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特開2023-138287樹脂粒子、トナー、現像剤、トナー収容ユニット、画像形成装置及び画像形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138287
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】樹脂粒子、トナー、現像剤、トナー収容ユニット、画像形成装置及び画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/093 20060101AFI20230922BHJP
   G03G 9/097 20060101ALI20230922BHJP
   G03G 9/087 20060101ALI20230922BHJP
   G03G 9/09 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
G03G9/093
G03G9/097 365
G03G9/087 331
G03G9/09
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185762
(22)【出願日】2022-11-21
(31)【優先権主張番号】P 2022043091
(32)【優先日】2022-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022104675
(32)【優先日】2022-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】杉山 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】長友 庸泰
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 純一
(72)【発明者】
【氏名】不破 一興
(72)【発明者】
【氏名】溝口 由花
【テーマコード(参考)】
2H500
【Fターム(参考)】
2H500AA01
2H500AA03
2H500AA06
2H500AA08
2H500AA09
2H500BA11
2H500CA06
2H500CA29
2H500CA30
2H500CA36
2H500EA38A
2H500EA42C
2H500EA60A
2H500EA61C
2H500FA09
(57)【要約】
【課題】高い着色度を発現すると共に高い帯電安定性を有することができる樹脂粒子を提供する。
【解決手段】本発明に係る樹脂粒子は、結着樹脂とイソインドリン骨格を有する顔料を有する母体粒子を含む樹脂粒子であって、前記樹脂粒子の断面画像において、前記母体粒子の長径をLとするとき、半径(L/10)の円Cの中心が前記母体粒子の断面の輪郭に沿って移動したときの円Cの通過領域と前記母体粒子の断面が重なる重複領域を樹脂粒子表層とした場合に、前記樹脂粒子の断面画像において前記イソインドリン骨格を有する顔料の全ての断面の顔料断面積に対し前記樹脂粒子表層に前記イソインドリン骨格を有する顔料が30%未満存在し、前記母体粒子のゲル分率が、20質量%以上である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂とイソインドリン骨格を有する顔料を有する母体粒子を含む樹脂粒子であって、
前記樹脂粒子の断面画像において、前記母体粒子の長径をLとするとき、半径(L/10)の円Cの中心が前記母体粒子の断面の輪郭に沿って移動したときの円Cの通過領域と前記母体粒子の断面が重なる重複領域を樹脂粒子表層とした場合に、前記樹脂粒子の断面画像において前記イソインドリン骨格を有する顔料の全ての断面の顔料断面積に対し前記樹脂粒子表層に前記イソインドリン骨格を有する顔料が30%未満存在し、
前記母体粒子のゲル分率が、20質量%以上である樹脂粒子。
【請求項2】
ワックスを含み、
前記ワックスが、エステルワックスである請求項1に記載の樹脂粒子。
【請求項3】
凝集剤を含み、
前記凝集剤が、2価以上の金属塩を含む請求項1に記載の樹脂粒子。
【請求項4】
前記顔料断面積に対し前記樹脂粒子表層に前記イソインドリン骨格を有する顔料が25%未満存在し、
前記母体粒子のゲル分率が、25質量%以上である請求項1に記載の樹脂粒子。
【請求項5】
離型剤をさらに含有する請求項1に記載の樹脂粒子。
【請求項6】
外添剤をさらに含有する請求項1に記載の樹脂粒子。
【請求項7】
請求項1に記載の樹脂粒子からなるトナー。
【請求項8】
請求項7に記載のトナーと、キャリアとを含む現像剤。
【請求項9】
請求項7に記載のトナーを収容したトナー収容ユニット。
【請求項10】
静電潜像担持体と、
前記静電潜像担持体の上に静電潜像を形成する静電潜像形成部と、
前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像部と、
前記可視像を記録媒体に転写する転写部と、
前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着部と、を備え、
前記トナーが、請求項7に記載のトナーである画像形成装置。
【請求項11】
静電潜像担持体の上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、
前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、
前記記録媒体に転写された転写像を定着する定着工程と、を含み、
前記トナーが、請求項7に記載のトナーである画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂粒子、トナー、現像剤、トナー収容ユニット、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂粒子は、オフィス等、様々な場所において、複合機(MFP)及びプリンタ等の画像形成装置のトナーとして広く利用されている。トナーには環境への負荷低減を図るため、例えば、トナー自体の低温定着性の向上による消費電力の低減、及びトナーの製造工程で使用するエネルギーの削減等が検討されている。
【0003】
トナーの低温定着性を向上させる方法としては、樹脂のガラス転移温度や軟化点の低減や結晶性樹脂を添加する方法等が広く知られている。さらには、オフセット印刷に迫る細線性や色特性等の高画質への要求も高くなっている。フルカラー電子写真法によるカラー画像形成は、一般に3原色であるイエロー、マゼンタ、シアンの3色のカラートナー又はそれに黒色を加えた4色のカラートナーを積層させて全ての色の再現を行なう。
【0004】
フルカラー電子写真法に用いられるカラートナーとして、樹脂、着色剤及び可塑剤を含有するトナー用マスターバッチを結着樹脂と混合した混合物を水系媒体中に分散及び乳化して樹脂乳化液を生成し、得られた樹脂乳化液中の乳化粒子を凝集及び合一することで、顔料の凝集を抑制して顔料の分散性を高めた電子写真用トナーが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のトナーでは、乳化重合法や懸濁重合法等の湿式造粒法において、マスターバッチを有機溶媒中に溶解させると、顔料の分散性は低いため、トナーの製造過程で着色剤がトナー母体粒子の表面に偏在し易い。そのため、トナー母体粒子の表面で着色剤が凝集し易いため、色再現性が低下する、という問題があった。また、トナーに内包される樹脂の抵抗値のばらつきが大きくなるため、トナーの帯電安定性が低下する、という問題があった。
【0006】
本発明の一態様は、高い着色度を発現すると共に、高い帯電安定性を有することができる樹脂粒子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る樹脂粒子の一態様は、
結着樹脂とイソインドリン骨格を有する顔料を有する母体粒子を含む樹脂粒子であって、
前記樹脂粒子の断面画像において、前記母体粒子の長径をLとするとき、半径(L/10)の円Cの中心が前記母体粒子の断面の輪郭に沿って移動したときの円Cの通過領域と前記母体粒子の断面が重なる重複領域を樹脂粒子表層とした場合に、前記樹脂粒子の断面画像において前記イソインドリン骨格を有する顔料の全ての断面の顔料断面積に対し前記樹脂粒子表層に前記イソインドリン骨格を有する顔料が30%未満存在し、
前記母体粒子のゲル分率が、20質量%以上である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様は、高い着色度を発現すると共に、高い帯電安定性を有することができる樹脂粒子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る樹脂粒子の断面の一例を示す図である。
図2】一実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
図3】一実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
図4】一実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
図5図4の画像形成装置の部分拡大図である。
図6】一実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、実施形態は以下の記述によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、本明細書において数値範囲を示す「~」は、別段の断わりがない限り、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
【0011】
<樹脂粒子>
一実施形態に係る樹脂粒子について説明する。一実施形態に係る樹脂粒子は、結着樹脂と、イソインドリン骨格を有する顔料を有する母体粒子を含有する。図1に示すように、樹脂粒子の断面画像において、母体粒子の長径をLとするとき、半径(L/10)の円Cの中心が母体粒子の断面の輪郭に沿って移動したときの円Cの通過領域と母体粒子の断面が重なる重複領域を樹脂粒子表層とする。この場合に、一実施形態に係る樹脂粒子は、樹脂粒子の断面画像においてイソインドリン骨格を有する顔料の全ての断面の顔料断面積に対し樹脂粒子表層にイソインドリン骨格を有する顔料が30%未満存在し、母体粒子のゲル分率を20質量%以上としている。
【0012】
本願発明者は、鋭意研究を重ねた結果、顔料及び着色剤を含む樹脂粒子は、一般的に樹脂粒子中でこれらが偏在してしまうため、着色剤が本来有する色味調整の機能が十分に発揮されないことに加えて、顔料の偏りに起因する母体粒子の抵抗にばらつきが生じることを発見した。本願発明者は、結着樹脂とイソインドリン骨格を有する顔料を有する母体粒子を含有する樹脂粒子の断面画像のイソインドリン骨格を有する顔料の存在割合の算出方法と、母体粒子のゲル分率に着目した。そして、樹脂粒子の断面画像において、母体粒子の長径Lの1/10の半径を有する円Cの中心が母体粒子の断面の輪郭に沿って移動した時に生じる円Cの通過領域と、母体粒子の断面が重なる重複領域を樹脂粒子表層とする。この場合に、イソインドリン骨格を有する顔料の全ての断面の面積に対して樹脂粒子表層にイソインドリン骨格を有する顔料が30%未満存在し、樹脂粒子のゲル分率を20質量%以上とする。これにより、本願発明者は、上記のような構成を有する樹脂粒子が、イソインドリン骨格を有する顔料の偏在に起因する着色度の不足及び帯電安定性の低下を防止できることを見出した。
【0013】
樹脂粒子表層に存在するイソインドリン骨格を有する顔料の割合は、25%未満が好ましく、20%未満がより好ましく、15%未満がさらに好ましい。
【0014】
樹脂粒子のゲル分率は、24質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましく、26質量%以上であることがさらに好ましい。
【0015】
樹脂粒子の断面画像におけるイソインドリン骨格を有する顔料等の着色剤が母体粒子の表面(樹脂粒子表面)に付着している量の測定方法について説明する。まず、樹脂粒子の断面画像を得る方法について説明する。樹脂粒子をエポキシ樹脂に包埋後、ミクロトームで厚さ0.1μm~0.2μmの薄片を作成し、光学顕微鏡、蛍光顕微鏡、SEM、TEM等の顕微鏡により断面像を得る。この場合、母体粒子の断面は、ミクロトームやイオンミリングにより得ることができる。以下に条件の一例を示す。
・ミクロトーム:ダイヤモンドナイフ(刃角45°)
・光学顕微鏡:透過像で観察
・蛍光顕微鏡:蛍光像で観察
・TEM:加速電圧50~200kVで透過像を観察
・SEM:加速電圧0.8~2kVで観察
・イオンミリング:冷却しながら断面を作成
【0016】
母体粒子の断面画像を得た後、以下の手順により母体粒子の断面のイソインドリン骨格を有する顔料の量を測定する。母体粒子の断面画像は、10K倍で、上記TEM条件を採用してよい。
手順1.平均体積粒径Dv±1μmの樹脂粒子を10個抽出する。
手順2.画像解析ソフトImage-Pro Premierを用い、樹脂粒子の断面画像から輪郭を抽出する。
手順3.着色剤も手順2と同様に、コントラストから輪郭を抽出する。
手順4.母体粒子の長径をLとするときに、半径(L/10)の円Cの中心が樹脂粒子の断面の輪郭に沿って移動させる。
手順5.円Cが通過した通過領域と樹脂粒子の断面が重なる重複領域を樹脂粒子表層とする。
手順6.母体粒子の断面画像に存在する、イソインドリン骨格を有する顔料の全ての断面の面積を計算する。
手順7.10個の母体粒子について、上記の手順2~手順6の操作を繰り返して平均値を求める。
【0017】
(ゲル分率の測定方法)
母体粒子の架橋度は、通常、ゲル分率と相関があり、本実施形態においては、母体粒子のゲル分率の測定は、以下の方法で行うことが好ましい。
まず、乾燥した樹脂微粒子約0.3gを試料として秤取し、30gの有機溶剤中に投入して60分間攪拌する。次に、回転速度10000rpmで5分間遠心分離を行った後、上記有機溶剤への溶解物が抽出された上澄み液を除去する。次いで、上記有機溶剤への未溶解物を真空乾燥機で乾燥した後、その重量を測定し、下式によりゲル分率(質量%)を算出する。尚、上記有機溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
ゲル分率(質量%)=(有機溶剤に未溶解の単分散樹脂粒子群の重量/試料に供する単分散樹脂粒子群の重量)×100
【0018】
なお、必要な架橋度を得るためには、母体粒子のゲル分率は、上述の通り、20質量%以上必要であり、好ましくは24質量%以上必要であり、より好ましくは25質量%以上必要であり、さらに好ましくは26質量%以上必要である。ゲル分率が20質量%以上であると、架橋度は高く維持できるため、結着樹脂の粘弾性が小さくなることが抑えられ、イソインドリン骨格を有する顔料の分散性を維持できる。
