(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138305
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置及び液体吐出ヘッドの製造方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20230922BHJP
B41J 2/16 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
B41J2/14 611
B41J2/14 301
B41J2/14 607
B41J2/16 301
B41J2/16 507
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192148
(22)【出願日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】P 2022043180
(32)【優先日】2022-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】森 尚子
(72)【発明者】
【氏名】田中 誠
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AF93
2C057AG14
2C057AG29
2C057AG84
2C057AG91
2C057AP32
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】加圧液室を精度よく形成することができる液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置及び液体吐出ヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】液体吐出ヘッドは、ノズル2に連通する加圧液室4を有する基板などの流路基板100と、流路基板100のノズル側に積層され、加圧液室4の壁面の一部を構成する振動膜103と、振動膜103の加圧液室4の壁面を構成する側とは反対側の面に積層され、圧電部たる圧電膜52を一対の電極51,53で挟んだ圧電素子5とを有している。そして、圧電素子5の第一電極51の外径D2が、加圧液室4の内径D1よりも大きくなっている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルに連通する加圧液室を有する基板と、
前記基板のノズル側に積層され、加圧液室の壁面の一部を構成する振動膜と、
振動膜の加圧液室の壁面を構成する側とは反対側の面に積層され、圧電部を一対の電極で挟んだ圧電素子とを有する液体吐出ヘッドにおいて、
液体吐出方向から見たとき、前記圧電素子の一対の電極の少なくとも一方が、前記加圧液室よりも大きいことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載の液体吐出ヘッドにおいて、
液体吐出方向から見たとき、前記圧電素子の振動膜側と反対側の電極が、前記加圧液室よりも大きいであることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項3】
請求項2に記載の液体吐出ヘッドにおいて、
前記圧電素子の振動膜側と反対側の電極により前記圧電部を覆ったことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項4】
請求項1に記載の液体吐出ヘッドにおいて、
液体吐出方向から見たとき、前記圧電素子の振動膜側の電極が、前記加圧液室よりも大きいことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項5】
請求項1に記載の液体吐出ヘッドにおいて、
液体吐出方向から見たとき、前記圧電部は、前記加圧液室よりも小さいことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項6】
請求項1に記載の液体吐出ヘッドにおいて、
前記圧電素子の電極と配線とを電気的に接続するコンタクト部が、前記加圧液室の外側に設けられていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項7】
ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、及び、主走査移動機構の少なくとも一つと、液体吐出ヘッドとを備えた液体吐出ユニットにおいて、
前記液体吐出ヘッドとして、請求項1に記載の液体吐出ヘッドを用いることを特徴とする液体吐出ユニット。
【請求項8】
液体を吐出する装置において、
請求項1に記載の液体吐出ヘッド、又は、請求項7に記載の液体吐出ユニットを有することを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項9】
基板に振動部材を積層する工程と、
前記振動部材の前記基板側と反対側に圧電部を一対の電極で挟んだ圧電素子を形成する工程と、
前記圧電素子を駆動するための配線を形成する工程と、
前記圧電素子の一対の電極のいずれか一方をグランドに導通させた状態で、前記基板に加圧液室を形成する工程とを有することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の液体吐出ヘッドの製造方法において、
DRIEプロセスで前記基板に前記加圧液室を形成することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置及び液体吐出ヘッドの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ノズルに連通する加圧液室を有する基板と、基板のノズル側に積層され、加圧液室の壁面の一部を構成する振動膜と、振動膜の加圧液室の壁面を構成する側と反対側の面に積層され、圧電部を一対の電極で挟んだ圧電素子とを有する液体吐出ヘッドが知られている。
【0003】
特許文献1には、上記液体吐出ヘッドとして、圧電素子の一対の電極の外径が加圧液室の内径よりも小さいものが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、加圧液室を精度よく形成できないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、ノズルに連通する加圧液室を有する基板と、前記基板のノズル側に積層され、加圧液室の壁面の一部を構成する振動膜と、振動膜の加圧液室の壁面を構成する側とは反対側の面に積層され、圧電部を一対の電極で挟んだ圧電素子とを有する液体吐出ヘッドにおいて、液体吐出方向から見たとき、前記圧電素子の一対の電極の少なくとも一方が、前記加圧液室よりも大きいことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、加圧液室を精度よく形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態におけるノズル振動方式の液体吐出ヘッドを模式的に示す断面図。
