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特開2023-138289情報処理装置、画像形成装置および情報処理装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138289
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】情報処理装置、画像形成装置および情報処理装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/22 20060101AFI20230922BHJP
   G06F 11/07 20060101ALI20230922BHJP
   G06F 11/34 20060101ALI20230922BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20230922BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20230922BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20230922BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
G06F11/22 675
G06F11/22 621
G06F11/22 605H
G06F11/07 160
G06F11/34 123
G06F11/07 140Q
H04N1/00 885
H04N1/00 002
H04N1/00 E
B41J29/38 104
B41J29/38 350
B41J29/42 F
G03G21/00 386
G03G21/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186585
(22)【出願日】2022-11-22
(31)【優先権主張番号】P 2022043085
(32)【優先日】2022-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】尾形 洋樹
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
5B042
5B048
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP03
2C061AP04
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AS02
2C061CQ04
2C061CQ24
2C061CQ34
2C061HK23
2C061HN15
2H270MB02
2H270MH19
2H270PA56
2H270QB07
2H270RB03
2H270RC03
2H270RC04
2H270RC05
2H270ZD05
5B042JJ29
5B042MA08
5B042MA14
5B042MC25
5B042MC32
5B048AA15
5B048CC11
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA31
5C062AA37
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB25
5C062AB41
5C062AB43
5C062AB44
5C062AB51
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC11
5C062AC38
5C062AC55
5C062AC58
5C062AE01
5C062AE15
5C062AF01
5C062AF09
(57)【要約】
【課題】装置に搭載されるデバイスの寿命を予測する予測部の予測精度の低下を抑制することで、無駄なコストの発生を抑制する。
【解決手段】装置全体の動作を制御する本体部と、表示部を含む操作部とを有し、通常モードと省エネルギーモードとに切り替え可能な情報処理装置は、本体部および操作部の少なくともいずれかに搭載され、少なくとも通常モードと省エネルギーモードとの相互の切り替え時に情報処理装置の動作状態の変化を示す変化情報が書き込まれ、書き込み回数に制限があるデバイスと、デバイスへの変化情報の書き込み回数をカウントするカウント部と、カウント部がカウントしたカウント値に基づいて、デバイスの寿命を予測する予測部と、カウント値の増加率が所定の増加率を超えた場合、予測部の予測に使用するカウント値の妥当性を診断する自己診断部と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置全体の動作を制御する本体部と、表示部を含む操作部とを有し、通常モードと、通常モードより消費電力が小さい省エネルギーモードとに切り替え可能な情報処理装置であって、
前記本体部および前記操作部の少なくともいずれかに搭載され、少なくとも前記通常モードと前記省エネルギーモードとの相互の切り替え時に前記情報処理装置の動作状態の変化を示す変化情報が書き込まれ、書き込み回数に制限があるデバイスと、
前記デバイスへの前記変化情報の書き込み回数をカウントするカウント部と、
前記カウント部がカウントしたカウント値に基づいて、前記デバイスの寿命を予測する予測部と、
前記カウント値の増加率が所定の増加率を超えた場合、前記予測部の予測に使用する前記カウント値の妥当性を診断する自己診断部と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記自己診断部は、前記通常モードと前記省エネルギーモードとの相互の切り替えの頻度が高いことが前記増加率の増加の原因であると診断した場合、前記切り替えの頻度の低減を促すメッセージを前記表示部に表示させること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記自己診断部は、前記カウント部がカウントしたカウント値の増加率が前記所定の増加率を超えた場合、前記カウント値の増加率が前記所定の増加率以下になるように前記カウント値を修正すること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記カウント部がカウントした前記書き込み回数が所定の回数を超えたとき、前記デバイスの交換を促すメッセージを前記表示部に表示させる判定部を有すること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部の動作を制御する本体部と、表示部を含む操作部とを有し、通常モードと、通常モードより消費電力が小さい省エネルギーモードとに切り替え可能な画像形成装置であって、
前記本体部および前記操作部の少なくともいずれかに搭載され、少なくとも前記通常モードと前記省エネルギーモードとの相互の切り替え時に前記画像形成装置の動作状態の変化を示す変化情報が書き込まれ、書き込み回数に制限があるデバイスと、
前記デバイスへの前記変化情報の書き込み回数をカウントするカウント部と、
前記カウント部がカウントしたカウント値に基づいて、前記デバイスの寿命を予測する予測部と、
前記カウント値の増加率が所定の増加率を超えた場合、前記予測部の予測に使用する前記カウント値の妥当性を診断する自己診断部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
装置全体の動作を制御する本体部と、表示部を含む操作部とを有し、通常モードと、通常モードより消費電力が小さい省エネルギーモードとに切り替え可能な情報処理装置の制御方法であって、
前記本体部および前記操作部の少なくともいずれかに搭載され、少なくとも前記通常モードと前記省エネルギーモードとの相互の切り替え時に前記情報処理装置の動作状態の変化を示す変化情報が書き込まれ、書き込み回数に制限があるデバイスへの前記変化情報の書き込み回数をカウントし、
カウントしたカウント値に基づいて、前記デバイスの寿命を予測し、
カウントしたカウント値の増加率が閾値を超えた場合、予測に使用する前記カウント値の妥当性を診断すること
を特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項7】
前記診断により、前記通常モードと前記省エネルギーモードとの相互の切り替えの頻度が高いことが前記増加率の増加の原因であると判定した場合、前記切り替えの頻度の低減を促すメッセージを前記表示部に表示すること
を特徴とする請求項6に記載の情報処理装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、画像形成装置および情報処理装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電源の起動時に、制御基板に搭載されたデバイスの構成が変更されたか否かを検出し、変更を検出した場合に制御基板に搭載された各デバイスの自己診断を実施する画像処理装置が知られている。この種の画像処理装置では、デバイスの構成に変更がない場合、自己診断が省略されるため、起動時間が短縮される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、内蔵するデバイスへの書き込み回数を要因毎にカウントし、カウント値の合計が閾値を超えた場合、デバイスの交換を促すメッセージを表示する情報処理装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
