IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧

特開2023-138307表示装置、電子署名方法、プログラム、電子署名システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138307
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】表示装置、電子署名方法、プログラム、電子署名システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0481 20220101AFI20230922BHJP
   G06F 40/171 20200101ALI20230922BHJP
   G06V 30/00 20220101ALI20230922BHJP
   H04L 9/32 20060101ALI20230922BHJP
   G06F 21/64 20130101ALI20230922BHJP
【FI】
G06F3/0481
G06F40/171
G06V30/00 Z
H04L9/32 200B
H04L9/32 100D
G06F21/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192220
(22)【出願日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】P 2022044209
(32)【優先日】2022-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 究
【テーマコード(参考)】
5B064
5B109
5E555
【Fターム(参考)】
5B064AB03
5B064AB04
5B064BA05
5B109LA01
5E555AA04
5E555AA07
5E555BA02
5E555BA04
5E555BA82
5E555BB02
5E555BB04
5E555BC03
5E555BC17
5E555BC19
5E555CA12
5E555CB10
5E555CC01
5E555CC03
5E555DA01
5E555DB41
5E555DC13
5E555DD02
5E555EA14
5E555EA20
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】手書きの操作によってテキスト又は図形を描くことと、手書きの操作によって電子署名を作成することと、を使い分ける際の利便性を向上させること。
【解決手段】本発明は、手書きをオブジェクトとして表示する表示装置であって、前記手書きの入力を受け付ける入力受付部と、前記手書きをテキスト又は図形に変換する変換部と、前記変換されたテキスト又は図形が、予め設定される認識文字列又は認識図形であるか否かを判断する判断部と、前記判断部が前記変換されたテキスト又は図形が予め設定される前記認識文字列又は前記認識図形であると判断する場合に、前記予め設定される認識文字列又は認識図形に基づく電子署名の作成を受け付ける表示部品を表示させる表示制御部と、前記表示部品の選択を受け付けた場合、前記電子署名を作成する電子署名部と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手書きをオブジェクトとして表示する表示装置であって、
前記手書きの入力を受け付ける入力受付部と、
前記手書きをテキスト又は図形に変換する変換部と、
前記変換されたテキスト又は図形が、予め設定される認識文字列又は認識図形であるか否かを判断する判断部と、
前記判断部が前記変換されたテキスト又は図形が予め設定される前記認識文字列又は前記認識図形であると判断する場合に、前記予め設定される認識文字列又は認識図形に基づく電子署名の作成を受け付ける表示部品を表示させる表示制御部と、
前記表示部品の選択を受け付けた場合、前記電子署名を作成する電子署名部と、
を有する表示装置。
【請求項2】
前記入力受付部は、電子署名のために表示される入力欄以外に入力された前記手書きの入力を受け付け、
前記変換部は、前記手書きをテキスト又は図形に変換し、
前記表示制御部は、前記テキスト又は図形に基づいて前記表示部品を表示させることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
予め設定されている認識文字列と前記表示部品が対応付けられた定義データにおいて、前記変換部が前記手書きから変換した前記テキストが前記認識文字列と部分一致した場合、
前記表示制御部は部分一致した前記認識文字列に対応付けられた前記表示部品を表示させ、
前記表示部品は電子署名の作成を受け付けるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記認識文字列には、署名者情報が含まれており、
前記変換部が前記手書きから変換した前記テキストが前記署名者情報と部分一致した場合、
前記表示制御部は部分一致した前記署名者情報を前記表示部品と共に表示させることを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記署名者情報と共に表示された前記表示部品の選択を受け付けた場合、
前記電子署名部は、前記署名者情報に電子署名情報が対応付けられた電子署名情報記憶部から、前記署名者情報に対応付けられた電子署名情報を取得し、前記オブジェクトの電子署名を作成することを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
ユーザーの認証を行う認証部を有し、
前記変換部が前記手書きから変換した前記テキストが前記署名者情報と部分一致し、更に、
前記認証部による認証が成功したユーザーが、前記署名者情報と一致する場合、
前記表示制御部が、前記表示制御部は部分一致した前記署名者情報を前記表示部品と共に表示させることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項7】
電子署名のために表示される入力欄に前記手書きが入力された場合、
前記表示制御部は、前記変換部が前記手書きから変換した前記テキスト又は図形に応じて、前記入力欄に前記テキスト又は図形を表示させ、電子署名が可能である旨を表示させることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、前記変換部が前記手書きから変換した前記テキスト又は図形を表示させ、
前記テキストの選択を受け付けた場合、前記表示制御部は、電子署名が可能である旨を表示させることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記電子署名が可能である旨の選択を受け付けた場合、前記電子署名部は、前記変換部が前記手書きから変換した前記テキストに対応付けられている電子署名情報を用いて、前記オブジェクトに関する電子署名を作成することを特徴とする請求項7又は8に記載の表示装置。
【請求項10】
署名者情報に対応付けて電子署名情報を記憶する電子署名情報記憶部において、
前記変換部が前記手書きから変換した前記テキストが前記署名者情報と部分一致した場合、
前記表示制御部は、前記変換部が前記手書きから変換した前記テキストを前記入力欄に表示させ、電子署名が可能である旨を表示させることを特徴とする請求項7又は8に記載の表示装置。
【請求項11】
ユーザーの認証を行う認証部を有し、
前記変換部が前記手書きから変換した前記テキストが前記署名者情報と部分一致し、更に、
前記認証部による認証が成功したユーザーが、前記署名者情報と一致する場合、
前記表示制御部は、前記変換部が前記手書きから変換した前記テキストと共に電子署名が可能である旨を表示させることを特徴とする請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記入力受付部は、電子署名のために表示される入力欄以外に入力された前記手書きの入力を受け付け、
前記変換部は、前記手書きをテキスト又は図形に変換し
前記表示制御部は、入力欄以外に入力された前記手書きから変換された前記テキスト又は図形に基づいて前記入力欄を表示させ、
前記入力受付部は、新たに表示された前記入力欄に対する前記手書きの入力を受け付けることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項13】
ユーザーの認証を行う認証部を有し、
電子署名の作成を受け付けるアイコンの選択を受け付けた場合、
前記電子署名部は、署名者情報に対応付けられた電子署名情報を記憶する電子署名情報記憶部において、前記認証部による認証が成功したユーザーに対応付けられた電子署名情報を用いて、前記オブジェクトに関する電子署名を作成することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項14】
前記電子署名部は、経過時間が時間閾値を超えるごとに自動で、前記オブジェクトに関する電子署名を作成することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項15】
前記変換部が前記手書きから変換した前記テキストが予め設定されている外部メモリの名称を含む前記認識文字列と部分一致する場合、
前記表示制御部は、電子署名を作成して前記外部メモリに前記電子署名を保存する表示部品を表示させ、
前記表示部品の選択を受け付けた場合、前記電子署名部は、前記オブジェクトに関する電子署名を作成し、前記外部メモリに保存することを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項16】
前記電子署名部は、前記電子署名にタイムスタンプ情報を追加することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項17】
手書きをオブジェクトとして表示する表示装置が行う電子署名方法であって、
入力受付部が、前記手書きの入力を受け付けるステップと、
変換部が、前記手書きをテキスト又は図面に変換するステップと、
判断部が、前記変換されたテキスト又は図形が予め設定される認識文字列又は認識図形であるか否かを判断するステップと、
前記判断部が前記変換されたテキスト又は図形が予め設定されてる前記認識文字列又は前記認識図形であると判断する場合に、前記予め設定される認識文字列又は認識図形に基づく電子署名の作成を受け付ける表示部品を表示させるステップと、
電子署名部が、前記表示部品の選択を受け付けた場合、前記電子署名を作成するステップと、
を行う電子署名方法。
【請求項18】
手書きをオブジェクトとして表示する表示装置を、
前記手書きの入力を受け付ける入力受付部と、
前記手書きをテキスト又は図形に変換する変換部と、
前記変換されたテキスト又は図形が予め設定される認識文字列又は認識図形であるか否かを判断する判断部と、
前記判断部が前記変換されたテキスト又は図形が予め設定されてる前記認識文字列又は前記認識図形であると判断する場合に、前記予め設定される認識文字列又は認識図形に基づく電子署名の作成を受け付ける表示部品を表示させる表示制御部と、
前記表示部品の選択を受け付けた場合、前記電子署名を作成する電子署名部、
として機能させるためのプログラム。
【請求項19】
手書きをオブジェクトとして表示する表示装置と電子署名サーバーとを有する電子署名システムであって、
前記表示装置は、
手書きの入力を受け付ける入力受付部と、
前記手書きをテキスト又は図形に変換する変換部と、
前記変換されたテキスト又は図形が予め設定される認識文字列又は認識図形であるか否かを判断する判断部と、
前記判断部が前記変換されたテキスト又は図形が予め設定されてる前記認識文字列又は前記認識図形であると判断する場合に、前記予め設定される認識文字列又は認識図形に基づく電子署名の作成を受け付ける表示部品を表示させる表示制御部と、
前記表示部品の選択を受け付けた場合、前記電子署名の作成要求を前記電子署名サーバーに送信する通信部と、を有し、
前記電子署名サーバーは、
前記電子署名の作成要求を受信した場合、前記電子署名を作成して、前記表示装置に送信することを特徴とする電子署名システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、電子署名方法、プログラム、及び、電子署名システムに関する。
【背景技術】
【0002】
手書き文字認識技術を利用し、手書きデータを文字などのテキストに変換して、ディスプレーに表示する表示装置が知られている。比較的大型のタッチパネルを備えた表示装置は会議室や公共施設などに配置され、複数のユーザーにより電子黒板などとして利用される。
【0003】
手書きデータで認証用データを作成する技術が考案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、署名入力欄に手書き署名データの入力を受け付け、ユーザー認証が可能となるように認証用データを記憶する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、手書きの操作によってテキスト又は図形を描くことと、手書きの操作によって電子署名を作成することと、を使い分ける際の利便性については考慮されていなかった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、手書きの操作によってテキスト又は図形を描くことと、手書きの操作によって電子署名を作成することと、を使い分ける際の利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑み、本発明は、手書きをオブジェクトとして表示する表示装置であって、