【0019】
一実施形態に係る樹脂粒子は、上述の通り、結着樹脂と、イソインドリン骨格を有する顔料を含み、必要に応じてその他の成分を含有してもよい。
【0020】
[結着樹脂]
本実施形態で用いる結着樹脂は、有機溶媒に可溶で、かつ水に不溶又は殆ど溶解しない樹脂であればどれでもよい。結着樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、スチレン-アクリル酸共重合体、ポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリアクリル酸メチル(PMA)、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル(PAN)、パラフィンワックス等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、併用してもよい。これらの中でも、良好な定着性を得られる点から、ポリエステル樹脂が望ましい。
【0021】
(ポリエステル樹脂)
電子写真における静電潜像現像用トナーとして用いる場合には、ポリエステル骨格を有する樹脂を用いることにより良好な定着性が得られる。ポリエステル骨格を有する樹脂としては、ポリエステル樹脂や、ポリエステルと他の骨格を有する樹脂とのブロックポリマーがあるが、ポリエステル樹脂を用いたほうが得られる着色樹脂粒子の均一性が高く好ましい。
【0022】
ポリエステル樹脂としては、ラクトン類の開環重合物、ヒドロキシカルボン酸の縮重合物、ポリオールとポリカルボン酸との重縮合物等が挙げられ、設計の自由度の観点から、ポリオールとポリカルボン酸との重縮合物が好ましい。
【0023】
ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、通常1000~30000、好ましくは3000~15000、さらに好ましくは5000~12000である。重量平均分子量(Mw)が1000以上であると、耐熱保存性の低下することを抑制することができる。重量平均分子量(Mw)が30000以下であると、樹脂粒子の溶融時の粘弾性が高くなることを抑え、樹脂粒子の低温定着性が低下することを抑制することができる。
【0024】
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、35℃~80℃が好ましく、より好ましくは40℃~70℃であり、さらに好ましくは45℃~65℃である。ガラス転移温度(Tg)が35℃以上であると、得られる樹脂粒子は真夏等の高温環境下に置かれたときに変形する、又は樹脂粒子同士がくっついてしまい本来の樹脂粒子としての振る舞いができなくなることを低減できる。ガラス転移温度(Tg)が80℃以下であると、樹脂粒子を静電潜像現像用トナーとして用いる場合に定着性の悪化を抑制できる。
【0025】
(ポリオール)
ポリオール(1)としては、ジオール(1-1)と3価以上のポリオール(1-2)が挙げられ、ジオール(1-1)単独、又はジオール(1-1)と少量の3価以上のポリオール(1-2)の混合物が好ましい。
【0026】
ジオール(1-1)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ネオペンチルグリコール等);脂環式ジオール(1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物;3,3'-ジフルオロ-4,4'-ジヒドロキシビフェニル、等の4,4'-ジヒドロキシビフェニル類;ビス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)メタン、1-フェニル-1,1-ビス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジフルオロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:テトラフルオロビスフェノールA)、2,2-ビス(3-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン等のビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類;ビス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)エーテル等のビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル類;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物等が挙げられる。これらのうち、炭素数2~12のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物が好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、及びこれと炭素数2~12のアルキレングリコールとの併用が特に好ましい。
【0027】
3価以上のポリオール(1-2)としては、3~8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0028】
(ポリカルボン酸)
ポリカルボン酸(2)としては、ジカルボン酸(2-1)と3価以上のポリカルボン酸(2-2)が挙げられ、(2-1)単独、又は(2-1)と少量の(2-2)の混合物が好ましい。
【0029】
ジカルボン酸(2-1)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸等);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)、3-フルオロイソフタル酸、2-フルオロイソフタル酸、2-フルオロテレフタル酸、2,4,5,6-テトラフルオロイソフタル酸、2,3,5,6-テトラフルオロテレフタル酸、5-トリフルオロメチルイソフタル酸、2,2-ビス(4-カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジカルボン酸、3,3'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4′-ビフェニルジカルボン酸、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-3,3'-ビフェニルジカルボン酸、ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、及び変性された精製ロジン等が挙げられる。変性された精製ロジンとしては、アクリル酸、フマル酸、及びマレイン酸で変性されたものが好ましい。これらのうち、炭素数4~20のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数8~20の芳香族ジカルボン酸が好ましい。
【0030】
3価以上のポリカルボン酸(2-2)としては、炭素数9~20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸等)等が挙げられる。
【0031】
なお、ポリカルボン酸(2)としては、上述のものの酸無水物又は低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてポリオール(1)と反応させてもよい。
【0032】
ポリオールとポリカルボン酸の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1~1/2、好ましくは1.5/1~1/1.5、さらに好ましくは1.3/1~1/1.3である。
【0033】
[イソインドリン骨格を有する顔料]
イソインドリン骨格を有する顔料(イソインドリン系顔料)は、イエロー顔料の着色剤として用いられる。イソインドリン系顔料としては、鮮やかなイエロー色を有するC.I.Pig.Y-185等を用いることができる。イソインドリン系顔料は、その骨格からアゾ系顔料の中でも耐候性に優れると共に、高い着色力を有する。また、イソインドリン系顔料は、500nm~700nmの長波長側の可視域で高い透過性を有するため、二次色の発色性も良好である。
【0034】
着色剤の含有量は、樹脂粒子に対して、通常、1質量%~15質量%であり、好ましくは3~10質量%である。
【0035】
一実施形態に係る樹脂粒子は、上記の結託樹脂及びイソインドリン系顔料を混錬処理することでマスターバッチをとして用いることができる。
【0036】
混練には、二軸押出混練機、三本ロール、ラボブラストミル等の一般の混練機を使用できる。
【0037】
混練の際には、加熱することが好ましい。この際の加熱条件は、適宜設定できる。
【0038】
混練処理の際には、結託樹脂及びイソインドリン系顔料の他に内添剤を添加してもよい。
【0039】
マスターバッチを用いることで、イソインドリン系顔料の油相分散時における、ショックを和らげてイソインドリン系顔料の凝集を防ぎ、イソインドリン系顔料の分散性が向上するため、一実施形態に係る樹脂粒子は、良好な着色度、帯電安定性を有するイエロートナーとすることができる。
【0040】
[反応性前駆体]
一実施形態に係る樹脂粒子は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)又は反応性前駆体(プレポリマー)等を含むことができる。反応性前駆体としては、活性水素基と反応可能な基を持つポリエステル樹脂(ポリエステル樹脂(A)ともいう。)が挙げられる。
【0041】
活性水素基と反応可能な基としては、例えば、イソシアネート基、エポキシ基、カルボン酸、酸クロリド基等が挙げられる。これらの中でも、非晶質ポリエステル樹脂にウレタン結合又はウレア結合を導入可能な点で、イソシアネート基が好ましい。ウレア結合は極性基を有するため、顔料に対して吸着し易くなり、顔料の高度な分散を可能にする。
【0042】
反応性前駆体は、3価以上のアルコール及び3価以上のカルボン酸の少なくともいずれかによって付与される分岐構造を有していてもよい。
【0043】
イソシアネート基を含有するポリエステル樹脂としては、例えば、活性水素基を有するポリエステル樹脂とポリイソシアネートとの反応生成物等が挙げられる。
【0044】
活性水素基を有するポリエステル樹脂は、例えば、ジオールと、ジカルボン酸と、3価以上のアルコール及び3価以上のカルボン酸の少なくともいずれかと重縮合することにより得られる。
【0045】
3価以上のアルコール及び3価以上のカルボン酸は、イソシアネート基を含有するポリエステル樹脂に分岐構造を付与する。
【0046】
ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール等の脂肪族ジオール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のオキシアルキレン基を有するジオール;1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂環式ジオール;脂環式ジオールに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類;ビスフェノール類に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの等のビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステル樹脂(A)のガラス転移点を20℃以下に制御する観点から、例えば、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール等の炭素数3以上10以下の脂肪族ジオールを使用することが好ましく、樹脂中のアルコール成分の50mol%以上使用することがより好ましい。これらのジオールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0047】
ポリエステル樹脂(A)は非晶性樹脂であることが望ましく、また、樹脂鎖に立体障害を持たせることで定着時の溶融粘度が低下し、低温定着性がより発現しやすくなる。このため、脂肪族ジオールの主鎖は、下記一般式(1)で表される構造を有することが好ましい。
【0048】
【化1】
[式中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表し、nは3~9の奇数を表す。但し、n個の繰り返し単位において、R及びRはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。]
【0049】
ここで、脂肪族ジオールの主鎖とは、脂肪族ジオールが有する二つのヒドロキシル基間を最短数で結ばれた炭素鎖のことである。主鎖の炭素数は奇数である場合、偶奇性により結晶性が低下するので好ましい。また、少なくとも1つ以上の炭素数1~3のアルキル基を側鎖に有する場合、立体性により主鎖分子間の相互作用エネルギーが低下するのでより好ましい。
【0050】
ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。また、これらの無水物や低級(炭素数1~3)アルキルエステル化物、ハロゲン化物を用いてもよい。これらの中でも、ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)を20℃以下に制御する観点から、炭素数4~12の脂肪族ジカルボン酸が好ましく、樹脂中のカルボン酸成分の50質量%以上使用することがより好ましい。これらのジカルボン酸は、1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0051】
3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の3価以上の脂肪族アルコール;4(4(1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)エチル)α,α-ジメチルベンジル)フェノール、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等の3価以上のポリフェノール類;3価以上のポリフェノール類に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの等の3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキシド付加物等が挙げられる。
【0052】
