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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137933
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/08 20060101AFI20230922BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20230922BHJP
   G03G 21/18 20060101ALI20230922BHJP
   G03G 15/02 20060101ALI20230922BHJP
   G03G 9/097 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
G03G9/08
G03G21/00 312
G03G21/18 114
G03G15/02
G03G9/097 374
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044381
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】毛塚 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】松野 泰英
(72)【発明者】
【氏名】河崎 明博
(72)【発明者】
【氏名】加來 佑太郎
【テーマコード(参考)】
2H134
2H171
2H200
2H500
【Fターム(参考)】
2H134GA01
2H134GB02
2H134HF13
2H134KG03
2H134KG08
2H171FA02
2H171FA09
2H171FA11
2H171FA13
2H171GA01
2H171JA23
2H171JA27
2H171JA29
2H171QA04
2H171QA08
2H171QB03
2H171QB32
2H171UA03
2H171UA07
2H171UA10
2H200FA08
2H200FA18
2H200GA23
2H200GA44
2H200GB37
2H200HA03
2H200HA29
2H200HA30
2H200HB23
2H200HB45
2H200HB46
2H200HB48
2H200JB13
2H200KA02
2H200MA03
2H200MA14
2H200MA20
2H500AA09
2H500EA42D
2H500EA52D
2H500FA02
2H500FA10
(57)【要約】
【課題】現像手段が転写残トナーを回収する画像形成装置において、長期にわたり異常画像の発生を抑制する。
【解決手段】像担持体と、前記像担持体に当接するように配置され、前記像担持体を帯電する帯電部材と、トナーを前記像担持体に供給し、前記像担持体上にトナー像を形成する現像手段と、前記像担持体上のトナー像を記録媒体又は中間転写体に転写する転写手段と、を有する画像形成装置であって、前記現像手段は、前記転写の後に前記像担持体上に残留した転写残トナーを回収し、前記トナーは、母体粒子と、外添剤とを含み、前記外添剤の体積平均粒子径が、5nm以上50nm以下であり、前記外添剤は、前記トナー中、1.8質量%以下であることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
前記像担持体に当接するように配置され、前記像担持体を帯電する帯電部材と、
トナーを前記像担持体に供給し、前記像担持体上にトナー像を形成する現像手段と、
前記像担持体上のトナー像を記録媒体又は中間転写体に転写する転写手段と、
を有する画像形成装置であって、
前記現像手段は、前記転写の後に前記像担持体上に残留した転写残トナーを回収し、
前記トナーは、母体粒子と、外添剤とを含み、
前記外添剤の体積平均粒子径が、5nm以上50nm以下であり、
前記外添剤は、前記トナー中、1.8質量%以下である
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記像担持体をクリーニングするクリーニンググレードを備えていない
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記外添剤は、無機微粒子を含み、
前記無機微粒子は、一次粒子の粒度分布において、粒径が5nm以上50nm以下の範囲にピークを複数有し、
前記ピークの中で、最も高いピークをn1、二番目に高いピークをn2、前記ピークn1の頂点の粒径(nm)をn1d、前記ピークn2の頂点の粒径(nm)をn2d、前記ピークn1の頂点の高さをn1h、前記ピークn2の頂点の高さをn2hとしたときに、下記式(1)~式(3)をすべて満たす
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
n1d>n2d 式(1)
10<(n1d+n2d) 式(2)
30≦{(n2h/n1h)×100}<100 式(3)
【請求項4】
前記帯電部材は、帯電ゴムローラである
ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記帯電部材の粗さRzが、2μm以上20μm以下である
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記帯電部材の抵抗が、1×10Ω以上1×10Ω以下である
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記帯電部材に付着した前記トナーを回収する回収手段を備える
ことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真装置、静電記録装置等において、静電潜像は、静電荷現像用トナー(本発明では「トナー」ともいう)によって顕像化される。例えば、電子写真法では、像担持体上に静電潜像を形成し、次いで、該静電潜像をトナーにより現像して、トナー画像を形成している。トナー画像は、紙等の転写材上に転写され、次いで、加熱等の方法で定着される。
【0003】
従来、電子写真装置の小型化などの目的のため、クリーニング手段を有さずに、像担持体上の転写残トナーを現像手段により回収するクリーナーレス方式が提案されている。一方、接触式の帯電部材(例えば帯電ローラ)で像担持体を帯電させる帯電方式を用いた場合に、像担持体上の転写残トナーにより帯電が不均一になることが指摘されていた。そのため、クリーニング性と帯電均一性を両立できる技術が求められていた。
【0004】
特許文献1では、転写残トナーの回収性と帯電均一性を高水準で両立することを目的として以下のような電子写真装置を提案している。電子写真感光体に当接して直流電圧を印加し電子写真感光体を帯電する帯電ローラを用い、帯電ローラの周速が電子写真感光体の周速より速くなるようにする。現像手段は、トナーを供給することに加え、転写残トナーを回収する。電子写真感光体を所定の層構成にする。特許文献1によれば、電子写真感光体と帯電ローラの間に周速差を設けることで、転写残トナーが現像手段で回収されやすくなり、均一な放電が可能になるとしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、帯電異常を十分に抑制できているとはいえず、異常画像が発生してしまう問題があった。従来技術においては、長期にわたって画像形成を行った場合、トナーが帯電部材を汚すだけでなく、トナーに含まれる外添剤がトナーから剥がれて帯電部材を汚してしまう。外添剤による汚れが帯電部材上に蓄積すると、帯電異常が発生して異常画像が発生してしまう。
【0006】
そこで本発明は、現像手段が転写残トナーを回収する画像形成装置において、長期にわたり異常画像の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、像担持体と、前記像担持体に当接するように配置され、前記像担持体を帯電する帯電部材と、トナーを前記像担持体に供給し、前記像担持体上にトナー像を形成する現像手段と、前記像担持体上のトナー像を記録媒体又は中間転写体に転写する転写手段と、を有する画像形成装置であって、前記現像手段は、前記転写の後に前記像担持体上に残留した転写残トナーを回収し、前記トナーは、母体粒子と、外添剤とを含み、前記外添剤の体積平均粒子径が、5nm以上50nm以下であり、前記外添剤は、前記トナー中、1.8質量%以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、現像手段が転写残トナーを回収する画像形成装置において、長期にわたり異常画像の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の画像形成装置の一実施形態を説明するための図である。
