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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138044
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/532 20060101AFI20230922BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
A61F13/532 200
A61F13/49 413
A61F13/49 100
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044529
(22)【出願日】2022-03-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 傑
(72)【発明者】
【氏名】守屋 綾子
(72)【発明者】
【氏名】小野 彩夏
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200BA13
3B200BA14
3B200CA02
3B200DB05
(57)【要約】
【課題】歩行時において鼠径部に違和感を生じさせ難い吸収性物品を提供する。
【解決手段】吸収性コア(11)を有する吸収性本体(10)を備え、前側胴回り部(30)と、後側胴回り部(40)と、を有する吸収性物品(1)であって、前後方向における中央位置(CL)よりも前側に、吸収性コア(11)を厚さ方向に変形するように誘導する前側変形誘導部(51)が横方向に一対設けられており、一対の前側変形誘導部(51)は、それぞれ前後方向の前側から後側且つ横方向の外側から内側へ傾斜する前側傾斜部(51d)を有し、それぞれ、傾斜が開始する傾斜開始点(51ds)と、傾斜が終了する傾斜終了点(51de)と、を有し、傾斜開始点(51ds)は、前後方向において前側胴回り部(30)の後側の端(30b)よりも前側に位置し、傾斜終了点傾斜終了点(51de)同士は、横方向において互いに離間している。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
展開状態において互いに交差する前後方向と横方向と厚さ方向とを有し、
液吸収性の吸収性コアを有する吸収性本体を備え、
前記前後方向において、前側に位置する前側胴回り部と、後側に位置する後側胴回り部と、前記前側胴回り部と前記後側胴回り部との間に位置する股下部と、を有する吸収性物品であって、
前記前後方向における中央位置よりも前側に、前記吸収性コアを前記厚さ方向に変形するように誘導する前側変形誘導部が前記横方向に一対設けられており、
一対の前記前側変形誘導部は、それぞれ、前記前後方向の前側から後側且つ前記横方向の外側から内側へ傾斜する前側傾斜部を有し、
一対の前記前側変形誘導部は、それぞれ、傾斜が開始する傾斜開始点と、前記前側変形誘導部よりも後側に位置し且つ傾斜が終了する傾斜終了点と、を有し、
前記傾斜開始点は、前記前後方向において前記前側胴回り部の後側の端よりも前側に位置し、
前記傾斜終了点同士は、前記横方向において互いに離間している、
ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品であって、
一対の前記前側傾斜部のうちの一方側における前記傾斜開始点と前記傾斜終了点とを結ぶ直線またはその延長線は、
前記厚さ方向に見たときに、前記吸収性本体と重複する領域において、前記前側胴回り部の前記前後方向の後側の端と交差する、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
請求項1または2に記載の吸収性物品であって、
前記前側変形誘導部は、前記股下部において前記前後方向に非連続な部分を有する、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記吸収性コアは、前記横方向において外側から内側に括れた括れ部を有し、
前記前後方向において、前記前側傾斜部と前記括れ部とが重複する部分を有する、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記前後方向における中央位置よりも後側に、前記吸収性コアを前記厚さ方向に変形するように誘導する後側変形誘導部が前記横方向に一対設けられており、
一対の前記後側変形誘導部は、それぞれ、前記前後方向の後側から前側且つ前記横方向の外側から内側へ傾斜する後側傾斜部を有し、
一対の前記後側変形誘導部は、それぞれ、傾斜が開始する傾斜開始点と、前記傾斜開始点よりも前側に位置し且つ傾斜が終了する傾斜終了点を有し、
前記傾斜終了点同士は、前記横方向において互いに離間している、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項6】
請求項5に記載の吸収性物品であって、
前記後側変形誘導部は、前記股下部において前記前後方向に非連続な部分を有する、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項7】
請求項5または6に記載の吸収性物品であって、
前記吸収性コアは、前記横方向において外側から内側に括れた括れ部を有し、
前記前後方向において、前記後側傾斜部と前記括れ部とが重複する部分を有する、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項8】
請求項5~7の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記横方向の一方側における前記前側傾斜部の前記傾斜開始点と前記傾斜終了点とを結ぶ直線の延長線と、前記横方向の他方側における前記後側傾斜部の前記傾斜開始点と前記傾斜終了点とを結ぶ直線の延長線とが、前記股下部にて交差する、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項9】
請求項5~8の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記前側傾斜部の前記傾斜開始点と前記傾斜終了点とを結ぶ直線の前記前後方向に対する傾斜角度は、
前記後側傾斜部の前記傾斜開始点と前記傾斜終了点とを結ぶ直線の前記前後方向に対する傾斜角度以下である、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項10】
請求項5~9の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記前側変形誘導部において、前記傾斜開始点と前記傾斜終了点との間の前記前側変形誘導部に沿った長さは、
前記後側変形誘導部において、前記傾斜開始点と前記傾斜終了点との間の前記後側変形誘導部に沿った長さよりも長い、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項11】
請求項5~9の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記後側変形誘導部において、前記傾斜開始点と前記傾斜終了点との間の前記後側変形誘導部に沿った長さは、
前記前側変形誘導部において、前記傾斜開始点と前記傾斜終了点との間の前記前側変形誘導部に沿った長さ以上である、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項12】
請求項5~12の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記吸収性コアは、一対の前記前側変形誘導部の前記横方向の間に、前記前後方向に沿ったスリットを有し、
前記前後方向において、前記前側傾斜部と前記スリットとが重複する部分を有している、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項13】
請求項12に記載の吸収性物品であって、
前記前後方向において、前記前側傾斜部と前記スリットとが重複する部分の長さは、前記前後方向において、前記後側傾斜部と前記スリットとが重複する部分の長さよりも長い、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項14】
請求項1~13の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記前側胴回り部と前記後側胴回り部とが前記横方向の両端部において一対のサイド接合部によって互いに接合され、胴回り開口と一対の脚回り開口とを備えたパンツ型の形状を有し、
前記パンツ型の形状において、互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、
前記上下方向において、前記前側傾斜部の前記傾斜開始点は、前記サイド接合部の下端よりも上側に位置している、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項15】
請求項14に記載の吸収性物品であって、
前記前側胴回り部は、前記左右方向に伸縮する前側伸縮領域を有し、
前記前側伸縮領域は、前記左右方向に単位長さだけ伸長させたときの力が、他の領域よりも大きい前側高伸縮領域を備え、
厚さ方向に見たときに、前記前側高伸縮領域と前記前側傾斜部とが重複する部分を有している、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項16】
請求項15に記載の吸収性物品であって、
前記前側胴回り部と前記吸収性本体とを接合する本体接合部を有し、
前記厚さ方向に見たときに、前記前側伸縮領域と前記前側傾斜部と前記本体接合部とが重複する部分を有している、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項17】
請求項14~16の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記前後方向における中央位置よりも後側に、前記吸収性コアを厚さ方向に変形するように誘導する後側変形誘導部が前記横方向に一対設けられており、
前記後側胴回り部は、前記左右方向に伸縮する後側伸縮領域と、脚回り開口の端縁部に沿って伸縮する脚回り弾性部材とを有し、
厚さ方向に見たときに、前記後側変形誘導部は、前記後側伸縮領域及び前記脚回り弾性部材の少なくとも何れかと重複する部分を有していない、ことを特徴とする吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸収性物品の吸収体(吸収性コア)に圧搾部(例えばエンボス)やスリット等を線状に設け、当該線状の圧搾部等に沿って吸収体を折れ曲がり変形させることで、着用者の身体にフィットさせやすくする技術が知られている。例えば、特許文献1には、吸収性コアの股下部において、長手方向に沿って延びる複数のスリットや溝(折曲誘導線部群50)を設け、外力が加わったときの変形の起点とすることで、吸収性コアにおける液の良好な拡散性及び良好な装着感をバランスよく実現する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-22727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1や従来の吸収性物品では、吸収性物品を装着した状態で歩行する場合のフィット性については十分考慮されていなかった。特に両脚を前後に動かした際に、吸収性コアが鼠径部につっぱったり、脚の動きに干渉したりして、装着者に違和感を生じさせる場合があった。
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、歩行時において鼠径部に違和感を生じさせ難い吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、展開状態において互いに交差する前後方向と横方向と厚さ方向とを有し、液吸収性の吸収性コアを有する吸収性本体を備え、前記前後方向において、前側に位置する前側胴回り部と、後側に位置する後側胴回り部と、前記前側胴回り部と前記後側胴回り部との間に位置する股下部と、を有する吸収性物品であって、前記前後方向における中央位置よりも前側に、前記吸収性コアを前記厚さ方向に変形するように誘導する前側変形誘導部が前記横方向に一対設けられており、一対の前記前側変形誘導部は、それぞれ、前記前後方向の前側から後側且つ前記横方向の外側から内側へ傾斜する前側傾斜部を有し、一対の前記前側変形誘導部は、それぞれ、傾斜が開始する傾斜開始点と、前記前側変形誘導部よりも後側に位置し且つ傾斜が終了する傾斜終了点と、を有し、前記傾斜開始点は、前記前後方向において前記前側胴回り部の後側の端よりも前側に位置し、前記傾斜終了点同士は、前記横方向において互いに離間している、ことを特徴とする吸収性物品である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、歩行時において鼠径部に違和感を生じさせ難い吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】おむつ1の概略斜視図である。
