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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137929
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】亀裂検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20230922BHJP
   G01B 11/22 20060101ALI20230922BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
G01B11/00 H
G01B11/22 H
H01L21/78 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044376
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】一廼穂 直聡
【テーマコード(参考)】
2F065
5F063
【Fターム(参考)】
2F065AA03
2F065AA04
2F065AA25
2F065CC19
2F065DD03
2F065DD06
2F065FF04
2F065FF44
2F065JJ19
2F065JJ26
2F065LL04
2F065MM06
2F065TT03
5F063AA37
5F063AA48
5F063DE14
5F063DE23
5F063DE34
(57)【要約】
【課題】 ワークの内部に形成された亀裂の3次元位置を非破壊かつ精度よく検出することができ、ワークの割断前にチップの加工状態の良否を正確に予測することが可能な亀裂検出装置を提供する。
【解決手段】 亀裂検出装置(1、1A)は、ワークに第1の検出光を集光してワークからの第1の反射光を撮像することにより、ワークの内部に形成された亀裂の平面位置を検出する亀裂平面位置検出手段(200)と、ワークの内部に第2の検出光を集光してワークからの第2の反射光を撮像することにより、亀裂の深さ位置を検出する亀裂深さ検出手段であって、ワークの加工進行方向に沿って亀裂平面位置検出手段と一体的に移動可能であり、加工進行方向に移動させた場合に、第2の検出光が集光される測定点が亀裂平面位置検出手段の視野内に収まるように配置された亀裂深さ検出手段(100)とを備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに第1の検出光を集光して前記ワークからの第1の反射光を撮像することにより、前記ワークの内部に形成された亀裂の平面位置を検出する亀裂平面位置検出手段と、
前記ワークの内部に第2の検出光を集光して前記ワークからの第2の反射光を撮像することにより、前記亀裂の深さ位置を検出する亀裂深さ検出手段であって、前記ワークの加工進行方向に沿って前記亀裂平面位置検出手段と一体的に移動可能であり、前記加工進行方向に移動させた場合に、前記第2の検出光が集光される測定点が前記亀裂平面位置検出手段の視野内に収まるように配置された亀裂深さ検出手段と、
を備える亀裂検出装置。
【請求項2】
前記亀裂深さ検出手段は、前記加工進行方向に移動させた場合に、前記第2の検出光が集光される測定点が前記亀裂平面位置検出手段の視野の中心に対して、前記加工進行方向に沿って同軸上になるように配置される、請求項1に記載の亀裂検出装置。
【請求項3】
前記亀裂平面位置検出手段に含まれる光学素子と、前記亀裂深さ検出手段に含まれる光学素子の一部が共用である、請求項1又は2に記載の亀裂検出装置。
【請求項4】
前記第1の検出光を前記ワークに集光するための集光レンズと、前記第2の検出光を前記ワークの内部に集光するための集光レンズが共用である、請求項3に記載の亀裂検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は亀裂検出装置に係り、ワークの内部に形成された亀裂を検出する亀裂検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シリコン等のウェーハの内部に集光点を合わせてレーザー光を切断予定ラインに沿って照射し、加工ラインに沿ってウェーハ内部に切断の起点となるレーザー加工領域を形成するレーザーダイシング装置が知られている。レーザー加工領域が形成されたウェーハは、その後、エキスパンドやブレーキングといった割断プロセスによって切断予定ラインで割断されて個々のチップに分断される。
【0003】
ところで、レーザーダイシング装置によりウェーハにレーザー加工領域を形成すると、そのレーザー加工領域からウェーハの厚さ方向に亀裂(クラック)が伸展する。
【0004】
レーザーダイシング装置によりレーザー加工領域を形成した後、割断プロセス前において、ウェーハを分断する際の起点となるレーザー加工領域が適正に形成されたか否か、すなわち、ウェーハの内部に形成された亀裂の亀裂Kの深さ位置を検出することによって、割断プロセスにおけるチップへの分断の良否を正確に予測することが可能となる。
【0005】
特許文献1には、ワークの内部に形成された亀裂を非破壊で検査する技術が提案されている。特許文献1に開示された技術では、亀裂の一方から光を入射させ、亀裂を含む領域を透過した光を検出し、亀裂の散乱による検出光量の低下を利用して亀裂の深さ位置の検査を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-222517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された技術では、切断予定ライン上に亀裂検査手段の検査位置を合わせて亀裂の深さ寸法の検査を行うことになっており、亀裂の深さ位置の測定と亀裂の平面方向の位置の測定(以下、ダイシングライン位置確認ともいう。)については開示されていない。そして、従来の亀裂検出装置では、ダイシングライン位置確認を行う場合、亀裂の深さ寸法の検査とは別個の工程として異なるタイミングで行う必要があった。このため、レーザー加工を行う際における測定時間が長くなり、加工スループットが低下するという問題がある。
