(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138286
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20230922BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
G06F3/12 356
G06F3/12 308
G06F3/12 357
H04N1/00 912
H04N1/00 002A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185675
(22)【出願日】2022-11-21
(31)【優先権主張番号】P 2022044657
(32)【優先日】2022-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 良彦
(72)【発明者】
【氏名】松島 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】酒井 文平
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA35
5C062AB02
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB41
5C062AB43
5C062AB44
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC24
5C062AC38
5C062AE01
5C062AF02
5C062AF14
5C062BD01
5C062BD06
(57)【要約】
【課題】デザインテンプレートの登録時にプレビュー表示の方法を指定することができる情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】デザインテンプレートに対応するプレビュー方法の選択を受け付ける受付部と、デザインテンプレートと、プレビュー方法とを関連付けて記憶部に登録する登録部と、登録部により登録されたデザインテンプレートに関連付けられるプレビュー方法に応じて生成されたプレビュー画像を、印刷の発注を行うための発注者端末に送信する送信部と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デザインテンプレートに対応するプレビュー方法の指定を受け付ける受付部と、
前記デザインテンプレートと、前記プレビュー方法とを関連付けて記憶部に登録する登録部と、
前記登録部により登録された前記デザインテンプレートに関連付けられるプレビュー方法に応じて生成されたプレビュー画像を、印刷の発注を行うための発注者端末に送信する送信部と、
を有する情報処理システム。
【請求項2】
前記登録部により登録された前記デザインテンプレートが関連付けられるプレビュー方法により、該デザインテンプレートに対応する前記プレビュー画像を生成する生成部を、さらに有する請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記受付部は、前記デザインテンプレートに関連付ける撮像画像の指定を受け付け、
前記登録部は、前記デザインテンプレートと前記撮像画像とを関連付けて前記記憶部に登録し、
前記デザインテンプレートに関連付けられた前記プレビュー方法に基づいて、特色または特殊加工のうち少なくともいずれかが設定されているデザインテンプレートに対応した第1プレビュー方法か、特色または特殊加工のうち少なくともいずれかが設定されているデザインテンプレートに対応していない第2プレビュー方法かを判定する第1判定部と、前記第1判定部によって前記デザインテンプレートに関連付けられた前記プレビュー方法が前記第1プレビュー方法であると判定された場合、該デザインテンプレートに関連付けられた前記撮像画像が存在するか否かを判定する第2判定部と、をさらに備え、
前記生成部は、前記第2判定部により前記撮像画像があると判定された場合、該撮像画像に基づいて前記プレビュー画像を生成する請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記生成部は、前記第2判定部により前記撮像画像が存在しないと判定された場合、前記デザインテンプレートに基づいて、光源および視点が予め設定された所定のシミュレーションにより生成される第1シミュレート画像を、前記プレビュー画像として生成する請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記生成部は、前記第2判定部により前記撮像画像があると判定された場合、さらに、前記第1シミュレート画像の前記所定のシミュレーションと同一の条件のシミュレーションにより、かつ、前記デザインテンプレートの特色部分を代替色に置換して生成される第2シミュレート画像を、前記プレビュー画像として生成し、
前記送信部は、前記発注者端末に前記第1シミュレート画像と前記第2シミュレート画像とを、並列してプレビュー表示させるために、前記発注者端末へ送信する請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記生成部は、前記第2判定部により前記撮像画像が存在しないと判定された場合、前記デザインテンプレートに基づいて、視点の異なる複数の前記第1シミュレート画像を生成し、
前記送信部は、前記発注者端末に前記複数の前記第1シミュレート画像を表示させるために前記発注者端末へ送信する請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記送信部は、前記発注者端末に前記複数の前記第1シミュレート画像を、動画形式で表示させるために前記発注者端末へ送信する請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記第2判定部により前記撮像画像が存在しないと判定された場合、前記発注者端末から撮像画像のプレビュー要求を受け付ける、撮像画像プレビュー要求受付部を、さらに有する請求項3~7のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記発注者端末からの前記プレビュー要求に応じて、印刷業者の管理装置に対して前記デザインテンプレートの印刷指示を要求する要求部を、さらに備え、
前記生成部は、前記管理装置からの指示によって印刷機により印刷出力された印刷物の撮像画像に基づいて、前記プレビュー画像を生成し、
前記送信部は、前記プレビュー画像を、前記発注者端末にプレビュー表示させるために該発注者端末へ送信する請求項8に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記発注者端末は、デザインテンプレートを選択するための第1画面において、前記送信部から送信された前記プレビュー画像を表示する請求項1~7のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記発注者端末は、前記デザインテンプレートのレイアウトを最終確認するための第2画面において、前記送信部から送信された前記プレビュー画像を表示する請求項1~7のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項12】
デザインテンプレートに対応するプレビュー方法の指定を受け付ける受付部と、
前記デザインテンプレートと、前記プレビュー方法とを関連付けて記憶部に登録する登録部と、
前記登録部により登録された前記デザインテンプレートに関連付けられるプレビュー方法に応じて生成されたプレビュー画像を、印刷の発注を行うための発注者端末に送信する送信部と、
を備えた情報処理装置。
【請求項13】
デザインテンプレートに対応するプレビュー方法の指定を受け付ける受付ステップと、
前記デザインテンプレートと、前記プレビュー方法とを関連付けて記憶部に登録する登録ステップと、
登録した前記デザインテンプレートに関連付けられるプレビュー方法に応じて生成されたプレビュー画像を、印刷の発注を行うための発注者端末に送信する送信ステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項14】
コンピュータに、
デザインテンプレートに対応するプレビュー方法の指定を受け付ける受付ステップと、
前記デザインテンプレートと、前記プレビュー方法とを関連付けて記憶部に登録する登録ステップと、
登録した前記デザインテンプレートに関連付けられるプレビュー方法に応じて生成されたプレビュー画像を、印刷の発注を行うための発注者端末に送信する送信ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特色および特殊加工を使った印刷物(例えばダイレクトメール等)は人の目を惹きやすい等の付加価値があり、デジタルメディアに対する紙(アナログメディア)の価値として再認識されている。そこで、当該付加価値の高い印刷物を簡単に作成できるようなデザインテンプレートが用意されていたり、一連の作業工程を管理することができるワークフローシステムが知られている。このようなワークフローシステムには、利用者の利便性を向上するため、特色および特殊加工を適用するためのデザインツール、および仕上がりのイメージを表示するプレビュー表示機能等が含まれるものがある。また、特色の光沢性および特殊加工の立体感を表現するためには、特別なプレビューが必要となる。
【0003】
このような特色等についてのプレビューを表示する技術として、特色が含まれていることを分かりやすくするために、特色部分と無彩色部分(例えば白トナーおよび白い紙のように、下地の紙色を表現している部分)とを区別できるようにプレビュー表示する構成が開示されている(例えば特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、デザインテンプレートの登録時にプレビュー表示の方法を指定することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、デザインテンプレートの登録時にプレビュー表示の方法を指定することができる情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、デザインテンプレートに対応するプレビュー方法の選択を受け付ける受付部と、前記デザインテンプレートと、前記プレビュー方法とを関連付けて記憶部に登録する登録部と、前記登録部により登録されたデザインテンプレートに関連付けられるプレビュー方法に応じて生成されたプレビュー画像を、印刷の発注を行うための発注者端末に送信する送信部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、デザインテンプレートの登録時にプレビュー表示の方法を指定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る機器システムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るクラウドシステム等のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る印刷機のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る機器システムの機能ブロックの構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る機器システムで用いられるデータモデルの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、テンプレート登録処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図7】
図7は、テンプレート登録画面の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る機器システムの全体的な処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図9】
図9は、ジョブの印刷準備と印刷を矢印線で示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係るクラウドシステムのジョブ実行判断処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、空き時間の開始時刻における機器状態の予測を説明する図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係るクラウドシステムにおける機器状態の予測処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、準備時間および実行時間の予測動作を説明する図である。
【
図14】
図14は、発注ワークフロー画面の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、テンプレート一覧画面の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、テンプレート編集画面の一例を示す図である。
【
図20】
図20は、実施形態に係る機器システムにおけるプレビュー表示動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図21】
図21は、実施形態に係る機器システムにおけるシミュレート画像の生成動作を説明する図である。
【
図22】
図22は、視点の異なる複数のシミュレート画像を表示させる動作を説明する図である。
【
図23】
図23は、実施形態の印刷業者における撮像画像の応答処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照しながら、本発明に係る情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。また、以下の実施形態によって本発明が限定されるものではなく、以下の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想到できるもの、実質的に同一のもの、およびいわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下の実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換、変更および組み合わせを行うことができる。
【0010】
(機器システムの概略構成)
図1は、実施形態に係る機器システムの概略構成を示す図である。
図1を参照しながら、機器システム100の概略構成について説明する。
【0011】
図1に示す機器システム100は、デジタル素材を使用した印刷データの印刷を受注して、当該印刷に適した印刷業者を選択して、当該印刷業者において印刷を実行させるための情報処理システムである。機器システム100は、
図1に示すように、クラウドシステム50(情報処理システムの一例、情報処理装置の一例)と、発注者端末40と、管理者端末12と、1以上の印刷業者10の管理サーバ11(管理装置)および印刷機30と、を含む。また、クラウドシステム50、発注者端末40、管理者端末12、ならびに、印刷業者10の管理サーバ11および印刷機30は、ネットワークNを介して互いにデータ通信が可能となっている。
【0012】
ネットワークNは、本実施形態ではクラウドシステム50が利用される関係で、インターネットを含むネットワークである。また、印刷業者10内では、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等が使用されている。なお、ネットワークNは、VPN(Virtual Private Network)が使用されるものとしてもよい。
【0013】
印刷業者10は、印刷工場、印刷所、または所定の建屋等の印刷用の設備を有し、設備を用いて印刷物を印刷する業者を意味する。各印刷業者10のシステムは、管理サーバ11と、印刷機30と、を有する。管理サーバ11および印刷機30は、印刷業者10のシステム内のネットワークを介して、互いにデータ通信が可能となっているものとすればよい。印刷物は、紙等の記録媒体上に、画像形成装置等の印刷装置を用いて印刷データを画像形成することで印刷したものである。印刷物は例えば、ダイレクトメール、広告、チラシ、冊子、ポスター、販促物、カタログ、パンフレット、伝票、請求書等、発注者であるブランドオーナー等が事業や販売促進等に用いる商用の印刷物であるが、発注者が使用する文書等でもよい。
【0014】
管理サーバ11は、クラウドシステム50からジョブ情報が配信されると、印刷機30に対してジョブの実行を指示するPC(Personal Computer)またはワークステーション等の情報処理装置である。
【0015】
また、上述のジョブとは、印刷処理の単位をいう。例えば、ある文書のある枚数を印刷することである。本実施形態では、印刷機30が印刷することがジョブの実行であるが、ジョブの実行が具体的にどのような処理かは印刷機30の種類によって異なる。また、ジョブの実行により得られる出力としては、さらに単に結果を表示する、結果をクラウドに記憶する、メールを送信する、またはユーザ等へ通知する等を行ってもよい。また、ジョブ情報は、ジョブに関する情報であるが、本実施形態では、ジョブとジョブ情報とを厳密に区別しないものとする。ジョブのスケジュール情報は、ある印刷機30においてジョブが実行される予定の開始時刻および終了時刻を示す情報である。