デバイスの交換を促すメッセージが表示された場合、ユーザは、サービス拠点等に修理を依頼する。修理の依頼を受けたサービス拠点は、サービスマンを修理に向かわせる。例えば、何らかの原因でカウント値がデバイスへの実際の書き込み回数より多い場合、デバイスは寿命に達していない可能性がある。しかしながら、デバイスの交換を促すメッセージが表示されたことに基づいて、寿命に達していないデバイスまたはデバイスが搭載された基板等が交換された場合、無駄なコストが発生してしまう。
【0005】
上記の課題に鑑み、本発明は、装置に搭載されるデバイスの寿命を予測する予測部の予測精度の低下を抑制することで、無駄なコストの発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一形態の情報処理装置は、装置全体の動作を制御する本体部と、表示部を含む操作部とを有し、通常モードと、通常モードより消費電力が小さい省エネルギーモードとに切り替え可能な情報処理装置であって、前記本体部および前記操作部の少なくともいずれかに搭載され、少なくとも前記通常モードと前記省エネルギーモードとの相互の切り替え時に前記情報処理装置の動作状態の変化を示す変化情報が書き込まれ、書き込み回数に制限があるデバイスと、前記デバイスへの前記変化情報の書き込み回数をカウントするカウント部と、前記カウント部がカウントしたカウント値に基づいて、前記デバイスの寿命を予測する予測部と、前記カウント値の増加率が所定の増加率を超えた場合、前記予測部の予測に使用する前記カウント値の妥当性を診断する自己診断部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
装置に搭載されるデバイスの寿命を予測する予測部の予測精度の低下を抑制することで、無駄なコストの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例を示す全体構成図である。
図2図1の画像形成装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3図2の画像形成装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4図1の画像形成装置の動作モードの遷移の一例を示す状態遷移図である。
図5図3の記憶部に記憶される各種回数の例を示す説明図である。
図6図3の判定部によるTPMデバイスの寿命予測処理の一例を示すフロー図である。
図7図6の続きを示すフロー図である。
図8図3の判定部によるNFCデバイスの寿命予測処理の一例を示すフロー図である。
図9図8の続きを示すフロー図である。
図10】省エネ移行回数および待機移行回数の異常の有無を判定する判定処理の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて実施形態が説明される。以下では、本発明が画像形成装置に適用される例が説明される。しかしながら、本発明は、制御基板にTPM(Trusted Platform Module)デバイスとNFC(Near Field Communication)デバイスとが搭載される情報処理装置等の電子機器に適用可能である。TPMデバイスとNFCデバイスとは、互いに異なる制御基板に搭載されてもよく、1つの制御基板に搭載されてもよい。本発明は、例えば、故障時にサービスマンによる修理メンテナンスが必要となる情報処理装置に適用された場合に顕著な効果を有する。
【0010】
<画像形成装置の全体構成例>
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例を示す全体構成図である。画像形成装置100は、コピー機能、FAX機能、プリント機能、スキャナ機能等を含む複合機(MFP:Multifunction Peripheral /Printer /Product)である。画像形成装置100は、情報処理装置の一例である。画像形成装置100は、入力画像を保存する機能または入力画像を配信する機能等を有してもよい。例えば、入力画像は、スキャナ機能により読み取られた原稿、またはFAX機能により入力された画像等である。
【0011】
画像形成装置100は、PC(Personal Computer)等の外部装置と通信可能であり、外部装置から受信した指示に応じて動作することもできる。なお、実施形態において、画像形成装置100で処理される画像は、画像を含む画像データだけでなく、画像が含まれないテキストデータを含んでもよい。
【0012】
画像形成装置100は、いわゆる電子写真方式の画像形成装置である。画像形成装置100は、帯電された感光体表面を選択的に露光することにより静電潜像を形成し、形成した静電潜像にトナーを付着させ、付着させたトナーを用紙等の記録媒体に転写し、定着させる。
【0013】
画像形成装置100は、図1に示すように、操作部77と、起動スイッチ20と、制御基板51と、読取部40と、エンジン制御部79と、プリンタ部6と、給紙カセット7A、7Bと、搬送部8と、電源装置1とを有する。なお、制御基板51と、エンジン制御部79と、プリンタ部6と、給紙カセット7A、7Bと、搬送部8とは、画像形成装置100の内部に設けられるが、図1においては内部を透視した状態が示される。
【0014】
操作部77は、ユーザの操作に応じた各種の入力を受け付けるとともに、図示しない表示部に各種の情報を表示する。例えば、操作部77に表示される情報は、入力を受け付けた操作を示す情報、画像形成装置100の動作状況を示す情報、または、画像形成装置100の設定状態を示す情報などである。
【0015】
例えば、操作部77は、タッチパネル機能を有する液晶表示装置(LCD:Liquid Cristal Display)を含んでもよい。あるいは、操作部77は、タッチパネル機能を有する有機EL(Electro-Luminescence)表示装置を含んでもよい。さらに、操作部77は、タッチパネル機能を有する表示装置に加えて、ハードウェアキー等の操作部およびランプ等の表示部の少なくともいずれかを有してもよい。
【0016】
起動スイッチ20は、画像形成装置100の電源を起動するスイッチである。画像形成装置100は、電源のオフ状態中に起動スイッチ20が押下されると起動され、起動中に起動スイッチ20が押下されるとオフ状態になる。なお、画像形成装置100の電源のオン/オフは、起動スイッチ20の操作に限定されず、外部装置からの起動指示または終了指示に基づいて行われてもよい。
【0017】
制御基板51には、画像形成装置100の全体の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)等のコントローラを含む複数の電子部品が搭載される。制御基板51は、画像形成装置100の全体の動作を制御する本体部の一例である。例えば、制御基板51に搭載される電子部品は、描画処理、通信処理および操作部77からの入力等を制御する。例えば、制御基板51に搭載される電子部品は、操作部77で受け付けた操作に基づいて、画像形成装置100を制御し、コピー動作等を実施する。
【0018】
また、制御基板51に搭載される電子部品は、PC等の外部機器から受け付けた指示に基づいて、画像形成装置100を制御してもよい。さらに、制御基板51に搭載される電子部品は、起動スイッチ20の押下が検知された場合、または、画像形成装置100の異常が検知された場合等に、予め決められた動作を画像形成装置100に実行させてもよい。
【0019】
なお、制御基板51には、CPU等のプロセッサの代わりに、SoC(System on Chip)またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の半導体チップが搭載されてもよい。また、SoCまたはFPGAは、図2に示すCPU53、NB55およびSB57等の複数の構成要素を含んでもよい。この場合、SoCとASICとの間は、PCI-express(登録商標)バスで接続されてもよい。あるいは、制御基板51には、CPUとともにSoCまたはFPGAが搭載されてもよい。SoCまたはFPGAが制御基板51に搭載されることで、制御基板51のサイズを小さくすることができる。
【0020】
読取部40は、例えば、ADF(Auto Document Feeder)41とスキャナ部42とを有する。ADF41は、ADF41上に置かれた原稿を順次スキャナ部42に搬送し、原稿を光学的に読み取ることで、画像データを生成する。スキャナ部42は、透明な原稿台の上に載置された原稿を光学的に読み取ることで、画像データを生成する。
【0021】
エンジン制御部79は、読取部40により生成された画像データに基づき、プリンタ部6および搬送部8を制御する制御信号を生成する。例えば、エンジン制御部79は、画像データに基づき制御信号を生成するための回路が搭載された回路基板の形態を有してもよい。