【0008】
また、亀裂の深さ位置の測定だけではワークに配置されたストリート上のどの位置に亀裂が形成されているかわからず、ダイシングライン位置確認だけでは亀裂がワークの厚み方向のどこまで形成されたかがわからない。このように、従来の亀裂検出装置では、亀裂の深さ位置の測定と亀裂の平面方向の位置の測定とが別々に行う必要があるため、亀裂の3次元的な位置を効率よくかつ正確に測定することができなかった。そのため、ワークの割断前にチップの加工状態の良否を正確に予測することが困難であった。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ワークの内部に形成された亀裂の3次元位置を非破壊かつ精度よく検出することができ、ワークの割断前にチップの加工状態の良否を正確に予測することが可能な亀裂検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の第1の態様に係る亀裂検出装置は、ワークに第1の検出光を集光してワークからの第1の反射光を撮像することにより、ワークの内部に形成された亀裂の平面位置を検出する亀裂平面位置検出手段と、ワークの内部に第2の検出光を集光してワークからの第2の反射光を撮像することにより、亀裂の深さ位置を検出する亀裂深さ検出手段であって、ワークの加工進行方向に沿って亀裂平面位置検出手段と一体的に移動可能であり、加工進行方向に移動させた場合に、第2の検出光が集光される測定点が亀裂平面位置検出手段の視野内に収まるように配置された亀裂深さ検出手段とを備える。
【0011】
本発明の第2の態様に係る亀裂検出装置は、第1の態様において、亀裂深さ検出手段は、加工進行方向に移動させた場合に、第2の検出光が集光される測定点が亀裂平面位置検出手段の視野の中心に対して、加工進行方向に沿って同軸上になるように配置される。
【0012】
本発明の第3の態様に係る亀裂検出装置は、第1又は第2の態様において、亀裂平面位置検出手段に含まれる光学素子と、亀裂深さ検出手段に含まれる光学素子の一部が共用である。
【0013】
本発明の第4の態様に係る亀裂検出装置は、第3の態様において、第1の検出光をワークに集光するための集光レンズと、第2の検出光をワークの内部に集光するための集光レンズが共用である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、亀裂の深さ位置の測定と亀裂の平面方向の位置の測定を略同時に(並行して)行うことができる。これにより、ワークの内部に形成された亀裂の3次元位置を非破壊かつ精度よく検出することができ、ワークの割断前にチップの加工状態の良否を正確に予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る亀裂検出装置を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の第1の実施形態に係る亀裂検出装置における制御の流れを示すブロック図である。
図3図3は、亀裂深さ検出装置及び亀裂平面位置検出装置(ダイシングライン位置確認用光学系)の配置を説明するための平面図である。
図4図4は、亀裂平面位置検出装置(ダイシングライン位置確認用光学系)を示すブロック図である。
図5図5は、亀裂平面位置検出装置(ダイシングライン位置確認用光学系)によるワークの観察像を示す平面図である。
図6図6は、亀裂深さ検出装置を示すブロック図である。
図7図7は、ワークに対して検出光の偏射照明が行われたときの様子を示した説明図である。
図8図8は、ワークに対して検出光の偏射照明が行われたときの様子を示した説明図である。
図9図9は、ワークに対して検出光の偏射照明が行われたときの様子を示した説明図である。
図10図10は、光検出器に受光される反射光の様子を示した図である(図7に対応)。
図11図11は、光検出器に受光される反射光の様子を示した図である(図8に対応)。
図12図12は、光検出器に受光される反射光の様子を示した図である(図9に対)。
図13図13は、ワークからの反射光が集光レンズ瞳に到達する経路を説明するための図である。
図14図14は、本発明の第1の実施形態に係る亀裂検出装置の動作を示すフローチャートである。
図15図15は、本発明の第2の実施形態に係る亀裂検出装置を示すブロック図である。
図16図16は、本発明の第2の実施形態に係る亀裂検出装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面に従って本発明に係る亀裂検出装置の実施の形態について説明する。
【0017】
[第1の実施形態]
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る亀裂検出装置を示すブロック図である。以下の説明では、ワークWが載置されるステージST(XYθ)をXY平面と平行な平面とし、Z方向をワークWの深さ方向とする3次元直交座標系を用いる。
【0018】
なお、亀裂検出装置1は、ワーク(例えば、シリコンウェーハ)Wの内部にレーザー加工領域を形成するレーザーダイシング装置(不図示)と組み合わせて使用されるが、以下の説明では、亀裂検出装置1に係る構成要素について説明し、レーザーダイシング装置の構成については説明を省略する。
【0019】