【0016】
印刷機30は、プロダクション向けプリンタ、カラーインクジェットプリンタ、またはカラー/モノクロMFP(Multifunction Peripheral)等の画像形成装置である。印刷機30の印刷方式は、電子写真方式、インクジェット方式、凸版印刷、凹版印刷、平板印刷、孔版印刷等であり、これらの方式に限られず、印刷できる方式であればよい。また、印刷機30は、印刷した記録媒体に対して、紙折り、中綴じ製本、くるみ製本、パンチ等の後加工(後処理)を行うためのフィニッシャ(後処理装置)が接続されていてもよい。また、印刷機30は、スキャナ機能、ファックス機能、またはコピー機能等を有していてよい。
【0017】
なお、印刷機30が商用印刷機器である場合、DFE(Digital Front End)により制御される。このため、印刷機30とは独立な装置がDFEを有する場合があってもよい。本実施形態では、DFEによる制御機能が印刷機30に備えられているものとして説明する。
【0018】
管理者端末12は、クラウドシステム50に対して、デザイナまたは印刷業者等の登録者が所望するデザインテンプレートの登録を要求するための情報処理装置である。ここで、デザインテンプレートとは、印刷データに含めるためのテンプレートおよびイラストデータ等の素材データをいうものとする。デザインテンプレートは、PDFまたはJPEG等の画像ファイルで構成される。なお、本実施形態においては、デジタル素材としてデザインテンプレートに着目して説明するが、デザインテンプレートだけでなくイラストデータ等のデジタル素材にも適用可能である。すなわち、デザイナまたは印刷業者等によって登録された特色または特殊加工を用いたデザインテンプレートについての特徴を把握し、最も分かりやい見せ方を知っているのは登録者である当該デザイナまたは印刷業者等である。ここで、特色とは、CMYKのいわゆるプロセスカラー以外の色であって、当該色の専用の色材(インクまたはトナー等)によって印字が可能な色をいうものとする。また、特殊加工とは、色材の印字方法が特殊な処理を示し、例えば、色材を重ねて立体感を出すことにより装飾的な印字を行う処理、金箔等を箔押しする処理等が挙げられる。なお、特色や特殊加工等を含んで印刷する印刷方法を特殊印刷と言ってもよい。本実施形態では、クラウドシステム50に対して、デザイナまたは印刷業者等の登録者によってデザインテンプレートが登録される際に、当該デザインテンプレートをプレビュー表示するためのプレビュー方法を選択することができる動作について詳細に説明する。なお、管理者端末12は、登録者が印刷業者10である場合、当該印刷業者10で保有されているものとしてもよい。管理者端末12は、Webブラウザやアプリケーションを備え、クラウドシステム50にネットワークを介してアクセスすることで各画面を表示する。
【0019】
発注者端末40は、印刷を要求する発注者の操作に従って、クラウドシステム50に対してデザインテンプレートを用いた印刷物の印刷を発注するための情報処理装置である。発注者端末40は、発注者によって選択および編集されたデザインテンプレートに対して、当該発注者の操作に従って、所望するプレビュー方法を指定することが可能である。発注者端末40は、Webブラウザやアプリケーションを備え、クラウドシステム50にネットワークを介してアクセスすることで各画面を表示する。
【0020】
クラウドシステム50は、外部の発注者端末40からデザインテンプレートを含む印刷物の印刷の発注を受けると、各印刷業者10の印刷機30のスケジュール情報から空き時間を検出し、受け付けたジョブの準備時間と実行時間を算出して、空き時間内に受け付けたジョブを実行できるかどうかを判断し、当該ジョブについて実行可能な印刷業者10を決定して配信する、1以上の情報処理装置を有する情報処理システムである。すなわち、クラウドシステム50は、外部の発注者端末40の利用者に対して印刷サービスを提供する。ここで、クラウドとは、クラウドコンピューティングの略称であり、特定のハードウェア資源が意識されずにネットワーク上のリソースが利用される利用形態をいう。クラウドという用語はオンプレミス(ユーザが管理する設備内)という用語と対比して使用されるが、クラウドシステム50は、社内LANの外側にあっても内側にあってもよい。クラウドシステム50が有する1つ以上の情報処理装置は、サーバとして、クライアントからの要求に対して各種情報および処理結果を提供する機能を果たす。
【0021】
また、クラウドシステム50は、判断に際して、空き時間の開始時刻における印刷機30の状態を予測し、予測した印刷機30の状態と、受け付けたジョブ情報に基づいて設定される印刷機30の状態とに基づいて準備時間を予測する。
【0022】
クラウドシステム50は、
図1に示すように、注文管理サービス51と、顧客管理サービス52と、機器管理サービス53と、業者管理サービス54と、ジョブ管理サービス55と、デジタル素材管理サービス56と、課金管理サービス57と、を有する。各サービスは、クラウドシステム50が提供する機能である。クラウドシステム50では、各サービスにそれぞれ対応するサーバが存在してもよく、1つ以上のサーバが各サービスを実現するものとしてもよい。各サービスにそれぞれ対応するアプリケーションがサーバで動作しており、アプリケーション同士は通信できるようになっている。各アプリケーションは、例えばWeb API(Application Programming Interface)を介して通信する。Web APIには厳格な定義はないが、HTTP(HyperText Transfer Protocol)等のプロトコルを用いてネットワーク越しに呼び出すアプリケーション間またはシステム間のインターフェースである。
【0023】
注文管理サービス51は、外部の発注者端末40から、デジタル素材管理サービス56を介して、発注者により編集されたデザインテンプレートおよび出力設定情報を受け取り、印刷データを生成し、ジョブ管理サービス55に対して、当該印刷データの印刷を行うためのジョブ情報の登録要求を行う。なお、印刷データの生成は、注文管理サービス51で行われることに限定されるものではなく、印刷業者10の管理サーバ11または印刷機30によって生成されるものとしてもよい。
【0024】
顧客管理サービス52は、発注者端末40を使用する発注者等のクラウドシステム50を利用する顧客の情報を管理する。
【0025】
機器管理サービス53は、機器情報を各印刷機30から受信して、機器情報をジョブ管理サービス55に提供する。
【0026】
業者管理サービス54は、各印刷業者10の情報を管理する。
【0027】
ジョブ管理サービス55は、注文管理サービス51からジョブ情報を取得して一元管理し、機器管理サービス53が管理する機器情報を参照し、当該ジョブ情報の印刷に適切な印刷業者10に配信する。
【0028】
デジタル素材管理サービス56は、管理者端末12から登録要求をされた各種のデザインテンプレート等のデジタル素材を登録して管理するサービスである。また、デジタル素材管理サービス56は、印刷データの生成のために注文管理サービス51からの要求に応じて、指定されたデザインテンプレート等のデジタル素材を提供する。
【0029】
課金管理サービス57は、ジョブ情報が印刷業者10に配信された場合、ジョブ情報に対応する発注者端末40の利用者(顧客)からの出金情報と、ジョブ情報の配信を受けた印刷業者10への入金情報とを登録し、課金処理を行う。
【0030】
以上のような構成によって、ジョブの実行に適した印刷機30で印刷を行うことにより、印刷機30の稼働率を上げることができ、かつ、機会損失を防ぐとともに機器システム100を利用する印刷業者10間で収益を分配することができる。
【0031】
(クラウドシステム、管理サーバ、管理者端末および発注者端末のハードウェア構成)
図2は、実施形態に係るクラウドシステム等のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2を参照しながら、クラウドシステム50、管理サーバ11、管理者端末12および発注者端末40のハードウェア構成について説明する。ここでは、クラウドシステム50、管理サーバ11、管理者端末12および発注者端末40を構成する情報処理装置のハードウェア構成として説明する。
【0032】
図2に示すように、情報処理装置は、CPU(Central Processing Unit)801と、ROM(Read Only Memory)802と、RAM(Random Access Memory)803と、HD(Hard Disk)804、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ805と、ディスプレイ806と、外部機器接続I/F808と、ネットワークI/F809と、キーボード811と、ポインティングデバイス812と、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ814と、メディアI/F816と、を備えている。これらの各装置は、データ通信が可能となるようにアドレスバスおよびデータバス等のバスライン810で接続されている。
【0033】
CPU801は、情報処理装置全体の動作を制御する演算装置である。ROM802は、IPL(Initial Program Loader)等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する不揮発性記憶装置である。RAM803は、CPU801のワークエリアとして使用される揮発性記憶装置である。
【0034】
HD804は、プログラム等の各種データを記憶する不揮発性の補助記憶装置である。HDDコントローラ805は、CPU801の制御に従って、HD804に対する各種データの読み出しまたは書き込みを制御するコントローラである。なお、HD804およびHDDコントローラ805は、SSD(Solid State Drive)であってもよい。
【0035】
ディスプレイ806は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字または画像等の各種情報を表示する表示装置である。外部機器接続I/F808は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器としては、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリまたはプリンタ等が挙げられる。ネットワークI/F809は、ネットワークNを介してデータ通信をするためのインターフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)、およびTCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)等に準拠した通信が可能なインターフェースである。
【0036】
キーボード811は、文字、数値、各種指示等の入力のための複数のキーを備えた入力装置である。ポインティングデバイス812は、各種指示の選択、実行、処理対象の選択、カーソルの移動等を行うマウス等の入力装置である。
【0037】
DVD-RWドライブ814は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-R(Digital Versatile Disk Recordable)またはDVD-RW等のDVD513に対する各種データの読み出しまたは書き込みを制御する装置である。メディアI/F816は、フラッシュメモリ等のメディア815に対するデータの読み出しまたは書き込み(記憶)を制御するインターフェースである。
【0038】
なお、クラウドシステム50の場合、仮想マシンにより実現されることが多い。仮想マシンとは、ホストOS(Operating System)上で別のOSを動作させた場合の情報処理装置をいう。
【0039】
また、
図2に示したクラウドシステム50、管理サーバ11、管理者端末12および発注者端末40を構成する情報処理装置のハードウェア構成は一例を示すものであり、
図2に示した構成要素をすべて含む必要はなく、または、その他の構成要素を含むものとしてもよい。また、クラウドシステム50、管理サーバ11、管理者端末12および発注者端末40を構成する情報処理装置が、同一のハードウェア構成を有する必要もないのは言うまでもない。
【0040】
(印刷機のハードウェア構成)
図3は、実施形態に係る印刷機のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3を参照しながら、印刷機30のハードウェア構成について説明する。
【0041】
図3に示すように、印刷機30は、コントローラ910と、近距離通信回路920と、エンジン制御部930と、操作パネル940と、ネットワークI/F950と、を備えている。
【0042】
コントローラ910は、コンピュータの主要部であるCPU901と、MEM-P(システムメモリ)902と、NB(ノースブリッジ)903と、SB(サウスブリッジ)904と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)906と、MEM-C(ローカルメモリ)907と、HDDコントローラ908と、HD909と、を有する。このうち、NB903とASIC906とは、AGP(Accelerated Graphics Port)バス921で接続されている。
【0043】
CPU901は、印刷機30の全体制御を行う演算装置である。NB903は、CPU901と、MEM-P902、SB904およびAGPバス921とを接続するためのブリッジであり、MEM-P902に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタおよびAGPターゲットと、を有する。
【0044】
MEM-P902は、コントローラ910の各機能を実現させるプログラムおよびデータの格納用メモリであるROM902aと、プログラムおよびデータの展開、ならびにメモリ印刷時の描画用メモリ等として用いるRAM902bと、を含む。なお、RAM902bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD-R(Compact Disc Recordable)、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0045】
SB904は、NB903と、PCIデバイスおよび周辺デバイス等と、を接続するためのブリッジである。ASIC906は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス921、PCIバス922、HDDコントローラ908およびMEM-C907をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。ASIC906は、PCIターゲットおよびAGPマスタ、ASIC906の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C907を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジック等により画像データの回転等を行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、ならびに、スキャナ部931およびプリンタ部932との間でPCIバス922を介したデータ転送を行うPCIユニットを含む。なお、ASIC906には、USBインターフェース、またはIEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースが接続されるようにしてもよい。
【0046】
MEM-C907は、コピー用画像バッファおよび符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD909は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、およびフォームの蓄積を行うためのストレージである。HDDコントローラ908は、CPU901の制御に従って、HD909に対するデータの読み出しまたは書き込みを制御するコントローラである。なお、HDDコントローラ908およびHD909は、SSDであってもよい。
【0047】
AGPバス921は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインターフェースであり、MEM-P902に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。
【0048】
近距離通信回路920は、NFC(Near Field Communication)またはBluetooth(登録商標)等の通信回路である。近距離通信回路920は、PCIバス922を介して、ASIC906に電気的に接続されている。近距離通信回路920には、無線通信用のアンテナ920aが接続されている。
【0049】
エンジン制御部930は、スキャナ部931およびプリンタ部932を含む。スキャナ部931およびプリンタ部932は、誤差拡散またはガンマ変換等の画像処理機能を含む。