【
図4】同液体吐出ヘッドの一実施例として、第一電極の外径のみを、加圧液室の内径よりも大きくした構成を示す図。
【
図5】圧電素子の外径が、加圧液室の内径よりも小さい構成を示す図。
【
図6】同液体吐出ヘッドの一実施例として、圧電素子の外径を、加圧液室の内径よりも大きくした構成を示す図。
【
図7】同液体吐出ヘッドの一実施例として、第二電極の外径のみを、加圧液室の内径よりも大きくした構成を示す図。
【
図8】液体吐出方向から見たときの加圧液室の形状が四角形状の液体吐出ヘッドにおいて、第一電極を、加圧液室よりも大きくした構成を示す図。
【
図9】液体吐出方向から見たときの加圧液室の形状が四角形状の液体吐出ヘッドにおいて、圧電素子を、加圧液室よりも大きくした構成を示す図。
【
図10】液体吐出方向から見たときの加圧液室の形状が四角形状の液体吐出ヘッドにおいて、第二電極を、加圧液室よりも大きくした構成を示す図。
【
図11】
図4示した圧電素子の場合の配線例を示す図。
【
図12】
図7に示した圧電素子の場合の配線例を示す図。
【
図13】第一電極が加圧液室の内径よりも小さい構成における第四コンタクト付近の拡大図。
【
図14】各電極に加圧液室の外側に延びる延長配線を設けて、加圧液室の外側に第四コンタクトおよび第五コンタクトとを設けた図。
【
図15】流路基板に駆動回路、配線部および振動膜を形成する工程について説明する図。
【
図16】振動膜の上に第一電極層、圧電層、および第二電極層を成膜する工程について説明する図。
【
図17】第一絶縁膜を成膜する工程について説明する図。
【
図18】複数のコンタクトを形成する工程について説明する図。
【
図19】引出し配線を形成する工程について説明する図。
【
図20】第二絶縁膜を成膜する工程について説明する図。
【
図21】ノズル形成部を成膜する工程について説明する図。
【
図22】ノズルとパッド開口を形成する工程について説明する図。
【
図23】加圧液室を形成する工程について説明する図。
【
図24】(a)は、本実施形態の加圧液室の形成について説明する図であり、(b)は、従来の加圧液室の形成について説明する図。
【
図25】本実施形態における印刷装置の概略説明図。
【
図26】同印刷装置のヘッドユニットの一例の平面説明図。
【
図29】本例の液体吐出ユニットの要部平面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を、液体を吐出する装置に設けられる液体吐出ヘッドに適用した一実施形態について説明する。
なお、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0009】
本実施形態における液体吐出ヘッドは、ノズルを有するアクチュエータ部により加圧液室の圧力を変動させることにより加圧液室内の液体をノズルから吐出するノズル振動方式の液体吐出ヘッドである。ノズル振動方式は、一般的なユニモルフ型ピエゾヘッド(加圧液室のノズルに連通する連通口を有する面に対向する面を振動させて液体を吐出するもの)に比べ小さい力で液滴が飛ばせるという特徴があり、アクチュエータの省電力化や高効率化を図ることができる。また、ノズル振動方式は、加圧液室の容積を小さくできることから、ヘッドの小型化、ノズルの高密度化なども図ることができる。
【0010】
図1は、本実施形態におけるノズル振動方式の液体吐出ヘッドを模式的に示す断面図であり、
図2は、液体吐出ヘッドを模式的に示す斜視図である。
液体吐出ヘッド1は、アクチュエータ部110、振動膜103、流路基板100と、フレーム部材120等を有している。
【0011】
アクチュエータ部110は、薄膜状であり、液体を吐出する複数のノズル2と、ノズル2の周囲に配置された環状の電気機械変換素子としての圧電素子5とを有している。流路基板100は、複数のノズル2に各々連通する複数の加圧液室(個別液室ともいう)4を有している。フレーム部材120は、複数の加圧液室4に通じる共通液室3を有している。
液体吐出ヘッド1の両端には、外部の電源等の電気部品と接続するための電気接続パッド6が設けられている。
【0012】
図3は、
図1のX部分の拡大断面図である。
流路基板100は、SOI(Silicon on Insulator)またはSiからなる基板であり、複数の加圧液室4が形成されている。また、流路基板100としてSOI基板を使用して、基板内に駆動回路および配線部等を設けてもよい。振動膜103は、流路基板100に成膜され、加圧液室4の壁面一部である下面を形成している。
【0013】
アクチュエータ部110は、複数のノズル2が形成され、圧電素子5を覆うノズル形成部(膜)111を有している。このノズル形成部111のノズル面に、撥液膜を形成してもよい。ノズル面に撥液膜を形成することで、ノズル面への液体の付着を抑制することができ、ノズル2から吐出した液体が、ノズル面に付着した液体の影響を受けるのを抑制することができる。液体の溶剤が水性の場合は、撥液膜の材料として、パーフルオロデシルトリクロロシランやパーフルオロオクチルトリクロロシランを用いることができる。
【0014】
アクチュエータ部110の圧電素子5は、第一電極51(下部電極ともいう)と、圧電膜52と、第二電極53(上部電極ともいう)とを有している。圧電素子5は第一絶縁膜8aに覆われている。
【0015】
第一絶縁膜8aは、圧電素子5と振動膜103を覆うように形成され、第一電極51に電気的に接続するための孔状の第一コンタクト7aと、第二電極53に電気的に接続するための孔状の第二コンタクト7bとが形成されている。この第一絶縁膜8aには、第一コンタクト7aで第一電極51に電気的に接続する配線としての第一引出し配線9aと、第二コンタクト7bで第二電極53に電気的に接続する第二引出し配線9bとが積層されている。
【0016】
第一引出し配線9aは、液体吐出ヘッド1の一端(
図1の左端)側のパッド開口10まで延びており、第一引出し配線9aのパッド開口10の部分が、外部の電源等の電気部品と接続するための電気接続パッド6となっている。第二引出し配線9bは、液体吐出ヘッド1の他端(
図1の右端)側のパッド開口まで延びており、第二引出し配線9bのパッド開口10の部分が、外部の電源等の電気部品と接続するための電気接続パッド6となっている。
【0017】
第一引出し配線9aと第二引出し配線9bとを覆う第二絶縁膜8bが設けられている。第二絶縁膜8bは、圧電素子5も覆っており、樹脂からなるノズル形成部111に侵入した水分(湿気)が圧電素子5へ侵入するのを防止して圧電素子5を保護する機能を有している。
【0018】
本実施形態では、圧電素子5の第一電極51の外径D2が加圧液室4の内径D1よりも大きくなっている。圧電膜52の外径は、加圧液室4の内径D1よりも小さく、第二電極53の外径は、圧電膜52の外径と同一となっている。
【0019】
