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特開2023-138301電磁波シールドの形成方法、構造体の製造方法、および構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138301
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】電磁波シールドの形成方法、構造体の製造方法、および構造体
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20230922BHJP
   H05K 3/10 20060101ALI20230922BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20230922BHJP
   H01L 23/00 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
H05K9/00 Q
H05K3/10 D
H05K3/28 D
H01L23/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191226
(22)【出願日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】P 2022042254
(32)【優先日】2022-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】中森 英雄
(72)【発明者】
【氏名】福田 智男
(72)【発明者】
【氏名】若林 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】竹内 弘司
(72)【発明者】
【氏名】志連 陽平
(72)【発明者】
【氏名】藤田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】平塚 弘行
(72)【発明者】
【氏名】田村 麻人
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 徹
【テーマコード(参考)】
5E314
5E321
5E343
【Fターム(参考)】
5E314AA27
5E314BB01
5E314BB11
5E314CC01
5E314DD06
5E314EE01
5E314FF21
5E314GG12
5E314GG17
5E321AA17
5E321AA22
5E321BB21
5E321BB41
5E321CC16
5E321GG05
5E343DD12
5E343ER14
5E343ER33
5E343ER35
5E343ER43
5E343FF05
5E343GG01
5E343GG13
(57)【要約】
【課題】シールド層200の剥がれや亀裂を低減すること。
【解決手段】
シールド層200の形成方法は、基材の外周面100における上面102と側面104に、インクジェットヘッド400により導電性材料を含むインク500を吐出して、複数の開口220を含む導電層210を形成する工程と、導電層210の表面から複数の開口220を介して基材の外周面100まで連続して形成され、基材の外周面100に接着される絶縁層230を形成する工程と、を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の表面における上面と側面に、複数の開口を含む導電層を形成する工程と、
前記導電層の表面から前記複数の開口を介して前記対象物の表面まで連続して形成され、前記対象物の表面に接着される絶縁層を形成する工程と、
を含む電磁波シールドの形成方法。
【請求項2】
前記導電層を形成する工程において、
前記対象物の表面における上面と側面に、付与部により導電性材料を含む液体組成物を吐出して、複数の開口を含む導電層を形成する請求項1記載の電磁波シールドの形成方法。
【請求項3】
前記導電層を形成する工程は、
前記付与部により、前記対象物の表面における前記上面および前記側面に交差する方向に、前記液体組成物を付与することを含む請求項2記載の電磁波シールドの形成方法。
【請求項4】
前記導電層を形成する工程では、前記複数の開口の大きさ、形状、向きおよび配置の少なくとも1つを不均一に形成する請求項1記載の電磁波シールドの形成方法。
【請求項5】
前記導電層を形成する工程の前に、付与部により液体組成物を吐出するパターンを作成する工程をさらに含む請求項1記載の電磁波シールドの形成方法。
【請求項6】
前記導電層を加熱することにより、前記導電層の体積抵抗率を低下させる工程をさらに含む請求項1記載の電磁波シールドの形成方法。
【請求項7】
前記対象物の表面に絶縁性のアンダーコート層を形成する工程を含み、
前記導電層を形成する工程では、前記アンダーコート層の表面に前記導電層が形成され、
前記絶縁層を形成する工程では、前記絶縁層は、前記導電層の表面から前記複数の開口を介して前記アンダーコート層の表面まで連続して形成される請求項1記載の電磁波シールドの形成方法。
【請求項8】
UV照射および加熱の少なくとも一方を行うことにより、請求項1記載の絶縁層、および請求項7記載のアンダーコート層の少なくとも一方を硬化させる硬化工程を更に含む電磁波シールドの形成方法。
【請求項9】
請求項1記載の電磁波シールドの形成方法を含む、電子部品を含む構造体の製造方法。
【請求項10】
対象物の表面における上面と側面の両方に形成され、複数の開口を含む導電層と、