【0022】
プリンタ部6は、画像を形成する画像形成部として機能する。プリンタ部6は、感光体ドラム61と、帯電部62と、書込みユニット63と、現像部64と、搬送ベルト65と、定着部66とを有する。帯電部62は、感光体ドラム61の外周面を帯電させる。書き込みユニット63は、読取部40により読み取られた画像データに基づいて、帯電された感光体ドラム61上を露光して、感光体ドラム61上に静電潜像を書き込む。現像部64は、感光体ドラム61上に書き込まれた潜像をトナーで現像する。搬送ベルト65は、トナー画像を形成する記録媒体を搬送する。定着部66は、記録媒体上のトナーを記録媒体に定着させ、記録媒体上にトナー画像を形成する。
【0023】
給紙カセット7A、7Bは、トナー画像が形成される前の用紙等の記録媒体を収納する。例えば、給紙カセット7A、7Bは、サイズが互いに異なる記録媒体を収納可能である。なお、図1では、2つの給紙カセット7A、7Bが画像形成装置100に設けられる例が示されるが、給紙カセットの数は、1つでもよく、3つ以上でもよい。
【0024】
搬送部8は、各種ローラを有し、給紙カセット7Aまたは給紙カセット7Bに収納された記録媒体をプリンタ部6に搬送する。なお、図1における矢印Cは、記録媒体の搬送方向を示している。電源装置1は、例えば、商用電源等の交流電源に基づいて複数種の直流電圧を生成し、生成した直流電圧を、画像形成装置100の各構成部に供給する。
【0025】
画像形成装置100は、ユーザにより操作部77の機能切替キー等が操作され、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能またはファクシミリ機能等が選択されることで、各機能が動作可能な状態になる。画像形成装置100の動作モードは、ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなる。また、画像形成装置100の動作モードは、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリ機能選択時にはファクシミリモードとなる。
【0026】
以下に、画像形成装置100がコピーモードに設定された場合の画像形成の動作の例が説明される。なお、以下では、プリンタ部6がモノクロの電子写真方式によって画像を形成する例が説明されるが、カラーの電子写真方式またはインクジェット方式などによって画像が形成されてもよい。さらに、画像形成方式は、これらに限定されない。
【0027】
コピーモードにおいて画像形成装置100は、コピーする各原稿の画像情報を読取部40により読み取り、画像データを生成する。画像形成装置100は、感光体ドラム61の外周面を、暗中にて帯電部62により一様に帯電させる。次に、画像形成装置100は、図1の点線の矢印Aで示す書込みユニット63からの照射光により感光体ドラム61上を露光して、感光体ドラム61の外周面上に静電潜像を形成する。図1の矢印Bは、感光体ドラム61の回転方向を示している。
【0028】
画像形成装置100は、現像部64を動作させ、静電潜像をトナーにより可視像化させる。これにより、感光体ドラム61上にトナー画像が形成される。次に、画像形成装置100は、感光体ドラム61上に形成されたトナー画像を、搬送ベルト65上の記録媒体に転写する。そして、画像形成装置100は、記録媒体上のトナー画像を形成しているトナーを定着部66のヒータ等で加熱溶融し、記録媒体にトナー画像を定着させる。そして、画像形成装置100は、トナー画像を定着させた記録媒体を排出する。
【0029】
なお、操作部77は、制御基板51によって制御されてもよいし、制御基板51とは別の制御回路により制御されてもよい。その場合、制御基板51の制御回路と操作部77の制御回路とは、相互に通信可能に接続される。そして、制御基板51は、操作部77を含む画像形成装置100の全体を制御する。
【0030】
<画像形成装置のハードウェア構成例>
図2は、図1の画像形成装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。画像形成装置100は、制御基板51と、近距離通信回路75と、エンジン制御部79と、操作部77と、ネットワークI/F(インタフェース)73とを有する。なお、画像形成装置100のハードウェア構成は、図2に示す構成に限定されない。
【0031】
例えば、制御基板51は、コンピュータの主要部であるCPU53と、記憶部MEM-P69と、NB(ノースブリッジ)55と、SB(サウスブリッジ)57とを有する。また、制御基板51は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)81と、MEC-C(ローカルメモリ)83と、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ85と、HD(Hard Disk)87とを有する。NB55とASIC81との間は、AGP(Accelerated Graphics Port)バス59で接続される。
【0032】
CPU53は、画像形成装置100の全体制御を行う制御部であり、例えば、描画処理、通信処理または操作部77からの入力等を制御する。NB55は、CPU53と、記憶部MEM-P69、SB57、およびAGPバス59とを接続する。例えば、NB55は、記憶部MEM-P69に対する読み書き等を制御するメモリコントローラ、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタおよびAGPターゲットを有する。以下では、記憶部MEM-P69は、単に記憶部69とも称される。
【0033】
記憶部69は、例えば、ROM69aとRAM69bとを有する。ROM69aは、画像形成装置100の各機能を実現させるプログラムおよびデータ等を記憶している。RAM69bは、ROM69aから展開されるプログラムおよびデータを記憶し、メモリ印刷時の描画用データ等を記憶する。
【0034】
なお、RAM69bに記憶されるプログラムは、図示しない記録媒体から転送されてもよい。記録媒体は、画像形成装置100の図示しない入出力インタフェースに着脱可能に装着されるCD-ROM、CD-RまたはDVD等である。記録媒体には、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルとして、プログラムおよびデータが記録されている。
【0035】
SB57は、NB55とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続する。ASIC81は、画像処理用のハードウェアが搭載され、AGPバス59、PCIバス71、HDDコントローラ85および記憶部MEM-C83を相互に接続するブリッジの役割を有する。例えば、ASIC81は、PCIターゲットと、AGPマスタと、ASIC81の中核をなすアービタと、記憶部MEM-C83を制御するメモリコントローラとを有する。また、ASIC81は、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転等を行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、スキャナ部42およびプリンタ部6の間でPCIバス71を介したデータ転送を行うPCIユニットとを有する。
【0036】
なお、ASIC81には、USB(Universal Serial Bus)またはIEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)用のバスが接続されてもよい。
【0037】
記憶部MEM-C83は、コピー用の画像バッファおよび符号バッファとして使用されるローカルメモリとして機能する。HD87は、画像データ、印刷時に用いるフォントデータおよびフォームが蓄積される。HDDコントローラ85は、CPU53の制御によりHD87に対するデータの読み出しまたは書き込みを制御する。AGPバス59は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースである。AGPバス59は、記憶部69に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速に動作させることができる。
【0038】
近距離通信回路75には、アンテナ75aが接続される。近距離通信回路75は、NFC(Near Field Communication)またはBluetooth(登録商標)等の通信回路である。なお、近距離通信回路75は、操作部77に実装される基板に搭載されてもよい。ネットワークI/F73は、通信ネットワークを利用してデータ通信をする。ネットワークI/F73は、情報を外部に対して送受信する通信インタフェースの一例である。近距離通信回路75およびネットワークI/F73は、PCIバス71を介して、ASIC81に電気的に接続されている。エンジン制御部79は、図1のプリンタ部6を制御するプリンタ制御部79aおよび図1のスキャナ部42を制御するスキャナ制御部79b等を有する。プリンタ制御部79aおよびスキャナ制御部79bの少なくともいずれかは、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理機能を含んでもよい。