前記手書きの入力を受け付ける入力受付部と、前記手書きをテキスト又は図形に変換する変換部と、前記変換されたテキスト又は図形が、予め設定される認識文字列又は認識図形であるか否かを判断する判断部と、前記判断部が前記変換されたテキスト又は図形が予め設定される前記認識文字列又は前記認識図形であると判断する場合に、前記予め設定される認識文字列又は認識図形に基づく電子署名の作成を受け付ける表示部品を表示させる表示制御部と、前記表示部品の選択を受け付けた場合、前記電子署名を作成する電子署名部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
手書きの操作によってテキスト又は図形を描くことと、手書きの操作によって電子署名を作成することと、を使い分ける際の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】表示装置が保存した保存データに付与される電子署名について説明する図である。
図2】表示装置が電子署名を作成する処理の流れを説明する図である。
図3】表示システムの概略構成図の一例である。
図4】表示装置のハードウェア構成図の一例である。
図5】コンピュータのハードウェア構成図の一例である。
図6】表示装置と端末装置が有する機能をブロック状に分けて説明する機能ブロック図の一例である。
図7】オブジェクト記憶部が保持するオブジェクトを模式的に示す図である。
図8】コマンド定義データ記憶部に記憶されるコマンド定義データを模式的に示す図である。
図9】電子署名情報記憶部に記憶される電子署名情報を模式的に示す図である。
図10】端末装置が表示する電子署名情報登録画面の一例を示す図である。
図11】表示装置が電子署名情報の登録を受け付ける手順を示すフローチャート図の一例である。
図12】電子署名情報リスト画面、確認メッセージを示す図の一例である。
図13】表示装置が電子署名情報の削除を受け付ける手順を示すフローチャート図の一例である。
図14】署名欄に関して表示される情報の遷移を説明する図である。
図15】署名欄への手書きに応じて表示装置が電子署名を作成する処理を説明するフローチャート図の一例である。
図16】電子署名部が署名欄に署名者のテキストが入力されたか否か判断する処理を説明するフローチャート図の一例である。
図17】署名欄を表示させる操作コマンドを含む操作ガイド、署名欄を示す図の一例である。
図18】表示装置が新たに署名欄を表示する処理を説明するフローチャート図の一例である。
図19】ユーザーが署名欄を使用しない場合に、表示装置が表示する電子署名の作成のための操作コマンドを示す図の一例である。
図20】表示装置が署名欄を使用しない電子署名を作成する処理を説明するフローチャート図の一例である。
図21】表示装置がタイムスタンプサーバーを使用する場合のシステム構成図の一例を示す図である。
図22】ユーザーがタイムスタンプサーバーのURLを表示装置に設定する際、端末装置が表示するURL設定画面を示す図の一例である。
図23】表示装置がタイムスタンプサーバーのURLの設定を受け付ける処理を説明するフローチャート図の一例である。
図24】表示装置が電子署名を作成する処理にタイムスタンプが追加される場合の処理を説明するフローチャート図の一例である。
図25】電子署名システムの概略のシステム構成図である。
図26】表示装置と、電子署名サーバーと、端末装置とが有する機能をブロック状に分けて説明する機能ブロック図の一例である。
図27】電子署名識別情報記憶部に記憶されている電子署名識別情報を示す図の一例である。
図28】電子署名システムが表示装置からの要求に応じて電子署名を作成する処理を説明するシーケンス図の一例である。
図29】表示装置と端末装置とが有する機能をブロック状に分けて説明する機能ブロック図の一例である。
図30】電子署名情報登録画面の一例を示す図である。
図31】表示装置がログイン時に表示する操作コマンド等を示す図の一例である。
図32】表示装置がログイン時に表示する操作コマンド等の別の例を示す図の一例である。
図33】表示装置が表示する入力画面の一例を示す図である。
図34】署名実行ダイアログ、メッセージを示す図の一例である。
図35】表示装置が電子署名を作成する処理を説明するフローチャート図の一例である。
図36】表示装置と端末装置とが有する機能をブロック状に分けて説明する機能ブロック図の一例である。
図37】表示装置が自動的に電子署名を作成する処理を説明するフローチャート図の一例である。
図38】遠隔通信システムのシステム構成図の一例である。
図39】仲介サーバーの機能ブロック図の一例である。
図40】複数の表示装置がオブジェクトと電子署名を共有する処理を説明するシーケンス図の一例である。
図41】コマンド定義データ記憶部に記憶されるコマンド定義データを模式的に示す図である。
図42】署名実行コマンドの一例を示す図である。
図43】表示装置が電子署名を作成し、USBメモリに保存する処理を説明するフローチャート図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態の一例として表示装置と、表示装置が行う電子署名方法について図面を参照しながら説明する。
【実施例0010】
<電子署名の概略>
まず、図1を参照して、電子署名について説明する。図1は、表示装置2が保存した保存データに付与される電子署名について説明する図である。図1(a)に示すように、ユーザーAが「ABC」と手書きした。「ABC」というデータは、座標点列のまま保存されてもよいし、PDFなどのファイルに保存されてもよい。
【0011】
図1(b)は、電子署名が作成される流れを示す。後述するようにユーザーAが保存データに電子署名を付与する操作を入力すると、表示装置2は以下のような手順で電子署名を作成する。なお、ユーザーAは、自分の秘密鍵とこの秘密鍵に対する公開鍵の電子証明書を認証局等から取得済みである。
【0012】
(1) 表示装置2は、保存データ101をハッシュ関数により変換してハッシュ値102を生成する。なお、保存データ101は電子データである。
【0013】
(2) 表示装置2は、このハッシュ値102を電子証明書で証明されている公開鍵に対応する秘密鍵105で暗号化する。この行為又は行為で作成されたデータを電子署名103という。暗号化アルゴリズムは種々あるが、「DES」「RC4」「AES」など、そのアルゴリズムは問わない。
【0014】
(3) 表示装置2は保存データ101(平文)と電子署名103を結合し、電子証明書104とともに保存する。
【0015】
ユーザーAが、保存データ101が改ざんされていないことを確認するには、表示装置2が、保存データ101から同じハッシュ関数を用いてハッシュ値を生成する。表示装置2は、電子署名103を公開鍵で復号し、ハッシュ値102を取得し、2つのハッシュ値が一致していれば、保存データが改ざんされていないこと、及び、自分が保存したデータであることを確認できる。
【0016】
<表示装置における電子署名の概略>
図2を参照して、表示装置2における電子署名の概略を説明する。図2は、表示装置2が電子署名を作成する処理の流れを説明する図である。なお、図2の処理の流れは一例であって、署名欄110(入力欄の一例)の有無や秘密鍵及び公開鍵の登録の有無等により、処理の流れは変わりうる。
【0017】
図2(a)に示すように、電子署名したいユーザーは署名欄110を表示させるため、署名欄作成コマンド112を表示させるための手書きデータ118を入力する。図2(a)では、手書きされた「しょめ」が、後述するコマンド定義データにおける認識文字列(例えば、しょめい、署名等)と部分一致した。このため、「署名欄を作成する」という署名欄作成コマンド112、「署名する「情報Sec-G」という署名実行コマンド113が操作ガイド500に表示されている。
【0018】
操作ガイド500について補足する。操作ガイド500は手書きデータの認識結果(テキスト)や予測変換されたテキスト(操作ガイドに表示される文字列候補114)を表示する。操作ガイド500で選択されたテキストが手書きデータに置き換わって表示される。この操作ガイド500にはコマンド定義データに基づいて各種の操作コマンドが表示される場合がある。本実施例では、操作コマンドの選択により電子署名が作成される場合がある。なお、署名欄作成コマンド112、署名実行コマンド113の先頭の「■」は、これらが文字列候補114でなく、コマンドであることを示す。
【0019】
図2(b)に示すように、ユーザーが署名欄作成コマンド112をペン2500で選択すると、表示装置2が署名欄110を表示する。署名欄110には「ここに署名して下さい」というプレースホルダーテキストが表示されている。プレースホルダーテキストは、タッチされるまでの間、内側に表示される説明文である。
【0020】
なお、図2(a)においてユーザーが署名実行コマンド113をペン2500で選択すると、表示装置2は「情報Sec-G」に対応付けられた電子署名情報で電子署名を作成することができる。この場合、以降の処理は不要である。
【0021】
図2(c)に示すように、ユーザーが自分の電子署名情報を呼び出すため、署名欄110に手書きする。ここでは、ユーザーが情報セキュリティグループのメンバーであるとして、情報セキュリティグループの電子署名情報を使用する。このためユーザーは例えば「じょう」と手書きした。表示装置2は「じょう」を文字認識することでいくつかの文字列候補114を表示する。文字列候補114は、「じょう」が変換されたテキスト、このテキストから予測変換された漢字等である。
【0022】
図2(d)に示すように、ユーザーが情報セキュリティグループの電子署名情報を使用する場合、図2(c)においてユーザーが文字列候補114の「情報セキュリティグループ」をペン2500で選択する。表示装置2が署名欄110に「情報セキュリティグループ」を表示する。
【0023】
図2(e)に示すように、表示装置2は、署名欄110に「情報セキュリティグループ」というテキストが入力されたので、このテキスト(情報セキュリティグループ)に電子署名情報が対応付けられているかどうか判断する。署名欄110に入力されたテキストに電子署名情報が対応付けられている場合、表示装置2は署名欄110にチェックマーク111を表示する。このようにチェックマーク111は電子署名が可能であることを示す。
【0024】
図2(f)に示すように、ユーザーがペン2500でチェックマーク111をタッチすると、表示装置2はチェックマーク111を反転し、電子署名を作成する。
【0025】
このように、本実施形態の表示装置2は、署名欄110の作成や署名をペン入力で実現できる。ユーザーは手書きデータから変換されたテキストを単に入力にも使用できるし、署名実行コマンド113を選択して電子署名を作成することもできるので、テキストの入力と電子署名の作成のためにユーザーがモードを切り替える必要がない。ユーザーは、コマンドの実行で電子署名を容易に行えるので、業務効率を落とさずに電子署名を作成できる。本構成により、テキスト又は図形を描くための操作として手書きをさせたいか、電子署名を作成するための操作として手書きをさせたいかを、使い分けることが可能となる。なおユーザーが手書きする内容はテキストに限られない。手書きデータからテキストに変換する以外にも、手書きデータから図形に変換してもよい。変換された図形が予め設定された電子署名作成用の認識図形と一致する場合に、署名実行コマンド113を表示させてユーザーからの選択を受け付けても良い。
【0026】
<用語について>
入力手段とはタッチパネルに座標を指定して手書きが可能な手段であればよい。例えば、ペン、人の指や手、棒状部材などがある。
【0027】
ユーザーがディスプレーに入力手段を押しつけてから連続的に移動させた後、ディスプレーから離すという一連の操作をストロークという。ストロークは、ディスプレーに接触することなく、ユーザーの動きを追跡することを含む。この場合、表示装置は、例えばマウスやポインティングデバイスを使用して、ユーザーのジェスチャー、ユーザーの手若しくは足によるボタンの押下、又は他の方法で、ストロークを開始させてもよい。さらに、ユーザーは、同じ又は異なるジェスチャー、ボタンを離す、又はマウスやポインティングデバイスを使用して、ストロークを終了させてもよい。
【0028】
ストロークデータとは、入力手段により入力される座標の軌跡に基づいてディスプレーに表示される情報である。ストロークデータは適宜、補間されてよい。手書きデータとは、1つ以上のストロークデータを有するデータである。手書き入力とは、ユーザーによって、手書きデータが入力されることを示している。手書き入力は、タッチインターフェース、ペンやスタイラスなどの触覚オブジェクト、又はユーザーの体を使って実行されてもよい。また、手書き入力は、ジェスチャーベースの入力、手の動きの追跡入力、又はユーザーによる他のタッチフリー入力など、他のタイプの入力を介して実行されてもよい。本発明の実施形態では、手書き入力および手書き入力データに言及するが、他の形態の手書き入力が利用されてもよい。
【0029】
ストロークデータに基づいてディスプレーに表示される表示物をオブジェクトという。オブジェクトとは対象という意味であるが、本実施形態では表示対象などの意味である。ストロークデータが手書き認識して変換されたオブジェクトには、テキストの他、「済」などの決まった文字やマークとして表示されるスタンプ、円や星などの図形、直線等も含まれてよい。テキストは、手書きデータの文字認識結果である。オブジェクトの表示に用いられるデータをオブジェクトデータという。
【0030】
電子署名とは、電子文書(保存データ)が署名者本人のものであることと、内容が改ざんされていないことを証明するデータである。オブジェクトがファイル等に保存されたものを保存データと称する。
【0031】
表示部品とは、コンピュータで、画面上のそれを指して選ぶことで操作が指示できるように、指示に関係する文字や図形等である。本実施形態では、表示部品は、操作コマンドという用語で説明される。