前記導電層を覆う被覆部と、前記被覆部と連続して設けられて前記複数の開口の内部に充填される充填部を有し、前記充填部で前記対象物の表面に接着される絶縁層と、を備えた構造体。
【請求項11】
前記対象物が、電子部品または電子部品を収納するパッケージである、請求項10記載の構造体。
【請求項12】
前記複数の開口は、大きさ、形状、向きおよび配置の少なくとも1つが不均一に形成される請求項10記載の構造体。
【請求項13】
前記複数の開口の長径が10~1000umであり、面積率が3~40%である請求項10記載の構造体。
【請求項14】
前記対象物は、絶縁性のアンダーコート層を表面に備え、
前記導電層は、前記アンダーコート層の表面に設けられ、
前記絶縁層は、前記充填部で前記アンダーコート層の表面に接着される請求項10記載の構造体。
【請求項15】
前記導電層の厚みが0.05~10umである請求項10記載の構造体。
【請求項16】
前記導電層の体積抵抗率は10e-6~10e-3Ω・cmである請求項10記載の構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波シールドの形成方法、構造体の製造方法、および構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、配線パターンが形成されているプリント基板上に搭載され、複数設けられた端子を介して前記配線パターンと接続する半導体集積回路において、前記半導体集積回路の反プリント基板側の面を覆う形態に設けられた電磁波ノイズを遮蔽する遮蔽部と、前記遮蔽部と前記プリント基板上のグランドとを接続するための接続部とを有することを特徴とする電磁波ノイズの遮蔽部を備える半導体集積回路が記載されている。
【0003】
特許文献2には、導電層がインクジェット印刷を含むEMIシールドが記載されている。
【0004】
特許文献3には、PET基材層4の一方の面上に、アンダーコート層5と、インキ受容層6が設けられ、インキ受容層6の上に、導電性ペーストインキをスクリーン印刷して焼成することによって形成された格子状の電磁波シールドメッシュ層7が設けられている電磁波シールド材1が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001―127211号公報
【特許文献2】米国特許第9282630号明細書
【特許文献3】特許第5703050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、電磁波シールドのシールド性能と耐久性を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る電磁波シールドの形成方法は、電磁波シールドを形成する対象物、例えば電子部品やそれを包含する半導体パッケージなどの表面における上面と側面に、複数の開口を含む導電層を形成する工程と、導電層の表面から複数の開口を介して対象物の表面まで連続して形成され、対象物の表面に接着される絶縁層を形成する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1によれば、電磁波シールドのシールド性能と耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る電子機器の説明図である。
図2】本実施形態に係る他の電子機器の説明図である。
図3】本実施形態に係る電磁波シールドの形成方法の説明図である。
図4】本実施形態に係る電磁波シールドの断面図である。
図5】本実施形態に係る電磁波シールドの形成工程の説明図である。
図6】本実施形態に係る電磁波シールドにおける表4の印刷パターンAおよびBを示す図である。
図7】本実施形態に係る電磁波シールドにおける表4の印刷パターンCを示す図である。
図8】本実施形態に係る電磁波シールドにおける表4の印刷パターンDを示す図である。
図9】本実施形態に係る電磁波シールドにおける表4の印刷パターンDの他の例を示す図である。
図10】本実施形態に係る電磁波シールド効果の評価方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
高速通信である5Gや自動運転などに使用される電子部品が取り付けられていない状態のプリント配線板(PWB=printed wiring board)、電子部品がはんだ付けされた電子回路として動作するようになった状態のプリント回路板(PCB=printed circuit board)は、高い信頼性が要求されてきており、電子部品や配線から発生する電磁波による制御技術が知られている。また、製品の小型化や軽量化に伴い、PCB等も薄肉化や軽量化が要求されており、PCB等やPCB等に使用されている電子部品に電磁波シールドをする技術も知られている。
【0011】
すなわち、ICチップ、コンデンサー、抵抗、ダイオード、ソレノイド等の電子部品や電子機器における電子部品を収納する半導体パッケージ等、電子部品を含む構造体の電磁波シールドとして、シールドフィルム、金属キャップ、導電性塗料等の導電体、又は電磁波吸収体で覆うことも行われている。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る電子機器の説明図である。
【0013】
図1(a)に示すように、電子機器1は、半導体パッケージ110の外周面100上に、シールド層200および保護層300を備える。シールド層200は、半導体パッケージ110に含まれるグランド部100Gと電気的に接続される。保護層300は省略してもよく、シールド層200と一体で形成しても良い。
【0014】
