(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138156
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】液体吐出装置および画像形成方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
B41J2/01 205
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044705
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】西東 洋輔
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA06
2C056EA11
2C056EB27
2C056EB42
2C056EC42
2C056EC70
2C056EC72
2C056EC75
2C056EC79
2C056ED01
2C056ED03
2C056ED05
2C056EE02
2C056EE09
2C056FA10
(57)【要約】
【課題】バンディングなどの画像の異常を抑制することができる液体吐出装置および画像形成方法を提供する。
【解決手段】液体吐出装置は、媒体上に、色の濃淡が相互に異なる複数の種類のインクを吐出する液体吐出ヘッドと、媒体上に吐出されたインクの異常を検出する異常検出部と、異常が検出された場合に、種類に応じて異なる吐出状態となるようにインクの吐出を制御する吐出制御部と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体上に、色の濃淡が相互に異なる複数の種類のインクを吐出する液体吐出ヘッドと、
前記媒体上に吐出された前記インクの異常を検出する異常検出部と、
前記異常が検出された場合に、前記種類に応じて異なる吐出状態となるように前記インクの吐出を制御する吐出制御部と、
を備える液体吐出装置。
【請求項2】
前記複数の種類のインクは、色が相対的に濃い第1インクと、色が相対的に薄い第2インクと、を含み、
前記吐出制御部は、前記異常が検出された場合に、前記異常が検出されない場合と異なる吐出状態となるように前記第1インクの吐出を制御し、前記異常が検出されない場合と同じ吐出状態となるように前記第2インクの吐出を制御する、
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記吐出状態は、前記インクの2つ以上のサイズの比率であり、
前記吐出制御部は、前記異常が検出された場合に、前記種類に応じて異なる前記比率となるように前記インクの吐出を制御する、
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記吐出状態は、異なる走査のタイミングで同一箇所へ前記インクを吐出する重ね打ち制御の有無であり、
前記吐出制御部は、前記異常が検出された場合に、前記種類に応じて前記重ね打ち制御を実行するか否かを切り替えるように前記インクの吐出を制御する、
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記吐出状態は、走査ごとの前記インクを吐出する比率を定めるマスクであり、
前記吐出制御部は、前記異常が検出された場合に、前記種類に応じて異なる前記マスクを用いるように前記インクの吐出を制御する、
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記マスクは、走査ごとの前記比率が一定であるマスクと、走査ごとに段階的に前記比率が変更されるマスクと、を含む、
請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記マスクは、走査ごとの前記比率が一定であるマスクと、走査ごとに連続的に前記比率が変更されるマスクと、を含む、
請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記異常検出部は、前記異常のレベルを検出し、
前記吐出制御部は、前記異常が検出された場合に、前記レベルおよび前記種類に応じて異なる吐出状態となるように前記インクの吐出を制御する、
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記吐出制御部は、前記異常が検出された場合に、前記複数の種類のインクを吐出する比率を変更するように前記インクの吐出を制御する、
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
媒体上に、色の濃淡が相互に異なる複数の種類のインクを吐出する液体吐出ヘッドと、
前記媒体上に吐出された前記インクの異常を検出する異常検出ステップと、
前記異常が検出された場合に、前記種類に応じて異なる吐出状態となるように前記インクの吐出を制御する吐出制御ステップと、
を含む画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、広幅対応のインクジェット記録装置は、サイングラフィクス市場で使用されることが増えている。サイングラフィクス市場における具体的な用途としては屋内および屋外で飾られる看板、広告、垂れ幕、のぼり等がある。このような背景もあり、インクジェット記録装置には高画質化が求められており、粒状性向上を目的としてライトインクを搭載した装置が提案されている。ライトインクとはCMYKのプロセスカラーインク(以下、プロセスインクと記載)に比べると薄いインクのことである。ライトインクを使うことで濃淡変化が抑えられるので粒状性を向上できるメリットがあることが知られている。