【0039】
操作部77は、液晶表示装置または有機EL装置等を用いたパネル表示部77aおよびハードウェアキー等を用いた入力パネル77bを有する。パネル表示部77aは、画像形成装置100の現在の設定値、選択画面および消耗品の交換手順等を静止画または動画で表示する表示機能を有する。パネル表示部77aに表示される選択画面は、ユーザからの入力を受け付けるタッチパネルとして機能する。入力パネル77bは、濃度の設定条件などの画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキーおよびコピー開始指示を受け付けるスタートキー等を有する。なお、操作部77は、ASIC81に接続されるが、SB57に接続されてもよい。
【0040】
<寿命予測装置として機能する画像形成装置の機能構成例>
図3は、図2の画像形成装置100の機能構成の一例を示すブロック図である。図3では、主に画像形成装置100の寿命予測に使用される主要な機能部の概要が示される。制御基板51に搭載されるCPU53は、画像形成装置100のコピー機能、FAX機能、プリント機能、スキャナ機能等を制御するとともに、画像形成装置100の寿命予測を行う寿命予測装置として機能する。なお、画像形成装置100は、画像データの情報を処理する情報処理装置としても機能する。したがって、図3は、自装置の寿命予測を行う寿命予測装置の機能を有する情報処理装置に適用されてもよい。
【0041】
制御基板51は、図2に示したCPU53、ネットワークI/F73および記憶部69に加えて、セキュリティに関する各種機能を有するTPMデバイス54を有する。操作部77は、CPU771、NFCデバイス772、ディスプレイ773、キーボード774および人感センサ775を有する。NFCデバイス772は、図2に示した近距離通信回路75の一例であり、図3では、操作部77に搭載される。ディスプレイ773およびキーボード774は、図2に示したパネル表示部77aおよび入力パネル77bにそれぞれ対応する。ディスプレイ773は、表示部の一例である。
【0042】
TPMデバイス54には、画像形成装置100の起動時、待機モードから省エネモード(省エネルギーモード)への移行時および省エネモードから待機モードへの復帰時に、画像形成装置100の動作状態の変化を示す変化情報の書き込みが発生する。また、TPMデバイス54には、ファームウェアのアップデート時に、画像形成装置100の動作状態の変化を示す変化情報の書き込みが発生する。
【0043】
NFCデバイス772には、画像形成装置100の起動時、待機モードから省エネモードへの移行時、省エネモードから待機モードへの復帰時、およびNFCデバイス772による通信の実行時に、変化情報の書き込みが発生する。変化情報は、画像形成装置100の動作状態の変化を示す情報である。また、TPMデバイス54およびNFCデバイス772には、それぞれ書き込み回数に制限(上限値)がある。
【0044】
制御基板51に搭載されるCPU53は、制御プログラムを実行することにより、カウント部531、判定部532、警告発報部533、スリープ移行タイマ534、人感センサ設定部535および優先アプリ設定部536の機能を実現する。なお、カウント部531、判定部532、警告発報部533、スリープ移行タイマ534、人感センサ設定部535および優先アプリ設定部536の各々は、ハードウェアにより実現されてもよく、ハードウェアとソフトウェアを協働させることで実現されてもよい。ハードウェアにより実現される各種機能部は、CPU53の外部に設けられてもよい。
【0045】
カウント部531は、画像形成装置100の起動回数、待機モードから省エネモードへの移行回数および省エネモードから待機モードへの復帰回数をカウントする。また、カウント部531は、ファームウェアのアップデート回数およびNFCデバイス772による近距離無線通信の回数をカウントする。カウント部531は、カウントにより得たカウント値を各種回数として記憶部69に格納する。
【0046】
判定部532は、記憶部69に記憶された各種回数に基づいて、TPMデバイス54およびNFCデバイス772のそれぞれの寿命を予測する予測処理を実行する。判定部532は、予測部の一例である。判定部532は、TPMデバイス54の寿命が近いことを判定した場合、警告を発報する旨の情報とTPMデバイス54の交換を促す旨の情報とを警告発報部533に出力する。判定部532は、NFCデバイス772の寿命が近いことを判定した場合、警告を発報する旨の情報とNFCデバイス772の交換を促す旨の情報とを警告発報部533に出力する。
【0047】
警告発報部533は、判定部532から警告を発報する旨の情報と、TPMデバイス54またはNFCデバイス772の交換を促す旨の情報とを受けた場合、受けた情報を警告とともに操作部77に発報する。
【0048】
スリープ移行タイマ534は、待機モード中の無操作状態の時間を計測する。CPU53は、待機モードでの無操作状態の継続時間がスリープ移行タイマ534に設定したスリープ移行時間を経過した場合、画像形成装置100の動作モードを待機モードから省エネモードに遷移させる。例えば、待機モードから省エネモードに遷移させるスリープ移行時間は、ユーザによる操作部77の操作により設定することができる。省エネモードは、待機モードより消費電力が小さく、スリープモードとも称される。
【0049】
人感センサ設定部535は、人感センサ775を有効状態または無効状態に設定する。人感センサ775の有効状態または無効状態の設定は、ユーザによる操作部77の操作により設定することができる。なお、人感センサ設定部535は、操作部77のCPU771により実現されてもよい。
【0050】
優先アプリ設定部536は、画像形成装置100の起動後またはADF41が開かれたときなどに、ディスプレイ773に表示するアプリケーションの画面を優先的に設定する。すなわち、優先アプリ設定部536は、電源の起動時またはユーザによる画像形成装置100の操作時にディスプレイ773に表示される初期画面を設定する。これにより、画像形成装置100に搭載される複数の機能からユーザが所望の機能を選択する煩わしさを改善することができる。
【0051】
操作部77において、CPU771は、NFCデバイス772、ディスプレイ773、キーボード774および人感センサ775の動作を制御し、制御基板51との間で情報を送受信する。ディスプレイ773は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字または画像などの各種情報を表示する。キーボード774は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキー(ソフトウェアキー)を有する。
【0052】
人感センサ775は、人感センサ設定部535により有効状態に設定されている場合に動作する。そして、人感センサ775は、操作部77への人の接近を検知したときにCPU771に通知する。人感センサ775は、無効状態に設定されている場合に動作しない。このため、操作部77に人が接近した場合にも、人感センサ775からCPU771への通知は行われない。
【0053】
CPU771は、画像形成装置100が省エネモードのときに人感センサ775から通知を受けた場合、操作部77を省エネモードからプレ復帰モードに遷移する。CPU771は、プレ復帰モード中にプリンタ部6および搬送部8等のエンジン機構を起動するためのユーザ操作を受け付けると、プレ復帰モードから待機モードに遷移し、CPU53にプレ復帰モードから待機モードへの遷移を通知する。CPU53は、遷移の通知に基づいて、制御基板51をプレ復帰モードから待機モードに移行する。
【0054】
ネットワークIF73は、インタネット等のネットワーク200を介して外部サーバ300およびリモート管理装置400に接続される。
【0055】
例えば、外部サーバ300は、ネットワーク200に接続される画像形成装置100等から各種情報を取得する。CPU53は、図6および図7で説明する合計値SUM1が第1閾値を超えた場合、記憶部69に記憶されたTPMデバイス54用の各種回数を外部サーバ300に送信してもよい。また、CPU53は、図8および図9で説明する合計値SUM2が第2閾値を超えた場合、記憶部69に記憶されたNFCデバイス772用の各種回数を外部サーバ300に送信してもよい。
【0056】
なお、CPU53は、記憶部69に記憶されたTPMデバイス54用の各種回数およびNFCデバイス772用の各種回数を、定期的に外部サーバ300に送信(アップロード)してもよい。これにより、TPMデバイス54用の各種回数およびNFCデバイス772用の各種回数を受信する外部サーバ300は、画像形成装置100の状態をリモートで判定することができる。例えば、外部サーバ300は、画像形成装置100の保守を行うサービス拠点に設置されてもよい。また、外部サーバ300は、クラウドにより実現されてもよい。
【0057】
