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特開2023-138284加熱装置、定着装置及び画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138284
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】加熱装置、定着装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
G03G15/20 510
G03G15/20 555
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185658
(22)【出願日】2022-11-21
(31)【優先権主張番号】P 2022042532
(32)【優先日】2022-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】吉永 洋
(72)【発明者】
【氏名】安藤 貴之
(72)【発明者】
【氏名】醒井 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】塩寺 広太
(72)【発明者】
【氏名】加幡 利幸
【テーマコード(参考)】
2H033
【Fターム(参考)】
2H033AA23
2H033AA42
2H033BA25
2H033BA27
2H033BA31
2H033BA34
2H033BA37
2H033BB03
2H033BB05
2H033BB06
2H033BB13
2H033BB14
2H033BB15
2H033BB18
2H033BB29
2H033BB30
2H033BB33
2H033BB34
2H033BE00
2H033CA02
2H033CA27
(57)【要約】
【課題】微粒子の発生を抑制する。
【解決手段】加熱装置は、回転可能に保持される回転体21と、回転体21を加熱する加熱源23と、回転体21の長手方向両端部を保持する回転体保持部材27と、回転体保持部材27に付着する液状又は半固体状の潤滑性を有する物質とを備え、回転体保持部材27は、加熱源23から放出される輻射熱が少なくとも照射される部分に、輻射熱を反射する反射部36を有し、反射部36の反射率は60%以上である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に保持される回転体と、
前記回転体を加熱する加熱源と、
前記回転体の長手方向両端部を保持する回転体保持部材と、
前記回転体保持部材に付着する液状又は半固体状の潤滑性を有する物質とを備え、
前記回転体保持部材は、前記加熱源から放出される輻射熱が少なくとも照射される部分に、前記輻射熱を反射する反射部を有し、
前記反射部の反射率は60%以上であることを特徴とする加熱装置。
【請求項2】
前記反射部の反射率は、75%以上である請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記回転体保持部材は、基材と、前記基材の表面に設けられ前記反射部を有する表面層を有する請求項1又は2に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記表面層は、耐熱性の材料によって構成される請求項3に記載の加熱装置。
【請求項5】
前記表面層は、銀蒸着層である請求項3に記載の加熱装置。
【請求項6】
前記表面層は、前記基材に接着されるフィルムである請求項3に記載の加熱装置。
【請求項7】
前記表面層は、塗料層である請求項3に記載の加熱装置。
【請求項8】
連続プリント10分間中における前記回転体保持部材の温度が210℃以下である請求項1又は2に記載の加熱装置。
【請求項9】
連続プリント10分間中における前記回転体保持部材の温度が200℃以下である請求項1又は2に記載の加熱装置。
【請求項10】
連続プリント10分間中における前記回転体保持部材の温度が194℃以下である請求項1又は2に記載の加熱装置。
【請求項11】
連続プリント10分間中における前記回転体保持部材の温度が185℃以下である請求項1又は2に記載の加熱装置。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の加熱装置を用いて未定着画像を担持する記録媒体を加熱し、前記未定着画像を前記記録媒体に定着させることを特徴とする定着装置。
【請求項13】
請求項1又は2に記載の加熱装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱装置、定着装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機又はプリンタなどの画像形成装置に搭載される加熱装置の一例として、用紙などの記録媒体を加熱して記録媒体上の未定着画像を記録媒体に定着させる定着装置が知られている。
【0003】
このような定着装置においては、ベルトなどの回転体に対して相対的に摺動するニップ形成部材及びベルト保持部材(例えば、下記特許文献1参照)などの部材と回転体との間に生じる摺動抵抗を低減するため、一般的にオイルあるいはグリースなどの潤滑性を有する物質(以下、「潤滑剤」という。)が用いられている。潤滑性を有する物質とは、部品と部品の間に介在することで、それら部品間の摩擦抵抗を減少させる物質のことを指す。
【0004】
海外、特に欧州において、環境への関心が非常に高く、電子写真プロセスを用いた複写機、複合機、プリンタなどの画像形成装置においても、画像形成時に発生する揮発性有機化合物(VOC)、オゾン、ダスト、微粒子などに対する様々な認定基準が存在し、特にドイツ政府の研究機関においては、「ブルーエンジェルマーク」と言うエコラベル制度があり、認証を受けた製品及びサービスにのみラベルの使用が認められる。
【0005】
「ブルーエンジェルマーク」の認証を受けていない製品であっても、販売ができなくなるわけではないが、認証を受けていないと言うことは、環境へ配慮されていない製品と受け取られることが多く、特に公官庁において、その傾向が強い。そのため、「ブルーエンジェルマーク」の認証があるかないかでは、製品の販売に大きな影響を与えてしまう。
【0006】
「ブルーエンジェルマーク」の認証には、様々な試験をクリアする必要があるが、特に微粒子の試験が非常に厳しい。具体的には、画像形成装置から発生する5.6nm~560nmの微粒子を粒子計測器FMPS(Fast Mobility Particle Sizer)で計測した際に得られる微粒子の数が、3.5×1011個/10分より少ないことが求められ、将来的にはさらに厳しい基準値になることが予想されている。この場合の微粒子の数は微粒子を形成する物質の種類及び状態、例えば、無機物/有機物の区別はなく、固体/液体(ミスト)の区別もない。あくまでも微粒子の大きさと数のみが関係する。
【0007】