図1(a)に示したシールド層200は、図1(b)に示すように、対象物である半導体パッケージ110の外周面100における上面と側面に所定パターンで形成された導電層210と、これを覆う絶縁層230とで構成されている。
【0015】
図1(b)に示した構成は、図1(c)に示すように、例えば、対象物に対して、水平に設置されたインクジェットヘッド400と左右斜めに設置されたインクジェットヘッド401と402が、半導体パッケージ110の外周面100における上面と側面に導電性材料を含むインク500、501、502を吐出することにより、外周面100における上面と側面にシールド層200を形成する。
【0016】
ここで、インク500、501、502は、導電性材料を含む液体組成物の一例であり、インクジェットヘッド400、401、402は、液体組成物を付与する付与部の一例である。また、シールド層200は導電層の一例である。
【0017】
図2は、本実施形態に係る他の電子機器の説明図である。
【0018】
図2(a)に示すように、電子機器1は、電子部品120と、基板130を備える。電子部品120に設けられた接続部125は、電子部品120が基板130に取り付けられることにより、基板130に設けられた配線135と電気的に接続する。
【0019】
電子部品120は、その外周面100上に、シールド層200を備え、シールド層200は、電子部品120のグラント部100Gに接続されており、電子部品120が基板130に取り付けられることにより、基板130に設けられた配線145と電子部品120に設けられたグラント部100Gが接続部155を介して電気的に接続する。電子部品120は、電子モジュールの一例である。あるいは、シールド層200は、電電子部品120と別体で構成されてもよい。この場合、電子部品120、およびシールド層200を含む構造体が構成される。
【0020】
図2(b)に示すように、本実施形態では、インクジェットヘッド400、401、402が、電子部品120の外周面100における上面と側面に導電性材料を含むインク500、501、502を吐出することにより、外周面100における上面と側面にシールド層200を形成する。
【0021】
ここで、省スペース、軽量化、生産性向上のため導電性塗料を直接電子部品にインクジェット工法で塗布する電磁波シールドが既に知られている。
【0022】
米国特許第9282630号明細書には、導電層がインクジェット印刷を含むEMIシールドが記載されているが、シールド層200の側面からのノイズの漏れによるシールド効果が無い事やシールド層200の側面塗膜の記載や剥がれや亀裂については言及が無い。
【0023】
シールド層200は、体積対抗率が小さい程、シールド効果が高く、その膜厚も薄くできる。そして、塗布等で体積抵抗の小さいシールド層200を形成する場合、加熱が必要になる。
【0024】
ここで、シールド層200の成膜時や電子機器1の使用時の熱に起因するシールド層200上下の接着面の熱膨張差による応力によって、シールド層200の剥がれや亀裂などのダメージが発生しやすいことや、元々、シールド層200自体の接着強度が十分でなく、薄膜化時の膜としての耐久性が劣るという課題があった。
【0025】
本実施形態は、シールド層200の側面からのノイズの漏れや剥がれや亀裂を低減することを目的とする。より具体的には、本実施形態は、インクジェット工法で直接電子部品に形成する電磁波シールド層の導電層のシールド効果改良と接着強度改良によるシールド層の物理的耐久性向上、導電層薄膜化による軽量化、導電層のパターン塗布による省資源化を目的とする。
【0026】
図3は、本実施形態に係る電磁波シールドの形成方法の説明図である。
【0027】
図3(a)に示すように、インクジェットヘッド400は、基材の外周面100の上面102の法線方向にインク500を吐出するように配置され、インクジェットヘッド401、402は、外周面100の上面102および側面104に交差する方向にインク501、502を吐出するように、インクジェットヘッド400を中心として図の左右に、インクジェットヘッド400に対して傾斜して配置される。ここで、温度や気流などの環境で外周面100への着弾の位置が変わるため、インクジェットヘッド401、402は、インクジェットヘッド400を中心として図の左右線対称に配置されていなくてもよい。
【0028】
そして、インクジェットヘッド400、401、402が、載置台600上に配置された外周面100に対して、載置台600を図中矢印の方向に移動させながら、インク500、501、502を付与することにより、外周面100における上面102にシールド層250を形成するとともに、外周面100における側面104にシールド層260を形成する。
【0029】
図3(b)は、載置台600上に配置された対象物を上から見た図であり、載置台600上に対して、菱形100Hになるように配置されている。
【0030】
図4は、本実施形態に係る電磁波シールドの断面図である。
【0031】
本実施形態のシールド層200は少なくとも電磁波を反射する導電層210、導電層210を保護し絶縁性を有する絶縁層230を含む。絶縁層230は、図1および図2に示した保護層300として構成されても良い。導電層は、図1および図2で説明したグランド部100Gと電気的接続される。対象の電子回路構成要素がグランド部100G以外の電子回路と接続する導電部を有する場合、絶縁性を確保するため、絶縁性樹脂からなるアンダーコート層150を設け、その上に順に導電層および絶縁層を設ける。
【0032】
図4(a)において、シールド層200に含まれる導電層210は、基材の外周面100における上面及び側面に設けられており、導電層210には複数の開口220が形成されている。