図2】本発明の画像形成装置の別の実施形態を説明するための図である。
図3A】本発明の画像形成装置の別の実施形態を説明するための図である。
図3B】本発明の画像形成装置の別の実施形態を説明するための図である。
図4】本発明の画像形成装置の別の実施形態を説明するための図である。
図5】帯電部材の抵抗を測定する方法を説明するための図である。
図6】プロセスカートリッジの一実施形態を説明するための図である。
図7】本発明の画像形成装置の別の実施形態を説明するための図である。
図8】本発明の画像形成装置の別の実施形態を説明するための図である。
図9】本発明の画像形成装置の別の実施形態を説明するための図である。
図10】画像形成ユニットを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る画像形成装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0011】
本発明の画像形成装置は、像担持体と、前記像担持体に当接するように配置され、前記像担持体を帯電する帯電部材と、トナーを前記像担持体に供給し、前記像担持体上にトナー像を形成する現像手段と、前記像担持体上のトナー像を記録媒体又は中間転写体に転写する転写手段と、を有する画像形成装置であって、前記現像手段は、前記転写の後に前記像担持体上に残留した転写残トナーを回収し、前記トナーは、母体粒子と、外添剤とを含み、前記外添剤の体積平均粒子径が、5nm以上50nm以下であり、前記外添剤は、前記トナー中、1.8質量%以下であることを特徴とする。
【0012】
本実施形態の画像形成装置について説明する。
本実施形態の画像形成装置では、像担持体上に残留した転写残トナーを現像手段により回収している。本実施形態の画像形成装置は、像担持体(静電潜像担持体、感光体などとも称する)をクリーニングするクリーニング手段(例えばクリーニングブレード)を用いない構成にしている。この場合、装置の小型化等の利点がある。
【0013】
以下、像担持体をクリーニングするクリーニング手段を用いない方式をクリーナーレス方式とも称することがある。ただし、帯電部材をクリーニングする手段、中間転写ベルトをクリーニングする手段を備えていてもよく、これらの手段を備える場合でもクリーナーレス方式に含まれるものとする。
【0014】
まず、クリーナーレス方式の画像形成装置の基本構成について図1を用いて説明する。図1は、画像を形成する処理の一例を説明する図である。なお、本発明の画像形成装置の各手段の詳細例は後述する。また、帯電部材としては、例えば帯電ローラを用いることができ、以下の説明では帯電ローラを例に挙げて説明している。
【0015】
まず帯電ローラ160は、像担持体としての感光体ドラム10を一様に帯電させる。本例の帯電ローラ160は、感光体ドラム10と当接するように配置され、例えば直流電圧を感光体ドラム10に印加する。本例における帯電は、接触式DC帯電方式としている。
【0016】
露光装置21は、感光体ドラム10に露光光Lを露光し、感光体ドラム10に静電潜像を形成する。露光装置21としては、特に制限されるものではないが、例えばLEDを用いる。
【0017】
現像ローラ72は、現像装置61が備える現像剤担持体の一例である。現像ローラ72は、印加手段により現像バイアスが印加されて、トナー200を感光体ドラム10に供給する。これにより、感光体ドラム10上にトナー像(可視像とも称する)が形成される。
【0018】
現像装置61は、例えば攪拌ローラ73を有しており、現像装置61内でトナーを攪拌してもよい。撹拌ローラ73の回転方向は、適宜選択することができ、また現像ローラ72と接触してもよいし、非接触でもよい。
【0019】
転写ローラ62は、感光体ドラム10上のトナー像を記録紙105に転写する。
除電ランプ64は、感光体ドラム10の電位を除電する。例えば除電光QLを照射して除電する。
【0020】
上記の構成がクリーナーレス方式の画像形成装置の基本構成である。このような装置では、転写工程の後に、感光体ドラム10をクリーニングするクリーニンググレード等のクリーニング手段を備えていない。
【0021】
特に制限されるものではないが、図1に示す例では、例えば、現像ローラ72に-300Vが印加され、帯電ローラ160に-1200Vが印加される。例えば、感光体ドラム10は、除電されることで表面が-50V程度になり、帯電されることで表面が-500V程度になる。
【0022】
なお、本実施形態の画像形成装置は、帯電ローラ160上のトナーを回収する回収ブラシ161(回収手段)を備えていてもよい。図1に示す例では、回収ブラシ161を設けていないため、図中、破線で示している。
【0023】
ここで、図1に示す例におけるトナーの流れの一例について説明する。説明のために、トナーの位置や状態によって図中のトナーの符号を変えている。
現像ローラ72は、トナー200を担持し、現像ローラ72に担持されたトナー200が感光体ドラム10に供給される。感光体ドラム10に供給されたトナーは、静電潜像に応じてトナー像(可視像)を形成する(トナー201)。感光体ドラム10上のトナー201は、記録紙105に転写される。記録紙105に転写されたトナー202は、後の工程で記録紙105に定着される。
【0024】
転写工程で転写されたなかったトナーは、転写残トナー203として感光体ドラム10上に残留する。除電工程を経た後、転写残トナー203は、感光体ドラム10と帯電ローラ160の当接箇所(もしくは近傍)で帯電ローラ160に付着する。転写残トナー203のうち、帯電ローラ160に付着しないトナー206も存在し、このトナー206は感光体ドラム10上に残留したままとなる。このトナー206は、後述のように、現像ローラ72により回収される。
【0025】
次に、クリーナーレス方式の画像形成装置における転写残トナーの回収方法の一例について図2図3A図3Bを用いて説明する。
【0026】
図2は、図1の後の状態を説明するための模式図であり、印字中の状態を模式的に示した図である。ここでいう印字中とは、装置を稼働させた状態を意味し、記録紙にトナーを転写する処理のみならず、記録紙にトナーを転写する準備を行う処理を含む。図2は、前の記録紙への転写と、次の記録紙への転写との間に行う処理を説明する図である。
【0027】
図1で説明したように、転写工程で転写されたなかったトナーは、転写残トナー203として感光体ドラム10上に残留する。図2中、転写ローラ62の下流側に、感光体ドラム10上に転写残トナー203が残留していることが図示されている。
【0028】
前の記録紙105に対して転写を行った後、除電ランプ64により感光体ドラム10の表面が除電される。これにより、帯電ローラ160と感光体ドラム10との間の電位差が広がり、帯電前に帯電ローラ160と感光体ドラム10との間で放電が発生する。図中、放電を模式的に図示している。
【0029】
帯電前の放電により、転写残トナー203はマイナスに帯電する(図2では不図示)。転写残トナー203においては、帯電前の放電により、例えばマイナスに帯電するもの、微少なプラスに帯電したままのものが存在する。微少なプラスのままの転写残トナー203は、帯電ローラ160と感光体ドラム10が当接する箇所(もしくは近傍)で帯電ローラ160に付着する。帯電ローラ160に付着したトナーは、トナー204として図示している。
【0030】
なお、図中の矢印aは、感光体ドラム10上の転写残トナー203が帯電ローラ160に付着することを模式的に図示している。感光体ドラム10上の転写残トナー203が帯電ローラ160に付着することを、移動するなどと称してもよい。
【0031】
本例の画像形成装置は、帯電ローラ160に付着したトナーを回収する回収ブラシ161を有している。帯電ローラ160に付着したプラスのトナー204は、回収ブラシ161により回収される。図中の矢印bは、帯電ローラ160上のトナー204が回収ブラシ161により回収されることを模式的に図示している。帯電ローラ160上のトナー204が回収ブラシ161により回収されることを、移動するなどと称してもよい。
【0032】
回収ブラシ161には回収バイアスが印加される。回収バイアスの値としては、特に制限されるものではなく、適宜選択することができる。
【0033】
感光体ドラム10上の転写残トナー203のうち、マイナスに帯電したトナーは、帯電ローラ160に付着せず、感光体ドラム10上に残留したままとなる。このトナーは、トナー206として図示している。なお、トナー203とトナー206はどちらも転写残トナーである。
【0034】
