(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137914
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】2液硬化型液体セット、インクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法
(51)【国際特許分類】
C09D 11/30 20140101AFI20230922BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20230922BHJP
B05D 1/26 20060101ALI20230922BHJP
C08G 18/65 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
C09D11/30
B05D7/24 301U
B05D1/26 Z
B05D7/24 303E
B05D7/24 302R
B05D7/24 302T
C08G18/65 005
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044354
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】関口 聖之
(72)【発明者】
【氏名】篠田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】内藤 寛之
【テーマコード(参考)】
4D075
4J034
4J039
【Fターム(参考)】
4D075AC06
4D075AC09
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4J039GA24
(57)【要約】
【課題】吐出安定性に優れ、かつ、高い耐摩耗性を有する塗膜を形成可能である2液硬化型液体セットの提供。
【解決手段】第1の液体と第2の液体とを有する2液硬化型液体セットであって、前記第1の液体が、ポリオール樹脂と、アミノ基を2個以上有するアミン化合物と、炭素数2以上6以下の短鎖ジオールと、を含み、前記第2の液体が、脂肪族ジイソシアネートを含む2液硬化型液体セットである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の液体と第2の液体とを有する2液硬化型液体セットであって、
前記第1の液体が、ポリオール樹脂と、アミノ基を2個以上有するアミン化合物と、炭素数2以上6以下の短鎖ジオールと、を含み、
前記第2の液体が、脂肪族ジイソシアネートを含むことを特徴とする2液硬化型液体セット。
【請求項2】
前記短鎖ジオールの炭素数が3以上5以下である、請求項1に記載の2液硬化型液体セット。
【請求項3】
前記アミン化合物の含有量が、前記第1の液体に対して10質量%以上30質量%以下である、請求項1から2のいずれかに記載の2液硬化型液体セット。
【請求項4】
前記短鎖ジオールの含有量が、前記第1の液体に対して20質量%以上50質量%以下である、請求項1から3のいずれかに記載の2液硬化型液体セット。
【請求項5】
前記脂肪族ジイソシアネートの含有量が、前記第2の液体に対して20質量%以上50質量%以下である、請求項1から4のいずれかに記載の2液硬化型液体セット。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の2液硬化型液体セットを備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載の2液硬化型液体セットを用いることを特徴とするインクジェット記録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2液硬化型液体セット、インクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、乾燥が速く塗膜の耐久性が高い道路標示用のインクが求められている。このような道路標示用のインクの一例として、主剤と硬化剤から構成されるような2液硬化型液体セットがあり、揮発成分となる溶剤を含まないため溶媒の蒸発が必要な溶剤系インクと比べて環境に優しく、塗膜の耐久性も優れていることが知られている。
【0003】
従来の2液硬化型液体セットとしては、例えば、主剤と硬化剤の混合性が良好になると共に被塗装面との密着性も向上できる道路の塗装方法を提供する目的で、ポリオール樹脂及びアミノ基を複数有するアミンを含む主剤とイソシアネート基を複数有するイソシアネートを含む硬化剤とを含み、前記ポリオール樹脂は、SP値が10~13であり、前記イソシアネートは、SP値が10~13である液体セットが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、従来の2液硬化型液体セットは、液体(以下、インクと称することがある)をインクジェットヘッドのノズルから液滴として吐出するインクジェット法により吐出させる場合、吐出不良を起こすという問題があった。具体的には、インクジェット法にて連続的に吐出させた際、経時的に液滴の曲がりや不吐出ノズルの発生が増加するという問題があった。