また、液体により、加圧液室およびノズルの内周面が浸食される場合は、加圧液室およびノズルの内周面に耐液性の保護膜を設けてもよい。保護膜としては、不動体を形成する金属酸化物が挙げられる。金属酸化物の金属としては、酸化数への対応性が高いタンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hr)、タングステン(W)などが挙げられる。特にSiO2と似た価数を持つZrやHr、あるいはその前後の価数を持つTaなどが特に望ましい。
【0020】
また、保護膜が、親液性を有するのが好ましい。保護膜が親液性を有することで、液体の充填時に液体が、加圧液室4およびノズル2の内周面に濡れ広がやすくなる。その結果、液体の充填性を向上できる。液体の溶剤が水性の場合は、金属酸化物に二酸化ケイ素(SiO2)を分子レベルで混ぜたものを用いることができる。保護膜の表面のSiO2のOが置換され親水性を有するOH基を持つことで、保護膜に親水性を付与することができる。
【0021】
図4は、本実施形態の液体吐出ヘッドの一実施例として、第一電極の外径のみを、加圧液室の内径よりも大きくした構成を示す図である。
本実施形態では、圧電素子5の第一電極51の外径が、加圧液室4の内径よりも大きくし、
図4に示すように、液体吐出方向から見たとき、第一電極51を加圧液室4よりも大きくしている。
【0022】
ノズル側に圧電素子5を設けたノズル振動方式の液体吐出ヘッドは、吐出効率が高く、クロストークが低減された優れた吐出特性を実現するために、断面アスペクト比の高い(狭くて深い)加圧液室4を形成する必要がある。そのため、本実施形態では、後述するように、DRIE(Deep Reactive Ion Etching)により加圧液室4を形成している。DRIEは、イオンを電場で加速してエッチング対象にイオンを衝突させることで削っていくものである。しかし、このDRIEプロセスは、イオンにより削れたエッチング面が帯電する。エッチング面が帯電することで、電場が乱れ放出されたイオンが曲げられ、イオンにより削れて形成された凹部の側壁面の底面側端部が余計に削られてしまう所謂ノッチングや側壁面が弓状となる所謂ボーイングなどが発生するおそれがある。
【0023】
そこで、本実施形態では、後述するように、圧電素子5の一対の電極のいずれか一方を、グランドに導通させて、加圧液室4の形成を行い、流路基板100のエッチング表面のチャージアップを抑制している。しかし、
図5に示すように、圧電素子5の電極51,53の外径が加圧液室4の内径よりも小さい場合は、流路基板100のエッチング表面のチャージアップを十分に抑制できない場合があった。
【0024】
これに対し、本実施形態では、
図4に示したように、圧電素子5の第一電極51の外径を加圧液室4の内径よりも大きくしている。これにより、液体吐出ヘッドの液体吐出方向から見たとき、第一電極51が加圧液室4よりも大きくなり、DRIEで加圧液室4を形成するときの流路基板100のイオンが衝突する範囲よりも第一電極51を大きくできる。よって、加圧液室4を形成する際に、第一電極51をグランドに導通させることで、
図5に示す構成に比べて、流路基板100のエッチング表面の電荷が、電極に逃げやすくできる。これにより、流路基板100のエッチング表面のチャージアップを抑制することができ、より精度よく加圧液室4を形成することができる。
【0025】
本実施形態では、第一電極51を加圧液室4の内径よりも大きくしているが、
図6に示すように、第一電極51、圧電膜52および第二電極53を加圧液室4の内径よりも大きくし、圧電素子5自体を、加圧液室4の内径よりも大きくてもよい。また、
図7に示すように、第二電極53のみを、加圧液室4の内径よりも大きくしてもよい。なお、
図7では、圧電素子5の構成をわかりやすくするため、第二電極53の1/4を切り欠いて表示しているが、実際は、第一電極51および圧電膜52は全体が第二電極53に覆われている。
【0026】
図6に示す構成においては、第一電極51または第二電極をグランドに導通させて、加圧液室4の形成を行うことで、良好に流路基板100のエッチング表面のチャージアップを抑制することができる。また、
図7に示す構成においては、第二電極53をグランドに導通させて、加圧液室4の形成を行うことで、良好に流路基板100のエッチング表面のチャージアップを抑制することができる。
【0027】
なお、
図4、
図7に示すように、圧電膜52の外径は、加圧液室4の内径よりも小さくするのが好ましい。圧電膜52の外径を、加圧液室4の内径よりも小さくすることで、
図6に示す圧電膜52が加圧液室4の内径より大きくなっている構成に比べて、振動効率・吐出効率を大幅に高めることができる。加圧液室4の内径に対して圧電膜52の外径を約80%とすることで、最も振動効率・吐出効率を高くすることができる。
【0028】
一般的なユニモルフ型ピエゾヘッド(加圧液室のノズルに連通する連通口を有する面に対向する面を振動させて液体を吐出するもの)は、圧電素子5や配線パターンはインクと接触しない場所に設置されているため、それほど防湿は必要とされない(圧電素子5を防湿性の保護膜で全面覆う必要がない)。しかし、ノズル振動方式では、防湿を考慮する必要があり、防湿性の保護膜で圧電素子5を全面覆うことが一般的である。
【0029】
しかし、
図7に示すように、第二電極53の外径を第一電極51および圧電膜52よりも大きくすることで、第二電極53により圧電膜52を覆うことができ、第二電極53により、圧電膜52をノズル形成部111に進入した湿気から保護することができる。このように、第二電極53を、圧電膜52を湿気から保護する保護膜(防湿膜)として機能させることができ、防湿性の保護膜が不要となる。これにより、防湿性の保護膜を形成する場合に比べて、アクチュエータ部110を薄くすることができる。これにより、振動膜103が変形しやすくなり、振動効率を高めることができる。
【0030】
第一電極51と第一引出し配線9aとを接続する第一コンタクト7aは、第一電極51の外側端部付近に設けられ、第二電極53と第二引出し配線9bとを接続する第二コンタクト7bは、第二電極53の外側端部付近に設けられる。
【0031】
図8、
図9、
図10は、液体吐出ヘッドの液体吐出方向から見たときの加圧液室4の形状が、略四角形状の場合の実施例を示している。
図8は、液体吐出方向から見たとき第一電極51を加圧液室4よりも大きくした例を示しており、
図9は、液体吐出方向から見たとき第一電極51、圧電膜52および第二電極53を加圧液室4よりも大きくした例を示している。また、
図10は、液体吐出方向から見たとき第二電極53のみを、加圧液室4よりも大きくして例を示している。なお、
図10では、圧電素子5の構成をわかりやすくするため、第二電極53の1/4を切り欠いて表示しているが、実際は、第一電極51および圧電膜52は全体が第二電極53に覆われている。
【0032】
図8に示す構成においても、
図4に示した実施例と同様に、第一電極51をグランドに導通させて、加圧液室4の形成を行うことで、良好に流路基板100のエッチング表面のチャージアップを抑制することができる。また、