感光体ドラム10上に残留したトナー206は、現像ローラ72により回収される。現像ローラ72により回収されたトナーは、トナー208として図示している。現像ローラ72により回収されることを、移動するなどと称してもよい。感光体ドラム10と現像ローラ72との間を通過するトナー206は、感光体ドラム10と現像ローラ72との電位差により現像ローラ72側に移動する。図中の矢印cは、感光体ドラム10上のトナー206が現像ローラ72により回収されることを模式的に図示している。
【0035】
上記のように現像ローラ72で回収するには、特に制限されるものではないが、例えば各部材の電位を調整する方法が挙げられる。一例としては例えば、除電後の感光体ドラム10の表面を-50V、帯電ローラ160を-1100V、回収ブラシ161を-1300V、帯電後の感光体ドラム10の表面を-500V、現像ローラ72を-300Vにすることが挙げられる。図1では、この例となるように電位を図示しているが、これに限られるものではない。
【0036】
図2中の矢印fは、現像ローラ72から感光体ドラム10に外添剤が移動することを模式的に示している。例えば、現像装置61でトナーが攪拌されることにより、外添剤がトナーから遊離し、遊離した外添剤は現像ローラ72から感光体ドラム10に移動する。後述しているように、現像ローラ72から感光体ドラム10に移動した外添剤は、感光体ドラム10に付着する。
【0037】
このような外添剤の移動、付着は、印字中にも生じるし、後述の装置立下げ時などにも生じる。装置が動作する時間の中で、印字中の状態が最も長い時間であることが想定されるため、印字中に外添剤の移動・付着が多く生じる。
【0038】
本発明の画像形成装置において、回収ブラシ161を有していることが好ましいが、回収ブラシ161は必須ではない。帯電ローラ160上に存在するトナーを回収する回収手段(例えば回収ブラシ161)を有していない場合、帯電ローラ160に移動するトナーを減らすように電位調整することが好ましい。
【0039】
次に、図3A図3Bを用いて、装置立下げ時のトナーの動きと、トナー回収の一例について説明する。
【0040】
図2で説明したように、帯電前の放電時にマイナスにならかったプラスの転写残トナー203(トナー206も同様)は、帯電ローラ160に付着し、回収ブラシ161に回収される。印字中は、この回収が繰り返されるため、プラスに帯電したトナー207が回収ブラシ161に蓄積する。
【0041】
装置立下げ時には、回収ブラシ161と帯電ローラ160との電位差を調整し、微少なプラスに帯電したトナー207を帯電ローラ160側に移動させる。これを図中の矢印dで示している。
【0042】
帯電ローラ160に移動したトナー205は、帯電ローラ160と感光体ドラム10との電位差により、感光体ドラム10に移動する。これを図中の矢印eで示している。この移動したトナーは、図中、トナー209として示している。なお、装置立下げ時には、除電ランプ64による感光体ドラム10の除電が行われないため、これを考慮して帯電ローラ160と感光体ドラム10の電位差を調整する。
【0043】
感光体ドラム10上のプラスに帯電したトナー209は、現像ローラ72に回収されず、そのまま現像ローラ72を通過する。さらに、トナー209は転写ローラ62を通過する。このように、装置立下げ時には、感光体ドラム10上に、プラスに帯電したトナー209が存在することになる。
【0044】
図2及び図3において、感光体ドラム10上には、トナー203、206、209が図示されている。これらは全て転写残トナーとして考慮される。トナー209は、転写残トナー203が回収ブラシ161に回収された後、再度、感光体ドラム10上に移動したものであるが、このようなトナーも転写残トナーに含めてよい。
【0045】
図3A中の矢印fは、上述したように、外添剤の移動を模式的に示している。例えば、現像装置61でトナーが攪拌されることで外添剤が遊離し、遊離した外添剤が感光体ドラム10に移動する。
【0046】
図3Aに示す例のようにトナーが移動するには、特に制限されるものではないが、例えば各部材の電位を調整する方法が挙げられる。例えば、回収ブラシ161の電位を-150V、帯電ローラ160の電位を-350V、感光体ドラム10の表面の電位を500V、現像ローラ72の電位を+250Vにすることが挙げられる。図3Aでは、この例となるように電位を図示しているが、これに限られるものではない。
【0047】
次に、装置立下げにおいて、感光体ドラム10上のトナーが回収されることについて図3Bを用いて説明する。図3B図3Aの続きである。
【0048】
図示するように、所定のタイミングで除電ランプ64により感光体ドラム10の除電を行う。除電を行うことにより、帯電ローラ160と感光体ドラム10との間の電位差が広がり、帯電ローラ160と感光体ドラム10との間で放電が発生する。図中、放電を模式的に図示している。なお、図示する除電は、画像形成のために行う除電ではなく、トナー回収のために行う除電である。
【0049】
上記の放電により、トナー209はマイナスに帯電する。なお、図2と同様に、トナー209のうち、マイナスに帯電されず、プラスに帯電したままのトナーについては、帯電ローラ160に付着し、回収ブラシ161により回収される(図中の矢印g、h)。
【0050】
上記の放電によりマイナスに帯電したトナー209は、帯電ローラ160に移動せずに感光体ドラム10上に留まる。そして、マイナスに帯電したトナー209は、現像バイアスが印加された現像ローラ72により回収される(図中の矢印i)。現像ローラ72により回収されたトナーは、図中、トナー208として示している。
【0051】
図3Bに示す例のようにトナーが移動するには、特に制限されるものではないが、例えば各部材の電位を調整する方法が挙げられる。例えば、回収ブラシ161の電位を-1300V、帯電ローラ160の電位を-1100V、除電後の感光体ドラム10の表面を-50V、感光体ドラム10の表面の電位を500V、現像ローラ72の電位を-300Vにすることが挙げられる。図3Bでは、この例となるように電位を図示しているが、これに限られるものではない。
【0052】
本実施形態の画像形成装置では、上記のようなクリーナーレス方式を採用することができる。上記のようなクリーナーレス方式は、トナーの帯電特性を制御し、各プロセスで電界にてトナーを移動させて回収する方法である。これにより、帯電ローラ160のトナー汚れを防止している。
【0053】
しかし、帯電部材の帯電異常を防ぐためには、上記の構成では不十分である。従来のクリーナーレス方式を用いた画像形成装置では、帯電異常を十分に抑制できているとはいえず、異常画像が発生してしまう問題があった。従来技術においては、長期にわたって画像形成を行った場合、トナーが帯電部材を汚すだけでなく、トナーに含まれる外添剤がトナーから剥がれて帯電部材を汚してしまう。この外添剤による汚れが帯電部材上に蓄積すると、帯電異常が発生して異常画像が発生してしまう。
【0054】
本発明者らは、トナー母体に添加される外添剤が帯電ローラ160に及ぼす影響を検討し、その影響を防ぐにはどのようにすればよいかを検討した。以下、図4も用いつつ説明する。
【0055】
図4(A)は、本実施形態の画像形成装置の他の例である。本例の画像形成装置は、帯電ローラ160に付着したトナーを回収する回収ブラシ161を有していないが、本発明では、回収ブラシ161を有していなくてもよい。
【0056】
図4(A)では、転写後の感光体ドラム10上の状態例を説明するために、破線Bを図示している。図4(B)は、図4(A)の破線Bの部分の拡大模式図である。また、また、図4(A)は、画像を形成する際の処理の一例を模式的に示す図であり、図1に対応する図である。そのため、図示するように、現像ローラ72からトナー200を供給している。
【0057】
図4(B)に示すように、トナーは母体粒子220(トナー母体粒子、トナー母体などとも称する)と外添剤221を含んでおり、例えば母体粒子220の表面に外添剤221が付着している。現像装置61内で撹拌されたトナーでは、外添剤が遊離し、遊離した外添剤221aは現像装置61の外へと吐き出され、感光体ドラム10に付着する。なお、上述したように、外添剤が感光体ドラム10に移動することを矢印fで模式的に示している。また、遊離した外添剤を符号221aで図示している。
【0058】
遊離した外添剤は、トナーと同じような帯電極性の制御は困難であり、例えば図2等のような電位の調整を行って外添剤を移動させることが難しい。そのため、遊離した外添剤は、例えば、転写工程後に帯電ローラ160を介して回収ブラシ161により回収するといった制御が難しい。このため、感光体ドラム10に存在する外添剤は、帯電ローラ160に付着し、帯電ローラ160に残留する。そして、長期にわたり印刷を続けた場合、帯電ローラ160に付着する外添剤が蓄積していき、帯電不良(帯電異常)が発生し、これにより濃度ムラ等の異常画像が発生してしまう。