微粒子は、画像形成装置を構成する様々な部材から発生するとされているが、定着装置のみを起動させることで、微粒子の発生量が大幅に上昇することから、定着装置が微粒子の主な発生原因であることが分かっている。実際、前述の潤滑剤を高温に加熱すると、微粒子が検出されるため、潤滑剤は微粒子の発生源の一つである。潤滑剤を高温に加熱することで、潤滑剤の極一部の成分が高温のガスとして揮発した後、そのガスが冷却されて凝結し、微粒子となると考えられている。潤滑剤を高温環境に晒さないようにし、画像形成装置からの微粒子の発生を抑制することが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明では、微粒子の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る加熱装置は、回転可能に保持される回転体と、前記回転体を加熱する加熱源と、前記回転体の長手方向両端部を保持する回転体保持部材と、前記回転体保持部材に付着する液状又は半固体状の潤滑性を有する物質とを備え、前記回転体保持部材は、前記加熱源から放出される輻射熱が少なくとも照射される部分に、前記輻射熱を反射する反射部を有し、前記反射部の反射率は60%以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、微粒子の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
図2】本実施形態に係る定着装置の中央部断面図である。
図3】本実施形態に係る定着装置の斜視図である。
図4】本実施形態に係る定着装置を、定着ベルトの長手方向に沿って切断した端部側の断面図である。
図5】ベルト保持部材の変形例を示す断面図である。
図6】反射部の反射率とベルト保持部材の温度上昇との関係を示す図である。
図7】プリント速度と微粒子の発生個数との関係を示す図である。
図8】本発明を適用可能な他の定着装置の構成を示す断面図である。
図9図8に示される定着装置の分解斜視図である。
図10】本発明を適用可能なさらに別の定着装置の構成を示す断面図である。
図11図10に示される定着装置を定着ベルトの長手方向に沿って切断した断面図である。
図12】潤滑剤の温度と微粒子の発生濃度との関係を示す図である。
図13】サンプル容器の斜視図である。
図14】従来の定着装置を定着ベルトの長手方向に沿って切断した端部側の断面図である。
図15】乾燥装置を備えるインクジェット式画像形成装置の一形態を示す図である。
図16】乾燥装置の一例を示す図である。
図17】ラミネート処理装置を備える画像形成装置の一形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。なお、本発明を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材及び構成部品などの構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0013】
図1は、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。ここで、本明細書中における「画像形成装置」には、プリンタ、複写機、ファクシミリ、印刷機、又は、これらのうちの二つ以上を組み合わせた複合機などが含まれる。また、以下の説明で使用する「画像形成」とは、文字及び図形などの意味を持つ画像を形成するだけでなく、パターンなどの意味を持たない画像を形成することも意味する。まず、図1を参照して、本実施形態に係る画像形成装置の全体構成及び動作について説明する。
【0014】
図1に示されるように、本実施形態に係る画像形成装置100は、用紙などのシート状の記録媒体に画像を形成する画像形成部200と、記録媒体に画像を定着させる定着部300と、記録媒体を画像形成部200へ供給する記録媒体供給部400と、記録媒体を装置外へ排出する記録媒体排出部500を備えている。
【0015】
画像形成部200には、作像ユニットとしての4つのプロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkと、各プロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkが備える感光体2に静電潜像を形成する露光装置6と、記録媒体に画像を転写する転写装置8が設けられている。
【0016】
各プロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの異なる色のトナー(現像剤)を収容している以外、基本的に同じ構成である。具体的に、各プロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkは、表面に画像を担持する像担持体としての感光体2と、感光体2の表面を帯電させる帯電部材3と、感光体2の表面に現像剤としてのトナーを供給してトナー画像を形成する現像装置4と、感光体2の表面を清掃するクリーニング部材5を備えている。
【0017】
転写装置8は、中間転写ベルト11と、一次転写ローラ12と、二次転写ローラ13を備えている。中間転写ベルト11は、無端状のベルト部材であり、複数の支持ローラによって張架されている。一次転写ローラ12は、中間転写ベルト11の内側に4つ設けられている。各一次転写ローラ12が中間転写ベルト11を介して各感光体2に接触することにより、中間転写ベルト11と各感光体2との間に一次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ13は、中間転写ベルト11の外周面に接触し、二次転写ニップを形成している。
【0018】
定着部300においては、画像が転写された記録媒体を加熱する加熱装置としての定着装置20が設けられている。定着装置20は、記録媒体上の画像を加熱する定着ベルト21と、定着ベルト21に接触してニップ部(定着ニップ)を形成する加圧ローラ22などを備えている。
【0019】
記録媒体供給部400には、記録媒体としての用紙Pを収容する給紙カセット14と、給紙カセット14から用紙Pを送り出す給紙ローラ15が設けられている。以下、「記録媒体」を「用紙」として説明するが、「記録媒体」は紙(用紙)に限定されない。「記録媒体」は、紙(用紙)だけでなくOHPシート又は布帛、金属シート、プラスチックフィルム、あるいは炭素繊維にあらかじめ樹脂を含浸させたプリプレグシートなども含む。また、「用紙」には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙及びアート紙など)、トレーシングペーパなども含まれる。
【0020】
記録媒体排出部500には、用紙Pを画像形成装置外に排出する一対の排紙ローラ17と、排紙ローラ17によって排出された用紙Pを載置する排紙トレイ18が設けられている。
【0021】
次に、図1を参照しつつ本実施形態に係る画像形成装置100の印刷動作について説明する。
【0022】
画像形成装置100において印刷動作が開始されると、各プロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkの感光体2及び転写装置8の中間転写ベルト11が回転を開始する。また、給紙ローラ15が、回転を開始し、給紙カセット14から用紙Pが送り出される。送り出された用紙Pは、一対のタイミングローラ16に接触することにより静止し、用紙Pに転写される画像が形成されるまで用紙Pの搬送が一旦停止される。
【0023】
各プロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkにおいては、まず、帯電部材3によって、感光体2の表面が均一な高電位に帯電される。次いで、原稿読取装置によって読み取られた原稿の画像情報、あるいは端末からプリント指示されたプリント画像情報に基づいて、露光装置6が、各感光体2の表面(帯電面)を露光する。これにより、露光された部分の電位が低下して各感光体2の表面に静電潜像が形成される。そして、この静電潜像に対して現像装置4がトナーを供給し、各感光体2上にトナー画像が形成される。各感光体2上に形成されたトナー画像は、各感光体2の回転に伴って一次転写ニップ(一次転写ローラ12の位置)に達すると、回転する中間転写ベルト11上に順次重なり合うように転写される。かくして、中間転写ベルト11上にフルカラーのトナー画像が形成される。なお、各プロセスユニット1Y,1M,1C,1Bkのいずれか一つを使用して単色画像を形成したり、いずれか2つ又は3つのプロセスユニットを用いて2色又は3色の画像を形成したりすることもできる。また、中間転写ベルト11へトナー画像が転写された後は、クリーニング部材5によって各感光体2上の残留トナーなどが除去される。