図2】展開且つ伸長状態のおむつ1の平面図である。
図3図2のA-A線での概略断面図である。
図4図4Aは、吸収性本体10の平面図であり、図4Bは、図4AのB-B線での概略断面図である。
図5】変形誘導部50の配置について説明する吸収性コア11の拡大平面図である。
図6図6Aは、比較例として、従来のパンツ型おむつを着用した状態で歩行した場合の吸収性本体の変形の様子について説明する図である。図6Bは、おむつ1を着用した状態で歩行した場合の吸収性本体10の変形の様子について説明する図である。
図7】吸収性本体10と胴回り部材20とを接合する本体接合部70の配置について説明する平面図である。
図8図8Aは、展開且つ伸長状態のおむつ2の平面図である。図8Bは、図8AのC-C線での概略断面図である。
図9図9Aは、展開且つ伸長状態のパッド3の平面図である。図9Bは、図9AのD-D線での概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
展開状態において互いに交差する前後方向と横方向と厚さ方向とを有し、液吸収性の吸収性コアを有する吸収性本体を備え、前記前後方向において、前側に位置する前側胴回り部と、後側に位置する後側胴回り部と、前記前側胴回り部と前記後側胴回り部との間に位置する股下部と、を有する吸収性物品であって、前記前後方向における中央位置よりも前側に、前記吸収性コアを前記厚さ方向に変形するように誘導する前側変形誘導部が前記横方向に一対設けられており、一対の前記前側変形誘導部は、それぞれ、前記前後方向の前側から後側且つ前記横方向の外側から内側へ傾斜する前側傾斜部を有し、一対の前記前側変形誘導部は、それぞれ、傾斜が開始する傾斜開始点と、前記前側変形誘導部よりも後側に位置し且つ傾斜が終了する傾斜終了点と、を有し、前記傾斜開始点は、前記前後方向において前記前側胴回り部の後側の端よりも前側に位置し、前記傾斜終了点同士は、前記横方向において互いに離間している、ことを特徴とする吸収性物品。
【0010】
このような吸収性物品によれば、着用者が歩行時に脚を前側に出すと、前側変形誘導部を起点として吸収性コアが鼠径部に沿って厚さ方向に折れ曲がるように変形する。また、一対の前側変形誘導部は互いに互いに離間しているため、歩行時に両脚を前後に動かした際に吸収性コアが左右の鼠径部の動きにそれぞれ追従して変形しやすい。したがって、歩行時において鼠径部に違和感を生じさせ難くすることができる。
【0011】
かかる吸収性物品であって、一対の前記前側傾斜部のうちの一方側における前記傾斜開始点と前記傾斜終了点とを結ぶ直線またはその延長線は、前記厚さ方向に見たときに、前記吸収性本体と重複する領域において、前記前側胴回り部の前記前後方向の後側の端と交差する、ことが望ましい。
【0012】
このような吸収性物品によれば、前側傾斜部の前後方向に対する傾斜角度が所定の大きさに制限され、前側変形誘導部が鼠径部に沿いやすくなる。したがって、歩行時の脚の動きに追従して、吸収性コアが自在に変形しやすくなり、鼠径部に違和感を生じさせ難くすることができる。
【0013】
かかる吸収性物品であって、前記前側変形誘導部は、前記股下部において前記前後方向に非連続な部分を有する、ことが望ましい。
【0014】
このような吸収性物品によれば、歩行時に、吸収性コアが鼠径部に沿って変形した場合であっても、変形による力が股下部には伝播し難い。そのため、股下部における吸収性本体のフィット性が維持されやすく、排泄漏れを生じ難くすることができる。
【0015】
かかる吸収性物品であって、前記吸収性コアは、前記横方向において外側から内側に括れた括れ部を有し、前記前後方向において、前記前側傾斜部と前記括れ部とが重複する部分を有する、ことが望ましい。
【0016】
このような吸収性物品によれば、括れ部では、吸収性コアの横方向における幅が狭くなっているため、歩行時に両脚と干渉し難くなる。さらに、括れ部と重複して前側傾斜部が設けられていることにより、吸収性コアの幅が狭くなった部分で前側傾斜部に沿ってより変形しやすくなる。したがって、歩行時において、吸収性コアが鼠径部と干渉し難く、且つ変形しやすくなり、着用者により違和感を生じさせ難くすることができる。
【0017】
かかる吸収性物品であって、前記前後方向における中央位置よりも後側に、前記吸収性コアを前記厚さ方向に変形するように誘導する後側変形誘導部が前記横方向に一対設けられており、一対の前記後側変形誘導部は、それぞれ、前記前後方向の後側から前側且つ前記横方向の外側から内側へ傾斜する後側傾斜部を有し、一対の前記後側変形誘導部は、それぞれ、傾斜が開始する傾斜開始点と、前記傾斜開始点よりも前側に位置し且つ傾斜が終了する傾斜終了点を有し、前記傾斜終了点同士は、前記横方向において互いに離間している、ことが望ましい。
【0018】
このような吸収性物品によれば、後側変形誘導部を起点として吸収性コアが臀部に沿って厚さ方向に折れ曲がるように変形することにより、臀部において脚と吸収性コアとの干渉が抑制され、着用者に違和感を生じさせ難い。また、一対の後側変形誘導部が互いに独立しているため、歩行時に両脚を前後に動かした際に吸収性コアが左右の臀部の動きに追従して変形しやすくなる。
【0019】
かかる吸収性物品であって、前記後側変形誘導部は、前記股下部において前記前後方向に非連続な部分を有する、ことが望ましい。
【0020】
このような吸収性物品によれば、歩行時に、臀部側において吸収性コアが後側変形誘導部に誘導されて変形した場合であっても、当該変形の影響は股下部には及び難く、股下部における吸収性コアの過度な変形が抑制される。これにより、股下部における吸収性本体のフィット性が維持されやすくなり、排泄漏れを生じ難くすることができる。
【0021】
かかる吸収性物品であって、前記吸収性コアは、前記横方向において外側から内側に括れた括れ部を有し、前記前後方向において、前記後側傾斜部と前記括れ部とが重複する部分を有する、ことが望ましい。
【0022】
このような吸収性物品によれば、後側括れ部では、吸収性コアの横方向における幅が狭くなっているため、歩行時に、吸収性コアが着用者の臀部や脚と干渉し難くなる。そして、後側括れ部と重複して後側傾斜部が設けられていることにより、吸収性コアは、臀部に沿って変形しやすくなる。これにより、臀部側において、着用者に違和感を生じさせ難くすることができる。
【0023】
かかる吸収性物品であって、前記横方向の一方側における前記前側傾斜部の前記傾斜開始点と前記傾斜終了点とを結ぶ直線の延長線と、前記横方向の他方側における前記後側傾斜部の前記傾斜開始点と前記傾斜終了点とを結ぶ直線の延長線とが、前記股下部にて交差する、ことが望ましい。
【0024】
このような吸収性物品によれば、前側傾斜部の傾斜角度と後側傾斜部の傾斜角度との差が過度に大きくならず、吸収性コアにおいて、前側傾斜部と後側傾斜部とが対角線上で対向するような配置となる。これにより、着用者が歩行する際に、一方側の脚を前側に出して他方側の脚を後側に出す動作に対応して、吸収性コアが変形しやすく、歩行動作に追従しやすくなり、着用者に違和感を生じさせ難くすることができる。
【0025】
かかる吸収性物品であって、前記前側傾斜部の前記傾斜開始点と前記傾斜終了点とを結ぶ直線の前記前後方向に対する傾斜角度は、前記後側傾斜部の前記傾斜開始点と前記傾斜終了点とを結ぶ直線の前記前後方向に対する傾斜角度以下である、ことが望ましい。
【0026】
このような吸収性物品によれば、前側傾斜部は、傾斜角度をある程度急な角度にしておくことにより、着用時に鼠蹊部に沿いやすくすることができる。一方、後側傾斜部は、傾斜角度を緩くしておくことにより、一対の後側傾斜部間の領域の面積が広く確保され、臀部に対して吸収性コアが面でフィットしやすくなる。
【0027】
かかる吸収性物品であって、前記前側変形誘導部において、前記傾斜開始点と前記傾斜終了点との間の前記前側変形誘導部に沿った長さは、前記後側変形誘導部において、前記傾斜開始点と前記傾斜終了点との間の前記後側変形誘導部に沿った長さよりも長い、ことが望ましい。
【0028】
このような吸収性物品によれば、前側変形誘導部の傾斜部をなるべく長くすることにより、着用時に傾斜部が着用者の鼠蹊部の広範囲に亘って沿いやすくなり、吸収性コアが鼠蹊部に沿って変形しやすくなる。したがって、歩行時において、鼠蹊部に違和感を生じ難くさせることができる。
【0029】
かかる吸収性物品であって、前記後側変形誘導部において、前記傾斜開始点と前記傾斜終了点との間の前記後側変形誘導部に沿った長さは、前記前側変形誘導部において、前記傾斜開始点と前記傾斜終了点との間の前記前側変形誘導部に沿った長さ以上である、ことが望ましい。
【0030】
このような吸収性物品によれば、後側変形誘導部の傾斜部をなるべく長くすることにより、臀部側において、吸収性コアのうち、一対の傾斜部によって囲まれる領域が面を維持しやすくなり、臀部における違和感を生じ難くすることができる。
【0031】
かかる吸収性物品であって、前記吸収性コアは、一対の前記前側変形誘導部の前記横方向の間に、前記前後方向に沿ったスリットを有し、前記前後方向において、前記前側傾斜部と前記スリットとが重複する部分を有している、ことが望ましい。
【0032】
このような吸収性物品によれば、横方向一方側の前側傾斜部に沿って吸収性コアが変形した場合、当該変形の影響がスリットによって遮断され、横方向他方側の前側傾斜部には伝達され難くなる。したがって、横方向の一方側と他方側とで吸収性コアの変形が独立し、歩行時における左右の脚(鼠蹊部)の動きに対応して、より柔軟に追従しやすくなる。これにより、着用者に違和感を生じ難くすることができる。
【0033】
かかる吸収性物品であって、前記前後方向において、前記前側傾斜部と前記スリットとが重複する部分の長さは、前記前後方向において、前記後側傾斜部と前記スリットとが重複する部分の長さよりも長い、ことが望ましい。
【0034】
このような吸収性物品によれば、後側傾斜部とスリットとが重複する部分の長さが短ければ、後側傾斜部に沿った吸収性コアの変形が横方向の一方側と他方側とで分断され難く、吸収性コアが臀部の左右で一体的に変形しやすくなる。これにより、面積の広い臀部側において、吸収性コアが、着用者の身体に面でフィットしやすくなる。
【0035】
かかる吸収性物品であって、前記前側胴回り部と前記後側胴回り部とが前記横方向の両端部において一対のサイド接合部によって互いに接合され、胴回り開口と一対の脚回り開口とを備えたパンツ型の形状を有し、前記パンツ型の形状において、互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、前記上下方向において、前記前側傾斜部の前記傾斜開始点は、前記サイド接合部の下端よりも上側に位置している、ことが望ましい。
【0036】
このような吸収性物品によれば、パンツ側の吸収性物品を着用した際に、前側傾斜部の位置が鼠径部の位置とずれにくくなる。これにより、歩行時の脚の動きに追従して、吸収性コアが鼠径部に沿って変形しやすくなる。
【0037】
かかる吸収性物品であって、前記前側胴回り部は、前記左右方向に伸縮する前側伸縮領域を有し、前記前側伸縮領域は、前記左右方向に単位長さだけ伸長させたときの力が、他の領域よりも大きい前側高伸縮領域を備え、厚さ方向に見たときに、前記前側高伸縮領域と前記前側傾斜部とが重複する部分を有している、ことが望ましい。
【0038】
このような吸収性物品によれば、着用時に、前側高伸縮領域が発現する伸縮性によって吸収性コア及び前側傾斜部が着用者の肌に押し付けられやすくなる。これにより、吸収性コアが前側傾斜部に基づいて変形したときの身体への追従性が高まり、歩行時における鼠蹊部への違和感を低減しやすくすることができる。
【0039】
かかる吸収性物品であって、前記前側胴回り部と前記吸収性本体とを接合する本体接合部を有し、前記厚さ方向に見たときに、前記前側伸縮領域と前記前側傾斜部と前記本体接合部とが重複する部分を有している、ことが望ましい。
【0040】