【0033】
また、シールド層200に含まれる絶縁層230は、導電層210の柱部212を覆う被覆部234と、被覆部234に連続して設けられて複数の開口220の内部に充填される充填部232を有し、充填部232で外周面100に接着される。
【0034】
図4(b)において、外周面100は、半導体パッケージ110または電子部品120の表面上に形成された絶縁性のアンダーコート層150を備え、シールド層200に含まれる導電層210は、アンダーコート層150の表面に設けられており、導電層210には複数の開口220が形成されている。
【0035】
また、シールド層200に含まれる絶縁層230は、導電層210の柱部212を覆う被覆部234と、被覆部234に連続して設けられて複数の開口220の内部に充填される充填部232を有し、充填部232でアンダーコート層150の表面に接着される。
【0036】
以上説明したように、本実施形態は、被覆部234と、充填部232を介して一体化した基材の外周面100またはアンダーコート層150の表面とで、導電層210を挟み込むことにより、シールド層200の剥がれや亀裂を低減することができる。
【0037】
本実施形態の導電層210の厚みは10um以下である。これは、1um以下で十分な電磁シールド効果があり、厚すぎるとコストアップになるからである。インクジェット塗布方法では、塗布量を任意に調節できるので、基材(電子基板)の外周面100に凹凸がある場合でも導電層210、シールド層200、充填部232においても厚みの変えることは少なく、十分なシールド効果と、接着性を保つことができる。
【0038】
また、導電層210を形成するための導電材を含むインクの固形分は50%以下であることも、薄い膜厚で斜め形状を形成することを難しくしている。
【0039】
図5は、本実施形態に係る電磁波シールドの形成工程の説明図である。図5(a)は、図4(a)に示したシールド層200の形成方法を示す。
【0040】
まず、外周面100を備える基材をワークとして、インクジェット装置にセットして(ステップS1)、ワークを洗浄する(ステップS2)。ワークの洗浄の実施例としては、エアー圧によるエアーブロー洗浄を用いたが、一般的な有機溶剤(アルコール類など)や粘着による粘着ローラ洗浄、プラズマ洗浄などを活用しても良い。
【0041】
次に、導電材520のインクジェット印刷パターンを作成する(ステップS3)。インクジェット印刷パターン作成工程で、電磁波シールドを設ける基材の外周面100に応じてグランド接続された導電層の連続する印刷パターンを作成する。
【0042】
そして、図3で説明したように、載置台600上に載置された基材の外周面100の上面102に対して、インクジェットヘッド400により導電性材料を含むインク500を付与し(ステップS4)、導電性材料を熱硬化して導電層210を形成する(ステップS5)。
【0043】
ここで、ステップS4のインク500の付与は、ステップS3で作成したインクジェット印刷パターンで行われ、ステップS5では、加熱により導電層の体積抵抗を低下させる。
【0044】
ステップS5は、付与前から外周面100を備える基材を加熱しておいても良く、また、付与後に加熱バッチ処理しても良い。インクジェット付与時に吐出される液滴の体積、速度の安定性を得るために、インクジェットヘッド、インク供給系を加熱して、インク500の粘度を制御しても良い。
【0045】
次に、導電層210の塗膜位置、膜厚等の膜状態について、外観・膜厚検査を行う(ステップS6)。
【0046】
そして、図3で説明したように、載置台600上に載置された基材の外周面100の上面102に対して、インクジェットヘッド400により絶縁性材料を含むインク500を付与し(ステップS7)、UV露光して絶縁性材料を硬化させ(ステップS8)、絶縁性材料を熱硬化して絶縁層230を形成する(ステップS9)。
【0047】
最後に、絶縁層230の塗膜位置、膜厚等の膜状態について、外観・膜厚検査を行う(ステップS10)。
【0048】
ここで、絶縁層230に印刷パターンが必要ない場合、ステップS7では、ディスペンサー、スプレー等の他の工法で塗布しても良い。
【0049】
UV硬化樹脂を含む絶縁性材料を付与する場合、付与直後にUV光照射を行うことによって、インクの流動性を抑え、所望の位置に無駄なく所望の膜厚で塗布することが可能になる。UV光照射する場合、付与後バッチ処理にUV光照射しても良く、UVランプ又はLEDを備えたインクジェットヘッドでインクジェット印刷しながらUV光照射しても良い。
【0050】
絶縁性材料が熱硬化樹脂を含む場合は加熱硬化させ、より密着性に優れ、より強靭で耐久性のある電磁波シールドの形成が可能となる。加熱工程は、インク付与前から外周面100を備える基材を加熱しておいても良く、また、インク付与後に加熱バッチ処理しても良い。
【0051】
図5(b)は、図4(b)に示したシールド層200の形成方法を示す。図5(b)に示すステップS11、S12、S17~S24は、図5(a)に示したステップS1~S10と同様であるため説明は省略し、ステップS13~S16について、以下に説明する。
【0052】
ステップS12のあとに、載置台600上に載置された半導体パッケージ110または電子部品120の表面上に、インクジェットヘッド400により絶縁性材料を含むインク500を付与し(ステップS13)、UV露光して絶縁性材料を硬化させ(ステップS14)、絶縁性材料を熱硬化してアンダーコート層150を形成する(ステップS15)。
【0053】
そして、アンダーコート層150の塗膜位置、膜厚等の膜状態について、外観・膜厚検査を行う(ステップS16)。