【0024】
中間転写ベルト11上に転写されたトナー画像は、中間転写ベルト11の回転に伴って二次転写ニップ(二次転写ローラ13の位置)へ搬送され、タイミングローラ16によって搬送されてきた用紙P上に転写される。その後、用紙Pは、定着装置20へと搬送され、定着ベルト21と加圧ローラ22によって用紙P上のトナー画像が加熱及び加圧され、トナー画像が用紙Pに定着される。そして、用紙Pは、記録媒体排出部500へ搬送され、排紙ローラ17によって排紙トレイ18へ排出される。これにより、一連の印刷動作が終了する。
【0025】
続いて、図2及び図3に基づき、本実施形態に係る定着装置の基本構成について説明する。図2は、本実施形態に係る定着装置を、定着ベルト21の長手方向中央部M(図3参照)において切断した中央部断面図である。なお、ここでいう定着ベルトの「長手方向」とは、図3中の矢印Xにて示される方向であり、加圧ローラ22の回転軸方向、あるいは定着ベルト21と加圧ローラ22との間(ニップ部)を通過する用紙の幅方向(用紙搬送方向とは交差する方向)と同じ方向を意味する。また、以下の説明中の「長手方向」も同じ意味である。
【0026】
図2及び図3に示されるように、本実施形態に係る定着装置20は、定着ベルト21及び加圧ローラ22のほか、ヒータ23と、ニップ形成部材24と、ステー25と、反射部材26(図2参照)と、ベルト保持部材27(図3参照)と、温度センサ28(図2参照)を備えている。
【0027】
定着ベルト21は、用紙Pの未定着トナー担持面に接触して未定着トナー(未定着画像)を用紙Pに定着させる回転体(第一回転体又は定着部材)である。
【0028】
具体的に、定着ベルト21は、内周面側から外周面側に向かって順に、基材、弾性層、離型層が積層される無端状のベルトにより構成される。基材は、層厚が30~50μmであって、ニッケル、ステンレスなどの金属材料、あるいはポリイミドなどの樹脂材料により形成される。弾性層は、層厚が100~300μmであって、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム、フッ素ゴムなどのゴム材料により形成される。定着ベルト21が弾性層を有していることにより、ニップ部における定着ベルト21の表面に微小な凹凸が形成されなくなるため、用紙P上のトナー画像に熱が均一に伝わりやすくなる。離型層は、層厚が10~50μmであって、PFA(テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、PES(ポリエーテルサルファイド)などの材料により形成される。定着ベルト21が、離型層を有していることにより、トナー(トナー画像)に対する離型性(剥離性)が確保される。また、定着ベルト21は、小型化及び低熱容量化のため、その全体の厚さが1mm以下、直径が30mm以下であることが好ましい。
【0029】
加圧ローラ22は、定着ベルト21の外周面に対向して配置される回転体(第二回転体又は対向部材)である。
【0030】
具体的に、加圧ローラ22は、中実の鉄製芯材と、この芯材の外周面に設けられる弾性層と、弾性層の外周面に設けられる離型層により構成される。芯材は、中空の部材であってもよい。弾性層は、シリコーンゴム、又は発泡性シリコーンゴム、あるいはフッ素ゴムなどにより形成されている。離型層は、PFA又はPTFEなどのフッ素樹脂により形成されている。
【0031】
ヒータ23は、定着ベルト21を加熱する加熱源である。本実施形態においては、ヒータ23として、ハロゲンヒータが用いられている。また、ヒータ23は、ハロゲンヒータのほか、カーボンヒータ又はセラミックヒータなどの他の輻射熱式のヒータであってもよい。また、本実施形態においては、ヒータ23が、定着ベルト21の内側に2つ配置されているが、ヒータ23の数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0032】
ニップ形成部材24は、定着ベルト21の内側に配置され、加圧ローラ22の加圧力を受けて定着ベルト21と加圧ローラ22との間にニップ部Nを形成する部材である。ニップ形成部材24は、ベースパッド29と、摺動シート30を有している。
【0033】
ベースパッド29は、定着ベルト21の長手方向Xへ連続して配置され、ステー25に固定されている。ベースパッド29が加圧ローラ22の加圧力を受けることにより、ニップ部Nの形状が決定される。ベースパッド29の材料としては、耐熱温度が200℃以上の耐熱性部材が用いられることが好ましい。例えば、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリアミドイミド(PAI)、又は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの一般的な耐熱性樹脂が挙げられる。このような耐熱性材料をベースパッド29の材料として用いることにより、定着温度域におけるベースパッド29の熱変形を防止でき、ニップ部Nの形状を安定させることができる。ニップ部Nの形状は、図2に示されるような凹形状のほか、平坦状、あるいはそれ以外の形状であってもよい。
【0034】
摺動シート30は、ベースパッド29と定着ベルト21の内周面との間に介在する低摩擦性の部材である。摺動シート30が、ベースパッド29と定着ベルト21との間に介在していることにより、ベースパッド29に対する定着ベルト21の摺動抵抗が低減される。なお、ベースパッド29自体が低摩擦性の部材で形成されている場合は、摺動シート30を有しない構成であってもよい。
【0035】
ステー25は、ニップ形成部材24を加圧ローラ22側とは反対側から支持する支持部材である。ステー25がニップ形成部材24を支持することにより、加圧ローラ22の加圧によるニップ形成部材24の撓み(特に定着ベルト21の長手方向に渡る撓み)が抑制される。これにより、均一な幅のニップ部Nが得られる。ステー25の材料としては、剛性を確保するため、SUS又はSECCなどの鉄系金属材料が好ましい。
【0036】
反射部材26は、ヒータ23から放射される輻射熱(赤外線)を反射する部材である。ヒータ23から放出される輻射熱が、反射部材26によって定着ベルト21へ反射されることにより、定着ベルト21が効率良く加熱される。また、反射部材26は、ステー25とヒータ23との間に介在して、ステー25への熱伝達を抑制する機能も兼ねる。これにより、定着に直接寄与しない部材への熱の流動を抑制できるため、エネルギー消費の効率化を図れる。反射部材26の材料としては、アルミニウム又はステンレスなどの金属材料を用いることができる。特に、反射部材26が、アルミニウム製の基材の表面に反射率の高い銀を蒸着して構成されている場合は、加熱効率がより一層向上する。
【0037】