【0059】
そこで本発明では、クリーナーレス方式の画像形成装置に、外添剤の量が少ない所定のトナーを使用することで、帯電部材の外添剤の汚れを抑制している。トナー中の外添剤の量を少なくすることで、転写後に感光体に付着している外添剤の量を最小限に抑えることができる。また更に、外添剤の粒径を所定の範囲にすることで、外添剤がトナーから遊離しにくくなり、外添剤による帯電部材の汚れを抑えることができる。このため、本発明では、現像手段が転写残トナーを回収する画像形成装置において、帯電部材への外添剤汚染の蓄積を抑制し、帯電異常を抑制でき、長期にわたり異常画像の発生を抑制することができる。
【0060】
本発明に使用するトナーは、母体粒子と、外添剤とを含み、外添剤の体積平均粒子径が、5nm以上50nm以下であり、外添剤は、トナー中、1.8質量%以下である。このように、外添剤の量が少ないことにより、トナーから遊離する外添剤を最小限に抑えることができる。このため、帯電ローラ160に付着する外添剤の量を低減することができ、外添剤による帯電ローラ160の汚れを抑制することができる。
【0061】
下記表1に、外添剤の量を変えたときの帯電ローラ160の汚れによる異常画像の発生を評価した結果を示す。この評価では、図4(A)に示す装置構成としている。ただし、図4(A)では電位の数値の一例を説明のために図示しているが、本発明は図示される値に限られるものではなく、また当該評価でもその値を用いているとは限らない。
【0062】
なお、表1中、外添剤量とあるのは、トナー全体に対する割合である。
また、当該評価では、異常画像はテスト画像を形成し、目視により評価を行っている。表1中、「〇」は異常なしを表し、「△」は濃度低下を表し、「×」は非画像部にトナー汚れが発生したことを表す。
当該評価では、50,000枚の画像を形成した後の画像について評価を行った。(以下の評価も同様である。)
【0063】
【表1】
【0064】
表1に示すように、外添剤の量が1.8質量%以下である場合、異常画像が発生していないことがわかる。外添剤の量が1.8質量%を超えると、帯電ローラ160に汚れが発生し、帯電ローラ160の抵抗が上昇し、帯電不良が発生する。帯電不良が発生することにより、濃度が低下し、実用レベルをクリアできなかった。また、帯電ローラ160の汚れが進行すると、非画像部にトナーが現像されてしまう。
【0065】
このような評価結果から、外添剤の量は、トナー中、1.8質量%以下にする。なお、表1には記載していないが、トナー中の現像剤の量を1.8質量%以下にすることは、現像ローラ72への外添剤付着(現像フィルミング)についても有効である。トナー中の現像剤の量を1.8質量%以下にすることで、現像フィルミングは良好になる傾向であった。
【0066】
上記の評価で用いたトナーの作製例を説明する。
-トナー母体粒子の作製-
トナー母体粒子は、以下の原材料を用いて以下のようにして作製した。「部」は「質量部」を表す。
【0067】
ポリエステル樹脂 87部
ライスワックス(TOWAX-3F16、東亜化成社製) 3部
カーボンブラック(#44、三菱化成社製) 8部
アゾ鉄化合物(保土谷化学社製T-77) 2部
【0068】
前記処方のトナー原材料を、へンシェルミキサー(三井三池化工機株式会社製、FM20B)を用いて予備混合した後、二軸混練機(株式会社池貝製、PCM-30)を用いて120℃の温度で溶融、混練した。得られた混練物はローラにて2.7mmの厚さに圧延した後にベルトクーラーにて室温まで冷却し、ハンマーミルにて200μm~300μmに粗粉砕した。次いで、超音速ジェット粉砕機ラボジェット(日本ニューマチック工業株式会社製)を用いて微粉砕した後、気流分級機(日本ニューマチック工業株式会社製、MDS-I)により重量平均粒径が5.8±0.2μmとなるようにルーバー開度を適宜調整しながら分級し、トナー母体粒子を得た。
【0069】
-トナーの作製-
上記トナー母体粒子100部に対し、無機微粒子1を1.00部、無機微粒子2を0.03部添加し、ヘンシェルミキサーで撹拌混合し、評価用のトナーを作製した。
なお、1.03/(100+1.03)=1.03/101.03≒0.01019により、外添剤のトナーに対する割合は、1.0質量%になる。
【0070】
また、本発明に使用する外添剤の体積平均粒子径は、5nm以上50nm以下である。この範囲にすることにより、外添剤が母体粒子から遊離しにくくなり、外添剤による帯電ローラ160の汚れを抑制できる。
【0071】
また本発明に用いられる外添剤としては、詳細は後述するが、適宜選択することができる。例えば外添剤は、無機微粒子を含む。外添剤が無機微粒子を含む場合、以下のようにすることが好ましい。無機微粒子は、一次粒子の粒度分布において、粒径が5nm以上50nm以下の範囲にピークを複数有し、前記ピークの中で、最も高いピークをn1、二番目に高いピークをn2、前記ピークn1の頂点の粒径(nm)をn1d、前記ピークn2の頂点の粒径(nm)をn2d、前記ピークn1の頂点の高さをn1h、前記ピークn2の頂点の高さをn2hとしたときに、下記式(1)~式(3)をすべて満たすことが好ましい。
n1d>n2d 式(1)
10<(n1d+n2d) 式(2)
30≦{(n2h/n1h)×100}<100 式(3)
【0072】
上記の式(1)~(3)は、外添剤である無機微粒子が、小粒径と大粒径の2種を少なくとも含み、大粒径の無機微粒子が小粒径の無機微粒子よりも多く含まれていることを意味している。
【0073】
従来技術では、小粒径の無機微粒子に耐ストレス性付与の役割を担わせ、そこに大粒径の無機微粒子をスペーサーとして添加して小粒径の無機微粒子がトナー表面に埋没するのを防止していた。そのため、小粒径の無機微粒子は大粒径の無機微粒子よりも多く添加される。しかし、小粒径の無機微粒子の埋没を十分に抑制するのは従来技術では困難であった。
【0074】
上記のように、本発明では外添剤の添加量を特定の値以下に設定しており、更に本例の上記の式(1)~(3)のように規定することで、小粒径の無機微粒子による耐ストレス性付与の機能と、大粒径の無機微粒子によるスペーサーの機能を両立できるとともに、大粒径や小粒径の無機微粒子がトナーから遊離することを抑えることができる。また、大粒径の無機微粒子を小粒径の無機微粒子よりも多く含ませることにより、小粒径の無機微粒子がトナー表面に埋没する量を適切な範囲にすることができ、例えば現像装置でのトナーの攪拌による小粒径の無機微粒子の遊離を抑えることができる。このため、上記の式を満たすことで、転写後に感光体に付着している外添剤の量を更に抑えることができ、帯電ローラへの外添剤の付着(フィルミング)をより抑制することができる。
【0075】
これらについて評価を行った結果を表2、表3に示す。下記の評価では、上記の評価で作製したトナーを用いている。またここでは、表2のように無機微粒子2の添加量を変更した。
【0076】
<現像ローラ上に搬送されるトナー量の安定性評価>
前記トナーを、株式会社リコー製のIPSiO SP C220に入れ、紙(株式会社リコー製 Type6200、A4版)にて2,000枚の白紙通紙試験を行い、500枚目と2000枚目の画像印刷時に現像ローラ上のトナーを真空ポンプで吸引し、フィルタ(GEヘルスケア・ジャパン製定性濾紙(Whatmanグレード1))を用いて捕集する。この時、捕集したトナーの重量を吸引したトナーの面積で除すことで単位面積当たりのトナー重量を算出する。500枚目の印刷時の単位面積当たりのトナー重量をA、2000枚目の印刷時の単位面積当たりのトナー重量をBとしたときの|A-B|/A×100の数値を算出した。評価基準は下記のとおりである。2、3が合格である。
-現像ローラ上に搬送されるトナー量の安定性評価基準-
3:90以上
2:80以上90未満
1:80未満
【0077】
<感光体への汚染評価>
前記トナーを、株式会社リコー製のIPSiO SP C220に入れ、紙(株式会社リコー製 Type6200、A4版)にて2,000枚の白紙通紙試験を行う。2000枚目の白紙印字中に停止させ、感光体露出部全面にスコッチテープを貼り、剥がしたスコッチテープをリコー社製タイプ6000T目紙に貼り保管した。そのテープ上をX-rite(ビデオジェット・エックスライト社製)によりL*を測定した。評価基準は下記の通りである。2、3が合格である。
-感光体への汚染評価基準-
3:92以上
2:91.5以上92未満
1:91.5未満
【0078】
【表2】
【0079】
【表3】
【0080】