本実施形態に係る亀裂検出装置1は、ワークWの内部に形成された亀裂Kの亀裂Kの深さ位置を検出する亀裂深さ検出装置100と、亀裂KのXY平面上における位置を検出する亀裂平面位置検出装置(以下、ダイシングライン位置確認用光学系という。)200とを備える。ここで、亀裂深さ検出装置100及び亀裂平面位置検出装置200は、それぞれ亀裂深さ検出手段及び亀裂平面位置検出手段の一例である。
【0020】
亀裂深さ検出装置100及びダイシングライン位置確認用光学系200は、ZステージST(Z)に取り付けられており、Z方向に一体的に移動可能となっている。
【0021】
制御装置10は、亀裂検出装置1の各部の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、制御プログラム及び各種のデータを格納するストレージデバイス(例えば、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive))、及びCPUの作業領域として使用可能なRAM(Random Access Memory)を含んでいる。制御装置10としては、汎用のコンピュータ(例えば、パーソナルコンピュータ等)を用いることも可能である。
【0022】
制御装置10は、操作者による操作入力を受け付けるための操作部(例えば、キーボード、並びにマウス及びタッチパネル等のポインティングデバイス)を含んでおり、操作入力に応じた制御信号を亀裂検出装置1の各部に送信して各部の動作を制御する。また、制御装置10は、GUI(Graphical User Interface)、画像及び各種の演算結果(例えば、亀裂の検出結果等)を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ)を含んでいる。
【0023】
亀裂測定制御部12は、制御装置10からの制御信号に従って、亀裂深さ検出装置100及びダイシングライン位置確認用光学系200を制御する。図2に示すように、亀裂測定制御部12は、亀裂深さ検出装置100による測定結果(受光データDAT1)を受信し、ダイシングライン位置確認用光学系200による測定結果(観察結果DAT2)を制御装置10に送信する。
【0024】
ステージ制御部14は、制御装置10からの制御信号に従ってステージST(XYθ)に移動指示を出力して、ステージST(XYθ)に載置されたワークWをXY方向に移動させ、かつ、XY平面上でZ軸周りに回転させることが可能となっている。また、ステージ制御部14は、制御装置10からの制御信号に従ってZステージST(Z)に移動指示を出力して、亀裂深さ検出装置100及びダイシングライン位置確認用光学系200をZ方向に移動させることが可能となっている。ステージ制御部14は、制御装置10からの制御信号に従って、ステージST(XYθ)及びZステージST(Z)を制御して、亀裂深さ検出装置100及びダイシングライン位置確認用光学系200とワークWとの相対位置を調整する。
【0025】
図3は、亀裂深さ検出装置100及び亀裂平面位置検出装置(ダイシングライン位置確認用光学系)200の配置を説明するための平面図である。
【0026】
図3において、符号C1は、亀裂深さ検出装置100の測定点の位置を示しており、符号C2は、ダイシングライン位置確認用光学系200の観察位置(視野)V2の中心の位置を示している。
【0027】
また、図3の白抜き矢印は、レーザーダイシング装置によりレーザー加工領域を形成する方向(以下、加工進行方向という。)を示している。図3に示すように、亀裂Kは、加工進行方向に沿って形成される。図3に示す例では、加工進行方向をX方向としている。
【0028】
図3に示すように、亀裂Kの検出を行う際には、亀裂深さ検出装置100の測定点C1と、ダイシングライン位置確認用光学系200の視野中心C2が、加工進行方向に沿って同軸上になるように、亀裂深さ検出装置100及びダイシングライン位置確認用光学系200とワークWとの相対位置を調整する。そして、亀裂Kの平面位置の測定(ダイシングライン位置確認)と深さ位置の測定とを同時に又は並行して実施する。これにより、亀裂Kの平面位置(XY方向の位置)と深さ方向(Z方向)の位置を一緒に取得することができ、亀裂Kの形成状態を3次元の情報として測定することが可能となる。
【0029】
また、ダイシングライン位置確認では、加工進行方向(X方向)に直交する方向(Y方向)の亀裂Kの位置データを取得することができる。したがって、亀裂Kの深さ位置測定時のY軸方向の位置ずれを補正することができ、亀裂Kの深さ位置測定時のY方向の位置調整を容易に行うことができる。そのため、測定スループットも向上する。
【0030】
本実施形態によれば、亀裂KがワークWの平面上の形成位置と深さ方向の位置(亀裂Kの進展位置)を取得することができるので、加工不良の判別及び加工条件の可否判断を行うことが可能となる。
【0031】
なお、図3に示す例では、亀裂深さ検出装置100の測定点C1と、ダイシングライン位置確認用光学系200の視野中心C2が、加工進行方向に沿って同軸上になるようにしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、亀裂深さ検出装置100の測定点C1を加工進行方向に移動させた場合に、ダイシングライン位置確認用光学系200の視野V2内に収まる範囲内であれば、亀裂深さ検出装置100の測定点C1と、ダイシングライン位置確認用光学系200の視野中心C2とを加工進行方向に直交する方向(Y方向)にずらして配置することも可能である。
【0032】
また、図3に示す例では、ダイシングライン位置確認用光学系200を亀裂深さ検出装置100の加工進行方向に沿って前方側に配置して、亀裂Kの平面位置の測定を亀裂Kの深さ位置の測定に先行して実施しているが、本発明はこれに限定されない。ダイシングライン位置確認用光学系200と亀裂深さ検出装置100の加工進行方向に沿う並び順を図3の例とは逆にして、亀裂Kの深さ位置の測定を先行して実施することも可能である。