【0032】
署名者情報とは署名者を指定、特定又は識別できる情報である。本実施形態では、署名者情報は署名者の氏名が使用されるが、署名者情報は、署名者IDなど、署名者と対応付けられた情報であればよい。
図形とは、一定の決まりによって定められる様々な形状をいう。図形には、三角形、四角形、円、菱形など多くの種類があるが、電子署名作成用の図形が予め設定されている。ユーザーは図形を図形として表示させることもできるし、図形を電子署名作成の選択にも使用できる(電子署名作成の選択に使用された図形は消去される)。このため、本実施形態では、ユーザーによって手書きされたストロークがテキストや図形として認識されるかどうかが判断される。
【0033】
<システム構成例>
図3を参照して、表示システム100の構成について説明する。図3は、表示システム100の概略構成図の一例である。表示システム100は、表示装置2を有し、表示装置2と端末装置30とが近距離無線で通信する。無線の通信方式は、例えばWi-Fi(無線LAN)、Bluetooth(登録商標)、赤外線通信、可視光通信、又は、ICカード通信などでよい。また、Wi-Fiの場合、通信方式は、アドホックモードでもよいし、インフラストラクチャモードでもよい。
【0034】
表示装置2は、ペンや指等の入力手段でタッチパネルに手書きされたデータをディスプレーに表示する。本実施形態の表示装置2は、オフィスや現場で複数人が利用する大型のディスプレーを備え、電子黒板として利用されることが想定される。また、表示装置2は、タッチパネルと近距離無線通信機能を有している装置であればよい。例えば、表示装置2は、タブレット端末、ノートPC(Personal Computer)、PDA(Personal Digital Assistant)、ゲーム機等でもよい。
【0035】
また、表示装置2は、プロジェクターとタッチパネルを有さないホワイトボードとにより実現されてもよい。この場合、プロジェクターは、カメラやセンサーで入力手段の接触位置を検出する。
【0036】
表示装置2は、自動で又はユーザーの操作に応じて、Wi-Fi通信において端末装置30が必要とするSSID(Service Set Identifier)とPIN(Personal Identification Number)を表示する。ユーザーは少なくともPINを端末装置30に入力することで、端末装置30が表示装置2とWi-Fiで通信できる。
【0037】
端末装置30は、位置検出機能と無線通信機能を有する情報処理装置である。端末装置30では、表示装置2と通信するためにWebブラウザや専用アプリがインストールされている。ユーザーはこれらを起動し、表示装置2と通信する。端末装置30は、表示装置2に電子署名情報などの設定情報を送信することができる。
【0038】
<装置のハードウェア構成>
続いて、図4を用いて、表示装置2のハードウェア構成を説明する。表示装置2は図示するように情報処理装置又はコンピュータの構成を有している。図4は、表示装置2のハードウェア構成図の一例である。図4に示されているように、表示装置2は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、及び、SSD(Solid State Drive)204を備えている。
【0039】
これらのうち、CPU201は、表示装置2全体の動作を制御する。ROM202は、CPU201やIPL(Initial Program Loader)等のCPU201の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM203は、CPU201のワークエリアとして使用される。
【0040】
SSD204は、OSや表示装置2用のプログラム等の各種データを記憶する。このプログラムは汎用的なOS(Windows(登録商標)、Mac OS(登録商標)、Android(登録商標)、iOS(登録商標)等)を搭載した情報処理装置で動作するアプリケーションプログラムでもよい。この場合、普段は汎用的な情報処理装置として利用されるが、ユーザーがアプリケーションプログラムを実行すると、表示装置2の専用機と同様、ユーザーが手書きすることができる。
【0041】
また、表示装置2は、ディスプレーコントローラー213、タッチセンサーコントローラー215、タッチセンサー216、ディスプレー220、電源スイッチ227、チルトセンサー217、シリアルインタフェース218、スピーカー219、マイク221、無線通信装置222、赤外線I/F223、電源制御回路224、ACアダプター225、バッテリー226、電源スイッチ227、及び、USBインターフェース229を備えている。
【0042】
ディスプレーコントローラー213は、出力画像をディスプレー220等へ出力するために画面表示の制御及び管理を行う。タッチセンサー216は、ディスプレー220上にペン2500やユーザーの手等(ペンやユーザーの手は入力手段となる)が接触したことを検知する。また、タッチセンサー216はペンIDを受信する。
【0043】
タッチセンサーコントローラー215は、タッチセンサー216の処理を制御する。タッチセンサー216は、座標の入力及び座標の検出を行う。この座標の入力及び座標の検出する方法について説明する。例えば、光学式の場合、ディスプレー220の上側両端部に設置された2つ受発光装置が、ディスプレー220に平行して複数の赤外線を放射する。2つ受発光装置は、ディスプレー220の周囲に設けられた反射部材によって反射されて、受光素子が放射した光の光路と同一の光路上を戻って来る光を受光する。
【0044】
タッチセンサー216は、物体によって遮断された2つの受発光装置が放射した赤外線の位置情報をタッチセンサーコントローラー215に出力し、タッチセンサーコントローラー215が、物体の接触位置である座標位置を特定する。また、タッチセンサーコントローラー215は通信ユニット215aを有しており、ペン2500と無線で通信することができる。例えば、Bluetooth(登録商標)などの規格で通信している場合は、市販されているペンを使用することができる。通信ユニット215aに予め1つ以上のペン2500を登録しておくと、ユーザーはペン2500を表示装置2と通信させる接続設定を行わなくても通信できる。
【0045】
電源スイッチ227は、表示装置2の電源のON/OFFを切り換えるためのスイッチである。チルトセンサー217は、表示装置2の傾き角度を検出するセンサーである。主に、表示装置2が平置き、縦置き、横置きのいずれかの設置状態で使用されているかを検出するために使用され、設置状態に応じて文字等の太さを自動で変更することができる。
【0046】
シリアルインタフェース218はUSBなどの外部との通信インターフェースである。シリアルインタフェース218は、外部からの情報の入力などに使用される。スピーカー219は音声の出力に使用され、マイク221は音声の入力に使用される。無線通信装置222は、ユーザーが携帯する端末と通信し、例えばインターネットへの接続を中継する。無線通信装置222はWi-FiやBluetooth(登録商標)などで通信するが、通信規格は問われない。無線通信装置222はアクセスポイントを形成しており、ユーザーが入手したSSIDとパスワードをユーザーが携帯する端末に設定すると、アクセスポイントに接続できる。
【0047】
なお、無線通信装置222には2つのアクセスポイントが用意されているとよい。
a. アクセスポイント→インターネット
b. アクセスポイント→社内ネットワーク→インターネット
aのアクセスポイントは社外のユーザー用で、ユーザーは社内ネットワークにはアクセスできないが、インターネットを利用できる。bのアクセスポイントは社内のユーザー用で、ユーザーは社内ネットワーク及びインターネットを利用できる。
【0048】
赤外線I/F223は隣に配置された表示装置2を検出する。赤外線I/F223は、赤外線の直進性を利用して、隣に配置された表示装置2のみを検出できる。赤外線I/F223は各辺に1つずつ設けられることが好ましく、表示装置2のどの方向に他の表示装置2が配置されたのかを検出できる。これにより画面が広がり、隣の表示装置2に過去に手書きされた手書き情報(1つのディスプレー220の広さを1ページとして別のページの手書き情報)等を表示できる。
【0049】
電源制御回路224は表示装置2の電源であるACアダプター225とバッテリー226を制御する。ACアダプター225は商用電源が共有する交流を直流に変換する。
【0050】
ディスプレー220がいわゆる電子ペーパーの場合、画像の表示を維持するためにほとんど又は一切電力を消費しないので、バッテリー226による駆動も可能である。これにより、屋外など電源を接続しにくい場所でもデジタルサイネージなどの用途で表示装置2を使用することが可能になる。
【0051】
USBインターフェース229はUSBメモリ230等の外部メモリが装着されるインターフェースである。
【0052】
更に、表示装置2は、バスライン210を備えている。バスライン210は、図4に示されているCPU201等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0053】
なお、タッチセンサー216は、光学式に限らず、静電容量の変化を検知することにより接触位置を特定する静電容量方式のタッチパネルでもよい。タッチセンサー216は、対向する2つの抵抗膜の電圧変化によって接触位置を特定する抵抗膜方式のタッチパネルでもよい。タッチセンサー216は、接触物体が表示部に接触することによって生じる電磁誘導を検知して接触位置を特定する電磁誘導方式のタッチパネルでもよく、種々の検出手段を用いてもよい。タッチセンサー216は、ペン先のタッチの有無を検知するのに電子ペンが必要ない方式であってよい。この場合はタッチ操作をするのに指先やペン型の棒を使用できる。なお、ペン2500は、細長いペン型である必要はない。
【0054】
<<端末装置>>
図3の端末装置30は、例えば図5に示すハードウェア構成のコンピュータにより実現される。図5はコンピュータの一例のハードウェア構成図である。コンピュータ700は、図5に示されているように、CPU501、ROM502、RAM503、HD504、HDDコントローラ505(Hard Disk Drive)、ディスプレー506、外部機器接続I/F508(Interface)、ネットワークI/F509、バスライン510、キーボード511、ポインティングデバイス512、光学ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
【0055】
これらのうち、CPU501は、コンピュータ全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。ディスプレー506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。ネットワークI/F509は、通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン510は、図5に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0056】
また、キーボード511は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。光学ドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としての光記憶媒体513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。光学ドライブ514はCD、DVD、Blu-Ray(登録商標)等である。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0057】
<機能について>
次に、図6を用いて表示装置2と端末装置30の機能について説明する。図6は、表示装置2と端末装置30が有する機能をブロック状に分けて説明する機能ブロック図の一例である。
【0058】
<<表示装置>>
表示装置2は、入力受付部11、描画データ生成部12、変換部13、表示制御部14、データ記録部15、通信部16、操作受付部17、コマンド処理部18、Webサーバー機能部19、及び、電子署名部20、を有している。表示装置2が有する各機能は、図4に示されている各構成要素のいずれかが、SSD204からRAM203上に展開されたプログラムに従ったCPU201からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0059】
入力受付部11はタッチセンサー216に対しペン2500等の入力手段が接触した位置の座標を検出することで、座標の軌跡(座標点列、手書きされたデータ)の入力を受け付ける。描画データ生成部12はペン2500のペン先が接触した座標を入力受付部11から取得する。描画データ生成部12はこの座標点列を補間することで接続してストロークデータを生成する。
【0060】
変換部13はユーザーが手書きした1つ以上のストロークデータ(手書きデータ)に対し文字認識処理を行い、テキスト(文字コード)に変換する。変換部13は、ユーザーのペン操作と並行して文字(日本語だけでなく英語などの多国語)、数字、記号(%、$、&など)、を認識して変換する。また、変換部13はユーザーが手書きした1つ以上のストロークデータ(手書きデータ)に対し図形認識処理を行い、図形(線、丸、三角など)に変換する。認識方法については様々なアルゴリズムが考案されているが、本実施形態では公知の技術を利用できるとして詳細を割愛する。
【0061】
表示制御部14は手書きデータ、手書きデータから変換された文字列、及び、ユーザーが操作するための操作メニューなどをディスプレーに表示させる。