【0003】
インクジェット記録装置には粒状性の他にも様々な画像品質が要求されるが、その中でも重要な要求の1つとしてバンディングの抑制がある。バンディングとは用紙の挙動(送りズレ、スキュー)および着弾ズレ等が原因で生じる濃度ムラ(濃淡ムラ)のことである。サイングラフィクス用途でバンディングが広範囲にわたって発生すると、画像品質を大きく損なうことになるため、バンディングを抑制することは重要な課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、バンディングなどの画像の異常を抑制することができる液体吐出装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、媒体上に、色の濃淡が相互に異なる複数の種類のインクを吐出する液体吐出ヘッドと、前記媒体上に吐出された前記インクの異常を検出する異常検出部と、前記異常が検出された場合に、前記種類に応じて異なる吐出状態となるように前記インクの吐出を制御する吐出制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、バンディングなどの画像の異常を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る画像形成装置の内部を透視して示す斜視図である。
【
図2】
図2は、画像形成装置の構成の概略を示す図である。
【
図3】
図3は、画像形成装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、制御部の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、画像形成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、粒状性優先条件により定められる滴サイズの比率の例を示す図である。
【
図7】
図7は、バンディング優先条件により定められる滴サイズの比率の例を示す図である。
【
図8】
図8は、重ね打ちを実行したときのドットの例を説明するための図である。
【
図9】
図9は、打ち順マスク制御に用いられる打ち順マスクの例を示す図である。
【
図10】
図10は、吐出制御処理の例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、吐出制御処理の他の例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、バンディング優先条件として定められる記録率の条件の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して液体吐出装置および画像形成方法の実施形態を詳細に説明する。
【0009】
以下、本発明が適用される液体吐出装置の一例として、液体吐出装置の一態様である画像形成装置を例に挙げて説明するが、これに限らない。
【0010】
上記のように、濃淡の変化が抑えられるライトインクを使うことで粒状性を向上する技術が知られている。ただし、ライトインクはプロセスインクに比べると濃度が薄いため、低濃度領域から中濃度領域の画像は単独で再現できるが、高濃度領域の画像を単独で再現することができない。このため、中濃度領域から高濃度領域の入力画像に対してはライトインクにプロセスインクを重ねる処理が行われる。例えば、元の画像の階調データに対して淡インク(ライトインク)と濃インク(プロセスインク)の記録率をどの程度にするかを設定するテーブルに基づいて、プロセスインクとライトインクの比率を決定して、重ね合わせる技術が提案されている。
【0011】
上記のように、CMYKのプロセスインク搭載機(4C構成とも称される)にライトインクを搭載するメリットとしては粒状性の向上がある。一方、ライトインクの使用は、バンディングの抑制についても有効である。この理由として、ライトインクはプロセスインクに比べると薄いインクであるので、単位面積あたりのインク量が多いことが挙げられる。実際に、同じ画像濃度の画像サンプルの媒体表面を観察すると、ライトインクはプロセスインクに比べると被覆面積が多いことが確認できる。媒体上のインクの被覆面積が多いことは、着弾ズレ等があっても濃淡ムラとして認識し難いことを意味するため、バンディングに対しては有利となる。
【0012】
バンディングの発生要因は様々であるが、主にはメカ起因および誤差因子による要因が知られている。メカ起因の要因としては、キャリッジの強度アップ、ヘッドの位置精度、搬送ローラ偏心等がある。メカ精度を向上させることはバンディングに対して有効な対策となる。一方、画像形成によってバンディングを改善する手法が提案されている。例えば階調データをドットデータに変換するハーフトーン処理、異なる走査のタイミングで同一箇所へ打滴を行う重ね打ち制御、および、走査ごとに打ち込む比率を制御する打ち順マスク制御がある。ただし、ハーフトーン処理および重ね打ち制御によるバンディングの改善は、粒状性の向上とはトレードオフの関係となることがある。すなわち、これらの処理により粒状性が悪化することがある。
【0013】