【0054】
アンダーコート層150に印刷パターンが必要ない場合、ステップS13では、ディスペンサー、スプレー等の他の工法で塗布しても良い。
【0055】
UV硬化樹脂を含む絶縁性材料を付与する場合、付与直後にUV光照射を行うことによって、インクの流動性を抑え、所望の位置に無駄なく所望の膜厚で塗布することが可能になる。UV光照射する場合、付与後バッチ処理にUV光照射しても良く、UVランプ又はLEDを備えたインクジェットヘッドでインクジェット印刷しながらUV光照射しても良い。本実施形態では、インクジェット印刷および光照射により、対象物の大きさ、表面の凹凸、に依らず、高精度に層形成ができる。また、導電層を含むシールド層は、構成(配置、密度、大きさなど)を部分的に変更し、複数の構成とすることができる。
【0056】
絶縁性材料が熱硬化樹脂を含む場合は加熱硬化させ、より密着性に優れ、より強靭で耐久性のある電磁波シールドの形成が可能となる。加熱工程は、インク付与前から半導体パッケージ110または電子部品120を加熱しておいても良く、また、インク付与後に加熱バッチ処理しても良い。
【0057】
<実施例>
<導電層>
導電層210は、金属ナノ粒子インク(Genesインク製_Smart Jet1、バンドー製SR7000、FutureInk製IJ100E、Pvnancell製I40DM等)、有機金属インク(InkTec製TC-IJ-010、Electronik製EI-1208等)を用いてインクジェット印刷で形成される。連続して面積方向に接続され、電磁波シールドとして機能する最小限のサイズの未印刷部を有するパターンを作成してインクジェット印刷を行う。
【0058】
導電層210のインクジェット印刷パターンにおける未印刷の開口部の長径の大きさは1~2000umである。
【0059】
開口部が大きくなると高周波数の電磁波をシールドできなくなり、開口部が小さくなると絶縁層によるサンドウィッチ接着効果が弱くなりシールド層の熱履歴による耐久性が低下するため、開口部の長径は好ましくは、5~1500um、より好ましくは10~1000umである。
【0060】
タッチパネル、ディスプレイ画面用のメッシュ形状で透光性のために開口部の面積率が40%以上の導電層を有する電磁波シールドが用いられることがあるが、本実施形態は電磁波が発生する部品に電磁波シールドを形成するものであり、その電磁波シールドの開口部面積率を小さくしてより高周波の電磁波をシールドすることができる高耐久電磁波シールドの実現を目的としている。
【0061】
開口部面積率を1~50%未満、より好ましくは3~40未満にした、任意の開口部の長径を有し、連続する印刷パターンで導電層を形成し、その上に絶縁層を設けることにより、高周波数に対応した高耐久電磁シールド層が実現できる。
【0062】
導電層のインクジェット印刷パターンとして、メッシュ構造、ディザ誤差拡散等、連続して面積方向に接続され、かつグランド接続されていれば、任意の形状のパターンで、シールド効果と、絶縁層と下地とのサンドウィッチによる接着強度アップの両立が可能となる。
【0063】
シールド性としては、周期性の強いメッシュ構造よりも周期性の少ないディザ誤差拡散によるパターンのほうが、特定波長のシールド漏れが少なくなる。シールドしたい電磁波周波数や電磁波強度に応じて、同一電磁波シールド内で異なる導電層印刷パターンを組み合わせて構成しても良い。
【0064】
任意の導電層印刷パターンを任意の場所に、更には5mm以下の凹凸ある部分に塗布するのはインクジェット印刷による塗布が好ましい。
【0065】
インクジェット印刷後、金属ナノ粒子インク、有機金属インクは加熱することにより、体積抵抗が10e-3Ω・cm以下となり、電磁波を充分に反射する導電層となる。
【0066】
金属粒子を100nm以下まで小さくすると、その金属のバルクよりも融点が低下する。そのため、金属ナノ粒子インクを加熱すると、インク溶媒が揮発するとともに金属ナノ粒子が濃縮され、さらに、ナノ粒子化による融点低下よりバルク金属より低い温度で金属ナノ粒子同士の表面が溶融して焼結し、導電バスが形成され、体積抵抗が小さくなる。
【0067】
金属ナノ粒子インクは塗布後の溶媒が揮発した濃縮状態を反映して焼成されるため、金属ナノ粒子インクを薄膜で均一に塗布し、溶媒揮発させることが望ましい。薄く均一に塗布するには、塗布時のインク粒子分布の広いスプレー方式よりも、インク粒子径を均一にできるインクジェット印刷方式のほうが優れている。
【0068】
インクジェット印刷後の加熱条件は80~180℃、10~60minである。導電層の体積抵抗が更に10e-5よりも小さくなると電磁波がより反射されやすくなり、導電層の膜厚を薄くすることができる。金属ナノ粒子としては、Au、Ag、Cu等使用でき、有機金属インクに関しては、Ag、Cu等の金属塩が使用できる。
【0069】
導電層は厚くすると成膜時にひび割れしやすくなり、薄くしすぎると電磁波反射の表皮効果によりシールド性が低下するため、導電層の膜厚は、0.01~20um、より好ましくは0.05~10umである。導電層の薄膜化は、シールド層の軽量化、金属材料の省資源化に繋がる。
【0070】
<絶縁層及びアンダーコート層>
絶縁層、アンダーコート層用絶縁インクとしては、互応化学製PR-1258(UV硬化及び熱硬化タイプ)、太陽インキ製IJSR4000(UV硬化及び熱硬化タイプ)、JNC製PA-1210-35(UV硬化タイプ)等のUV硬化、又は/及び、熱硬化タイプの絶縁性インクが使用できる。
【0071】
<絶縁層>