また、従来の2液硬化型液体セットを用いてインクジェット法にて作成した塗膜は、塗膜の耐摩耗性が低くなるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、吐出安定性に優れ、かつ、高い耐摩耗性を有する塗膜を形成可能である2液硬化型液体セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための手段としての本発明の2液硬化型液体セットは、第1の液体と第2の液体とを有する2液硬化型液体セットであって、前記第1の液体が、ポリオール樹脂と、アミノ基を2個以上有するアミン化合物と、炭素数2以上6以下の短鎖ジオールと、を含み、前記第2の液体が、脂肪族ジイソシアネートを含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、吐出安定性に優れ、かつ、高い耐摩耗性を有する塗膜を形成可能である2液硬化型液体セットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明のインクジェット記録装置の一例を示す上面の概略図である。
【
図2】
図2は、本発明のインクジェット記録装置の一例を示す横の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(2液硬化型液体セット)
本発明の2液硬化型液体セットは、第1の液体と第2の液体とを有し、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記第1の液体が、ポリオール樹脂と、アミノ基を2個以上有するアミン化合物と、炭素数2以上6以下の短鎖ジオールと、を含む。
前記第2の液体が、脂肪族ジイソシアネートを含む。
従来の2液硬化型液体セット(特開第2018-53462号公報に記載の2液硬化型液体セット)は、優れた吐出安定性と高い耐摩耗性とを有する塗膜が得られないという問題があった。
本発明者らは、2液硬化型液体セットの第一の液体にアミノ基を2個以上有するアミン化合物と炭素数2~6の短鎖ジオールを、第二の液体に脂肪族ジイソシアネートを含むことにより、優れた吐出安定性が得られるだけでなく、第一の液体と第二の液体が接触した際の混合性を向上させることができるため硬い膜を形成することができ、高い耐摩耗性を得ることができることを見出した。
【0009】
<第1の液体>
前記第1の液体としては、ポリオール樹脂と、アミノ基を2個以上有するアミン化合物と、炭素数2~6の短鎖ジオールとを含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
【0010】
-ポリオール樹脂-
前記ポリオール樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレントリオール、ポリプロピレンテトラオール、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルトリオール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール、ポリオクタメチレンエーテルグリコール、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル等のポリアルキレングリコール、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリ-3-メチルペンチルアジペート、ポリエチレン/ブチレンアジペート、ポリネオペンチル/ヘキシルアジペート等のポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリ-3-メチルバレロラクトンジオール等のポリラクトンジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール等のポリカーボネートジオール、ひまし油系ポリオール、これらの変性物及びこれらの混合物等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0011】
前記ポリオール樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、吐出安定性及び耐摩耗性の観点から、第1の液体に対して、15質量%以上55質量%以下が好ましく、20質量%以上50質量%以下がより好ましく、25質量%以上45質量%以上が特に好ましい。
【0012】
-アミノ基を2個以上有するアミン化合物-
前記アミノ基を2個以上有するアミン化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、エチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサン、イソホロンジアミン、2,2,4-及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミンの異性体混合物、2-メチルペンタメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、1,3-キシリレンジアミン、1,4-キシリレンジアミン、α,α,α’,α’-テトラメチル-1,3-キシリレンジアミン、α,α,α’,α’-テトラメチル-1,4-キシリレンジアミン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジエチルジアミノトルエン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジクロロジフェニルメタン(MOCAs)、ジメチルエチレンジアミン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルジシクロヘキシルメタン及び4,4’-ジアミノ-3,5-ジエチル-3’,5’-ジイソプロピルジシクロヘキシルメタンなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0013】