3価以上のカルボン酸としては、例えば、3価以上の芳香族カルボン酸等が挙げられ、特にはトリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数9以上20以下の3価以上の芳香族カルボン酸が好ましい。また、これらの無水物や、低級(炭素数1~3)アルキルエステル化物、ハロゲン化物を用いてもよい。
【0053】
ポリイソシアネートとしては、例えば、ジイソシアネート、3価以上のイソシアネート等が挙げられる。
【0054】
ポリイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,3-及び/又は1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-及び/又は2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4'-及び/又は4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI[粗製ジアミノフェニルメタン〔ホルムアルデヒドと芳香族(アニリン)又はその混合物との縮合生成物;ジアミノジフェニルメタンと少量(たとえば5~20質量%)の3官能以上のポリアミンとの混合物〕のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)]、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4',4''-トリフェニルメタントリイソシアネート、m-及びp-イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6-ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2-イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2-イソシアナトエチル)カーボネート、2-イソシアナトエチル-2,6-ジイソシアナトヘキサノエート等の脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン-4,4'-ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2-イソシアナトエチル)-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボキシレート、2,5-及び2,6-ノルボルナンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;m-及びp-キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α',α'-テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等の芳香脂肪族ジイソシアネート;リジントリイソシアネート、3価以上のアルコールのジイソシアネート変性物等の3価以上のポリイソシアネート;これらのイソシアネートの変性物が挙げられ、これらの2種以上の混合物であっても良い。前記イソシアネートの変性物としては、例えば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物等が挙げられる。
【0055】
[結晶性ポリエステル樹脂]
一実施形態に係る樹脂粒子は、結晶性ポリエステル樹脂を含むことができる。結晶性ポリエステル樹脂は、多価アルコールと、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、多価カルボン酸エステル等の多価カルボン酸又はその誘導体から得られる。なお、本実施形態において、結晶性ポリエステル樹脂とは、上記のように、多価アルコールと、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、多価カルボン酸エステル等の多価カルボン酸又はその誘導体とを用いて得られるものを指し、ポリエステル樹脂を変性したもの、例えばプレポリマー、及びそのプレポリマーを架橋及び/又は伸長反応させて得られる樹脂は、前記結晶性ポリエステル樹脂には属さない。
【0056】
(多価アルコール)
多価アルコールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジオール、及び3価以上のアルコールが挙げられる。
【0057】
ジオールとしては、例えば、飽和脂肪族ジオール等が挙げられる。前記飽和脂肪族ジオールとしては、直鎖飽和脂肪族ジオール、分岐飽和脂肪族ジオールが挙げられるが、これらの中でも、直鎖飽和脂肪族ジオールが好ましく、炭素数が2~12の直鎖飽和脂肪族ジオールがより好ましい。飽和脂肪族ジオールが直鎖型であれば、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性の低下を抑え、融点の低下を抑えることができる。飽和脂肪族ジオールの炭素数が12以下であると、実用上の材料を容易に入手できる。
【0058】
飽和脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,14-エイコサンデカンジオール等が挙げられる。これらの中でも、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性が高く、シャープメルト性に優れる点で、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオールが好ましい。
【0059】
3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0060】
(多価カルボン酸)
多価カルボン酸としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2価のカルボン酸、及び3価以上のカルボン酸が挙げられる。
【0061】
2価のカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の芳香族ジカルボン酸;等が挙げられる。更に、これらの無水物やこれらの低級(炭素数1~3)アルキルエステルも挙げられる。
【0062】
3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,5-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級(炭素数1~3)アルキルエステル等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0063】
結晶性ポリエステル樹脂は、炭素数4~12の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸と、炭素数2~12の直鎖飽和脂肪族ジオールとから構成されることが好ましい。これにより、結晶性が高く、シャープメルト性に優れるため、優れた低温定着性を発揮できる。
【0064】
結晶性ポリエステル樹脂の結晶性及び軟化点を制御する方法として、ポリエステル合成時にアルコール成分にグリセリン等の3価以上の多価アルコールや、酸成分に無水トリメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸を追加して縮重合を行った非線状ポリエステル等を設計、使用する等の方法が挙げられる。
【0065】
結晶性ポリエステル樹脂の分子構造は、溶液や固体によるNMR測定の他、X線回折、GC/MS、LC/MS、IR測定等により確認することができるが、簡便には赤外線吸収スペクトルにおいて、965±10cm-1又は990±10cm-1にオレフィンのδCH(面外変角振動)に基づく吸収を有するものを例としてあげることができる。
【0066】
分子量については、上記の分子量分布がシャープで低分子量のものが低温定着性に優れ、分子量が低い成分が多いと耐熱保存性が悪化するという観点から、鋭意検討した結果、o-ジクロロベンゼンの可溶分のGPCによる分子量分布で、横軸をlog(M)、縦軸を質量%で表した分子量分布図のピーク位置が3.5~4.0の範囲にあり、ピークの半値幅が1.5以下であり、重量平均分子量(Mw)で3,000~30,000、数平均分子量(Mn)で1,000~10,000、Mw/Mnが1~10であることが好ましい。更には、重量平均分子量(Mw)で5,000~15,000、数平均分子量(Mn)で2,000~10,000、Mw/Mnが1~5であることが好ましい。
【0067】
結晶性ポリエステル樹脂の酸価は、紙と樹脂との親和性の観点から、目的とする低温定着性を達成するため、5mgKOH/g以上が好ましく、転相乳化法による微粒子の作製のため、7mgKOH/g以上であることがより好ましい。一方、結晶性ポリエステル樹脂の酸価は、ホットオフセット性を向上させるため、45mgKOH/g以下であることが好ましい。
【0068】
また、結晶性ポリエステル樹脂の水酸基価については、所定の低温定着性を達成し、かつ良好な帯電特性を達成するためには0~50mgKOH/gが好ましく、5mgKOH/g~50mgKOH/gがより好ましい。
【0069】
[その他の成分]
一実施形態に係る樹脂粒子は、凝集剤、離型剤(ワックス)、外添剤、クリーニング性向上剤等のその他の成分を含有してもよい。
【0070】
(凝集剤)
イソインドリン系顔料の分散性は、後述する一実施形態に係る樹脂粒子の製造方法の凝集工程で添加する凝集剤の種類とイソインドリン系顔料の導入方法で制御することができる。一実施形態に係る樹脂粒子中に内包されるイソインドリン系顔料の分散性は、結着樹脂中の粘度に依存し、樹脂粒子中のポリエステル樹脂に含まれるカルボキシル基に対するマグネシウム等の凝集塩に含まれる金属塩の存在比に比例しており、カルボキシル基に対する金属塩の割合が高いと、樹脂粒子の粘弾性が高くなり、イソインドリン系顔料の分散性は増加する。この理由として、カルボキシル基が多価金属イオンであるマグネシウムイオンとキレートして金属架橋を形成し、架橋密度が増加することが原因として考えられる。
【0071】
凝集剤は、十分な架橋密度を確保する観点から、1価以上の金属塩を含有することが好ましい。また、凝集剤に含まれる1価以上の金属塩は、2価の金属塩であることが好ましく、3価の金属塩であることがより好ましい。
【0072】
凝集剤は、一般的な凝集剤を用いることができる。凝集剤としては、例えば、ナトリウム、カリウム等の1価の金属の金属塩や、カルシウム、マグネシウム等の2価の金属の金属塩、鉄、アルミニウム等の3価の金属の金属塩等が挙げられる。凝集剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0073】
(ワックス)
ワックスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、融点が50℃~120℃の低融点の離型剤が好ましい。低融点の離型剤は、結着樹脂と分散されることにより、離型剤として効果的に定着ローラと樹脂粒子界面との間で働き、オイルレス(定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布しない)でもホットオフセット性が良好となる。
【0074】
ワックスとしては、例えば、ロウ類、ワックス類等が好適に挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、例えば、カルナウバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス;オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス;等の天然ワックスが挙げられる。また、これら天然ワックスのほか、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス;エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。更に、12-ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド;低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ-n-ステアリルメタクリレート、ポリ-n-ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体又は共重合体(例えば、n-ステアリルアクリレート-エチルメタクリレートの共重合体等);側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等を用いてもよい。これらの中でも、合成ワックスが好ましく、高い分散性や帯電安定性を確保できる点から、エステルワックスがより好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0075】
ワックスの融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃~120℃が好ましく、60℃~90℃がより好ましい。融点が、50℃以上であれば、ワックスが耐熱保存性に悪影響を与えるのを防止でき、120℃以下であれば、低温での定着時にコールドオフセットを起こすという問題を有効に防止できる。
【0076】
ワックスの溶融粘度としては、ワックスの融点より20℃高い温度での測定値として、5cps~1000cpsが好ましく、10cps~100cpsがより好ましい。溶融粘度が5cps以上であれば、離型性の低下を防止でき、溶融粘度が1000cps以下であれば、耐ホットオフセット性、低温定着性の効果が十分発揮できる。
【0077】
ワックスの樹脂粒子における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0質量%~40質量%が好ましく、3質量%~30質量%がより好ましい。前記含有量が、40質量%以下であれば、樹脂粒子の流動性悪化を防止することができる。
【0078】
(外添剤)
外添剤として、無機微粒子及び高分子系微粒子等を用いることができる。
【0079】
無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等を挙げることができる。
【0080】
無機微粒子の一次粒子径は、5nm~2μmであることが好ましく、特に5nm~500nmであることが好ましい。
【0081】
無機微粒子のBET法による比表面積は、20m/g~500m/gであることが好ましい。
【0082】
無機微粒子の使用割合は、樹脂粒子の0.01質量%~5質量%であることが好ましい。
【0083】