一方、バンディングの誤差因子としては、媒体の他にスキュー等によって生じる送り量のズレがある。一般的にユーザは、市販品の中から自由に媒体を選択して使用する。しかし、市販品の中にはインクが広がり難く、バンディングに対して不利な市販品があることが知られている。また、スキューを生じる要因としては、主にユーザが媒体セット時の状態および搬送精度による要因がある。インクジェット記録装置の中にはスキュー補正機構および自動給紙機構を備えた装置があるが、機構部の精度および部品の製造バラツキもあるのでスキューを完全に抑えることは困難である。
【0014】
上記のように、ライトインク搭載機はCMYKのプロセスインク搭載機に比べるとバンディングに対して有利ではあるが、媒体およびスキュー等の誤差因子が重なり、バンディングに対して不利な条件になることが考えられる。このような場合、ライトインク搭載機およびメカ精度向上を実施した機械においてもバンディングが顕在化することが考えられる。
【0015】
そこで、本実施形態では、画像形成装置に備えられるセンサによって媒体上のバンディングの発生状態、送り量のズレ、および、スキュー等の用紙挙動不良を検出し、その結果に応じて、インクの吐出状態を制御する。例えば、吐出状態の条件が、初期条件からバンディングに有利な条件(以下、バンディング優先条件と記載)に変更される。吐出状態は、例えば、ハーフトーン処理の条件、重ね打ち制御の有無、および、打ち順マスクの種類などにより定められる。
【0016】
図1は第1の実施形態に係る画像形成装置100の内部を透視して示す斜視図である。
図2は画像形成装置100の構成の概略を示す図である。
図1および
図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置100は、広幅シリアル型インクジェット記録装置であるとする。
【0017】
画像形成装置100は、
図1および
図2に示すように、装置本体100aの左右に側板21A,21Bを備える。側板21A,21Bは、ガイド部材であるメインガイドロッド31を横架する。また、画像形成装置100は、サブ板金ガイド32を備える。メインガイドロッド31およびサブ板金ガイド32は、キャリッジ121を摺動自在に保持する。
【0018】
キャリッジ121は、主走査モータ117(
図3参照)によって回転駆動されるタイミングベルトを介して、矢印Gの方向(キャリッジ主走査方向)に移動ことにより、媒体40に対して相対移動する。キャリッジ121の移動を走査と称することもできる。また、キャリッジ121は、媒体40の端部(用紙端部)を検知する光学センサ37を搭載する。
【0019】
光学センサ37は、画像形成装置100により媒体40に先行形成された画像の読取信号を出力する読取部の一例である。本実施形態では、画像形成装置100は、光学センサ37による読取信号に基づいて画像の異常を検出する。光学センサ37としては、反射濃度によって検出する機器や、媒体40に形成された画像を撮像するカメラ等を使用可能である。なお、本実施形態では、画像の異常には、異常が発生しそうな状態である異常の兆候も含まれる。
【0020】
キャリッジ121は、装着されたインクカートリッジ10に応じて、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)、オレンジ(O)、グリーン(G)、クリア(Cl)など各色のインク滴(液体)を吐出するヘッド(液体吐出ヘッド)122a,122b,122c(区別しないときはこれら3つのヘッド122a,122b,122cをまとめて「ヘッド122」という。)を備える。
【0021】
本実施形態では、色の濃淡が相互に異なる複数の種類のインクを吐出するヘッド122が用いられる。例えば、複数の種類のインクは、色が相対的に濃いプロセスインク(第1インク)と、色が相対的に薄いライトインク(第2インク)と、を含む。
【0022】
媒体40は、副走査モータ118(
図3参照)によって回転駆動される搬送ローラを用いて、主走査方向と略直交する副走査方向(矢印Hの方向)に沿って移動することにより、ヘッド122に対して相対移動する。ただし、主走査方向と副走査方向とは、必ずしも略直交していなくてもよく、交差していればよい。
【0023】
ヘッド122は、複数のノズル125からなるノズル列を副走査方向に配列する。ヘッド122は、ノズル125からのインク滴吐出方向を下方に向けて装着されている。ヘッド122a,122b,122cは、それぞれ副走査方向にずらされて設置される。キャリッジ121は、ヘッド122に対応して各色のインクを供給するため、サブタンクを搭載する。
【0024】
画像形成装置100は、各色のインクカートリッジ10y,10c,10m,10k(区別しないときは「インクカートリッジ10」という。)を着脱自在に装着するカートリッジ装填部1を備える。
【0025】
インクカートリッジ10のインクは、供給ポンプユニットによって各色の供給チューブ36を介してキャリッジ121のサブタンクに補充供給される。なお、インクカートリッジ10は、白色のインクカートリッジを含んでいてもよい。
【0026】
画像形成装置100は、キャリッジ121の主走査方向の一方側の非印字領域に、維持回復機構81を備える。維持回復機構81は、ヘッド122のノズル125の状態を維持および/または回復する。
【0027】
維持回復機構81は、ヘッド122の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)82a,82b,82c(区別しないときは「キャップ82」という。)と、ノズル面をワイピングするための払拭ユニット83などを備えている。また、ヘッド122の維持回復機構81の下方側には維持回復動作によって生じる廃液を収容するための交換可能な廃液タンクが設けられている。