このような吸収性物品によれば、胴回り部材において前側高伸縮領域が発現する伸縮力が、本体接合部を介して、吸収性本体(吸収性コア)の前側傾斜部に作用しやすくなる。したがって、吸収性コア及び前側傾斜部が着用者の肌により押し付けられやすく、吸収性コアが前側傾斜部に基づいて変形したときの身体への追従性がより高まる。
【0041】
かかる吸収性物品であって、前記前後方向における中央位置よりも後側に、前記吸収性コアを厚さ方向に変形するように誘導する後側変形誘導部が前記横方向に一対設けられており、
前記後側胴回り部は、前記左右方向に伸縮する後側伸縮領域と、脚回り開口の端縁部に沿って伸縮する脚回り弾性部材とを有し、
厚さ方向に見たときに、前記後側変形誘導部は、前記後側伸縮領域及び前記脚回り弾性部材の少なくとも何れかと重複する部分を有していないことが望ましい。
【0042】
このような吸収性物品によれば、後側伸縮領域及び脚回り弾性部材が発現する伸縮性が、吸収性コアのうち後側傾斜部には作用し難く、後側傾斜部は着用者の身体に押し付けられ難い。したがって、臀部側では吸収性コアが横方向に収縮し難くなり、排泄漏れが生じることや着用者に違和感を生じさせたりすることが抑制される。
【0043】
===第1実施形態===
本発明の第1実施形態に係る吸収性物品として、パンツ型使い捨ておむつ1(以下、「おむつ1」とも呼ぶ)を例に挙げて説明する。
【0044】
<おむつ1の基本構成>
図1は、おむつ1の概略斜視図である。図2は、展開且つ伸長状態のおむつ1の平面図である。図3は、図2のA-A線での概略断面図である。なお、おむつ1の「伸長状態」とは、おむつ1全体(製品全体)を皺なく伸長させた状態、具体的には、おむつ1を構成する各部材(例えば、後述する吸収性本体10や,胴回り部材20等)の寸法がその部材単体の寸法と一致又はそれに近い寸法になるまで伸長させた状態のことを言う。
【0045】
おむつ1は、自然状態においてパンツ型形状を有する使い捨ておむつであり、図1のパンツ型状態において、互いに交差する「上下方向」と「左右方向」と「前後方向」とを有し、胴回り開口BHと一対の脚回り開口LH,LHとを有している。上下方向の上側が胴回り開口BH側に対応し、下側が股下側に対応する。また、前後方向の前側が着用者の腹側に対応し、後側が着用者の背側に対応する。また、図2の展開状態において、おむつ1は、互いに交差する「前後方向」と「横方向」とを有する。図2の展開状態における前後方向は、図1のパンツ型状態における上下方向及に沿った方向であり、吸収性本体10の長手方向に相当する。以下では、おむつ1の展開状態における「前後方向」を「縦方向」と呼ぶ場合がある。また、図3に示すように、おむつ1を構成する資材が積層された方向を「厚さ方向」とする。厚さ方向において着用者の肌と接する側を肌側とし、その反対側を非肌側とする。
【0046】
おむつ1は、排泄物を吸収する液吸収性の吸収性本体10と、吸収性本体10の非肌側に配置された胴回り部材20とを有している。胴回り部材20は、おむつ1の外装を構成する外装部材である。
【0047】
図2の展開状態から、縦方向(前後方向)の中央位置CLを折り位置として吸収性本体10及び胴回り部材20が二つ折りされる。この二つ折りの状態において互いに対向する胴回り部材20の前側部分と胴回り部材20の後側部分とが、横方向(左右方向)の両側部にて互いに接合・連結され、一対のサイド接合部20s,20sが形成される。すなわち、一対のサイド接合部20s,20sによって胴回り部材20の前側部分と胴回り部材20の後側部分とが環状に成形される。なお、サイド接合部20sは、溶着や接着等の公知の接合手段によって形成されている。これにより、図1に示すような胴回り開口BH及び一対の脚回り開口LH,LHが形成されたパンツ型状態のおむつ1となる。
【0048】
本実施形態では、図2に示されるように、胴回り部材20の縦方向(前後方向)において、前側に形成されるサイド接合部20sと重複する部分を「前側胴回り部30」と呼ぶ。前側胴回り部30は、おむつ1の着用時に着用者の腹側に位置する部分である。同様に、胴回り部材20の縦方向(前後方向)において、後側に形成されるサイド接合部20sと重複する部分を「後側胴回り部40」と呼ぶ。後側胴回り部40は、おむつ1の着用時に着用者の背側(臀部側)に位置する部分である。そして、縦方向(前後方向)において、前側胴回り部30と後側胴回り部40との間に位置する部分を「股下部CA」と呼ぶ。股下部CAは、おむつ1の着用時に着用者の股間に位置する部分である。
【0049】
(吸収性本体10)
図4Aは、吸収性本体10の平面図であり、図4Bは、図4AのB-B線での概略断面図である。吸収性本体10は、排泄液を吸収する吸収性コア11と、吸収性コア11よりも厚さ方向の肌側に配置されたトップシート12と、吸収性コア11よりも非肌側に配置されたバックシート13とを有する。但し、吸収性本体10が、これ以外のシート部材を備えていても良い。例えば、トップシート12と吸収性コア11との厚さ方向の間に、セカンドシート(不図示)を備えていてもよい。
【0050】
吸収性コア11は、尿等の排泄液を吸収して保持する部材であり、例えば高吸収性ポリマー(SAP)が混入したパルプ繊維等の液体吸収性繊維により形成される。なお、吸収性コア11は、ティッシュペーパーや不織布等の液透過性のシート部材(コアラップシート11b)によって、外周面が覆われていても良い。本実施形態の吸収性コア11は、前後方向(縦方向)の前側端と後側端との間に、横方向(左右方向)における幅が狭くなった部分である括れ部11c1,11c2を有している。また、吸収性コア11には、該吸収性コア11を厚さ方向に変形するように誘導する変形誘導部50や、スリット60が設けられている。変形誘導部50及びスリット60については後で説明する。
【0051】
トップシート12は、液透過性のシートであり、例えば親水性のエアスルー不織布やスパンボンド不織布等が用いられる。本実施形態では、図4Bのように吸収性コア11を巻き込むように、左右方向の両側部が非肌側に折り返されている。
【0052】
バックシート13は、液不透過性シート13aと、その非肌側に配された外装シート13bと、の二層構造である。液不透過性シート13aとしては、不透液性かつ透湿性を有するシート部材が用いられる。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂を主体としたシートに微細な孔が複数設けられた、微多孔性の通気性樹脂フィルムを用いることができる。すなわち、液不透過性シート13aは、液体は透過させない「防漏性」を有するが、水蒸気や空気を透過させる「透湿性」や「通気性」を有するシート部材である。一方、外装シート13bとしては、柔軟性を有する疎水性の不織布が用いられる。例えば、エアスルー不織布やスパンボンド不織布等を用いることができる。
【0053】
吸収性本体10の左右方向の両側部には、縦方向(前後方向)に沿って一対の防漏壁部15が設けられている。本実施形態において、防漏壁部15は、上述した外装シート13bによって形成されている。具体的には、横方向(左右方向)において、外装シート13bの一部が吸収性コア11の両端よりも外側に延出しつつ、図4Bのように肌側に複数個所で折り曲げられることによって、一対の防漏壁部15が形成される。防漏壁部15の肌側端部(先端部)には、糸ゴム等の防漏壁弾性部材16が縦方向(前後方向)に沿って伸長した状態で取り付けられている。おむつ1の着用時には、該防漏壁弾性部材16が発現する伸縮性に基づいて、防漏壁部15が着用者の肌側に起立し、着用者の股間部にフィットする。
【0054】
(胴回り部材20)
胴回り部材20は、図3に示されるように、厚さ方向の肌側に配置された肌側シート21と、肌側シート21の非肌側に隣接するように積層された非肌側シート32(前側)及び非肌側シート42(後側)とを有する。おむつ1の外装部材たる胴回り部材20は、基本的に肌側シート21と非肌側シート32(42)との2層構造であるが、部分的に3層以上の構成を有していていも良い。
【0055】
先ず、胴回り部材20のうち、前側胴回り部30の構成について説明する。前側胴回り部30は、肌側シート21と、非肌側シート32と、両者の厚さ方向の間に設けられた胴回り弾性部材35及び脚回り弾性部材37とを有する。肌側シート21は、おむつ1の前側胴回り部30から後側胴回り部40まで連続するシート部材であり、例えばSMS不織布等によって形成されている。非肌側シート32は、肌側シート21の非肌側に積層されたシート部材であり、例えばSMS不織布等によって形成されている。非肌側シート32の上端部(前後方向における前側端部)は非肌側から肌側、且つ、前後方向の前側から後側に折り返され、折り返し部32fを形成している。この折り返し部32fによって肌側シート21の一部(上端部)が覆われることにより、肌側シート21の上端エッジが着用者の肌に食い込んでしまうことが抑制される。但し、折り返し部32fは必ずしも設けられていなくても良い。
【0056】
胴回り弾性部材35は、糸ゴム等によって構成され、肌側シート21と非肌側シート32との間に、上下方向に間隔を空けて複数配置されるとともに、左右方向に伸長された状態で取り付けられている。この胴回り弾性部材35が発現する伸縮性によって、前側胴回り部30が着用者の腹側胴回りにフィットする。脚回り弾性部材37は、胴回り弾性部材35と同様に、糸ゴム等によって構成され、前側胴回り部30の上下方向における下側の端縁部(すなわち、脚回り開口LHの周縁部の一部)に沿うように、肌側シート21と非肌側シート32との間に左右方向に伸長された状態で取り付けられている。脚回り弾性部材37が発現する伸縮性によって、脚回り開口LHが着用者の脚回りにフィットする。
【0057】
胴回り弾性部材35及び脚回り弾性部材37の取り付けは、何れもホットメルト接着剤等の接着剤を用いて行うことができる。例えば、胴回り弾性部材35(脚回り弾性部材37)に沿って連続的若しくは断続的にホットメルト接着剤を塗布し、所定の伸長倍率で伸長させて肌側シート21と非肌側シート32とで挟み込むことによって胴回り弾性部材35(脚回り弾性部材37)を取り付けることができる。なお、脚回り弾性部材37は、胴回り弾性部材35よりも大きな伸長倍率で胴回り部材20に取り付けられており、これにより、脚回り弾性部材37が発現する伸縮力は、胴回り弾性部材35が発現する伸縮力よりも強くなっている。すなわち、横方向(左右方向)に単位長さだけ伸長させるときに要する力(応力)は、脚回り弾性部材37の方が胴回り弾性部材35よりも大きくなっている。
【0058】
胴回り部材20のうち、後側胴回り部40は、前側胴回り部材30と略同様の構成を有する。すなわち、後側胴回り部40は、厚さ方向の肌側に配置された肌側シート21と、肌側シート21の非肌側に積層された非肌側シート42と、肌側シート21と非肌側シート42との厚さ方向の間に設けられた胴回り弾性部材45を有する。
【0059】
胴回り部材20の外観形状は、前後方向の前側と後側とで一部が異なっている。具体的に、図2のように、後側胴回り部40のサイド接合部20sよりも上下方向の下側の領域(股下部CA)に、略台形形状の臀部カバー46が設けられている。臀部カバー46は、後側胴回り部40と同様に非肌側シート42と、肌側シート21とが積層されることによって形成され、上下方向の上側から下側に向かって横方向の幅が狭くなっている。当該臀部カバー46が設けられていることによって、おむつ1の着用時に胴回り部材20が着用者の臀部を広く被覆することが可能となっている。
【0060】
臀部カバー46には、図2に示されるような糸ゴム等の脚回り弾性部材47が設けられている。脚回り弾性部材47は、臀部カバー46の外縁部(すなわち、脚回り開口LHの周縁部の一部)に沿って伸長した状態で肌側シート21と非肌側シート42との間に取り付けられており、該後脚回り弾性部材47が発現する伸縮性によって、おむつ1着用時に、臀部カバー46が着用者の臀部にフィットしやすくなり、また、臀部から捲れにくくなる。
【0061】
<歩行動作時の追従性について>
おむつ1では、吸収性本体10(吸収性コア11)に設けられた変形誘導部50によって吸収性コア11を厚さ方向に変形しやすくすることで、歩行動作時における追従性を高めることができる。以下、変形誘導部50の詳細について説明する。
【0062】
図5は、変形誘導部50の配置について説明する吸収性コア11の拡大平面図である。変形誘導部50は、吸収性コア11の他の領域と比較して坪量が低くなっている低坪量部であり、例えば、吸収性コア11の厚さ方向の肌側から非肌側に向かって凹状に形成された部分である(図4B参照)。おむつ1の着用時には、この変形誘導部50が折れ曲がりの起点となって、吸収性コア11を厚さ方向に変形するように誘導する。
【0063】