ベルト保持部材27は、定着ベルト21を回転可能に保持する一対の回転体保持部材である。図3に示されるように、ベルト保持部材27は、定着ベルト21の長手方向両端部においてその内側に挿入され、定着ベルト21を内側から回転可能に保持する。なお、ここでいう定着ベルト21の「長手方向両端部」、及び以下の説明中における定着ベルト21の「長手方向端部」は、定着ベルト21の長手方向の最も端の端縁のみを意味する場合に限らない。「長手方向両端部」及び「長手方向端部」には、定着ベルト21の長手方向の最も端の端縁のほか、定着ベルト21を長手方向に三等分した場合の端縁から三分の一の長さの範囲内における任意の位置も含まれる。従って、ベルト保持部材27は、定着ベルト21の長手方向の最も端の端縁を含む領域(長手方向端部)を保持する場合のほか、定着ベルト21の端縁を含まない領域(長手方向端部)を保持する場合であってもよい。
【0038】
具体的に、ベルト保持部材27は、定着ベルト21の長手方向端部内に挿入される断面C字状の挿入部27aと、挿入部27aよりも大きい外径に形成された規制部27bと、後述の側板に固定される固定部27cを有している。規制部27bは、少なくとも定着ベルト21の外径よりも大きく形成されており、定着ベルト21に長手方向Xの寄り(長手方向への移動)が生じた場合にその寄りを規制する。挿入部27aは、定着ベルト21の長手方向端部内に挿入されることにより、定着ベルト21を内側から回転可能に保持する。
【0039】
温度センサ28は、定着ベルト21の温度を検知する温度検知部材である。本実施形態においては、温度センサ28として、定着ベルト21の外周面に対して非接触に配置される非接触式の温度センサが用いられている。この場合、温度センサ28は、定着ベルト21の外周面近傍の雰囲気温度を定着ベルト21の表面温度として検知する。温度センサ28は、非接触式のセンサに限らず、定着ベルト21に接触して表面温度を検知する接触式のセンサであってもよい。温度センサ28としては、例えば、サーモパイル、サーモスタット、サーミスタ又はNCセンサなどの公知の温度センサを用いることが可能である。
【0040】
本実施形態に係る定着装置20は、次のように動作する。
【0041】
画像形成装置本体に設けられている駆動源の駆動によって加圧ローラ22が図2中の矢印方向へ回転すると、加圧ローラ22の回転に伴って定着ベルト21が従動回転する。また、ヒータ23が発熱し、ヒータ23によって定着ベルト21が加熱される。このとき、温度センサ28によって検知された定着ベルト21の温度に基づいてヒータ23の発熱量が制御されることにより、定着ベルト21の温度が所定の定着温度(画像定着可能な温度)となるように制御される。そして、定着ベルト21の温度が定着温度となった状態において、未定着画像を担持する用紙Pが、定着ベルト21と加圧ローラ22との間(ニップ部N)へ搬送されると、定着ベルト21と加圧ローラ22によって用紙Pが加熱及び加圧され、用紙P上の画像が用紙Pに定着される。
【0042】
ここで、上記のようなニップ形成部材24を備える定着装置においては、定着ベルト21が回転すると、ニップ形成部材24に対して定着ベルト21が摺動することにより、定着ベルト21とニップ形成部材24との間において摺動抵抗が発生する。このときの摺動抵抗を低減するため、定着ベルト21とニップ形成部材24との間には、一般的に、シリコーンオイル、シリコーングリース、フッ素グリース、フッ素オイルなどの潤滑剤が介在するように塗布されている。潤滑剤は、例えば、ニップ形成部材24のベースパッド29と定着ベルト21の内周面との間に配置される摺動シート30(図2参照)に含ませられ、摺動シート30から潤滑剤が染み出すことにより、ニップ形成部材24と定着ベルト21との間に潤滑剤が介在する。
【0043】
また、上記のように、一対のベルト保持部材27によって定着ベルト21を保持する構成においては、定着ベルト21が回転すると、各ベルト保持部材27に対して定着ベルト21が摺動する。このとき、各ベルト保持部材27と定着ベルト21との間においても摺動抵抗が生じるため、その摺動抵抗を低減する目的で、各ベルト保持部材27と定着ベルト21との間においても、上記のような潤滑剤を介在させている。
【0044】
このように、ニップ形成部材24及びベルト保持部材27などの摺動部材を備える構成においては、定着ベルト21の摺動性を向上させるため、一般的に、シリコーンオイル、シリコーングリース、フッ素グリース、フッ素オイルなどの潤滑剤が用いられている。しかしながら、定着装置の温度上昇に伴い潤滑剤の低分子の一部の成分が揮発し、大気で冷やされることにより凝集すると、微粒子が発生するため、定着装置から微粒子が放出される虞がある。ここで、「微粒子」とは、後述の図12に示される関係を調べるための測定条件により測定される微粒子及び超微粒子(以下、「FP/UFP」という。)であり、粒径が5.6nm~560nmの粒子である。
【0045】
近年、環境問題に対する意識の高まりから、製品から放出されるFP/UFPの発生を抑制する対策が望まれており、画像形成装置においてもFP/UFPの発生が少ない製品の開発が求められている。
【0046】
そこで、本発明者らは、定着装置からのFP/UFPの発生を抑制する対策を検討するにあたって、まず、潤滑剤として用いられるシリコーンオイル及びフッ素グリースの温度上昇と、これらの潤滑剤から生じるFP/UFPの発生濃度(1cmあたりのFP/UFPの発生個数)との関係を調べる試験を行った。その結果を、図12に示す。
【0047】
本試験は、JIS A 1901に準拠した1立米チャンバー(換気回数:5回)内で、サンプル容器内の液状又は半固体状の潤滑性物質を加熱した。図13に示されるように、サンプル容器1000は、50mm×50mm×5mmのアルミ板に、φ22mmで深さ2mmの窪み1000aを設けたものを使用し、この窪み1000aにサンプルを配置する。サンプルが配置されたサンプル容器1000を加熱装置(アズワン製クリーンホットプレートMH-180CS、アズワン製コントローラMH-3CS)のホットプレート上に置き、設定温度250℃でサンプルを加熱した。ホットプレートの温度をモニターしながら、チャンバー内のFP/UFP個数濃度を測定装置(高速応答型パーティクルサイザーFMPS : Fast Mobility Particle Sizer, TSI; Model 3091)を用いて測定した(Export時のUse Averaging Interval:30秒)。潤滑剤としては、フッ素グリースと、シリコーンオイルを用いサンプル量は36μlとした。図12における実線が、フッ素グリースから生じるFP/UFPの個数濃度を示し、同図中の一点鎖線が、シリコーンオイルから生じるFP/UFPの個数濃度を示す。また、図12においては、横軸にホットプレートの温度が示されているが、ホットプレートの温度上昇と潤滑剤の温度上昇はほぼ同期して変化するため、ここでは、ホットプレートの温度を潤滑剤の温度とみなす。
【0048】
図12に示されるように、実線にて示されるフッ素グリースにおいては、温度が185℃に達したあたりからFP/UFPが発生し始め、温度が194℃を超えたあたりから発生するFP/UFPの個数濃度が急激に上昇した。一方、一点鎖線にて示されるシリコーンオイルにおいては、温度が200℃に達したあたりからFP/UFPが発生し始め、温度が210℃を超えたあたりから発生するFP/UFPの個数濃度が急激に上昇した。この急激に濃度が上昇する温度を微粒子発生温度とし、チャンバー内のFP/UFP個数濃度が4000個/cm以上となる温度とした。
【0049】
このように、フッ素グリースにおいては温度が185℃に達するとFP/UFPが発生し、シリコーンオイルにおいては温度が200℃に達するとFP/UFPが発生することから、200℃を超える温度となり得る定着装置においては、潤滑剤からFP/UFPが発生する虞がある。従って、このようなFP/UFPを効果的に低減するには、FP/UFPが発生しやすい部分の温度上昇を抑制することが重要である。