【0062】
データ記録部15は、表示装置2に手書きされた手書きデータ、変換されたテキスト、PCの画面、又は、ファイル等をオブジェクト記憶部2001に記憶する。手書きデータ、テキスト(図形も含む)、PCの画面などの画像、及び、ファイル等はオブジェクトとして扱われる。手書きデータについては手書きの中断による時間的な区切り、手書き場所の違いによる距離的な区切りに応じて一まとまりのストロークデータが1つのオブジェクトとなる。
【0063】
通信部16はWi-Fi等の近距離無線通信により、端末装置30と通信する。また、通信部16は有線LANに接続して通信することもできる。また、通信部16は、端末装置30が有する携帯電話基地局との通信機能を利用して、インターネットに接続することもできる(端末装置30がテザリング機能に対応している必要がある)。通信部16は、他の拠点に配置された他の表示装置2と手書きデータ、変換された文字列、及び、PCの画面、ファイル等と共有できる。
【0064】
操作受付部17は、操作メニューの選択や文字列候補の選択など、表示装置2に対するユーザーの操作を受け付ける。
【0065】
コマンド処理部18は、操作コマンドに関する処理を実行する。コマンド処理部18は、変換部13が変換したテキストがコマンド定義データに登録された各操作コマンドの認識文字列と部分一致するかどうか判断し、部分一致する場合、表示制御部24は、この操作コマンドを操作ガイド500に表示させる。なお、部分一致には完全一致も含む。また、部分一致の判断に関して最低でも何文字以上が一致することが必要かは予め設定されている。なお、コマンド処理部18は、変換部13が変換した図形がコマンド定義データに登録された各操作コマンドの認識図形(予め設定されている図形)と部分一致するかどうか判断してもよい。コマンド処理部18は、特許請求の範囲の判断部の一例である。
【0066】
Webサーバー機能部19は、端末装置30に対しWebサーバー(HTMLサーバー、WWWサーバーともいう)とアプリケーションサーバの機能を提供する。すなわち、Webサーバー機能部19は端末装置30から送信されたHTTPリクエストを解釈してHTTPレスポンス(Webページ)を送信する。これにより、端末装置30はWebページを表示できる。なお、Webサーバー機能部19はWebアプリを実行してもよい。Webページが静的なWebドキュメントのみであるのに対し、Webアプリは、利用者の要求に応じてオブジェクトを動的に変えることができる。
【0067】
電子署名部20は、保存データに対し電子署名を作成する。電子署名部20は、例えばコマンド処理部18等から呼び出され、ユーザーが手書きで指示した秘密鍵で保存データのハッシュ値を暗号化し、保存データと結合する。
【0068】
また、表示装置2は、図4に示されているSSD204やRAM203などに構築される記憶部2000を有し、記憶部2000にはオブジェクト記憶部2001と、コマンド定義データ記憶部2002と、電子署名情報記憶部2003と、が構築されている。
【0069】
図7は、オブジェクト記憶部2001が保持するオブジェクトを模式的に示す。オブジェクトは、表示装置2が表示する各種のデータである。
【0070】
・データIDの項目はオブジェクトを識別する識別情報である。
【0071】
・種別の項目は、オブジェクトの種類であり、手書き、文字、図形、画像、等がある。手書きはストロークデータ(座標点列)である。文字は手書きデータから変換された文字列(文字コード)である。図形は、三角や四角など手書きデータから変換された幾何学的な形状である。画像は、PCやインターネットなどから取り込まれたJpeg、Png、Tiffなどの画像データである。
【0072】
・表示装置2の1画面をページと称する。ページの項目はそのページ番号である。
【0073】
・座標の項目は、表示装置2の所定の原点を基準とするオブジェクトの位置を示す。オブジェクトの位置は例えばオブジェクトの外接矩形の左上頂点である。座標は例えば、ディスプレーの画素単位で表される。
【0074】
・サイズの項目は、オブジェクトの外接矩形の幅と高さである。
【0075】
・電子署名の項目は、保存データに対する電子署名と電子証明書を含む結合データ(平文の保存データ、電子署名、電子証明書)である。保存データはどのような単位でまとめられていてもよいが、例えば全ページがPDFファイルに変換されているものが保存データとなる。電子署名の項目には署名者と結合データ(平文の保存データ51、電子署名53、電子証明書52)が登録されている。すなわち、結合データの一例として、図1に記載のユーザーAが手書きした「ABC」(符号では51)、「ABC」を変換したハッシュ値から暗号化されたデータ(電子署名53)、認証局が発行した電子証明書52が含まれる。なお、電子署名は、ページ単位やユーザーが任意に選択した領域単位で作成されていてもよい。
【0076】
図8は、コマンド定義データ記憶部2002に記憶されるコマンド定義データを模式的に示す。コマンド定義データは、認識文字列に対応付けて、ユーザーが表示装置2に指示するための操作コマンドを定義する。
【0077】
・認識文字列の項目は、変換部13が文字認識することで得られたテキストと比較される文字列である。例えば、認識文字列が「しょめい」「署名」「ショメイ」である場合、変換部13が文字認識することで得られたテキストが認識文字列と部分一致するかどうか比較される。
【0078】
・コマンド名の項目は、操作ガイドに表示される操作コマンドの名称である。
【0079】
・処理の項目は、ユーザーにより操作コマンドが選択された場合に表示装置2が行う処理の内容を示す。
【0080】
なお、コマンド名が「署名する「情報Sec-G」」や「署名する「AAA」」の署名に関する操作コマンドは、後述するようにユーザーが電子署名情報を表示装置2に登録する度に追加される。こうすることで、電子署名情報の略称を含むコマンド名を表示装置2が表示できる。
【0081】
図9は、電子署名情報記憶部2003に記憶される電子署名情報を模式的に示す。電子署名情報は、表示装置2が電子署名を作成するための情報である。
【0082】
・署名者と略称の項目は、電子署名情報を登録したユーザーの名称とその略称が登録される。後述するようにユーザーが任意に設定できる。略称の項目に設定された略称は、上記のようにコマンド名の一部となる場合がある。
【0083】
・秘密鍵の項目は、署名者が登録した秘密鍵が登録される。
【0084】
・電子証明書の項目は、認証局が発行した電子証明書が登録される。電子証明書には秘密鍵に対応する公開鍵が含まれる。
【0085】
<<端末装置>>
図6に戻って説明する。端末装置30は、表示制御部32、操作受付部33、及び、通信部34を有している。端末装置30が有する各機能は、図5に示されている各構成要素のいずれかが、HD504からRAM503上に展開されたプログラムに従ったCPU501からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。このプログラムは、Webブラウザ又は表示装置2に専用のアプリのいずれでもよい。
【0086】
通信部34は、Wi-Fi等の近距離無線通信により、表示装置2と通信する。なお、端末装置30は、携帯電話基地局と通信することもでき、携帯電話のキャリアが提供するゲートウェイを介してインターネットに接続できる。
【0087】
表示制御部32は、表示装置2内のWebサーバー機能部19から取得したWebページやWebアプリをディスプレーに表示させる。操作受付部33は、WebページやWebアプリなどを介して端末装置30に対する操作を受け付ける。
【0088】
<電子署名情報の登録>
まず、図10を参照して、ユーザーが電子署名情報を登録する作業について説明する。図10は、端末装置30が表示する電子署名情報登録画面120を示す。電子署名情報登録画面120を表示させるため、ユーザーは端末装置30に表示装置2が表示するSSIDとPIN(アクセスポイントに接続するための情報)を設定し、更に表示装置2のIPアドレスを設定する(図33参照)。
【0089】
また、ユーザーは、電子署名情報を登録するための認証を表示装置2から受ける。ユーザーは、IDやパスワードを端末装置30に入力し、表示装置2に送信することで、表示装置2のWebサーバー機能部19から電子署名情報登録画面120の画面情報を受信する。こうすることで、一般ユーザーが電子署名情報を任意に登録すること防止し、所定の管理者のみが電子署名情報を登録できる。
【0090】
図10に示すように、電子署名情報登録画面120は、署名用データ欄121、署名者欄122、略称欄123、及び、登録ボタン124を有している。
【0091】
・署名用データ欄121は、ユーザーが署名用データ125(秘密鍵と電子証明書)をドラッグ&ドロップしたり、署名用データのファイルを指示したりする欄である。署名用データ125は、秘密鍵と電子証明書である。
【0092】
・署名者欄122は、ユーザーが署名者を任意に設定する欄である。署名者は、電子署名情報をユーザーが呼び出すための識別情報となる場合がある。
【0093】
・略称欄123は、ユーザーが署名者の略称を任意に設定する欄である。略称は操作コマンドの名称の一部となる場合がある。略称は、電子署名情報をユーザーが呼び出すための識別情報となる場合がある。
【0094】
・登録ボタン124をユーザーが押下すると、電子署名情報登録画面120で入力された情報が表示装置2に送信される。表示装置2は、この情報を受信して、電子署名情報記憶部2003に保存する。
【0095】
図11は、表示装置2が電子署名情報の登録を受け付ける手順を示すフローチャート図である。
【0096】
まず、表示装置2のWebサーバー機能部19が、通信部16を介して、電子署名情報登録画面120の要求を受信したかどうか判断する(S1)。
【0097】
電子署名情報登録画面120の要求を受信した場合、Webサーバー機能部19は電子署名情報登録画面120の画面情報を要求元である端末装置30に送信する(S2)。
【0098】
表示装置2のWebサーバー機能部19は、通信部16介して、電子署名情報を受信したかどうか判断する(S3)。
【0099】
電子署名情報を受信した場合(S3のYes)、電子署名部20は、受信した電子署名情報を電子署名情報記憶部2003に保存する(S4)。また、コマンド処理部18は、コマンド定義データ記憶部2002に、「しょめい」などの決まった文字列と署名者を認識文字列に登録し、略称を含むコマンド名、及び、処理の内容を登録する。
【0100】
<電子署名情報の管理、削除>
次に、図12図13を参照して、電子署名情報の管理、削除について説明する。図12(a)は、端末装置30が表示する電子署名情報リスト画面130を示す。ユーザーは端末装置30を表示装置2と通信させて、電子署名情報リスト画面130を表示させる。なお、電子署名情報リスト画面130の表示には、電子署名情報登録画面120の表示と同様に認証が必要である。
【0101】
電子署名情報リスト画面130は、表示装置2に登録されている電子署名情報のリスト131を表示する。電子署名情報のリスト131は、例えば図10の署名者欄122に表示される署名者であるが、略称を含めてもよい。ユーザーは電子署名情報のリスト131の署名者を編集できない。
【0102】
また、電子署名情報リスト画面130は署名者の右端に削除ボタン133を有している。ユーザーは削除ボタン133を押下又はクリックして、電子署名情報を削除することができる。
【0103】
図12(b)は、削除ボタン133が押下された場合に表示される確認メッセージ132を示す。確認メッセージ132は、「「AAA」の署名用データを削除しますか?」というメッセージ134、はいボタン135、及び、いいえボタン136を有している。はいボタン135の押下により、表示装置2が電子署名情報記憶部2003から電子署名情報を削除する。
【0104】
図13は、表示装置2が電子署名情報の削除を受け付ける手順を示すフローチャート図である。
【0105】
まず、表示装置2のWebサーバー機能部19が、通信部16を介して、電子署名情報リスト画面の要求を受信したかどうか判断する(S11)。
【0106】
電子署名情報リスト画面の要求を受信した場合(S11のYes)、Webサーバー機能部19は電子署名情報リスト画面130の画面情報を要求元である端末装置30に送信する(S12)。
【0107】
表示装置2のWebサーバー機能部19は、通信部16を介して、電子署名情報の削除要求(署名者を含む)を受信したかどうか判断する(S13)。
【0108】
電子署名情報の削除要求を受信した場合(S13のYes)、電子署名部20は、署名者で指定される電子署名情報を電子署名情報記憶部2003から削除する(S14)。
【0109】
<電子署名の処理>
続いて、図14図16を参照して、ユーザーが電子署名を表示装置2に要求し、表示装置2が電子署名を作成する処理を説明する。表示装置2が初期状態で署名欄110を表示する場合と、ユーザーが署名欄110を表示させる場合がある。まず、表示装置2が初期状態で署名欄110を表示する場合を説明する。表示装置2が初期状態で署名欄110を表示する場合とは、表示装置2が表示するPDFデータなどに署名欄110が用意されているような場合である。
【0110】
図14は、署名欄110に関して表示される情報の遷移を説明する図である。なお、図14の説明は図2と一部重複している。
【0111】
図14(a)は初期状態で表示された署名欄110を示す。署名欄110には「ここに署名して下さい」というプレースホルダーテキストが表示されている。電子署名部20は、署名欄110が表示されるとそれが署名欄110であること、及び、署名欄110の位置を取得している。
【0112】