高分子系微粒子としては、例えばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコン、ベンゾグアナミン、ナイロン等の重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。このような流動化剤は表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。 例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコンオイル、変性シリコンオイル等が好ましい表面処理剤として挙げられる。
【0084】
(クリーニング性向上剤)
クリーニング性向上剤は、感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するのに用いられる。
【0085】
クリーニング性向上剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合等によって製造された、ポリマー微粒子等を挙げることかできる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01μm~1μmのものが好ましい。
【0086】
<樹脂粒子の製造方法>
一実施形態に係る樹脂粒子の製造方法について説明する。一実施形態に係る樹脂粒子の製造方法は、油相作製工程、水相作製工程、転相乳化工程、脱溶媒工程、凝集工程及び融着工程を含み、更に必要に応じて、シェル化工程、洗浄工程、乾燥工程、アニーリング工程及び外添工程等のその他の工程を含む。一実施形態に係る樹脂粒子の製造方法によれば、一実施形態に係る樹脂粒子のイソインドリン系顔料の存在位置を上記のように調整できる。
【0087】
[油相作製工程]
一実施形態に係る樹脂粒子の製造方法においては、まず、有機溶媒中に、結着樹脂、イソインドリン骨格系顔料を含む着色剤、架橋成分、ワックス等を溶解又は分散させた油相を作製する。
【0088】
油相の調整方法としては、有機溶媒中に攪拌をしながら、結着樹脂、イソインドリン骨格系顔料を含む着色剤、架橋成分、ワックス等を徐々に添加していき、溶解又は分散させればよい。分散に際しては、公知のものが使用でき、例えばビーズミルやディスクミル等の分散機を用いることができる。
【0089】
油相調製工程に用いられる各原料は、上記の一実施形態に係る樹脂粒子を構成する各成分を使用することができる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。例えば、油相には帯電制御剤等を添加してもよい。
【0090】
(有機溶媒)
有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、沸点が100℃未満の揮発性溶媒であることが、後の有機溶媒除去が容易になる点から好ましい。このような有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等を単独又は2種以上組合せて用いることができる。有機溶媒中に溶解又は分散させる樹脂がポリエステル骨格を有する樹脂である場合、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系の溶媒、又はメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系の溶媒を用いた方が溶解性が高く好ましい。これらの中では、溶媒除去性の高い、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトンが特に好ましい。
【0091】
[水相調製工程]
水相調製工程では、水相(水系媒体)を調製する。
【0092】
水系媒体としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、水、水と混和可能な溶剤、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0093】
水と混和可能な溶剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、アルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類、低級ケトン類又はエステル類等が挙げられる。
【0094】
アルコールとしては、例えば、メタノール、イソプロパノール、又はエチレングリコール等が挙げられる。
【0095】
低級ケトン類としては、例えば、アセトン、又はメチルエチルケトンが挙げられる。
【0096】
エステル類としては、例えば、酢酸エチルが挙げられる。
【0097】
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0098】
[転相乳化工程]
油相作製工程で得られた油相を微粒子化する。
【0099】
油相を水酸化ナトリウムやアンモニア水等のアルカリで中和した後、中和した油相にイオン交換水を添加していき、油中水型分散液から水中油型分散液に転相させる転相乳化によって着色微粒子分散液を得る。
【0100】
転相乳化は、攪拌翼を用いて行うことができる。
【0101】
攪拌翼としては、特に制限はなく、溶液の粘度に応じて適宜選択ができる。例として、パドルやプロペラ等の低粘度攪拌翼、アンカーやマックスブレンド等の中粘度攪拌翼、ヘリカルリボン等の高粘度攪拌翼があげられる。これらの中でも、分散体(油滴)の体積平均粒径を前記好ましい範囲に制御することができる点で、パドルやアンカーが好ましい。
【0102】
攪拌翼を用いた場合の、回転数、攪拌時間、及び攪拌温度等の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0103】
回転数としては、特に制限はなく、100rpm~1000rpmが好ましく、200rpm~600rpmがより好ましい。
【0104】
攪拌時間及び攪拌温度は、特に制限されず、目的に応じて適宜任意に選択してよい。
【0105】
また、必要に応じて分散剤を使用してもかまわない。分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、難水溶性の無機化合物分散剤、高分子系保護コロイド等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、界面活性剤が好ましい。
【0106】
界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤等を用いることができる。
【0107】
陰イオン界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、フルオロアルキル基を有するものが好ましい。
【0108】
[脱溶媒工程]
脱溶媒工程では、得られた着色微粒子分散体から有機溶媒を除去する。
【0109】
得られた着色微粒子分散体から有機溶媒を除去するためには、系全体を攪拌しながら徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。
【0110】
または、得られた着色微粒子分散体を攪拌しながら乾燥雰囲気中に噴霧することで、液滴中の有機溶媒を完全に除去することもできる。さらに、着色微粒子分散体を攪拌しながら減圧して、有機溶媒を蒸発除去してもよい。
【0111】
これらの手段は、単独で用いてもよいし、併用してもよい。
【0112】
着色微粒子分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレードライヤー、ベルトドライヤー、ロータリーキルン等の短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。
【0113】
以上の方法で、得られた着色微粒子分散体から有機溶媒を除去することで、着色微粒子分散液を得ることができる。
【0114】
[凝集工程]
得られた着色微粒子分散液を攪拌しながら任意の粒径になるまで凝集させて、凝集粒子を得る。
【0115】
凝集させるためには、凝集剤の添加、pH調整等、既存の方法を使用できる。凝集剤を添加する場合、そのまま添加してもよいが、凝集剤の水溶液にしたほうが局所的な高濃度化を避けることができるため好ましい。また、凝集剤は微粒子の粒径を見ながら、徐々に添加することが好ましい。
【0116】
凝集時の分散液の温度は、使用する樹脂のガラス転移温度Tg付近であることが好ましい。着色微粒子分散液の液温が低すぎると、凝集があまり進まないため、効率が悪い。着色微粒子分散液の液温が高すぎると、凝集速度が速くなり、粗大粒子が発生する等、粒径分布が悪化する。
【0117】
狙いの粒径に達したら、凝集を停止させる。凝集を停止させる方法としては、イオン価数の低い塩やキレート剤を添加する方法や、pHを調整する方法、分散液の温度を下げる方法、水系媒体を多量に添加して濃度を薄める方法等が使用できる。
【0118】
以上の方法により、着色凝集粒子の分散液を得ることができる。
【0119】
凝集工程においては、離型剤としてワックスを添加してもよいし、低温定着性のために結晶性樹脂を添加してもよい。この場合、ワックスを水系媒体に分散させた分散液や、着色微粒子分散液と混合した上で凝集させていくことで、均一にワックスや結晶性樹脂が分散した凝集粒子を得ることができる。
【0120】
[融着工程]
得られた前記凝集粒子を熱処理によって融着させて凹凸を減らし、球形化を行う。融着は、着色凝集粒子の着色分散液を攪拌しながら加熱すればよい。これにより、着色樹脂粒子分散液が得られる。液の温度は、使用している樹脂のガラス転移温度Tgを超えた温度付近であることが好ましい。
【0121】
[シェル化工程]
また、必要に応じてシェル化を行ってもよい(シェル化工程)。シェル化工程では、融着工程で得られた球形化粒子にシェル層を形成する。シェル層を形成する方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択してよい。シェル層を形成する方法としては、例えば、融着工程で目的とする粒径の球形化した粒子を製造した後、非晶性樹脂を添加し、凝集工程及び融着工程を繰り返すことで、シェル層を形成する方法等が挙げられる。
【0122】
[洗浄・乾燥工程]
上記の方法で得られた着色凝集粒子の分散液から着色樹脂粒子のみを取り出して洗浄し、乾燥する。
【0123】
(洗浄)
上記の方法で得られた着色凝集粒子の着色分散液には、着色凝集粒子の他に凝集剤等の副材料が含まれているため、着色分散液から着色凝集粒子のみを取り出すために洗浄を行う。
【0124】
着色凝集粒子の洗浄方法としては、遠心分離法、減圧濾過法、フィルタープレス法等が挙げられるが、特に限定されない。何れの方法によっても着色凝集粒子のケーキ体が得られるが、一度の操作で十分に洗浄できない場合は、得られたケーキを再度水系溶媒に分散させてスラリーにして、上記の何れかの方法で着色凝集粒子を取り出す工程を繰り返しても良い。また、減圧濾過法やフィルタープレス法によって洗浄を行うのであれば、水系溶媒をケーキに貫通させて着色樹脂粒子が抱き込んだ副材料を洗い流す方法を使用してもよい。
【0125】
洗浄に用いる水系溶媒は、水、又は水にメタノール、エタノール等のアルコールを混合した混合溶媒を用いるが、コストや排水処理等による環境負荷の点から、水を用いるのが好ましい。
【0126】
(乾燥)
洗浄された着色凝集粒子は水系媒体を多く抱き込んでいるため、乾燥して水系媒体を除去することで、着色凝集粒子のみを樹脂粒子として得ることができる。
【0127】
乾燥方法としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動槽乾燥機、回転式乾燥機、攪拌式乾燥機等の乾燥機を使用することができる。
【0128】
乾燥された樹脂粒子は、最終的に水分が1%未満になるまで乾燥を行うのが好ましい。また、乾燥後の着色樹脂粒子は軟凝集をしており、使用に際して不都合が生じる場合には、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、コーヒーミル、オースターブレンダー、フードプロセッサー等の装置を利用して解砕を行い、軟凝集をほぐしてもよい。
【0129】
[アニーリング工程]
結晶性樹脂を添加した場合には、乾燥後にアニーリング処理を行うことで、非結晶性樹脂と結晶性樹脂とが相分離し、定着性が向上する。具体的には、ガラス転移温度Tg付近の温度で10時間以上保管すればよい。
【0130】
[外添工程]
得られた着色樹脂粒子には、流動性、帯電性、クリーニング性等を持たせるために、例えば、外添剤、クリーニング性向上剤等のその他の成分を添加して混合してもよい。
【0131】
具体的な混合手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法等がある。
【0132】
装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢等があげられる。
【0133】
以上のように、油相作製工程、水相作製工程、転相乳化工程、脱溶媒工程、凝集工程及び融着工程を実施し、更に必要に応じて、シェル化工程、洗浄工程、乾燥工程、アニーリング工程及び外添工程等のその他の工程を実施することで、一実施形態に係る樹脂粒子が得られる。
【0134】
このように、一実施形態に係る樹脂粒子は、結着樹脂とイソインドリン系顔料を有する母体粒子を含む。樹脂粒子の断面画像において、母体粒子の長径をLとするとき、半径(L/10)の円Cの中心が母体粒子の断面の輪郭に沿って移動したときの円Cの通過領域と母体粒子の断面が重なる重複領域を樹脂粒子表層とする。この場合、樹脂粒子の断面画像において、イソインドリン骨格を有する顔料の全ての断面の顔料断面積に対し樹脂粒子表層にイソインドリン骨格を有する顔料が30%未満存在し、母体粒子のゲル分率を20質量%以上とする。イソインドリン骨格を有する顔料が母体粒子の表面に偏在することを抑制できるため、一実施形態に係る樹脂粒子は着色度の不足を抑制できる。また、母体粒子の抵抗値にばらつきが生じることを抑制できるため、一実施形態に係る樹脂粒子は、帯電安定性の低下を抑制することができる。よって、一実施形態に係る樹脂粒子は、高い着色度の発現することができると共に、高い帯電安定性を有することができる。
【0135】
一実施形態に係る樹脂粒子は、ワックスとしてエステルワックスを用いることができる。これにより、一実施形態に係る樹脂粒子は、結着樹脂との相溶性を向上させて樹脂粒子中でのワックスの分散性を高めることができる。また、ワックス中の親水性官能基を減らすことができるため、帯電の環境安定性を向上させることができる。
【0136】