絶縁層は、パターニングされた導電層上に塗布され、導電層の開口部を通して、下地、電子部品又はアンダーコート層と接着し、導電層を含めサンドウィッチ状で接着し、結果として導電層の接着強度を向上する。
【0072】
絶縁層はインクジェット印刷、スプレー、ディスペンサー等の塗布方法で導電層上に形成される。導電層の開口部が微細である場合、開口部内部に絶縁層を充填させるのが課題になるが、インクジェット印刷によれば、流動性に優れたインクにより、開口部内部に絶縁層を充填させることが容易である。
【0073】
絶縁層は下地や、アンダーコート層との接着性の良いものが好ましく、機械強度、耐熱性に優れる、UV硬化、熱硬化する樹脂を含む塗料が好ましい。絶縁層の構成成分として、下地、アンダーコート層との接着性確保のため熱硬化樹脂が良く、熱硬化エポキシ系樹脂がより好ましく、また、絶縁層塗布後の塗料の濡れ広がりを防ぐため、UV硬化樹脂を含むものが良い。
【0074】
絶縁層が熱硬化及びUV硬化樹脂の両成分で構成された場合、UV光照射、加熱によって、濡れ広がり防止、下地、アンダーコートとの接着強度を両立することができ、シールド層の耐久性が向上し、シールド層と電子回路構成要素の緻密な位置合わせが可能になる。
【0075】
両硬化性樹脂を含む場合、硬化条件としてUV光照射は100~2000mJ/cm2、加熱130~180℃、10~60minである。
【0076】
<アンダーコート層>
対象の電子回路構成要素がグランド接続部以外の電子回路と接続する導電部を有する場合、絶縁性を確保するため、絶縁性樹脂からなるアンダーコート層を設け、その上に順に導電層、絶縁層を設ける。
【0077】
アンダーコート層はインクジェット印刷、スプレー、ディスペンサー等の塗布方法で電子回路構成要素上に形成される。
【0078】
アンダーコート層は電子回路構成要素、導電層、絶縁層との接着性が要求されるため、絶縁層と同様に、熱硬化樹脂が良く、熱硬化エポキシ系樹脂がより好ましく、また、アンダーコート層塗布後の塗料の濡れ広がりを防ぐため、UV硬化樹脂を含むものが良い。
【0079】
アンダーコート層が熱硬化及びUV硬化樹脂の両成分で構成された場合、UV光照射、加熱によって、濡れ広がり防止、下地、導電層、絶縁層との接着強度を両立することができ、シールド層の耐久性が向上し、シールド層と電子回路構成要素の緻密な位置合わせが可能になる。
【0080】
両硬化性樹脂を含む場合、硬化条件としてUV光照射は100~2000mJ/cm2、加熱130~180℃、10~60minである。
【0081】
表1は、図4(a)に示した電磁波シールドの実施例及び比較例における外周面100を備える基材、導電層、絶縁層及び評価結果を示す。
【0082】
【表1】
【0083】
表2は、図4(b)に示した電磁波シールドの実施例及び比較例における外周面100を備える基材、アンダーコート層、導電層、絶縁層及び評価結果を示す。
【0084】
【表2】
【0085】
表3は、表1および表2に示した基板の種類A~Eの詳細を示す。
【0086】
【表3】
【0087】
表4は、表1に示した導電層の印刷パターンA~Eの詳細を示す。
【0088】
【表4】
【0089】
図6は、本実施形態に係る電磁波シールドにおける表4の印刷パターンAおよびBを示す図である。
【0090】
図6に示すメッシュ形状の導電層210は、図4に示した複数の柱部212を連結する連結部214を複数備え、連結部214に囲まれて複数の開口220が形成されている。
【0091】
図6(a)に示す導電層210は、連結部214の幅が580μm、開口220が1000μm×1000μmに形成されており、開口面積率は40%である。
【0092】
図6(b)に示す導電層210は、連結部214の幅が125μm、開口220が100μm×100μmに形成されており、開口面積率は20%である。
【0093】
図7は、本実施形態に係る電磁波シールドにおける表4の印刷パターンCを示す図である。
【0094】
図7に示すディザ形状の導電層210には、不均一に配置された複数の開口220が形成されている。開口220は、10μm×10μm、長径14μmに形成されており、開口面積率は2.8%である。
【0095】
図7に示すディザ形状の導電層210は、図5のステップS3およびS17において、6×6ドットを1画素として、各画素240中の1ドット分をインク未付与領域として、インク未付与領域の位置が異なる4つの画素240を組み合わせた印刷パターンとして作成される。
【0096】
図8は、本実施形態に係る電磁波シールドにおける表4の印刷パターンDを示す図である。
【0097】
図8に示すディザ形状の導電層210には、不均一な向きの複数の開口220が形成されている。開口220は、10μm×長径100μmに形成されており、開口面積率は34.7%である。
【0098】
図8に示すディザ形状の導電層210は、図5のステップS3およびS17において、12×12ドットを1画素として、各画素240中の10ドット×5つ分をインク未付与領域として、インク未付与領域の向きが異なる4つの画素240を組み合わせた印刷パターンとして作成される。
【0099】
図9は、本実施形態に係る電磁波シールドにおける表4の印刷パターンDの他の例を示す図である。
【0100】
図9に示すディザ形状の導電層210には、不均一な向きの複数の開口220が形成されている。開口220は、長径99μmに形成されており、開口面積率は34.7%である。
【0101】
図9に示すディザ形状の導電層210は、図5のステップS3およびS17において、12×12ドットを1画素として、各画素240中の50ドット分をインク未付与領域として、インク未付与領域の向きが異なる4つの画素240を組み合わせた印刷パターンとして作成される。