表2、表3に示すように、上記の式(1)~(3)を満たすことで感光体の汚染を抑制できる。また、表2、表3に示す実施例1~7では、外添剤の体積平均粒子径を5nm~50nmとしており、これにより感光体の汚染を抑制できる。
なお、無機微粒子の粒度分布については、後述している測定方法により求めている。
【0081】
本実施形態において、帯電部材としては、適宜選択することができ、上記の説明のように接触式の帯電ローラを用いることができる。また、帯電部材としては、帯電ゴムローラを用いることが好ましい。
【0082】
帯電ゴムローラを用いる場合、帯電ゴムローラの粗さRzが、2μm以上20μm以下であることが好ましい。この場合、帯電ゴムローラの外添剤の汚れをより抑制でき、異常画像の発生をより抑制することができる。
【0083】
帯電ゴムローラの粗さRzの測定は、以下のようにして行う。
粗さRzの測定方法:JIS B0601-1982による
測定器:触針式表面粗さ計(小坂研究所製SE3500、または同等機種)
測定長さ:2.5mm
送り:0.1mm/sec
カットオフ値:0.8λc
フィルタ方式:2CRフィルタ方式
【0084】
下記表4に、帯電ゴムローラの粗さRzを変えたときの帯電ローラの汚れによる異常画像の発生を評価した結果を示す。この評価では、図4(A)に示す装置構成としている。ただし、図4(A)では電位の数値の一例を説明のために図示しているが、本発明は図示される値に限られるものではなく、また当該評価でもその値を用いているとは限らない。
【0085】
なお、帯電ゴムローラの粗さRzは上記のようにして測定した。
また、当該評価では、異常画像はテスト画像を形成し、目視により評価を行っている。表4中、「〇」は異常なしを表し、「△」は濃度低下を表し、「×」は非画像部にトナー汚れが発生したことを表す。
【0086】
【表4】
【0087】
表4に示すように、帯電ローラの粗さRzが2μm以上20μm以下である場合、異常画像の発生を抑制できていることがわかる。帯電ローラの粗さRzが大きいと、感光体に付着している外添剤を帯電ローラがかきとりやすくなり、帯電ローラが外添剤で汚れやすくなる。そのため、帯電ゴムローラの粗さRzを20μm以下にすることで、帯電ローラに外添剤が付着することを抑え、帯電異常をより抑制することができる。
【0088】
帯電ゴムローラを用いる場合、帯電ゴムローラの抵抗が、1×10Ω以上1×10Ω以下であることが好ましい。この場合、帯電ゴムローラの外添剤の汚れをより抑制でき、異常画像の発生をより抑制することができる。
【0089】
帯電ゴムローラの抵抗の測定は、下記に示すような電気抵抗測定装置治具を使用して測定を行う。また、測定方法を説明するための図を図5に示す。図中、符号170は金属ローラを示す。
【0090】
印加電圧:DC-500V
回転速度:29r/m
測定点:185(周方向)
測定時間:6秒
抵抗値:金属ローラ両端へ4.9N(500g)荷重時の測定点の平均値
【0091】
下記表5に、帯電ゴムローラの抵抗を変えたときの帯電ゴムローラの汚れによる異常画像の発生を評価した結果を示す。この評価では、図4(A)に示す装置構成としている。ただし、図4(A)では電位の数値の一例を説明のために図示しているが、本発明は図示される値に限られるものではなく、また当該評価でもその値を用いているとは限らない。
【0092】
なお、帯電ゴムローラの粗さRzは上記のようにして測定した。
また、当該評価では、異常画像はテスト画像を形成し、目視により評価を行っている。表5中、「〇」は異常なしを表し、「△」は濃度低下を表し、「×」は非画像部にトナー汚れが発生したことを表す。
【0093】
【表5】
【0094】
表5に示すように、帯電ローラの抵抗が1×10Ω以上1×10Ω以下である場合、異常画像の発生を抑制できていることがわかる。帯電ローラに外添剤が付着して帯電ローラの抵抗が上昇すると、帯電不良が発生しやすくなる。また、帯電ローラの抵抗が小さすぎるとリークが発生して良好に帯電を行えない場合がある。帯電ローラの抵抗を上記の範囲にすることで、帯電不良を抑制し、異常画像の発生をより抑制することができる。
【0095】
(トナー)
次に、本発明に用いるトナーについて詳細例を説明する。
【0096】
<外添剤>
上記のように、本発明に用いられる外添剤は無機微粒子を含み、前記無機微粒子は、一次粒子の粒度分布において、粒径が5nm以上50nm以下の範囲にピークを複数有し、前記ピークの中で、最も高いピークをn1、二番目に高いピークをn2、前記ピークn1の頂点の粒径(nm)をn1d、前記ピークn2の頂点の粒径(nm)をn2d、前記ピークn1の頂点の高さをn1h、前記ピークn2の頂点の高さをn2hとしたときに、下記式(1)~式(3)をすべて満たすことが好ましい。
n1d>n2d 式(1)
10<(n1d+n2d) 式(2)
30≦{(n2h/n1h)×100}<100 式(3)
【0097】
本発明で言う無機微粒子の粒度分布とは、その一次粒子を対象とする個数基準の粒度分布であって、以下の工程(1)~(3)を順次経ることにより測定することができる。
(1)トナー表面に無機微粒子が付着した状態で、走査型電子顕微鏡 SU8200シリーズ(株式会社日立ハイテクノロジーズ社)を用いてトナーの画像を得る。
(2)得られた画像を画像処理ソフトA像君(旭化成エンジニアリング株式会社)で二値化し、無機微粒子の円相当径を算出する。無機微粒子の円相当径は1000粒子分測定する。
(3)次に下記の式に従い階級の数を決定し、ヒストグラムを作成し粒度分布を得る。
階級の数=1+log2n(nは無機微粒子の円相当径のデータ数を示す)
【0098】
本発明に使用される無機微粒子として、前記ピークn1の頂点の粒径(nm)であるn1dは、15nm~50nmが好ましく、20nm~40nmがさらに好ましい。また、前記ピークn2の頂点の粒径(nm)であるn2dは、5nm~50nmが好ましく、10nm~20nmがさらに好ましい。
【0099】
また、n1dとn2dの差は、10nm~45nmが好ましく、13nm~30nmがさらに好ましい。
【0100】
また、本発明の効果向上の観点から、前記式(2)および式(3)のさらに好ましい形態は、下記式(20)および式(30)で表される。
20<(n1d+n2d) 式(20)
40<{(n2h/n1h)×100}<90 式(30)
【0101】
本発明において、無機微粒子の一次粒子の粒度分布において、5nm~50nmの間にピークを複数有し、かつ前記式(1)~(3)をすべて満たすようにするための手段としては、例えば、平均粒径の異なる2種以上の無機微粒子を用意し、当該条件を満たすようにその配合量を調整する等の手段が挙げられる。なお、無機微粒子は、同種であることが好ましい。
【0102】
本発明で使用される無機微粒子の種類としては、とくに制限されないが、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などが挙げられる。中でも耐ストレス性の向上の観点から、シリカ(疎水性シリカを含む)、アルミナおよびチタニアから選択された少なくとも1種が好ましい。
【0103】
無機微粒子は、疎水化処理することもできる。疎水化処理は、例えば、親水性の微粒子をメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤で処理して得ることができる。また無機微粒子をシリコーンオイルで熱処理し、疎水化処理することもできる。
【0104】
前記シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、α-メチルスチレン変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
【0105】
無機微粒子は、市販されているものを利用することができる。例えばシリカとして、R972、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812(いずれも、日本アエロジル社製)などが挙げられる。また、チタニアとしては、例えばP-25(日本アエロジル社製)、STT-30、STT-65C-S(いずれも、チタン工業株式会社製)、TAF-140(富士チタン工業株式会社製)、MT-150W、MT-500B、MT-600B、MT-150A(いずれも、テイカ株式会社製)などが挙げられる。疎水化処理されたチタニア微粒子としては、例えば、T-805(日本アエロジル株式会社製)、STT-30A、STT-65S-S(いずれも、チタン工業株式会社製)、TAF-500T、TAF-1500T(いずれも、富士チタン工業株式会社製)、MT-100S、MT-100T(いずれも、テイカ株式会社製)、IT-S(石原産業株式会社製)などが挙げられる。
【0106】