図14(b)に示すように、ユーザーが自分の電子署名情報を呼び出すため、手書きする。ユーザーが情報セキュリティグループのメンバーである場合、ユーザーは例えば「じょう」と手書きする。表示装置2は「じょう」を文字認識することでいくつかの文字列候補114を操作ガイド500に表示する。文字列候補114は、「じょう」が変換されたテキスト、このテキストから予測変換された漢字等である。図14(b)では、「じょう」というテキストから予測変換された「情報セキュリティグループ」という文字列候補が表示されている。
【0113】
なお、図14(b)では、操作ガイド500が表示されているが、そもそも署名欄110に手書きされているので、手書きデータは電子署名を行うためのものである場合が多い。このため、文字列候補114に、署名者が存在する場合、表示制御部14は操作ガイド500を表示せずに、図14(c)のように表示させてもよい。
【0114】
図14(c)に示すように、図14(b)でユーザーが操作ガイド500の「情報セキュリティグループ」をペン2500で選択すると、署名欄110に「情報セキュリティグループ」が表示される。新たにテキストが表示された場合、電子署名部20はテキストの外接矩形と署名欄110が閾値以上の比率で重複するかを判断する。この条件が満たされる場合、電子署名部20は署名欄110にテキストが入力されたので、このテキスト(情報セキュリティグループ)を電子署名情報記憶部2003で検索する。
【0115】
図14(d)に示すように、署名欄110に入力されたテキストが電子署名情報記憶部2003の署名者に適合した場合、表示制御部14が署名欄110にチェックマーク111を表示させる。このようにチェックマーク111は電子署名が可能であることを示す。
【0116】
図14(e)に示すように、ユーザーがペンでチェックマーク111をタッチすると、表示制御部14はチェックマーク111を反転する。また、電子署名部20が、署名欄110に入力されたテキスト(「情報セキュリティグループ」)に対応付けられた電子署名情報を用いて電子署名を作成する。
【0117】
なお、署名欄110に入力されたテキストやチェックマーク111は表示されたままでよい。こうすることで、署名済みであること、誰が署名したかが分かる。
【0118】
このように、ユーザーは署名欄110に手書きすることで、電子署名を作成できる。ユーザーが文字列候補114を選択した場合はテキストを署名欄110に入力できる。したがって、テキストの入力と電子署名の作成の切り替えをユーザーが行う必要がない。
【0119】
図14(f)に示すように、署名欄110に入力されたテキストが電子署名情報記憶部2003の署名者で適合しない場合、表示制御部14が「署名用データの登録がありません。Web画面から登録して下さい。」というメッセージ117を表示させる。ユーザーは、メッセージ117を見て、図10で説明したように、電子署名情報を登録できる。
【0120】
図15は、署名欄110への手書きに応じて表示装置2が電子署名を作成する処理を説明するフローチャート図である。図15の処理は、表示装置2が用意されたPDFデータ等を表示した場合にスタートする。
【0121】
電子署名部20は、署名欄110に署名者がテキストで入力されたか否か判断する(S21)。上記のように、電子署名部20は、テキストの外接矩形と署名欄110が閾値以上の比率で重複するかを判断する。この条件が満たされる場合、電子署名部20は署名欄110に入力されたテキストを電子署名情報記憶部2003の署名者で検索する。
【0122】
電子署名情報記憶部2003に登録されている署名者が署名欄110に入力された場合(S21のYes)、表示制御部14は、署名欄110にチェックマーク111を表示させる(S22)。
【0123】
操作受付部17はチェックマーク111の押下を受け付けたか否か判断する(S23)。
【0124】
操作受付部17がチェックマーク111の押下を受け付けた場合(S23のYes)、表示制御部14はチェックマーク111を反転する。また、電子署名部20が、署名欄110に入力されたテキストに対応付けられた電子署名情報を用いて電子署名を作成する(S24)。
電子署名部20は、保存データ、電子署名、及び電子証明書(図ではまとめて文書と記載)をオブジェクト記憶部2001に保存する(S25)。
【0125】
図16は、電子署名部20が署名欄110に署名者のテキストが入力されたか否か判断する処理を説明するフローチャート図である。
【0126】
電子署名部20は、署名欄110にテキストが入力されたか否か判断する(S41)。詳細には、電子署名部20は、操作ガイド500から選択することで表示されたテキストの外接矩形と、署名欄110が閾値以上の比率で重複するかを判断する。電子署名部20は、ユーザーが手書きした手書きデータの外接矩形と署名欄110との重複を判断してもよい。
【0127】
ステップS41の判断がYesの場合、電子署名部20は署名欄110に入力されたテキストを電子署名情報記憶部2003の署名者で検索する(S42)。
【0128】
署名欄110に入力されたテキストが電子署名情報記憶部2003の署名者に適合した場合(S42のYes)、電子署名部20は署名欄110にチェックマーク111を表示する(S43)。
【0129】
また、操作受付部17はチェックマーク111の押下を受け付けたか否か判断する(S44)。操作受付部17がチェックマーク111の押下を受け付けた場合(S44のYes)、表示制御部14はチェックマーク111を反転する(S47)。
【0130】
ステップS42の判断がNoの場合、表示制御部14は署名欄110の周囲に、電子署名できない旨のエラーを意味するメッセージ117を表示させる(S45)。
【0131】
また、表示制御部14は表示から一定時間が経過すると、メッセージ117を消去する(S46)。
【0132】
<署名欄の表示処理>
続いて、図17図18を参照して、署名欄110の表示処理について説明する。表示装置2が署名欄110を表示していないが、ユーザーが電子署名を作成したい場合、任意に署名欄110を表示させることができる。
【0133】
図17(a)は、署名欄110を表示させる操作コマンドを含む操作ガイド500を示す。図17(a)に示すように、電子署名したいユーザーは署名欄110を表示させるため、署名欄作成コマンド112を表示させるための手書きデータ118を入力する。図17(a)では、手書きされた「しょめ」が、コマンド定義データにおける署名欄作成コマンド112と、署名実行コマンド113に対応付けられた認識文字列(例えば、しょめい、署名等)と部分一致する。表示制御部14は、操作ガイド500に「署名欄を作成する」という署名欄作成コマンド112と「署名する「情報Sec-G」」という署名実行コマンド113を表示させる。
【0134】
ユーザーが署名欄作成コマンド112をペン2500で選択すると、表示制御部14が署名欄110を表示させる。図17(b)は、新たに表示された署名欄110を示す。署名欄110には「ここに署名して下さい」というプレースホルダーテキストが表示されている。署名欄110が表示された後の処理は図14,図15と同様でよい。
【0135】
署名欄110は、枠線で囲まれている必要はなく、署名すべき領域があることが分かればよい。署名欄110は、例えば、下線のみ、2本の罫線の間、色分けなどで署名欄110が示されてもよい。
【0136】
図18は、表示装置2が新たに署名欄110を表示する処理を説明するフローチャート図である。図18の処理は、表示装置2の起動後であれば実行可能である。
【0137】
まず、電子署名部20は、署名欄作成コマンド112が選択されたか否か判断する(S51)。すなわち、電子署名部20は、コマンド定義データにおける署名欄作成コマンド112に対応付けられた認識文字列と部分一致するテキストに手書きデータが変換されたか否か判断する。署名欄作成コマンド112に対応付けられた認識文字列と部分一致するテキストに手書きデータが変換された場合、表示制御部14が認識文字列に対応付けられたコマンド名(「署名欄を作成する」)を操作ガイド500に表示させる。
【0138】
「署名欄を作成する」という署名欄作成コマンド112が選択された場合、表示制御部14は、初期設定されているサイズの署名欄110を、テキスト変換された手書きデータを削除して表示させる(S52)。
【0139】
署名欄110の表示後の処理は、図15で説明したフローチャート図と同様でよい(S53)。
【0140】
このように、ユーザーは任意に署名欄110を表示させることができるので、任意の保存データの電子署名を作成できる。
【0141】
<署名欄を使用しない電子署名の作成>
また、ユーザーは署名欄110を使用しないで、電子署名を作成することもできる。署名欄110を使用しないとは、署名欄110が一切、表示されない場合と、署名欄110があってもユーザーが署名欄110に手書きしない場合のどちらでもよい。ユーザーは署名欄以外(入力欄以外)に手書きする。
【0142】
図19は、ユーザーが署名欄110を使用しない場合に、表示装置2が表示する電子署名の作成のための操作コマンドを示す。
【0143】
図19(a)に示すように、表示装置2に電子署名を作成させるため、ユーザーが「じょう」という手書きデータ141を手書きする。「じょう」が変換部13によりテキストに変換される。電子署名部20は、このテキストがコマンド定義データにおける認識文字列と部分一致するかどうか判断する。コマンド定義データの認識文字列には「じょう」と部分一致する「じょうほうセキュリティグループ」がある。このため、表示制御部14は、「署名する「情報Sec-G」」という署名実行コマンド113を操作ガイド500に表示させる。
【0144】
また、表示制御部14は、「じょう」から変換されたテキストから予測変換される文字列候補114も操作ガイド500に表示させる。
【0145】
ユーザーが操作ガイド500で署名実行コマンド113をペン2500で選択すると、電子署名部20が、電子署名情報記憶部2003において、署名実行コマンド113の認識文字列(じょうほうセキュリティグループ)が署名者となっている電子署名情報で電子署名を作成する。
【0146】
図19(b)は、電子署名を作成した旨を示すメッセージ表示欄142である。メッセージ表示欄142には電子署名の作成に使用された電子署名情報の署名者143と、電子署名が作成された旨144が表示されている。
【0147】
なお、ユーザーが操作ガイド500で文字列候補114をペン2500で選択すれば、任意のテキストを表示できる。
【0148】
このように、ユーザーは手書きデータから変換されたテキストを単に入力にも使用できるし、署名実行コマンド113を選択して電子署名を作成することもできるので、テキストの入力と電子署名の作成のためにユーザーがモードを切り替える必要がない。なお、図19(a)では、ユーザーが「じょう」という手書きデータ141を手書きするが、手書きする内容はテキストに限られず、丸や四角といった図形でもよい。判断部の一例であるコマンド処理部18が、手書きされた内容が変換されたテキストまたは又は図形が、予め設定される認識文字列または又は認識図形であるか否かを判断する。コマンド処理部18が、変換されたテキストまたは又は図形が予め設定されてる認識文字列又は認識図形であると判断する場合に、表示制御部14が、予め設定される認識文字列又は認識図形に基づいて電子署名の作成を受け付ける表示部品の一例である操作コマンド又は電子署名コマンドを表示させる。電子署名部20は、表示部品の一例である操作コマンド又は電子署名コマンドの選択を受け付けた場合、電子署名を作成する。
【0149】
図20は、表示装置2が署名欄110を使用しない電子署名を作成する処理を説明するフローチャート図である。
【0150】
電子署名部20は、署名実行コマンド113の選択を受け付けたか否か判断する(S61)。すなわち、電子署名部20は、署名欄110以外で入力されたテキストが署名実行コマンド113に対応付けられた認識文字列のうち署名者と部分一致するか否か判断する。この条件を満たす場合、表示制御部14は、操作ガイド500に署名実行コマンド113を表示させ、操作受付部17が署名実行コマンド113の選択を受け付けたか否か判断する。図19に示すように署名実行コマンド113には署名者が含まれる。
【0151】
署名実行コマンド113が選択された場合(S61のYes)、電子署名部20が、署名実行コマンド113が含む署名者に対応付けられた電子署名情報を用いて電子署名を作成する(S62)。
【0152】
<主な効果>
本実施例の表示装置2によれば、署名欄110の作成や署名入力をペン入力で実現できる。ユーザーは手書きデータから変換されたテキストを単に入力にも使用できるし、署名実行コマンド113を選択して電子署名を作成することもできるので、テキストの入力と電子署名の作成のためにユーザーがモードを切り替える必要がない。ユーザーは、コマンドの実行で電子署名を容易に行えるので、業務効率を落とさずに電子署名を作成できる。
【実施例0153】
本実施例では、保存データに電子署名だけでなくタイムスタンプ情報を追加する表示装置2について説明する。タイムスタンプ情報とは、保存データのハッシュ値に時刻認証局が時刻情報を付与したものである。
【0154】
なお、本実施例においては、上記の実施例にて説明した図4図5のハードウェア構成図、及び、図6に示した機能ブロック図を援用できるものとして説明する。
【0155】
図21は、表示装置2がタイムスタンプサーバー160を使用する場合のシステム構成図を示す。表示装置2は、タイムスタンプサーバー160にタイムスタンプ情報を要求すると共に保存データのハッシュ値を送信する。表示装置2は、ハッシュ値に時刻情報を添付して表示装置2に送信する。
【0156】
<タイムスタンプサーバーのURLの登録>
図22は、ユーザーがタイムスタンプサーバー160のURLを表示装置2に設定する際、端末装置30が表示するURL設定画面150を示す。端末装置30は表示装置2に接続して、URL設定画面150を要求する。表示装置2のWebサーバー機能部19がURL設定画面150の画面情報を端末装置30に送信する。