なお、変形誘導部50は上述のような低坪量部に限られるものではなく、例えば、吸収性コア11の坪量がゼロとなったスリットや、吸収性コア11の剛性が高くなった高剛性部であっても良い。また、吸収性コア11の所定の部分に折り癖を付けて折れ曲がり変形を生じ易くさせたものや、その他の構成であってもよい。但し、鼠径部における違和感低減の観点から、おむつ1の着用時に肌当たりがソフトであることが望ましく、変形誘導部50は、上述の様な低坪量部によって構成されていることがより好ましい。
【0064】
おむつ1において、変形誘導部50は、前後方向において中央位置CLよりも前側の領域に設けられた前側変形誘導部51と、中央位置CLよりも後側の領域に設けられた後側変形誘導部52とを有している。前側変形誘導部51及び後側変形誘導部52は、それぞれ横方向(左右方向)に間隔を空けて一対設けられている。
【0065】
一対の前側変形誘導部51,51は、それぞれ、前後方向に沿った直線部51lと、前後方向に対して傾斜した前側傾斜部51dとを有している。前側傾斜部51dは、図5に示されるように、前後方向の前側から後側且つ横方向の外側から内側へ傾斜した部位である。そして、前側変形誘導部51の傾斜が開始される点を傾斜開始点51dsとして、傾斜開始点51dsよりも後側に位置し且つ傾斜が終了する点を傾斜終了点51deとする。前側傾斜部51dは、傾斜開始点51dsと傾斜終了点51deとの間で直線状に形成されていても良いし、曲線状に形成されていても良い。また、前側変形誘導部51において直線部51lは必ずしも設けられていなくても良いし、前側変形誘導部51の一部に非連続部分が有っても良い。
【0066】
同様に、一対の後側変形誘導部52,52も、それぞれ、前後方向に沿った直線部52lと、前後方向に対して傾斜した後側傾斜部52dとを有している。後側傾斜部52dは、前後方向の後側から前側且つ横方向の外側から内側へ傾斜した部位であり、後側変形誘導部52の傾斜が開始される点を傾斜開始点52dsとして、傾斜開始点52dsよりも前側に位置し且つ傾斜が終了する点を傾斜終了点52deとする。後側傾斜部52dは、傾斜開始点52dsと傾斜終了点52deとの間で直線状に形成されていても良いし、曲線状に形成されていても良い。また、後側変形誘導部52において直線部52lは必ずしも設けられていなくても良いし、後側変形誘導部52の一部に非連続部分が有っても良い。
【0067】
また、前側変形誘導部51及び後側変形誘導部52には、各々横方向に延出した横長部51w,52wが複数設けられている(図5参照)。例えば、前側変形誘導部51において、直線部52lや前側傾斜部51dと交差するように横長部51wが設けられていることにより、吸収性コア11が柔軟に変形しやすくなり、且つ、吸収した尿等の排泄液を横方向に拡散させやすくすることができる。
【0068】
おむつ1の使用者(着用者)がおむつ1を着用すると、前側変形誘導部51は着用者の鼠径部に沿った位置に配置され、後側変形誘導部52は着用者の臀部に沿った位置に配置される。この状態で、着用者が歩行等によって脚を前後に動かすと、吸収性コア11が前側変形誘導部51及び後側変形誘導部52に沿って厚さ方向に折れ曲がり変形を生じ、両脚の動きに干渉し難くなる。図6Aは、比較例として、従来のパンツ型おむつを着用した状態で歩行した場合の吸収性本体の変形の様子について説明する図である。図6Bは、本実施形態のおむつ1を着用した状態で歩行した場合の吸収性本体10の変形の様子について説明する図である。
【0069】
従来のパンツ型おむつでは、着用者が歩行時に片方の脚を前側に出すと、剛性の高い吸収性コアが脚に干渉し、違和感を生じさせやすかった。例えば、歩行者の脚の動きに対して、吸収性コアが追従し難いため、吸収性本体(吸収性コア)の端縁部(エッジ部分)が鼠径部に当たってしまい、鼠径部においてごわつき感やつっぱり感を生じさせやすくなっていた(図6A参照)。
【0070】
これに対して、本実施形態のおむつ1では、着用者が歩行時に片方の脚を前側に出すと、前側変形誘導部51を起点として吸収性コア11が鼠径部に沿って厚さ方向に折れ曲がるように変形する。つまり、着用者の歩行時等の脚の動きに追従して、吸収性コア11が自在に変形しやすく、吸収性コア11のエッジ部分が鼠径部に当たったり、脚の動きに干渉したりすることが抑制される。
【0071】
特に、本実施形態のようなパンツ側のおむつ1では、前側変形誘導部51の傾斜開始点51dsが、前側胴回り部30の前後方向における後側の端よりも前側(図6Bでは、サイド接合部20sの上下方向における下側の端30bよりも上側)に位置している。着用者の鼠径部は、通常、脚の付け根に沿って股関節の上側まで延びていることから、傾斜開始点51dsが前側胴回り部30の後側端30bよりも前側(下側端よりも上側)に位置していることにより、前後方向(上下方向)において前側傾斜51dの位置が鼠径部の位置とずれにくくなる。そして、前側変形誘導部51によって変形した吸収性本体10(吸収性コア11)の端部が鼠径部に接触することによって、吸収性本体10の位置ズレが生じ難くなる。これにより、脚の動きに追従して、吸収性コア11が鼠径部に沿って変形しやすくなる。
【0072】
また、一対の前側変形誘導部51,51において、傾斜終了点51de同士は、横方向(左右方向)において互いに離間している。すなわち、一対の前側変形誘導部51,51は互いに独立して設けられている。したがって、横方向の一方側(例えば左側)において前側変形誘導部51によって誘導される吸収性コア11の変形は、横方向の他方側(例えば右側)において前側変形誘導部51によって誘導される吸収性コア11の変形の影響を受けにくい。これにより、歩行時に両脚を前後に動かした際に吸収性コア11が左右の鼠径部の動きに追従して変形しやすくなる。
【0073】
このように、おむつ1では、吸収性コア11に設けられた前側変形誘導部51によって、おむつ1を着用した状態で着用者が歩行を行った場合でも、吸収性コア11が脚の動きに追従して自在に変形を生じやすい。したがって、歩行時において鼠径部に違和感を生じさせ難くすることができる。
【0074】
また、前側変形誘導部51の傾斜開始点51dsと傾斜終了点51deとを結ぶ直線、若しくはその延長線は、厚さ方向に見たときに吸収性本体10と重複する領域において、前側胴回り部30の前後方向の後側の端30bと交差している。図5では、横方向の一方側(左側)の前側変形誘導部51において、傾斜開始点51dsと傾斜終了点51deとを結んだ直線の延長線El51と、前側胴回り部30の後側端(下端)30bとの交点cp51が、厚さ方向に見たときに吸収性本体10と重複する領域に位置している。
【0075】
このような構成であれば、前後方向に対する前側傾斜部51d(延長線El51)の傾斜角度θ51が所定の大きさに制限される。図5において、仮に、延長線El51が、吸収性本体10の横方向の右側端よりも右側(つまり、吸収性本体10の外側)で、前側胴回り部30の後側端30bと交差していた場合、前側傾斜部51dの傾斜角度θ51が過度に大きくなり、おむつ1の着用時に、前側変形誘導部51(前側傾斜部51d)が着用者の鼠径部に沿い難くなる。この場合、吸収性コア11が歩行時の脚の動きに追従して変形し難くなるおそれがある。これに対して、傾斜角度θ51の大きさを制限することによって、前側変形誘導部51を鼠径部に沿いやすくすることができる。したがって、歩行時の脚の動きに追従して、吸収性コア11が自在に変形しやすくなり、鼠径部に違和感を生じさせ難くすることができる。
【0076】
また、前側変形誘導部51は、股下部CAにおいて前後方向に非連続となる部分を有している。図5では、前側変形誘導部51の傾斜終了点51deが、前側胴回り部30の後側端30bよりも前側に位置しており、股下部CAの全体で前側変形誘導部51が非連続となっている。したがって、着用者がおむつ1を着用した状態で歩行した際に、前側変形誘導部51に誘導されて吸収性コア11が変形した場合であっても、当該変形の影響は股下部CAには及び難く、股下部CAにおける吸収性コア11の過度な変形が抑制される。
【0077】
例えば、従来のパンツ型おむつでは、図6Aのように歩行時に吸収性コアが鼠径部と干渉した場合、両脚の間で横方向に圧縮された吸収性コアは、股下部において着用者の身体から離れるように変形しやすい。そのため、吸収性本体と着用者の身体との間に隙間が生じて排泄漏れが生じ易くなる。これに対して、本実施形態のおむつ1では、歩行時に、吸収性コア11が鼠径部に沿って変形したとしても、変形による力が股下部には伝播し難い。そのため、股下部における吸収性本体10のフィット性は維持されやすく、排泄漏れを生じ難くすることができる。
【0078】
また、吸収性コア11には、横方向において外側から内側に括れた括れ部11cが設けられているが、この括れ部11cと前側傾斜部51dとが前後方向において重複する部分を有していることが望ましい。図5では、前後方向における中央位置CLよりも前側に形成された前側括れ部11c1と、前側傾斜部51dとが前後方向における一部で重複している。前側括れ部11c1では、吸収性コア11の横方向における幅が狭くなっているため、歩行時に、吸収性コア11が着用者の両脚と干渉し難くなる。さらに、前側括れ部11c1と重複して前側傾斜部51dが設けられていることにより、吸収性コア11は、幅が狭くなった前側括れ部11c1において、前側傾斜部51dに沿って変形しやすくなる。したがって、おむつ1を着用した状態で歩行する際に、吸収性コア11が着用者の脚や鼠径部と干渉し難く、且つ変形しやすくなり、着用者により違和感を生じさせ難くすることができる。
【0079】
歩行時における吸収性コア11の前側の領域での変形について説明したが、吸収性コア11の後側の領域も、後側変形誘導部52によって変形が生じ易くなっている。具体的に、着用者が歩行時に片側の脚を前に出すと、反対側の脚が後側に残る。このとき、後側変形誘導部52を起点として吸収性コア11が臀部に沿って厚さ方向に折れ曲がるように変形することにより、臀部において脚と吸収性コア11との干渉が抑制され、着用者に違和感を生じさせ難い。
【0080】
そして、図5からも明らかなように、横方向の一方側(例えば左側)に配置されている前側変形誘導部51の前側傾斜部51dと、横方向の他方側(例えば右側)に配置されている後側変形誘導部52の後側傾斜部52dとは、ほぼ対角線上に位置している。したがって、一方側の脚を前に出し、他方側の脚を後ろに出す動作において、鼠径部(前側)と臀部(後側)との両方で両脚の動きに追従して吸収性コア11が変形しやすくなり、歩行時の違和感を生じ難くさせることができる。
【0081】
また、前側変形誘導部51と同様に、一対の後側変形誘導部52,52において、傾斜終了点52de同士は、横方向(左右方向)において互いに離間している。したがって、横方向(左右方向)の一方側において後側変形誘導部52によって誘導される吸収性コア11の変形は、横方向(左右方向)の他方側において後側変形誘導部52によって誘導される吸収性コア11の変形の影響を受けにくい。これにより、歩行時に両脚を前後に動かした際に吸収性コア11が左右の臀部の動きに追従して変形しやすくなる。
【0082】
また、後側変形誘導部52は、股下部CAにおいて前後方向に非連続となる部分を有している。図5では、股下部CAにおいて、傾斜終了点52deよりも前側には他の変形誘導部が形成されておらず、後側変形誘導部52は非連続部を有している。したがって、着用者がおむつ1を着用した状態で歩行した際に、後側変形誘導部52に誘導されて臀部側において吸収性コア11が変形した場合であっても、当該変形の影響は股下部CAの全体には及び難く、股下部CAにおける吸収性コア11の過度な変形が抑制される。これにより、股下部における吸収性本体10のフィット性が維持されやすくなり、排泄漏れを生じ難くすることができる。
【0083】
また、吸収性コア11の括れ部11cと後側傾斜部52dとが前後方向において重複する部分を有していることが望ましい。図5では、前後方向において前側括れ部11c1よりも後側に形成された後側括れ部11c2と、後側傾斜部52dとが前後方向における一部で重複している。後側括れ部11c2では、吸収性コア11の横方向における幅が狭くなっているため、歩行時に、吸収性コア11が着用者の臀部側で脚と干渉し難くなる。そして、後側括れ部11c2と重複して後側傾斜部52dが設けられていることにより、吸収性コア11は、臀部に沿って変形しやすくなる。これにより、臀部側において、着用者に違和感を生じさせ難くすることができる。
【0084】