無機微粒子のBET法による比表面積は、耐ストレス性向上の観点から、20m/g~500m/gであることが好ましく、30m/g~400m/gであることがさらに好ましい。
【0107】
なお、外添剤としては前記無機微粒子以外にも、例えば脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等)、フルオロポリマー等を併用することもできる。
【0108】
また上述したように、外添剤の含有量は、前記トナー中、1.8質量%以下である。
また上述したように、外添剤の体積平均粒子径は、5nm以上50nm以下である。
【0109】
<トナー母体粒子>
本発明におけるトナー母体粒子は、例えば結着樹脂、着色剤、帯電制御剤、離型剤等を含む。トナー母体粒子の材料に関しては公知のものが使用可能である。
【0110】
[結着樹脂]
結着樹脂としては、ポリスチレン、ポリp-クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の重合体;スチレン-p-クロロスチレン共重合体、スチレン-プロピレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリル酸エチル共重合体、スチレン-アクリル酸ブチル共重合体、スチレン-アクリル酸オクチル共重合体、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体、スチレン-メタクリル酸エチル共重合体、スチレン-メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン-α-クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ビニルメチルケトン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-アクリロニトリル-インデン共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられ、単独又は混合して使用することができる。
【0111】
[着色剤]
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレトVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物を使用することができる。その使用量は、一般に結着樹脂100質量部に対し、0.1~50質量部である。
【0112】
[帯電制御剤]
帯電制御剤としても公知のものが使用でき、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等を挙げることができる。
【0113】
本発明における荷電制御剤の使用量は、結着樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一律に決定されるものではないが、好ましくは、結着樹脂100質量部に対して、0.1~10質量部の範囲で用いられ、好ましくは、2~5質量部の範囲である。また、必要に応じて、複数の帯電制御剤と併用してもよい。
【0114】
[離型剤]
本発明では、トナーに離型性を付与するために離型剤を用いてもよい。用いられる離型剤の軟化点は70~100℃が好ましい。
【0115】
離型剤としては、低分子量のポリエチレンやポリプロピレン、それらの共重合体等の合成ワックス、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバワックス等の植物ワックス、蜜ろう、ラノリン、鯨ろう等の動物ワックス、モンタンワックスやオゾケライト等の鉱物ワックス、硬化ヒマシ油、ヒドロキシステアリン酸、脂肪酸アミド、フェノール脂肪酸エステル等の油脂ワックス等が挙げられる。
【0116】
ワックスを化学構造の点からみると、炭化水素系のワックス、エステル系のワックス、アミド系のワックス等が知られているが、エステル系のワックスが、保存性や画像品質、定着温度幅等から評価すると好適である。
【0117】
離型剤の量は、トナー全体に対して、1~6質量部が好適である。
【0118】
本発明におけるトナーの製造方法は、従来公知の方法でよく、トナー原材料の混合、混練、圧延冷却、粉砕、分級の各工程を経る製造方法が挙げられ、例えば、原材料混合後、これを2軸混練機で混練、ベルト式冷却機にて冷却、ジェットミルで粉砕し、分級してトナーが得られる。
【0119】
トナーの重量平均粒径は、4μm~10μmが好ましく、5μm~8μmがさらに好ましい。
【0120】
(現像剤)
本発明における現像剤は、本発明で使用可能なトナーを含有するものであり、例えば乾式一成分現像剤(一成分現像剤)及び乾式二成分現像剤(2成分現像剤)として使用できる。乾式二成分現像剤として使用する場合、キャリア並びに本発明のトナーの使用量としては、トナー粒子がキャリア粒子のキャリア表面に付着して、たとえば、その表面積の30~90%を占める程度に両粒子を混合するのが好ましい。
【0121】
使用されるキャリアとしては、鉄粉、フェライト、ガラスビーズ等の従来知られているものを用いることができる。なお、これらキャリアは樹脂により被覆したものであってもよい。この場合、使用される樹脂は、ポリ弗化炭素、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フェノール樹脂、ポリビニルアセタール、シリコーン樹脂等である。
【0122】
いずれの場合でも、トナーとキャリアとの混合割合は、キャリア100質量部に対し、トナー0.5~6.0質量部程度が適当である。
【0123】
(画像形成装置の詳細例)
次に、本発明の画像形成装置について、他の例を示しつつ詳細例を説明する。
本発明の画像形成装置には、プロセスカートリッジの形態も含まれる。
本実施形態におけるプロセスカートリッジは、像担持体(静電潜像担持体、感光体)、帯電部材、現像手段を一体とし、トナーを収容したものをいう。前記プロセスカートリッジは、さらに露光手段等を備えていてもよい。
【0124】
次に、前記プロセスカートリッジの一実施形態を図6に示す。本実施形態のプロセスカートリッジは、図6に示すように、静電潜像担持体101を内蔵し、帯電装置102、現像装置104を含み、さらに必要に応じてその他の手段を有する。図6中、符号103は露光装置からの露光、符号105は記録紙をそれぞれ示す。
【0125】
静電潜像担持体101としては、後述する画像形成装置と同様なものを用いることができる。また帯電装置102には、任意の帯電部材が用いられる。
図6に示すプロセスカートリッジによる画像形成プロセスについて説明する。静電潜像担持体101は、時計回りに回転しながら、帯電装置102による帯電、露光手段(図示せず)による露光103により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成される。
この静電潜像は、現像装置104でトナー現像され、該トナー現像は転写ローラ108により、記録紙105に転写され、プリントアウトされる。次いで、さらに除電手段(図示せず)により除電されて、再び、以上の操作を繰り返すものである。
【0126】
本発明の画像形成装置は、像担持体と、前記像担持体に当接するように配置され、前記像担持体を帯電する帯電部材と、トナーを前記像担持体に供給し、前記像担持体上にトナー像を形成する現像手段と、前記像担持体上のトナー像を記録媒体又は中間転写体に転写する転写手段と、を有する。また、本実施形態における前記現像手段は、前記転写の後に前記像担持体上に残留した転写残トナーを回収する。さらに必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、リサイクル手段、制御手段等を有する。
【0127】
本発明に用いられる画像形成方法は、像担持体を帯電する帯電工程と、トナーを前記像担持体に供給し、前記像担持体上にトナー像を形成する現像工程と、像担持体上のトナー像を記録媒体又は中間転写体に転写する転写工程と、を有する。さらに必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、リサイクル手段、制御手段等を有する。さらに必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、除電工程、リサイクル工程、制御工程等を含む。
【0128】
本発明の前記方法および装置は、上記のトナーを含むことを特徴とする。
なお、以下の説明では、帯電工程と露光工程を含めて静電潜像形成工程と称し、帯電手段と露光手段を含めて静電潜像形成手段と称して説明する。
【0129】
-静電潜像形成工程及び静電潜像形成手段-
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。