【0028】
図3は、画像形成装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。画像形成装置100は、
図3に示すように、制御部101、操作パネル114、環境センサ115、ヘッドドライバ116、主走査モータ117、副走査モータ118、ファン119、ヒータ120、ヘッド122、および、移動機構140を備える。
【0029】
制御部101は、
図3に示すように、CPU(Central Processing Unit)102、ROM(Read Only Memory)103、RAM(Random Access Memory)104、不揮発性メモリ(NVRAM:Non‐Volatile RAM)105、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)106、I/F107、印刷制御部108、主走査モータ駆動部109、副走査モータ駆動部110、ファン制御部111、ヒータ制御部112およびI/O113を有する。なお、制御部101は、上記以外の構成を含んでもよい。
【0030】
CPU102、ROM103、RAM104、不揮発性メモリ105、ASIC106、I/F107、印刷制御部108、主走査モータ駆動部109、副走査モータ駆動部110、ファン制御部111、ヒータ制御部112およびI/O113は、例えばバス等を介して、相互に通信可能に接続されている。
【0031】
CPU102は、画像形成装置100全体の動作を制御する。具体的には、CPU102は、ROM103等に記憶されたプログラムを実行することにより、各機能を実現する。
【0032】
ROM103は、CPU102が実行するプログラムや、その他の固定データ等を格納する。RAM104は、画像データ等を一時格納する。不揮発性メモリ105は、画像形成装置100の電源が遮断されている間もデータを保持する。ASIC106は、各種信号処理や並び替え等を行なう画像処理、その他装置全体を制御するための入出力信号を処理するための回路である。
【0033】
I/F107は、ホスト側との間でデータや信号を送受するインタフェース回路である。具体的には、I/F107は、情報処理装置、画像読取装置、撮像装置等のホストのプリンタドライバが生成した印刷データ(画像データ)等を、ケーブルやネットワーク等を介して受信する。つまり、制御部101に対する印刷データの生成出力は、ホスト側のプリンタドライバによって行なわれてもよい。
【0034】
印刷制御部108は、ヘッド122を駆動するための駆動波形を生成するとともに、ヘッド122がノズル125から液体(インク)を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段を選択駆動させる印刷データおよびそれに伴う各種データを、ヘッドドライバ116に出力するための回路である。
【0035】
主走査モータ駆動部109は、主走査モータ117を駆動するための回路である。副走査モータ駆動部110は、副走査モータ118を駆動するための回路である。ファン制御部111は、所定の温度および風量の送風が行なわれるように、ファン119の出力を制御するための回路である。
【0036】
ヒータ制御部112は、設定された温度となるようにヒータ120の制御を行なうための回路である。I/O113は、環境センサ115からの情報を取得し、画像形成装置100の各部の制御に要する情報を抽出するための回路である。なお、I/O113は、環境センサ115以外の各種センサからの検知信号も入力する。
【0037】
操作パネル114は、解像度のユーザ指定などの各種情報の入力や表示を行なう装置である。操作パネル114は、例えば制御部101のバスを介してCPU102等に相互に通信可能に接続されている。
【0038】
環境センサ115は、例えば、環境温度や環境湿度等を検出するセンサである。環境センサ115は、制御部101のI/O113に接続されている。
【0039】
ヘッドドライバ116は、入力される画像データ(例えば、ドットパターンデータ)に基づいて、印刷制御部108から与えられる駆動波形を構成する駆動パルスを、選択的にヘッド122の圧力発生手段に対して印加することにより、ヘッド122を駆動するための回路である。ヘッドドライバ116は、制御部101の印刷制御部108に接続されている。なお、吐出量の制御は、例えばヘッド122の圧力発生手段に入力される駆動波形の振幅の制御により行われるが、他の手段を用いて吐出量が制御されてもよい。
【0040】
主走査モータ117は、駆動により、タイミングベルトを回転駆動させ、ヘッド122を備えたキャリッジ121を主走査方向(矢印Gの方向)に移動させる装置である。主走査モータ117は、制御部101の主走査モータ駆動部109に接続されている。
【0041】
副走査モータ118は、駆動により、ヘッド122による液体(インク)の吐出対象となる対象物である媒体40を副走査方向に搬送する搬送ローラ123を動作させる装置である。副走査モータ118は、制御部101の副走査モータ駆動部110に接続されている。
【0042】
移動機構140は、ヘッド122と媒体40とを相対移動させる。移動機構140は、メインガイドロッド31、サブ板金ガイド32、キャリッジ121および搬送ローラ等を含んで構成される。
【0043】