【0033】
以下、亀裂平面位置検出装置(ダイシングライン位置確認用光学系)200及び亀裂深さ検出装置100について説明する。
【0034】
(亀裂平面位置検出装置(ダイシングライン位置確認用光学系))
図4は、亀裂平面位置検出装置(ダイシングライン位置確認用光学系)200を示すブロック図である。
【0035】
図4に示すように、ダイシングライン位置確認用光学系200は、光源210から出射された照明光(第1の検出光)L21をワークWに照射し、ワークWからの反射光L22をカメラ218により撮像することにより、亀裂KのXY方向の位置を検出する。
【0036】
光源210は、観察光学系212のハーフミラー214に向けて照明光L21を出射する。光源210としては、例えば、ワーク(シリコンウェーハ)Wの内部を透過可能な赤外線を出射する赤外線光源(例えば、赤外線レーザー光源、IR LED(Infrared Emitting Diode))を用いることが可能である。
【0037】
なお、ワークWの表面(照明光L21の入射側の面)まで亀裂Kが進展する加工条件で、かつ、観察方向がパターン側である場合には、光源210として赤外線光源以外の光源(例えば、可視光源)を使用することも可能である。
【0038】
また、光源210としては、亀裂Kの深さ位置の検出時における検出光L1(反射光L2)の反射率を評価するために、検出光L1(反射光L2)と同一(略同一を含む)の波長域の光を選択してもよい。
【0039】
照明光L21は、ハーフミラー214により反射され、観察光学系212(例えば、リレーレンズを含む)を通って集光レンズ216によりワークWの表面又は内部に集光される。そして、ワークWにより反射された反射光(第1の反射光)L22は、集光レンズ216、観察光学系212及びハーフミラー214を透過してカメラ218により撮像される。カメラ218により撮像されたワークWの観察像(図2の観察結果DAT2)は、亀裂測定制御部12を介して制御装置10に送信される。
【0040】
ここで、カメラ218としては、光源210から出射される照明光L21に感応性が高いカメラが使用される。すなわち、光源210が赤外線光源の場合には、カメラ218として赤外線に対して感応性が高い赤外線カメラが使用される。
【0041】
図5は、ワークWの観察像を示す平面図である。なお、図中の符号DPは、半導体デバイスのデバイスパターンを示しており、符号SRは、ワーク(シリコンウェーハ)W上の半導体デバイス間に形成されたストリート(切断予定ライン)を示している。
【0042】
図5に示すように、カメラ218により撮像された観察像から、亀裂KがストリートSRのどこに形成されているかを測定することができる。
【0043】
次に、ダイシングライン位置確認用光学系200の制御系について説明する。図4に示すように、ダイシングライン位置確認用光学系200は、光学系制御部202、エリア記憶部204、画像記録部206及び画像解析部208を含んでいる。
【0044】
光学系制御部202は、CPU等のプロセッサ、制御プログラム及び各種のデータを格納するメモリ(例えば、ROM(Read Only Memory))、及びCPUの作業領域として使用可能なRAMを含んでいる。
【0045】
画像記録部206は、カメラ218により撮像された観察像を記録するためのメモリである。なお、画像記録部206は、観察像を一時的に記録するためのバッファメモリであってもよい。
【0046】
画像解析部208は、カメラ218により撮像された観察像から、亀裂KのXY方向の位置を検出する。
【0047】
また、画像解析部208は、カメラ218により撮像された観察像から、亀裂Kの深さ位置の検出を実施する測定可能エリアの位置を検出してもよい。この場合、測定可能エリアとは、亀裂Kの深さ位置の検出に適したストリートSR上の小領域をいう。亀裂Kの深さ位置の検出光L1(図6参照)に対する反射率が異なる領域が混在している領域に検出光L1を照射すると、これら複数の領域に跨ってワークWの内部に検出光L1を集光させることになり、亀裂Kの深さ位置の検出精度が低下してしまう。測定可能エリアは、亀裂Kの深さ位置の検出光L1(図6参照)に対する反射率が異なる領域が混在している領域を避けて決定される。
【0048】
具体的には、測定可能エリアとは、観察像(視野V2)内の小領域ごとの反射率の分布に基づき、ストリートSRの幅方向(Y方向)に沿った反射率の変化及びその勾配が小さくなる小領域、すなわち、反射率の分布が略フラットになる小領域を測定可能エリアとして決定する。例えば、画像解析部208は、各小領域の中でストリートSRの幅方向に沿った反射率の変化(幅方向の両端部は除く)が所定の基準値(例えば10%)以下となる1又は複数の小領域を測定可能エリアとして決定する。または、画像解析部208は、各小領域の中でストリートSRの幅方向に沿った反射率の変化が最も小さくなる小領域を測定可能エリアとして決定する。
【0049】
このようにして決定されたワークWの測定可能エリアの位置は、エリア記憶部204に記憶され、亀裂Kの深さ位置の検出に使用される。
【0050】
(亀裂深さ検出装置)
次に、亀裂深さ検出装置100について、図6を参照して説明する。
【0051】
図6に示すように、本実施形態に係る亀裂深さ検出装置100は、光源部120、照明光学系140、界面検出用光学系160、亀裂検出用光学系180、検出信号処理部102、アライメント機構104及び集光レンズ106を含んでいる。
【0052】
光源部120は、ワークWの界面の検出及びワークWの内部に形成された亀裂Kの検出に用いられる検出光L1を出射する。ここで、ワークWがシリコンウェーハの場合、検出光L1としては、波長1,000nm以上の赤外光を用いるのが望ましい。