前記静電潜像担持体(「電子写真感光体」、「感光体」、「像担持体」と称することがある)としては、その材質、形状、構造、大きさ、等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。その形状としてはドラム状が好適に挙げられ、その材質としては、例えばアモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体(OPC)、等が挙げられる。これらの中でも、より高精細な画像が得られる点で、有機感光体(OPC)が好ましい。
【0130】
前記静電潜像の形成は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、静電潜像形成手段により行うことができる。
前記静電潜像形成手段は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電手段(帯電器)と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光手段(露光器)とを少なくとも備える。
【0131】
前記帯電は、例えば、前記帯電器を用いて前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器が挙げられる。中でも帯電ローラを用いることが好ましい。
前記帯電器としては、像担持体に当接するように配置され、直流電圧を印加することによって静電潜像担持体表面を帯電するものが好ましい。直流及び交流電圧を重畳印加するようにしてもよい。
【0132】
前記露光は、例えば、前記露光器を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系、等の各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
【0133】
-現像工程及び現像手段-
前記現像工程は、前記静電潜像を、前記トナーを用いて現像して可視像(トナー像などと称してもよい)を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を前記トナーを用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、前記トナーを収容し、前記静電潜像に該トナーを接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適であり、トナー入り容器を備えた現像器等がより好ましい。
【0134】
前記現像器は、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナーを摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有するもの等が好適に挙げられる。
前記現像器内では、例えば、前記トナーが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体(像担持体、感光体)近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体(像担持体、感光体)の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該静電潜像担持体(像担持体、感光体)の表面に該トナーによる可視像が形成される。
【0135】
-転写工程及び転写手段-
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記静電潜像担持体(像担持体、感光体)を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
【0136】
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記静電潜像担持体(感光体)上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は1つであってもよいし、2以上であってもよい。
前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、等が挙げられる。
なお、前記記録媒体としては、特に制限はなく、公知の記録媒体(記録紙)の中から適宜選択することができる。
【0137】
-定着工程及び定着手段-
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いて定着させる工程であり、各色の現像剤に対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色の現像剤に対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組合せ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せ、等が挙げられる。
前記定着装置が、発熱体を具備する加熱体と、該加熱体と接触するフィルムと、該フィルムを介して前記加熱体と圧接する加圧部材とを有し、前記フィルムと前記加圧部材の間に未定着画像を形成させた記録媒体を通過させて加熱定着する手段であることが好ましい。前記加熱加圧手段における加熱は、通常、80℃~200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
【0138】
-その他の工程及びその他の手段-
前記除電工程は、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
【0139】
帯電部材に存在するトナーを回収する回収工程を有していてもよい。前記回収工程は、前記帯電部材上に残留する前記トナーを除去する工程であり、回収手段により好適に行うことができる。
前記回収手段としては、特に制限はなく、前記帯電部材上に残留する前記トナーを除去することができればよく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシ、静電ブラシ、磁気ローラ、ブレード、ウエブ等が好適に挙げられる。
【0140】
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
【0141】
前記制御工程は、前記各工程を制御する工程であり、各工程は制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
【0142】
図7に、本発明の画像形成装置の第一例を示す。画像形成装置100Aは、感光体ドラム10と、帯電ローラ20と、露光装置と、現像装置40と、中間転写ベルト50と、除電ランプ70とを備える。
【0143】
中間転写ベルト50は、内側に配置されている3個のローラ51で張架されている無端ベルトであり、図中、矢印方向に移動することができる。3個のローラ51の一部は、中間転写ベルト50に転写バイアス(一次転写バイアス)を印加することが可能な転写バイアスローラとしても機能する。また、中間転写ベルト50の近傍に、クリーニングブレードを有するクリーニング装置90が配置されている。さらに、転写紙95にトナー像を転写するための転写バイアス(二次転写バイアス)を印加することが可能な転写ローラ80が中間転写ベルト50と対向して配置されている。また、中間転写ベルト50の周囲には、中間転写ベルト50に転写されたトナー像に電荷を付与するためのコロナ帯電装置58が、中間転写ベルト50の回転方向に対して、感光体ドラム10と中間転写ベルト50の接触部と、中間転写ベルト50と転写紙95の接触部との間に配置されている。
【0144】
現像装置40は、現像ベルト41と、現像ベルト41の周囲に併設したブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cから構成されている。なお、各色の現像ユニット45は、現像剤収容部42、現像剤供給ローラ43及び現像ローラ(現像剤担持体)44を備える。また、現像ベルト41は、複数のベルトローラで張架されている無端ベルトであり、図中、矢印方向に移動することができる。さらに、現像ベルト41の一部が感光体ドラム10と接触している。
【0145】
現像ベルト41を用いる場合でも、感光体ドラム10上の転写残トナーを回収することができる。
【0146】