【0050】
操作パネル940は、現在の設定値または選択画面等を表示させ、ユーザからの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部940aと、濃度の設定条件等の画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキーおよびコピー開始指示を受け付けるスタートキー等からなるハードキー940bと、を備えている。
【0051】
なお、印刷機30は、操作パネル940のアプリケーションの切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、およびファックス機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファックス機能の選択時にはファックスモードとなる。
【0052】
ネットワークI/F950は、ネットワークNを介してデータ通信をするためのインターフェースであり、例えば、イーサネット、およびTCP/IP等に準拠した通信が可能なインターフェースである。ネットワークI/F950は、PCIバス922を介して、ASIC906に電気的に接続されている。
【0053】
なお、
図3に示した印刷機30を構成する情報処理装置のハードウェア構成は一例を示すものであり、
図3に示した構成要素をすべて含む必要はなく、または、その他の構成要素を含むものとしてもよい。
【0054】
(機器システムの機能ブロックの構成および動作)
図4は、実施形態に係る機器システムの機能ブロックの構成の一例を示す図である。
図4を参照しながら、機器システム100の機能ブロックの構成および動作について説明する。
【0055】
<管理サーバ>
印刷業者10の管理サーバ11は、
図4に示すように、通信部111と、テンプレート印刷指示部112と、撮像画像登録部113と、撮像画像送信部114と、ジョブ実行指示部115と、ジョブ情報記憶部119と、を有する。
【0056】
通信部111は、ジョブ管理サービス55と各種の情報を送受信する機能部である。通信部111は、ジョブ管理サービス55により配信されたジョブ情報を受信する。通信部111は、受信したジョブ情報をジョブ情報記憶部119に登録する。通信部111は、例えば、
図2に示すネットワークI/F809、およびCPU801によりプログラムが実行されることによって実現される。
【0057】
テンプレート印刷指示部112は、ジョブ管理サービス55からの要求に応じて、印刷機30に対して撮像画像を得るためにデザインテンプレートの印刷の実行を指示する機能部である。
【0058】
撮像画像登録部113は、印刷機30により印刷されたデザインテンプレートの印刷物の撮像画像を登録する機能部である。例えば、撮像画像登録部113は、当該印刷物を撮像した撮像装置から外部機器接続I/F808を介して撮像画像を受信し、ジョブ情報記憶部119に記憶(登録)する。
【0059】
撮像画像送信部114は、撮像画像登録部113により登録された撮像画像を、通信部111を介してクラウドシステム50へ送信する機能部である。
【0060】
ジョブ実行指示部115は、ジョブ情報記憶部119に登録されたジョブ情報について、当該ジョブ情報に含まれるスケジュール情報に従って、印刷機30に当該ジョブ情報の実行を指示する機能部である。
【0061】
ジョブ情報記憶部119は、通信部111により受信されたジョブ情報を記憶する機能部である。ジョブ情報記憶部119は、
図2に示すRAM803またはHD804のうち少なくともいずれかによって実現される。
【0062】
上述のテンプレート印刷指示部112、撮像画像登録部113、撮像画像送信部114およびジョブ実行指示部115は、例えば、
図2に示すCPU801によりプログラムが実行されることによって実現される。なお、これらの機能部のうちの一部または全部は、ソフトウェアであるプログラムではなく、FPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC等の集積回路によって実現されてもよい。
【0063】
なお、
図4に示す管理サーバ11の各機能部は、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、
図4に示す管理サーバ11で独立した機能部として図示した複数の機能部を、1つの機能部として構成してもよい。一方、
図4に示す管理サーバ11で1つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成するものとしてもよい。
【0064】
<印刷機>
印刷業者10の印刷機30は、
図4に示すように、通信部301と、機器情報送信部302と、印刷実行部303と、を有する。
【0065】
通信部301は、機器管理サービス53との間で、各種の情報を送受信する機能部である。通信部301は、例えば、機器情報送信部302の制御に応じて、機器情報を機器管理サービス53へ送信する。通信部301は、例えば、
図3に示すネットワークI/F950、およびCPU901によりプログラムが実行されることによって実現される。
【0066】
機器情報送信部302は、印刷機30に関する機器情報を、通信部301を介して機器管理サービス53へ送信する機能部である。機器情報は、例えば、印刷機30の印刷速度等の構成、用紙種別・サイズ等の設定、稼働中または故障中等の印刷機30の状態、および、どのくらいのジョブが投入されているのかというスケジュール情報等を含む。機器情報の内容については、後述のクラウドシステム50において説明する。
【0067】
印刷実行部303は、管理サーバ11のジョブ実行指示部115からのジョブ情報の実行指示、またはテンプレート印刷指示部112からのデザインテンプレートの印刷の実行指示に従って、印刷を実行する機能部である。具体的には、印刷実行部303は、プリンタ部932に対して、ジョブ情報に含まれる印刷データ、またはデザインテンプレートを用紙等の記録媒体に印刷出力させる。
【0068】
上述の機器情報送信部302および印刷実行部303は、例えば、
図3に示すCPU901によりプログラムが実行されることによって実現される。なお、これらの機能部のうちの一部または全部は、ソフトウェアであるプログラムではなく、FPGAまたはASIC等の集積回路によって実現されてもよい。
【0069】
なお、
図4に示す印刷機30の各機能部は、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、
図4に示す印刷機30で独立した機能部として図示した複数の機能部を、1つの機能部として構成してもよい。一方、
図4に示す印刷機30で1つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成するものとしてもよい。
【0070】
<管理者端末>
管理者端末12は、
図4に示すように、通信部121と、テンプレート登録要求部122と、表示制御部123と、入力部124と、を有する。
【0071】
通信部121は、クラウドシステム50のデジタル素材管理サービス56との間で、各種の情報を送受信する機能部である。例えば、通信部121は、登録を所望されるデザインテンプレートおよび当該デザインテンプレートの属性情報を、デジタル素材管理サービス56へ送信する。ここで、属性情報とは、デザインテンプレートの属性を示す情報であり、例えば、デザインテンプレートの名称(タイトル)、カテゴリ、価格、カラー、検索用タグ、印刷条件、プレビュー方法および撮像画像である。通信部121は、例えば、
図2に示すネットワークI/F809、およびCPU801によりプログラムが実行されることによって実現される。
【0072】
テンプレート登録要求部122は、管理者端末12で設定されたデザインテンプレート、および入力部124を介して操作入力された属性情報等について、デジタル素材管理サービス56に対して登録を要求する機能部である。
【0073】
表示制御部123は、管理者端末12のディスプレイ806の表示動作を制御する機能部である。例えば、表示制御部123は、デザインテンプレートを設定し、属性情報を入力するための後述するテンプレート登録画面等を、ディスプレイ806に表示させる。
【0074】
入力部124は、印刷業者等の操作入力を受け付ける機能部である。入力部124は、
図2に示すキーボード811およびポインティングデバイス812によって実現される。
【0075】
上述のテンプレート登録要求部122および表示制御部123は、例えば、
図2に示すCPU801によりプログラムが実行されることによって実現される。なお、これらの機能部のうちの一部または全部は、ソフトウェアであるプログラムではなく、FPGAまたはASIC等の集積回路によって実現されてもよい。
【0076】
なお、
図4に示す管理者端末12の各機能部は、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、
図4に示す管理者端末12で独立した機能部として図示した複数の機能部を、1つの機能部として構成してもよい。一方、
図4に示す管理者端末12で1つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成するものとしてもよい。
【0077】
<発注者端末>
発注者端末40は、
図4に示すように、通信部401と、表示制御部402と、入力部403と、を有する。
【0078】
通信部401は、クラウドシステム50のデジタル素材管理サービス56との間で、各種の情報を送受信する機能部である。例えば、通信部401は、発注者端末40で編集されたデザインテンプレート、および設定された出力設定情報を、デジタル素材管理サービス56へ送信する。通信部401は、例えば、
図2に示すネットワークI/F809、およびCPU801によりプログラムが実行されることによって実現される。
【0079】
表示制御部402は、発注者端末40のディスプレイ806の表示動作を制御する機能部である。例えば、表示制御部404は、後述するように、デザインテンプレートを編集し、出力設定情報を設定し、当該デザインテンプレートについてプレビュー表示するための各種画面を、ディスプレイ806に表示させる。
【0080】
入力部403は、発注者の操作入力を受け付ける機能部である。入力部403は、
図2に示すキーボード811およびポインティングデバイス812によって実現される。
【0081】
上述の表示制御部402は、例えば、
図2に示すCPU801によりプログラムが実行されることによって実現される。なお、表示制御部402は、ソフトウェアであるプログラムではなく、FPGAまたはASIC等の集積回路によって実現されてもよい。
【0082】
なお、
図4に示す発注者端末40の各機能部は、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、
図4に示す発注者端末40で独立した機能部として図示した複数の機能部を、1つの機能部として構成してもよい。一方、
図4に示す発注者端末40で1つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成するものとしてもよい。
【0083】
<注文管理サービス>
クラウドシステム50の注文管理サービス51は、
図4に示すように、通信部511と、発注受付部512と、デジタル素材取得部513と、印刷データ生成部514と、ジョブ登録要求部515と、を有する。
【0084】
通信部511は、外部の装置との間で、各種の情報を送受信する機能部である。通信部511は、例えば、
図2に示すネットワークI/F809、およびCPU801によりプログラムが実行されることによって実現される。
【0085】
発注受付部512は、発注者端末40で編集されたデザインテンプレート、および設定された出力設定情報を、デジタル素材管理サービス56から発注として受け付ける機能部である。
【0086】
デジタル素材取得部513は、発注受付部512により受信されたデザインテンプレートで指定されるデジタル素材を、デジタル素材管理サービス56から取得する機能部である。
【0087】
印刷データ生成部514は、発注受付部512により受信されたデザインテンプレート、およびデジタル素材取得部513により取得されたデジタル素材から印刷データを生成する機能部である。印刷データは、例えば、PDF(Portable Document Format)またはJDF(Job Definition Format)等のデータである。なお、上述のように、印刷データ生成部514による印刷データの生成は、例えば管理サーバ11または印刷機30で行われるものとしてもよい。
【0088】
ジョブ登録要求部515は、ジョブ管理サービス55に対して、印刷データ生成部514により生成された印刷データを含む、印刷を実行するためのジョブ情報を生成し、当該ジョブ情報の登録要求を行う機能部である。
【0089】
上述の発注受付部512、デジタル素材取得部513、印刷データ生成部514およびジョブ登録要求部515は、例えば、
図2に示すCPU801によりプログラムが実行されることによって実現される。なお、これらの機能部のうちの一部または全部は、ソフトウェアであるプログラムではなく、FPGAまたはASIC等の集積回路によって実現されてもよい。
【0090】
なお、
図4に示す注文管理サービス51の各機能部は、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、
図4に示す注文管理サービス51で独立した機能部として図示した複数の機能部を、1つの機能部として構成してもよい。一方、
図4に示す注文管理サービス51で1つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成するものとしてもよい。
【0091】
<顧客管理サービス>
クラウドシステム50の顧客管理サービス52は、
図4に示すように、顧客情報記憶部529を有する。
【0092】
顧客情報記憶部529は、クラウドシステム50を利用する顧客(例えば発注者端末40を使用する発注者等)の情報を顧客情報として記憶する記憶部である。顧客情報記憶部529は、
図2に示すRAM803またはHD804のうち少なくともいずれかによって実現される。
【0093】
<機器管理サービス>
クラウドシステム50の機器管理サービス53は、
図4に示すように、通信部531と、機器情報登録部532と、機器情報提供部533と、機器情報記憶部539と、を有する。
【0094】
通信部531は、印刷業者10の印刷機30との間で、各種の情報を送受信する機能部である。例えば、通信部531は、印刷機30から機器情報を受信する。また、通信部531は、通信を開始する場合には、双方向の通信の仕組み(例えばWebSocketまたはMQTT(Message Queuing Telemetry Transport)等)を利用する。通信部531は、例えば、
図2に示すネットワークI/F809、およびCPU801によりプログラムが実行されることによって実現される。
【0095】
機器情報登録部532は、通信部531を介して受信した機器情報を機器情報記憶部539に登録する機能部である。
【0096】
機器情報提供部533は、機器情報記憶部539に登録された機器情報をジョブ管理サービス55に提供する機能部である。なお、機器情報提供部533は、新しい機器情報が登録されたときに、遅延なく機器情報を提供することが望ましい。または、機器情報提供部533は、ジョブ管理サービス55の機器情報取得部552からの要求に応じて提供したり、定期的に、または負荷が小さいタイミングで提供するものとしてもよい。
【0097】
機器情報記憶部539は、機器情報を記憶する機能部である。機器情報記憶部539は、
図2に示すRAM803またはHD804のうち少なくともいずれかによって実現される。機器情報は、例えば、機器ID、構成、設定、機器状態、用紙残量、インク、インク残量、およびジョブ状態を含む情報である。機器IDは、印刷機30を一意に識別する識別情報である。構成は、印刷機30が有する機能に関する情報であり、例えばカラー印刷および白黒印刷の可否、可能な場合の印刷速度、および特殊加工の可否等が含まれる。設定は、印刷機30に設定されている用紙のサイズ、種類、グレード等である。機器状態は、稼働中、停止中、故障中等の印刷機30の現在の状態を表す。用紙残量は、用紙の残量である。インクは、プロセスカラーインク、および特色のインク(例えば透明インク、蛍光インク、メタリックインク、混色インク等)の搭載されているインクの種類である。インク残量は、インクの残量である。ジョブ状態は、印刷機30に投入されているジョブに関する情報であり、例えば、スケジュール情報が含まれる。
【0098】
上述の機器情報登録部532および機器情報提供部533は、例えば、
図2に示すCPU801によりプログラムが実行されることによって実現される。なお、これらの機能部のうちの一部または全部は、ソフトウェアであるプログラムではなく、FPGAまたはASIC等の集積回路によって実現されてもよい。
【0099】
なお、
図4に示す機器管理サービス53の各機能部は、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、
図4に示す機器管理サービス53で独立した機能部として図示した複数の機能部を、1つの機能部として構成してもよい。一方、