また、横方向の一方側(図5では左側)に配置された前側変形誘導部51の傾斜開始点51dsと傾斜終了点51deとを結ぶ直線、若しくはその延長線El51と、横方向の他方側(図5では右側)に配置された後側変形誘導部52の傾斜開始点52dsと傾斜終了点52deとを結ぶ直線、若しくはその延長線El52とが、股下部CAにおいて交差することが望ましい。例えば、前側傾斜部51dの延長線El51の前後方向に対する傾斜角度がθ51であるときに、股下部CAにおいて後側傾斜部52dの延長線El52が延長線El51と交差するためには、延長線El52の前後方向に対する傾斜角度θ52の大きさが所定の範囲に制限される。すなわち、前側傾斜部51dの傾斜角度θ51と後側傾斜部52dの傾斜角度θ52とが過度に異ならないことが必要となる。
【0085】
図5では、前側傾斜部51dの延長線El51と、後側傾斜部52dの延長線El52との交点IP50が、股下部CAに位置している。したがって、前側傾斜部51dの傾斜角度θ51と後側傾斜部52dの傾斜角度θ52との差が過度に大きくならず、吸収性コア11において、前側傾斜部51dと後側傾斜部52dとが対角線上で対向するような配置となる。これにより、おむつ1の着用者が歩行する際に、一方側の脚を前側に出して他方側の脚を後側に出す動作に対応して、吸収性コア11が変形しやすく、歩行動作に追従しやすくなり、着用者に違和感を生じさせ難くすることができる。
【0086】
なお、前側傾斜部51d(延長線El51)の傾斜角度θ51と後側傾斜部52d(延長線El52)の傾斜角度θ52との差は15度以内であることが望ましい。傾斜角度θ51とθ52との差が15度以内であれば、おむつ1の前側においては吸収性コア11が着用者の鼠蹊部に対して突っ張らず、対角の背側においては吸収性コア11が着用者の臀部の形や動きに追従して自在に変形しやすい。したがって、鼠蹊部、臀部ともに、着用者に違和感をより生じさせ難くなる。
【0087】
さらに、おむつ1において、前側傾斜部51dの延長線El51の前後方向に対する傾斜角度θ51は、後側傾斜部52dの延長線El52の前後方向に対する傾斜角度θ52以下であることが、より望ましい(θ51≦θ52)。前側傾斜部51dは、おむつ1の着用時に鼠蹊部に沿いやすくするために、前後方向に対する傾斜角度をある程度急な角度にしておくことが好ましい。一方、後側傾斜部52dは、臀部に対して吸収性コア11が面でフィットしやすくするために、前後方向に対する傾斜角度を緩くして、横方向(左右方向)において一対の後側傾斜部52d,52dの間の領域の面積を広く確保できるようにしておくことが好ましい。これにより、歩行時において、前側では吸収性コア11が鼠蹊部に沿って変形しやすく、後側では吸収性コア11が臀部に沿って変形しつつ面でフィットしやすくすることができる。
【0088】
また、前側変形誘導部51において、傾斜開始点51dsと傾斜終了点51deとの間の前側変形誘導部51に沿った長さは、後側変形誘導部52において、傾斜開始点52dsと傾斜終了点52deとの間の後側変形誘導部52に沿った長さよりも長くなっている(図5参照)。前側変形誘導部51の前側傾斜部51dをなるべく長くすることにより、おむつ1の着用時に前側傾斜部51dが着用者の鼠蹊部の広範囲に亘って沿いやすくなり、吸収性コア11が鼠蹊部に沿って変形しやすくなる。したがって、歩行時において、鼠蹊部により違和感を生じ難くさせることができる。
【0089】
逆に、後側変形誘導部52において、傾斜開始点52dsと傾斜終了点52deとの間の後側変形誘導部52に沿った長さが、前側変形誘導部51において、傾斜開始点51dsと傾斜終了点51deとの間の前側変形誘導部51に沿った長さ以上となるようにしても良い。後側変形誘導部52の後側傾斜部52dをなるべく長くすることにより、臀部側において、吸収性コア11のうち一対の後側傾斜部52d,52dによって囲まれる領域の面積が広く確保されやすくなる。したがって、吸収性コア11が臀部に面でフィットしやすくなり、歩行時における違和感を生じ難くすることができる。
【0090】
また、吸収性コア11には、横方向(左右方向)の中央部において、前後方向(上下方向)に沿ったスリット60が設けられている。スリット60は、吸収性コア11において、高吸収性ポリマー(SAP)や液体吸収性繊維が設けられていない部分であり、図5では、横方向に所定の幅を有し、吸収性コア11を厚さ方向に貫通する縦長の溝として設けられている。おむつ1の着用時には、吸収性コア11が股下部CAにおいてスリット60に沿って肌側に凸変形することで、着用者の排泄口や臀部の割れ目に沿ってフィットしやすくなり、股下部で排泄物の吸収性を向上させることができる。
【0091】
本実施形態において、スリット60は、横方向において一対の前側変形誘導部51,51の間に設けられており、前後方向において前側傾斜部51d,51dと重複する部分を有している(図5参照)。スリット60と前側傾斜部51dとが重複している領域では、横方向の一方側の前側傾斜部51dに沿って吸収性コア11が変形した場合、当該変形の影響がスリット60によって遮断され、横方向の他方側の前側傾斜部51dには伝達され難くなる。すなわち、横方向の一方側と他方側とで吸収性コア11が各々の前側傾斜部51dに沿って独立して変形しやすくなる。したがって、歩行時における左右の脚(鼠蹊部)の動きに対応して、吸収性コア11がより柔軟に追従可能となるため、着用者に違和感を生じさせ難くすることができる。
【0092】
なお、スリット60は、前後方向において後側傾斜部52d,52dとも重複する部分を有していてもよい。その場合、後側傾斜部52dとスリット60とが重複する部分の長さは、前側傾斜部51dとスリット60とが重複する部分の長さよりも短いことが望ましい。前後方向において後側傾斜部52dとスリット60とが重複する部分の長さが短ければ、後側傾斜部52dに沿った吸収性コア11の変形が横方向の一方側と他方側とで分断され難く、一対の後側傾斜部52d,52dの間の領域で吸収性コア11が一体的に変形しやすくなる。これにより、面積の広い臀部側において、吸収性コア11が、着用者の身体に面でフィットしやすくなる。図5では、前後方向において後側傾斜部52d,52dがスリット60と重複する部分の長さがゼロであるため、吸収性コア11が臀部に一体的にフィットしやすい。したがって、歩行時において脚を前後に動かす動作に干渉し難く、且つ、臀部におけるフィット性を向上させることができる
【0093】
また、図2で説明した様に、おむつ1の前側胴回り部30には、横方向(左右方向)に伸縮性を備えた胴回り弾性部材35及び脚回り弾性部材37が設けられており、脚回り弾性部材37が発現する伸縮力は、胴回り弾性部材35が発現する伸縮力よりも強くなっている。すなわち、おむつ1の前側胴回り部30は、横方向(左右方向)に伸縮する前側伸縮領域を有しており、その中で脚回り弾性部材37が配置されている部分は、他の領域と比較して伸縮力(単位長さだけ伸長させるときに要する力)が大きい前側高伸縮領域heaとなっている。
【0094】
そして、おむつ1の厚さ方向に見たときに、前側高伸縮領域heaと前側傾斜部51dとが重複する部分を有している。したがって、おむつ1を着用した際には、前側胴回り部30において前側高伸縮領域heaが発現する伸縮性によって吸収性コア11及び前側傾斜部51dが着用者の肌に押し付けられやすくなる。これにより、吸収性コア11が前側傾斜部51dに基づいて変形したときの身体への追従性が高まり、歩行時における鼠蹊部への違和感を低減しやすくすることができる。
【0095】
なお、本実施形態では、前後方向(上下方向)において、前側傾斜部51dのうち少なくとも一箇所の横長部51wが前側高伸縮領域heaと重複している。横長部51wと前側高伸縮領域heaとが重複している部分では、坪量の低い横長部51wに対して横方向(左右方向)に大きな収縮力が作用することによって、吸収性コア11が横方向(左右方向)に収縮しやすくなる。したがって、吸収性コア11の端縁部が着用者の鼠蹊部に干渉し難くなり、着用者に違和感をより生じさせ難くすることができる。
【0096】
図7は、吸収性本体10と胴回り部材20とを接合する本体接合部70の配置について説明する平面図である。おむつ1において、吸収性本体10の非肌側面(外装シート13b)と胴回り部材20の肌側面(肌側シート21)とは、ホットメルト接着剤等の接合材によって形成された本体接合部70によって厚さ方向に接合されている(図3参照)。本体接合部70は、図7の斜線部で示される領域に設けられ、おむつ1の厚さ方向に見たときに、前側傾斜部51dと前側高伸縮領域heaと本体接合部70とが重複する部分を有している。
【0097】
本体接合部70が設けられている部分では、胴回り部材20(前側胴回り部30,後側胴回り部40)と吸収性本体10とが強固に接合されているため、胴回り部材20(前側胴回り部30)において前側高伸縮領域heaが発現する伸縮力が、本体接合部70を介して、吸収性本体10(吸収性コア11)の前側傾斜部51dに作用しやすくなる。つまり、前側胴回り部30において前側高伸縮領域heaによって吸収性コア11及び前側傾斜部51dが着用者の肌により押し付けられやすくなる。これにより、吸収性コア11が前側傾斜部51dに誘導されて変形したときの身体への追従性がより高まる。
【0098】
また、おむつ1の後側胴回り部40には、横方向(左右方向)に伸縮性を備えた胴回り弾性部材45が設けられている。すなわち、おむつ1の後側胴回り部40は、胴回り弾性部材45によって形成される後側伸縮領域を有している。また、後側胴回り部40及び股下部CA(臀部カバー46)には、脚回り開口LHの周縁部に沿って伸縮する脚回り弾性部材47を有している。そして、おむつ1では、厚さ方向に見たときに、後側伸縮領域及び脚回り弾性部材47の少なくとも何れか(図2では両方)と後側傾斜部52dとが重複する部分を有していない。したがって、後側伸縮領域及び脚回り弾性部材47が発現する伸縮性は、吸収性コア11のうち後側傾斜部52dには作用し難く、当該後側傾斜部52dは着用者の身体に押し付けられ難い。これにより、臀部側では吸収性コア11が横方向に収縮し難くなり、排泄漏れが生じることや着用者に違和感を生じさせたりすることが抑制される。
【0099】
===第2実施形態===
第2実施形態に係る吸収性物品として、テープ型使い捨ておむつ2(以下、「おむつ2」とも呼ぶ)について説明する。図8Aは、展開且つ伸長状態のおむつ2の平面図である。図8Bは、図8AのC-C線での概略断面図である。図8A及び図8Bにおける各方向は、第1実施形態で説明した各方向と同様である。
【0100】
おむつ2は、吸収性本体10と、胴回り部材20と、ファスニングテープ80と、ターゲットテープ90とを有している。おむつ2の吸収性本体10は、第1実施形態のおむつ1における吸収性本体10と略同様の構成を有し、吸収性コア11と、トップシート12と、バックシート13(液不透過性シート13a)とを有している。吸収性コア11には、おむつ1と同様の変形誘導部50(前側変形誘導部51,後側変形誘導部52)が設けられている。
【0101】
胴回り部材20は、第1実施形態のおむつ1の肌側シート21と略同様の肌側シート21と、おむつ1の非肌側シート32,42に相当する非肌側シート22とを有する2層構造である。そして、肌側シート21と非肌側シート22との厚さ方向の間に、吸収性本体10が挟み込まれるようにして保持されている。また、おむつ2では、胴回り部材20のうち、前後方向における中央位置CLよりも前側の領域で横方向の幅が最も大きくなっている部分を前側胴回り部30とする。同様に、胴回り部材20のうち、前後方向における中央位置CLよりも後側の領域で、横方向の幅が最も大きくなっている部分を後側胴回り部40とする。そして、前後方向における前側胴回り部30と後側胴回り部40との間の領域を股下部CAとする(図8A参照)。
【0102】
ファスニングテープ80は、後側胴回り部40から横方向の両外側に延出して一対設けられている。ファスニングテープ80は、テープ基部81と、テープ基部81の厚さ方向の肌側に設けられた係合部材82を有している。係合部材82は、厚さ方向に突出した小型のフックが複数設けられたシート状部材であり、例えば、面ファスナー等を適用できる。一対のファスニングテープ80、80に設けられた係合部材82,82をそれぞれ、後述するターゲットテープ90に係合させることにより、おむつ2の胴回り開口BH及び一対の脚回り開口LH,LHが形成され、着用者の身体(胴)に対しておむつ2の位置を固定することができる。
【0103】
ターゲットテープ90は、前側胴回り部30の非肌側面(非肌側シート22)に設けられたシート部材であり、例えば不織布等によって形成される。ターゲットテープ90の非肌側の表面には、ファスニングテープ80の係合部材82と係合可能なループが複数設けられており、係合部材82のフックをターゲットテープ90のループに引っ掛けることで、両者が係合される。なお、ターゲットテープ90側にフックが設けられ、ファスニングテープ80側にループが設けられるのであっても良い。