移動機構140は、メインガイドロッド31、サブ板金ガイド32およびキャリッジ121等により、主走査方向に沿ってヘッド122と媒体40とを相対移動させる。また移動機構140は、媒体40を搬送する搬送ローラ等により、副走査方向に沿ってヘッド122と媒体40とを相対移動させる。本実施形態では、移動機構140による副走査方向の方向への相対移動は間欠的な移動である。間欠的な移動とは、移動と停止を交互に行う移動をいう。
【0044】
ファン119は、駆動により、画像形成装置100の内部の空気の対流を促し、画像形成装置100の上部が暖められた空気の滞留によって過剰に温度上昇することを防ぐための装置である。ファン119は、制御部101のファン制御部111に接続されている。
【0045】
図4は、制御部101の機能構成の一例を示すブロック図である。なお、
図3と重複する構成部は説明を省略する。
図4に示すように、制御部101は、異常検出部201と、吐出制御部210とを有する。
【0046】
吐出制御部210は、インクの吐出を制御する。本実施形態では、吐出制御部210は、異常検出部201により異常が検出された場合に、種類に応じて異なる吐出状態となるようにインク(プロセスインク、ライトインク)の吐出を制御する。例えば吐出制御部210は、異常が検出されない場合と異なる吐出状態となるようにプロセスインクの吐出を制御し、異常が検出されない場合と同じ吐出状態となるようにライトインクの吐出を制御する。吐出制御部210は、ハーフトーン制御部211と、重ね打ち制御部212と、打ち順マスク制御部213と、を有する。
【0047】
ハーフトーン制御部211は、ハーフトーン処理を制御する。重ね打ち制御部212は、重ね打ち制御を実行する。打ち順マスク制御部は、打ち順マスク制御を実行する。
【0048】
吐出制御部210は、画像形成によってバンディングを改善する手法として、ハーフトーン処理、重ね打ち制御、および、打ち順マスク制御のすべてを実行してもよいし、一部を実行してもよい。一部のみが実行される場合は、ハーフトーン制御部211、重ね打ち制御部212、および、打ち順マスク制御部213のうち、不要な構成部は削除されてもよい。
【0049】
制御部101は、CPU102が所定のプログラムを実行することにより、これらの機能を実現する。また制御部101は、これらの機能の一部または全部を、一または複数の処理回路により実現してもよい。
【0050】
「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0051】
異常検出部201は、光学センサ37による読取信号に基づき、媒体40に先行形成された画像の異常を検出する。例えば、異常検出部201は、光学カメラである光学センサ37による読取画像と、媒体40に形成する画像の元となる画像データと、を比較する画像処理を行うことにより、先行形成された画像の異常を検出する。ここで、先行形成された画像とは、画像形成装置100が画像データに基づいて媒体40に画像を形成中に、媒体40に既に形成された画像をいう。
【0052】
バンディングを検出する場合も、異常検出部201は、光学センサ37を用いて、先行形成された画像表面のバンディングの発生状態を検出することができる。例えばスキューについては、異常検出部201は、光学センサ37を用いて左右の媒体搬送挙動の不良を監視することでスキュー状態を判断することができる。媒体の送り量については、異常検出部201は、定期的に印字されるチェックパターンを光学センサ37で読み取ることで検出することができる。
【0053】
制御部101は、ヘッド122と媒体40とを複数回、相対移動させつつインクを媒体40上に配置するように、ヘッド122と移動機構140とを制御する。媒体40に配置されたインクは、媒体40に定着することにより画像におけるドットを形成する。より詳しくは、ヘッド122から吐出されたインクにより形成される1つのインク滴が媒体40に着弾した後、乾燥して媒体40に定着することにより画像における1つのドットを形成する。画像は、複数のドットの集合体として形成される。
【0054】
本実施形態では、制御部101は、媒体40に先行形成された画像に異常が検出された場合には、画像形成方式(ハーフトーン処理、重ね打ち制御、打ち順マスク)を変更する。例えば、吐出制御部210は、異常が検出された場合に、インクの種類に応じて異なる吐出状態となるようにインクの吐出を制御する。
【0055】
ここで、画像の異常とは、媒体40に形成された画像において、画像データに対応していない領域をいう。例えば、画像の異常には、媒体40上においてドットが形成されていない領域が主走査方向または副走査方向に沿って線状に延びたスジ、画像の濃度が不均一である濃度ムラ、および、画像の濃度ムラが縞状に生じたバンディング等が挙げられる。
【0056】
次に、画像形成装置100による画像形成処理の全体の流れについて説明する。
図5は、画像形成処理の一例を示すフローチャートである。
【0057】
制御部101は、画像データを入力する(ステップS101)。制御部101は、画像データに対して解像度変換処理(ステップS102)、色変換テーブルを用いた色変換処理(ステップS103)、ハーフトーン処理(ステップS104)、および、印刷データ生成処理(ステップS105)などの各種の画像処理を実行する。印刷データ生成処理は、例えば、画像データをベクター形式からラスター形式に変換する処理(ラスタライズ処理)を含む。その後、制御部101は、画像処理を実行した画像データを各色のドットデータに変換して、印刷を行う(ステップS106)。