図9に示す構成においては、
図6に示した実施例と同様、第一電極51または第二電極53をグランドに導通させて、加圧液室4の形成を行うことで、良好に流路基板100のエッチング表面のチャージアップを抑制することができる。また、
図10に示す構成においては、
図7に示す構成と同様、第二電極53をグランドに導通させて、加圧液室4の形成を行うことで、良好に流路基板100のエッチング表面のチャージアップを抑制することができる。また、
図10に示す構成では、
図7に示した構成と同様、第二電極53により圧電膜52を覆うことができ、第二電極53により、圧電膜52をノズル形成部111に進入した湿気から保護することができる。
【0033】
なお、
図8に示す構成では、加圧液室4よりも大きい第一電極51は、液体吐出方向から見たとき略四角形状とし、加圧液室4よりも小さい圧電膜52および第二電極53は、液体吐出方向から見たとき円形状としている。しかし、加圧液室4よりも小さい圧電膜52および第二電極53も液体吐出方向から見たとき、加圧液室4と相似形の四角形状としてもよい。また、
図10に示す構成も、加圧液室4よりも小さい圧電膜52および第一電極51を、加圧液室4と相似形の四角形状としてもよい。
【0034】
なお、加圧液室4および圧電素子の第一電極51、圧電膜52および第二電極53の液体吐出方向から見たときの形状は、略四角形状や円形状に限られず、例えば、正五角形状や、正六角形状等、装置の構成に応じて、適宜、設定すればよい。
【0035】
図11は、
図4示した圧電素子の場合の配線例を示す図であり、
図12は、
図7に示した圧電素子の場合の配線例を示す図である。なお、この
図12については、
図7と同様に圧電素子5の構成をわかりやすくするため、第二電極53の1/4を切り欠いて表示しているが、実際は、第一電極51および圧電膜52は全体が第二電極53に覆われている。
【0036】
図4に示す圧電素子では、第二電極53が加圧液室4の内径よりも小さいため、
図11に示すように、第二引出し配線9bが、圧電素子5の駆動により振動膜103が振動する領域に形成される。一方、
図7に示す圧電素子では、第一電極51が加圧液室4の内径よりも小さいため、
図12に示すように、第一引出し配線9aが、圧電素子5の駆動により振動膜103が振動する領域に形成される。
【0037】
そのため、
図4に示す圧電素子の構成では、第二引出し配線9bが振動膜103の振動に影響を与えるおそれがあり、
図7に示す圧電素子の構成では、第一引出し配線9aが、振動膜103の振動に影響を与えるおそれがある。
図11の(a)や(b),
図12の(a)や(b)に示すように、引出し配線9a,9bを、電極51,53の円周方向に対して直角に引き出すことで、振動膜103の振動領域における引出し配線の面積を最小限に抑えることができ、振動膜103の振動の影響を最小限に抑えることができる。なお、
図4に示す圧電素子の構成では、第二引出し配線9bのみ電極の円周方向に対して直角に引き出すようにし、
図7に示す圧電素子の構成では、第一引出し配線9aのみ電極の円周方向に対して直角に引き出すようにしてもよい。
【0038】
さらに、
図11(b)、
図12(b)に示すように、第一引出し配線9aと第二引出し配線9bとを圧電素子5の円周方向に180°相対位置関係に配置するのが好ましい。このように、第一引出し配線9aと第二引出し配線9bとを配置することで、振動膜103の振動の線対象性を極力維持することができ、吐出性能の不安定化を抑制することができる。
【0039】
図8、
図10に示す構成においても、各引き出し配線9a,9bを、
図11(a),
図12(a)に示した構成と同様な構成とすることで、振動膜103の振動領域における引出し配線の面積を最小限に抑えることができる。また、
図11(b),
図12(b)に示した構成と同様な構成とすることで、吐出性能の不安定化を抑制することができる。
【0040】
図11に示す構成では、ノズル面側から見たとき、第二コンタクト7bが加圧液室4の内側に形成され、
図12に示す構成では、ノズル面側から見たとき、第一コンタクト7aが加圧液室4の内側に形成される。このように、コンタクトが加圧液室の内側に形成される構成では、以下のような課題が発生するおそれがある。
【0041】
図13は、第一電極51が加圧液室4の内径よりも小さい構成における第一コンタクト7a付近の拡大図である。
加圧液室4の内側は、圧電素子5の駆動により振動膜103が振動する箇所である。振動膜103が振動することで、アクチュエータ部110の振動膜103の加圧液室4の内側の部分に積層されている部分が振動膜103とともに変位する。コンタクトが加圧液室4の内側にあると、第一引出し配線9a、第一コンタクト7aも振動膜103とともに変形することになる。第一引出し配線9aは、第一絶縁膜8aに形成された丸孔状の第一コンタクト7aを介して第一電極51に電気的に接続されている構成である。よって、第一引出し配線9aと第一コンタクト7aとの接合や、第一電極51と第一コンタクト7aとの接合が弱く、接合の信頼性が確保しずらい。そのため、第一コンタクト7aが、加圧液室4の内側にあり、振動膜103とともに変位すると、
図13に示すように第一コンタクト7aと第一引出し配線9aとの接合が外れしまうおそれがあるという課題がある。なお、
図13では、第一コンタクト7aと第一引出し配線9aとの接合が外れているが、構成によっては、第一電極51と第一コンタクト7aとの接合が外れるおそれもある。
【0042】
また、
図11に示すように、第二電極53が加圧液室4の内径よりも小さい構成では、第二コンタクト7bと第二引出し配線9bとの接合や、第二コンタクト7bと第二電極53との接合が外れるおそれがある。
【0043】
そのため、
図14に示すように、各電極51,53に加圧液室4の外側に延びる延長配線51a,53aを設け、振動膜103が変位しない隣接する加圧液室4を仕切る側壁の領域に、第一コンタクト7aおよび第二コンタクト7bとを設けるのが好ましい。なお、
図14は、
図7と同様に、同様に圧電素子5の構成をわかりやすくするため、第二電極53の1/4を切り欠いて表示しているが、実際は、第一電極51および圧電膜52は全体が第二電極53に覆われている。また、
図14では、各電極51,53に加圧液室4の外側に延びる延長配線51a,53aを設けているが、第二電極53と第二引出し配線9bとの接合は、
図12と同様にして、第一電極51のみ延長配線51aを設ける構成としてもよい。また、
図11に示す構成では、第二電極53にのみ延長配線53aを設ける構成としてもよい。
【0044】
また、延長配線53aも、
図14に示すように、電極51,53の円周方向に対して直角に引き出すことで、振動膜103の振動領域における延長配線51a,53aの面積を最小限に抑えることができ、延長配線が、振動膜103の振動に与える影響を最小限に抑えることができる。また、