【0104】
おむつ2においても、前側変形誘導部51の傾斜開始点51dsが、前側胴回り部30の前後方向における後側の端30bよりも前側に位置している(図8A参照)。したがって、おむつ2の着用時において、前側変形誘導部51が着用者の鼠蹊部に沿った位置に配置される。そして、歩行時には、着用者の脚の動きに追従して、吸収性コア11が鼠径部に沿って変形しやすくなる。
【0105】
また、一対の前側変形誘導部51,51において、傾斜終了点51de同士は、横方向(左右方向)において互いに離間している。したがって、横方向(左右方向)の一方側において前側変形誘導部51によって誘導される吸収性コア11の変形は、横方向(左右方向)の他方側において前側変形誘導部51によって誘導される吸収性コア11の変形に影響され難い。これにより、歩行時に両脚を前後に動かした際に吸収性コア11が左右の鼠径部の動きにそれぞれ追従して変形しやすくなる。
【0106】
このように、吸収性コア11に設けられた前側変形誘導部51によって、おむつ2を着用した状態で着用者が歩行を行った場合でも、吸収性コア11が脚の動きに追従して自在に変形を生じやすい。したがって、おむつ2でもおむつ1と同様に、歩行時において鼠径部に違和感を生じさせ難くすることができる。
【0107】
また、第1実施形態で説明した前側変形誘導部51,51の構成は、第2実施形態のおむつ2にも適用可能である。
【0108】
===第3実施形態===
第3実施形態に係る吸収性物品として、軽失禁用パッド(以下、「パッド3」とも呼ぶ)について説明する。図9Aは、展開且つ伸長状態のパッド3の平面図である。図9Bは、図9AのD-D線での概略断面図である。図9A及び図9Bにおける各方向は、第1実施形態で説明した方向と同様である。
【0109】
パッド3は、吸収性本体10と、胴回り部材20とを有している。吸収性本体10は、第1実施形態のおむつ1における吸収性コア11と同様の吸収性コア11を有している。また、吸収性コア11には、おむつ1と同様の変形誘導部50(前側変形誘導部51,後側変形誘導部52)が設けられている。
【0110】
胴回り部材20は、第1実施形態のおむつ1の吸収性本体10のトップシート12に相当する肌側シート25と、バックシート13(液不透過性シート13a)に相当する非肌側シート26とを有する。そして、肌側シート25と非肌側シート26との厚さ方向の間に、吸収性コア11が挟み込まれるようにして保持されている。また、パッド3では、胴回り部材20を前後方向に3等分したときの前側の領域を前側胴回り部30とし、後側の領域を後側胴回り部40とし、その間の領域を股下部CAとする。
【0111】
パッド3においても、前側変形誘導部51の傾斜開始点51dsが、前側胴回り部30の前後方向における後側の端30bよりも前側に位置している(図9A参照)。したがって、パッド3の装着時において、前側変形誘導部51が着用者の鼠蹊部に沿った位置に配置され、歩行時には、着用者の脚の動きに追従して、吸収性コア11が鼠径部に沿って変形しやすくなる。
【0112】
また、一対の前側変形誘導部51,51において、傾斜終了点51de同士は、横方向(左右方向)において互いに離間している。したがって、横方向(左右方向)の一方側において前側変形誘導部51によって誘導される吸収性コア11の変形は、横方向(左右方向)の他方側において前側変形誘導部51によって誘導される吸収性コア11の変形に影響され難い。これにより、歩行時に両脚を前後に動かした際に吸収性コア11が左右の鼠径部の動きにそれぞれ追従して変形しやすくなる。
【0113】
このように、吸収性コア11に設けられた前側変形誘導部51によって、パッド3を装着した状態で着用者が歩行を行った場合でも、吸収性コア11が脚の動きに追従して自在に変形を生じやすい。したがって、パッド3でもおむつ1と同様に、歩行時において鼠径部に違和感を生じさせ難くすることができる。
【0114】
また、第1実施形態で説明した前側変形誘導部51,51の構成は、第3実施形態のパッド3にも適用可能である。
【0115】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのは言うまでもない。
【0116】
上述の実施形態において、前側変形誘導部51及び後側変形誘導部52には、何れも、前後方向に対して傾斜していない直線部51l,直線部52lが設けられていたが、直線部51l,直線部52lは必ずしも設けられていなくても良い。例えば、前側変形誘導部51が前側傾斜部51dのみによって形成されていても良い。すなわち、前側変形誘導部51の前側端が傾斜開始点51dsとなり、後側端が傾斜終了点51deとなっていても良い。同様に、後側変形誘導部52が後側傾斜部52dにのみによって形成され、後側変形誘導部52の後側端が傾斜開始点52dsとなり、前側端が傾斜終了点52deとなっていても良い。
【符号の説明】
【0117】
1 おむつ(パンツ型おむつ)(第1実施形態)、
2 おむつ(テープ型おむつ)(第2実施形態)、
3 パッド(軽失禁用パッド)(第3実施形態)、
10 吸収性本体、
11 吸収性コア、11b コアラップシート、
11c 括れ部、11c1 括れ部、11c2 括れ部、
12 トップシート、
13 バックシート、
13a 液不透過性シート(通気性フィルム)、13b 外装シート、
15 防漏壁部、16 防漏壁弾性部材、
20 胴回り部材、
20s サイド接合部、
21 肌側シート、22 非肌側シート、
25 肌側シート、26 非肌側シート、
30 前側胴回り部、
30b 端(後側、下側)、
32 非肌側シート、32f 折り返し部、
35 胴回り弾性部材、37 脚回り弾性部材、
40 後側胴回り部、
40b 端(前側)
42 非肌側シート、
45 胴回り弾性部材、47 脚回り弾性部材、
46 臀部カバー、
50 変形誘導部、
51 前側変形誘導部、
51d 前側傾斜部、51ds 傾斜開始点、51de 傾斜終了点、
51l 直線部、51w 横長部、
52 後側変形誘導部、
52d 後側傾斜部、52ds 傾斜開始点、52de 傾斜終了点、
52l 直線部、52w 横長部、
60 スリット、
70 本体接合部、
80 ファスニングテープ、
81 テープ基部、82 係合部材、
90 ターゲットテープ、
BH 胴回り開口、LH 脚回り開口、
CL 中央位置(前後方向)、
El51 延長線(前側傾斜部51d)、θ51 傾斜角度、
El52 延長線(前側傾斜部52d)、θ52 傾斜角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2022-06-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
展開状態において互いに交差する前後方向と横方向と厚さ方向とを有し、
液吸収性の吸収性コアを有する吸収性本体を備え、
前記前後方向において、前側に位置する前側胴回り部と、後側に位置する後側胴回り部と、前記前側胴回り部と前記後側胴回り部との間に位置する股下部と、を有する吸収性物品であって、
前記前後方向における中央位置よりも前側に、前記吸収性コアを前記厚さ方向に変形するように誘導する前側変形誘導部が前記横方向に一対設けられており、
一対の前記前側変形誘導部は、それぞれ、前記前後方向の前側から後側且つ前記横方向の外側から内側へ傾斜する前側傾斜部を有し、
一対の前記前側変形誘導部は、それぞれ、傾斜が開始する傾斜開始点と、前記傾斜開始点よりも後側に位置し且つ傾斜が終了する傾斜終了点と、を有し、
前記傾斜開始点は、前記前後方向において前記前側胴回り部の後側の端よりも前側に位置し、
前記傾斜終了点同士は、前記横方向において互いに離間しており
一対の前記前側変形誘導部は、それぞれ、前記吸収性コアの前記横方向の側端よりも内側に設けられており、
前記前側胴回り部には、胴回り弾性部材が、前記前後方向に間隔を空けて複数配置されており、
前記傾斜終了点は、複数の前記胴回り弾性部材のうちの最も後側に配置された胴回り弾性部材よりも後側に位置し、
前記前後方向における中央位置よりも後側に、前記吸収性コアを前記厚さ方向に変形するように誘導する後側変形誘導部が前記横方向に一対設けられており、
一対の前記後側変形誘導部は、それぞれ、前記前後方向の後側から前側且つ前記横方向の外側から内側へ傾斜する後側傾斜部を有し、
一対の前記後側変形誘導部は、それぞれ、傾斜が開始する傾斜開始点と、前記傾斜開始点よりも前側に位置し且つ傾斜が終了する傾斜終了点を有し、
前記傾斜終了点同士は、前記横方向において互いに離間しており
前記前側傾斜部の前記傾斜開始点と前記傾斜終了点とを結ぶ直線の前記前後方向に対する傾斜角度は、
前記後側傾斜部の前記傾斜開始点と前記傾斜終了点とを結ぶ直線の前記前後方向に対する傾斜角度未満である、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品であって、
一対の前記前側傾斜部のうちの一方側における前記傾斜開始点と前記傾斜終了点とを結ぶ直線またはその延長線は、
前記厚さ方向に見たときに、前記吸収性本体と重複する領域において、前記前側胴回り部の前記前後方向の後側の端と交差する、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の吸収性物品であって、
前記吸収性コアは、前記横方向において外側から内側に括れた括れ部を有し、
前記前後方向において、前記前側傾斜部と前記括れ部とが重複する部分を有する、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記後側変形誘導部は、前記股下部において前記前後方向に非連続な部分を有する、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記吸収性コアは、前記横方向において外側から内側に括れた括れ部を有し、
前記前後方向において、前記後側傾斜部と前記括れ部とが重複する部分を有する、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記横方向の一方側における前記前側傾斜部の前記傾斜開始点と前記傾斜終了点とを結ぶ直線の延長線と、前記横方向の他方側における前記後側傾斜部の前記傾斜開始点と前記傾斜終了点とを結ぶ直線の延長線とが、前記股下部にて交差する、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記前側傾斜部の前記傾斜開始点と前記傾斜終了点とを結ぶ直線の前記前後方向に対する傾斜角度は、
前記後側傾斜部の前記傾斜開始点と前記傾斜終了点とを結ぶ直線の前記前後方向に対する傾斜角度以下である、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記前側変形誘導部において、前記傾斜開始点と前記傾斜終了点との間の前記前側変形誘導部に沿った長さは、
前記後側変形誘導部において、前記傾斜開始点と前記傾斜終了点との間の前記後側変形誘導部に沿った長さよりも長い、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項9】
請求項1~7の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記後側変形誘導部において、前記傾斜開始点と前記傾斜終了点との間の前記後側変形誘導部に沿った長さは、
前記前側変形誘導部において、前記傾斜開始点と前記傾斜終了点との間の前記前側変形誘導部に沿った長さ以上である、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項10】
請求項1~9の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記吸収性コアは、一対の前記前側変形誘導部の前記横方向の間に、前記前後方向に沿ったスリットを有し、
前記前後方向において、前記前側傾斜部と前記スリットとが重複する部分を有している、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項11】
請求項10に記載の吸収性物品であって、
前記前後方向において、前記前側傾斜部と前記スリットとが重複する部分の長さは、前記前後方向において、前記後側傾斜部と前記スリットとが重複する部分の長さよりも長い、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項12】