【0157】
URL設定画面150はURL入力欄151と登録ボタン152を有している。ユーザーは予め既知のタイムスタンプサーバー160のURLをURL入力欄151に設定し、登録ボタン152を押下する。端末装置30がURLを表示装置2に送信するので、電子署名部20が記憶部2000に保存しておく。
【0158】
図23は、表示装置2がタイムスタンプサーバー160のURLの設定を受け付ける処理を説明するフローチャート図である。
【0159】
まず、表示装置2のWebサーバー機能部19が、通信部16を介して、URL設定画面150の要求を受信したかどうか判断する(S71)。
【0160】
URL設定画面150の要求を受信した場合(S71のYes)、Webサーバー機能部19はURL設定画面150の画面情報を要求元である端末装置30に送信する(S72)。
【0161】
表示装置2のWebサーバー機能部19は、通信部16を介して、タイムスタンプサーバー160のURLを受信したかどうか判断する(S73)。
【0162】
タイムスタンプサーバー160のURLを受信した場合(S73のYes)、電子署名部20は、受信したタイムスタンプサーバー160のURLを記憶部2000に保存する(S74)。
【0163】
<電子署名の処理>
図24は、表示装置2が電子署名を作成する処理にタイムスタンプが追加される場合の処理を説明するフローチャート図である。図24の説明では、署名欄110が表示されている状態から説明するが、署名欄110はなくてもよい。
【0164】
電子署名部20は、署名欄110に署名者がテキストで入力されたか否か判断する(S31)。上記のように、電子署名部20は、テキストの外接矩形と署名欄110が閾値以上の比率で重複するかを判断する。この条件が満たされる場合、電子署名部20は署名欄110に入力されたテキストを電子署名情報記憶部2003で検索する。
【0165】
署名者がテキストで入力された場合(S31のYes)、表示制御部14は、署名欄110にチェックマーク111を表示させる(S32)。
【0166】
操作受付部17はチェックマーク111の押下を受け付けたか否か判断する(S33)。
【0167】
操作受付部17がチェックマーク111の押下を受け付けた場合(S33のYes)、表示制御部14はチェックマーク111を反転する。また、電子署名部20が、署名欄110に入力されたテキストに対応付けられた電子署名情報を用いて電子署名を作成し(S34)、オブジェクト記憶部2001に保存する(S35)。
【0168】
電子署名部20は、通信部16を介して、タイムスタンプサーバー160からタイムスタンプ情報を取得する(S36)。
【0169】
電子署名部20は、ステップS35の電子署名に対応付けてタイムスタンプ情報を追加してオブジェクト記憶部2001に保存する(S37)。
【0170】
<主な効果>
本実施例によれば、表示装置2が、実施例1の効果に加え、電子署名にタイムスタンプ情報を追加で保存できる。
【実施例0171】
本実施例では、ネットワーク上の電子署名サーバー171が電子署名を作成する電子署名システム170について説明する。
【0172】
図25は、電子署名システム170の概略のシステム構成図を示す。電子署名システム170は電子署名サーバー171、認証サーバー172、及び、表示装置2を有している。また、端末装置30はネットワークNを介して、電子署名サーバー171、認証サーバー172、及び、表示装置2と無線、又は、有線により通信可能である。
【0173】
電子署名サーバー171は一台以上の情報処理装置である。電子署名サーバー171は、表示装置2からの要求と保存データのハッシュ値を受信すると電子署名を作成し、表示装置2に返す。電子署名サーバー171には、実施例1と同様に端末装置30から電子署名情報が登録済みである。なお、電子署名サーバー171としては例えばbox.com/signなどの商用サービスが知られているが、電子署名サーバー171としてどのサービスが利用されてもよい。
【0174】
認証サーバー172は、一台以上の情報処理装置である。認証サーバー172は、電子署名サーバー171をユーザーが使用するためにユーザーを認証するサーバーである。ユーザーは端末装置30を認証サーバー172に接続し、ユーザーIDとパスワードなどを登録しておく。表示装置2が電子署名サーバー171を使用する場合、認証サーバー172による認証が成功すると、電子署名サーバー171を使用できる。なお、認証サーバー172に登録されるユーザーは、電子署名サーバー171のユーザーとなる表示装置2を登録することもできる。表示装置2が登録された場合、現在、利用しているユーザーに関わりなく、表示装置2が電子署名サーバー171を使用できる。
【0175】
なお、認証サーバー172と電子署名サーバー171は一体でもよい。認証サーバー172と電子署名サーバー171の機能の全て又は一部は、クラウド環境に存在してもよいし、オンプレミス環境に存在してもよい。
【0176】
端末装置30と表示装置2は実施例1と同様のものでよい。ただし、本実施例の表示装置2は、電子署名を作成する機能を有していなくてよい。
【0177】
<機能について>
図26は、表示装置2と、電子署名サーバー171と、端末装置30とが有する機能をブロック状に分けて説明する機能ブロック図の一例である。なお、図26の説明では主に図6との相違を説明する。認証サーバー172の機能については公知の認証機能を有するものとして説明を省略する。
【0178】
<<表示装置>>
表示装置2が有する機能は、図6に対し、電子署名部20と電子署名情報記憶部2003を有していない。これらの機能は電子署名サーバー171が有するためである。表示装置2は電子署名情報記憶部2003の代わりに、電子署名識別情報記憶部2004を有している。その他の機能は、図6と同様でよい。
【0179】
図27は、電子署名識別情報記憶部2004に記憶されている電子署名識別情報を示す。電子署名識別情報は、電子署名情報のうち識別情報の機能を有する署名者と略称を有している。これらのうち少なくとも一部は、表示装置2が、電子署名情報の指定を電子署名サーバー171に対し行うために使用される。
【0180】
また、表示装置2が電子署名サーバー171と電子署名識別情報を同期するため、表示装置2は、1日に1回などの決まったタイミングで電子署名サーバー171から電子署名識別情報を取得する。
【0181】
<<電子署名サーバー>>
電子署名サーバー171は、通信部181及び電子署名部20を有している。電子署名サーバー171が有する各機能は、図5に示されている各構成要素のいずれかが、HD504からRAM503上に展開されたプログラムに従ったCPU501からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0182】
通信部181は、表示装置2から電子署名情報と保存データのハッシュ値を指定した電子署名の作成要求を受信する。また、通信部181は、作成された電子署名を表示装置2に送信する。
【0183】
電子署名部20は、表示装置2から指定された電子署名情報で、保存データのハッシュ値に対し電子署名を作成する。
【0184】
また、電子署名サーバー171は、図5に示されているHD504やRAM503などに構築される記憶部183を有し、記憶部183には電子署名情報記憶部2003が構築されている。電子署名情報記憶部2003の構成は、実施例1の図9と同様でよい。
【0185】
<電子署名の作成処理>
次に、図28を参照して、電子署名システム170が電子署名を作成する処理の流れを説明する。図28は、本実施例の電子署名システム170が表示装置2からの要求に応じて電子署名を作成する処理を説明するシーケンス図である。
【0186】
S81:表示装置2の操作受付部17が電子署名の作成を受け付ける。すなわち、署名欄110に入力されたテキストが電子署名識別情報記憶部2004の署名者と一致するか、又は、署名欄110以外に入力されたテキストにより署名実行コマンド113が表示され、署名実行コマンド113が選択される。したがって、署名者が特定されている。
【0187】
S82:表示装置2の通信部16は、まず認証を受けるため、ユーザーID、パスワードを指定して認証要求を認証サーバー172に送信する。ユーザーID、パスワードはユーザーが表示装置2へのログイン時に入力したものでもよいし、表示装置2に設定されているものでもよい。
【0188】
S83:認証サーバー172は認証要求を受信し、ユーザーID、パスワードに基づいてユーザーを認証する。ここでは認証が成功したものとする。認証サーバー172は認証成功を表すトークンを表示装置2に送信する。トークンにはこのユーザーが電子署名サーバー171で使用できる権限等が含まれる。
【0189】
S84:表示装置2の通信部16はトークンを受信すると、通信部16が、トークン、署名者及び保存データのハッシュ値を指定して電子署名作成要求を電子署名サーバー171に送信する。
【0190】
S85:電子署名サーバー171の通信部181は電子署名作成要求を受信し、トークンに基づいてユーザーの認証が成功したと判断する。電子署名部20は、署名者に対応付けられている電子署名情報を使用し、表示装置2から送信されたハッシュ値を暗号化することで電子署名を作成する。
【0191】
S86:電子署名サーバー171の通信部181は電子署名と署名者に対応付けられている電子証明書を表示装置2に送信する。
【0192】
S87:表示装置2の通信部16は電子署名と電子証明書を受信すると、データ記録部15が保存データに電子署名を結合し、電子証明書と共にオブジェクト記憶部2001に保存する。なお、更にタイムスタンプ情報が追加されてもよい。
【0193】
<主な効果>
本実施例によれば、実施例1、2の効果に加え、表示装置2が電子署名サーバー171に要求することで電子署名を作成できる。したがって、各表示装置2が電子署名情報や電子署名部20を有する必要がない。
【実施例0194】
本実施例では、ユーザーが表示装置2にログインすることを前提に、このユーザーが電子証明情報を使用できるかどうかを判断する表示装置2について説明する。実施例1では、署名者を手書きしたユーザーであれば電子署名を作成することが可能であったが、本実施例では、電子署名を作成するユーザーを制限できる。例えば、ユーザーが他人の電子署名情報を使用して電子署名を作成することを抑制できる。
【0195】
<機能について>
図29は、表示装置2と端末装置30とが有する機能をブロック状に分けて説明する機能ブロック図の一例である。なお、図29の説明では主に図6との相違を説明する。
【0196】
<<表示装置>>
表示装置2は新たに認証部21を有している。認証部21は、予め設定されているユーザーIDとパスワード、又は、ユーザーの署名に基づいてユーザーを認証する。認証が成功したユーザーは表示装置2にログインできる。なお、このユーザーの認証機能は表示装置2内にあってもよいし、ネットワーク上にあってもよい。
【0197】
<電子署名情報の登録>
図30は、本実施例の電子署名情報登録画面120を示す。図30の説明では主に図10との相違を説明する。図30では、署名者欄122がなく、Webサーバー機能部19が表示装置2に電子署名情報登録画面120の画面情報を送信する時点で、署名者126が表示される。この署名者126は、ユーザーが端末装置30から表示装置2にログインすることで特定されたユーザーの氏名である。
【0198】
このように、ログインユーザーの氏名が、電子署名情報の署名者126に自動的に設定される。したがって、任意のユーザーが表示装置2を使用する場合に、表示装置2にログインすると、氏名が特定されるので、この氏名が署名者と一致する場合にだけ、表示装置2が電子署名を作成することができる。
【0199】
<表示装置へのログイン>
図31図32を参照して、ユーザーが表示装置2にログインする方法の一例を説明する。図31は、表示装置2がログイン時に表示する操作コマンド等を示す。図31(a)は、ユーザーが入力した手書きデータ191に対して表示された操作コマンドを示す。ログインしたいユーザーはログインコマンドを表示させるための手書きデータ191を入力する。図31(a)では、手書きされた「ろぐ」から変換されたテキストが、コマンド定義データにおけるログインコマンドに対応付けられた認識文字列(例えば、ろぐいん、ログイン等)と部分一致した。表示制御部14は、「ログイン」というログインコマンド192を表示させる。
【0200】
図31(b)に示すように、ユーザーがログインコマンド192を選択すると、表示制御部14がユーザーID欄194とパスワード欄195を表示させる。ユーザーID欄194には「ログインID」というプレースホルダーテキストが表示されている。パスワード欄195には「パスワード」というプレースホルダーテキストが表示されている。認証部21は登録済みのユーザーIDとパスワードと、入力されたユーザーIDとパスワードを比較し、一致する場合、ユーザーの氏名を特定できる。
【0201】
なお、表示装置2は署名を認証情報に使用できる。図31(c)に示すように、ユーザーがログインコマンド192を選択すると、表示制御部14が署名入力欄196を表示させる。署名入力欄196には「署名認証用の署名を入力」というプレースホルダーテキストが表示されている。ユーザーは自分の氏名を署名入力欄196に手書きする。ユーザーの氏名の署名が氏名と対応付けて予め表示装置2に登録されており、認証部21は登録済みの署名の特徴量と入力された署名の特徴量を比較し、閾値以上一致する場合、ユーザーの氏名を特定できる。
【0202】
図32は、表示装置2がログイン時に表示する操作コマンド等の別の例を示す。図32にて説明するように、ユーザーがログインする際、図31(b)(c)のような欄は必ずしも必要ではない。