前記アミノ基を2個以上有するアミン化合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、吐出安定性及び耐摩耗性の観点から、第1の液体に対して、5質量%以上35質量%以下が好ましく、10質量%以上30質量%以下がより好ましく、15質量%以上25質量%以下が特に好ましい。
【0014】
-短鎖ジオール-
前記短鎖ジオールの炭素数としては、2以上6以下であり、3以上5以下であることが好ましい。前記短鎖ジオールの炭素数が、2以上6以下であると、優れた吐出安定性と耐摩耗性が得られる。
前記短鎖ジオールとしては、炭素数が2以上6以下であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオールなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0015】
前記短鎖ジオールの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、吐出安定性及び耐摩耗性の観点から、第1の液体に対して、15質量%以上55質量%以下が好ましく、20質量%以上50質量%以下がより好ましく、25質量%以上45質量%以下が特に好ましい。
【0016】
-その他の成分-
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、色材、触媒、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、防黴剤、有機溶剤、界面活性剤、分散剤、消泡剤、レオロジーコントロール剤、難燃剤などが挙げられる。
【0017】
前記色材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウムなどが挙げられる。これらの中でも酸化チタンが好ましい。
【0018】
前記酸化チタンとしては、適宜合成したものを使用してもよく、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、タイペークCR-95、タイペークCR-97、タイペークPFC105(いずれも石原産業社製)、JR-403,JR-405、JR-605(いずれもテイカ製)などが挙げられる。
【0019】
前記酸化チタンの体積平均粒径としては、例えば、200nm以上300nm以下が好ましく、220nm以上270nm以下がより好ましい。
【0020】
前記色材の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記第1の液体に対して、5質量%以上15質量%以下が好ましい。
【0021】
前記触媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、例えば、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジオクテート等の錫触媒、オクチル酸鉛、オクテン酸鉛、ナフテン酸鉛等の鉛触媒、オクチル酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマス等のビスマス触媒、トリエチレンジアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン等のアミン触媒などが挙げられる。
【0022】
<第2の液体>
前記第2の液体としては、脂肪族ジイソシアネートを含み、ポリイソシアネートを含むことが好ましい。前記第2の液体としては、硬化剤として作用する。前記第1の液体に含まれる前記ポリオール樹脂、前記アミン化合物、及び前記短鎖ジオールと、前記第2の液体に含まれる脂肪族ジイソシアネートが反応することで液体組成物が硬化する。
【0023】
-脂肪族ジイソシアネート-
前記脂肪族ジイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びイソホロンジイソシアネートが好ましい。
【0024】
前記脂肪族ジイソシアネートの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、吐出安定性及び耐摩耗性の観点から、第2の液体に対して、15質量%以上55質量%以下が好ましく、20質量%以上45質量%以下がより好ましく、25質量%以上40質量%以下が特に好ましい。