【0058】
次に画像形成によってバンディングを改善する手法として、ハーフトーン処理、重ね打ち制御、および、打ち順マスク制御について説明する。最初にハーフトーン処理によるバンディングの改善手法について説明する。
【0059】
ハーフトーン処理(ステップS104)は、階調データ(入力された画像データ)をドットデータに変換する処理である。具体的には、ハーフトーン処理は、階調データに応じて吐出するインクのサイズ(以下、滴サイズ)を決定する。
【0060】
ドットデータが4値(大滴、中滴、小滴、吐出無)の場合を例にすると、滴サイズは、例えば、小さい滴サイズ(小滴)、大きい滴サイズ(大滴)、および、小滴と大滴の中間の滴サイズ(中滴)を含む。ハーフトーン制御部211は、小滴、中滴、および、大滴それぞれを吐出する比率を決定する。
【0061】
一般的に、粒状性に対しては、小滴は再現性の点から有利であり、大滴はドットが大きくなるので不利になる。一方、バンディングに対しては、小滴は着弾ズレが認識しやすくなるので不利となり、大滴は被覆面積が相対的に大きくなるので有利となる。
【0062】
そこでハーフトーン制御部211は、異常が検出された場合に、インクの種類(プロセスインクであるか、ライトインクであるか)に応じて異なる比率となるように各インクの吐出を制御する。
【0063】
表1は、比率を定めるハーフトーン処理条件の例を示す。
【表1】
【0064】
初期条件は、異常が検出されていないとき(正常時)に適用する条件である。表1の例では、ハーフトーン処理条件は、粒状性優先条件およびバンディング優先条件を含む。粒状性優先条件は、バンディングの抑制よりも粒状性の向上を優先したハーフトーン処理の条件を表す。
【0065】
図6は、粒状性優先条件により定められる滴サイズの比率(被覆率)の例を示す図である。
図7は、バンディング優先条件により定められる滴サイズの比率の例を示す図である。各図は、入力された画像データの階調(横軸)に対する比率(縦軸)の変化を示す。
【0066】
図6に示すように、粒状性優先のハーフトーン処理は、低階調領域において小滴を多く使い、階調が高くなるに従い小滴を減らして中滴を多く使い、さらに階調が高くなるに従い小滴および中滴を減らして大滴を多く使う。例えば、粒状性優先のハーフトーン処理は、低階調領域Aでは小滴のみを使い、領域Bでは小滴を徐々に減らして中適を使い、領域Cでは中適を減らして大滴を使う。
【0067】
図7に示すように、バンディング優先のハーフトーン処理は、
図6と比較して、低階調領域から中階調領域において、小中滴の使用を抑え、領域Fから大滴を使う構成となっている。小滴は点Dをピークに徐々に減らされ、中滴は領域Eをピークに徐々に減らされる。一方、大滴は、広い階調を含む領域Fで使用される。
【0068】
このようにバンディング優先条件(
図7)では、中階調の段階から大滴を使うことで被覆面積を大きくする効果があり、バンディングに対しては有利となる。一方、トレードオフとしてドットが大きくなるので粒状性は悪化する場合がある。
【0069】
本実施形態では、ハーフトーン処理の初期条件は、粒状性を優先するため、粒状性優先条件(
図6)が設定される。バンディングおよび用紙挙動不良などの異常が検出された場合に、ハーフトーン制御部211は、プロセスインクのハーフトーン処理をバンディング優先条件(
図7)に変更するが、ライトインクのハーフトーン処理は粒状性優先条件(
図6)のままとする。ライトインクはバンディングに対して有利であるため、ハーフトーン処理を変更してもバンディングを改善効果が小さいためである。
【0070】
ハーフトーン制御部211は、インクの種類のみでなく、さらに異常のレベルに応じて異なる条件(吐出状態)となるようにハーフトーン処理を制御してもよい。例えば、異常検出部201は、媒体40に先行形成された画像の異常を検出するとともに、異常のレベルを検出する。レベルの検出方法はどのような方法であってもよいが、例えば異常検出部201は、線状に延びたスジ、濃度ムラ、および、バンディングの発生の程度を示す情報をレベルとして検出する。
【0071】
例えば異常検出部201は、バンディングが発生していない状態をレベル0、軽微な濃度ムラが発生した状態をレベル1、および、バンディングが顕著になっている状態をレベル2などのようにレベルを示す情報を判定して出力する。
【0072】
また、例えばバンディング優先条件として、複数のレベルに対応して比率が異なる複数の条件が予め定められる。ハーフトーン制御部211は、複数の条件のうち、インクの種類および異常のレベルに応じた条件を適用してハーフトーン処理を制御する。
【0073】
次に重ね打ち制御によるバンディングの改善手法について説明する。
【0074】
一般的に広幅対応のインクジェット記録装置では、マルチスキャンによって画像が完成する。重ね打ちとは、異なる走査(スキャン)のタイミングで同一箇所へ打滴を行う機能である。普通紙に印刷するときに重ね打ちを行うと、インクの過剰付着による障害が発生しうる。一方、PVC(ポリ塩化ビニル、polyvinyl chloride)およびターポリン等の加工紙は、インクが媒体に吸収されないため、重ね打ちによる障害が発生し難い。重ね打ちは、例えばこのような媒体に対する印刷に対して実行される。
【0075】
図8は、重ね打ちを実行したときのドットの例を説明するための図である。ドット配置801は、入力された画像データ内のドットの配置を表す。ドット配置802は、着弾ズレが発生したときのドットの配置の例を表す。例えばドット811、812は、着弾ズレが発生したドットを表す。