図14(b)に示すように、第一電極の延長配線51aと第二電極の延長配線53aとを圧電素子5の円周方向に180°相対位置関係に配置するのがより好ましい。このように、延長配線51a,53aを配置することで、振動膜103の振動の線対象性を極力維持することができ、吐出性能の不安定化を抑制できる。
図8、
図10に示す構成においても、
図14に示すように、延長配線51a,53aを配置することで、振動膜103の振動の線対象性を極力維持することができ、吐出性能の不安定化を抑制できる。
【0045】
液体吐出ヘッド内に満たされた液体は、ノズル2に入り込み、ノズル内でメニスカスを形成している。圧電素子5の各電極に所定の駆動波形(電圧)を印加することで、圧電膜52が振動し、振動膜103が
図3中上下方向に振動する。振動膜103が振動することで加圧液室室内の液体に圧力変化が発生し、ノズル2から液体が吐出される。
【0046】
次に、本実施形態の液体吐出ヘッドの製造方法について説明する。
図15~
図24は、本実施形態の液体吐出ヘッドの製造工程を説明するためのノズル孔の並び方向に対して直交する断面を示す断面図である。
【0047】
まず、
図15に示すように、流路基板100に振動膜103を成膜する。振動膜103の材質としては、SiO
2やSiN、金属酸化物や樹脂など少なくとも絶縁性を持つ材質であれば良い。しかし、変位を大きくするためにはヤング率が低い材料が望ましく、かつ流路基板100との線膨張係数の差を考えるとその差が比較的小さいSiO
2(二酸化ケイ素)が、振動膜103の材質として最も望ましい。
【0048】
次に、
図16に示すように、振動膜103の上に第一電極層151、圧電層152、および第二電極層153を成膜する。第一電極層151と第二電極層153は電気抵抗が小さく反応性の低い金属が望ましく、Ir、Moなどの金属が望ましい。
【0049】
圧電層152を構成する圧電材料としては、PZTやAlN等が挙げられる。密度向上のために流路基板100に駆動回路や配線部を内蔵する場合は、それらを破壊しないために、その成膜温度が450℃以下である圧電材料が望ましく、成膜温度が450℃以下であるAlNが好ましい。
【0050】
また、圧電材料としてAlNを用いることで、次の利点も得ることができる。すなわち、圧電膜52の結晶配向を揃えることで圧電特性を向上することができるが、その配向制御のために振動膜103と第一電極51の間に配向制御層を設ける場合がある。圧電膜52の圧電材料がAlNのとき、配向制御層としてもAlNを用いることで、Moからなる第一電極51の格子定数をAlNに近づけることができる。その結果、圧電膜52の結晶配向が揃い、圧電特性の向上が可能となる。
【0051】
第一電極層151、圧電層152、第二電極層153の成膜は、スパッタリング法やゾルゲル法を用いることができる。後者は成膜温度が高温となるため、流路基板100に駆動回路や配線部を内蔵する場合は、スパッタリング法を用いて成膜するのが望ましい。
【0052】
第一電極層151、圧電層152および第二電極層153を成膜したら、
図17に示すように、それらを適した形状に成形して第一電極51と圧電膜52と第二電極53とからなる圧電素子5を得る。第一電極層151、圧電層152および第二電極層153をホトリソとエッチングにより加工することで容易に所望の形状の第一電極51,圧電膜52および第二電極53を得ることができる。エッチングにはウェットエッチングとドライエッチングがあるが、後者は電極51,53と圧電膜52の腐蝕を抑えることができため、ドライエッチングが好ましい。ドライエッチングの後はその加工による残渣が残りやすいことから、残渣除去のため成形後に洗浄工程を入れてもよい。
【0053】
第一電極51、圧電膜52、第二電極53の成形後、
図17に示すように第一絶縁膜8aを成膜する。第一絶縁膜8aは、振動膜103と同様に絶縁性を持ち、ヤング率が小さく、線膨張係数が構成材料に近いものが望ましいことから、振動膜103と同一のSiO
2を用いるのが好ましい。
【0054】
第一絶縁膜8aを形成したら、
図18に示すように、ホトリソとエッチングにより第一絶縁膜8aに孔形状の第一コンタクト7aと第二コンタクト7bを形成する。また、振動膜103にノズル2を形成するためのノズル形成穴103aも成形する。
【0055】
次に、
図19に示すように、第一引出し配線9a、第二引出し配線9bを形成する。各引出し配線9a,9bの材料はAlやAlCu合金が一般的である。この工程により、第一引出し配線9aが、第一コンタクト7aを介して第一電極51に電気的に接続し、第二引出し配線9bが、第二コンタクト7bを介して第二電極53に電気的に接続する。
【0056】
次に、
図20に示すように、各引出し配線9a,9bと圧電素子5を覆うように、第二絶縁膜8bを形成する。この第二絶縁膜8bも第一絶縁膜8aと同様にSiO
2を用いても良いが、湿度に対する信頼性向上のために、半導体の保護膜として広く用いられている防湿性を有するSiNを用いることが望ましい。第二絶縁膜8bとして、絶縁性と防湿性の2つの機能を有することで、第二絶縁膜8bの上に防湿性の保護膜を形成する場合に比べて、アクチュエータ部110を薄くすることができる。これにより、振動膜103が変形しやすくなり、振動効率を高めることができる。また、
図7に示した第二電極53で圧電膜52を覆うことで、圧電膜を保護する構成では、第二絶縁膜8bを第一絶縁膜8aと同一の材料でよく、防湿性を有していなくてもよい。次に、ホトリソとエッチングにより電気接続パッド6を形成する。
以上の工程で、圧電素子5を駆動することが可能となる。
【0057】
次に、
図21に示すように、ノズル形成のためのノズル形成部111を成膜する。ノズル形成部111は、スピンコートで成膜し、ノズル形成部111は、スピンコートで塗れる樹脂を用いることが望ましく、耐薬品性の観点から、SU8(厚膜レジスト)やBCB(ベンゾシクロブテン)などが望ましい。そして、
図22に示すように、ノズル2とパッド開口10をエッチングにより形成する。ノズル2とパッド開口10のエッチングはドライエッチングにより形成する。
【0058】
次に、
図23に示すように、Siエッチングにて流路基板100を加工して、丸穴状の複数の加圧液室4を形成する。加圧液室4は、吐出効率やクロストークの低減等のために、断面のアスペクト比を高く(液室の直径に対して、液室の深さを深く)する必要がある。そのため、本実施形態では、DRIE(Deep Reactive Ion Etching)により加圧液室4を形成している。このDRIEでは、エッチングガスとして、CF4やC4F8などのCF系ガス、SF6などのSF系ガスを用いる。
【0059】
図24(a)は、本実施形態における加圧液室の形成について説明する図であり、
図24(b)は、従来の加圧液室の形成について説明する図である。
図24(a)に示すように、本実施形態では、電気接続パッド6をグランドに導通させて、加圧液室4の形成を行う。
DRIEは、イオンエッチングであり、
図24(b)に示す従来例では、エッチングを進めるほど(=深堀りするほど)、エッチング表面がチャージアップしエッチング領域近傍の電場が乱れる。その結果、