前記ポリイソシアネートの質量に対する前記脂肪族ジイソシアネートの質量の割合は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、吐出安定性及び耐摩耗性の観点から、20%以上120%以下であると好ましく、25%以上80%以下であるとより好ましい。
【0025】
-ポリイソシアネート-
前記ポリイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族ポリイソシアネート;脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;及びこれら2種以上の併用が挙げられる。
【0026】
前記ポリイソシアネートとしては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、コロネートHXR、コロネートHXLV、コロネート2770(東ソー製)、デュラネートTPA-100、デュラネートTSA-100、デュラネートA201H(旭化成製)などが挙げられる。
【0027】
前記ポリイソシアネートの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記第2の液体に対して、45質量%以上80質量%以下が好ましい。
本発明の2液硬化型液体セットは、吐出安定性に優れ、かつ、高い耐摩耗性を有する塗膜を形成可能であるため、道路標示用のインクとして好適である。その他には、コンクリート及びモルタル等の外壁への塗装や、金属製構造物への塗装、立体造形物の製造にも使用することができる。
【0028】
(インクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法)
本発明のインクジェット記録装置は、道路標示用のインクジェット記録装置であり、道路上に標示を形成する。本発明のインクジェット記録装置は、本発明の2液硬化型液体セットを備える。
【0029】
図1は、本発明のインクジェット記録装置の一例を示す概略図である。
図1を用いて本発明のインクジェット記録装置を説明する。
図1に記載のとおり、本発明のインクジェット記録装置は、塗装装置(ガントリー)1と、インク吐出用ヘッド(キャリッジ)2と、レール3と、インク供給系4と、電源供給系5と、演算装置6と、三次元カメラ7と、二次元カメラ8と、GPS9とを備える。
【0030】
図1は、インクジェット記録装置の概略図の一例である。
図1の塗装装置1は、ガントリーといわれる移動体である。この塗装装置1は、筐体下部のタイヤ及びモータによって前後左右に移動する。
【0031】
塗装装置1は、インク吐出用ヘッド2を有している。インク吐出用ヘッド2は、塗装装置1のレール3に沿ってベルト、プーリー、モータによって移動する機構を備えており、レール3も塗装装置1上をレールの長手方向に対し直角方向に移動する機構を備えている。つまりインク吐出用ヘッド2は塗装装置1の範囲内で水平方向の前後左右に自由に移動することができる。
【0032】
塗装装置1は、塗装に使用するインクを供給するインク供給系4を有している。インク供給系4とインク吐出用ヘッド2は、インクの流路であるパイプで連結されている。インク供給系3は、塗装装置1に従動して移動してもいいし独立して自走してもよい。
【0033】
塗装装置1は、塗装装置1やインク吐出用ヘッド2を駆動させるための電源を供給する電源供給系5を有している。電源供給系5は、外部で使用することと塗装装置1やインク吐出用ヘッド2以外にも電源を供給するために大容量の蓄電池であることが好ましい。
【0034】
塗装装置1は、塗装装置1やインク吐出用ヘッド2の駆動制御を行ったり、後述する各センサの計測データを収集しデータ処理から塗装装置1の自己位置推定をする演算装置6を有している。
【0035】
塗装装置1は、周囲画像を作像する三次元カメラ7を有している。三次元カメラ7で作像した画像は演算装置6に送られ、画像相関などの手法を用いて主に障害物との接触回避などに使用するが、塗装装置1の移動量や姿勢などの推定に使用してもよい。三次元カメラ7への給電は自身に搭載しているバッテリーだが、連続運転を想定して直接電源供給系5から給電する方式としてもよい。
【0036】
塗装装置1は、路面及び塗装画像近傍を作像する二次元カメラ8を有している。二次元カメラ8で作像した画像は演算装置6に送られ、画像相関などの手法を用いてインク吐出用ヘッド2及びレール3の移動量や速度の推定などに使用する。二次元カメラ8への給電は自身に搭載しているバッテリーだが、連続運転を想定して直接電源供給系5から給電する方式としてもよい。
【0037】
塗装装置1はGPS9を有している。GPS9で取得した座標データは演算装置6に送られ、塗装装置1の累積移動量などのオドメトリ情報として保存される。なお、複数のGPSを設置しデータの差分などから座標データの誤差を補正してもよい。
【実施例0038】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0039】
(実施例1~25及び比較例1~4)
表1から表5に示す各材料及び含有量に基づき、各材料をホモジナイザーを用いて1時間撹拌混合し、第1の液体と第2の液体をそれぞれ得た。
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
前記実施例及び比較例で使用した各材料の製品名、及び製造元を下記に示す。