【0102】
導電層210には、表4の印刷パターンA~Dを組み合わせて、不均一な大きさ、形状の複数の開口220が形成されていてもよい。
【0103】
<電磁波シールド効果の評価>
図10は、本実施形態に係る電磁波シールド効果の評価方法を示す図である。
【0104】
図10に示すように二つのシールドルーム310、320を用意し、その間に実施例、比較例で作製した試験サンプル305を配置する。ここで、試験サンプル305の導電層はグランド接続される。
【0105】
また、第1のシールドルーム310には送信アンテナ315を、第2のシールドルーム320には受信アンテナ325を配備し、その送信アンテナ315と受信アンテナ325を計測器330に接続した。送信アンテナ315と受信アンテナ325にはEMCO製のダブルリッジドガイドホーンアンテナを使用し、計測器330にはアンリツ製のベクトルネットワークアナライザ(37147A)を使用した。
【0106】
そして、電磁波を送信アンテナ315から送信して、周波数1~10GHzの間で計測を行い、その計測結果をPC340で処理し、電磁波の減衰率から電磁波シールド効果を評価した。
◎:電磁波の減衰率30dB以上を示す。
〇:電磁波の減衰率20dB以上30dB未満を示す。
△:電磁波の減衰率10dB以上20dB未満を示す。
×:電磁波の減衰率10dB未満を示す。
【0107】
<導電層の体積抵抗率の評価>
実施例、比較例で作製した試験サンプルをロレスタGP(三菱化学アナリテック製)で4端子法により測定した。
【0108】
<ヒートサイクル負荷付与方法>
実施例、比較例で作製した試験サンプルを温度制御できる恒温槽中で、10℃⇒100℃、100℃⇒10℃(昇温、降温それぞれ1時間間隔)を50回繰り返した。
【0109】
<接着性(クロスカット)の評価>
実施例、比較例で作製した試験サンプルに1mm角、100升ができるようにカッターで傷を入れ、ニチバン製テープを貼り付け、サンプル面に対し垂直にテープを引き剥がし、サンプルに残った升目の個数で評価した。
◎:サンプルに残った升目が75個以上を示す。
〇:サンプルに残った升目が50個以上75個未満を示す。
△:サンプルに残った升目が25個以上50個未満を示す。
×:サンプルに残った升目が25個未満を示す
【0110】
<実施例1~6、比較例1~3の作製> (アンダーコート層無し)
表3に示す40mm基板上に、導電材を、表4に示す印刷パターン、表1に示す膜厚でインクジェット印刷し、加熱処理を行い、導電層を設けた。導電層上に表1に示す絶縁層インクを表1に示す膜厚、工法(スピンコート、インクジェット印刷)で塗布し、表1に示す条件でUV硬化又は/及び熱硬化を行い実施例1~6、比較例1~3の試験サンプルを作製した。
【0111】
作製した試験サンプルにヒートサイクル負荷を与えた後に接着性(クロスカット)の評価を行った。更に、実施例、比較例の試験サンプルも用いて、図10に示した評価方法で、電磁シールド効果を評価して表1に示す結果を得た。
【0112】
尚、導電層の体積抵抗率の測定は、別途、次のように作製したサンプルで実施した。ガラス基板上に開口部あるパターン印刷ではなく、開口部ない全面印刷して導電層を設けた以外は、上記実施例、比較例同様に導電層を作成し、後述する評価方法で体積抵抗率を測定した。この結果も表1に示した。
【0113】
比較例1~3は何れも接着性が悪く、接着性が悪いことに起因して、導電層の一部が破損したり、剥離したりして、導電層の機能が損なわれることにより、電磁波シールド効果も良くない。
【0114】
<実施例7~10、比較例4~7の作製> (アンダーコート層有り)
表3に示す40mm基板上に、表2に示すアンダーコート層インクを表2に示す膜厚、工法(スピンコート、インクジェット印刷)で塗布し、表2に示す条件でUV硬化又は/及び熱硬化を行いアンダーコート層を作製した。アンダーコート層上に表1に示す実施例1および比較例1と同様に導電層、絶縁層を形成し、実施例7~8、比較例4~5の試験サンプルを作製した。
【0115】
作製した試験サンプルにヒートサイクル負荷を与えた後に接着性(クロスカット)の評価を行った。 更に、実施例、比較例の試験サンプルも用いて、後述する評価方法で、電磁シールド効果を評価した。結果を表2に示す。
【0116】
尚、導電層の体積抵抗率の測定は、別途、次のように作製したサンプルで実施した。ガラス基板上に開口部あるパターン印刷ではなく、開口部ない全面印刷して導電層を設けた以外は、上記実施例、比較例同様に導電層を作成し、後述する評価方法で体積抵抗率を測定した。この結果も表2に示す。
【0117】
比較例4~7は何れも接着性が悪く、接着性が悪いことに起因して、導電層の一部が破損したり、剥離したりして、導電層の機能が損なわれることにより、電磁波シールド効果も良くない。
【0118】
●まとめ●
[第1態様]
以上説明したように、本発明の一実施形態に係るシールド層200の形成方法は、基材の外周面100における上面102と側面104に、複数の開口220を含む導電層210を形成する工程と、導電層210の表面から複数の開口220を介して基材の外周面100まで連続して形成され、基材の外周面100に接着される絶縁層230を形成する工程と、を含む。
【0119】
ここで、シールド層200は電磁波シールドの一例であり、基材の外周面100は対象物の表面の一例であり、シールド層は導電層210の一例である。
【0120】
これにより、被覆部234と、充填部232を介して一体化した基材の外周面100とで、導電層210を挟み込むことにより、シールド層200の上面102と側面104における剥がれや亀裂を低減することができる。