【0053】
光源部120は、光源122、コリメートレンズ124及び制限部材126を含んでいる。光源122、コリメートレンズ124及び制限部材126は、集光レンズ106のレンズ光軸と同軸の主光軸AXに沿って配置されている。
【0054】
光源122は、主光軸AXに沿って検出光L1を出射する。光源122としては、例えば、赤外線光源(例えば、赤外線レーザー光源、IR LED(Infrared Emitting Diode))、又はLED(Light Emitting Diode)光源を用いることができる。光源122は、検出信号処理部102と接続されており、検出信号処理部102により光源122の出射制御が行われる。
【0055】
コリメートレンズ124は、光源122から出射された検出光L1が平行光になるように調整する。
【0056】
制限部材126には、選択的に開閉可能な2つの開口部126A及び126Bが形成されている。制限部材126は、コリメートレンズ124からの検出光L1の一部を遮光する遮光部材である。制限部材126は、不図示の駆動機構により、検出光L1の光路上に対して出没させることが可能となっている。検出信号処理部102は、不図示のアクチュエータを制御して、制限部材126の出没の制御を行う。制限部材126は、亀裂検出用光学系180により亀裂Kを検出するときに、検出光L1の一部を遮光して、検出光L1を主光軸AXに対して偏心させる。制限部材126については後述する。
【0057】
照明光学系140は、光源部120から出射された検出光L1を集光レンズ106に導光する。照明光学系140は、リレーレンズ142及び146並びにミラー144を含んでいる。光源部120から出射された検出光L1は、リレーレンズ142を透過して、ミラー(例えば、全反射ミラー)144により反射されて光路が折り曲げられる。ミラー144によって反射された検出光L1は、リレーレンズ146を透過して集光レンズ106に向けて出射される。
【0058】
集光レンズ106は、照明光学系140から出射された検出光L1をワークWに集光(合焦)させる。集光レンズ106は、ワークWに対向する位置に配置され、主光軸AXと同軸に配置される。
【0059】
アライメント機構104は、ワークWにおける検出光L1の集光位置を調整する。アライメント機構104は、ステージST(Z)(集光レンズ106)、及びワークWが載置されるステージST(XYθ)のうちの少なくとも一方を移動させる駆動部を含んでいる。アライメント機構104は、集光レンズ106とステージST(XYθ)との間のXYZ方向の相対位置を調整することにより、検出光L1の集光位置をXYZ方向に移動させることが可能となっている。
【0060】
集光レンズ106によって集光され、ワークWによって反射された反射光L2は、界面検出用光学系160及び亀裂検出用光学系180に導光され、それぞれ、ワークWの界面検出及び亀裂の検出に用いられる。
【0061】
検出信号処理部102は、亀裂深さ検出装置100の各部の動作を制御するCPU、制御プログラムを格納するメモリ(例えば、ROM)、及びCPUの作業領域として使用可能なRAMを含んでいる。
【0062】
(界面検出用光学系)
次に、ワークWの界面検出について説明する。以下の説明では、ワークWの裏面(ステージST(XYθ)に接する面)の界面の検出を行って、ワークWの裏面の界面位置を基準として亀裂Kの深さ位置を検出する場合について説明する。なお、亀裂Kの深さ位置の検出では、ワークWの表面を基準としてもよいし、ワークWの表裏両方の面を基準として検出した亀裂Kの深さ位置の平均値をとるようにすることも可能である。
【0063】
界面検出用光学系160は、ワークWの界面(表面又は裏面)の検出を行うための光学系であり、ハーフミラー162、リレーレンズ164、ハーフミラー166及び光検出器168を含んでいる。
【0064】
ワークWの界面を検出するときには、検出信号処理部102は、制限部材126を検出光L1の光路から退避させた状態で、検出光L1をワークWに照射する。
【0065】
ハーフミラー162は、照明光学系140から入射する検出光L1を集光レンズ106側に透過させ、ワークWからの反射光L2を反射する。ワークWからの反射光L2は、ハーフミラー162によって反射されて光路が折り曲げられ、リレーレンズ164に導光される。リレーレンズ164を透過した反射光L2は、ハーフミラー166によって反射されて光検出器168に導光される。
【0066】
光検出器168は、ワークWからの反射光L2を受光して、ワークWの界面の検出を行うための装置であり、検出器本体168A及びピンホールパネル168Bを含んでいる。
【0067】
検出器本体168Aとしては、受光した光を電気信号に変換して検出信号処理部102に出力するフォトディテクタ(例えば、フォトダイオード)を用いることができる。
【0068】
ピンホールパネル168Bには、入射光の一部を通過させるためのピンホールが形成されている。ピンホールパネル168Bは、検出器本体168Aの受光面側に、ピンホールが反射光L2の光軸上になるように配置されている。
【0069】
界面検出用光学系160は、ピンホールパネル168Bのピンホールの位置が、集光レンズ106の集光点の位置と光学的に共役関係にある光学系となっている。
【0070】
検出信号処理部102は、制限部材126を検出光L1の光路から退避させて検出光L1をワークWに照射しながら、集光レンズ106とステージST(XYθ)とをZ方向に相対的に移動させる。検出信号処理部102は、ワークWの界面(表面又は裏面)において検出光L1が合焦したときの反射光L2を検出し、そのときの集光点の位置からワークWの界面のZ方向の位置を算出する。
【0071】