【0203】
図32(a)は、ユーザーが入力した手書きデータに対して表示された操作コマンドを示す。ログインしたいユーザーはログインコマンドを表示させるための手書きデータ198を入力する。図32(a)では、手書きされた「鈴木一朗」の署名の特徴量が、予め設定されている「鈴木一朗」というユーザーの署名の特徴量と閾値以上一致した。このため、表示制御部14が「ログイン「鈴木一朗」」というログインコマンド193を表示させる。
【0204】
図32(b)に示すように、ユーザーがログインコマンド193をペン2500で選択すると、ログインが認められる(署名が一致した時点で認証が成功している)。表示制御部14はログインが完了した旨197を表示させる。
【0205】
このように、ユーザーは単に氏名を手書きするだけでログインできる。ユーザーが文字列候補114をペン2500で選択すれば氏名を入力することもできる。
【0206】
<ログイン後の電子署名の作成処理>
ユーザーが表示装置2にログインした場合、ユーザーが特定されているので、ユーザーは単にアイコンを押下するだけでも、自分の電子署名情報で電子署名を作成できる。なお、実施例1~3と同様の方法で電子署名を作成することもできる。
【0207】
図33は、表示装置2が表示する入力画面600の一例を示す。入力画面600は、主に、手書き領域601、メニューボタン602、ズームパンウィンドウ表示603、ページ数表示604、ページナビ表示605、及び、情報表示エリア606を有している。
【0208】
手書き領域601は、ユーザーがペン2500で任意に手書きする領域である。手書きデータは自動的に文字列に変換される。ユーザーの操作で手書きデータが文字列に変換されてもよい。
【0209】
メニューボタン602は、手書きデータの線種602a、線の色602b、取り消し602c、やり直し602d、ゴースト除去602e、電子署名アイコン602f、手書き認識602g、削除602h等をユーザーが選択するアイコンを有する。
・手書きデータの線種602aは手書きデータの線種(太さ、実線・点線等)の変更を受け付けるアイコンである。
・線の色602bは、手書きデータの色の変更を受け付けるアイコンである。なお、電子ペーパーの場合、モノクロが主流なので色の違いは線種で表される。
・取り消し602cは、最後に入力された操作の取り消しを受け付けるアイコンである。
・やり直し602dは、取り消した操作を再度実行する操作を受け付けるアイコンである。
・ゴースト除去602eは、電子ペーパーで生じるゴースト(消去しきれないで残る灰色のオブジェクトの跡)を削除するため、表示装置2が、画面の全体を初期化し、ゴースト除去602eを押下する前のオブジェクトを再表示する操作を受け付けるアイコンである。
・電子署名アイコン602fは電子署名の作成を受け付けるアイコンである。
・手書き認識602gは手書きデータに対する文字認識を受け付けるアイコンである。
・削除602hは、現在表示中のページ又はその一部を削除する(ゴミ箱に移動)する操作を受け付けるアイコンである。
【0210】
ズームパンウィンドウ表示603は、手書き領域をズーム(拡大)したり、パン(縮小)したりする操作を受け付けるアイコンである。
【0211】
ページ数表示604は、現在の手書きデータが何ページ目かを示す。ページナビ表示605は、手書き領域の右端に各ページのサムネイルを表示するためのボタンである。
【0212】
情報表示エリア606は、今日の日付606a、時刻606b、IPアドレス606c、SSID606d、PIN606eなどを表示するエリアである。IPアドレス606cは表示装置2に端末装置30が接続するためのIPアドレスである。SSID606dは、表示装置2が提供するアクセスポイントの識別子である。PIN606eは端末装置30がアクセスポイントに接続するための暗号キー(パスワード)である。PIN606eは、暗号キー(パスワード)とは別に表示されてもよい。暗号キーとPINが異なることでセキュリティを向上できる。
【0213】
ユーザーはこのIPアドレス606cを端末装置30で動作するWebブラウザに入力する。また、ユーザーはIPアドレス606cを遠隔地にいるユーザーに伝え、別の表示装置2との遠隔会議や隣接する表示装置2との連結表示が可能である。
【0214】
図34(a)は電子署名アイコン602fが押下された場合に表示される署名実行ダイアログ300を示す。署名実行ダイアログ300は、「「鈴木一朗」で署名しますか?」というメッセージ301、はいボタン302、及び、いいえボタン303を有している。「鈴木一朗」がログインしたユーザーの氏名である。ユーザーがはいボタン302を押下すると、電子署名部20は、「鈴木一朗」を署名者とする電子署名情報で電子署名を作成する。図34(b)は電子署名を作成した表示装置2が表示するメッセージ304を示す。
【0215】
このように、電子署名情報の登録時に認証済みの署名者も登録され、表示装置2にユーザーがログインすることで、ユーザーはアイコンを押下することで電子署名を作成できる。
【0216】
<他人の電子署名情報を使用した電子署名の作成の抑制>
ユーザーが表示装置2にログインすることで、他人の電子署名情報を使用した電子署名の作成を抑制できる点について説明する。
【0217】
例えば、仮に田中さんが表示装置2にログインし、「鈴木一朗」と手書きしテキストに変換されても、ログインしたユーザーの氏名と署名者が一致しないので、図14でチェックマーク111は表示されず、図17図19で署名実行コマンド113は表示されない。また、田中さんが電子署名アイコン602fを押下しても、田中さんは田中さんを署名者とする電子署名情報を用いた電子署名しか作成できない。
【0218】
図35は、本実施例において、表示装置2が電子署名を作成する処理を説明するフローチャート図である。なお、図35の説明では、ユーザーが署名欄110に手書きしても、署名欄以外に手書きしてもよい。
【0219】
まず、表示装置2の認証部21がユーザーを認証する(S91)。認証が成功したユーザーは表示装置2にログインする。
【0220】
ユーザーが手書きすると、変換部13は手書きデータをテキストに変換する。
【0221】
(1)署名欄110に手書きされた場合を説明する。電子署名部20は、署名欄110に手書きされ、操作ガイド500で選択されたテキストが、電子署名情報記憶部2003の署名者と部分一致するか否か判断する(S92)。
【0222】
ステップS92の判断がYesの場合、電子署名部20は、ステップS92で特定した署名者とログインユーザーが同じか否か判断する(S93)。
【0223】
(2)署名欄110以外に手書きされた場合を説明する。手書きデータから変換されたテキストが署名実行コマンド113の認識文字列と部分一致したものとする。電子署名部20は、署名実行コマンド113の認識文字列が電子署名情報記憶部2003の署名者と部分一致するか否か判断する(S92)。
【0224】
ステップS92の判断がYesの場合、電子署名部20は、ステップS92で特定した署名者とログインユーザーが同じか否か判断する(S93)。
【0225】
ステップS93の判断がYesの場合、表示制御部14は、図14に示した署名欄110にチェックマーク111を表示させるか、又は、図19に示したように操作ガイド500に署名実行コマンド113を表示させる(S94)。
【0226】
ステップS92、又はS93の判断がNoの場合、表示制御部14は、署名欄110にテキストの認識結果のみ表示させるか、又は、文字列候補114のみを操作ガイド500に表示させる(S95)。すなわち、表示制御部14は、電子署名の実行を受け付ける署名実行コマンド113を表示させない。
【0227】
なお、図35では、表示装置2が電子署名を作成する場合を説明したが、本実施例は、実施例3のように電子署名サーバー171が電子署名を作成する場合も同様に適用できる。すなわち、ステップS95では表示制御部14は、電子署名の実行を受け付ける表示を行わないので、表示装置2が電子署名サーバー171に電子署名を要求することがない。
【0228】
<主な効果>
本実施例によれば、表示装置2は、実施例1~3の効果に加え、電子署名を作成するユーザーを制限できる。例えば、ユーザーが他人の電子署名情報を使用して電子署名を作成することを抑制できる。
【実施例0229】
本実施例では、自動的に電子署名を作成する表示装置2について説明する。例えば、法令で電子文書に電子署名の付与が義務づけられている場合に電子署名が欠落することを抑制できる。
【0230】
<機能について>
図36は、表示装置2と端末装置30とが有する機能をブロック状に分けて説明する機能ブロック図の一例である。なお、図36の説明では主に図6との相違を説明する。
【0231】
<<表示装置>>
表示装置2は新たに電子署名作成タイミング決定部22を有している。電子署名作成タイミング決定部22は、電子署名を自動的に作成するタイミングになったか否か判断し、このタイミングになると電子署名部20に電子署名の作成を要求する。
【0232】
<自動的に電子署名を作成する処理>
図37は、表示装置2が自動的に電子署名を作成する処理を説明するフローチャート図である。
【0233】
電子署名作成タイミング決定部22は、最後に電子署名を作成した時に経過時間tを0に初期化する(S101)。
【0234】
電子署名作成タイミング決定部22は、予め設定されている時間閾値Tを経過時間tが超えたか否か判断する(S102)。
【0235】
ステップS102の判断がNoの場合、電子署名作成タイミング決定部22は経過時間tを所定量、大きくする(S103)。所定量は、ステップS103の判断周期に応じた値でよく、例えば1秒程度でよい。
【0236】
ステップS102の判断がYesの場合、電子署名作成タイミング決定部22は予め指定されている署名者の電子署名情報で保存データの電子署名の作成を電子署名部20に要求する。電子署名部20はオブジェクト記憶部2001に保存されている全ての保存データの電子署名を作成する(S104)。なお、予め指定されている署名者は、管理者などでよい。
【0237】
電子署名作成タイミング決定部22は、電子署名を作成したので経過時間tを0に初期化する(S105)。
【0238】
<主な効果>
本実施例によれば、実施例1~4の効果に加え、表示装置2が自動的に電子署名を作成できる。
【実施例0239】
本実施例では、遠隔通信する複数の表示装置2が電子署名を共有する遠隔通信システム310について説明する。
【0240】
図38は、本実施例における遠隔通信システム310のシステム構成図を示す。遠隔通信システム310は、ネットワークを介して通信可能な仲介サーバー8、複数の表示装置2A,2Bを有している。
【0241】
表示装置2Aに入力された手書きデータはリアルタイムに仲介サーバー8に送信され、仲介サーバー8が表示装置2Bに送信する。表示装置2Bに入力された手書きデータはリアルタイムに仲介サーバー8に送信され、仲介サーバー8が表示装置2Aに送信する。こうすることで、複数の表示装置2A,2Bがオブジェクトを共有でき、遠隔地にいるユーザー同士が表示装置2に表示されたオブジェクトを使って会議などを行うことができる。
【0242】
<機能について>
図39は、仲介サーバー8の機能ブロック図の一例である。なお、仲介サーバー8のハードウェアブロック図は図5と同様でよい。仲介サーバー8は、通信部401、共有部402、及び、オブジェクト記憶部403を有している。通信部401は、表示装置2A、2Bと通信し、一方の表示装置2からのオブジェクトや電子署名を、他方の表示装置2に送信する。
【0243】
共有部402は同じセッションに接続する表示装置2を管理し、オブジェクトを同じセッションに接続する表示装置2の間で共有する処理を行う。表示装置2Aと表示装置2Bは、仲介サーバー8が発行したURLに接続することで、同じセッションに接続する。仲介サーバー8の共有部402は、同じセッションに接続している複数の表示装置2の間で手書きデータなどのオブジェクトを共有する。
【0244】
なお、データの送受信は、仲介サーバー8を介さずに、例えばWebRTC(Web Real Time Communication)等の通信方法を用いて表示装置2A,2Bの間で行われてもよい。
【0245】
オブジェクト記憶部403は、手書きデータやテキストなどのオブジェクトを、ディスプレー220における位置情報と共に記憶している。オブジェクトはセッションIDに対応付けられている。セッションIDは、オブジェクトが共有されるセッションの識別情報である。オブジェクト記憶部403の構成は、表示装置2が有するオブジェクト記憶部2001と同様でよい。ただし、電子署名はなくてもよい。
【0246】
<電子署名の共有>
図40は、表示装置2Aと2Bがオブジェクトと電子署名を共有する処理を説明するシーケンス図である。
【0247】
S301、S302:表示装置2Aの入力受付部11が電子署名の作成を受け付ける。電子署名部20が保存データの電子署名を作成する。
【0248】
S303:表示装置2Aの通信部16は、オブジェクト(リアルタイム共有のため)、保存データ(例えばPDFファイル)及び電子署名(電子証明書も含む)を仲介サーバー8に送信する。
【0249】
S304:仲介サーバー8の通信部401はオブジェクト、保存データ及び電子署名を受信し、共有部402がオブジェクト記憶部403にオブジェクトを記憶する。
【0250】
S305:仲介サーバー8の通信部401はオブジェクト、保存データ及び電子署名を表示装置2Bに送信する。なお、拠点Aの表示装置2Aと本部の表示装置2Bは同じセッションに接続している。
【0251】
S306:表示装置2Bの通信部16はオブジェクト、保存データ及び電子署名を受信し、表示制御部14がオブジェクトを表示させる。
【0252】