図4に示す機器管理サービス53で1つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成するものとしてもよい。
【0100】
<業者管理サービス>
クラウドシステム50の業者管理サービス54は、
図4に示すように、業者情報記憶部549を有する。
【0101】
業者情報記憶部549は、クラウドシステム50を利用する印刷業者10の情報を業者情報として記憶する記憶部である。業者情報記憶部549は、
図2に示すRAM803またはHD804のうち少なくともいずれかによって実現される。
【0102】
<ジョブ管理サービス>
クラウドシステム50のジョブ管理サービス55は、
図4に示すように、通信部551と、機器情報取得部552と、撮像画像要求受付部553と、テンプレート印刷指示部554と、撮像画像処理部555と、ジョブ情報登録部556と、ジョブ実行判断部557と、スケジュール生成部558と、ジョブ情報配信部558aと、課金情報通知部558bと、ジョブ情報記憶部559と、を有する。
【0103】
通信部551は、印刷業者10の管理サーバ11との間で、各種の情報を送受信する機能部である。例えば、通信部551は、管理サーバ11へジョブ情報を送信(配信)する。また、通信部551は、管理サーバ11からジョブの実行完了通知を受信する。通信部551は、例えば、
図2に示すネットワークI/F809、およびCPU801によりプログラムが実行されることによって実現される。
【0104】
機器情報取得部552は、機器管理サービス53から機器情報を受け取る機能部である。機器管理サービス53は、新しい機器情報を受信するたびにジョブ管理サービス55に当該機器情報を送信してもよいし、定期的に、または負荷の少ない状態の場合に送信してもよい。または、機器情報取得部552は、機器管理サービス53に機器情報を要求し、要求の結果として機器情報を受け取ってもよい。この場合も、機器情報取得部552は、定期的に、または負荷の少ない状態の場合に要求してもよい。
【0105】
撮像画像要求受付部553は、デジタル素材管理サービス56から撮像画像の要求、および撮像対象となるデザインテンプレートを受け付ける機能部である。
【0106】
テンプレート印刷指示部554は、撮像画像要求受付部553により撮像画像の要求およびデザインテンプレートが受け付られた場合、所定の印刷業者10の管理サーバ11へ、当該デザインテンプレートの印刷指示を、通信部551を介して送信する機能部である。なお、テンプレート印刷指示部554のデザインテンプレートの印刷指示の送り先の印刷業者10については、例えば、後述するジョブ実行判断部557によるジョブ実行判断処理と同様の処理によって判断するものとしてもよい。
【0107】
撮像画像処理部555は、テンプレート印刷指示部554によりデザインテンプレートの印刷指示がなされた印刷業者10の管理サーバ11から、通信部551を介して撮像画像を取得し、デジタル素材管理サービス56に送信する機能部である。
【0108】
ジョブ情報登録部556は、注文管理サービス51からジョブ情報の登録を受け付ける機能部である。具体的には、ジョブ情報登録部556は、注文管理サービス51のジョブ登録要求部515により送信されたジョブ情報を、通信部551を介して受信し、ジョブ情報記憶部559に登録する。ジョブ情報の内容については、後述する。
【0109】
ジョブ実行判断部557は、ジョブ情報登録部556によりジョブ情報記憶部559に登録されたジョブ情報を、どの印刷業者10で実行させるか(どの印刷業者10のどの印刷機30で印刷処理させるか)を判断する機能部である。例えば、ジョブ実行判断部557は、現在の各印刷業者10の印刷機30の状態、およびジョブ実行が予定されているスケジュール情報から、空き時間の開始時における印刷機30の状態を予測し、空き時間終了時までに新たに受け付けたジョブを完了できるかを判断する。また、ジョブ実行判断部557は、スケジュール情報からジョブの実行が可能な印刷業者10のうち、ジョブ情報の印刷データに含まれるデザインテンプレートの印刷条件およびプレビュー方法に対応した条件を満たす印刷業者10および印刷機30を判断する。ここで、プレビュー方法に対応しているとは、プレビュー方法として特殊プレビューが指定されている場合、特色または特殊加工の印刷に対応しているということである。
【0110】
なお、ジョブ実行判断部557によりジョブを実行させる印刷業者10は複数であってもよい。
【0111】
スケジュール生成部558は、ジョブ実行判断部557によりジョブ情報を実行させる印刷業者10が判断された場合、スケジュール情報を生成する機能部である。この場合、スケジュール生成部558は、当該ジョブ情報に、生成したスケジュール情報を含めてジョブ情報記憶部559に記憶させる。スケジュール情報とは、いつからいつまでにジョブを実行するかという予定を表す情報である。
【0112】
ジョブ情報配信部558aは、ジョブ実行判断部557により判断されたジョブ情報を実行させる印刷業者10の管理サーバ11へ、スケジュール生成部558により生成されたスケジュール情報を含む当該ジョブ情報を、通信部551を介して送信(配信)する機能部である。
【0113】
課金情報通知部558bは、印刷業者10の印刷機30においてジョブ情報が実行された場合、当該ジョブ情報の印刷データを発注した発注者端末40の発注者(顧客)からの出金情報、およびジョブ情報の配信を受けた印刷業者10への入金情報を、課金管理サービス57へ通知する機能部である。
【0114】
ジョブ情報記憶部559は、ジョブ情報を記憶する機能部である。ジョブ情報記憶部559は、
図2に示すRAM803またはHD804のうち少なくともいずれかによって実現される。ジョブ情報は、例えば、ジョブID、用紙、枚数、画質要求、希望納期、印刷データ、顧客情報、スケジュール情報、宛先、ログ、およびステータスを含む情報である。ジョブIDは、ジョブ情報を識別する識別情報である。用紙は、このジョブで要求される用紙のサイズ、グレードや種類である。枚数は、ジョブで印刷する部数である。画質要求は、印刷物に要求される画質(例えば解像度等)である。希望納期は、顧客が希望する印刷物の納期である。印刷データは、印刷される対象のデータである。顧客情報は、このジョブを依頼した顧客を特定する情報である。スケジュール情報は、このジョブを割り当てられた印刷機30がいつからいつまでにジョブを実行するかの情報である。宛先は、印刷物の配布先の情報である。ログは、実際にジョブが実行された開始時刻および終了時刻であり、ジョブの実行完了通知にも含まれている。ステータスは、現在のジョブの進捗状態を示す情報である。なお、ジョブ情報は、上述の情報以外の情報を含んでいてもよい。
【0115】
上述の機器情報取得部552、撮像画像要求受付部553、テンプレート印刷指示部554、撮像画像処理部555、ジョブ情報登録部556、ジョブ実行判断部557、スケジュール生成部558、ジョブ情報配信部558aおよび課金情報通知部558bは、例えば、
図2に示すCPU801によりプログラムが実行されることによって実現される。なお、これらの機能部のうちの一部または全部は、ソフトウェアであるプログラムではなく、FPGAまたはASIC等の集積回路によって実現されてもよい。
【0116】
なお、
図4に示すジョブ管理サービス55の各機能部は、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、
図4に示すジョブ管理サービス55で独立した機能部として図示した複数の機能部を、1つの機能部として構成してもよい。一方、
図4に示すジョブ管理サービス55で1つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成するものとしてもよい。
【0117】
<デジタル素材管理サービス>
クラウドシステム50のデジタル素材管理サービス56は、通信部561と、登録部562(登録部の一例としての登録部562)と、判定部563(第1判定部の一例、および第2判定部の一例としての判定部563)と、シミュレート生成部564(生成部の一例としてのシミュレート生成部564)と、撮像画像要求部565(要求部の一例としての撮像画像要求部565)と、プレビュー制御部566(生成部の一例、および送信部の一例としてのプレビュー制御部566)と、設定部567と、デジタル素材提供部568と、表示制御部568aと、デジタル素材記憶部569(記憶部の一例としてのデジタル素材記憶部569)と、を有する。
【0118】
通信部561は、管理者端末12および発注者端末40との間で、各種の情報を送受信する機能部である。例えば、通信部561は、管理者端末12からデザインテンプレートの登録要求を受信し、発注者端末40からデザインテンプレートについての印刷の発注依頼を受信する。通信部561は、例えば、
図2に示すネットワークI/F809、およびCPU801によりプログラムが実行されることによって実現される。
【0119】
登録部562は、管理者端末12で設定されたデザインテンプレート、属性情報、印刷条件、プレビュー方法、および撮像画像を、通信部561を介して受信し、デジタル素材記憶部569に登録する機能部である。
【0120】
判定部563は、管理者端末12の発注処理の際、プレビュー表示の対象となるデザインテンプレートのプレビュー方法が特殊プレビュー(第1プレビュー方法の一例としての特殊プレビュー)なのか通常プレビュー(第2プレビュー方法の一例としての通常プレビュー)なのか判定する機能部である。ここで、特殊プレビューとは、デザインテンプレートが特色または特殊加工のうち少なくともいずれかが設定されていること等により、設定されている特色または特殊加工の状態を再現できるようなプレビュー方法をいい、例えば、シミュレート画像または撮像画像によるプレビュー表示を行う。一方、通常プレビューとは、特色または特殊加工の状態を再現する必要がない通常の方法によるプレビュー方法をいう。通常プレビューは、例えばデザインテンプレートの画像や、画像のサイズや解像度等を変更、加工したプレビュー画像を用いてもよい。なお、判定部563は1つのソフトウェアモジュールで複数の判定処理(第1判定部および第2判定部の判定)を実行してもよいし、複数のソフトウェアモジュール(第1判定部および第2判定部)で構成し、それぞれで判定処理を実行してもよい。
【0121】
シミュレート生成部564は、デザインテンプレートに関連付けられたプレビュー方法が特殊プレビューである場合に、当該デザインテンプレートについて面の角度、光源および視点を仮想的に設定してシミュレートすることにより画像(シミュレート画像)を生成する機能部である。
【0122】
撮像画像要求部565は、デザインテンプレートに関連付けられたプレビュー方法が特殊プレビューである場合に、当該デザインテンプレートについてプレビュー表示するために、ジョブ管理サービス55に対して撮像画像を要求する機能部である。
【0123】
プレビュー制御部566は、発注者端末40においてデザインテンプレートのプレビュー表示させるために、プレビュー画像(通常画像、シミュレート画像または撮像画像等)を、通信部561を介して管理者端末12に送信する機能部である。
【0124】
設定部567は、発注者端末40で編集されたデザインテンプレート、および出力設定情報を、注文管理サービス51に発注として送信する機能部である。
【0125】
デジタル素材提供部568は、注文管理サービス51の要求に応じて、印刷データを生成するために必要なデジタル素材および属性情報をデジタル素材記憶部569から読み出し、通信部561を介して注文管理サービス51へ提供する機能部である。
【0126】
表示制御部568aは、管理者端末12にテンプレート登録画面、および発注者端末40に印刷の発注を行うための発注ワークフロー画面等の一連の画面を提供すると共に、端末の操作者が入力した要求を受け付ける機能部である。例えば、表示制御部568aは、クラウドシステム50のフロントエンドとして画面情報(HTML(HyperText Markup Language)、CSS(Cascading Style Sheets)、JavaScript(登録商標)等)を提供すると共に、操作者の入力情報を登録部562等に受け渡す。
【0127】
デジタル素材記憶部569は、デザインテンプレート、属性情報、印刷条件、プレビュー方法、および撮像画像を記憶する機能部である。デジタル素材記憶部569は、
図2に示すRAM803またはHD804のうち少なくともいずれかによって実現される。
【0128】
上述の登録部562、判定部563、シミュレート生成部564、撮像画像要求部565、プレビュー制御部566、設定部567、デジタル素材提供部568および表示制御部568aは、例えば、
図2に示すCPU801によりプログラムが実行されることによって実現される。なお、これらの機能部のうちの一部または全部は、ソフトウェアであるプログラムではなく、FPGAまたはASIC等の集積回路によって実現されてもよい。
【0129】
なお、
図4に示すデジタル素材管理サービス56の各機能部は、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、
図4に示すデジタル素材管理サービス56で独立した機能部として図示した複数の機能部を、1つの機能部として構成してもよい。一方、
図4に示すデジタル素材管理サービス56で1つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成するものとしてもよい。
【0130】
<課金管理サービス>
クラウドシステム50の課金管理サービス57は、課金処理部571と、課金情報記憶部579と、を有する。
【0131】
課金処理部571は、発注者(顧客)からの出金情報、および各印刷業者10への入金情報を課金情報記憶部579に登録し、これらの情報に基づいて発注者(顧客)および各印刷業者10の銀行口座に対応する銀行システムに振込処理の依頼をする機能部である。銀行システムは、決算期日に銀行口座間で振込処理を実行する。
【0132】
課金情報記憶部579は、出金情報および入金情報を記憶する機能部である。課金情報記憶部579は、
図2に示すRAM803またはHD804のうち少なくともいずれかによって実現される。
【0133】
上述の課金処理部571は、例えば、
図2に示すCPU801によりプログラムが実行されることによって実現される。なお、課金処理部571は、ソフトウェアであるプログラムではなく、FPGAまたはASIC等の集積回路によって実現されてもよい。
【0134】
なお、
図4に示す課金管理サービス57の各機能部は、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、
図4に示す課金管理サービス57で独立した機能部として図示した複数の機能部を、1つの機能部として構成してもよい。一方、
図4に示す課金管理サービス57で1つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成するものとしてもよい。
【0135】
(データモデル)
図5は、実施形態に係る機器システムで用いられるデータモデルの一例を示す図である。
図5を参照しながら、本実施形態に係る機器システム100で用いるデータモデルについて説明する。
【0136】
<課金管理サービス>
課金管理サービス57は、以下の入出金情報(課金情報記憶部579が記憶する出金情報および入金情報)を有する。
【0137】
・登録日
・入出金区分
・金額
【0138】
入出金情報は、例えば、発注者端末40から送信された発注データに対応するジョブ情報がいずれかの印刷業者10へ配信されて実行された場合に発生する。提供元の入出金区分は出金、提供先の入出金区分は入金となる。
【0139】
<業者管理サービス>
業者管理サービス54は、以下の印刷業者10に関する業者情報(業者情報記憶部549が記憶する情報)を有する。
【0140】
・名称
・住所
・メールアドレス
・口座番号(銀行口座)
・ロール
【0141】
このうち、ロールは、例えば印刷業者かデザイナか等の区別を示す情報である。
【0142】
<機器管理サービス>
上述のように、印刷機30は、定期的に、または機器情報が変わったタイミングで機器情報を機器管理サービス53へ送信する。機器管理サービス53は、以下の機種に関する情報(機器情報記憶部539が記憶する情報)を有する。
【0143】
・用紙
・画質
・速度
【0144】
また、機器管理サービス53は、以下の印刷機30に関する情報(機器情報記憶部539が記憶する情報)を有する。
【0145】
・機番
【0146】
また、機器管理サービス53は、以下の構成に関する情報(機器情報記憶部539が記憶する情報)を有する。
【0147】
・ハードウェア構成(例えばカラー印刷および白黒印刷の可否、可能な場合の印刷速度、および特殊加工の可否等)
・ソフトウェア構成
・設定
・更新日時
【0148】
また、機器管理サービス53は、以下の印刷機30状態に関する情報(機器情報記憶部539が記憶する情報)を有する。
【0149】
・状態(待機中、準備中、印刷中、停止中、エラー等)
・用紙(用紙種別、残量等)
・インク(プロセスカラーインクまたは特色のインクインク等の種別、残量等)
・調整状態(位置合わせ、色調等)
・更新日時
【0150】
<ジョブ管理サービス>
ジョブ管理サービス55は、以下のジョブに関する情報(ジョブ情報記憶部559が記憶する情報)を有する。