リモート管理装置400は、画像形成装置100をネットワーク200経由でリモート管理することで、画像形成装置100の状況をリアルタイムに把握する。そして、リモート管理装置400は、把握した状況に応じて、画像形成装置100の修理対応等を行う。なお、外部サーバ300およびリモート管理装置400は、画像形成装置100に接続されなくてもよい。
【0058】
なお、CPU53は、ネットワーク200に接続された他の情報処理装置(例えば、他の画像形成装置)に搭載されるTPMデバイス54の情報およびNFCデバイス772の情報を、ネットワークIF73を介して取得してもよい。これにより、画像形成装置100は、他の情報処理装置との間でTPMデバイス54の情報およびNFCデバイス772の情報を交換することができる。
【0059】
<画像形成装置の状態遷移の例>
図4は、図1の画像形成装置100の動作モードの遷移の一例を示す状態遷移図である。画像形成装置100の動作モードの遷移は、例えば、図2のCPU53により制御される。画像形成装置100は、電源スイッチのオンにより起動されたとき、待機モードに設定される。待機モードは、通常モードの一例である。
【0060】
画像形成装置100は、待機モード中に、操作部77を介してユーザからコピーまたはスキャン等の指示を受けた場合、アクティブモードに遷移し、コピー動作(すなわち、プリント動作)またはスキャン動作を実施する(図4(a))。画像形成装置100は、コピー動作またはスキャン動作が終了した後、待機モードに戻る(図4(b))。
【0061】
一方、画像形成装置100は、待機モードにおいて、無操作状態が所定時間継続した場合、待機モードから省エネモードに遷移する(図4(c))。待機モードから省エネモードに遷移するための無操作状態の時間は、スリープ移行タイマ534により設定される。
【0062】
画像形成装置100は、例えば、省エネモード中にADF41が開かれた場合、動作モードを待機モードに遷移する(図4(d))。また、画像形成装置100は、有効状態に設定された人感センサ775が省エネモード中に人を検知した場合、動作モードをプレ復帰モードに遷移する(図4(e))。画像形成装置100は、プレ復帰モード中にエンジン機構を起動するためのユーザ操作を受け付けた場合、動作モードを待機モードに遷移する(図4(f))。
【0063】
なお、待機モードでは、制御基板51、エンジン制御部79および操作部77は、全てオン状態に設定され、エンジン制御部79のオン状態により、プリンタ部6およびスキャナ部42は、待機状態に設定される。プレ復帰モードでは、制御基板51および操作部77は、オン状態に設定され、エンジン制御部79は、オフ状態に設定される。但し、プレ復帰モードでは、操作部77がオン状態に設定されても、パネル表示部77a(液晶表示部)はオフ状態に設定される。省エネモードでは、制御基板51、エンジン制御部79および操作部77は、全てオフ状態に設定される。
【0064】
<記憶部に記憶される各種回数の例>
図5は、図3の記憶部69に記憶される各種回数の例を示す説明図である。なお、各種回数は、電源が遮断されたときに失われることを防止するために、不揮発性メモリに保持されることが好ましい。
【0065】
記憶部69には、TPMデバイス54の寿命予測用の記憶領域A1と、NFCデバイス772の寿命予測用の記憶領域A2とが割り当てられる。記憶領域A1は、起動回数BT1、省エネ移行回数STR1、待機移行回数STB1およびファームウェアアップデート回数FWU1を記憶する領域を有する。記憶領域A2は、起動回数BT2、省エネ移行回数STR2、待機移行回数STB2および無線回数NFU2を記憶する領域を有する。
【0066】
起動回数BT1、BT2は、画像形成装置100の電源の起動回数を示す。図3のカウント部531は、画像形成装置100の電源の起動後に、記憶部69に保持された起動回数BT1、BT2のそれぞれに"1"を加算する。
【0067】
省エネ移行回数STR1、STR2は、待機モードから省エネモードへの移行回数を示し、互いに同じ値に設定される。カウント部531は、動作モードが待機モードから省エネモードに移行された場合、記憶部69に保持された省エネ移行回数STR1、STR2のそれぞれに"1"を加算する。待機移行回数STB1、STB2は、省エネモードから待機モードへの移行回数を示し、互いに同じ値に設定される。カウント部531は、動作モードが省エネモードから待機モードに移行された場合、記憶部69に保持された待機移行回数STB1、STB2のそれぞれに"1"を加算する。
【0068】
ファームウェアアップデート回数FWU1は、CPU53により実行されるファームウェアのアップデート回数を示す。カウント部531は、ファームウェアがアップデートされる毎に記憶部69に保持されたファームウェアアップデート回数FWU1に"1"を加算する。無線回数は、NFCデバイス772による近距離無線通信の回数を示す。カウント部531は、NFCデバイス772が近距離無線通信を実行する毎に記憶部69に保持された無線回数NFU2に"1"を加算する。
【0069】
<TPMデバイスの寿命予測処理の例>
図6および図7は、図3の判定部532によるTPMデバイス54の寿命予測処理の一例を示すフロー図である。すなわち、図6および図7は、画像形成装置100および情報処理装置の制御方法の一例を示す。図6および図7に示す動作は、例えば、CPU53が制御プログラムを実行することにより実現され、画像形成装置100の電源が起動したことに基づいて開始される。
【0070】
まず、ステップS100において、CPU53は、記憶部69に保持されている起動回数BT1を読み出し、読み出した起動回数BT1に"1"を加算することでカウント値を"1"増加する。次に、ステップS102において、CPU53は、加算した起動回数BT1を記憶部69に書き込むことで、記憶部69の起動回数BT1を更新する。
【0071】
次に、ステップS104において、CPU53は、TPMデバイス54の寿命予測用の領域A1(図5)に保持された起動回数BT1、省エネ移行回数STR1、待機移行回数STB1およびファームウェアアップデート回数FWU1の合計値SUM1を算出する。そして、CPU53は、合計値SUM1が予め設定された第1閾値より大きいか否かを判定する。
【0072】
CPU53は、合計値SUM1が第1閾値より大きい場合、TPMデバイス54が寿命に近づいていると判断し、処理を図7のステップS150に移行する。CPU53は、合計値SUM1が第1閾値以下の場合、TPMデバイス54の寿命まで時間的な余裕があると判断し、処理をステップS110に移行する。
【0073】
第1閾値は、例えば、TPMデバイス54の製品規格値に基づいて決められ、TPMデバイス54の寿命を疑似的に判定するために使用される。例えば、TPMデバイス54の製品規格値において書き込み回数の上限値が10万回である場合、第1閾値は、9万回に設定されてもよい。
【0074】
ステップS110において、CPU53は、動作モードが待機モードから省エネモードに移行したか否かを判定する。CPU53は、省エネモードに移行した場合、処理をステップS112に移行し、省エネモードへの移行がない場合、処理を図7のステップS120に移行する。
【0075】
ステップS112において、CPU53は、記憶部69に保持されている省エネ移行回数STR1を読み出し、読み出した省エネ移行回数STR1に"1"を加算することでカウント値を"1"増加する。次に、ステップS114において、CPU53は、加算した省エネ移行回数STR1を記憶部69に書き込むことで、記憶部69の省エネ移行回数STR1を更新する。
【0076】
次に、ステップS116において、CPU53は、ステップS104と同様に、合計値SUM1を算出し、合計値SUM1が予め設定された第1閾値より大きいか否かを判定する。CPU53は、合計値SUM1が第1閾値より大きい場合、処理を図7のステップS150に移行し、合計値SUM1が第1閾値以下の場合、処理を図7のステップS120に移行する。
【0077】
図7のステップS120において、CPU53は、動作モードが省エネモードから待機モードに復帰したか否かを判定する。CPU53は、待機モードに復帰した場合、処理をステップS122に移行し、待機モードへの復帰がない場合、処理をステップS130に移行する。
【0078】
ステップS122において、CPU53は、記憶部69に保持されている待機移行回数STB1を読み出し、読み出した待機移行回数STB1に"1"を加算することでカウント値を"1"増加する。次に、ステップS124において、CPU53は、加算した待機移行回数STB1を記憶部69に書き込むことで、記憶部69の待機移行回数STB1を更新する。
【0079】
次に、ステップS126において、CPU53は、ステップS104と同様に、合計値SUM1を算出し、合計値SUM1が予め設定された第1閾値より大きいか否かを判定する。CPU53は、合計値SUM1が第1閾値より大きい場合、処理をステップS150に移行し、合計値SUM1が第1閾値以下の場合、処理をステップS130に移行する。
【0080】
ステップS130において、CPU53は、ファームウェアがアップデートされたか否かを判定する。CPU53は、ファームウェアがアップデートされた場合、処理をステップS132に移行し、ファームウェアがアップデートされていない場合、処理を図6のステップS110に移行する。