請求項1~11の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記前側胴回り部と前記後側胴回り部とが前記横方向の両端部において一対のサイド接合部によって互いに接合され、胴回り開口と一対の脚回り開口とを備えたパンツ型の形状を有し、
前記パンツ型の形状において、互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、 前記上下方向において、前記前側傾斜部の前記傾斜開始点は、前記サイド接合部の下端よりも上側に位置している、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項13】
請求項12に記載の吸収性物品であって、
前記前側胴回り部は、前記左右方向に伸縮する前側伸縮領域を有し、
前記前側伸縮領域は、前記左右方向に単位長さだけ伸長させたときの力が、他の領域よりも大きい前側高伸縮領域を備え、
厚さ方向に見たときに、前記前側高伸縮領域と前記前側傾斜部とが重複する部分を有している、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項14】
請求項13に記載の吸収性物品であって、
前記前側胴回り部と前記吸収性本体とを接合する本体接合部を有し、
前記厚さ方向に見たときに、前記前側伸縮領域と前記前側傾斜部と前記本体接合部とが重複する部分を有している、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項15】
請求項12~14の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記前後方向における中央位置よりも後側に、前記吸収性コアを厚さ方向に変形するように誘導する後側変形誘導部が前記横方向に一対設けられており、
前記後側胴回り部は、前記左右方向に伸縮する後側伸縮領域と、脚回り開口の端縁部に沿って伸縮する脚回り弾性部材とを有し、
厚さ方向に見たときに、前記後側変形誘導部は、前記後側伸縮領域及び前記脚回り弾性部材の少なくとも何れかと重複する部分を有していない、ことを特徴とする吸収性物品。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、
展開状態において互いに交差する前後方向と横方向と厚さ方向とを有し、
液吸収性の吸収性コアを有する吸収性本体を備え、
前記前後方向において、前側に位置する前側胴回り部と、後側に位置する後側胴回り部と、前記前側胴回り部と前記後側胴回り部との間に位置する股下部と、を有する吸収性物品であって、
前記前後方向における中央位置よりも前側に、前記吸収性コアを前記厚さ方向に変形するように誘導する前側変形誘導部が前記横方向に一対設けられており、
一対の前記前側変形誘導部は、それぞれ、前記前後方向の前側から後側且つ前記横方向の外側から内側へ傾斜する前側傾斜部を有し、
一対の前記前側変形誘導部は、それぞれ、傾斜が開始する傾斜開始点と、前記傾斜開始点よりも後側に位置し且つ傾斜が終了する傾斜終了点と、を有し、
前記傾斜開始点は、前記前後方向において前記前側胴回り部の後側の端よりも前側に位置し、
前記傾斜終了点同士は、前記横方向において互いに離間しており
一対の前記前側変形誘導部は、それぞれ、前記吸収性コアの前記横方向の側端よりも内側に設けられており、
前記前側胴回り部には、胴回り弾性部材が、前記前後方向に間隔を空けて複数配置されており、
前記傾斜終了点は、複数の前記胴回り弾性部材のうちの最も後側に配置された胴回り弾性部材よりも後側に位置し、
前記前後方向における中央位置よりも後側に、前記吸収性コアを前記厚さ方向に変形するように誘導する後側変形誘導部が前記横方向に一対設けられており、
一対の前記後側変形誘導部は、それぞれ、前記前後方向の後側から前側且つ前記横方向の外側から内側へ傾斜する後側傾斜部を有し、
一対の前記後側変形誘導部は、それぞれ、傾斜が開始する傾斜開始点と、前記傾斜開始点よりも前側に位置し且つ傾斜が終了する傾斜終了点を有し、
前記傾斜終了点同士は、前記横方向において互いに離間しており
前記前側傾斜部の前記傾斜開始点と前記傾斜終了点とを結ぶ直線の前記前後方向に対する傾斜角度は、
前記後側傾斜部の前記傾斜開始点と前記傾斜終了点とを結ぶ直線の前記前後方向に対する傾斜角度未満である、ことを特徴とする吸収性物品である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【手続補正書】
【提出日】2022-10-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
展開状態において互いに交差する前後方向と横方向と厚さ方向とを有し、
液吸収性の吸収性コアを有する吸収性本体を備え、
前記前後方向において、前側に位置する前側胴回り部と、後側に位置する後側胴回り部と、前記前側胴回り部と前記後側胴回り部との間に位置する股下部と、を有する吸収性物品であって、
前記前後方向における中央位置よりも前側に、前記吸収性コアを前記厚さ方向に変形するように誘導する前側変形誘導部が前記横方向に一対設けられており、
一対の前記前側変形誘導部は、それぞれ、前記前後方向の前側から後側且つ前記横方向の外側から内側へ傾斜する前側傾斜部を有し、
一対の前記前側変形誘導部は、それぞれ、傾斜が開始する傾斜開始点と、前記傾斜開始点よりも後側に位置し且つ傾斜が終了する傾斜終了点と、を有し、
前記傾斜開始点は、前記前後方向において前記前側胴回り部の後側の端よりも前側に位置し、
前記傾斜終了点同士は、前記横方向において互いに離間しており、
一対の前記前側変形誘導部は、それぞれ、前記吸収性コアの前記横方向の側端よりも内側に設けられており、
前記前側胴回り部には、胴回り弾性部材が、前記前後方向に間隔を空けて複数配置されており、
前記傾斜終了点は、複数の前記胴回り弾性部材のうちの最も後側に配置された胴回り弾性部材よりも後側に位置し、
前記前後方向における中央位置よりも後側に、前記吸収性コアを前記厚さ方向に変形するように誘導する後側変形誘導部が前記横方向に一対設けられており、
一対の前記後側変形誘導部は、それぞれ、前記前後方向の後側から前側且つ前記横方向の外側から内側へ傾斜する後側傾斜部を有し、
一対の前記後側変形誘導部は、それぞれ、傾斜が開始する傾斜開始点と、前記傾斜開始点よりも前側に位置し且つ傾斜が終了する傾斜終了点を有し、
前記傾斜終了点同士は、前記横方向において互いに離間しており、
前記前側傾斜部の前記傾斜開始点と前記傾斜終了点とを結ぶ直線の前記前後方向に対する傾斜角度は、
前記後側傾斜部の前記傾斜開始点と前記傾斜終了点とを結ぶ直線の前記前後方向に対する傾斜角度より大きい、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品であって、
一対の前記前側傾斜部のうちの一方側における前記傾斜開始点と前記傾斜終了点とを結ぶ直線またはその延長線は、
前記厚さ方向に見たときに、前記吸収性本体と重複する領域において、前記前側胴回り部の前記前後方向の後側の端と交差する、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の吸収性物品であって、
前記吸収性コアは、前記横方向において外側から内側に括れた括れ部を有し、
前記前後方向において、前記前側傾斜部と前記括れ部とが重複する部分を有する、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記後側変形誘導部は、前記股下部において前記前後方向に非連続な部分を有する、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記吸収性コアは、前記横方向において外側から内側に括れた括れ部を有し、
前記前後方向において、前記後側傾斜部と前記括れ部とが重複する部分を有する、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記横方向の一方側における前記前側傾斜部の前記傾斜開始点と前記傾斜終了点とを結ぶ直線の延長線と、前記横方向の他方側における前記後側傾斜部の前記傾斜開始点と前記傾斜終了点とを結ぶ直線の延長線とが、前記股下部にて交差する、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記前側変形誘導部において、前記傾斜開始点と前記傾斜終了点との間の前記前側変形誘導部に沿った長さは、
前記後側変形誘導部において、前記傾斜開始点と前記傾斜終了点との間の前記後側変形誘導部に沿った長さよりも長い、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項8】
請求項1~6の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記後側変形誘導部において、前記傾斜開始点と前記傾斜終了点との間の前記後側変形誘導部に沿った長さは、
前記前側変形誘導部において、前記傾斜開始点と前記傾斜終了点との間の前記前側変形誘導部に沿った長さ以上である、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項9】
請求項1~8の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記吸収性コアは、一対の前記前側変形誘導部の前記横方向の間に、前記前後方向に沿ったスリットを有し、
前記前後方向において、前記前側傾斜部と前記スリットとが重複する部分を有している、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項10】
請求項9に記載の吸収性物品であって、
前記前後方向において、前記前側傾斜部と前記スリットとが重複する部分の長さは、前記前後方向において、前記後側傾斜部と前記スリットとが重複する部分の長さよりも長い、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項11】
請求項1~10の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記前側胴回り部と前記後側胴回り部とが前記横方向の両端部において一対のサイド接合部によって互いに接合され、胴回り開口と一対の脚回り開口とを備えたパンツ型の形状を有し、
前記パンツ型の形状において、互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、 前記上下方向において、前記前側傾斜部の前記傾斜開始点は、前記サイド接合部の下端よりも上側に位置している、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項12】
請求項11に記載の吸収性物品であって、
前記前側胴回り部は、前記左右方向に伸縮する前側伸縮領域を有し、
前記前側伸縮領域は、前記左右方向に単位長さだけ伸長させたときの力が、他の領域よりも大きい前側高伸縮領域を備え、
厚さ方向に見たときに、前記前側高伸縮領域と前記前側傾斜部とが重複する部分を有している、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項13】
請求項12に記載の吸収性物品であって、
前記前側胴回り部と前記吸収性本体とを接合する本体接合部を有し、
前記厚さ方向に見たときに、前記前側伸縮領域と前記前側傾斜部と前記本体接合部とが重複する部分を有している、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項14】
請求項11~13の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記前後方向における中央位置よりも後側に、前記吸収性コアを厚さ方向に変形するように誘導する後側変形誘導部が前記横方向に一対設けられており、
前記後側胴回り部は、前記左右方向に伸縮する後側伸縮領域と、脚回り開口の端縁部に沿って伸縮する脚回り弾性部材とを有し、
厚さ方向に見たときに、前記後側変形誘導部は、前記後側伸縮領域及び前記脚回り弾性部材の少なくとも何れかと重複する部分を有していない、ことを特徴とする吸収性物品。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、
展開状態において互いに交差する前後方向と横方向と厚さ方向とを有し、
液吸収性の吸収性コアを有する吸収性本体を備え、
前記前後方向において、前側に位置する前側胴回り部と、後側に位置する後側胴回り部と、前記前側胴回り部と前記後側胴回り部との間に位置する股下部と、を有する吸収性物品であって、