(亀裂検出用光学系)
次に、ワークWの内部に形成された亀裂Kの検出について説明する。
【0072】
亀裂検出用光学系180は、リレーレンズ182、ハーフミラー184、光検出器186及び188を含んでいる。
【0073】
ワークWの内部に形成された亀裂Kを検出するときには、検出信号処理部102は、制限部材126を検出光L1の光路上に挿入する。ここで、検出信号処理部102、制限部材126及び亀裂検出用光学系180は、それぞれ亀裂検出手段の一部として機能する。制限部材126には、主光軸AXからずれた位置に、選択的に開閉可能な2つの開口部126A及び126Bが設けられており、検出光L1のうち開口部126A又は126Bを透過した光がワークWに照射される。図6に示す例では、2つの開口部126A及び126Bは、例えば、主光軸AXを挟んで互いに対称となる位置に配置されている。これにより、主光軸AXに対して偏心した検出光(第2の検出光)L1がワークWに照射される。
【0074】
ここで、図6には、亀裂Kの深さ位置の検出時に開口部126A及び126Bを透過した検出光を重畳して示してあるが、実際には、開口部126A及び126Bのうちの一方を開放し他方を閉鎖して亀裂Kの深さ位置の検出を2回行う。そして、検出信号処理部102は、開口部126A及び126Bを透過した検出光L1を用いてそれぞれ検出した亀裂Kの深さ位置の平均値を亀裂Kの深さ位置として算出する。
【0075】
以下、開口部126A及び126Bのうちの一方を開放し他方を閉鎖して行う亀裂Kの深さ位置の検出について、図6から図13を参照して説明する。
【0076】
開口部126A及び126Bのうちの一方を透過した検出光L1がワークWに照射されると、ワークWからの反射光(第2の反射光)L2は、ハーフミラー162によって反射された後、リレーレンズ164及びハーフミラー166を順次透過してリレーレンズ182に入射する。リレーレンズ182を透過した反射光L2は、ハーフミラー184を介して光検出器186及び188により受光される。ここで、ハーフミラー184に入射する光の透過率及び反射率はそれぞれ約50%とする。
【0077】
光検出器186及び188は、ワークWからの反射光L2を受光して、ワークWの内部の亀裂Kの検出を行うための装置である。光検出器186は、検出器本体186A及びピンホールパネル186Bを含んでおり、光検出器188は、検出器本体188A及びピンホールパネル188Bを含んでいる。
【0078】
検出器本体186A及び188Aとしては、受光した光を電気信号に変換して検出信号処理部102に出力するフォトディテクタ(例えば、フォトダイオード)を用いることができる。
【0079】
ピンホールパネル186B及び188Bには、入射光の一部を通過させるためのピンホールが形成されている。ピンホールパネル186B及び188Bは、それぞれ検出器本体186A及び188Aの受光面側に配置されている。ピンホールパネル186B及び188Bは、それぞれピンホールが反射光L2の光軸からずれた位置になるように配置されている。
【0080】
図7から図9は、ワークWに対して検出光L1の偏射照明が行われたときの様子を示した説明図である。図7は集光レンズ106の集光点に亀裂Kが存在する場合、図8は集光レンズ106の集光点に亀裂Kが存在しない場合、図9は集光レンズ106の集光点と亀裂Kの亀裂Kの深さ位置(亀裂下端位置)とが一致する場合をそれぞれ示している。図10から図12は、光検出器186及び188に受光される反射光L2の様子を示した図であり、それぞれ図7から図9に示した場合に対応するものである。図13は、ワークWからの反射光L2が集光レンズ瞳106aに到達する経路を説明するための図である。なお、ここでは、検出光L1は、集光レンズ瞳106aの一方側(図13の右側)の第1領域G1を通過して、ワークWに対して偏射照明が行われる場合について説明する。
【0081】
図7に示すように、集光レンズ106の集光点に亀裂Kが存在する場合には、検出光L1は亀裂Kで全反射して、その反射光L2は主光軸AXに対して検出光L1の光路と同じ側の経路をたどって、集光レンズ瞳106aの検出光L1と同じ側の領域に到達する成分となる。すなわち、図8に示すように、光源122からの検出光L1が集光レンズ106を介してワークWに照射されるときの検出光L1の経路をR1としたとき、ワークWの内部の亀裂Kで全反射した反射光L2は、検出光L1の経路R1とは主光軸AXに対して同じ側(図8の右側)の経路R2をたどって集光レンズ瞳106aの第1領域G1を通過する。
【0082】
図8に示すように、集光レンズ106の集光点に亀裂Kが存在しない場合には、検出光L1はワークWの裏面で反射し、その反射光L2は集光レンズ瞳106aの検出光L1と反対側の領域に到達する成分となる。すなわち、図13に示すように、ワークWの裏面で反射した反射光L2は、検出光L1の経路R1とは主光軸AXに対して反対側(図13の左側)の経路R3をたどって集光レンズ瞳106aの第2領域G2を通過する。
【0083】
図9に示すように、集光レンズ106の集光点と亀裂Kの下端位置とが一致する場合には、検出光L1は、亀裂Kで全反射して集光レンズ瞳106aの検出光L1と同じ側の領域に到達する反射光成分L2aと、亀裂Kで全反射されずにワークWの裏面で反射して集光レンズ瞳106aの検出光L1と反対側の領域に到達する非反射光成分L2bとに分割される。すなわち、図13に示すように、反射光L2のうち、ワークWの内部の亀裂Kで全反射した反射光成分L2aは、検出光L1の経路R1とは主光軸AXに対して同じ側(図13の右側)の経路R2をたどって集光レンズ瞳106aの第1領域G1を通過するとともに、亀裂Kで全反射されずにワークWの裏面で反射した非反射光成分L2bは、検出光L1の経路R1とは主光軸AXに対して反対側(図13の左側)の経路R3をたどって集光レンズ瞳106aの第2領域G2を通過する。
