹脂(三菱ケミカル社製、モディックGK320)を積層し、もう一方の面にポリプロピレン系接着性樹脂(三井化学製 アドマーQE060)を積層した。これにより、熱可塑性樹脂層(A’)が厚さ150μmのポリエステル樹脂層、熱可塑性樹脂層(B’)が厚さ150μmのポリプロピレン樹脂層であり、形状は、幅25mm、長さ15mm、厚さ340μmである誘導加熱用ホットメルト接着性フィルム1を得た。
【0045】
被着体1、誘導加熱用ホットメルト接着性フィルム1及び被着体2をこの順で積層し、積層物1を得た。積層物1は、被着体1が熱可塑性樹脂層(A’)に、被着体2が熱可塑性樹脂層(B’)に接していた。その後、誘導加熱装置(BROWNIE社製の携帯型電磁誘導加熱機)を用いて周波数20kHzで6秒間加熱し、被着体1と被着体2とを接着した。
【0046】
誘導加熱用ホットメルト接着性フィルム1を使用した場合、せん断強度は1.93MPaであり、接着層のポリエステル樹脂層が凝集破壊していた。
【0047】
≪比較例1≫
厚さ40μmのアルミニウム箔の両面にポリエステル(三菱ケミカル社製、モディックGK320)を積層し、厚さ150μmの樹脂層を形成し、誘導加熱用ホットメルト接着性フィルム11を得た。
【0048】
誘導加熱用ホットメルト接着性フィルム11は、熱可塑性樹脂層(A’)及び(B’)がともにポリエステルであり、形状は、幅25mm、長さ15mm、厚さ340μmとした。
被着体1、誘導加熱用ホットメルト接着性フィルム11及び被着体2をこの順で積層した。その後、誘導加熱装置(BROWNIE社製の携帯型電磁誘導加熱機)を用いて周波数20kHzで6秒間加熱し、被着体1と被着体2とを接着した。
【0049】
誘導加熱用ホットメルト接着性フィルム11を使用した場合、せん断強度は0.84MPaであり、被着体1とポリエステル樹脂層との間で界面剥離していた。
【0050】
≪比較例2≫
厚さ40μmのアルミニウム箔の両面にポリプロピレン(三井化学社製、アドマーQE060)を積層し、厚さ150μmの樹脂層を形成し、誘導加熱用ホットメルト接着性フィルム12を得た。
【0051】
誘導加熱用ホットメルト接着性フィルム12は、熱可塑性樹脂層(A’)及び(B’)がともにポリプロピレンであり、形状は、幅25mm、長さ15mm、厚さ340μmとした。
被着体1、誘導加熱用ホットメルト接着性フィルム12及び被着体2をこの順で積層した。その後、誘導加熱装置(BROWNIE社製の携帯型電磁誘導加熱機)を用いて周波数20kHzで6秒間加熱し、被着体1と被着体2とを接着した。
【0052】
誘導加熱用ホットメルト接着性フィルム12を使用した場合、せん断強度は1.53MPaであり、被着体1とポリプロピレン樹脂層との間で界面剥離していた。
【0053】
<実験例2~5>
被着体1、被着体2、誘導加熱用ホットメルト接着性フィルムの熱可塑性樹脂層(A’)熱可塑性樹脂層(B’)を下記表1にそれぞれ示す材料に変更した以外は、実験例1と同様の方法により被着体1と被着体2とを接着し、せん断強度を測定して剥離状態を観察した。
【0054】
【表1】
【0055】
表1中、各略語は以下の材料を意味する。
・PP:ポリプロピレン
・PE:ポリエチレン
・PC:ポリカーボネート
【0056】
上記結果に示した通り、本発明の誘導加熱用ホットメルト接着性フィルムを使用し、本発明の接着方法により、融点が異なる樹脂から構成される被着体同士を短時間で強固に接着することができた。
【符号の説明】
【0057】
1:被着体、2:被着体、10:積層物、20:誘導加熱用ホットメルト接着性フィルム、21:熱可塑性樹脂層(A’)、22:金属層、23:熱可塑性樹脂層(B’)、21a:面、23a:面、30:誘導加熱装置
図1
図2
図3
図4