一実施形態に係る樹脂粒子は、凝集剤を含み、凝集剤に2価以上の金属塩を含むことができる。これにより、一実施形態に係る樹脂粒子は、樹脂粒子の製造時に金属塩を用いて母体粒子を凝集させる際、イソインドリン系顔料の分散性をより高めることができるため、母体粒子の表面にイソインドリン系顔料が偏在することをより抑制することができる。このため、一実施形態に係る樹脂粒子は、着色度の不足をより確実に抑制できると共に母体粒子の抵抗値にばらつきが生じることをさらに抑制できる。よって、一実施形態に係る樹脂粒子は、高い着色度を確実に発現することができると共に、さらに高い帯電安定性を有することができる。
【0137】
一実施形態に係る樹脂粒子は、上記の円Cの通過領域と母体粒子の断面が重なる重複領域を樹脂粒子表層とする場合、樹脂粒子の断面画像において、イソインドリン骨格を有する顔料の全ての断面の顔料断面積に対し樹脂粒子表層にイソインドリン骨格を有する顔料を25%未満存在させ、母体粒子のゲル分率を25質量%以上とする。これにより、一実施形態に係る樹脂粒子は、母体粒子の表面にイソインドリン系顔料が偏在することをさらに抑制することができるため、着色度の不足をさらに抑制できると共に母体粒子の抵抗値のばらつきをさらに抑制できる。よって、一実施形態に係る樹脂粒子は、さらに高い着色度を確実に安定して発現することができると共に、高い帯電安定性を確実に有することができる。
【0138】
一実施形態に係る樹脂粒子は、上記のような特性を有することから、トナー、現像剤、トナー収容ユニット及び画像形成装置等の画像形成用の材料として有効に用いることができる。
【0139】
<トナー>
一実施形態に係るトナーは、一実施形態に係る樹脂粒子を含み、一実施形態に係る樹脂粒子からなってもよい。
【0140】
一実施形態に係る樹脂粒子をトナーに用いることで、高い着色度を発現すると共に、帯電安定性に優れ、高品質な画像を提供することができる。
【0141】
<現像剤>
一実施形態に係る現像剤は、一実施形態に係るトナーを含み、必要に応じてキャリア等の適宜選択されるその他の成分を含むことができる。これにより、発色性、転写性、帯電性等に優れ、高画質な画像を安定して形成することができる。
【0142】
現像剤は、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンタ等に使用する場合には、寿命向上の点から、二成分現像剤であることが好ましい。
【0143】
一実施形態に係るトナーを一成分現像剤に用いる場合、発色性、転写性、帯電安定性等に優れ、高画質な画像が得られる。
【0144】
一実施形態に係る現像剤を二成分現像剤に用いる場合には、キャリアと混合して現像剤として用いることができる。一実施形態に係るトナーを二成分現像剤として用いる場合、発色性、転写性、帯電安定性等に優れ、高画質な画像が得られる。
【0145】
二成分現像剤中のキャリアの含有量は、目的に応じて適宜選択することができるが、二成分現像剤100質量部に対して、90質量部~98質量部が好ましく、93質量部~97質量部がより好ましい。
【0146】
一実施形態に係る現像剤は、磁性一成分現像方法、非磁性一成分現像方法、二成分現像方法等の公知の各種電子写真法による画像形成に好適に用いることができる。
【0147】
[キャリア]
キャリアは、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、芯材を被覆する樹脂層(被覆層)とを有するものであることが好ましい。
【0148】
(芯材)
芯材の材料は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50emu/g~90emu/gのマンガン-ストロンチウム系材料、50emu/g~90emu/gのマンガン-マグネシウム系材料等が挙げられる。また、画像濃度を確保するためには、100emu/g以上の鉄粉、75emu/g~120emu/gのマグネタイト等の高磁化材料を用いることが好ましい。また、穂立ち状態となっている現像剤の感光体に対する衝撃を緩和でき、高画質化に有利であることから、30emu/g~80emu/gの銅-亜鉛系等の低磁化材料を用いることが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0149】
芯材の体積平均粒径は、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができるが、10μm~150μmが好ましく、40μm~100μmがより好ましい。体積平均粒径が10μm以上であれば、キャリア中に微粉が多くなり、一粒子当たりの磁化が低下してキャリアの飛散が生じることがあるという問題を有効に防止できる。一方、150μm以下であれば、比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現が悪くなることがあるという問題を有効に防止することができる。
【0150】
(樹脂層)
樹脂層の材料としては、特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリハロゲン化オレフィン、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンとアクリルモノマーの共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンとフルオロ基を有さないモノマーの共重合体等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0151】
アミノ系樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0152】
ポリビニル系樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等が挙げられる。
【0153】
ポリスチレン系樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン、スチレン-アクリル共重合体等が挙げられる。
【0154】
ポリハロゲン化オレフィンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ塩化ビニル、等が挙げられる。
【0155】
ポリエステル系樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、等が挙げられる。
【0156】
樹脂層は、必要に応じて、導電粉等を含有してもよい。導電粉としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛等が挙げられる。導電粉の平均粒子径は、1μm以下であることが好ましい。平均粒子径が1μm以下であると、電気抵抗の制御を行うことができる。
【0157】
樹脂層は、シリコーン樹脂等を溶媒に溶解させて塗布液を調製した後、塗布液を芯材の表面に公知の塗布方法を用いて塗布、乾燥した後、焼き付けを行うことにより形成することができる。
【0158】
塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、浸漬塗工法、スプレー法、ハケ塗り法、等を用いることができる。
【0159】
溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸ブチルセロソルブ、等が挙げられる。
【0160】
焼き付けは、外部加熱方式であってもよいし、内部加熱方式であってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロ波を用いる方法等が挙げられる。
【0161】
キャリア中の樹脂層の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01質量%~5.0質量%が好ましい。樹脂層の含有量が0.01質量%以上であると、芯材の表面に均一な樹脂層を形成することができ、5.0質量%以下であると、樹脂層の厚みが抑えられるため、キャリア同士の融着が抑えられ、キャリアの均一性を維持できる。
【0162】
<現像剤収容容器>
一実施形態に係る現像剤収容容器は、一実施形態に係る現像剤を収容している。現像剤収容容器としては、特に限定されず、公知のものの中から適宜選択することができるが、容器本体とキャップを有するもの等が挙げられる。
【0163】
また、容器本体の大きさ、形状、構造、材質等は、特に限定されないが、形状は、円筒状等であることが好ましく、内周面にスパイラル状の凹凸が形成され、回転させることにより、内容物である現像剤が排出口側に移行することが可能であり、スパイラル状の凹凸の一部又は全てが蛇腹機能を有することが特に好ましい。さらに、材質は、特に限定されないが、寸法精度がよいものであることが好ましく、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂等の樹脂材料が挙げられる。
【0164】
現像剤収容容器は、保存、搬送等が容易であり、取扱性に優れるため、後述する画像形成装置、プロセスカートリッジ等に着脱可能に取り付け、現像剤の補給に使用することができる。
【0165】
<トナー収容ユニット>
一実施形態に係るトナー収容ユニットは、一実施形態に係るトナーを収容することができる。一実施形態に係るトナー収容ユニットとは、トナーを収容する機能を有するユニットに、トナーを収容したものをいう。ここで、トナー収容ユニットの態様としては、例えば、トナー収容容器(トナー入り容器)、現像器、プロセスカートリッジが挙げられる。
【0166】
トナー収容容器とは、トナーを収容した容器をいう。
【0167】
現像器は、トナーを収容し現像する手段を有するものをいう。
【0168】
プロセスカートリッジとは、少なくとも静電潜像担持体(像担持体ともいう)と現像部とを一体とし、トナーを収容し、画像形成装置に対して着脱可能であるものをいう。プロセスカートリッジは、更に帯電部、露光部、クリーニング部等から選ばれる少なくとも一つを備えてもよい。
【0169】
(プロセスカートリッジ)
一実施形態に係るプロセスカートリッジは、各種画像形成装置に着脱可能に成型されており、静電潜像を担持する静電潜像担持体と、静電潜像担持体上に担持された静電潜像を上記の一実施形態に係る現像剤で現像してトナー像を形成する現像部とを有し、必要に応じて、その他の構成を有してもよい。
【0170】
静電潜像担持体は、後述の画像形成装置の静電潜像担持体と同様であるため、詳細は省略する。
【0171】
現像部は、一実施形態に係る現像剤を収容する現像剤収容容器と、現像剤収容容器内に収容された現像剤を担持すると共に搬送する現像剤担持体とを有する。なお、現像部は、担持する現像剤の厚さを規制するため、規制部材等をさらに有してもよい。
【0172】
一実施形態に係るトナー収容ユニットは、一実施形態に係るトナーを収容し、一実施形態に係るトナーは、高い着色度の発現を実現すると共に、帯電安定性に優れ、高品質な画像を提供できる特徴を有する。一実施形態に係るトナー収容ユニットを画像形成装置に装着し、一実施形態に係るトナーの特徴を生かして画像形成することで、発色性、転写性、帯電安定性等に優れ、高画質な画像を形成することができる。
【0173】
<画像形成装置>
一実施形態に係る画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成部と、静電潜像担持体に形成された静電潜像をトナーを用いて現像してトナー像を形成する現像部とを有し、更に必要に応じて、その他の構成を有することができる。
【0174】
一実施形態に係る画像形成装置は、より好ましくは、上記の、静電潜像担持体、静電潜像形成部及び現像部の他に、トナー像を記録媒体に転写する転写部と、記録媒体の表面に転写された転写像を定着させる定着部とを備える。
【0175】
現像部において、一実施形態に係るトナーが使用される。好ましくは、一実施形態に係るトナーを含有し、更に必要に応じて、キャリア等のその他の成分が含有された現像剤を用いることにより、トナー像を形成してもよい。
【0176】
(静電潜像担持体)
静電潜像担持体(「電子写真感光体」、「感光体」と称することがある)の材質、形状、構造、大きさ等としては、特に制限されず、公知のものの中から適宜選択することができる。静電潜像担持体の材質としては、例えば、アモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体(OPC)等が挙げられる。これらの中でも、長寿命性の点で、アモルファスシリコンが好ましく、より高精細な画像が得られる点で、有機感光体(OPC)が好ましい。
【0177】
アモルファスシリコン感光体としては、例えば、支持体を50℃~400℃に加熱し、支持体上に真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD(化学気相成長、Chemical Vapor Deposition)法、光CVD法、プラズマCVD法等の成膜法によりa-Siからなる光導電層を有する感光体を用いることができる。これらの中でも、プラズマCVD法、即ち、原料ガスを直流又は高周波又はマイクロ波グロー放電によって分解し、支持体上にa-Si堆積膜を形成する方法が好適である。
【0178】
静電潜像担持体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、円筒状が好ましい。円筒状の静電潜像担持体の外径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3mm~100mmが好ましく、5mm~50mmがより好ましく、10mm~30mmが特に好ましい。
【0179】
静電潜像担持体の線速としては、300mm/s以上であることが好ましい。
【0180】
(静電潜像形成部)
静電潜像形成部としては、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する手段であれば、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。静電潜像形成部は、例えば、静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電部材(帯電器)と、静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光部材(露光器)とを備える。
【0181】
帯電器としては、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えた接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器等が挙げられる。
【0182】
帯電器の形状としては、ローラの他にも、磁気ブラシ、ファーブラシ等どのような形態をとってもよく、画像形成装置の仕様や形態にあわせて選択することができる。
【0183】
帯電器としては、静電潜像担持体に接触乃至非接触状態で配置され、直流及び交流電圧を重畳印加することによって静電潜像担持体表面を帯電するものが好ましい。また、帯電器が、静電潜像担持体にギャップテープを介して非接触に近接配置された帯電ローラであり、帯電ローラに直流並びに交流電圧を重畳印加することによって静電潜像担持体表面を帯電するものが好ましい。