【0084】
ピンホールパネル186B及び188Bは、それぞれピンホールが集光レンズ瞳106aの第1領域G1及び第2領域G2と光学的に共役な位置となるように配置されている。これにより、検出器本体186A及び検出器本体188Aは、それぞれ集光レンズ瞳106aの第1領域G1及び第2領域G2を通過した光を選択的に受光可能となっている。
【0085】
図7に示す例(集光レンズ106の集光点に亀裂Kが存在する場合)では、図10に示すように、検出器本体186A及び検出器本体188Aのうち、検出器本体186Aの受光面186Cに反射光L2が受光し、受光面186Cから出力される検出信号のレベルが検出器本体188Aの受光面188Cから出力される検出信号のレベルよりも高くなる。
【0086】
一方、図8に示す例(集光レンズ106の集光点に亀裂Kが存在しない場合)では、図11に示すように、検出器本体186A及び検出器本体188Aのうち、検出器本体188Aの受光面188Cに反射光が受光し、受光面188Cから出力される検出信号のレベルが受光面186Cから出力される検出信号のレベルよりも高くなる。
【0087】
また、図9に示す例(集光レンズ106の集光点と亀裂Kの下端位置とが一致する場合)では、図12に示すように、受光面186C及び188Cに反射光L2の各成分L2a、L2bがそれぞれ受光し、受光面186C及び188Cから出力される検出信号のレベルが略等しくなる。
【0088】
このように、受光面186C及び188Cで受光される光量は、集光レンズ106の集光点に亀裂Kが存在するか否かによって変化する。本実施形態では、このような性質を利用して、ワークWの内部に形成された亀裂Kの亀裂Kの深さ位置(亀裂下端位置又は亀裂上端位置)を検出することができる。
【0089】
具体的には、受光面186C及び188Cから出力される検出信号の出力をそれぞれD1及びD2としたとき、集光レンズ106の集光点と亀裂Kの亀裂Kの深さ位置との関係を示す評価値Sは、次式で表すことができる。
【0090】
S=(D1-D2)/(D1+D2) ・・・(1)
式(1)において、S=0の条件を満たすとき、すなわち、受光面186C及び188Cによって受光される光量が一致するとき、集光レンズ106の集光点と亀裂下端位置(又は亀裂上端位置)とが一致した状態を示す。
【0091】
検出信号処理部102は、アライメント機構104を制御して、集光レンズ106の集光点を、裏面の界面位置Z(0)からワークWの厚さ方向(Z方向)に順次変化させながら、受光面186C及び188Cから出力される検出信号を順次取得し、この検出信号に基づいて式(1)で示される評価値Sを算出し、この評価値Sを評価することによって亀裂Kの亀裂Kの深さ位置(亀裂下端位置又は亀裂上端位置)を検出することができる。
【0092】
次に、開放する開口部を変更して亀裂Kの深さ位置の検出を行い、亀裂Kの深さ位置の2回分の検出値の平均値を亀裂Kの深さ位置として算出する。
【0093】
本実施形態では、集光レンズ106の光軸(主光軸AX)と亀裂Kとの間に位置ずれ(加工進行方向に直交する方向(Y方向)の位置ずれ)があったとしても、主光軸AXを挟んで互いに対称となる位置(偏心位置)から照射した2つの検出光L1を用いて検出することにより、その位置ずれの影響をキャンセルして精度よく亀裂Kの深さ位置を検出することができる。また、ダイシングライン位置確認によって亀裂Kの平面位置を亀裂Kの深さ位置と同時に(並行して)測定することが可能であるので、上述した2つの検出光L1を用いた亀裂Kの深さ位置の検出による効果と相まって亀裂Kの3次元情報を精度よく取得することが可能となる。
【0094】
なお、本実施形態では、開口部126A及び126Bを透過した検出光L1を用いて亀裂Kの深さ位置の検出を2回行うようにしたが、いずれか一方の開口部のみを用いて1回だけ亀裂Kの深さ位置の検出を行ってもよい。
【0095】
また、偏光子を用いることにより、開口部126A及び126Bを透過した検出光L1を用いて亀裂Kの深さ位置の検出を同時に行うようにしてもよい(例えば、特開2021-143873号公報参照)。
【0096】
なお、本実施形態では、検出器本体168A、186A及び188Aとしてフォトディテクタを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、フォトディテクタに代えて、赤外線カメラ等を用いてもよい。
【0097】
また、亀裂Kの検出を行う場合には、反射光L2の光路上からハーフミラー166を退避させるようにしてもよい。この場合、界面検出用光学系160のハーフミラー166は、全反射ミラー又はダイクロイックミラー等に置換してもよい。
【0098】
また、本実施形態では、ハーフミラー184に入射する光の透過率及び反射率をそれぞれ約50%としたが、本発明はこれに限定されない。ハーフミラー184の透過率と反射率が異なる場合には、評価値Sの算出に当たって、光検出器186及び188からの検出信号の出力D1及びD2に、ハーフミラー184の透過率と反射率に応じた重み係数を掛けてもよい。
【0099】
なお、本実施形態では、開閉可能な2つの開口部126A及び126Bを設けたが、偏射照明のための構成は上記に限定されるものではない。例えば、制限部材126に開口部を3つ以上形成して、偏射照明の方法を3以上としてもよい。また、例えば、制限部材126に設ける開口部を1つのみとして、この制限部材を主光軸AX周りに回転させることにより、偏射照明の方法を変更可能としてもよい。
【0100】