【0081】
ステップS132において、CPU53は、記憶部69に保持されているファームウェアアップデート回数FWU1を読み出し、読み出したファームウェアアップデート回数FWU1に"1"を加算することでカウント値を"1"増加する。次に、ステップS134において、CPU53は、加算したファームウェアアップデート回数FWU1を記憶部69に書き込むことで、記憶部69のファームウェアアップデート回数FWU1を更新する。次に、ステップS140において、CPU53は、画像形成装置100の電源をオフし、図6および図7に示す処理を終了する。この後、画像形成装置100の電源が再起動された場合、図6のステップS100の処理および後述する図8のステップS200の処理が実施される。
【0082】
一方、ステップS150において、CPU53は、警告発報部533を介して、操作部77のCPU771にTPMデバイス54の交換を促す旨の警告を発報する。警告を受信したCPU771は、TPMデバイス54の交換を促す警告メッセージをディスプレイ773に表示する。CPU53は、ステップS150の後、図6のステップS110に移行する。
【0083】
このように、CPU53は、TPMデバイス54への変化情報の書き込み要因の発生回数である合計値SUM1が第1閾値を超えた場合、TPMデバイス54の交換を促す警告メッセージをディスプレイ773に表示させる。これにより、画像形成装置100は、SMART(Self-Monitoring Analysis and Reporting Technology)等により寿命が予測できないTPMデバイス54の寿命を予測することができる。
【0084】
<NFCデバイスの寿命予測処理の例>
図8および図9は、図3の判定部532によるNFCデバイス772の寿命予測処理の一例を示すフロー図である。すなわち、図8および図9は、画像形成装置100および情報処理装置の制御方法の一例を示す。図8および図9に示す動作は、例えば、CPU53が制御プログラムを実行することにより実現され、画像形成装置100の電源が起動したことに基づいて開始される。すなわち、図8および図9に示す処理は、図6および図7に示す処理と並列に実施される。
【0085】
まず、ステップS200において、CPU53は、記憶部69に保持されている起動回数BT2を読み出し、読み出した起動回数BT2に"1"を加算することでカウント値を"1"増加する。次に、ステップS202において、CPU53は、加算した起動回数BT2を記憶部69に書き込むことで、記憶部69の起動回数BT2を更新する。
【0086】
次に、ステップS204において、CPU53は、NFCデバイス772の寿命予測用の領域A2(図5)に保持された起動回数BT2、省エネ移行回数STR2、待機移行回数STB2および無線回数NFU2の合計値SUM2を算出する。そして、CPU53は、合計値SUM2が予め設定された第2閾値より大きいか否かを判定する。
【0087】
CPU53は、合計値SUM2が第2閾値より大きい場合、NFCデバイス772が寿命に近づいていると判断し、処理を図9のステップS250に移行する。CPU53は、合計値SUM2が第2閾値以下の場合、NFCデバイス772の寿命まで時間的な余裕があると判断し、処理をステップS210に移行する。
【0088】
第2閾値は、例えば、NFCデバイス772の製品規格値に基づいて決められ、NFCデバイス772の寿命を疑似的に判定するために使用される。例えば、第2閾値は、NFCデバイス772の製品規格値において通信回数の上限値の90%に設定されてもよい。
【0089】
ステップS210において、CPU53は、動作モードが待機モードから省エネモードに移行したか否かを判定する。CPU53は、省エネモードに移行した場合、処理をステップS212に移行し、省エネモードへの移行がない場合、処理を図9のステップS220に移行する。
【0090】
ステップS212において、CPU53は、記憶部69に保持されている省エネ移行回数STR2を読み出し、読み出した省エネ移行回数STR2に"1"を加算することでカウント値を"1"増加する。次に、ステップS214において、CPU53は、加算した省エネ移行回数STR2を記憶部69に書き込むことで、記憶部69の省エネ移行回数STR2を更新する。
【0091】
次に、ステップS216において、CPU53は、ステップS204と同様に、合計値SUM2を算出し、合計値SUM2が予め設定された第2閾値より大きいか否かを判定する。CPU53は、合計値SUM2が第2閾値より大きい場合、処理を図9のステップS250に移行し、合計値SUM2が第2閾値以下の場合、処理を図9のステップS220に移行する。
【0092】
図9のステップS220において、CPU53は、動作モードが省エネモードから待機モードに復帰したか否かを判定する。CPU53は、待機モードに復帰した場合、処理をステップS222に移行し、待機モードへの復帰がない場合、処理をステップS230に移行する。
【0093】
ステップS222において、CPU53は、記憶部69に保持されている待機移行回数STB2を読み出し、読み出した待機移行回数STB2に"1"を加算することでカウント値を"1"増加する。次に、ステップS224において、CPU53は、加算した待機移行回数STB2を記憶部69に書き込むことで、記憶部69の待機移行回数STB2を更新する。
【0094】
次に、ステップS226において、CPU53は、ステップS204と同様に、合計値SUM2を算出し、合計値SUM2が予め設定された第2閾値より大きいか否かを判定する。CPU53は、合計値SUM2が第2閾値より大きい場合、処理をステップS250に移行し、合計値SUM2が第2閾値以下の場合、処理をステップS230に移行する。
【0095】
ステップS230において、CPU53は、NFCデバイス772による近距離無線通信が実施されたか否かを判定する。CPU53は、NFCデバイス772による近距離無線通信が実施された場合、処理をステップS232に移行する。CPU53は、NFCデバイス772による近距離無線通信が実施されていない場合、処理を図8のステップS210に移行する。
【0096】
ステップS232において、CPU53は、記憶部69に保持されている無線回数NFU2を読み出し、読み出した無線回数NFU2に"1"を加算することでカウント値を"1"増加する。次に、ステップS234において、CPU53は、加算した無線回数NFU2を記憶部69に書き込むことで、記憶部69の無線回数NFU2を更新し、処理を図8のステップS210に移行する。
【0097】
ステップS250において、CPU53は、警告発報部533を介して、操作部77のCPU771にNFCデバイス772の交換を促す旨の警告を発報する。警告を受信したCPU771は、NFCデバイス772の交換を促す警告メッセージをディスプレイ773に表示する。CPU53は、ステップS250の後、図8のステップS210に移行する。
【0098】
このように、CPU53は、NFCデバイス772への変化情報の書き込み要因の発生回数である合計値SUM2が第2閾値を超えた場合、NFCデバイス772の交換を促す警告メッセージをディスプレイ773に表示させる。これにより、画像形成装置100は、SMART等により寿命が予測できないNFCデバイス772の寿命を予測することができる。
【0099】
なお、CPU53は、起動回数BT1、省エネ移行回数STR1、待機移行回数STB1および無線回数NFU2の合計値を合計値SUM2として算出してもよい。この場合、記憶部69には、起動回数BT2、省エネ移行回数STR2および待機移行回数STB2を格納する領域は、設けられなくてもよい。この場合、図8のステップS200、S202、S212、S214と、図9のステップS222、S224は、省略されてもよい。
【0100】
<省エネ移行回数および待機移行回数の異常の判定処理の例>
図10は、省エネ移行回数STR1、STR2および待機移行回数STB1、STB2の異常の有無を判定する判定処理の一例を示すフロー図である。図10に示す処理は、画像形成装置100が起動されている間に、CPU53により所定の周期で実行される。すなわち、CPU53は、図10に示す処理を、図6から図9に示す処理と並列に実行する。図10に示す処理は、判定部532により実行されてもよい。図10に示す処理を実行するCPU53または判定部532は、自己診断部として機能する。
【0101】
まず、ステップS300において、CPU53は、省エネ移行回数STR1、STR2のいずれかにおいて、前回の図10の処理からの増加率R1を算出する。省エネ移行回数STR1、STR2は、互いに同じであるため、CPU53は、省エネ移行回数STR1、STR2のどちらを使用してもよい。
【0102】
次に、ステップS302において、CPU53は、増加率R1が第3閾値より大きいか否かを判定する。CPU53は、増加率R1が第3閾値より大きい場合、処理をステップS304に移行し、増加率R1が第3閾値以下の場合、処理をステップS306に移行する。
【0103】