【0184】
帯電器としては、接触式の帯電器に限定されるものではないが、帯電器から発生するオゾンが低減された画像形成装置が得られる点から、接触式の帯電部材を用いることが好ましい。
【0185】
露光器としては、帯電器により帯電された静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系等の各種露光器が挙げられる。
【0186】
露光器に用いられる光源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)等の発光物全般等が挙げられる。
【0187】
また、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルター等の各種フィルターを用いることもできる。
【0188】
なお、露光器は、静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
【0189】
(現像部)
現像部は、静電潜像担持体に形成された静電潜像を現像して可視像を形成できれば、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。現像部は、例えば、トナーを収容し、静電潜像にトナーを接触又は非接触的に付与可能な現像器を備えるものを好適に用いることができ、トナー入り容器を備えた現像器等が好ましい。
【0190】
現像器は、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよい。現像器として、例えば、トナーを摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、内部に固定された磁界発生部とを有し、表面にトナーを含む現像剤を担持して回転可能な現像剤担持体(例えば、マグネットローラ)を有する現像装置等が好適に挙げられる。
【0191】
(転写部)
転写部としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写部と、複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写部とを有する態様が好ましい。なお、中間転写体としては、特に制限されず、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
【0192】
転写部(第一次転写手段及び第二次転写部)は、静電潜像担持体(感光体)上に形成された可視像を記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。転写部は1つであってもよいし、2以上であってもよい。
【0193】
転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器等が挙げられる。
【0194】
なお、記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に制限はなく、公知の記録媒体(記録紙)の中から目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベース等も用いることができる。
【0195】
(定着部)
定着部としては、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧部が好適である。加熱加圧部としては、加熱ローラと加圧ローラとの組合せ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せ等が挙げられる。
【0196】
定着部は、発熱体を具備する加熱体と、加熱体と接触するフィルムと、フィルムを介して加熱体と圧接する加圧部材とを有し、フィルムと加圧部材の間に未定着画像を形成させた記録媒体を通過させて加熱定着できる加熱加圧部であることが好ましい。
【0197】
加熱加圧部における加熱は、通常、80℃~200℃が好ましい。
【0198】
加熱加圧部における面圧としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10N/cm~80N/cmであることが好ましい。
【0199】
なお、本実施形態においては、目的に応じて、定着部と共に又はこれに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
【0200】
(その他)
一次形態に係る画像形成装置は、その他、例えば、除電部、リサイクル部、制御部等を備えることができる。
【0201】
((除電部))
除電部としては、特に制限されず、静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
【0202】
((クリーニング部))
クリーニング部は、静電潜像担持体上に残留するトナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができる。クリーニング部として、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が挙げられる。
【0203】
一次形態に係る画像形成装置は、クリーニング部を有することにより、クリーニング性を向上させることができる。すなわち、トナー間付着力を制御することにより、トナーの流動性が維持され、クリーニング性を向上させることができる。また、劣化後のトナーの特性を制御することにより、高寿命化や高温多湿等の過酷な条件下においても、優れたクリーニング品質を維持することができる。さらに、感光体上におけるトナーから外添剤を十分に遊離させることができるため、クリーニングブレードニップ部における外添剤の堆積層(ダム層)を形成することにより、高いクリーニング性を達成することができる。
【0204】
((リサイクル部))
リサイクル部としては、特に制限されず、公知の搬送手段等が挙げられる。
【0205】
((制御部))
制御部は、上記の各部の動きを制御することができる。制御部としては、上記の各部の動きを制御できれば、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の制御機器が挙げられる。
【0206】
一実施形態に係る画像形成装置は、一実施形態に係るトナーを用いて画像形成を行うことができるため、発色性、転写性、帯電安定性等に優れ、高画質な画像を提供することができる。
【0207】
<画像形成方法>
一実施形態に係る画像形成方法は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、静電潜像をトナーを用いて現像してトナー像を形成する現像工程とを含み、更に必要に応じて、その他の工程を含むことができる。画像形成方法は、画像形成装置により好適に行うことができ、静電潜像形成工程は、静電潜像形成部により好適に行うことができ、現像工程は、現像部により好適に行うことができ、その他の工程は、その他の部により好適に行うことができる。
【0208】
また、一実施形態に係る画像形成方法は、より好ましくは、上記の、静電潜像形成工程及び現像工程の他に、トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、記録媒体の表面に転写された転写像を定着する定着工程とを含む。
【0209】
現像工程において、一実施形態に係るトナーが使用される。好ましくは、一実施形態に係るトナーを含有し、更に必要に応じて、キャリア等のその他の成分が含有された現像剤を用いることにより、トナー像を形成してもよい。
【0210】
静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程であり、静電潜像担持体表面を帯電させる帯電工程と、帯電された静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光工程とを含む。帯電は、例えば、帯電器を用いて静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。露光は、例えば、露光器を用いて静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。静電潜像の形成は、例えば、静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、静電潜像形成部により行うことができる。
【0211】
現像工程は、静電潜像を複数色のトナーにより順次現像して可視像を形成する工程である。可視像の形成は、例えば、静電潜像をトナーを用いて現像することにより行うことができ、現像器により行うことができる。
【0212】
現像器内では、例えば、トナーとキャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦によりトナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。マグネットローラは、静電潜像担持体(感光体)近傍に配置されているため、マグネットローラの表面に形成された磁気ブラシを構成するトナーの一部は、電気的な吸引力によって静電潜像担持体(感光体)の表面に移動する。その結果、静電潜像がトナーにより現像されて静電潜像担持体(感光体)の表面にトナーによる可視像が形成される。
【0213】
転写工程は、可視像を記録媒体に転写する工程である。転写工程は、中間転写体を用い、中間転写体上に可視像を一次転写した後、可視像を記録媒体上に二次転写する態様が好ましい。
【0214】
転写工程は、二色以上のトナー、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。転写工程は、記録媒体上に二次転写される画像が複数色のトナーからなるカラー画像である場合、中間転写体を用いて、中間転写体上に各色のトナーを順次重ね合わせて中間転写体上に画像を形成し、中間転写体により、中間転写体上の画像を記録媒体上に一括で二次転写してよい。
【0215】
転写は、例えば、可視像を転写帯電器を用いて静電潜像担持体(感光体)を帯電することにより行うことができ、転写部により行うことができる。
【0216】
定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いて定着させる工程であり、各色の現像剤に対し記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色の現像剤に対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
【0217】
一次形態に係る画像形成方法は、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程等を含むことができる。
【0218】
除電工程は、静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電部により好適に行うことができる。
【0219】
クリーニング工程は、静電潜像担持体上に残留するトナーを除去する工程であり、クリーニング部により好適に行うことができる。
【0220】
リサイクル工程は、クリーニング工程により除去したトナーを現像部にリサイクルさせる工程であり、リサイクル部により好適に行うことができる。
【0221】
一実施形態に係る画像形成方法は、一実施形態に係るトナーを用いて画像形成を行うことができるため、発色性、転写性、帯電安定性等に優れ、高画質な画像を提供することができる。
【0222】
[画像形成装置の一態様]
次に、一実施形態に係る画像形成装置の一の態様について、図2を参照しながら説明する。図2は、一実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。図2に示すように、画像形成装置1Aは、静電潜像担持体である感光体ドラム10と、帯電部である帯電ローラ20と、露光部である露光装置30と、現像部である現像装置40と、中間転写体(中間転写ベルト)50と、クリーニング部であるクリーニング装置60と、転写部である転写ローラ70と、除電部である除電ランプ80と、中間転写体クリーニング装置90とを備える。
【0223】
中間転写体50は、内側に配置されている3個のローラ51で張架されている無端ベルトであり、3個のローラ51によって、矢印方向に移動可能に設計されている。3個のローラ51の一部は、中間転写体50へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加可能な転写バイアスローラとしても機能する。中間転写体50の近傍には、中間転写体クリーニング装置90が配置されている。さらに、中間転写体50の近傍に、転写ローラ70が中間転写体50に対向して配置され、記録媒体としての転写紙Pに現像像(トナー画像)を転写(二次転写)するための転写バイアス(二次転写バイアス)を印加することができる。中間転写体50の周囲には、中間転写体50上のトナー画像に電荷を付与するためのコロナ帯電器52が、中間転写体50の回転方向に対して、感光体ドラム10と中間転写体50との接触部と、中間転写体50と転写紙Pとの接触部との間に配置されている。
【0224】
現像装置40は、現像剤担持体である現像ベルト41と、現像ベルト41の周囲に併設した現像ユニット42から構成されている。
【0225】
現像ベルト41は、複数のベルトローラで張架されている無端ベルトであり、図中、矢印方向に移動することができる。さらに、現像ベルト41の一部が感光体ドラム10と接触している。
【0226】
現像ユニット42は、ブラック(Bk)現像ユニット42K、イエロー(Y)現像ユニット42Y、マゼンタ(M)現像ユニット42M、及びシアン(C)現像ユニット42Cから構成されている。
【0227】
ブラック現像ユニット42Kは、現像剤収容部421Kと現像剤供給ローラ422Kと現像ローラ(現像剤担持体)423Kとを備えている。イエロー現像ユニット42Yは、現像剤収容部421Yと現像剤供給ローラ422Yと現像ローラ423Yとを備えている。マゼンタ現像ユニット42Mは、現像剤収容部421Mと現像剤供給ローラ422Mと現像ローラ423Mとを備えている。シアン現像ユニット42Cは、現像剤収容部421Cと現像剤供給ローラ422Cと現像ローラ423Cとを備えている。
【0228】