図24(b)の矢印に示すように、エッチング領域近傍の電場の乱れによりイオンが曲げられてしまい、加圧液室4の側壁の振動膜側端部が余計に削れる所謂ノッチングや、加圧液室4の壁面が弓状に湾曲するボーイングなどが発生するおそれがある。そのため、
図24(b)に示す従来例では、加圧液室4を精度よく成形できず、所望の吐出特性を得られないおそれがある。
【0060】
これに対し、本実施形態では、加圧液室4の形成前に、圧電素子5、引出し配線9a,9bおよび電気接続パッド6等を形成し、圧電素子5を駆動可能(電圧印加可能)な状態としている。そのため、
図24(a)に示すように、圧電素子5の一対の電極のいずれか一方を、グランドに導通させて、加圧液室4の形成を行うことができる。これにより、流路基板100のエッチング表面のチャージアップが抑制され、エッチング領域近傍の電場の乱れを抑制することができる。その結果、放出されたイオンの曲がりを抑制でき、ノッチングやボーイングの発生を抑制でき、精度よく加圧液室4を成形することができ、所望の吐出特性を得ることができる。
【0061】
本実施形態では、圧電素子5の一対の電極のいずれか一方の外径が、加圧液室4の内径よりも大きくなっており、圧電素子5の一対の電極のうち、加圧液室4の内径よりも大きい電極をグランドに導通させて、加圧液室4の形成を行う。流路基板100のエッチング表面の電荷が、電極に逃げやすくでき、DRIEにより形成された加圧液室4の側壁面の帯電(チャージアップ)を良好に抑制できる。これにより、放出されたイオンが曲がることなく、流路基板100をエッチングすることができ、精度よく加圧液室4を形成することができる。
【0062】
その後は、必要に応じてノズル2や加圧液室4の内周面に保護膜を成膜したり、ノズル面に撥水膜を形成したりする。そして、流路基板100の裏面に共通液室3が形成されたフレーム部材120を接合するなどして、液体吐出ヘッド1が形成される。
【0063】
ノズル振動方式の液体吐出ヘッドは、ノズルを有するアクチュエータ部110と、流路基板100との位置精度が大きく吐出特性に影響するため、製造時に高い寸法精度が必要となる。そのため、ノズルを有するアクチュエータ部110を、加圧液室4を有する流路基板100に接合することで、液体吐出ヘッドを形成する場合では、高精度接合の工程が必要となる。これに対し、本実施形態では、流路基板100にアクチュエータ部110を構成する材料を順次成膜して、所定の加工を施すことで、流路基板100に直接、アクチュエータ部110を形成している。これにより、高精度接合工程が不要となり、容易に液体吐出ヘッドを形成することができる。
【0064】
なお、
図12に示したように、第二電極53の径を、圧電膜52および第一電極51よりも大きくして、第二電極53により圧電膜52を覆う構成の場合は、例えば、次のように製造する。すなわち、振動膜103に第一電極層151と圧電層152のみを成膜し、第一電極51と圧電膜52を形成後、第一絶縁膜8aを成膜およびエッチングにより所定の形状に成形する。そして、第二電極層153を成膜後にエッチングして、圧電膜52を覆う第二電極53を形成する。
【0065】
次に、本発明に係る液体を吐出する装置の一例について、
図25及び
図26を参照して説明する。
図25は、本実施形態における液体を吐出する装置としてのインクジェット記録装置である印刷装置の概略説明図である。
図26は、本実施形態の印刷装置のヘッドユニットの一例の平面説明図である。
【0066】
この液体を吐出する装置である印刷装置500は、連続体510を搬入する搬入手段501と、搬入手段501から搬入された連続体510を印刷手段505に案内搬送する案内搬送手段503とを備えている。また、印刷装置500は、連続体510に対して液体を吐出して画像を形成する印刷を行う印刷手段505と、連続体510を乾燥する乾燥手段507と、連続体510を搬出する搬出手段509なども備えている。
【0067】
連続体510は搬入手段501の元巻きローラ511から送り出され、搬入手段501、案内搬送手段503、乾燥手段507、搬出手段509の各ローラによって案内、搬送されて、搬出手段509の巻取りローラ591にて巻き取られる。この連続体510は、印刷手段505において、搬送ガイド部材559上をヘッドユニット550に対向して搬送され、ヘッドユニット550から吐出される液体によって画像が印刷される。
【0068】
本実施形態の印刷装置500では、ヘッドユニット550に、上述した本実施形態に係る2つのヘッドモジュール100A,100Bを共通ベース部材552に備えている。
【0069】
そして、ヘッドモジュール100A,100Bの搬送方向と直交する方向における液体吐出ヘッド1の並び方向をヘッド配列方向とするとき、ヘッドモジュール100Aのヘッド列1A1,1A2で同じ色の液体を吐出する。同様に、ヘッドモジュール100Aのヘッド列1B1、1B2を組とし、ヘッドモジュール100Bのヘッド列1C1、1C2を組とし、ヘッド列1D1、1D2を組として、それぞれ所要の色の液体を吐出する。
【0070】
次に、本発明に係る液体を吐出する装置としての印刷装置の他の例について、
図27及び
図28を参照して説明する。
図27は、本例の印刷装置の要部平面説明図である。
図28は、本例の印刷装置の要部側面説明図である。
【0071】
本例の印刷装置500は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
【0072】
このキャリッジ403には、本発明に係る液体吐出ヘッド1及びヘッドタンク441を一体にした液体吐出ユニット440を搭載している。液体吐出ヘッド1は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。また、液体吐出ヘッド1は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。液体吐出ヘッド1は、液体循環装置と接続されて、所要の色の液体が循環供給される。
【0073】
この印刷装置500は、用紙410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。搬送ベルト412は用紙410を吸着して液体吐出ヘッド1に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エアー吸引などで行うことができる。そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
【0074】
さらに、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方に液体吐出ヘッド1の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。維持回復機構420は、例えば液体吐出ヘッド1のノズル面をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパ部材422などで構成されている。また、主走査移動機構493、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