【0151】
・用紙
・枚数(部数)
・画質要求
・印刷データ
・希望納期
【0152】
また、ジョブ管理サービス55は、以下のスケジュールに関する情報(ジョブ情報記憶部559が記憶する情報)を有する。
【0153】
・準備開始予定日時
・準備終了予定日時
・印刷開始予定日時
・印刷終了予定日時
【0154】
また、ジョブ管理サービス55は、以下の実行結果に関する情報(ジョブの実行完了通知で送信される情報)を有する。
【0155】
・実行状態
・準備開始日時
・準備終了日時
・印刷開始日時
・印刷終了日時
・用紙
・枚数
・確定金額
【0156】
なお、ジョブの実行完了通知は、ジョブの実行完了時に生成される。
【0157】
<顧客管理サービス>
顧客管理サービス52は、以下の顧客情報(顧客情報記憶部529が記憶する情報)を有する。
【0158】
・名称
・住所
・メールアドレス
・口座番号(銀行口座)
【0159】
<注文管理サービス>
注文管理サービス51は、以下の注文に関する情報(発注内容)を管理する。
【0160】
・サイズ
・用紙
・画質要求(カラー)
・加工
・枚数(部数)
・希望納期
・効果測定
・印刷データのロケーション
【0161】
このうち、印刷データのロケーションは、注文管理サービス51によって生成されたい印刷データの保存先を示す情報である。
【0162】
また、注文管理サービス51は、上述の注文に関する情報に関連付けて宛先の情報(印刷部の配布先)を有する。
【0163】
<デジタル素材管理サービス>
デジタル素材管理サービス56は、以下のデジタル素材(ここではデザインテンプレート)に関する属性情報、印刷条件およびプレビュー方法(デジタル素材記憶部569が記憶する情報)を有する。
【0164】
・タイトル
・カテゴリ
・価格
・カラー
・検索用タグ
・印刷条件
・プレビュー方法
【0165】
また、デジタル素材管理サービス56は、上述のデジタル素材(ここではデザインテンプレート)に関する属性情報、印刷条件およびプレビュー方法に関連付けて、デザインテンプレートおよび撮像画像(デジタル素材記憶部569が記憶する情報)を有する。
【0166】
(テンプレート登録処理)
図6は、テンプレート登録処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図7は、テンプレート登録画面の一例を示す図である。
図6および
図7を参照しながら、本実施形態に係る機器システム100のテンプレート登録処理の流れについて説明する。
【0167】
<ステップS51>
管理者端末12の利用者は、入力部124を介して、
図7に示すテンプレート登録画面1000の表示操作を行う。すると、表示制御部123は、ディスプレイ806にテンプレート登録画面1000を表示させる。この場合、表示制御部123は、デジタル素材管理サービス56の表示制御部568aから、テンプレート登録画面1000の画面情報を受信して表示させる。
【0168】
図7に示すテンプレート登録画面1000は、管理者端末12の利用者(印刷業者またはデザイナ等)(以下、作成者と称する場合がある)によって作成されたデザインテンプレートをデジタル素材管理サービス56に登録するための画面である。テンプレート登録画面1000は、
図7に示すように、画像ファイル入力領域1001と、タイトル入力領域1002と、カテゴリ入力領域1003と、価格入力領域1004と、カラー入力領域1005と、検索用タグ入力領域1006と、用紙サイズ入力領域1007と、用紙種別入力領域1008と、後加工入力領域1009と、プレビュー方法指定領域1010と、選択ボタン1011と、登録ボタン1012と、を含む。
【0169】
画像ファイル入力領域1001は、作成者によって作成されたデザインテンプレートのファイルを入力するための入力領域である。具体的には、作成者は、入力部124に対する操作によって、当該デザインテンプレートのファイルを画像ファイル入力領域1001にドラッグアンドドロップすることによって、画像ファイル入力領域1001に入力設定できる。なお、画像ファイルの入力と登録によって、自動的に画像ファイルに基づいて、そのデジタル素材に対応するアイコン画像がデジタル素材管理サービス56で生成される。また、このアイコン画像を通常プレビューに用いてもよい。
【0170】
タイトル入力領域1002は、登録するデザインテンプレートの名称を入力する入力領域である。カテゴリ入力領域1003は、登録するデザインテンプレートのカテゴリを入力する入力領域である。価格入力領域1004は、登録するデザインテンプレートの利用料として設定する価格を入力する入力領域である。カラー入力領域1005は、登録するデザインテンプレートで使用されるカラー属性を入力する入力領域である。例えば、デザインテンプレートがプロセスカラーのみで構成される場合は「プロセスカラー」を選択入力し、デザインテンプレートに特色が含まれる場合は「特色」を選択入力し、デザインテンプレートに特殊加工が含まれる場合は「特殊加工」を選択入力する。検索用タグ入力領域1006は、登録するデザインテンプレートを検索するために用いる検索用タグを入力する入力領域である。
【0171】
用紙サイズ入力領域1007は、登録するデザインテンプレートに関連付ける印刷条件としての用紙サイズを選択入力する入力領域である。用紙種別入力領域1008は、登録するデザインテンプレートに関連付ける印刷条件としての用紙種別を選択入力する入力領域である。後加工入力領域1009は、登録するデザインテンプレートに関連付ける印刷条件としての後加工処理を選択入力する入力領域である。
【0172】
プレビュー方法指定領域1010は、登録するデザインテンプレートのプレビュー方法を指定するための指定領域である。例えば、プレビュー方法指定領域1010では、通常プレビューまたは特殊プレビューを指定することができる。
【0173】
選択ボタン1011は、管理者端末12または外部ストレージ等に記憶されている、登録するデザインテンプレートの印刷物の撮像画像のファイルを選択するためのボタンである。なお、選択ボタン1011による選択の対象となるファイルは、実際の撮像画像に限定されるものではなく、当該デザインテンプレートを印刷した場合に予想される見本となる画像であってもよく、この場合も、撮像画像と称して説明する。
【0174】
登録ボタン1012は、画像ファイル入力領域1001で入力されたデザインテンプレートと、上記で入力・指定された、属性情報、印刷条件、プレビュー方法および撮像画像とを関連付けてデジタル素材管理サービス56に登録するためのボタンである。ここで、属性情報とは、上記の1002~1006に入力情報である。
【0175】
<ステップS52>
作成者は、入力部124に対する操作により、テンプレート登録画面1000において各種属性情報および印刷条件を入力する。
【0176】
<ステップS53>
作成者は、入力部124に対する操作により、テンプレート登録画面1000におけるプレビュー方法指定領域1010に対してプレビュー方法を指定する。具体的には、作成者は、プレビュー方法指定領域1010に対して通常プレビューまたは特殊プレビューを指定する。
【0177】
<ステップS54>
作成者は、入力部124に対する操作により、テンプレート登録画面1000における選択ボタン1011に対する操作により、管理者端末12または外部ストレージ等に記憶されている、登録するデザインテンプレートの印刷物の撮像画像のファイルを選択している。
【0178】
<ステップS55>
作成者は、入力部124に対する操作により、登録ボタン1012を押下する。すると、管理者端末12のテンプレート登録要求部122は、テンプレート登録画面1000で入力・指定されたデザインテンプレート、属性情報、印刷条件、プレビュー方法および撮像画像について、通信部121を介してデジタル素材管理サービス56に登録を要求する。
【0179】
<ステップS56>
デジタル素材管理サービス56の登録部562は、管理者端末12からデザインテンプレート、属性情報、印刷条件、プレビュー方法、および撮像画像を、通信部561を介して受信し、それぞれを関連付けてデジタル素材記憶部569に登録する。
【0180】
なお、デジタル素材管理サービス56の表示制御部568aが、管理者端末12に画面情報を送信し、管理者端末12側からの要求を受け付ける「受付部」の一例である。また、「受付部」は、詳細には、表示制御部568aと登録部561とを合わせて構成され、管理者端末12のテンプレート登録要求部122、表示制御部123、入力部124を介して、管理者端末12の操作者からの要求を受け付ける処理を行う。
【0181】
(機器システムの全体的な処理の流れ)
図8は、実施形態に係る機器システムの全体的な処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図8を参照しながら、本実施形態に係る機器システム100の全体的な処理の流れについて説明する。
【0182】
<ステップS11>
各印刷業者10の印刷機30の機器情報送信部302は、印刷機30に関する機器情報を、通信部301を介して機器管理サービス53へ送信する。
【0183】
<ステップS12>
機器管理サービス53の機器情報登録部532は、通信部531を介して受信した機器情報を機器情報記憶部539に登録する。これによって、機器情報記憶部539に記憶されている機器情報が最新のものに更新される。
【0184】
<ステップS13>
次に、機器管理サービス53の機器情報提供部533は、機器情報記憶部539に登録された機器情報をジョブ管理サービス55に提供する。そして、ジョブ管理サービス55の機器情報取得部552は、機器管理サービス53から機器情報を受け取る。
【0185】
<ステップS14>
発注者端末40の発注者は、入力部403を介して、後述する
図14に示す発注ワークフロー画面1100の表示操作を行う。すると、表示制御部402は、ディスプレイ806に発注ワークフロー画面1100を表示させる。この場合、表示制御部402は、デジタル素材管理サービス56の表示制御部568aから発注ワークフロー画面1100の画面情報を受信して表示させる。
【0186】
<ステップS15>
発注者は、後述する
図14に示す発注ワークフロー画面1100等を介して、デザインテンプレートのプレビュー確認、デザインテンプレートの選択、編集、出力設定等を行う発注ワークフロー処理を行う。この発注ワークフロー処理における画面遷移、各画面における設定・編集操作、およびデザインテンプレートのプレビュー表示処理等については、後述の
図14~
図23において詳述する。
【0187】
<ステップS16>
発注者は、発注ワークフロー処理の後、入力部403に対する操作により、後述する
図18に示す発注確認画面1500の発注ボタン1506を押下する。すると、表示制御部402は、発注者により編集されたデザインテンプレートおよび出力設定情報を、通信部401を介して注文管理サービス51へ送信する。
【0188】
<ステップS17>
そして、注文管理サービス51の発注受付部512は、デザインテンプレート、および設定された出力設定情報を、発注者端末40から通信部511を介して発注として受け付ける。
【0189】
<ステップS18、S19>
注文管理サービス51のデジタル素材取得部513は、発注受付部512により受け付けられたデザインテンプレートで指定されたデジタル素材(イラストデータ、テンプレート)を、デジタル素材管理サービス56に対して通信部511を介して要求する。デジタル素材管理サービス56のデジタル素材提供部568は、注文管理サービス51からの当該要求に応じて、当該デジタル素材、属性情報および印刷条件をデジタル素材記憶部569から読み出し、通信部561を介して注文管理サービス51へ提供する。
【0190】
<ステップS20>
注文管理サービス51の印刷データ生成部514は、発注受付部512により受信されたデザインテンプレート、およびデジタル素材取得部513により取得されたデジタル素材から印刷データを生成する。
【0191】
<ステップS21>
そして、注文管理サービス51のジョブ登録要求部515は、ジョブ管理サービス55に対して、印刷データ生成部514により生成された印刷データを含むジョブ情報を生成し、当該ジョブ情報の登録要求を行う。
【0192】
<ステップS22>
ジョブ管理サービス55のジョブ情報登録部556は、注文管理サービス51からジョブ情報の登録を受け付ける。具体的には、ジョブ情報登録部556は、注文管理サービス51のジョブ登録要求部515により送信されたジョブ情報を、通信部551を介して受信し、ジョブ情報記憶部559に登録する。
【0193】
<ステップS23>
そして、ジョブ管理サービス55のジョブ実行判断部557は、ジョブ情報登録部556によりジョブ情報記憶部559に登録されたジョブ情報を、どの印刷業者10で実行させるか(どの印刷業者10のどの印刷機30で印刷処理させるか)を判断するジョブ実行判断処理を行う。このジョブ実行判断処理の詳細は、後述する。
【0194】
<ステップS24>
ジョブ管理サービス55のスケジュール生成部558は、ジョブ実行判断部557によりジョブ情報を実行する印刷業者10または印刷機30が判断されると、スケジュール情報を生成する。そして、スケジュール生成部558は、当該ジョブ情報に、生成したスケジュール情報を含めて、ジョブ情報記憶部559に記憶させる。
【0195】
<ステップS25>
ジョブ管理サービス55のジョブ情報配信部558aは、ジョブ実行判断部557により判断されたジョブ情報を実行させる印刷業者10の管理サーバ11へ、スケジュール生成部558により生成されたスケジュール情報を含む当該ジョブ情報を、通信部551を介して送信(配信)する。そして、印刷業者10の管理サーバ11の通信部111は、スケジュール情報を含むジョブ情報を受信する。
【0196】
<ステップS26>
管理サーバ11の通信部111は、受信したジョブ情報をジョブ情報記憶部119に登録する。以下、ジョブ情報がジョブ情報記憶部119に登録されたものとして説明する。
【0197】
<ステップS27>
管理サーバ11のジョブ実行指示部115は、通信部111によりジョブ情報記憶部119に登録されたジョブ情報について、当該ジョブ情報に含まれるスケジュール情報に従って、印刷機30に当該ジョブ情報の実行を指示する。
【0198】
<ステップS28>
印刷業者10の印刷機30の印刷実行部303は、管理サーバ11のジョブ実行指示部115からのジョブ情報の実行指示に応じて、当該ジョブ情報を実行する。具体的には、印刷実行部303は、プリンタ部932に対して、ジョブ情報に含まれる印刷データを用紙等の記録媒体に印刷出力させる。
【0199】
<ステップS29、S30>
印刷実行部303は、ジョブの実行が完了すると、ジョブの実行完了通知を、管理サーバ11へ送信する。そして、管理サーバ11の通信部111は、印刷機30から受信したジョブの実行完了通知を、ジョブ管理サービス55へ送信する。そして、ジョブ管理サービス55の通信部551は、ジョブの実行完了通知を受信する。
【0200】
<ステップS31、S32>
ジョブ管理サービス55の課金情報通知部558bは、当該ジョブ情報の印刷データを発注した発注者端末40の発注者(顧客)からの出金情報、およびジョブ情報の配信を受けた印刷業者10への入金情報を、課金管理サービス57へ通知する。課金管理サービス57の課金処理部571は、発注者(顧客)からの出金情報、および各印刷業者10への入金情報を課金情報記憶部579に登録し、これらの情報に基づいて発注者(顧客)および各印刷業者10の銀行口座に対応する銀行システムに振込処理の依頼をする。
【0201】
(ジョブ実行判断処理)
図9は、ジョブの印刷準備と印刷を矢印線で示す図である。
図10は、実施形態に係るクラウドシステムのジョブ実行判断処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9および
図10を参照しながら、上述の
図8のステップS23におけるジョブ実行判断処理の詳細について説明する。
【0202】
図9では、2台の印刷機30(印刷機A、B)についての印刷準備および印刷のスケジュール情報が示されている。点線が印刷準備を示し、実線が印刷を示す。点線も実線もない部分は空き時間である。矢印の長さは時間を表す。
【0203】
次に、
図10を参照しながら、上述の
図8のステップS23におけるジョブ実行判断処理の具体的な流れについて説明する。
【0204】
<ステップS231>
ジョブ実行判断部557は、実行の可否の判断対象とする印刷業者10が有する印刷機30(複数ある場合はすべて)について、希望納期前までのスケジュール情報の空き時間を検索する。そして、ステップS232へ移行する。
【0205】
<ステップS232>
そして、ジョブ実行判断部557は、スケジュール情報の空き時間を検索された印刷業者10のうち、ジョブ情報の印刷データに含まれるデザインテンプレートの印刷条件およびプレビュー方法に対応した条件を満たす印刷業者10および印刷機30を判断する。ステップS233へ移行する。
【0206】
<ステップS233>