次に、画像形成装置1Aを用いて画像を形成する方法について説明する。まず、帯電ローラ20を用いて、感光体ドラム10の表面を一様に帯電させた後、露光装置30を用いて、感光体ドラム10に露光光Lを露光し、静電潜像を形成する。次に、感光体ドラム10上に形成された静電潜像を、現像装置40から供給されたトナーで現像してトナー像を形成する。さらに、感光体ドラム10上に形成されたトナー像が、ローラ51から印加された転写バイアスにより、中間転写体50上に転写(一次転写)された後、転写ローラ70から印加された転写バイアスにより、不図示の給紙部によって給紙された転写紙P上に転写(二次転写)される。一方、トナー像が中間転写体50に転写された感光体ドラム10は、表面に残留したトナーがクリーニング装置60により除去された後、除電ランプ80により除電される。画像転写後の中間転写体50上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置90によって除去される。
【0229】
転写工程終了後、転写紙Pは定着ユニットに搬送されて、この定着ユニットで、上記転写されたトナー像は転写紙Pに定着される。
【0230】
図3は、一実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。図3に示すように、画像形成装置1Bは、図2に示す画像形成装置1Aにおいて、現像ベルト41を設けずに、感光体ドラム10の周囲に、現像ユニット42(ブラック現像ユニット42K、イエロー現像ユニット42Y、マゼンタ現像ユニット42M及びシアン現像ユニット42C)が直接対向して配置されている以外は、画像形成装置1Aと同様の構成を有する。
【0231】
図4は、一実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。図4に示すように、画像形成装置1Cは、タンデム型カラー画像形成装置であり、複写装置本体110と、給紙テーブル120と、スキャナ130と、原稿自動搬送装置(ADF)140と、二次転写装置150と、定着部である定着装置160と、シート反転装置170を備えている。
【0232】
複写装置本体110の中央部には、無端ベルト状の中間転写体50が設けられている。中間転写体50は、3個のローラ53A、53B及び53Cに張架されている無端ベルトであり、図4中、矢印方向に移動することができる。ローラ53Bの近傍には、トナー像が記録紙に転写された中間転写体50上に残留したトナーを除去するための中間転写体クリーニング装置90が配置されている。ローラ53A及び53Bにより張架された中間転写体50に対向すると共に、搬送方向に沿って、対向して並置されたタンデム型現像器である現像ユニット42(イエロー(Y)現像ユニット42Y、シアン(C)現像ユニット42C、マゼンタ(M)現像ユニット42M及びブラック(Bk)現像ユニット42K)が配置されている。
【0233】
また、現像ユニット42の近傍には、露光装置30が配置されている。さらに、中間転写体50の現像ユニット42が配置された側とは反対側には、二次転写装置150が配置されている。二次転写装置150は、二次転写ベルト151を備える。なお、二次転写ベルト151は、一対のローラ152に張架されている無端ベルトであり、二次転写ベルト151上を搬送される記録紙と中間転写体50は、ローラ53Cとローラ152との間で接触することができる。
【0234】
また、二次転写ベルト151の近傍には、定着装置160が配置されている。定着装置160は、一対のローラに張架されている無端ベルトである定着ベルト161と、定着ベルト161に押圧されて配置された加圧ローラ162とを備えている。
【0235】
また、二次転写ベルト151及び定着装置160の近傍に、記録紙の両面に画像を形成する場合に、記録紙を反転させるためのシート反転装置170が配置されている。
【0236】
次に、画像形成装置1Cを用いて、フルカラー画像を形成する方法について説明する。ます、原稿自動搬送装置(ADF)140の原稿台141上にカラー原稿をセットするか、原稿自動搬送装置140を開いてスキャナ130のコンタクトガラス131上にカラー原稿をセットし、原稿自動搬送装置140を閉じる。
【0237】
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置140にカラー原稿をセットした時は、カラー原稿が搬送されてコンタクトガラス131上へと移動された後で、スキャナ130が駆動し、光源を備える第1走行体132及び第2走行体133が走行する。一方、コンタクトガラス131上に原稿をセットした時は直ちに、スキャナ130が駆動して、光源を備える第1走行体132及び第2走行体133が走行する。このとき、第1走行体132から照射された光の原稿面からの反射光を第2走行体133のミラーで反射した後、結像レンズ135を通して読取りセンサ136で受光することにより、カラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報が得られる。
【0238】
各色の画像情報は、各色の現像ユニット(イエロー現像ユニット42Y、シアン現像ユニット42C、マゼンタ現像ユニット42M及びブラック現像ユニット42K)にそれぞれ伝達され、各色のトナー像が形成される。
【0239】
図5は、図4の画像形成装置の部分拡大図である。図5に示すように、各現像ユニット(イエロー現像ユニット42Y、シアン現像ユニット42C、マゼンタ現像ユニット42M及びブラック現像ユニット42K)は、それぞれ、感光体ドラム10(ブラック用静感光体ドラム10K、イエロー用感光体ドラム10Y、マゼンタ用感光体ドラム10M、及びシアン用感光体ドラム10C)と、感光体ドラム10を一様に帯電させる帯電部である帯電ローラ20と、各色の画像情報に基づいて、感光体ドラム10に露光光Lを露光し、感光体ドラム10上に各色の静電潜像を形成する露光装置30と、静電潜像を各色の現像剤で現像して各色のトナー像を形成する現像部である現像装置40と、トナー像を中間転写体50上に転写させるための転写帯電器62と、クリーニング装置60と、除電ランプ80とを備える。
【0240】
各色の現像ユニット(イエロー現像ユニット42Y、シアン現像ユニット42C、マゼンタ現像ユニット42M及びブラック現像ユニット42K)で形成された各色のトナー像は、ローラ53A、53B及び53Cに張架されて移動する中間転写体50上に順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体50上に各色のトナー像が重ね合わされて、合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
【0241】
一方、給紙テーブル120においては、給紙ローラ121の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク122に多段に備える給紙カセット123の1つから記録紙を繰り出す。記録紙は、分離ローラ124で1枚ずつ分離されて給紙路125に送出され、搬送ローラ126で搬送されて複写装置本体110内の給紙路111に導かれ、レジストローラ112に突き当てて止められる。又は、手差しローラ113を回転して手差しトレイ114上の記録紙を繰り出し、手差しローラ113で1枚ずつ分離して手差し給紙路115に導き、レジストローラ112に突き当てて止める。
【0242】
なお、レジストローラ112は、一般には接地されて使用されるが、記録紙の紙粉を除去するためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。
【0243】
次に、中間転写体50上に形成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ112を回転させ、中間転写体50と二次転写ベルト151との間に記録紙を送出させ、合成カラー画像(カラー転写像)を記録紙上に転写(二次転写)する。なお、合成カラー画像(カラー転写像)を転写した中間転写体50上に残留したトナーは、中間転写体クリーニング装置90により除去される。
【0244】
合成カラー画像(カラー転写像)が転写された記録紙は、二次転写ベルト151により搬送された後、定着装置160により複合トナー像が記録紙上に定着される。
【0245】
その後、記録紙は、切換爪116により搬送経路が切り換えられ、排出ローラ117により排紙トレイ118上に排出される。又は、記録紙は、切換爪116により搬送経路が切り換えられ、シート反転装置170により反転され、再度、二次転写ベルト151にと導かれ、裏面にも同様にして画像が形成された後、排出ローラ117により排紙トレイ118上に排出される。
【0246】
[プロセスカートリッジの一態様]
プロセスカートリッジの一の態様について、図6を参照しながら説明する。図6は、一実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す図である。図6に示すように、画像形成装置プロセスカートリッジ200は、感光体ドラム10、帯電部であるコロナ帯電器22、現像装置40、クリーニング装置60及び転写ローラ70を有する。なお、図中、Pは転写紙を示し、Lは露光光を示す。
【実施例0247】
以下、実施例及び比較例を示して実施形態を更に具体的に説明するが、実施形態はこれらの実施例及び比較例により限定されるものではない。
【0248】
<ポリエステル樹脂の作製>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、ジオール成分としてビスフェノールAのエチレンオキサイド2mol付加物/ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3mol付加物(モル比40/60)、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸/アジピン酸(モル比85/15)、全モノマー量に対して3.5mol%のトリメチロールプロパンを、水酸基とカルボン酸のモル比(OH/COOH)が1.2となるように投入した。更に、縮合触媒としてオルトチタン酸テトラブチルを全モノマー量に対して1000ppmを入れ、窒素気流下にて2時間かけて230℃まで昇温し、生成する水を留去しながら5時間反応させた。その後、5mmHg~15mmHgの減圧下にて4時間反応させ、180℃まで冷却させた後、全モノマー量に対して1.0mol%の無水トリメリット酸と、全モノマー量に対して200ppmのオルトチタン酸テトラブチルを入れ、常圧にて180℃で1時間反応させた後、更に5mmHg~20mmHgの減圧下にて3時間反応させ、[ポリエステル樹脂1]を得た。
【0249】
<着色剤マスターバッチ1の作製>
[ポリエステル樹脂1]とPigment Yellow185(PY185)を1対1の割合で、へンシェルミキサー(FM20B、三井三池化工機株式会社製)を用いて予備混合した後、二軸混練機(PCM30、株式会社池貝製)を用いて130℃の温度で溶融、混練した。得られた混練物はローラにて2.7mmの厚さに圧延した後にベルトクーラーにて室温まで冷却し、ハンマーミルにて200μm~300μmに粗粉砕し、[着色剤マスターバッチ1]を得た。
【0250】
<着色剤マスターバッチ2の作製>
[ポリエステル樹脂1]とPigment Yellow 139(PY139)を1対1の割合で、へンシェルミキサー(FM20B、三井三池化工機株式会社製)を用いて予備混合した後、二軸混練機(PCM30、株式会社池貝製)を用いて130℃の温度で溶融、混練した。得られた混練物はローラにて2.7mmの厚さに圧延した後にベルトクーラーにて室温まで冷却し、ハンマーミルにて200μm~300μmに粗粉砕し、[着色剤マスターバッチ2]を得た。
【0251】
<WAX分散液1の作製>
イオン交換水720質量部に、エステルワックス180質量部(WE-11、植物由来モノマーの合成ワックス、融点67℃、日油社製)、界面活性剤としてアニオン系界面活性剤17質量部(ネオゲンSC、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、第一工業製薬製)を添加した。これを90℃に加熱しながらホモジナイザーで分散処理し、[WAX分散液1]を得た。
【0252】
<WAX分散液2の作製>
撹拌棒、及び温度計をセットした容器にカルナバワックス42質量部(RN-5、植物系ワックス、融点82℃、セラリカ野田社製)、及び酢酸エチル420質量部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒間、直径0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填し、3パスの条件で、分散を行い[WAX分散液2]を得た。
【0253】
<WAX分散液3の作製>
エーテルワックスとしてオクタデシルエーテル(融点64℃)30質量部を酢酸エチル250質量部に加熱溶解させた後、液体窒素で急激に冷却析出させて、[WAX分散液3]を得た。
【0254】
<WAX分散液4の作製>
フィッシャートロプシュワックス(「FT-0070」、融点:72℃、日本精蝋(株)製)50g、カチオン性界面活性剤(「サニゾール(登録商標)B50」、花王社製)5g及びイオン交換水200gを95℃に加熱して、ホモジナイザーを用いて、パラフィンワックスを分散させた後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、離型剤微粒子を含有する[WAX分散液4]を得た。
【0255】
<WAX分散液5の作製>
撹拌棒、及び温度計をセットした容器にパラフィンワックス50質量部(HNP-9、炭化水素系ワックス、融点75℃、SP値8.8、日本精鑞株式会社製)、及び酢酸エチル450質量部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒間、直径0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、分散を行い、[WAX分散液5]を得た。
【0256】
<結晶性ポリエステル樹脂分散液の作製>
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱伝対を装備した5Lの四つ口フラスコに、1,6-ヘキサンジオールとセバシン酸とを、OH基とCOOH基との比率(OH/COOH)が1.1となるように仕込んだ。仕込んだ原料の質量に対して500ppmのチタンテトライソプロポキシドとともに水を流出させながら反応させ、最終的に235℃に昇温して1時間反応させた。その後、10mmHg以下の減圧下で6時間反応させた。その後、185℃に設定し、無水トリメリット酸をCOOH基とのモル比が0.053となるように添加し、攪拌しながら2時間反応させ、[結晶性ポリエステル樹脂]を得た。
【0257】