S307:表示装置2Bの電子署名部20は、電子署名を検証する。すなわち、電子署名部20は、保存データのハッシュ値を求め、電子証明書に含まれる公開鍵で電子署名を復号したハッシュ値と比較する。検証が成功した場合、保存データに改ざんがないと判断してオブジェクト記憶部2001に保存する。こうすることで、表示装置2Bが保存する保存データが表示装置2Aと同じものであることが保証される。
【0253】
<主な効果>
本実施例によれば、実施例1~5の効果に加え、遠隔通信する複数の表示装置2が電子署名に基づいて、改ざんされていない保存データを共有できる。
【実施例0254】
本実施例では、USBメモリ等にオブジェクトを保存する際に電子署名を作成する表示装置2について説明する。
【0255】
なお、本実施例においては、上記の実施例にて説明した図4図5のハードウェア構成図、及び、図6に示した機能ブロック図を援用できるものとして説明する。
【0256】
図41に示すように、本実施例では、コマンド定義データが実施例1と異なる。図41は、本実施例において、コマンド定義データ記憶部2002に記憶されるコマンド定義データを模式的に示す。図41の説明では主に図8との相違を説明する。本実施例のコマンド定義データでは、認識文字列に「USB」が登録されている。コマンド名は「USBメモリに保存」、「USBメモリに署名して保存「ログインユーザー」」である。「USBメモリに保存」の処理は、「保存データをUSBに保存する」であり、「USBメモリに署名して保存「ログインユーザー」」の処理は、「「ログインユーザー」で指定される電子署名情報を用いて電子署名を作成し、USBに保存する」である。
【0257】
したがって、ユーザーがUSBと手書きすると、これらの操作コマンドが操作ガイド500に表示される。
【0258】
図42は、本実施例の署名実行コマンドの一例を示す。図42に示すように、USBメモリ230に電子署名を保存したいユーザーはそのための手書きデータ321を入力する。図42では、手書きされた「USB」が、コマンド定義データにおける保存実行コマンド322に対応付けられた認識文字列(例えば、USB等)と部分一致する。表示制御部14は、操作ガイド500に「USBメモリに文書保存」という署名実行コマンド323を表示させる。
【0259】
同様に、手書きされた「USB」が、コマンド定義データにおける署名実行コマンド323に対応付けられた認識文字列(例えば、USB等)と部分一致する。署名実行コマンド323にはログインユーザーが必要なので、表示制御部14がログインユーザーを取得する。現在のログインユーザーが「鈴木一朗」であるとする。したがって、表示制御部14は、操作ガイド500に「USBメモリに署名して保存「鈴木一朗」」という署名実行コマンド323を表示させる。
【0260】
ユーザーが署名実行コマンド323を選択すると、電子署名部20がログインユーザーである「鈴木一朗」に対応付けられている電子署名情報を用いて電子署名を作成する。
【0261】
なお、図42の保存実行コマンド322及び署名実行コマンド323は、表示装置2にUSBメモリ230が接続されている場合にのみ表示されてもよい。
【0262】
図43は、表示装置2が電子署名を作成し、USBメモリに保存する処理を説明するフローチャート図である。
【0263】
まず、電子署名部20は、コマンド定義データにおける署名実行コマンドに対応付けられた認識文字列と部分一致するテキストに手書きデータが変換されたか否か判断する(S111)。ステップS111の判断がYesの場合、表示制御部14が認識文字列に対応付けられたコマンド名(「USBメモリに文書保存」、「USBメモリに署名して保存「鈴木一朗」」)を操作ガイド500に表示させる(S112)。
【0264】
「USBメモリに署名して保存「鈴木一朗」」という署名実行コマンド323が選択された場合、電子署名部20が「鈴木一朗」に対応付けられている電子署名情報を用いて電子署名を作成する(S113)。
【0265】
電子署名部20は、USBメモリ230に電子署名が追加された保存データを保存する(S114)。
【0266】
<主な効果>
本実施例によれば、実施例1~6の効果に加え、ユーザーが外部メモリの名称を手書きすることで、電子署名を作成し、外部メモリに保存できる。
【0267】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0268】
例えば、本実施形態では、表示装置2が電子署名を作成したが、表示装置2が単にオブジェクトを暗号化してもよい。ユーザーが例えば「あんごう」を手書きすると、操作コマンドが表示され、オブジェクトを暗号化できる。復号の手順も同様でよい。
【0269】
また、本実施形態では、ストロークデータが主に日本語に変換されているが、ストロークデータの変換先の言語は他の言語(英語、中国語、ヒンドゥー語、スペイン語、フランス語、アラビア語、ロシア語等)でよい。
【0270】
また、本実施形態では電子黒板を一例として説明したが、電子黒板は、電子ホワイトボード、電子情報ボード、などと呼ばれてよい。また、本実施形態は、タッチパネルを有する情報処理装置であれば好適に適用できる。タッチパネルを搭載した情報処理装置としては、例えば、プロジェクター、デジタルサイネージ等の出力装置、HUD(Head Up Display)装置、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、ノートPC、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ウェアラブルPC又はデスクトップPC等であってもよい。
【0271】
また、本実施形態ではペン先の座標をタッチパネルで検知する方法でペンの座標を検出したが、表示装置2はペン先の座標を超音波により検出してもよい。また、ペンは発光と共に超音波を発信しており、表示装置2は超音波の到達時間により距離を算出する。表示装置2は、方向と距離によりペンの位置を特定でき、ペンの軌跡をストロークデータとしてプロジェクターが描画(投影)する。
【0272】
また、図6などの構成例は、表示装置2による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。表示装置2の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0273】
また、上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
本発明の実施形態は、コンピュータの能力および機能性に大きな改善をもたらす。これらの改善により、ユーザーは、情報処理装置において情報を格納し提示する方法であるテーブルとの、より効率的で堅牢な対話を提供するコンピュータを利用することができる。さらに、本発明の実施形態は、より効率的で強力かつ堅牢なユーザーインタフェースの使用を通じて、より良いユーザー体験を提供する。このようなユーザーインタフェースは、人間と機械との間のより良い相互作用を提供する。
<請求項に関する付記>
[請求項1]
手書きをオブジェクトとして表示する表示装置であって、
前記手書きの入力を受け付ける入力受付部と、
前記手書きをテキスト又は図形に変換する変換部と、
前記変換されたテキスト又は図形が、予め設定される認識文字列又は認識図形であるか否かを判断する判断部と、
前記判断部が前記変換されたテキスト又は図形が予め設定される前記認識文字列又は前記認識図形であると判断する場合に、前記予め設定される認識文字列又は認識図形に基づく電子署名の作成を受け付ける表示部品を表示させる表示制御部と、
前記表示部品の選択を受け付けた場合、前記電子署名を作成する電子署名部と、
を有する表示装置。
[請求項2]
前記入力受付部は、電子署名のために表示される入力欄以外に入力された前記手書きの入力を受け付け、
前記変換部は、前記手書きをテキスト又は図形に変換し、
前記表示制御部は、前記テキスト又は図形に基づいて前記表示部品を表示させることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
[請求項3]
予め設定されている認識文字列と前記表示部品が対応付けられた定義データにおいて、前記変換部が前記手書きから変換した前記テキストが前記認識文字列と部分一致した場合、
前記表示制御部は部分一致した前記認識文字列に対応付けられた前記表示部品を表示させ、
前記表示部品は電子署名の作成を受け付けるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
[請求項4]
前記認識文字列には、署名者情報が含まれており、
前記変換部が前記手書きから変換した前記テキストが前記署名者情報と部分一致した場合、
前記表示制御部は部分一致した前記署名者情報を前記表示部品と共に表示させることを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
[請求項5]
前記署名者情報と共に表示された前記表示部品の選択を受け付けた場合、
前記電子署名部は、前記署名者情報に電子署名情報が対応付けられた電子署名情報記憶部から、前記署名者情報に対応付けられた電子署名情報を取得し、前記オブジェクトの電子署名を作成することを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
[請求項6]
ユーザーの認証を行う認証部を有し、
前記変換部が前記手書きから変換した前記テキストが前記署名者情報と部分一致し、更に、
前記認証部による認証が成功したユーザーが、前記署名者情報と一致する場合、
前記表示制御部が、前記表示制御部は部分一致した前記署名者情報を前記表示部品と共に表示させることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
[請求項7]
電子署名のために表示される入力欄に前記手書きが入力された場合、
前記表示制御部は、前記変換部が前記手書きから変換した前記テキスト又は図形に応じて、前記入力欄に前記テキスト又は図形を表示させ、電子署名が可能である旨を表示させることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
[請求項8]
前記表示制御部は、前記変換部が前記手書きから変換した前記テキスト又は図形を表示させ、
前記テキストの選択を受け付けた場合、前記表示制御部は、電子署名が可能である旨を表示させることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
[請求項9]
前記電子署名が可能である旨の選択を受け付けた場合、前記電子署名部は、前記変換部が前記手書きから変換した前記テキストに対応付けられている電子署名情報を用いて、前記オブジェクトに関する電子署名を作成することを特徴とする請求項7又は8に記載の表示装置。
[請求項10]
署名者情報に対応付けて電子署名情報を記憶する電子署名情報記憶部において、
前記変換部が前記手書きから変換した前記テキストが前記署名者情報と部分一致した場合、
前記表示制御部は、前記変換部が前記手書きから変換した前記テキストを前記入力欄に表示させ、電子署名が可能である旨を表示させることを特徴とする請求項7又は8に記載の表示装置。
[請求項11]
ユーザーの認証を行う認証部を有し、
前記変換部が前記手書きから変換した前記テキストが前記署名者情報と部分一致し、更に、
前記認証部による認証が成功したユーザーが、前記署名者情報と一致する場合、
前記表示制御部は、前記変換部が前記手書きから変換した前記テキストと共に電子署名が可能である旨を表示させることを特徴とする請求項10に記載の表示装置。
[請求項12]
前記入力受付部は、電子署名のために表示される入力欄以外に入力された前記手書きの入力を受け付け、
前記変換部は、前記手書きをテキスト又は図形に変換し
前記表示制御部は、入力欄以外に入力された前記手書きから変換された前記テキスト又は図形に基づいて前記入力欄を表示させ、
前記入力受付部は、新たに表示された前記入力欄に対する前記手書きの入力を受け付けることを特徴とする請求項7~9のいずれか1項に記載の表示装置。
[請求項13]
ユーザーの認証を行う認証部を有し、
電子署名の作成を受け付けるアイコンの選択を受け付けた場合、
前記電子署名部は、署名者情報に対応付けられた電子署名情報を記憶する電子署名情報記憶部において、前記認証部による認証が成功したユーザーに対応付けられた電子署名情報を用いて、前記オブジェクトに関する電子署名を作成することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
[請求項14]
前記電子署名部は、経過時間が時間閾値を超えるごとに自動で、前記オブジェクトに関する電子署名を作成することを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の表示装置。
[請求項15]
前記変換部が前記手書きから変換した前記テキストが予め設定されている外部メモリの名称を含む前記認識文字列と部分一致する場合、
前記表示制御部は、電子署名を作成して前記外部メモリに前記電子署名を保存する表示部品を表示させ、
前記表示部品の選択を受け付けた場合、前記電子署名部は、前記オブジェクトに関する電子署名を作成し、前記外部メモリに保存することを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
[請求項16]
前記電子署名部は、前記電子署名にタイムスタンプ情報を追加することを特徴とする請求項1~15のいずれか1項に記載の表示装置。
【符号の説明】
【0274】
2 表示装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0275】
【特許文献1】特開2017‐123077号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43