【0076】
ドット配置803は、重ね打ち制御を実行したときのドットの配置の例を表す。例えばドット配置803は、ドット配置802が生じた走査の後の走査により、ドット821、822を重ね打ちした状態を示す。ドット821、822は、それぞれドット811、812と同じ打滴位置(目標として指定される位置)にインクを重ね打ちしたドットに相当する。
【0077】
着弾ズレが生じたドットをカバーするように重ね打ちすることにより、ドット径が拡大したような効果が得られる。一方、狙いよりも濃いドットが生成されるので、粒状性が悪化する場合がある。
【0078】
重ね打ち制御部212は、異常が検出された場合に、インクの種類に応じて重ね打ち制御を実行するか否かを切り替えるように各インクの吐出を制御する。
【0079】
表2は、重ね打ち制御を実行するか否か(重ね打ち制御の有無)を定める条件の例を示す。
【表2】
【0080】
本実施形態では、異常が検出されていないときには粒状性を優先するため、初期条件は重ね打ち制御を実行しない条件(重ね無し)に設定される。異常が検出された場合、プロセスインクのみ、条件が重ね打ち制御を実行する条件(重ね有り)に変更される。ハーフトーン処理と同様に、ライトインクはバンディングに対して有利であるため、重ね打ち制御を実行してもバンディングに対する改善効果が小さいためである。
【0081】
ハーフトーン処理と同様に、重ね打ちの条件(重ね合わせる比率など)を2つ以上設定しておけば、異常のレベルに応じて適した重ね打ち制御の条件を適用することが可能である。
【0082】
次に打ち順マスク制御によるバンディングの改善手法について説明する。
【0083】
図9は、打ち順マスク制御に用いられる打ち順マスクの例を示す図である。図に示すマスクイメージを走査数で分割したデータが走査ごとに適用される。
【0084】
打ち順マスクは、ヘッド122が有する各ノズル125の印字率(インク滴の打ち込み量)を制御するために用いられる。例えば、打ち順マスクは、印字率を段階的に変化させたり、インクを吐出するノズルをランダムに間引いたりすることで、形成される画像(印刷イメージ)に現れる特徴的なパターンやムラを軽減させることが可能である。
【0085】
ランダムマスクは、走査ごとに一定比率でインク滴を打ち込むためのマスクである。これに対して、インク滴を吐出する(打ち込む)比率を表す打ち込み比率をグラデーション状(連続的)または階段状(段階的)に変化させるマスクが、グラデーション形状のマスク、および、階段形状のマスクである。
【0086】
グラデーション形状のマスクは、スロープ状に打ち込み比率を変化させる。階段形状のマスクは、階段状に一定の変化量で打ち込み比率を変化させる。
図9では、前半の走査では打ち込み比率を下げ、徐々に打ち込み比率を上げ、再度、打ち込み比率を下げるような、グラデーション形状のマスクおよび階段形状のマスクの例が示されている。
【0087】
マスクの形状は、粒状性には直接は影響しないが、バンディングに対して効果があることが知られている。グラデーション形状のマスクおよび階段形状のマスクは、ともに走査前半部の打ち込み比率が抑えられている。このため、前半部の走査で発生するバンディングに対して有利である。ただし、走査ごとに打ち込み比率が変わるため、条件によっては走査内で濃度ムラ(バンド内ムラ)が顕著になることがある。
【0088】
打ち順マスク制御部213は、異常が検出された場合に、インクの種類に応じて異なるマスクを用いるように各インクの吐出を制御する。
【0089】
表3は、打ち順マスク制御で用いるマスクを定める条件の例を示す。
【表3】
【0090】
本実施形態では、異常が検出されていないときには、バンド内ムラの抑制を優先するため、初期条件はランダムマスクを用いる条件に設定される。異常が検出された場合、プロセスインクのみ、条件がグラデーション形状のマスク、または、階段形状のマスクを用いる条件に変更される。ハーフトーン処理および重ね打ち制御と同様に、ライトインクはバンディングに対して有利であるため、打ち順マスク制御を実行してもバンディングに対する改善効果が小さいためである。
【0091】
ハーフトーン処理および重ね打ち制御と同様に、打ち順マスクの条件を2つ以上設定しておけば、異常のレベルに応じて適した重ね打ち制御の条件を適用することが可能である。例えば階段形状のマスクの場合、階段の段数、および、階段の傾斜の少なくとも一方が相互に異なる複数のマスクが条件として定められてもよい。グラデーション形状のマスクの場合、グラデーションの傾斜が相互に異なる複数のマスクが条件として定められてもよい。
【0092】
次に、異常(バンディング)の検出時の吐出制御処理の例について説明する。
図10は、吐出制御処理の例を示すフローチャートである。吐出制御処理は、例えば、
図5の画像形成処理のハーフトーン処理(ステップS104)の前に実行される。なお
図10は、ハーフトーン処理または重ね打ち制御を実行する吐出制御処理の例を示す。バンディング対策処理として、打ち順マスク制御が追加されてもよいし、重ね打ち制御の代わりに打ち順マスク制御が実行されてもよい。
【0093】
まず異常検出部201は、バンディングの有無を検出する(ステップS201)。吐出制御部210は、バンディングが検出されたか否かを判定する(ステップS202)。バンディングが検出されない場合(ステップS202:No)、吐出制御処理が終了する。この場合、