四つ口フラスコに、[結晶性ポリエステル樹脂](55質量部)、メチルエチルケトン(40質量部)、及び2-プロピルアルコール(5質量部)を加えた。その後、[結晶性ポリエステル樹脂]の融点温度で加熱しながら撹拌し、上記結晶性ポリエステル樹脂を溶解させた。その後、28質量%アンモニア水溶液を、中和率400%になるように添加した。中和率は、結晶性ポリエステル樹脂の酸価から計算した。さらに、イオン交換水(130質量部)を徐々に加えて、転相乳化を行った後、脱溶媒を行った。その後、イオン交換水を加えて固形分濃度(結晶性ポリエステル樹脂の濃度)を25質量%に調整し、トナー用結着樹脂分散物である[結晶性ポリエステル樹脂の分散液1]を得た。
【0258】
(ケチミン化合物の合成)
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170質量部とメチルエチルケトン75質量部を仕込み、45℃で5時間半反応させて、[ケチミン化合物1]を得た。
【0259】
<樹脂粒子の作製>
[実施例1]
(油相作製、転相乳化)
四つ口フラスコに、[ポリエステル樹脂1]100質量部、[プレポリマー1]10質量部、[着色剤マスターバッチ1]10質量部に、酢酸エチル120質量部を加えて撹拌し、溶解及び分散させた。その後、攪拌しながら28質量%水酸化ナトリウム水溶液5質量部を添加して中和率200%になるようにして油相を作製した。イオン交換水340質量部を徐々に加えて転相乳化を行った。その後脱溶媒を行い、スラリー1を得た。
【0260】
(凝集・融着工程)
スラリー1を100質量部、[結晶性ポリエステル樹脂分散液1]5.0質量部、[WAX分散液1]5.0質量部、イオン交換水300質量部を容器に入れて1分間攪拌した。次に、5%硫酸アルミニウム溶液を固形分に対して20質量部を滴下して更に5分攪拌した後、60℃に昇温した。その後、粒径が5.0μmになったところで塩化ナトリウムを40質量部添加して凝集を行った後、攪拌しながら70℃に加熱して、所望の円形度である0.96になったところで冷却し、[樹脂粒子分散液1]を得た。
【0261】
(アニーリング工程・洗浄・乾燥工程)
[樹脂粒子分散液1]を、45℃で10時間保管した後に減圧濾過し、以下のように洗浄と乾燥を行った。
(1):濾過ケーキにイオン交換水100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後、濾過した。
(2):(1)の濾過ケーキにイオン交換水900質量部を加え、超音波振動を付与してTKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。リスラリー液の電気伝導度が10μC/cm以下となるようにこの操作を繰り返した後、濾過して、[濾過ケーキ1]を得た。
[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて45℃で72時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、[着色樹脂粒子1]を得た。
【0262】
(外添)
[着色樹脂粒子1]100質量部に対して無機微粒子(TS530、キャボジル社製)を2.5質量部添加し、ヘンシェルミキサーで40m/sで10分間混合処理し、[樹脂粒子1]を得た。
【0263】
[実施例2]
実施例1において、凝集・融着工程で使用する凝集塩溶液を5%硫酸アルミニウム溶液から5%塩化マグネシウム溶液に変更した。それ以外は実施例1と同様にして行い、実施例2の[樹脂粒子2]を得た。
【0264】
[実施例3]
実施例1において、凝集・融着工程で使用するWAX分散液をWAX分散液1からWAX分散液2に変更した。それ以外は実施例1と同様にして行い、実施例3の[樹脂粒子3]を得た。
【0265】
[実施例4]
実施例3において、凝集・融着工程で使用する凝集塩溶液を5%硫酸アルミニウム溶液から5%塩化マグネシウム溶液に変更した。それ以外は実施例3と同様にして行い、実施例4の[樹脂粒子4]を得た。
【0266】
[実施例5]
実施例1において、凝集・融着工程で使用するWAX分散液をWAX分散液1からWAX分散液3に変更した。それ以外は全て実施例1と同様にして行い、実施例5の[樹脂粒子5]を得た。
【0267】
[実施例6]
実施例5において、凝集・融着工程で使用する凝集塩溶液を5%硫酸アルミニウム溶液から5%塩化マグネシウム溶液に変更した。それ以外は実施例5と同様にして行い、実施例6の[樹脂粒子6]を得た。
【0268】
[実施例7]
実施例1において、凝集・融着工程で使用するWAX分散液をWAX分散液1からWAX分散液4に変更した。それ以外は全て実施例1と同様にして行い、実施例7の[樹脂粒子7]を得た。
【0269】
[比較例1]
実施例1において、凝集・融着工程で使用するWAX分散液をWAX分散液1からWAX分散液5に変更した。それ以外は全て実施例1と同様にして行い、比較例1の[樹脂粒子5]を得た。
【0270】
[比較例2]
実施例1において、凝集・融着工程において、使用するWAX分散液をWAX分散液1からWAX分散液5に変更した。さらに、凝集・融着工程において、使用する凝集塩溶液を5%硫酸アルミニウム溶液から5%塩化マグネシウム溶液に変更した。それ以外は全て実施例1と同様にして行い、比較例2の[樹脂粒子6]を得た。
【0271】
[比較例3]
実施例1において、着色剤マスターバッチ1を着色剤マスターバッチ2に変更したこと以外は、実施例1と同様にして行い、比較例3の[樹脂粒子7]を得た。
【0272】
<評価>
上記作製した実施例1~7及び比較例1~3の樹脂粒子の、イソインドリン骨格を有する顔料の母体粒子の表面(樹脂粒子表面)における付着量、母体粒子のゲル分率、樹脂粒子の着色度及び帯電安定性を以下に記載する方法で測定し、評価した。評価結果を下記表1に示す。
【0273】
[イソインドリン骨格を有する顔料の母体粒子の表面(樹脂粒子表面)における付着量]
樹脂粒子の、樹脂粒子の断面画像におけるイソインドリン骨格を有する顔料の母体粒子の表面(樹脂粒子表面)における付着量は、以下のように測定した。
樹脂粒子の断面画像を得た。樹脂粒子をエポキシ樹脂に包埋後、ミクロトームで厚さ0.1μm~0.2μmの薄片を作成し、光学顕微鏡、蛍光顕微鏡、SEM、TEM等の顕微鏡により断面像を得た。以下に条件を示す。
・ミクロトーム:ダイヤモンドナイフ(刃角45°)
・光学顕微鏡:透過像で観察
・蛍光顕微鏡:蛍光像で観察
・TEM:加速電圧50~200kVで透過像を観察
・SEM:加速電圧0.8~2kVで観察
・イオンミリング:冷却しながら断面を作成
【0274】
母体粒子の断面画像を得た後、以下の手順により母体粒子の断面のイソインドリン骨格を有する顔料の量を測定した。
手順1.平均体積粒径Dv±1μmの母体粒子を10個抽出する。
手順2.画像解析ソフトImage-Pro Premierを用い、樹脂粒子の断面画像から輪郭を抽出する。
手順3.着色剤も手順2と同様に、コントラストから輪郭を抽出する。
手順4.母体粒子の長径をLとするときに、半径(L/10)の円Cの中心が樹脂粒子の断面の輪郭に沿って移動させる。
手順5.円Cが通過した通過領域と樹脂粒子の断面が重なる重複領域を樹脂粒子表層とする。
手順6.母体粒子の断面画像に存在する、イソインドリン骨格を有する顔料の全ての断面の面積を計算する。
手順7.10個の母体粒子について、上記の手順2~手順6の操作を繰り返して平均値を求める。
【0275】
[ゲル分率の測定]
まず、乾燥した樹脂微粒子約0.3gを試料として秤取し、30gの有機溶剤(テトラヒドロフラン)中に投入して60分間攪拌した。次に、回転速度10000rpmで5分間遠心分離を行った後、上記有機溶剤への溶解物が抽出された上澄み液を除去した。次いで、上記有機溶剤への未溶解物を真空乾燥機で乾燥した後、その重量を測定し、下式によりゲル分率(質量%)を算出した。なお、母体粒子のゲル分率は、母体粒子の架橋度と相関があり、架橋度が高いほど、結着樹脂の粘弾性が小さくなることが抑えられ、イソインドリン骨格を有する顔料の分散性を維持できることを意味する。そのため、母体粒子のゲル分率からイソインドリン骨格を有する顔料の分散性を評価することができる。
ゲル分率(質量%)=(有機溶剤に未溶解の単分散樹脂粒子群の重量/試料に供する単分散樹脂粒子群の重量)×100
【0276】
[着色度]
樹脂粒子1~7の着色度を以下のように測定し、評価(判定)した。
(測定方法)
各二成分現像剤を用いてアルミ基板上にカスケード現像にて樹脂粒子付着量0.3mg/cmとなるように現像した後、アルミ基板から特菱アート両面紙へ静電転写し、ベルト定着機(線速282mm/sec、ニップ時間40.1msec,ニップ圧37N/cm)にて、定着温度180℃で定着した画像を作成した。前記画像について、Model938、X-Rite社製)にてID測定し、下記評価基準に基づいて着色度を評価した。該当色のIDが、1.55以上である場合を超良好(A)とし、1.50以上1.55未満である場合を良好(B)とし、1.45以上1.50未満である場合を普通(C)とし、1.45未満である場合を不良(D)とした。
-評価基準-
A:該当色のIDが、1.55以上である
B:該当色のIDが、1.50以上1.55未満である
C:該当色のIDが、1.45以上1.50未満である
D:該当色のIDが、1.45未満である
【0277】
[帯電安定性]
市販のデジタルフルカラープリンター(imagioNeo C455)の改造機に現像剤をセットし、単色モードで50%画像面積の画像チャートについて30万枚のランニング評価を行った。そして、このランニングを終えたキャリアの帯電量変化量により帯電安定性を評価基準に基づいて評価した。
なお、帯電量変化量は、次の通りとした。即ち、気温23℃、相対湿度50%の環境下(M/M環境)で30分間以上、開封系で調湿し、初期のキャリア6.000gと樹脂粒子0.452gをステンレス製容器へ加えた後、密封し、振とう機(YS-LD、ヤヨイ社製)を用いて目盛150で5分間運転し、約1,100回の振とうにより摩擦帯電させたサンプルを準備した。サンプルをブローオフ法(東芝ケミカル社製:TB-200)で測定した帯電量をQ1とし、ランニング後の現像剤中の樹脂粒子をブローオフ装置により除去して得たキャリアについて、同様の方法で測定した帯電量をQ2とした。帯電量変化量は、帯電量Q1から帯電量Q2を減した値の絶対値(|Q1-Q2|)とした。
(評価基準)
A:帯電量変化量が、10μc/g未満である
B:帯電量変化量が、10μc/g以上15μc/g未満である
C:帯電量変化量が、15μc/g以上20μc/g未満である
D:帯電量変化量が、20μc/g以上である
【0278】
[総合評価]
総合評価は、下記評価基準により評価した。着色度及び帯電安定性が全てAであるものをA、着色度及び帯電安定性のうち1つの評価項目がA又はBであり、残りがBであるものをB、着色度及び帯電安定性のうち少なくとも1つの評価項目がCであるものをC、着色度及び帯電安定性のうち少なくとも1つの評価項目がDが1つ以上のものをDとして判定した。
(評価基準)
A:非常に優れている
B:優れている
C:従来より若干優れている
D:実用に耐えない
【0279】
評価に用いた樹脂粒子1~7と、その評価結果を表1に示す。
【0280】
【表1】
【0281】
表1より、実施例1~7の樹脂粒子では、着色度及び帯電安定性が何れも使用上の条件を満たし、良好であることが確認された。これに対して、比較例1~3の樹脂粒子では、着色度又は帯電安定性が少なくとも使用上の条件を満たしておらず、不良であることが確認された。
【0282】
よって、実施例1~7の樹脂粒子は、比較例1~3の樹脂粒子と異なり、顔料の配置が8%~27%であり、ゲル分が22%~26%とすることで、着色度及び帯電安定性に優れ、高品質なトナーとして提供できるといえる。
【0283】
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更等を行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0284】
なお、本発明の実施形態の態様は、例えば、以下の通りである。
<1> 結着樹脂とイソインドリン骨格を有する顔料を有する母体粒子を含む樹脂粒子であって、
前記樹脂粒子の断面画像において、前記母体粒子の長径をLとするとき、半径(L/10)の円Cの中心が前記母体粒子の断面の輪郭に沿って移動したときの円Cの通過領域と前記母体粒子の断面が重なる重複領域を樹脂粒子表層とした場合に、前記樹脂粒子の断面画像において前記イソインドリン骨格を有する顔料の全ての断面の顔料断面積に対し前記樹脂粒子表層に前記イソインドリン骨格を有する顔料が30%未満存在し、
前記母体粒子のゲル分率が、20質量%以上である樹脂粒子。
<2> ワックスを含み、
前記ワックスが、エステルワックスである<1>に記載の樹脂粒子。
<3> 凝集剤を含み、
前記凝集剤が、2価以上の金属塩を含む<1>又は<2>に記載の樹脂粒子。
<4> 前記顔料断面積に対し前記樹脂粒子表層に前記イソインドリン骨格を有する顔料が25%未満存在し、
前記母体粒子のゲル分率が、25質量%以上である<1>~<3>の何れか一つに記載の樹脂粒子。
<5> 離型剤をさらに含有する<1>~<4>の何れか一つに記載の樹脂粒子。
<6> 外添剤をさらに含有する<1>~<5>の何れか一つに記載の樹脂粒子。
<7> <1>~<6>の何れか一つに記載の樹脂粒子からなるトナー。
<8> <7>に記載のトナーと、キャリアとを含む現像剤。
<9> <7>に記載のトナーを収容したトナー収容ユニット。
<10> 静電潜像担持体と、
前記静電潜像担持体の上に静電潜像を形成する静電潜像形成部と、
前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像部と、
前記可視像を記録媒体に転写する転写部と、
前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着部と、を備え、
前記トナーが、<7>に記載のトナーである画像形成装置。
<11> 静電潜像担持体の上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、
前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、
前記記録媒体に転写された転写像を定着する定着工程と、を含み、
前記トナーが、<7>に記載のトナーである画像形成方法。
【符号の説明】
【0285】
1A、1B、1C 画像形成装置
10 静電潜像担持体(感光体ドラム)
20 帯電ローラ(帯電部)
30 露光装置(露光部)
40 現像装置(現像部)
50 中間転写体(中間転写ベルト)
60 クリーニング装置(クリーニング部)
70 転写ローラ(転写部)
80 除電ランプ(除電部)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0286】
【特許文献1】特開2008-70466号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6