【0050】
しかしながら、これまで、FP/UFPが定着装置のどの部分から多く発生しているかについて特定できていなかった。そのため、本発明者らは、FP/UFPの主な発生源についての鋭意検討を行い、その結果、主にベルト保持部材に付着する潤滑剤から多くのFP/UFPが発生することが分かった。その理由及び発生のメカニズムについて以下説明する。
【0051】
図14は、従来の定着装置における定着ベルトの長手方向端部の構成を示す断面図である。
【0052】
図14に示されるように、従来の定着装置は、上記本発明の実施形態に係る定着装置と同じように、定着ベルト210の長手方向端部を保持するベルト保持部材270を備えている。ベルト保持部材270の外周面には、定着ベルト210の摺動抵抗を低減するために潤滑剤が塗布されている。なお、ベルト保持部材270の外周面に潤滑剤が積極的に塗布されていない場合であっても、定着ベルトとニップ形成部材との間に介在する潤滑剤が、定着ベルトの回転に伴って流動することにより、ベルト保持部材270の外周面に付着することもある。
【0053】
ここで、従来の定着装置において、ヒータ230から輻射熱(赤外線)が放出されると、放出された輻射熱がベルト保持部材270に照射されるため、ベルト保持部材270が加熱される。さらに、図14に示されるように、作像動作開始直後の画像端部における定着性を確保する目的で、ヒータ230の発熱部Hが最大通紙領域Wの外側まで延長されている構成においては、ベルト保持部材270に対して輻射熱が照射されやすくなるため、ベルト保持部材270の温度上昇が生じやすくなる。これにより、ベルト保持部材270の温度が上記のようなFP/UFPの発生温度を超えると、ベルト保持部材270に付着する潤滑剤の低分子の一部の成分が揮発し、大気で冷やされることにより凝集し、FP/UFPが飛散して定着装置から排出される。このように、従来の定着装置においては、ヒータ230からの輻射熱の照射により、ベルト保持部材270が温度上昇するため、ベルト保持部材270に付着する潤滑剤からFP/UFPが発生する場合があった。また、図12に示される試験結果から、ベルト保持部材270の温度が高くなるほど、潤滑剤から発生するFP/UFPの個数が多くなるといえる。従って、FP/UFPの発生個数を効果的に低減するには、ベルト保持部材の温度上昇を抑制することが重要であるといえる。
【0054】
そこで、本発明の実施形態においては、ベルト保持部材の温度上昇を抑制するため、以下のような対策を講じている。
【0055】
図4は、本発明の実施形態に係る定着装置を、定着ベルトの長手方向に沿って切断した端部側の断面図である。
【0056】
図4に示されるように、本実施形態においては、ベルト保持部材27の内周面271と、定着ベルト21内に配置される一端面272(挿入部27aの先端面)に、ヒータ23の輻射熱(赤外線)を反射する反射部36が設けられている。ヒータ23から輻射熱が放出されると、ベルト保持部材27の内周面271と一端面272に向かって照射される輻射熱が反射部36によって反射される。すなわち、反射部36は、ベルト保持部材27の表面のうち、ヒータ23から放出される輻射熱が少なくとも照射される部分に設けられている。
【0057】
ベルト保持部材27の表面のうち、上記「輻射熱が照射される部分」には、ヒータ23から放出される輻射熱(図4中の実線矢印)が直接照射される部分のほか、上記反射部材26によって反射された輻射熱(図4中の点線矢印)が照射される部分も含まれる。また、本実施形態のように、ベルト保持部材27が定着ベルト21の内側に挿入される構成においては、通常、ヒータ23から放出される輻射熱はベルト保持部材27の内周面に照射されるため、この場合の「輻射熱が照射される部分」には、少なくともベルト保持部材27の内周面が含まれる。従って、本実施形態においても、ヒータ23から放出される輻射熱が直接照射される部分と、反射部材26によって反射された輻射熱が称される部分には、いずれもベルト保持部材27の内周面が含まれる。なお、反射部36は、ベルト保持部材27の内周面全体に設けられる場合に限らず、内周面の一部のみに設けられる場合であってもよい。また、反射部36は、輻射熱が照射される部分に設けられていればよいので、輻射熱が照射されない部分に反射部36は設けられていなくてもよい。本実施形態においては、ベルト保持部材27の外周面273のほか、上記一端面272とは反対側の他端面274(側板33に固定される面)には、反射部36が設けられていない。
【0058】
ベルト保持部材27は、その全体が高い反射率を有する材料により構成されている場合のほか、図5に示される例のように、基材37と、基材37の表面に設けられる表面層38により構成される場合であってもよい。表面層38は、反射率の高い材料により構成され、反射部36を有する層である。反射部36を有するベルト保持部材27又は表面層38は、耐熱温度が280℃以上の材料により構成されることが好ましい。具体的に、ベルト保持部材27又は表面層38を構成する材料としては、アルミニウム又は銀などの金属材料が挙げられる。
【0059】
表面層38は、例えば、樹脂製の基材37の表面に形成されるアルミニウム蒸着層又は銀蒸着層によって構成できる。蒸着の方法としては、物理蒸着(PVD)でもよいし、化学蒸着(CVD)でもよい。物理蒸着は、アルミニウム又は銀などの蒸着材料を加熱して蒸発させた後、対象物に堆積させて成膜する方法である。また、物理蒸着には、蒸着材料の蒸発を真空状態で行う真空蒸着も含まれる。一方、化学蒸着は、蒸着材料を加熱して気化させた後、気化した材料と反応ガスを混合して反応室内に充填させ、反応室内で熱せられた対象物にガスを接触させることにより、対象物表面に皮膜を形成する方法である。また、化学蒸着には、電圧をかけてガスをプラズマ化する方法もある。
【0060】
また、表面層38は、樹脂製の基材37の表面に接着されるアルミニウム製のフィルムであってもよい。表面層38を構成するフィルムは、アルミニウム以外の材料により構成されてもよいが、フィルムの表面及び接着層は200℃以上の耐熱性を有することが好ましい。
【0061】
また、表面層38は、白色度の高い塗料を基材37の表面に塗布されて形成される塗料層であってもよい。この場合も、表面層38を構成する塗料は、耐熱温度が200℃以上の材料により構成されることが好ましい。
【0062】
このように、本実施形態においては、ベルト保持部材27の輻射熱照射部分に反射部36が設けられているため、ヒータ23から照射される輻射熱を反射部36によって反射でき、ベルト保持部材27の温度上昇を抑制できる。ベルト保持部材27の温度上昇を抑制できれば、ベルト保持部材27に付着する潤滑剤のからのFP/UFPの発生も抑制できるようになる。
【0063】
ここで、反射部36の反射率は高いほど、ベルト保持部材27が輻射熱の影響を受けにくくなるため、ベルト保持部材27の温度上昇を効果的に抑制できる。なお、本明細書中の反射率とは、ヒータから放出される輻射熱の波長域に対する反射率であり、輻射熱の波長域としては、900nm~1600nm、もしくは1000nm~1300nmである。
【0064】
そこで、本発明者らは、反射部36の反射率とベルト保持部材27の温度上昇との関係について調べる試験を行った。その試験結果を、図6に示す。
【0065】