次に、ジョブ実行判断部557は、印刷可能として判断した印刷業者10の印刷機30について、現在の機器状態、および着目している空き時間までのスケジュール情報から、空き時間の開始時刻における印刷機30の状態を予測する。印刷機30の状態は、例えば、設定されている用紙種別、用紙残量、インク、インク残量、または調整状態であるが、予測方法は後述する。このように空き時間の開始時刻における印刷機30の状態を予測するのは、印刷開始前に必要な作業として、用紙のセット、ロール紙交換、インク補充、ヘッドクリーニング、調整(位置合わせ、色調等)、およびテスト印刷等が必要であり、商用印刷では、準備に要する時間が長いためである。そして、ステップS234へ移行する。
【0207】
<ステップS234>
ジョブ実行判断部557は、予測した印刷機30の状態と新たなジョブ情報とから、ジョブ実行の準備として、用紙交換、インク補充、または調整の必要性を判断する。新たなジョブ情報により、設定されるべき用紙種別、必要な用紙枚数、インク(の種別)、インク量等も決まる。ジョブ実行判断部557は、予測したこれら状態が新たなジョブ情報の実行のために設定される印刷機30の状態と異なっている場合、交換、調整または補充が必要と判断する。なお、ヘッドクリーニングの必要性も判断するのが望ましい。また、ジョブ実行判断部557は、印刷機30の状態の予測およびヘッドクリーニングの必要性を、過去の履歴も参照して判断する。用紙交換、インク補充または調整が必要な場合(ステップS234:Yes)、ステップS235へ移行し、不要な場合(ステップS234:No)、ステップS236へ移行する。
【0208】
<ステップS235>
用紙交換、インク補充または調整が必要な場合、ジョブ実行判断部557は、用紙交換、インク補充または調整を考慮して、ジョブの準備時間および実行時間を予測する。用紙交換、インク補充または調整に要する時間は、用紙の種別および調整の内容ごとに予め見積もられている。そして、ステップS237へ移行する。
【0209】
<ステップS236>
用紙交換、インク補充または調整が不要な場合、ジョブ実行判断部557は、用紙交換、インク補充または調整を考慮しないで、ジョブの準備時間を予測する。この場合、ジョブ実行判断部557は、例えば、ある決まった時間(印刷機30の運転開始に必要な最小限の時間)をジョブの準備時間とする。そして、ステップS237へ移行する。
【0210】
<ステップS237>
次に、ジョブ実行判断部557は、空き時間にジョブの実行が可能か否かを判断する。すなわち、ジョブ実行判断部557は、「空き時間>準備時間+実行時間」の場合、空き時間にジョブの実行が可能であると判断する。ただし、ジョブ実行判断部557は、実行終了予測時刻が希望納期を超えている場合は、この空き時間では実行不可と判断する。また、ジョブ実行判断部557は、実行終了予測時刻が希望納期を超えていないが、空き時間の後に次のスケジュール情報が登録されている場合は、新たなジョブの終了後に設定されているジョブ情報の準備時間の予測を修正する。予測方法はステップS233と同様である。また、ジョブ実行判断部557は、準備時間が変わり、希望納期に間に合わせるため、次のジョブ情報の準備開始時刻を前倒したが、新たなジョブの実行終了予測時刻が、次のジョブ情報の前倒しした準備開始時刻を越えている場合は、この空き時間では実行不可と判断する。空き時間にジョブの実行が不可である場合(ステップS237:No)、ステップS238へ移行し、実行が可能である場合(ステップS237:Yes)、ステップS239へ移行する。
【0211】
<ステップS238>
空き時間にジョブの実行が不可である場合、ジョブ実行判断部557は、この空き時間ではジョブを実行できないと判断する。
【0212】
<ステップS239>
空き時間にジョブの実行が可能である場合、ジョブ実行判断部557は、空き時間にスケジュール情報を設定する。
【0213】
以上のように、ジョブ実行判断部557によって、空き時間ごとにジョブの実行可否が判断される。実行可能な空き時間が複数あった場合、ジョブ実行判断部557は、例えば以下のようにジョブを実行する空き時間を選択する。
【0214】
・次のスケジュール情報の準備時間が短くなる空き時間を選ぶ。
・次のスケジュール情報との間の隙間時間が、閾値以下の場合は、隙間時間が短い方を選
ぶ。
・次のスケジュール情報との間の隙間時間が、閾値以上の場合は、隙間時間が長い方を選
ぶ。
【0215】
これらの選択方法によって、用紙交換等の準備時間を減らすことにより全体としての生産性が向上し、ジョブを割り当てられない遊休時間を減らすことにより全体としての生産性が向上し、空き時間に他のジョブを割り当てられるようにすることにより全体としての生産性が向上する。
【0216】
(機器状態の予測処理)
図11は、空き時間の開始時刻における機器状態の予測を説明する図である。
図12は、実施形態に係るクラウドシステムにおける機器状態の予測処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11および
図12を参照しながら、上述の
図10のステップS233における機器状態の予測処理の詳細について説明する。
【0217】
図11では、印刷機Aには、ジョブ(1)~(3)が設定されており、印刷機Bには、ジョブ(1)および(2)が設定されている例を示している。ジョブとジョブの間の太い両矢印601は、印刷機Aにおける空き時間に追加されるジョブ情報である。両矢印602は、印刷機Bにおける空き時間に追加されるジョブ情報である。空き時間にジョブの実行が可能であると判断されると新たなジョブが空き時間に設定される。以下では、
図12を参照しながら、印刷機Aが実行する予定のジョブ(2)とジョブ(3)との間の空き時間に新たなジョブを設定できるかどうかの判断の手順を説明する。
図10のステップS233で上述したように、ジョブ実行判断部557は、空き時間の直前のジョブ(2)が終了する空き時間の開始時刻tにおける印刷機30の状態を予測する必要がある。
【0218】
<ステップS2331>
まず、ジョブ実行判断部557は、新たなジョブの用紙種別がジョブ(2)と同じか否かを判断する。異なる場合(ステップS2331:No)、ステップS2332へ移行し、同じである場合(ステップS2331:Yes)、ステップS2333へ移行する。
【0219】
<ステップS2332>
新たなジョブの用紙種別がジョブ(2)と異なる場合、ジョブ実行判断部557は、用紙の交換が必要であると判断する。そして、ステップS2333へ移行する。
【0220】
<ステップS2333>
次に、ジョブ実行判断部557は、ジョブを実行するだけの用紙残量があるか否かを判断する。ジョブ実行判断部557は、ジョブ(1)、ジョブ(2)および新たなジョブが同じ用紙種別の場合、機器情報における現在の用紙残量から、ジョブ(1)およびジョブ(2)の使用量を引く。また、ジョブ実行判断部557は、ジョブ(1)とジョブ(2)とが異なる用紙種別で、新たなジョブがジョブ2(と)同じ用紙種別の場合、ジョブ(2)が使用する用紙種別の残量(新品とは限らない)からジョブ(2)の使用量を引く。また、ジョブ実行判断部557は、ジョブ(1)およびジョブ(2)、または、ジョブ(2)の実行中に用紙がなくなって交換することが予測される場合は、交換後の用紙の量から、それ以降の使用量を引く。また、ジョブ実行判断部557は、ジョブ(2)と新たなジョブとで用紙が異なる場合は、用紙交換が必要になるので、新たなジョブで使用する用紙種別の残量(新品とは限らない)を取得する。
【0221】
なお、同じ用紙の在庫が複数ある場合は、新たなジョブ実行中の用紙交換が少なくなるように、新たなジョブより残量の多いロールを選択するようにすればよい。また、用紙の廃棄が発生しないように、新たなジョブより残量の少ないロールを選択して、用紙を使い切るようにしてもよい。また、交換のポリシーは管理者画設定で変更できるようにしてもよい。
【0222】
ジョブ(2)の実行完了時の用紙残量、または、交換した用紙種別の用紙残量と、新たなジョブで必要な枚数とを比較した結果、ジョブの実行中に用紙がなくなって交換することが予測される場合(ステップS2333:No)、ステップS2334へ移行し、そうでない場合(ステップS2333:Yes)、ステップS2335へ移行する。
【0223】
<ステップS2334>
ジョブ(2)の実行完了時の用紙残量、または、交換した用紙種別の用紙残量と、新たなジョブで必要な枚数とを比較した結果、ジョブの実行中に用紙がなくなって交換することが予測される場合、ジョブ実行判断部557は、新品の用紙への交換が必要であると判断する。そして、ステップS2335へ移行する。
【0224】
<ステップS2335>
次に、ジョブ実行判断部557は、インク種別が同じか否か、および、ジョブを実行するだけのインク残量があるか否かを判断する。考え方は用紙種別、用紙残量と同じであるが、インクの交換、補充に要する時間は用紙より短い。インク種別が異なるか、またはインク種別が同じでジョブを実行するだけのインク残量がない場合(ステップS2335:No)、ステップS2336へ移行し、インク種別が同じでジョブを実行するだけのインク残量がある場合(ステップS2335:Yes)、ステップS2337へ移行する。
【0225】
<ステップS2336>
インク種別が異なるか、またはインク種別が同じでジョブを実行するだけのインク残量がない場合、ジョブ実行判断部557は、ジョブ実行中に補充が発生しないようにインクの補充が必要であると判断する。そして、ステップS2337へ移行する。
【0226】
<ステップS2337>
次に、ジョブ実行判断部557は、ジョブ(2)の調整状態と同じか否かを判断する。調整状態とは、用紙に対する画像の形成位置および発色の状態をいう。ジョブ(2)の終了時は、ジョブ(2)の用紙および画質要求に従った調整状態になっている。したがって、新たなジョブと同じ調整状態か否かは、新たなジョブの用紙および画質要求によって決まるので、ジョブ実行判断部557は、両者が同じか否かを判断する。両者が同じでない場合(ステップS2337:No)、ステップS2338へ移行し、両者が同じである場合(ステップS2337:Yes)、機器状態の予測処理を終了する。
【0227】
<ステップS2338>
両者同じでない場合、ジョブ実行判断部557は、位置および色の調整が必要と判断する。そして、機器状態の予測処理を終了する。
【0228】
以上のように、空き時間の開始時刻における印刷機30の状態を予測し、予測した印刷機30の状態と、受け付けたジョブ情報に基づいて設定される印刷機30の状態とに基づいて準備時間を算出できる。
【0229】
(準備時間および実行時間)
図13は、準備時間および実行時間の予測動作を説明する図である。
図13を参照しながら、準備時間および実行時間について説明する。
【0230】
準備時間は準備に要する時間であり、実行時間はジョブの実行に要する時間である。
図13に示すように、準備時間は、「T
PC+T
if+T
hc+T
ac+T
tp」で表すことができる。すなわち、用紙交換に要する時間と、インク補充に要する時間と、ヘッドクリーニングに要する時間と、調整に要する時間と、テスト印刷に要する時間との合計である。このように、ジョブ情報登録部556により登録されたジョブ情報に基づく印刷機30の状態を得るために必要な用紙交換、インク補充、または、調整に要する時間等の合計を準備時間となる。
【0231】
ここで、TPCは、用紙交換に要する時間であり、前のジョブと新たなジョブとで用紙種別が同じで、かつ十分な残量が残っていれば、交換不要で0である。Tifは、インク補充に要する時間であり、インク種別が新たなジョブと同じで、かつ十分な残量が残っていれば、補充不要で0である。Thcは、ヘッドクリーニングに要する時間であり、過去の実行履歴から、ヘッドクリーニングが不要と判断できる場合は0である。Tacは、調整(位置合わせ、色調等)に要する時間であり、前のジョブと実行したいジョブで用紙、画質要求が同じで、かつ過去の実行履歴から、調整が不要と判断できる場合は0である。Ttpは、テスト印刷に要する時間である。
【0232】
実行時間も、同様に「TPC+Tif+Thc+Tac+Tpp」で表すことができる。すなわち、ジョブを実行中の用紙交換に要する時間と、インク補充に要する時間と、ヘッドクリーニングに要する時間と、調整に要する時間と、印刷時間との合計である。ただし、TPC、Tif、ThcおよびTacは、ジョブの実行中に交換が発生する場合の時間である。また、実行時間では、テスト印刷時間Ttpではなく、印刷時間Tppを予測する。印刷時間Tppは、「1部当たりのページ数×ジョブ情報の枚数/印刷速度」で算出される。
【0233】
(ジョブの実行完了通知)
管理サーバ11は、印刷機30でのジョブの実行完了時に、ジョブの実行完了通知をジョブ管理サービス55へ送信する。ジョブの実行完了通知は、実行されたジョブのログ(準備時間および実行時間)、金額、および、ジョブ実行前後の印刷機30の状態等を含む。
【0234】
ジョブ実行前後の印刷機30の状態は、1つ前のジョブの用紙種別、新たなジョブの用紙種別、1つ前のジョブの用紙残量、新たなジョブで消費する用紙枚数、1つ前のジョブのインク種別、新たなジョブのインク種別、1つ前のジョブのインク残量、新たなジョブのインク残量、1つ前のジョブの調整状態、および新たなジョブの調整状態等を含む。
【0235】
ジョブ管理サービス55は、ジョブ実行前後の印刷機30の状態を、ジョブの実行完了通知と関連付けて蓄積し、統計処理または機械学習を行うことにより、準備時間および実行時間の予測精度を向上させることができる。
【0236】
機械学習とは、コンピュータに人のような学習能力を獲得させるための技術であり、コンピュータが、データ識別等の判断に必要なアルゴリズムを、事前に取り込まれる学習データから自律的に生成し、新たなデータについてこれを適用して予測を行う技術のことをいう。機械学習のための学習方法は、教師あり学習、教師なし学習、半教師学習、強化学習、深層学習のいずれかの方法でもよく、さらに、これらの学習方法を組み合わせた学習方法でもよく、機械学習のための学習方法は問わない。
【0237】
なお、機械学習の手法には、ニューラルネットワーク、パーセプトロン、ディープラーニング、サポートベクターマシン、ロジスティック回帰、ナイーブベイズ、決定木、ランダムフォレスト等があり、本実施形態で説明する手法には限られない。
【0238】
(発注ワークフロー処理)
図14は、発注ワークフロー画面の一例を示す図である。
図15は、テンプレート一覧画面の一例を示す図である。
図16は、テンプレート編集画面の一例を示す図である。
図17は、出力設定画面の一例を示す図である。
図18は、発注確認画面の一例を示す図である。
図19は、発注確認画面の別の例を示す図である。
図20は、実施形態に係る機器システムにおけるプレビュー表示動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図21は、実施形態に係る機器システムにおけるシミュレート画像の生成動作を説明する図である。
図22は、視点の異なる複数のシミュレート画像を表示させる動作を説明する図である。
図23は、実施形態の印刷業者における撮像画像の応答処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図14~
図23を参照しながら、本実施形態に係る機器システム100での発注ワークフロー処理(
図8のステップS15)における画面遷移、各画面における設定・編集操作、およびデザインテンプレートのプレビュー表示処理について説明する。
【0239】
上述の
図8のステップS14で説明したように、発注者端末40の発注者は、入力部403を介して、
図14に示す発注ワークフロー画面1100の表示操作を行うと、表示制御部402は、ディスプレイ806に発注ワークフロー画面1100を表示させる。この場合、表示制御部402は、デジタル素材管理サービス56の表示制御部568aから発注ワークフロー画面1100の画面情報を受信して表示させる。これは、後述する
図15~
図19に示す画面についても同様である。なお、画面の遷移の順番として
図14から
図18(
図19)までの順に遷移するものとしているが、遷移の順番はこれに限定されるものではない。
【0240】
図14に示す発注ワークフロー画面1100は、デザインテンプレートを選択・編集し、印刷した場合の状態を示すプレビュー表示を確認し、最終的に発注を行うための一連の発注ワークフロー処理の初期画面である。発注ワークフロー画面1100は、
図14に示すように、新規作成ボタン1101と、テンプレート選択ボタン1102と、を含む。
【0241】
新規作成ボタン1101は、デザインテンプレートではなく発注者が用意した印刷対象のデータを選択するためのボタンである。テンプレート選択ボタン1102は、デジタル素材管理サービス56に登録されているデザインテンプレートの一覧から、印刷対象とする所望のデザインテンプレートんを選択するための
図15に示すテンプレート一覧画面1200(第1画面の一例)を表示させるためのボタンである。
【0242】
発注者によってテンプレート選択ボタン1102が押下されると、表示制御部402は、ディスプレイ806に、
図15に示すテンプレート一覧画面1200を表示させる。
【0243】
図15に示すテンプレート一覧画面1200は、デジタル素材管理サービス56に登録されているデザインテンプレートのプレビュー画像の一覧を表示し、発注対象としていずれかのデザインテンプレートを選択することができる画面である。テンプレート一覧画面1200は、
図15に示すように、テンプレート表示領域1201a、1201b、1201cと、チェックボックス1202a、1202b、1202cと、決定ボタン1203と、キャンセルボタン1204と、を含む。