また、本実施形態では、制限部材126を用いて検出光L1の一部を遮光することにより偏射照明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、光源部120の光源122を主光軸AXからずらして配置することにより、偏射照明を行ってもよい。この場合、光源122の光軸は主光軸AXと平行であることが好ましい。また、第2の実施形態では、主光軸AXからずれた複数の位置にそれぞれ光源122を設けるようにしてもよい。
【0101】
また、本実施形態では、亀裂検出用光学系180に光検出器を2つ設けたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ハーフミラー184、光検出器186及び188に代えて、受光面が2つに分割された2分割フォトディテクタを1つ設け、各受光面の出力から評価値Sを算出してもよい。また、受光面が照明方法の種類に応じた数に分割されたフォトディテクタを用いてもよい。
【0102】
また、検出光L1及び反射光L2の導光のための構成はあくまで一例であって、本実施形態に限定されるものではない。例えば、ミラー144を設けずに、光源122、集光レンズ106及びワークWが載置されるステージST(XYθ)を一直線上に配置することも可能である。
【0103】
(亀裂検出方法)
図14は、本発明の第1の実施形態に係る亀裂検出装置の動作を示すフローチャートである。
【0104】
まず、ステージ制御部14により、ステージST(XYθ)及びZステージS(Z)を制御して、亀裂深さ検出装置100及び亀裂平面位置検出装置(ダイシングライン位置確認用光学系)200を亀裂測定位置に移動させる(ステップS10)。
【0105】
次に、亀裂測定位置において、亀裂平面位置の観察像DAT2と、亀裂深さの受光データDAT1を取得して(ステップS12)、制御装置10に送信する(ステップS14)。
【0106】
次に、制御装置10により、亀裂平面位置の観察像DAT2と、亀裂深さの受光データDAT1を用いて亀裂の3次元情報(亀裂Kの位置を示す3次元データ)を作成する(ステップS16)。
【0107】
上記のようにして作成した亀裂Kの位置を示す3次元データを用いることにより、ワークの割断前にチップの加工状態の良否を正確に予測することができる。
【0108】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。以下の説明において、第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0109】
本実施形態に係る亀裂検出装置1Aは、亀裂深さ検出装置100とダイシングライン位置確認用光学系200の光学素子の一部を共用にしたものである。
【0110】
図15及び図16は、本発明の第2の実施形態に係る亀裂検出装置を示すブロック図である。図15には、亀裂Kの深さ検出時における光路を示してあり、図16には、亀裂Kの平面位置検出時における光路を示してある。なお、図15及び図16では、簡単のため界面検出用光学系160を省略している。
【0111】
本実施形態に係る亀裂検出装置1Aは、ダイシングライン位置確認用照明光学系212A及びダイシングライン位置確認用結像光学系212Bを含んでいる。
【0112】
ダイシングライン位置確認用照明光学系212Aは、リレーレンズ220及びハーフミラー222を含んでいる。ハーフミラー222は、亀裂深さ検出用の照明光学系140のリレーレンズ142とハーフミラー144Aの間に配置されている。
【0113】
ダイシングライン位置確認用結像光学系212Bは、ハーフミラー144A、リレーレンズ146及び集光レンズ106を含んでいる。亀裂深さ検出用の照明光学系140のハーフミラー144A及びリレーレンズ146と、集光レンズ106は、ダイシングライン位置確認用結像光学系212Bと共用となっている。
【0114】
ダイシングライン位置確認時には、図16に示すように、光源210から出射される照明光L21は、リレーレンズ220を介してハーフミラー222に到達し、ハーフミラー222及びハーフミラー144Aにより順次反射されて、集光レンズ106によりワークWに集光される。そして、ワークWからの反射光L22は、集光レンズ106、ハーフミラー162、リレーレンズ146及びハーフミラー144Aを通過して、カメラ218により撮像可能となっている。これにより、カメラ218により撮像した観察像から亀裂Kの平面位置を検出することができる。
【0115】
一方、亀裂Kの深さ検出時には、図15に示すように、検出光L1は、ダイシングライン位置確認用照明光学系212Aのハーフミラー222を透過し、ハーフミラー144Aにより反射されてワークWに到達する。これにより、第1の実施形態と同様に、亀裂Kの深さを検出することができる。
【0116】
本実施形態によれば、亀裂検出装置を構成する光学素子の一部を共用とすることにより、構成部品を削減して装置の小型化を実現することができる。
【0117】
また、本実施形態によれば、亀裂Kの平面位置と深さ位置の検出を同一の集光レンズ106を用いて行うことができるので、亀裂Kの3次元情報をより容易に取得することができる。
【0118】
なお、本実施形態では、亀裂Kの深さ検出用の光源122と亀裂Kの平面位置検出用の光源210を別々に設けたが、本発明はこれに限定されない。例えば、亀裂Kの平面位置検出用の光源210を省略して、亀裂Kの深さ検出用の光源122と共用としてもよい。この場合、亀裂Kの平面位置検出時(ダイシングライン位置確認時)には、制限部材126を光路上から退避させればよい。
【符号の説明】
【0119】
1、1A…亀裂検出装置、10…制御装置、12…亀裂測定制御部、14…ステージ制御部、100…亀裂深さ検出装置、200…亀裂平面位置検出装置(ダイシングライン位置確認用光学系)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16