本試験においては、反射部の反射率が異なるベルト保持部材を複数用意し、各ベルト保持部材の反射部の反射率を、分光光度計(日立ハイテクサイエンス社製の紫外可視赤外分光光度計UH4150)を用いて、入射角を5°として測定した。なお、以下の説明における反射率も、この測定方法により測定された反射率とする。そして、異なるベルト保持部材を備える定着装置が搭載された画像形成装置を、23℃環境の測定室に設置し、画像形成装置の電源を投入して立ち上げた後に、画像形成装置が省エネ状態に移行してから測定室のドアを閉じた。その後、測定室が十分に換気される時間(例えば、60分)経過してから印刷指示を行い、プリント速度60ppm(Page Par Minutes)で通紙を開始した。そして、1枚目の用紙が排出された時点を印刷開始として10分間のベルト保持部材の温度を測定した。
【0066】
図6に示されるように、反射率が15%である場合は、ベルト保持部材の温度が、連続プリント10分間経過時点(600[sec]経過時点)で230℃にまで達した。従って、この場合、ベルト保持部材の温度が、シリコーンオイル由来のFP/UFPが急増する温度である210℃と、フッ素グリース由来のFP/UFPが急増する温度である194℃を超えるので、これらの潤滑剤から発生するFP/UFPを効果的に低減することはできない。また、反射率を45%に向上させた場合は、ベルト保持部材の温度上昇が多少抑制されたものの、連続プリント10分間経過時点で、ベルト保持部材の温度が210℃を超えた。従って、反射率が45%である場合も、FP/UFPの発生を効果的抑制するには不十分である。
【0067】
これに対して、反射率が60%である場合は、連続プリント10分間経過時点で、ベルト保持部材の温度を194℃にまで低減することができた。すなわち、反射率が60%であれば、ベルト保持部材の温度を、シリコーンオイル由来のFP/UFPが急増する温度である210℃はもちろん、シリコーンオイル由来のFP/UFPが生じ始める200℃よりも低く、さらに、フッ素グリース由来のFP/UFPが急増する温度である194℃をも超えないようにできる。また、反射率が75%である場合は、連続プリント10分間経過時点で、ベルト保持部材の温度を、フッ素グリース由来のFP/UFPが生じ始める温度(185℃)よりも低い175℃にまで低減できた。
【0068】
ここで、ベルト保持部材上の潤滑剤から発生するFP/UFPをより確実に低減する観点からすれば、プリントを行う間のベルト保持部材の温度が、ベルト保持部材上の潤滑剤のFP/UFP発生温度よりも低いことが好ましい。一般的に、市場における画像形成装置の使用は、数分以内の連続プリントがほとんどであり、5分以上の連続プリントを行うことは稀である。そのため、FP/UFPの発生を抑制するには、連続プリント10分間中のベルト保持部材の温度が、ベルト保持部材上の潤滑剤のFP/UFP発生温度よりも低くできれば十分である。
【0069】
従って、上記試験結果より、反射部の反射率が60%以上であれば、シリコーンオイル由来のFP/UFPの発生を効果的に抑制できると共に、フッ素グリースの由来のFP/UFPの発生も抑制できるといえる。このため、本発明においては、反射部の反射率を60%以上となるようにしている。
【0070】
さらに、反射部の反射率を75%以上とした場合は、シリコーンオイル由来のFP/UFPはもちろん、フッ素グリースの由来のFP/UFPの発生も効果的に抑制できるようになる。従って、FP/UFPの発生をより高度に抑制するには、反射部の反射率を75%以上とすることが好ましい。
【0071】
加熱源として用いられるハロゲンヒータは、用途により色温度が異なるが、定着装置の加熱用としては一般的に色温度が2500K程度のものが用いられる。このため、反射部の反射率は、発光強度の高いハロゲンヒータの波長域、具体的には900~1600nmの波長、より好ましくは1000~1300nmの波長に対して60%以上又は75%以上であることが好ましい。
【0072】
以上のように、本実施形態においては、ベルト保持部材が反射率60%以上の反射部を有していることにより、ヒータから放出される輻射熱を反射して、連続プリント10分間中におけるベルト保持部材の温度を210℃以下に抑えることができる。これにより、特に潤滑剤としてシリコーンオイルを用いた場合に、従来例に比べてFP/UFPの発生個数を大幅に低減できるようになる。
【0073】
また、反射部の反射率を高め、例えば反射率を75%以上とすることにより、FP/UFPの発生をより高度に抑制できるようになる。上記試験結果においては、FP/UFPの発生を効果的に抑制できる反射部の反射率として、60%のほか、75%を例に挙げているが、反射率は、60%以上であれば、使用される潤滑剤のFP/UFP発生温度などに応じて適宜設定すればよい。
【0074】
そして、反射部を所望の反射率に設定し、連続プリント10分間中におけるベルト保持部材の温度を200℃以下に抑えれば、シリコーンオイル由来のFP/UFPの発生を効果的に抑制できるようになる。また、連続プリント10分間中におけるベルト保持部材の温度を194℃以下に抑えれば、フッ素グリース由来のFP/UFPの発生を抑制できるようになる。さらに、連続プリント10分間中におけるベルト保持部材の温度を185℃以下に抑えれば、フッ素グリース由来のFP/UFPの発生をより効果的に抑制できるようになる。また、シリコーンオイルに代えてシリコーングリースを使用する場合は、シリコーンオイルの場合と同じようにベルト保持部材の温度を制御することにより同じ効果が得られる。また、フッ素グリースに代えてフッ素オイルを使用する場合も、フッ素グリースの場合と同じようにベルト保持部材の温度を制御することにより同じ効果が得られる。
【0075】
なお、上記「連続プリント10分間中におけるベルト保持部材の温度」とは、上記試験における手順により測定された温度である。すなわち、定着装置(加熱装置)が搭載される画像形成装置を、23℃環境の測定室に設置し、画像形成装置の電源を投入して立ち上げた後に、待機時間(例えば、60分)経過してから印刷指示を行う。印刷条件は、プリント速度がデフォルト設定とし、プリント速度がもっとも速いモードに設定する。また、使用する用紙は坪量70g/mでA4サイズもしくはレターサイズとし、ヨコ通紙可能なものはヨコ通紙とし、ヨコ通紙できないものはタテ通紙とする。ここでいう「ヨコ通紙」とは、用紙の長辺が搬送方向と直交する方向で搬送されることを意味し、「タテ通紙」とは、用紙の短辺が搬送方向と直交する方向で搬送されることを意味する。そして、1枚目の用紙が排出された時点を印刷開始として10分間のベルト保持部材の温度を熱電対で測定する。ただし、排紙トレイ容量や給紙トレイ容量の関係で連続プリント可能な時間が10分以下の場合は、連続プリント可能な時間でのベルト保持部材の温度を測定する。また、上記で規定した測定方法に加えて、ブルーエンジェルの微粒子基準に準拠した装置及び条件で測定してもよい。
【0076】
また、FP/UFPの発生原因となるベルト保持部材の温度上昇は、単位時間あたりの通紙枚数が多い画像形成装置ほど顕著になるので、本発明は、特に通紙枚数が多い画像形成装置に適用された場合に、大きな効果を期待できる。プリント速度とFP/UFPの発生個数との関係を示す図7によれば、連続プリント10分間中に定着装置から発生するFP/UFPの個数は、プリント速度が50ppm(Page Par Minutes)を超えたあたりから特に多くなる。従って、本発明は、プリント速度が50ppm以上の定着装置又は画像形成装置に適用された場合に、より大きな効果を期待できる。また、図4に示されるように、ヒータ23がベルト保持部材27の内側に配置される構成の場合も、ベルト保持部材27が温度上昇しやすいため、このような構成の定着装置においても、本発明を適用することにより大きな効果を期待できる。
【0077】