図5のハーフトーン処理(ステップS104)の条件等は変更されない。
【0094】
バンディングが検出された場合(ステップS202:Yes)、吐出制御部210は、バンディング対策処理を変更するか否かを判定する(ステップS203)。例えば、既にバンディングの改善のためにハーフトーン処理の条件変更などの対策を実行済であるが、再度バンディングが検出されたような場合は、対策の種類を変更することが望ましい。そこで吐出制御部210は、例えば、既にバンディングの改善のための対策を実行済である場合、バンディング対策処理を変更すると判定する。
【0095】
バンディング対策処理を変更しないと判定された場合(ステップS203:No)、吐出制御部210(ハーフトーン制御部211)は、例えば表1に従い、インクの種類に応じてハーフトーン処理条件を変更する(ステップS204)。吐出制御部210は、以降のステップS203の判定のために、バンディング対策処理を行ったこと(ハーフトーン処理条件を変更したこと)を、例えばRAM104などの記憶装置に記憶する。
【0096】
バンディング対策処理を変更すると判定された場合(ステップS203:Yes)、吐出制御部210(重ね打ち制御部212)は、例えば表2に従い、インクの種類に応じて重ね打ち制御の条件(重ね打ち制御の有無など)を変更する(ステップS205)。
【0097】
図11は、吐出制御処理の他の例を示すフローチャートである。
図11は、異常のレベルに応じてバンディング対策処理を変更する例を示す。なお
図11は、ハーフトーン処理を実行する吐出制御処理の例を示す。バンディング対策処理として、ハーフトーン処理の代わりに、または、ハーフトーン処理とともに、重ね打ち制御および打ち順マスク制御の一方または両方が実行されてもよい。
【0098】
異常検出部201は、バンディングの有無を検出する(ステップS301)。この例では、異常検出部201は、バンディングの有無とともに、バンディングのレベルを検出する。
【0099】
吐出制御部210は、バンディングが検出されたか否かを判定する(ステップS302)。バンディングが検出されない場合(ステップS302:No)、吐出制御処理が終了する。
【0100】
バンディングが検出された場合(ステップS302:Yes)、吐出制御部210は、異常検出部201により検出されたバンディングのレベルを取得する(ステップS303)。吐出制御部210(ハーフトーン制御部211)は、取得したレベルおよびインクの種類に応じて、ハーフトーン処理条件を変更する(ステップS304)。
【0101】
例えば、バンディングのレベルがレベル1の場合、ハーフトーン制御部211は、軽微なバンディングに対する条件として定められたハーフトーン処理条件に変更する。バンディングのレベルがレベル2の場合、ハーフトーン制御部211は、濃度ムラの程度がより大きいバンディングに対する条件として定められたハーフトーン処理条件に変更する。
【0102】
これまでは、バンディングを改善する手法として、ハーフトーン処理、重ね打ち制御、および、打ち順マスク制御を実行する例を説明した。他の手法として、ライトインクとプロセスインクを吐出する比率(記録率)を変更する手法が用いられてもよい。
【0103】
上記のように、ライトインクはプロセスインクに比べると濃度が薄い。ライトインクを使用する場合は、元の画像の階調データに対してライトインクとプロセスインクの記録率が決定される必要がある。
【0104】
例えば吐出制御部210は、このような記録率の決定を行う。また吐出制御部210は、異常が検出された場合に、正常時に対して記録率を変更するように各インクの吐出を制御する。
【0105】
図12は、記録率の初期条件の例を示す図である。
図13は、バンディング優先条件として定められる記録率の条件の例を示す図である。各図は、入力された画像データの階調(横軸)に対する、出力される画像データの階調(縦軸)の変化を示す。
【0106】
図12に示すように、初期条件では、低階調領域から中階調領域を示す領域Aでライトインクが多く使用されるが、プロセスインクも徐々に使用される。
【0107】
図13に示すように、バンディング優先条件では、領域Aでプロセスインクは使用されず、ライトインクのみが使用される。また、高階調領域Bでは、ライトインクの比率が下げられるとともに、プロセスインクの比率が上げられる。
【0108】
図13で示したバンディング優先条件では、低階調領域から中階調領域(領域A)における被覆面積が多くなるので、この領域の画像のバンディングに対しては有利である。
【0109】
例えば吐出制御部210は、異常が検出された場合に、記録率を示す条件を、初期条件からバンディング優先条件に変更するように構成される。
【0110】
以上のように、本実施形態の液体吐出装置は、バンディングなどの異常が検出された場合に、複数の種類のインク(例えばプロセスインク、ライトインク)が異なる吐出状態となるように、各インクの吐出を制御する。これにより、バンディングなどの画像の異常を抑制することができる。
【符号の説明】
【0111】
37 光学センサ
40 媒体
100 画像形成装置
101 制御部
122 ヘッド
201 異常検出部
210 吐出制御部
211 ハーフトーン制御部
212 重ね打ち制御部
213 打ち順マスク制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0112】
【特許文献1】特許第4553059号公報
【特許文献2】特開2010-076322号公報