次に、画像形成装置100Aを用いて画像を形成する方法について説明する。まず、帯電ローラ20を用いて、感光体ドラム10の表面を一様に帯電させた後、露光装置(不図示)を用いて、感光体ドラム10に露光光Lを露光し、静電潜像を形成する。次に、感光体ドラム10上に形成された静電潜像を、現像装置40から供給されたトナーで現像してトナー像を形成する。さらに、感光体ドラム10上に形成されたトナー像が、ローラ51から印加された転写バイアスにより、中間転写ベルト50上に転写(一次転写)された後、転写ローラ80から印加された転写バイアスにより、転写紙95上に転写(二次転写)される。一方、トナー像が中間転写ベルト50に転写された感光体ドラム10は、除電ランプ70により除電される。
【0147】
図8に、本発明で用いられる画像形成装置の第二例を示す。画像形成装置100Bは、現像ベルト41を設けずに、感光体ドラム10の周囲に、ブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cが直接対向して配置されている以外は、画像形成装置100Aと同様の構成を有する。
【0148】
図9に、本発明で用いられる画像形成装置の第三例を示す。画像形成装置100Cは、タンデム型カラー画像形成装置であり、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備える。
【0149】
複写装置本体150の中央部に設けられている中間転写ベルト50は、3個のローラ14、15及び16に張架されている無端ベルトであり、図中、矢印方向に移動することができる。ローラ15の近傍には、トナー像が記録紙に転写された中間転写ベルト50上に残留したトナーを除去するためのクリーニングブレードを有するクリーニング装置17が配置されている。ローラ14及び15により張架された中間転写ベルト50に対向すると共に、搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの画像形成ユニット120Y、120C、120M及び120Kが並置されている。
【0150】
また、画像形成ユニット120の近傍には、露光装置21が配置されている。さらに、中間転写ベルト50の画像形成ユニット120が配置されている側とは反対側には、二次転写ベルト24が配置されている。なお、二次転写ベルト24は、一対のローラ23に張架されている無端ベルトであり、二次転写ベルト24上を搬送される記録紙と中間転写ベルト50は、ローラ16と23の間で接触することができる。
【0151】
また、二次転写ベルト24の近傍には、一対のローラに張架されている無端ベルトである定着ベルト26と、定着ベルト26に押圧されて配置された加圧ローラ27とを備える定着装置25が配置されている。なお、二次転写ベルト24及び定着装置25の近傍に、記録紙の両面に画像を形成する場合に、記録紙を反転させるためのシート反転装置28が配置されている。
【0152】
次に、画像形成装置100Cを用いて、フルカラー画像を形成する方法について説明する。まず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に、カラー原稿をセットするか、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に、カラー原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
スタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした場合は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした場合は、直ちに、スキャナ300が駆動し、光源を備える第1走行体33及びミラーを備える第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33から照射された光の原稿面からの反射光を第2走行体34で反射した後、結像レンズ35を介して、読み取りセンサ36で受光することにより、原稿が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報が得られる。
【0153】
各色の画像情報は、各色の画像形成ユニット120に伝達され、各色のトナー像が形成される。各色の画像形成ユニット120は、図10に示すように、それぞれ、感光体ドラム10と、感光体ドラム10を一様に帯電させる帯電ローラ160と、各色の画像情報に基づいて、感光体ドラム10に露光光Lを露光し、各色の静電潜像を形成する露光装置と、静電潜像を各色の現像剤で現像して各色のトナー像を形成する現像装置61と、トナー像を中間転写ベルト50上に転写させるための転写ローラ62と、除電ランプ64とを備える。
各色の画像形成ユニット120で形成された各色のトナー像は、ローラ14、15及び16に張架されて移動する中間転写体50上に順次転写(一次転写)され、重ね合わされて複合トナー像が形成される。
【0154】
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の一つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の一つから記録紙を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラを回転して手差しトレイ54上の記録紙を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、記録紙の紙粉を除去するためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。
【0155】
次に、中間転写ベルト50上に形成された複合トナー像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させることにより、中間転写ベルト50と二次転写ベルト24との間に記録紙を送出させ、複合トナー像を記録紙上に転写(二次転写)する。なお、複合トナー像を転写した中間転写ベルト50上に残留したトナーは、クリーニング装置17により除去される。
【0156】
複合トナー像が転写された記録紙は、二次転写ベルト24により搬送された後、定着装置25により複合トナー像が定着される。次に、記録紙は、切換爪55により搬送経路が切り換えられ、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出される。あるいは、記録紙は、切換爪55により搬送経路が切り換えられ、シート反転装置28により反転され、裏面にも同様にして画像が形成された後、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出される。
【符号の説明】
【0157】
10 静電潜像担持体(感光体ドラム)
10K ブラック用静電潜像担持体
10Y イエロー用静電潜像担持体
10M マゼンタ用静電潜像担持体
10C シアン用静電潜像担持体
14 ローラ
15 ローラ
16 ローラ
17 クリーニング装置
18 画像形成手段
20 帯電ローラ
21 露光装置
22 二次転写装置
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読み取りセンサ
40 現像装置
41 現像ベルト
42K 現像剤収容部
42Y 現像剤収容部
42M 現像剤収容部
42C 現像剤収容部
43K 現像剤供給ローラ
43Y 現像剤供給ローラ
43M 現像剤供給ローラ
43C 現像剤供給ローラ
44K 現像ローラ
44Y 現像ローラ
44M 現像ローラ
44C 現像ローラ
45K ブラック現像ユニット
45Y イエロー現像ユニット
45M マゼンタ現像ユニット
45C シアン現像ユニット
49 レジストローラ
50 中間転写ベルト
51 ローラ
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
54 手差しトレイ
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排出トレイ
58 コロナ帯電装置
61 現像装置
62 転写ローラ
64 除電ランプ
70 除電ランプ
72 現像ローラ
80 転写ローラ
90 クリーニング装置
95 転写紙
100A、100B、100C 画像形成装置
101 静電潜像担持体
102 帯電装置
103 露光装置からの露光
104 現像装置
105 記録紙
108 転写ローラ
120 画像形成ユニット
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 複写装置本体
160 帯電ローラ
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0158】
【特許文献1】特許第6667270号公報
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10