・タイペークCR-97:酸化チタン、石原産業製
・サンニックスGP-400:ポリオキシプロピレングリセリルエーテル(水酸基価400mgKOH/g)、三洋化成工業製
・デュラネートTSA-100:ポリイソシアネート(イソシアネート含有量20.6%)、旭化成製
【0046】
実施例1~25及び比較例1~4について、以下のとおり「吐出安定性」及び「耐摩耗性」の評価を行った。結果を表7に示す。
【0047】
<吐出安定性>
インクジェットプリンター(IPSIO GXe3300、株式会社リコー製)に作製した第1の液体(主剤)及び第2の液体(硬化剤)を充填して初期充填動作を実施させた。
その後、ノズルチェックパターンを印刷し、ノズルチェックパターンにて吐出不良(ノズルの不吐出や吐出曲がり)が無いことを確認した。
次に、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、厚さ30μm、商品名:パイレンP-2161(東洋紡製)上に印刷を行った。印刷パターンとしては、印刷面積が基材全面積に対して5%となるチャートとし、100%dutyで印刷した。印刷条件としては、記録密度360dpi、ワンパス印字とした。
上記チャートを20枚連続で印刷後、20分間吐出を実施しない休止状態にし、これら(印刷及び休止)を50回繰り返して、累計1000枚印刷した。その後、ノズルチェックパターンを印刷して、吐出不良(ノズルの不吐出や吐出曲がり)の有無を確認した。具体的には、ノズルチェックパターンにおいて、不吐出や吐出曲がりの有無を目視で観察し、下記評価基準に基づいて、「吐出安定性」を評価した。
[評価基準]
○:不吐出や吐出曲がりを起こしたノズルがなし
△:不吐出や吐出曲がりを起こしたノズルが1以上3以下
×:不吐出や吐出曲がりを起こしたノズルが4以上
【0048】
<耐摩耗性>
JIS K 5665 路面標示用塗料に規定される方法に則り、試験片を作製した。まず、中心に直径約7mmの孔が開いた、大きさ約110mm×110mm×1mmの鋼板の片面に、硬化膜厚が200±40μmになるように第1の液体及び第2の液体を塗布した。具体的には、第1の液体用のインクジェットヘッド(商品名:MH2420、株式会社リコー製)、第2の液体用のインクジェットヘッド(商品名:MH2420、株式会社リコー製)それぞれに通じる2つのタンクに、第1の液体、及び、第2の液体を充填した。
その後、各インクジェットヘッドから表6に示す質量比で第1の液体及び第2の液体をそれぞれ噴射させ、鋼板上の同一位置に各液滴を着弾させることで混合して反応させた。これを繰り返し、硬化膜厚が200±40μmになるまで第1の液体、及び、第2の液体を塗布した。塗布後、1時間放置し、40±1℃に保った恒温器に24時間入れ、取り出して室温になるまで放冷し試験片とした。
室温となった後、試験片の質量を1mgの桁まで測定した。得られた試験片を用いて、JIS K 5600-5-8(研磨紙法)により、おもりの質量250g、回転数200にて試験を実施した。試験後の試験片を柔らかいはけなどで清浄にした後、質量を1mgの桁まで測定した。試験片3枚の摩耗減量を、次の式によって算出した。
算出された摩耗減量と下記評価基準に基づき、「耐摩耗性」を評価した。評価結果を表7に示す。
W=(A-B)×100/200
W:100回転当たりの摩耗減量(mg)
A:試験前の試験片の質量(mg)
B:試験後の試験片の質量(mg)
[評価基準]
○:摩耗減量が100mg未満
△:摩耗減量が100mg以上200mg未満
×:摩耗減量が200mg以上
【0049】
【0050】
【0051】
本発明の態様としては、以下のとおりである。
<1> 第1の液体と第2の液体とを有する2液硬化型液体セットであって、
前記第1の液体が、ポリオール樹脂と、アミノ基を2個以上有するアミン化合物と、炭素数2以上6以下の短鎖ジオールと、を含み、
前記第2の液体が、脂肪族ジイソシアネートを含むことを特徴とする2液硬化型液体セットである。
<2> 前記短鎖ジオールの炭素数が3以上5以下である、前記<1>に記載の2液硬化型液体セットである。
<3> 前記アミン化合物の含有量が、前記第1の液体に対して10質量%以上30質量%以下である、前記<1>から<2>のいずれかに記載の2液硬化型液体セットである。
<4> 前記短鎖ジオールの含有量が、前記第1の液体に対して20質量%以上50質量%以下である、前記<1>から<3>のいずれかに記載の2液硬化型液体セットである。
<5> 前記脂肪族ジイソシアネートの含有量が、前記第2の液体に対して20質量%以上50質量%以下である、前記<1>から<4>のいずれかに記載の2液硬化型液体セットである。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の2液硬化型液体セットを備えたことを特徴とするインクジェット記録装置である。
<7> 前記<1>から<5のいずれかに記載の2液硬化型液体セットを用いることを特徴とするインクジェット記録方法である。
【0052】
前記<1>から<5>のいずれかに記載の2液硬化型液体セット、前記<6>に記載のインクジェット記録装置、及び前記<7>に記載のインクジェット記録方法によると、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。