以上の本実施形態に係る説明においては、FP/UFPが発生する物質として、フッ素グリース、フッ素オイル、シリコーンオイル、シリコーングリースを例に挙げているが、本発明は、これら以外の液状又は半固体状の潤滑性物質(潤滑性を有する物質)が用いられる場合にも適用可能である。なお、本発明において、潤滑性物質(潤滑性を有する物質)とは、部品と部品の間に介在することで、それら部品間の摩擦抵抗を減少させる物質のことを指す。フッ素グリース及びシリコーンオイル以外の潤滑性物質が定着装置内に収容されている場合であっても、本発明によれば、ベルト保持部材の温度上昇を抑制でき、ベルト保持部材に付着する潤滑性物質の温度上昇も抑制できるため、FP/UFPの発生を効果的に抑制することが可能である。また、ベルト保持部材に2種類以上の潤滑剤が付着している場合は、これらの潤滑剤のFP/UFP発生温度のうち、低い方の発生温度よりも、連続プリント10分間中のベルト保持部材の温度が低くなるように制御することが好ましい。
【0078】
また、本発明は、上記のような構成の定着装置に限らず、種々の構成の定着装置にも適用可能である。以下に、本発明を適用可能な定着装置の構成をいくつか例示する。
【0079】
図8及び図9に示される定着装置60は、上記図2及び図3に示される定着装置20と同じように、加熱源としてハロゲンヒータ(ヒータ63)を備える定着装置である。具体的に、図8及び図9に示される定着装置60は、第一回転体としての定着ベルト61と、第二回転体としての加圧ローラ62と、加熱源としてのヒータ63と、ニップ形成部材64と、支持部材としての支持部65と、反射部材としての反射板66と、回転体保持部材としての保持枠67(図9参照)と、摺動部材としてのリング68(図9参照)を備えている。
【0080】
図8及び図9に示される定着ベルト61、加圧ローラ62、ヒータ63、ニップ形成部材64、支持部65、反射板66、保持枠67のそれぞれの機能及び構成は、図2及び図3に示される定着ベルト21、加圧ローラ22、ヒータ23、ニップ形成部材24、ステー25、反射部材26、ベルト保持部材27と基本的に同じである。なお、ニップ形成部材64は、金属製のベースパッド640と、ベースパッド640と定着ベルト61の内周面との間に介在するフッ素樹脂製の摺動シート641を有している。
【0081】
リング68は、定着ベルト61内に挿入される保持枠67の挿入部としての筒状部67aの外周面に装着され、定着ベルト61の長手方向端縁と保持枠67の規制部としての固定プレート67bとの間に介在する。定着ベルト61が回転すると、定着ベルト61と一緒にリング68が連れ回りする、あるいは、定着ベルト61が低摩擦性のリング68に対して摺動することにより、定着ベルト61と保持枠67との間において生じる摺動抵抗が低減される。
【0082】
このように、本発明が適用される定着装置は、リング68を備えるものであってもよい。
【0083】
続いて、図10及び図11に示される定着装置70は、上記図2及び図3に示される定着装置20と同じように、加熱源としてハロゲンヒータ73を備える定着装置である。具体的に、図10及び図11に示される定着装置70は、第一回転体としての定着ベルト71と、第二回転体としての加圧ローラ72と、加熱源としてのハロゲンヒータ73と、ニップ形成部材74と、反射部材76と、回転体保持部材としてのベルト支持部材77(図11参照)と、温度検知部材としての温度センサ78と、ガイド部材79を備えている。
【0084】
図10及び図11に示される定着ベルト71、加圧ローラ72、ハロゲンヒータ73、ニップ形成部材74、反射部材76、ベルト支持部材77、温度センサ78は、図2及び図3に示される定着ベルト21、加圧ローラ22、ヒータ23、ニップ形成部材24、反射部材26、ベルト保持部材27、温度センサ28と基本的に同じ機能を有する。
【0085】
ただし、図10及び図11に示される反射部材76は、ハロゲンヒータ73から放出される輻射熱(赤外線)を定着ベルト71ではなく、主にニップ形成部材74に反射する。反射部材76は、ハロゲンヒータ73の外側を覆うように断面U字形に形成されており、反射部材76のハロゲンヒータ73と対向する内側の面76aが反射率の高い反射面となっている。このため、ハロゲンヒータ73から輻射熱が放出されると、輻射熱が反射部材76の反射面76aによってニップ形成部材74へ反射される。
【0086】
これにより、ニップ形成部材74は、ハロゲンヒータ73からニップ形成部材74に向かって放出される輻射熱と、反射部材76によってニップ形成部材74へ反射される輻射熱によって加熱される。そして、ニップ形成部材74の熱は、ニップ部Nにおいて定着ベルト21へ伝達される。すなわち、この場合、ニップ形成部材74は、ニップ部Nを形成するほか、ニップ部Nにおいて熱を定着ベルト71へ伝達する伝熱部材としても機能する。このため、ニップ形成部材74は、熱伝導率の良い銅又はアルミニウムなどの金属材料によって構成されている。
【0087】
また、反射部材76は、ニップ形成部材74を支持する支持部材(ステー)としての機能も兼ねる。反射部材76が、定着ベルト71の長手方向に渡ってニップ形成部材74を支持することにより、ニップ形成部材74の撓みが抑制され、定着ベルト71と加圧ローラ72との間に均一な幅のニップ部Nが形成される。反射部材76は、支持部材としての機能を確保するため、SUS、SECCなどの剛性の高い金属材料により構成されることが好ましい。
【0088】
ガイド部材79は、定着ベルト71の内側に配置され、回転する定着ベルト71を内側からガイドする部材である。ガイド部材79は、定着ベルト71の内周面に沿って湾曲するガイド面79aを有しており、定着ベルト71がこのガイド面79aに沿ってガイドされることにより、定着ベルト71が大きな変形を伴うことなく円滑に回転する。
【0089】
このように、本発明が適用される定着装置は、熱伝導性の良いニップ形成部材74を介してハロゲンヒータ73の熱を伝達し、定着ベルト71を加熱する構成であってもよい。
【0090】
また、本発明は、上記のような電子写真方式の画像形成装置に搭載される定着装置に適用される場合に限らない。例えば、本発明は、インクジェット方式の画像形成装置に搭載され、用紙に塗布されたインクなどの液体を乾燥させる乾燥装置など、定着装置以外の加熱装置に対しても適用可能である。
【0091】
図15に、乾燥装置を備えるインクジェット式画像形成装置の一形態を示す。
【0092】
図15に示されるインクジェット式画像形成装置2000は、画像読取装置202と、画像形成部203と、シート供給装置204と、乾燥装置206と、シート排出部207を備えている。また、インクジェット式画像形成装置2000の横には、シート揃え装置3000が配置されている。
【0093】
このインクジェット式画像形成装置2000においては、印刷動作開始の指示があると、シート供給装置204から記録媒体としての用紙などのシートが給送される。シートが画像形成部203に搬送されると、画像読取装置202によって読み取られた原稿の画像情報、あるいは端末からプリント指示されたプリント情報に基づき画像形成部203の液体吐出ヘッド214からシートにインクが吐出され、シート上に画像が形成される。
【0094】
画像が形成されたシートは、乾燥装置206を通過する搬送路222か、乾燥装置206を通過しない搬送路223かへ、選択的に案内される。シートが乾燥装置206へ案内された場合は、乾燥装置206によってシート上のインクの乾燥が促進され、シートがシート排出部207かシート揃え装置3000へ案内される。一方、シートが乾燥装置206を通過しない搬送路223へ案内された場合は、そのままシートがシート排出部207かシート揃え装置3000へ案内される。また、シートがシート揃え装置3000に案内された場合は、シートが揃えて載置される。