前記前後方向における中央位置よりも前側に、前記吸収性コアを前記厚さ方向に変形するように誘導する前側変形誘導部が前記横方向に一対設けられており、
一対の前記前側変形誘導部は、それぞれ、前記前後方向の前側から後側且つ前記横方向の外側から内側へ傾斜する前側傾斜部を有し、
一対の前記前側変形誘導部は、それぞれ、傾斜が開始する傾斜開始点と、前記傾斜開始点よりも後側に位置し且つ傾斜が終了する傾斜終了点と、を有し、
前記傾斜開始点は、前記前後方向において前記前側胴回り部の後側の端よりも前側に位置し、
前記傾斜終了点同士は、前記横方向において互いに離間しており、
一対の前記前側変形誘導部は、それぞれ、前記吸収性コアの前記横方向の側端よりも内側に設けられており、
前記前側胴回り部には、胴回り弾性部材が、前記前後方向に間隔を空けて複数配置されており、
前記傾斜終了点は、複数の前記胴回り弾性部材のうちの最も後側に配置された胴回り弾性部材よりも後側に位置し、
前記前後方向における中央位置よりも後側に、前記吸収性コアを前記厚さ方向に変形するように誘導する後側変形誘導部が前記横方向に一対設けられており、
一対の前記後側変形誘導部は、それぞれ、前記前後方向の後側から前側且つ前記横方向の外側から内側へ傾斜する後側傾斜部を有し、
一対の前記後側変形誘導部は、それぞれ、傾斜が開始する傾斜開始点と、前記傾斜開始点よりも前側に位置し且つ傾斜が終了する傾斜終了点を有し、
前記傾斜終了点同士は、前記横方向において互いに離間しており、
前記前側傾斜部の前記傾斜開始点と前記傾斜終了点とを結ぶ直線の前記前後方向に対する傾斜角度は、
前記後側傾斜部の前記傾斜開始点と前記傾斜終了点とを結ぶ直線の前記前後方向に対する傾斜角度より大きい、ことを特徴とする吸収性物品である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0087】
さらに、おむつ1において、前側傾斜部51dの延長線El51の前後方向に対する傾斜角度θ51は、後側傾斜部52dの延長線El52の前後方向に対する傾斜角度θ52より大きいことが、より望ましい(θ51>θ52)。前側傾斜部51dは、おむつ1の着用時に鼠蹊部に沿いやすくするために、前後方向に対する傾斜角度をある程度急な角度にしておくことが好ましい。一方、後側傾斜部52dは、臀部に対して吸収性コア11が面でフィットしやすくするために、前後方向に対する傾斜角度を緩くして、横方向(左右方向)において一対の後側傾斜部52d,52dの間の領域の面積を広く確保できるようにしておくことが好ましい。これにより、歩行時において、前側では吸収性コア11が鼠蹊部に沿って変形しやすく、後側では吸収性コア11が臀部に沿って変形しつつ面でフィットしやすくすることができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
展開状態において互いに交差する前後方向と横方向と厚さ方向とを有し、
液吸収性の吸収性コアを有する吸収性本体を備え、
前記前後方向において、前側に位置する前側胴回り部と、後側に位置する後側胴回り部と、前記前側胴回り部と前記後側胴回り部との間に位置する股下部と、を有する吸収性物品であって、
前記前後方向における中央位置よりも前側に、前記吸収性コアを前記厚さ方向に変形するように誘導する前側変形誘導部が前記横方向に一対設けられており、
一対の前記前側変形誘導部は、それぞれ、前記前後方向の前側から後側且つ前記横方向の外側から内側へ傾斜する前側傾斜部を有し、
一対の前記前側変形誘導部は、それぞれ、傾斜が開始する傾斜開始点と、前記傾斜開始点よりも後側に位置し且つ傾斜が終了する傾斜終了点と、を有し、
前記傾斜開始点は、前記前後方向において前記前側胴回り部の後側の端よりも前側に位置し、
前記傾斜終了点同士は、前記横方向において互いに離間しており、
一対の前記前側変形誘導部は、それぞれ、前記吸収性コアの前記横方向の側端よりも内側に設けられており、
前記前側胴回り部には、胴回り弾性部材が、前記前後方向に間隔を空けて複数配置されており、
前記傾斜終了点は、複数の前記胴回り弾性部材のうちの最も後側に配置された胴回り弾性部材よりも後側に位置し、
前記前後方向における中央位置よりも後側に、前記吸収性コアを前記厚さ方向に変形するように誘導する後側変形誘導部が前記横方向に一対設けられており、
一対の前記後側変形誘導部は、それぞれ、前記前後方向の後側から前側且つ前記横方向の外側から内側へ傾斜する後側傾斜部を有し、
一対の前記後側変形誘導部は、それぞれ、傾斜が開始する傾斜開始点と、前記傾斜開始点よりも前側に位置し且つ傾斜が終了する傾斜終了点を有し、
前記傾斜終了点同士は、前記横方向において互いに離間しており、
前記前側変形誘導部及び前記後側変形誘導部は、前記吸収性コアに設けられており、
前記前側傾斜部の前記傾斜開始点と前記傾斜終了点とを結ぶ直線の前記前後方向に対する傾斜角度は、
前記後側傾斜部の前記傾斜開始点と前記傾斜終了点とを結ぶ直線の前記前後方向に対する傾斜角度より大きい、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品であって、
一対の前記前側傾斜部のうちの一方側における前記傾斜開始点と前記傾斜終了点とを結ぶ直線またはその延長線は、
前記厚さ方向に見たときに、前記吸収性本体と重複する領域において、前記前側胴回り部の前記前後方向の後側の端と交差する、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の吸収性物品であって、
前記吸収性コアは、前記横方向において外側から内側に括れた括れ部を有し、
前記前後方向において、前記前側傾斜部と前記括れ部とが重複する部分を有する、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記股下部において、前記後側変形誘導部の前記傾斜終了点よりも前側には他の変形誘導部が形成されていない、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記吸収性コアは、前記横方向において外側から内側に括れた括れ部を有し、
前記前後方向において、前記後側傾斜部と前記括れ部とが重複する部分を有する、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記横方向の一方側における前記前側傾斜部の前記傾斜開始点と前記傾斜終了点とを結ぶ直線の延長線と、前記横方向の他方側における前記後側傾斜部の前記傾斜開始点と前記傾斜終了点とを結ぶ直線の延長線とが、前記股下部にて交差する、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記前側変形誘導部において、前記傾斜開始点と前記傾斜終了点との間の前記前側変形誘導部に沿った長さは、
前記後側変形誘導部において、前記傾斜開始点と前記傾斜終了点との間の前記後側変形誘導部に沿った長さよりも長い、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項8】
請求項1~6の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記後側変形誘導部において、前記傾斜開始点と前記傾斜終了点との間の前記後側変形誘導部に沿った長さは、
前記前側変形誘導部において、前記傾斜開始点と前記傾斜終了点との間の前記前側変形誘導部に沿った長さ以上である、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項9】
請求項1~8の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記吸収性コアは、一対の前記前側変形誘導部の前記横方向の間に、前記前後方向に沿ったスリットを有し、
前記前後方向において、前記前側傾斜部と前記スリットとが重複する部分を有している、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項10】
請求項9に記載の吸収性物品であって、
前記前後方向において、前記前側傾斜部と前記スリットとが重複する部分の長さは、前記前後方向において、前記後側傾斜部と前記スリットとが重複する部分の長さよりも長い、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項11】
請求項1~10の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記前側胴回り部と前記後側胴回り部とが前記横方向の両端部において一対のサイド接合部によって互いに接合され、胴回り開口と一対の脚回り開口とを備えたパンツ型の形状を有し、
前記パンツ型の形状において、互いに交差する上下方向と左右方向と前後方向とを有し、 前記上下方向において、前記前側傾斜部の前記傾斜開始点は、前記サイド接合部の下端よりも上側に位置している、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項12】
請求項11に記載の吸収性物品であって、
前記前側胴回り部は、前記左右方向に伸縮する前側伸縮領域を有し、
前記前側伸縮領域は、前記左右方向に単位長さだけ伸長させたときの力が、他の領域よりも大きい前側高伸縮領域を備え、
厚さ方向に見たときに、前記前側高伸縮領域と前記前側傾斜部とが重複する部分を有している、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項13】
請求項12に記載の吸収性物品であって、
前記前側胴回り部と前記吸収性本体とを接合する本体接合部を有し、
前記厚さ方向に見たときに、前記前側伸縮領域と前記前側傾斜部と前記本体接合部とが重複する部分を有している、ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項14】
請求項11~13の何れか1項に記載の吸収性物品であって、
前記後側胴回り部は、前記左右方向に伸縮する後側伸縮領域と、脚回り開口の端縁部に沿って伸縮する脚回り弾性部材とを有し、
厚さ方向に見たときに、前記後側変形誘導部は、前記後側伸縮領域及び前記脚回り弾性部材の少なくとも何れかと重複する部分を有していない、ことを特徴とする吸収性物品。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、
展開状態において互いに交差する前後方向と横方向と厚さ方向とを有し、
液吸収性の吸収性コアを有する吸収性本体を備え、
前記前後方向において、前側に位置する前側胴回り部と、後側に位置する後側胴回り部と、前記前側胴回り部と前記後側胴回り部との間に位置する股下部と、を有する吸収性物品であって、
前記前後方向における中央位置よりも前側に、前記吸収性コアを前記厚さ方向に変形するように誘導する前側変形誘導部が前記横方向に一対設けられており、
一対の前記前側変形誘導部は、それぞれ、前記前後方向の前側から後側且つ前記横方向の外側から内側へ傾斜する前側傾斜部を有し、
一対の前記前側変形誘導部は、それぞれ、傾斜が開始する傾斜開始点と、前記傾斜開始点よりも後側に位置し且つ傾斜が終了する傾斜終了点と、を有し、
前記傾斜開始点は、前記前後方向において前記前側胴回り部の後側の端よりも前側に位置し、
前記傾斜終了点同士は、前記横方向において互いに離間しており、
一対の前記前側変形誘導部は、それぞれ、前記吸収性コアの前記横方向の側端よりも内側に設けられており、
前記前側胴回り部には、胴回り弾性部材が、前記前後方向に間隔を空けて複数配置されており、
前記傾斜終了点は、複数の前記胴回り弾性部材のうちの最も後側に配置された胴回り弾性部材よりも後側に位置し、
前記前後方向における中央位置よりも後側に、前記吸収性コアを前記厚さ方向に変形するように誘導する後側変形誘導部が前記横方向に一対設けられており、
一対の前記後側変形誘導部は、それぞれ、前記前後方向の後側から前側且つ前記横方向の外側から内側へ傾斜する後側傾斜部を有し、
一対の前記後側変形誘導部は、それぞれ、傾斜が開始する傾斜開始点と、前記傾斜開始点よりも前側に位置し且つ傾斜が終了する傾斜終了点を有し、
前記傾斜終了点同士は、前記横方向において互いに離間しており、
前記前側変形誘導部及び前記後側変形誘導部は、前記吸収性コアに設けられており、
前記前側傾斜部の前記傾斜開始点と前記傾斜終了点とを結ぶ直線の前記前後方向に対する傾斜角度は、
前記後側傾斜部の前記傾斜開始点と前記傾斜終了点とを結ぶ直線の前記前後方向に対する傾斜角度より大きい、ことを特徴とする吸収性物品である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。