【0244】
テンプレート表示領域1201a、1201b、1201cは、デジタル素材管理サービス56に登録されているデザインテンプレートのプレビュー画像を一覧として表示する領域である。なお、簡便のため
図15では3つのテンプレート表示領域を図示しているが、3つの表示領域に限定されるものではない。テンプレート表示領域1201aは、編集可能な可変部分1211aを含み、テンプレート表示領域1201bは、編集可能な可変部分1211bを含み、テンプレート表示領域1201cは、編集可能は可変部分1211c、1211dを含む。可変部分1211a、1211b、1211c、1211dは、編集可能であることが分るように下線等が付加されている。
【0245】
なお、デザインテンプレートの一覧として、プレビュー画像が表示されるだけでなく、当該デザインテンプレートの名称、特徴、特色または特殊可能の使用の有無等の情報が表示されていてもよい。
【0246】
チェックボックス1202a、1202b、1202cは、それぞれテンプレート表示領域1201a、1201b、1201cを選択するためのチェックボックスである。
【0247】
決定ボタン1203は、チェックボックス1202a、1202b、1202cのうちチェックされたものに対応するデザインテンプレート(テンプレート表示領域1201a、1201b、1201cのうち選択されたものに対応する領域にプレビュー画像として表示されたデザインテンプレート)の選択を決定するためのボタンである。
【0248】
キャンセルボタン1204は、選択操作をキャンセルして、発注ワークフロー画面1100へ戻るためのボタンである。
【0249】
上述のように、発注者によってテンプレート選択ボタン1102が押下された場合、デジタル素材管理サービス56は、テンプレート一覧画面1200のテンプレート表示領域1201a、1201b、1201cについて、
図20に示すプレビュー表示動作を実行する。以下、
図20を参照しながら、デジタル素材管理サービス56によるプレビュー表示動作について説明する。なお、
図20では、テンプレート一覧画面1200のテンプレート表示領域1201aに対応するデザインテンプレートに注目して説明する。
【0250】
<ステップS151>
デジタル素材管理サービス56の判定部563は、デジタル素材記憶部569を参照し、テンプレート表示領域1201aに対してプレビュー表示の対象となるデザインテンプレートに対応するプレビュー方法が、特殊プレビューなのか通常プレビューなのか判定する。なお、例えば発注ワークフロー画面1100でテンプレート選択ボタン1102が押下されたことに応じてS151の処理を開始してもよいし、テンプレート一覧画面1200のデザインテンプレートのプレビュー画像を追加表示するたびに、あるいはデザインテンプレートを検索して検索結果を表示させた際に、S151の処理を開始してもよい。当該プレビュー方法が特殊プレビューである場合(ステップS151:特殊プレビュー)、ステップS152へ移行し、通常プレビューである場合(ステップS151:通常プレビュー)、ステップS157へ移行する。
【0251】
<ステップS152>
デジタル素材管理サービス56の判定部563は、デジタル素材記憶部569を参照し、テンプレート表示領域1201aのデザインテンプレートに対応する撮像画像が存在するか否かを判定する。撮像画像が存在する場合(ステップS152:Yes)、ステップS153へ移行し、撮像画像が存在しない場合(ステップS152:No)、ステップS154へ移行する。
【0252】
<ステップS153>
デジタル素材管理サービス56のプレビュー制御部566は、デジタル素材記憶部569からテンプレート表示領域1201aのデザインテンプレートに対応する撮像画像を取得し、当該撮像画像によりプレビュー画像を生成し、通信部561を介して、発注者端末40へ送信し、発注者端末40の通信部401は、当該プレビュー画像を受信する。そして、発注者端末40の表示制御部402は、通信部401により受信されたプレビュー画像(撮像画像)をテンプレート一覧画面1200のテンプレート表示領域1201aに表示させる。
【0253】
すなわち、デザインテンプレートのプレビュー方法として特殊プレビューが指定されている場合、当該デザインテンプレートの撮像画像が存在すれば、優先して当該撮像画像がプレビュー画像として表示されるものとしている。これによって、デザインテンプレートが特色または特殊加工の少なくともいずれかが設定されている場合には、プレビュー表示としてその印刷状態を明確に表現するには撮像画像が最も適しているため、撮像画像が存在する場合にはこれをプレビュー表示することによって、発注者はデザインテンプレートの印刷状態を正確に把握することができる。そして、プレビュー表示動作を終了する。
【0254】
<ステップS154>
デジタル素材管理サービス56のシミュレート生成部564は、プレビュー表示の対象となるデザインテンプレートについて画像の面の角度、光源および視点を予め仮想的に設定してシミュレートすることにより画像(シミュレート画像)を生成する。具体的には、シミュレート生成部564は、
図21に示すように、デザインテンプレート701の基準面との角度をα、光源702の方向と基準方向との角度をβ、視点703の方向と基準方向との角度をγとした場合に、デザインテンプレート701の光沢等の状態をシミュレート計算により算出して、シミュレート画像を生成する。なお、光源702の色味もしくは位置等、または視点703の位置等が調整できてもよい。
【0255】
また、シミュレート生成部564は、例えば、
図22に示すデザインテンプレート701-1~701-3のように、それぞれ視点の位置を変えた画像を生成し、これら順に表示変更するような動画形式のプレビュー画像を生成してもよい。これによって、視点を変えた場合の光沢の状態の変化を分かりやすく表現することができる。なお、これらの複数の画像がテンプレート表示領域1201aに表示される際に、操作に従って、各画像が手動で切り替えられるようにしてもよい。また、
図22に示すように3つの画像が生成されることに限定されない。
【0256】
そして、プレビュー制御部566は、シミュレート生成部564により生成されたシミュレート画像(第1シミュレート画像)をプレビュー画像として、通信部561を介して、発注者端末40へ送信し、発注者端末40の通信部401は、当該プレビュー画像を受信する。あるいは、シミュレート画像を元にさらにプレビュー画像(表示用の画像)を生成してもよい。そして、発注者端末40の表示制御部402は、通信部401により受信されたプレビュー画像(シミュレート画像)をテンプレート一覧画面1200のテンプレート表示領域1201aに表示させる。なお、発注者端末40での表示は、特殊プレビューであっても、通常プレビューの画像(テンプレート等デジタル素材のアイコン画像)と特殊プレビューの画像(撮影画像・シミュレート画像)とを自動的に交互に繰り返して表示してもよい。またテンプレート一覧画面1200を表示したときに最初は通常プレビューで表示しておき、その画面上でマウスのポインタを画像に重ね合わせるマウスオーバーによって特殊プレビューに切り替わってもよい。
【0257】
なお、後述する
図19と同様に、シミュレート生成部564は、プレビュー表示の対象となるデザインテンプレートに特色が設定されている場合に、デザインテンプレート701の画像の特色部分(画像ファイルにおいて特色や特色加工等が指定された領域)をプロセスカラー等の代替色に置き換えた画像(第2シミュレート画像)を光源および視点について同一の条件で生成し、表示制御部402によって特色を含む画像と代替色に置き換えた画像とを並列にプレビュー表示するようにしてもよい。特色をプロセスカラーに置き換える例としては、特色のゴールドトナーを用いる色の代替色として、プロセスカラーのイエロートナーとブラックトナーを混ぜた色を用いた画像を用いて画像を生成してもよい。あるいは蛍光色トナー(蛍光ピンク・蛍光イエロー)を用いる色の代替色として、マゼンタトナーやイエロートナーをそれぞれ用いて画像を生成する。特色のクリアトナーなど透明色材の場合は、使った場合を第1シミュレート画像、使わない場合を第2シミュレート画像としてもよい。これによって、光源および視点について同一の条件の特色を含む画像と代替色に置き換えた画像とを見比べることが可能となり、その違いがより分かりやすくなる。なお、並列表示は、撮像画像と、シミュレート画像との並列表示等であってもよい。
【0258】
そして、ステップS155へ移行する。
【0259】
<ステップS155>
発注者は、撮像画像を実際に確認したい場合に、撮像画像を要求することができる。例えば、後述する
図18に示す発注確認画面1500の実画像プレビュー要求ボタン1504の押下操作等によって、撮像画像のプレビューを要求することができる。すなわち、テンプレート一覧画面1200においても同様の機能を有するボタンが配置されていてもよい。なお、撮像画像が無いと判定部563が判定した場合にのみ、実画像プレビュー要求ボタン1504等を表示し、撮像画像が有ると判定した場合には表示しない表示制御を行ってもよい。撮像画像の要求操作があった場合(ステップS155:Yes)、ステップS156へ移行し、要求操作がない場合(ステップS155:No)、プレビュー表示動作が終了する。
【0260】
<ステップS156>
デジタル素材管理サービス56は、発注者端末からの撮像画像のプレビュー要求を受け付ける。デジタル素材管理サービス56は、撮像画像プレビュー要求受付部の一例である。さらに、デジタル素材管理サービス56は、ジョブ管理サービス55を介して印刷業者10へ撮像画像の登録を要求する処理を行う。当該処理の詳細を、
図23を参照しながら説明する。なお、撮像画像のプレビュー要求を受け付けた場合に、印刷業者またはテンプレートの作成者(登録者)に対して撮像画像の要求をメール等で通知することで依頼してもよい。メールには撮像画像のアップロード画面にアクセス可能なURLを含めてもよい。
【0261】
<<ステップS1561>>
発注者による入力部403を介した撮像画像の要求操作がなされると、デジタル素材管理サービス56の撮像画像要求部565は、プレビュー表示の対象となるデザインテンプレートについてプレビュー表示するために、ジョブ管理サービス55に対して撮像画像を要求する。この場合、撮像画像要求部565は、対象のデザインテンプレートをジョブ管理サービス55へ送る。そして、ジョブ管理サービス55の撮像画像要求受付部553は、デジタル素材管理サービス56から撮像画像の要求、および撮像対象となるデザインテンプレートを受け付ける。そして、ステップS1562へ移行する。
【0262】
<<ステップS1562>>
ジョブ管理サービス55のテンプレート印刷指示部554は、撮像画像要求受付部553により撮像画像の要求およびデザインテンプレートが受け付られた場合、所定の印刷業者10の管理サーバ11へ、当該デザインテンプレートの印刷指示を、通信部551を介して送信する。そして、管理サーバ11の通信部111は、当該印刷指示を受信する。そして、管理サーバ11のテンプレート印刷指示部112は、通信部111により受信された当該印刷指示に応じて、印刷機30に対して撮像画像を得るためにデザインテンプレートの印刷の実行を指示する。印刷機30の印刷実行部303は、管理サーバ11のテンプレート印刷指示部112からのデザインテンプレートの印刷の実行指示に従って、印刷を実行する。そして、ステップS1563へ移行する。
【0263】
<<ステップS1563>>
印刷業者10は、印刷機30によって印刷された当該デザインテンプレートの印刷物を撮像装置により撮像する。そして、ステップS1564へ移行する。なお、撮像装置はカメラ、スキャナ等、画像を撮影できる装置である。また印刷物を撮像した撮像画像は、デザインテンプレート等の印刷物を複数の角度で撮影した複数の画像であってもよい。
【0264】
<<ステップS1564>>
管理サーバ11の撮像画像登録部113は、印刷業者10の操作に応じて、印刷物を撮像した撮像装置から外部機器接続I/F808を介して当該撮像画像を受信し、ジョブ情報記憶部119に記憶(登録)する。そして、ステップS1565へ移行する。
【0265】
<<ステップS1565>>
管理サーバ11の撮像画像送信部114は、撮像画像登録部113により登録された撮像画像を、通信部111を介してジョブ管理サービス55へ送信する。
【0266】
ここで、ステップS156の処理の説明に戻る。ジョブ管理サービス55の撮像画像処理部555は、印刷業者10の管理サーバ11から、通信部551を介して撮像画像を取得し、デジタル素材管理サービス56に送信する。プレビュー制御部566は、通信部561を介して受信した当該撮像画像を、対応するデザインテンプレートと関連付けてデジタル素材記憶部569に登録する。そして、プレビュー制御部566は、通信部561を介して受信した当該撮像画像をプレビュー画像として、通信部561を介して、発注者端末40へ送信し、発注者端末40の通信部401は、当該プレビュー画像を受信する。そして、発注者端末40の表示制御部402は、通信部401により受信されたプレビュー画像(撮像画像)をテンプレート一覧画面1200のテンプレート表示領域1201aに表示させる。そして、プレビュー表示動作を終了する。
【0267】
なお、テンプレート一覧画面1200が表示されたタイミングでプレビュー表示のためのプレビュー画像が生成されることに限定されるものではなく、例えば、予め各デザインテンプレートのプレビュー画像を生成しておき、当該各デザインテンプレートに関連付けてデジタル素材記憶部569に登録させておくものとしてもよい。
【0268】
<ステップS157>
デジタル素材管理サービス56のプレビュー制御部566は、通常プレビューが指定されている場合、プロセスカラーを用いた通常のプレビュー表示となるようなプレビュー画像を生成または取得し、通信部561を介して、発注者端末40へ送信し、発注者端末40の通信部401は、当該プレビュー画像を受信する。例えば、通常プレビューのプレビュー画像は、デザインテンプレートなどデジタル素材の画像ファイルの画像に基づいて作成されるアイコン画像であってもよい。また表示する際にアイコン画像を生成してもよいし、登録時に生成されているアイコン画像を取得してもよい。そして、発注者端末40の表示制御部402は、通信部401により受信されたプレビュー画像をテンプレート一覧画面1200のテンプレート表示領域1201aに表示させる。そして、プレビュー表示動作を終了する。
【0269】
ここで、テンプレート一覧画面1200の説明に戻る。発注者は、テンプレート表示領域1201a~1201cのプレビュー表示を確認し、チェックボックス1202a~1202cのうち所望のデザインテンプレートのチェックボックスを選択操作した後、決定ボタン1203を押下する。すると、表示制御部402は、ディスプレイ806に、
図16に示すテンプレート編集画面1300を表示させる。
【0270】
図16に示すテンプレート編集画面1300は、テンプレート一覧画面1200で選択したデザインテンプレートから編集を加えて印刷用のレイアウトを作成するための画面である。テンプレート編集画面1300は、
図16に示すように、テンプレート表示領域1301と、タイトル入力領域1302と、決定ボタン1303と、キャンセルボタン1304と、を含む。
【0271】
テンプレート表示領域1301は、編集対象となるデザインテンプレートを表示する領域である。テンプレート表示領域1301は、編集可能な可変部分1301aを含む。
図16に示す例では、可変部分1301aは、デザインテンプレートのタイトルを編集入力できるようになっている。
【0272】
タイトル入力領域1302は、可変部分1301a(タイトル)にタイトルを編集入力するための領域である。発注者によってタイトル入力領域1302にタイトルが入力されると、可変部分1301aに反映される。
【0273】
決定ボタン1303は、テンプレート表示領域1301で編集された内容で決定するためのボタンである。キャンセルボタン1304は、編集内容をキャンセルしテンプレート一覧画面1200へ戻るためのボタンである。
【0274】
なお、より自由度を高めるために、任意のオブジェクトの配置や位置・大きさ・属性などの変更が可能な専用ツール(エディタ)を用意してもよい。
【0275】
発注者は、テンプレート表示領域1301に表示されたデザインテンプレートの編集を終えると決定ボタン1303を押下する。すると、表示制御部402は、ディスプレイ806に、
図17に示す出力設定画面1400を表示させる。
【0276】
図17に示す出力設定画面1400は、編集されたデザインテンプレートに基づいて印刷をする場合の各種設定(出力設定)を行うための画面である。出力設定画面1400は、
図17に示すように、サイズ選択領域1401と、宛先読込ボタン1402と、決定ボタン1403と、キャンセルボタン1404と、を含む。
【0277】
サイズ選択領域1401は、印刷出力の印刷物のサイズを選択入力する領域である。
【0278】
宛先読込ボタン1402は、印刷物の宛先となるリストファイルを読み込むためのボタンである。
【0279】
なお、上記の設定以外にも、カラー/モノクロ、フィニッシング、部数、納期指定等があってもよい。
【0280】
決定ボタン1403は、上記の設定内容で決定するためのボタンである。キャンセルボタン1404は、上記の設定内容をキャンセルするためのボタンである。