例えば、第3閾値は、画像形成装置100の製品寿命の到達時に、省エネ移行回数STR1、STR2がTPMデバイス54またはNFCデバイス772の一方の製品規格値における書き込み回数の上限値の90%に到達する場合の増加率に設定される。なお、第3閾値は、TPMデバイス54およびNFCデバイス772の書き込み回数の上限値のうち小さい方を使用して設定されることが好ましい。
【0104】
例えば、画像形成装置100の平均的な動作において、省エネ移行回数STR1、STR2の増加率R1は、第3閾値の半分程度であるとする。このため、第3閾値を超える省エネ移行回数STR1、STR2の増加率R1は、TPMデバイス54またはNFCデバイス772の書き込みが正常時より多いことを示す。
【0105】
増加率R1が第3閾値より大きい場合、画像形成装置100が寿命になる前に、TPMデバイス54またはNFCデバイス772の書き込み回数が上限値を超えて、TPMデバイス54またはNFCデバイス772が寿命になる可能性がある。一方、増加率R1が第3閾値以下の場合、画像形成装置100が寿命になる前に、TPMデバイス54またはNFCデバイス772の書き込み回数が上限値を超える可能性は低く、TPMデバイス54またはNFCデバイス772が寿命になる可能性は低い。
【0106】
ステップS304において、CPU53は、省エネ移行回数STR1、STR2の増加率R1が第3閾値より大きい原因を見つける自己診断を実施する。そして、CPU53は、異常の原因(すなわち、寿命の予測精度の低下)が画像形成装置100の動作自体にあると診断した場合、増加率R1を低減するための処理を実施する。
【0107】
例えば、省エネモードに移行していないにもかかわらず、省エネ移行回数STR1が増加する不具合があり、省エネ移行回数STR1が省エネ移行回数STR2に比べて多い場合、本来は正常である増加率R1が第3閾値を超えてしまうおそれがある。
【0108】
この場合、CPU53は、記憶部69に保持された省エネ移行回数STR1を省エネ移行回数STR2に合わせて正常な値に書き換える修正を行う。これにより、増加率R1を第3閾値以下にすることができ、ディスプレイ773に誤ったメッセージが表示されることを防止することができる。
【0109】
また、CPU53は、異常の原因が画像形成装置100の設定によるものであると診断した場合、省エネ移行回数STR1、STR2が妥当でないと判断する。このように、CPU53は、省エネ移行回数STR1、STR2の妥当性を診断することができる。そして、CPU53は、増加率R1を低減するための設定の見直しメッセージをディスプレイ773に表示させ、処理をステップS306に移行する。
【0110】
例えば、動作モードを待機モードから省エネモードに移行させるまでの時間であるスリープ移行時間が極端に短い場合、待機モードと省エネモードとの相互の切り替えの頻度が高くなる。このため、CPU53は、動作モードを待機モードから省エネモードに移行させるまでの時間であるスリープ移行時間が極端に短い場合、増加率R1を異常にさせている原因と判断する。
【0111】
この場合、CPU53は、スリープ移行時間を長くすることを促す見直しメッセージをディスプレイ773に表示させる。スリープ移行時間が長めに変更されることで、動作モードが待機モードから省エネモードに移行する頻度を低減することができ、増加率R1を低減することができる。
【0112】
したがって、TPMデバイス54およびNFCデバイス772の寿命を予測する判定部532の予測精度が、省エネ移行回数STR1、STR2に起因して低下することを抑制することができる。これにより、TPMデバイス54またはNFCデバイス772の交換を促す警告メッセージが、寿命に到達していないにもかかわらず表示されることを抑制することができる。この結果、本来不要なサービスマンコールおよび部品交換を減らすことができ、無駄なコストの発生を抑制することができる。
【0113】
ステップS306において、CPU53は、待機移行回数STB1、STB2のいずれかにおいて、前回の図10の処理からの増加率R2を算出する。待機移行回数STB1、STB2は、互いに同じであるため、CPU53は、待機移行回数STB1、STB2のどちらを使用してもよい。
【0114】
次に、ステップS308において、CPU53は、増加率R2が第4閾値より大きいか否かを判定する。CPU53は、増加率R2が第4閾値より大きい場合、処理をステップS310に移行し、増加率R2が第4閾値以下の場合、処理をステップS312に移行する。
【0115】
例えば、第4閾値は、画像形成装置100の製品寿命の到達時に、待機移行回数STB1、STB2がTPMデバイス54またはNFCデバイス772の一方の製品規格値における書き込み回数の上限値の90%に到達する場合の増加率に設定される。なお、第4閾値は、TPMデバイス54およびNFCデバイス772の書き込み回数の上限値のうち小さい方を使用して設定されることが好ましい。
【0116】
例えば、画像形成装置100の平均的な動作において、待機移行回数STB1、STB2の増加率R2は、第4閾値の半分程度であるとする。このため、第4閾値を超える待機移行回数STB1、STB2の増加率R2は、TPMデバイス54またはNFCデバイス772の書き込みが正常時より多いことを示す。
【0117】
増加率R2が第4閾値より大きい場合、画像形成装置100が寿命になる前に、TPMデバイス54またはNFCデバイス772の書き込み回数が上限値を超えて、TPMデバイス54またはNFCデバイス772が寿命になる可能性がある。一方、増加率R2が第4閾値以下の場合、画像形成装置100が寿命になる前に、TPMデバイス54またはNFCデバイス772の書き込み回数が上限値を超える可能性は低く、TPMデバイス54またはNFCデバイス772が寿命になる可能性は低い。
【0118】
ステップS310において、CPU53は、待機移行回数STB1、STB2の増加率R2が第4閾値より大きい原因を見つける自己診断を実施する。そして、CPU53は、異常の原因(すなわち、寿命の予測精度の低下)が画像形成装置100の動作自体にあると診断した場合、増加率R2を低減するための処理を実施する。
【0119】
例えば、待機モードに移行していないにもかかわらず、待機移行回数STB1が増加する不具合があり、待機移行回数STB1が待機移行回数STB2に比べて多い場合、本来は正常である増加率R2が第4閾値を超えてしまうおそれがある。
【0120】
この場合、CPU53は、記憶部69に保持された待機移行回数STB1を待機移行回数STB2に合わせて正常な値に書き換える修正を行う。これにより、増加率R2を第4閾値以下にすることができ、ディスプレイ773に誤ったメッセージが表示されることを防止することができる。
【0121】
また、CPU53は、異常の原因が画像形成装置100の設定によるものであると診断した場合、待機移行回数STB1、STB2が妥当でないと判断する。このように、CPU53は、待機移行回数STB1、STB2の妥当性を診断することができる。そして、CPU53は、増加率R2を低減するための設定の見直しメッセージをディスプレイ773に表示させ、処理をステップS312に移行する。
【0122】
例えば、有効状態に設定された人感センサ775による人の検出頻度が極端に高い場合、待機モードと省エネモードとの相互の切り替えの頻度が高くなる。このため、CPU53は、有効状態に設定された人感センサ775による人の検出頻度が極端に高い場合、増加率R2を異常にさせている原因と判断する。
【0123】
この場合、CPU53は、人感センサ775を無効状態に設定することを促す見直しメッセージをディスプレイ773に表示させる。これにより、動作モードが省エネモードから待機モードに復帰する頻度を低減することができ、待機移行回数STB1、STB2の増加率R2を低減することができる。
【0124】
これにより、例えば、省エネモード中にADF41が開かれた場合などであっても、動作モードが省エネモードから待機モードに復帰する頻度を低減することができ、待機移行回数STB1、STB2の増加率R2を低減することができる。
【0125】
したがって、TPMデバイス54およびNFCデバイス772の寿命を予測する判定部532の予測精度が、待機移行回数STB1、STB2に起因して低下することを抑制することができる。これにより、TPMデバイス54またはNFCデバイス772の交換を促す警告メッセージが、寿命に到達していないにもかかわらず表示されることを抑制することができる。この結果、本来不要なサービスマンコールおよび部品交換を減らすことができ、無駄なコストの発生を抑制することができる。
【0126】
ステップS312において、CPU53は、記憶部69に保持されている現在の省エネ移行回数STR1、STR2と現在の待機移行回数STB1、STB2とを不揮発性メモリに記憶させる。現在の省エネ移行回数STR1、STR2と現在の待機移行回数STB1、STB2とを記憶させる不揮発性メモリは、記憶部69のROM69aでもよい。例えば、現在の省エネ移行回数STR1、STR2と現在の待機移行回数STB1、STB2とは、図5に示した記憶領域A1、A2に隣接する記憶領域に記憶されてもよい。
【0127】