【0095】
図16に示されるように、上記乾燥装置206は、第一回転体としての加熱ベルト291と、第二回転体としての加熱ローラ292と、加熱ベルト291を加熱する加熱源としての第一ヒータ293と、加熱ローラ292を加熱する加熱源としての第二ヒータ294と、ニップ形成部材295と、支持部材としてのステー296と、反射部材297と、加熱ベルト291を回転可能に保持する回転体保持部材としてのベルト保持部材298を備えている。
【0096】
ニップ形成部材295は、加熱ベルト291を介して加熱ローラ292の外周面に接触し、加熱ベルト291と加熱ローラ292との間にニップ部Nを形成する。図16に示されるように、画像(インクI)を担持するシート250が乾燥装置206のニップ部Nへ搬送されると、図中の矢印方向へ回転する加熱ベルト291と加熱ローラ292によってシート250が搬送されながら加熱される。これにより、シート250上のインクIの乾燥が促進される。
【0097】
図16に示される乾燥装置206において、加熱ベルト291は、その長手方向両端部に配置される一対のベルト保持部材298によって回転可能に保持されているため、加熱ベルト291が加熱され、ベルト保持部材298が温度上昇すると、ベルト保持部材298に付着する潤滑剤からFP/UFPが発生する虞がある。従って、このような乾燥装置206においても、本発明を適用することにより、ベルト保持部材298の温度上昇を抑制でき、FP/UFPの発生を効果的に抑制できるようになる。
【0098】
また、本発明は、図17に示されるようなラミネート処理装置を備える画像形成装置にも適用可能である。
【0099】
図17に示される画像形成装置4000は、ラミネート処理装置401のほか、複数の作像ユニット411C,411M,411Y,411Bk、露光装置412及び転写装置413を有する画像形成部402と、定着装置403と、記録媒体供給部としての給紙部404を備えている。
【0100】
ラミネート処理装置401は、2枚のシート間に用紙が挿入された状態でこれらを加熱及び加圧して用紙にシートを熱圧着する加熱装置である。具体的に、ラミネート処理装置401は、シート450を供給するシート供給部420と、シート供給部420から供給されたシートを2枚のシートに剥離するシート剥離部430と、剥離された2枚のシート間に用紙が挿入された状態で用紙とシートを加熱及び加圧しながら搬送する回転体としての熱加圧ローラ440を備えている。熱加圧ローラ440は、ヒータなどの加熱源によって加熱される。また、熱加圧ローラ440は、長手方向両端部が一対の軸受などの回転体保持部材によって回転可能に保持されている。
【0101】
図17に示される画像形成装置4000において、給紙部404から記録媒体としての用紙Pが画像形成部402に供給されると、画像形成部402において画像が形成され、供給された用紙Pに対して画像が転写される。そして、画像が転写された用紙Pは、定着装置403へ搬送され、画像の定着処理が行われる。なお、画像形成部402における画像形成動作及び転写動作(各作像ユニット411C,411M,411Y,411Bk、露光装置412及び転写装置413の各動作)、及び定着装置403における定着動作は、上記実施形態のものと基本的に同じであるので説明を省略する。
【0102】
定着処理が行われた用紙Pは、続いてラミネート処理装置401へ搬送され、剥離された2枚のシート間に挿入される。そして、用紙Pは2枚のシートに挟まれた状態で熱加圧ローラ440によって加熱及び加圧され、シートと用紙Pが熱圧着されて装置外に排出される。
【0103】
このとき、熱加圧ローラ440がヒータなどの加熱源によって加熱され、熱加圧ローラ440を支持する軸受の温度が上昇すると、軸受に付着する潤滑剤からFP/UFPが発生する虞がある。そのため、このような熱加圧ローラ440を備えるラミネート処理装置401においても本発明を適用することにより、熱加圧ローラ440を保持する軸受の温度上昇を抑制でき、FP/UFPの発生を効果的に抑制することが可能となる。
【0104】
以上説明した本発明の態様をまとめると、本発明には、少なくとも下記の構成を備える加熱装置、定着装置、画像形成装置が含まれる。
【0105】
[第1の構成]
第1の構成は、回転可能に保持される回転体と、前記回転体を加熱する加熱源と、前記回転体の長手方向両端部を保持する回転体保持部材と、前記回転体保持部材に付着する液状又は半固体状の潤滑性を有する物質とを備え、前記回転体保持部材は、前記加熱源から放出される輻射熱が少なくとも照射される部分に、前記輻射熱を反射する反射部を有し、前記反射部の反射率は60%以上の加熱装置である。
【0106】
[第2の構成]
第2の構成は、前記第1の構成において、前記反射部の反射率は、75%以上の加熱装置である。
【0107】
[第3の構成]
第3の構成は、前記第1又は第2の構成において、前記回転体保持部材は、基材と、前記基材の表面に設けられ前記反射部を有する表面層を有する加熱装置である。
【0108】
[第4の構成]
第4の構成は、前記第3の構成において、前記表面層は、耐熱性の材料によって構成される加熱装置である。
【0109】
[第5の構成]
第5の構成は、前記第3又は第4の構成において、前記表面層は、銀蒸着層により構成される加熱装置である。
【0110】
[第6の構成]
第6の構成は、前記第3又は第4の構成において、前記表面層は、前記基材に接着されるフィルムにより構成される加熱装置である。
【0111】
[第7の構成]
第7の構成は、前記第3又は前記第4の構成において、前記表面層は、塗料層により構成される加熱装置である。
【0112】
[第8の構成]
第8の構成は、前記第1から第7のいずれか1つの構成において、連続プリント10分間中における前記回転体保持部材の温度が210℃以下の加熱装置である。
【0113】
[第9の構成]
第9の構成は、前記第1から第7のいずれか1つの構成において、連続プリント10分間中における前記回転体保持部材の温度が200℃以下の加熱装置である。
【0114】
[第10の構成]
第10の構成は、前記第1から第7のいずれか1つの構成において、連続プリント10分間中における前記回転体保持部材の温度が194℃以下の加熱装置である。
【0115】
[第11の構成]
第11の構成は、前記第1から第7のいずれか1つの構成において、連続プリント10分間中における前記回転体保持部材の温度が185℃以下の加熱装置である。
【0116】
[第12の構成]
第12の構成は、前記第1から第11のいずれか1つの構成の加熱装置を用いて未定着画像を担持する記録媒体を加熱し、前記未定着画像を前記記録媒体に定着させる定着装置である。
【0117】
[第13の構成]
第13の構成は、前記第1から第11のいずれか1つの構成の加熱装置、又は前記第12の構成の定着装置を備える画像形成装置である。
【符号の説明】
【0118】
20 定着装置(加熱装置)
21 定着ベルト(第一回転体)
22 加圧ローラ(第二回転体)
23 ヒータ(加熱源)
27 ベルト保持部材(回転体保持部材)
36 反射部
100 画像形成装置
N ニップ部
X 長手方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0119】
【特許文献1】特開2013-164453号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17