【0281】
発注者によって、決定ボタン1403が押下されと、表示制御部402は、ディスプレイ806に、
図18に示す発注確認画面1500(第2画面の一例)を表示させる。
【0282】
図18に示す発注確認画面1500は、編集したデザインテンプレートのレイアウト、および設定内容を最終確認し、印刷を発注するための画面である。当該画面によって最終的な仕上がりイメージを確認することができる。
【0283】
発注確認画面1500は、
図18に示すように、テンプレート表示領域1501と、編集ボタン1502と、編集ボタン1503と、実画像プレビュー要求ボタン1504と、試し印刷発注ボタン1505と、発注ボタン1506と、キャンセルボタン1507と、を含む。
【0284】
テンプレート表示領域1501は、レイアウトが確定したデザインテンプレートのプレビュー画像を表示する領域である。テンプレート表示領域1501に対するプレビュー画像の一連の表示動作は、上述の
図20~
図23で説明したプレビュー表示動作と同様である。
【0285】
編集ボタン1502は、再度デザインテンプレートを編集するためのボタンである。編集ボタン1502が押下された場合、例えば、テンプレート編集画面1300に戻るものとすればよい。
【0286】
編集ボタン1503は、再度出力設定を行うためのボタンである。編集ボタン1503が押下された場合、例えば、出力設定画面1400に戻るものとすればよい。
【0287】
実画像プレビュー要求ボタン1504は、上述したように、撮像画像でプレビュー表示を確認したい場合に、撮像画像を要求するためのボタンである。試し印刷発注ボタン1505は、正式な発注の前に、お試しとして印刷業者10に印刷を発注するためのボタンである。試し印刷発注ボタン1505が押下された場合の動作は、基本的に発注ボタン1506が押下された場合と同様である。
【0288】
発注ボタン1506は、テンプレート表示領域1501に表示されたデザインテンプレートの内容および出力設定により、正式に印刷業者10に対して印刷を発注するためのボタンである。発注ボタン1506が押下された場合の動作は、上述の
図8に示したステップS16以降の動作である。キャンセルボタン1507は、出力設定画面1400に戻るためのボタンである。
【0289】
なお、テンプレート表示領域1501におけるプレビュー画像の表示は、
図19に示す発注確認画面1500aのように、特色が設定された場合のプレビュー画像を表示するテンプレート表示領域1501aと、当該特色に対してプロセスカラー等の代替色で置き換えた同一の条件のプレビュー画像を表示するテンプレート表示領域1501bとの並列表示を行ってもよい。これによって、光源および視点について同一の条件の特色を含む画像と代替色に置き換えた画像とを見比べることが可能となり、その違いがより分かりやすくなる。なお、並列表示は、撮像画像と、シミュレート画像との並列表示等であってもよい。
【0290】
以上のように、本実施形態に係る機器システム100では、受付部(表示制御部568a)は、デザインテンプレートに対応するプレビュー方法の指定を受け付け、登録部562は、デザインテンプレートと、プレビュー方法とを関連付けてデジタル素材記憶部569に登録し、プレビュー制御部566は、登録部562により登録されたデザインテンプレートに関連付けられるプレビュー方法に応じて生成されたプレビュー画像を、印刷の発注を行うための発注者端末40に送信するものとしている。これによって、デザインテンプレートの登録時にプレビュー表示の方法を指定することができる。そして、従来では特色または特殊加工が設定された場合にプレビュー表示されるには、通常のプレビュー表示の操作とは異なる別途の操作が必要であったが、デザインテンプレートの登録の際に予めプレビュー方法が指定されるため、当該操作を省略することができるため操作性を向上させることができる。
【0291】
また、本実施形態に係る機器システム100では、受付部は、デザインテンプレートに関連付ける撮像画像の指定を受け付け、登録部562は、デザインテンプレートと撮像画像とを関連付けてデジタル素材記憶部569に登録し、判定部563は、デザインテンプレートに関連付けられたプレビュー方法に基づいて、特色または特殊加工のうち少なくともいずれかが設定されているデザインテンプレートに対応した特殊プレビューか、特色または特殊加工のうち少なくともいずれかが設定されているデザインテンプレートに対応していない通常プレビューかを判定し、デザインテンプレートに関連付けられたプレビュー方法が特殊プレビューと判定した場合、当該デザインテンプレートに関連付けられた撮像画像が存在するか否かを判定し、プレビュー制御部566は、判定部563により撮像画像があると判定された場合、当該撮像画像に基づいてプレビュー画像を生成するものとしている。これによって、デザインテンプレートが特色または特殊加工の少なくともいずれかが設定されている場合には、プレビュー表示としてその印刷状態を明確に表現するには撮像画像が最も適しているため、撮像画像が存在する場合にはこれをプレビュー表示することによって、発注者はデザインテンプレートの印刷状態を正確に把握することができる。
【0292】
また、本実施形態に係る機器システム100では、シミュレート生成部564は、判定部563により撮像画像があると判定された場合、さらに、第1シミュレート画像の所定のシミュレーションと同一の条件のシミュレーションにより、かつ、デザインテンプレートの特色部分を代替色に置換して生成される第2シミュレート画像をプレビュー画像として生成し、プレビュー制御部566は、発注者端末40に第1シミュレート画像と第2シミュレート画像とを、並列してプレビュー表示させるために、発注者端末40へ送信するものとしている。これによって、光源および視点について同一の条件の特色を含む画像と代替色に置き換えた画像とを見比べることが可能となり、その違いがより分かりやすくなる。
【0293】
なお、上述の実施形態において、発注者端末40、クラウドシステム50、管理サーバ11および管理者端末12の各機能部の少なくともいずれかがプログラムの実行によって実現される場合、そのプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。また、上述の実施形態において、発注者端末40、クラウドシステム50、管理サーバ11および管理者端末12で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD-R(Compact Disk-Recordable)、またはDVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。また、上述の実施形態において、発注者端末40、クラウドシステム50、管理サーバ11および管理者端末12で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上述の実施形態において、発注者端末40、クラウドシステム50、管理サーバ11および管理者端末12で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。また、上述の実施形態において、発注者端末40、クラウドシステム50、管理サーバ11および管理者端末12で実行されるプログラムは、上述した各機能部のうち少なくともいずれかを含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU801が上述の記憶装置(例えば、ROM802またはHD804等)からプログラムを読み出して実行することにより、上述の各機能部が主記憶装置上にロードされて生成されるようになっている。
【0294】
本発明の態様は、以下の通りである。
<1>デザインテンプレートに対応するプレビュー方法の指定を受け付ける受付部と、
前記デザインテンプレートと、前記プレビュー方法とを関連付けて記憶部に登録する登録部と、
前記登録部により登録された前記デザインテンプレートに関連付けられるプレビュー方法に応じて生成されたプレビュー画像を、印刷の発注を行うための発注者端末に送信する送信部と、
を有する情報処理システムである。
<2>前記登録部により登録された前記デザインテンプレートが関連付けられるプレビュー方法により、該デザインテンプレートに対応する前記プレビュー画像を生成する生成部を、さらに有する前記<1>に記載の情報処理システムである。
<3>前記受付部は、前記デザインテンプレートに関連付ける撮像画像の指定を受け付け、
前記登録部は、前記デザインテンプレートと前記撮像画像とを関連付けて前記記憶部に登録し、
前記デザインテンプレートに関連付けられた前記プレビュー方法に基づいて、特色または特殊加工のうち少なくともいずれかが設定されているデザインテンプレートに対応した第1プレビュー方法か、特色または特殊加工のうち少なくともいずれかが設定されているデザインテンプレートに対応していない第2プレビュー方法かを判定する第1判定部と、前記第1判定部によって前記デザインテンプレートに関連付けられた前記プレビュー方法が前記第1プレビュー方法であると判定された場合、該デザインテンプレートに関連付けられた前記撮像画像が存在するか否かを判定する第2判定部と、をさらに備え、
前記生成部は、前記第2判定部により前記撮像画像があると判定された場合、該撮像画像に基づいて前記プレビュー画像を生成する前記<2>に記載の情報処理システムである。
<4>前記生成部は、前記第2判定部により前記撮像画像が存在しないと判定された場合、前記デザインテンプレートに基づいて、光源および視点が予め設定された所定のシミュレーションにより生成される第1シミュレート画像を、前記プレビュー画像として生成する前記<3>に記載の情報処理システムである。
<5>前記生成部は、前記第2判定部により前記撮像画像があると判定された場合、さらに、前記第1シミュレート画像の前記所定のシミュレーションと同一の条件のシミュレーションにより、かつ、前記デザインテンプレートの特色部分を代替色に置換して生成される第2シミュレート画像を、前記プレビュー画像として生成し、
前記送信部は、前記発注者端末に前記第1シミュレート画像と前記第2シミュレート画像とを、並列してプレビュー表示させるために、前記発注者端末へ送信する前記<4>に記載の情報処理システムである。
<6>前記生成部は、前記第2判定部により前記撮像画像が存在しないと判定された場合、前記デザインテンプレートに基づいて、視点の異なる複数の前記第1シミュレート画像を生成し、
前記送信部は、前記発注者端末に前記複数の前記第1シミュレート画像を表示させるために前記発注者端末へ送信する前記<4>に記載の情報処理システムである。
<7>前記送信部は、前記発注者端末に前記複数の前記第1シミュレート画像を、動画形式で表示させるために前記発注者端末へ送信する前記<6>に記載の情報処理システムである。
<8>前記第2判定部により前記撮像画像が存在しないと判定された場合、前記発注者端末から撮像画像のプレビュー要求を受け付ける、撮像画像プレビュー要求受付部を、さらに有する前記<3>~<7>のいずれか一項に記載の情報処理システムである。
<9>前記発注者端末からの前記プレビュー要求に応じて、印刷業者の管理装置に対して前記デザインテンプレートの印刷指示を要求する要求部を、さらに備え、
前記生成部は、前記管理装置からの指示によって印刷機により印刷出力された印刷物の撮像画像に基づいて、前記プレビュー画像を生成し、
前記送信部は、前記プレビュー画像を、前記発注者端末にプレビュー表示させるために該発注者端末へ送信する前記<8>に記載の情報処理システムである。
<10>前記発注者端末は、デザインテンプレートを選択するための第1画面において、前記送信部から送信された前記プレビュー画像を表示する前記<1>~<9>のいずれか一項に記載の情報処理システムである。
<11>前記発注者端末は、前記デザインテンプレートのレイアウトを最終確認するための第2画面において、前記送信部から送信された前記プレビュー画像を表示する前記<1>~<10>のいずれか一項に記載の情報処理システムである。
<12>デザインテンプレートに対応するプレビュー方法の指定を受け付ける受付部と、
前記デザインテンプレートと、前記プレビュー方法とを関連付けて記憶部に登録する登録部と、
前記登録部により登録された前記デザインテンプレートに関連付けられるプレビュー方法に応じて生成されたプレビュー画像を、印刷の発注を行うための発注者端末に送信する送信部と、
を備えた情報処理装置である。
<13>デザインテンプレートに対応するプレビュー方法の指定を受け付ける受付ステップと、
前記デザインテンプレートと、前記プレビュー方法とを関連付けて記憶部に登録する登録ステップと、
登録した前記デザインテンプレートに関連付けられるプレビュー方法に応じて生成されたプレビュー画像を、印刷の発注を行うための発注者端末に送信する送信ステップと、
を有する情報処理方法である。
<14>コンピュータに、
デザインテンプレートに対応するプレビュー方法の指定を受け付ける受付ステップと、
前記デザインテンプレートと、前記プレビュー方法とを関連付けて記憶部に登録する登録ステップと、
登録した前記デザインテンプレートに関連付けられるプレビュー方法に応じて生成されたプレビュー画像を、印刷の発注を行うための発注者端末に送信する送信ステップと、
を実行させるためのプログラムである。
【符号の説明】
【0295】
10 印刷業者
11 管理サーバ
12 管理者端末
30 印刷機
40 発注者端末
50 クラウドシステム
51 注文管理サービス
52 顧客管理サービス
53 機器管理サービス
54 業者管理サービス
55 ジョブ管理サービス
56 デジタル素材管理サービス
57 課金管理サービス
100 機器システム
111 通信部
112 テンプレート印刷指示部
113 撮像画像登録部
114 撮像画像送信部
115 ジョブ実行指示部
119 ジョブ情報記憶部
121 通信部
122 テンプレート登録要求部
123 表示制御部
124 入力部
301 通信部
302 機器情報送信部
303 印刷実行部
401 通信部
402 表示制御部
403 入力部
511 通信部
512 発注受付部
513 デジタル素材取得部
514 印刷データ生成部
515 ジョブ登録要求部
529 顧客情報記憶部
531 通信部
532 機器情報登録部
533 機器情報提供部
539 機器情報登録部
549 業者情報記憶部
551 通信部
552 機器情報取得部
553 撮像画像要求受付部
554 テンプレート印刷指示部
555 撮像画像処理部
556 ジョブ情報登録部
557 ジョブ実行判断部
558 スケジュール生成部
558a ジョブ情報配信部
558b 課金情報通知部
559 ジョブ情報記憶部
561 通信部
562 登録部
563 判定部
564 シミュレート生成部
565 撮像画像要求部
566 プレビュー制御部
567 設定部
568 デジタル素材提供部
568a 表示制御部
569 デジタル素材記憶部
571 課金処理部
579 課金情報記憶部
601、602 両矢印
701、701-1~701-3 デザインテンプレート
702 光源
703 視点
801 CPU
802 ROM
803 RAM
804 HD
805 HDDコントローラ
806 ディスプレイ
808 外部機器接続I/F
809 ネットワークI/F
810 バスライン
811 キーボード
812 ポインティングデバイス
813 DVD
814 DVD-RWドライブ
815 メディア
816 メディアI/F
901 CPU
902 MEM-P
902a ROM
902b RAM
903 NB
904 SB
906 ASIC
907 MEM-C
908 HDDコントローラ
909 HD
910 コントローラ
920 近距離通信回路
920a アンテナ
921 AGPバス
922 PCIバス
930 エンジン制御部
931 スキャナ部
932 プリンタ部
940 操作パネル
940a パネル表示部
940b ハードキー
950 ネットワークI/F
1000 テンプレート登録画面
1001 画像ファイル入力領域
1002 タイトル入力領域
1003 カテゴリ入力領域
1004 価格入力領域
1005 カラー入力領域
1006 検索用タグ入力領域
1007 用紙サイズ入力領域
1008 用紙種別入力領域
1009 後加工入力領域
1010 プレビュー方法指定領域
1011 選択ボタン
1012 登録ボタン
1100 発注ワークフロー画面
1101 新規作成ボタン
1102 テンプレート選択ボタン
1200 テンプレート一覧画面
1201a~1201c テンプレート表示領域
1202a~1202c チェックボックス
1203 決定ボタン
1204 キャンセルボタン
1211a~1211c、1212c 可変部分
1300 テンプレート編集画面
1301 テンプレート表示領域
1301a 可変部分
1302 タイトル入力領域
1303 決定ボタン
1304 キャンセルボタン
1400 出力設定画面
1401 サイズ選択領域
1402 宛先読込ボタン
1403 決定ボタン
1404 キャンセルボタン
1500、1500a 発注確認画面
1501、1501a、1501b テンプレート表示領域
1502、1503 編集ボタン
1504 実画像プレビュー要求ボタン
1505 試し印刷発注ボタン
1506 発注ボタン
1507 キャンセルボタン
N ネットワーク
【先行技術文献】
【特許文献】
【0296】