【0075】
このように構成した印刷装置500においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向に搬送される。そこで、キャリッジ403を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド1を駆動することにより、停止している用紙410に液体を吐出して画像を形成する。
【0076】
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの他の例について、
図29を参照して説明する。
図29は、本例の液体吐出ユニットの要部平面説明図である。
【0077】
この液体吐出ユニット440は、前記液体を吐出する装置を構成している部材のうち、側板491A、491B及び背板491Cで構成される筐体部分と、主走査移動機構493と、キャリッジ403と、液体吐出ヘッド1で構成されている。
【0078】
なお、この液体吐出ユニット440の例えば側板491Bに、前述した維持回復機構420を更に取り付けた液体吐出ユニットを構成することもできる。
【0079】
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの更に他の例について、
図30を参照して説明する。
図30は、本例の液体吐出ユニットの正面説明図である。
【0080】
この液体吐出ユニット440は、流路部品444が取付けられた液体吐出ヘッド1と、流路部品444に接続されたチューブ456で構成されている。
【0081】
なお、流路部品444はカバー442の内部に配置されている。流路部品444に代えてヘッドタンク441を含むこともできる。また、流路部品444の上部には液体吐出ヘッド1と電気的接続を行うコンタクト443が設けられている。
【0082】
本実施形態のノズル振動方式の液体吐出ヘッドを用いる場合、印刷媒体(
図25では連続体510、
図27では用紙410)、液体吐出ヘッドに対向配置された搬送構造物(
図25では搬送ガイド部材559、
図27では搬送ベルト412)に圧電素子5が近接配置される。そのため、印刷媒体や搬送構造物が高電場を有する場合、圧電素子5がエレキ干渉を受けやすくなるリスクがある。また、ノズル振動方式においては、ノズルから吐出した液体が、圧電素子5の電極の電界に引かれる帯電ミストの問題が発生しやすい。
【0083】
そのため、圧電素子の第一電極51と第二電極53のうち、より印刷媒体や搬送構造物に近接配置される第二電極53をグラウンドにするのが好ましい。第二電極53をグラウンドにすることで、印刷媒体や搬送構造物が高電場を有する場合の圧電素子5へのエレキ干渉を抑制でき、かつ、ノズルに付着する帯電ミストを抑制することが可能となる。特に、
図7、
図10に示したように、第二電極53が圧電材料を覆っている構成とすることで、第二電極53をグラウンドとすることで、外部への電界漏洩を防ぐことができ、ノズルに付着する帯電ミストを良好に抑制することができ、好ましい。
【0084】
本願において、吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどである。これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0085】
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0086】
「液体吐出ユニット」は、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体が含まれる。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構、液体循環装置の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
【0087】
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
【0088】
例えば、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
【0089】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
【0090】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
【0091】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
【0092】
また、液体吐出ユニットとして、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。このチューブを介して、液体貯留源の液体が液体吐出ヘッドに供給される。
【0093】
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものとする。
【0094】
なお、ここでは、「液体吐出ユニット」について、液体吐出ヘッドとの組み合わせで説明しているが、「液体吐出ユニット」には上述した液体吐出ヘッドを含むヘッドモジュールやヘッドユニットと上述したような機能部品、機構が一体化したものも含まれる。
【0095】
「液体を吐出する装置」には、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、ヘッドモジュール、ヘッドユニットなどを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて液体を吐出させる装置が含まれる。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0096】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0097】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0098】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0099】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0100】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0101】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0102】
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置がる。また、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などもある。
【0103】