【0121】
[第2態様]
第1態様において、導電層を形成する工程では、基材の外周面100における上面102と側面104に、インクジェットヘッド400、401、402により導電性材料を含むインク500、501、502を吐出して、複数の開口220を含む導電層210を形成する。ここで、インクジェットヘッド400、401、402は付与部の一例であり、インク500、501、502は、液体組成物の一例である。
【0122】
[第3態様]
第2態様において、導電層を形成する工程は、インクジェットヘッド401、402により、基材の外周面100における上面102と側面104に交差する方向に、インク501、502を付与することを含む。これにより、基材の外周面100における両側面104の全体に確実に導電層210を形成することができる。
【0123】
[第4態様]
第1態様~第3態様の何れかにおいて、導電層210を形成する工程では、複数の開口220の大きさ、形状、向きおよび配置の少なくとも1つを不均一に形成する。これにより、特定波長のシールド漏れが低減される。
【0124】
[第5態様]
第1態様~第4態様の何れかにおいて、導電層210を形成する工程の前に、インクジェットによりインク500を吐出するパターンを作成する工程をさらに含む。これにより、任意のパターンで導電層210を形成することができる。
【0125】
[第6態様]
第1態様~第5態様の何れかにおいて、導電層210を加熱することにより、導電層210の体積抵抗率を低下させる工程をさらに含む。これにより、導電層210を薄膜にしても、シールド層200のシールド効果を向上させることができる。
【0126】
[第7態様]
第1態様~第6態様の何れかにおいて、基材の外周面100に絶縁性のアンダーコート層150を形成する工程を含み、導電層210を形成する工程では、アンダーコート層150の表面に導電層210が形成され、絶縁層230を形成する工程では、絶縁層230は、導電層210の表面から複数の開口220を介してアンダーコート層150の表面まで連続して形成される。
【0127】
これにより、被覆部234と、充填部232を介して一体化したアンダーコート層150表面とで、導電層210を挟み込むことにより、シールド層200の剥がれや亀裂を低減することができる。
【0128】
[第8態様]
第1態様~第7態様の何れかにおいて、UV照射および加熱の少なくとも一方を行うことにより、絶縁層230、およびアンダーコート層150の少なくとも一方を硬化させる硬化工程を更に含む。
【0129】
これにより、絶縁層230と基材の外周面100の接着強度を向上させて、シールド層200の剥がれや亀裂をさらに低減することができる。
【0130】
[第9態様]
本発明の一実施形態に係る電子部品120を含む構造体の製造方法は、第1態様~第8態様の何れかの電磁波シールドの形成方法を含む。
【0131】
[第10態様]
本発明の一実施形態に係る構造体は、シールド層200が、基材の外周面100における上面と側面の両方にインクジェットにより形成され、複数の開口220を含む導電層210と、導電層210を覆う被覆部234と、被覆部234と連続して設けられて複数の開口220の内部に充填される充填部232を有し、充填部232で基材の外周面100に接着される絶縁層230と、を備える。
【0132】
[第11態様]
第10態様において、外周面100を備える基材は電子部品120または電子機器1における電子部品を収納する半導体パッケージ110である。
【0133】
[第12態様]
第10態様様または第11態様において、複数の開口220は、大きさ、形状、向きおよび配置の少なくとも1つが不均一に形成される。
【0134】
[第13態様]
第10態様~第12態様の何れかにおいて、また、複数の開口220の長径が10~1000umであり、面積率が3~40%である。このように、不均一な開口220や、微細な開口220を形成するのには、インクジェットが適している。また、微細な開口220の内部に充填部232を充填するのも、流動性に優れたインクを用いるインクジェットが適している。
【0135】
[第14態様]
第11態様~第13態様の何れかにおいて、外周面100を備える基材は、絶縁性のアンダーコート層150を表面に備え、導電層210は、アンダーコート層150の表面に設けられ、絶縁層230は、充填部でアンダーコート層150の表面に接着される。
【0136】
[第15態様]
第11態様~第14態様の何れかにおいて、導電層210の厚みは0.05~10umである。
【0137】
[第16態様]
第11態様~第15態様の何れかにおいて、導電層210の体積抵抗率は10e-6~10e-3Ω・cmである。このように、薄膜の導電層210を形成するのには、インクジェットが適している。
【符号の説明】
【0138】
1 電子機器
100 外周面
100G グランド部
110 半導体パッケージ
120 電子部品
125 接続部
130 基板
135 配線
150 アンダーコート層
200 シールド層
210 導電層
212 柱部
214 連結部
220 開口
222 縦幅
224 横幅
230 絶縁層
232 充填部
234 被覆部
240 画素領域
300 保護層
305 サンプル
310 第1のシールドルーム
315 送信アンテナ
320 第2のシールドルーム
325 受信アンテナ
330 計測器
340 PC
400 インクジェットヘッド(付与部の一例)
500 インク(液体組成物の一例)
600 載置台
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10