なお、図10に示す処理フローが最初に実施されるとき、前回の省エネ移行回数STR1、STR2と前回の待機移行回数STB1、STB2とは、記憶されていない。このため、CPU53は、例えば、ステップS300からステップS310の処理を実施せず、ステップS312のみを実施してもよい。これにより、ステップS300により誤った増加率R1が算出されることを防止することができ、ステップS306により誤った増加率R2が算出されることを防止することができる。
【0128】
なお、CPU53は、図10に示す処理フローの最初の実施時に、今回の省エネ移行回数STR1、STR2を前回の省エネ移行回数STR1、STR2に設定し、今回の待機移行回数STB1、STB2を前回の待機移行回数STB1、STB2に設定してもよい。
【0129】
以上、この実施形態では、TPMデバイス54およびNFCデバイス772の寿命を予測する判定部532の予測精度が、省エネ移行回数STR1、STR2または待機移行回数STB1、STB2に起因して低下することを抑制することができる。これにより、TPMデバイス54またはNFCデバイス772の交換を促す警告メッセージが、寿命に到達していないにもかかわらず表示されることを抑制することができる。この結果、本来不要なサービスマンコールおよび部品交換を減らすことができ、無駄なコストの発生を抑制することができる。
【0130】
例えば、動作モードを待機モードから省エネモードに移行させるまでの時間であるスリープ移行時間が極端に短い場合、CPU53は、スリープ移行時間を長くすることを促す見直しメッセージをディスプレイ773に表示させる。スリープ移行時間が長めに変更されることで、動作モードが待機モードから省エネモードに移行する頻度を低減することができ、増加率R1を低減することができる。
【0131】
また、有効状態に設定された人感センサ775による人の検出頻度が極端に高い場合、CPU53は、人感センサ775を無効状態に設定することを促す見直しメッセージをディスプレイ773に表示させる。これにより、動作モードが省エネモードから待機モードに復帰する頻度を低減することができ、待機移行回数STB1、STB2の増加率R2を低減することができる。
【0132】
さらに、優先アプリにコピーアプリが設定され、待機モードへの復帰頻度が高い場合、CPU53は、コピーアプリの設定の解除を促す見直しメッセージをディスプレイ773に表示させる。これにより、例えば、省エネモード中にADF41が開かれた場合などであっても、待機モードへの復帰頻度を低減することができ、待機移行回数STB1、STB2の増加率R2を低減することができる。
【0133】
例えば、省エネモードに移行していないにもかかわらず、省エネ移行回数STR1が増加する不具合がある場合、CPU53は、記憶部69に保持された省エネ移行回数STR1を省エネ移行回数STR2に合うように正常な値に書き換える修正を行う。これにより、増加率R1を第3閾値以下にすることができ、ディスプレイ773に誤ったメッセージが表示されることを防止することができる。
【0134】
また、例えば、待機モードに移行していないにもかかわらず、待機移行回数STB1が増加する不具合がある場合、CPU53は、記憶部69に保持された待機移行回数STB1を待機移行回数STB2に合うように正常な値に書き換える修正を行う。これにより、増加率R2を第4閾値以下にすることができ、ディスプレイ773に誤ったメッセージが表示されることを防止することができる。
【0135】
CPU53は、TPMデバイス54への変化情報の書き込み要因の発生回数である合計値SUM1が第1閾値を超えた場合、TPMデバイス54の交換を促す警告メッセージをディスプレイ773に表示する。また、CPU53は、NFCデバイス772への変化情報の書き込み要因の発生回数である合計値SUM2が第2閾値を超えた場合、NFCデバイス772の交換を促す警告メッセージをディスプレイ773に表示する。これにより、画像形成装置100に搭載される部品のうち、SMART等により寿命が予測できないTPMデバイス54およびNFCデバイス772の寿命を予測することができる。
【0136】
本発明の態様は、例えば、以下の通りである。
<1>
装置全体の動作を制御する本体部と、表示部を含む操作部とを有し、通常モードと、通常モードより消費電力が小さい省エネルギーモードとに切り替え可能な情報処理装置であって、
前記本体部および前記操作部の少なくともいずれかに搭載され、少なくとも前記通常モードと前記省エネルギーモードとの相互の切り替え時に前記情報処理装置の動作状態の変化を示す変化情報が書き込まれ、書き込み回数に制限があるデバイスと、
前記デバイスへの前記変化情報の書き込み回数をカウントするカウント部と、
前記カウント部がカウントしたカウント値に基づいて、前記デバイスの寿命を予測する予測部と、
前記カウント値の増加率が所定の増加率を超えた場合、前記予測部の予測に使用する前記カウント値の妥当性を診断する自己診断部と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
<2>
前記自己診断部は、前記通常モードと前記省エネルギーモードとの相互の切り替えの頻度が高いことが前記増加率の増加の原因であると診断した場合、前記切り替えの頻度の低減を促すメッセージを前記表示部に表示させること
を特徴とする<1>に記載の情報処理装置。
<3>
前記自己診断部は、前記カウント部がカウントしたカウント値の増加率が前記所定の増加率を超えた場合、前記カウント値の増加率が前記所定の増加率以下になるように前記カウント値を修正すること
を特徴とする<1>または<2>に記載の情報処理装置。
<4>
前記カウント部がカウントした前記書き込み回数が所定の回数を超えたとき、前記デバイスの交換を促すメッセージを前記表示部に表示させる判定部を有すること
を特徴とする<1>ないし<3>のいずれか1項に記載の情報処理装置。
<5>
画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部の動作を制御する本体部と、表示部を含む操作部とを有し、通常モードと、通常モードより消費電力が小さい省エネルギーモードとに切り替え可能な画像形成装置であって、
前記本体部および前記操作部の少なくともいずれかに搭載され、少なくとも前記通常モードと前記省エネルギーモードとの相互の切り替え時に前記画像形成装置の動作状態の変化を示す変化情報が書き込まれ、書き込み回数に制限があるデバイスと、
前記デバイスへの前記変化情報の書き込み回数をカウントするカウント部と、
前記カウント部がカウントしたカウント値に基づいて、前記デバイスの寿命を予測する予測部と、
前記カウント値の増加率が所定の増加率を超えた場合、前記予測部の予測に使用する前記カウント値の妥当性を診断する自己診断部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
<6>
装置全体の動作を制御する本体部と、表示部を含む操作部とを有し、通常モードと、通常モードより消費電力が小さい省エネルギーモードとに切り替え可能な情報処理装置の制御方法であって、
前記本体部および前記操作部の少なくともいずれかに搭載され、少なくとも前記通常モードと前記省エネルギーモードとの相互の切り替え時に前記情報処理装置の動作状態の変化を示す変化情報が書き込まれ、書き込み回数に制限があるデバイスへの前記変化情報の書き込み回数をカウントし、
カウントしたカウント値に基づいて、前記デバイスの寿命を予測し、
カウントしたカウント値の増加率が閾値を超えた場合、予測に使用する前記カウント値の妥当性を診断すること
を特徴とする情報処理装置の制御方法。
<7>
前記診断により、前記通常モードと前記省エネルギーモードとの相互の切り替えの頻度が高いことが前記増加率の増加の原因であると判定した場合、前記切り替えの頻度の低減を促すメッセージを前記表示部に表示すること
を特徴とする<6>に記載の情報処理装置の制御方法。
【0137】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0138】
6 プリンタ部
20 起動スイッチ
51 制御基板
53 CPU
54 TPMデバイス
69 記憶部MEM-P
73 ネットワークインタフェース
75 近距離通信回路
77 操作部
77a パネル表示部
77b 入力パネル
79 エンジン制御部
100 画像形成装置
200 ネットワーク
300 外部サーバ
400 リモート管理装置
531 カウント部
532 判定部
533 警告発報部
534 スリープ移行タイマ
535 人感センサ設定部
536 優先アプリ設定部
771 CPU
772 NFCデバイス
773 ディスプレイ
774 キーボード
775 人感センサ
A1、A2 記憶領域
BT1、BT2 起動回数
FWU1 ファームウェアアップデート回数
NFU2 無線回数
STB1、STB2 待機移行回数
STR1、STR2 省エネ移行回数
【先行技術文献】
【特許文献】
【0139】
【特許文献1】特開2009-10756号公報
【特許文献2】特開2021-149749号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10