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【0104】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
ノズル2に連通する加圧液室4を有する流路基板100などの基板と、基板のノズル側に積層され、加圧液室4の壁面の一部を構成する振動膜103と、振動膜103の加圧液室4の壁面を構成側と反対側に積層され、圧電膜52などの圧電部を一対の電極で挟んだ圧電素子5とを有する液体吐出ヘッド1において、液体吐出方向から見たとき、圧電素子5の一対の電極のいずれか一方が、加圧液室4よりも大きい。
基板のノズル側に振動膜と、圧電素子とが配置されるノズル振動方式の液体吐出ヘッドでは、狙いの吐出特性を確保するために断面アスペクト比の高い(狭くて深い)加圧液室が必要となる。このような断面アスペクト比の高い加圧液室の形成には、DRIE(Deep Reactive Ion Etching)が適している。DRIEは、イオンを電場で加速して基板にイオンを衝突させることで基板を削っていくものである。しかし、このDRIEは、イオンにより削れた面が帯電し、放出されたイオンが曲げられ、イオンにより削れて形成された凹部の側壁面の底面側端部が余計に削られてしまう所謂ノッチングや側壁面が弓状となる所謂ボーイングなどが発生するおそれがあり、DRIEで加圧液室を精度よく形成できないおそれがある。
そのため、本実施形態では、上述したように、圧電素子5の一対の電極のいずれか一方をグランドに導通させた状態で、DRIEで加圧液室を形成することで、基板のイオンにより削れた面の帯電(チャージアップ)を抑制するようにしている。さらに、基板のイオンにより削れた面の帯電を良好に抑制するために、態様1では、液体吐出方向から見たとき、圧電素子の一対の電極の少なくとも一方を加圧液室よりも大きくしている。これにより、この加圧液室よりも大きい電極をグランドに導通させて、DRIEによる加圧液室の形成を行うことが可能となり、加圧液室よりも小さい電極をグランドに導通させる場合に比べて、基板の電荷を電極に逃げやすくできる。その結果、イオンにより削れた面の帯電を良好に抑制でき、ノッチングやボーイングを良好に抑制することができ、精度よく加圧液室を形成することができる。
【0105】
(態様2)
態様1において、液体吐出方向から見たとき、圧電素子5の振動膜側と反対側の第二電極53などの電極が、加圧液室4よりも大きい。
これによれば、実施形態で説明したように、第二電極53などの振動膜側と反対側の電極を、グランドに導通させて、DRIEにより加圧液室4を形成することで、精度よく加圧液室を形成することができる。
【0106】
(態様3)
態様2において、圧電素子5の振動膜側と反対側の第二電極53などの電極により圧電膜52などの圧電部を覆った。
これによれば、実施形態で説明したように、第二電極53などの振動膜側と反対側の電極により圧電膜52を湿気から保護することができる。これにより、圧電部を湿気から保護する保護層を設ける必要が無くなり、耐湿性の保護層を設けるものに比べて、アクチュエータ部110の厚みを薄くすることができる。これにより、振動膜103が変形しやすくなり、振動効率を高めることができる。
【0107】
(態様4)
態様1において、液体吐出方向から見たとき、圧電素子5の第一電極51などの振動膜103側の電極が、加圧液室4よりも大きい。
これによれば、実施形態で説明したように、第一電極51などの振動膜103側の電極をグランドに導通させて、DRIEにより加圧液室4を形成することで、精度よく加圧液室を形成することができる。
【0108】
(態様5)
態様1乃至4いずれかにおいて、液体吐出方向から見たとき、圧電膜52などの圧電部は、加圧液室4よりも小さい。
これによれば、実施形態で説明したように、圧電膜52などの圧電部が、加圧液室4よりも大きいものに比べて、振動効率・吐出効率を大幅に高めることができる。
【0109】
(態様6)
態様1乃至5いずれかにおいて、圧電素子5の電極51,53と引出し配線9a,9bなどの配線とを電気的に接続する第四,第五コンタクト7d,7eなどのコンタクト部が、加圧液室4の外側に設けられている。
これによれば、実施形態で説明したように、第四,第五コンタクト7d,7eなどのコンタクト部を振動膜103の非変位部に設けることができ、振動膜103の変位によりコンタクト部と電極との接合や、コンタクト部と引出し配線9a,9bなどの配線との接合が外れてしまうのを抑制することができる。
【0110】
(態様7)
ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、及び、主走査移動機構の少なくとも一つと、液体吐出ヘッドとを備えた液体吐出ユニットにおいて、液体吐出ヘッドとして、態様1乃至6いずれかの液体吐出ヘッドを用いる。
これによれば、精度よく加圧液室を形成することが可能となる。
【0111】
(態様8)
液体を吐出する装置において、態様1乃至6いずれかの液体吐出ヘッド、又は、態様7の液体吐出ユニットを有する。
これによれば、精度よく加圧液室を形成することが可能となる。
【0112】
(態様9)
流路基板100などの基板に振動膜103などの振動部材を積層する工程と、振動部材の基板側と反対側に圧電膜52などの圧電部を一対の電極で挟んだ圧電素子5を形成する工程と、圧電素子を駆動するための引出し配線9a,9bなどの配線を形成する工程と、圧電素子5の一対の電極のいずれか一方を配線を介してグランドに導通させた状態で、基板に加圧液室4を形成する工程とを有する。
これによれば、実施形態で説明したように、流路基板100などの基板のエッチング表面のチャージアップを抑制することができ、エッチング領域近傍の電場の乱れを抑制することができる。その結果、放出されたイオンの曲がりを抑制でき、ノッチングやボーイングの発生を抑制でき、精度よく加圧液室4を成形することができる。
【0113】
(態様10)
態様9において、DRIEプロセスで流路基板100などの基板に加圧液室4を形成する。
これによれば、実施形態で説明したように、断面アスペクト比(狭くて深い)の高い加圧液室4を形成することができる。
【符号の説明】
【0114】
1 :液体吐出ヘッド
2 :ノズル
3 :共通液室
4 :加圧液室
5 :圧電素子
6 :電気接続パッド
7a :第一コンタクト
7b :第二コンタクト
8a :第一絶縁膜
8b :第二絶縁膜
9a :第一引出し配線
9b :第二引出し配線
10 :パッド開口
51 :第一電極
51a :延長配線
52 :圧電膜
53 :第二電極
53a :延長配線
100 :流路基板
101 :駆動回路
102 :配線部
103 :振動膜
103a :ノズル形成穴
110 :アクチュエータ部
111 :ノズル形成部
120 :フレーム部材
420 :維持回復機構
440 :液体吐出ユニット
441 :ヘッドタンク
444 :流路部品
D1 :加圧液室の内径
D2 :第一電極の外径
【先行技術文献】
【特許文献】
【0115】